説明

アルツハイマー病を治療するためのβ−セクレターゼ阻害薬として有用な2−アミノピリジン化合物

本発明は、β−セクレターゼ酵素の阻害薬であり且つアルツハイマー病などのβ−セクレターゼ酵素が関与している疾患の治療において有用な、2−アミノピリジン化合物に関する。本発明は、さらにまた、そのような化合物を含んでいる医薬組成物、並びに、β−セクレターゼ酵素が関与している疾患の治療におけるそれらの化合物及び組成物の使用にも関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、β−セクレターゼ酵素の阻害薬として有用でありおよびつアルツハイマー病などのβ−セクレターゼ酵素が関与している疾患の治療に有用な、一群の新規2−アミノピリジン化合物に関する。
【背景技術】
【0002】
アルツハイマー病は、アミロイドが、細胞外プラーク及び細胞内神経原線維のもつれの形態で、脳内に異常に沈着していることを特徴とする。アミロイドの蓄積速度は、形成速度、凝集速度及び脳からの排出速度の組合せである。アミロイドプラークの主成分が4kDアミロイドタンパク質(βA4;これは、Aβ、βタンパク質及びβAPとも称される。)であるということは一般に受け入れられており、そのアミロイドタンパク質は、それよりずっと大きな寸法を有する前駆体タンパク質のタンパク質分解産物である。アミロイド前駆体タンパク質(APP又はAβPP)は、大きな外部ドメインと膜貫通領域と短い細胞質側末端(cytoplasmic tail)を含んでいる受容体様構造を有する。Aβドメインは、APPの細胞外ドメインと膜貫通ドメインの両者の一部を含んでおり、従って、その放出は、そのNH末端とCOOH末端を生成するための2つの異なったタンパク分解イベントが存在していることを意味する。少なくとも2種類の分泌機構が存在しており、それは、APPを膜から放出する分泌機構と、APP(複数種類のAPP)の可溶性COOH末端切断形態を生成する分泌機構である。APPとそのフラグメントを膜から放出するプロテアーゼは、「セクレターゼ」と称される。大部分のAPPは、推定α−セクレターゼにより放出されるが、このα−セクレターゼは、Aβタンパク質の内部で切断して複数種類のα−APPを放出し、完全なAβの放出を妨げる。一部のAPPは、β−セクレターゼ(「β−セクレターゼ」)により放出されるが、このβ−セクレターゼは、APPのNH末端付近で切断して、完全なAβドメインを含んでいる複数種類のCOOH末端フラグメント(CTF)を産生する。
【0003】
従って、β−セクレターゼの活性又はβ−部位アミロイド前駆体タンパク質切断酵素(「BACE」)の活性は、APPの異常な切断、Aβの産生、及び、アルツハイマー病の特徴である脳内におけるβアミロイドプラークの蓄積をもたらす(以下の文献を参照されたい:R.N.Rosenberg, Arch. Neurol., vol.59, Sep 2002, pp.1367−1368; H.Fukumoto et al, Arch. Neurol., vol.59, Sep 2002, pp.1381−1389; J.T.Huse et al, J. Biol. Chem., vol.277, No.18, issue of May 3, 2002, pp.16278−16284; K.C.Chen and WJ.Howe, Biochem. Biophys. Res. Comm, vol.292, pp 702−708, 2002)。従って、β−セクレターゼ又はBACEを阻害することができる治療薬は、アルツハイマー病の治療に有用であり得る。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の化合物は、β−セクレターゼ又はBACEの活性を阻害することにより、従って、不溶性Aβの形成を防止し且つAβの生成を抑制することにより、アルツハイマー病を治療するのに有効である。
【0005】
本発明は、β−セクレターゼ酵素の阻害薬として有用であり且つβ−セクレターゼ酵素が関与する疾患(例えば、アルツハイマー病など)の治療において有用な、2−アミノピリジン化合物に関する。本発明は、さらにまた、それらの化合物を含んでいる医薬組成物、並びに、β−セクレターゼ酵素が関与するそのような疾患の治療における本発明の化合物及び医薬組成物の使用にも関する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、式(I):
【0007】
【化8】

[式中、
は、
(1)−C1−6アルキル;
(2)−C2−6アルケニル
(3)−C0−6アルキル−C3−8炭素環(ここで、該炭素環基の環炭素原子のうちの1〜3個は、O、S及びNからなる群から選択される1〜3個の環ヘテロ原子で、場合により置き換えられていてもよい。);
(4)
【0008】
【化9】

及び
(5)ヘテロアリール(ここで、該ヘテロアリールは、フリル、ピラニル、ベンゾフラニル、イソベンゾフラニル、クロメニル、チエニル、ベンゾチオフェニル、ピロリル、ピラゾリル、イミダゾリル、ピリジル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、インドリル、インダゾリル、ベンゾイミダゾリル、キノリル及びイソキノリルからなる群から選択される。);
からなる群から選択され、
ここで、
(a)該Rアルキル基、アルケニル基及びシクロアルキル基は、置換されていないか、又は、1以上のハロゲン、−C1−6アルキル、−C1−6アルコキシ、ヒドロキシ若しくはシアノで置換されており;
(b)該Rヘテロアリール基は、置換されていないか、又は、1以上のハロゲン、−C1−6アルキル、−C1−6アルコキシ、フェニル、ヒドロキシ若しくはシアノで置換されており;
1a、R1b、R1c、R1d及びR1eは、
(a)水素;
(b)ハロゲン;
(c)シアノ;
(d)−C1−6アルキル(ここで、該アルキルは、置換されていないか、又は、1以上のヒドロキシル、ハロゲン若しくはNHで置換されている。);
(e)−OR7a
(f)−C(=O)−NR7a7b
(g)−NH−C(=O)−R7a
(h)−N−R7a7b
(i)−S(=O)−R8a
(j)−NR7a−S(=O)−R8a
からなる群から選択されるか、又は、R1cとR1dは連結して基−OCHCHO−若しくは−OCHCH−を形成しており;
は、
(1)−C1−6アルキル;
(2)−C2−6アルケニル;
(3)−C1−6アルキル−C3−8炭素環(ここで、該炭素環基の環炭素原子のうちの1〜3個は、O、S及びNからなる群から選択される1〜3個の環ヘテロ原子で、場合により置き換えられていてもよい。);
(4)
【0009】
【化10】

