説明

アルケンをオリゴマー化する方法

本発明は、アルケンを含む供給物が供給され、そして2つの連続する反応領域でオロゴマー化が成される、アルケンをオリゴマー化する方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、アルケンを含んだ供給物(feed)が供給され、そして2つの連続する反応領域でオリゴマー化の処理が行なわれる、アルケンをオリゴマー化する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
短鎖アルケン、例えば炭素原子を2〜6個有するアルケンを含む炭化水素混合物は、工業的な規規模で有用である。従って、例えば、オレフィン含有量が多く、そして主として4個の炭素を有するアルケンを含むCフラクション(C部分)と称される炭化水素混合物が、石油の処理で蒸気分解又は触媒分解(FCC)によって得られる。このようなCフラクション、すなわち異性体のブテンとブタンの混合物は、(任意に、イソブテンの事前の除去と、含まれているブタジエンの水素化の後、)オリゴマー、特にオクタンとドデッセンを製造するのに非常に適している。オクテンとドデッセンは、ヒドロホルミル化及び次の水素化によって、対応するアルコールに変換され、このアルコールは例えば、可塑剤又は界面活性剤アルコールの製造に使用される。
【0003】
可塑剤アルコールとして使用するために、枝分かれの程度が可塑剤の特性に重要になる。枝分かれの程度は、各フラクション中のメチルの枝の平均数を示す、イソインデックスによって表される。従って例えば、CフラクションのISOインデックスに対して、n−オクテンは0の貢献、メチルヘプタンは1の貢献、及びジメチルヘキセンは2の貢献をなす。ISOインデックスが低い程、各フラクション中の分子は直鎖状になる。直鎖性が高い程、即ちイソインデックスが低い程、ヒドロホルミル化の収率が高くなり、そしてこれにより製造される可塑剤の特性が良好になる。フタレート可塑剤の場合、例えば、低いイソインデックスは、低い揮発度をもたらし、そしてこれらの可塑剤を含む可塑化したPVCグレードの場合、冷間割れ(cold crack)が改良される。
【0004】
ニッケル又は他の触媒的に活性な金属、例えばルテニウム、パラジウム、銅、コバルト、鉄、クロム又はチタン(活性成分として)を含む均一系触媒及び不均一系触媒は、両方とも、低級オレフィンから、枝分かれの程度が低いオリゴマーを製造するのに使用可能であることが公知である。しかしながら、ニッケルを含んだ触媒だけが工業的な意義(重要性)を達成した。均一系触媒は、更なる工程で、反応器からの排出物から触媒を分離する必要があり、この点で、不均一系触媒と比較した場合に不利な点を有している。更に、操作が均一系モードの場合、生成物メートリックトン当たりの触媒コストは、通常、操作が不均一系モードの場合と比較してかなり高くなる。しかしながら、不均一系触媒が工業的に使用された場合、例えば、触媒の再生及び/又は触媒の交換に起因して製造を中止する頻度を可能な限り少なくするために、触媒の使用寿命(耐用期間)を非常に長くすることが重要になる。
【0005】
非特許文献1(Catalysis today 1990,6,pages 329 to 349,C.T.O’Connor and M.Kojima)には、アルケンのオリゴマー化のための均一系触媒及び不均一系触媒システムの概要が記載されており、そして特に、ニッケル−及び硫黄−含有不均一系触媒が記載されている。
【0006】
特許文献1(US5,113,034)には、アニオンとしてサルフェート又はタングステン酸塩を有する触媒を使用して、C−又はC−オレフィンを二量化するための方法が記載されている。使用する担体材料の活性が高いので、これらの触媒を使用すると、(他の公知の触媒、例えばゼオライトに基づいた触媒を使用した場合と同様に)強く枝分かれしたオリゴマーが得られる。
【0007】
アルケンをオリゴマー化するために、ニッケル−又は硫黄−含有触媒を使用することは公知である。硫黄とニッケルを含んだ不均一系触媒が、例えば、特許文献2(FR−A−2641477)、特許文献3(EP−A−272970)、特許文献4(WO95/14647)、特許文献5(WO01/37989)、特許文献6(US2,794,842)、特許文献7(US3,959,400)、特許文献8(US4,511,750)及び特許文献9(US5,883,036)に記載されている。
【0008】
実質的に枝分かれしていないか、又は僅かにしか枝分かれしていないオリゴマーの高い選択性を達成するための方法が、触媒の非常に長い操作時間(作用時間)と結びついて公知になっている。
【0009】
特許文献10(WO99/25668)には、実質的に枝分かれしていないオクテン及びドデッセンを、1−ブテン及び/又は2−ブテン及びブタンを含む炭化水素流を(ニッケルを含む不均一系触媒を使用して)オリゴマー化することによって製造する方法が記載されている。この方法では、反応混合物から分離された、ブタンと枝分かれしていないブテンが、(反応混合物中のオリゴマーの最大含有量が反応器又は複数の反応器中の如何なる個所であっても、25%を超えない量で)オリゴマー化反応に再循環される。
【0010】
特許文献11(WO00/53546)には、C−オレフィンをニッケルを含む固定床触媒上でオリゴマー化する方法が記載されており、該方法では、オリゴマー化したC−オレフィンへの変換が、(反応混合物に対して)30質量%を超えないように、反応が行われている。
