説明

アミノ酸誘導体類

式(I)の化合物は、ドーパミン作用性化合物としてまたはドーパミン欠乏の症状を減少させる化合物として活性である:


[式中、R1およびR2は独立して、-C(=O)R5または-C(=O)OR5から選択されるか;またはR1とR2の一方は水素であり、他方は-C(=O)R5または-C(=O)OR5であり;R3およびR4は独立して、水素、任意に置換されていてもよい、C1-C6アルキル、C3-C6シクロアルキル、C2-C6アルケニルもしくはC2-C6アルキニル、-CH2Q、-C(=O)R5、-C(=O)OR5、-C(=O)NR5R6から選択されるか、またはR5は、水素または任意に置換されていてもよいC1-C6アルキルもしくは-CH2Qであり;R6は、水素または任意に置換されていてもよいC1-C6アルキルもしくは-CH2Qであり;Qは、任意に置換されていてもよい、3〜6の環原子を有する単環式の炭素環もしくはヘテロ環である]。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドーパミン欠乏の症状を減少させる化合物類に関する。
【背景技術】
【0002】
ドーパミンは、脳の基底神経節の神経により自然に産生される物質であり、随意運動の制御を円滑にし、調節するのを可能にする。脳におけるドーパミン−産生神経の、損失または障害は、パーキンソン病に関連し、パーキンソン−プラス(parkinson-plus)症候群に係わっている。これらの症状は、またドーパミン置換療法にも応答している。他の症状、例えば不穏下肢症候群(RLS)もまたドーパミン置換療法に応答している。
【0003】
パーキンソン病は進行性の神経変性疾患であり、中脳の黒質の神経細胞に影響する。それは60才を越えた人に、主として襲う加齢に伴う中枢神経系の障害である。およそ500人に1人がこの病気にかかり、60才を越えたおよそ100人に1人が発病する。上記のように、パーキンソン病はドーパミンの欠乏に起因すると考えられている。一般的な症状は、振戦、筋肉の凝り(または硬直)、動作の遅さ(運動緩徐)およびバランスの消失(体位機能障害)を含む。パーキンソン病は、最も一般的な神経変性病の一つである。この病気の自然な経過は、進行性であり、病気の兆候から10〜15年で殆どの患者に障害を引き起こす。
【0004】
パーキンソン病は、主として散発的であり、実際は突発性であるといわれている。この病気の形態は、脈管に付随することに起因し、毒物暴露に起因することもある。またまれにこの病気には家族型もある。
【0005】
ジェームズ パーキンソンが、1817年に最初にこの症状を記載してから多くの治療が試された。パーキンソン病のための現在の療法は、ドーパミン前駆体レボドパ(もしくはL−ドーパ)またはドーパミン作用性化合物の使用に基づくドーパミン置換療法に基づいている。L−ドーパは、この病気の運動症状を逆転するのにおいて極めて効果的であるが、慢性の治療と病気の進行を伴うのには、その有効性は低下する。薬物応答の持続時間は減少し、予測できない変動が、運動において生じる。処理は不随意運動(運動障害)と精神病を含む副作用を制限する療法に関連している。
【0006】
RLSは、知覚障害、睡眠障害、および殆どの場合、睡眠中の周期性四肢運動(PLMS)を伴う感覚運動性神経性疾患である。突発性の形態と尿毒性の形態の、2つのRLSの形態が存在するように見える。RLSは、(1)通常、感覚変化/知覚不全と関連する足を動かす欲求、(2)運動性不穏状態、(3)活動による少なくとも部分的もしくは一時的な軽減を伴う安静時(すなわち、横臥、座ること)における症状の悪化または排他的な存在、および(4)晩または夜間の症状の悪化により特徴付けられる。
【0007】
本発明は、ドーパミン作用性化合物として、またはドーパミン欠乏の症状を軽減する化合物として活性である化合物類を提供する。
【0008】
本発明によれば、式(I):
【化1】

