説明

アリピプラゾール塩

本発明は、二塩基性有機酸、カンファースルホン酸、リン酸にて形成された、式(II)で表されるアリピプラゾールの新規な塩及びその製法に関する。さらに、本発明の目的は、前記の新規なアリピプラゾール塩を含有する医薬組成物にある。本発明によるアリピプラゾール塩は、好適な有機溶媒中、アリピプラゾール塩基と好適な酸化合物との、アリピプラゾールのモル量基準で、モル比0.5〜3における反応によって調製される。
式(II)
【化1】


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
式(II)
【化1】

で表される化合物7-{4-[4-(2,3-ジクロロフェニル)-1-ピペラジニル]ブトキシ}-3,4-ジヒドロ-2(1H)-キノリノン(国際一般的名称「アリピプラゾール」に相当する)は、抗精神病性の医薬活性成分である。
【0002】
本発明は、二塩基性有機酸、カンファースルホン酸、リン酸にて形成された、新規なアリピプラゾール塩及びその製法に関する。さらに、本発明の目的は、前記の新規なアリピプラゾール塩を含有する医薬組成物、さらに、これら塩の、中枢神経系の精神病疾患の治療における使用にある。
【0003】
本発明によれば、製薬技術の観点から見て、優れた特性を持つアリピプラゾール塩が高純度で調製される。
【背景技術】
【0004】
アリピプラゾールは中枢神経系のいくつかの受容体に結合する。アリピプラゾールは、ドーパミン受容体D2及びD3、セロトニン受容体5HT1A及び5HT2Aに対して強い親和性を有し、ドーパミン受容体D4及びセロトニン受容体5HT2C及び5HT7にも結合し、さらに、α1-アドレナリン作動性受容体、ヒスタミンH1受容体及びセロトニン再取り込みの活性中心に結合する。アリピプラゾールは、コリン作動性ムスカリン受容体には結合しない。
【0005】
アリピプラゾールの作用機構は、広範な各種受容体との結合性を除き、未だ不明であるが、精神病疾患に対する作用は、ドーパミンD2受容体、セロトニン5HT1A受容体との競合的相互作用及びセロトニン5HT2A受容体に対する拮抗作用によって説明される。
【0006】
統合失調症及び双極性障害の治療についてのアリピプラゾールの使用の利点は、臨床試験によって証明されている。
【0007】
式(II)の7-{4-[4-(2,3-ジクロロフェニル)-1-ピペラジニル]ブトキシ}-3,4-ジヒドロ-2(1H)-キノリノン及びその塩は、ヨーロッパ特許第367,141号から知られている。特開2003−212852号公報には、アリピプラゾール水和物が記載されている。
【0008】
基本特許(ヨーロッパ特許第367,141号)から知られている3種の多形体とは異なる新規な多形型のアリピプラゾールが、国際特許出願公開WO 2004/106322号に記載されている。
【0009】
医薬製品は、保健機関の多数の厳格な基準を満足しなければならない(これらの基準は、常に、より厳しいものとなっている)。さらに、要件の適合性を、機関に適正な証拠書類を提出することによって証明しなければならない。前記基準は、活性な医薬成分及び医薬組成物の特性にも関わる。これらの基準は、機関による許可申請書類の評価の場合と共に、医薬組成物の開発の間も考慮される。
【0010】
例えば、式(II)のアリピプラゾール塩基の使用の場合、水溶性に乏しい医薬活性成分の異なる多形体を使用することによって、対応する医薬組成物が異なる溶解プロフィールを生じ、これにより、溶解プロフィールが長期間一定でなければならないとする要件を満足することが困難となることが知られている。
【0011】
他の問題点は、好適な剤形の医薬品の製造加工における医薬活性成分の疎水性にある。従って、活性成分は、通常、有機酸又は無機酸との塩に転化され、このようにして得られた塩を使用して、医薬組成物を調製している。さらに、塩の使用による利点は、良好な水溶性、塩の良好な湿潤性にあり、さらに、塩が、対応する塩基よりも、ほとんどの場合、より高純度で調製されることにある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