【0011】
特許文献12(WO01/72670)には、オリゴマー化する方法が提案されており、この方法では、反応器からの排出物が2つの副流に分けられ、そしてこれら2つの副流の内、1つの副流だけが後処理されて、オリゴマー化生成物が得られ、そして他方はオリゴマー化反応に直接的に再循環されている。
【0012】
特許文献13(EP1457475A2)には断熱的に運転される、少なくとも2個の連続的な反応器内で、ニッケル−含有、不均一系触媒を使用して、4〜8個の炭素原子を有するアルケンのオリゴマーを製造する方法が記載されている。
【0013】
特許文献14(WO2006/111415)には、2〜6個の炭素原子を有するオレフィンをオリゴマー化する方法が記載されており、この方法では、オレフィンを含んだ供給物が、ニッケルを含んだ不均一系触媒の存在下に反応して部分的に変換されており、排出物は、第1の副流と第2の副流に分離され、そして第1の副流は、後処理されて、実質的にオリゴマー化生成物から成るフラクション(部分)が得られ、そして第2の副流は、オリゴマー化に再循環されている。
【0014】
非常に高いアルケン変換で、そして得られるオリゴマーの枝分かれの程度が相当に大きくなることなく、アルケンを含む供給物をオリゴマー化することが可能なオリゴマー化方法が、絶えず必要とされている。オリフィン変換を非常に高くするために、(反応座標の方向にアルケン流の減少の程度が増すので、)オリゴマー化反応のために、投入する合計触媒体積を増すか、又は反応温度を高くするか、及び/又は出口部分で、触媒床の部分により高活性の触媒を使用する必要がある。ここで、触媒体積の増加は、これに関連するコストのために、工程とって経済的に不利である。温度を上昇させ及び/又はより活性の高い触媒を使用すると、通常、これによって枝分かれの程度が増すので、オリゴマー混合物の(生成物の)品質が受け入れ難くなる。
【0015】
特許文献15(WO2004/005224)には、2個以上の連続する触媒領域で、アルケン流をオリゴマー化する方法が記載されており、該方法では、硫黄のニッケルに対する割合が0.5未満の触媒が、第1の触媒領域で使用され、硫黄のニッケルに対する割合が0.5以上の触媒が、最後の触媒領域で使用されている。この方法も、炭化水素供給混合物中に含まれるアルケンの(完全に)十分な変換はなされていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】US5,113,034
【特許文献2】FR−A−2641477
【特許文献3】EP−A−272970
【特許文献4】WO95/14647
【特許文献5】WO01/37989
【特許文献6】US2,794,842
【特許文献7】US3,959,400
【特許文献8】US4,511,750
【特許文献9】US5,883,036
【特許文献10】WO99/25668
【特許文献11】WO00/53546
【特許文献12】WO01/72670
【特許文献13】EP1457475A2
【特許文献14】WO2006/111415
【特許文献15】WO2004/005224
【非特許文献】
【0017】
【非特許文献1】Catalysis today 1990,6,pages 329 to 349,C.T.O’Connor and M.Kojima
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
そのニッケル含有量について異なる、少なくとも2種の触媒を使用してオリゴマー化を行った場合、アルケンのオリゴマー化における変換が更に増加し、及び枝分かれの程度についての生成物の十分な品質が得られることがわかったことは、驚くべきことであった。
【課題を解決するための手段】
【0019】
従って本発明は、アルケンをオリゴマー化する方法であって、アルケンを含む供給物が供給され、そして2つの連続する反応領域でオリゴマー化の処理が行われ、第1の反応領域での反応が、ニッケルを含んだ不均一系触媒の存在下に行なわれ、そして第2の反応領域での反応が、ニッケルを含まない不均一系触媒の存在下に行なわれることを特徴とする方法を提供する。
【0020】
本発明の目的のために、「オリゴマー」という用語は、使用したアルケンのビルドアップ反応から得られる二量体、三量体、及びそれ以上の生成物を含む。オリゴマーは、実質的に二量体及び/又は三量体であることが好ましい。オリゴマー自体は、オレフィン性不飽和である。第1と第2の反応領域で使用されるオリゴマー化触媒を適切に選択することにより、枝分かれの程度の低いオリゴマーを極めて高い収率で得ることが可能になる。
【0021】
本発明の目的のために、オリゴマー化が2個の「連続する」反応領域で行われるという記載は、流れの方向に見て、アルケン−含有供給物が、最初に第1の反応領域でニッケルを含む不均一系触媒と接触し、そして次に第2の反応領域でニッケルを含まない不均一系触媒と接触することを意味する。触媒的に活性な及び/又は不活性な物質を含む更なる領域を、第1の反応領域の上流、第1と第2の反応領域の間、及び第2の反応領域下流に配置することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の方法が、30バールで連続的に行なわれる装置のフローダイアグラムを示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
