説明

アルコールロックとゲンチアナバイオレットカテーテルの組合せ

ゲンチアナバイオレットで処理した埋め込み可能なカテーテル、及びカテーテルをアルコールで消毒する方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【関連出願の参照】
【0001】
米国仮特許出願第60/997,403号(出願日:2007年10月3日)の優先権の利益を享受するものであり、上記出願の内容は参照されることにより明細書の開示の一部とされる。
【発明の分野】
【0002】
本発明は、微生物の付着及び/又は成長を抑制することにより、器具に関連する感染を防止するために、アルコールロック溶液との相乗的組合せで使用するゲンチアナバイオレットを器具内に被覆として配合又はバルク分散させた、医療用器具に関し、とりわけ、例えば静脈内カテーテル等のカテーテルに関する。
【発明の背景】
【0003】
本明細書全体を通して様々文献を引用するが、これら文献は本発明の属する技術をより詳細に説明するためのものであり、これらの文献は引用されることにより本明細書の開示の一部とされる。
【0004】
静脈内カテーテルは、人体中に配置した場合、微生物の付着点として作用し、生物被膜形成及び感染につながる。カテーテルハブの感染及びカテーテルに関連する血流感染は、内在カテーテルを有する患者にとって大きな合併症である(例えばSafdar及びMaki 2003、Saintら、2000)。
【0005】
エチルアルコール(エタノール)及び他のアルコールの抗菌活性は周知である。濃度60〜70%のイソプロピルアルコールは、表面及び皮膚を消毒するための抗菌剤として広く使用されている。濃度10%のエチルアルコールは、ほとんどの微生物の成長を抑制し、40%以上の濃度で、一般的に殺菌性があると考えられている(Sissonsら、1996)。
【0006】
抗菌性ロック溶液は、患者の血流への微生物の内腔(luminal)導入に対処するために使用されている。エタノールをロック溶液として使用することは公知である(Ballら、2003、Dannenbergら、2003、Metcalfら、2004、University of Wisconsin News Release,August10,2005、米国特許第6,350,251号、米国公開特許出願第US2005/0013836号及び第US2007/0202177号)。静脈内器具の製造に一般的に使用される重合体は、70%エチルアルコールと相容性があることが示されている(Crnichら、2005)が、全ての重合体に相容性があるわけではない。他の抗菌剤を、エチルアルコールを包含する低級アルコールのロック溶液に加えることも開示されている(米国公開特許出願第US2005/0013836号及び第US2007/0202177号)。3%のヨウ素化されたアルコールで満たした防腐剤チャンバーを含むカテーテルハブは、カテーテルに関連する血流感染を、標準ハブモデルと比較して、大きく低減させることが示されている(Seguraら、1996)。Finchらは、米国特許第6,592,564号、第6,679,870号及び第6,685,694号において、トリクロサン又はタウロリジンを、エチルアルコール(エタノール)を包含する低級アルコールのカテーテルロック溶液に加えることを開示している。抗生物質をカテーテルロック溶液に加えることは、感染防止(予防)及び処置手法として記載されている(Bestulら、2005、O’Gradyら、2002)。
【0007】
器具に関連する感染を防止するのに役立つ手法の一つは、防腐剤ゲンチアナバイオレット(GV)で器具を処理することである。米国特許第5,709,672号は、ゲンチアナバイオレットの溶剤含浸を記載している。米国公開特許出願第US2003/0078242 A1号、US2005/0131356 A1号、及びUS2005/0197634 A1号には、染料、例えばゲンチアナバイオレット用の溶剤含浸を開示している。Hannaら(2006)は、ゲンチアナバイオレット及びクロロヘキシジンを含むゲンジンでカテーテルを含浸することを開示している。医療用器具の被覆に使用できるゲンチアナバイオレットを含む抗菌性重合体組成物が開示されている(PCT公開国際特許出願第WO 03/066721号)。Shanbrom(米国特許第6,361,786号)は、抗菌性染料、例えばゲンチアナバイオレットを、他の医療用器具でメグルミンとの組合せで使用することを開示している。米国公開特許出願US2007/0129690号は、カテーテルの本体の基部に配置された抗菌剤、例えばゲンチアナバイオレットを含むカテーテルを記載している。
【0008】
これらの感染との戦いにおける進歩にも関わらず、カテーテル等のような埋め込み可能な医療用器具の感染を防止するために、改良された手法が求められている。カテーテル、とりわけ、長期間使用するカテーテルに関連する血流感染の防止が強く求められている。
【発明の概要】
【0009】
本発明は、毒性の危険性を低減した、カテーテル等の埋め込み可能な医療用器具の感染を阻止するための、ゲンチアナバイオレットとアルコールとの間に相乗的な関係があるという発見に基づいている。
【0010】
本発明は、アルコールを含んでなる溶液で少なくとも部分的に満たされたルーメンを含んでなる埋め込み可能なカテーテルであって、前記カテーテルが、ゲンチアナバイオレットで含浸されている、及び/又は前記ルーメンの内側表面がゲンチアナバイオレットで被覆されており、ゲンチアナバイオレットが、前記カテーテル中に、カテーテルの0.01〜20質量%の濃度で存在する、カテーテルを提供する。
【0011】
本発明は、生体内でアルコール消毒することができる埋め込み可能なカテーテルであって、前記カテーテルがゲンチアナバイオレットで含浸されている、及び/又は前記カテーテルが、ゲンチアナバイオレットで被覆された内側ルーメンを含んでなり、ゲンチアナバイオレットが、前記カテーテル中に、前記カテーテル上の微生物の付着又は成長に対して準抑制(subinhibitory)濃度で存在する、カテーテルも提供する。
【0012】
本発明は、被験者中に埋め込まれたカテーテルを消毒又は感染防止するための、カテーテルの内側ルーメンを、アルコールを含んでなる溶液でフラッシングすることを含んでなる方法であって、前記埋め込まれたカテーテルが、ゲンチアナバイオレットで含浸されている、及び/又は前記内側ルーメンがゲンチアナバイオレットで被覆されており、ゲンチアナバイオレットが、前記カテーテル中に、カテーテルの0.01〜20質量%の濃度で存在する、方法をさらに提供する。
【発明の詳細な説明】
【0013】
本発明は、アルコールを含んでなる溶液で少なくとも部分的に満たされたルーメンを含んでなる埋め込み可能なカテーテルであって、前記ルーメンの少なくとも内側表面が、ゲンチアナバイオレットで含浸又は被覆されており、ゲンチアナバイオレットが、前記カテーテルの0.01〜20質量%の濃度で存在する、カテーテルを提供する。
【0014】
カテーテルの別の例では、ゲンチアナバイオレットが、カテーテルの少なくとも0.05質量%、又は少なくとも0.1質量%、又は少なくとも0.5質量%、又は少なくとも1質量%の濃度で存在する。ゲンチアナバイオレットは、カテーテルの面積1cmあたり少なくとも15μgゲンチアナバイオレットの濃度で、例えばカテーテルの面積1cmあたり少なくとも50〜500μgゲンチアナバイオレットの濃度で存在することができる。
