説明

アルカリ燃料電池における空気CO2に対する耐性を確保するシステムおよび方法

アルカリ燃料電池に供給される空気流からのCOの濾過/吸収を最大化することによって、燃料電池カソードに供給される空気流中のCOレベルを最小化するために、制限はあるが高容量の体積を伴って設計および構成されるCOフィルタまたはトラップを含む、空気CO濾過アセンブリまたはシステムが提供される。このCOフィルタまたはトラップは、強力結合CO化学フィルタまたはトラップとタンデムな構成で配置された少なくとも1つの熱再生CO化学フィルタまたはトラップを含む。この2種類のフィルタまたはトラップの組み合わせが、空気流からCOを順次濾過/吸収し、カソードに供給される空気流中のCOのレベルを低減させる。この空気CO濾過アセンブリまたはシステムは、アルカリ燃料電池の電気化学的パージングとともに用いられてもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2009年8月24日に出願された米国仮特許出願第61/236,282号に関し、この出願に対する優先権を主張し、この出願の全体は、本明細書において参照として援用される。
【0002】
発明の分野
本発明は、燃料電池カソードに供給される空気流中のCOのレベルを低減させるためにアルカリ燃料電池とともに用いるための空気CO濾過/吸収アセンブリおよびシステムを提供する。本発明はまた、燃料電池からの電気化学的CO除去を達成するための、アルカリ燃料電池へのパージング電流の印加による電気化学的パージングの方法を提供する。本発明は、アルカリ水性電解質か、または液体電解質を有さないOHイオン伝導ポリマー膜を含むアルカリ燃料電池における空気濾過/吸収に対するものである。
【背景技術】
【0003】
背景
アルカリ膜燃料電池(Alkaline membrane fuel cell:AMFC)は、他の低温燃料電池を上回る重要な利点を有し、その利点には液体電解質を加えることなく非貴金属触媒によって動作できることが含まれる。ただし、この燃料電池技術の実施に対する重要な課題は、電池にCOが入ったときに性能損失を被ることである。AMFCが水素燃料に対して動作するとき、カソード空気供給物内のCOが懸案の特定の原因となる。なぜなら、空気供給物(air feed)は約400ppmのCOを含有するからである。こうした未処理の空気がカソードに供給される限り、この「空気CO」が電池カソードを通じて継続的に電池に入ってくる。COが約10−4airの分圧で電池カソードに継続的に流入し、カソードから電池に流入するというこうした条件下では、顕著なAMFC電圧損失が記録されている。約0.2A/cm〜0.4A/cmの一定の電流密度における電池電圧は、(COを含まないカソード空気供給物によって動作する同じ電池と比べて)0.1V〜0.3Vだけ低いことが見出されており、エネルギー変換効率の低下が20%〜60%に達することが示されている。
【0004】
このAMFC性能低下の理由の1つは酸−塩基プロセスであることが理解されている。電池に入ったCOは、ポリマー電解質の塩基性官能基に再結合し、次式に従ってOHイオン伝導官能基をHCO(重炭酸)イオン伝導官能基に置換する。
【0005】
(1)CO+(ROH)=(RHCO
はテトラアルキルアンモニウムイオンであり、アルカリイオノマーの典型的な固定化カチオン基である。COは気体の形で電池カソードに入った後、水に溶解した形で電池の厚さ寸法に拡散してもよく、膜および電池のアノード全体に式(1)で示される「炭酸化プロセス」を広げてもよい。
【0006】
電池の厚さ寸法に炭酸化プロセスを広げる別のモードは、アニオン置換プロセスである。この場合は、重炭酸アニオンが電流の下でイオノマーに拡散し、次式に従ってOHアニオンを置換する。
【0007】
(2)HCO+(ROH)=(RHCO)+OH
これが起こるとき、AMFCのOHイオンは電池アノードに向かって拡散し、アノードプロセスは次式に従ってOHイオンを消費する。
【0008】
(3)H+2OH=2HO+2e
ここで、通常のAMFC動作条件下のアノードにおいてHCOアニオンは反応性ではない。
【0009】
したがって、アノードがOHイオンを消費するときに起こるイオン置換プロセス(2)は、最終的にアニオン性部位の大部分を永続的に炭酸化する。
【0010】
OHアニオンをHCOで置換すると、2つの理由から顕著なAMFC損失がもたらされ得る。第1に、重炭酸イオンの移動度はOHイオンのそれよりも約4倍小さく、電池膜および内部電極イオノマー構成要素の両方における伝導率の低下をもたらす。第2の理由は、アノード内のOHイオンの炭酸化である。OHイオンがアノードプロセスにおける反応体の働きをしているときに、式(3)に示すとおりそのアノードプロセスに対する利用可能性を低くすると、結果としてアノード過電圧の顕著な増加がもたらされる。
【0011】
電解質炭酸化は、たとえば水性KOHなどの液体アルカリ電解質に基づくアルカリ燃料電池(alkaline fuel cell:AFC)において重要な問題であることが十分に示されている。しかしながら、その問題の性質および必要な解決策は、AFCとAMFCとで異なる。AFCの場合、電解質炭酸化の最終的な結果は、液体電解質中に固体炭酸塩が形成されることであり、それを継続的に取り除く必要がある。これは典型的に、継続的な電解質の再循環および固体/液体分離によって達成される。AMFCにおいては、固体炭酸塩は形成され得ないため、液体の再循環および固体炭酸塩の除去は必要ない。しかし、空気COが液体アルカリ電解質と反応して固体炭酸塩を形成することは、電池内のCO隔離機能を与える。AMFCはこうした電池内のCO隔離機能を有さないため、AMFC中のイオノマー材料は空気COに対して非常に脆弱になり、式(1)および(2)に示される炭酸化プロセスは、未処理の空気が入るとイオノマーをOHイオンの形から炭酸イオンの形に容易に転換する。したがって、COの進入を阻止し、ある程度の炭酸化を被るアルカリ燃料電池とともに修復ツールを使用することが、結果的に空気COに対する電池の耐性(immunity)を確保するために効果的であるに違いない。
【0012】
電解質再循環以外に、アルカリ燃料電池におけるCOの影響を最小化するための伝統的アプローチとしては、アルカリ水溶液を含有する空気スクラバー、またはアルカリ水酸化物および/もしくはアルカリ土類水酸化物の顆粒からなる固体CO吸収体を上流で使用することがあり、これはたとえば特許文献1などに開示されている。こうしたスクラバーまたは吸収体フィルタを通過するときに、空気供給流のCO成分がこうしたCOトラップのOHイオンと反応して炭酸塩を形成することによって、電池に入る空気中のCOの濃度が低減する。このCO濾過のモードは電池カソードより上流で起こり、フィルタまたはフィルタ内の活性材料の定期的な交換を必要とする。燃料電池の適用のほとんどにおいては、燃料電池のメンテナンスを最小限にする必要があるために、こうした手作業の交換の頻度をあまりにも高くすることはできない。フィルタ交換の頻度を低くするために可能な手法の1つは、より大きい体積のフィルタ、すなわちCO吸収容量がより大きいフィルタを用いることである。しかし、フィルタの許容サイズは全体のシステム体積の制約によって制限される。
【0013】
よって、空気流およびアルカリ燃料電池内のCOレベルを最小化するためには、空気流をこうしたフィルタまたはトラップに通すことによって空気流中のCOレベルを最大限に低減させるような、制限はあるが高容量の体積と容量(capacity)との組み合わせを有する効果的なCOフィルタまたはトラップが望ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】米国特許第3,909,206号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0015】
