説明

アミン処理システムおよびアミン処理方法

【課題】本発明は、10000ppm以上の高濃度のアミン類ガスと、1000ppm以下の低濃度のアミン類ガスとが別々に発生する状況下において、窒素酸化物の発生を低減しつつ、確実に処理するためのアミン処理システムおよびアミン処理方法を提供する。
【解決手段】アミン濃度が10000ppm以上の上記アミン類ガスを含有する第1ガスに含有されるアミン類ガスを燃焼させる高濃度処理装置20と、アミン濃度が1000ppm以下の上記アミン類ガスを含有する第2ガスに含まれるアミン類ガスを吸着させる脱臭装置30と、高濃度処理装置20または脱臭装置30への上記第1ガスの送気を制御するバルブ60とを備える。脱臭装置30は、高濃度処理装置20が上記第1ガスを燃焼させることが不可能なときには、バルブ60を介して送気された上記第1ガスに含有されるアミン類ガスを吸着させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アミン処理システムおよびアミン処理方法に関するものであり、特に、10000ppm以上の高濃度のアミン類ガスと、1000ppm以下の低濃度のアミン類ガスとが別々に発生する状況下において、窒素酸化物の発生を低減しつつ、確実に処理するためのアミン処理システムおよびアミン処理方法を提供する10000ppm以上の高濃度のアミン類ガスを、窒素酸化物の発生を低減しつつ、確実に処理するためのアミン処理システムおよびアミン処理方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
アミン類ガスは、悪臭物質であるとともに、毒性、可燃性の物質である。これらのアミン類ガスを取り扱う設備においては、除害および脱臭設備が必要である。特にアミン類ガスを用いる製造設備から排出されるアミン濃度が、数千〜数万ppm以上の場合、そのアミン類ガスの処理には、直接燃焼方式や触媒燃焼方式等の燃焼除害設備が必要である。
【0003】
従来のアミン類ガスの処理では、設備より発生する高濃度のアミン類ガスを含む排ガスと、局所排気や換気等の脱臭が必要な空気、換言すれば、低濃度のアミン類ガスを含むガスとを混合希釈して処理される。
【0004】
この混合希釈したガスの処理には、アミン濃度に応じて、燃焼処理(燃焼法)、水や酸を用いたスクラバ等の吸収処理(吸収法)、または活性炭などを用いた吸着処理(吸着法)が用いられる。
【0005】
これらの処理方法のうち、吸着法は、比較的低濃度のアミン類ガスを処理するのに適している。アミン類ガスを吸着処理する技術としては、例えば、特許文献1の技術を挙げることができる。
【0006】
特許文献1には、具体的には、排ガス中のアンモニア、アミン類等の悪臭成分を吸着剤に吸着、濃縮した後、間欠的に吸着剤を加熱して、吸着剤から脱着した悪臭成分を燃焼除去することが記載されている。
【0007】
また、上記吸着剤として、銅、マンガン、コバルト、鉄の元素から選ばれた一種以上のイオンで、シリカ/アルミナモル比が10〜50のH−モルデナイトをイオン交換した吸着剤を用いることが記載されている。
【0008】
一方、吸収法は、数百ppm以上の中濃度のアミン類ガスを低風量で処理するのに適している。中濃度で風量が大きい場合は、一段での吸収処理では、十分に処理できないため、複数段の吸収設備を設けて処理される。このようにアミン類ガスを吸収処理する技術としては、例えば、特許文献2の技術を挙げることができる。
【0009】
特許文献2には、具体的には、まず、被処理ガス導入管を介してアミンを含む被処理ガスをオゾン脱臭機構に供給し、該被処理ガスに含まれる臭気成分をオゾン脱臭処理させることを記載されている。
【0010】
その後、光分解機構によって、オゾン脱臭機構でオゾン脱臭された被処理ガス中の不要成分を光分解処理させるとともに、水洗水生成機構によって、給水源から供給される水を電気分解させて酸性水を生成させながら、被処理ガス導入管から排気管までの各処理段階間のいずれかに介挿された酸性水水洗脱臭機構によって、水洗水生成機構で生成された酸性水を使用して、前段側から供給された被処理ガス中の臭気成分を水洗脱臭処理させて、後段側に送出させることが記載されている。
【0011】
さらに、燃焼法は、高濃度のアミン類ガスの処理や、中濃度のアミン類ガスを高風量で処理するのに適している。アミン類ガスを燃焼処理する技術としては、例えば、特許文献3の技術を挙げることができる。
【0012】
特許文献3には、具体的には、押出機中でアクリル系樹脂と一級アミンを反応させてイミド樹脂を製造する際に、押出機から分離除去したアミンを含む排ガスを触媒酸化燃焼処理して装置出口のトリメチルアミン濃度を0.2ppm以下にすることが記載されている。
【0013】
また、特許文献3には、排ガスを押出機から取り除くために、大気圧以下の圧力を加えることが記載されている。大気圧以下の圧力を押出機に加える方法として、真空ポンプで減圧する方法が挙げられている。
【0014】
さらに、大気圧以下の圧力で分離除去した排ガスを脱臭除害する前に、可能な限り排ガス量を減らすために、低温の凝縮器に通し、凝縮成分を可能な限り分離除去することが好ましいことが記載されている。
【特許文献1】特開平7−100327号公報(平成7(1995)年4月18日公開)
【特許文献2】特開2001−246222号公報(平成13(2001)年9月11日公開)
【特許文献3】特開2006−8752号公報(平成14(2002)年4月19日公開)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
上説したように、従来の処理技術では、設備より発生する高濃度のアミン類ガスを含む排ガスと、局所排気や換気等の脱臭が必要な空気とを混合希釈して処理する。このような処理では、アミン類ガスを空気と混合しているため、アミン類ガスおよびその他の可燃性物質が爆発範囲の下限よりも低濃度になるまで希釈する必要がある。
【0016】
その結果、処理するガスの風量が増大し、アミン類ガスの処理量によっては大型の除害設備が必要となるという問題がある。
【0017】
また、特許文献1のように、吸着法によりアミン類ガスを処理する場合には、アミン類ガスの処理量が増加すると、大型の吸着装置が必要なる。つまり、吸着剤の使用量が増加し、吸着剤の再生や交換頻度が多くなるという問題がある。
【0018】
一方、特許文献2のように、吸収法によりアミン類ガスを処理する場合には、スクラバを常時運転した場合には、水質汚濁物質である総窒素を含む廃水が多量に発生する。その結果、環境負荷が大きくなるという問題がある。さらに、吸収法では、アミン類ガスの高除去率が得られないために、臭気が残る恐れがある。
【0019】
さらに、特許文献3のように、低濃度のアミン類ガスを燃焼法により処理する場合には、処理するガスの風量が増大するため、発生する窒素酸化物(以下、「NO」ともいう)の総量も増大する。加えて、空気との混合希釈によりアミン濃度が低下した排ガスの燃焼には、該排ガスを燃焼させるための燃料が必要となるため、より一層NOの発生量が増加する。
【0020】
さらに、特許文献3の技術では、未反応および副成するアミン類は凝縮器を通した上で、真空ポンプで減圧して除去される。そして、凝縮液が除去されたガスを燃焼装置で除害脱臭処理を行う。つまり、アミン類、メタノール、および水の一部は、凝縮器で真空ポンプ内部の大気圧付近の圧力部分で凝縮する。
【0021】
したがって、アミン類ガスの発生がイミド樹脂製造過程によるものである場合、連続的なイミド化反応を行うため、凝縮器と真空ポンプのドレン抜きとから連続的に凝縮液を抜き出す必要がある。
【0022】
その際に、毒性および悪臭をもつアミン類ガスが大気に放出され、作業者の安全性を脅かしたり、環境に負荷をかけたりする可能性がある。
【0023】
以上のように、従来の方法では、高濃度のアミン類ガスを含有する排ガスを多量に排出する設備において、有毒で臭気をもつアミン類ガスを、NOの発生を低減しつつ、確実に処理することはできない。
【0024】
本発明は、上記問題点に鑑みなされたものであって、その目的は、10000ppm以上の高濃度のアミン類ガスと、1000ppm以下の低濃度のアミン類ガスとが別々に発生する状況下において、窒素酸化物の発生を低減しつつ、確実に処理するためのアミン処理システムおよびアミン処理方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0025】
本発明者らは、上記課題に鑑み鋭意検討した結果、高濃度のアミン類ガスを含むガスと、低濃度のアミン類ガスを含むガスとを別々に処理すれば、NOの発生を低減しつつ、毒性および悪臭をもつアミン類ガスを確実により処理できることを独自に見出した。
【0026】
さらに、このように2系統の処理装置を備えることにより、高濃度のアミン類ガスを含むガスの処理時に異常が発生した場合であっても、低濃度のアミン類ガスを含むガスを処理する装置で該高濃度のアミン類ガスを含むガスを処理できるため、毒性および悪臭をもつアミン類ガスを環境中に放出することなく、確実により処理できることを独自に見出した。
【0027】
本発明者らは、これらの独自に見出した知見に基づいて、本発明を完成させるに至った。すなわち、本発明は、産業上有用な以下の発明を包含する。
【0028】
(1)モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、およびトリエチルアミンからなる群より選択される少なくとも1種のアミンガスを含むアミン類ガスを処理するためのアミン処理システムであって、アミン濃度が10000ppm以上の上記アミン類ガスを含有する第1ガスに含有されるアミン類ガスを燃焼させる高濃度アミン処理部と、アミン濃度が1000ppm以下の上記アミン類ガスを含有する第2ガスに含まれるアミン類ガスを吸着させる低濃度アミン処理部と、上記高濃度アミン処理部または低濃度アミン処理部への上記第1ガスの送気を制御する制御部と、を備えており、上記制御部は、上記高濃度アミン処理部が上記第1ガスを燃焼させることが不可能なとき、上記第1ガスを上記低濃度アミン処理部に送気することを特徴とするアミン処理システム。
【0029】
(2)上記第1ガスは、上記アミン類ガスに加えて、30%以上の可燃性ガスを含有することを特徴とする(1)に記載のアミン処理システム。
【0030】
(3)上記可燃性ガスは、メタノールを含有することを特徴とする(2)に記載のアミン処理システム。
【0031】
(4)上記高濃度アミン処理部は、燃焼方式の燃焼炉であることを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載のアミン処理システム。
【0032】
(5)上記低濃度アミン処理部の前段に、中濃度アミン処理部をさらに備え、該中濃度アミン処理部は、上記第2ガス中のアミン濃度が5ppmよりも高いときに、該第2ガス中のアミン類ガスの50%以上を吸収した後、該第2ガスを上記低濃度アミン処理部に送気することを特徴とする(1)〜(4)のいずれかに記載のアミン処理システム。
【0033】
(6)上記制御部は、上記高濃度アミン処理部が上記第1ガスを燃焼させることが不可能なとき、上記第1ガスを上記中濃度アミン処理部を経由して、上記低濃度アミン処理部に送気することを特徴とする(5)に記載のアミン処理システム。
【0034】
(7)上記第1ガスの凝縮を防止するためのガス凝縮防止部をさらに備え、該ガス凝縮防止部は、上記第1ガスを、ガス状態のまま、上記高濃度アミン処理部に送気することを特徴とする(1)〜(6)のいずれかに記載のアミン処理システム。
【0035】
(8)上記高濃度アミン処理部の後段に、脱硝処理部をさらに備え、該脱硝処理部は、上記高濃度アミン処理部において上記第1ガスを燃焼させたときに生じる窒素酸化物を処理することを特徴とする(1)〜(7)のいずれかに記載のアミン処理システム。
【0036】
(9)上記第1ガスは、アクリル系樹脂をイミド化してイミド樹脂を製造するために用いられる製造装置から排出された排ガスであることを特徴とする(1)〜(8)のいずれかに記載のアミン処理システム。
【0037】
(10)上記イミド樹脂は、下記一般式(1)
【0038】
【化1】

