アルカリ土類金属ピロリン酸塩蛍光体、蛍光ランプ及び液晶表示装置
【課題】本発明の目的は、輝度が高く色再現範囲が広いカラー液晶表示装置を提供することであり、さらには、該液晶表示装置用の青色発光蛍光体及びそれを用いた蛍光ランプを提供することである。
【解決手段】一般式が次式で表されるアルカリ土類金属ピロリン酸塩蛍光体の発光ピーク波長は青色カラーフィルターの透過率曲線のピーク波長に近く、半値幅は45nm以下と狭いため、この蛍光体を青色発光蛍光体として用いたバックライトとカラーフィルターとを組合わせることにより、輝度が高く色再現範囲の広いカラー液晶表示装置を提供することができる。
(Sr1−a−b−cCaaMbEuc)2P2O7
(但し、MはMg、Ba及びZnから選択される少なくとも1種の元素、0<a≦0.4、0≦b≦0.4、0<a+b≦0.4、0.001≦c≦0.1)
【解決手段】一般式が次式で表されるアルカリ土類金属ピロリン酸塩蛍光体の発光ピーク波長は青色カラーフィルターの透過率曲線のピーク波長に近く、半値幅は45nm以下と狭いため、この蛍光体を青色発光蛍光体として用いたバックライトとカラーフィルターとを組合わせることにより、輝度が高く色再現範囲の広いカラー液晶表示装置を提供することができる。
(Sr1−a−b−cCaaMbEuc)2P2O7
(但し、MはMg、Ba及びZnから選択される少なくとも1種の元素、0<a≦0.4、0≦b≦0.4、0<a+b≦0.4、0.001≦c≦0.1)
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アルカリ土類金属ピロリン酸塩蛍光体、蛍光ランプ及び液晶表示装置に関し、特に輝度が高く色再現範囲が広いカラー液晶表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置はパーソナルコンピューターやテレビに使用され、従来の白黒表示からカラー表示へと広く普及している。カラー液晶表示装置は表示画像を構成する最小単位として、画面を格子状に分割して形成される青色・緑色・赤色の微小な画素とし、その明るさをコントロールしてカラー表示する液晶表示装置である。このカラー液晶表示装置は、液晶素子を光シャッターとして使用し、これと白色光源のバックライトと画素単位に設けられ青色・緑色・赤色のいずれかの光を透過させるカラーフィルターとの組合わせによりカラー画像を表示している。カラー液晶表示装置については現状のカラーCRT並みの特性が要求され、高輝度で色再現範囲が広いことが求められている。
【0003】
白色光源のバックライトには主として細管化しやすい冷陰極蛍光ランプが用いられており、冷陰極蛍光ランプ用蛍光体として従来から3波長蛍光体が使用されている。例えば、赤色発光蛍光体としてY2O3:Eu、YVO4:Euなどが使用され、緑色発光蛍光体としてLaPO4:Ce,Tb、Zn2SiO4:Mnなどが使用されている。また、青色発光蛍光体としては(Sr,Ca)10(PO4)6Cl2:Eu、Sr10(PO4)6Cl2:Eu、Sr2P2O7:Sn、Ba2P2O7:Ti、BaMg2Al16O27:Euなどが使用されている。しかしながら、これらの青色発光蛍光体を用いたバックライトとカラーフィルターとを組合わせたカラー液晶表示装置は輝度と色再現範囲をともに満足するものではなかった。
【0004】
カラー液晶表示装置の輝度と色再現範囲は、バックライトの発光スペクトルとカラーフィルターの透過率曲線で決まるため、青色発光蛍光体の発光スペクトルのピーク波長が青色カラーフィルターの透過率曲線のピーク波長に近いほどカラー液晶表示装置の輝度は向上し、青色発光蛍光体の発光スペクトルの半値幅が狭いほど青色領域の色純度が高くなってカラー液晶表示装置の色再現範囲は広がる。従って、カラー液晶表示装置のバックライト用青色発光蛍光体としては、青色カラーフィルターの透過率曲線のピーク波長が図1に示すように460nm付近にあるため、発光ピーク波長が460nmに近く、発光スペクトルの半値幅が狭い蛍光体が要求されるが、従来の上記青色発光蛍光体は両方を満足するものでなかった。
【0005】
輝度と色再現性の優れたカラー液晶表示装置については特開平9−97017などに開示されているが、十分ではなく、さらなる特性向上が要望されている。
【特許文献1】特開平9−97017号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、このような問題点を解決するためになされたものである。本発明の目的は、輝度が高く色再現範囲が広いカラー液晶表示装置を提供することであり、さらには、該液晶表示装置用の青色発光蛍光体及びそれを用いた蛍光ランプを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために本発明者らは鋭意検討を重ねた結果、特定の組成を有するアルカリ土類金属ピロリン酸塩蛍光体を青色発光蛍光体として用いたバックライトとカラーフィルターとを組合わせたカラー液晶表示装置は、輝度が高く色再現範囲が広いことを新たに見いだし本発明を完成させるに至った。
【0008】
(1)本発明のアルカリ土類金属ピロリン酸塩蛍光体は、一般式が次式で表されることを特徴とする。
