説明

アルキルスズアルコキシドの製造方法

【課題】アルキルスズアルコキシドの製造工程において、アルキルスズアルコキシドを含む反応液を反応器から移送する際に製品が固化し移送不能な状態になったり、または変性物によって収率が低下したりする事を防いで、収率よくかつ品質を維持しつつ製品を得ることのできる製造方法の提供。
【解決手段】ジアルキルスズオキシドおよび/またはテトラアルキルジアルコキシジスタンオキサンからなる出発物質とアルコールからなる反応物質とを脱水反応させ、発生する水を含む低沸成分を反応液から除去してアルキルスズアルコキシドを得るアルキルスズアルコキシドの製造方法において、該反応液の反応器からの移送を反応液の温度を20〜140℃の範囲に保持して反応液が固化して移送不能となることを防止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エステル及び炭酸エステル製造に用いる触媒としてのアルキルスズアルコキシドに関するものである。
【背景技術】
【0002】
アルキルスズアルコキシドは、エステル合成触媒、エステル交換反応触媒、シリコンポリマーやウレタン硬化触媒等の触媒として極めて有用である。
従来のアルキルスズアルコキシドの製造方法として、ジアルキルスズオキシドとアルコールとを脱水反応させ、発生する水を含む低沸成分を反応液から除去するという方法(例えば特許文献1、非特許文献1参照)が知られている。
ジアルキルスズオキシドを用いる方法は、下記式(6)に示す脱水を伴う平衡反応であると推定している。
【0003】
【化6】

【0004】
上記平衡は圧倒的に原系に偏っており、更に下記式(7)及び(8)に示す逐次脱水反応を包含していると推定される。アルキルスズアルコキシド組成物のうち、ジアルキルスズジアルコキシドを高収率で得るためには、各脱水反応生成物のうちの水を系外に抜き出しながら製造されるが、エネルギー的に不利な反応であるために、高温(例えば180℃)で、長時間反応によって得られる。下記脱水反応を行い、過剰なアルコールを該反応液から除去した後、アルキルスズアルコキシドを含む反応液を得る。
【0005】
【化7】

【0006】
【化8】

【0007】
アルキルスズアルコキシドはそのアルキルおよびアルコキシ基の種類によって性状が異なり、さらに不安定な化合物であることが知られているが、従来技術を示す文献には移送方法に関する記述がなく、場合によっては、反応器から移送した製品には固形物が発生したり、あるいは変性物が含まれたりして目的化合物であるアルキルスズアルコキシドの収率が低下するという問題があった。工業的な製造においては不安定な製品の移送が重要な課題であり、このように従来の方法ではアルキルスズアルコキシドを製造することはできるが、反応器からの取り出し、移送方法は知られておらず、安定して収率よく移送することができないという課題があった。
【0008】
【特許文献1】米国特許第5545600号明細書
【非特許文献1】Journal of Chemical Society C:Organic,23(1971),3972
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、前記の移送に伴うアルキルスズアルコキシドの収率低下という課題を解決し、収率よくかつ品質を維持しつつ製品を得ることができる製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者等は鋭意検討を重ねた結果、アルキルスズアルコキシドを含む反応液は場合によって、固化したり、または変性物によって収率や純度が低下したりするという従来解決できなかった製品の移送方法の課題を製造後の反応液の液温をある温度範囲に保ち移送することによって解決できることを見出し、本発明を完成させた。即ち本発明は、以下のとおりである。
[1] 下記式(1)で表されるジアルキルスズオキシドおよび/または下記式(2)で表されるテトラアルキルジアルコキシジスタンオキサンからなる出発物質と下記式(3)で表されるアルコールからなる反応物質とを脱水反応させ、発生する水を含む低沸成分を反応液から除去してアルキルスズアルコキシドを得るアルキルスズアルコキシドの製造方法において、該反応液の反応器からの移送を反応液の温度を20〜140℃の範囲に保持して行うことを特徴とするアルキルスズアルコキシドの製造方法。
【0011】
【化1】

【0012】
(式中:
1は、直鎖状または分岐状の炭素数1〜12のアルキル基、炭素数5〜12のシクロアルキル基、直鎖状または分岐状の炭素数2〜12のアルケニル基、無置換又は置換された炭素数6〜19のアリール及び直鎖状または分岐状の炭素数1〜14のアルキルと炭素数5〜14のシクロアルキルよりなる群から選ばれるアルキルからなる炭素数7〜20のアラルキル基、又は無置換又は置換された炭素数6〜20のアリール基を表す。)
【0013】
【化2】

【0014】
(式中:
1は、直鎖状または分岐状の炭素数1〜12のアルキル基、炭素数5〜12のシクロアルキル基、直鎖状または分岐状の炭素数2〜12のアルケニル基、無置換又は置換された炭素数6〜19のアリール及び直鎖状または分岐状の炭素数1〜14のアルキルと炭素数5〜14のシクロアルキルよりなる群から選ばれるアルキルからなる炭素数7〜20のアラルキル基、又は無置換又は置換された炭素数6〜20のアリール基を表し;
2は、n−ブチル、2−メチルプロピル、炭素数5及び6のシクロアルキル基、直鎖状または分岐状のアルキル基またはアルケニル基を表す。)
【0015】
【化3】

【0016】
(式中:
3は、n−ブチル、2−メチルプロピル、炭素数5及び6のシクロアルキル基、直鎖状または分岐状のアルキル基またはアルケニル基を表す。)
[2] 該アルキルスズアルコキシドが下記式(4)で表されるアルキルスズアルコキシド及び/または下記式(5)で表されるアルキルスズアルコキシドであることを特徴とする[1]記載のアルキルスズアルコキシドの製造方法。
【0017】
【化4】

【0018】
(式中:
1は、直鎖状または分岐状の炭素数1〜12のアルキル基、炭素数5〜12のシクロアルキル基、直鎖状または分岐状の炭素数2〜12のアルケニル基、無置換又は置換された炭素数6〜19のアリール及び直鎖状または分岐状の炭素数1〜14のアルキルと炭素数5〜14のシクロアルキルよりなる群から選ばれるアルキルからなる炭素数7〜20のアラルキル基、又は無置換又は置換された炭素数6〜20のアリール基を表し;
4,R5は、n−ブチル、2−メチルプロピル、炭素数5及び6のシクロアルキル基、直鎖状または分岐状のアルキル基またはアルケニル基を表し、R4,R5はそれぞれ出発物質および/または反応物質のR2またはR3に対応する。ただし、R4,R5の少なくとも一つはR3に対応する。)
【0019】
【化5】

