説明

アリールオキシキノリン類及び5−HT6モジュレーターとしてのその使用

本発明は、式(I)の化合物及び薬学的に許容しうるその塩[ここで、m、Ar、R1、R2、及びR3は、明細書に定義されるとおりである]を提供する。本化合物(I)は、5−HT6モジュレーターとして適しており、よってある種のCNS及び消化管の障害の治療において有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アリールオキシキノリン化合物、関連組成物、治療薬としての使用方法、及びこれらの製造方法に関する。
【0002】
更に詳細には、本発明は、式(I):
【0003】
【化7】

【0004】
[式中、
mは、0〜3の整数であり;
Xは、−CH−又は−N−であり;
Arは、場合により置換されているアリール又は場合により置換されているヘテロアリールであり;
1は、水素、ハロ、アルキル、ハロアルキル、ヘテロアルキル、アルコキシ、シアノ、−S(O)s−Rc、−C(=O)−NRcd、−SO2−NRcd、−N(Rc)−C(=O)−Rd、−C(=O)−Rc、−N(O)a、−NR56又は−C(=O)−R7であり;
各R2は、ハロ、アルキル、ハロアルキル、ヘテロアルキル、アルコキシ、シアノ、−S(O)s−Rc、−C(=O)−NRcd、−SO2−NRcd、−N(Rc)−C(=O)−Rd又は−C(=O)−Rcであり;
3は、水素又はアルキルであり;
sは、0〜2であり;
c及びRdのそれぞれは、独立に、水素又はアルキルであり;
aは、1又は2であり;
5及びR6のそれぞれは、独立に、水素又はアルキルであり;
7は、水素、アルキル、アルコキシ又は−NR89であり;そして
8及びR9のそれぞれは、独立に、水素又はアルキルである]で示される化合物、又は薬学的に許容しうるその塩を提供する。
【0005】
本発明はまた、上述の化合物の製造方法、これらを含む組成物、及びこれらを使用する方法を提供する。
【0006】
脳内の主要な調節性神経伝達物質としての5−ヒドロキシトリプタミン(5−HT)の作用には、5−HT1、5−HT2、5−HT3、5−HT4、5−HT5、5−HT6及び5−HT7と称される幾つかの受容体ファミリーが介在する。脳内の高レベルの5−HT6受容体mRNAに基づいて、5−HT6受容体は、中枢神経系疾患の病因及び治療においてある役割を果たすであろうことが提示されている。具体的には、5−HT2選択的及び5−HT6選択的リガンドが、パーキンソン病、ハンチントン舞踏病、不安、鬱病、躁鬱病、精神病、てんかん、強迫神経症、気分障害、片頭痛、アルツハイマー病(認知記憶の増強)、睡眠障害、摂食障害(食欲不振、過食症及び肥満症など)、パニック発作、静座不能、注意欠陥多動性障害(ADHD)、注意欠陥障害(ADD)、薬物(コカイン、エタノール、ニコチン及びベンゾジアゼピン類など)濫用からの離脱、統合失調症、そしてまた水頭症のような脊椎外傷及び/又は頭部損傷に関連する障害などの、ある種のCNS疾患の治療において潜在的に有用なものとして同定されている。このような化合物はまた、機能性腸疾患のような、ある種の消化管(GI)の障害の治療に役立つことも期待されている。例えば、B.L. Rothら, J. Pharmacol. Exp. Ther., 1994, 268, p 1403-14120、D.R. Sibleyら, Mol. Pharmacol., 1993, 43, 320-327、A.J. Sleightら, Neurotransmission, 1995, 11, 1-5、及びA.J. Sleightら, Serotonin ID Research Alert, 1997, 2(3), 115-8を参照のこと。
【0007】
幾つかの5−HT6モジュレーターが開示されているが、5−HT6を調節するのに有用な化合物に対するニーズは存在し続けている。
【0008】
本発明は、置換キノリン化合物、関連組成物、治療薬としての使用方法、及びこれらの製造方法を提供する。本発明の1つの実施態様は、ピペラジニル置換キノリン化合物及び関連の医薬組成物、並びに中枢神経系(CNS)の疾患及び消化管の障害の治療におけるこれらの使用方法を提供する。
【0009】
本開示に引用される全ての刊行物は、その全体を引用例として本明細書に取り込む。
【0010】
特に断りない限り、明細書及び請求の範囲を含む本出願において使用される下記の用語は、後述の定義を有する。本明細書及び添付の請求の範囲に使用されるとき、単数形の「a」、「an」及び「the」は、文脈において明白に断りない限り、複数形の指示対象を含む。
【0011】
「アゴニスト」とは、別の化合物又は受容体部位の活性を増強する化合物のことである。
【0012】
「アルキル」は、1〜12個の炭素原子を有する、炭素及び水素原子だけからなる、一価の直鎖又は分岐の飽和炭化水素基を意味する。「低級アルキル」とは、1〜6個の炭素原子のアルキル基(即ち、「C1−C6アルキル」)のことである。アルキル基の例は、特に限定されないが、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、n−ヘキシル、オクチル、ドデシルなどを含む。
【0013】
「アルコキシ」は、式:−OR(ここで、Rは、本明細書に定義されるアルキル基である)の基を意味する。アルコキシ基の例は、特に限定されないが、メトキシ、エトキシ、イソプロポキシなどを含む。
【0014】
「アンタゴニスト」とは、別の化合物又は受容体部位の作用を弱めるか又は妨げる化合物のことである。
【0015】
「アリール」は、単環、二環又は三環式芳香環よりなる、一価の環状芳香族炭化水素基を意味する。このアリール基は、場合により、本明細書に定義されるように置換されていてもよい。アリール基の例は、特に限定されないが、フェニル、ナフチル、ナフタレニル、フェナントリル、フルオレニル、インデニル、ペンタレニル、アズレニル、オキシジフェニル、ビフェニル、メチレンジフェニル、アミノジフェニル、ジフェニルスルフィジル、ジフェニルスルホニル、ジフェニルイソプロピリデニル、ベンゾジオキサニル、ベンゾフラニル、ベンゾジオキシリル、ベンゾピラニル、ベンゾオキサジニル、ベンゾオキサジノニル、ベンゾピペリジニル、ベンゾピペラジニル、ベンゾピロリジニル、ベンゾモルホリニル、メチレンジオキシフェニル、エチレンジオキシフェニルなど(それらの部分水素化誘導体を含む)を含む。
【0016】
「シクロアルキル」は、単環又は二環式の環よりなる、飽和炭素環式基を意味する。シクロアルキルは、場合により、1個以上の置換基(ここで、各置換基は、特に断りない限り、独立に、ヒドロキシ、アルキル、アルコキシ、ハロ、ハロアルキル、アミノ、モノアルキルアミノ又はジアルキルアミノである)で置換されていてもよい。シクロアルキル基の例は、特に限定されないが、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチルなど(シクロヘキセニル、シクロペンテニルなどのような、それらの部分不飽和誘導体を含む)を含む。
【0017】
「シクロアルキルアルキル」は、式:−R’−R”(ここで、R’は、アルキレンであり、そしてR”は、シクロアルキルであり、本明細書に定義されるとおりである)の基を意味する。
【0018】
「ヘテロアルキル」は、ヘテロアルキル基の結合点が炭素原子を介するという理解の下で、1個、2個又は3個の水素原子が、−ORa、−NRbc及び−S(O)nd(ここで、nは、0〜2の整数である)よりなる群から独立に選択される置換基で置換されている、本明細書に定義されるアルキル基を意味する(ここで、Raは、水素、アシル、アルキル、シクロアルキル又はシクロアルキルアルキルであり;Rb及びRcは、相互に独立に、水素、アシル、アルキル、シクロアルキル又はシクロアルキルアルキルであり;そしてnが0であるとき、Rdは、水素、アルキル、シクロアルキル又はシクロアルキルアルキルであり、そしてnが1又は2であるとき、Rdは、アルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アミノ、アシルアミノ、モノアルキルアミノ又はジアルキルアミノである)。代表例は、特に限定されないが、2−ヒドロキシエチル、3−ヒドロキシプロピル、2−ヒドロキシ−1−ヒドロキシメチルエチル、2,3−ジヒドロキシプロピル、1−ヒドロキシメチルエチル、3−ヒドロキシブチル、2,3−ジヒドロキシブチル、2−ヒドロキシ−1−メチルプロピル、2−アミノエチル、3−アミノプロピル、2−メチルスルホニルエチル、アミノスルホニルメチル、アミノスルホニルエチル、アミノスルホニルプロピル、メチルアミノスルホニルメチル、メチルアミノスルホニルエチル、メチルアミノスルホニルプロピルなどを含む。
【0019】
「ヘテロアリール」は、ヘテロアリール基の結合点が芳香環上にあるという理解の下で、N、O又はSから選択される1個、2個又は3個の環ヘテロ原子を含み、残りの環原子はCである、少なくとも1個の芳香環を有する、5〜12個の環原子の単環式又は二環式の一価の基を意味する。このヘテロアリール環は、場合により本明細書に定義されるように置換されていてもよい。ヘテロアリール基の例は、特に限定されないが、イミダゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、ピラジニル、チエニル、ベンゾチエニル、チオフェニル、フラニル、ピラニル、ピリジル、ピリジニル、ピリダジル、ピロリル、ピラゾリル、ピリミジル、キノリニル、イソキノリニル、ベンゾフリル、ベンゾチオフェニル、ベンゾチオピラニル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾオキサジアゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾチアジアゾリル、ベンゾピラニル、インドリル、イソインドリル、トリアゾリル、トリアジニル、キノキサリニル、プリニル、キナゾリニル、キノリジニル、ナフチリジニル、プテリジニル、カルバゾリル、アゼピニル、ジアゼピニル、アクリジニルなど(それらの部分水素化誘導体を含む)を含む。
【0020】
互換的に使用することができる、「ハロ」及び「ハロゲン」という用語は、置換基:フルオロ、クロロ、ブロモ又はヨードのことである。
【0021】
「ハロアルキル」は、1個以上の水素が、同一であるか又は異なるハロゲンで置き換えられている、本明細書に定義されるアルキルを意味する。典型的なハロアルキルは、−CH2Cl、−CH2CF3、−CH2CCl3、ペルフルオロアルキル(例えば、−CF3)などを含む。
【0022】