(Sr1−a−b−cCaaMbEuc)2P2O7
(但し、MはMg、Ba及びZnから選択される少なくとも1種の元素、0<a≦0.4、0≦b≦0.4、0<a+b≦0.4、0.001≦c≦0.1)
【0009】
(2)本発明のアルカリ土類金属ピロリン酸塩蛍光体は、(1)に記載のアルカリ土類金属ピロリン酸塩蛍光体であって、発光スペクトルのピーク波長が425〜440nmの範囲にあり、半値幅が45nm以下であることを特徴とする。
【0010】
(3)本発明の蛍光ランプは、透光性気密容器と、透光性気密容器内に形成された蛍光体層と、透光性気密容器内に封入された放電媒体と、電極とを具備する蛍光ランプにおいて、前記蛍光体層は(1)又は(2)に記載のアルカリ土類金属ピロリン酸塩蛍光体を含むことを特徴とする。
【0011】
(4)本発明の蛍光ランプは、(3)に記載の蛍光ランプであって、前記蛍光ランプが冷陰極蛍光ランプであることを特徴とする。
【0012】
(5)本発明の液晶表示装置は、液晶を利用した光シャッターと、白色光源のバックライトと、画素単位に設けられ青色・緑色・赤色のいずれかの光を透過させるカラーフィルターとを組合わせて構成される液晶表示装置において、前記バックライトは(3)又は(4)に記載の蛍光ランプであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明の蛍光体の発光スペクトルのピーク波長は425〜440nmの範囲にあって、青色カラーフィルターの透過率曲線のピーク波長に近いため、カラー液晶表示装置の輝度は向上する。また、本発明の蛍光体の発光スペクトルの半値幅は45nm以下と狭いため、青色領域の色純度が高くなってカラー液晶表示装置の色再現範囲は拡大する。そして、本発明の蛍光体を青色発光蛍光体として用いたバックライトとカラーフィルターとを組合わせることにより、輝度が高く色再現範囲の広いカラー液晶表示装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。ただし、以下に示す実施の形態は、本発明の技術思想を具体化するためのアルカリ土類金属ピロリン酸塩蛍光体、蛍光ランプ及び液晶表示装置を例示するものであって、本発明はアルカリ土類金属ピロリン酸塩蛍光体、蛍光ランプ及び液晶表示装置を以下のものに特定しない。
【0015】
ここで、本発明の一実施の形態に係るアルカリ土類金属ピロリン酸塩蛍光体の製造方法について詳細に説明する。蛍光体原料として、ストロンチウム化合物と、カルシウム化合物と、マグネシウム、バリウム及び亜鉛から選択される少なくとも1種の元素の化合物と、ユウロピウム化合物と、リン酸塩とを、目的の蛍光体組成に応じて秤量し混合するか、又はこれらの原料にさらにフラックスを加えて混合する。この原料混合物をルツボに充填後、炉内に入れ、還元性雰囲気中1000〜1400℃で焼成する。冷却後、焼成品を湿式で分散処理した後、分離乾燥して本発明のアルカリ土類金属ピロリン酸塩蛍光体を得る。
【0016】
ストロンチウム化合物と、カルシウム化合物と、マグネシウム、バリウム及び亜鉛から選択される少なくとも1種の元素の化合物と、ユウロピウム化合物については、酸化物又は熱分解により酸化物となる化合物が好ましく用いられる。例えば、炭酸塩、水酸化物、硝酸塩、シュウ酸塩などの高温で分解し酸化物となる化合物が好ましい。また、蛍光体を構成する元素を全部又は一部含む共沈物やこれらを仮焼して得られる酸化物を用いることもできる。リン酸塩については、アルカリ土類金属リン酸塩やリン酸アンモニウムが好ましく用いられる。これらの蛍光体原料をボールミル、V型混合機などで混合した後、アルミナ、石英、炭化珪素等のルツボに充填し、炭や水素/窒素などの還元性雰囲気中、1000〜1400℃で2〜12時間焼成することが好ましい。焼成温度が1000℃より低いと反応が進まず、1400℃より高いと焼結が過剰に進んで分散処理が困難となる。
【0017】
次に、本発明のアルカリ土類金属ピロリン酸塩蛍光体を用いて冷陰極蛍光ランプを作製する。先ず、蛍光体とピロリン酸カルシウム、カルシウムバリウムボレート等の結着剤をニトロセルロース/酢酸ブチル溶液に添加し、これらを混合し懸濁させて蛍光体塗布懸濁液を調製する。得られた蛍光体塗布懸濁液をガラス管の内面に流し込み、その後これに温風を通じることで乾燥させ、ベーキング、排気、フィラメントの装着、口金の取り付けを行い、冷陰極蛍光ランプを得る。
【0018】
図2に、本発明の冷陰極蛍光ランプの一例を示す。ガラス等から成る透光性気密容器11の内壁には一種以上の蛍光体と結着剤から成る蛍光体層12が形成される。透光性気密容器11の内部にはネオン等の希ガス及び水銀蒸気から成る放電媒体13が封入され、透光性気密容器11の両端は一対の電極14a、14bによって封止される。両電極間に電圧をかけて放電媒体13に放電を起こさせ、その際励起された水銀から紫外線が放出され、該紫外線により蛍光体層12の蛍光体が励起されて発光する。
【0019】
