アライメント機能付きステージ及びこのアライメント機能付きステージを備えた処理装置並びに基板アライメント方法
【課題】処理対象物の重量が重い場合でも、特にθ方向の位置合わせを高精度かつ容易に行い得る低コストのアライメント機能付きステージを提供する。
【解決手段】基板Sをその処理面を開放して保持するステージ本体4aを備えたアライメント機能付きステージを有し、基板の処理面に背向する他面に吸着自在な吸着手段8と、前記吸着手段での吸着箇所以外の領域に気体を供給する気体供給手段9と、前記吸着手段を回転中心として基板が同一平面内で回転されるように前記吸着手段に回転力を付与する駆動手段10とを備え、前記駆動手段は、前記吸着手段を所定の微小角度範囲内で回転させる微動機構と、前記吸着手段を微動機構より大きな角度範囲で回転させる粗動機構とから構成され、前記粗動機構が前記吸着手段に直結されている。
【解決手段】基板Sをその処理面を開放して保持するステージ本体4aを備えたアライメント機能付きステージを有し、基板の処理面に背向する他面に吸着自在な吸着手段8と、前記吸着手段での吸着箇所以外の領域に気体を供給する気体供給手段9と、前記吸着手段を回転中心として基板が同一平面内で回転されるように前記吸着手段に回転力を付与する駆動手段10とを備え、前記駆動手段は、前記吸着手段を所定の微小角度範囲内で回転させる微動機構と、前記吸着手段を微動機構より大きな角度範囲で回転させる粗動機構とから構成され、前記粗動機構が前記吸着手段に直結されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アライメント機能付きステージ及びこのアライメント機能付きステージを備えた処理装置並びに基板アライメント方法に関し、特に、1軸に沿って移動自在に配置された塗布ヘッドを備えたインクジェット式塗布装置に用いられるものに関する。
【背景技術】
【0002】
フォトリソグラフィー工程を経ることなく基板上に微細な導電パターン等を直接形成するためにインクジェット式塗布装置(以下、「塗布装置」という)を用いることが知られており、近年では、大面積の薄膜トランジスタ基板の製作工程において数μmの高精細なソース・ドレイン電極パターンを形成すること、フラットパネルディスプレイ用のカラーフィルター、配向膜やスペーサーを形成することにも利用されている。
【0003】
この種の塗布装置としては、次のような構成を有するものが特許文献1で知られている。即ち、特許文献1記載のものは、処理すべき基板をその処理面を開放して吸着保持可能なステージとインクジェット手段とから構成されている。ステージは、モータを有する送りねじによりX軸ガイドに沿って移動自在である。他方、インクジェット手段は、ステージの移動経路上で当該ステージを跨ぐように設けられた門型の支持手段と、当該支持手段にY軸方向に移動自在に配置され、基板に対し所定のインクを塗布する少なくとも1個の塗布ヘッドとを有している。
【0004】
ここで、上述のものでは、ステージで基板を吸着保持したときや搬送ロボットでステージに基板を設置したときに位置ずれが生じる場合がある。このため、インクの塗布に先立って塗布ヘッドに対する基板の走査面の位置合わせ(アライメント)が行なわれる。このとき、X軸方向及びY軸方向だけでなく、基板を同一平面内でθ方向に回転させて塗布ヘッドに対する基板の傾きをも調節する必要がある。
【0005】
このような場合、基板を吸着保持した状態でステージ自体を回転させてアライメントを行うように構成することが考えられる。然し、上述したようなフラットパネルディプレイ用の大面積の基板が処理対象物であると、基板サイズが増加するのに伴って基板重量が増加するだけでなく、基板サイズに応じて、ステージ自体も大型化してその重量が増加する。このため、上記方法では、基板と搬送テーブルとの重量を合わせた重量のものを回転させるための回転機構(軸受け等)が必要となり、装置自体の大型化が避けられず、また、ステージを回転させて精度よくアライメントするために高推力かつ高性能のモータが必要となり、コスト高を招くという不具合がある。
【0006】
他方、ステージを回転自在に構成することに代えて、塗布ヘッドを支持する支持手段を回転自在に構成し、θ方向のアライメントを行うことが考えられるが、これでは、θ方向の位置合わせの際に、支持手段を回転させながら搬送テーブルもX軸及びY軸方向に適宜移動させる必要が生じ、高精度でアライメントするための制御が著しく複雑になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2006−136770号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、以上の点に鑑み、処理対象物の重量が大きい場合でも、特にθ方向の位置合わせが高精度かつ容易に行い得る低コストのアライメント機能付きステージ及びこのアライメント機能付きステージを備えた処理装置並びに基板アライメント方法を提供することをその課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、請求項1記載の発明は、処理対象物をその処理面を開放して保持するステージ本体を備えたアライメント機能付きステージであって、前記処理対象物の前記処理面に背向する他面に吸着自在な吸着手段と、前記吸着手段での吸着箇所以外の領域に気体を供給する気体供給手段と、前記吸着手段を回転中心として前記処理対象物が同一平面内で回転されるように前記吸着手段を回転駆動する駆動手段とを備え、前記駆動手段は、前記吸着手段を所定の微小角度範囲内で回転させる微動機構と、前記吸着手段を微動機構より大きな角度範囲で回転させる粗動機構とから構成され、前記粗動機構が前記吸着手段に直結されていることを特徴とする。
【0010】
本発明によれば、処理対象物をその処理面を開放してステージに載置し、前記処理対象物の前記処理面に背向する他面に吸着手段を吸着させる。そして、吸着手段で吸着された領域を除く前記他面に気体を供給する。この状態で、駆動手段により前記吸着手段を回転中心として同一平面内で所定角度回転させると、処理対象物が吸着手段と一体に所定角度回転できる。その結果、基板をθ方向に回転させてアライメントを行い得る。
【0011】
このように本発明によれば、吸着領域を除く部分に気体を供給することで、当該領域を除く部分を浮上させた状態(この場合、少なくとも当該部分とステージ上面との摩擦抵抗が減少していればよい)で吸着手段と一体に処理対象物のみを回転させてθ方向のアライメントを行う構成を採用したため、例えば処理対象物の重量が大きい場合であっても、大型の軸受け等の回転機構が不要であり、装置自体の大型化を回避できる。しかも、小さな推力で処理対象物を回転できるため、高性能のモータを用いることなく、アライメントを高精度で行うことができ、低コスト化にも寄与する。また、ステージで保持された処理対象物に対向配置されるインクジェット手段のような処理手段を移動させることなく、θ方向のアライメントを行うことができるため、その制御も容易である。
【0012】
ところで、上記ステージにおいてθ方向のアライメントを行う場合、位置合わせ精度(例えば、1μrad以下)だけでなく、アライメント時間の短縮も強く要求される。この場合、前記駆動手段は、前記吸着手段を所定の微小角度範囲内で回転させる微動機構と、前記吸着手段を微動機構より大きな角度範囲で回転させる粗動機構とから構成されていれば、粗動機構により目標とする位置の近傍まで高速で処理対象物を回転駆動させた後、微動機構により高精度な位置決めを行い得る。これにより、高精度かつ短時間のアライメントが実現できる。
【0013】
本発明においては、案内手段と、前記案内手段に沿って前記ステージ本体を移動させる移動手段とを更に備える構成を採用すれば、案内手段の上方に配置される塗布ヘッドなどの処理手段に対してステージ本体の停止位置を変えるだけで、ステージ本体の移動方向におけるアライメントが行い得る。
【0014】
また、前記ステージ本体の前記処理対象物との接触面に吸着溝が形成され、前記処理対象物をステージに基板を載置した状態で前記吸着溝を真空引きする真空ポンプを備えた構成を採用すれば、例えば案内手段に沿ってステージ本体を移動させるときに、ステージ本体に処理対象物が確実に保持されるようにできてよい。
【0015】
また、前記微動機構がアームとこのアームを揺動する駆動源とを備え、この駆動源によりアームを揺動させると、粗動機構を介して前記吸着手段が回転駆動されるように、前記微動機構と前記粗動機構とが連結されていれば、吸着手段を回転駆動する回転軸が共通にできて、駆動手段の構成が複雑になることを回避できる。しかも、θ方向のアライメントを行う際に、粗動機構による回転駆動から微動機構による回転駆動への切り替えも円滑にできる。
【0016】
さらに、前記微動機構のアームは、少なくともステージ本体一側までのびる長さを有し、その先端で前記駆動源に接続されている構成を採用すれば、所定の微小角度を動かすのに必要なアーム先端の変位量が大きくなり、変位量を検出するエンコーダ等の検知手段の分解能を高めて一層高精度なアライメントが実現できる。
【0017】
また、上記課題を解決するために、本発明の処理装置は、請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載のアライメント機能付きステージと、前記ステージで保持された処理対象物に対向配置され、処理対象物に対して所定の処理を施す処理手段とを備えたことを特徴とする。
【0018】
さらに、上記課題を解決するために、本発明の基板アライメント方法は、処理すべき基板をその処理面を開放してステージに載置し、前記処理面と背向する他面に吸着手段を吸着させ、前記吸着手段で吸着された領域を除く前記他面に気体を供給し、前記吸着手段を回転中心として前記基板を同一平面内で所定角度回転させて前記処理対象物の位置合わせを行い、前記処理対象物の位置合わせを行う工程は、所定の微小角度より大きな角度範囲で吸着手段を回転させた後、更に前記微小角度範囲内で吸着手段を回転させて行うことを特徴とする。このようにすれば、高精度かつ短時間のアライメントが実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施形態のアライメント機能付きステージを備えたインクジェット式塗布装置の模式的側面図。
【図2】ステージ本体を説明するインクジェット式塗布装置の部分平面図。
【図3】ステージ本体の構成を説明するインクジェット式塗布装置の部分断面図。
【図4】図3のIV部を拡大した部分断面図。