【0009】
[式中、
R1およびR2は独立して、-C(=O)R5または-C(=O)OR5から選択されるか;またはR1およびR2の一方は水素であり、他方は-C(=O)R5または-C(=O)OR5であり;
R3およびR4は独立して、
水素、
任意に置換されていてもよい、C1-C6アルキル、C3-C6シクロアルキル、C2-C6アルケニルもしくはC2-C6アルキニル、
-CH2Q、
-C(=O)R5
-C(=O)OR5
-C(=O)NR5R6から選択されるか、または
【0010】
R5は、水素または任意に置換されていてもよいC1-C6アルキルもしくは-CH2Qであり;
R6は、水素または任意に置換されていてもよいC1-C6アルキルもしくは-CH2Qであり;
Qは、任意に置換されていてもよい、3〜6の環原子を有する単環式の炭素環もしくはヘテロ環である;
但し、R1およびR2がそれぞれ-C(=O)R5(ここで、R5はメチルである)であり、R3が水素である場合、R4はtert-ブトキシカルボニルでない]
の化合物、またはその塩、水和物もしくは溶媒和物が提供される。
【0011】
本発明の化合物の上記の定義における但し書きは、Int. J. Peptide and Protein Res. (1979), 14(3), 234-46に開示された化合物を除く。しかしながら、その出版物は、その化合物の医薬的有用性を開示していない。
【0012】
本明細書で用いられているように、用語「(Ca−Cb)アルキル」(ここで、aおよびbは整数である)は、a〜b炭素原子を有する直鎖または分枝鎖状アルキル基を指す。したがって、aが1であり、bが6である場合には、この用語は、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、t−ブチル、n−ペンチルおよびn−ヘキシルを含む。
【0013】
本明細書で用いられているように、用語「(Ca−Cb)アルケニル」は、適用される「E」または「Z」立体化学のどちらかの少なくとも一つの二重結合を有するa〜b炭素原子を有する直鎖または分枝鎖状アルケニル部分を意味する。したがって、aが2であり、bが6である場合には、この用語は、例えば、ビニル、アリル、1−および2−ブテニルならびに2−メチル−2−プロペニルを含む。
【0014】
本明細書で用いられているように、用語「C2−C6アルキニル」は、a〜b炭素原子を有し、さらに1つの三重結合を有する直鎖または分枝鎖状炭化水素基を指す。したがって、aが2であり、bが6である場合には、この用語は、例えば、エチニル、1−プロピニル、1−および2−ブチニル、2−メチル−2−プロピニル、2−ペンチニル、3−ペンチニル、4−ペンチニル、2−ヘキシニル、3−ヘキシニル、4−ヘキシニルならびに5−ヘキシニルを含む。
【0015】
本明細書で用いられているように、制限のない用語「炭素環式」は、全てが炭素である16に至る環までの原子を有する単−、二−または三−環性基を指し、アリールおよびシクロアルキルを含む。
【0016】
本明細書で用いられているように、制限のない用語「シクロアルキル」は、3〜8炭素原子を有する単環性の飽和炭素環式基を指し、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチルおよびシクロオクチルを含む。
【0017】
本明細書で用いられているように、制限のない用語「アリール」は、単−、二−または三−環性の炭素環式芳香族基を指し、共有結合により直接結合している2つの単環式の炭素環式芳香族環を有する基を含む。そのような基の例証は、フェニル、ビフェニルおよびナフチルである。
【0018】
本明細書で用いられているように、制限のない用語「ヘテロアリール」は、S、NおよびOから選択される1以上のへテロ原子を含む単−、二−または三−環性の芳香族基を指し、共有結合により直接結合している、そのような単環性の2つの環か、もしくは1つのそのような単環性の環と1つの単環性のアリール環を有する基を含む。そのような基の例証は、チエニル、ベンズチエニル、フリル、ベンズフリル、ピロリル、イミダゾリル、ベンズイミダゾリル、チアゾリル、ベンズチアゾリル、イソチアゾリル、ベンズイソチアゾリル、ピラゾリル、オキサゾリル、ベンズオキサゾリル、イソオキサゾリル、ベンズイソオキサゾリル、イソチアゾリル、トリアゾリル、ベンズトリアゾリル、チアジアゾリル、オキサジアゾリル、ピリジニル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、トリアジニル、インドリルおよびインダゾリルである。
【0019】
本明細書で用いられているように、制限のない用語「ヘテロシクリル」または「複素環式」は、上記で定義したような「ヘテロアリール」を含み、その中で非芳香族性が意味することは、S、NおよびOから選択される1以上のへテロ原子を含む、単−、二−または三−環性の非芳香族基、ならびにもう一つのそのような基もしくは単環性の炭素環式基と共有結合している、1以上のそのようなヘテロ原子を含む単環性の非芳香族基からなる基に関連する。そのような基の例証は、ピロリル、フラニル、チエニル、ピペリジニル、イミダゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、チアゾリル、ピラゾリル、ピリジニル、ピロリジニル、ピリミジニル、モルホリニル、ピペラジニル、インドリル、モルホリニル、ベンズフラニル、ピラニル、イソオキサゾリル、ベンズイミダゾリル、メチレンジオキシフェニル、エチレンジオキシフェニル、マレイミドおよびスクシンイミド基である。
【0020】
本明細書中、それが存在するところで別に明記しない限り、本文のいずれかの部分で適用されているように、用語「置換されている」は、4つに至るまでの互換性のある置換基で置換されていることを意味し、それらの各々は独立して、例えば、(C1−C6)アルキル、(C3−C6)シクロアルキル、(C1−C6)アルコキシ、ヒドロキシ、ヒドロキシ(C1−C6)アルキル、メルカプト、メルカプト(C1−C6)アルキル、(C1−C6)アルキルチオ、フェニル、単環性の複素環式、ベンジル、フェノキシ、ハロ(フロロ、ブロモおよびクロロを含む)、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、ニトロ、ニトリル(−CN)、オキソ、−COOH、−COORA、−CORA、−SO2RA、−CONH2、−SO2NH2、−CONHRA,−SO2NHRA、−CONRARB、−SO2NRARB、−NH2−、−NHRA、−NRARB、−OCONH2、−OCONHRA、−OCONRARB、−NHCORA、−NHCOORA、−NRBCOORA、−NHSO2ORA、−NRBSO2OH、−NRBSO2ORA、−NHCONH2、−NRACONH2、−NHCONHRB、−NRACONHRB、−NHCONRARBまたは−NRACONRARB (ここで、RAおよびRBは独立して、(C1−C6)アルキル、(C3−C6)シクロアルキル、フェニル、ベンジル、または5もしくは6環原子を有する単環性の複素環式であるか、またはRAおよびRBが同一の窒素に結合している場合には、該窒素と一緒になって窒素を含む4−から6−員環を形成する)であり得る。「任意の置換基」は、上記の置換基の一つであり得る。
【0021】
本明細書で用いられているように、用語「塩」は、塩基添加塩、酸添加塩および第4級塩を含む。酸性である本発明の化合物は塩を形成でき、例えば水酸化ナトリウムおよび水酸化カリウムのようなアルカリ金属水酸化物;水酸化カルシウム、水酸化バリウムおよび水酸化マグネシウムのような水酸化アルカリ土類金属:のような塩基との医薬的に許容される塩、例えば、N−メチル−D−グルカミン、コリン トリス(ヒドロキシメチル)アミノ−メタン、L−アルギニン、L−リジン、N−エチルピペリジン、ジベンジルアミンなどのような有機塩基との医薬的に許容される塩を含む。
【0022】
塩基性である化合物類(I)は塩を形成でき、塩酸もしくは臭化水素酸のようなハロゲン化水素酸、硫酸、硝酸またはリン酸などの無機酸との医薬的に許容される塩、例えば、酢酸、酒石酸、コハク酸、フマル酸、マレイン酸、リンゴ酸、サリチル酸、クエン酸、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、安息香酸、ベンゼンスルホン酸、グルタミン酸、乳酸およびマンデル酸などの有機酸との医薬的に許容される塩を含む。
【0023】
本発明の化合物において、R1が結合している炭素原子は不斉であり、その中心における立体化学は、式(I)で示すとおりである。しかしながら、本発明の化合物類は、複数の不斉炭素原子の存在のために1以上のさらなるキラル中心を含み得る、そして、それらは各々のキラル中心においてRまたはS立体化学を有するいくつものジアステレオ異性体として存在し得る。
【0024】
基R1およびR2
R1およびR2の1つは水素であり得るが、現在のところ、R1およびR2が独立して-C(=O)R5であるのが好ましい。さらに、現在のところ、R1およびR2が同じ-C(=O)R5であるのが好ましい。例えば、R1およびR2は同じ-C(=O)R5(ここで、R5はエチル、イソプロピル、2,2-ジメチルプロピル、4-メチルフェニルまたは好ましくはメチルである)であり得る。
【0025】
基R3およびR4
R3およびR4は独立して、
水素、
任意に置換されていてもよい、C1-C6アルキル、C3-C6シクロアルキル、C2-C6アルケニルまたはC2-C6アルキニル、例えばメチル、エチル、アリルまたはプロパルギル;
【0026】
-CH2Q(ここで、Qは3〜6の環原子の任意に置換されていてもよい、単環の炭素環またはヘテロ環、例えばフェニル、2-もしくは3-チエニル、2-もしくは3-フラニル、2-もしくは3-ピロリル、2-、3-もしくは4-ピリジル、シクロプロピル、シクロペンチル、またはシクロヘキシルである);
【0027】
-C(=O)R5(ここで、R5は水素であるか、または好ましくは、任意に置換されていてもよいC1-C6アルキル、例えばメチル、エチル、n-もしくはイソプロピル、または前で論じられた-CH2Qである);
【0028】
-C(=O)NR5R6(ここで、R5およびR6はそれぞれ好ましくは水素であるが、R5およびR6の1つまたは両方は、任意に置換されていてもよいC1-C6アルキル、例えばメチル、エチル、n-もしくはイソプロピル、または前で論じられた-CH2Qである);または
【0029】
-C(=O)OR5(ここで、R5は任意に置換されていてもよいC1-C6アルキル、例えばメチル、エチル、n-もしくはイソプロピル、または前で論じられた-CH2Qである。現在のところ、R5がエチルであるのが好ましい)
から選択される。
【0030】
R1〜R6のいずれかにおける任意の置換基
基R1〜R6のいずれかの任意の置換基は、例えば、メチル、トリフルオロメチル、メトキシ、トリフルオロメトキシ、シクロプロピル、ハロゲン、シアノ、ヒドロキシ、メルカプト、オキソ、−NH2、−NHRAまたは−NRARB(ここで、RAおよびRBは、独立してメチルまたはエチルである)から選択され得る。
【0031】
本発明の特定の化合物の例は、本明細書の実施例のものを含む。
合成経路
本発明に関する化合物類(I)の合成のために複数の合成戦略があるが、しかし全てが、合成有機化学者に知られている化学に依存する。式(I)による化合物類は、標準的な文献に記載の方法であり、かつ当業者に周知の方法に従って合成できる。
【0032】
典型的な文献のソースは、"Advanced organic chemistry"、第4版(Wiley)、J March;"Comprehensive Organic Transformation"、第2版(Wiley)、R.C. Larock;"Handbook of Heterocyclic Chemistry"、第2版(Pergamon)、A.R. Katritzky;"Synthesis"、"Acc. Chem. Res."、"Chem. Rev"に見られるような総説であるか、または標準的なオンライン文献検索により特定された第一の文献ソースか、もしくは「サイファインダー」または「バイルシュタイン」のような第二のソースからである。
【0033】
例えば、本発明の化合物類のいくつかは、化合物類(IA)
【化2】