発明者らの開発の目的は、医薬組成物の調製にとって有利な特性を有する高純度のアリピプラゾール塩を調製することにあり、しかも、この塩が、環境保護にとって適正でありかつ再現可能なプロセスにより、工業的スケールで容易に製造されるものであることにある。
【0013】
上記の目的は、本発明に従って解決される。
【課題を解決するための手段】
【0014】
発明者らは、驚くべきことには、一般式(I)
【化2】

で表される、二塩基性有機酸、カンファースルホン酸及びリン酸とのアリピプラゾール塩が、非常に有利な溶解度及び適切な疎水性特性を有し、その使用が医薬工業において非常に有利であるとの知見を得た。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明の目的は、一般式(I)(式中、Xは、二塩基性有機酸の酸残基であり;nは1又は2であり;mは1又は2である)のアリピプラゾール二塩基性有機酸塩にある。
【0016】
これらの化合物は、医薬処方の観点から、アリピプラゾール自体又はその公知の塩よりも有利な特性を有する。
【0017】
アリピプラゾール塩の調製用の酸として、マレイン酸、フマル酸、コハク酸、リンゴ酸、酒石酸、マロン酸、シュウ酸、又はフタル酸が使用される。好ましくは、シュウ酸、酒石酸、又はコハク酸が使用される。
【0018】
本発明の他の目的は、カンファースルホン酸又はリン酸とのアリピプラゾール塩にある。これらの化合物は、二塩基性有機酸とで形成された塩と同様の有利な特性を有する。
【0019】
本発明の他の目的は、一般式(I)のアリピプラゾール塩の製法にある。本発明によるアリピプラゾール塩は、好適な有機溶媒中におけるアリピプラゾール塩基と好適な酸との反応によって調製される。沈殿した反応生成物を濾取し、有機溶媒又は必要であれば有機溶媒及び水の混合物にて洗浄する。
【0020】
好適な溶媒は、炭素原子1〜4個を含有する低級アルコール、エーテル又はエステルであり、好ましくは、ジエチルエーテル、酢酸エチル、メタノール、エタノール、2-プロパノール又はこれらの混合物又はこれらと水との混合物が使用される。
【0021】
アリピプラゾール塩の調製用の酸は、使用するアリピプラゾール塩基のモル量基準で0.5〜1.3のモル比で使用され、好ましくは、酸は等モル量で使用される。
【0022】
本発明のさらに他の目的は、一般式(I)のアリピプラゾール塩及び既知の医薬キャリヤー及び添加剤を含有する医薬組成物にある。
【0023】
本発明による医薬組成物は、活性成分を、組成物の質量基準で、一般に0.1〜95質量%、好ましくは、1〜50質量%、さらに好ましくは、5〜30質量%の量で含有する。
【0024】
本発明の医薬組成物は、経口投与(例えば、粉末、錠剤、フィルムコーティング錠、カプセル、マイクロカプセル、溶液、懸濁液又はエマルジョン)、非経口投与(例えば、静脈内、筋肉内、皮下又は腹腔内注射又は浸剤組成物)又は直腸投与(例えば、座剤)、経皮投与(例えば、ハップ剤)、又はインプラントとして投与、又は局所投与(例えば、クリーム剤、軟膏剤又はハップ剤)される。
【0025】
本発明による単位用量剤は、例えば、好適な量の活性成分を含有する錠剤、注射剤又は座剤の如き剤形である。
【0026】
本発明による固体又は液体の医薬組成物は、当分野における既知の方法によって調製される。
【0027】
一般式(I)の化合物を含有する経口投与用の固体医薬組成物は、キャリヤー及び賦形剤(例えば、乳糖、グルコース、デンプン、リン酸カルシウム、微結晶セルロース)、結合剤(例えば、ゼラチン、ソルビトール、カルボキシメチルスターチナトリウム、クロスポビドン)、崩壊剤(例えば、クロスカルメロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、クロスポビドン)、錠剤調製プロセスにおいて使用される添加剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム、タルク、ポリエチレングリコール、シリカ(又は二酸化ケイ素))及びテンザイド(tenzides)(例えば、ラウリル硫酸ナトリウム)を含有しうる。