【図5】図3のV部を拡大した部分断面図。
【図6】本発明のステージによるθ方向の基板のアライメントを説明する図。
【図7】本発明のアライメント機能付きステージの第1変形例を説明する模式的側面図。
【図8】図7のVIII部を拡大した部分断面図。
【図9】図7に示すステージの平面図。
【図10】本発明のアライメント機能付きステージの第2変形例を説明する部分断面図。
【図11】本発明のアライメント機能付きステージの第3変形例を説明する部分断面図。
【図12】第3変形例に係るアライメント機能付きステージの駆動手段を部分的に拡大して説明する斜視図。
【図13】本発明のアライメント機能付きステージの第4変形例を説明する部分断面図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照して、微細な導電パターン等が直接形成されるガラス等の基板Sを処理対象物とし、基板Sを保持する本発明の実施形態のアライメント機能付きステージを処理装置たるインクジェット式塗布装置に適用した場合を例に説明する。
【0021】
インクジェット装置はプラットホーム1を備え、このプラットホーム1上には、直方体形状のベース板2が配置されている。ベース板2はその上面の平滑性が担保できるようにグラナイト等から形成され、ベース板2の上面には、その全長に亘って軸方向に水平に延びる左右一対のレール部材(案内手段)3R、3Lが所定の間隔を存して設けられている(図2参照)。
【0022】
レール部材3R、3L上にはアライメント機能付きステージ4が往復動自在に配置されている。ステージ4は板状のステージ本体4aを備え、ステージ本体4aの下面四隅には、レール部材3R、3Lに摺動自在に係合するスライダ5が取付けられている。ステージ本体4aの下面にはまた、図示省略したナット部材が設けられ、このナット部材には、2本のレール部材3R、3L間で両レール部材3R、3Lに沿って配置した図示省略の送りねじが螺合している。そして、送りねじの一端に連結した図示省略のモータを駆動して送りねじを回転させると、ステージ4がレール部材3R、3L上を往復動する(以下、この往復動方向をX軸方向という)。この場合、上記送りねじとモータとが本実施の形態の移動手段を構成する。なお、移動手段としてはこれに限定されるものではなく、例えば、磁気浮上式の可動子と固定子とからなるリニアモータを用いるようにしてもよい。
【0023】
ここで、ステージ本体4aが、レール部材3R、3LのX軸方向一側に存する位置(図1中右側にある位置:受渡位置)では、公知の構造を有する多関節式アームを備えた搬送ロボットRによりステージ本体4aへの基板Sの受け渡しが行われるようになっている。この基板Sの受け渡しのために、ベース板2の上下方向で当該ベース板2を貫通するように立設した複数本の支持ロッド6aと各支持ロッド6aを昇降させるエアーシリンダ(図示せず)とから構成されるリフト手段6が設けられ、ステージ本体4aの上面から所定の高さ位置で基板Sを押し上げて支持できるようになっている(図1参照)。
【0024】
他方、ステージ4がレール部材3R、3LのX軸方向他側に存する位置(図1中左側にある位置:処理位置)では、ステージ本体4aをX軸方向に適宜往復動させながら、所定の処理が行われるようになっている。本実施の形態のインクジェット式塗布装置では、レール部材3R、3Lの略中央部に位置して処理手段たるインクジェット手段7が配置されている。インクジェット手段7は、X軸方向と直交する方向でステージ本体4aを跨ぐようにベース板2に設けられた門型の支持部材7aと、ステージ本体4aに設置された基板Sに対してインクを塗布する複数個の塗布ヘッド7bとを備えている。
【0025】
各塗布ヘッド7bは、そのノズル7cの先端が同一水平面上に位置しかつ相互に等間隔となるようにホルダ7dで保持され、ホルダ7dは、塗布ヘッド7bが処理位置側(図1中左側)に存するように支持部材7aの上側水平部に取り付けられている。この場合、ホルダ7dは、支持手段7aの上側水平部内に収納されたモータ付き送りねじ(図示せず)に螺合しており、モータを駆動して送りねじを回転させると、各塗布ヘッド3が、X軸方向に直交する方向に一体で往復動する(以下、この往復動方向をY軸方向という)。
【0026】
各塗布ヘッド7bは公知の構造を有するものであり、インクチャンバに設けたピエゾ素子を適宜駆動させてインクタンク5に収納されたインクを滴下するものである。インクタンク5に収納されているインクは、基板S表面に形成しようとするものに応じて適宜選択され、例えば、フラットパネルディスプレイ用のスペーサーを形成する用途のものであれば、スペーサー粒子、バインダ、溶剤からなるインクが用いられる。
【0027】
ところで、上記のように搬送ロボットRにより基板Sをステージ本体4aに受け渡すときに、ステージ本体4aに対し基板Sが位置ずれを起こす場合がある。このため、インクの塗布に先立って塗布ヘッド7bに対して基板Sの位置合わせ(アライメント)を行う必要がある。このとき、X軸方向及びY軸方向だけでなく、基板Sを同一平面内で回転させて各塗布ヘッド7bに対する基板Sの傾き(回転角θ)をも調節する場合がある(以下、この回転方向をθ方向という:図2参照)。
【0028】
そこで、第1の実施形態のステージ4では、基板S裏面の中央領域に吸着自在な吸着手段8と、吸着手段8での吸着箇所以外の基板S裏面領域に気体を供給する気体供給手段9と、吸着手段8を回転中心として基板Sが同一平面内でθ方向に回転されるように吸着手段8に回転力を付与する、即ち、吸着手段8を回転駆動する駆動手段10とを備えている(図3参照)。
【0029】
吸着手段8は、ステージ本体4aの中央に設けた平面視矩形の凹部4bに収容されたチャックプレート11を備える。チャックプレート11は、例えば公知の構造の吸着パッドやポーラス構造の円板からなり、図示省略した排気管を介して真空ポンプに接続されている。そして、真空ポンプを作動させると、チャックプレート11がその表面全体で基板S裏面に吸着するようになっている。また、ステージ本体4aの裏側中央には、凹部4bに通じる貫通孔4cが同心に形成され、貫通孔4cにはスリーブ部材12及びボールベアリング13が設けられ、ボールベアリング13によって押圧部材14が支承されている。この場合、押圧部材14とボールベアリング13のインナレース13aとは、例えば、平行キーを用いたキー結合やスプライン結合とされている(図4参照)。
【0030】
また、押圧部材14は、この押圧部材14の下方に配置した公知の構造の直動式のアクチュエータ15の駆動ロッド15aに連結されている。なお、基板サイズによっては、直動式アクチュエータに代えて、エアシリンダを用いることができ、このような場合には、気体供給手段9から供給される気体を利用して当該エアシリンダを作動させる構成を採用して装置の簡素化を図るようにしてもよい。そして、アクチュエータ15を作動させると、チャックプレート11の上面がステージ本体4a上面から上方に突出した上昇位置と、チャックプレート11をその上面が少なくともステージ本体上面と面一となる下降位置との間で昇降自在となる。それに加えて、後述するアームによりインナレース13aに回転力が付与されると、押圧部材14が回転駆動され、吸着手段8の回転軸たる押圧部材14を回転中心としてチャックプレート11、ひいては基板Sがθ方向に回転される。
【0031】
気体供給手段9は、ステージ本体4a上面のX方向略全長さに亘って形成した複数本の凹溝16と、各凹溝16内に所定の間隔を存して配置したポーラス構造のエアパッド17と、図示省略したコンプレッサー等から各エアパッド17に圧縮空気などの気体を供給するガス管18とから構成されている(図2及び図4参照)。この場合、凹溝16の形成本数やエアパッド17の配置個数は、ステージ本体4aで支持する基板Sの重量に応じて適宜設定される。
【0032】
駆動手段10は、板状のアーム19を備える。アーム19の一端はその中心線上でインナレース13aにピン結合されている。また、アーム19の他端は、ステージ本体の側面までのびてその側面に設けた駆動源20に連結されている。駆動源20は、フレーム20aを備え、フレーム20a内には、モータMを有する送りねじ20bがX軸方向に配置されている。送りねじ20bには、ねじ孔を形成した可動部材20cが螺合し、可動部材20cの上部にはスライダ部20dが形成され、スライダ部20dがフレーム20aの上面内側で送りねじ20bに平行に取付けたレール部材20eに摺動自在に係合している。これにより、モータMを作動させて送りねじ20bを回転させると、モータMの回転方向に応じて可動部材20cがX軸方向に往復動自在となる(図2及び図5参照)。
【0033】
また、可動部材20cの下面には、Y軸方向に延びるレール部20fが形成され、レール部20fには支持部材20gが摺動自在に係合している。支持部材20gの下端には、ベアリング20hを介してアーム19の他端が連結されている。そして、送りねじ20bを回転させて可動部材20cをレール部材20eに沿って移動させると、支持部材20gがレール部20fに沿って移動しながら吸着手段8の回転軸たる押圧部材14に回転力が付与される。
【0034】
この場合、可動部材20cの往復動のストロークの範囲でアーム19が揺動して押圧部材14、ひいては吸着手段9を所定の微小角度範囲内(例えば、1度以内)で回転駆動する微動機構(以下、この駆動手段たる微動機構を符号10で示す)を構成する。ここで、本発明の微小角度範囲は、基板Sのアライメントを行う際に要求される精度等に応じて適宜設定でき、可動部材20cの往復動のストロークを変えることで、微小角度範囲が調整できる。また、駆動源20には、図示省略の光電式リニアエンコーダ等の検出手段が付設され、可動部材20cの変位量を検出できるようになっている。これにより、所定の微小角度(例えば、1度)を動かすためにアーム19を移動させたときの可動部材20cの変位量が、例えば押圧部材14にロータリエンコーダ等の検知手段を設けて回転変位量を検出する場合と比較して大きくなる。その結果、変位量を検出する検知手段の分解能を高めて一層高精度なアライメントが実現できる。
【0035】
ところで、例えばステージ本体4aを受渡位置から処理位置に移動させるとき、吸着手段8のみで基板Sを吸着保持していると、ステージ本体4aの移動開始当初や移動停止時に吸着手段8から基板Sが脱離する等の不具合が生じる虞がある。このため、ステージ本体4aの上面には、真空ポンプに通じる吸着溝21がX軸方向及びY軸方向に延ばして複数本形成されている(図2参照)。そして、ステージ本体4aを移動させる場合には、吸着溝21を真空引きすることで、基板Sをその略全面に亘って吸着保持するようにしている。