及び
(5)−(CH−ヘテロアリール(ここで、該ヘテロアリールは、フリル、ピラニル、ベンゾフラニル、イソベンゾフラニル、クロメニル、チエニル、ベンゾチオフェニル、ピロリル、ピラゾリル、イミダゾリル、ピリジル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、インドリル、インダゾリル、ベンゾイミダゾリル、キノリル及びイソキノリルからなる群から選択される。);
からなる群から選択され、
ここで、
該Rアルキル基、アルケニル基、炭素環基及びヘテロアリール基は、置換されていないか、又は、1以上の
(a)ハロゲン;
(b)−C1−6アルキル;
(c)−C2−6アルケニル;
(d)−C1−6アルコキシ;
(e)−C6−10アリール;
(f)ヒドロキシル;
(g)シアノ;
又は
(h)−C(=O)−R7a
で、置換されており;
2a、R2b、R2c、R2d及びR2eは、
(i)水素;
(ii)ハロゲン;
(iii)シアノ;
(iv)ヒドロキシル;
(v)−C0−6アルキル−C3−8シクロアルキル;
(vi)−C1−6アルキル(ここで、該アルキルは、置換されていないか、又は、1以上のハロゲン若しくはヒドロキシルで置換されている。);
(vii)−C2−6アルケニル;
(viii)−O−R7a
(ix)−C(=O)−R7a
(x)−NO
(xi)C6−10アリール(ここで、該アリールは、置換されていなくてもよいか、又は、1以上の
(A)ハロゲン;
(B)シアノ;
(C)−C1−6アルキル;
(D)−C1−6アルコキシ;
(E)−C(=O)−O−R7a
(F)−C(=O)−R7a
(G)−NR7a7b
(H)−NR7a−S(=O)−R8a
(I)−NR7a−C(=O)−R7b
(J)−NO
で置換されていてもよい。);
(x)ヘテロアリール(ここで、該ヘテロアリールは、フリル,ピラニル、ベンゾフラニル、イソベンゾフラニル、クロメニル、チエニル、ベンゾチオフェニル、ピロリル、ピラゾリル、イミダゾリル、ピリジル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、インドリル、インダゾリル、ベンゾイミダゾリル、キノリル及びイソキノリルからなる群から選択され、また、該ヘテロアリールは、置換されていないか、又は、1以上のハロゲン、−C1−6アルキル、−C1−6アルコキシ、ヒドロキシ若しくはシアノで置換されている。);
からなる群から選択され、又は、
2cとR2dは連結して基−CR7a7bCR7c7dCR7e7f−、−OCHCHO−若しくは−OCHCH−を形成しており;
は、−C1−4アルキルであり;
、R及びRは、独立して、
(1)水素;
(2)−(Q−R
(3)ヘテロアリール(ここで、該ヘテロアリールは、フリル、ピラニル、ベンゾフラニル、イソベンゾフラニル、クロメニル、チエニル、ベンゾチオフェニル、ピロリル、ピラゾリル、イミダゾリル、ピリジル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、インドリル、インダゾリル、ベンゾイミダゾリル、キノリル及びイソキノリルからなる群から選択される。);
(4)−C6−10アリール;
(5)炭素環基(ここで、該炭素環基は、3〜8個の環原子を有し、場合により、(i)−C(=O)−環原子、(ii)S、N及びOからなる群から選択される1〜3個の環ヘテロ原子、及び、(iii)1つの炭素−炭素二重結合を有していてもよい。);
(6)ハロゲン;
(7)シアノ;
(8)−N
(9)−NO
(10)−OR7a
からなる群から選択され、
ここで、Rは、
(a)−C1−10アルキル;
(b)−C0−3アルキル−C3−8シクロアルキル;
(c)−C2−10アルケニル;
(d)−C2−10アルキニル,
(e)−C3−10シクロアルケニル;
及び
(f)−C3−10シクロアルキニル;
からなる群から選択され;
は、O、S、NR7a、−(C=O)−O−、−NR7a−S(=O)−、−S(=O)、−C(=O)−NR7a、−NR7a−C(=O)−からなる群から選択され;
該Rアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、シクロアルキニル基、炭素環基、アリール基及びヘテロアリール基は、置換されていないか、又は、1以上の
(a)ハロゲン;
(b)シアノ;
(c)−C1−6アルキル;
(d)−C2−6アルケニル;
(e)−C2−6アルキニル;
(f)−OR7a
(g)−C(=O)−O−R7a
(h)−C(=O)−R7a
(i)−C(=O)−NR7a7b
(j)−NR7a7b
(k)−NR7a−S(=O)−R7b
(l)−NR7a−C(=O)−R7b
(m)−NO
(n)−CH−C6−10アリール;
(o)−C6−10アリール;
(p)ヘテロアリール;
(q)−C3−8シクロアルキル;
(r)−C(=O)−N−SO8a
で置換されており;
アルキル基、アルケニル基及びアルキニル基は、1つ以上のQ基で、場合により、中断されていてもよく;
7a、R7b、R7C、R7d、R7e及びR7fは、
(1)水素;
(2)−C1−6アルキル;
(3)−C3−8シクロアルキル;
(4)−C6−10アリール;
及び
(5)−CH−C6−10アリール;
からなる群から選択され、但し、R7aとR7bが同一のN原子に結合している場合、R7aとR7bは、1個のN原子を有する炭素環式環を形成するために、それらが結合しているN原子を含んでいる4〜5の炭化水素鎖を形成してもよく;
ここで、該R7a〜R7fのアルキル基、シクロアルキル基又はアリール基は、置換されていないか、又は、1つ以上のハロゲン、−C1−6アルキル、−C1−6アルコキシ、ヒドロキシル、シアノ若しくは炭素環基(ここで、該炭素環基は、3〜8個の環原子を有し、場合により、(i)−C(=O)−環原子、(ii)S、N及びOからなる群から選択される1〜3個の環ヘテロ原子、及び、(iii)1つの炭素−炭素二重結合を有していてもよい。)で置換されており;
8a及びR8bは、独立して、
(1)−C1−6アルキル;
(2)−C6−10アリール;
及び
(3)−CH−C6−10アリール
からなる群から選択され、
ここで、該R8a及びR8bのアルキル基又はアリール基は、置換されていないか、又は、1つ以上のハロゲン、−C1−6アルキル、−C1−6アルコキシ、ヒドロキシル若しくはシアノで置換されており;
mは、0又は1であり;
nは、0又は1であり;
pは、0、1又は2であり;
rは、0、1、2又は3である。]
で表される化合物、並びに、これらの製薬上許容される塩、並びに、これらの個々のエナンチオマー及びジアステレオマーに関する。
【0010】
本発明の化合物の一実施形態では、Rは、水素である。
【0011】
本発明の化合物の別の実施形態では、Rは、
【0012】
【化11】

であり、mは、好ましくは、0である。この実施形態では、R1a、R1b、R1c、R1d及びR1eは、好ましくは、
(a)水素;
(b)ハロゲン;
(c)−OR8a(ここで、R8aは、C1−6アルキルである。);
及び
(d)−CHOH;
からなる群から選択される。この実施形態の別の好ましい群では、R1a、R1d及びR1eは、水素であり、且つ、R1b及びR1cは、独立して、
(a)水素;
(b)ハロゲン;
(c)−OR8a(ここで、R8aは、C1−6アルキルである。);
及び
(d)−CHOH;
からなる群から選択される。
【0013】
本発明の化合物の別の実施形態では、Rは、
【0014】
【化12】

[ここで、Qは、好ましくは、CHである。]
からなる群から選択される。代替的な実施形態では、Qは、C又はCの分枝鎖アルキルである。R2a、R2b、R2c、R2d及びR2eは、好ましくは、
(1)水素;
(2)−C1−6アルキル(ここで、該アルキルは、置換されていないか、又は、1つ以上のハロゲンで置換されている。);
(3)−O−R7a(ここで、R7aは、C1−6アルキルである。);
(4)−NO
(5)−C2−6アルケニル;
(6)−C1−6アルキル−C3−6シクロアルキル;
からなる群から選択される。この実施形態の、別の好ましい群では、R2a、R2b、R2c、R2d及びR2eは、それぞれ、水素である。
【0015】
本発明の化合物の別の実施形態では、R、R及びRは、独立して、
(1)水素;
(2)C1−10アルキル;
(3)C6−10アリール;
及び
(4)ハロゲン;
からなる群から選択される。この実施形態の、別の好ましい群では、R、R及びRは、それぞれ、水素である。
【0016】
本発明の化合物の別の実施形態では、本発明は、式(II):
【0017】
【化13】

