説明

アルカリ形燃料電池システム

【課題】長期にわたり燃料タンクが溢れることなく運転でき、システム効率に優れた燃料電池システムを提供する。
【解決手段】燃料電池システムは、アニオン交換型電解質膜の一方の面にアノード極、他方の面にカソード極が配置された膜電極接合体を複数枚積層したスタック11により発電するアルカリ形燃料電池と、アノード極に供給する、水よりも沸点の低い燃料と水を含む液体燃料を貯蔵する燃料タンク12と、アルカリ形燃料電池のアノード極から排出される排燃料中の液体と気体を分離する気液分離器18と、気液分離器により分離された気体を燃料タンク12に戻す燃料排ガス回収ライン19と、気液分離器18により分離された液体を貯蔵する水回収タンク21と、定常発電時のスタック温度を燃料の沸点よりも高く、液体燃料の沸点よりも低い温度に制御する制御手段29を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体燃料を燃料として発電するアルカリ形燃料電池システムに関する。
【背景技術】
【0002】
最近の電子技術の進歩によって、情報量が増加し、その増加した情報を、より高速に、より高機能に処理する必要があるため、高出力密度で高エネルギー密度の電源、すなわち、連続駆動時間の長い電源を必要とする。
【0003】
充電を必要としない小型発電機、即ち、容易に燃料補給ができるマイクロ発電機の必要性が高まっている。こうした背景から、燃料電池の重要性が検討されている。
【0004】
燃料電池は、少なくとも固体又は液体の電解質及び所望の電気化学反応を誘起する一対の電極であるアノード及びカソードから構成され、その燃料が持つ化学エネルギーを直接電気エネルギーに高効率で変換する発電機である。
【0005】
こうした燃料電池において、電解質膜に固体高分子電解質膜を用い、水素を燃料とするものは固体高分子形燃料電池(PEFC:Polymer Electrolyte Fuel Cell)と呼ばれ、メタノールを燃料とするものは直接メタノール形燃料電池(DMFC:Direct Methanol Fuel Cell)と呼ばれる。中でも、液体燃料を使用するDMFCは燃料の体積エネルギー密度が高いために小型の可搬型又は携帯型の電源として有効なものとして注目されている。
【0006】
ここで、現在開発されているDMFCの発電部である、膜・電極接合体(MEA)に使用されているナフィオン(登録商標)をはじめとした電解質膜の多くは、イオン交換基としてスルホン酸基が導入された、プロトン交換型といわれるものである。電解質膜および電極は強酸性雰囲気となるため、電極触媒として使用できるのは、白金系貴金属にほぼ限定されていた。しかし、白金は大変高価であるため、燃料電池システムのコストを大きく押し上げる要因となっており、燃料電池を普及させるためには、白金を使用しない燃料電池の開発が望まれていた。
【0007】
上記課題に対し、特許文献1にはアミン基に代表されるアニオン交換型電解質膜を用いた燃料電池システムが開示されている。アニオン交換型電解質膜を用いるアルカリ形燃料電池(AFC)は、電解質膜および電極の腐食環境がマイルドであり、Fe、Ni、Coといった安価な材料を触媒に使用できることから、従来の酸形燃料電池と比較して大幅なコスト低減が期待できる。ただし、メタノールを燃料に使用したAFCの電池反応〔化1〕を見るとわかるように、アノードでは発電により多量に水が生成する。
〔化1〕
アノード:CH3OH+6OH-⇒CO2+5H2O+6e-
カソード:3/2O2+3H2O+6e-⇒6OH-
全体:CH3OH+3/2O2⇒CO2+2H2
【0008】
そのため、AFCでは運転を継続すると、水の生成によりメタノール濃度が低下する、タンク内の液量が増加し溢れてしまうといった課題が生じる。この課題に対し、特許文献2には、排燃料を加熱し、排燃料中のエタノールを気化させ、これを凝縮することで、排燃料中の残燃料を濃縮する方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平11−273595公報
【特許文献2】特開2008−293850公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、排燃料を加熱する方法においては、加熱のためのエネルギーが必要であり、燃料電池システムの発電効率が低下してしまうという問題があった。
【0011】