「アリール」又は「ヘテロアリール」と併せて使用されるとき、「場合により置換されている」は、場合により、アルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、ヘテロアルキル、ヒドロキシアルキル、ハロ、ニトロ、シアノ、ヒドロキシ、アルコキシ、アミノ、アシルアミノ、モノ−アルキルアミノ、ジ−アルキルアミノ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、ヘテロアルキル、−COR(ここで、Rは、水素、アルキル、フェニル又はフェニルアルキルである)、−(CR’R”)n−COOR(ここで、nは、0〜5の整数であり、R’及びR”は、独立に、水素又はアルキルであり、そしてRは、水素、アルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、フェニル又はフェニルアルキルである)、−(CR’R”)n−CONRab(ここで、nは、0〜5の整数であり、R’及びR”は、独立に、水素又はアルキルであり、そしてRa及びRbは、相互に独立に、水素、アルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、フェニル又はフェニルアルキルである)、−S(O)s−Rc(ここで、sは、0、1又は2であり;そしてRcは、水素又はアルキルである)、−SO2−NRcd(ここで、Rc及びRdのそれぞれは、独立に、水素又はアルキルである)、及び−N(Rc)−C(=O)−Rd(ここで、Rc及びRdのそれぞれは、独立に、水素又はアルキルである)から選択される、1個以上、例えば、1〜4個の置換基で、好ましくは1個又は2個の置換基で、独立に置換されている、アリール又はヘテロアリールを意味する。
【0023】
「脱離基」は、合成有機化学で従来から結び付けられてきた意味の基、即ち、置換反応条件下で置換可能な原子又は基を意味する。脱離基の例は、特に限定されないが、ハロゲン、アルカン−又はアリーレンスルホニルオキシ(メタンスルホニルオキシ、エタンスルホニルオキシなど)、チオメチル、ベンゼンスルホニルオキシ、トシルオキシ、チエニルオキシ、ジハロホスフィノイルオキシ、場合により置換されているベンジルオキシ、イソプロピルオキシ、アシルオキシなどを含む。
【0024】
「モジュレーター」は、標的と相互作用する分子を意味する。相互作用は、特に限定されないが、本明細書に定義されるアゴニスト、アンタゴニストなどを含む。
【0025】
「オプションの」又は「場合により」は、次に記述される事象又は状況が、必ずしも起こるわけではないこと、そしてこの記述が、その事象又は状況が起こる場合と起こらない場合を含むことを意味する。
【0026】
「病状」は、任意の疾患、症状、症候又は適応症を意味する。
【0027】
「不活性有機溶媒」又は「不活性溶媒」は、それと共に記述されている反応の条件下で不活性な溶媒を意味し、例えば、ベンゼン、トルエン、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、N,N−ジメチルホルムアミド、クロロホルム、塩化メチレン、ジクロロメタン、ジクロロエタン、ジエチルエーテル、酢酸エチル、アセトン、メチルエチルケトン、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、tert−ブタノール、ジオキサン、ピリジンなどを含む。特に断りない限り、本発明の反応において使用される溶媒は、不活性溶媒である。
【0028】
「薬学的に許容しうる」は、一般に安全で非毒性であり、かつ生物学的にも他の意味でも有害でなく、医薬組成物を調製するのに有用であることを意味し、そしてヒトの薬学的使用だけでなく獣医学的使用にも許容しうることを含む。
【0029】
化合物の「薬学的に許容しうる塩」は、本明細書に定義される薬学的に許容しうるものであり、かつ親化合物の所望の薬理活性を有する塩を意味する。このような塩は、以下を含む:
塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸などのような無機酸と共に形成されるか;又は酢酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、カンファースルホン酸、クエン酸、エタンスルホン酸、フマル酸、グルコヘプトン酸、グルコン酸、グルタミン酸、グリコール酸、ヒドロキシナフトエ酸、2−ヒドロキシエタンスルホン酸、乳酸、マレイン酸、リンゴ酸、マロン酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、ムコン酸、2−ナフタレンスルホン酸、プロピオン酸、サリチル酸、コハク酸、酒石酸、p−トルエンスルホン酸、トリメチル酢酸などのような有機酸と共に形成される、酸付加塩;あるいは
親化合物中に存在する酸性プロトンが、金属イオン(例えば、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン又はアルミニウムイオン)により置き換えられるか;又は有機若しくは無機塩基と配位結合するときに形成される塩。許容しうる有機塩基は、ジエタノールアミン、エタノールアミン、N−メチルグルカミン、トリエタノールアミン、トロメタミンなどを含む。許容しうる無機塩基は、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム及び水酸化ナトリウムを含む。
【0030】
好ましい薬学的に許容しうる塩は、酢酸、塩酸、硫酸、メタンスルホン酸、マレイン酸、リン酸、酒石酸、クエン酸、ナトリウム、カリウム、カルシウム、亜鉛、及びマグネシウムから形成される塩である。
【0031】
当然のことながら、薬学的に許容しうる塩への全ての言及は、同酸付加塩の、本明細書に定義される溶媒付加形(溶媒和物)又は結晶形(多形体)を含む。
【0032】
本明細書において互換的に使用することができる、「プロ−ドラッグ」及び「プロドラッグ」という用語は、このようなプロドラッグが哺乳動物対象に投与されるとき、インビボで式(I)の活性な親薬物を放出する、任意の化合物を意味する。式(I)の化合物のプロドラッグは、式(I)の化合物中に存在する1個以上の官能基を、インビボで開裂されて、親化合物を放出できるように修飾することにより調製される。プロドラッグは、式(I)の化合物中のヒドロキシ、アミノ又はスルフヒドリル基が、インビボで開裂することにより、それぞれ遊離のヒドロキシル、アミノ又はスルフヒドリル基を再生させることができる任意の基に結合している、式(I)の化合物を含む。プロドラッグの例は、特に限定されないが、式(I)の化合物中のヒドロキシ官能基のエステル類(例えば、酢酸エステル、ギ酸エステル及び安息香酸エステル誘導体)、カルバマート類(例えば、N,N−ジメチルアミノカルボニル);アミノ官能基のN−アシル誘導体(例えば、N−アセチル)、N−マンニッヒ塩基、シッフ塩基及びエナミノン類;式(I)の化合物中のケトン及びアルデヒド官能基のオキシム類、アセタール類、ケタール類及びエノールエステル類などを含む(Bundegaard, H., Design of Prodrugs, p1-92, Elsevier, New York - Oxford (1985)などを参照のこと)。
【0033】
「保護基("Protective group" or "protecting group")」は、合成化学で従来から関係してきた意味において、ある化学反応を選択的に別の非保護反応性部位で行うことができるように、多官能化合物中の1つの反応性部位を選択的にブロックする基を意味する。本発明のある工程は、反応物に存在する反応性窒素及び/又は酸素原子をブロックするための保護基に依存している。例えば、「アミノ保護基」及び「窒素保護基」という用語は、本明細書では互換的に使用され、合成手順における望ましくない反応に対して窒素原子を保護する目的の有機基のことをいう。典型的な窒素保護基は、特に限定されないが、トリフルオロアセチル、アセトアミド、ベンジル(Bn)、ベンジルオキシカルボニル(カルボベンジルオキシ、CBZ)、p−メトキシベンジルオキシカルボニル、p−ニトロベンジルオキシカルボニル、tert−ブトキシカルボニル(BOC)などを含む。当業者であれば、脱離の容易さのため、及び続く反応に耐えられるための基の選び方が判るであろう。
【0034】
「溶媒和物」は、化学量論量又は非化学量論量のいずれかの溶媒を含む、溶媒付加形を意味する。幾つかの化合物は、結晶性固体状態で固定モル比の溶媒分子を捕捉して、溶媒和物を形成する傾向がある。溶媒が水であるならば、形成される溶媒和物は、水和物であり、溶媒がアルコールであるとき、形成される溶媒和物は、アルコラートである。水和物は、1分子以上の水と1つの物質との組合せ(このような組合せは1種以上の水和物を形成することができる)により形成され、水はその分子状態をH2Oとして保持している。
【0035】
「対象」は、哺乳動物及び非哺乳動物を意味する。哺乳動物は、特に限定されないが、ヒト;チンパンジーや他の類人猿及びサル種のようなヒト以外の霊長類;ウシ、ウマ、ヒツジ、ヤギ及びブタのような家畜(farm animals);ウサギ、イヌ及びネコのような家畜(domestic animals);ラット、マウス及びモルモットのような齧歯類を含む実験動物などを含む、哺乳類の任意のメンバーを意味する。非哺乳動物の例は、特に限定されないが、鳥類などを含む。「対象」という用語は、特定の年齢又は性別を示さない。
【0036】
「治療有効量」は、病状の治療のために対象に投与されるとき、その病状の治療を達成するのに充分な化合物の量を意味する。「治療有効量」は、その化合物、治療される病状、治療される疾患の重篤度、対象の年齢及び相対的な健康度、投与の経路及び剤形、担当医又は獣医の判定、並びに他の因子に応じて変化するだろう。
【0037】
可変基に関する「上に定義される」及び「本明細書に定義される」という用語は、参照により、その可変基の広い定義が取り込まれ、また、好ましい定義、より好ましい定義、及び最も好ましい定義がある場合には、それらも取り込まれる。
【0038】
病状の「治療する(treating)」又は「治療(treatment)」は、以下を含む:
(i)病状を予防すること、即ち、病状に曝露されているか、又は病状の素因があるが、まだ病状に直面していないか、又は病状の症候を示していない対象において、その病状の臨床症候を発現させないこと;
(ii)病状を阻害すること、即ち、病状又はその臨床症候の進展を止めること;あるいは
(iii)病状を緩和すること、即ち、病状又はその臨床症候を一時的又は永久的に緩解させること。
【0039】
化学反応に関するとき「処理」、「接触」及び「反応」という用語は、適切な条件下で2つ以上の試薬を添加又は混合することを意味し、これによって指示及び/又は所望の生成物が生成する。当然のことながら、表示の及び/又は所望の生成物が生成する反応は、必ずしも最初に加えた2つの試薬の組合せから直接生じるとは限らない、即ち、最終的に表示の及び/又は所望の生成物の形成に至る、混合物として生成する1つ以上の中間体が存在することがある。
【0040】
一般に、本出願において使用される命名法は、IUPACの体系的命名法の生成のためのバイルシュタイン研究所(Beilstein Institute)のコンピュータ化システムである、オートノム(AUTONOM)(商標)v.4.0に基づく。便宜上、本明細書に記載される代表的キノリン化合物の位置のIUPAC番号付を下記式により示す:
【0041】
本明細書に示される化学構造は、ISIS(商標)/ドロー(Draw)バージョン2.5を用いて作成した。本明細書の構造中の炭素、酸素又は窒素原子上に出現する任意のオープン結合価は、水素の存在を示している。
【0042】
本発明の1つの態様は、式(I):
【0043】
【化8】