【0015】
ゲンチアナバイオレットは、カテーテル中に、アルコールの不存在下、カテーテル上の微生物の付着又は成長に対して準抑制濃度で存在することができる、及び/又はアルコールは、ゲンチアナバイオレットの不存在下で、カテーテル上の微生物の付着又は成長に対して準抑制濃度で存在することができる。ここで使用するゲンチアナバイオレット又はアルコールの「準抑制」濃度とは、埋め込み可能なカテーテル上の微生物の付着又は成長を阻止又は低減するのに必要な濃度より低い濃度である。最小抑制濃度は、例えば本明細書の例に記載するようにして、決定することができる。
【0016】
アルコールは、例えばエタノール、プロパノール、イソプロパノール及びブタノールの一種以上でよい。エタノールが好ましいアルコールである。アルコールを含む溶液は、抗凝血薬、例えばヘパリンをさらに含んでなることができる。アルコールは、溶液中に例えば25〜30%の濃度で存在することができる。
【0017】
本発明は、生体内でアルコール消毒することができる埋め込み可能なカテーテルであって、前記カテーテルが、ゲンチアナバイオレットで含浸又は被覆された内側表面を有するルーメンを含んでなり、ゲンチアナバイオレットが、前記カテーテル中に、前記カテーテル上の微生物の付着又は成長に対して準抑制濃度で存在する、カテーテルも提供する。カテーテルは、ゲンチアナバイオレットの不存在下、カテーテル上の微生物の付着又は成長に対して準抑制濃度でアルコールを含んでなる溶液で、生体内で消毒することができる。
【0018】
埋め込み可能なカテーテルが被験者中に埋め込まれており、使用されていない場合、カテーテルは、アルコールを含む溶液で満たし、次いで栓をするか、又は「ロック」することができる。アルコールロックは、一種以上の抗凝血薬を含むことができる。アルコールロックは、カテーテルを使用しない期間中、又は医師が指定する期間中、所定の位置に放置することができる。
【0019】
本発明は、被験者中に埋め込まれたカテーテルを消毒又は感染防止するための、前記カテーテルのルーメンを、アルコールを含んでなる溶液でフラッシングすることを含んでなる方法であって、前記ルーメンの少なくとも内側表面が、ゲンチアナバイオレットで含浸又は被覆されており、ゲンチアナバイオレットが、前記カテーテルの0.01〜20質量%の濃度で存在する、方法を提供する。カテーテルの別の例では、ゲンチアナバイオレットが、前記カテーテルの少なくとも0.05質量%、又は少なくとも0.1質量%、又は少なくとも0.5質量%、又は少なくとも1質量%の濃度で存在する。ゲンチアナバイオレットは、カテーテルの面積1cmあたり少なくとも15μgゲンチアナバイオレットの濃度で、例えばカテーテルの面積1cmあたり少なくとも50〜500μgゲンチアナバイオレットの濃度で存在することができる。
【0020】
本発明の方法では、ゲンチアナバイオレットは、カテーテル中に、アルコールの不存在下、カテーテル上の微生物の付着又は成長に対して準抑制濃度で存在することができる、及び/又はアルコールは、ゲンチアナバイオレットの不存在下、カテーテル上の微生物の付着又は成長に対して準抑制濃度で存在することができる。
【0021】
カテーテルは、生体内で、アルコール5〜100%、好ましくはアルコール25〜70%、より好ましくはアルコール25〜50%、さらに好ましくはアルコール25〜30%を含んでなる溶液で消毒することができる。アルコールは、例えばエタノール、プロパノール、イソプロパノール及びブタノールの一種以上でよい。エタノールが好ましいアルコールである。アルコールを含む溶液は、抗凝血薬、例えばヘパリン又はクエン酸塩、をさらに含んでなることができる。
【0022】
好ましくは、本発明の埋め込み可能なカテーテル及び方法で、Candida albicans、Staphylococcus aureus、又はPseudomonas aeruginosaを包含する、菌類、グラム陽性又はグラム陰性病原性微生物の一種以上の成長が抑制される。カテーテル周囲の微生物、例えばCandida albicans、Staphylococcus aureus又はPseudomonas aeruginosa、の抑制区域(ZOI)半径は、エタノール不存在下でのZOI半径と比較して、エタノール5%の存在下で少なくとも25%増加させることができる。好ましくは、カテーテル周囲の微生物、例えばCandida albicans、Staphylococcus aureus又はPseudomonas aeruginosa、の抑制区域(ZOI)半径は、エタノール不存在下でのZOI半径と比較して、エタノール5%の存在下で少なくとも50%、又は少なくとも75%増加する。より好ましくは、カテーテル周囲の微生物、例えばCandida albicans、Staphylococcus aureus又はPseudomonas aeruginosa、の抑制区域(ZOI)半径は、エタノール不存在下でのZOI半径と比較して、エタノール5%の存在下で少なくとも2倍である。抑制区域は、例えば記載のように決定することができる。
【0023】
ゲンチアナバイオレットは、カテーテル中に含浸させるか、又は上に被覆される唯一の感染防止剤でよい。しかし、ゲンチアナバイオレットに加えて、カテーテルは、抗生物質、ミノサイクリン、リファンピン、クリンダマイシン、抗真菌剤、防腐剤、抗菌性染料、ビグアニド、フェノール類、第四級アンモニウム塩、陽イオン系ステロイド、トリクロサン、エチレンジアミンテトラ酢酸(EDTA)、クエン酸塩、タウロリジン、5−フルオロウラシル、銀、銀塩、ミコナゾール、ケトコナゾール、クロロヘキシジン又はイトラコナゾール又はそれらの誘導体もしくは塩の一種以上からなる群から選択された物質で含浸又は被覆することもできる。
【0024】
カテーテル中のクロロヘキシジンは、クロロヘキシジン塩基及び/又はクロロヘキシジン塩の形態でよい。クロロヘキシジン塩としては、例えばクロロヘキシジンジホスファニレート、クロロヘキシジンジグルコネート、クロロヘキシジンジアセテート、クロロヘキシジンジヒドロクロリド、クロロヘキシジンジクロリド、クロロヘキシジンジヒドロヨージド、クロロヘキシジンジパークロレート、クロロヘキシジンジナイトレート、クロロヘキシジンサルフェート、クロロヘキシジンサルファイト、クロロヘキシジンチオサルフェート、クロロヘキシジンジ酸ホスフェート、クロロヘキシジンジフルオロホスフェート、クロロヘキシジンジホルメート、クロロヘキシジンジプロピオネート、クロロヘキシジンジ−ヨードブチレート、クロロヘキシジンジ−n−バレレート、クロロヘキシジンジカプロエート、クロロヘキシジンマロネート、クロロヘキシジンスクシネート、クロロヘキシジンマレエート、クロロヘキシジンタートレート、クロロヘキシジンジモノグリコレート、クロロヘキシジンモノジグリコレート、クロロヘキシジンジラクテート、クロロヘキシジンジ−アルファ−ヒドロキシイソブチレート、クロロヘキシジンジグルコヘプトネート、クロロヘキシジンジ−イソチオネート、クロロヘキシジンジベンゾエート、クロロヘキシジンジシンナメート、クロロヘキシジンジマンデレート、クロロヘキシジンジ−イソフタレート、クロロヘキシジンジ−2−ヒドロキシナフトエート、及びクロロヘキシジンエムボネートが挙げられる。クロロヘキシジンの好ましい形態としては、クロロヘキシジン塩基及びクロロヘキシジンスクシネートが挙げられる。