【0039】
(式中、RおよびRは、それぞれ独立して、水素または炭素数1〜8のアルキル基であり、Rは、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数3〜12のシクロアルキル基、または炭素数6〜10のアリール基である。)
で表される繰り返し単位と、下記一般式(2)
【0040】
【化2】

【0041】
(式中、RおよびRは、それぞれ独立して、水素または炭素数1〜8のアルキル基であり、Rは、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数3〜12のシクロアルキル基、または炭素数6〜10のアリール基である。)
で表される繰り返し単位とを含むことを特徴とする(9)に記載のアミン処理システム。
【0042】
(11)上記イミド樹脂は、下記一般式(3)
【0043】
【化3】

【0044】
(式中、Rは、水素または炭素数1〜8のアルキル基であり、Rは、炭素数6〜10のアリール基である。)
で表される繰り返し単位をさらに含むことを特徴とする(10)に記載のアミン処理システム。
【0045】
(12)(1)〜(11)のいずれかに記載のアミン処理システムを用いて、アミン類ガスを処理することを特徴とするアミン処理方法。
【0046】
(13)モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、およびトリエチルアミンからなる群より選択される少なくとも1種のアミンガスを含むアミン類ガスを処理するためのアミン処理方法であって、アミン濃度が10000ppm以上の上記アミン類ガスを含有する第1ガスは燃焼法により処理し、アミン濃度が1000ppm以下の上記アミン類ガスを含有する第2ガスは、吸着法により処理し、さらに、上記第1ガスの燃焼が不可能なときには、上記第1ガスを吸着法および/または中和吸収法により処理することを特徴とするアミン処理方法。
【0047】
(14)上記第1ガスは、上記アミン類ガスに加えて、30%以上の可燃性ガスを含有することを特徴とする(13)に記載のアミン処理方法。
【0048】
(15)上記可燃性ガスは、メタノールを含有することを特徴とする(14)に記載のアミン処理方法。
【0049】
(16)上記第1ガスの燃焼は、燃焼方式の燃焼炉を用いて行うことを特徴とする(13)〜(15)のいずれかに記載のアミン処理方法。
【0050】
(17)上記第2ガス中のアミン濃度が5ppmよりも高いとき、該第2ガス中のアミン類ガスの50%以上を吸収させて、該第2ガス中のアミン類ガスの濃度を低下させることを特徴とする(13)〜(16)のいずれかに記載のアミン処理方法。
【0051】
(18)上記第1ガスを、凝縮させることなく、ガス状態のまま燃焼させることを特徴とする(13)〜(17)のいずれかに記載のアミン処理方法。
【0052】
(19)上記第1ガスを燃焼させたときに生じる窒素酸化物を処理することを特徴とする(13)〜(18)のいずれかに記載のアミン処理方法。
【0053】
(20)上記第1ガスは、アクリル系樹脂をイミド化してイミド樹脂を製造するために用いられる製造装置が排出する排ガスであることを特徴とする(13)〜(19)のいずれかに記載のアミン処理方法。
【0054】
(21)上記イミド樹脂は、下記一般式(1)
【0055】
【化4】

【0056】
(式中、RおよびRは、それぞれ独立して、水素または炭素数1〜8のアルキル基であり、Rは、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数3〜12のシクロアルキル基、または炭素数6〜10のアリール基である。)
で表される繰り返し単位と、下記一般式(2)
【0057】
【化5】

【0058】
(式中、RおよびRは、それぞれ独立して、水素または炭素数1〜8のアルキル基であり、Rは、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数3〜12のシクロアルキル基、または炭素数6〜10のアリール基である。)
で表される繰り返し単位とを含むことを特徴とする(20)に記載のアミン処理方法。
【0059】
(22)上記イミド樹脂は、下記一般式(3)
【0060】
【化6】

【0061】
(式中、Rは、水素または炭素数1〜8のアルキル基であり、Rは、炭素数6〜10のアリール基である。)
で表される繰り返し単位をさらに含むことを特徴とする(21)に記載のアミン処理方法。
【発明の効果】
【0062】
本発明にかかるアミン処理方法は、以上のように、アミン濃度が10000ppm以上の上記アミン類ガスを含有する第1ガスに含有されるアミン類ガスを燃焼させる高濃度アミン処理部と、アミン濃度が1000ppm以下の上記アミン類ガスを含有する第2ガスに含まれるアミン類ガスを吸着させる低濃度アミン処理部と、上記高濃度アミン処理部または低濃度アミン処理部への上記第1ガスの送気を制御する制御部とを備え、上記制御部は、上記高濃度アミン処理部が上記第1ガスを燃焼させることが不可能なとき、上記第1ガスを上記低濃度アミン処理部に送気する。
【0063】
そのため、高濃度のアミン類ガスと、低濃度のアミン類ガスとを、別々に処理することができる。それゆえ、モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、およびトリエチルアミンからなる群より選択される少なくとも1種のアミンガスを含むアミン類ガスの処理において、NOの発生を低減することができるという効果を奏する。
【0064】
さらに、低濃度アミン処理部は、高濃度アミン処理部のバックアップ装置として機能することができる。それゆえ、高濃度アミン処理部にトラブル等が発生した場合であっても、確実に上記アミン類ガスを処理することができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0065】
本発明の一実施形態について説明すると以下の通りであるが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0066】
本発明にかかるアミン処理システムは、アミン濃度が10000ppm以上の高濃度のアミン類ガスを含有する第1ガスと、アミン濃度が1000ppm以下の低濃度のアミン類ガスを含有する第2ガスとを、別々に処理して、アミン類ガスの脱臭および除害を行うシステムである。
【0067】
つまり、本発明にかかるアミン処理システムは、高濃度のアミンを処理するための処理装置と、低濃度のアミンを処理するための処理装置との2系統の処理装置を併せ持つシステムということができる。
【0068】
上記第1ガスは、アミン濃度が10000ppm以上のアミン類ガスを含むものであればよく、特に限定されるものではない。このような第1ガスは、悪臭および毒性、および自燃性を有するガスとなる。そのため、上記第1ガスは、燃焼方式で効率よく燃焼することができる。つまり、上記構成によれば、大量のアミンガスを発生する施設においても、アミン類ガス中に含まれる窒素原子の燃焼により発生するNOの量、およびランニングコストを抑え、かつ、安全性の高く、アミン類ガスを処理することができる。
【0069】
上記第1ガスは、アミン類ガスに加えて、可燃性ガスを含有することが好ましい。ここでいう「可燃性ガス」とは、アミン類ガスを除く可燃性のガスが意図される。上記可燃性ガスは、特に限定されるものではない。
【0070】
また、上記第1ガス中の上記可燃性ガスの含有量は、特に限定されるものではないが、30%以上であることが好ましい。このような構成とすることにより、上記第1ガスにおいて、上記アミン類ガスと上記可燃性ガスとを合わせた濃度を、爆発範囲上限よりも高くすることができる。
【0071】
さらに、上記第1ガスは水蒸気および炭酸ガスなどの不活性ガスを含むことが好ましい。このような不活性ガスを含有させることにより、上記第1ガス中の酸素を減ずることができる。それゆえ、上記第1ガスの爆発を防止することができる。
【0072】
上記第1ガスとしては、具体的には、例えば、アクリル系樹脂をイミド化してイミド樹脂を製造するために用いられる製造装置から排出された排ガスを挙げることができる。
【0073】
上記アミン類ガスとしては、モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、およびトリエチルアミンが挙げられる。本発明では、上記アミン類ガスとしては、モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、およびトリエチルアミンからなる群より選択される少なくとも1種のアミンガスを含んでいればよい。すなわち、これらのアミンガスを単独で含んでいてもよいし、複数種を組み合わせて含んでいてもよい。
【0074】
上記第2ガスは、アミン濃度が1000ppm以下、好ましくは10ppm以下のアミン類ガスを含有するガスである。このような第2ガスとしては、具体的には、例えば、アクリル系樹脂をイミド化してイミド樹脂を製造するために用いられる製造装置から漏洩した漏洩ガスや、アクリル系樹脂をイミド化してイミド樹脂を製造する作業工程において、プラント内に放出されたアミン類含有ガス等が挙げられる。
【0075】
なお、上記イミド樹脂は、特に限定されるものではないが、具体的には、例えば、下記一般式(1)
【0076】
【化7】