本発明はアルカリ形燃料電池システムにおいて、長期にわたり燃料タンクが溢れることなく運転でき、システム効率に優れた燃料電池システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の燃料電池システムは、アニオン交換型電解質膜の一方の面にアノード極、他方の面にカソード極が配置された膜電極接合体を複数枚積層したスタックにより発電するアルカリ形燃料電池と、前記アノード極に供給する、水よりも沸点の低い燃料と水を含む液体燃料を貯蔵する燃料タンクと、前記アルカリ形燃料電池のアノード極から排出される排燃料中の液体と気体を分離する気液分離器と、前記気液分離器により分離された気体を前記燃料タンクに戻す燃料排ガス回収ラインと、前記気液分離器により分離された液体を貯蔵する水回収タンクと、定常発電時の前記スタックの温度を前記燃料の沸点よりも高く、前記液体燃料の沸点よりも低い温度に制御する制御手段を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によって、発電効率を低下させることなく、長期にわたり燃料タンクが溢れることなく連続して運転可能な、アルカリ形燃料電池システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明に係る直接メタノール形燃料電池システムの模式図。
【図2】本発明に係る直接メタノール形燃料電池システムの模式図。
【図3】本発明に係る直接メタノール形燃料電池システムの模式図。
【図4】本発明に係る直接メタノール形燃料電池システムの模式図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、本発明の実施の形態を示す。
【0016】
(実施例1)
本発明に係る水よりも沸点の低い燃料と水を含む液体燃料を燃料として発電するアニオン交換型電解質膜を用いたアルカリ形燃料電池について、メタノールを燃料とする直接メタノール形アルカリ燃料電池を例にして説明する。直接メタノール形アルカリ燃料電池システムの基本構成の一例を図1に示す。
【0017】
アルカリ形燃料電池システムは発電部である単セルを積層したスタック11、スタック11に燃料を供給および未反応の残燃料を回収するための燃料タンク12、および燃料ポンプ13、スタック11に空気を供給するためのブロア16、スタック11に送る空気を加湿するための加湿器24、スタック11より排出された残燃料を回収するための燃料回収ライン15、残燃料中の液体と気体を分離するための気液分離器18、気液分離器18で分離された残燃料の気体部を燃料タンク12に戻すための燃料排ガス回収ライン19、気液分離器18で分離された残燃料の液体部を回収するための燃料排液回収ライン20、燃料排ガス回収ライン19および燃料排液回収ライン20と燃料供給ラインの間で熱交換するための熱交換器32、および水回収タンク21、燃料タンク12の燃料消費による燃料減少を検知する水位センサ30、燃料タンク12内のメタノール濃度を検出するメタノール濃度センサ31、スタック11の温度をモニタリングする熱電対等の温度センサ34、水位センサ30やメタノール濃度センサ31をモニタリングし、高濃度メタノールカートリッジ26から燃料タンク12へ高濃度メタノールを供給するための高濃度メタノール供給ポンプ27の運転・停止、水回収タンク21から燃料タンク12へ水を供給するための水供給ポンプ22の運転・停止、スタック11に取り付けてある温度センサ34の測定結果に基づき、発電量やブロア16の風量、などのシステム制御を行うためのモニタ・制御回路29を有する。
【0018】
スタック11は、イオン伝導基がOH-に代表されるアニオン交換型の固体高分子電解質膜を挟んでアノード極とカソード極が形成された膜電極接合体(MEA)と、アノード極とカソード極に燃料および酸化剤ガスを供給するセパレータとからなる単セルを複数枚直列に積層したものである。このスタック11に燃料であるメタノール水溶液と酸化剤ガスである空気あるいは酸素を供給することにより発電を行う。
【0019】
ここで、〔化1〕に示したように、アルカリ形燃料電池では、アノード側で反応により水が多量に生成するため、対策を取ることなく長時間運転すると、水の生成により液体燃料中のメタノール濃度が低下するとともに、タンク内の液量が増加し溢れてしまうといった課題が生じる。そこで、本実施例の燃料電池システムでは、温度センサ34を用いてスタック11の温度をモニタリングし、モニタリング結果に基づいて定常発電時におけるスタック11の温度が、液体燃料に含まれる燃料の沸点よりも高く、液体燃料中の燃料と水との混合割合で決定される液体燃料の沸点よりも低い温度になるよう、モニタ・制御回路29を用いてスタック11の温度を制御することを特徴とする。