【0044】
[式中、
mは、0〜3の整数であり;
Xは、−CH−又は−N−であり;
Arは、場合により置換されているアリール又は場合により置換されているヘテロアリールであり;
1は、水素、ハロ、アルキル、ハロアルキル、ヘテロアルキル、アルコキシ、シアノ、−S(O)s−Rc、−C(=O)−NRcd、−SO2−NRcd、−N(Rc)−C(=O)−Rd、−C(=O)−Rc、−N(O)a、−NR56又は−C(=O)−R7であり;
各R2は、ハロ、アルキル、ハロアルキル、ヘテロアルキル、アルコキシ、シアノ、−S(O)s−Rc、−C(=O)−NRcd、−SO2−NRcd、−N(Rc)−C(=O)−Rd又は−C(=O)−Rcであり;
3は、水素又はアルキルであり;
sは、0〜2であり;
c及びRdのそれぞれは、独立に、水素又はアルキルであり;
aは、1又は2であり;
5及びR6のそれぞれは、独立に、水素又はアルキルであり;
7は、水素、アルキル、アルコキシ又は−NR89であり;そして
8及びR9のそれぞれは、独立に、水素又はアルキルである]で示される化合物、又は薬学的に許容しうるその塩を提供する。
【0045】
当然のことながら、本発明の範囲は、存在しうる種々の異性体だけでなく、生成しうる異性体の種々の混合物をも包含する。更に、本発明の範囲はまた、式(I)の化合物のプロドラッグ、溶媒和物及び塩をも包含する。
【0046】
ある実施態様では、R1は、水素、ハロ、アルキル、ハロアルキル、ヘテロアルキル、アルコキシ、シアノ、−S(O)s−Rc、−C(=O)−NRcd、−SO2−NRcd、−N(Rc)−C(=O)−Rd又は−C(=O)−Rcであり、そしてm、X、Ar、R2及びR3は、本明細書に定義されるとおりである。
【0047】
ある種の実施態様では、Xは、Nである。
【0048】
ある実施態様では、R1は、水素、アルキル、ハロ、シアノ、−N(O)a、アルコキシ、−NR56又は−C(=O)−R7であり、そしてここで、aは、1又は2であり;R5及びR6のそれぞれは、独立に、水素又はアルキルであり;R7は、水素、アルキル、アルコキシ又は−NR89であり;そしてR8及びR9のそれぞれは、独立に、水素又はアルキルである。他の実施態様では、R1は、水素、アルキル又はハロである。更に他の実施態様では、R1は、アルキルである。特定の実施態様では、R1は、メチルである。
【0049】
また他の実施態様では、各R2は、独立に、水素、アルキル又はハロである。ある実施態様では、R2は、水素である。
【0050】
式(I)の化合物の他の実施態様は、R3が水素又はアルキルであるものを含む。特定の実施態様では、R3は、水素又はメチルである。
【0051】
ある実施態様では、mは、0である。
【0052】
ある種の実施態様では、Arは、場合により置換されているアリール又は場合により置換されているヘテロアリールであり、そしてここで、置換基のそれぞれは、ハロ、アルキル、ハロアルキル、ヘテロアルキル、アルコキシ、シアノ、−S(O)s−Rc、−C(=O)−NRcd、−SO2−NRcd、−N(Rc)−C(=O)−Rd又は−C(=O)−Rcから独立に選択され、そしてここで、sは、0、1又は2であり;そしてRc及びRdのそれぞれは、独立に、水素又はアルキルである。
【0053】
ある特定の実施態様において、式(I)の化合物は、更に具体的には式(IA):
【0054】
【化9】