【0036】
次に、本実施形態のアライメント機能付きステージ4による基板Sのアライメントを説明する。ステージ本体4aの受渡位置において、リフト手段6の各支持ロッド6aを上昇させた後、搬送ロボットRにより基板Sを搬送し、各支持ロッド6aの先端で基板Sが支持されるように設置する(図1参照)。そして、各支持ロッド6aを下降させて基板Sをステージ本体4aに載置する。なお、インクが塗布される基板Sには、インクジェット手段7によりインクを塗布する際にその走査面の起点となる位置に所定形状のマークR(数十μm〜0.1mm程度のもの)が少なくとも1個付されている(図2参照)。
【0037】
ステージ本体4aに基板Sが載置されると、吸着溝21を真空引きし、基板Sをステージ本体4aにその略全面に亘って吸着させる。この状態で、図示省略した送りねじを回転させてステージ本体4aを処理位置に移動する。ステージ本体4aが処理位置に到達すると、インクジェット手段7の支持部材7aに取付けたCCDカメラ等の撮像手段により基板Sが撮像され、撮像した画像が公知の構造を有する画像解析手段で解析され、解析されたデータがインクジェット式塗布装置の作動を制御するマイコン等の制御手段(図示せず)に出力される。データが制御手段に入力されると、基板SのマークRを基準として、基板位置を合わせるためのX軸方向、Y軸方向及びθ方向の変位量(補正値)が算出される。補正値が算出されると、これに応じてステージ本体4を移動する送りねじ用のモータと、インクジェット手段のホルダ7dの移動させるモータとが制御され、塗布ヘッド7aに対するX軸方向及びY軸方向のアライメントが先ず行われる。そして、真空ポンプの作動を停止して、基板Sの吸着が解除される。
【0038】
次いで、アクチュエータ15を作動させてチャックプレート11を上昇させると、基板がステージ本体4aの上面から押し上げられる。このとき、チャックプレート11に通じる真空ポンプ及び気体供給手段9を作動し、チャックプレート11と基板Sとの接触箇所において基板Sが吸着されると共に、気体供給手段9の各エアパッド18から噴射される気体によってチャックプレート11で吸着された領域を除く箇所(基板の周辺部)が浮上される。このように基板S中央を吸着保持し、その周囲が浮上すると、微動機構10のモータMを駆動し、制御手段での補正値に応じて送りねじが適宜回転される。これにより、アクチュエータ15を中心として揺動するアーム19と押圧部材14とを介してチャックプレート11にその中心を回転中心する回転力が付与され、ステージ本体4a上面に対して基板Sのみが、上記補正値に応じてθ方向に所定の微小角度だけ回転され、θ方向のアライメントが行われる(図6参照)。
【0039】
なお、チャックプレート11を上昇させずにその下降位置で気体供給手段9から気体を供給し、厳密な意味においてチャックプレート11で吸着された領域を除く部分が浮上していなくても、当該部分とステージ本体4a上面との摩擦抵抗を実質的に軽減した状態でθ方向のアライメントを行うこともでき、例えば基板に撓みがあるような場合には、正確なアライメントにとって有利となる。
【0040】
ここで、基板Sの浮上確認は、例えば、個々のエアパッド18に通じるガス管18に接続したエアー流量センサの流量変化量から、または、基板上面よりレーザー変位計等を用いて直接基板面をスキャンして高さの変化を検出することで行うことができる。そして、浮上の確認後、θ方向のアライメントを行うことで、基板S裏面とステージ本体4aとの接触が防止され、基板S裏面に傷を付けることなくアライメントを行い得る。なお、チャックプレート11の下降位置で基板Sを回転させても、気体供給手段9から供給される空気の層によって基板S裏面に傷が付くことを防止できる。
【0041】
このように本実施形態では、エアパッド18から噴射される気体により吸着領域を除く部分を浮上させた状態、または、少なくとも吸着領域を除く部分とステージ本体4a上面との摩擦抵抗を実質的に軽減した状態で基板Sのみを回転させてθ方向のアライメントを行う構成を採用したため、基板Sの重量が大きいときでも、大型の軸受け等の回転機構が不要であり、装置自体の大型化を回避できる。しかも、小さな推力で基板Sを回転できるため、高性能のモータを用いることなく、高精度でアライメントすることが可能になり、低コスト化に寄与する。その上、θ方向のアライメントを行う間、インクジェット手段7、ひいては塗布ヘッド7bの位置を動かす必要はないので、基板のアライメント時に特別な制御を必要としない。
【0042】
上記アライメントが終了した後、基板位置を合わせるために算出させた変位量(補正値)に即して基板SがX軸方向、Y軸方向及びθ方向に移動されたかが確認される。即ち、気体供給手段9の作動を停止すると共に、アクチュエータ15を作動させてチャックプレート11を下降させてチャックプレート11に通じる真空ポンプの作動を停止する。そして、吸着溝21を真空引きし、基板Sをステージ本体4aにその略全面に亘って吸着させる。この状態で、上記と同様に、CCDカメラ等の撮像手段により基板Sが撮像され、撮像した画像が画像解析手段で解析され、解析されたデータが制御手段に出力される。これにより、基板SのマークRを基準として上記確認が行われる。
【0043】
このようにアライメントが終了した後に基板Sを再度ステージ本体4aに吸着させた状態で確認を行うようにすれば、基板Sがステージ本体4a上に存する場合と、浮上させた場合との間で生じる位置ずれの影響を受けずに上記確認が行い得る。
【0044】
次いで、X軸方向、Y軸方向及びθ方向の基板Sのアライメント確認が終了すると、ステージ4をX軸方向に、各塗布ヘッド7aを一体にY軸方向に適宜往復動させながら、各塗布ヘッド7bを基板の走査面沿って移動させ、予め決められたパターンで基板Sに対してインクが塗布される。その際、基板S中央を上方に持ち上げ、エアパッド18から噴射される気体によって基板Sの周辺部が浮上した状態でインクを塗布することができ、他方で、ステージ本体4aに基板Sを再度載置し、吸着溝21を真空引きして基板Sがステージ本体4aにその略全面に亘って吸着した状態でインクの塗布を行ってもよい。
【0045】
なお、上記実施形態では、エアパッド18から噴射される気体のみにより基板Sを浮上させるものについて説明したが、基板を安定して浮上させるために、吸着溝21の真空引きと、エアパッド18から噴射される気体の圧力とのバランスを平衡に保持しながら基板Sを浮上させるようにしてもよい。また、エアパッド18として、気体の噴出と真空引きの双方を同時に行い得るように構成したものを用いるようにしてもよい。
【0046】
また、上記実施形態では、基板Sのみをθ方向に回転させるように構成したものを例に説明したが、ステージ本体に、基板Sをその処理面を開放して保持する保持トレーを回転自在に設けるようにしてもよい。
【0047】
即ち、図7乃至図9を参照して説明すれば、第1変形例に係るアライメント機能付きステージ30は、上記と同様、ベース板2の上面に設けた左右一対のレール部材3R、3Lに往復動自在に配置されている。ステージ30は板状のステージ本体31を備え、ステージ本体31の下面四隅には、レール部材3R、3Lに摺動自在に係合するスライダ32が取付けられている。そして、ステージ本体31は、上記同様に、2本のレール部材3R、3L間で両レール部材3R、3Lに沿って配置した図示省略の送りねじを回転させると、レール部材3R、3Lに沿って往復動する。
【0048】
ステージ本体31には、基板Sを吸着保持できる板状の保持トレー33が回転自在に設けられている。保持トレー33の裏面には、当該保持トレー33の強度を保持しつつその表面平滑性を担保するリブ部33aが形成されるように、凹状のくぼみ空間33bが複数個所形成されている。また、保持トレー33の裏面中央には回転軸33cが形成され、当該回転軸33cが、ステージ本体31中央に形成した貫通孔にスリーブ部材34を介して設けたボールベアリング35で支承されている。この場合、上記と同様、回転軸33cとボールベアリング35のインナレース35aとは、例えば、平行キーを用いたキー結合やスプライン結合とされ、また、後述する気体供給手段の非作動状態では、リブ部33aの下面がステージ本体31の上面に面接触している(図7参照)。
【0049】
ステージ本体31には、保持トレー33のくぼみ空間33に気体を供給する気体供給手段36と、基板Sを保持した保持トレー33を同一平面内で回転させるように保持トレー33を回転駆動する微動機構37とを備えている。
【0050】
気体供給手段36は、ステージ本体31上面で所定の位置に形成した平面視円形の凹孔36aと、この凹孔36a内にそれぞれ収容したポーラス構造のエアパッド36bと、各エアパッド36bに圧縮空気などの気体を供給するガス管36cとから構成されている(図7参照)。
【0051】
駆動手段たる微動機構37は、ステージ本体31の一側面に取り付けたフレーム37aを備え、フレーム37aには、モータMを有する送りねじ37bがX軸方向に設けられている。送りねじ37bには、ねじ孔を形成した可動部材37cが螺合し、可動部材37cの下部にはスライダ37dが形成され、スライダ部37dがフレーム37aの下面内側で送りねじ37bに平行に取付けたレール部材37eに摺動自在に係合している。これにより、モータMを作動させて送りねじ37bを回転させると、モータMの回転方向に応じて可動部材37cがX軸方向に往復動自在となる(図8参照)。
【0052】
また、可動部材37cの上面には、Y軸方向に延びるレール部37fが形成され、レール部37fには支持部材37gが摺動自在に係合している。そして支持部材37gの上端に、ベアリング37hを介してアーム37iが取付けられ、アーム37iが保持トレー33の側面に連結されている。そして、送りねじ37bを回転させて可動部材37cをレール部材37eに沿って移動させると、支持部材37gがレール部37fに沿って移動しながら保持トレー33に回転力が付与されて回転駆動される。この場合、可動部材37cの往復動のストロークの範囲でアーム37iが揺動して保持トレー33を所定の微小角度範囲内(例えば、1度以内)で回転駆動される。また、支持部材37gとアーム37iとの間には、ベアリング37hに加えて支持部材37gに対するアーム37iの上下動を許容するスプラインガイド37jが介設されていてもよい。
【0053】