【0025】
カテーテルは、被験者中の、例えば血管等のような脈管、又は身体空洞中に埋め込むことができる。そのようなカテーテルの例としては、経皮カテーテル、末梢カテーテル、中枢カテーテル、静脈カテーテル、及び動脈カテーテルを包含する血管カテーテル、泌尿カテーテル、及び透析カテーテルが挙げられる。
【実施例】
【0026】
本発明を下記の実験詳細項で説明するが、この項は、本発明を理解し易くするために記載するのであって、その後に記載する特許請求の範囲で規定する本発明の範囲を限定するものではない。
【実験の詳細】
【0027】
例I.−ゲンチアナバイオレット処理したカテーテル及びアルコールを使用する微生物の成長抑制
問題とする幾つかの病原体に対するエタノールの最小抑制濃度(MIC)及び最小殺菌濃度(MBC)の測定は、標準的な微生物学的技術を使用して行った。エタノールを下記の濃度百分率(%)、50、40、30、25、20、15、12、10、7及び5で試験した。希釈液は、Cationic Adjusted Mueller Hinton Broth (CAMHB)で調製した。試験は全て、希釈された抗菌剤及び接種物を含めて総試験容積100μlのマイクロタイタープレートで行った。抗菌剤の濃縮物は、2倍濃度で調製し、マイクロタイタープレートの各ウェルに50μLを加え、そこに試験微生物の接種物50μLを加え、目標試験濃度を得た。
【0028】
接種物は、寒天プレートから単離したコロニーをトリプチケース大豆肉汁培地(TSB)10mLに移し、37℃で4時間培養することにより、調製した。続いて細胞を遠心分離し、リン酸塩緩衝剤を加えた食塩水中に2回再分散させた。この最近懸濁液の個体数は、670nmにおける光学密度を読むことにより、決定した。CAMHBを希釈剤として使用し、接種物の最終濃度を約5x10cfu/mLに調節した。Miles及びMisra滴計数法を使用して初期濃度を確認した。マイクロタイタープレートの各試験ウェルに、接種物50μLを、2倍濃度の供試抗菌剤50μLと共に加えた。培養は37℃で16〜20時間であった。
【0029】
MICは、肉眼で検出される、マイクロ希釈ウェル中で微生物の成長を完全に抑制した抗菌剤の最低濃度であった。MBC値を測定するために、成長の抑制を示す各ウェルから50μLを取り出した(MIC以上)。これらの抗菌剤の抑制濃縮物から得た溶液をCAMHBで、試験微生物の成長を最早抑制しないであろう濃度に希釈した。回収計数は、希釈した材料のアリコートを、5%ヒツジ血液を含むTSAプレート上に延ばし、37℃で24時間培養することにより、得た。MBC値は、コロニー形成単位が、MICで窒素酸化物還元単位の1%に等しい濃度として計算した。
【0030】
各種の一般的な病原体に対して測定した最小抑制(MIC)及び最小殺菌(MBC)エタノール濃度を表1に示す。これらの結果は、25%を超えるエタノール濃度におけるロックが、ほとんどの一般的に見られる感染病原体に対して殺菌性であることを示唆している。7%未満の濃度では、溶液は微生物の成長を抑制しない。5%エタノールが、問題とする全ての微生物に対して準抑制濃度であると確認された。
【0031】
【表1】

【0032】
準抑制エタノール濃度でゲンチアナバイオレット処理したカテーテルの組合せを試験するために、15個の仏国製ポリウレタン(Tecothane)カテーテルを、1%、0.5%、0.1%、0.05%、及び0.01%ゲンチアナバイオレット溶液(溶剤80/15/5メチルエチルケトン/水/アセトン)で2時間処理した。次いで、これらのカテーテルを2時間空気乾燥させ、続いて50℃で一晩真空乾燥させた。乾燥したカテーテル部分を切断し、エタノールを最終希釈5%に加えたか、又はエタノールを加えなかったMueller Hinton 2寒天(MH)中に浸漬した。プレートを37℃で培養し、抑制区域を24時間後に測定した。
【0033】
表2に示すように、準抑制エタノール濃度をゲンチアナバイオレット処理したカテーテルとの組合せで使用することにより、いずれかの処理単独の使用に対して、抗菌保護特性が大きく強化された。
【0034】
【表2】

例II〜VIは、ゲンチアナバイオレット処理したカテーテルの例を示す。
例II及びIII−ゲンチアナバイオレットのTecothane(登録商標)−2095A樹脂中への配合
【0035】
コンパウンディング及び押出製法によりゲンチアナバイオレットをTecothane(登録商標)−2095A樹脂中に配合する実験を行った。これらの例では、ゲンチアナバイオレットをTecothane(登録商標)−2095Aペレット上に、樹脂をゲンチアナバイオレット/エタノール混合物中に浸漬することにより被覆し、溶剤を通常の条件で蒸発させた。次いで、ゲンチアナバイオレット被覆したペレットを押出機又はコンパウンダー中に供給し、チューブ又はストランドペレット化されたペレットを製造した。ゲンチアナバイオレットは、粉末としてポリマー樹脂と共に直接供給し、コンパウンディング及び押出することもできる。驚くべきことに、ここに開示する高温製法を使用することにより、これまで開示されているよりも、はるかに高いゲンチアナバイオレットの装填を、ゲンチアナバイオレットの化学構造を分解することなく、達成することができた。
【0036】
例2 Tecothane(登録商標)−2095A樹脂と0.5%ゲンチアナバイオレットのコンパウンド
ゲンチアナバイオレット(Sciencelab,Houston,TX)5gを99%エタノール(Sigma−Aldrich, St.Louis,MO)250mlに溶解させた。Tecothane(登録商標)−2095A(Noveon,Cleaveland,OH)樹脂1000gをゲンチアナバイオレット/エタノール溶液に加えた。エタノール溶剤を、ドラフト(chemical fume hood)中、通常条件で一晩かけて蒸発させた。次いで、ゲンチアナバイオレット被覆されたペレットを、コンパウンディングの前に、50℃及び30インチHgで24時間乾燥させた。
【0037】
乾燥させたゲンチアナバイオレット被覆された樹脂を、K−tronフィーダー(Pitman,NJ)から、18mm Leistritzインターメッシング二軸スクリュー押出機(Somerville,NJ)中に、2.5kg/時間の速度で少量供給した(starve−fed)。押出機は、スクリュー速度231 rpmに設定し、バレル区域温度は329°F(165℃)〜338°F(170℃)に設定した。押出物は、小さなペレットにペレット化した。
【0038】
例3 ゲンチアナバイオレットを装填したTecothane(登録商標)チューブ
ゲンチアナバイオレット(Sigma−Aldrich,St.Louis,MO)20gをエタノール(Sigma−Aldrich,St.Louis,MO)1000mlに溶解させた。Tecothane(登録商標)樹脂1000gをゲンチアナバイオレット/エタノール溶液に加えた。エタノール溶剤を、ドラフト中、通常条件で一晩かけて蒸発させた。次いで、ゲンチアナバイオレット被覆された樹脂を、コンパウンディングの前に、65℃及び30インチHgで4時間乾燥させた。