【0055】
[式中、
nは、0〜5の整数であり;
各R4は、独立に、ハロ、アルキル、ハロアルキル、ヘテロアルキル、アルコキシ、シアノ、−S(O)s−Rc、−C(=O)−NRcd、−SO2−NRcd、−N(Rc)−C(=O)−Rd、−C(=O)−Rc、−N(O)a、−NR56又は−C(=O)−R7であり、
sは、0、1、又は2であり;
c及びRdのそれぞれは、独立に、水素又はアルキルであり;
aは、1又は2であり;
5及びR6のそれぞれは、独立に、水素又はアルキルであり;
7は、水素、アルキル、アルコキシ、又は−NR89であり;
8及びR9のそれぞれは、独立に、水素又はアルキルであり;そして
m、R1、R2、及びR3は、本明細書に定義されるとおりである]で示される。
【0056】
幾つかの実施態様では、R4は、独立に、ハロ、アルキル、ハロアルキル、ヘテロアルキル、アルコキシ、シアノ、−S(O)s−Rc、−C(=O)−NRcd、−SO2−NRcd、−N(Rc)−C(=O)−Rd又は−C(=O)−Rcであり、そしてRc及びRdは、本明細書に定義されるとおりである。
【0057】
幾つかの実施態様では、nは、0、1又は2である。
【0058】
ある実施態様において、各R4は、独立に、アルキル、ハロ、シアノ、−N(O)a、アルコキシ、−NR56又は−C(=O)−R7であり、そしてここで、aは、1又は2であり;R5及びR6のそれぞれは、独立に、水素又はアルキルであり;R7は、水素、アルキル、アルコキシ又は−NR89であり;そしてR8及びR9のそれぞれは、独立に、水素又はアルキルである。他の実施態様では、各R4は、独立に、アルキル、アルコキシ又はハロである。更に他の実施態様では、各R4は、独立に、アルコキシ又はハロである。特定の実施態様において、各R4は、独立に、メトキシ、クロロ又はフルオロである。
【0059】
別の特定の実施態様では、式(I)の化合物は、更に具体的には式(IB):
【0060】
【化10】

【0061】
[式中、m、n、R1、R2、R3、及びR4は、本明細書に定義されるとおりである]で示される。
【0062】
当然のことながら、本明細書に記載される異なる基の組合せが、他の実施態様を形成しうる。このようにして、種々の異なる化合物が、本発明の範囲内で具現化する。
【0063】
本発明の代表化合物を、融点又は質量スペクトル(M+H)、及び各化合物に関連する実施例(後述)と一緒に表1に示す。
【0064】
【表1】





【0065】
本発明の別の態様は、治療有効量の少なくとも1種の式(I)の化合物と薬学的に許容しうる担体とを含む組成物を提供する。
【0066】
本発明の更に別の態様は、対象に治療有効量の式(I)の化合物を投与することを特徴とする、対象における中枢神経系(CNS)の病状の治療方法を提供する。この病状は、例えば、精神病、統合失調症、躁鬱病、神経障害、記憶障害、注意欠陥障害、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症、アルツハイマー病又はハンチントン舞踏病を含んでよい。
【0067】
本発明の更に別の態様は、対象に治療有効量の式(I)の化合物を投与することを特徴とする、対象における消化管の障害の治療方法を提供する。
【0068】
本発明の別の態様は、式(I)の化合物の製造方法を提供する。標記方法は、ある実施態様において、式(II):
【0069】
【化11】

【0070】
で示されるキノリン化合物を、式(III):
【0071】
【化12】

【0072】
で示されるピペラジン化合物と反応させることにより、式(IA):
【0073】
【化13】

【0074】
[式中、m、Ar、R1、R2及びR3は、本明細書に記述されるとおりであり、Yは、脱離基である]で示される化合物を得ることを特徴とする。
【0075】
本発明の化合物は、後述の合成反応スキーム例に描かれる、種々の方法により製造することができる。
【0076】
これらの化合物を調製するのに使用される出発物質及び試薬は、一般にはアルドリッチ化学(Aldrich Chemical Co.)のような供給業者から入手できるか、又はFieser and Fieser's Reagents for Organic Synthesis, Wiley & Sons, New York, 1991, Volumes 1-15;Rodd's Chemistry of Carbon Compounds, Elsevier Science Publishers, 1989, Volumes 1-5及び補遺;Organic Reactions, Wiley & Sons, New York, 1991, Volumes 1-40のような参考文献に記述される手順にしたがい、当業者には既知の方法によって調製される。下記の合成反応スキームは、本発明の化合物を合成することができる幾つかの方法を単に例示するものであり、これらの合成反応スキームには種々の変更を加えることができ、そして本出願に含まれる開示事項を参照した当業者には、そのような変更が示唆されよう。
【0077】
合成反応スキームの出発物質及び中間体は、所望ならば従来法(特に限定されないが、濾過、蒸留、結晶化、クロマトグラフィーなどを含む)を用いて、単離及び精製することができる。このような物質は、物理定数及びスペクトルデータを含む従来法を用いて特性決定することができる。
【0078】
特に断りない限り、本明細書に記載される反応は、好ましくは不活性雰囲気下、大気圧で、約−78℃〜約150℃、更に好ましくは約0℃〜約125℃の反応温度範囲で、そして最も好ましくかつ便利にはおよそ室温(周囲温度)、例えば、約20℃で実施される。
【0079】
以下のスキームAは、本発明の化合物を調製するのに使用できる1つの合成手順を例示する(ここで、m、Ar、R1、R2及びR3は、本明細書に定義されるとおりであり、そしてX及びYのそれぞれは、独立に脱離基である)。典型的には、X及びYは、選択的な反応が可能であるように、異なる脱離基、例えば、異なるハロゲン化物である。こうして、所望の反応に応じて、X又はYのいずれかを選択的に反応させることができる。キノリンに至る多くの合成経路が知られており、目的化合物の調製に使用することができ、そしてスキームAの手順は、一例に過ぎない。スキームAの手順の具体例は、以下の実験の項に提供される。
【0080】
【化14】