温度の制御方法としては、スタック11での発電量に応じて発熱量も変化することから、モニタ・制御回路29を用いてスタック11の発電量を変化させる、あるいはブロア16を用いてスタック11に送る酸化剤の流量を変化させることで、除熱量も変化できることから、ブロア16の風量を変化させる方法、燃料タンク12の燃料濃度を上げ、スタック11での燃料のクロスオーバーに伴う発熱を利用する方法などが考えられる。その他、一般的に当事者が容易に考えられる温度制御方法を用いることが可能であり、上述した方法に限定されるものではない。なお、制御温度範囲の具体例としては、たとえば2wt%のメタノール水溶液を燃料として使用した際には、スタック11の定常運転温度をメタノールの沸点である64.6℃以上、2wt%メタノール水溶液の沸点である97℃よりも低い96℃以下に制御すればよい。温度制御範囲は燃料の種類や液体燃料の濃度によって、制御範囲が設定される。なお、本発明において定常発電とは、燃料電池を起動して目標温度まで昇温した後の発電を意味する。
【0020】
このようにスタック11の温度を制御することにより、スタック11から排出される排燃料の液体中に存在する燃料は蒸発し、その大部分は気体中に含まれることになる。一方、スタック温度は液体燃料(水溶液)の沸点よりも低い温度であるため、水はあまり蒸発せず、大部分が液体中に含まれる。これにより、スタック11から排出される排燃料中の燃料と水を分離することができる。この排燃料を気液分離器18で気体と液体に分離し、気体として分離された燃料を選択的に燃料タンク12に戻すことが可能となる。これにより、燃料タンク12に発電で生成した多量の水が回収されることがなくなり、燃料電池を長時間運転しても燃料タンク中の燃料濃度の低下やタンク内の液量が増加して溢れることを防止することができる。また、気液分離装置で分離して水回収タンク21に回収された液体は大部分が水であり、燃料タンク12の燃料濃度調整用の水として使用することができる。また、燃料電池スタックのカソード極の発電には水が必要となるため、カソード極には加湿した酸化剤ガスが供給されるが、水回収タンク21に回収された水を酸化剤ガスの加湿水として使用することもできる。
【0021】
なお、スタック温度を上述の制御温度範囲に制御して燃料電池を連続運転する場合、気液分離器18で分離した排ガスをそのまま燃料タンクに戻したり、一旦水回収タンク21に貯蔵した燃料排液を、燃料タンク12の燃料濃度を制御する目的で、燃料タンク12に供給したりすると、燃料タンク12内の燃料温度はスタック11の運転温度に近づいてしまう。定常発電時のスタックの温度は、燃料の沸点よりも高いため、燃料タンク12内の液体燃料に含まれる燃料が蒸発してしまう場合がある。燃料タンク内の燃料の蒸発量が多くなると発電効率の低下を招くことになる。これに対して、本実施例の燃料電池システムでは、燃料排ガス回収ライン19の燃料排ガスおよび燃料排液回収ライン20の燃料排液と、燃料供給ラインの液体燃料との間で熱交換する熱交換器32を設け、燃料排ガスおよび燃料排液の温度を低下させた後、それぞれ燃料タンク12および水回収タンク21に戻すシステム構成となっている。
【0022】
このように熱交換器32を設けることによって、気液分離器18により分離された排燃料は、燃料電池スタックに供給される前の液体燃料との間の熱交換で温度が下げられた後、燃料タンク12、水回収タンク21に戻されるため、燃料タンク12および水回収タンク21の温度をスタック11の運転温度よりも低い温度で保持することが可能となり、燃料タンク12の液体燃料中の燃料の蒸発を防止できる。
【0023】
なお、燃料排ガスについては、熱交換器32を用いて温度を下げた後も、その気体部分にメタノールが残存しているため、燃料タンク12の気相部分に燃料排ガスを戻した場合には、燃料タンク12の排気口から燃料排ガス中で気体として存在する燃料が外部に放出されてしまう。そのため、燃料タンク12に燃料排ガスを戻す際は、図1に示したように燃料タンク12内に燃料排ガス回収ラインと接続された燃料排ガスバブリング部35を設け、燃料タンク12内の液体燃料中に燃料排ガスを直接バブリングすることによって、燃料排ガスに気体として存在する燃料を液体燃料に溶解させて回収することが望ましい。
【0024】
また、燃料排液回収ライン20から水回収タンク21に回収した燃料排液中には、気化せずに残った燃料が若干含まれる。これをカソードの加湿水として使用しても、カソードの電位低下に与える影響は小さいが、図2に示したように、水回収タンク内に水を選択的に透過するパーベーパレーション膜を設置し、パーベーパレーション膜と透過した水をカソード加湿水に使用することで、メタノールの混入を防ぐことが可能となる。具体的には、パーベーパレーション膜は、水回収タンク内にパーベーパレーション膜を介して燃料排液中を回収する燃料排液貯蔵室とパーベーパレーション膜を透過した透過水を貯蔵する透過水貯蔵室が分離される構造になるように設置される。この透過水貯蔵室と加湿器24を連結し、透過水貯蔵室から透過水が加湿器24に送られる構成とすればよい。パーベーパレーション膜の一例としては、ゼオライト膜、ポリイミド膜などが挙げられる。