【0039】
乾燥したゲンチアナバイオレット被覆された樹脂を5/8’ Randcastle単軸スクリュー(Cedar Grove,NJ)マイクロ押出機中に重力供給した。マイクロ押出機は、スクリュー速度20rpmに設定し、バレル区域温度は360°F〜375°Fに設定した。5FrチューブをBH25ツール(San Marcos,CA)から引き出した。
【0040】
Tecothane(登録商標)中にコンパウンディングしたゲンチアナバイオレットのHPLCによる分析
コンパウンディングした樹脂及びチューブ試料からゲンチアナバイオレット含有量をHPLC法により分析した。GV装填した樹脂又はコンパウンディングしたペレットに対するHPLC分析は、各試料(n=3)の大体10〜20ペレット(使用した原料の重量に応じて)に相当する0.1〜0.3gを秤量し、50mL遠心分離管中、THF(5mL又は7.5mL)中で温浸することにより、行った。試料を45分間放置し、次いで全ての重合体が溶解するまでボルテックス処理した。次いで、等量の脱イオン(DI)水を加え(5又は7.5mL)、試料を再度5分間ボルテックス処理し、次いで10分間遠心分離した。次いで、各試料の一部をHPLCバイアルに加え、キャップをしてからHPLC分析を行った。
【0041】
チューブに対するHPLC分析は、各試料(n=3)の1cm断片を測定して切断し、50mL遠心分離管中、THF(10mL又は20mL)中で温浸することにより、行った。試料を45分間放置し、次いで5分間又は重合体が管の底に付着しなくなるまで、ボルテックス処理した。次いで、等量の脱イオン(DI)水を加え(10mL又は20mL)、試料を再度5分間ボルテックス処理し、次いで10分間遠心分離した。次いで、各試料の一部をHPLCバイアルに加え、キャップをしてからHPLC分析を行った。
【0042】
HPLC分析は、Agilent 1200 Series LC上で、Agilent Eclipse XDB−CN 5μ 4.6×150mmカラム及び対応するガードカラムを使用して行った。勾配プログラムは、2個の溶剤貯蔵部、すなわち、
MP A:100%DI水/0.2%トリフルオロ酢酸
MP B:100%アセトニトリル/0.2%トリフルオロ酢酸
プログラム:0〜5分 35%B、5〜6分 35〜40%B、6〜12分 40%B、12〜16分 35%B
を使用して実行した。
【0043】
コンパウンディングした樹脂及び押し出したチューブのゲンチアナバイオレット含有量を表3に示す。表4は、標準対試料におけるゲンチアナバイオレットピークの相対的ピーク面積の比較を示す。面積百分率は、クロマトグラムに示す他のピークではなく、3個のピークの総面積だけを基にしている。表5は、標準対試料(Aldrichから市販)におけるゲンチアナバイオレットピークの相対的ピーク面積の比較を示す。
【0044】
【表3】

【0045】
【表4】

【0046】
【表5】

【0047】
例IV.−押し出したゲンチアナバイオレットの分解に対する温度の影響
Tecothane(登録商標)押出w/30%充填材におけるゲンチアナバイオレット
押し出したゲンチアナバイオレットは、処理温度217℃で分解する(約209℃で開始)が、約207℃未満での処理は、ゲンチアナバイオレットを分解しないことが分かった。温度の影響に関する驚くべき発見の一つは、特定区分のポリウレタンは分解温度未満で加工できるが、他の区分は加工できないことである。
【0048】
安定したゲンチアナバイオレットのコンパウンディング条件
バレル温度
区域1〜5=170℃
区域6=175℃
溶融物温度=194℃
スクリュー速度=100 rpm
圧力=約180 bar
【0049】
分解したゲンチアナバイオレットのコンパウンディング温度
区域1〜6=217℃
【0050】
コンパウンディングは、Sigma Aldrich ACS等級ゲンチアナバイオレット、ロット016K3691で行った。HPLC分析は、例IIに及びIIIに記載した方法を使用し、各試料(n=3)の1cm断片を切断し、測定することによりにより、行った。
【0051】
クロマトグラムは、安定したゲンチアナバイオレットに続く分解したゲンチアナバイオレットを、588nm、253nm、及び280nmで示す。217℃試料から得た分解ピークは、253及び280nm波長における新しいピークとして明らかである。低い加工温度のクロマトグラムは、ゲンチアナバイオレット原料のクロマトグラムと同一であった。
【0052】
例V.−押し出したゲンチアナバイオレットの分解に対する温度の影響(196℃〜219℃)
0.5%GVを含むコンパウンディングしたCarbothane(登録商標)樹脂
ゲンチアナバイオレット(Sigma−Aldrich,St.Louis,MO)5gを99%エタノール(Sigma−Aldrich,St.Louis,MO)250mlに溶解させた。Carbothane(登録商標)−3585A−B20(Noveon,Cleaveland,OH)樹脂1000gをゲンチアナバイオレット/エタノール溶液に加えた。エタノール溶剤を、ドラフト中、通常条件で一晩かけて蒸発させた。次いで、ゲンチアナバイオレット被覆されたペレットを、コンパウンディングの前に、50℃及び30インチHgで24時間乾燥させた。
【0053】
乾燥させたゲンチアナバイオレット被覆された樹脂を、K−tronフィーダー(Pitman,NJ)から、18mm Leistritzインターメッシング二軸スクリュー押出機(Somerville,NJ)中に、2.5kg/時間の速度で少量供給した。各作業に対する加熱プロファイルを変化させた。各作業から得た溶融物の温度を表6に報告する。
【0054】
HPLC分析は、例II及びIIIに記載した方法を使用し、各試料(n=3)の幾つかのペレットを選択することにより行った。
【0055】
GV含有量は、加工温度206℃まで実質的に変化しなかった。分解は、209℃で開始すると思われ、219℃でより酷くなった。
【0056】
【表6】

【0057】
例VI.− 押し出したゲンチアナバイオレットの分解に対する温度の影響−高温
GV0.5%を含むコンパウンディングしたCarbothane(登録商標)樹脂
樹脂ペレットにGVを装填するための試料調製は、例Vと同様である。ゲンチアナバイオレットは、(Sigma−Aldrich,St.Louis,MO)から購入し、Carbothane(登録商標)−3585A−B20(Noveon,Cleaveland,OH)を使用した。各作業に対する加熱プロファイルを変化させた。各作業から得た溶融物の温度を表7に示す。
【0058】
押出可能なGV含有量の劇的な低下により明らかなように、GVの重大な分解は220℃より上である。
【0059】
【表7】

【0060】
考察