【0028】
経口投与用の液体医薬組成物は、溶液、懸濁液又はエマルジョンであり、懸濁剤(例えば、ゼラチン、カルボキシメチルセルロース)、乳化剤(例えば、ソルビタンモノオレエート)、溶媒(例えば、水、オイル、グリセリン、プロピレングリコール、エタノール)、緩衝剤(酢酸塩、リン酸塩、クエン酸塩バッファー)及び安定剤(例えば、メチル-4-ヒドロキシ安息香酸)を含有できる。
【0029】
一般式(I)の化合物を含有する非経口投与用として許容される液体剤形は、無菌の等張溶液(溶媒以外に、pHを調節するため及び組成物を保存するための他の添加剤を含有できる)である。
【0030】
一般式(I)の化合物を含有する座剤のような軟質医薬組成物の場合には、活性成分はキャリヤー(例えば、ポリエチレングリコール又はカカオ脂)中に安定的に分散される。
【0031】
本発明のさらに他の目的は、一般式(I)の化合物の、医薬組成物の調製における使用にある。
【0032】
一般式(I)の化合物を含有する医薬組成物は、医薬品工業における既知の方法によって調製される。活性成分を好適な固体又は液体のキャリヤー及び添加剤と混合し、製剤する。医薬品工業において使用される好適なキャリヤー及び添加剤及び医薬組成物を調製するための好適な方法は、文献(Remington's Pharmaceutical Sciences,18版,Mack Publishing Co.,Easton,米国,1990)に記載されている。
【0033】
活性成分として一般式(I)の化合物を含有する医薬組成物は、単位用量剤として包装される。
【0034】
本発明のさらに他の目的は、一般式(I)のアリピプラゾール塩の、精神病疾患の治療、特に、統合失調症又は双極性障害の治療用の医薬組成物の調製における使用であって、一般式(I)の化合物塩を、薬学上許容されるキャリヤー、ビヒクルと混合し、製剤することを特徴とするアリピプラゾール塩の使用にある。
【0035】
本発明は、精神病疾患の治療法、特に、統合失調症及び双極性障害の治療法であって、一般式(I)のアリピプラゾール塩を、このような治療を必要とする患者に、薬学上効果的な量で投与することを特徴とする精神病疾患の治療法にも関する。
【0036】
下記の実施例は、本発明の目的を詳細に示すものであるが、本発明の保護の範囲は、これら実施例に限定されない。
【実施例1】
【0037】
アリピプラゾールシュウ酸塩(1:1)の調製法
強力な攪拌機を備えた装置に、無水エタノール20mlを充填し、ついで、加熱、沸騰させた。還流すると共に、激しく撹拌しながら、アリピプラゾール1g(2.2ミリモル)を添加、溶解させ、ついで、シュウ酸0.3g(2.2ミリモル)を70℃において添加した。混合物を、その沸点まで加熱し、ついで、室温まで冷却させた。沈殿した結晶生成物を濾取し、エタノールで洗浄した。
このようにして白色結晶1.15g(91.3%)が得られた。
融点:202〜205℃
化学組成C23H27Cl2N3O2・C2H2O4(538.43)についての元素分析:
理論値:C: 55.77 H: 5.43 Cl: 13.17 N: 7.80
測定値:C: 56.08 H: 5.38 Cl: 12.93 N: 7.73
IR(KBr):2453, 1683, 1626, 1380, 1170 cm-1
HNMR(DMSO, i500):10.00(bs, 1H), 7.34(m, 2H), 7.18(m, 1H), 7.05(d, J=8.2 Hz, 1H), 6.50(dd, J1=2.6 Hz, J2=8.2 Hz, 1H), 6.45(d, J=2.4 Hz, 1H), 3.93(t, J=5.9 Hz, 2H), 3.21(m, 8H), 3.04(t, J=7.5 Hz, 2H), 2.79(~q, J=7.5 Hz, 2H), 2.42(t, J=7.6 Hz, 2H), 1.76(m, 4H) ppm