[式中、R1a、R1b、R1c、R1d、R1e、R2a、R2b、R2c、R2d、R2e、R、R及びRは、上記で定義されているとおりである。]
で表される化合物、並びに、これらの製薬上許容される塩、並びに、これらの個々のエナンチオマー及びジアステレオマーに関する。
【0018】
本発明の別の実施形態には、以下の実施例の化合物から選択された化合物及びその製薬上許容される塩が包含される。
【0019】
本明細書で使用される場合、用語「アルキル」は、それ自体又は他の置換基の一部として、示されている数の炭素原子を有する直鎖又は分枝鎖の飽和炭化水素ラジカルを意味する(例えば、C1−10アルキルは、1〜10個の炭素原子を有するアルキル基を意味する。)。本発明で使用するのに好ましいアルキル基は、1〜6個の炭素原子を有するC1−6アルキル基である。例示的なアルキル基としては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、t−ブチル、ペンチル、ヘキシルなどがある。
【0020】
本明細書で使用される場合、用語「アルコキシ」は、それ自体又は他の置換基の一部として、示されている数の炭素原子を有する基−O−アルキル(ここで、アルキルは、上記で定義されている。)を意味する(例えば、C1−6アルコキシは、1〜6個の炭素原子を有するアルコキシ基を意味する。)。例示的な好ましいアルコキシ基としては、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、s−ブトキシ及びペントキシなどがある。
【0021】
本明細書で使用される場合、用語「アルケニル」は、それ自体又は他の置換基の一部として、1つの炭素−炭素二重結合及び示されている数の炭素原子を有する直鎖又は分枝鎖の炭化水素ラジカルを意味する(例えば、C2−10アルケニルは、2〜10個の炭素原子を有するアルケニル基を意味する。)。本発明で使用するのに好ましいアルケニル基は、2〜6個の炭素原子を有するC2−6アルケニル基である。例示的なアルケニル基としては、エテニル及びプロペニルなどがある。
【0022】
本明細書で使用される場合、用語「シクロアルキル」は、それ自体又は他の置換基の一部として、示されている数の炭素原子を有する飽和環式炭化水素ラジカルを意味する(例えば、C3−6シクロアルキルは、3〜8個の炭素原子を有するシクロアルキル基を意味する。)。例示的なシクロアルキル基としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル及びシクロヘキシルなどがある。
【0023】
本明細書で使用される場合、用語「シクロアルケニル」は、それ自体又は他の置換基の一部として、1つの炭素−炭素二重結合及び示されている数の炭素原子を有する環式炭化水素ラジカルを意味する(例えば、C3−8シクロアルケニルは、3〜8個の炭素原子を有するシクロアルケニル基を意味する。)。例示的なシクロアルケニル基としては、シクロプロペニル、シクロブテニル及びシクロペンテニルなどがある。
【0024】
本明細書で使用される場合、用語「シクロアルキニル」は、それ自体又は他の置換基の一部として、1つの炭素−炭素三重結合及び示されている数の炭素原子を有する環式炭化水素ラジカルを意味する(例えば、C3−8シクロアルキニルは、3〜8個の炭素原子を有するシクロアルキニル基を意味する。)。例示的なシクロアルケニル基としては、シクロプロピニル、シクロブチニル及びシクロペンチニルなどがある。
【0025】
本明細書で使用される場合、用語「炭素環式環」は、飽和又は不飽和の炭化水素環ラジカルを意味し、また、そのような「炭素環式環」としては、シクロアルキル、シクロアルケニル及びシクロアルキニルなどがある。用語「炭素環式環」は、本明細書で使用される場合、さらに、(i)−C(=O)−環原子、(ii)S、N及びOからなる群から選択される1〜3個の環ヘテロ原子又は(iii)1つの炭素−炭素二重結合を有してるヘテロ環式環構造も意味する。好ましいヘテロ環式環には、1〜3個のヘテロ原子を含んでいる3〜8個の環原子を有する環が包含される。例示的なヘテロ環式環としては、モルホリニル、ピロリジニル、ピラゾリジニル、イミダゾリジニル、ピペリジニル及びピペラジニルなどがある。
【0026】
本明細書において定義されているヘテロ環式炭素環式環が置換される場合、該置換基は、ヘテロ環式基の環炭素原子に結合し得るか、又は、置換可能な原子価を有している環ヘテロ原子に結合し得る。好ましくは、該置換基は、環炭素原子に結合する。同様に、ヘテロ環式炭素環式環が本明細書において置換基として定義されている場合、その結合点は、ヘテロ環式基の環炭素原子上にあり得るか、又は、結合可能な原子価を有している環ヘテロ原子(即ち、窒素、酸素又は硫黄)上にあり得る。好ましくは、環炭素原子上で結合する。
【0027】
本明細書で使用される場合、用語「アリール」は、それ自体又は他の置換基の一部として、示されている数の炭素原子を有する芳香族又は環式のラジカルを意味する(例えば、C6−10アリールは、6〜10個の炭素原子を有するアリール基を意味する。)。本発明で使用するのに好ましいアリール基としては、フェニル及びナフチルなどがある。
【0028】
用語「ハロ」又は「ハロゲン」には、フルオロ、クロロ、ブロモ及びヨードが包含される。
【0029】
本明細書で使用される場合、用語「ヘテロアリール」は、それ自体又は他の置換基の一部として、少なくとも1個の環ヘテロ原子(O、N又はS)を有する芳香族環式基を意味する。本発明で使用するための例示的なヘテロアリール基としては、フリル、ピラニル、ベンゾフラニル、イソベンゾフラニル、クロメニル、チエニル、ベンゾチオフェニル、ピロリル、ピラゾリル、イミダゾリル、ピリジル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、インドリル、インダゾリル、ベンゾイミダゾリル、キノリル及びイソキノリルなどがある。
【0030】
本明細書において定義されているヘテロアリール基が置換される場合、該置換基は、ヘテロアリール基の環炭素原子に結合し得るか、又は、置換可能な原子価を有している環ヘテロ原子(即ち、窒素、酸素又は硫黄)に結合し得る。好ましくは、該置換基は、環炭素原子に結合する。同様に、ヘテロアリール基が本明細書において置換基として定義されている場合、その結合点は、ヘテロアリール基の環炭素原子上にあり得るか、又は、結合可能な原子価を有している環ヘテロ原子(即ち、窒素、酸素又は硫黄)上にあり得る。好ましくは、環炭素原子上で結合する。
【0031】
本発明の化合物の一部は、少なくとも1の不斉中心を有している。当該分子の様々な置換基の種類に応じて、さらなる不斉中心も存在し得る。不斉中心を有している化合物では、エナンチオマー(光学異性体)、ジアステレオマー(立体配置異性体)又はこれら両方が生じる。混合状態にある可能な全てのエナンチオマー及びジアステレオマー、並びに、純粋な化合物又は部分的に純粋な化合物としての可能な全てのエナンチオマー及びジアステレオマーは、本発明の範囲内に包含されることが意図されている。本発明は、これらの化合物のそのような全ての異性体形態を包含するものである。
【0032】
エナンチオマー的若しくはジアステレオマー的に富化された化合物の独立した合成、又は、それらのクロマトグラフィー分離は、本明細書に開示されている方法を適切に修正することにより、当技術分野で知られているように行うことができる。これらの絶対立体化学は、結晶質生成物又は結晶質中間体(これらは、必用に応じて、絶対配置が知られている不斉中心を含んでいる試薬で誘導体化されている。)のX線結晶学により決定することができる。
【0033】
必用に応じ、本発明化合物のラセミ混合物を分離して、個々のエナンチオマーを単離することができる。そのような分離は、当技術分野でよく知られている方法により、例えば、化合物のラセミ混合物をエナンチオマー的に純粋な化合物にカップリングさせてジアステレオマー混合物を形成させ、次いで、標準的な方法(例えば、分別結晶又はクロマトグラフィー)で個々のジアステレオマーを分離することにより、実施することができる。そのようなカップリング反応は、多くの場合、エナンチオマー的に純粋な酸又は塩基を用いた塩の形成である。そのジアステレオマー誘導体は、次いで、付加させたキラル残基を切断することにより純粋なエナンチオマーに変換することができる。該化合物のラセミ混合物は、さらにまた、キラル固定相を用いるクロマトグラフィー法によって直接的に分離させることも可能である。そのような方法は、当技術分野ではよく知られている。
【0034】
あるいは、特定化合物の任意のエナンチオマーは、立体配置が知られている光学的に純粋な出発物質又は試薬を当技術分野でよく知られている方法で使用する立体選択的合成により、得ることができる。
【0035】
本発明において特許請求されている化合物は、以下の一般的な方法A〜D及び特定の実施例1〜4に従って、調製することができる。
【0036】
一般的方法A
【0037】
【化14】