の無保護の非アミドのアミノ基への基R3および/またはR4の導入が利用できる。
【0034】
本発明のその他の化合物類は、化合物(IB)
【化3】

(式中、Pは保護されたアミノ基である)の遊離のヒドロキシ基へのR1およびR2基の導入、続く保護されたアミノ基の遊離のアミノ基への変換が利用できる。もちろん、化合物(I)のR1およびR2の1つが水素である場合、R1またはR2基が他方に導入される間、(IB)のヒドロキシ基の1つは保護され得、その保護されたヒドロキシ基は続いて脱保護され得る。
【0035】
本明細書中の実施例は、本発明の化合物の合成に用いられ得る合成ルートの例を提供する。
【0036】
医薬的有用性
本発明の化合物は、損なわれたドーパミン性信号伝達の障害を減少させるのに有効な化合物の量を患者に投与することを含む、患者の損なわれたドーパミン性信号伝達を伴う症状の治療方法に有益である。本化合物は、また損なわれたドーパミン性信号伝達を伴う症状の治療のための組成物の製造に有益でもある。そのような症状の例は、パーキンソン病または不穏下肢症候群ばかりでなく、トゥーレット症候群、注意欠陥過活動性障害、下垂体部腫瘍の発生、パーキンソン−プラス症候群、レボドパ応答失調症、運動障害、睡眠中の周期運動、嚥下障害または神経遮断薬性悪性症候群を含む。
【0037】
本発明の化合物類で治療され得るパーキンソン病の例は、散発性のパーキンソン病、家族型パーキンソン病および脳炎後のパーキンソン症候群を含む。
本発明の化合物類で治療され得るパーキンソン−プラス症候群の例は、進行性核上性麻痺および多系統萎縮症を含む。
運動障害は、L−ドーパ−誘発性運動障害である。
【0038】
本発明の化合物類は、様々な投与形態で投与され得る。したがって、それらは経口的に、例えば錠剤、カプセル剤、トローチ剤、口内錠、水性または油性懸濁剤、分散性の散剤または顆粒剤で投与され得る。本化合物は、舌下の剤形、例えばバッカル剤の形態で投与され得る。本発明の化合物はまた、皮下、静脈内、筋肉内、胸骨内(intrasternally)、経皮、吸入(例えば鼻腔内)または注入術によるいずれかの非経口により投与され得る。本化合物類は、また坐剤としても投与され得る。典型的には、本発明の化合物類は、経口的にまたは吸入(例えば、鼻腔内)により投与される。好ましくは、本発明の化合物類は、経口的に投与される。さらに好ましくは、本発明の化合物類は、錠剤またはカプセル剤として投与される。
【0039】
本発明は、式(I)の化合物、または上記で定義したような医薬的に許容されるそれらの塩および医薬的に許容される担体を含む医薬組成物を、さらに提供する。
【0040】
本発明の化合物類は、典型的には医薬的に許容される担体または希釈剤とともに投与のために製剤化される。例えば、固体の経口形態は、活性化合物とともにに希釈剤、例えば乳糖、デキストロース、ショ糖、セルロース、トウモロコシ澱粉または馬鈴薯澱粉;滑沢剤、例えばシリカ、タルク、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウムもしくはステアリン酸カルシウム、および/またはポリエチレングリコール類;結合剤;例えば、澱粉、アラビアゴム、ゼラチン、メチルセルロース、カーボキシメチルセルロースまたはポリビニルピロリドン;分散剤、例えば澱粉、アルギン酸、アルギネートまたは澱粉グリコール酸ナトリウム;発泡性混合物; 染料;甘味料;レシチン、ポリソルベート、ラウリルサルフェートのような湿潤剤;および、一般に、非毒性で医薬製剤に用いられる薬理学的に不活性な物質を含み得る。そのような医薬製剤は、公知の手法、例えば混合、顆粒化、錠剤化、糖衣、またはフィルム被覆工程を用いて製造される。
【0041】
経口投与のための液分散体は、シロップ剤、エマルジョンおよび懸濁液であり得る。シロップ剤は、担体として、例えばショ糖またはグリセリンとショ糖および/またはマンニトールおよび/またはソルビトールを含み得る。懸濁液およびエマルジョンは、担体として、例えば天然ゴム、寒天、アルギン酸ナトリウム、ペクチン、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースまたはポリビニルアルコールを含み得る。懸濁液または筋肉内注射のための液剤は、活性化合物とともに、医薬的に許容される担体、例えば滅菌水、オリーブ油、オレイン酸エチル、グリコール類、例えばポリプロピレングリコール、および所望であれば塩酸リドカインの適当な量を含み得る。
【0042】
本発明の化合物類は、経口投与されるのが好ましいので、本発明は、式(I)の化合物または上記で定義したようなそれらの医薬的に許容される塩および医薬的に許容される担体を、カプセル剤または錠剤の形態中に含む医薬組成物をさらに提供する。
【0043】
注射剤または輸液のための液剤は、担体として、例えば滅菌水を含み得るか、または好ましくはそれらは、無菌であり、水性であり、等張食塩水液の形態にあり得る。
本発明の化合物類は、また末梢性デカルボキシラーゼ阻害剤とともに投与され得る。したがって、本発明は、式(I)の化合物または上記で定義したようなそれらの医薬的に許容される塩、末梢性デカルボキシラーゼ阻害剤および医薬的に許容される担体または希釈剤を含む医薬組成物を提供する。典型的には、末梢性デカルボキシラーゼ阻害剤は、カルビドパまたはベンセラジドである。好ましくは末梢性デカルボキシラーゼ阻害剤はカルビドパである。
【0044】
また提供されるものは、ヒトまたは動物体の治療における同時分離使用または逐次使用のために、(a) 式(I)の化合物または上記で定義したような医薬的に許容されるそれらの塩、および(b) 上記で定義したような末梢性デカルボキシラーゼ阻害剤を含む薬剤でもある。
さらに、上記の薬剤は、典型的には上記で定義した末梢性デカルボキシラーゼ阻害剤とともに同時投与のためである。
【0045】
どんな特殊な患者に対する特定の投与量レベルは、用いられる特定の化合物の活性、年齢、体重、全体的な健康、性別、食事、投与時間、投与経路、排泄速度、複合薬および治療を受ける特定の疾患の重篤さを含む様々な因子に依存するであろうと解される。最適な投与量レベルおよび投薬頻度は臨床試験により決定されるであろう。しかしながら、典型的な投与量は、体重kg当たり約0.001〜50mgの範囲内であろうと予想される。
【実施例】
【0046】
以下の実施例は、本発明を例証する:
HPLC/MS方法A
LC−MSデータを得るために用いられたシステムは、陽イオンモードで操作するWaters Micromass ZMD質量分析計と組み合わされたHP1100LCからなる。
【0047】
ZMD質量分析計
キャピラリー 3.5kV コーン 30V
イクストラクター 3V ソース温度 100℃
脱溶媒和温度 220℃ コーンガス 58L/時間
脱溶媒和ガス 350L/時間 マルチプライアー 750V
データは、150〜800m/zのフルスキャンで取得した。
スキャン時間 1.0秒
スキャン間ディレイ 0.1秒
【0048】
HPLC
逆相分離は、Genesis C18カラム(4μmのシリカを有する50×3.2mm)で実行した。
注入量 10μL
UV データ 220 〜 400 nm
試料温度 室温
カラム温度 室温
流速 1.0mL/分
ZMDに対するスプリット 0.33mL/分
【0049】
LC方法
溶媒A 水 / 0.1% ギ酸
溶媒B CH3CN / 0.1% ギ酸
【0050】
LC方法の勾配プログラム
時間 A% B% C% D% フロー カーブ
0.00 95.0 5.0 0.0 0.0 1.0 6
7.00 5.0 95.0 0.0 0.0 1.0 6
10.00 5.0 95.0 0.0 0.0 1.0 6
14.00 95.0 5.0 0.0 0.0 1.0 6
【0051】
HPLC/MS方法B
LC−MSデータを得るために用いられたシステムは、Waters Alliance 2695 quaternary HPLC、Waters 996 光ダイオードアレイ(PDA)検出器およびWaters ZQ 2000シングル四重極質量分析計からなる。ZQは、陽および陰エレクトロスプレー−イオン化モードにおいて、同時にデータを取得できる。
【0052】
ZQ質量分析計
キャピラリー 3.3kV/−3.0kV コーン 40V/−40V
イクストラクター 5V/−5V ソース温度 110℃
脱溶媒和温度 400℃ コーンガス 40L/時間
脱溶媒和ガス 350L/時間 マルチプライアー 500V/−500V
データは、80〜1000m/zのフルスキャンで取得した。
スキャン時間 0.80秒
スキャン間ディレイ 0.20秒
【0053】
HPLC
逆相分離は、Zorbax XDB C8カラム(Agilent製5μmシリカを有する150×4.6mm)で実行した。
注入量 10μL
UV データ 220 〜 400 nm
試料温度 20℃
カラム温度 30℃
流速 1.0mL/分
ZQに対するスプリット 0.3mL/分
【0054】
LC方法(約pH 3.2)
溶媒A 水 / 10mM NH4HCO2 / 0.1% ギ酸
溶媒B 95% CH3CN / 5% A / 0.1% ギ酸
【0055】
LC方法の勾配プログラム
時間 A% B% C% D% フロー カーブ
0.00 95.0 5.0 0.0 0.0 1.000 1
1.00 95.0 5.0 0.0 0.0 1.000 6
11.00 5.0 95.0 0.0 0.0 1.000 6
14.20 5.0 95.0 0.0 0.0 1.000 6
14.50 95.0 5.0 0.0 0.0 1.000 6
15.00 95.0 5.0 0.0 0.0 1.000 6
【0056】
略語
DMA N,N-ジメチルアセタミド
DMAP 4-N,N-ジメチルアミノピリジン
DMF N,N-ジメチルホルムアミド
EDCI 3-ジメチルアミノプロピル-N-エチルカルボジイミド塩酸塩
HBTU ベンゾトリアゾリル N,N,N,N-テトラメチルウロニウム ヘキサフルオロホスフェート
【0057】
実施例1
【化4】