【0025】
以上説明したとおり、本実施例の燃料電池システムは、排燃料中の燃料と水を分離して燃料を選択的に燃料タンクに戻す構成により、発電で生成した多量の水が燃料タンクに戻されることがなく、長期間燃料電池を運転することができる。また、本実施例の燃料電池システムでは、スタック温度をコントロールすることで排燃料中の燃料と水を分離でき、分離のための加熱源等を設ける必要がないため、システム全体の効率を向上できる。
【0026】
なお、本発明のアルカリ形燃料電池に供給する液体燃料に含まれる燃料としては、水よりも沸点が低い燃料であればよく、例えば、メタノール(沸点64.6℃)の他にエタノール(沸点78.4℃)、2−プロパノール(沸点82.4°)などを使用することができる。
【0027】
(実施例2)
図3は、本実施例に係る直接メタノール形アルカリ燃料電池システムの別の形態の一例である。本実施例では、気液分離器18で分離した燃料排液の液体の一部を、水供給ポンプ22を用いて直接加湿器24に送ることを特徴としている。気液分離器18で燃料排液は液体と気体に分離されるが、分離された液体の温度はほぼスタック温度と等しい温度であることから、定常発電時においては、加湿器24で加湿水を加熱する必要がなくなるため、加湿水の加熱による燃料電池システムのシステム効率低下を抑制できる。なお、本実施例においても、気液分離器18で分離した燃料排液の液体には、わずかではあるが気化せずに残った燃料(メタノール)が若干含まれる。上述したように、これをカソードの加湿水として使用しても、カソードの電位低下に与える影響は小さいが、気液分離器18内に水を選択的に透過するパーベーパレーション膜を設置し、パーベーパレーション膜を透過した液体を加湿器24に送液すれば、カソード加湿水へのメタノールの混入を防ぐことが可能となる。
【0028】
(実施例3)
図4は、本発明に係る直接メタノール形燃料電池システムの別の形態の一例である。本燃料電池システムは、スタック11の発電性能を高くすることを目的に、液体燃料中に水酸化カリウム、水酸化ナトリウムに代表されるアルカリ性物質を添加することを特徴としている。アルカリ性物質の添加により、スタック11内の発電部である膜電極接合体(MEA)内でのイオン伝導度が高くなり、MEAの発電性能が大幅に向上する。本実施例の燃料電池システムは、燃料タンク12内の燃料をアルカリ性に保つための、高濃度のアルカリ溶液を収容したアルカリカートリッジ38、アルカリカートリッジ38内のアルカリ溶液を燃料タンク12に注入するためのアルカリ供給ポンプおよびアルカリ供給ライン40、燃料タンク12内のpHを測定するためのpHセンサ37を有する。本実施例においては、気液分離器18で分離した液体部にアルカリ性物質が多量に含まれ、そのままでは加湿水として利用することができないため、水回収タンク内に逆浸透膜41を設置し、逆浸透膜41を透過した水のみを加湿器24に供給する構成となっている。逆浸透膜41としては、ポリアミド製の中空糸膜などが挙げられる。
【0029】
以上、アニオン交換型燃料電池システムにおいては、実施例1〜3で述べてきたようなシステム構成にすることにより、燃料電池のシステム効率を下げることなく、効果的に排燃料中の残燃料を濃縮できることで、長期にわたり燃料タンクが溢れることなく運転可能となる。
【0030】
なお、実施例1〜3では、メタノールを燃料とした直接メタノール形燃料電池を例として説明したが、本発明の内容はエタノールを燃料として用いる直接エタノール形燃料電池といった、他の水よりも沸点の低い燃料と水を含む液体燃料を使用する燃料電池にも適用可能であり、直接メタノール形燃料電池に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0031】
11 スタック
12 燃料タンク
13 燃料ポンプ
14 燃料供給ライン
15 燃料回収ライン
16 ブロア
17 吸気ライン
18 気液分離器
19 燃料排ガス回収ライン
20 燃料排液回収ライン
21 水回収タンク
22 水供給ポンプ
23 水供給ライン
24 加湿器
25、33 排気口
26 高濃度メタノールカートリッジ
27 高濃度メタノール供給ポンプ
28 高濃度メタノール供給ライン
29 モニタ・制御回路