【0038】
上記に示してある方法Aは、適切に置換されているアセチレをヒドロスタンニル化することから始めて、ビニルスタンナンiiを生成させる。これを、ハロゲン化アミノピリジン誘導体(Xは、ハロゲンを表す)とカップリングさせて、ビニルピリジンiiiを得ることができる。その二重結合は、還元することが可能であり、また、保護基は、既知方法を用いて除去することができる。次いで、得られたアミノピリジンを、求電子性ハロゲン化源(例えば、NBS)でハロゲン化して、位置異性体ハロゲン化物v−a及びv−bを得ることができる。これらを、触媒としてのパラジウム源の存在下で、適切に官能基化されている有機金属試薬とカップリングさせて、生成物vi−a及びvi−bを得ることができる。
【0039】
一般的方法B
【0040】
【化15】

【0041】
上記に示してある一般的方法Bは、Rが上記で記載したパラグラフ(4)の基から選択される化合物を調製するための、同様のプロトコルについて略述している。方法Bにおける基R2’は、QがCHである場合のパラグラフ(4)のR基のフェニル部分を表している。Qが分枝鎖C1−4アルキルである場合、同様の方法を用いることができる。
【0042】
方法Bは、保護されているブロモピリジン誘導体と末端アセチレンの間のPdが介在するカップリングから始めて、中間体viiを生成させる。これを、水素化トリブチルスズとパラジウム(II)源でヒドロスタンニル化することができる。得られたビニルスタンナンviiを、適切な触媒の存在下で、ハロゲン化アリール又はアリールトリフラートとカップリングさせて、中間体ixを生成させることができる。ixの二重結合は、水素化することが可能であり、また、保護基は、適切な方法を用いて除去することができる。
【0043】
一般的方法C
【0044】
【化16】

【0045】
方法Cは、方法Bと同様に、Rが上記で記載したパラグラフ(4)の基から選択される化合物の合成について表している。方法Cは、n−BuLiを用いた2−クロロピリジンの金属化と、それに続く、対応するケトンxiを生成可能な試薬(例えば、N,N−ジメチルベンズアミド誘導体など)による6−リチオ誘導体のクエンチングを含んでいる。xiを標準的なウィッティッヒプロトコルを用いてオレフィン化することにより、直接的にxiiiを生成させることが可能であるか、又は、2段階のハロオレフィン化/カップリングプロトコルによってxiiiを生成させることができる。次いで、パラジウムが介在するアミノ化反応を用いて、クロロピリジンxiiiをそのアミノ誘導体に変換することができる。次いで、接触水素化により二重結合を還元することで、化合物xvを生成させることができる。
【0046】
一般的方法D
【0047】
【化17】