(S)-1-カルバモイル-2-(3,4-ジアセトキシフェニル)-エチルアンモニウムクロライド
【0058】
工程1
(S)-3-(3,4-ビス-ベンジルオキシフェニル)-2-tert-ブトキシカルボニルアミノプロピオン酸 メチルエステル
(S)-2-tert-ブトキシカルボニルアミノ-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)-プロピオン酸 メチルエステル(14.5 g)をアセトン(250ml)に溶解した。炭酸カリウム(20 g)およびヨウ化カリウム(1.1 g)を加え、続いて塩化ベンジル(13 ml)を加えた。反応混合物を窒素下、室温で15分間撹拌し、次いで16時間加熱還流した。次いで塩化ベンジル(3 ml)を加え、反応が完了する(hplc)まで還流を続けた。
【0059】
溶媒を減圧下の蒸発により除去し、残渣を酢酸エチルと水との間で分配した。酢酸エチル抽出物を食塩水で洗浄し、乾燥(MgSO4)し、蒸発乾固してオフホワイト色の固体を得た。ジイソプロピルエーテルから再結晶し、(S)-3-(3,4-ビス-ベンジルオキシフェニル)-2-tert-ブトキシ-カルボニルアミノプロピオン酸 メチルエステルを無色の固体(14.9 g)として得た。HPLC/MS (方法A) 保持時間 7.23分, m/z 392 (MH+ - Boc).
【0060】
工程2
(S)-3-(3,4-ビス-ベンジルオキシフェニル)-2-tert-ブトキシカルボニルアミノプロピオン酸
(S)-3-(3,4-ビス-ベンジルオキシフェニル)-2-tert-ブトキシカルボニルアミノプロピオン酸 メチルエステル(12.03 g)をメタノール(250 ml)に懸濁した。2M水酸化リチウム(16 ml)を、窒素下、撹拌下に滴下し、次いで混合物を室温で一晩撹拌した。さらに2M水酸化リチウム(2 ml)を加え、混合物を45℃で45分間撹拌した。得られた溶液を濃縮し、2M HCl(40 ml)と酢酸エチルの間で分配した。抽出物を水および食塩水で洗浄し、乾燥(MgSO4)し、蒸発して、3(S)-3-(3,4-ビス-ベンジルオキシフェニル)-2-tert-ブトキシカルボニルアミノプロピオン酸を無色の固体(11.7 g)として得た。HPLC/MS (方法A) 保持時間 6.61分, m/z 378 (MH+ - Boc).
【0061】
工程3
[(S)-2-(3,4-ビス-ベンジルオキシフェニル)-1-カルバモイルエチル]-カルバミン酸 tert-ブチルエステル
(S)-3-(3,4-ビス-ベンジルオキシフェニル)-2-tert-ブトキシカルボニルアミノプロピオン酸(4.8 g)を乾燥DMA(35 ml)に溶解した。HBTU(4.6 g)を撹拌下に加えた。30分後、ジオキサン中のアンモニア溶液(0.5M, 40 ml)を加え、16時間撹拌を続けた。反応混合物に、さらなるHBTU(3 g)、続いてアンモニア溶液(0.5M, 20 ml)を加えた。
【0062】
2時間後、混合物を水と酢酸エチルの間で分配した。酢酸エチル抽出物を食塩水および水で洗浄し、乾燥(MgSO4)し、蒸発乾固した。無色の固体を酢酸エチルから再結晶し、[(S)-2-(3,4-ビス-ベンジルオキシフェニル)-1-カルバモイルエチル]-カルバミン酸 tert-ブチルエステル(3.5 g)を得た。HPLC/MS (方法A) 保持時間 6.82分, m/z 477 (MH+).
【0063】
工程4
[(S)-1-カルバモイル-2-(3,4-ジヒドロキシフェニル)-エチル]-カルバミン酸 tert-ブチルエステル
[(S)-2-(3,4-ビス-ベンジルオキシフェニル)-1-カルバモイルエチル]-カルバミン酸 tert-ブチルエステル(3.65 g)をメタノール(120 ml)とジオキサン(60 ml)の混液に溶解した。メタノール(10 ml)中の5% Pd/C(360 mg)の懸濁液を加え、溶液を水素ガスの雰囲気下、一晩撹拌した。
触媒をセライトでの濾過により除去し、蒸発乾固して、[(S)-1-カルバモイル-2-(3,4-ジヒドロキシフェニル)-エチル]-カルバミン酸 tert-ブチルエステル(2.15g)を得た。HPLC/MS (方法A) 保持時間 3.69分, m/z 297 (MH+).
【0064】
工程5
酢酸 2-アセトキシ-4-((S)-2-tert-ブトキシカルボニルアミノ-2-カルバモイルエチル)-フェニルエステル
[(S)-1-カルバモイル-2-(3,4-ジヒドロキシフェニル)-エチル]-カルバミン酸 tert-ブチルエステル(356 mg)を乾燥ジクロロメタン(5 ml)およびDMA(1 ml)に懸濁した。塩化アセチル(0.22 ml)、続いてトリエチルアミン(0.42 ml)および触媒量のDMAPを加えた。混合物を撹拌し、50℃で一晩加熱した。
反応混合物をジクロロメタンで希釈し、希HCl、NaHCO3水溶液および食塩水で洗浄した。乾燥(MgSO4)および蒸発により、粗生成物を得、それを酢酸エチル−ヘキサンから再結晶した。酢酸 2-アセトキシ-4-((S)-2-tert-ブトキシカルボニルアミノ-2-カルバモイルエチル)-フェニルエステルを無色の固体(304 mg)として得た。HPLC/MS (方法A) 保持時間 4.76分, m/z 381 (MH+), 398 (MNH4+).
【0065】
工程6
(S)-1-カルボキシ-2-(3,4-ジアセトキシ-フェニル)-エチルアンモニウムクロライド
酢酸 2-アセトキシ-4-((S)-2-tert-ブトキシカルボニルアミノ-2-カルバモイル-エチル)-フェニルエステル(298 mg)を4M HCl ジオキサン(6 ml)に溶解した。その溶液を室温で撹拌し、無色の沈殿がゆっくりと生じた。約1.5時間後、エーテル(6 ml)を加え、無色の固体を濾過により回収し、エーテルで洗浄し、約40℃で真空乾燥した。(S)-1-カルボキシ-2-(3,4-ジアセトキシ-フェニル)-エチルアンモニウムクロライドを無色の固体(243 mg)として得た。HPLC/MS (方法B) 保持時間 4.32分, m/z 281 (MH+);NMR (500 MHz, d6 DMSO) 2.26 (3H, s), 2.28 (3H, s), 3.03 (1H, dd J 14, 7.5), 3.13 (1H, dd J 14, 6), 3.98 (1H, dd J 7, 6), 7.18 (1H, d J 2), 7.20 (1H, dd J 8.5, 2), 7.23 (1H, d J 8.5), 7.58 (1H, br s), 7.99 (1H, br s), 8.26 (3H, br s, D2Oで交換(exch));
【0066】
実施例2
【化5】

(S)-2-[3,4-ビス-(4-メチルベンゾイルオキシ)-フェニル]-1-カルバモイルエチルアンモニウムクロライド
【0067】
工程1
4-メチル-安息香酸 4-((S)-2-tert-ブトキシカルボニルアミノ-2-カルバモイルエチル)-2-(4-メチルベンゾイルオキシ)-フェニルエステル
窒素下、[(S)-1-カルバモイル-2-(3,4-ジヒドロキシ-フェニル)-エチル]-カルバミン酸 tert-ブチルエステル(444 mg)を、乾燥DMA(15ml)に溶解した。p-トルオイルクロライド(579 mg)、続いてトリエチルアミン(378 mg)および触媒量のDMAPを撹拌下に加えた。反応混合物を室温で一晩撹拌し、次いで水(40 ml)で希釈した。沈殿した固体を濾過し、水で洗浄し、乾燥した。粗固体を酢酸エチル−ジクロロメタン(2:1)で溶出するシリカゲルのクロマトグラフィーで精製した。4-メチル-安息香酸 4-((S)-2-tert-ブトキシカルボニルアミノ-2-カルバモイルエチル)-2-(4-メチルベンゾイルオキシ)-フェニルエステルを無色の固体(520 mg)として得た。HPLC/MS (方法A) 保持時間 7.18分; m/z 533 (MH+), 550 (MNH4+).
【0068】
工程2
(S)-2-[3,4-ビス-(4-メチルベンゾイルオキシ)-フェニル]-1-カルボキシエチルアンモニウムクロライド
4-メチル-安息香酸 4-((S)-2-tert-ブトキシカルボニルアミノ-2-カルバモイルエチル)-2-(4-メチルベンゾイルオキシ)-フェニルエステル(520 mg)を、ジオキサン中のHCl(4M, 10 ml)の撹拌溶液に少しずつ加えた。約1.5時間後、溶液を蒸発乾固し、無色の泡状物質を得た。エーテルを加え、(S)-2-[3,4-ビス-(4-メチルベンゾイルオキシ)-フェニル]-1-カルボキシエチルアンモニウムクロライドを無色の固体(387 mg)として得た。HPLC/MS (方法B) 保持時間 7.81分, m/z 433 (MH+); NMR (500 MHz, d6 DMSO) 2.35および2.36 (合わせて6H, 2つのs), 3.11 (1H, dd J 14.5, 8), 3.21 (1H, dd J 14.5, 6), 4.06 (1H, br, D2Oでddに分裂(collapse)), 7.27- 7.33 (5H, m), 7.42 (1H, d J 2), 7.46 (1H, d J 8), 7.62 (1H br s), 7.83-7.87 (4H, m), 8.02 (1H, br s), 8.31 (3H, br s, D2Oで交換).
【0069】
実施例3
【化6】