図3は、本発明のカラー液晶表示装置の一例を示す断面図である。バックライトユニット21には光源23として白色冷陰極蛍光ランプが設置され、その光は導光板等によって液晶パネル側へ放出される。放出された光の方向を整えるため配向シート24がバックライトユニット21の前面に取り付けられ、バックライトユニット21から液晶パネル22に対して垂直な光が導入される。液晶パネル22は、透明電極と液晶駆動用のTFTからなる25と、それらに対向した透明電極26と、カラーフィルター27と、透明電極に挟まれた液晶層28と、TFT制御回路30とからなり、TFT、液晶層及びカラーフィルターは各表示画素に対応して存在する。TFTによって各表示画素の液晶層28にかかる電圧が決定され、液晶層が相変化して光の透過率が変化する。透過した光はカラーフィルター27によって特定の波長範囲のみ選択的に透過する。こうして各表示画素が特定の色を特定の強度で表示し、それらの集合がカラー液晶表示装置の画像として認識される。
【0020】
図4は、本発明のカラー液晶表示装置の一例を示す鳥瞰図である。図に示したように、TFT制御回路34は画面の垂直方向の情報を処理する回路と水平方向の情報を処理する回路の2系統からなり、それらの出力の和が各表示画素にかかる電圧となる。
【0021】
次に、本発明のアルカリ土類金属ピロリン酸塩蛍光体の特性について図を用いて説明する。図5に、実施例3においてCa量を変化させて得られる(Sr0.99−aCaaEu0.01)2P2O7蛍光体について、発光ピーク波長(nm)とCa量(a値)との関係を示した。ここで、発光ピーク波長は、蛍光体を254nm紫外線で励起したときの発光スペクトルにおいて、最大発光強度を示す波長である。この図から、蛍光体の発光ピーク波長はCa量(a値)の増加とともに長波長側へシフトするが、a=0.1付近を越えるとシフトする割合は減少し、0<a≦0.4の範囲において、ピーク波長は425〜440nmの範囲にあることがわかる。このように、本発明の蛍光体は、Ca添加により発光ピーク波長が長波長側へシフトし、青色カラーフィルターの透過率曲線のピーク波長(460nm付近)に近づくため、本発明の蛍光体を用いたカラー液晶表示装置は輝度が向上する。本発明の蛍光体のCa量(a値)は0<a≦0.4の範囲が好ましく、0.025≦a≦0.4の範囲がより好ましい。この範囲において高輝度のカラー液晶表示装置を得ることができる。
【0022】
図6に、上記蛍光体について、半値幅(nm)とCa量(a値)との関係を示した。ここで、半値幅は、蛍光体を254nm紫外線で励起したときの発光スペクトルにおいて、発光強度が最大発光強度の1/2となる波長の差である。この図から、本発明の蛍光体は、Ca添加により半値幅は少し広がるが、Ca量(a値)が0<a≦0.4の範囲において、発光スペクトルの半値幅は45nm以下と狭く色純度が高いことがわかる。
【0023】
図7に、実施例1においてEu量を変化させて得られる(Sr0.8−cCa0.2Euc)2P2O7蛍光体について、発光ピーク波長(nm)とEu量(c値)との関係を示した。この図から、蛍光体の発光ピーク波長はEu量(c値)の増加とともに長波長側へシフトするが、c=0.02付近を越えるとシフトする割合は減少し、0.001≦c≦0.1の範囲において、ピーク波長は425〜440nmの範囲にあることがわかる。本発明の蛍光体のEu量(c値)は0.001≦c≦0.1の範囲が好ましく、0.01≦c≦0.05の範囲がより好ましい。この範囲において高輝度のカラー液晶表示装置を得ることができる。
【0024】
図8に、上記蛍光体について、半値幅(nm)とEu量(c値)との関係を示した。この図から、本発明の蛍光体は、Eu量(c値)が0.001≦c≦0.1の範囲において、発光スペクトルの半値幅は45nm以下と狭く色純度が高いことがわかる。
【0025】
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明は具体的実施例のみに限定されるものではないことは言うまでもない。
【実施例】
【0026】
[実施例1]
<蛍光体>
原料としてSrCO31.56mol、CaCO30.40mol、Eu2O30.02mol、及び(NH4)2HPO42.0molをボールミルで混合し、この原料混合物をアルミナルツボに充填して還元雰囲気中(2%H2/N2)で1200℃で6時間焼成する。冷却後、分散処理を行い、湿式篩を通した後、脱水乾燥し、さらに乾式篩を通して一般式が(Sr0.78Ca0.2Eu0.02)2P2O7蛍光体を得る。この蛍光体を254nm紫外線で励起したときの発光スペクトルを図9に示す。この図から、発光ピーク波長が434nmであり、半値幅が35nmであって、青色発光する蛍光体であることがわかる。
【0027】
<単色蛍光ランプ>
このようにして得られる蛍光体と結着剤をニトロセルロース/酢酸ブチル溶液に添加し、これらを混合して蛍光体塗布スラリーを調製する。これを管径3mm、長さ400mmのガラス管に流し込み、その内面に塗布し、温風を通じて乾燥し、580℃で15分間塗布バルブをベーキングして、蛍光膜を形成する。その後、通常の方法に従い、排気、電極のマウント、口金の取り付けを行い、青色に発光する単色冷陰極蛍光ランプを得る。この単色蛍光ランプの発光スペクトルを図10に示す。
【0028】
<白色蛍光ランプ>