【0048】
上記で表されている方法Dでは、適切に官能基化されているクロロピリジン誘導体と置換されているベンジルグリニャール試薬又はベンジル亜鉛試薬の、パラジウムが介在するカップリングを利用する。n−BuLi、LDA又はKOtBuなどの塩基を用いて中間体xviをアルキル化して、xviiを得ることができる。次いで、パラジウムが介在するアミノ化反応を用いて、そのクロロピリジンをそのアミノ誘導体に変換することができる。
【0049】
用語「実質的に純粋な」は、単離された物質が、当技術分野で既知の分析技術で分析して、少なくとも90%純粋、好ましくは、95%純粋、さらに好ましくは、99%純粋であることを意味する。
【0050】
用語「製薬上許容される塩」は、無機塩基又は有機塩基及び無機酸又は有機酸を包含する製薬上許容される非毒性の塩基又は酸から調製された塩を意味する。本発明の化合物は、該化合物の遊離塩基形態中に存在している酸官能性の数に応じて、モノ塩、ジ塩又はトリス塩であり得る。無機塩基から誘導された遊離塩基及び塩には、アルミニウム、アンモニウム、カルシウム、銅、第二鉄、第一鉄、リチウム、マグネシウム、第二マンガン塩、第一マンガン、カリウム、ナトリウム、亜鉛などが包含される。アンモニウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、カリウム塩及びナトリウム塩が特に好ましい。固体形態にある塩は、2種以上の結晶構造で存在することができ、また、水和物の形態であることもできる。製薬上許容される有機非毒性塩基から誘導される塩としては、第一級、第二級及び第三級のアミン類、天然の置換アミン類を包含する置換アミン類、環状アミン類並びに塩基性イオン交換樹脂、例えば、アルギニン、ベタイン、カフェイン、コリン、N,N’−ジベンジルエチレンジアミン、ジエチルアミン、2−ジエチルアミノエタノール、2−ジメチルアミノエタノール、エタノールアミン、エチレンジアミン、N−エチルモルホリン、N−エチルピペリジン、グルカミン、グルコサミン、ヒスチジン、ヒドラバミン、イソプロピルアミン、リシン、メチルグルカミン、モルホリン、ピペラジン、ピペリジン、ポリアミン樹脂、プロカイン、プリン類、テオブロミン、トリエチルアミン、トリメチルアミン、トリプロピルアミン、トロメタミンの塩などがある。本発明の化合物が塩基性である場合、塩は、無機酸及び有機酸を包含する製薬上許容される非毒性酸から調製することができる。そのような酸としては、酢酸、トリフルオロ酢酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、カンファースルホン酸、クエン酸、エタンスルホン酸、フマル酸、グルコン酸、グルタミン酸、臭化水素酸、塩酸、イセチオン酸、乳酸、マレイン酸、リンゴ酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、粘液酸、硝酸、パモ酸、パントテン酸、リン酸、コハク酸、硫酸、酒石酸及びp−トルエンスルホン酸などがある。クエン酸、臭化水素酸、塩酸、トリフルオロ酢酸、マレイン酸、リン酸、硫酸、フマル酸及び酒石酸が特に好ましい。
【0051】
本発明は、β−セクレターゼ酵素活性又はβ−部位アミロイド前駆体タンパク質切断酵素(「BACE」)活性の阻害が必要な患者又は被検者(例えば、哺乳動物)におけるそのような酵素活性の阻害薬としての、本明細書に開示されている化合物の使用に関し、ここで、該使用は、有効量の該化合物を投与することを含む。用語「β−セクレターゼ酵素」、「β−部位アミロイド前駆体タンパク質切断酵素」及び「BACE」は、本明細書においては、交換可能に使用される。ヒトに加えて、さまざまな他の哺乳動物を、本発明の方法に従って治療することができる。
【0052】
本発明は、さらに、ヒト及び動物におけるβ−セクレターゼ酵素活性を阻害するための薬物又は組成物を製造する方法にも関し、ここで、該方法は、本発明の化合物を製薬上許容される担体又は希釈剤と合することを含む。
【0053】
本発明の化合物は、アルツハイマー病の治療、改善、制御において、又は、アルツハイマー病のリスクの低減において有用である。例えば、該化合物は、アルツハイマー型の痴呆を予防するのに有用であり得るとともに、アルツハイマー型の早期、中期又は後期痴呆を治療するのに有用であり得る。該化合物は、さらにまた、アミロイド前駆体タンパク質(「APP」とも称される)の異常切断が介在する疾患、及び、β−セクレターゼを阻害することにより治療若しくは予防が可能な他の状態の、治療、改善、制御において、又は、そのような疾患若しくは状態のリスクの低減において有用であり得る。そのような状態としては、軽度の認知障害、21トリソミー(ダウン症候群)、脳アミロイド血管障害、退行性痴呆、Dutch−Typeのアミロイド症に伴う脳出血(HCHWA−D)、クロイツフェルト−ヤコブ病、プリオン病、筋萎縮性側索硬化症、進行性核上性麻痺、頭部外傷、卒中、ダウン症候群、膵臓炎、封入体筋炎、他の末梢性アミロイド症、糖尿病及びアテローム性動脈硬化症などがある。
【0054】
本発明の化合物が投与される被検者又は患者は、一般に、β−セクレターゼ酵素活性の阻害が望まれるヒト(男性又は女性)であるが、そのような被検者又は患者には、β−セクレターゼ酵素活性の阻害又は上記疾患の治療が望まれる他の哺乳動物、例えば、イヌ、ネコ、マウス、ラット、ウシ、ウマ、ヒツジ、ウサギ、サル、チンパンジー又は他の類人猿若しくは霊長類も包含され得る。
【0055】
本発明の化合物は、本発明の化合物が有用性を示す疾患又は状態の治療において、1種類以上の別の薬物と組み合わせて使用することが可能であり、ここで、該薬物を一緒に組み合わせることは、何れかの薬物単独よりも安全であるか又はより有効である。さらに、本発明の化合物は、本発明化合物の副作用若しくは毒性を治療し、予防し、制御し、改善し、又は、本発明化合物の副作用若しくは毒性のリスクを低減する、1種類以上の別の薬物と組み合わせて使用することもできる。そのような別の薬物は、それらについて一般的に使用される経路及び量で、本発明の化合物と同時に又は逐次的に投与することができる。従って、本発明の医薬組成物には、本発明の化合物に加えて1種類以上の別の活性成分を含有するものが包含される。そのような組合せは、単位投与形態組合せ生成物の一部として投与し得るか、又は、1種類以上の追加の薬物を治療計画の一部として別個の投与形態で投与するキット若しくは治療プロトコルとして投与し得る。
【0056】
本発明化合物と別の薬物の単位用量又はキットの形態にある組合せの例としては、以下のものとの組合せなどがある:抗アルツハイマー薬、例えば、別のβ−セクレターゼ阻害薬又はγ−セクレターゼ阻害薬;タウリン酸化阻害薬;Aβオリゴマー形成の遮断薬;p25/CDK5阻害薬;NK1/NK3受容体拮抗薬;HMG−CoAレダクターゼ阻害薬;NSAID類、例えば、イブプロフェン;ビタミンE;抗アミロイド抗体、例えば、抗アミロイドヒト化モノクローナル抗体;COX−2阻害薬;抗炎症性化合物、例えば、(R)−フルルビプロフェン;CB−1受容体拮抗薬又はCB−1受容体逆作動薬;抗生物質、例えば、ドキシサイクリン及びリファンピン;N−メチル−D−アスパラギン酸(NMDA)受容体拮抗薬、例えば、メマンチン及びネラメキサン;NR2B拮抗薬;アンドロゲン受容体モジュレーター;アセチルコリンエステラーゼ阻害薬、例えば、ガランタミン、リバスティグミン、ドネペジル及びタクリン;mGluR5モジュレーター;成長ホルモン分泌促進薬、例えば、イブタモレン、メシル酸イブタモレン及びカプロモレリン(capromorelin);ヒスタミンH3拮抗薬;AMPA作動薬;PDE IV阻害薬;GABA逆作動薬;GABAα5受容体リガンド;GABA受容体リガンド;カリウムチャンネル遮断薬;神経細胞ニコチン性作動薬(neuronal nicotinic agonists);P−450阻害薬、例えば、リトナビル;又は、本発明の化合物の効能、安全性、利便性を増加させるか又は望ましくない副作用若しくは毒性を低減させる受容体又は酵素に影響を与える他の薬物。組合せの上記のリストは、例示のみであり、決して限定であることを意図しない。
【0057】
本明細書で使用される場合、用語「組成物」は、指定された成分を所定の量又は割合で含んでいる製品、及び、指定された量の指定された成分の組合せから直接的に又は間接的に得られる任意の製品を包含することが意図されている。この用語は、医薬組成物に関連して、1種類以上の活性成分及び不活性成分を含む任意の担体を含有する製品、並びに、何れか2種類以上の成分の組合せ、複合体生成若しくは凝集から、又は、1種類以上の成分の解離から、又は、1種類以上の成分の他のタイプの反応若しくは相互作用から、直接的に又は間接的に得られる全ての製品を包含することが意図されている。一般に、医薬組成物は、活性成分を、液体担体又は微粉化固体担体又は液体担体及び微粉化固体担体の両方と、均一且つ緊密に混合し、次いで、その生成物を、必要に応じて、所望の製剤に成形することによって調製する。該医薬組成物において、活性対象化合物は、疾患の過程又は状態に対して所望の効果をもたらすのに十分な量で含有されている。従って、本発明の医薬組成物は、本発明の化合物と製薬上許容される担体を混合することにより製造された全ての組成物を包含する。
【0058】
経口で用いることが意図されている医薬組成物は、医薬組成物の製造に関する技術分野で既知のいずれかの方法に従って調製することが可能であり、そのような組成物には、甘味剤、香味剤、着色剤及び保存剤からなる群から選択された1種類以上の薬剤を含有させて、医薬として外観及び風味が良い調製物を提供することができる。錠剤には、錠剤の製造に適した製薬上許容される非毒性の賦形剤と混合した状態で活性成分を含有させ得る。これらの賦形剤は、例えば、不活性希釈剤、例えば、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、ラクトース、リン酸カルシウム又はリン酸ナトリウム;造粒剤及び崩壊剤、例えば、コーンスターチ又はアルギン酸;結合剤、例えば、デンプン、ゼラチン又はアラビアゴム、及び、滑沢剤、例えば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸又はタルクなどであり得る。錠剤には、コーティングを施さなくてもよいか、又は、胃腸管内での崩壊及び吸収を遅延させ、それによって、長期間に亘る持続的な作用を提供するために、既知技術によってコーティングを施してもよい。
【0059】
経口で使用するための組成物は、さらにまた、活性成分が不活性固体希釈剤(例えば、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム又はカオリン)と混合されている硬質ゼラチンカプセルとしても供することができるか、又は、活性成分が水若しくは油性媒体(例えば、ラッカセイ油、液体パラフィン又はオリーブ油)と混合されている軟質ゼラチンカプセルとしも供することができる。