(S)-2-[3,4-ビス-(3,3-ジメチルブチリルオキシ)-フェニル]-1-カルバモイルエチルアンモニウムクロライド
【0070】
工程1
3,3-ジメチル-酪酸 4-((S)-2-tert-ブトキシカルボニルアミノ-2-カルバモイルエチル)-2-(3,3-ジメチルブチリルオキシ)-フェニルエステル
[(S)-1-カルバモイル-2-(3,4-ジヒドロキシフェニル)-エチル]-カルバミン酸 tert-ブチルエステル(444 mg)を、実施例4の工程1に記載のようにして、DMA中のt-ブチルアセチルクロライドで処理した。4-3,3-ジメチル-酪酸 4-((S)-2-tert-ブトキシカルボニルアミノ-2-カルバモイルエチル)-2-(3,3-ジメチルブチリルオキシ)-フェニルエステルを無色の固体(670 mg)として得た。HPLC/MS (方法A) 保持時間 7.48分, m/z 493 (MH+), 510 (MNH4+).
【0071】
工程2
(S)-2-[3,4-ビス-(3,3-ジメチルブチリルオキシ)-フェニル]-1-カルバモイルエチルアンモニウムクロライド
3,3-ジメチル酪酸 4-((S)-2-tert-ブトキシカルボニルアミノ-2-カルバモイルエチル)-2-(3,3-ジメチルブチリルオキシ)-フェニルエステル(650 mg)を、実施例4の工程2に記載のようにして、4M HCl-ジオキサン(10 ml)で処理した。(S)-2-[3,4-ビス-(3,3-ジメチルブチリルオキシ)-フェニル]-1-カルバモイルエチルアンモニウムクロライドをオフホワイト色の固体(510 mg)として得た。NMR (500 MHz, d6 DMSO) 1.06および1.07 (合わせて約18H, 2つのs), 2.43および2.44 (合わせて約4H, 2つのs), 3.02 (1H, dd J 14, 8), 3.13 (1H, dd J 14, 5.5) 3.98 (1H, br t), 7.17-7.22 (3H, m) 7.59 (1H, br s), 7.98 (1H, br s) 8.24 (3H, br s D2Oで交換); HPLC/MS (方法B) 保持時間 8.15分, m/z 393 (MH+).
【0072】
実施例4
【化7】

(S)-2-(3,4-ビスイソブチリルオキシフェニル)-1-カルバモイルエチルアンモニウムクロライド
【0073】
工程1
イソ酪酸 4-((S)-2-tert-ブトキシカルボニルアミノ-2-カルバモイルエチル)-2-イソブチリルオキシ-フェニルエステル
[(S)-1-カルバモイル-2-(3,4-ジヒドロキシフェニル)-エチル]-カルバミン酸 tert-ブチルエステル(376 mg)を、実施例4の工程1に記載のようにして、DMA中でイソブチリルクロライドおよびトリエチルアミンと処理した。反応を完了するために、過剰の酸クロライドおよび塩基を加え、混合物を70℃で一晩加熱した。イソ酪酸 4-((S)-2-tert-ブトキシカルボニルアミノ-2-カルバモイルエチル)-2-イソブチリルオキシフェニルエステルを無色の固体(105 mg)として得た。HPLC/MS (方法A) 保持時間 6.25分, m/z 437 (MH+), 454 (MNH4+).
【0074】
工程2
(S)-2-(3,4-ビス-イソブチリルオキシフェニル)-1-カルバモイルエチルアンモニウムクロライド
イソ酪酸 4-((S)-2-tert-ブトキシカルボニルアミノ-2-カルバモイルエチル)-2-イソブチリルオキシ-フェニルエステル(105 mg)を室温で4M HCl-ジオキサン(3 ml)に溶解した。約1.5時間後、溶媒を蒸発し、ゴム状物を得、それをエーテルで摩砕して、(S)-2-(3,4-ビス-イソブチリルオキシフェニル)-1-カルバモイルエチルアンモニウムクロライドを無色の固体(85 mg)として得た。NMR (500 MHz, d6 DMSO) 1.20および1.22 (合わせて12H, 2つのd J 約7), 2.78および2.80 (合わせて2H, 2つのsept J 約7), 3.02 (1H, dd J 14, 7.5), 3.12 (1H, dd J 14, 6) 3.98 (1H, dd J 7.5, 6), 7.18-7.20 (2H, m, D2Oでd J 2およびdd J 8, 2を示す), 7.23 (1H, d J 8), 7.60 (1H, br s), 7.94 (1H, br s), 8.21 (3H, br s D2Oで交換); HPLC/MS (方法B) 保持時間 6.49分, m/z 337(MH+).
【0075】
実施例5
【化8】

(S)-2-[3,4-ビス-(3-メチルブチリルオキシ)-フェニル]-1-カルバモイルエチルアンモニウムクロライド
【0076】
工程1
3-メチル-酪酸 4-((S)-2-tert-ブトキシカルボニルアミノ-2-カルバモイルエチル)-2-(3-メチルブチリルオキシ)-フェニルエステル
[(S)-1-カルバモイル-2-(3,4-ジヒドロキシフェニル)-エチル]-カルバミン酸 tert-ブチルエステル(350 mg)を、実施例4の工程1に記載のようにして、DMA中でイソバレリルクロライドおよびトリエチルアミンで処理した。3-メチル酪酸 4-((S)-2-tert-ブトキシカルボニルアミノ-2-カルバモイルエチル)-2-(3-メチルブチリルオキシ)-フェニルエステルを無色の固体(224 mg)として得た。HPLC/MS (方法A) 保持時間 6.95分, m/z 465 (MH+), 454 (MNH4+).
【0077】
工程2
(S)-2-[3,4-ビス-(3-メチルブチリルオキシ)-フェニル]-1-カルバモイルエチルアンモニウムクロライド
3-メチル-酪酸 4-((S)-2-tert-ブトキシカルボニルアミノ-2-カルバモイルエチル)-2-(3-メチルブチリルオキシ)-フェニルエステル(224 mg)を、実施例4の工程2に記載のようにして4M HCl-ジオキサン(5 ml)で処理した。溶媒の蒸発ならびにメタノールおよびエーテルの添加により、(S)-2-[3,4-ビス-(3-メチルブチリルオキシ)-フェニル]-1-カルバモイルエチルアンモニウムクロライドを黄白色の固体(84 mg)として得た。NMR (500 MHz, d6 DMSO) 0.98および0.99 (合わせて12H, 2つのd J 7), 2.01-2.11 (2H, m), 2.43および2.44 (合わせて4H, 2つのd J 7), 3.02 (1H, dd J 14, 7.5), 3.13 (1H, dd J 14, 6), 3.98 (1H, dd J 7, 6), 7.18-7.23 (3H, m), 7.59 (1H, br s), 7.97 (1H, br s), 8.23 (3H, br s D2Oで交換); HPLC/MS (方法B) 保持時間 7.54分, m/z 365 (MH+).
【0078】
実施例6
【化9】