【0020】
(式中:
1は、直鎖状または分岐状の炭素数1〜12のアルキル基、炭素数5〜12のシクロアルキル基、直鎖状または分岐状の炭素数2〜12のアルケニル基、無置換又は置換された炭素数6〜19のアリール及び直鎖状または分岐状の炭素数1〜14のアルキルと炭素数5〜14のシクロアルキルよりなる群から選ばれるアルキルからなる炭素数7〜20のアラルキル基、又は無置換又は置換された炭素数6〜20のアリール基を表し;
6,R7は、n−ブチル、2−メチルプロピル、炭素数5及び6のシクロアルキル基、直鎖状または分岐状のアルキル基またはアルケニル基を表し、R6,R7はそれぞれ出発物質および/または反応物質のR2またはR3に対応する。ただし、R6,R7の少なくとも一つはR3に対応する。)
【0021】
[3] 該脱水反応に用いるアルコールが、n−ブタノール及び/または2−メチル−1プロパノールであることを特徴とする[1]記載の製造方法。
[4] [1]〜[3]に記載の製造方法によって製造されたアルキルスズアルコキシドを触媒として用いることを特徴とするエステルの製造方法。
[5] [1]〜[3]に記載の製造方法によって製造されたアルキルスズアルコキシドを触媒として用いることを特徴とする炭酸エステルの製造方法。
【発明の効果】
【0022】
本発明により、アルキルスズアルコキシド組成物を製造し、反応器から移送する工程において製品が移送不能な状態になることなく、収率よくかつ純度を維持しつつ製品を得ることができ、工業分野において大変有用である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
本発明は、ジアルキルスズオキシドおよび/またはテトラアルキルジアルコキシジスタンオキサンとアルコールとを脱水反応させ、発生する水を含む低沸成分を反応液から除去した後、該反応液を20〜140℃の液温度で反応器から移送することが特徴である。
以下、本発明について詳細に説明する。
まず、本発明で使用する化合物について説明する。本発明の出発物質は、下記式(1)で表されるジアルキルスズオキシド及び/または下記式(2)で表されるテトラアルキルジアルコキシジスタンオキサンである。
【0024】
【化1】

【0025】
(式中:
1は、直鎖状または分岐状の炭素数1〜12のアルキル基、炭素数5〜12のシクロアルキル基、直鎖状または分岐状の炭素数2〜12のアルケニル基、無置換又は置換された炭素数6〜19のアリール及び直鎖状または分岐状の炭素数1〜14のアルキルと炭素数5〜14のシクロアルキルよりなる群から選ばれるアルキルからなる炭素数7〜20のアラルキル基、又は無置換又は置換された炭素数6〜20のアリール基を表す。)
【0026】
【化2】

【0027】
(式中:
1は、直鎖状または分岐状の炭素数1〜12のアルキル基、炭素数5〜12のシクロアルキル基、直鎖状または分岐状の炭素数2〜12のアルケニル基、無置換又は置換された炭素数6〜19のアリール及び直鎖状または分岐状の炭素数1〜14のアルキルと炭素数5〜14のシクロアルキルよりなる群から選ばれるアルキルからなる炭素数7〜20のアラルキル基、又は無置換又は置換された炭素数6〜20のアリール基を表し;
2は、n−ブチル、2−メチルプロピル、炭素数5及び6のシクロアルキル基、直鎖状または分岐状のアルキル基またはアルケニル基を表す。)
【0028】
上記式(1)で示されるジアルキルスズオキシドの例としては、ジメチルスズオキシド、ジエチルスズオキシド、ジプロピルスズオキシド(各異性体)、ジブチルスズオキシド(各異性体)、ジペンチルスズオキシド(各異性体)、ジヘキシルスズオキシド(各異性体)、ジヘプチルスズオキシド(各異性体)、ジオクチルスズオキシド(各異性体)、ジビニルスズオキシド、ジアリルスズオキシド、ジシクロヘキシルスズオキシド、ジシクロオクチルスズオキシド、ビス(トリフルオロブチル)スズオキシド、ビス(ペンタフルオロブチル)スズオキシド、ビス(ヘプタフルオロブチル)スズオキシド、ビス(ナノフルオロブチル)スズオキシド、ジフェニルスズオキシド、ジベンジルスズオキシド、ジフェネチルスズオキシド、ジトリルスズオキシドなどが挙げられる。好ましい例としてはR1が炭素数1〜12のアルキル基であるジアルキルスズオキシドであり、炭素数の短い場合は生成物のアルキルスズアルコキシドが固形物になりやすく、炭素数が長い場合は生成物の流動性が低下する場合があるため、より好ましい例としては、R1が炭素数4〜8のアルキル基であるジアルキルスズオキシドである。上記式(1)で表されるジアルキルスズオキシドは一般的に多量体で存在することが知られており、上記式(1)では単量体構造のジアルキルスズオキシドを示しているが、多量体構造であっても会合体であってもかまわない。
【0029】
式(2)で示されるテトラアルキルジアルコキシジスタンオキサンの例としては、1,1,3,3−テトラメチル−1,3−ジブトキシ―ジスタンオキサン(各異性体)、1,1,3,3−テトラメチル−1,3−ビスペンチルオキシ―ジスタンオキサン(各異性体)、1,1,3,3−テトラメチル−1,3−ビスヘキシルオキシ―ジスタンオキサン(各異性体)、1,1,3,3−テトラブチル−1,3−ジブトキシ―ジスタンオキサン(各異性体)、1,1,3,3−テトラブチル−1,3−ビスペンチルオキシ―ジスタンオキサン(各異性体)、1,1,3,3−テトラブチル−1,3−ビスヘキシルオキシ―ジスタンオキサン(各異性体)、1,1,3,3−テトラフェニル−1,3−ジブトキシ―ジスタンオキサン(各異性体)、1,1,3,3−テトラフェニル−1,3−ビスペンチルオキシ―ジスタンオキサン(各異性体)、1,1,3,3−テトラフェニル−1,3−ビスヘキシルオキシ―ジスタンオキサン(各異性体)、1,1,3,3−テトラキス(トリフルオロブチル)−1,3−ジブトキシ―ジスタンオキサン(各異性体)、1,1,3,3−テトラキス(トリフルオロブチル)−1,3−ビスペンチルオキシ―ジスタンオキサン(各異性体)、1,1,3,3−テトラキス(トリフルオロブチル)−1,3−ビスヘキシルオキシ―ジスタンオキサン(各異性体)、1,1,3,3−テトラキス(ペンタフルオロブチル)−1,3−ジブトキシ―ジスタンオキサン(各異性体)、1,1,3,3−テトラキス(ペンタフルオロブチル)−1,3−ビスペンチルオキシ―ジスタンオキサン(各異性体)、1,1,3,3−テトラキス(ペンタフルオロブチル)−1,3−ビスヘキシルオキシ―ジスタンオキサン(各異性体)、1,1,3,3−テトラキス(ヘプタフルオロブチル)−1,3−ジブトキシ―ジスタンオキサン(各異性体)、1,1,3,3−テトラキス(ヘプタフルオロブチル)−1,3−ビスペンチルオキシ―ジスタンオキサン(各異性体)、1,1,3,3−テトラキス(ヘプタフルオロブチル)−1,3−ビスヘキシルオキシ―ジスタンオキサン(各異性体)、1,1,3,3−テトラキス(ノナフルオロブチル)−1,3−ジブトキシ―ジスタンオキサン(各異性体)、1,1,3,3−テトラキス(ノナフルオロブチル)−1,3−ビスペンチルオキシ―ジスタンオキサン(各異性体)、1,1,3,3−テトラキス(ノナフルオロブチル)−1,3−ビスヘキシルオキシ―ジスタンオキサン(各異性体)、1,1,3,3−テトラオクチル−1,3−ジブトキシ―ジスタンオキサン(各異性体)、1,1,3,3−テトラオクチル−1,3−ビスペンチルオキシ―ジスタンオキサン(各異性体)、1,1,3,3−テトラオクチル−1,3−ビスヘキシルオキシ―ジスタンオキサン(各異性体)などが挙げられる。好ましい例としては、1,1,3,3−テトラブチル−1,3−ジブトキシ―ジスタンオキサン(各異性体)、1,1,3,3−テトラオクチル−1,3−ジブトキシ―ジスタンオキサン(各異性体)が挙げられる。好ましい例としてはR1が炭素数1〜12のアルキル基であるテトラアルキルジアルコキシジスタンオキサンであり、炭素数の短い場合は生成物のアルキルスズアルコキシドが固形物になりやすく、炭素数が長い場合は生成物の流動性が低下する場合があるため、より好ましい例としては、R1が炭素数4〜8のアルキル基であるテトラアルキルジアルコキシジスタンオキサンである。上記式(2)で表されるテトラアルキルジアルコキシジスタンオキサンは一般的に多量体で存在することが知られており、上記式(2)では単量体構造のテトラアルキルジアルコキシジスタンオキサンを示しているが、多量体構造であっても会合体であってもかまわない。
【0030】
次に、本発明において反応物質として用いられるアルコールについて説明する。
本発明で用いられるアルコールは下記式(3)で表されるアルコールである。
【0031】
【化3】