【0077】
(式中、RおよびRは、それぞれ独立して、水素または炭素数1〜8のアルキル基であり、Rは、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数3〜12のシクロアルキル基、または炭素数6〜10のアリール基である。)
で表される繰り返し単位と、下記一般式(2)
【0078】
【化8】

【0079】
(式中、RおよびRは、それぞれ独立して、水素または炭素数1〜8のアルキル基であり、Rは、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数3〜12のシクロアルキル基、または炭素数6〜10のアリール基である。)
で表される繰り返し単位とを含むイミド樹脂を挙げることができる。
【0080】
上記イミド樹脂において、上記一般式(1)で表される繰り返し単位は、単一の種類でもよいし、R、R、Rが異なる複数の種類を含んでいてもよい。
【0081】
上記一般式(1)において、R、Rはそれぞれ水素またはメチル基であり、Rは水素、メチル基、またはシクロヘキシル基であることが好ましく、Rはメチル基であり、Rは水素であり、Rはメチル基であることがより好ましい。
【0082】
なお、上記一般式(1)で表される繰り返し単位は、一般的にグルタルイミド単位と呼ばれるものである。
【0083】
上記イミド樹脂において、上記一般式(2)で表される繰り返し単位は、単一の種類でもよいし、R、R、Rが異なる複数の種類を含んでいてもよい。なお、上記一般式(2)で表される繰り返し単位は、一般的にアクリル酸エステル単位またはメタクリル酸エステル単位と呼ばれるものである。
【0084】
上記イミド樹脂は、上記一般式(1)および一般式(2)で表される繰り返し単位に加えて、下記一般式(3)
【0085】
【化9】