酢酸 2-アセトキシ-4-[(S)-2-カルバモイル-2-((R)-5-[1,2]ジチオラン-3-イル-ペンタノイルアミノ)-エチル]-フェニルエステル
【0079】
(S)-1-カルバモイル-2-(3,4-ジアセトキシフェニル)-エチルアンモニウムクロライド(0.316g)をジクロロメタン(10mL)/DMF(2mL)に溶解した。トリエチルアミン(0.121g)を加え、続いてHOBt(0.149g)およびR(+)-α-リポ酸を加えた。混合物を室温で20分間撹拌した。EDC(0.211g)を加え、撹拌を室温で一晩続けた。反応混合物をジクロロメタン(20mL)で希釈し、次いで水、食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒の除去後、残渣を酢酸エチル/メタノール(9.5:0.5)で溶出するシリカゲルのクロマトグラフィーで精製した。酢酸 2-アセトキシ-4-[(S)-2-カルバモイル-2-((R)-5-[1,2]ジチオラン-3-イル-ペンタノイルアミノ)-エチル]-フェニルエステルを黄色の固体(0.380g)として得た。m/z 469 (MH+), 491 (MNa+). 1H NMR (360MHz, CDCl3) δ 1.37-1.50 (m, 2H), 1.58-1.70 (m, 4H), 1.85-1.94 (m, 1H), 2.21 (t, J=7.4, 2H), 2.27(s, 3H), 2.28 (s, 3H), 2.41-2.49(m, 1H), 2.98(m, 1H), 3.07-3.21(m, 3H), 3.52-3.59(m, 1H), 4.63-4.69(m, 1H), 5.47(s, 1H), 5.95(s, 1H), 6.26 (d, J=7.7Hz, 1H), 7.08(s, 1H), 7.12(s, 2H).
【0080】
実施例7
【化10】

(S)-2-[3,4-ビス-(2,2-ジメチル-ブチリルオキシ)-フェニル]-1-カルバモイル-エチル-アンモニウムクロライド
【0081】
工程1
2,2-ジメチル-酪酸 4-((S)-2-tert-ブトキシカルボニルアミノ-2-カルバモイル-エチル)-2-(2,2-ジメチル-ブチリルオキシ)-フェニルエステル
[(S)-1-カルバモイル-2-(3,4-ジヒドロキシ-フェニル)-エチル]-カルバミン酸 tert-ブチルエステル(0.50g)を乾燥ジクロロメタン(12mL)に懸濁した。トリエチルアミン(0.393g)を加え、混合物を氷浴で冷却した。2,2-ジメチルブタノイルクロライド(0.50g)を滴下した。混合物を0℃で2時間撹拌し、10%重炭酸ナトリウム、食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒の除去後、残渣を酢酸エチル/ヘキサン(1:1)で溶出するシリカゲルのクロマトグラフィーで精製した。2,2-ジメチル-酪酸 4-((S)-2-tert-ブトキシカルボニルアミノ-2-カルバモイル-エチル)-2-(2,2-ジメチル-ブチリルオキシ)-フェニルを白色の固体(0.520g)として得た。
【0082】
工程2
(S)-2-[3,4-ビス-(2,2-ジメチル-ブチリルオキシ)-フェニル]-1-カルバモイル-エチル-アンモニウムクロライド
2,2-ジメチル-酪酸 4-((S)-2-tert-ブトキシカルボニルアミノ-2-カルバモイル-エチル)-2-(2,2-ジメチル-ブチリルオキシ)-フェニルエステル(0.480g)をジクロロメタン(6mL)に溶解し、氷浴で冷却した。ジオキサン中の4M HCl(2mL)を加えた。溶媒の除去後、固体をジエチルエーテルで洗浄し、(S)-2-[3,4-ビス-(2,2-ジメチル-ブチリルオキシ)-フェニル]-1-カルバモイル-エチル-アンモニウムクロライドを白色の固体(0.420g)として得た。m/z 393 (MH+), 410 (MNH4+), 415 (MNa+). 1H NMR (400MHz, DMSO-d6) δ 0.91 (m, 6H), 1.24(s, 6H), 1.25(s, 6H), 1.66(m, 4H), 3.02(m, 1H), 3.15(m, 1H), 3.99 (t, J=6.5Hz, 1H), 7.15-7.23(m, 3H), 7.60(s, 1H), 7.99 (s, 1H), 8.25 (br, 3H).
【0083】
実施例8
【化11】

(S)-2-(3,4-ビス-エトキカルボニルオキシ-フェニル)-1-カルバモイル-エチル-アンモニウムクロライド
【0084】
工程1
炭酸 5-((S)-2-tert-ブトキシカルボニルアミノ-2-カルバモイル-エチル)-2-エトキシカルボニルオキシ-フェニルエステルエチルエステル
[(S)-1-カルバモイル-2-(3,4-ジヒドロキシ-フェニル)-エチル]-カルバミン酸 tert-ブチルエステル(402 mg)をDMA(2 ml)とジクロロメタン(4 ml)の混液に溶解した。エチルクロロホルメート(0.32 ml)、続いてトリエチルアミン(0.47 ml)を加え、混合物を50℃で一晩撹拌加熱した。
混合物をジクロロメタンで希釈し、水で洗浄した。乾燥(MgSO4)および蒸発により、固体を得、それを酢酸エチル−ヘキサンで摩砕した。炭酸 5-((S)-2-tert-ブトキシカルボニルアミノ-2-カルバモイル-エチル)-2-エトキシカルボニルオキシ-フェニルエステルエチルエステルを白色の固体(367 mg)として得た。HPLC/MS (方法A) 保持時間 5.59分, m/z 441 (MH+), 458 (MNH4+).
【0085】
工程2
(S)-2-(3,4-ビス-エトキシカルボニルオキシ-フェニル)-1-カルバモイル-エチル-アンモニウムクロライド
炭酸 5-((S)-2-tert-ブトキシカルボニルアミノ-2-カルバモイル-エチル)-2-エトキシカルボニルオキシ-フェニルエステルエチルエステル(362 mg)を、室温で4M HCl-ジオキサン(5 ml)に溶解した。約1.5時間後、溶媒を蒸発し、白色の固体を得、それをヘキサンで摩砕し、(S)-2-(3,4-ビス-エトキシカルボニルオキシ-フェニル)-1-カルバモイル-エチル-アンモニウムクロライド(306 mg)を得た。 NMR (500 MHz, d6 DMSO) 1.28 (3H, t J 7), 1.29 (3H, t J 7), 3.04 (1H, dd J 14, 7.5), 3.15 (1H, dd J 14, 6), 4.00 (1H, dd J 7.5, 6), 4.25および4.26 (合わせて4H, 2つのq J 7), 7.25 (1H, dd J 8.5, 2), 7.32 (1H, d J 2), 7.38 (1H, d J 8.5), 7.59 (1H, br s D2Oでゆっくり交換), 8.00 (1H, br s D2Oでゆっくり交換), 8.24 (3H, br s D2Oで交換); HPLC/MS (方法A) 保持時間 3.26分, m/z 341 (MH+).
【0086】
実施例9
【化12】

(S)-2-(3,4-ビス-イソブトキシカルボニルオキシ-フェニル)-1-カルバモイル-エチル-アンモニウムクロライド
【0087】
工程1
炭酸 5-((S)-2-tert-ブトキシカルボニルアミノ-2-カルバモイル-エチル)-2-イソブトキシカルボニルオキシ-フェニルエステルイソブチルエステル
[(S)-1-カルバモイル-2-(3,4-ジヒドロキシ-フェニル)-エチル]-カルバミン酸 tert-ブチルエステル(400 mg)をDMA(2 ml)とジクロロメタン(4 ml)の混液に溶解した。イソブチルクロロホルメート(0.43 ml)を撹拌下に滴下し、続いてトリエチルアミン(0.46 ml)および触媒量のDMAPを加えた。混合物を50℃で一晩撹拌加熱した。
混合物をジクロロメタンと水で希釈し、有機相を希HCl、重炭酸ナトリウム水溶液および食塩水で洗浄した。乾燥(MgSO4)および蒸発により、固体を得、それをエーテル-ヘキサン(約1:1)で摩砕し、炭酸 5-((S)-2-tert-ブトキシカルボニルアミノ-2-カルバモイル-エチル)-2-イソブトキシカルボニルオキシ-フェニルエステル イソブチルエステルを白色の固体(477 mg)として得た。HPLC/MS (方法A) 保持時間 6.97分, m/z 497 (MH+), 514 (MNH4+).
【0088】
工程2
(S)-2-(3,4-ビス-イソブトキシカルボニルオキシ-フェニル)-1-カルバモイル-エチル-アンモニウムクロライド
5-((S)-2-tert-ブトキシカルボニルアミノ-2-カルバモイル-エチル)-2-イソブトキシカルボニルオキシ-フェニルエステル イソブチルエステル(463 mg)を4M HCl-ジオキサン(10 ml)に溶解した。約1.5時間後、溶媒を蒸発して、非晶質の白色の固体を得、それをヘキサンで摩砕し、約45℃で真空乾燥した。(S)-2-(3,4-ビス-イソブトキシカルボニルオキシ-フェニル)-1-カルバモイル-エチル-アンモニウムクロライドを白色の固体(377 mg)として得た。NMR (500 MHz, d6 DMSO) 0.92および0.93 (合わせて12H, 2つのd J 6.5), 1.96および1.97 (合わせて2H, 2つのsept J 6.5), 4.0-4.2 (5H, m), 7.26 (1H, dd J 8, 2), 7.33 (1H, d J 2), 7.38 (1H, d J 8), 7.59 (1H, br s D2Oで交換), 8.00 (1H, br s D2Oで交換), 8.25 (約3H, br s D2Oで交換); HPLC/MS (方法A) 保持時間 4.65分, m/z 397 (MH+).
【0089】
実施例10
【化13】