【0032】
(式中:
3は、n−ブチル、2−メチルプロピル、炭素数5及び6のシクロアルキル基、直鎖状または分岐状のアルキル基またはアルケニル基を表す。)
アルコールの例としては、n−ブタノール、2−メチル−1−プロパノール、ペンタノール(各異性体)、ヘキサノール(各異性体)、シクロヘキサノールなどが挙げられる。これらのアルコールの中で、n−ブタノールおよび2−メチル−1−プロパノールがより好ましい。
【0033】
上記したジアルキルスズオキシドおよび/またはテトラアルキルジアルコキシジスタンオキサンとアルコールとを脱水反応することによって、下記式(4)で表されるアルキルスズアルコキシド及び/又は式(5)で表されるアルキルスズアルコキシドを製造する。
【0034】
【化4】

【0035】
(式中:
1は、出発物質のR1に対応し、直鎖状または分岐状の炭素数1〜12のアルキル基、炭素数5〜12のシクロアルキル基、直鎖状または分岐状の炭素数2〜12のアルケニル基、無置換又は置換された炭素数6〜19のアリール及び直鎖状または分岐状の炭素数1〜14のアルキルと炭素数5〜14のシクロアルキルよりなる群から選ばれるアルキルからなる炭素数7〜20のアラルキル基、又は無置換又は置換された炭素数6〜20のアリール基を表し;
4,R5は、n−ブチル、2−メチルプロピル、炭素数5及び6のシクロアルキル基、直鎖状または分岐状のアルキル基またはアルケニル基を表し、R4,R5はそれぞれ出発物質および/または反応物質のR2またはR3に対応する。ただし、R4,R5の少なくとも一つはR3に対応する。)
【0036】
【化5】

【0037】
(式中:
1は、出発物質のR1に対応し、直鎖状または分岐状の炭素数1〜12のアルキル基、炭素数5〜12のシクロアルキル基、直鎖状または分岐状の炭素数2〜12のアルケニル基、無置換又は置換された炭素数6〜19のアリール及び直鎖状または分岐状の炭素数1〜14のアルキルと炭素数5〜14のシクロアルキルよりなる群から選ばれるアルキルからなる炭素数7〜20のアラルキル基、又は無置換又は置換された炭素数6〜20のアリール基を表し;
6,R7は、n−ブチル、2−メチルプロピル、炭素数5及び6のシクロアルキル基、直鎖状または分岐状のアルキル基またはアルケニル基を表し、R6,R7はそれぞれ出発物質および/または反応物質のR2またはR3に対応する。ただし、R6,R7の少なくとも一つはR3に対応する。)
【0038】
式(4)で示されるアルキルスズアルコキシドの例としては、ジメチル−ジブトキシ−スズ(各異性体)、ジメチル−ビスペンチルオキシ−スズ(各異性体)、ジメチル−ビスヘキシルオキシ−スズ(各異性体)、ジブチル−ジブトキシ−スズ(各異性体)、ジブチル−ビスペンチルオキシ−スズ(各異性体)、ジブチル−ビスヘキシルオキシ−スズ(各異性体)、ジフェニル−ジブトキシ−スズ(各異性体)、ジフェニル−ビスペンチルオキシ−スズ(各異性体)、ジフェニル−ビスヘキシルオキシ−スズ(各異性体)、ジブトキシ−ビス−(トリフルオロ−ブチル)−スズ(各異性体)、ビスペンチルオキシビス−(トリフルオロブチル)−スズ(各異性体)、ビスヘキシルオキシ−ビス−(トリフルオロブチル)−スズ(各異性体)、ジブトキシ−ビス−(ペンタフルオロブチル)−スズ(各異性体)、ビスペンチルオキシビス−(ペンタフルオロブチル)−スズ(各異性体)、ビスヘキシルオキシ−ビス−(ペンタフルオロブチル)−スズ(各異性体)、ジブトキシ−ビス−(ヘプタフルオロブチル)−スズ(各異性体)、ビスペンチルオキシビス−(ヘプタフルオロブチル)−スズ(各異性体)、ビスヘキシルオキシ−ビス−(ヘプタフルオロブチル)−スズ(各異性体)、ジブトキシ−ビス−(ノナフルオロブチル)−スズ(各異性体)、ビスペンチルオキシビス−(ノナフルオロブチル)−スズ(各異性体)、ビスヘキシルオキシ−ビス−(ノナフルオロブチル)−スズ(各異性体)、ジオクチル−ジブトキシ−スズ(各異性体)、ジオクチル−ビスペンチルオキシ−スズ(各異性体)、ジオクチル−ビスヘキシルオキシ−スズ(各異性体)等のジアルキルスズアルコキシドなどが挙げられ、好ましい例としては、ジブチル−ジブトキシ−スズ(各異性体)、ジオクチル−ジブトキシ−スズ(各異性体)などが挙げられる。
【0039】
式(5)で示されるアルキルスズアルコキシドの例としては、1,1,3,3−テトラメチル−1,3−ジブトキシ―ジスタンオキサン(各異性体)、1,1,3,3−テトラメチル−1,3−ビスペンチルオキシ―ジスタンオキサン(各異性体)、1,1,3,3−テトラメチル−1,3−ビスヘキシルオキシ―ジスタンオキサン(各異性体)、1,1,3,3−テトラブチル−1,3−ジブトキシ―ジスタンオキサン(各異性体)、1,1,3,3−テトラブチル−1,3−ビスペンチルオキシ―ジスタンオキサン(各異性体)、1,1,3,3−テトラブチル−1,3−ビスヘキシルオキシ―ジスタンオキサン(各異性体)、1,1,3,3−テトラフェニル−1,3−ジブトキシ―ジスタンオキサン(各異性体)、1,1,3,3−テトラフェニル−1,3−ビスペンチルオキシ―ジスタンオキサン(各異性体)、1,1,3,3−テトラフェニル−1,3−ビスヘキシルオキシ―ジスタンオキサン(各異性体)、1,1,3,3−テトラキス(トリフルオロブチル)−1,3−ジブトキシ―ジスタンオキサン(各異性体)、1,1,3,3−テトラキス(トリフルオロブチル)−1,3−ビスペンチルオキシ―ジスタンオキサン(各異性体)、1,1,3,3−テトラキス(トリフルオロブチル)−1,3−ビスヘキシルオキシ―ジスタンオキサン(各異性体)、1,1,3,3−テトラキス(ペンタフルオロブチル)−1,3−ジブトキシ―ジスタンオキサン(各異性体)、1,1,3,3−テトラキス(ペンタフルオロブチル)−1,3−ビスペンチルオキシ―ジスタンオキサン(各異性体)、1,1,3,3−テトラキス(ペンタフルオロブチル)−1,3−ビスヘキシルオキシ―ジスタンオキサン(各異性体)、1,1,3,3−テトラキス(ヘプタフルオロブチル)−1,3−ジブトキシ―ジスタンオキサン(各異性体)、1,1,3,3−テトラキス(ヘプタフルオロブチル)−1,3−ビスペンチルオキシ―ジスタンオキサン(各異性体)、1,1,3,3−テトラキス(ヘプタフルオロブチル)−1,3−ビスヘキシルオキシ―ジスタンオキサン(各異性体)、1,1,3,3−テトラキス(ノナフルオロブチル)−1,3−ジブトキシ―ジスタンオキサン(各異性体)、1,1,3,3−テトラキス(ノナフルオロブチル)−1,3−ビスペンチルオキシ―ジスタンオキサン(各異性体)、1,1,3,3−テトラキス(ノナフルオロブチル)−1,3−ビスヘキシルオキシ―ジスタンオキサン(各異性体)、1,1,3,3−テトラオクチル−1,3−ジブトキシ―ジスタンオキサン(各異性体)、1,1,3,3−テトラオクチル−1,3−ビスペンチルオキシ―ジスタンオキサン(各異性体)、1,1,3,3−テトラオクチル−1,3−ビスヘキシルオキシ―ジスタンオキサン(各異性体)などが挙げられる。好ましい例としては、1,1,3,3−テトラブチル−1,3−ジブトキシ―ジスタンオキサン(各異性体)、1,1,3,3−テトラオクチル−1,3−ジブトキシ―ジスタンオキサン(各異性体)が挙げられる。
前述したように、出発物質と反応物質を脱水反応し(下式(9)及び下式(10)の逐次脱水反応と推定している)、アルキルスズアルコキシドを製造する。
【0040】
【化9】