要旨
アルカリ燃料電池への空気流供給物のCOレベル低減を最大化することに対する要求は、アルカリ燃料電池(AFC)よりもアルカリ膜燃料電池(AMFC)の方がかなり厳しいことを出願人らは確認した。AFCにおいては、特にAFC内の液体電解質が再循環されているときには、50ppmほどの高さのCOレベルが残る洗浄空気が入っても、大きな燃料電池電圧損失をもたらさないことがある。しかしAMFCの場合には、ゼロに近い電圧損失を確実にするためには、COレベルを10ppmよりもかなり低くする必要がある。燃料電池への空気供給物が約400ppmのCOを有する通常の空気であるとき、単一の吸収体、フィルタ、トラップ、またはその他のCO濾過/吸収ユニットでは、その出口で空気流のこれほど低いCOレベルを達成し、かつ妥当な寸法を有することができない。理由の1つは、フィルタの寸法を制限して高いガス流速を達成することに向けられたフィルタ設計の原理が、完全なCO隔離を目的とする原理と相容れないことである。
【0016】
本明細書に開示される本発明は、アルカリ燃料電池のカソードに入る空気流中のCOレベルを低減させることによって、燃料電池の目標効率レベルを確保し、燃料電池内のCOに対する耐性およびその影響を達成することを助けることに向けられる。本発明は、アルカリ水性電解質を含むアルカリ燃料電池(「AFC」)とともに用いられても、液体電解質を有さないOHイオン伝導ポリマー膜を含むアルカリ燃料電池(「AMFC」)とともに用いられてもよい。本発明の目的の1つは、同時にCOフィルタ(複数可)またはトラップ(複数可)の体積サイズを最小化し、かつCOフィルタ(複数可)またはトラップ(複数可)の高処理量を達成する一方で、そのフィルタ(複数可)またはトラップ(複数可)が燃料電池への空気流供給物のCOレベルのレベルを予め定められた量だけ低減させること、たとえば10分の1にするか、または通常の(未濾過)空気における約400ppmのCOを約10ppmよりも十分に低いCOにまで低減させることを可能にするように設計され構成された、フィルタアセンブリおよび方法を提供することを含む。加えて、たとえば予め定められた時間だけ燃料電池に高電流摂動を加えることによって、燃料電池に進入するあらゆるCOをアノード排気流を通じてパージすることによる「電気化学的パージ」を達成することを助けるために、こうした方法が用いられてもよい。
【0017】
一局面において、本発明は、燃料電池に動作的に連結され、かつ互いにタンデムな構成で配置された2種類のCOフィルタまたはトラップの組み合わせを含む、2フィルタCO濾過アセンブリを提供する。この2フィルタアセンブリは、燃料電池のカソードよりも上流にあることによって、カソードに供給される空気流中のCOのレベルを低減させる。より特定的には、このフィルタまたはトラップは、空気流がフィルタまたはトラップを通過する際に空気流中のCOを捕獲または吸収することによって、空気流がカソードに入る前に空気流中のCOレベルを低減させるように設計され構成されている。このため、カソードへの空気流供給物中のCOをアセンブリが吸収することによって、2フィルタアセンブリはアルカリ燃料電池が空気COに対する耐性を達成することを助け、したがってアルカリ燃料電池の目標効率レベルを達成することを助ける。
【0018】
本発明に従う2フィルタアセンブリの2種類のフィルタまたはトラップは、第1の熱再生化学COフィルタまたはトラップと、それとタンデムに配置された第2の強力結合CO化学フィルタまたはトラップとを含んでもよい。第1の熱再生フィルタまたはトラップは、以下に説明するとおり、フィルタまたはトラップの分解を必要とせずにCO飽和の際の熱再生を行なうために設計され構成される。前述のとおり、2種類のフィルタはカソードへの入口よりも上流に配され、第2の強力結合COフィルタまたはトラップは第1のフィルタとカソード入口との間に配される。この2フィルタアセンブリをアルカリ燃料電池とともに配置することによって、第1のフィルタがカソードに供給される入口空気流を受け取り、その空気流が第1のフィルタを通過する際に空気流中のCOのレベルを低減させることが可能になる。加えてこの配置によって、第1のフィルタの下流にタンデムに配された第2のフィルタが、第1のフィルタから出る濾過空気流を受け取って、その空気流が最終的にカソード入口に供給される前に、空気流が第2のフィルタを通過する際に空気流中のCOのレベルをさらに低減させることが可能になる。2つのフィルタまたはトラップを通ってカソード入口に入る空気流の流れを誘導するために、第1および第2のフィルタの間に空気ポンプが含まれる。
【0019】
第1の熱再生フィルタは、入口空気流中のCOのレベルを、たとえば10分の1などの予め定められた量に低減させるように設計され構成される。第2の強力結合フィルタは、第1のフィルタで濾過されてそこから出てきた空気流中のCOのレベルを、たとえば10分の1などの第2の予め定められた量に低減させるように設計され構成される。このため、カソード入口に供給される空気流が第1および第2のフィルタによって順次濾過されることにより、カソード入口に供給される空気流中のCOのレベルは、2フィルタアセンブリの1つの構成において、たとえば100分の1など、顕著に低減される。
【0020】
たとえば、本発明に従う2フィルタアセンブリの構成の1つにおいて、第1の熱再生フィルタは通常の空気中のCOのレベルを10分の1または約400ppmから約40ppmに低減させるように構成され設計されてもよく、第2の強力結合フィルタは第1のフィルタによって濾過された空気流中のCOのレベルを10分の1または約40ppmから5ppm未満、好ましくは1ppmに等しいかまたはそれに近い値にさらに低減させるように構成され設計されてもよい。本発明に従う2フィルタアセンブリは、燃料電池への空気供給物として通常の空気が用いられるときに、カソード入口に供給される空気流中のCOのレベルを顕著に低減させてもよい。
【0021】
別の局面において、本発明は、アノード分解によって燃料電池アノードからCOを除去するためにアルカリ燃料電池を電気化学的にパージする方法を提供する。この方法は、アノード内の蓄積炭酸イオンのアノードプロセスにおける反応体としての関与を強制することを助けるために好適な電流をアルカリ燃料電池に印加することによって、COを遊離してアノード排気流を通じてアノードから除去するステップを含む。電流の大きさは十分に高く、かつスタックにおける燃料電池反転の開始をもたらすいかなる大きさにも達しない大きさである。この電気化学的パージングの方法は、燃料電池に一時的および周期的に適用されてもよい。加えて、この電気化学的パージングの方法は、たとえば動作時間などの所与の期間にわたる燃料電池の性能の低下に応答して、アルカリ燃料電池に適用されてもよい。本発明の方法に従うと、電気化学的パージング電流の印加は、たとえば約1秒間から約30秒間など、予め定められた持続時間だけ行なわれてもよい。OHイオンはアノードプロセスにおける反応体としてのカルバミン酸イオンによって置換されることにより、電気化学的に消費される。アノードプロセスは副生成物としてCOを放出し、アノード排気流はCOを燃料電池から放出する。本発明に従う方法は、上述の2フィルタアセンブリ、または以下に説明するCO濾過システムとともに有利に用いられ得る。
【0022】