次に、青色発光の上記アルカリ土類金属ピロリン酸塩蛍光体と、BaMgAl10O17:Eu,Mn緑色発光蛍光体と、Y2O3:Eu赤色発光蛍光体を重量比で青色:緑色:赤色=50:20:30の割合で混合する。この混合蛍光体と結着剤をニトロセルロース/酢酸ブチル溶液に添加し、混合して蛍光体塗布スラリーを調製する。これを管径3mm、長さ400mmのガラス管に流し込み、その内面に塗布し、温風を通じて乾燥し、560℃で3分間塗布バルブをベーキングして、蛍光膜を形成する。その後、通常の方法に従い、排気、電極のマウント、口金の取り付けを行い、白色冷陰極蛍光ランプを得る。この白色蛍光ランプの発光スペクトルを図11に示す。
また、上記アルカリ土類金属ピロリン酸塩蛍光体、単色蛍光ランプ、及び白色蛍光ランプの測定結果をそれぞれ表1、表2及び表3に示す。
【0029】
[実施例2〜12]
蛍光体原料のうちCaCO3とEu2O3を表1のCa量(a値)とEu量(c値)に相当する量で混合する以外は実施例1と同様にして、アルカリ土類金属ピロリン酸塩蛍光体を作製する。
【0030】
[比較例1]
蛍光体原料のうちCaCO3を添加せず、Eu2O3を表1のEu量(c値)に相当する量で混合する以外は実施例1と同様にして、アルカリ土類金属ピロリン酸塩蛍光体を作製する。この蛍光体を254nm紫外線で励起したときの発光スペクトルを図9に示す。
【0031】
実施例1〜12及び比較例1で得られるアルカリ土類金属ピロリン酸塩蛍光体について、表1に、Ca量(a値)・Eu量(c値)と、XYZ表色系によるY値・Z値と、色度座標x・yと、254nm紫外線で励起したときの発光ピーク波長・半値幅とを示す。この表の発光特性の値は、浜松ホトニクス製の低圧水銀灯を用いて蛍光体に254nm紫外線を照射し、浜松ホトニクス製分光光度計を用いて測定したものであり、XYZ表色系によるY値・Z値は、(Sr0.662Ca0.327Eu0.011)10(PO4)6Cl2蛍光体のY値・Z値をそれぞれ100%にしたときの相対値を示す。表には、比較のために、従来から知られているBa2P2O7:Ti蛍光体として、(Ba0.743Ti0.257)2P2O7蛍光体を比較例2に示した。この表から、本発明の実施例の蛍光体は発光スペクトルのピーク波長が425〜440nmの範囲にあり、半値幅が45nm以下であることがわかる。また、本発明の実施例の蛍光体は従来の比較例2のBa2P2O7:Ti蛍光体に比べて半値幅が非常に狭く、色度座標x・yの値も小さいことから、色純度が高いことがわかる。
【0032】
【表1】
【0033】
【表2】
【0034】
【表3】
【産業上の利用可能性】
【0035】
以上に述べたように、本発明の蛍光体を青色発光蛍光体として用いたバックライトとカラーフィルターとを組合わせることにより、輝度が高く色再現範囲の広いカラー液晶表示装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】カラーフィルターの透過率曲線を示す図である。
【図2】本発明の冷陰極蛍光ランプの一例を示す図である。
【図3】本発明のカラー液晶表示装置の一例を示す断面図である。
【図4】本発明のカラー液晶表示装置の一例を示す鳥瞰図である。
【図5】本発明の蛍光体の発光ピーク波長(nm)とCa量(a値)との関係を示す図である。
【図6】本発明の蛍光体の半値幅(nm)とCa量(a値)との関係を示す図である。
【図7】本発明の蛍光体の発光ピーク波長(nm)とEu量(c値)との関係を示す図である。
【図8】本発明の蛍光体の半値幅(nm)とEu量(c値)との関係を示す図である。
【図9】実施例1及び比較例1の蛍光体の発光スペクトルを示す図である。
【図10】実施例1及び比較例2の単色蛍光ランプの発光スペクトルを示す図である。
【図11】実施例1の白色蛍光ランプの発光スペクトルを示す図である。
【符号の説明】
【0037】
1 青色カラーフィルターの透過率曲線
2 緑色カラーフィルターの透過率曲線
3 赤色カラーフィルターの透過率曲線
11 透光性気密容器
12 蛍光体層
13 放電媒体
14a、14b 電極
21 バックライトユニット
22 液晶パネル
23 光源
24 配向シート
25 透明電極/TFT
26 透明電極
27 カラーフィルター
28 液晶層
29 ガラス板
30 TFT制御回路
31 バックライトユニット
32 液晶パネル
33 光源
34 TFT制御回路
【技術分野】
【0001】
本発明は、アルカリ土類金属ピロリン酸塩蛍光体、蛍光ランプ及び液晶表示装置に関し、特に輝度が高く色再現範囲が広いカラー液晶表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置はパーソナルコンピューターやテレビに使用され、従来の白黒表示からカラー表示へと広く普及している。カラー液晶表示装置は表示画像を構成する最小単位として、画面を格子状に分割して形成される青色・緑色・赤色の微小な画素とし、その明るさをコントロールしてカラー表示する液晶表示装置である。このカラー液晶表示装置は、液晶素子を光シャッターとして使用し、これと白色光源のバックライトと画素単位に設けられ青色・緑色・赤色のいずれかの光を透過させるカラーフィルターとの組合わせによりカラー画像を表示している。カラー液晶表示装置については現状のカラーCRT並みの特性が要求され、高輝度で色再現範囲が広いことが求められている。
【0003】