第1の反応領域中の、ニッケルを含む不均一系触媒と、第2の反応領域中の、ニッケルを含まない不均一系触媒の体積の合計は、合計触媒体積に対して、好ましくは50%〜100%、特に好ましくは75%〜100%、特に95%〜100%である。特定の実施の形態では、第1の反応領域中のニッケルを含む不均一系触媒と第2の反応領域中のニッケルを含まない不均一系触媒の合計は100%である。
【0024】
第1の反応領域中の触媒の、第2の反応領域中の触媒に対する割合は、好ましくは1:1〜20:1の範囲、特に好ましくは5:1〜10:1の範囲である。
【0025】
アルケンのオリゴマー化のために、本発明の方法を行うために、1個の反応器、又は複数(例えば2、3、4、5個等)の同一又は異なる反応器を使用することが可能である。最も単純な場合では、単一の反応器が使用される。複数の反応器が使用される場合、これらは、同一の又は異なる混合特性を有することができる。所望により、個々の反応器は、内部構造によって2個以上の区分に分けることができる。2個以上の反応器は、如何なる方法によっても相互に連結することが可能であり、例えば、平行に、又は直列に連結することができる。好ましい実施の形態では、直列に連結した2個、3個又は4個の反応器が使用される。
【0026】
本発明の目的のために、アルケンを含む供給物又は(例えば、供給物が2箇所以上の異なる個所で導入される場合)その一部と接触する触媒の全体は、固定床触媒とも称される。反応器のカスケード(cascade)が使用される場合、通常、固定触媒床がカスケードの全ての反応器に分配される。
【0027】
反応領域は、供給物の流れ方向の固定触媒床の区分である。本発明に従えば、固定触媒床は、少なくとも1種の、ニッケルを含む不均一系触媒を含む、第1の反応領域と、その下流側の、少なくとも1種の、ニッケルを含まない不均一系触媒を含む第2の反応領域を有している。全体の触媒床は、これら2つの反応領域で成ることも可能であり、又更なる反応領域を有することも可能である。これらは、例えば、上流、中流、又は下流の反応領域を含み、各領域は、隣合う第1及び/又は第2の反応領域の触媒とは異なる触媒を有している。
【0028】
ニッケルを含む触媒は、第1の反応領域で使用される。第1の反応領域は、2種以上の、ニッケルを含む触媒を含むこともでき、これらの触媒は、副領域を規定してその中に、混合物として又は勾配を付けて存在可能である。ニッケルを含まない触媒は、第2の反応領域で使用される。第2の反応領域も、2種以上の、ニッケルを含まない触媒を含むことが可能であり、これらの触媒は、副領域を規定してその中に、混合物として又は勾配を付けて存在可能である。
【0029】
反応領域は、反応器の一部内、単一の反応器内、2個以上の反応器内に配置することも可能である。好ましい実施の形態では、第1と第2の反応領域の触媒は、それぞれ、単一の反応器内、又は反応器のカスケード(cascade)内に配置される。
【0030】
アルカンを含む供給物(供給物質)は、単一の個所で、固定触媒床に供給することができる。供給物は分けることができ、そして得られた副流(substream)を、異なる個所で、固定触媒床に供給することができる。反応器カスケードが使用される場合、副流は例えば、個々の反応器の間に配置された個所で供給することができる。アルケンを含む供給物の副流を、触媒領域の開始個所よりも前に供給することも可能であり、又(特に、触媒領域が、カスケードのある反応器から次の反応器に延びている場合、)2個の反応器の、触媒領域の(結果として生じる)分割個所に供給することも可能である。
【0031】
本発明の方法は、連続的に行うことが好ましい。ここで、例えば、アルケンを含む供給物は、(第1の)反応器に供給される。この供給物は、新鮮な(新しい)アルケンのみならず、所望により、オリゴマー化反応からの排出からの再循環流、又は反応からの排出の後処理からの再循環流も含むことができる。以下に詳細に説明するように、排出流が第1の反応領域から取り出され、そして後処理されて、オリゴマー化生成物を多く含むフラクション及びオリゴマー化生成物が少ないフラクションが得られる場合、オリゴマー化生成物が少ないフラクションは、少なくとも部分的に、第1の反応領域に再循環することができる。再循環流は、基本的に未反応アルケンと飽和炭化水素で成っている。更に再循環流は任意に、形成されたオリゴマーもある割合で含む。第1の反応領域と第2の反応領域のアルケン変換、又は第1の反応領域と第2の反応領域からの排出中のオリゴマーの含有量は、(更なる操作パラメータ、例えば使用する触媒、反応器内の圧力及び温度及び滞留時間とは別に、)再循環流内へ供給される新鮮なアルケン供給の割合を介して制御することができる。
【0032】
オリゴマー化のための適切な耐圧性の反応装置は、この技術分野の当業者にとって公知である。これらは通常、ガス−固体、及びガス−液体反応用の通常の反応器、例えば管型反応器、攪拌容器、ガス再循環反応器、バブルカラム等を含み、これらは任意に内部構造物(internal)によって分けられても良い。管型反応器又はシェル−アンド−チューブ反応器を使用することが好ましい。
【0033】
オリゴマー化反応における温度は、通常、約10℃〜280℃であり、好ましくは20℃〜200℃、特に30℃〜190℃、及び特に40℃〜130℃である。複数の反応器が使用された場合、これらは、同一の温度、又は異なる温度であって良い。同様に、反応器は、異なる温度で運転される、複数の反応領域を有することも可能である。従って、(例えば、変換を可能な限り完了させるために、)例えば、個々の反応器の第2の反応領域を、第1の反応領域の温度よりも高い温度に設定することが可能であり、又は反応器カスケードの第2の反応器を、第1の反応器の温度よりも高い温度に設定することも可能である。