さらなる局面において、本発明はアルカリ燃料電池とともに用いるためのCO濾過システムを提供し、このCO濾過システムは上述のとおりの2種類のCOフィルタまたはトラップの組み合わせを含み、さらに第1の熱再生CO化学フィルタまたはトラップと類似の第2の熱再生CO化学フィルタまたはトラップを含む。第1および第2の熱再生フィルタまたはトラップは並列に配置され、カソードへの入口よりも上流に配される。加えて、第1および第2の熱再生フィルタまたはトラップの各々は強力結合CO化学フィルタまたはトラップに対してタンデムな構成で配置される。第1および第2の熱再生COフィルタまたはトラップは、上述のとおり、それらを分解することなく熱で復活されてもよい。第1または第2の熱再生COフィルタは、強力結合フィルタとともに、上述のとおり空気流が熱再生フィルタおよび強力結合フィルタのいずれかを通過する際に空気流を濾過して、COのレベルを顕著に低減させた空気流をカソード入口に提供する。各熱再生フィルタは強力結合COフィルタとタンデムに配置され、熱再生フィルタの各々は、他方の熱再生フィルタが熱復活を受けている間に能動的なCO吸収に従事していてもよい。この態様で、一方の熱再生フィルタは、他方の熱再生フィルタが再生されている間も、入ってくる空気流を濾過するために常時使用可能であってもよい。
【0023】
熱再生フィルタの熱復活は、熱再生フィルタに温風または熱風を通して、能動的な動作中にフィルタ内に蓄積した吸収されたCOの放出を助けることによって達成される。熱再生フィルタの熱復活は、たとえば燃料電池の動作中などに、再生を受けるフィルタを温風または熱風が通過することによってインラインで起こってもよい。こうした温風または熱風は、熱復活を受ける第1または第2のフィルタのいずれかに向け直された、燃料電池からのカソード排気流を含んでもよい。CO濾過システムは、第1および第2のフィルタのどちらが熱再生を指定されるか、および/または熱再生を受けるかに依存して、第1または第2の熱再生フィルタのいずれかに対してカソード排気流を向け直せるよう助けるための空気流ラインおよびバルブのサブシステムを含む。空気流ラインおよびバルブのサブシステムは、第1および第2のフィルタのどちらが能動的に濾過しているかに依存して第1または第2の熱再生フィルタのいずれかへの入口空気流の空気流を促進したり、それらのフィルタの下流の空気流を強力結合COフィルタに向けて、その後カソード入口に向けたりすることも助ける。
【0024】
いくつかの適用においては、所与のフィルタ特性および電気化学的パージ条件によって、上述の2フィルタアセンブリまたはCO濾過システムから熱再生フィルタまたは強力結合フィルタのいずれかを除去しても完全な濾過を達成できる。つまり、COの影響を排除するためのツールのセット全体が、熱再生フィルタと電気化学的パージとの組み合わせか、または強力結合フィルタと電気化学的パージとの組み合わせを含む。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】図1は、本発明の一局面に従った、タンデム配置に配された2つの異なる種類のCOフィルタまたはトラップを含む、アルカリ燃料電池のための空気CO濾過アセンブリの概略図である。
【図2】図2は、カソード入口への空気流のCO濾過と、アノード脱炭酸化のための燃料電池の電気化学的摂動と、アノード排気流を通じた燃料電池からのCOの放出とを含む、アルカリ燃料電池においてCO耐性を達成する方法を示す流れ図である。
【図3】図3は、酸素および窒素以外のあらゆる成分が「超ゼロ」レベルにて提供されるカソード空気供給物が周囲空気で置換されたときの、負荷に対する一定の電流におけるアルカリ燃料電池電圧の減少を示すグラフである。
【図4】図4は、本発明の別の局面に従った、熱復活のために配置された2つの熱再生COフィルタまたはトラップを含む、アルカリ燃料電池のためのCO濾過システムの概略図である。
【図5】図5は、カソード入口への空気流中のCOレベルの低減を確実にするための、本発明に従うCO濾過アセンブリまたはシステムの設計の最小限の全寸法を定める方法を示す流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
詳細な説明
本発明は、以下によって提供される特徴のさまざまな組み合わせに基づく、空気COに対する実質的なアルカリ燃料電池の耐性を効果的に達成するためのアセンブリおよび方法を提供する:(a)フィルタまたはトラップの分解なしに熱によって再生され得る少なくとも1つの高容量/高処理量の化学COフィルタまたはトラップによる化学CO濾過;(b)少なくとも1つの使い捨ての強力結合COフィルタまたはトラップによる化学CO濾過;および/または(c)アノード脱炭酸化および燃料電池のアノード排気流を通じたCOの放出の達成を助ける電気化学的摂動。
【0027】
図1を参照すると、本発明は1つの局面において、互いに対して直列またはタンデムな構成で配置された2種類のフィルタまたはトラップ12および14の組み合わせを含む、アルカリ燃料電池のためのCO濾過アセンブリ50を提供する。2つのフィルタ12および14のタンデム構成は、アセンブリ50への通常の空気供給物のための入口30よりも下流であって、かつ燃料電池のカソードへの入口32よりは上流に位置決めされる。2つのフィルタのうち第2または後者のフィルタまたはトラップ14は、第1のフィルタまたはトラップ12とカソード入口32との間に位置決めされる。2つのフィルタ12および14を通ってカソード入口に入る空気流の流れを誘導するために、2つのフィルタ12および14の間に空気ポンプ16が配される。図1に示される2フィルタアセンブリ50は、アルカリ水性電解質を用いるアルカリ燃料電池、または液体電解質を有さないOHイオン伝導ポリマー膜を用いるアルカリ燃料電池とともに組み込まれてもよい。
【0028】
以下の本発明を開示するために用いられる「アルカリ燃料電池」、「燃料電池」および「電池」という用語は、アルカリ水性電解質を含むアルカリ燃料電池(AFC)または液体電解質を有さないOHイオン伝導ポリマー膜を含むアルカリ燃料電池(AMFC)を示す。本発明はいずれかの種類のアルカリ燃料電池に限定されず、AMFCおよびAFCとともに用いられてもよい。
【0029】
2フィルタの組み合わせの第1の空気フィルタまたはトラップ12は、フィルタ12の分解を必要としない熱復活のために設計され構成された、高いCO吸収容量および高い空気処理量を有する化学COフィルタである。フィルタ12は、空気流がフィルタ12を通過する際に、空気流中のCOレベルを予め定められた量だけ低くする、すなわちたとえば10分の1にするか、または通常の空気における約400ppmから約40ppmまで低減させるように設計され構成されている。第1のフィルタ12はさらに、たとえばフィルタ12における最大約1秒の空気滞留時間に相当するものなどの高処理量条件下で達成され得る高容量のCO吸収、たとえば約5重量%から8重量%などの組み合わせを提供するように設計され構成される。これらの吸収容量および動的処理量の特徴の組み合わせは、アルカリ燃料電池のカソード入口に最終的に提供される空気流中のCOのレベルを低くすることを助ける。
【0030】
たとえば、第1のフィルタまたはトラップ12は、燃料電池によって生成される電力1kW当たり約2kgの活性材料を有してもよく、および高いCO吸収容量および高い処理量を可能にする仕様を有してもよく、それによって1kW電池スタックにおけるフィルタ12は燃料電池の動作の際に空気流中のCOのレベルを約400ppmから約40ppmに、または10分の1に下げることを助け、ここでフィルタ12を通過する空気流は最高約45℃の温度である。こうした仕様を有するフィルタまたはトラップ12は、最大約8時間動作してもよく、その後COで飽和してもよく、続いて熱復活され得る。