白色光源のバックライトには主として細管化しやすい冷陰極蛍光ランプが用いられており、冷陰極蛍光ランプ用蛍光体として従来から3波長蛍光体が使用されている。例えば、赤色発光蛍光体としてY2O3:Eu、YVO4:Euなどが使用され、緑色発光蛍光体としてLaPO4:Ce,Tb、Zn2SiO4:Mnなどが使用されている。また、青色発光蛍光体としては(Sr,Ca)10(PO4)6Cl2:Eu、Sr10(PO4)6Cl2:Eu、Sr2P2O7:Sn、Ba2P2O7:Ti、BaMg2Al16O27:Euなどが使用されている。しかしながら、これらの青色発光蛍光体を用いたバックライトとカラーフィルターとを組合わせたカラー液晶表示装置は輝度と色再現範囲をともに満足するものではなかった。
【0004】
カラー液晶表示装置の輝度と色再現範囲は、バックライトの発光スペクトルとカラーフィルターの透過率曲線で決まるため、青色発光蛍光体の発光スペクトルのピーク波長が青色カラーフィルターの透過率曲線のピーク波長に近いほどカラー液晶表示装置の輝度は向上し、青色発光蛍光体の発光スペクトルの半値幅が狭いほど青色領域の色純度が高くなってカラー液晶表示装置の色再現範囲は広がる。従って、カラー液晶表示装置のバックライト用青色発光蛍光体としては、青色カラーフィルターの透過率曲線のピーク波長が図1に示すように460nm付近にあるため、発光ピーク波長が460nmに近く、発光スペクトルの半値幅が狭い蛍光体が要求されるが、従来の上記青色発光蛍光体は両方を満足するものでなかった。
【0005】
輝度と色再現性の優れたカラー液晶表示装置については特開平9−97017などに開示されているが、十分ではなく、さらなる特性向上が要望されている。
【特許文献1】特開平9−97017号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、このような問題点を解決するためになされたものである。本発明の目的は、輝度が高く色再現範囲が広いカラー液晶表示装置を提供することであり、さらには、該液晶表示装置用の青色発光蛍光体及びそれを用いた蛍光ランプを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために本発明者らは鋭意検討を重ねた結果、特定の組成を有するアルカリ土類金属ピロリン酸塩蛍光体を青色発光蛍光体として用いたバックライトとカラーフィルターとを組合わせたカラー液晶表示装置は、輝度が高く色再現範囲が広いことを新たに見いだし本発明を完成させるに至った。
【0008】
(1)本発明のアルカリ土類金属ピロリン酸塩蛍光体は、一般式が次式で表されることを特徴とする。
(Sr1−a−b−cCaaMbEuc)2P2O7
(但し、MはMg、Ba及びZnから選択される少なくとも1種の元素、0<a≦0.4、0≦b≦0.4、0<a+b≦0.4、0.001≦c≦0.1)
【0009】
(2)本発明のアルカリ土類金属ピロリン酸塩蛍光体は、(1)に記載のアルカリ土類金属ピロリン酸塩蛍光体であって、発光スペクトルのピーク波長が425〜440nmの範囲にあり、半値幅が45nm以下であることを特徴とする。
【0010】
(3)本発明の蛍光ランプは、透光性気密容器と、透光性気密容器内に形成された蛍光体層と、透光性気密容器内に封入された放電媒体と、電極とを具備する蛍光ランプにおいて、前記蛍光体層は(1)又は(2)に記載のアルカリ土類金属ピロリン酸塩蛍光体を含むことを特徴とする。
【0011】
(4)本発明の蛍光ランプは、(3)に記載の蛍光ランプであって、前記蛍光ランプが冷陰極蛍光ランプであることを特徴とする。
【0012】
(5)本発明の液晶表示装置は、液晶を利用した光シャッターと、白色光源のバックライトと、画素単位に設けられ青色・緑色・赤色のいずれかの光を透過させるカラーフィルターとを組合わせて構成される液晶表示装置において、前記バックライトは(3)又は(4)に記載の蛍光ランプであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明の蛍光体の発光スペクトルのピーク波長は425〜440nmの範囲にあって、青色カラーフィルターの透過率曲線のピーク波長に近いため、カラー液晶表示装置の輝度は向上する。また、本発明の蛍光体の発光スペクトルの半値幅は45nm以下と狭いため、青色領域の色純度が高くなってカラー液晶表示装置の色再現範囲は拡大する。そして、本発明の蛍光体を青色発光蛍光体として用いたバックライトとカラーフィルターとを組合わせることにより、輝度が高く色再現範囲の広いカラー液晶表示装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。ただし、以下に示す実施の形態は、本発明の技術思想を具体化するためのアルカリ土類金属ピロリン酸塩蛍光体、蛍光ランプ及び液晶表示装置を例示するものであって、本発明はアルカリ土類金属ピロリン酸塩蛍光体、蛍光ランプ及び液晶表示装置を以下のものに特定しない。
【0015】