保持トレー33の上面には、真空ポンプに通じる吸着溝38がX軸方向及びY軸方向に延ばして適宜形成され、吸着溝38を真空引きすることで、基板Sをその略全面に亘って吸着保持する構成を採用している(図9参照)。
【0054】
そして、θ方向のアライメントを行う場合には、基板Sをその略全域に亘って吸着保持した状態で、気体供給手段36の各エアパッド36bに圧縮空気などの気体を供給する。これにより、保持トレー33がステージ本体31の上面から浮上した状態、または、圧縮空気により実質的に両者の摩擦抵抗が軽減された状態となる。この時、保持トレー33が浮上するため、ステージ本体31に接続されている微動機構37と保持トレー33の間で高さ方向のずれ(隙間)が生じるが、スプラインガイド37jにより、そのずれによる機械的な矛盾を解消、つまり、当該ずれを吸収できる。
【0055】
次に、微動機構37のモータMを駆動し、上記と同様、制御手段での補正値に応じて送りねじ37bが適宜回転される。これにより、アーム37iを介して保持トレー33が回転駆動され、回転軸33cを回転中心としてステージ本体31上面に対して基板Sを吸着保持した保持トレー33がθ方向に所定角度だけ回転する。
【0056】
このように上記第1変形例では、基板Sを保持する保持トレー33を回転させる構成としているが、保持トレー33の裏面にくぼみ空間33bを形成することで軽量化されていることと、エアパッド36bから気体を供給して回転軸33cに連結された箇所を除く部分を浮上させていることとが相俟って、例えば処理すべき基板Sの重量が大きいときでも、大型の軸受け等の回転機構が不要であり、装置自体の大型化を回避でき、しかも、小さな推力で基板Sを回転できるため、高性能のモータを用いることなく、高精度でアライメントすることが可能になる。
【0057】
上記第1変形例では、基板Sまたは基板Sを保持した保持トレー33をθ方向に回転させるようにしたものについて説明したが、ステージ自体に、例えばモータ付き送りねじを備えた駆動装置をさらに組み付け、X軸方向及びY軸方向にも移動自在とし、それらの方向におけるアライメントを行い得るように構成してもよい。
【0058】
また、上記実施形態及び第1変形例では、駆動手段として微動機構10からなるものについて説明したが、これに限定されるものではない。例えば、基板Sをθ方向に移動させながら、所定のインクを塗布するために、駆動手段は、吸着手段8を微動機構より大きな角度範囲、場合によっては基板Sを90度または180度回転させることができる粗動機構から構成されていてもよい。このような粗動機構を備えた第2変形例としては、図10に示すように、アクチュエータ15の駆動ロッド15aに装着され、ボールベアリング13のインナレース13aに連結されたウォームホイール101と、図示省略のフレームに固定されたハウジングに支承され、図示省略のモータにより回転駆動されるウォーム102とから粗動機構100が構成されている。なお、粗動機構100は、上記に限定されるものではなく、DDモータ等の他の公知のものを用いることができる。
【0059】
他方で、第3の変形例として、図11及び図12に示すように、アーム19及び駆動源20を備えた微動機構10と、ウォームホイール101及びウォーム102を備えた粗動機構100とを設けて駆動手段が構成されていてもよい。この場合、粗動機構100のウォームホイール101がインナレース13aに連結され、ウォームホイール101と噛み合うウォーム102を回転自在に支持するハウジング103の下面にアーム19の一端が固定されている。
【0060】
上記駆動手段においては、ハウジング103に設けたモータMにより粗動機構100のウォーム102が回転駆動させると、ウォームホイール101が回転し、これに連結されたインナレース13aが回転するのに伴って押圧部材14が回転される。そして、チャックプレート11が回転されて、微動機構10より大きな角度範囲で基板Sがθ方向に回転される。このとき、アーム19には、回転力は伝達されない。次に、駆動源20が駆動されると(図1及び図2参照)、アクチュエータ15を中心としてアーム19が揺動する。このとき、アーム19に固定のハウジング103と共にウォーム102が揺動し、これに伴ってウォームホイール101が回転することで、押圧部材14及びチャックプレート11が回転されて所定の微小角度で基板Sがθ方向に回転される。
【0061】
このような構成によれば、吸着手段8を回転駆動するために、微動機構10と粗動機構100とから共通の回転軸たる押圧部材14に回転力を付与できる。その結果、吸着手段8を回転駆動するための回転軸(押圧部材14)を共通して駆動手段の構成が複雑になることを回避できる。しかも、θ方向のアライメントを行う際に、粗動機構100による回転駆動から微動機構10による回転駆動への切り替えも円滑にできる。
【0062】
また、例えば撮像手段により基板Sを撮像し、基板SのマークRを基準として基板Sの位置を合わせるためにθ方向の変位量(補正値)を算出する際に、マークRが、撮像手段の撮像範囲を超えてずれている場合や算出した補正値が微動機構によりアライメント可能な微小角度範囲を超えているような場合に、先ず、粗動機構100により目標とする位置の近傍(即ち、微動機構10によりアライメントを行い得る角度範囲)まで高速で基板Sを回転駆動させ、場合によっては、撮像手段により基板Sを再度撮像して基板SのマークRを基準として補正値を算出し、引き続き、微動機構10により高精度な位置決めを行い得る。これにより、高精度かつ短時間のアライメントが実現できる。
【0063】
ここで、駆動手段が微動機構10と粗動機構100とを有する上記第3の変形例では、各機構10、100からの回転力が押圧部材14に入力されるようになっているが、これに限定されるものではない。第4の変形例として、図13に示すように、押圧部材14と同心に、微動駆動用のベアリング201aを介して他の中空回転軸201を設け、この中空回転軸201の下面をウォームホイール101及びウォーム102を収容するハウジング202の上面に接続して構成してもよい。これによれば、粗動機構100のウォーム102が回転駆動させると、アーム19に回転力を伝達することなく、押圧部材14が回転される。他方で、駆動源20が駆動されると、アーム19がアクチュエータ15を中心として揺動し、アーム19にハウジング202を介して連結された中空回転軸201が回転し、これに伴ってウォームホイール101を介して押圧部材14が回転される。
【0064】
さらに他の変形例として、特に図示しないが、押圧部材14と同心に中空回転軸201を配置する場合、微動機構10からの回転力が中空回転軸201のみに伝達されるように構成することもできる。この場合、中空回転軸201にもこの中空回転軸201を上下動するアクチュエータ(図示せず)を付設し、粗動機構100から押圧部材14を介して基板Sを回転させる際、押圧部材14のみを上昇させてチャックプレート11を押し上げ、他方で、微動機構10から中空回転軸201を介して基板Sを回転させる際、中空回転軸201のみを上昇させてチャックプレート11を押し上げるように構成してもよい。なお、中空回転軸201を上下動するアクチュエータを付設する場合、微動機構10から回転力が付与される回転軸(押圧部材)と、粗動機構100から回転力が付与される回転軸(中空回転軸)とが同心に配置されている必要はない。
【0065】
さらに、上記実施形態及び各変形例では、アライメント機能付きステージ4、30を塗布装置に適用したものを例に説明したが、これに限定されるものではない。例えば、半導体装置の製造工程で行われるバックグラインド工程のように、移動自在に設けたステージに設置されたウエハ(処理対象物)に対し、その対向する側から切削工具(処理手段)で所定の加工を行うような場合にも本発明を適用して、切削工具に対して処理対象物のアライメントを行うことができる。
【符号の説明】
【0066】
3R、3L レール部材(案内手段)
4、30 ステージ
4a、31 ステージ本体
8 吸着手段
9 気体供給手段
10 微動機構(駆動手段)
100 粗動機構(駆動手段)
21 吸着溝
33 保持トレー
S 基板(処理対象物)
【技術分野】
【0001】
本発明は、アライメント機能付きステージ及びこのアライメント機能付きステージを備えた処理装置並びに基板アライメント方法に関し、特に、1軸に沿って移動自在に配置された塗布ヘッドを備えたインクジェット式塗布装置に用いられるものに関する。
【背景技術】
【0002】
フォトリソグラフィー工程を経ることなく基板上に微細な導電パターン等を直接形成するためにインクジェット式塗布装置(以下、「塗布装置」という)を用いることが知られており、近年では、大面積の薄膜トランジスタ基板の製作工程において数μmの高精細なソース・ドレイン電極パターンを形成すること、フラットパネルディスプレイ用のカラーフィルター、配向膜やスペーサーを形成することにも利用されている。
【0003】
この種の塗布装置としては、次のような構成を有するものが特許文献1で知られている。即ち、特許文献1記載のものは、処理すべき基板をその処理面を開放して吸着保持可能なステージとインクジェット手段とから構成されている。ステージは、モータを有する送りねじによりX軸ガイドに沿って移動自在である。他方、インクジェット手段は、ステージの移動経路上で当該ステージを跨ぐように設けられた門型の支持手段と、当該支持手段にY軸方向に移動自在に配置され、基板に対し所定のインクを塗布する少なくとも1個の塗布ヘッドとを有している。
【0004】
ここで、上述のものでは、ステージで基板を吸着保持したときや搬送ロボットでステージに基板を設置したときに位置ずれが生じる場合がある。このため、インクの塗布に先立って塗布ヘッドに対する基板の走査面の位置合わせ(アライメント)が行なわれる。このとき、X軸方向及びY軸方向だけでなく、基板を同一平面内でθ方向に回転させて塗布ヘッドに対する基板の傾きをも調節する必要がある。
【0005】
このような場合、基板を吸着保持した状態でステージ自体を回転させてアライメントを行うように構成することが考えられる。然し、上述したようなフラットパネルディプレイ用の大面積の基板が処理対象物であると、基板サイズが増加するのに伴って基板重量が増加するだけでなく、基板サイズに応じて、ステージ自体も大型化してその重量が増加する。このため、上記方法では、基板と搬送テーブルとの重量を合わせた重量のものを回転させるための回転機構(軸受け等)が必要となり、装置自体の大型化が避けられず、また、ステージを回転させて精度よくアライメントするために高推力かつ高性能のモータが必要となり、コスト高を招くという不具合がある。