【0031】
第1のフィルタまたはトラップ12は、吸収されたCOを除去および放出することによる熱復活を可能にする1つまたはそれより多くの活性材料で構築される。第1のフィルタ12のこうした復活はフィルタ12を分解することなく達成され、好ましくはインラインで、たとえば熱スイング吸収(thermal swing absorption:TSA)技術などによって、フィルタまたはトラップ12に温風または熱風を通して吸収されたCOを放出することによって達成される。
【0032】
よって、第1のフィルタまたはトラップ12は、COの取り込みおよび放出のための熱的条件の要求を満たすように設計され構築されてもよく、それによってフィルタ12はアルカリ燃料電池の動作温度における進入空気流中のCOのレベルを強力に低減し、それと同時にCO飽和フィルタ12が過剰な加熱エネルギーを回避するために十分に低い温度で吸収COを放出することを可能にする。空気COの低減のためにアルカリ土類水酸化物材料が用いられてきたが、それは典型的に捕獲COの熱放出のために過剰に高い温度を必要とする。加えて、たとえば酸化物/水酸化物顆粒など、いくつかの活性材料の大部分は、炭酸化において起こる寸法の変化を受けやすく、吸収容量を失わずに複数のTSAサイクルを受けることができない。
【0033】
出願人らは、第1の熱再生フィルタまたはトラップ12の構築のための代替的な活性材料を同定し、その材料は、本明細書に開示される特定のCO吸収および低減の適用に対する優れた性能を示し、かつアルカリ燃料電池におけるCO耐性を達成するために必要とされる、アミン官能基を有するポリマーに基づくCO隔離材料のファミリーを含む(Drese,J.H.,et al.,Advanced Functional Materials,2008,Vol.19,pp.3821−3832)。たとえば、本発明に従う2フィルタアセンブリ50の構成の1つにおいて、第1のフィルタまたはトラップ12は、室温近くで必要なCO取り込みおよび脱離の特性の組み合わせを提供できる、たとえば多孔性セラミック基材の上に支持されたアミン官能基を有するポリマー樹脂などの活性材料で構築される。アミン官能基化樹脂および多孔性セラミック基材の活性材料は、室温近くでの約5重量%から8重量%のCO取り込みと、約100℃よりも顕著に高くない温度の空気に露出した際の完全なCO脱離とを示し、複数のTSAサイクルにわたる燃料電池性能の損失は最小限であった。これらの効果が達成された一方で、たとえば1秒未満または1秒以下などの滞留時間にてフィルタ12を通過後の空気流中のCOレベルを、たとえば10分の1などの必要量または所望の量まで低下させることも達成された。したがって、第1の空気フィルタまたはトラップ12の活性材料(同上)の1つまたはそれより多くの特定の種類を選択することは、本発明に従ってアルカリ燃料電池におけるCO耐性を達成する解決策の重要な局面である。
【0034】
加えて、図4を参照して以下に詳細に説明されるとおり、熱再生フィルタまたはトラップ12は、フィルタ12に温風または熱風を通してCO飽和フィルタ12からCOを放出させることによって復活されてもよい。再生フィルタ12が予め定められた量だけ達成する空気流中のCOレベルの低減、たとえば10分の1または約400ppmから約40ppmへの低減などは、フィルタ12の複数サイクルの熱復活の後にも維持されることが示された。
【0035】
第1の空気フィルタまたはトラップ12の特性の必要とされる組み合わせを達成するために好適なこうした活性材料(複数可)は、アミン官能基を有するポリマー、および多孔性セラミック材料の上に支持されたアミン官能基を有するポリマーを含むがそれに限定されない。
【0036】
第2の空気フィルタまたはトラップ14は、使い捨ての強力結合CO化学フィルタである。たとえば、本発明に従う2フィルタアセンブリ50の構成の1つにおいて、第2のフィルタまたはトラップ14は、強力結合COフィルタ14が第1のフィルタ12から受け取る出口空気流中のCOレベルを、たとえば10分の1または約40ppmから1ppm近くへの低減など、必要量または所望の量に効果的に下げることを助ける無機水酸化物または水酸化物混合物の顆粒を活性材料として含む。たとえば、こうしたフィルタ14に通常の空気含有量の約10%のCOレベルを有する空気流が提供されるとき、フィルタ15は空気流中のCOレベルを1ppm近くにまで低減させることを助けてもよい。第2のフィルタまたはトラップ14の好適な活性フィルタ材料(複数可)はCOの強力な結合剤である材料を含み、これはこうした低いCO出口レベルを達成するために必要とされる特性である。第2のフィルタ14のこうした活性濾過材料(複数可)は、ソーダ石灰、水酸化リチウム、水酸化カリウム、および水酸化ナトリウムを含むがそれに限定されない。
【0037】
強力結合フィルタまたはトラップ14は妥当な温度での復活ができないため、活性材料がCOで飽和したら交換する必要がある。しかし、本発明に従う2フィルタアセンブリ50の設計によって、第2のフィルタ14は通常の空気の約10%のCOレベルしかない進入空気流の取り扱いに比較的限定されているため、第2のフィルタ14の交換頻度は比較的低い。
【0038】
よって、図1に示されるとおりの本発明に従う濾過アセンブリ50がアルカリ燃料電池とともに組み込まれるとき、アセンブリ50は、空気流をカソード入口に送達する前に、空気供給物として通常の空気が用いられるときには、たとえば400ppmから1ppm近くなどにまで空気流中のCOレベルを顕著に低減させることを助ける一連のCO濾過/吸収によって、電池内のCO耐性を達成させることを助ける。カソード入口への空気流供給物中のCOレベルのこうした顕著な低減は、2フィルタアセンブリ50の最小限のメンテナンスおよび燃料電池の最小限のエネルギー損失とともに達成される。
【0039】
本発明に従う2フィルタアセンブリ50の構成の1つにおいて、第1のCOフィルタまたはトラップ12は、COトラップ部位として働くように構成されるアミン官能基を有するポリマー(複数可)を含むがそれに限定されない活性材料(複数可)で構築される。アミン(複数可)とCOおよび水蒸気との反応は、次のプロセスに従って重炭酸イオンを形成する。
【0040】
(4)R−NH+CO+HO=R−NH(HCO
ここでRは炭素質のポリマー骨格を含んでもよい。
【0041】
さらに、本発明に従う2フィルタアセンブリ50の別の構成において、第1のCOフィルタまたはトラップ12は乾燥空気条件において用いるために構築されており、COトラップ部位として働くように構成されるアミン官能基を有するポリマー(複数可)を含むがそれに限定されない活性材料(複数可)を含む。乾燥空気条件下でのアミンとCOとの反応は、次のプロセスに従ってカルバミン酸イオンを形成する。
【0042】
(5)2(R−NH2)+CO=(R−NHCOO)(R−NH
ここでRは炭素質のポリマー骨格を含んでもよい。
【0043】
図1に示される2フィルタアセンブリ50に加えて、電池のアノード部分に蓄積し得るあらゆる炭酸塩の電気化学的分解の達成を助け、かつ電気化学的分解の結果として形成したCOをアノード排気流を通じて排気することを助けるために、動作中のアルカリ燃料電池に電池負荷摂動を加えてもよい。本発明に従うこうした電気化学的COパージング法は、燃料電池スタックに最大限の電流を比較的短時間だけ通す、限られた持続時間の燃料電池負荷摂動を用いることによって、電池から残留炭酸塩を効果的に除去することを助ける一方で、燃料電池に高い電池電流が通ったときに受け得る、負荷に対する燃料電池電力供給の損失の持続時間を最小化する。アルカリ膜燃料電池におけるCOの電気化学的パージの現象はすでに説明されており、こうした燃料電池における無CO性能の回復のためのプロセスまたは技術の役割をする。アルカリ燃料電池におけるCO耐性を達成するために、電気化学的パージングのみに頼ることはできないことを出願人らは確認した。なぜなら、必要とされる高電流摂動の頻度および持続時間は、燃料電池をバックアップするために必要な補助電力装置および負荷に対する電池電力供給のために残された正味時間の点からみて高すぎるためである。