【0041】
【化10】

【0042】
製造後の生成物であるアルキルスズアルコキシドを含む反応液は、液体状または固体状であった。固体状の場合は反応器から移送することは困難であったり、反応液を反応器から移送する際に、場合によっては著しく収率や純度が低下する場合があった。
本発明者らが鋭意検討を重ねた結果、該反応液が固体状であっても液体状であっても、移送性と収率や純度を共に高く保つことのできる方法を見いだし、本発明を完成させた。すなわち、本発明は製造後の反応液を20〜140℃の液温度で反応器から移送することを特徴とし、これによって途中で移送不能に陥ることなく、また移送時の収率、純度の低下を抑止し、移送することができる。
【0043】
該アルキルスズアルコキシドを含む反応液は、場合によっては、高粘度化または固化して、徐々に配管を閉塞させたり、急激に詰まりを生じたりする場合があることがわかった。アルキルスズアルコキシドの種類によってアルキルスズアルコキシドを含む反応液の移送性は大きく異なった。本発明の方法では製造後の反応液を20〜140℃の液温度で反応器から移送する。この場合、製造後のアルキルスズアルコキシドと共に残存する反応物質のアルコールの残存率にもよるが、アルキルスズアルコキシドを含む反応液は高粘度になる場合もあるし、固形状になる場合もある。その場合には溶媒などを添加し、流動性を向上させて該20〜140℃の温度範囲で移送してよい。溶媒を添加する場合、生成物であるアルキルスズアルコキシドの収率を低下させない溶媒を選択して使用してよく、公知の溶媒が使用できる。これら溶媒の例としては、例えば炭化水素類、エーテル類、アルコール類などが好適に使用できる。
【0044】
上記した溶媒の例としては、炭素数5〜16の鎖状、環状の炭化水素、炭素数4から16の鎖状、環状の炭化水素からなるエーテル類、炭素数1〜8のアルコールであり、具体的には、ペンタン(各異性体),ヘキサン(各異性体),ヘプタン(各異性体),オクタン(各異性体),ノナン(各異性体),デカン(各異性体),テトラデカン(各異性体),ヘキサデカン(各異性体),シクロヘキサン,シクロヘプタン,シクロオクタン,ベンゼン,トルエン,キシレン(各異性体),エチルベンゼンなどから選ばれる炭素数6〜16の鎖状、環状の炭化水素、そしてジエチルエーテル,ジプロピルエーテル(各異性体),ジブチルエーテル(各異性体),ジヘキシルエーテル(各異性体),ジオクチルエーテル(各異性体),ジフェニルエーテルなどから選ばれるエーテル類が挙げられる。アルコール類は、生成物でであるアルキルスズアルコキシドとアルコール交換を起こす場合もあるが、悪影響を及ぼさないため使用して構わない。アルコール類の例としてはメタノール,エタノール,プロパノール(各異性体),ブタノール(各異性体),ペンタノール(各異性体),ヘキサノール(各異性体),ヘプタノール(各異性体),オクタノール(各異性体)などのアルコールが使用できる。好ましくは炭素数4〜6のアルキルアルコールであって、より好ましくは反応物質として使用したアルコールと同種のアルコールである。
【0045】
上記した溶媒に水分が含まれていると得られたアルキルスズアルコキシドを加水分解させ、収率低下を引き起こす場合があるので、該溶媒中の水分量は1000ppm以下、好ましくは100ppm以下として添加することが好ましい。
溶媒の添加方法は、連続的に添加しても断続的に添加してもよく、アルキルスズアルコキシドを含む反応液を製造した温度で添加してもよいし、加熱したり冷却後に添加してもよい。好ましくは該反応液を攪拌下添加することが好ましい。
【0046】
一般的に高粘度の液体または固体を加熱すれば、粘度が低下し、流動性が向上する。本発明のアルキルスズアルコキシドを含む反応液も同様に、固体状や高粘度となった脱水反応後の反応液を加熱することで流動性は向上した。しかし、移送のための加熱操作によって収率や純度が著しく低下する場合があることを発見した。該収率や純度の低下原因の詳細は明らかになっていないが、移送時の温度を20〜140℃の範囲でおこなうと、驚くべきことに、収率、純度の低下を極めて効果的に抑制できることを見いだし、本発明を完成させた。
【0047】
次に、本発明のアルキルスズアルコキシドの製造条件について述べる。本発明のアルキルスズアルコキシドは、前記したように、出発物質と反応物質を脱水反応させることによって得られる。
該脱水反応は平衡反応であって、生成物であるアルキルスズアルコキシドの生成速度、生成量は、出発物質と反応物質のモル比に大きく依存する。該脱水反応をおこなう際の、出発原料に対するアルコールのモル比は、アルコールの種類によって異なるが、通常1〜1000倍、より好ましくは3〜50倍である。脱水反応は平衡反応であるため、アルキルスズオキシドのモル数に対して過剰のアルコールを使用した場合が一般に反応を早く進行させることができるが、大過剰のアルコールを使用した場合には、反応後のアルコールの留去に多大なエネルギーを必要とするので、上記範囲が好ましい。該反応温度は、原料アルコールの種類や反応圧力によって異なるが、通常60〜180℃である。高温では副反応が起こりやすくなり、一方、低温では反応が非常に遅いため、より好ましくは100〜160℃である。反応圧力についても原料アルコールの種類などによって異なり、減圧から加圧条件で行うことが可能であるが、好ましくは200Pa〜1MPaという圧力範囲で行う。効率よく反応系から水を除去するために、さらに好ましくは10kPa〜0.5MPaの範囲である。
【0048】
上記したように、反応は平衡反応と推定され、平衡を生成物側にずらしてアルキルスズアルコキシドを得る。即ち、反応液の中から水を除去してアルキルスズアルコキシドを得る。脱水方法は公知の脱水方法が使用できる。例えば、蒸留、膜分離、脱水剤などの方法が挙げられる。蒸留は減圧蒸留、加圧蒸留、薄膜蒸留、共沸蒸留などの方法が使用でき、膜分離はパーベーパレーションなどの方法が使用でき、脱水剤はモレキュラーシーブなどの公知の脱水剤が使用できる。また、反応液中に例えば窒素やアルゴンなどの不活性ガスを流し、反応液からの水の除去を促進することもできる。不活性ガス中に水が含まれると得られたアルキルスズアルコキシドを加水分解させ、収率低下を引き起こす場合があるので、不活性ガス中の水分量は0.05vol%以下、好ましくは0.005vol%以下として添加することが好ましい。
上記脱水反応によるアルキルスズアルコキシドの製造はいかなる反応器、例えば、バッチ型反応器、セミバッチ型反応器、完全混合槽型反応器及び流通型反応器、またはこれらの反応器を連結させた複合型反応器を用いてもよい。
【0049】