ここで、本発明の一実施の形態に係るアルカリ土類金属ピロリン酸塩蛍光体の製造方法について詳細に説明する。蛍光体原料として、ストロンチウム化合物と、カルシウム化合物と、マグネシウム、バリウム及び亜鉛から選択される少なくとも1種の元素の化合物と、ユウロピウム化合物と、リン酸塩とを、目的の蛍光体組成に応じて秤量し混合するか、又はこれらの原料にさらにフラックスを加えて混合する。この原料混合物をルツボに充填後、炉内に入れ、還元性雰囲気中1000〜1400℃で焼成する。冷却後、焼成品を湿式で分散処理した後、分離乾燥して本発明のアルカリ土類金属ピロリン酸塩蛍光体を得る。
【0016】
ストロンチウム化合物と、カルシウム化合物と、マグネシウム、バリウム及び亜鉛から選択される少なくとも1種の元素の化合物と、ユウロピウム化合物については、酸化物又は熱分解により酸化物となる化合物が好ましく用いられる。例えば、炭酸塩、水酸化物、硝酸塩、シュウ酸塩などの高温で分解し酸化物となる化合物が好ましい。また、蛍光体を構成する元素を全部又は一部含む共沈物やこれらを仮焼して得られる酸化物を用いることもできる。リン酸塩については、アルカリ土類金属リン酸塩やリン酸アンモニウムが好ましく用いられる。これらの蛍光体原料をボールミル、V型混合機などで混合した後、アルミナ、石英、炭化珪素等のルツボに充填し、炭や水素/窒素などの還元性雰囲気中、1000〜1400℃で2〜12時間焼成することが好ましい。焼成温度が1000℃より低いと反応が進まず、1400℃より高いと焼結が過剰に進んで分散処理が困難となる。
【0017】
次に、本発明のアルカリ土類金属ピロリン酸塩蛍光体を用いて冷陰極蛍光ランプを作製する。先ず、蛍光体とピロリン酸カルシウム、カルシウムバリウムボレート等の結着剤をニトロセルロース/酢酸ブチル溶液に添加し、これらを混合し懸濁させて蛍光体塗布懸濁液を調製する。得られた蛍光体塗布懸濁液をガラス管の内面に流し込み、その後これに温風を通じることで乾燥させ、ベーキング、排気、フィラメントの装着、口金の取り付けを行い、冷陰極蛍光ランプを得る。
【0018】
図2に、本発明の冷陰極蛍光ランプの一例を示す。ガラス等から成る透光性気密容器11の内壁には一種以上の蛍光体と結着剤から成る蛍光体層12が形成される。透光性気密容器11の内部にはネオン等の希ガス及び水銀蒸気から成る放電媒体13が封入され、透光性気密容器11の両端は一対の電極14a、14bによって封止される。両電極間に電圧をかけて放電媒体13に放電を起こさせ、その際励起された水銀から紫外線が放出され、該紫外線により蛍光体層12の蛍光体が励起されて発光する。
【0019】
図3は、本発明のカラー液晶表示装置の一例を示す断面図である。バックライトユニット21には光源23として白色冷陰極蛍光ランプが設置され、その光は導光板等によって液晶パネル側へ放出される。放出された光の方向を整えるため配向シート24がバックライトユニット21の前面に取り付けられ、バックライトユニット21から液晶パネル22に対して垂直な光が導入される。液晶パネル22は、透明電極と液晶駆動用のTFTからなる25と、それらに対向した透明電極26と、カラーフィルター27と、透明電極に挟まれた液晶層28と、TFT制御回路30とからなり、TFT、液晶層及びカラーフィルターは各表示画素に対応して存在する。TFTによって各表示画素の液晶層28にかかる電圧が決定され、液晶層が相変化して光の透過率が変化する。透過した光はカラーフィルター27によって特定の波長範囲のみ選択的に透過する。こうして各表示画素が特定の色を特定の強度で表示し、それらの集合がカラー液晶表示装置の画像として認識される。
【0020】
図4は、本発明のカラー液晶表示装置の一例を示す鳥瞰図である。図に示したように、TFT制御回路34は画面の垂直方向の情報を処理する回路と水平方向の情報を処理する回路の2系統からなり、それらの出力の和が各表示画素にかかる電圧となる。
【0021】
次に、本発明のアルカリ土類金属ピロリン酸塩蛍光体の特性について図を用いて説明する。図5に、実施例3においてCa量を変化させて得られる(Sr0.99−aCaaEu0.01)2P2O7蛍光体について、発光ピーク波長(nm)とCa量(a値)との関係を示した。ここで、発光ピーク波長は、蛍光体を254nm紫外線で励起したときの発光スペクトルにおいて、最大発光強度を示す波長である。この図から、蛍光体の発光ピーク波長はCa量(a値)の増加とともに長波長側へシフトするが、a=0.1付近を越えるとシフトする割合は減少し、0<a≦0.4の範囲において、ピーク波長は425〜440nmの範囲にあることがわかる。このように、本発明の蛍光体は、Ca添加により発光ピーク波長が長波長側へシフトし、青色カラーフィルターの透過率曲線のピーク波長(460nm付近)に近づくため、本発明の蛍光体を用いたカラー液晶表示装置は輝度が向上する。本発明の蛍光体のCa量(a値)は0<a≦0.4の範囲が好ましく、0.025≦a≦0.4の範囲がより好ましい。この範囲において高輝度のカラー液晶表示装置を得ることができる。
【0022】
図6に、上記蛍光体について、半値幅(nm)とCa量(a値)との関係を示した。ここで、半値幅は、蛍光体を254nm紫外線で励起したときの発光スペクトルにおいて、発光強度が最大発光強度の1/2となる波長の差である。この図から、本発明の蛍光体は、Ca添加により半値幅は少し広がるが、Ca量(a値)が0<a≦0.4の範囲において、発光スペクトルの半値幅は45nm以下と狭く色純度が高いことがわかる。
【0023】