本発明は、微生物の付着及び/又は成長を抑制し、それによって、器具に関連する感染を防止するために、アルコールロック溶液との相乗的組合せで使用するゲンチアナバイオレットを器具内に被覆として配合、又はバルク分散させてある、医療用器具、好ましくは静脈内カテーテルに関する。ゲンチアナバイオレットをロック溶液中に直接加えることは、ゲンチアナバイオレットが染料であり、ロック溶液を導入及び吸引する際に、カテーテルの延長ラインならびに患者及び介護者の衣服及び皮膚を染色することがあるので、好ましくない。さらに、患者の血流中にロックを不注意で流し込む危険性により、患者を毒性の副作用にさらす可能性がある。これらの副作用には、エタノール単独よりも、高度の局所的な刺激及び壊死が挙げられる。カテーテルによる血流感染に関連する微生物の付着及びコロニー形成は、器具の表面で起こるので、本発明者らは、驚くべきことに、ゲンチアナバイオレットの十分に高い表面濃度及びエタノールが、毒性及び染色の危険性が低い、一般的な感染病原体に対する殺菌剤として作用することを見出した。エタノールが血流中に漏れるか、又は拡散することにより、致死量以下のエタノール濃度がカテーテルのチップで起こることがある。本発明者らは、驚くべきことに、エタノール濃度がちょうど5%(致死量以下のエタノールレベル)に下がっても、ゲンチアナバイオレットの効力はかなり増加することを見出した。ゲンチアナバイオレットをロック溶液中に直接溶解させた場合、カテーテルチップからゲンチアナバイオレット及びエタノールの両方が漏れる、及び拡散することにより、潜在的な感染性病原体を殺すには不十分な局所的レベル(先端における)になることがある。驚くべきことに、ゲンチアナバイオレットは、有利なことにカテーテル表面から十分に高い局所的濃度で放出され、不応性(recalcitrant)が高い病原体、例えばCandida酵母種、に対する組合せの効力を(致死量以下のエタノール濃度でも)本質的に強化する。
【0061】
本発明により、ロック中の低いエタノール濃度を効果的に使用することができる。エタノールロック溶液の臨床的使用は、濃度25%〜100%の範囲になっている。この範囲の下限における(25%に向かう)エタノール濃度をより効果的に使用することにより、2つの観点から患者に対する安全性が高くなる。一つは、前に述べた、組織を高い局所的濃度にさらすことによる毒性副作用の危険性が下がることであり、第二は、カテーテル材料を高いエタノール濃度に長期間露出することによりカテーテルの機械的強度が損なわれる危険性が小さくなることである。ゲンチアナバイオレットI加えて、他の抗菌剤(例えば他の防腐染料、防腐剤、抗生物質、化学療法剤、抗真菌剤、又はそれらの組合せ)をカテーテルの中に配合し、エタノールロックと組み合わせて、カテーテル表面における病原体に対する抑制率及び致死率を高めることができる。抗菌剤としては、抗生物質、抗真菌剤、防腐剤、ミノサイクリン(又は他のテトラサイクリン)、リファンピン、クリンダマイシン、トリクロサン、エチレンジアミンテトラ酢酸(EDTA)、クエン酸塩、銀、銀塩、タウロリジン、5−フルオロウラシル、ミコナゾール、ケトコナゾール、クロロヘキシジン及びイトラコナゾールが特に挙げられる。
【0062】
参照文献
・Ball PA,Brokenshire E,Parry B,Merrie A,Gillanders L,McIlroy K,Plank L、長期間中枢静脈カテーテルの微生物汚染に対する処置として使用できるエタノールロッキング(Ethanol locking as a possible treatment for microbial contamination of long−term central venous catheters)、Nutrition 2003; 16:570。
・Bestulら、抗生物質ロック技術(Antibiotic Lock Technique)、文献概観、Pharmacotherapy. 2005; 25 (2):211−227。
・Crnich CJ,Halfmann JA,Crone WC,Maki DG.脈管内アクセスに使用するポリウレタン及びシリコーンカテーテルの機械的特性に対する長期間エタノール露出の影響(The effects of prolonged ethanol exposure on the mechanical properties of polyurethane and silicone catheters used for intravascular access)、Infect Control Hosp Epidemiol. 2005 Aug; 26(8):708−14。
・Dannenberg C,Bierbach U,Rothe A,Beer J,Korholz D.brovaicカテーテルを入れた小児科腫瘍患者における血流感染の処置におけるエタノールロック技術(Ethanol−lock technique in the treatment of bloodstream infections in pediatric oncology patients with brovaic catheter)、J Pediatr Hematol Oncol 2003; 25(8):616−21。
・Hanna H,P Bahna,R Reitzel,T Dvorak,G Chaiban,R Hachem and I Raad.新規な抗菌性中枢静脈カテーテルの比較インビトロ効能及び抗菌耐久性(Comparative in vitro efficacies and antimicrobial durabilities of novel antimicrobial central venous catheters). Antimicrob. Agents Chemother. 50: 3283−3288, 2006。
・Mecalf SC,Chambers ST,Pithie AD.再発性中枢線敗血症を防止するためのエタノールロックの使用(Use of ethanol locks to prevent recurrent central line sepsis)、J Infect. 2004; 49:20−2。
・O’Gradyら、脈管内カテーテルに関連する感染の防止(Prevention of Intravascular Catheter−Related infections)、Clinical Infectious Diseases 2002; 35:1281−1307。
・Safdar N,Maki DG.覆いの無い短期間中枢静脈カテーテルによるカテーテルに関連する血流感染の病原論(The pathogenesis of catheter−related bloodstream infection with noncuffed short−term central venous catheters)、Intensive Care Med. 2004 Jan; 30819:62−7. Epub 2003 Nov 26。
・Saint S,Veenstra DL,Lipsky BA.病院の中枢静脈カテーテルに関連する感染の臨床的及び経済的な帰結、抗菌性カテーテルは有用か?(The clinical and economic consequences of nosocomial central venous catheter−relzted infection: are antimicrobialcatheters useful?)、Infect Control Hosp Epidemiol. 2000 Jun; 21(6):375−80。