脱水反応後、過剰なアルコールを除去してもよいし、そのまま反応器から移送してもよい。該反応液を移送する際にアルキルスズアルコキシドが十分な流動性を持つように反応器および該反応液が通過する配管やバルブ等を適切な温度に加熱し、移送する。反応液の温度範囲はアルキルスズアルコキシドの種類によって異なるが、通常20〜140℃、より好ましくは30〜130℃である。移送する方法としては、上述のように液温度をある範囲に保つことが重要であることから、反応液を保温できるような移送方法であれば如何なる移送方法でも使用できる。例えば、差圧を利用する場合、該反応液を含む反応器と反応液が通過する配管やバルブなどと反応液が蓄積する受器をマントルヒーター、ホットプレート、リボンヒーター等の加熱機器によって液温度を保ち、反応器を加圧するかまたは受器を減圧すれば、反応液を移送することができる。その他に例えば、送液ポンプを利用し反応液を移送する方法なども挙げられる。使用できる送液ポンプは例えば、遠心ポンプや往復ポンプや回転ポンプなどのポンプが挙げられる。ポンプ類を利用する場合は、吸引配管、ポンプヘッドおよび吐出配管を上記加熱機器によって液温度を保ちながら移送を行う。反応液が配管や送液ポンプ類などに滞留する時間は通常0.1秒〜10時間であるが、滞留時間が短いほど圧力損失が大きくなるし、逆に滞留時間が長くなると反応液が変質する可能性があるため、より好ましくは1秒〜5時間である。
上述の方法を用いれば、反応器から移送する工程での収率低下や反応液の固化による配管等の閉塞といった問題が生じることなく、製品であるアルキルスズアルコキシドを得ることができる。
【実施例】
【0050】
以下、本発明を実施例に基づき具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
実施例、比較例において用いた分析方法は以下の通りである。
<NMR分析方法>
装置:日本電子(株)社製JNM−A400 FT−NMRシステム
(1)1H−NMR、13C−NMR、119Sn−NMR分析サンプルの調製
スズ化合物を0.3g秤量し、重クロロホルム(アルドリッチ社製、99.8%)を約0.7gと119Sn−NMR内部標準としてテトラメチルスズ(和光社製、和光一級)を0.05g加えて均一に混ぜた溶液をNMR分析サンプルとする。
(2)定量分析法
各標準物質の標準サンプルについて分析を実施し作成した検量線を基に、分析サンプル溶液の定量分析を実施する。
(3)ジアルキルスズアルコキシドの収率計算方法
ジアルキルスズアルコキシドの収率は出発原料(化学式(1)および/または化学式(2)で表す化合物)のスズ原子のモル数に対して、得られた各ジアルキルスズアルコキシド(化学式(4)および/または化学式(5)で表す化合物)のスズ原子モル数の生成モル%で求めた。
【0051】
<水の分析方法>
装置:三菱化学(株)社製CA−05微量水分計
(1)定量分析法
分析サンプルをシリンジを用いて0.12ml採取し重量を測った後、そのまま水分計に注入し、水の定量を行う。その後再びシリンジの重量を測り、サンプル注入量を計算し、サンプル中の水含有量を求める。
【0052】
[実施例1]
1,1,3,3−テトラブチル−1,3−ビス−(2−メチルプロピルオキシ)ジスタンオキサンの製造と反応液の移送
磁気誘導式攪拌機、ヒーター、ガス導入/パージバルブおよび液体抜き出しバルブを備えた容積200mlの高圧ガラス容器(耐圧硝子工業社製)に出発物質ジブチルスズオキシド(アルドリッチ社製、98%)14.9g(0.060mol)および反応物質2−メチル−1−プロパノール(アルドリッチ社製、脱水99.5%)88.9g(1.2mol)を入れ、容器を密閉した。撹拌機を回転数400rpmで運転し、混合物を110℃に加熱した。所定温度到達後、ガスパージバルブをゆっくり開け内圧を大気圧にし、さらに窒素ボンベと連結する液体抜き出しバルブをゆっくり開け窒素50ml/minを混合液中に流した。ガスパージバルブの出口から発生する水を含む2−メチル−1−プロパノールが回収され、約2時間後に留出物が出なくなった。回収された留出物には水が0.55g含まれていた。その後、反応液を120℃に保温し、液体抜き出しバルブを開けたままガスパージバルブを閉め、容器を窒素によって0.05MPaに加圧した後、液体抜き出しバルブを閉めた。窒素ボンベとの連結をはずした後、液体抜き出しバルブを大気圧にした別の高圧容器(東洋高圧製、磁気誘導式攪拌機、ヒーター、ガス導入/パージバルブおよび液体抜き出しバルブを備えた容積200mlのSUS316製高圧容器)と連結し、リボンヒーターによって連結配管およびバルブを120℃に保った。120℃に保ったままの反応液は透明な液体であった。高圧ガラス容器側の液体抜き出しバルブとSUS製高圧容器側のバルブをゆっくり開け、差圧によって反応液の移送を行い、反応液の移送をガラス容器内の液面下降の目視によって確認した。全ての反応液を移送するためにかかる時間は約2時間であった。移送した反応液を0.4g採取し、119Sn,1H,13C−NMR分析を行った結果、生成物は99%の1,1,3,3−テトラブチル−1,3−ビス−(2−メチルプロピルオキシ)−ジスタンオキサンを含んでいた。
【0053】
[比較例1]
1,1,3,3−テトラブチル−1,3−ビス−(2−メチルプロピルオキシ)ジスタンオキサンの製造と反応液の移送
実施例1と同じ条件で1,1,3,3−テトラブチル−1,3−ビス−(2−メチルプロピルオキシ)ジスタンオキサンを製造し、その後、反応液を18℃に保温した。ところが、温度下降の際に反応液が固化し、反応液の移送が不能であった。
【0054】
[比較例2]
1,1,3,3−テトラブチル−1,3−ビス−(2−メチルプロピルオキシ)ジスタンオキサンの製造と反応液の移送
実施例1と同じ条件で1,1,3,3−テトラブチル−1,3−ビス−(2−メチルプロピルオキシ)ジスタンオキサンを製造した。その後、反応液を150℃に保温し、液体抜き出しバルブを開けたままガスパージバルブを閉め、容器を窒素によって0.05MPaに加圧した後、液体抜き出しバルブを閉めた。窒素ボンベとの連結をはずした後、液体抜き出しバルブを大気圧にした別の高圧容器(東洋高圧製、磁気誘導式攪拌機、ヒーター、ガス導入/パージバルブおよび液体抜き出しバルブを備えた容積200mlのSUS316製高圧容器)と連結し、リボンヒーターによって連結配管およびバルブを150℃に保った。高圧ガラス容器側の液体抜き出しバルブとSUS製高圧容器側のバルブをゆっくり開け、差圧によって反応液の移送を行い、反応液の移送をガラス容器内の液面下降の目視によって確認した。全ての反応液を移送するためにかかる時間は約2.5時間であった。SUS316製高圧容器に移送した反応液は透明な黄色の液体であった。移送した反応液を0.4g採取し、119Sn,1H,13C−NMR分析を行った結果、生成物は93%の1,1,3,3−テトラブチル−1,3−ビス−(2−メチルプロピルオキシ)−ジスタンオキサンを含んでいた。
【0055】
[比較例3]
1,1,3,3−テトラブチル−1,3−ビス−(2−メチルプロピルオキシ)ジスタンオキサンの製造と反応液の移送
実施例1と同じ条件で1,1,3,3−テトラブチル−1,3−ビス−(2−メチルプロピルオキシ)ジスタンオキサンを製造した。その後、反応液を180℃に保温し、液体抜き出しバルブを開けたままガスパージバルブを閉め、容器を窒素によって0.05MPaに加圧した後、液体抜き出しバルブを閉めた。窒素ボンベとの連結をはずした後、液体抜き出しバルブを大気圧にした別の高圧容器(東洋高圧製、磁気誘導式攪拌機、ヒーター、ガス導入/パージバルブおよび液体抜き出しバルブを備えた容積200mlのSUS316製高圧容器)と連結し、リボンヒーターによって連結配管およびバルブを180℃に保った。高圧ガラス容器側の液体抜き出しバルブとSUS製高圧容器側のバルブをゆっくり開け、差圧によって反応液の移送を行い、反応液の移送をガラス容器内の液面下降の目視によって確認した。全ての反応液を移送するためにかかる時間は約1.5時間であった。SUS316製高圧容器に移送した反応液は透明な黄色の液体であった。移送した反応液を0.4g採取し、119Sn,1H,13C−NMR分析を行った結果、生成物は80%の1,1,3,3−テトラブチル−1,3−ビス−(2−メチルプロピルオキシ)−ジスタンオキサンを含んでいた。