【0086】
(式中、Rは、水素または炭素数1〜8のアルキル基であり、Rは、炭素数6〜10のアリール基である。)
で表される繰り返し単位をさらに含んでいてもよい。
【0087】
上記イミド樹脂において、上記一般式(3)で表される繰り返し単位は、単一の種類でもよいし、R、Rが異なる複数の種類を含んでいてもよい。中でも、上記一般式(3)で表される繰り返し単位は、スチレン、α−メチルスチレン等であることが好ましく、スチレンであることがより好ましい。
【0088】
なお、上記一般式(3)で表される繰り返し単位は、一般的に芳香族ビニル単位と呼ばれるものである。
【0089】
上記アクリル系樹脂は、特に限定されるものではないが、具体的には、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
【0090】
また、上記アクリル系樹脂は、上記(メタ)アクリル酸系化合物もしくは(メタ)アクリル酸エステル系化合物の共重合体、もしくはこれらにスチレン系化合物を含んだ共重合体、またはこれらに他の化合物を共重合したものであってもよい。
【0091】
さらに、無水マレイン酸等の酸無水物またはそれらと炭素数1〜20の直鎖または分岐のアルコールとのハーフエステル;アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、無水イタコン酸、クロトン酸、フマル酸、シトラコン酸等のα,β−エチレン性不飽和カルボン酸などもイミド化可能であり、上記アクリル系樹脂として用いることができる。
【0092】
上記イミド樹脂は、上記例示したアクリル系樹脂のうち、メタクリル酸メチルをイミド化したイミド樹脂であることが好ましい。
【0093】
上記アクリル系樹脂の構造は、特に限定されるものではなく、リニアー(線状)ポリマー、ブロックポリマー、コアシェルポリマー、分岐ポリマー、ラダーポリマー、および架橋ポリマー等、いずれの構造であってもよい。
【0094】
また、上記ブロックポリマーは、A−B型、A−B−C型、A−B−A型、またはこれら以外のいずれのタイプのブロックポリマーであってもよい。さらに、上記コアシェルポリマーは、ただ一層のコアおよびただ一層のシェルのみからなるものであってもよいし、それぞれが多層になっているものであってもよい。
【0095】
上記イミド樹脂において、上記一般式(1)で表される繰り返し単位の含有量は、イミド樹脂の10重量%以上であることが好ましく、10重量%〜95重量%であることがより好ましく、15重量%〜90重量%であることがさらに好ましく、20重量%〜80重量%であることが特に好ましい。
【0096】
上記一般式(1)で表される繰り返し単位の含有量が上記範囲より少ない場合、得られるイミド樹脂の耐熱性が不足したり、透明性が損なわれたりする傾向がある。
【0097】
一方、上記範囲を超えると、不必要にイミド樹脂の耐熱性が上がり、成形しにくくなったり、得られる成形体の機械的強度は極端に脆くなったり、また、透明性が損なわれたりする傾向がある。
【0098】
また、イミド樹脂において、一般式(3)で表される繰り返し単位の含有量は、イミド樹脂の総繰り返し単位を基準として、0重量〜40重量%であることが好ましく、7重量%〜40重量%であることがより好ましく、10重量%〜30重量%であることがさらに好ましく、10重量%〜25重量%であることが特に好ましい。
【0099】
上記一般式(1)で表される繰り返し単位の含有量が上記範囲を越えると、得られるイミド樹脂の耐熱性が不足するとともに、光弾性係数が大きくなる傾向がある。
【0100】
上記イミド樹脂には、必要に応じ、上記一般式(1)〜(3)で表される繰り返し単位に加えて、さらに第4の構成単位が共重合されていてもよい。
【0101】
このような第4の構成単位としては、具体的には、例えば、アクリロニトリルやメタクリロニトリル等のニトリル系単量体、マレイミド、N−メチルマレイミド、N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミドなどのマレイミド系単量体を共重合してなる構成単位等を挙げることができる。
【0102】
上記イミド樹脂において、上記一般式(1)〜(3)で表される繰り返し単位、および上記第4の構成単位は、直接共重合してあっていてもよいし、グラフト共重合してあっていてもよい。
【0103】
また、上記イミド樹脂には、必要に応じて、他のイミド樹脂を添加することができる。
【0104】
上記イミド樹脂は、10,000〜200,000の重量平均分子量を有することが好ましい。重量平均分子量が上記値よりも小さくなると、成形品の機械的強度が不足する傾向がある。一方、重量平均分子量が上記値よりも大きくなると、溶融時の粘度が高く、成形時の生産性が低下する傾向がある。
【0105】
また、上記イミド樹脂のガラス転移温度は100℃以上であることが好ましく、120℃以上であることがより好ましく、130℃以上であることがさらに好ましい。
【0106】
上説したようなイミド樹脂は、押出機中で、上記アクリル系樹脂と一級アミンとを反応させることにより、好適に製造することができる。
【0107】
本発明にかかるアミン処理システムのより具体的な構成について、以下、詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0108】
〔実施の形態1〕
本発明にかかるアミン処理システムの一実施形態であるアミン処理システム1について、図1に基づいて以下説明する。
【0109】
アミン処理システム1は、図1に示すように、高濃度処理装置20(高濃度アミン処理部)と、脱臭装置30(低濃度アミン処理部)と、バルブ60(制御部)と、脱硝装置70(脱硝処理部)とを備えている。
【0110】
なお、図1では、押出機10をプラント40内に配置し、押出機10から排出される排ガス(すなわち、上記第1ガス)をアミン処理システム1で処理する実施形態を示すが、本発明は、これに限定されるものではない。すなわち、アミン処理システム1で処理するガスは、上記第1ガスおよび第2ガスの特性を備えるものであれば、その由来は特に限定されない。
【0111】
また、図1において、押出機10は、プラント40内に配置されているが、その配置場所は、プラント40内に限定されるものではなく、屋外、屋内を問わず、いかなる場所に配置してもよい。
【0112】
押出機10は、アクリル系樹脂と一級アミンとの反応によりイミド化して樹脂を改質し、イミド樹脂を製造するために用いられる製造装置(反応器や蒸留塔等を含む)である。このような製造装置としては、例えば、単軸押出機、二軸押出機あるいは多軸押出機等を挙げることができる。これらの押出機は単独で押出機10として用いてもよいし、複数を直列につないで、押出機10として用いてもよい。
【0113】
押出機10としては、より具体的には、原料ポリマー(すなわち、アクリル系樹脂)に対する一級アミンの混合を促進できるとのイミド樹脂の製造上の優位性から、押出機のなかでも、二軸押出機を用いることが好ましい。
【0114】
二軸押出機には、非噛合い型同方向回転式、噛合い型同方向回転式、非噛合い型異方向回転式、および噛合い型異方向回転式が含まれる。これらのうち、噛合い型同方向回転式の二軸押出機が好ましい。噛合い型同方向回転式の二軸押出機は高速回転が可能である。そのため、原料ポリマー(すなわち、アクリル系樹脂)に対する一級アミンの混合を促進することができる。
【0115】
このような押出機10からは、アクリル系樹脂と一級アミンとの反応によりイミド化して樹脂を改質し、イミド樹脂を製造する際に、モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、およびトリエチルアミンからなる群より選択される少なくとも1種のアミンガスを含有する排ガスが発生する。
【0116】
より詳しく説明すると、上記イミド樹脂の製造では、例えば、アクリル系樹脂を押出機で溶融押出を行い、モノメチルアミンなどのアミンを添加してイミド化する。その際、不要な揮発性の排ガスが生じる。この排ガスは、未反応の一級アミンと各種の副生成物とからなる。具体的には、例えば、ポリメタクリル酸メチル樹脂にモノメチルアミンを処理することによるイミド化反応時の排ガスには、モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミンなどのアミン類ガス、メタノールおよび水蒸気等が含まれている。その他のアクリル系樹脂とその他の一級アミンを使用した場合も、各種アミン類ガス、各種アルコール、水蒸気などの排ガスが生じる。
【0117】
なお、イミド樹脂の製造方法については、例えば、特開2006−8752号公報(平成18(2006)年1月12日公開)の内容も参考として、本明細書に援用される。
【0118】
このように、上記イミド樹脂の製造を行う化学プラントでは、毒性、可燃性レベルのモノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミンなどのアミン類ガスを、合計で10000ppm以上含む排ガスが排出される。つまり、押出機10から排出される排ガスにおけるアミン濃度は、10000ppmオーダー、通常、180000ppm程度にも達する。さらに、上記排ガスには、一般的に、メタノール等の可燃性ガスが30%強含まれる。
【0119】
高濃度処理装置20は、押出機10から排出された高濃度(10000ppmオーダー)のアミン類ガスを含む排ガスの脱臭および除害を行う装置である。
【0120】
10000ppm以上の臭気ガス(アミン類ガス)を含む排ガスの臭気対策を行う場合、臭気ガスの除去量は非常に多くなる。そのため、高濃度処理装置20は、燃焼方式で臭気ガスを処理するものであることが好ましい。より詳しくは、高濃度処理装置20は、アミン濃度が10000ppm以上の状態のまま、上記排ガスを燃焼させるものであることが好ましい。つまり、高濃度処理装置20は、上記排ガスを燃焼するための燃焼炉であることが好ましい。
【0121】
高濃度処理装置20として用いる燃焼炉としては、より具体的には、直接燃焼方式、触媒燃焼方式、蓄熱燃焼方式などの燃焼方式の燃焼炉を挙げることができるが、中でも、直接燃焼方式の燃焼炉を用いることが好ましい。このような直接燃焼式の燃焼炉によれば、爆発等の危険なく、上記排ガスを安全に燃焼することができる。
【0122】
高濃度処理装置20は、上記排ガスを希釈することなく、そのままのアミン濃度のまま、燃焼する。つまり、高濃度処理装置20は、10000ppmオーダー以上のアミン類ガスを含有する排ガスを処理対象とし、可燃性ガスの爆発範囲の上限よりも高濃度側で運転することが好ましい。
【0123】
より具体的には、上記アミン類ガスの爆発範囲は、通常、8%〜21%の濃度範囲にある。その場合、高濃度処理装置20に供給して処理する排ガスにおけるアミン濃度は、21%よりも高くすればよい。なお、この爆発範囲は、排ガス中に含まれるアミン濃度によって変化するものであり、上記数値に限定されるものではない。
【0124】
このように高濃度のアミン類ガスを含有する排ガスは、燃焼させるために燃料を添加する必要がない。それゆえ、CO発生量およびアミン類ガスの処理コストを低減することができる。
【0125】
また、アミン類ガスを希釈せずに燃焼させるため、風量を小さくすることができる。そのため、排出量当たりのNO濃度が同じあっても、NO総量を、アミン類ガスを希釈して燃焼させる場合と比較して、大幅に低減することができる。
【0126】
脱臭装置30は、押出機10から高濃度処理装置20に送られずに、押出機10から漏れ出るアミン類ガスを含有するガス、および押出機10を操作作業により、プラント40中に放出されるアミン類ガスを含有するガス(すなわち、上記第2ガス)を吸着するものである。
【0127】
このようなアミン類ガスを含むガスとしては、アミン類ガスの合計濃度が10ppm以下のガスが想定される。つまり、脱臭装置30は、アミン類ガスなどの悪臭、毒性物質を取り扱うプラント40の室内換気や局所排気などによって排出される10ppm以下の低濃度のアミン類ガスを含有する空気を脱臭するためのものである。したがって、脱臭装置30としては、低濃度向きの吸着塔や吸収塔、水を用いるスクラバや活性炭、化学吸着体などの吸着設備などの脱臭装置を用いることが好ましい。
【0128】
このような脱臭装置によれば、トリメチルアミンなどのアミン類ガスの悪臭を周辺環境に放出することを防止することができる。また、このような脱臭装置は、大風量、低濃度のアミンガスの処理に適しており、NOの発生もない。
【0129】
このように、アミン処理システム1では、高濃度のアミン類ガスは、高濃度処理装置20によって処理し、脱臭装置30では低濃度のアミン類ガスを処理することができる。
【0130】
そのため、脱臭装置30の吸着剤の再生および交換の頻度を減らすことができ、さらに、吸収液の排水発生量も低減することができる。
【0131】
アミン処理システム1は、図1に示すように、バルブ60をさらに備えている。バルブ60は、押出機10から排出された高濃度のアミン類ガスを含有する排ガスを、脱臭装置30または高濃度処理装置20に選択的に送ること可能にするものである。
【0132】
バルブ60による上記排ガスの脱臭装置30または高濃度処理装置20への送気の制御は、手動で行ってもよいし、高濃度処理装置20の異常を検知する装置(図示せず)によって制御されてもよい。
【0133】
アミン処理システム1においては、高濃度処理装置20が正常に作動しているときには、バルブ60を介して、押出機10から排出された高濃度のアミン類ガスを含有する排ガスを、高濃度処理装置20に送気し、該排ガスを高濃度処理装置20で処理する。
【0134】