【0034】
本発明に従い使用される触媒のために、第1の反応領域と比較して、第2の反応領域の温度を大きく上昇させる必要がなくなる。2つの反応領域が、それぞれ1つ温度で運転される場合、第2の反応領域内の温度は、第1の反応領域の温度よりも、好ましくは30℃より高くなく、特に好ましくは20℃より高くなく、特に10℃よりも高くない。(1つの)反応領域が異なる温度で運転されるか、又は2つの反応領域がそれぞれ異なる温度で運転される場合、領域の体積について平均化した温度を、この/これらの反応領域のために決定できる。平均温度は、対応する反応領域内の十分な数の測定個所(例えば、3、4箇所、等)で温度を測定し、そして次に平均化することによって決定(測定)される。従って、第2の反応領域における(平均)温度は、第1の反応領域における(平均)温度よりも、好ましくは30℃より高くなく、特に好ましくは20℃より高くなく、特に10℃よりも高くない。本発明に従い使用される触媒のために、第2の反応領域を、第1の反応領域に対して、おおよそ同じ(平均)温度、又は低い(平均)温度で運転することがしばしば可能である。
【0035】
オリゴマー化の圧力は、通常、約1〜300バール、好ましくは5〜100バール、及び特に10〜50バールである。複数の反応器が使用される場合、反応圧力は、個々の反応器内で異なることも可能である。
【0036】
特定の実施の形態では、オリゴマー化に使用される温度と圧力は、オレフィンを含む出発材料が液体状態、又は超臨界状態で存在するように選択される。
【0037】
第1及び第2の反応領域は、断熱的に行なわれことが好ましい。本発明の目的のために、この用語は、物理化学的な意味ではなく、工業的意味で使用される。オリゴマー化反応は、通常、発熱的に進行し、従って反応混合物は固定床触媒床を流れる時に温度が上昇する。本発明の目的のために、断熱反応条件は、発熱反応で発生した熱が反応器内の反応混合物に取り込まれ、そして冷却装置を使用した冷却が行なわれないことを意味する。従って、反応の熱が、反応混合物と一緒に反応器から排出される(残りの量は別に、自然の熱伝導及び熱の放射によって反応器から周辺環境へと出される)。対象的に、等温の反応条件又は等温運転では、発熱反応で発生した熱は、冷却又はサーモスタット装置を使用して除去され、反応器内の温度は、実質的に一定(即ち、等温)に維持される。これらの反応条件を工業的に再現(設定)する場合、理論的に理想的なケースは、完全には再現することができない。従って、反応熱の小さな(理想的な場合には無視できる程の小さな)部分が、反応混合物と一緒に排出されることを回避することができない。
【0038】
特定の実施の形態では、第1の反応領域を通過する間、及び/又は第1の反応領域から排出された後であって、第2の反応領域に入る前、及び/又は第2の反応領域を通過する間、反応の熱の一部が反応混合物から取り出される。通常の熱交換器をこの目的のために使用することができる。
【0039】
第1の実施の形態では、第1の反応領域で製造された反応生成物は、オリゴマーが分離されることなく、第2の反応領域に供給することができる。この実施の形態では、オリゴマー化生成物は、第1の反応領域を通過する間も、第1の反応領域からの排出物からも、分離されない。
【0040】
第2の好ましい実施の形態では、排出流は、第1の反応領域から取り出され、後処理(work-up)されて、オリゴマー化生成物を多く含んだフラクションとオリゴマー化生成物が少ないフラクションが得られ、そしてオリゴマー化生成物が少ないフラクションは、少なくとも部分的に第1の反応領域及び/又は第2の反応領域に再循環される。
【0041】
排出流は、合計反応混合物又はその副流(substream)であることも可能である。排出流は、第1の反応領域を通過する間に、又は第1の反応領域からの排出物から取り出すことができる。特定の実施の形態では、排出流は、第1の反応領域からの排出物から取り出される。
【0042】
第2の実施の形態では、好ましくは、第1の反応領域を通過する間、又は第1の反応領域から出た後に、合計反応混合物が後処理され、オリゴマー化生成物を多く含むフラクションとオリゴマー化生成物が少ないフラクションが得られる。
【0043】
特に、第1の反応領域からの全ての排出物が、後処理され、オリゴマー化生成物を多く含むフラクションとオリゴマー化生成物が少ないフラクションが得られる。
【0044】
この目的のために、第1の反応領域を例えば、直列に(連続して)連結された2個の反応器によって形成することが可能であり、第1の反応器又は第2の反応器からの排出物を後処理して、オリゴマー化生成物を多く含むフラクションとオリゴマー化生成物が少ないフラクションを得ることが可能である。オリゴマー化生成物が少ないフラクションは、その全てを(下流方向に)次の反応器に供給することができる。排出流が取り出される個所の上流側に位置する反応器に、部分的に供給し、及び下流方向の次の反応器に部分的に供給することも可能である。
【0045】
第1の反応領域は、例えば、直列状に連結された3個の反応器で形成することも可能であり、第1の反応器又は第2の反応器又は第3の反応器からの排出物を後処理して、オリゴマー化生成物を多く含むフラクションとオリゴマー化生成物が少ないフラクションを得ることが可能である。オリゴマー化生成物が少ないフラクションを再度、その全てを下流方向の次の反応器に供給することも可能である。排出流が取り出される個所の上流側に位置する反応器に部分的に供給し、そして下流方向の次の反応器に部分的に供給することも可能である。