【0006】
他方、ステージを回転自在に構成することに代えて、塗布ヘッドを支持する支持手段を回転自在に構成し、θ方向のアライメントを行うことが考えられるが、これでは、θ方向の位置合わせの際に、支持手段を回転させながら搬送テーブルもX軸及びY軸方向に適宜移動させる必要が生じ、高精度でアライメントするための制御が著しく複雑になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2006−136770号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、以上の点に鑑み、処理対象物の重量が大きい場合でも、特にθ方向の位置合わせが高精度かつ容易に行い得る低コストのアライメント機能付きステージ及びこのアライメント機能付きステージを備えた処理装置並びに基板アライメント方法を提供することをその課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、請求項1記載の発明は、処理対象物をその処理面を開放して保持するステージ本体を備えたアライメント機能付きステージであって、前記処理対象物の前記処理面に背向する他面に吸着自在な吸着手段と、前記吸着手段での吸着箇所以外の領域に気体を供給する気体供給手段と、前記吸着手段を回転中心として前記処理対象物が同一平面内で回転されるように前記吸着手段を回転駆動する駆動手段とを備え、前記駆動手段は、前記吸着手段を所定の微小角度範囲内で回転させる微動機構と、前記吸着手段を微動機構より大きな角度範囲で回転させる粗動機構とから構成され、前記粗動機構が前記吸着手段に直結されていることを特徴とする。
【0010】
本発明によれば、処理対象物をその処理面を開放してステージに載置し、前記処理対象物の前記処理面に背向する他面に吸着手段を吸着させる。そして、吸着手段で吸着された領域を除く前記他面に気体を供給する。この状態で、駆動手段により前記吸着手段を回転中心として同一平面内で所定角度回転させると、処理対象物が吸着手段と一体に所定角度回転できる。その結果、基板をθ方向に回転させてアライメントを行い得る。
【0011】
このように本発明によれば、吸着領域を除く部分に気体を供給することで、当該領域を除く部分を浮上させた状態(この場合、少なくとも当該部分とステージ上面との摩擦抵抗が減少していればよい)で吸着手段と一体に処理対象物のみを回転させてθ方向のアライメントを行う構成を採用したため、例えば処理対象物の重量が大きい場合であっても、大型の軸受け等の回転機構が不要であり、装置自体の大型化を回避できる。しかも、小さな推力で処理対象物を回転できるため、高性能のモータを用いることなく、アライメントを高精度で行うことができ、低コスト化にも寄与する。また、ステージで保持された処理対象物に対向配置されるインクジェット手段のような処理手段を移動させることなく、θ方向のアライメントを行うことができるため、その制御も容易である。
【0012】
ところで、上記ステージにおいてθ方向のアライメントを行う場合、位置合わせ精度(例えば、1μrad以下)だけでなく、アライメント時間の短縮も強く要求される。この場合、前記駆動手段は、前記吸着手段を所定の微小角度範囲内で回転させる微動機構と、前記吸着手段を微動機構より大きな角度範囲で回転させる粗動機構とから構成されていれば、粗動機構により目標とする位置の近傍まで高速で処理対象物を回転駆動させた後、微動機構により高精度な位置決めを行い得る。これにより、高精度かつ短時間のアライメントが実現できる。
【0013】
本発明においては、案内手段と、前記案内手段に沿って前記ステージ本体を移動させる移動手段とを更に備える構成を採用すれば、案内手段の上方に配置される塗布ヘッドなどの処理手段に対してステージ本体の停止位置を変えるだけで、ステージ本体の移動方向におけるアライメントが行い得る。
【0014】
また、前記ステージ本体の前記処理対象物との接触面に吸着溝が形成され、前記処理対象物をステージに基板を載置した状態で前記吸着溝を真空引きする真空ポンプを備えた構成を採用すれば、例えば案内手段に沿ってステージ本体を移動させるときに、ステージ本体に処理対象物が確実に保持されるようにできてよい。
【0015】
また、前記微動機構がアームとこのアームを揺動する駆動源とを備え、この駆動源によりアームを揺動させると、粗動機構を介して前記吸着手段が回転駆動されるように、前記微動機構と前記粗動機構とが連結されていれば、吸着手段を回転駆動する回転軸が共通にできて、駆動手段の構成が複雑になることを回避できる。しかも、θ方向のアライメントを行う際に、粗動機構による回転駆動から微動機構による回転駆動への切り替えも円滑にできる。
【0016】
さらに、前記微動機構のアームは、少なくともステージ本体一側までのびる長さを有し、その先端で前記駆動源に接続されている構成を採用すれば、所定の微小角度を動かすのに必要なアーム先端の変位量が大きくなり、変位量を検出するエンコーダ等の検知手段の分解能を高めて一層高精度なアライメントが実現できる。
【0017】
また、上記課題を解決するために、本発明の処理装置は、請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載のアライメント機能付きステージと、前記ステージで保持された処理対象物に対向配置され、処理対象物に対して所定の処理を施す処理手段とを備えたことを特徴とする。
【0018】
さらに、上記課題を解決するために、本発明の基板アライメント方法は、処理すべき基板をその処理面を開放してステージに載置し、前記処理面と背向する他面に吸着手段を吸着させ、前記吸着手段で吸着された領域を除く前記他面に気体を供給し、前記吸着手段を回転中心として前記基板を同一平面内で所定角度回転させて前記処理対象物の位置合わせを行い、前記処理対象物の位置合わせを行う工程は、所定の微小角度より大きな角度範囲で吸着手段を回転させた後、更に前記微小角度範囲内で吸着手段を回転させて行うことを特徴とする。このようにすれば、高精度かつ短時間のアライメントが実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施形態のアライメント機能付きステージを備えたインクジェット式塗布装置の模式的側面図。
【図2】ステージ本体を説明するインクジェット式塗布装置の部分平面図。
【図3】ステージ本体の構成を説明するインクジェット式塗布装置の部分断面図。
【図4】図3のIV部を拡大した部分断面図。
【図5】図3のV部を拡大した部分断面図。
【図6】本発明のステージによるθ方向の基板のアライメントを説明する図。
【図7】本発明のアライメント機能付きステージの第1変形例を説明する模式的側面図。
【図8】図7のVIII部を拡大した部分断面図。
【図9】図7に示すステージの平面図。
【図10】本発明のアライメント機能付きステージの第2変形例を説明する部分断面図。
【図11】本発明のアライメント機能付きステージの第3変形例を説明する部分断面図。
【図12】第3変形例に係るアライメント機能付きステージの駆動手段を部分的に拡大して説明する斜視図。
【図13】本発明のアライメント機能付きステージの第4変形例を説明する部分断面図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照して、微細な導電パターン等が直接形成されるガラス等の基板Sを処理対象物とし、基板Sを保持する本発明の実施形態のアライメント機能付きステージを処理装置たるインクジェット式塗布装置に適用した場合を例に説明する。
【0021】
インクジェット装置はプラットホーム1を備え、このプラットホーム1上には、直方体形状のベース板2が配置されている。ベース板2はその上面の平滑性が担保できるようにグラナイト等から形成され、ベース板2の上面には、その全長に亘って軸方向に水平に延びる左右一対のレール部材(案内手段)3R、3Lが所定の間隔を存して設けられている(図2参照)。
【0022】
レール部材3R、3L上にはアライメント機能付きステージ4が往復動自在に配置されている。ステージ4は板状のステージ本体4aを備え、ステージ本体4aの下面四隅には、レール部材3R、3Lに摺動自在に係合するスライダ5が取付けられている。ステージ本体4aの下面にはまた、図示省略したナット部材が設けられ、このナット部材には、2本のレール部材3R、3L間で両レール部材3R、3Lに沿って配置した図示省略の送りねじが螺合している。そして、送りねじの一端に連結した図示省略のモータを駆動して送りねじを回転させると、ステージ4がレール部材3R、3L上を往復動する(以下、この往復動方向をX軸方向という)。この場合、上記送りねじとモータとが本実施の形態の移動手段を構成する。なお、移動手段としてはこれに限定されるものではなく、例えば、磁気浮上式の可動子と固定子とからなるリニアモータを用いるようにしてもよい。
【0023】
ここで、ステージ本体4aが、レール部材3R、3LのX軸方向一側に存する位置(図1中右側にある位置:受渡位置)では、公知の構造を有する多関節式アームを備えた搬送ロボットRによりステージ本体4aへの基板Sの受け渡しが行われるようになっている。この基板Sの受け渡しのために、ベース板2の上下方向で当該ベース板2を貫通するように立設した複数本の支持ロッド6aと各支持ロッド6aを昇降させるエアーシリンダ(図示せず)とから構成されるリフト手段6が設けられ、ステージ本体4aの上面から所定の高さ位置で基板Sを押し上げて支持できるようになっている(図1参照)。
【0024】
他方、ステージ4がレール部材3R、3LのX軸方向他側に存する位置(図1中左側にある位置:処理位置)では、ステージ本体4aをX軸方向に適宜往復動させながら、所定の処理が行われるようになっている。本実施の形態のインクジェット式塗布装置では、レール部材3R、3Lの略中央部に位置して処理手段たるインクジェット手段7が配置されている。インクジェット手段7は、X軸方向と直交する方向でステージ本体4aを跨ぐようにベース板2に設けられた門型の支持部材7aと、ステージ本体4aに設置された基板Sに対してインクを塗布する複数個の塗布ヘッド7bとを備えている。
【0025】
各塗布ヘッド7bは、そのノズル7cの先端が同一水平面上に位置しかつ相互に等間隔となるようにホルダ7dで保持され、ホルダ7dは、塗布ヘッド7bが処理位置側(図1中左側)に存するように支持部材7aの上側水平部に取り付けられている。この場合、ホルダ7dは、支持手段7aの上側水平部内に収納されたモータ付き送りねじ(図示せず)に螺合しており、モータを駆動して送りねじを回転させると、各塗布ヘッド3が、X軸方向に直交する方向に一体で往復動する(以下、この往復動方向をY軸方向という)。