一方、高濃度処理装置20に異常があり、正常に作動できない(しない)ときには、バルブ60を介して、押出機10から排出された高濃度のアミン類ガスを含有する排ガスを脱臭装置30に送気し、該排ガスを脱臭装置30で処理する。
【0135】
上記構成によれば、アミン処理システム1において、脱臭装置30は、低濃度のアミンガスを含む排ガスを処理するのみならず、高濃度処理装置20にトラブルが発生した場合のバックアップ装置としても用いることができる。
【0136】
なお、プラント40中に放出されたアミンガスは、プラント40に設けられた換気装置(図示せず)を介して、脱臭装置30へ送られる。また、押出機10から高濃度処理装置20に送られずに、該押出機10から漏れ出るアミンガスは、局所排気装置(図示せず)を介して脱臭装置30に送られる。
【0137】
アミン処理システム1は、図1に示すように、高濃度処理装置20の後段に脱硝装置70を備えている。
【0138】
脱硝装置70は、高濃度処理装置20において、上記排ガスが燃焼されたときに生じるNOを処理するものである。脱硝装置70は、NOを吸着または吸収するものであればよく、その具体的な構成は特に限定されない。なお、本明細書において、「NOを処理する」とは、NOを還元すること、NOを吸着させること、およびNOを吸収することが意図される。
【0139】
このような脱硝装置70を備えることにより、高濃度処理装置20から発生するNOx量を、数十ppm程度にまで低減することができる。また、高濃度処理装置20では、風量が小さいため、NO総量を、従来のアミン類ガスを希釈して燃焼させる場合と比較して、1/100程度まで、NOの発生量を低減することができる。
【0140】
なお、本実施形態では、脱硝装置70を備える構成について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、脱硝装置70を備えない構成とすることもできる。
【0141】
アミン処理システム1において、高濃度処理装置20、脱硝装置70および脱臭装置30で処理されたガスを、環境中に放出する方法は特に限定されるものではないが、これらの処理後のガスを混合して環境中に放出することが好ましい。具体的には、例えば、図1に示すように、高濃度処理装置20、脱硝装置70および脱臭装置30で処理されたガスを混合して、煙突90を介して環境中に放出さればよい。なお、上記ガスの環境中への放出は、煙突90によるものには限定されず、どのようなガス排出システムであってもよい。
【0142】
このように、高濃度処理装置20、脱硝装置70および脱臭装置30で処理されたガスを混合して環境中に放出することにより、環境中に放出するガス中のアミン類ガス(換言すれば、臭気)濃度をより一層低減することができる。
【0143】
〔実施の形態2〕
本発明にかかるアミン処理システムの他の実施形態について図2に基づいて説明すれば以下の通りである。なお、説明の便宜上、実施の形態1で用いた部材と同一の機能を有する部材には同一の部材番号を付記し、その説明を省略する。
【0144】
本実施形態にかかるアミン処理システム2は、図2に示すように、高濃度処理装置20と、脱臭装置30と、スクラバ50(中濃度アミン処理部)と、バルブ60と、ガス検知器61(ガス検知部)とを備えている。
【0145】
スクラバ50は、脱臭装置30の前段に配置されている。なお、スクラバ50と脱臭装置30とは、配管(図示せず)を介して接続されている。
【0146】
すなわち、アミン処理システム2では、押出機10から高濃度処理装置20に送られずに、押出機10から漏れ出るアミン類ガスを含有するガス、および押出機10を操作作業により、プラント40中に放出されるアミン類ガスを含有するガス(すなわち、上記第2ガス)を、まず、スクラバ50で処理した後、脱臭装置30に送気する。なお、押出機10から漏洩したアミン類ガスは、局所排気装置(図示せず)を介して、スクラバ50に送られる。
【0147】
アミン処理システム2において、スクラバ50は、押出機10から漏洩したアミン類ガスの濃度が脱臭装置30で処理しきれない程度に高いとき、該アミン類ガスを処理して、脱臭装置30が処理可能な程度のアミン濃度まで低下させることが可能なものであることが好ましい。
【0148】
具体的には、例えば、押出機10がイミド樹脂製造装置である場合、該押出機10の異常時には、5ppm〜1000ppmのアミン類ガスを含有する排ガスが漏洩することが想定される。したがって、スクラバ50は、5ppm〜1000ppmの中濃度のアミン類ガスを処理するのに適したものであることが好ましい。具体的には、硫酸などの酸を用いるスクラバなどのアミン吸収設備等を好適に用いることができる。
【0149】
このように、アミン処理システム2は、中濃度以下のアミン類ガスを処理するために、脱臭装置30と、スクラバ50との2系列を備えている。したがって、アミン処理システム2では、押出機10から漏洩したアミン類ガスを含有するガスは、まず、スクラバ50で処理され、アミン濃度を低下させる。このとき、5ppm〜1000ppmのアミン類ガスを含有する排ガス中のアミン類ガスの50%以上を吸収させることが好ましく、90%以上を吸収させることがより好ましい。
【0150】
こうしてスクラバ50で処理されたガスは、その後、脱臭装置30に送気され、処理される。
【0151】
上記構成によれば、押出機10から一時的に比較的高濃度のアミンガスが漏洩した場合であっても、該アミン類ガスを効果的に除去することができる。すなわち、脱臭後のアミン濃度の上昇を最小限にして、臭気や有害ガスを環境に放出することを防止することができる。
【0152】
アミン処理システム2において、スクラバ50は、アミン処理システム2の運転中、常時運転させてもよいが、特に、押出機10から比較的高濃度のアミン類ガス、すなわち、脱臭装置30が処理できない程度に高濃度のアミン類ガスが漏洩したときに、プラント40の外部に悪臭や毒性物質が漏洩することを防ぐ装置として運転させることが好ましい。
【0153】
すなわち、スクラバ50は、アミン処理システム2の起動の同時に起動され、アミン処理システム2の運転中、常時運転していてもよいが、押出機10に異常が発生したときのみ、手動で運転させるか、もしくは、ガス検知器61等の制御手段を用いて、自動運転させることが好ましい。つまり、押出機10に異常が発生したときのみ、スクラバ50の吸収液の循環を開始するように、手動または自動で制御されることが好ましい。
【0154】
ここで、ガス検知器61について説明すると、ガス検知器61は、押出機10と、スクラバ50との間に配置されている。ガス検知器61は、押出機10から漏洩するアミンガスの有無、およびアミンガスが漏洩している場合にはそのアミンガスの濃度を検知するものである。
【0155】
ガス検知器61の動作としては、押出機10から漏洩しているアミン類ガスがない、もしくは低濃度である場合、スクラバ50が駆動しないように制御する。
【0156】
一方、押出機10から漏洩しているアミン類ガスが比較的高濃度、具体的には、5ppmよりも高濃度である場合、スクラバ50を吸収運転させる。
【0157】
このような構成によれば、スクラバ50は、ガス検知器61の制御により、自動運転が可能となり、後段に配置されている脱臭装置30によって処理しきれない濃度のアミンガスが押出機10から漏洩している場合にのみ、スクラバ50を迅速に運転することができる。
【0158】
スクラバ50を常時運転した場合には、水質汚濁物質である総窒素を含む廃水が多量に発生するが、上記構成によれば、スクラバ50の運転時間を大幅に短縮することができる。そのため、総窒素を含む廃水の発生を大幅に削減することができる。
【0159】
なお、押出機10から漏洩しているアミン類ガスの濃度が低い場合(例えば、まわりの空気と同じく低濃度の臭気物質しか含まない場合)、スクラバ50によらなくとも、後段に配置されている脱臭装置30によって、該アミン類ガスを除去することができる。
【0160】
また、ここでは、ガス検知器61がスクラバ50の起動を制御する実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、ガス検知器61が押出機10から漏洩しているアミン類ガスが高濃度である場合に警告音を発する構成とし、その警告音に基づいて、手動でスクラバ50を起動する実施形態とすることもできる。
【0161】
さらに、プラント40内に設置したガス検知器61により、押出機10やアミン添加ポンプ(図2中、押出機10に含まれる一部部材として記載)などから、アミンを含むガスがプラント40内に漏洩したことを検知して、スクラバ50を起動する実施形態とすることもできる。
【0162】
アミン処理システム2において、バルブ60は、押出機10から排出された高濃度のアミン類ガスを含有する排ガスを、高濃度処理装置20またはスクラバ50を経由させて脱臭装置30に選択的に送ることを可能にするものである。なお、制御の形態については、実施の形態1で説明した通りであるので、ここでは、その詳細な説明を省略する。
【0163】
アミン処理システム2では、高濃度処理装置20に異常があり、正常に作動できない(しない)ときには、バルブ60は、押出機10から排出された高濃度のアミン類ガスを含有する排ガスが、直接、脱臭装置30に送気するのではなく、一旦、スクラバ50で処理した後、脱臭装置30に送気する。
【0164】
スクラバ50は、アミン類ガスの処理能力に関して、高濃度処理装置20よりも劣るが、脱臭装置30よりも優れている。そのため、上記構成によれば、押出機10から排出される高濃度のアミン類ガスを含有する排ガスの処理能力は若干低下するが、致命的な量の漏洩を防止することができる。
【0165】
つまり、アミン処理システム2において、スクラバ50は、押出機10から漏洩した中濃度のアミン類ガスを含む排ガスを処理するのみならず、高濃度処理装置20にトラブルが発生した場合のバックアップ装置としても用いることができる。
【0166】
したがって、上記構成によれば、高濃度処理装置20にトラブルが発生したとしても、押出機10を停止するまでの短時間の間に、押出機10から排出される高濃度のアミン類ガスを、スクラバ50と脱臭装置30とにより、脱臭および除害することができる。
【0167】
さらに、スクラバ50は、押出機10から排出された高濃度のアミン類ガスを含有する排ガスが、バルブ60を介してスクラバ50に送気されるときにのみ、手動で、または、高濃度処理装置20の異常を検知する装置(図示せず)の制御により自動運転されることが好ましい。
【0168】
上説したように、スクラバ50を常時運転した場合には、水質汚濁物質である総窒素を含む廃水が多量に発生するが、上記構成によれば、スクラバ50の運転時間を大幅に短縮することができる。そのため、総窒素を含む廃水の発生を大幅に削減することができる。
【0169】
〔実施の形態3〕
本発明にかかるアミン処理システムの他の実施形態について図3に基づいて説明すれば以下の通りである。なお、説明の便宜上、実施の形態1および2で用いた部材と同一の機能を有する部材には同一の部材番号を付記し、その説明を省略する。
【0170】
本実施形態にかかるアミン処理システム3は、図3に示すように、高濃度処理装置20と、脱臭装置30と、スクラバ50と、アミン凝縮防止装置80(ガス凝縮防止部)と、ガス検知器61と、バルブ60とを備えている。
【0171】
なお、アミン処理システム3は、図3の構成に限定されるものではなく、図1および図2に示す各アミン処理システムにアミン凝縮防止装置80を備える構成としてもよい。
【0172】
アミン凝縮防止装置80は、図3に示すように、真空ポンプ82と、保温配管83とを備えている。アミン凝縮防止装置80は、真空ポンプ82の前段に、ミストトラップ(図示せず)を備えていてもよい。なお、アミン凝縮防止装置80については、上記特許文献3も参照されたい。
【0173】
また、本実施形態では、真空ポンプ82を用いて、上記排ガスを減圧して吸引しているが、大気圧下で吸引してもよい。
【0174】
このようにして吸引したガスは、その圧力におけるガスの露点以上の温度に保っておけば、凝縮することはない。
【0175】
なお、押出機10がイミド樹脂製造装置である場合、押出機10から排出されるガス(すなわち、上記第1ガス)は、可燃性ガスである。このような可燃性ガスの場合には、ガスの露点以上の温度に保つと共に、ガスの発火点以下の温度に保つ必要がある。
【0176】
具体的には、押出機10がイミド樹脂製造装置である場合、上記吸引したガスは保温配管83を通して、ガス温を80℃〜180℃に保っておけば、凝縮も発火もしない。そのため、押出機10から排出された高濃度のアミン類ガスを含有する排ガスを、ガス状のまま、高濃度処理装置20に送ることができる。
【0177】
なお、上記排ガスを大気圧下で吸引する場合も、該排ガスの露点以上の温度に保っておけば、凝縮することはない。また、該排ガスの可燃性ガスである場合には、その発火点以下の温度に保っておけば、発火することはない。
【0178】
具体的には、押出機10がイミド樹脂製造装置である場合、上記吸引したガスは保温配管83を通して、ガス温を、100℃程度、より具体的には80℃〜180℃の高温に保持しておけば、常圧であっても、上記排ガスは凝縮しない。そのため、押出機10から排出されたアミン類ガスを含有する排ガスを、ガス状のまま、高濃度処理装置20に送ることができる。
【0179】
押出機10から排出された高濃度のアミン類ガスを含有する排ガスが凝縮すると、該凝縮液は、高濃度のアミン類を含有するため、強い悪臭を持つ。具体的には、イミド樹脂の製造に用いるモノメチルアミン、副成するジメチルアミン、トリメチルアミンは悪臭物質である。したがって、該凝縮液を取り出す際には、環境に悪臭を放出することになる。しかし、上記構成によれば、該凝縮液の発生が抑制されているため、凝縮液の抜き出しが実質的に不要となり、作業安全性を向上させ、かつ、環境への負荷を低減することができる。