【0056】
[実施例2]
1,1,3,3−テトラブチル−1,3−ジ−n−ブトキシ−ジスタンオキサンの製造と反応液の移送
磁気誘導式攪拌機、ヒーター、ガス導入/パージバルブおよび液体抜き出しバルブを備えた容積200mlの高圧ガラス容器(耐圧硝子工業社製)に出発物質ジブチルスズオキシド(アルドリッチ社製、98%)14.9g(0.060mol)および反応物質n−ブタノール(アルドリッチ社製、脱水99.8%)89.0g(1.2mol)を入れ、容器を密閉した。撹拌機を回転数400rpmで運転し、混合物を120℃に加熱した。所定温度到達後、ガスパージバルブをゆっくり開け内圧を大気圧にし、さらに窒素ボンベと連結する液体抜き出しバルブをゆっくり開け窒素50ml/minを混合液中に流した。ガスパージバルブの出口から発生する水を含むn−ブタノールが回収され、約2時間後に留出物が出なくなった。回収された留出物には水が0.53g含まれていた。その後、反応液を40℃に保温し、液体抜き出しバルブを開けたままガスパージバルブを閉め、容器を窒素によって0.05MPaに加圧した後、液体抜き出しバルブを閉めた。窒素ボンベとの連結をはずした後、液体抜き出しバルブを大気圧にした別の高圧容器(東洋高圧製、磁気誘導式攪拌機、ヒーター、ガス導入/パージバルブおよび液体抜き出しバルブを備えた容積200mlのSUS316製高圧容器)と連結し、リボンヒーターによって連結配管を反応液温度と同じ温度に保った。40℃に保ったままの反応液は透明な液体であった。高圧ガラス容器側の液体抜き出しバルブとSUS製高圧容器側のバルブをゆっくり開け、差圧によって反応液の移送を行い、反応液の移送をガラス容器内の液面下降の目視によって確認した。移送した反応液を0.4g採取し、119Sn,1H,13C−NMR分析を行った結果、生成物には99%の1,1,3,3−テトラブチル−1,3−ジ−n−ブトキシ−ジスタンオキサンが含まれていた。
【0057】
[比較例4]
1,1,3,3−テトラブチル−1,3−ジ−n−ブトキシ−ジスタンオキサンの製造と反応液の移送
実施例2と同じ条件で1,1,3,3−テトラブチル−1,3−ジ−n−ブトキシ―ジスタンオキサンを製造し、その後、反応液を10℃に保温した。ところが、温度下降の際に反応液が徐々にゲル化し、反応液の移送が不能であった。反応器を徐々に加熱し、内温を16℃に保ったところ、反応液は高粘度の液体になった。液体抜き出しバルブを開けたままガスパージバルブを閉め、容器を窒素によって0.05MPaに加圧した後、液体抜き出しバルブを閉めた。窒素ボンベとの連結をはずした後、液体抜き出しバルブを大気圧にした別の高圧容器(東洋高圧製、磁気誘導式攪拌機、ヒーター、ガス導入/パージバルブおよび液体抜き出しバルブを備えた容積200mlのSUS316製高圧容器)と連結し、高圧ガラス容器側の液体抜き出しバルブとSUS製高圧容器側のバルブをゆっくり開け、差圧によって反応液の移送を行い、反応液の移送をガラス容器内の液面下降の目視によって確認した。反応液はゆっくり移送されたが、約30分後に液面下降が止まり、液の移送が不能となった。反応器を開放し、薬さじを用いて生成物を回収した。生成物を0.4g採取し、NMR測定サンプルを調整したところ、不溶物が見られた。サンプルについて119Sn,1H,13C−NMR分析を行った結果、生成物には70%の1,1,3,3−テトラブチル−1,3−ジ−n−ブトキシ−ジスタンオキサンが含まれていた。
【0058】
[実施例3]
1,1,3,3−テトラオクチル−1,3−ジ−n−ブトキシ―ジスタンオキサンの製造と反応液の移送
磁気誘導式攪拌機、ヒーター、ガス導入/パージバルブおよび液体抜き出しバルブを備えた容積200mlの高圧ガラス容器(耐圧硝子工業社製)に出発物質ジオクチルスズオキシド(東京化成工業社製、98%)21.7g(0.060mol)および反応物質n−ブタノール(アルドリッチ社製、脱水99.8%)89.0g(1.2mol)を入れ、容器を密閉した。撹拌機を回転数400rpmで運転し、混合物を120℃に加熱した。所定温度到達後、ガスパージバルブをゆっくり開け内圧を大気圧にし、さらに窒素ボンベと連結する液体抜き出しバルブをゆっくり開け窒素50ml/minを混合液中に流した。ガスパージバルブの出口から発生する水を含むn−ブタノールが回収され、約2時間後に留出物が出なくなった。回収された留出物には水が0.54g含まれていた。その後、反応液を60℃に保温し、液体抜き出しバルブを開けたままガスパージバルブを閉め、容器を窒素によって0.05MPaに加圧した後、液体抜き出しバルブを閉めた。窒素ボンベとの連結をはずした後、液体抜き出しバルブを大気圧にした別の高圧容器(東洋高圧製、磁気誘導式攪拌機、ヒーター、ガス導入/パージバルブおよび液体抜き出しバルブを備えた容積200mlのSUS316製高圧容器)と連結し、リボンヒーターによって連結配管およびバルブを反応液温度と同じ温度に保った。60℃に保ったままの反応液は透明な液体であった。高圧ガラス容器側の液体抜き出しバルブとSUS製高圧容器側のバルブをゆっくり開け、差圧によって反応液の移送を行い、反応液の移送をガラス容器内の液面下降の目視によって確認した。移送した反応液を0.4g採取し、119Sn,1H,13C−NMR分析を行った結果、生成物には99%の1,1,3,3−テトラオクチル−1,3−ジ−n−ブトキシ−ジスタンオキサンが含まれていた。
【0059】
[比較例5]
1,1,3,3−テトラオクチル−1,3−ジ−n−ブトキシ―ジスタンオキサンの製造と反応液の移送
実施例3と同じ条件で1,1,3,3−テトラオクチル−1,3−ジ−n−ブトキシ―ジスタンオキサンを製造し、その後、反応液を18℃に保温した。ところが、温度下降の際に反応液が徐々に固化し、反応液の移送が不能であった。
【0060】
[実施例4]
1,1,3,3−テトラオクチル−1,3−ビス−(2−エチルブチルオキシ)−ジスタンオキサンの製造と反応液の移送