30 水位センサ
31 メタノール濃度センサ
32 熱交換器
34 温度センサ
35 燃料排ガスバブリング部
36 パーベーパレーション膜
37 pHセンサ
38 アルカリカートリッジ
39 アルカリ供給ポンプ
40 アルカリ供給ライン
41 逆浸透膜

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アニオン交換型電解質膜の一方の面にアノード極、他方の面にカソード極が配置された膜電極接合体を複数枚積層したスタックにより発電するアルカリ形燃料電池と、
前記アノード極に供給する、水よりも沸点の低い燃料と水を含む液体燃料を貯蔵する燃料タンクと、
前記アルカリ形燃料電池のアノード極から排出される排燃料中の液体と気体を分離する気液分離器と、
前記気液分離器により分離された気体を前記燃料タンクに戻す燃料排ガス回収ラインと、
前記気液分離器により分離された液体を貯蔵する水回収タンクと、
定常発電時の前記スタックの温度を前記燃料の沸点よりも高く、前記液体燃料の沸点よりも低い温度に制御する制御手段を備えることを特徴とする燃料電池システム。
【請求項2】
請求項1において、前記燃料排ガス回収ラインを流通する気体と、前記燃料タンクから前記アノード極に供給される液体燃料との間で熱交換するための第一の熱交換器を有し、
前記気液分離器により分離された気体は前記第一の熱交換器で熱交換した後、前記燃料タンクに戻されることを特徴とする燃料電池システム。
【請求項3】
請求項2において、前記気液分離器により分離された液体と、前記燃料タンクから前記アノード極に供給される液体燃料との間で熱交換するための第二の熱交換器を有し、
前記気液分離器により分離された液体は前記第二の熱交換器で熱交換した後、前記水回収タンクに回収されることを特徴とする燃料電池システム。
【請求項4】
請求項1において、前記燃料排ガス回収ラインを介して前記気液分離器により分離された気体が前記燃料タンクの液中に放出されることを特徴とする燃料電池システム。
【請求項5】
請求項4において、前記燃料タンク内に燃料排ガス回収ラインと接続された燃料排ガスバブリング部を有し、燃料排ガスバブリング部から前記気体が前記燃料タンクの液中に放出されることを特徴とする燃料電池システム。
【請求項6】
請求項1において、前記水回収タンクに貯蔵された液体を前記燃料タンクに供給する手段を有することを特徴とする燃料電池システム。
【請求項7】
請求項1において、前記カソード極に供給する酸化剤を加湿する加湿器を有し、前記水回収タンクに貯蔵された液体を前記加湿器に供給することを特徴とする燃料電池システム。
【請求項8】
請求項7において、前記水回収タンク内にパーベーパレーション膜を有し、前記パーベーパレーション膜を透過した液体を前記加湿器に供給することを特徴とする燃料電池システム。
【請求項9】
請求項1において、前記カソード極に供給する酸化剤を加湿する加湿器を有し、前記気液分離器で分離された液体の一部を、前記気液分離器から前記加湿器に供給することを特徴とする燃料電池システム。
【請求項10】
請求項9において、前記気液分離器がパーベーパレーション膜を備え、前記パーベーパレーション膜を透過した液体を前記加湿器に供給することを特徴とする燃料電池システム。
【請求項11】
請求項1において、前記液体燃料にアルカリ性物質が添加されていることを特徴とする燃料電池システム。
【請求項12】
請求項11において、前記カソード極に供給する酸化剤を加湿する加湿器を有し、前記水回収タンク内に設置された逆浸透膜を透過した液体を前記加湿器に供給することを特徴とする燃料電池システム。
【請求項13】
請求項1において、前記スタックの温度を検出する温度検出手段を備え、前記制御手段は前記温度検出手段の検出結果に基づき、前記スタック温度を制御することを特徴とする燃料電池システム。
【請求項14】
請求項13において、前記制御手段は前記温度検出手段の検出結果に基づき、前記スタックの発電量または前記スタックに供給する酸化剤の流量または燃料タンク内の燃料濃度を変化させることにより、前記スタックの温度を制御することを特徴とする燃料電池システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−97870(P2013−97870A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−236605(P2011−236605)
【出願日】平成23年10月28日(2011.10.28)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】