図7に、実施例1においてEu量を変化させて得られる(Sr0.8−cCa0.2Euc)2P2O7蛍光体について、発光ピーク波長(nm)とEu量(c値)との関係を示した。この図から、蛍光体の発光ピーク波長はEu量(c値)の増加とともに長波長側へシフトするが、c=0.02付近を越えるとシフトする割合は減少し、0.001≦c≦0.1の範囲において、ピーク波長は425〜440nmの範囲にあることがわかる。本発明の蛍光体のEu量(c値)は0.001≦c≦0.1の範囲が好ましく、0.01≦c≦0.05の範囲がより好ましい。この範囲において高輝度のカラー液晶表示装置を得ることができる。
【0024】
図8に、上記蛍光体について、半値幅(nm)とEu量(c値)との関係を示した。この図から、本発明の蛍光体は、Eu量(c値)が0.001≦c≦0.1の範囲において、発光スペクトルの半値幅は45nm以下と狭く色純度が高いことがわかる。
【0025】
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明は具体的実施例のみに限定されるものではないことは言うまでもない。
【実施例】
【0026】
[実施例1]
<蛍光体>
原料としてSrCO31.56mol、CaCO30.40mol、Eu2O30.02mol、及び(NH4)2HPO42.0molをボールミルで混合し、この原料混合物をアルミナルツボに充填して還元雰囲気中(2%H2/N2)で1200℃で6時間焼成する。冷却後、分散処理を行い、湿式篩を通した後、脱水乾燥し、さらに乾式篩を通して一般式が(Sr0.78Ca0.2Eu0.02)2P2O7蛍光体を得る。この蛍光体を254nm紫外線で励起したときの発光スペクトルを図9に示す。この図から、発光ピーク波長が434nmであり、半値幅が35nmであって、青色発光する蛍光体であることがわかる。
【0027】
<単色蛍光ランプ>
このようにして得られる蛍光体と結着剤をニトロセルロース/酢酸ブチル溶液に添加し、これらを混合して蛍光体塗布スラリーを調製する。これを管径3mm、長さ400mmのガラス管に流し込み、その内面に塗布し、温風を通じて乾燥し、580℃で15分間塗布バルブをベーキングして、蛍光膜を形成する。その後、通常の方法に従い、排気、電極のマウント、口金の取り付けを行い、青色に発光する単色冷陰極蛍光ランプを得る。この単色蛍光ランプの発光スペクトルを図10に示す。
【0028】
<白色蛍光ランプ>
次に、青色発光の上記アルカリ土類金属ピロリン酸塩蛍光体と、BaMgAl10O17:Eu,Mn緑色発光蛍光体と、Y2O3:Eu赤色発光蛍光体を重量比で青色:緑色:赤色=50:20:30の割合で混合する。この混合蛍光体と結着剤をニトロセルロース/酢酸ブチル溶液に添加し、混合して蛍光体塗布スラリーを調製する。これを管径3mm、長さ400mmのガラス管に流し込み、その内面に塗布し、温風を通じて乾燥し、560℃で3分間塗布バルブをベーキングして、蛍光膜を形成する。その後、通常の方法に従い、排気、電極のマウント、口金の取り付けを行い、白色冷陰極蛍光ランプを得る。この白色蛍光ランプの発光スペクトルを図11に示す。
また、上記アルカリ土類金属ピロリン酸塩蛍光体、単色蛍光ランプ、及び白色蛍光ランプの測定結果をそれぞれ表1、表2及び表3に示す。
【0029】
[実施例2〜12]
蛍光体原料のうちCaCO3とEu2O3を表1のCa量(a値)とEu量(c値)に相当する量で混合する以外は実施例1と同様にして、アルカリ土類金属ピロリン酸塩蛍光体を作製する。
【0030】
[比較例1]
蛍光体原料のうちCaCO3を添加せず、Eu2O3を表1のEu量(c値)に相当する量で混合する以外は実施例1と同様にして、アルカリ土類金属ピロリン酸塩蛍光体を作製する。この蛍光体を254nm紫外線で励起したときの発光スペクトルを図9に示す。
【0031】
実施例1〜12及び比較例1で得られるアルカリ土類金属ピロリン酸塩蛍光体について、表1に、Ca量(a値)・Eu量(c値)と、XYZ表色系によるY値・Z値と、色度座標x・yと、254nm紫外線で励起したときの発光ピーク波長・半値幅とを示す。この表の発光特性の値は、浜松ホトニクス製の低圧水銀灯を用いて蛍光体に254nm紫外線を照射し、浜松ホトニクス製分光光度計を用いて測定したものであり、XYZ表色系によるY値・Z値は、(Sr0.662Ca0.327Eu0.011)10(PO4)6Cl2蛍光体のY値・Z値をそれぞれ100%にしたときの相対値を示す。表には、比較のために、従来から知られているBa2P2O7:Ti蛍光体として、(Ba0.743Ti0.257)2P2O7蛍光体を比較例2に示した。この表から、本発明の実施例の蛍光体は発光スペクトルのピーク波長が425〜440nmの範囲にあり、半値幅が45nm以下であることがわかる。また、本発明の実施例の蛍光体は従来の比較例2のBa2P2O7:Ti蛍光体に比べて半値幅が非常に狭く、色度座標x・yの値も小さいことから、色純度が高いことがわかる。
【0032】
【表1】
【0033】
【表2】
【0034】
【表3】
【産業上の利用可能性】
【0035】