磁気誘導式攪拌機、ヒーター、ガス導入/パージバルブおよび液体抜き出しバルブを備えた容積200mlの高圧ガラス容器(耐圧硝子工業社製)に出発物質ジオクチルスズオキシド(東京化成工業社製、98%)21.7g(0.060mol)および反応物質2−エチル−1−ブタノール(アルドリッチ社製、98%)61.3g(0.6mol)を入れ、容器を密閉した。撹拌機を回転数400rpmで運転し、混合物を145℃に加熱した。所定温度到達後、ガスパージバルブをゆっくり開け内圧を大気圧にし、さらに窒素ボンベと連結する液体抜き出しバルブをゆっくり開け窒素100ml/minを混合液中に流した。ガスパージバルブの出口から発生する水を含む2−エチル−1−ブタノールが回収され、約1時間後に留出物が出なくなった。回収された留出物には水が0.59g含まれていた。その後、反応液を40℃に保温し、液体抜き出しバルブを開けたままガスパージバルブを閉め、容器を窒素によって0.05MPaに加圧した後、液体抜き出しバルブを閉めた。窒素ボンベとの連結をはずした後、液体抜き出しバルブを大気圧にした別の高圧容器(東洋高圧製、磁気誘導式攪拌機、ヒーター、ガス導入/パージバルブおよび液体抜き出しバルブを備えた容積200mlのSUS316製高圧容器)と連結し、リボンヒーターによって連結配管およびバルブを反応液温度と同じ温度に保った。40℃に保ったままの反応液は透明な液体であった。高圧ガラス容器側の液体抜き出しバルブとSUS製高圧容器側のバルブをゆっくり開け、差圧によって反応液の移送を行い、反応液の移送をガラス容器内の液面下降の目視によって確認した。移送した反応液を0.4gさ採取し、119Sn,1H,13C−NMR分析を行った結果、生成物は1,1,3,3−テトラオクチル−1,3−ビス−(2−エチルブチルオキシ)−ジスタンオキサンおよびジオクチル−ビス(2−エチルブチルオキシ)−スズの混合物であり、それぞれの濃度は95mol%と5mol%であった。
【0061】
[比較例6]
1,1,3,3−テトラオクチル−1,3−ビス−(2−エチルブチルオキシ)−ジスタンオキサンの製造と反応液の移送
実施例4と同じ条件で1,1,3,3−テトラオクチル−1,3−ビス−(2−エチルブチルオキシ)−ジスタンオキサンを製造し、その後、反応液を18℃に保温した。液体抜き出しバルブを開けたままガスパージバルブを閉め、容器を窒素によって0.05MPaに加圧した後、液体抜き出しバルブを閉めた。窒素ボンベとの連結をはずした後、液体抜き出しバルブを大気圧にした別の高圧容器(東洋高圧製、磁気誘導式攪拌機、ヒーター、ガス導入/パージバルブおよび液体抜き出しバルブを備えた容積200mlのSUS316製高圧容器)と連結し、高圧ガラス容器側の液体抜き出しバルブとSUS製高圧容器側のバルブをゆっくり開け、差圧によって反応液の移送を行い、反応液の移送をガラス容器内の液面下降の目視によって確認した。反応液はゆっくり移送されたが、約40分後に液面下降が止まり、液の移送が不能となった。
【0062】
[実施例5]
1,1,3,3−テトラオクチル−1,3−ビス−(2−メチルプロピルオキシ)−ジスタンオキサンの製造と反応液の移送
磁気誘導式攪拌機、ヒーター、ガス導入/パージバルブおよび液体抜き出しバルブを備えた容積200mlの高圧ガラス容器(耐圧硝子工業社製)に出発物質ジオクチルスズオキシド(東京化成工業社製、98%)21.7g(0.060mol)および反応物質2−メチル−1−プロパノール(アルドリッチ社製、脱水99.5%)88.9g(1.2mol)を入れ、容器を密閉した。撹拌機を回転数400rpmで運転し、混合物を110℃に加熱した。所定温度到達後、ガスパージバルブをゆっくり開け内圧を大気圧にし、さらに窒素ボンベと連結する液体抜き出しバルブをゆっくり開け窒素50ml/minを混合液中に流した。ガスパージバルブの出口から発生する水を含む2−メチル−1−プロパノールが回収され、約2時間後に留出物が出なくなり、反応液には固形物が混合していた。回収された留出物には水が0.54g含まれた。その後、液体抜き出しバルブから反応液に2−メチル−1−プロパノールを約25g添加し、反応液を30℃に保温したところ反応液は透明な液体となった。その後、液体抜き出しバルブを開けたままガスパージバルブを閉め、容器を窒素によって0.05MPaに加圧した後、液体抜き出しバルブを閉めた。窒素ボンベとの連結をはずした後、液体抜き出しバルブを大気圧にした別の高圧容器(東洋高圧製、磁気誘導式攪拌機、ヒーター、ガス導入/パージバルブおよび液体抜き出しバルブを備えた容積200mlのSUS316製高圧容器)と連結し、リボンヒーターによって連結配管およびバルブを反応液温度と同じ温度に保った。高圧ガラス容器側の液体抜き出しバルブとSUS製高圧容器側のバルブをゆっくり開け、差圧によって反応液の移送を行い、反応液の移送をガラス容器内の液面下降の目視によって確認した。移送した反応液を0.4g採取し、119Sn,1H,13C−NMR分析を行った結果、生成物には99%の1,1,3,3−テトラオクチル−1,3−ビス−(2−メチルプロピルオキシ)−ジスタンオキサンが含まれていた。
【0063】
[実施例6]
1,1,3,3−テトラオクチル−1,3−ビス−(2−メチルプロピルオキシ)ジスタンオキサンの製造と反応液の移送
磁気誘導式攪拌機、ヒーター、ガス導入/パージバルブおよび液体抜き出しバルブを備えた容積200mlの高圧ガラス容器(耐圧硝子工業社製)に出発物質ジオクチルスズオキシド(東京化成工業社製、98%)21.7g(0.060mol)および反応物質2−メチル−1−プロパノール(アルドリッチ社製、脱水99.5%)88.9g(1.2mol)を入れ、容器を密閉した。撹拌機を回転数400rpmで運転し、混合物を110℃に加熱した。所定温度到達後、ガスパージバルブをゆっくり開け内圧を大気圧にし、さらに窒素ボンベと連結する液体抜き出しバルブをゆっくり開け窒素50ml/minを混合液中に流した。ガスパージバルブの出口から発生する水を含む2−メチル−1−プロパノールが回収され、約2時間後に留出物が出なくなった。回収された留出物には水が0.55g含まれていた。その後、反応液を135℃に保温し、液体抜き出しバルブを開けたままガスパージバルブを閉め、容器を窒素によって0.05MPaに加圧した後、液体抜き出しバルブを閉めた。窒素ボンベとの連結をはずした後、液体抜き出しバルブを大気圧にした別の高圧容器(東洋高圧製、磁気誘導式攪拌機、ヒーター、ガス導入/パージバルブおよび液体抜き出しバルブを備えた容積200mlのSUS316製高圧容器)と連結し、リボンヒーターによって連結配管およびバルブを135℃に保った。135℃に保ったままの反応液は透明な液体であった。高圧ガラス容器側の液体抜き出しバルブとSUS製高圧容器側のバルブをゆっくり開け、差圧によって反応液の移送を行い、反応液の移送をガラス容器内の液面下降の目視によって確認した。移送した反応液を0.4g採取し、119Sn,1H,13C−NMR分析を行った結果、生成物は99%の1,1,3,3−テトラオクチル−1,3ビス(2−メチルプロピルオキシ)−ジスタンオキサンを含んでいた。
【産業上の利用可能性】
【0064】
本発明のジアルキルスズアルコキシド製造方法は炭酸エステルの製造、エステル交換反応、ポリマー硬化剤等の分野において好適に利用できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(1)で表されるジアルキルスズオキシドおよび/または下記式(2)で表されるテトラアルキルジアルコキシジスタンオキサンからなる出発物質と下記式(3)で表されるアルコールからなる反応物質とを脱水反応させ、発生する水を含む低沸成分を反応液から除去してアルキルスズアルコキシドを得るアルキルスズアルコキシドの製造方法において、該反応液の反応器からの移送を反応液の温度を20〜140℃の範囲に保持して行うことを特徴とするアルキルスズアルコキシドの製造方法。
【化1】