【0046】
オリゴマー化生成物を多く含むフラクションとオリゴマー化生成物が少ないフラクションを得るための、排出物のフラクション化は、この技術分野の当業者にとって公知の通常の方法によって行うことができる。分別蒸留(分留)が好ましい。
【0047】
オリゴマー化生成物を多く含むフラクションは、これがオリゴマー化に再循環されない場合、第2の反応領域からのオリゴマー化生成物と一緒に、又はこれとは別に、更に処理することができる。
【0048】
特定の実施の形態では、オリゴマー化生成物が少ないフラクションは、その全てが第2の反応領域に供給される。
【0049】
オリゴマー化反応が行われる方法に関し、WO99/25668、WO01/72670、EP1457475A2及びWO2006/111415A1の全てが、この言及により、ここに導入される。
【0050】
第1の反応領域のための、ニッケルを含む適切な不均一系触媒は、この技術分野の当業者にとって公知であり、及び上述したものである。オリゴマーの枝分かれの程度を少なくするために使用される公知の触媒を使用することが好ましい。これらの触媒は、Catalysis Today,6,329(1990)、特に頁336〜338及びDE−A−4339712(WO−A95/14647)及びDE−A−19957173(=WO01/37989)に記載された触媒を含み、及びこれらの文献は、この言及により、明確に導入される。
【0051】
使用される、ニッケルを含む不均一系の触媒は、異なる構造を有することが可能である。全部が活性の触媒と担持触媒の両方が、原則として適切である。後者を使用することが好ましい。担体材料は、例えば、シリカ、アルミナ、アルミノシリケート、シート状の構造を有するアルミノシリケート、及びゼオライト、例えば、モルデン沸石、フォージャサイト、ゼオライトX、ゼオライトY及びZSM−5、酸で処理された酸化ジルコニウム、復は硫化二酸化チタンが可能である。ニッケル塩とシリケート(ケイ酸塩)、例えば、ケイ酸ナトリウムの水溶液と硝酸ニッケル及び任意にアルミニウム塩、例えば、硝酸アルミニウムを混合させ、及び沈澱物をか焼(焼成)することにより得られる沈澱触媒が、特に有用である。天然又は合成のシート状シリケート、例えばモンモリロナイトに、イオン交換によってNi2+イオンを導入することによって得られる触媒を使用することも可能である。適切な触媒は、シリカ、アルミナ又はアルミノシリケートを、溶解性ニッケル塩、例えば、硝酸ニッケル、硫酸ニッケル、又は塩化ニッケルの水溶液で含浸させることによって得ることもできる。
【0052】
第1の反応領域で使用するために、硫黄のニッケルに対するモル割合が0〜0.5:1の触媒を得ることが好ましい。従って、第1の反応領域に使用するために、WO2004/005224に記載されているような硫黄を含まない触媒及び硫黄を含む触媒が適切である。第1の反応領域での反応は、硫黄のニッケルに対する割合が0.4:1以下の、ニッケルを含む不均一系触媒の存在下に行なわれることが好ましい。
【0053】
酸化ニッケルを含む触媒を、第1の反応領域で使用することが好ましい。主としてNiO、SiO、TiO、及び/又はZrO及び任意にAlからなる触媒が特に好ましい。このような触媒は、本発明の方法がブテンをオリゴマー化するために使用される場合に、特に好ましい。これらは、高級のオリゴマーの形成において二量化をもたらし、および主に直鎖状の生成物を生成する。有効な活性成分として、10〜70質量%の酸化ニッケル、5〜30質量%の二酸化チタン、及び/又は酸化ジルコニウム、0〜20質量%の酸化アルミニウム、及びバランスとして二酸化ケイ素を含む触媒が最も好ましい。このような触媒は、硝酸ニッケルを含む水溶液を、(二酸化チタン及び/又は二酸化ジルコニウムを含む)アルカリ金属水ガラス溶液に加え、触媒組成物をpH5〜9で沈澱させ、濾過、乾燥し、及び350℃〜650℃で加熱することより得ることができる。これらの触媒を製造するために、DE−4339713(WO95/14647)が、特に参照される。この言及により、この文献の開示内容、及び該文献に引用された引用文献の全てがここに導入される。
【0054】
ニッケル及び硫黄を含み、硫黄のニッケルに対するモル割合が0.25:1〜0.38:1の触媒を、第1の反応領域に使用することも好ましい。このような触媒は、DE−A−19957173(=WO01/37989)に記載されている。これらの触媒は、酸化アルミニウムをニッケル化合物及び硫黄化合物と同時に処理するか、又は最初にニッケル化合物、次に硫黄化合物で処理し、これにより得られた触媒を次に乾燥させ、そしてか焼することによって得ることができる。
【0055】
本発明に従えば、第2の反応領域のために、ニッケルを含まない不均一系触媒が使用される。本発明の目的のために、ニッケルを含まない触媒は、不可避な汚染は別にして、如何なるニッケルも含まない触媒である。このような触媒は、触媒の合計質量に対して、ニッケルの含有量が、通常0.01質量%以下、特に好ましくは0.001質量%以下である。
【0056】
第2の反応領域で、担体として酸化アルミニウムを含む触媒を使用することが好ましい。担体材料は、ガンマ−、エータ−、及びシータ−酸化アルミニウム及びこれらの混合物から選ばれることが好ましい。担体材料として酸化ガンマ−アルミニウムを使用することが好ましい。