(S)-2-(3,4-ビス-メトキシカルボニルオキシ-フェニル)-1-カルバモイル-エチル-アンモニウムクロライド
【0090】
工程1
炭酸 5-((S)-2-tert-ブトキシカルボニルアミノ-2-カルバモイル-エチル)-2-メトキシカルボニルオキシ-フェニルエステルメチルエステル
窒素下、[(S)-1-カルバモイル-2-(3,4-ジヒドロキシ-フェニル)-エチル]-カルバミン酸 tert-ブチルエステル(355 mg)をDMA(2 ml)とジクロロメタン(4 ml)の混液に溶解した。メチルクロロホルメート(0.24 ml)を撹拌下に滴下し、続いてトリエチルアミン(0.42 ml)を加えた。混合物を室温で、HPLCが出発物質を示さない2時間撹拌した。混合物をジクロロメタンで希釈し、水で洗浄した。乾燥(MgSO4)および蒸発により油状物を得、それを水(15 ml)を加えて固化した。エーテル-ヘキサン(1:1)で摩砕し、炭酸 5-((S)-2-tert-ブトキシカルボニルアミノ-2-カルバモイル-エチル)-2-メトキシカルボニルオキシ-フェニルエステル メチルエステルを白色の固体(402 mg)として得た。HPLC/MS (方法A) 保持時間 4.98分, m/z 413 (MH+), 430 (MNH4+).
【0091】
工程2
(S)-2-(3,4-ビス-メトキシカルボニルオキシ-フェニル)-1-カルバモイル-エチル-アンモニウムクロライド
炭酸 5-((S)-2-tert-ブトキシカルボニルアミノ-2-カルバモイル-エチル)-2-メトキシカルボニルオキシ-フェニルエステル メチルエステル(402 mg)を4M HCl-ジオキサン(10 ml)に室温で溶解した。1.5時間後、溶液を蒸発乾固した。エーテルで摩砕し、(S)-2-(3,4-ビス-メトキシカルボニルオキシ-フェニル)-1-カルバモイル-エチル-アンモニウムクロライドを白色の固体(288 mg)として得た。NMR (500 MHz, d6 DMSO), 3.05 (1H, dd, J 14, 7.5), 3.16 (1H, dd, J 14, 6), 3.84 (3H, s), 3.85 (3H, s), 4.00 (1H, dd J 7.5, 6), 7.27 (1H, dd J 8, 2), 7.34 (1H, d J 2), 7.39 (1H, d J 8), 7.59 (1H, br s, D2Oで交換), 8.02 (1H, br s D2Oで交換), 8.27 (3H, br s D2Oで交換); エレクトロスプレー MS 313 (MH+).
【0092】
実施例11 (13PE1および13PE3)
【化14】

(S)-2-(3,4-ビス-プロピオニルオキシ-フェニル)-1-カルバモイル-エチル-アンモニウムクロライド
【0093】
工程1
プロピオン酸 4-((S)-2-tert-ブトキシカルボニルアミノ-2-カルバモイル-エチル)-2-プロピオニルオキシ-フェニルエステル
[(S)-1-カルバモイル-2-(3,4-ジヒドロキシ-フェニル)-エチル]-カルバミン酸 tert-ブチルエステル(355 mg)をDMA(2 ml)とジクロロメタン(7 ml)の混液に溶解した。プロピオニルクロライド(0.32 ml)、続いてトリエチルアミン(0.5 ml)を加え、混合物を50℃で一晩撹拌加熱した。
混合物をジクロロメタンで希釈し、希HCl、重炭酸ナトリウム水溶液、食塩水で洗浄した。乾燥(MgSO4)および蒸発により固体を得、それを酢酸エチルから再結晶し、プロピオン酸 4-((S)-2-tert-ブトキシカルボニルアミノ-2-カルバモイル-エチル)-2-プロピオニルオキシ-フェニルエステルを白色の固体(167 mg)として得た。HPLC/MS (方法A) 保持時間 5.53分, m/z 409 (MH+), 426 (MNH4+).
【0094】
(S)-2-(3,4-ビス-プロピオニルオキシ-フェニル)-1-カルバモイル-エチル-アンモニウムクロライド
プロピオン酸 4-((S)-2-tert-ブトキシカルボニルアミノ-2-カルバモイル-エチル)-2-プロピオニルオキシ-フェニルエステル(166 mg)を4M HCl-ジオキサン(4 ml)に溶解した。室温で1時間後、軽い沈殿が形成し始めた。合計約1.5時間後、混合物にエーテル(4 ml)を加え、固体を濾別し、さらなるエーテルで洗浄した。(S)-2-(3,4-ビス-プロピオニルオキシ-フェニル)-1-カルバモイル-エチル-アンモニウムクロライドを白色の固体(118 mg)として得た。NMR (500 MHz, d6 DMSO) 1.11および1.12 (合わせて6H, 2つのt J 7.5), 2.57および2.59 (合わせて2H, 2つのq J 7.5), 3.03 (1H, dd, J 14, 6.5), 3.12 (1H, dd, J 14, 6), 3.98 (1H, dd, J 6.5, 6), 7.19- 7.24 (3H, m, D2O中でdおよび2つのddを示す), 7.58 (1H, br s, D2Oで交換), 7.98 (1H, br s D2Oで交換), 8.25 (3H, br s D2Oで交換); エレクトロスプレー MS 309 (MH+).
【0095】
実施例12
【化15】