(式中:
1は、直鎖状または分岐状の炭素数1〜12のアルキル基、炭素数5〜12のシクロアルキル基、直鎖状または分岐状の炭素数2〜12のアルケニル基、無置換又は置換された炭素数6〜19のアリール及び直鎖状または分岐状の炭素数1〜14のアルキルと炭素数5〜14のシクロアルキルよりなる群から選ばれるアルキルからなる炭素数7〜20のアラルキル基、又は無置換又は置換された炭素数6〜20のアリール基を表す。)
【化2】

(式中:
1は、直鎖状または分岐状の炭素数1〜12のアルキル基、炭素数5〜12のシクロアルキル基、直鎖状または分岐状の炭素数2〜12のアルケニル基、無置換又は置換された炭素数6〜19のアリール及び直鎖状または分岐状の炭素数1〜14のアルキルと炭素数5〜14のシクロアルキルよりなる群から選ばれるアルキルからなる炭素数7〜20のアラルキル基、又は無置換又は置換された炭素数6〜20のアリール基を表し;
2は、n−ブチル、2−メチルプロピル、炭素数5及び6のシクロアルキル基、直鎖状または分岐状のアルキル基またはアルケニル基を表す。)
【化3】

(式中:
3は、n−ブチル、2−メチルプロピル、炭素数5及び6のシクロアルキル基、直鎖状または分岐状のアルキル基またはアルケニル基を表す。)
【請求項2】
該アルキルスズアルコキシドが下記式(4)で表されるアルキルスズアルコキシド及び/または下記式(5)で表されるアルキルスズアルコキシドであることを特徴とする請求項1記載のアルキルスズアルコキシドの製造方法。
【化4】

(式中:
1は、直鎖状または分岐状の炭素数1〜12のアルキル基、炭素数5〜12のシクロアルキル基、直鎖状または分岐状の炭素数2〜12のアルケニル基、無置換又は置換された炭素数6〜19のアリール及び直鎖状または分岐状の炭素数1〜14のアルキルと炭素数5〜14のシクロアルキルよりなる群から選ばれるアルキルからなる炭素数7〜20のアラルキル基、又は無置換又は置換された炭素数6〜20のアリール基を表し;
4,R5は、n−ブチル、2−メチルプロピル、炭素数5及び6のシクロアルキル基、直鎖状または分岐状のアルキル基またはアルケニル基を表し、R4,R5はそれぞれ出発物質および/または反応物質のR2またはR3に対応する。ただし、R4,R5の少なくとも一つはR3に対応する。)

【化5】

(式中:
1は、直鎖状または分岐状の炭素数1〜12のアルキル基、炭素数5〜12のシクロアルキル基、直鎖状または分岐状の炭素数2〜12のアルケニル基、無置換又は置換された炭素数6〜19のアリール及び直鎖状または分岐状の炭素数1〜14のアルキルと炭素数5〜14のシクロアルキルよりなる群から選ばれるアルキルからなる炭素数7〜20のアラルキル基、又は無置換又は置換された炭素数6〜20のアリール基を表し;
6,R7は、n−ブチル、2−メチルプロピル、炭素数5及び6のシクロアルキル基、直鎖状または分岐状のアルキル基またはアルケニル基を表し、R6,R7はそれぞれ出発物質および/または反応物質のR2またはR3に対応する。ただし、R6,R7の少なくとも一つはR3に対応する。)
【請求項3】
該脱水反応に用いるアルコールが、n−ブタノール及び/または2−メチル−1プロパノールであることを特徴とする請求項1記載の製造方法。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載の製造方法によって製造されたアルキルスズアルコキシドを触媒として用いることを特徴とするエステルの製造方法。
【請求項5】
請求項1〜3のいずれかに記載の製造方法によって製造されたアルキルスズアルコキシドを触媒として用いることを特徴とする炭酸エステルの製造方法。

【公開番号】特開2007−99738(P2007−99738A)
【公開日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−295468(P2005−295468)
【出願日】平成17年10月7日(2005.10.7)
【出願人】(303046314)旭化成ケミカルズ株式会社 (2,513)
【Fターム(参考)】