【0060】
他の医薬組成物には、活性物質を水性懸濁液の製造に適している賦形剤と混合した状態で含有している水性懸濁液剤などがある。さらに、油性懸濁液剤は、活性成分を、植物油(例えば、ラッカセイ油、オリーブ油、ゴマ油又はヤシ油)中に懸濁させるか、又は、鉱油(例えば、液体パラフィン)中に懸濁させることにより、製剤することができる。油性懸濁液剤には、さらに、種々の賦形剤を含ませることもできる。本発明の医薬組成物は、さらにまた、水中油滴型エマルションの形態であってもよく、これには、また、甘味剤及び矯味矯臭剤のような賦形剤を含有させてもよい。
【0061】
該医薬組成物は、無菌の注射可能な水性若しくは油性の懸濁液の形態(そのような懸濁液の形態は、既知技術に従って製剤することができる)であることができるか、又は、薬物を直腸内投与するための坐剤の形態で投与することもできる。
【0062】
本発明の化合物は、さらにまた、当業者には既知の吸入装置による吸入により投与することもできるか、又は、経皮パッチにより投与することもできる。
【0063】
「製薬上許容される」は、担体、希釈剤又は賦形剤が、当該製剤の残りの成分と適合性でなくてはならず、また、そのレシピエントに対して有害であってはならないことを意味する。
【0064】
用語「(化合物の)投与」又は「(化合物を)投与する」は、本発明の化合物を、治療が必要な個体に、その個体の体の中に治療的に有用な形態及び治療的に有用な量で導入することができる投与形態で与えることを意味すると理解されるべきであり、ここで、そのような投与形態としては、限定するものではないが、経口投与形態、例えば、錠剤、カプセル剤、シロップ剤、懸濁液剤など;注射可能投与形態、例えば、IV、IM又はIPなど;経皮投与形態、例えば、クリーム剤、ジェリー剤、散剤又はパッチ剤など;口腔内投与形態;吸入散剤、スプレー剤、懸濁液剤など;及び、直腸坐剤などを挙げることができる。
【0065】
用語「有効量」又は「治療上有効量」は、研究者、獣医、医師又は他の臨床家によって求められている、組織、系、動物又はヒトの生物学的又は医学的応答を引き出す対象化合物の量を意味する。
【0066】
本明細書で使用される場合、用語「治療」又は「治療する」は、本発明の化合物の任意の投与を意味し、これには、(1)疾患の病状又は総体的症状を経験している又は示している動物における疾患を阻害すること(即ち、病状及び/又は症状のさらなる進行を抑止すること)、又は、(2)疾患の病状又は総体的症状を経験している又は示している動物における疾患を改善すること(即ち、病状及び/又は症状を逆転させること)が包含される。用語「制御する」には、制御される状態の重症度を、予防すること、治療すること、根絶すること、改善すること又は他の方法で低減させることが包含される。
【0067】
本発明の化合物を含有する組成物は、好都合には、単位投与形態で提供することができ、また、調剤学の技術分野において周知であるいずれかの方法によって製剤することができる。用語「単位投与形態」は、全ての活性成分及び不活性成分が適切なシステム内で組み合わされていて、患者又は患者に薬物を投与するヒトが、その中に全用量を含んでいる1つの容器又はパッケージを開けることができ、また、2つ以上の容器又はパッケージからの如何なる成分も一緒に混合する必要がない、単一用量を意味する。単位投与形態の典型的な例は、経口投与用の錠剤若しくはカプセル剤、注射用の1回用量バイアル、又は、直腸内投与用の坐剤である。単位投与形態のこのリストは、決して限定することを意図せず、単に単位投与形態の典型的な例を表すことを意図している。
【0068】
本発明の化合物を含有する組成物は、好都合には、キットとして提供することが可能であり、その場合、2種類以上の成分(これらは、活性成分又は非活性成分、担体、希釈剤などであり得る)が、患者又は患者に薬物を投与するヒトが実際の投与形態を調製するための指示書と共に提供される。そのようなキットには、必要な全ての物質及び成分を含有させ得るか、又は、それらには、患者又は患者に薬物を投与するヒトが独立に得なくてはならない物質又は成分を使用する又は作るための指示書を含ませ得る。
【0069】
本発明化合物の適応症であるアルツハイマー病又は他の疾患を治療、改善、制御するか、又は、それら疾患のリスクを低減する場合、本発明の化合物を、動物の体重1kg当たり、約0.1mg〜約100mgの1日用量で、好ましくは、1日1回投与として又は1日当たり2から6回の分割投与で又は持続放出形態で投与すれば、一般的に満足できる結果が得られる。総1日用量は、体重1kg当たり、約1.0mg〜約2000mg、好ましくは、約0.1mg〜約20mgである。70kgの成人ヒトの場合、総1日用量は、一般に、約7mg〜約1,400mgとなる。この用法は、最適な治療応答を与えるように調節することができる。本発明の化合物は、1日当たり1〜4回、好ましくは、1日当たり1回又は2回の投与計画で投与することができる。
【0070】
本発明化合物又はその製薬上許容される塩の特定の投与量としては、1mg、5mg、10mg、30mg、80mg、100mg、150mg、300mg及び500mgなどがある。本発明の医薬組成物は、約0.5mg〜1000mgの活性成分を含んでいる製剤、さらに好ましくは、約0.5mg〜500mgの活性成分、又は、0.5mg〜250mgの活性成分、又は、1mg〜100mgの活性成分を含んでいる製剤として提供することができる。治療に有用な特定の医薬組成物には、約1mg、5mg、10mg、30mg、80mg、100mg、150mg、300mg及び500mgの活性成分を含有させることができる。
【0071】
しかしながら、任意の特定の患者についての特定の用量レベル及び投与の頻度は、さまざまであることができ、それらは、使用する特定の化合物の活性、その化合物の代謝安定性及び作用の長さ、年齢、体重、一般的健康状態、性別、食事、投与の方法及び時間、排泄速度、薬物組合せ、特定の状態の重症度、並びに、治療を受ける宿主などのさまざまな要因に依存するということは、理解される。
【0072】
β−セクレターゼ酵素活性の阻害薬としての本発明化合物の有用性は、当技術分野で既知の方法によって示すことができる。酵素阻害は以下のようにして求められる。
【0073】
ECLアッセイ: ビオチニル化BACE基質を用いた均一終点電気化学ルミネセンス(ECL)アッセイ(homogeneous end point electrochemiluminescence assay)を使用する。この基質のKmは、100μMより大きく、その基質の溶解度の限界に起因して測定不可能である。典型的な反応物には、約0.1nMの酵素、0.25μMの基質及びバッファー(50mM NaOAc、pH4.5、0.1mg/mL BSA、0.2% CHAPS、15mM EDTA 及び 1mM デフェロキサミン)が総反応容積100μLで含まれている。30分間反応させ、次いで、25μLの1M Tris−HCl(pH8.0)を添加して反応を停止させる。酵素的に得られた生成物について、該生成物のC−末端残基を特異的に認識するルテニウム化抗体(ruthenylated antibody)を添加することにより、アッセイする。その溶液に、ストレプトアビジンでコーティングした磁気ビーズを添加し、サンプルを、M−384(Igen Inc., Gaithersburg, MD)分析に付す。これらの条件下、基質の10%未満がBACE1によりプロセシングされる。これらの試験に使用する酵素は、バキュロウイルス発現系で産生させた、可溶性(膜貫通ドメイン及び細胞質伸長(cytoplasmic extension)は除く)のヒトタンパク質である。化合物の阻害能力を測定するために、反応混合物中に、阻害薬のDMSO溶液(100μMから開始して3倍連続希釈することにより、阻害薬の12種の濃度を調製した)を含ませる(最終DMSO濃度は、10%)。全ての実験は、室温で、上記で記載した標準的な反応条件を用いて行う。化合物のIC50を求めるために、4パラメータ式を用いて曲線当てはめを行う。解離定数を再現する際の誤差は、典型的に2倍未満である。
【0074】
HPLCアッセイ: BACE1により切断されてクマリンが結合しているN−末端フラグメントを放出する基質(クマリン−CO−REVNFEVEFR)と一緒に、均一終点HPLCアッセイを使用する。この基質のKmは、100μMより大きく、その基質の溶解度の限界に起因して測定不可能である。典型的な反応物には、約2nMの酵素、1.0μMの基質及びバッファー(50mM NaOAc、pH4.5、0.1mg/mL BSA、0.2% CHAPS、15mM EDTA 及び 1mM デフェロキサミン)が総反応容積100μLで含まれている。30分間反応させ、次いで、25μLの1M Tris−HCl(pH8.0)を添加して反応を停止させる。得られた反応混合物をHPLCにロードし、5分間の直線勾配で、生成物を基質から分離させる。これらの条件下で、基質の10%未満がBACE1によってプロセシングされる。これらの試験に使用する酵素は、バキュロウイルス発現系で産生させた、可溶性(膜貫通ドメイン及び細胞質伸長(cytoplasmic extension)は除く)のヒトタンパク質である。化合物の阻害能力を測定するために、反応混合物中に、阻害薬のDMSO溶液(阻害薬の12種の濃度を調製し、その濃度範囲は、ECLによって予測される効力に依存する)を含ませる(最終DMSO濃度は、10%)。全ての実験は、室温で、上記で記載した標準的な反応条件を用いて行う。化合物のIC50を求めるために、4パラメータ式を用いて曲線当てはめを行う。解離定数を再現する際の誤差は、典型的に2倍未満である。
【0075】
以下の実施例の化合物は、上記アッセイにおいて、一般に、約1nM〜100μMのIC50で、β−セクレターゼ酵素の阻害活性を示した。このような結果は、β−セクレターゼ酵素活性の阻害剤として使用する際の本発明化合物の固有活性を暗示している。
【0076】
本発明化合物を調製するための数種類の方法について、以下のスキーム及び実施例において例示する。出発物質は、当技術分野で既知の方法により調製するか、又は、本明細書に例示したようにして調製する。以下の実施例は、本発明を一層完全に理解できるように提供される。これらの実施例は、例示のみであり、決して本発明を限定するものと解釈されるべきではない。
【0077】
実施例1は、方法Aに従う合成を例証しており、実施例2は、方法Bに従う合成を例証しており、実施例3は、方法Cに従う合成を例証しており、実施例4は、方法Dに従う合成を例証している。
【0078】
以下の略号を、本明細書を通して使用する。
【0079】
【表1】