・Seguraら、新規なハブモデルを使用する、カテーテルに関連する敗血症の防止に関する臨床的試み(A clinical trial on the prevention of catheter−related sepsis using a new hub model)、Ann Surg. 1996; 223:363−369。
・Sissonsら、エタノールによる生物皮膜及び分散した人体歯垢の成長の抑制(Inhibition by ethanol of the growth of biofilm and dispersed microcosm dental plaques)、Archives of Oral Biology,Vol.41,1,JN 1996; 27−34。
・University of Wisconsin News Release.エタノール処理は、IV系感染と戦う手段になる(Ethanol Treatment May Be Instrumental in Fighting IV−Based Infection)<http:www.news.wisc.edu/releases/11399.html>, August 10,2005。
・PCT公開国際特許出願第WO 03/066721 A1号(2003年8月14日公開)Michigan Biotechnology Institute,抗菌性重合体(Antimicrobial polymer)。
・米国公開特許出願第US2003/0078242 A1号(2003年4月24日公開)Raadら、表面含浸用の広範囲な抗菌活性を有する新規な防腐剤誘導体(Novel antiseptic derivatives with broad spectrum antimicrobial activity for the impregnation of surfaces)。
・米国公開特許出願第US2005/0013836 A1号(2005年1月20日公開)抗菌性フラッシュ溶液(Antimicrobial flush solutions)。
・米国公開特許出願第US2005/0131356 A1号(2005年6月16日公開)Ashら、抗細菌特性を示す医療用器具(Medical devices exhibiting antibacterial properties)。
・米国公開特許出願第US2005/0197634 A1号(2005年9月8日公開)Raadら、医療用器具を防腐剤組成物で被覆及び含浸する方法(Methods for coating and impregnating medical devices with antiseptic compositions)。
・米国公開特許出願第US2007/0129690号(2007年6月7日公開)重合体被覆を有するカテーテル(Catheter with polymeic coating)。
・米国公開特許出願第US2007/0202177号(2007年8月30日公開)Hoang、抗菌性組成物及びカテーテルをロッキングする方法(Antimicrobial Compositions and Methods for Locking Catheters)。
・米国特許第5,709,672号(1998年1月20日公布)Illner、抗菌/抗真菌特性を改良した、Silastic及び重合体を基材とするカテーテル(Silastic and polymer−based catheters with improved antimicrobial/antifungal properties)。
・米国特許第6,350,251号(2002年2月26日公布)Proslら、殺菌性ロック(Biocidal locks)。
・米国特許第6,361,786号(2002年3月26日公布)Shambom、殺菌剤処理した重合体状材料(Microbicide treated polymeric materials)。
・米国特許第6,592,564 B2号(2003年7月15日公布)Finchら、埋め込んだカテーテルをロッキング及び消毒する方法及びキット(Methods and kits for locking and disinfecting implanted catheters)。
・米国特許第6,679,870 B1号(2004年1月20日公布)Finchら、埋め込んだカテーテルをロッキング及び消毒する方法及びキット(Methods and kits for locking and disinfecting implanted catheters)。
・米国特許第6,685,694 B2号(2004年2月3日公布)Finchら、埋め込んだカテーテルをロッキング及び消毒する方法及びキット(Methods and kits for locking and disinfecting implanted catheters)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルコールを含んでなる溶液で少なくとも部分的に満たされたルーメンを含んでなる埋め込み可能なカテーテルであって、前記ルーメンの少なくとも内側表面が、ゲンチアナバイオレットで含浸又は被覆されており、ゲンチアナバイオレットが、前記カテーテルの0.01〜20質量%の濃度で存在する、埋め込み可能なカテーテル。
【請求項2】
前記カテーテルが、ゲンチアナバイオレットで含浸されている、請求項1に記載の埋め込み可能なカテーテル。
【請求項3】
前記ルーメンの内側表面がゲンチアナバイオレットで被覆されている、請求項1に記載の埋め込み可能なカテーテル。
【請求項4】
ゲンチアナバイオレットが、前記カテーテルの少なくとも0.05質量%の濃度で存在する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の埋め込み可能なカテーテル。
【請求項5】
ゲンチアナバイオレットが、前記カテーテルの少なくとも0.1質量%の濃度で存在する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の埋め込み可能なカテーテル。
【請求項6】
ゲンチアナバイオレットが、前記カテーテルの少なくとも0.5質量%の濃度で存在する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の埋め込み可能なカテーテル。
【請求項7】
ゲンチアナバイオレットが、前記カテーテルの少なくとも1質量%の濃度で存在する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の埋め込み可能なカテーテル。
【請求項8】
ゲンチアナバイオレットが、前記カテーテルの面積1cmあたり少なくとも15μgゲンチアナバイオレットの濃度で存在する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の埋め込み可能なカテーテル。
【請求項9】