【0057】
第2の反応領域で使用される触媒は、触媒の合計質量に対して、1〜15質量%の硫黄を酸化状態で含むことが好ましい。
【0058】
このような触媒を製造するために、担体材料を例えば、HSOと接触させ、乾燥させ、そして次にか焼することができる。
【0059】
第1及び第2の反応領域で使用される触媒は、粒子状態で存在することが好ましい。触媒粒子は、(最大の)直径の平均値が、通常、1〜40mm、好ましくは2〜30mm、特に3〜20mmである。触媒は、例えば、ペレットの状態、例えば直径が2〜6mmで、高さが3〜5mmのペレット状の触媒、リング、例えば、外径が5〜7mm、高さが2〜5mmで孔径が2〜3mmのリング状の触媒、及び種々の長さと直径(例えば1.5〜5mm)を有する押出成形物の状態の触媒を含む。このような形状は、タブレット化、又はラム押出成形機又はスクリュー押出成形機での押出成形により、公知の方法で得られる。この目的のために、公知の助剤、例えば、滑剤、例えば、グラファイト、又は脂肪酸(例えば、ステアリン酸)及び/又は成形助剤及び補強材、例えば、ガラス、アスベスト、シリコンカーバイド又はチタン酸カリウムを、触媒又はその前駆体に加えることができる。
【0060】
本発明の目的のための、適切なアルケン出発材料は、原則として、2〜6個の炭素原子及び少なくとも1つのエチレン性不飽和二重結合を含む、全ての化合物である。4〜6個の炭素原子を有するアルケンを含むアルケン出発材料が好ましい。オリゴマー化に使用されるアルケンは、直鎖状(straight-chain)アルケン及び少なくとも1種の直鎖状アルケンを含むアルケン混合物から選ばれることが好ましい。これらは、エテン、プロペン、1−ブテン、2−ブテン、1−ペンテン、2−ペンテン、1−ヘキセン、2−ヘキセン、3−ヘキセン及びこれらの混合物を含む。直鎖状α−オレフィン及び、少なくとも1種の直鎖状α−オレフィンを含むオレフィン混合物が好ましい。1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、これらの混合物、及びこのうようなアルケンを少なくとも1種含む炭化水素混合物が特に好ましい。
【0061】
工業的に入手可能な、オレフィンを含む炭化水素混合物を使用することが、オリゴマー化のために好ましい。
【0062】
工業的に入手可能な好ましいオレフィン混合物は、石油処理での分解(cracking)、例えば、触媒分解、例えば、液体触媒分解(FCC)、熱分解又は(後の脱水素化を伴う)水素化分解から得られる。ある適切な工業的オレフィン混合物は、Cフラクションである。Cフラクションは、例えば、ガスオイルの液体触媒分解又は蒸気分解、又はナフサの蒸気分解によって得ることができる。Cフラクションの組成に依存して、合計Cフラクション(粗製Cフラクション)、1,3−ブタジエンの除去の後に得られるラフィネートI、及びイソブテンが分離された後に得られるラフィネートIIの間で区別がなされる。更なる適切な工業的オレフィン混合物は、ナフサ分解で得ることができるCフラクションである。4〜6個の炭素原子を有し、及び工程a)で使用するのに適切な、オレフィンを含む炭化水素混合物は、工業的に得られる適切なパラフィン混合物の触媒による脱水素化によっても得ることができる。従って、例えば、C−オレフィン混合物が、液化石油ガス(LPG)及び液化天然ガス(LNG)から製造することができる。後者は、LPGフラクションのみならず、比較的高分子量の炭化水素(軽質ナフサ)も比較的大量に含み、そして従って、C−及びC−オレフィン混合物を製造するためにも適切である。LPG又はLGN流から、4個〜6個の炭素原子を有するモノオレフィンを含むオレフィン含有炭化水素混合物の製造は、この技術分野の当業者にとって公知の、通常の方法で行うことができ、該方法は、脱水素化のみならず、1つ以上の後処理工程をも含む。これらは、例えば、上述したオレフィン供給混合物に含まれる飽和炭化水素を、少なくとも一部、除去することを含む。これらは、例えば、分解及び/又は脱水素化によってオレフィン出発材料を製造するために再使用することができる。しかしながら、本発明の方法で使用されるオレフィンは、本発明に従うオリゴマー化の条件下では不活性の飽和炭化水素を所定の割合で含むこともできる。これら飽和した成分の割合は、オレフィンと炭化水素出発材料中に含まれる飽和炭化水素の合計量に対して、通常、60質量%以下、好ましくは40質量%以下、特に好ましくは20質量%以下である。
【0063】
本発明の方法に使用するのに適切なラフィネートIIは、例えば、以下の組成:
0.5〜5質量%のイソブテン、
5〜20質量%のn−ブテン、
20〜40質量%のtrans−2−ブテン、
10〜20質量%のcis−2−ブテン、
25〜55質量%の1−ブテン、
0.5〜5質量%のイソブテン、
を有し、及び微量のガス、例えば、1,3−ブタジエン、プロペン、プロパン、シクロプロパン、プロパジエン、メチルシクロプロパン、ビニルアセチレン、ペンテン、ペンタン、等を各場合において1質量%以下の量で有する。
【0064】
適切なラフィネートIIは、代表的には、以下の組成:
i−,n−ブテン 26質量%
i−ブテン 1質量%
1−ブテン 1質量%
trans−2−ブテン 26質量%
cis−2−ブテン 16質量%
を有する。
【0065】