【0026】
各塗布ヘッド7bは公知の構造を有するものであり、インクチャンバに設けたピエゾ素子を適宜駆動させてインクタンク5に収納されたインクを滴下するものである。インクタンク5に収納されているインクは、基板S表面に形成しようとするものに応じて適宜選択され、例えば、フラットパネルディスプレイ用のスペーサーを形成する用途のものであれば、スペーサー粒子、バインダ、溶剤からなるインクが用いられる。
【0027】
ところで、上記のように搬送ロボットRにより基板Sをステージ本体4aに受け渡すときに、ステージ本体4aに対し基板Sが位置ずれを起こす場合がある。このため、インクの塗布に先立って塗布ヘッド7bに対して基板Sの位置合わせ(アライメント)を行う必要がある。このとき、X軸方向及びY軸方向だけでなく、基板Sを同一平面内で回転させて各塗布ヘッド7bに対する基板Sの傾き(回転角θ)をも調節する場合がある(以下、この回転方向をθ方向という:図2参照)。
【0028】
そこで、第1の実施形態のステージ4では、基板S裏面の中央領域に吸着自在な吸着手段8と、吸着手段8での吸着箇所以外の基板S裏面領域に気体を供給する気体供給手段9と、吸着手段8を回転中心として基板Sが同一平面内でθ方向に回転されるように吸着手段8に回転力を付与する、即ち、吸着手段8を回転駆動する駆動手段10とを備えている(図3参照)。
【0029】
吸着手段8は、ステージ本体4aの中央に設けた平面視矩形の凹部4bに収容されたチャックプレート11を備える。チャックプレート11は、例えば公知の構造の吸着パッドやポーラス構造の円板からなり、図示省略した排気管を介して真空ポンプに接続されている。そして、真空ポンプを作動させると、チャックプレート11がその表面全体で基板S裏面に吸着するようになっている。また、ステージ本体4aの裏側中央には、凹部4bに通じる貫通孔4cが同心に形成され、貫通孔4cにはスリーブ部材12及びボールベアリング13が設けられ、ボールベアリング13によって押圧部材14が支承されている。この場合、押圧部材14とボールベアリング13のインナレース13aとは、例えば、平行キーを用いたキー結合やスプライン結合とされている(図4参照)。
【0030】
また、押圧部材14は、この押圧部材14の下方に配置した公知の構造の直動式のアクチュエータ15の駆動ロッド15aに連結されている。なお、基板サイズによっては、直動式アクチュエータに代えて、エアシリンダを用いることができ、このような場合には、気体供給手段9から供給される気体を利用して当該エアシリンダを作動させる構成を採用して装置の簡素化を図るようにしてもよい。そして、アクチュエータ15を作動させると、チャックプレート11の上面がステージ本体4a上面から上方に突出した上昇位置と、チャックプレート11をその上面が少なくともステージ本体上面と面一となる下降位置との間で昇降自在となる。それに加えて、後述するアームによりインナレース13aに回転力が付与されると、押圧部材14が回転駆動され、吸着手段8の回転軸たる押圧部材14を回転中心としてチャックプレート11、ひいては基板Sがθ方向に回転される。
【0031】
気体供給手段9は、ステージ本体4a上面のX方向略全長さに亘って形成した複数本の凹溝16と、各凹溝16内に所定の間隔を存して配置したポーラス構造のエアパッド17と、図示省略したコンプレッサー等から各エアパッド17に圧縮空気などの気体を供給するガス管18とから構成されている(図2及び図4参照)。この場合、凹溝16の形成本数やエアパッド17の配置個数は、ステージ本体4aで支持する基板Sの重量に応じて適宜設定される。
【0032】
駆動手段10は、板状のアーム19を備える。アーム19の一端はその中心線上でインナレース13aにピン結合されている。また、アーム19の他端は、ステージ本体の側面までのびてその側面に設けた駆動源20に連結されている。駆動源20は、フレーム20aを備え、フレーム20a内には、モータMを有する送りねじ20bがX軸方向に配置されている。送りねじ20bには、ねじ孔を形成した可動部材20cが螺合し、可動部材20cの上部にはスライダ部20dが形成され、スライダ部20dがフレーム20aの上面内側で送りねじ20bに平行に取付けたレール部材20eに摺動自在に係合している。これにより、モータMを作動させて送りねじ20bを回転させると、モータMの回転方向に応じて可動部材20cがX軸方向に往復動自在となる(図2及び図5参照)。
【0033】
また、可動部材20cの下面には、Y軸方向に延びるレール部20fが形成され、レール部20fには支持部材20gが摺動自在に係合している。支持部材20gの下端には、ベアリング20hを介してアーム19の他端が連結されている。そして、送りねじ20bを回転させて可動部材20cをレール部材20eに沿って移動させると、支持部材20gがレール部20fに沿って移動しながら吸着手段8の回転軸たる押圧部材14に回転力が付与される。
【0034】
この場合、可動部材20cの往復動のストロークの範囲でアーム19が揺動して押圧部材14、ひいては吸着手段9を所定の微小角度範囲内(例えば、1度以内)で回転駆動する微動機構(以下、この駆動手段たる微動機構を符号10で示す)を構成する。ここで、本発明の微小角度範囲は、基板Sのアライメントを行う際に要求される精度等に応じて適宜設定でき、可動部材20cの往復動のストロークを変えることで、微小角度範囲が調整できる。また、駆動源20には、図示省略の光電式リニアエンコーダ等の検出手段が付設され、可動部材20cの変位量を検出できるようになっている。これにより、所定の微小角度(例えば、1度)を動かすためにアーム19を移動させたときの可動部材20cの変位量が、例えば押圧部材14にロータリエンコーダ等の検知手段を設けて回転変位量を検出する場合と比較して大きくなる。その結果、変位量を検出する検知手段の分解能を高めて一層高精度なアライメントが実現できる。
【0035】
ところで、例えばステージ本体4aを受渡位置から処理位置に移動させるとき、吸着手段8のみで基板Sを吸着保持していると、ステージ本体4aの移動開始当初や移動停止時に吸着手段8から基板Sが脱離する等の不具合が生じる虞がある。このため、ステージ本体4aの上面には、真空ポンプに通じる吸着溝21がX軸方向及びY軸方向に延ばして複数本形成されている(図2参照)。そして、ステージ本体4aを移動させる場合には、吸着溝21を真空引きすることで、基板Sをその略全面に亘って吸着保持するようにしている。
【0036】
次に、本実施形態のアライメント機能付きステージ4による基板Sのアライメントを説明する。ステージ本体4aの受渡位置において、リフト手段6の各支持ロッド6aを上昇させた後、搬送ロボットRにより基板Sを搬送し、各支持ロッド6aの先端で基板Sが支持されるように設置する(図1参照)。そして、各支持ロッド6aを下降させて基板Sをステージ本体4aに載置する。なお、インクが塗布される基板Sには、インクジェット手段7によりインクを塗布する際にその走査面の起点となる位置に所定形状のマークR(数十μm〜0.1mm程度のもの)が少なくとも1個付されている(図2参照)。
【0037】
ステージ本体4aに基板Sが載置されると、吸着溝21を真空引きし、基板Sをステージ本体4aにその略全面に亘って吸着させる。この状態で、図示省略した送りねじを回転させてステージ本体4aを処理位置に移動する。ステージ本体4aが処理位置に到達すると、インクジェット手段7の支持部材7aに取付けたCCDカメラ等の撮像手段により基板Sが撮像され、撮像した画像が公知の構造を有する画像解析手段で解析され、解析されたデータがインクジェット式塗布装置の作動を制御するマイコン等の制御手段(図示せず)に出力される。データが制御手段に入力されると、基板SのマークRを基準として、基板位置を合わせるためのX軸方向、Y軸方向及びθ方向の変位量(補正値)が算出される。補正値が算出されると、これに応じてステージ本体4を移動する送りねじ用のモータと、インクジェット手段のホルダ7dの移動させるモータとが制御され、塗布ヘッド7aに対するX軸方向及びY軸方向のアライメントが先ず行われる。そして、真空ポンプの作動を停止して、基板Sの吸着が解除される。
【0038】
次いで、アクチュエータ15を作動させてチャックプレート11を上昇させると、基板がステージ本体4aの上面から押し上げられる。このとき、チャックプレート11に通じる真空ポンプ及び気体供給手段9を作動し、チャックプレート11と基板Sとの接触箇所において基板Sが吸着されると共に、気体供給手段9の各エアパッド18から噴射される気体によってチャックプレート11で吸着された領域を除く箇所(基板の周辺部)が浮上される。このように基板S中央を吸着保持し、その周囲が浮上すると、微動機構10のモータMを駆動し、制御手段での補正値に応じて送りねじが適宜回転される。これにより、アクチュエータ15を中心として揺動するアーム19と押圧部材14とを介してチャックプレート11にその中心を回転中心する回転力が付与され、ステージ本体4a上面に対して基板Sのみが、上記補正値に応じてθ方向に所定の微小角度だけ回転され、θ方向のアライメントが行われる(図6参照)。
【0039】
なお、チャックプレート11を上昇させずにその下降位置で気体供給手段9から気体を供給し、厳密な意味においてチャックプレート11で吸着された領域を除く部分が浮上していなくても、当該部分とステージ本体4a上面との摩擦抵抗を実質的に軽減した状態でθ方向のアライメントを行うこともでき、例えば基板に撓みがあるような場合には、正確なアライメントにとって有利となる。
【0040】
ここで、基板Sの浮上確認は、例えば、個々のエアパッド18に通じるガス管18に接続したエアー流量センサの流量変化量から、または、基板上面よりレーザー変位計等を用いて直接基板面をスキャンして高さの変化を検出することで行うことができる。そして、浮上の確認後、θ方向のアライメントを行うことで、基板S裏面とステージ本体4aとの接触が防止され、基板S裏面に傷を付けることなくアライメントを行い得る。なお、チャックプレート11の下降位置で基板Sを回転させても、気体供給手段9から供給される空気の層によって基板S裏面に傷が付くことを防止できる。
【0041】