ゲンチアナバイオレットが、前記カテーテルの面積1cmあたり50〜500μgゲンチアナバイオレットの濃度で存在する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の埋め込み可能なカテーテル。
【請求項10】
ゲンチアナバイオレットが、アルコールの不存在下、前記カテーテル上の微生物の付着又は成長に対して準抑制濃度で存在する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の埋め込み可能なカテーテル。
【請求項11】
アルコールが、ゲンチアナバイオレットの不存在下、前記カテーテル上の微生物の付着又は成長に対して準抑制濃度で存在する、請求項1〜10のいずれか一項に記載の埋め込み可能なカテーテル。
【請求項12】
ゲンチアナバイオレットが、アルコールの不存在下、前記カテーテル上の微生物の付着又は成長に対して準抑制濃度で存在し、アルコールが、ゲンチアナバイオレットの不存在下、前記カテーテル上の微生物の付着又は成長に対して準抑制濃度で存在する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の埋め込み可能なカテーテル。
【請求項13】
アルコールが、前記溶液中に25〜30%の濃度で存在する、請求項1〜10のいずれか一項に記載の埋め込み可能なカテーテル。
【請求項14】
Candida albicans、Staphylococcus aureus、又はPseudomonas aeruginosaの成長が抑制される、請求項1〜13のいずれか一項に記載の埋め込み可能なカテーテル。
【請求項15】
前記カテーテル周囲の微生物の抑制区域(ZOI)半径が、エタノール不存在下での前記ZOI半径と比較して、エタノール5%の存在下で少なくとも25%増加する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の埋め込み可能なカテーテル。
【請求項16】
前記カテーテル周囲の微生物の前記抑制区域(ZOI)半径が、エタノール不存在下での前記ZOI半径と比較して、エタノール5%の存在下で少なくとも50%増加する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の埋め込み可能なカテーテル。
【請求項17】
前記カテーテル周囲の微生物の前記抑制区域(ZOI)半径が、エタノール不存在下での前記ZOI半径と比較して、エタノール5%の存在下で少なくとも75%増加する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の埋め込み可能なカテーテル。
【請求項18】
前記カテーテル周囲の微生物の前記抑制区域(ZOI)半径が、エタノール不存在下での前記ZOI半径と比較して、エタノール5%の存在下で少なくとも2倍になる、請求項1〜3のいずれか一項に記載の埋め込み可能なカテーテル。
【請求項19】
前記微生物が、Candida albicans、Staphylococcus aureus、又はPseudomonas aeruginosaを含んでなる、請求項15に記載の埋め込み可能なカテーテル。
【請求項20】
前記微生物が、Candida albicans又はPseudomonas aeruginosaを含んでなる、請求項16又は17に記載の埋め込み可能なカテーテル。
【請求項21】
前記微生物がPseudomonas aeruginosaを含んでなる、請求項18に記載の埋め込み可能なカテーテル。
【請求項22】
前記カテーテルが、抗生物質、ミノサイクリン、リファンピン、クリンダマイシン、抗真菌剤、防腐剤、抗菌性染料、ビグアニド、フェノール類、第四級アンモニウム塩、陽イオン系ステロイド、トリクロサン、エチレンジアミンテトラ酢酸(EDTA)、クエン酸塩、タウロリジン、5−フルオロウラシル、銀、銀塩、ミコナゾール、ケトコナゾール、クロロヘキシジン、イトラコナゾール、及びそれらの誘導体及び塩の一種以上からなる群から選択された物質で含浸又は被覆される、請求項1〜21のいずれか一項に記載の埋め込み可能なカテーテル。
【請求項23】
前記アルコールが、エタノール、プロパノール、イソプロパノール及びブタノールの一種以上からなる群から選択される、請求項1〜22のいずれか一項に記載の埋め込み可能なカテーテル。
【請求項24】
前記アルコールがエタノールである、請求項1〜22のいずれか一項に記載の埋め込み可能なカテーテル。
【請求項25】
前記溶液が抗凝血薬をさらに含んでなる、請求項1〜24のいずれか一項に記載の埋め込み可能なカテーテル。
【請求項26】
前記カテーテルが被験者中に埋め込まれる、請求項1〜25のいずれか一項に記載の埋め込み可能なカテーテル。
【請求項27】
前記カテーテルが血管又は身体空洞中に埋め込まれる、請求項26に記載の埋め込み可能なカテーテル。
【請求項28】
前記カテーテルが経皮カテーテルである、請求項26に記載の埋め込み可能なカテーテル。
【請求項29】
生体内でアルコール消毒することができる埋め込み可能なカテーテルであって、前記カテーテルが、ゲンチアナバイオレットで含浸又は被覆された内側表面を有するルーメンを含んでなり、ゲンチアナバイオレットが、前記カテーテル中に、前記カテーテル上の微生物の付着又は成長に対して準抑制濃度で存在する、埋め込み可能なカテーテル。
【請求項30】
前記カテーテルが、ゲンチアナバイオレットで含浸されている、請求項29に記載の埋め込み可能なカテーテル。
【請求項31】
前記ルーメンの内側表面がゲンチアナバイオレットで被覆されている、請求項29に記載の埋め込み可能なカテーテル。
【請求項32】
前記カテーテル周囲の微生物の前記抑制区域(ZOI)半径が、エタノール不存在下での前記ZOI半径と比較して、エタノール5%の存在下で少なくとも2倍になる、請求項29〜31のいずれか一項に記載の埋め込み可能なカテーテル。
【請求項33】
前記カテーテルが、抗生物質、ミノサイクリン、リファンピン、クリンダマイシン、抗真菌剤、防腐剤、抗菌性染料、ビグアニド、フェノール類、第四級アンモニウム塩、陽イオン系ステロイド、トリクロサン、エチレンジアミンテトラ酢酸(EDTA)、クエン酸塩、タウロリジン、5−フルオロウラシル、銀、銀塩、ミコナゾール、ケトコナゾール、クロロヘキシジン、イトラコナゾール、及びそれらの誘導体及び塩の一種以上からなる群から選択された物質で含浸又は被覆される、請求項29〜32のいずれか一項に記載の埋め込み可能なカテーテル。
【請求項34】
前記カテーテルが、生体内で、ゲンチアナバイオレットの不存在下で、前記カテーテル上の微生物の付着又は成長に対して準抑制濃度でアルコールを含んでなる溶液で消毒することができる、請求項29〜33のいずれか一項に記載の埋め込み可能なカテーテル。
【請求項35】
前記アルコールが、エタノール、プロパノール、イソプロパノール及びブタノールの一種以上からなる群から選択される、請求項29〜34のいずれか一項に記載の埋め込み可能なカテーテル。
【請求項36】
前記アルコールがエタノールである、請求項29〜34のいずれか一項に記載の埋め込み可能なカテーテル。
【請求項37】
前記カテーテルが、生体内で、アルコール及び抗凝血薬を含んでなる溶液により消毒される、請求項29〜36のいずれか一項に記載の埋め込み可能なカテーテル。