【0180】
真空ポンプ82は、特に限定されるものではないが、内部での温度上昇が小さなスクリュ式等の真空ポンプを用いることが好ましい。
【0181】
一般に用いられるドライ式真空ポンプは、圧縮熱が大きいため、ガスクーラー等を設けてポンプ圧縮部の入口温度を下げることにより、ポンプ内部でのガスの最高温度を下げる。その結果、ガス温は、常圧での露点、60℃〜90℃以下になる。そのため、ポンプ内で凝縮液が生じる。したがって、定期的あるいは連続的に凝縮液を抜き出す必要がある。
【0182】
つまり、このようなドライ式真空ポンプを用いると、凝縮液を抜き出す際に、強い悪臭を生じるとともに、凝縮液の抜き出しが不十分で、ポンプ内部に該凝縮液が溜まるとポンプが破損する恐れがある。
【0183】
しかし、スクリュ式真空ポンプによれば、圧縮熱を抑えることができるため、ガスクーラーがなくとも、最高温度を抑えることができ、ガスクーラーを設けることによるガス凝縮を抑えることができる。また、このような真空ポンプの中から、適切な温度上昇の真空ポンプをさらに選定することにより、ガスの温度を発火点以下に抑えることができる。
【0184】
したがって、上記排ガスを凝縮させることなく、保温配管83を通して、ガス状態のまま、高濃度処理装置20に送気することができる。
【0185】
このように、本実施形態にかかるアミン処理システム3によれば、例えば、押出機中でアクリル系樹脂のイミド化をおこなう反応押出において、反応後のガス状物質の除去を行う真空ポンプおよび排気系に関して、排ガス中の成分を凝縮させずに、安全かつ環境に配慮して処理することができる。
【0186】
また、ポンプ内部のガス温度をガスの凝縮温度以上かつ発火点以下に保ち、ガスの凝縮を防止して、廃液の発生を防止することができる。
【0187】
さらに、真空ポンプの排気および大気圧下での排気系において、配管の加熱または保温を行うことにより、排ガス処理設備まで配管中での凝縮液の発生を防止することができる。
【0188】
本発明にかかるアミン処理システムは、上説したような構成を備えているため、窒素酸化物の発生を低減しつつ、確実に処理することができる。このようなアミン処理システムは、特に高濃度のアミン類ガスを多量に排出する製造プラント、例えば、イミド樹脂を製造するプラントのアミン処理に好適に用いることができる。
【0189】
より詳しく説明すれば、イミド樹脂は、成形して、例えば、カメラやVTR、プロジェクター用の撮影レンズやファインダー、フィルター、プリズム、フレネルレンズなどの映像分野、CDプレイヤーやDVDプレイヤー、MDプレイヤーなどの光ディスク用ピックアップレンズなどのレンズ分野、CDプレイヤーやDVDプレイヤー、MDプレイヤーなどの光ディスク用の光記録分野、液晶用導光板、偏光子保護フィルムや位相差フィルムなどの液晶ディスプレイ用フィルム、表面保護フィルムなどの情報機器分野、光ファイバ、光スイッチ、光コネクターなどの光通信分野、自動車ヘッドライトやテールランプレンズ、インナーレンズ、計器カバー、サンルーフなどの車両分野、眼鏡やコンタクトレンズ、内視境用レンズ、滅菌処理の必要な医療用品などの医療機器分野、道路透光板、ペアガラス用レンズ、採光窓やカーポート、照明用レンズや照明カバー、建材用サイジングなどの建築・建材分野、電子レンジ調理容器(食器)、家電製品のハウジング、玩具、サングラス、文房具、などに用いることができる。
【0190】
したがって、本発明は、これらの製品の製造にかかる産業分野に広く用いることができる。
【0191】
また、本発明には、上記アミン処理システムを用いて、好適に実施することができるアミン類ガスを含有するガスを処理する方法(すなわち、アミン処理方法)も含まれる。
【0192】
すなわち、本発明にかかるアミン処理方法は、(1)アミン濃度が10000ppm以上の上記アミン類ガスを含有するガス(すなわち、上記第1ガス)は燃焼法により処理し、(2)アミン濃度が1000ppm以下の上記アミン類ガスを含有するガス(すなわち、上記第2ガス)は、吸着法により処理し、(3)さらに、アミン濃度が10000ppm以上の上記アミン類ガスを含有するガスの燃焼が不可能なときには、該ガスを吸着法および/または中和吸収法により処理する方法である。
【0193】
このような方法によれば、モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、およびトリエチルアミンからなる群より選択される少なくとも1種のアミンガスを高濃度に含むアミン類ガスを、NOxの発生を抑制した上で、確実に処理することができる。
【0194】
なお、このような本発明にかかるアミン処理方法は、上記本発明にかかるアミン処理システムの説明を読んだ当業者であれば、その構成を容易に理解することができる。
【0195】
本発明は、以上説示した各構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【実施例】
【0196】
本発明について、実施例および比較例、並びに図1〜図6に基づいてより具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。当業者は本発明の範囲を逸脱することなく、種々の変更、修正、および改変を行うことができる。なお、以下の実施例および比較例における排ガス成分の測定、並びにアミン処理システムの出口のトリメチルアミン濃度およびトリメチルアミン環境濃度は、次のようにして評価した。
【0197】
〔排ガス成分の測定〕
押出機から分離除去された排ガスを凝縮器に入る前に−30℃に冷却したトラップを通過させることで得られた凝縮液をガスクロマトグラフ分析を行い、検量線との面積比によって排ガス成分比率を算出した。
【0198】
〔アミン処理システムの出口のトリメチルアミン濃度およびトリメチルアミン環境濃度〕
アミン処理システムの出口から排出される処理ガスの一部あるいはアミン環境濃度は、昭和47年環境庁告示第9号特定悪臭物質の測定の方法別表第三に掲げる方法に準じて、試料捕集管で試料採取後、濃縮してガスクロマトグラフ分析結果からトリメチルアミン濃度を算出した。
【0199】
〔実施例1〕
図3に示すアミン処理システムにおいてスクラバ50を備えないアミン処理システムを構築し、該アミン処理システムのイミド樹脂製造時に排出されるアミンガスの処理能力を評価した。
【0200】
具体的には、市販のポリメタクリル酸樹脂、イミド化剤としてモノメチルアミンを用いて、イミド化樹脂を製造した。イミド化樹脂の製造には、押出機(押出機10)として、口径75mm、L/D=60の噛み合い形同方向回転二軸押出機(以下の説明では、便宜上、単に「押出機」と称する)を用いた。また、イミド化樹脂の製造工程において、押出機の各温調ゾーンの設定温度を230℃、スクリュ回転数を100rpmとし、原料樹脂を100kg/hで供給して溶融させた後に、反応ゾーンに設けたノズルからモノメチルアミンを30kg/hで圧入した。
【0201】
反応後の未反応ガスおよび副成ガスを、大気圧条件と、−0.08MPaに減圧したベント口から全量、分離除去した。押出機出口に設けたダイスからストランドとして出てきた樹脂は、水槽で冷却した後、ペレタイザでペレット化した。
【0202】
減圧ベントガスは、真空ポンプを用いて排気させた。該真空ポンプとしては、スクリュ式ポンプを用い、内部および排気配管で凝縮しないように排気温度を120℃〜200℃に保持して、該スクリュ式ポンプの減圧運転を行った。
【0203】
大気圧ベントガスについても、凝縮しないように120℃〜150℃に、保温あるいは加熱した。そして、大気圧ベントガスと減圧ベントガスとを混合し、ガス状態のまま、直接燃焼式燃焼炉(高濃度処理装置20;以下の説明では、便宜上、単に「燃焼炉」と称する)に送気した。
【0204】
その結果、ベントガスとして、時間当たり15kg/hのアミン類を含む約50kg/hのプロセス排ガスが大気圧ベントと減圧ベントとから発生した。
【0205】
減圧ベントガスは、真空ポンプ(真空ポンプ82)としてスクリュ式ポンプを用い、内部および排気配管で凝縮しないように排気温度を120℃以上200℃以下で減圧運転を行った。また、常圧になる真空ポンプの排気は、除害設備までの配管を120℃以上150℃以下になるように、蒸気等により加熱保温することでガス状態を保った。
【0206】
大気圧ベントについても、凝縮しないように120℃以上150℃以下で、蒸気等による保温あるいは加熱を行った。大気圧ベントと真空ポンプ排気は直接燃焼装置等の除害設備の前に合流させ、ガス状態のまま、燃焼除害した。
【0207】
除害前のベントガス中のアミン濃度は、約20%で、メタノール濃度は約40%であった。除害装置として燃焼炉を用いて、完全燃焼に必要な空気で分解燃焼処理した後脱硝処理して、NO濃度100ppm、全アミン濃度1ppm(臭気強度10000)となった燃焼排気が、風量20Nm/分で発生した。
【0208】
一方、押出機(押出機10)周辺の局所排気および換気空気に含まれる、最大5ppmのアミン類を含むガス(風量500Nm/分)を、吸着剤を充填した吸着脱臭設備(脱臭装置30)に供給したところ、99%脱臭処理することができた。
【0209】
燃焼炉(高濃度処理装置20)と吸着脱臭設備(脱臭装置30)とで処理した排ガスを混合して、アミン処理システム外に排出したところ、該排ガス中のNO排出総量は0.15kg/h、アミン濃度は0.05ppm以下であった。
【0210】
〔実施例2〕
図3に示すアミン処理システムを構築し、該アミン処理システムのイミド樹脂製造時に排出されるアミンガスの処理能力を評価した。なお、イミド樹脂の製造については、実施例1と同様の方法で行った。
【0211】
具体的には、押出機(押出機10)周辺の局所排気を処理するための緊急除害設備としてのスクラバ(スクラバ50)、および押出機周辺の局所排気および室内換気空気を処理するための吸着脱臭設備(脱臭装置30)を備えるアミン処理システムを構築した。なお、上記スクラバ(スクラバ50)としては、硫酸を用いたスクラバ(以下、「硫酸スクラバ」ともいう)を用いた。
【0212】
押出機(押出機10)周辺の局所排気および室内換気空気として、アミン類が1ppm含まれる排ガスを風量500Nm/Hで排気したところ、スクラバ(スクラバ50)を起動しない休止状態であっても(すなわち、吸着脱臭設備(脱臭装置30)のみによる処理であっても)、アミン処理システムから排気されるアミン濃度は、0.05ppm以下とすることができた。また、スクラバ(スクラバ50)は休止状態にあったため、スクラバ(スクラバ50)からの廃水は0であった。
【0213】
〔実施例3〕
実施例2のアミン処理システムにおいて、押出機(押出機10)周辺の局所排気および室内換気空気として、アミン類が1ppm含まれる排ガスを風量500Nm/Hで排気し、スクラバ(スクラバ50)を休止状態(すなわち、吸着脱臭装置のみによる処理)で処理している最中に、押出機(押出機10)に異常を発生させることにより、アミン類を漏洩させた。その結果、漏洩したガスを含む排ガス中のアミン類の濃度が1000ppmに上昇した。
【0214】
ガス検知器(ガス検知器61)により、緊急除害設備の硫酸スクラバ(スクラバ50)が作動した結果、アミン処理システムから排気される排ガスのアミン濃度は、0.5ppmになった。
【0215】
なお、実施例3においても、イミド樹脂の製造については、実施例1と同様の方法で行った。
【0216】
〔比較例1〕
図4に示すアミン処理システムを構築し、該アミン処理システムのイミド樹脂製造時に排出されるアミンガスの処理能力を評価した。
【0217】
具体的には、実施例1において、吸着脱臭設備(脱臭装置30)を備えず、押出機(押出機10)周辺の局所排気および室内換気空気を、押出機(押出機10)から排出される高濃度のアミンガスを含有する排ガスと混合して、燃焼炉(燃焼炉200)で処理するアミン処理システムを構築した。
【0218】
つまり、比較例1では、押出機のような反応器(押出機10)などから排出される10000ppmオーダーのアミンを含有する排ガスと、押出機(押出機10)からわずかにもれる臭気と、作業により大気に放出されるガスを換気する局所排気とを、まとめて燃焼炉(燃焼炉200)で除害および脱臭処理した。
【0219】
該アミン処理システムでは、アミン濃度の高い排ガス(すなわち、押出機(押出機10)のような反応器などから排出される排ガス)と、アミン濃度の薄い空気(すなわち、押出機(押出機10)からわずかにもれる臭気や、作業により大気に放出されるガス)と混合して処理するため、燃焼炉(燃焼炉200)の風量が大きくなる。
【0220】
また、燃焼炉(燃焼炉200)での爆発危険性を無くすために、混合後の排ガスの可燃性ガス濃度が爆発範囲にある場合には、爆発範囲の下限値以下とする必要がある。その場合、更に空気で、排ガスを希釈するため、風量がより大きくなる。このように、このアミン処理システムでは、アミン濃度の高い排ガスを空気と混合してから燃焼炉で処理するため、可燃性ガスの爆発範囲外の下限側で運転することにほぼ限定される。
【0221】
さらに、燃焼前の排ガス中の可燃性ガス濃度が低く、自燃できるだけの熱量以下となる場合には、別途燃料を供給する必要がある。その場合、COの発生量が増大する。
【0222】
また、このようなアミン処理システムは、実施例1〜3のアミン処理システムとは異なり、アミンガスの処理に関して、1系列しか処理設備を持たないため、トラブル時のバックアップがない。
【0223】