ジオレフィン又はアルキン(alkyne)がオレフィンを多く含む炭化水素混合物中に存在する場合、オリゴマー化の前に、これらのものを、(好ましくは10質量ppm未満の濃度まで)これらから分離することができる。これらは、例えばEP−81041及びDE−1568542に記載された選択的な水素化によって除去されることが好ましく、選択的な水素化によって、残留濃度が5質量ppm未満、特に1質量ppmm未満にまで除去されることが特に好ましい。
【0066】
更に、酸素を含む化合物、例えば、アルコール、アルデヒド、ケトン、又はエーテルを、オレフィンを多く含む炭化水素混合物から実質的に除去することが有利である。この目的のために、オレフィンを多く含む炭化水素混合物を、吸着剤、例えば、分子篩、特に孔径が>4Å〜5Åの分子篩に通すことが有利であって良い。酸素含有、硫黄含有、窒素含有、及びハロゲン含有化合物の、オレフィンを多く含む炭化水素混合物中の濃度は、1質量ppm以下であることが好ましく、0.5質量ppm以下であることが特に好ましい。
【0067】
本発明の方法は、アルケンを含む供給物に含まれるアルケンの75〜99%、好ましくは85〜99%、特に90〜98%が、第1の反応領域で反応するように行われることが好ましい。
【0068】
本発明の方法は、第1の反応領域からの排出物中に含まれるアルケンの、30〜99%、好ましくは50〜99%、特に70〜98%が、第2の反応領域で反応するように行われることが好ましい。
【0069】
反応器から出た後、形成されたオリゴマーは、それ自体公知の方法で、未反応の炭化水素から分離され、所望により、工程に再循環される(注、例えば、WO−A95/14647参照)。フラクション化(分別)は、通常、分別蒸留(分留)によって行われる。
【0070】
本発明の方法では、高いアルケン変換が、オリゴマーの枝分かれの程度が少ない状態で得られ、この点で、このタイプの公知の方法とは異なる。この効果は、これまで、触媒床の後方部分の温度を昇温することによって、又はより活性の高い触媒をこの領域に使用することによって、又は触媒の合計体積を増加させることによってのみ達成されていた。この理由は、供給流のアルケン含有量が、反応器の出口の方向に減少するからである。
【0071】
以下に、本発明を、実施例を使用して説明するが、該実施例は、本発明を制限するものではない。
【実施例】
【0072】
1.)触媒の製造:
実施例1a)
ニッケルを含む触媒
50質量%のNiO、37質量%のSiO、及び13質量%のTiOを有する触媒を、DE4339713A1の実施例1に記載された製造方法によって製造した。触媒粉を、3質量%のグラファイトと混合し、そして加圧して3×3mmペレットを形成した。
【0073】
実施例 1b)
ニッケル−及び硫黄−含有の比較用触媒(S:Ni割合=1.1)
γ−酸化アルミニウム担体上の触媒の合計量に対して、ニッケル含有量が7.9質量%及び硫黄含有量が4.32質量%の触媒を、WO2004/005224の実施例1cの方法によって製造した。硫黄のニッケルに対する割合は1である。
実施例 1c)
ニッケルを含まない触媒
BASF Aktiengesellschaftからの“D10−21”タイプのγ−酸化アルミニウム(2.3mm押出成形物、BET表面積:210m/g、水吸収容量:0.77ml/g、イグニションでのロス:0.8質量%)を担体として使用した。含浸ドラム内で、28kgの担体を、5.6kgの96%濃度(strength)の水中硫酸(体積は、担体の水吸収に対応する)で、室温で攪拌させながら吹きつけた。更に30分攪拌した後、このように含浸した担体を120℃で2時間乾燥させ、そして次に空気中で550℃で5時間か焼した。このようにして得られた触媒は、5.5質量%の硫黄を酸化状態で含んでいた。
【0074】
2.)オリゴマー化
図1に、装置のフローダイアグラムを示す。該装置で、本発明の方法が、30バールで連続的に行なわれる。全部の反応器R1〜R3は、断熱的に運転され、及びそれぞれは、4mの長さと0.8mの直径を有していた。アルケンを含む流れ(供給物)は、ライン(F)を介して、第1のオリゴマー化反応器(R1)に供給される。(R1)からの排出物は、中間冷却装置(ZK1)を介して反応器(R2)に供給される。反応器(R2)からの排出物は、カラム(K1)内で分別蒸留(分留)され、そしてオリゴマーの反応生成物がライン(B1)を介して底部生成物として取り出される。カラム(K1)からのオーバーヘッド生成物(H)が、第3のオリゴマー化反応器(R3)に供給される。反応器(R3)からの排出物は、カラム(K2)内で分別蒸留され、そしてオリゴマー化生成物が、底部生成物として、ライン(B2)を介して取り出される。カラムK2からのオーバーヘッド流の一部は、ライン(Z)を介して反応器(R3)に再循環され、そしてオーバーヘッド流の残りの部分は、ラインPを介して装置から排出される(パージ流)。
【0075】
R1及びR2内で、ラフィネートII流(76.4%のブテン、及び23.6%のブタン)が、WO99/25668の実施例5に記載されたように、アルケンを含む供給物として、触媒1a)の存在下に最初にオリゴマー化される。ブテンの90.2%がオリゴマーに変換され、Cの選択性は80.4%であった。CフラクションのISOインデックスは、0.99であった。ブテン含有量が24%の、アルケンが減少したラフィネートIII流が、分別蒸留のオーバヘッド生成物として得られた。従って、1kgのラフィネートIIにつき、550gのオクテン(0.99のISOインデックス)、140gの高級オリゴマー、及び310gのラフィネートIII(74gのブテン及び236gのブタン)が得られた。
【0076】