【実施例】
【0080】
実施例1: 6−(l,2−ジフェニルエチル)−5−フェニルピリジン−2−アミン
【0081】
【化18】

【0082】
ステップA: 15mLのTHF中に1.78g(10.0mmol)のジフェニルアセチレン及び0.071g(11.0mmol)のジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)を含んでいる溶液に、室温で、2.95mLの水素化トリウブチルスズを滴下して加えた。得られた暗褐色の混合物を90分間撹拌し、次いで、濃縮し、クロマトグラフィー(ヘキサン)に付して、所望のビニルスタンナンを無色の油状物として得た。H NMR(CDCl)δ 7.27−6.95(m,10H),6.65(s,1H),1.51(m,6H),1.25(m,6H),0.95(m,6H),0.84(m,9H)。
【0083】
ステップB: ステップAで得たビニルスタンナン(350mg,0.747mmol)及び128mg(0.498mmol)の6−ブロモ−2−ピバロイルアミノピリジン(参照)を4mLのDMFに溶解させた溶液を脱ガスし、それに、5.0mg(0.020mmol)のジクロロビス(アセトニトリル)パラジウム(II)を添加した。得られた反応混合物を、18時間にわたり加熱した後、冷却し、濃縮した。暗色の残渣を、クロマトグラフィー(4:1 ヘキサン/EtOAc)に付して、所望のオレフィンを白色の固体として得た。LCMS(M+l)=357.20。
【0084】
ステップC: 50mLの(1:1)メタノール/THF中にステップBで得た1.0g(2.81mmol)のオレフィンを含んでいる溶液を、STPで、1.0gの炭素担持10%Pdを用いて水素化した。5時間経過した後、濾過により触媒を除去し、濾液を蒸発させて、油状物とした。これは、それ以上精製することなく、使用した。LCMS(M+l)=359.21。この油状物を、30mLのTHFと30mLの3N HClに再溶解させ、70℃で50時間にわたり加熱した。その反応混合物を冷却し、減圧下にTHFを除去した。固形のNaOHペレットを添加し(pH=10)、得られた混合物をジクロロメタン(3×30mL)で抽出した。有機物を合し、MgSOで脱水し、クロマトグラフィー(1:2 EtOAc/Hex)に付して、所望のアミノピリジンを白色の固体として得た。LCMS(M+H)=275.24。H NMR(CDCl)δ 7.41−7.03(m,10H),6.48(d,J=6.8Hz,1H),6.26(d,J=6.8Hz,1H),4.61(bs,2H),4.19(t,J=8.0Hz,1H),3.55(dd,J=14,7.5Hz,1H),3.25(dd,J=14,9.5Hz,1H)。
【0085】
ステップD: ステップCで得たアミノピリジン(170mg,0.62mmol)を4mLのDMFに溶解させた溶液を、110mg(0.62mmol)のNBSで処理し、その反応混合物を、30分間撹拌した。その反応混合物を、50mLのエーテルで希釈し、水(7×10mL)で洗浄し、次いで、ブラインで洗浄した。有機相を、MgSOで脱水し、蒸発させて、油状物とした。その油状物を、カラムクロマトグラフィー(2:1 Hex/EtOAc)で精製して、5−ブロモ誘導体を得た。H NMR(CDCl)δ 7.41−7.08(m,11H),6.18(d,J=7.2Hz,1H),4.69(t,J=8.0Hz,1H),4.41(bs,2H),3.61(dd,J=14,7.5Hz,1H),3.32(dd,J=14,9.5Hz,1H)。
【0086】
ステップE: 2mLのDMF中にステップDで得た90.0mg(0.255mmol)の臭化物及び140mg(0.382mmol)のフェニルトリブチルスズを含んでいる溶液を脱ガスし、18.0mg(0.025mmol)のジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)で処理した。得られた反応混合物を、100℃で18時間加熱した後、冷却し、20mLのエーテルで希釈した。その有機混合物を水(7×3mL)で洗浄し、次いで、ブラインで洗浄した。カラムクロマトグラフィー(1:1 ヘキサン/EtOAc)に付し、得られた透明なフラクションをエーテル中の過剰量のHCl(1M)で処理して、所望のアミノピリジン塩酸塩を白色の固体として得た。LRMS(M+H)=351.20。H NMR(CDOD)δ 7.64(d,J=9.0Hz,1H),7.41−7.18(m,11H),6.97(m,2H),6.88(d,J=9.0Hz,1H),6.78(m,2H),4.69(dd,J=10.2,6.3Hz,1H),3.52(m,1H),3.30(bt,J=1.5Hz,1H)。
【0087】
実施例2: 6−[1−(3,4−ジメトキシフェニル)−2−フェニルエチル]ピリジン−2−アミン
【0088】
【化19】