【0081】
スキームAでは、ヒドロキシルアリール化合物(A-1)を、塩基、例えば、カリウムtert−ブトキシドにより脱プロトン化する。典型的には、この脱プロトン化反応は、THFのような不活性な非プロトン性溶媒下で行われる。生じた脱プロトン化アリールオキシドを次にキノリン化合物(A-2)と反応させることにより、アリールオキシ置換キノリン化合物(A-3)が得られる。この後段の反応は、極性非プロトン性溶媒条件下で加熱することにより達成することができる。当然のことながら、脱プロトン化は、キノリン化合物(A-2)の存在下でインサイチュで行うことができる。アリールオキシ置換キノリン化合物(A-3)は、ヒドロキシルアリール化合物(A-1)から調製することができ、次にピペラジニル化合物(A-4)と、典型的にはパラジウムカップリング触媒の存在下でカップリングさせる。
【0082】
スキームAの手順には多くの変法が可能であり、本発明の開示に接した当業者であればこれらは明らかであろう。例えば、R3が、水素又はアミノ保護基であるとき、式(I)の所望のR3置換基を導入するために、カップリング工程に続いて、アルキル基のような他のR3基で置き換えることができる。
【0083】
式(I)の化合物を製造するための更に具体的な詳細は、後述の実施例の項に記載される。
【0084】
有用性
本発明の化合物は、5−HT6を含む5−HT受容体に対する選択的親和性を有しており、そのため、パーキンソン病、ハンチントン舞踏病、不安、鬱病、躁鬱病、精神病、てんかん、強迫神経症、気分障害、片頭痛、アルツハイマー病(認知記憶の増強)、睡眠障害;食欲不振、大食症、及び肥満症のような摂食障害;パニック発作、静座不能、注意欠陥多動障害(ADHD)、注意欠陥障害(ADD);コカイン、エタノール、ニコチン及びベンゾジアゼピン類のような薬物濫用からの離脱;統合失調症、更にはまた、水頭症のような脊椎外傷及び/又は頭部損傷に関連する障害などの、ある種のCNSの障害の治療において有用であることが期待される。このような化合物はまた、機能性腸疾患及び過敏性腸症候群のような、ある種のGI(消化管)の障害の治療において有用であることが期待される。
【0085】
試験
本発明の化合物の薬理は、当該分野で認められている手順により決定した。放射性リガンド結合及び機能分析における、5−HT6受容体での試験化合物の親和性を測定するためのインビトロ法は、実施例9に記載される。
【0086】
投与及び医薬組成物
本発明は、少なくとも1種の本発明の化合物、又は個々の異性体、異性体のラセミ若しくは非ラセミ混合物、又は薬学的に許容しうるその塩若しくは溶媒和物を、少なくとも1種の薬学的に許容しうる担体と、そして場合により他の治療及び/又は予防成分と一緒に含むことを特徴とする、医薬組成物を含む。
【0087】
一般に、本発明の化合物は、同様の有用性を持つ薬剤に認められている任意の投与の様式により、治療有効量で投与されよう。適切な用量範囲は、治療すべき疾患の重篤度、対象の年齢及び相対健康度、使用される化合物の有効性、投与の経路及び剤形、投与が指示される適応症、並びに担当医の優先傾向及び経験のような、多くの因子に応じて、典型的には1日に1〜500mg、好ましくは1日に1〜100mg、そして最も好ましくは1日に1〜30mgである。このような疾患を治療する当業者であれば、過度の実験をすることなく、かつ直接的な知識と本出願の開示内容に基づいて、所定の疾患についての本発明の化合物の治療有効量を突きとめることができよう。
【0088】
一般に、本発明の化合物は、経口(バッカル及び舌下を含む)、直腸内、鼻内、局所、肺内、膣内又は非経口(筋肉内、動脈内、髄腔内、皮下及び静脈内を含む)投与に適したものを含む製剤として、あるいは吸入又は吹送による投与に適した剤形で、投与されよう。好ましい投与のやり方は、一般には、病気の程度により調整することができ、便利な1日用量投薬法を用いる経口投与である。
【0089】
本発明の化合物は、1種以上の従来の補助剤、担体又は希釈剤と一緒に、医薬組成物及び単位用量剤形にすることができる。この医薬組成物及び単位用量剤形は、追加の活性化合物若しくは成分を含むか、又は含まずに、従来の割合の従来の成分からなっていてよく、そしてこの単位用量剤形は、意図された利用すべき1日用量範囲に相応の、任意の適切な有効量の活性成分を含むことができる。この医薬組成物は、経口使用には、錠剤若しくは充填カプセル剤のような固体として、半固体として、粉剤として、持続放出処方として、又は液剤、懸濁剤、乳剤、エリキシル剤若しくは充填カプセル剤のような液体として;あるいは直腸内又は膣内投与には坐剤の剤形で;あるいは非経口使用には無菌注射液の剤形で利用することができる。よって1錠当たり、約1ミリグラムの活性成分、又は更に広くは約0.01〜約100ミリグラムの活性成分を含む処方が、適切な代表的単位用量剤形である。
【0090】
本発明の化合物は、多種多様な経口投与剤形に処方することができる。この医薬組成物及び投与剤形は、本発明の化合物又は薬学的に許容しうるその塩を活性成分として含む。薬学的に許容しうる担体は、固体又は液体のいずれかであることができる。固体の製剤は、粉剤、錠剤、丸剤、カプセル剤、カシェ剤、坐剤、及び分散性顆粒剤を含む。固体担体は、希釈剤、香味剤、可溶化剤、滑沢剤、懸濁化剤、結合剤、保存料、錠剤の崩壊剤又は封入材料としても作用しうる、1種以上の物質であることができる。粉剤では、担体は一般に、微粉化活性成分との混合物である、微粉化固体である。錠剤では、活性成分は一般に、必要な結合能力を有する担体と適切な割合で混合して、所望の形状とサイズに成形する。粉剤及び錠剤は、好ましくは約1〜約70パーセントの活性化合物を含む。適切な担体は、特に限定されないが、炭酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム、タルク、砂糖、乳糖、ペクチン、デキストリン、デンプン、ゼラチン、トラガント、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、低融点ロウ、カカオ脂などを含む。「製剤」という用語は、担体として封入材料を伴う活性化合物の処方(担体を伴うか又は伴わない活性成分が、関連する担体に囲まれている、カプセル剤を与える)を含むことが意図される。同様に、カシェ剤及びトローチ剤が含まれる。錠剤、粉剤、カプセル剤、丸剤、カシェ剤及びトローチ剤は、経口投与に適した固体剤形でありうる。
【0091】
経口投与に適した他の剤形は、乳剤、シロップ剤、エリキシル剤、水性液剤、水性懸濁剤を含む液体製剤、又は使用直前に液体製剤に変換することが意図される固体製剤を含む。乳剤は、溶液として、例えば、水性プロピレングリコール溶液として調製することができるか、又は例えば、レシチン、モノオレイン酸ソルビタン若しくはアラビアゴム(acacia)のような乳化剤を含んでもよい。水性液剤は、活性成分を水に溶解し、そして適切な着色料、香味料、安定化剤及び増粘剤を添加することにより、調製することができる。水性懸濁剤は、微粉化活性成分を、天然又は合成ゴム、樹脂、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム及び他の周知の懸濁化剤のような、粘性物質によって水に分散させることにより、調製することができる。固体製剤は、液剤、懸濁剤及び乳剤を含み、そして活性成分の他に、着色料、香味料、安定化剤、緩衝剤、人工及び天然甘味料、分散剤、増粘剤、可溶化剤などを含んでもよい。
【0092】
本発明の化合物は、非経口投与(例えば、注射、例えば、ボーラス注射又は持続注入による)のために処方することができ、そしてアンプルに入れた単位用量剤形、プレフィルドシリンジ、少量輸液又は保存料を加えた多回投与用容器を挙げることができる。この組成物は、油性又は水性ビヒクル中の懸濁液、溶液又はエマルションのような形態をとることができる(例えば、水性ポリエチレングリコール中の溶液)。油性又は非水性担体、希釈剤、溶媒又はビヒクルの例は、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、植物油(例えば、オリーブ油)及び注射用有機エステル類(例えば、オレイン酸エチル)を含み、そして保存料、湿潤剤、乳化剤若しくは懸濁化剤、安定化剤及び/又は分散剤のような、配合剤を含んでもよい。あるいは活性成分は、適切なビヒクル、例えば、無菌の発熱物質を含まない水とともに使用する前の構成が、無菌固体の無菌的単離により得られるか、又は溶液からの凍結乾燥により得られる、粉末の形状であってもよい。
【0093】
本発明の化合物は、軟膏剤、クリーム剤若しくはローション剤として、又は経皮パッチとして、表皮への局所投与のために処方することができる。軟膏剤及びクリーム剤は、例えば、適切な増粘剤及び/又はゲル化剤を加えた、水性又は油性基剤と共に処方することができる。ローション剤は、水性又は油性基剤と共に処方することができ、そして一般にはまた1種以上の乳化剤、安定化剤、分散剤、懸濁化剤、増粘剤又は着色剤も含むことができる。口内への局所投与に適した処方は、風味付けした基剤(通常、ショ糖及びアラビアゴム又はトラガント)中に活性剤を含むトローチ剤;ゼラチン及びグリセリン又はショ糖及びアラビアゴムのような不活性基剤中に活性成分を含む香錠;並びに適切な液体担体中に活性成分を含む洗口液を含む。
【0094】
本発明の化合物は、坐剤としての投与のために処方することができる。低融点ロウ、例えば脂肪酸グリセリドの混合物又はカカオ脂を最初に融解し、例えば、撹拌することにより、活性成分を均質に分散させる。次に融解した均質な混合物を便利な大きさの鋳型に注ぎ入れ、冷却させ、そして凝固させる。
【0095】
本発明の化合物は、膣内投与のために処方することができる。活性成分の他にこのような担体を含む、ペッサリー、タンポン、クリーム剤、ゲル剤、ペースト剤、発泡剤又は噴霧剤が、当該分野において適切であることが知られている。
【0096】
本発明の化合物は、鼻内投与のために処方することができる。液剤又は懸濁剤が、従来の手段により(例えば、スポイト、ピペット又はスプレーを用いて)鼻腔内に直接適用される。この処方は、単回投与又は多回投与剤形として提供することができる。スポイト又はピペットの後者の場合に、これは、患者が適切な所定容量の液剤又は懸濁剤を投与することにより達成することができる。スプレーの場合には、これは、例えば、計量噴霧スプレーポンプを用いて達成することができる。
【0097】
本発明の化合物は、特に気道への、及び鼻内投与を含む、エーロゾル投与のために処方することができる。化合物は一般に、例えば、5ミクロン以下程度の小さな粒度を有する。このような粒度は、当該分野において既知の手段により、例えば、微粉化により得ることができる。活性成分は、クロロフルオロカーボン(CFC)(例えば、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン又はジクロロテトラフルオロエタン)、若しくは二酸化炭素又は他の適切なガスのような、適切な噴射剤と共に加圧パックとして提供される。エーロゾルは、便利にはまた、レシチンのような界面活性剤をも含んでよい。薬物の用量は、計量バルブにより制御することができる。あるいは、活性成分は、乾燥粉末、例えば、乳糖、デンプン、ヒドロキシプロピルメチルセルロースのようなデンプン誘導体及びポリビニルピロリジン(PVP)のような、適切な粉末基剤中の化合物の粉末混合物の形状で提供することができる。粉末担体は、鼻腔内でゲルを形成する。この粉末組成物は、単位用量剤形として、例えば、ゼラチンの、例えば、カプセル剤若しくはカートリッジとして、又は吸入器を用いて粉末を投与することができるブリスターパックとして提供することができる。
【0098】
所望であれば、処方は、活性成分の持続放出又は制御放出投与に適合させた腸溶性コーティングをして調製することができる。例えば、本発明の化合物は、経皮又は皮下薬物送達装置中に処方することができる。これらの送達システムは、化合物の持続放出が必要である場合、及び治療計画の患者コンプライアンスが決定的に重要である場合に有利である。経皮送達システム中の化合物は、しばしば皮膚接着固体支持体に付着させる。対象の化合物はまた、浸透促進剤、例えば、アゾン(Azone)(1−ドデシルアザシクロヘプタン−2−オン)と組み合わせることができる。持続放出送達システムは、手術又は注入により皮下層内に皮下挿入する。皮下インプラントは、脂溶性膜、例えば、シリコーンゴム又は生分解性ポリマー、例えば、ポリ乳酸中に化合物を封入する。
【0099】
本製剤は、好ましくは単位用量剤形である。このような剤形では、製剤は、適量の活性成分を含む単位用量に小分けされる。単位用量剤形は、パック入り錠剤、カプセル剤、及びバイアル又はアンプル入りの粉剤のような、パッケージが個々の用量の製剤を含む、パッケージ化製剤であってよい。また、単位用量剤形は、カプセル剤、錠剤、カシェ剤又はトローチ剤自体であってもよく、あるいは適切な数のこれらのパッケージ化剤形のいずれかであってもよい。
【0100】
他の適切な製剤担体及びその処方は、Remingtonの、The Science and Practice of Pharmacy, 1995, E.W. Martin編, Mack Publishing Company, 第19版, イーストン, ペンシルバニア州に記載されている。本発明の化合物を含む代表的な製剤は、後述の実施例に記述されている。
【0101】
実施例
下記の調製法及び実施例は、当業者が、本発明をより明瞭に理解し、かつ実践できるようにするために与えられる。これらは、本発明の範囲を限定するものと考えるべきでなく、単に本発明を例証及び代表するものと考えるべきである。
【0102】
実施例1
本実施例は、中間体の8−ブロモ−3−メチル−4−フェノキシキノリンの調製方法を例示する。
【0103】
【化15】