オリゴマーが分離された後に得られたラフィネートIII流が、次に反応器R3内の更なる反応のために使用された。比較例では、ニッケルを含む触媒1b)が第3の反応領域R3内で使用され、本発明に従う実施例では、ニッケルを含まない触媒1c)が使用された。オリゴマー化反応のための関連するデータ及び得られた結果を以下の表1に示す。
【0077】
【表1】

【0078】
本発明に従い、ニッケルを含む触媒が、第1の反応領域(反応器R1及びR2)に使用され、及びニッケルを含まない触媒が第2の反応領域(反応器R3)に使用され、触媒積載量と反応温度についての他の条件は比較例と同様にした場合、ブテンの有意に高い変換が、同等のC選択性で達成された(70%vs.87%)。従って、比較例では、触媒1a)と1b)の組合せを使用して、ラフィネートIIの1kg当たり、イソインデックスが1.05のオクテンが588g生成された。本発明に従う、触媒1aと触媒1cの組合せの場合、ラフィネートIIの1kgにつき、イソインデックスが1.06のオクテンが597g得られた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルケンを含む供給物が供給され、そして2つの連続する反応領域でオリゴマー化の処理が行われる、アルケンをオリゴマー化する方法であって、
第1の反応領域での反応が、ニッケルを含んだ不均一系触媒の存在下に行なわれ、そして第2の反応領域での反応が、ニッケルを含まない不均一系触媒の存在下に行なわれることを特徴とする方法。
【請求項2】
アルケンを含む供給物のアルケン含有量に対して、アルケンの75〜95%が、第1の反応領域で反応することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
第1の反応領域からの排出物のアルケン含有量に対して、第1の反応領域からの排出物のアルケンの30〜99%が第2の反応領域で反応することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
10〜70質量%の酸化ニッケル、5〜30質量%の二酸化チタン、及び/又は二酸化ジルコニウム、及び0〜20質量%の酸化アルミニウムを有効な活性成分として含み、及び100%に合わせるために、任意に二酸化ケイ素を含む触媒が、第1の反応領域で使用されることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の方法。
【請求項5】
第1の反応領域で使用される触媒は、
酸化アルミニウムをニッケル化合物及び硫黄化合物と処理する工程、
そして次に、これにより得られた触媒を乾燥し、及びか焼する工程、
によって得られ、
前記酸化アルミニウムをニッケル化合物及び硫黄化合物と処理する工程での処理は、同時であっても良く、又は最初にニッケル化合物と、そして次に硫黄化合物と処理して行っても良く、及び
得られた触媒の硫黄のニッケル対するモル割合が、0.25:1〜0.38:1であることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の方法。
【請求項6】
担体としての酸化アルミニウム、及び触媒の合計質量に対して1〜15質量%の、酸化状態の硫黄を含む触媒が、第2の反応領域で使用されることを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載の方法。
【請求項7】
第1の反応領域の触媒の第2の反応領域の触媒に対する体積割合が、1:1〜20:1の範囲、特に好ましくは5:1〜10:1の範囲であることを特徴とする請求項1〜6の何れか1項に記載の方法。
【請求項8】
アルケンを含む供給物が、2〜6個の炭素原子を有する、少なくとも1種のオレフィンを含むことを特徴とする請求項1〜7の何れか1項に記載の方法。
【請求項9】
アルケンを含む供給物として、ブテンとブタンの混合物が使用されることを特徴とする請求項1〜8の何れか1項に記載の方法。
【請求項10】
第1の反応領域で製造された反応生成物が、オリゴマーを分離することなく、第2の反応領域に供給されることを特徴とする請求項1〜9の何れか1項に記載の方法。
【請求項11】
第1の反応領域から排出流が取り出され、後処理が行われ、オリゴマー化生成物を多く含むフラクションとオリゴマー化生成物が少ないフラクションを得、そしてオリゴマー化生成物が少ないフラクションの少なくとも一部が、第1の反応領域及び/又は第2の反応領域に再循環されることを特徴とする請求項1〜9の何れか1項に記載の方法。

【図1】
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【公表番号】特表2011−510918(P2011−510918A)
【公表日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−543524(P2010−543524)
【出願日】平成21年1月28日(2009.1.28)
【国際出願番号】PCT/EP2009/050949
【国際公開番号】WO2009/095411
【国際公開日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【出願人】(508020155)ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア (2,842)
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】