【0044】
しかしながら出願人らは、電気化学的パージアプローチの使用がアルカリ燃料電池におけるCO耐性の達成に真の価値を与えるのは、上述のとおり電気化学的パージングがCO濾過または吸収とともに用いられて、燃料電池のカソード部分に入る空気流中のCOレベルをたとえば約400ppmから約20ppmまたはそれ未満に低減させるときであることを確認した。言及したとおり、こうした濾過または吸収は、本発明に従う2つのCOフィルタアセンブリ50を用いるか、または以下に詳細に説明される本発明に従うCOシステム100を用いて、カソードへの入口よりも上流で達成される。空気COの流入レベルが低いと、燃料電池のアノード部分における炭酸塩の蓄積にかかる時間が比較的長くなり、その結果燃料電池の電流摂動が必要とされる頻度が比較的低くなる。熱再生フィルタ12と強力結合COフィルタ14とを含む2フィルタアセンブリ50がカソード入口よりも上流で用いられるとき、電気化学的パージ法は、たとえばフィルタ12および14のいずれかの機能の何らかの欠陥などからもたらされ得る、アノード内の炭酸塩のゆっくりした蓄積を修正することを助ける「研磨(polishing)」ツールとして機能する。
【0045】
本発明に従う電気化学的パージ法は、アノード中のOHイオンの大部分が炭酸イオンによって置換されたために通常のアノードプロセスが要求電流を支持できないときに、アルカリ燃料電池からのCOの電気化学的除去を可能にする。こうした条件下で、炭酸イオンは次式に従ってアノードプロセスの反応体としてOHイオンを置換できる。
【0046】
(6)1/2H+HCO=HO+CO+e
これによってCOが「遊離」して、アノード排気流を通じて燃料電池から去る。式(6)によって示されるプロセスに続いて、炭酸イオンの電気化学的分解によって空にされたアニオン性部位を、アノードを通じてアノード内に移動してきたOHイオンが瞬時に満たす。したがってアノードの炭酸塩分解のプロセスは、次式に従って電池の厚さ寸法を通るアニオン性電流が維持されている間に起こる。
【0047】
(7)(RN+HCO)+1/2H+OH=(RNOH)+CO+HO+e
したがって、こうしたアノード分解によってアルカリ燃料電池から炭酸塩を除去するための鍵は、可能な最大電流の印加による一時的な電気化学的摂動によって、アノードプロセスにおける炭酸塩の関与を強制することを助けることである。同時に、式(6)に示される所望のプロセスを確実にすることを助けるこうした一時的負荷変更は、事実上ゼロの電力出力レベルにおけるスタック動作を伴う。その結果、付加的な電力が摂動プロセスの持続時間に提供されてもよく、それはたとえばウルトラキャパシタ(ultra−capacitor)またはバッテリーなどの補助電源から提供されてもよい。加えて、全体の高変換効率を確実にすることを助けるために、燃料スタックの反復性の電気化学的復活に用いられる動作時間の部分は、たとえば約1%から約10%など、数パーセント点よりも大きくなることはない。
【0048】
したがって図2を参照して、本発明の別の局面はアルカリ燃料電池におけるCO耐性を達成する方法200を提供し、この方法は、本発明に従う2フィルタアセンブリ50または以下に説明される本発明に従うCO濾過システム100を用いた、燃料電池のカソード入口32への空気流のCO濾過と、アノードの脱炭酸化およびCO放出のための燃料電池の電気化学的摂動とを含む。図2に示される方法200は単なる例示であって、たとえば以下に開示される段階を追加、除去、および/または再配置することなどによって、方法200が変更されてもよい。
【0049】
段階102において、この方法は、アルカリ燃料電池に、燃料電池のカソード入口よりも上流に位置決めされた一連のCOフィルタまたはトラップ12、12Aまたは12Bおよび14を提供するステップを含み、少なくとも第1の熱再生化学COフィルタまたはトラップ12、12Aまたは12Bは、第2の強力結合CO化学フィルタまたはトラップ14とタンデムな構成で配置される。第2の強力結合フィルタ14は、カソード入口32と熱再生フィルタ12、12Aまたは12Bの少なくとも1つとの間に位置決めされる。第1のフィルタ12、12Aまたは12Bは、たとえば約5重量%から8重量%などの予め定められたCO吸収能力と、たとえばフィルタ12、12Aまたは12Bにおける最大約1秒の空気滞留時間などに対応して必要とされるかまたは所望される処理量能力とを提供することによって、フィルタ12、12Aまたは12Bから出る空気流中のCOレベルを、たとえば10分の1への低減など、予め定められた量だけ低減させるように設計され構築される。本発明に従うフィルタ12、12Aまたは12Bの構成の1つにおいて、フィルタ12、12Aまたは12Bの活性材料は、アミン官能基を有する1つまたはそれより多くのポリマーを含む。強力結合フィルタ14は、空気流がカソード入口に供給される前に、第1のフィルタ12、12Aまたは12Bから受け取った空気流中のCOレベルを、たとえば10分の1への低減など、予め定められた量だけさらに低減させるように設計され構築される。本発明に従うアセンブリ50の構成の1つにおいて、第2のフィルタ14の活性材料は、ソーダ石灰、水酸化リチウム、水酸化カリウム、または水酸化ナトリウムを含む。
【0050】
段階104において、空気入口30から第1のフィルタ12、12Aまたは12Bを通って燃料電池に供給される空気流を濾過して、予め定められた処理量および第1のフィルタ12、12Aまたは12Bにおける空気の滞留時間、たとえば最大1秒または約1秒などの時間によって、第1のフィルタ12、12Aまたは12Bから出る空気流中のCOレベルをたとえば約400ppmから約40ppmなど、予め定められた量に低減させることを助ける。
【0051】
段階106において、第1のフィルタ12、12Aまたは12Bから出て第2のフィルタ14を通る空気流を濾過して、第2のフィルタ14から出てカソード入口に入る空気流中のCOレベルをたとえば約40ppmから1ppm近くなど、予め定められた量に低減させることを助ける。
【0052】
段階108において、アノード分解による燃料電池アノードにおけるCO除去のために燃料電池を電気化学的にパージし、これは燃料電池アノード内の蓄積炭酸イオンのアノードプロセス(式(6)で示される)における反応体としての関与を強制することを助けるために好適な最大電流を燃料電池に印加することによって、COを遊離してアノード排気流を通じて燃料電池から除去することによって行なわれる。電流の大きさは十分に高く、かつスタックにおける燃料電池反転の開始をもたらすいかなる大きさにも達しない大きさである。こうしたパージングは、燃料電池に一時的および周期的に適用されてもよい。
【0053】
段階110において、パージング電流の印加を、たとえば約1秒間から約30秒間などの予め定められた持続時間だけ維持することによって、炭酸イオンの実質的な部分がアノードプロセスにおける反応体としてのOHイオンの実質的な部分を置換することによって、COが副産物として放出されることによって電気化学的に消費され、アノード排気流を通じて燃料電池から放出される。
【0054】