【0104】
密閉可能なチューブ内のTHF中のフェノール(0.143g、1.52mmol)及びカリウムtert−ブトキシド(1.57mL、1.57mmol)の1M溶液に、無水ジメチルホルムアミド6mL中の8−ブロモ−4−クロロ−3−メチルキノリン(J. Am. Chem. Soc. 1946, 68, 129-132;0.130g、0.507mmol)の溶液を加えた。このチューブを密閉して、反応混合物を100℃で12時間撹拌した。この反応混合物が室温まで冷却するのを待って、ジクロロメタン(500mL)で希釈し、希水酸化ナトリウム溶液(0.5M、300mL)で洗浄した。有機層を分離し、水(150mL)、飽和食塩水(2×200mL)で洗浄して、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒の留去により、琥珀色の油状物が得られ、これを、クロロホルムで溶出するシリカゲルのフラッシュクロマトグラフィーにより精製して、淡琥珀色の油状物として標題化合物を得た(0.159g、0.507mmol、収率100%)。
【0105】
【表2】

【0106】
実施例2
本実施例は、中間体の4−(3−メチル−4−フェノキシ−キノリン−8−イル)−ピペラジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステルの調製方法を例示する。
【0107】
【化16】

【0108】
無水キシレン(5mL)に、酢酸パラジウム(II)(35.0mg、0.156mmol、10mol%)、ラセミBINAP(97.0mg、0.156mmol、10mol%)、固体ナトリウムtert−ブトキシド(0.23g、2.34mmol)及びBoc−ピペラジン(0.32g、1.72mmol)を合わせた。この反応混合物を105℃で10時間加熱し、次にこれを水(200mL)中に注ぎ入れ、ジクロロメタン(2×200mL)で抽出した。有機抽出液を合わせて、食塩水で洗浄して、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒の留去により、希薄な帯赤褐色の油状物が得られ、これを、クロロホルム、次に1%メタノール/クロロホルム、次いで5%メタノール/クロロホルムで勾配溶出する、シリカゲルのフラッシュクロマトグラフィーにより精製して、標題化合物0.385g(0.917mmol、収率58.8%)を、168〜169℃の融点範囲を有する白色の結晶性固体として得た。
【0109】
【表3】