CNMR:170.46, 164.26, 157.92, 150.10, 139.40, 132.89, 128.77, 128.57, 126.25, 125.25, 119.95, 115.80, 107.74, 101.94, 67.05, 55.85, 51.63, 48.66, 30.93, 26.25, 24.18, 20.92, 18.74 ppm
【実施例2】
【0038】
アリピプラゾール酒石酸塩(1:1)の調製法
強力な攪拌機を備えた装置に、無水エタノール20mlを充填し、ついで、加熱、沸騰させた。還流すると共に、激しく撹拌しながら、アリピプラゾール1g(2.2ミリモル)を添加、溶解させ、ついで、L-(+)-酒石酸0.33g(2.2ミリモル)を70℃において添加した。混合物を、その沸点まで加熱し、ついで、室温まで冷却させた。沈殿した結晶生成物を濾取し、エタノールで洗浄した。
このようにして白色結晶1.23g(93.2%)が得られた。
融点:190〜193℃
化学組成C23H27Cl2N3O2・C4H6O6(598.49)についての元素分析:
理論値:C: 54.19 H: 5.56 Cl: 11.85 N: 7.02
測定値:C: 54.15 H: 5.50 Cl: 11.77 N: 7.02
IR(KBr):3367, 2604, 1673, 1375, 1119 cm-1
HNMR(DMSO, i500):9.98(bs, 1H), 7.31(m, 2H), 7.15(m, 1H), 7.04(d, J=8.2 Hz, 1H), 6.49(dd, J1=2.6 Hz, J2=8.3 Hz, 1H), 6.44(d, J=2.5 Hz, 1H), 4.23(s, 2H), 3.93(t, J=6.3 Hz, 2H), 3.04(m, 4H), 2.78(t, J=7.4 Hz, 2H), 2.72(m, 4H), 2.57(t, J=7.3 Hz, 2H), 2.41(t, J=7.5 Hz, 2H), 1.73 (~qn, J=7.1 Hz, 2H), 1.64(~qn, J=6.8 Hz, 2H) ppm
CNMR:173.64, 170.46, 158.03, 151.04, 139.37, 132.81, 128.65, 128.56, 126.20, 124.70, 119.79, 115.68, 107.74, 101.90, 72.22, 67.35, 57.03, 52.57, 50.45, 30.94, 26.64, 24.18, 22.34 ppm
【実施例3】
【0039】
アリピプラゾールヘミコハク酸塩(2:1)の調製法
強力な攪拌機を備えた装置に、無水エタノール20mlを充填し、ついで、加熱、沸騰させた。還流すると共に、激しく撹拌しながら、アリピプラゾール1g(2.2ミリモル)を添加、溶解させ、ついで、コハク酸0.24g(2.2ミリモル)を70℃において添加した。混合物を、その沸点まで加熱し、ついで、室温まで冷却させた。沈殿した結晶生成物を濾取し、エタノールで洗浄した。
このようにして白色結晶1.01g(80.8%)が得られた。
融点:154〜156℃
化学組成C23H27Cl2N3O2・1/2C4H6O4(507.44)についての元素分析:
理論値:C: 59.18 H: 5.96 Cl: 13.97 N: 8.28
測定値:C: 59.15 H: 6.09 Cl: 14.06 N: 8.20
IR(KBr):2943, 1689, 1628, 1378, 957 cm-1
HNMR(CDCl3, i500):11.74(b, 1H), 9.15(bs, 1H), 7.18(dd, J1=2.0 Hz, J2=8.1 Hz, 1H), 7.15(~t, J=7.9 Hz, 1H), 7.02(d, J=8.3 Hz, 1H), 6.96(dd, J1=1.8 Hz, J2=7.7 Hz), 6.50(dd, J1=2.5 Hz, J2=8.2 Hz, 1H), 6.39(d, J=2.4 Hz, 1H), 3.97(m, 2H), 3.16(m, 4H), 2.91(m, 4H), 2.87(t, J=7.5 Hz, 2H), 2.70(m, 2H), 2.61(s, 2H), 2.60(t, J=7.2 Hz, 2H), 1.80(m, 4H) ppm