このように本実施形態では、エアパッド18から噴射される気体により吸着領域を除く部分を浮上させた状態、または、少なくとも吸着領域を除く部分とステージ本体4a上面との摩擦抵抗を実質的に軽減した状態で基板Sのみを回転させてθ方向のアライメントを行う構成を採用したため、基板Sの重量が大きいときでも、大型の軸受け等の回転機構が不要であり、装置自体の大型化を回避できる。しかも、小さな推力で基板Sを回転できるため、高性能のモータを用いることなく、高精度でアライメントすることが可能になり、低コスト化に寄与する。その上、θ方向のアライメントを行う間、インクジェット手段7、ひいては塗布ヘッド7bの位置を動かす必要はないので、基板のアライメント時に特別な制御を必要としない。
【0042】
上記アライメントが終了した後、基板位置を合わせるために算出させた変位量(補正値)に即して基板SがX軸方向、Y軸方向及びθ方向に移動されたかが確認される。即ち、気体供給手段9の作動を停止すると共に、アクチュエータ15を作動させてチャックプレート11を下降させてチャックプレート11に通じる真空ポンプの作動を停止する。そして、吸着溝21を真空引きし、基板Sをステージ本体4aにその略全面に亘って吸着させる。この状態で、上記と同様に、CCDカメラ等の撮像手段により基板Sが撮像され、撮像した画像が画像解析手段で解析され、解析されたデータが制御手段に出力される。これにより、基板SのマークRを基準として上記確認が行われる。
【0043】
このようにアライメントが終了した後に基板Sを再度ステージ本体4aに吸着させた状態で確認を行うようにすれば、基板Sがステージ本体4a上に存する場合と、浮上させた場合との間で生じる位置ずれの影響を受けずに上記確認が行い得る。
【0044】
次いで、X軸方向、Y軸方向及びθ方向の基板Sのアライメント確認が終了すると、ステージ4をX軸方向に、各塗布ヘッド7aを一体にY軸方向に適宜往復動させながら、各塗布ヘッド7bを基板の走査面沿って移動させ、予め決められたパターンで基板Sに対してインクが塗布される。その際、基板S中央を上方に持ち上げ、エアパッド18から噴射される気体によって基板Sの周辺部が浮上した状態でインクを塗布することができ、他方で、ステージ本体4aに基板Sを再度載置し、吸着溝21を真空引きして基板Sがステージ本体4aにその略全面に亘って吸着した状態でインクの塗布を行ってもよい。
【0045】
なお、上記実施形態では、エアパッド18から噴射される気体のみにより基板Sを浮上させるものについて説明したが、基板を安定して浮上させるために、吸着溝21の真空引きと、エアパッド18から噴射される気体の圧力とのバランスを平衡に保持しながら基板Sを浮上させるようにしてもよい。また、エアパッド18として、気体の噴出と真空引きの双方を同時に行い得るように構成したものを用いるようにしてもよい。
【0046】
また、上記実施形態では、基板Sのみをθ方向に回転させるように構成したものを例に説明したが、ステージ本体に、基板Sをその処理面を開放して保持する保持トレーを回転自在に設けるようにしてもよい。
【0047】
即ち、図7乃至図9を参照して説明すれば、第1変形例に係るアライメント機能付きステージ30は、上記と同様、ベース板2の上面に設けた左右一対のレール部材3R、3Lに往復動自在に配置されている。ステージ30は板状のステージ本体31を備え、ステージ本体31の下面四隅には、レール部材3R、3Lに摺動自在に係合するスライダ32が取付けられている。そして、ステージ本体31は、上記同様に、2本のレール部材3R、3L間で両レール部材3R、3Lに沿って配置した図示省略の送りねじを回転させると、レール部材3R、3Lに沿って往復動する。
【0048】
ステージ本体31には、基板Sを吸着保持できる板状の保持トレー33が回転自在に設けられている。保持トレー33の裏面には、当該保持トレー33の強度を保持しつつその表面平滑性を担保するリブ部33aが形成されるように、凹状のくぼみ空間33bが複数個所形成されている。また、保持トレー33の裏面中央には回転軸33cが形成され、当該回転軸33cが、ステージ本体31中央に形成した貫通孔にスリーブ部材34を介して設けたボールベアリング35で支承されている。この場合、上記と同様、回転軸33cとボールベアリング35のインナレース35aとは、例えば、平行キーを用いたキー結合やスプライン結合とされ、また、後述する気体供給手段の非作動状態では、リブ部33aの下面がステージ本体31の上面に面接触している(図7参照)。
【0049】
ステージ本体31には、保持トレー33のくぼみ空間33に気体を供給する気体供給手段36と、基板Sを保持した保持トレー33を同一平面内で回転させるように保持トレー33を回転駆動する微動機構37とを備えている。
【0050】
気体供給手段36は、ステージ本体31上面で所定の位置に形成した平面視円形の凹孔36aと、この凹孔36a内にそれぞれ収容したポーラス構造のエアパッド36bと、各エアパッド36bに圧縮空気などの気体を供給するガス管36cとから構成されている(図7参照)。
【0051】
駆動手段たる微動機構37は、ステージ本体31の一側面に取り付けたフレーム37aを備え、フレーム37aには、モータMを有する送りねじ37bがX軸方向に設けられている。送りねじ37bには、ねじ孔を形成した可動部材37cが螺合し、可動部材37cの下部にはスライダ37dが形成され、スライダ部37dがフレーム37aの下面内側で送りねじ37bに平行に取付けたレール部材37eに摺動自在に係合している。これにより、モータMを作動させて送りねじ37bを回転させると、モータMの回転方向に応じて可動部材37cがX軸方向に往復動自在となる(図8参照)。
【0052】
また、可動部材37cの上面には、Y軸方向に延びるレール部37fが形成され、レール部37fには支持部材37gが摺動自在に係合している。そして支持部材37gの上端に、ベアリング37hを介してアーム37iが取付けられ、アーム37iが保持トレー33の側面に連結されている。そして、送りねじ37bを回転させて可動部材37cをレール部材37eに沿って移動させると、支持部材37gがレール部37fに沿って移動しながら保持トレー33に回転力が付与されて回転駆動される。この場合、可動部材37cの往復動のストロークの範囲でアーム37iが揺動して保持トレー33を所定の微小角度範囲内(例えば、1度以内)で回転駆動される。また、支持部材37gとアーム37iとの間には、ベアリング37hに加えて支持部材37gに対するアーム37iの上下動を許容するスプラインガイド37jが介設されていてもよい。
【0053】
保持トレー33の上面には、真空ポンプに通じる吸着溝38がX軸方向及びY軸方向に延ばして適宜形成され、吸着溝38を真空引きすることで、基板Sをその略全面に亘って吸着保持する構成を採用している(図9参照)。
【0054】
そして、θ方向のアライメントを行う場合には、基板Sをその略全域に亘って吸着保持した状態で、気体供給手段36の各エアパッド36bに圧縮空気などの気体を供給する。これにより、保持トレー33がステージ本体31の上面から浮上した状態、または、圧縮空気により実質的に両者の摩擦抵抗が軽減された状態となる。この時、保持トレー33が浮上するため、ステージ本体31に接続されている微動機構37と保持トレー33の間で高さ方向のずれ(隙間)が生じるが、スプラインガイド37jにより、そのずれによる機械的な矛盾を解消、つまり、当該ずれを吸収できる。
【0055】
次に、微動機構37のモータMを駆動し、上記と同様、制御手段での補正値に応じて送りねじ37bが適宜回転される。これにより、アーム37iを介して保持トレー33が回転駆動され、回転軸33cを回転中心としてステージ本体31上面に対して基板Sを吸着保持した保持トレー33がθ方向に所定角度だけ回転する。
【0056】
このように上記第1変形例では、基板Sを保持する保持トレー33を回転させる構成としているが、保持トレー33の裏面にくぼみ空間33bを形成することで軽量化されていることと、エアパッド36bから気体を供給して回転軸33cに連結された箇所を除く部分を浮上させていることとが相俟って、例えば処理すべき基板Sの重量が大きいときでも、大型の軸受け等の回転機構が不要であり、装置自体の大型化を回避でき、しかも、小さな推力で基板Sを回転できるため、高性能のモータを用いることなく、高精度でアライメントすることが可能になる。
【0057】
上記第1変形例では、基板Sまたは基板Sを保持した保持トレー33をθ方向に回転させるようにしたものについて説明したが、ステージ自体に、例えばモータ付き送りねじを備えた駆動装置をさらに組み付け、X軸方向及びY軸方向にも移動自在とし、それらの方向におけるアライメントを行い得るように構成してもよい。
【0058】
また、上記実施形態及び第1変形例では、駆動手段として微動機構10からなるものについて説明したが、これに限定されるものではない。例えば、基板Sをθ方向に移動させながら、所定のインクを塗布するために、駆動手段は、吸着手段8を微動機構より大きな角度範囲、場合によっては基板Sを90度または180度回転させることができる粗動機構から構成されていてもよい。このような粗動機構を備えた第2変形例としては、図10に示すように、アクチュエータ15の駆動ロッド15aに装着され、ボールベアリング13のインナレース13aに連結されたウォームホイール101と、図示省略のフレームに固定されたハウジングに支承され、図示省略のモータにより回転駆動されるウォーム102とから粗動機構100が構成されている。なお、粗動機構100は、上記に限定されるものではなく、DDモータ等の他の公知のものを用いることができる。
【0059】
他方で、第3の変形例として、図11及び図12に示すように、アーム19及び駆動源20を備えた微動機構10と、ウォームホイール101及びウォーム102を備えた粗動機構100とを設けて駆動手段が構成されていてもよい。この場合、粗動機構100のウォームホイール101がインナレース13aに連結され、ウォームホイール101と噛み合うウォーム102を回転自在に支持するハウジング103の下面にアーム19の一端が固定されている。
【0060】
上記駆動手段においては、ハウジング103に設けたモータMにより粗動機構100のウォーム102が回転駆動させると、ウォームホイール101が回転し、これに連結されたインナレース13aが回転するのに伴って押圧部材14が回転される。そして、チャックプレート11が回転されて、微動機構10より大きな角度範囲で基板Sがθ方向に回転される。このとき、アーム19には、回転力は伝達されない。次に、駆動源20が駆動されると(図1及び図2参照)、アクチュエータ15を中心としてアーム19が揺動する。このとき、アーム19に固定のハウジング103と共にウォーム102が揺動し、これに伴ってウォームホイール101が回転することで、押圧部材14及びチャックプレート11が回転されて所定の微小角度で基板Sがθ方向に回転される。