【0110】
実施例3
本実施例は、3−メチル−8−ピペラジン−1−イル−4−(1−ビニル−ペンタ−1,3−ジエニルオキシ)−キノリン二トリフルオロ酢酸塩の調製方法を例示する。
【0111】
【化17】

【0112】
純トリフルオロ酢酸、即ち、TFA(2mL)を、固体4−(3−メチル−4−フェノキシ−キノリン−8−イル)−ピペラジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(0.110g、0.262mmol、実施例2を参照のこと)に加え、生じた溶液を25℃で3分間撹拌した。TFAを減圧により除去し、無水トルエンを加えて(20mL)残留溶媒を共沸して除去し、褐色の油状固形物が残した。この油状固形物を無水メタノール(2mL)に溶解して、酢酸エチルをゆっくり滴下により加えて、再結晶を誘導した。生じた固体を濾過し、冷EtOAc/ヘキサン(1:1)で洗浄し、次いで乾燥することにより、標題化合物を明黄色の固体として得た(0.139g、0.254mmol、96.9%)。
【0113】
【表4】

【0114】
実施例4
本実施例は、4−(3−フルオロ−1−ビニル−ペンタ−1,3−ジエニルオキシ)−3−メチル−8−ピペラジン−1−イル−キノリン二塩酸塩の調製方法を例示する。
【0115】
【化18】

【0116】
実施例3の手順及び適切な試薬を用いて、4−(3−フルオロ−1−ビニル−ペンタ−1,3−ジエニルオキシ)−3−メチル−8−ピペラジン−1−イル−キノリン二塩酸塩を明黄色の固体として調製した(90.0mg、0.267mmol、71.58%)。
【0117】
【表5】

【0118】
実施例5
本実施例は、4−(3−メトキシ−1−ビニル−ペンタ−1,3−ジエニルオキシ)−3−メチル−8−ピペラジン−1−イル−キノリン塩酸塩の調製方法を例示する。
【0119】
【化19】

【0120】
実施例3の手順及び適切な試薬を用いて、4−(3−メトキシ−1−ビニル−ペンタ−1,3−ジエニルオキシ)−3−メチル−8−ピペラジン−1−イル−キノリン塩酸塩を黄褐色の固体として調製した(60.0mg、0.155mmol、63.5%)。
【0121】
【表6】

【0122】
実施例6
本実施例は、4−(4−フルオロ−1−ビニル−ペンタ−1,3−ジエニルオキシ)−3−メチル−8−ピペラジン−1−イル−キノリン二塩酸塩の調製方法を例示する。
【0123】
【化20】

【0124】
実施例3の手順及び適切な試薬を用いて、4−(4−フルオロ−1−ビニル−ペンタ−1,3−ジエニルオキシ)−3−メチル−8−ピペラジン−1−イル−キノリン二塩酸塩を明黄色の固体として調製した(0.190g、0.463mmol、57.95%)。
【0125】
【表7】

【0126】
実施例7
本実施例は、4−(3,4−ジフルオロ−1−ビニル−ペンタ−1,3−ジエニルオキシ)−3−メチル−8−ピペラジン−1−イル−キノリン三塩酸塩の調製方法を例示する。
【0127】
【化21】

【0128】
実施例3の手順及び適切な試薬を用いて、4−(3,4−ジフルオロ−1−ビニル−ペンタ−1,3−ジエニルオキシ)−3−メチル−8−ピペラジン−1−イル−キノリン三塩酸塩を黄色の固体として調製した(70.0mg、0.151mmol、16.3%)。
【0129】
【表8】

【0130】
実施例8
処方
本実施例は、種々の処方を例示する。
【0131】
種々の経路による送達のための製剤は、下記表に示されるように処方される。表において使用されるとき「活性成分」又は「活性化合物」は、1種以上の式(I)の化合物を意味する。
【0132】
【表9】

【0133】
成分を混合して、それぞれ約100mg収容できるカプセルに分配する。1個のカプセルは、総1日用量に近似する。
【0134】
【表10】

【0135】
成分を合わせて、メタノールのような溶媒を用いて造粒する。次にこの配合物を乾燥して、適切な打錠機により錠剤(約20mgの活性化合物を含む)に成形する。
【0136】
【表11】

【0137】
成分を混合することにより、経口投与用の懸濁剤を形成する。
【0138】
【表12】

【0139】
活性成分を少量の注射用水に溶解する。次に撹拌しながら充分量の塩化ナトリウムを、溶液が等張性になるまで加える。この溶液に注射用水の残りを足して、0.2ミクロン膜フィルターで濾過して、無菌条件下で包装する。
【0140】
【表13】

【0141】
成分を水蒸気浴上で一緒に融解及び混合して、総重量2.5gを収容できる鋳型に注ぎ入れる。
【0142】
【表14】

【0143】
水を除く全ての成分を合わせて、撹拌しながら約60℃まで加熱する。次に充分量の水を約60℃で、激しく撹拌しながら加えることにより、成分を乳化し、次いで水を約100gまで適量加える。
【0144】
鼻内スプレー処方
約0.025〜0.5パーセントの活性化合物を含む、幾つかの水性懸濁液を鼻内スプレー処方として調製する。本処方は、場合により、例えば、微結晶性セルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、デキストロースなどのような不活性成分を含む。pHを調整するために塩酸を加えてもよい。本鼻内スプレー処方は、典型的には1回の動作で約50〜100マイクロリットルの処方を送達する、鼻内スプレー計量ポンプを介して送達することができる。典型的な投薬計画は、4〜12時間毎に2〜4回のスプレーである。
【0145】
実施例9
放射性リガンド結合試験
本実施例は、式(I)の化合物のインビトロ放射性リガンド結合試験を例示する。
【0146】
本発明の化合物のインビトロの結合活性は、以下のようにして測定した。組換えヒト5−HT6受容体を安定に発現するHEK293細胞から誘導される細胞膜において、[3H]LSDの結合に競合することにより、リガンド親和性の二重反復測定を行った。この細胞株は、Monsmaら, Molecular Pharmacology, Vol. 43, pp.320-327 (1993)に記載された方法により調製した。
【0147】
全ての測定は、50mMトリス−HCl、10mM MgSO4、0.5mM EDTA、1mMアスコルビン酸を含むアッセイ緩衝液(pH7.4)中で、37℃で、250マイクロリットルの反応容量で行った。[3H]LSD(5nM)、競合リガンド及び膜を含むアッセイチューブを、振盪水浴中で37℃で60分間インキュベートし、パッカード(Packard)の96ウェルのセルハーベスターを用いてパッカードGF−Bプレート(0.3% PEIで予浸)で濾過して、氷冷50mMトリス−HCl中で3回洗浄した。結合[3H]LSDは、パッカードのトップカウント(TopCount)を用いて1分当たりの放射活性カウントとして測定した。
【0148】
結合部位からの[3H]LSDの置換は、濃度−結合データを4パラメーターのロジスティック方程式:
【0149】
【化22】

【0150】
[式中、Hillは、Hillの傾きであり、[リガンド]は、競合放射性リガンドの濃度であり、そしてIC50は、放射性リガンドの最大の半分の特異結合を生じさせる放射性リガンドの濃度である]に当てはめることにより定量した。特異結合窓は、Bmaxと基礎パラメーターとの間の差である。
【0151】
本実施例の手順を用いて、式(I)の化合物の試験を行い、これが選択的5−HT6アンタゴニストであることが判明した。上記手順を用いて、例えば、化合物:6−メトキシ−3−メチル−4−フェノキシ−8−ピペラジン−1−イル−キノリンは、約9.45のpKiを示し、そして4−(3−クロロ−フェノキシ)−3−メチル−8−ピペラジン−1−イル−キノリンは、約9.19のpKiを示した。
【0152】
本発明は、その特定の実施態様を参照して記述されているが、当然のことながら、当業者であれば、本発明の真の精神及び範囲を逸することなく、種々の変更を加え、均等物に置き換えることができる。更に、特定の状況、物質、組成物、調製法、製造工程(又は複数の工程)を、本発明の目的とする精神及び範囲に適合させるために、多くの改変を加えることができる。全てのこのような改変は、本明細書に添付される請求の範囲に含まれるものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】