(S)-2-(3,4-ビス-イソブチリルオキシ-フェニル)-1-カルバモイル-エチル-アンモニウムトリフルオロアセテート
【0096】
工程1
イソ酪酸 4-((S)-2-tert-ブトキシカルボニルアミノ-2-カルバモイル-エチル)-2-イソブチリルオキシ-フェニルエステル
[(S)-1-カルバモイル-2-(3,4-ジヒドロキシ-フェニル)-エチル]-カルバミン酸 tert-ブチルエステル(376 mg)を、実施例2の工程1に記載のようにして、DMA中、イソブチリルクロライドおよびトリエチルアミンで処理した。反応を完了するために、過剰の酸クロライドおよび塩基を加え、混合物を70℃で一晩加熱した。イソ酪酸 4-((S)-2-tert-ブトキシカルボニルアミノ-2-カルバモイル-エチル)-2-イソブチリルオキシ-フェニルエステルを白色の固体(105 mg)を得た。HPLC/MS (方法A) 保持時間 6.25分, m/z 437 (MH+), 454 (MNH4+).
【0097】
工程2
(S)-2-(3,4-ビス-イソブチリルオキシ-フェニル)-1-カルバモイル-エチル-アンモニウムクロライド
イソ酪酸 4-((S)-2-tert-ブトキシカルボニルアミノ-2-カルバモイル-エチル)-2-イソブチリルオキシ-フェニルエステル(105 mg)を室温で4M HCl-ジオキサン(3 ml)に溶解した。約1.5時間後、溶媒を蒸発し、ゴム状物質を得、これをエーテルで摩砕して、(S)-2-(3,4-ビス-イソブチリルオキシ-フェニル)-1-カルバモイル-エチル-アンモニウムクロライドを白色の固体(85 mg)として得た。NMR (500 MHz, d6 DMSO) 1.20および1.22 (合わせて12H, 2つのd J 約7), 2.78および2.80 (合わせて2H, 2つのsept J 約7), 3.02 (1H, dd J 14, 7.5), 3.12 (1H, dd J 14, 6) 3.98 (1H, dd J 7.5, 6), 7.18-7.20 (2H, m, D2O中でd J 2およびdd J 8, 2を示す), 7.23 (1H, d J 8), 7.60 (1H, br s), 7.94 (1H, br s), 8.21 (3H, br s D2Oで交換); HPLC/MS (方法A) 保持時間 3.70分, m/z 337(MH+).
【0098】
工程3
(S)-2-(3,4-ビス-イソブチリルオキシ-フェニル)-1-カルバモイル-エチル-アンモニウムトリフルオロアセテート
(S)-2-(3,4-ビス-イソブチリルオキシ-フェニル)-1-カルバモイル-エチル-アンモニウムクロライド(310 mg)をジクロロメタン(3 ml)に懸濁し、トリフルオロ酢酸(2 ml)を加えた。約1.5時間後、溶媒を蒸発し、ゴム状物質を得、これをヘキサンで摩砕して、(S)-2-(3,4-ビス-イソブチリルオキシ-フェニル)-1-カルバモイル-エチル-アンモニウムトリフルオロアセテートを白色の固体(350 mg)として得た。NMR (500 MHz, d6 DMSO) 1.20および1.22 (合わせて12H, 2つのd J 7), 2.79および2.80 (合わせて2H, 2つのsept J 7), 2.98 (1H, dd J 14, 8), 3.10 (1H, dd J 14, 5.5), 3.97 (1H, br m), 7.17-7.19 (2H, m, D2O中でd J 2 およびdd J 8, 2を示す), 7.24 (1H, d J 8), 7.61 (1H, br s D2Oで交換), 7.87 (1H, br s D2Oで交換), 8.14 (3H, br s D2Oで交換); HPLC/MS (方法A) 保持時間 3.76分, m/z 337(MH+).
【0099】
生物学的結果
上記の実施例の化合物は、以下のドーパミン欠乏性動物モデルで試験した:
【0100】
6−OHDA−障害ラットにおける活性の評価
動物: 雄性ウィスター系ラット、250g、Harlan Ltd.
飼育室: 動物は、動物(科学的方法)条例1996当社規則に従って、湿度50%および21±2℃の温度の環境の中、12時間の明−暗サイクルで、4つのグループで飼育した。ラットは、餌と水に無制限に近づけた。
認可: 本研究において用いられた全ての動物は、英国1986動物(科学的方法)条例に従って扱われた。
【0101】
方法
外科処置: 雄性ウィスター系ラットを、ノルアドレナリン作動性末端(terminal)を保護するために、デシプラミン(腹腔内25mg/kg、6-OHDAの30分前)で処置した。次いで、ラットは、イソフルオラン(95%のO2中1〜2%、5%のCO2搬送ガス)を用いる誘導室中で麻酔し、ケップフ(Kopf)定位固定フレームにセットし、0.5〜1.0%のイソフルオランを用いて麻酔を維持した。頭皮を切開し、座標AP:−0.26 mm L:+2.0 mm (全ての座標はブレグマから測定した)における頭蓋骨に直径0.8 mmの穴を作った。神経毒6−ヒドロキシドーパミン(6-OHDA) (0.05%のアスコルビン酸を含んでいる0.9%の食塩水4μL中の遊離塩基8μg)を、硬膜の下に−8mmまで降ろした10μLハミルトン注射器を用い4分にわたって左正中前脳塊中に、一定速度(1μl/分)で注射した。針を取り除く前に、更に4分間残しておき、傷がきれいにして縫合した。塩酸フルニキシン(2.5mg/kg、Dunlop's Veterinary Supplies、Dumfries、英国)を、鎮痛のために投与し、そして麻酔からの回復前に、0.9%の食塩水中の5%のブドウ糖の再水和処置(最高5mlまで、腹腔内)をした。
【0102】
行動 評価
障害の確認
手術後少なくとも2週で、障害の程度を評価するために、塩酸アポモルヒネ(0.05%のアスコルビン酸を含む0.9%の食塩水中、0.5mg/kgを皮下注射)の投与に応じる回旋行動(以下を参照)に対して動物を試験した。最盛期の活動において、>6回旋/分を示したラットのみを、今後の試験に用いた。
【0103】
試験化合物による回旋活動の誘発の評価
アポモルヒネ投与の少なくとも1週間後に、試験薬またはL-DOPAのどちらかを用いる回旋活動に対して、ラット(処置当たりn=4〜8)を試験した。これらは、腹膜内(ip)ルートを通して、または、強制飼養による経口的(po)のいずれかにより投与された。動物をベンセラジド(10 mg/kg)で処置し、定常活動を測定するために、最高30分まで、ロトメータ(rotometers) (Med Associates)に置いた。次いで、それらを、試験化合物またはL-DOPA (63.4μmole/kg ipまたはpo)で処置した。試験薬/L-DOPA投与後、最高4時間まで回転挙動を評価した。動物は、比較の目的で、一連の化合物で典型的な処置をした。各々の処置は、少なくとも1日隔てて施した。
【0104】
データ分析
4時間の間にわたり、10分当たりの回転数を測定した。それらが10分当たり>10回転、回転したならば、動物は活発であるとみなした。このデータから、以下のパラメータを測定した:
A 全活動(AUC活動、(ここで、AUC=自発運動/時間 曲線下の面積))
B 最盛期の活動
C 活動の継続時間
値はL-DOPAが誘発した効果を%として引用した。
【0105】
例証として、p.o.投与された前記の実施例5は、L-DopaのAUCの89%、L-Dopaの最盛期の活動の118%、およびL-Dopaの活動の継続時間の71%を示した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】

[式中、
R1およびR2は独立して、-C(=O)R5または-C(=O)OR5から選択されるか;またはR1およびR2の一方は水素であり、他方は-C(=O)R5または-C(=O)OR5であり;
R3およびR4は独立して、
水素、
任意に置換されていてもよい、C1-C6アルキル、C3-C6シクロアルキル、C2-C6アルケニルもしくはC2-C6アルキニル、
-CH2Q、
-C(=O)R5
-C(=O)OR5
-C(=O)NR5R6から選択されるか、または
R5は、水素または任意に置換されていてもよいC1-C6アルキルもしくは-CH2Qであり;
R6は、水素または任意に置換されていてもよいC1-C6アルキルもしくは-CH2Qであり;
Qは、任意に置換されていてもよい、3〜6の環原子を有する単環式の炭素環もしくはヘテロ環である;
但し、R1およびR2がそれぞれ-C(=O)R5(ここで、R5はメチルである)であり、R3が水素である場合、R4はtert-ブトキシカルボニルでない]
の化合物、またはその塩、水和物もしくは溶媒和物。
【請求項2】
R1およびR2の1つが水素である、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
R1およびR2が水素でないとき、それらは独立して-C(=O)R5(ここで、R5はメチルである)である、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
R1およびR2が同じである、請求項3に記載の化合物。
【請求項5】
R3およびR4がともに水素である、請求項1〜4のいずれか1つに記載の化合物。
【請求項6】
R3およびR4が水素でないとき、それらは独立してメチル、エチル、アリル、ベンジル、アセチル、フェニルカルボニル、フェノキシカルボニルまたはアミノカルボニルから選択される、請求項1〜4のいずれか1つに記載の化合物。
【請求項7】
任意の置換基が、メチル、トリフルオロメチル、メトキシ、トリフルオロメトキシ、シクロプロピル、ハロゲン、シアノ、ヒドロキシ、メルカプト、オキソ、-NH2、-NHRA、または-NRARB(ここで、RAおよびRBは独立してメチルまたはエチルである)から選択される、請求項1〜6のいずれか1つに記載の化合物。
【請求項8】
R1およびR2がそれぞれアセチルまたは(4-メチルフェニル)-カルボニルであり、R3およびR4がともに水素である、請求項1に記載の化合物。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか1つに記載の化合物を医薬的に許容される担体とともに含む医薬組成物。
【請求項10】
損なわれたドーパミン性信号伝達を伴う病状を治療するための組成物の製造における、請求項1〜8のいずれか1つに記載の化合物、またはR1およびR2がそれぞれ-C(=O)R5(ここで、R5はメチルである)であり、R3が水素であり、R4がtert-ブトキシカルボニルである請求項1で定義された化合物の使用。
【請求項11】
ドーパミン性信号伝達の障害を減少させるために、請求項1〜8のいずれか1つに記載の化合物か、またはR1およびR2がそれぞれ-C(=O)R5(ここで、R5はメチルである)であり、R3が水素であり、R4がtert-ブトキシカルボニルである請求項1で定義された化合物の、有効量を患者に投与することを含む、患者の損なわれたドーパミン性信号伝達を伴う病状の治療方法。
【請求項12】
病状がパーキンソン病または不穏下肢症候群である、請求項10に記載の使用または請求項11に記載の方法。
【請求項13】
病状がトゥーレット症候群、注意欠陥過活動性障害、下垂体部腫瘍の発生、パーキンソン−プラス症候群、レボドパ応答失調症、運動障害、睡眠中の周期運動、嚥下障害または神経遮断薬性悪性症候群である、請求項10に記載の使用または請求項11に記載の方法。

【公表番号】特表2009−530255(P2009−530255A)
【公表日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−558890(P2008−558890)
【出願日】平成19年3月13日(2007.3.13)
【国際出願番号】PCT/GB2007/000860
【国際公開番号】WO2007/104959
【国際公開日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【出願人】(507277930)プロキシマジェン エルティーディー (10)
【氏名又は名称原語表記】PROXIMAGEN LTD.
【住所又は居所原語表記】Hodgkin Building,Guy’s Campus,King’s College London,London SE1 1UL,United Kingdom
【Fターム(参考)】