段階112において、電気化学的パージング段階の際に、必要であれば任意に追加の電力を提供して、動作中の燃料電池スタックの結果的な一時的負荷変更および電力出力レベルの低減を適応させる。こうした追加の電力は、たとえばウルトラキャパシタまたはバッテリーなどの補助電源から提供されてもよい。
【0055】
図3を参照して、グラフ52は、酸素および窒素以外のあらゆる成分が「超ゼロ」レベルで与えられるか、または相対的にCOを含まない電池カソードへの空気供給物が周囲空気供給物に切り換えられたときの、負荷への一定の電流にて動作するアルカリ燃料電池の電圧の減少を例示するものである。このグラフは、電池カソードへの周囲空気供給物と、空気COのレベルを低減させるための上述の2フィルタアセンブリ50または下に説明される濾過システム100とを用いた燃料電池の電圧の維持も例示する。アセンブリ50またはシステム100によるCOの濾過または能動的な捕獲は、燃料電池アノードにおけるアノード分解によるCOの除去および放出のための上述の電気化学的摂動法200とともに用いられてもよい。
【0056】
図4を参照して、本発明は別の局面において、アルカリ燃料電池20のためのCO濾過システム100を提供し、このCO濾過システム100は第1の熱再生フィルタまたはトラップ12Aおよび第2の熱再生フィルタまたはトラップ12Bを含み、各フィルタまたはトラップ12Aおよび12Bは、図1を参照して上述した熱再生フィルタまたはトラップ12と同じ特性および仕様を有する。第1および第2の熱再生フィルタ12Aおよび12Bは、空気入口30よりも下流であって燃料電池カソードの入口32よりは上流に位置決めされる。第1および第2の熱再生フィルタ12Aおよび12Bは、互いに並列な向きに配される。加えて各フィルタ12Aおよび12Bは、図1を参照して上述したものと同じ特性および仕様を有する強力結合COフィルタまたはトラップ14とタンデムな構成でその上流に位置決めされる。強力結合フィルタ14はカソード入口32よりも上流に位置決めされ、以下に説明されるとおり、各フィルタ12Aおよび12Bの動作のモードに依存して、第1のフィルタ12Aまたは第2のフィルタ12Aのいずれかから出される濾過された空気流を受け取る。フィルタ12A、12Bおよび14を通ってカソード入口に入る空気流の流れを誘導するために、熱再生フィルタ12Aおよび12Bと強力結合フィルタ14との間に空気ポンプ16が配される。システム100は、必要であれば他方のフィルタ12Aまたは12Bが熱復活を受けている間に一方のフィルタ12Aまたは12BがCOを能動的に濾過することを可能にする熱復活スキームを提供するように構築され配置される。
【0057】
第1および第2の熱再生フィルタまたはトラップ12Aおよび12Bは、たとえば熱スイング吸収(TSA)技術などによって、フィルタ12Aおよび12Bに温風または熱風を通して吸収されたCOを放出させることによる熱復活ができるように構成され設計される。図4に示されるとおり、熱再生フィルタ12Aおよび12Bは、空気流ライン22と、たとえば2方向および/または3方向バルブなどのバルブV、V、V、およびVとのサブシステムに動作的に接続されてともに配置されている。このサブシステムは、空気入口30から各フィルタ12Aおよび12Bに入口空気流を送達し、フィルタ12Aまたは12Bが能動的に空気流からCOをトラップしているかどうかに依存して、入口空気流をフィルタ12Aまたは12Bのいずれかに選択的に送達するように構成され配置されている。加えてこのサブシステムは、各フィルタ12Aおよび12Bに熱再生のための復活空気流を送達し、かつフィルタ12Aまたは12Bが熱復活を指定されているか、および/または熱復活を受けているかに依存して、復活空気流をフィルタ12Aまたは12Bのいずれかに選択的に送達するようにも構成され配置されている。このサブシステムはフィルタ12Aおよび12Bの動作のモードに依存して適切な空気流を送達し、COのレベルを低減させるために入口空気流を濾過するために作動中のときにはフィルタ12Aまたは12Bに入口空気流を送達し、熱復活を受けるときにはフィルタ12Aまたは12Bに復活流を送達する。
【0058】
たとえば、サブシステムは空気流ライン22の1つまたはそれより多くと、バルブV、V、V、およびVの1つまたはそれより多くとを用いてCOを能動的にトラップしているフィルタ12Aに入口空気流を送達してもよく、さらに、たとえばそれと同時に、熱再生を受けているフィルタ12Bに復活空気流を送達してもよく、逆の場合も同様である。これによって、第1および第2のフィルタ12Aおよび12Bならびに空気流ライン22およびバルブV、V、V、およびVの特定のものは、フィルタ12Aまたは12Bの一方が入口空気流中のCOのレベルを低減できるようにするとともに、他方のフィルタ12Aまたは12Bに温風または熱風復活流を通すことによって他方のフィルタ12Aまたは12Bが熱復活を受けられるようにすることを助けることができる。本発明に従うシステム100は、熱再生フィルタ12Aまたは12Bの少なくとも一方が常にCOを能動的にトラップすることによって、後に強力結合フィルタまたはトラップ14に供給される空気流中のCOのレベルを低減させることを確実にするように動作してもよい。
【0059】
本発明に従うサブシステムの構成の1つにおいて、特定の空気流ライン22およびバルブV、V、V、およびVは、温風または熱風のカソード排気空気流を第1および第2のフィルタ12Aおよび12Bに向け直すことによって、フィルタ12Aまたはフィルタ12Bが熱再生を指定されるか、および/または熱再生を受けるかに依存して、カソード排気流がフィルタ12Aまたは12Bを通過する際に復活流として働くように構成され配置される。本発明に従うシステム100は、それによってフィルタ12Aおよび12Bの分解を必要としない第1および第2のフィルタ12Aおよび12Bのインライン熱復活を実現する。燃料電池20の動作中にこうしたインライン復活を行なえることで、第1および第2のフィルタ12Aおよび12Bの少なくとも一方、フィルタ12Aまたは12Bのいずれかが入口空気流の受け取りおよび濾過専用となる。
【0060】
本発明に従うシステム100の構成の1つにおいて、復活空気流として働く、向け直されたカソード排気流は、サブシステムの空気流ライン22の1つもしくはそれより多くならびに/またはバルブV、V、V、およびVの1つもしくはそれより多くに動作的に接続された、たとえば電気ヒーターまたは触媒ヒーターなどのインラインヒーター24によって提供される付加的または追加の加熱を含むことによって、復活空気流の温度を必要または所望の復活温度に上げることを助けてもよい。こうしたインラインヒーター24は、その動作のために燃料電池20のいくらかの水素燃料を用いてもよい。
【0061】
COの熱放出は、約80℃から約120℃、好ましくは約100℃から約105℃の範囲内の温度にて復活空気流をフィルタ12Aまたは12Bに通すことによって達成される。加えて、フィルタ12Aおよび12Bの構成および動作温度は、吸着および脱離の半サイクルの間の、フィルタ12Aおよび12BがCO吸収能力を回復するために必要な時間が、等しい空気流速におけるCO飽和時間よりも短いことを確実にする。熱再生を受けるフィルタ12Aまたは12Bを通過した後に、復活空気流はCO再生空気流出口34を経由してサブシステムから放出されてもよい。
【0062】