CNMR:177.46, 172.43, 158.33, 150.36, 138.12, 134.03, 128.57, 127.53, 127.47, 125.01, 118.72, 115.64, 109.01, 102.11, 67.45, 57.41, 52.52, 50.05, 30.91, 30.89, 26.74, 24.43, 22.15 ppm
【実施例4】
【0040】
アリピプラゾールカンファースルホン酸塩の調製法
強力な攪拌機を備えた装置に、無水エタノール20mlを充填し、ついで、加熱、沸騰させた。還流すると共に、激しく撹拌しながら、アリピプラゾール1g(2.2ミリモル)を添加、溶解させ、ついで、1(S)-(+)-カンファースルホン酸・モノ水和物0.55g(2.2ミリモル)を70℃において添加した。混合物を、その沸点まで加熱し、ついで、室温まで冷却させた。沈殿した結晶生成物を濾取し、エタノールで洗浄した。
このようにして白色結晶1.33g(86.4%)が得られた。
融点:190〜192℃
化学組成C23H27Cl2N3O2・C10H16O4S(680.70)についての元素分析:
理論値:C: 58.23 H: 6.37 Cl: 10.42 N: 6.17
測定値:C: 58.28 H: 6.33 Cl: 10.32 N: 6.26
IR(KBr):3252, 1739, 1700, 1186, 1030 cm-1
HNMR(CDCl3, i500):10.98(b, 1H), 8.73(bs, 1H), 7.23(dd, J1=1.5 Hz, J2=7.9 Hz, 1H), 7.18(~t, J=8.0 Hz, 1H), 7.11(dd, J1=1.5 Hz, J2=7.9 Hz, 1H), 7.01(d, J=8.3 Hz, 1H), 6.53(d, J=2.3 Hz, 1H), 6.48(dd, J1=2.5 Hz, J2=8.3 Hz, 1H), 4.01(t, J=6.0 Hz, 2H), 3.77(m, 2H), 3.58(m, 2H), 3.38(m, 2H), 3.33(d, J=14.5 Hz, 1H), 3.25(m, 2H), 3.09(m, 2H), 2.89(d, J=14.7 Hz, 1H), 2.86(t, J=7.7 Hz, 2H), 2.70(m, 1H), 2.58(t, J=7.5 Hz, 2H), 2.32(m, 1H), 2.05(m, 4H), 1.88(m, 3H), 1.77(m, 1H), 1.37(m, 1H), 1.10(s, 3H), 0.83(s, 3H) ppm
CNMR:217.03, 171.54, 158.10, 149.07, 138.53, 133.99, 128.49, 127.89, 127.57, 126.02, 119.59, 115.98, 108.75, 102.48, 67.17, 58.44, 57.17, 52.38, 48.06, 47.94, 47.60, 42.93, 42.58, 31.04, 26.98, 26.25, 24.57, 20.82, 19.88, 19.79 ppm
【実施例5】
【0041】
アリピプラゾールリン酸塩モノ水和物(1:1)の調製法
強力な攪拌機を備えた装置に、無水エタノール20mlを充填し、ついで、加熱、沸騰させた。還流すると共に、激しく撹拌しながら、アリピプラゾール1g(2.2ミリモル)を添加、溶解させ、ついで、85質量%リン酸0.25g(4.4ミリモル)を70℃において添加した。混合物を、その沸点まで加熱し、ついで、室温まで冷却させた。沈殿した結晶生成物を濾取し、エタノールで洗浄した。
このようにして白色結晶0.78g(65.0%)が得られた。
融点:189〜192℃
IR(KBr):2942, 1655, 1592, 1192, 1077, 956 cm-1