このようなアミン処理システムを用いて、実施例1と同様の条件で、イミド樹脂製造時に排出されるアミンガスの処理能力を評価した。
【0224】
具体的には、時間当たり15kg/hのアミン類を含む50kg/h(約1.2Nm/分)のプロセス排ガス(アミン濃度で約20%)を、押出機(押出機10)周辺の局所排気および室内換気空気として、アミン類が1ppm含まれる排ガス(風量500Nm/H)と混合して、燃焼除害装置(燃焼炉200)を用いて、分解燃焼処理した後脱硝処理した。
【0225】
処理した排ガスを、アミン処理システム外に排気したところ、NO濃度は50ppm、アミン濃度は0.05ppmであり、風量は600Nm/分であった。このときのNO排出総量は3.5kg/hとなった。
【0226】
このように、比較例1では、実施例1に比べて、大風量での燃焼処理となったため、アミン処理システムから排出された排ガス中のNO濃度は、実施例1とほぼ同程度であったが、アミン処理システムから排出されるNO総量は、実施例1よりも大幅に増加した。
【0227】
〔比較例2〕
図5に示すように、燃焼炉(燃焼炉200)の代わりに、除害脱臭設備としてのスクラバ(スクラバ210)を備えていることを除いて、比較例1と同一のアミン処理システムを構築し、該アミン処理システムのイミド樹脂製造時に排出されるアミンガスの処理能力を評価した。
【0228】
つまり、比較例2では、押出機(押出機10)等から排出される10000ppmオーダーのアミンガスを含有する排ガス、押出機(押出機10)からわずかにもれる臭気、および作業により大気中に放出されるガスを換気する局所排気とを、まとめて上記スクラバ(スクラバ210)で除害および脱臭処理した。
【0229】
上記スクラバ(スクラバ210)としては、吸収性能を確保するため、また吸収後の排水からの臭気防止のため、吸収水として、硫酸等で酸性した酸性水を用いて化学吸収を行うスクラバを用いた。
【0230】
該アミン処理システムでは、濃度の薄い空気と混合して処理するため、アミン濃度の高い排ガス(すなわち、押出機10から排出される排ガス)と、アミン濃度の薄い空気(すなわち、押出機10からわずかにもれる臭気や、作業により大気に放出されるガス)と混合して処理するため、スクラバ(スクラバ210)の風量が大きくなる。
【0231】
また、実施例1〜3とは異なり、燃焼炉(高濃度処理装置20)ではなく、スクラバ(スクラバ210)で処理することから、NOの発生はないが、吸収排水中には大量の有機分、アミン塩が含まれる。そのため、水質汚染物質であるCOD、BOD、窒素分を処理するための排水処理設備を、別途設ける必要がある。
【0232】
また、このようなアミン処理システムは、実施例1〜3のアミン処理システムとは異なり、アミンガスの処理に関して、1系列しか処理設備を持たないため、トラブル時のバックアップがない。
【0233】
さらに、回転機器での爆発を防止するために、混合後の排ガスの可燃性ガス濃度が爆発範囲にある場合には、爆発範囲の下限値以下とする必要がある。
【0234】
このようなアミン処理システムを用いて、実施例1と同様の条件で、イミド樹脂製造時に排出されるアミンガスの処理能力を評価した。
【0235】
具体的には、時間当たり15kg/hのアミン類を含む50kg/h(約1.2Nm/分)のプロセス排ガス(アミン濃度で約20%)を、押出機(押出機10)周辺の局所排気および室内換気空気として、アミン類が1ppm含まれる排ガス(風量500Nm/H)と混合して、硫酸を吸収液に用いたスクラバ(スクラバ210)にて吸収処理した。
【0236】
その結果、NO発生量は0であったが、総窒素分として300ppmを含む廃水が10ton/hの速度で生じた。
【0237】
したがって、比較例2のアミン処理システムでは、窒素分および有機分を含む排水を処理するための廃水処理設備がさらに必要になる。
【0238】
〔比較例3〕
図1に示すアミン処理システムにおいてバルブ60を備えないアミン処理システムを構築し、該アミン処理システムのイミド樹脂製造時に排出されるアミンガスの処理能力を評価した。
【0239】
具体的には、アミン類が1ppm含まれる500Nm/Hの室内排気を、活性炭吸着装置を用いた脱臭設備(脱臭装置30)で処理し、除去率99%で0.01ppmまで脱臭処理していた。
【0240】
ここで、押出機(押出機10)に異常を発生させることにより、アミン類を漏洩させた。このとき、室内排気中のアミン類の濃度が1000ppmに上昇し、脱臭設備(脱臭装置30)によるアミン類の除去率が95%以下にまで低下し、50ppm以上のアミン類を含む排ガスが放出されるとともに、脱臭装置(脱臭装置30)の吸着能力が短時間で消費され、吸着剤の交換を行った。
【0241】
なお、比較例3においても、イミド樹脂の製造については、実施例1と同様の方法で行った。
【0242】
〔比較例4〕
図2に示すアミン処理システムにおいてバルブ60を備えないアミン処理システムを構築し、該アミン処理システムのイミド樹脂製造時に排出されるアミンガスの処理能力を評価した。
【0243】
具体的には、アミン類が1ppm含まれる500Nm/Hの工場の室内排気を、スクラバ(スクラバ50)を用いて処理し、除去率95%で0.05ppmまで脱臭処理していた。
【0244】
ここで、押出機(押出機10)に異常を発生させることにより、アミン類を漏洩させた。このとき、室内排気中のアミン類の濃度が1000ppmに上昇した。その結果、スクラバ(スクラバ50)の設計能力以上のアミン類ガス濃度を処理することになり、排気されるアミン濃度は、50ppm以上になった。
【0245】
〔比較例5〕
図6に示すように、スクリュ式真空ポンプ(真空ポンプ82)に代えて、ルーツ式ドライ式真空ポンプ(真空ポンプ820)を配置し、さらに該真空ポンプ820の前に凝縮器(凝縮器810)を配置することにより、図3に示すアミン処理システムと同様のアミン処理システムを構築し、該アミン処理システムのイミド樹脂製造時に排出されるアミンガスの処理能力を評価した。
【0246】
具体的には、市販のポリメタクリル酸樹脂、イミド化剤としてモノメチルアミンを用いて、イミド化樹脂を製造した。イミド化樹脂の製造には、押出機(押出機10)として、口径75mm、L/D=60の噛み合い形同方向回転二軸押出機(以下の説明では、便宜上、単に「押出機」と称する)を用いた。また、イミド化樹脂の製造工程において、押出機の各温調ゾーンの設定温度を230℃、スクリュー回転数を100rpmとし、原料樹脂を100kg/hで供給して溶融させた後に、反応ゾーンに設けたノズルからモノメチルアミンを30kg/hで圧入した。
【0247】
反応後の未反応ガスおよび副成ガスを、大気圧条件と、−0.08MPaに減圧したベント口から全量、分離除去した。押出機出口に設けたダイスからストランドとして出てきた樹脂は、水槽で冷却した後、ペレタイザでペレット化した。
【0248】
ベントガスとして、時間当たり15kg/hのアミン類を含むプロセス排ガス約50kg/hが、大気圧ベントと減圧ベントから発生した。
【0249】
そのうち、真空ポンプ(真空ポンプ820)を用いて排気される減圧ベントガスが20kg/hとなり、凝縮器(凝縮器810)および真空ポンプ(真空ポンプ820)のドレンより、ほぼ全量の凝縮液が排出された。
【0250】
大気圧ベントおよび真空ポンプ排気はそのまま、排ガス燃焼装置(高濃度処理装置220)で分解処理した。
【0251】
凝縮器(凝縮器810)および真空ポンプ(真空ポンプ820)のドレンポットから抜き出した凝縮液は、産業廃棄物として処分あるいは、燃焼装置にて焼却処分した。
【0252】
真空ポンプ(真空ポンプ820)内のガス温度は、ガスの圧縮熱による温度上昇を抑える。そのため、中間冷却器で水冷され、真空ポンプ出口温度が、常圧における露点90℃以下まで冷却され、凝縮液の発生が抑えることができなかった。
【0253】
このように、比較例5のアミン処理システムでは、凝縮器(凝縮器810)および真空ポンプ(真空ポンプ820)のドレンポットから凝縮液を抜き出す必要があることが明らかとなった。このような凝縮液は、産業廃棄物として処分あるいは、別の燃焼装置にて焼却処分する必要がある。
【0254】
なお本発明は、以上説示した各構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態や実施例にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態や実施例についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0255】
以上のように、本発明では、高濃度のアミン類ガス処理用の装置と、中低濃度のアミン類ガス処理用の装置との2つの系列のアミン類ガス処理装置を備えている。さらに、高濃度のアミン類ガス処理用の装置に異常が発生した際には、中低濃度のアミン類ガス処理用の装置がバックアップ装置として機能する。したがって、10000ppm以上の高濃度のアミン類ガスと、1000ppm以下の低濃度のアミン類ガスとが別々に発生する状況下において、窒素酸化物の発生を低減しつつ、確実に処理することができる。そのため、本発明は、10000ppm以上の高濃度のアミン類ガスと、1000ppm以下の低濃度のアミン類ガスとが別々に発生する各種製造プラント、例えば、イミド樹脂を用いる各種製品の製造にかかる産業分野におけるアミン処理システムとして広く適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0256】
【図1】図1は、本発明の一実施形態にかかるアミン処理システムの要部を示すブロック図である。
【図2】図2は、本発明の別の実施形態にかかるアミン処理システムの要部を示すブロック図である。
【図3】図3は、本発明のさらに別の実施形態にかかるアミン処理システムの要部を示すブロック図である。
【図4】図4は、比較例にかかるアミン処理システムの要部を示すブロック図である。
【図5】図5は、比較例にかかるアミン処理システムの要部を示すブロック図である。
【図6】図6は、比較例にかかるアミン処理システムの要部を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0257】
1 アミン処理システム
2 アミン処理システム
3 アミン処理システム
20 高濃度処理装置(高濃度アミン処理部)
30 脱臭装置(低濃度アミン処理部)
50 スクラバ(中濃度アミン処理部)
60 バルブ(制御部)
61 ガス検知器(ガス検知部)
70 脱硝装置(脱硝処理部)
80 アミン凝縮防止装置(ガス凝縮防止部)
82 真空ポンプ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、およびトリエチルアミンからなる群より選択される少なくとも1種のアミンガスを含むアミン類ガスを処理するためのアミン処理システムであって、
アミン濃度が10000ppm以上の上記アミン類ガスを含有する第1ガスに含有されるアミン類ガスを燃焼させる高濃度アミン処理部と、
アミン濃度が1000ppm以下の上記アミン類ガスを含有する第2ガスに含まれるアミン類ガスを吸着させる低濃度アミン処理部と、
上記高濃度アミン処理部または低濃度アミン処理部への上記第1ガスの送気を制御する制御部と、を備えており、
上記制御部は、上記高濃度アミン処理部が上記第1ガスを燃焼させることが不可能なとき、上記第1ガスを上記低濃度アミン処理部に送気することを特徴とするアミン処理システム。
【請求項2】
上記第1ガスは、上記アミン類ガスに加えて、30%以上の可燃性ガスを含有することを特徴とする請求項1に記載のアミン処理システム。
【請求項3】
上記可燃性ガスは、メタノールを含有することを特徴とする請求項2に記載のアミン処理システム。
【請求項4】
上記高濃度アミン処理部は、燃焼方式の燃焼炉であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のアミン処理システム。
【請求項5】
上記低濃度アミン処理部の前段に、中濃度アミン処理部をさらに備え、
該中濃度アミン処理部は、上記第2ガス中のアミン濃度が5ppmよりも高いときに、該第2ガス中のアミン類ガスの50%以上を吸収した後、該第2ガスを上記低濃度アミン処理部に送気することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のアミン処理システム。
【請求項6】
上記制御部は、上記高濃度アミン処理部が上記第1ガスを燃焼させることが不可能なとき、上記第1ガスを上記中濃度アミン処理部を経由して、上記低濃度アミン処理部に送気することを特徴とする請求項5に記載のアミン処理システム。
【請求項7】
上記第1ガスの凝縮を防止するためのガス凝縮防止部をさらに備え、
該ガス凝縮防止部は、上記第1ガスを、ガス状態のまま、上記高濃度アミン処理部に送気することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のアミン処理システム。
【請求項8】
上記高濃度アミン処理部の後段に、脱硝処理部をさらに備え、
該脱硝処理部は、上記高濃度アミン処理部において上記第1ガスを燃焼させたときに生じる窒素酸化物を処理することを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載のアミン処理システム。
【請求項9】
上記第1ガスは、アクリル系樹脂をイミド化してイミド樹脂を製造するために用いられる製造装置から排出された排ガスであることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載のアミン処理システム。
【請求項10】
上記イミド樹脂は、下記一般式(1)
【化1】