以上に述べたように、本発明の蛍光体を青色発光蛍光体として用いたバックライトとカラーフィルターとを組合わせることにより、輝度が高く色再現範囲の広いカラー液晶表示装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】カラーフィルターの透過率曲線を示す図である。
【図2】本発明の冷陰極蛍光ランプの一例を示す図である。
【図3】本発明のカラー液晶表示装置の一例を示す断面図である。
【図4】本発明のカラー液晶表示装置の一例を示す鳥瞰図である。
【図5】本発明の蛍光体の発光ピーク波長(nm)とCa量(a値)との関係を示す図である。
【図6】本発明の蛍光体の半値幅(nm)とCa量(a値)との関係を示す図である。
【図7】本発明の蛍光体の発光ピーク波長(nm)とEu量(c値)との関係を示す図である。
【図8】本発明の蛍光体の半値幅(nm)とEu量(c値)との関係を示す図である。
【図9】実施例1及び比較例1の蛍光体の発光スペクトルを示す図である。
【図10】実施例1及び比較例2の単色蛍光ランプの発光スペクトルを示す図である。
【図11】実施例1の白色蛍光ランプの発光スペクトルを示す図である。
【符号の説明】
【0037】
1 青色カラーフィルターの透過率曲線
2 緑色カラーフィルターの透過率曲線
3 赤色カラーフィルターの透過率曲線
11 透光性気密容器
12 蛍光体層
13 放電媒体
14a、14b 電極
21 バックライトユニット
22 液晶パネル
23 光源
24 配向シート
25 透明電極/TFT
26 透明電極
27 カラーフィルター
28 液晶層
29 ガラス板
30 TFT制御回路
31 バックライトユニット
32 液晶パネル
33 光源
34 TFT制御回路
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式が次式で表されることを特徴とするアルカリ土類金属ピロリン酸塩蛍光体。
(Sr1−a−b−cCaaMbEuc)2P2O7
(但し、MはMg、Ba及びZnから選択される少なくとも1種の元素、0<a≦0.4、0≦b≦0.4、0<a+b≦0.4、0.001≦c≦0.1)
【請求項2】
発光スペクトルのピーク波長が425〜440nmの範囲にあり、半値幅が45nm以下であることを特徴とする請求項1に記載のアルカリ土類金属ピロリン酸塩蛍光体。
【請求項3】
透光性気密容器と、透光性気密容器内に形成された蛍光体層と、透光性気密容器内に封入された放電媒体と、電極とを具備する蛍光ランプにおいて、前記蛍光体層は請求項1又は2に記載のアルカリ土類金属ピロリン酸塩蛍光体を含むことを特徴とする蛍光ランプ。
【請求項4】
前記蛍光ランプが冷陰極蛍光ランプであることを特徴とする請求項3に記載の蛍光ランプ。
【請求項5】
液晶を利用した光シャッターと、白色光源のバックライトと、画素単位に設けられ青色・緑色・赤色のいずれかの光を透過させるカラーフィルターとを組合わせて構成される液晶表示装置において、前記バックライトは請求項3又は4に記載の蛍光ランプであることを特徴とする液晶表示装置。
【請求項1】
一般式が次式で表されることを特徴とするアルカリ土類金属ピロリン酸塩蛍光体。
(Sr1−a−b−cCaaMbEuc)2P2O7
(但し、MはMg、Ba及びZnから選択される少なくとも1種の元素、0<a≦0.4、0≦b≦0.4、0<a+b≦0.4、0.001≦c≦0.1)
【請求項2】
発光スペクトルのピーク波長が425〜440nmの範囲にあり、半値幅が45nm以下であることを特徴とする請求項1に記載のアルカリ土類金属ピロリン酸塩蛍光体。
【請求項3】
透光性気密容器と、透光性気密容器内に形成された蛍光体層と、透光性気密容器内に封入された放電媒体と、電極とを具備する蛍光ランプにおいて、前記蛍光体層は請求項1又は2に記載のアルカリ土類金属ピロリン酸塩蛍光体を含むことを特徴とする蛍光ランプ。
【請求項4】
前記蛍光ランプが冷陰極蛍光ランプであることを特徴とする請求項3に記載の蛍光ランプ。
【請求項5】
液晶を利用した光シャッターと、白色光源のバックライトと、画素単位に設けられ青色・緑色・赤色のいずれかの光を透過させるカラーフィルターとを組合わせて構成される液晶表示装置において、前記バックライトは請求項3又は4に記載の蛍光ランプであることを特徴とする液晶表示装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2008−133390(P2008−133390A)
【公開日】平成20年6月12日(2008.6.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−321556(P2006−321556)
【出願日】平成18年11月29日(2006.11.29)
【出願人】(000226057)日亜化学工業株式会社 (993)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年6月12日(2008.6.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年11月29日(2006.11.29)
【出願人】(000226057)日亜化学工業株式会社 (993)
【Fターム(参考)】
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