HNMR(DMSO, i500):10.01(bs, 1H), 7.32(m, 2H), 7.16(m, 1H), 7.04(d, J=8.3 Hz, 1H), 6.50(dd, J1=2.6 Hz, J2=8.3 Hz, 1H), 6.45(d, J=2.4 Hz, 1H), 3.93(t, J=6.1 Hz, 2H), 3.08(m, 4H), 2.78(m, 6H), 2.64(t, J=6.8 Hz, 2H), 2.41(t, J=7.5 Hz, 2H), 1.73(m, 2H), 1.68(m, 2H) ppm
CNMR:170.48, 158.01, 150.88, 139.37, 132.82, 128.68, 128.56, 126.21, 124.80, 119.84, 115.70, 107.77, 101.92, 67.33, 56.80, 52.36, 30.94, 26.58, 24.18, 22.04 ppm

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(I)
【化1】

(式中、Xは二塩基性有機酸の酸残基であり;nは1又は2であり;mは1又は2である)で表される、二塩基性有機酸により形成された7-{4-[4-(2,3-ジクロロフェニル)-1-ピペラジニル]ブトキシ}-3,4-ジヒドロ-2(1H)-キノリノン(アリピプラゾール)塩。
【請求項2】
Xが、シュウ酸、酒石酸又はコハク酸の酸残基である、請求項1記載のアリピプラゾール塩。
【請求項3】
アリピプラゾールシュウ酸塩(1:1)。
【請求項4】
アリピプラゾール酒石酸塩(1:1)。
【請求項5】
アリピプラゾールコハク酸塩(2:1)。
【請求項6】
アリピプラゾールカンファースルホン酸塩。
【請求項7】
アリピプラゾールリン酸塩モノ水和物(1:1)。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれかに記載の一般式(I)のアリピプラゾール塩を製造する方法であって、アリピプラゾール塩基を、有機溶媒中、有機酸と反応させ、ついで、沈殿した塩を単離することを特徴とするアリピプラゾール塩の製法。
【請求項9】
有機酸の量が、アリピプラゾール塩基のモル量基準で、モル比0.5〜3、好ましくは1.0当量である請求項8記載の製法。
【請求項10】
溶媒として、炭素原子1〜4個を含有するアルコール、エーテル又はエステル、又はそれらの混合物、好ましくはエタノールを使用する請求項8又は9記載の製法。
【請求項11】
活性医薬成分として請求項1〜7項のいずれかに記載のアリピプラゾール塩及び薬学上許容されるキャリヤーを含有する医薬組成物。
【請求項12】
請求項11記載の医薬組成物を製造する方法であって、請求項1〜7のいずれかに記載の一般式(I)の化合物を、薬学上許容される少なくとも1のキャリヤー及び必要に応じて、薬学上許容される他の添加剤と混合し、製剤することを特徴とする医薬組成物の製法。
【請求項13】
請求項1〜7のいずれかに記載の一般式(I)のアリピプラゾール塩の、中枢神経系の精神病疾患の治療、特に、統合失調症又は双極性障害の治療における使用。
【請求項14】
中枢神経系の精神病疾患を治療又は予防する方法であって、請求項1〜7のいずれかに記載の一般式(I)の少なくとも1のアリピプラゾール塩を、このような治療を必要とする患者に、薬学上効果的な量で投与することを特徴とする精神病疾患の治療又は予防法。

【公表番号】特表2009−501204(P2009−501204A)
【公表日】平成21年1月15日(2009.1.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−520969(P2008−520969)
【出願日】平成18年7月11日(2006.7.11)
【国際出願番号】PCT/HU2006/000056
【国際公開番号】WO2007/007132
【国際公開日】平成19年1月18日(2007.1.18)
【出願人】(507333074)
【Fターム(参考)】