【請求項38】
前記カテーテルが被験者中に埋め込まれる、請求項29〜39のいずれか一項に記載の埋め込み可能なカテーテル。
【請求項39】
前記カテーテルが血管又は身体空洞中に埋め込まれる、請求項38に記載の埋め込み可能なカテーテル。
【請求項40】
前記カテーテルが経皮カテーテルである、請求項38に記載の埋め込み可能なカテーテル。
【請求項41】
被験者中に埋め込まれたカテーテルを消毒又は感染防止するための、前記カテーテルのルーメンを、アルコールを含んでなる溶液でフラッシングすることを含んでなる方法であって、前記ルーメンの少なくとも内側表面がゲンチアナバイオレットで含浸又は被覆されており、ゲンチアナバイオレットが、前記カテーテルの0.01〜20質量%の濃度で存在する、方法。
【請求項42】
前記カテーテルが、ゲンチアナバイオレットで含浸されている、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
前記ルーメンの内側表面がゲンチアナバイオレットで被覆されている、請求項41に記載の方法。
【請求項44】
ゲンチアナバイオレットが、前記カテーテルの少なくとも0.05質量%の濃度で存在する、請求項41〜43のいずれか一項に記載の方法。
【請求項45】
ゲンチアナバイオレットが、前記カテーテルの少なくとも0.1質量%の濃度で存在する、請求項41〜43のいずれか一項に記載の方法。
【請求項46】
ゲンチアナバイオレットが、前記カテーテルの少なくとも0.5質量%の濃度で存在する、請求項41〜43のいずれか一項に記載の方法。
【請求項47】
ゲンチアナバイオレットが、前記カテーテルの少なくとも1質量%の濃度で存在する、請求項41〜43のいずれか一項に記載の方法。
【請求項48】
ゲンチアナバイオレットが、前記カテーテルの面積1cmあたり少なくとも15μgゲンチアナバイオレットの濃度で存在する、請求項41〜43のいずれか一項に記載の方法。
【請求項49】
ゲンチアナバイオレットが、前記カテーテルの面積1cmあたり50〜500μgゲンチアナバイオレットの濃度で存在する、請求項41〜43のいずれか一項に記載の方法。
【請求項50】
ゲンチアナバイオレットが、アルコールの不存在下、前記カテーテル上の微生物の付着又は成長に対して準抑制濃度で存在する、請求項41〜43のいずれか一項に記載の方法。
【請求項51】
アルコールが、ゲンチアナバイオレットの不存在下、前記カテーテル上の微生物の付着又は成長に対して準抑制濃度で存在する、請求項41〜50のいずれか一項に記載の方法。
【請求項52】
ゲンチアナバイオレットが、アルコールの不存在下、前記カテーテル上の微生物の付着又は成長に対して準抑制濃度で存在し、アルコールが、ゲンチアナバイオレットの不存在下、前記カテーテル上の微生物の付着又は成長に対して準抑制濃度で存在する、請求項41〜43のいずれか一項に記載の方法。
【請求項53】
アルコールが、前記溶液中に25〜30%の濃度で存在する、請求項41〜50のいずれか一項に記載の方法。
【請求項54】
Candida albicans、Staphylococcus aureus、又はPseudomonas aeruginosaの成長が抑制される、請求項41〜53のいずれか一項に記載の方法。
【請求項55】
前記カテーテル周囲の微生物の抑制区域(ZOI)半径が、エタノール不存在下での前記ZOI半径と比較して、エタノール5%の存在下で少なくとも25%増加する、請求項41〜43のいずれか一項に記載の方法。
【請求項56】
前記カテーテル周囲の微生物の前記抑制区域(ZOI)半径が、エタノール不存在下での前記ZOI半径と比較して、エタノール5%の存在下で少なくとも50%増加する、請求項41〜43のいずれか一項に記載の方法。
【請求項57】
前記カテーテル周囲の微生物の前記抑制区域(ZOI)半径が、エタノール不存在下での前記ZOI半径と比較して、エタノール5%の存在下で少なくとも75%増加する、請求項41〜43のいずれか一項に記載の方法。
【請求項58】
前記カテーテル周囲の微生物の前記抑制区域(ZOI)半径が、エタノール不存在下での前記ZOI半径と比較して、エタノール5%の存在下で少なくとも2倍になる、請求項41〜43のいずれか一項に記載の方法。
【請求項59】
前記微生物が、Candida albicans、Staphylococcus aureus、又はPseudomonas aeruginosaを含んでなる、請求項55に記載の方法。
【請求項60】
前記微生物が、Candida albicans又はPseudomonas aeruginosaを含んでなる、請求項56又は57に記載の方法。
【請求項61】
前記微生物がPseudomonas aeruginosaを含んでなる、請求項58に記載の方法。
【請求項62】
前記カテーテルが、抗生物質、ミノサイクリン、リファンピン、クリンダマイシン、抗真菌剤、防腐剤、抗菌性染料、ビグアニド、フェノール類、第四級アンモニウム塩、陽イオン系ステロイド、トリクロサン、エチレンジアミンテトラ酢酸(EDTA)、クエン酸塩、タウロリジン、5−フルオロウラシル、銀、銀塩、ミコナゾール、ケトコナゾール、クロロヘキシジン、イトラコナゾール、及びそれらの誘導体及び塩の一種以上からなる群から選択された物質で含浸又は被覆される、請求項41〜61のいずれか一項に記載の方法。
【請求項63】
前記アルコールが、エタノール、プロパノール、イソプロパノール及びブタノールの一種以上からなる群から選択される、請求項41〜62のいずれか一項に記載の方法。
【請求項64】
前記アルコールがエタノールである、請求項41〜62のいずれか一項に記載の方法。
【請求項65】
前記溶液が抗凝血薬をさらに含んでなる、請求項41〜64のいずれか一項に記載の方法。
【請求項66】
前記カテーテルが血管又は身体空洞中に埋め込まれる、請求項41〜65のいずれか一項に記載の方法。
【請求項67】
前記カテーテルが経皮カテーテルである、請求項41〜65のいずれか一項に記載の方法。
【請求項68】
前記カテーテルが消毒される、請求項41〜67のいずれか一項に記載の方法。
【請求項69】
前記カテーテルの感染が防止される、請求項41〜67のいずれか一項に記載の方法。

【公表番号】特表2010−540165(P2010−540165A)
【公表日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−527980(P2010−527980)
【出願日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【国際出願番号】PCT/US2008/011389
【国際公開番号】WO2009/045454
【国際公開日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【出願人】(502047224)アロウ・インターナショナル・インコーポレイテッド (14)
【氏名又は名称原語表記】ARROW INTERNATIONAL, INC.
【住所又は居所原語表記】2400 Bernville Road, Reading, PA 19605, U.S.A.
【Fターム(参考)】