(式中、RおよびRは、それぞれ独立して、水素または炭素数1〜8のアルキル基であり、Rは、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数3〜12のシクロアルキル基、または炭素数6〜10のアリール基である。)
で表される繰り返し単位と、下記一般式(2)
【化2】

(式中、RおよびRは、それぞれ独立して、水素または炭素数1〜8のアルキル基であり、Rは、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数3〜12のシクロアルキル基、または炭素数6〜10のアリール基である。)
で表される繰り返し単位とを含むことを特徴とする請求項9に記載のアミン処理システム。
【請求項11】
上記イミド樹脂は、下記一般式(3)
【化3】

(式中、Rは、水素または炭素数1〜8のアルキル基であり、Rは、炭素数6〜10のアリール基である。)
で表される繰り返し単位をさらに含むことを特徴とする請求項10に記載のアミン処理システム。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれか1項に記載のアミン処理システムを用いて、アミン類ガスを処理することを特徴とするアミン処理方法。
【請求項13】
モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、およびトリエチルアミンからなる群より選択される少なくとも1種のアミンガスを含むアミン類ガスを処理するためのアミン処理方法であって、
アミン濃度が10000ppm以上の上記アミン類ガスを含有する第1ガスは燃焼法により処理し、
アミン濃度が1000ppm以下の上記アミン類ガスを含有する第2ガスは、吸着法により処理し、
さらに、上記第1ガスの燃焼が不可能なときには、上記第1ガスを吸着法および/または中和吸収法により処理することを特徴とするアミン処理方法。
【請求項14】
上記第1ガスは、上記アミン類ガスに加えて、30%以上の可燃性ガスを含有することを特徴とする請求項13に記載のアミン処理方法。
【請求項15】
上記可燃性ガスは、メタノールを含有することを特徴とする請求項14に記載のアミン処理方法。
【請求項16】
上記第1ガスの燃焼は、燃焼方式の燃焼炉を用いて行うことを特徴とする請求項13〜15のいずれか1項に記載のアミン処理方法。
【請求項17】
上記第2ガス中のアミン濃度が5ppmよりも高いとき、該第2ガス中のアミン類ガスの50%以上を吸収させて、該第2ガス中のアミン類ガスの濃度を低下させることを特徴とする請求項13〜16のいずれか1項に記載のアミン処理方法。
【請求項18】
上記第1ガスを、凝縮させることなく、ガス状態のまま燃焼させることを特徴とする請求項13〜17のいずれか1項に記載のアミン処理方法。
【請求項19】
上記第1ガスを燃焼させたときに生じる窒素酸化物を処理することを特徴とする請求項13〜18のいずれか1項に記載のアミン処理方法。
【請求項20】
上記第1ガスは、アクリル系樹脂をイミド化してイミド樹脂を製造するために用いられる製造装置が排出する排ガスであることを特徴とする請求項13〜19のいずれか1項に記載のアミン処理方法。
【請求項21】
上記イミド樹脂は、下記一般式(1)
【化4】

(式中、RおよびRは、それぞれ独立して、水素または炭素数1〜8のアルキル基であり、Rは、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数3〜12のシクロアルキル基、または炭素数6〜10のアリール基である。)
で表される繰り返し単位と、下記一般式(2)
【化5】

(式中、RおよびRは、それぞれ独立して、水素または炭素数1〜8のアルキル基であり、Rは、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数3〜12のシクロアルキル基、または炭素数6〜10のアリール基である。)
で表される繰り返し単位とを含むことを特徴とする請求項20に記載のアミン処理方法。
【請求項22】
上記イミド樹脂は、下記一般式(3)
【化6】

(式中、Rは、水素または炭素数1〜8のアルキル基であり、Rは、炭素数6〜10のアリール基である。)
で表される繰り返し単位をさらに含むことを特徴とする請求項21に記載のアミン処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−125692(P2009−125692A)
【公開日】平成21年6月11日(2009.6.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−305105(P2007−305105)
【出願日】平成19年11月26日(2007.11.26)
【出願人】(000000941)株式会社カネカ (3,932)
【Fターム(参考)】