空気流ライン22の1つまたはそれより多くならびにバルブV、V、V、およびVの1つまたはそれより多くはさらに、空気流がフィルタ14を通る際のフィルタ14によるさらなるCO吸収のために、第1または第2のフィルタ12Aまたは12Bのいずれかからの出口空気流を強力結合フィルタ14に送達するように構成され配置される。空気流ライン22の1つまたはそれより多くならびにバルブV、V、V、およびVの1つまたはそれより多くは、フィルタ14からの出口空気流をカソード入口32に送達するように構成され配置される。少なくとも1つの空気流ライン22は、空気入口30からの入口空気流を受け取って、フィルタ12Aまたは12Bのどちらが空気流の濾過に従事しているかに依存して、空気流の流れを第1または第2のフィルタ12Aまたは12Bに向ける。入口空気流内に存在するあらゆる混入物の除去を助けるために、この空気流ライン22に空気混入物フィルタ17が動作的に連結されていてもよい。
【0063】
前述のとおり、システム100、ならびに特に空気流ライン22およびバルブV、V、V、およびVのサブシステムは、一対の熱再生フィルタ12Aおよび12Bの異なるモードでの動作を可能にし、一方のモードはCOを能動的にトラップするフィルタ12Aまたは12Bを含み、第2のモードは、たとえばこうしたフィルタ12Aおよび12Bに排気カソード流を向け直すことなどによる熱再生を受けるフィルタ12Aまたは12Bを含む。たとえば、フィルタ12Bが熱復活を受けているときに、同時にフィルタ12Aが空気流中のCOを能動的にトラップしていてもよい。各フィルタ12Aおよび12Bの動作のモードをCOの能動的なトラップから熱復活に切り換え、次いでCOの能動的なトラップに戻すことは、いくつかの所与の燃料電池電力出力における燃料電池20の予め設定された動作期間の後に達成されてもよい。予め設定された動作期間の終了後に、バルブV、V、V、およびVの1つまたはそれより多くならびに空気流ライン22の1つまたはそれより多くによって燃料電池20内の空気流が向け直されてもよく、それによって排気カソード流は熱復活のためにフィルタ12Aまたは12Bに向け直されてもよく、入口空気流は空気流中のCOの能動的なトラップのためにフィルタ12Aまたは12Bに向けられてもよい。
【0064】
図1および図2および図4を参照して上に開示された本発明は、カソード入口32に与えられる空気流中のCOレベルを低減するため、および最終的にはアルカリ燃料電池20におけるCO耐性を達成するためのあらゆる特定の適用の取り扱いに柔軟性を与える。特に、2フィルタアセンブリ50またはシステム100は単独で用いられても、電気化学的摂動の方法200とともに用いられてCOレベルを低減させてもよい。加えて、電気化学的摂動方法200の使用を伴って、または伴わずに、2フィルタアセンブリ50の2種類のフィルタ12および14の一方の種類のみを用いて、空気流中のCOレベルの低減が達成されてもよい。同様に、電気化学的摂動方法200の使用を伴って、または伴わずに、システム100の一対の熱再生フィルタ12Aおよび12Bの一方のみを用いて、空気流中のCOレベルの低減が達成されてもよい。これらの選択肢は、特定の適用、COフィルタの仕様、およびアルカリ燃料電池における電気化学的摂動方法200の効率に依存し、所与の膜および電極材料ならびにそれらの仕様に依存する。こうした選択肢のいくつかを以下にまとめる。
【0065】
(1)能動的なCO吸収のためにシステム100の一対の熱再生フィルタ12Aまたは12Bの一方を用いる間に、他方のフィルタ12Aまたは12Bは熱復活を受けることによって、CO吸収を維持し、それによりアルカリ燃料電池の動作中において常時、空気流中のCOレベルを低減させる。
【0066】
(2)熱再生フィルタ12、12Aまたは12Bのうちの1つだけを用い、空気流が強力結合COフィルタ14のみを通過する間に、熱再生フィルタ12、12Aまたは12Bは熱復活を受ける。
【0067】
(3)必要なときには電気化学的摂動の方法200とともに、カソード入口32よりも上流の強力結合COフィルタ14のみを用いる。フィルタ14の手作業の交換の頻度がフィルタ14の好適な寸法によって指示され、かつ操作上許容できるときは、この選択肢が望ましい。
【0068】
(4)フィルタ12、12Aまたは12Bのうち1つの熱再生を含むあらゆる選択肢において、熱復活に用いられる熱エネルギーの少なくともいくらかはフィルタ12、12Aまたは12Bを通るカソード排気流の向け直しに由来する。
【0069】
開示される本発明は上述の選択肢に限定されず、本発明はこれらのCO吸収および放出能力の他の可能な組み合わせも想定しており、2フィルタアセンブリ50またはCO濾過システム100は、フィルタまたはトラップ12、12A、12Bおよび14の所与の動作条件および仕様ならびに所与の燃料電池に依存して、所与のアルカリ燃料電池およびそのスタックサブシステムに提供されて燃料電池内のCO耐性の達成を助けてもよいことを通常の当業者は認識できる。
【0070】
図5を参照すると、別の局面において、本発明は、カソード入口32への空気流中のCOレベルを超低COレベルにまで確実に低減させることを助けるために、本発明に従うCO濾過アセンブリ50またはシステム100の設計の最小全寸法を定める方法300を提供する。方法300は単なる例示であり、たとえば段階を追加、除去、および/または再配置することなどによって変更されてもよい。
【0071】
段階302において、予め定められた最大パーセンテージの燃料電池電力の損失をもたらす、アルカリ燃料電池20のカソード入口32への空気流の最大COレベルを定める。
【0072】
段階304において、熱再生フィルタまたはトラップ12、12Aおよび12Bから出る空気流中のCOレベルを低くするためにフィルタまたはトラップ14に必要とされる、強力結合フィルタまたはトラップ14の体積を定める。
【0073】
段階306において、フィルタ14の交換のために許容できる最短期間において、たとえば約30ppmから40ppmなどのCOをトラップするためのフィルタ14の活性材料を含有および/または維持するために必要とされる、強力結合フィルタまたはトラップ14の体積を定める。
【0074】
段階306において、所与のデューティサイクルの典型的な「オン」期間の持続時間、たとえば8時間などにおいて、燃料電池への所与の空気流速にて、カソード入口への空気流中のCOレベルを、たとえば約400ppmから約30〜40ppmに下げるか、または10分の1に下げ、かつ好ましくは燃料電池の「オフ」期間の間に熱復活を達成することを助けるために必要とされる、各熱再生フィルタまたはトラップ12、12Aおよび12Bの熱復活される活性材料の重量を定める。
【0075】
本発明の少なくとも1つの例示的局面を説明してきたが、当業者にはさまざまな変更、改変および改善が容易に考えられるであろう。そうした変更、改変および改善は、上に開示される本発明の範囲および趣旨の内にあることが意図される。したがって前述の記載は単なる例であって、限定することは意図されない。本発明の制限は、以下の特許請求の範囲およびその同等物においてのみ規定される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルカリ燃料電池であって、
2トラップ空気フィルタアセンブリに動作的に連結された空気カソードを含み、
前記2トラップ空気フィルタアセンブリは、一連の、第2の強力結合CO化学トラップとタンデムに配置された第1の熱再生化学COトラップを含み、前記第1および第2のCOトラップは前記空気カソードへの入口よりも上流に配され、前記第2のCOトラップは前記第1のCOトラップと前記カソード入口との間に配され、
前記第1および第2のCOトラップは、前記空気カソードへの前記入口に供給される空気流中のCOのレベルを低減させるように構成され、
前記アルカリ燃料電池は、アルカリ水性電解質か、または液体電解質を有さないOHイオン伝導ポリマー膜を含む、アルカリ燃料電池。