【0061】
このような構成によれば、吸着手段8を回転駆動するために、微動機構10と粗動機構100とから共通の回転軸たる押圧部材14に回転力を付与できる。その結果、吸着手段8を回転駆動するための回転軸(押圧部材14)を共通して駆動手段の構成が複雑になることを回避できる。しかも、θ方向のアライメントを行う際に、粗動機構100による回転駆動から微動機構10による回転駆動への切り替えも円滑にできる。
【0062】
また、例えば撮像手段により基板Sを撮像し、基板SのマークRを基準として基板Sの位置を合わせるためにθ方向の変位量(補正値)を算出する際に、マークRが、撮像手段の撮像範囲を超えてずれている場合や算出した補正値が微動機構によりアライメント可能な微小角度範囲を超えているような場合に、先ず、粗動機構100により目標とする位置の近傍(即ち、微動機構10によりアライメントを行い得る角度範囲)まで高速で基板Sを回転駆動させ、場合によっては、撮像手段により基板Sを再度撮像して基板SのマークRを基準として補正値を算出し、引き続き、微動機構10により高精度な位置決めを行い得る。これにより、高精度かつ短時間のアライメントが実現できる。
【0063】
ここで、駆動手段が微動機構10と粗動機構100とを有する上記第3の変形例では、各機構10、100からの回転力が押圧部材14に入力されるようになっているが、これに限定されるものではない。第4の変形例として、図13に示すように、押圧部材14と同心に、微動駆動用のベアリング201aを介して他の中空回転軸201を設け、この中空回転軸201の下面をウォームホイール101及びウォーム102を収容するハウジング202の上面に接続して構成してもよい。これによれば、粗動機構100のウォーム102が回転駆動させると、アーム19に回転力を伝達することなく、押圧部材14が回転される。他方で、駆動源20が駆動されると、アーム19がアクチュエータ15を中心として揺動し、アーム19にハウジング202を介して連結された中空回転軸201が回転し、これに伴ってウォームホイール101を介して押圧部材14が回転される。
【0064】
さらに他の変形例として、特に図示しないが、押圧部材14と同心に中空回転軸201を配置する場合、微動機構10からの回転力が中空回転軸201のみに伝達されるように構成することもできる。この場合、中空回転軸201にもこの中空回転軸201を上下動するアクチュエータ(図示せず)を付設し、粗動機構100から押圧部材14を介して基板Sを回転させる際、押圧部材14のみを上昇させてチャックプレート11を押し上げ、他方で、微動機構10から中空回転軸201を介して基板Sを回転させる際、中空回転軸201のみを上昇させてチャックプレート11を押し上げるように構成してもよい。なお、中空回転軸201を上下動するアクチュエータを付設する場合、微動機構10から回転力が付与される回転軸(押圧部材)と、粗動機構100から回転力が付与される回転軸(中空回転軸)とが同心に配置されている必要はない。
【0065】
さらに、上記実施形態及び各変形例では、アライメント機能付きステージ4、30を塗布装置に適用したものを例に説明したが、これに限定されるものではない。例えば、半導体装置の製造工程で行われるバックグラインド工程のように、移動自在に設けたステージに設置されたウエハ(処理対象物)に対し、その対向する側から切削工具(処理手段)で所定の加工を行うような場合にも本発明を適用して、切削工具に対して処理対象物のアライメントを行うことができる。
【符号の説明】
【0066】
3R、3L レール部材(案内手段)
4、30 ステージ
4a、31 ステージ本体
8 吸着手段
9 気体供給手段
10 微動機構(駆動手段)
100 粗動機構(駆動手段)
21 吸着溝
33 保持トレー
S 基板(処理対象物)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理対象物をその処理面を開放して保持するステージ本体を備えたアライメント機能付きステージであって、
前記処理対象物の前記処理面に背向する他面に吸着自在な吸着手段と、前記吸着手段での吸着箇所以外の領域に気体を供給する気体供給手段と、前記吸着手段を回転中心として前記処理対象物が同一平面内で回転されるように前記吸着手段を回転駆動する駆動手段とを備え、
前記駆動手段は、前記吸着手段を所定の微小角度範囲内で回転させる微動機構と、前記吸着手段を微動機構より大きな角度範囲で回転させる粗動機構とから構成され、
前記粗動機構が前記吸着手段に直結されていることを特徴とするアライメント機能付きステージ。
【請求項2】
案内手段と、前記案内手段に沿って前記ステージ本体を移動させる移動手段とを更に備えることを特徴とする請求項1記載のアライメント機能付きステージ。
【請求項3】
前記ステージ本体の前記処理対象物との接触面に吸着溝が形成され、前記処理対象物をステージに基板を載置した状態で前記吸着溝を真空引きする真空ポンプを備えたことを特徴とする請求項1または2記載のアライメント機能付きステージ。
【請求項4】
前記微動機構がアームとこのアームを揺動する駆動源とを備え、この駆動源によりアームを揺動させると、粗動機構を介して前記吸着手段が回転駆動されるように、前記微動機構と前記粗動機構とが連結されていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のアライメント機能付きステージ。
【請求項5】
前記微動機構のアームは、少なくともステージ本体一側までのびる長さを有し、その先端で前記駆動源に接続されていることを特徴とする請求項4記載のアライメント機能付きステージ。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載のアライメント機能付きステージと、前記ステージで保持された処理対象物に対向配置され、処理対象物に対して所定の処理を施す処理手段とを備えたことを特徴とする処理装置。
【請求項7】
処理すべき基板をその処理面を開放してステージに載置する工程と、
前記基板の前記処理面と背向する他面に前記ステージに設けられた吸着手段を吸着させる工程と、
前記吸着手段で吸着された領域を除く前記他面に気体を供給する工程と、
前記吸着手段を回転中心として前記基板を同一平面内で所定角度回転させて前記処理対象物の位置合わせを行う工程とを含み、
前記処理対象物の位置合わせを行う工程は、所定の微小角度より大きな角度範囲で吸着手段を回転させた後、更に前記微小角度範囲内で吸着手段を回転させて行うことを特徴とする基板アライメント方法。
【請求項1】
処理対象物をその処理面を開放して保持するステージ本体を備えたアライメント機能付きステージであって、
前記処理対象物の前記処理面に背向する他面に吸着自在な吸着手段と、前記吸着手段での吸着箇所以外の領域に気体を供給する気体供給手段と、前記吸着手段を回転中心として前記処理対象物が同一平面内で回転されるように前記吸着手段を回転駆動する駆動手段とを備え、
前記駆動手段は、前記吸着手段を所定の微小角度範囲内で回転させる微動機構と、前記吸着手段を微動機構より大きな角度範囲で回転させる粗動機構とから構成され、
前記粗動機構が前記吸着手段に直結されていることを特徴とするアライメント機能付きステージ。
【請求項2】
案内手段と、前記案内手段に沿って前記ステージ本体を移動させる移動手段とを更に備えることを特徴とする請求項1記載のアライメント機能付きステージ。
【請求項3】
前記ステージ本体の前記処理対象物との接触面に吸着溝が形成され、前記処理対象物をステージに基板を載置した状態で前記吸着溝を真空引きする真空ポンプを備えたことを特徴とする請求項1または2記載のアライメント機能付きステージ。
【請求項4】
前記微動機構がアームとこのアームを揺動する駆動源とを備え、この駆動源によりアームを揺動させると、粗動機構を介して前記吸着手段が回転駆動されるように、前記微動機構と前記粗動機構とが連結されていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のアライメント機能付きステージ。
【請求項5】
前記微動機構のアームは、少なくともステージ本体一側までのびる長さを有し、その先端で前記駆動源に接続されていることを特徴とする請求項4記載のアライメント機能付きステージ。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載のアライメント機能付きステージと、前記ステージで保持された処理対象物に対向配置され、処理対象物に対して所定の処理を施す処理手段とを備えたことを特徴とする処理装置。
【請求項7】
処理すべき基板をその処理面を開放してステージに載置する工程と、
前記基板の前記処理面と背向する他面に前記ステージに設けられた吸着手段を吸着させる工程と、
前記吸着手段で吸着された領域を除く前記他面に気体を供給する工程と、
前記吸着手段を回転中心として前記基板を同一平面内で所定角度回転させて前記処理対象物の位置合わせを行う工程とを含み、
前記処理対象物の位置合わせを行う工程は、所定の微小角度より大きな角度範囲で吸着手段を回転させた後、更に前記微小角度範囲内で吸着手段を回転させて行うことを特徴とする基板アライメント方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2013−12754(P2013−12754A)
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−181586(P2012−181586)
【出願日】平成24年8月20日(2012.8.20)
【分割の表示】特願2010−515885(P2010−515885)の分割
【原出願日】平成21年6月3日(2009.6.3)
【出願人】(000231464)株式会社アルバック (1,740)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年8月20日(2012.8.20)
【分割の表示】特願2010−515885(P2010−515885)の分割
【原出願日】平成21年6月3日(2009.6.3)
【出願人】(000231464)株式会社アルバック (1,740)
【Fターム(参考)】
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