[式中、
mは、0〜3の整数であり;
Xは、−CH−又は−N−であり;
Arは、場合により置換されているアリール又は場合により置換されているヘテロアリールであり;
1は、水素、ハロ、アルキル、ハロアルキル、ヘテロアルキル、アルコキシ、シアノ、−S(O)s−Rc、−C(=O)−NRcd、−SO2−NRcd、−N(Rc)−C(=O)−Rd、−C(=O)−Rc、−N(O)a、−NR56又は−C(=O)−R7であり;
各R2は、ハロ、アルキル、ハロアルキル、ヘテロアルキル、アルコキシ、シアノ、−S(O)s−Rc、−C(=O)−NRcd、−SO2−NRcd、−N(Rc)−C(=O)−Rd又は−C(=O)−Rcであり;
3は、水素又はアルキルであり;
sは、0〜2であり;
c及びRdのそれぞれは、独立に、水素又はアルキルであり;
aは、1又は2であり;
5及びR6のそれぞれは、独立に、水素又はアルキルであり;
7は、水素、アルキル、アルコキシ又は−NR89であり;そして
8及びR9のそれぞれは、独立に、水素又はアルキルである]で示される化合物、又は薬学的に許容しうるその塩。
【請求項2】
1が、水素、ハロ、アルキル、ハロアルキル、ヘテロアルキル、アルコキシ、シアノ、−S(O)s−Rc、−C(=O)−NRcd、−SO2−NRcd、−N(Rc)−C(=O)−Rd又は−C(=O)−Rcである、請求項1記載の化合物、又は薬学的に許容しうるその塩。
【請求項3】
1が、水素、アルキル、ハロ、シアノ、−N(O)a、アルコキシ、−NR56又は−C(=O)−R7である、請求項1記載の化合物、又は薬学的に許容しうるその塩。
【請求項4】
1が、水素、アルキル又はハロである、請求項1〜3のいずれか1項記載の化合物、又は薬学的に許容しうるその塩。
【請求項5】
1が、アルキルである、請求項1〜4のいずれか1項記載の化合物、又は薬学的に許容しうるその塩。
【請求項6】
1が、メチルである、請求項1〜5のいずれか1項記載の化合物、又は薬学的に許容しうるその塩。
【請求項7】
下記式:
【化2】


[式中、
nは、0〜5の整数であり;そして
各R4は、独立に、ハロ、アルキル、ハロアルキル、ヘテロアルキル、アルコキシ、シアノ、−S(O)s−Rc、−C(=O)−NRcd、−SO2−NRcd、−N(Rc)−C(=O)−Rd、−C(=O)−Rc、−N(O)a、−NR56又は−C(=O)−R7である]で示される、請求項1〜6のいずれか1項記載の化合物、又は薬学的に許容しうるその塩。
【請求項8】
各R4が、独立に、ハロ、アルキル、ハロアルキル、ヘテロアルキル、アルコキシ、シアノ、−S(O)s−Rc、−C(=O)−NRcd、−SO2−NRcd、−N(Rc)−C(=O)−Rd又は−C(=O)−Rcである、請求項7記載の化合物、又は薬学的に許容しうるその塩。
【請求項9】
各R4が、独立に、アルキル、ハロ、シアノ、−N(O)a、アルコキシ、−NR56又は−C(=O)−R7である、請求項7記載の化合物、又は薬学的に許容しうるその塩。
【請求項10】
各R4が、独立に、アルキル、アルコキシ又はハロである、請求項7〜9のいずれか1項記載の化合物、又は薬学的に許容しうるその塩。
【請求項11】
各R4が、独立に、アルコキシ又はハロである、請求項7〜10のいずれか1項記載の化合物、又は薬学的に許容しうるその塩。
【請求項12】
各R4が、独立に、メトキシ、クロロ又はフルオロである、請求項7〜11のいずれか1項記載の化合物、又は薬学的に許容しうるその塩。
【請求項13】
下記式:
【化3】


で示される、請求項7〜12のいずれか1項記載の化合物、又は薬学的に許容しうるその塩。
【請求項14】
mが、0又は1であり、そしてR2が、アルキル又はハロである、請求項13記載の化合物、又は薬学的に許容しうるその塩。
【請求項15】
mが、0である、請求項14記載の化合物、又は薬学的に許容しうるその塩。
【請求項16】
nが、0、1又は2である、請求項7〜15のいずれか1項記載の化合物。
【請求項17】
3が、水素である、請求項1〜16のいずれか1項記載の化合物。
【請求項18】
下記:
3−メチル−4−フェノキシ−8−ピペラジン−1−イル−キノリン;
4−(3−メトキシ−フェノキシ)−3−メチル−8−ピペラジン−1−イル−キノリン;
4−(3−フルオロ−フェノキシ)−3−メチル−8−ピペラジン−1−イル−キノリン;
4−(4−フルオロ−フェノキシ)−3−メチル−8−ピペラジン−1−イル−キノリン;
4−(3,4−ジフルオロ−フェノキシ)−3−メチル−8−ピペラジン−1−イル−キノリン;
4−(4−メトキシ−フェノキシ)−3−メチル−8−ピペラジン−1−イル−キノリン;
4−(3−クロロ−フェノキシ)−3−メチル−8−ピペラジン−1−イル−キノリン;
4−(2−フルオロ−フェノキシ)−3−メチル−8−ピペラジン−1−イル−キノリン;
4−(2−メトキシ−フェノキシ)−3−メチル−8−ピペラジン−1−イル−キノリン;及び
6−メトキシ−3−メチル−4−フェノキシ−8−ピペラジン−1−イル−キノリン
よりなる群から選択される、請求項15記載の化合物。
【請求項19】
請求項1〜18のいずれか1項記載の式(I)の化合物の製造方法であって、式(II):
【化4】


[式中、Yは、脱離基である]で示されるキノリン化合物を、式(III):
【化5】


で示されるピペラジン化合物と反応させることにより、式(I):
【化6】


で示される化合物を得て、所望ならば、式(I)の化合物を薬学的に許容しうる塩に変換することを特徴とする方法。
【請求項20】
請求項19記載の方法により製造される、請求項1〜18のいずれか1項記載の式(I)の化合物。
【請求項21】
請求項1〜18のいずれか1項記載の化合物の1種以上及び薬学的に許容しうる担体を含むことを特徴とする、医薬組成物。
【請求項22】
疾患の治療又は予防において使用するための、請求項1〜18のいずれか1項記載の式(I)の化合物、又は薬学的に許容しうるその塩。
【請求項23】
中枢神経系の病状又は消化管の障害の治療用医薬の製造のための、請求項1〜18のいずれか1項記載の式(I)の化合物、又は薬学的に許容しうるその塩の使用。
【請求項24】
中枢神経系の病状が、精神病、統合失調症、躁鬱病、神経障害、記憶障害、注意欠陥障害、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症、アルツハイマー病、摂食障害及びハンチントン舞踏病を含むことを特徴とする、請求項23記載の使用。
【請求項25】
本明細書に上記の発明。

【公表番号】特表2009−502853(P2009−502853A)
【公表日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−523309(P2008−523309)
【出願日】平成18年7月17日(2006.7.17)
【国際出願番号】PCT/EP2006/064304
【国際公開番号】WO2007/025798
【国際公開日】平成19年3月8日(2007.3.8)
【出願人】(591003013)エフ.ホフマン−ラ ロシュ アーゲー (1,754)
【氏名又は名称原語表記】F. HOFFMANN−LA ROCHE AKTIENGESELLSCHAFT
【Fターム(参考)】