【請求項2】
前記第1のCOトラップは、次のプロセスに従ってアミンがCOおよび水蒸気と反応して重炭酸イオンを形成する反応を介してCOトラップ部位として働くように構成される、アミン官能基を有する樹脂を活性材料として含み、
R−NH+CO+HO=R−NH(HCO
ここでRは炭素質のポリマー骨格を含む、請求項1に記載のアルカリ燃料電池。
【請求項3】
前記第1のCOトラップは、次のプロセスに従って乾燥空気条件下でCOと反応してカルバミン酸イオンを形成する反応を介してCOトラップ部位として働くように構成される、アミン官能基を有する樹脂を活性材料として含み、
2(R−NH)+CO=(R−NHCOO)(R−NH
ここでRは炭素質のポリマー骨格を含む、請求項1に記載のアルカリ燃料電池。
【請求項4】
生成される電力1kW当たり、前記第1のCOトラップは約2リットルの寸法を定め、前記空気流中のCOのレベルを約10分の1に低減させるように構成される、請求項1に記載のアルカリ燃料電池。
【請求項5】
前記第1のCOトラップは、前記第1のCOトラップ内のガスの滞留時間が最大約1秒間となることを可能にするように構成され、前記空気流中のCOのレベルを約10分の1に低減させるようにさらに構成される、請求項1に記載のアルカリ燃料電池。
【請求項6】
前記第1のCOトラップは、前記第1のCOトラップに前記空気流を通す際に前記空気流中のCOのレベルを約10分の1に低減させるように構成され、前記第1のCOトラップを通過する前記空気流は最大約45℃の温度を有する、請求項1に記載のアルカリ燃料電池。
【請求項7】
前記第1のCOトラップは熱再生のために構成され、それによって、約80℃から120℃の範囲内、好ましくは約100℃から約105℃の範囲内の温度にて前記第1のCOトラップを通過する復活空気に応答して、前記第1のCOトラップは吸収されたCOを放出する、請求項2または3のいずれかに記載のアルカリ燃料電池。
【請求項8】
前記第1のCOトラップに対する前記構成および動作温度は、吸着および脱離の半サイクルの間の、COトラップ能力を回復するための熱再生の時間が、実質的に等しい空気流速におけるCO飽和時間よりも短いことを確実にする、請求項2または3のいずれかに記載のアルカリ燃料電池。
【請求項9】
前記第1のCOトラップは、前記第1のCOトラップに復活空気流を通すことによる熱再生のために構成されており、前記復活空気流は、追加の加熱を伴うかまたは伴わずに前記第1のCOトラップに供給される前記カソード排気空気を含む、請求項2または3のいずれかに記載のアルカリ燃料電池。
【請求項10】
前記追加の加熱は、前記燃料電池に動作的に連結された電気ヒーターまたは触媒ヒーターによって与えられる加熱を含む、請求項9に記載のアルカリ燃料電池。
【請求項11】
前記第2のCOトラップは、ソーダ石灰、水酸化リチウム、または水酸化ナトリウムを含む活性材料を含む、請求項1に記載のアルカリ燃料電池。
【請求項12】
前記第2のCOトラップは、前記第1のCOトラップから出る前記空気流中のCOのレベルを約10分の1に低減させるように構成される、請求項1に記載のアルカリ燃料電池。
【請求項13】
前記第1のCOトラップは、前記空気流中のCOのレベルを約10分の1に低減させるように構成され、そして前記第2のCOトラップは、前記第1のCOトラップから出る前記空気流中のCOのレベルを約10分の1に低減させるように構成され、前記カソード空気入口に供給される前記空気流中のCOのレベルは約5ppmより低く、好ましくは約1ppm以下である、請求項1に記載のアルカリ燃料電池。
【請求項14】
前記第2のCOトラップは使い捨てであり、および定期的な交換のために構成される、請求項1に記載のアルカリ燃料電池。
【請求項15】
アルカリ燃料電池であって、
2トラップ空気フィルタアセンブリに動作的に連結された空気カソードを含み、
前記空気フィルタアセンブリは、第1の熱再生化学COトラップおよび第2の熱再生化学COトラップを含み、
前記第1および第2のトラップの各々は、強力結合COトラップとタンデムな構成で配置され、前記第1および第2のトラップならびに前記強力結合COトラップは前記空気カソードへの入口よりも上流に配され、そして前記強力結合COトラップは前記第1および第2のトラップと前記カソード入口との間に配され、
前記第1および第2のトラップの各々は、前記トラップを通過する空気流中のCOのレベルを予め定められた量だけ低減させるように構成され、そして前記強力結合COトラップは前記強力結合COトラップを通過する空気流中のCOのレベルを第2の予め定められた量だけ低減させるように構成され、そして
前記第1および第2のトラップの各々が前記燃料電池とともに配置されることによって、一方のトラップが前記一方のトラップを通過する空気流中のCOを能動的にトラップしている間に、他方のトラップが熱再生を受けることが可能となり、
ここで、前記アルカリ燃料電池は、アルカリ水性電解質か、または液体電解質を有さないOHイオン伝導ポリマー膜を含む、アルカリ燃料電池。
【請求項16】
前記第1および第2の熱再生化学COトラップの各々は、所与の燃料電池電力出力における前記燃料電池の予め設定された各動作期間の後にCOトラップモードから熱復活モードに切り替わり、およびCOトラップモードに戻るように構成される、請求項15に記載のアルカリ燃料電池。
【請求項17】
前記第1および第2の熱再生化学COトラップの各々は、入口空気およびカソード排気空気流の適切な向け直しによってCOトラップモードから熱復活モードに切り替わるように構成され、ここで、カソード排気空気は熱復活のために各COトラップに向け直される、請求項16に記載のアルカリ燃料電池。
【請求項18】
炭酸塩のアノード電気化学的消費と、アノード排気流を通じたCOの放出とによって前記電解質内に蓄積した残留炭酸塩を除去するための摂動電流の印加を受けるために適合され、前記摂動電流はスタックにおける電池反転の開始には達しない大きさを有する、請求項15に記載のアルカリ燃料電池。
【請求項19】
前記摂動電流の前記印加の持続時間は約1秒間から約30秒間である、請求項18に記載のアルカリ燃料電池。
【請求項20】
前記摂動電流は、所与の動作時間にわたる燃料電池性能の低下に応答して作動される、請求項19に記載のアルカリ燃料電池。
【請求項21】
前記燃料電池に動作的に連結され、前記摂動電流の前記印加の間に中断することなく負荷に電力を補充または供給するように構成された補助電源をさらに含む、請求項18に記載のアルカリ燃料電池。
【請求項22】
前記補助電力は、前記摂動電流の前記印加の完了後に前記燃料電池から再充電するために前記燃料電池に動作的に連結されたバッテリーを含む、請求項21に記載のアルカリ燃料電池。
【請求項23】
前記予め定められた量は10分の1の量を含み、そして前記第2の予め定められた量は10分の1への低減を含む、請求項15に記載のアルカリ燃料電池。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2013−502702(P2013−502702A)
【公表日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−526932(P2012−526932)
【出願日】平成22年8月24日(2010.8.24)
【国際出願番号】PCT/US2010/046562
【国際公開番号】WO2011/025797
【国際公開日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【出願人】(511205079)セルエラ, インコーポレイテッド (2)
【Fターム(参考)】