【0089】
ステップA: 6−ブロモ−2−ピバロイルアミノピリジン(1.0g,3.89mmol)をn−プロピルアミンに溶解させた溶液に、窒素下、フェニルアセチレン(0.427mL,3.89mmol)及びテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(90.0mg,0.078mmol)を添加した。60℃で17時間加熱した後、反応混合物を冷却し、濃縮した。得られた粗物質を、クロマトグラフィー(9:1のヘキサン/EtOAcから100%EtOAcまで)に付して、980mgの所望のアルキンを得た。LCMS(M+H)=279。
【0090】
ステップB: ステップAで得たアルキン(0.47g,1.69mmol)及びジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)(12mg,0.017mmolを乾燥THF(5mL)に溶解させ、次いで、水素化トリ−n−ブチルスズ(0.501mL,1.86mmol)を滴下して加えた。その反応物を、周囲温度で16時間撹拌し、濃縮し、シリカゲルカラムにロードした。ヘキサンから9:1のヘキサン/EtOAcまでの勾配で溶離させて、2種類の位置異性体のスタンナンを1:1の混合物として得た。極性が低い方の異性体が所望の化合物であることが分かった。LCMS(M+H)=571.33。H NMR(CDCl)δ 7.94(d,J=8.15,1H),7.92(s,1H),7.45(t,1H),7.15(m,3H),7.06(m,2H),6.82(s,1H),6.66(d,J=7.51,1H),1.49(m,6H),1.31(m,16H),0.97(m,5H),0.87(m,9H)。
【0091】
ステップC: ステップBで得たスタンナン(108mg,0.19mmol)、4−ブロモベラトロール(41mg,0.19mmol)及び1.0mLのDMFからなる溶液を脱ガスし、それに、13.3mg(0.019mmol)のジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)(10%)を添加した。95℃で16時間加熱した後、その反応混合物を冷却し、シリカゲルカラムに直接ロードして(7:3のヘキサン/EtOAcからEtOAcまで)、所望の中間体を得た。LCMS(M+H)=417.17。
【0092】
ステップD: ステップCで得たアルケン(50.0mg,0.12mmol)及び50mgの炭素担持10%Pdを1:1のEtOAc/MeOH(20mL)に溶解させ、水素雰囲気下で2日間撹拌した。その反応混合物をセライトで濾過し、メタノールで濯ぎ洗いし、蒸発させて、所望の化合物を無色の油状物として得た。LCMS(M+H)=419.20。
【0093】
ステップE: ステップDで得たアミノピリジンを、1:1のTHF/3N HCl中で、80℃で2日間にわたり脱保護した。その反応混合物を、NaOHのペレットを用いて塩基性とし、濃縮した。逆相クロマトグラフィーに付して、所望の化合物のTFA塩を白色の固体として得た。LCMS(M+H)=335.18。H NMR(CDOD)δ 7.84(m,1H),7.16(m,5H),6.96(m,1H),6.89(m,1H),6.80(m,3H),4.32(m,1H),3.79(s,3H),3.74(s,3H),3.43(m,1H),3.35(m,1H)。
【0094】
実施例3: 6−[1−(4−メトキシフェニル)−2−フェニルエチル]ピリジン−2−アミン
【0095】
【化20】

【0096】
ステップA: 2−ジメチルアミノエタノール(25.6mL,254mmol)をヘキサン(240mL)に溶解させた溶液を、窒素下、0℃まで冷却し、n−BuLi(2.5M,509mmol)を滴下して加えた。その溶液を、0℃で30分間撹拌し、次いで、−78℃まで冷却した。2−クロロピリジン(9.63g,84.9mmol)をヘキサン(150mL)に溶解させた溶液を滴下して加えた。−78℃で1時間撹拌した後、THF(150mL)中に入れた4−メトキシ−N,N−ジメチルベンズアミド(15.2g,84.9)を滴下して加え、その溶液を、1時間、ゆっくりと0℃まで昇温させた。その混合物を、0℃で、水(500mL)で加水分解した。水層を、エーテルで抽出し、次いで、CHClで抽出した。有機物をNaSOで脱水し、シリカゲルカラム(9:1 ヘキサン/EtOAc)で精製して、所望のケトンを得た。H NMR(CDCl)δ 8.16(d,J=8.9Hz,2H),7.92(d,J=7.5Hz,1H),7.85(t,J=7.6Hz,1H),7.51(d,J=6.9Hz,1H),6.98(d,J=8.9Hz,2H),3.89(s,3H)。LRMS(M+H)=248.1。
【0097】
ステップB: (ブロモメチル)トリフェニルホスホニウム(6.34g,14.5mmol)をTHF(100mL)に溶解させた溶液を撹拌しながら、それに、−78℃で、カリウムt−ブトキシド(THF中1.0M,17.4mmol)を添加した。その混合物を−78℃で1時間撹拌した後、(6−クロロピリジン−2−イル)(4−メトキシフェニル)メタノン(2.88g,11.6mmol)をTHF(5mL)に溶解させた溶液を添加した。得られた混合物を、室温で2時間撹拌した。その反応物を、水でクエンチし、エーテル(2×50mL)で抽出した。有機物を合してNaSOで脱水し、シリカゲルカラム(9:1 ヘキサン/EtOAc)で精製して、1.4:1の比率のE異性体とZ異性体を得た。H NMR(CDCl)δ 7.71(t,J=7.7Hz,1H),7.29−7.33(m,2H),7.14(d,J=8.7Hz,2H),6.82(d,J=8.9Hz,2H),6.80(s,1H),3.80(s,3H)。 LRMS(M+H)=325.9。
【0098】
ステップC: ステップBで得たビニルブロミド(22mg,0.068mmol)及びトリブチルフェニルスズ(25mg,0.068mmol)をDMF(2mL)に溶解させた溶液を脱ガスし、それに、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)(2.0mg,0.003mmol)を添加した。その溶液を、アルゴン下、85℃で、一晩撹拌した。その溶液を冷却し、濾過し、逆相HPLCで精製して、該オレフィンを得た。H NMR(CDCl)δ 7.57(t,J=7.7Hz,1H),7.28(d,J=7.8Hz,1H),7.20(d,J=8.7Hz,2H),7.10−7.18(m,4H),7.06(s,1H),6.95−6.98(m,2H),6.86(d,J=8.7Hz,2H),3.81(s,3H)。LRMS(M+H)=322.0。
【0099】
ステップD: アルゴンを充填したバイアル瓶に、ステップCで得たクロロピリジン(47mg,0.146mmol)、Pd(dba)(7.0mg,0.007mmol)、2−(ジ−シクロヘキシル)ホスフィノビフェニル(6.0mg,0.018mmol)及びLiHMDS(THF中1.0M,0.175mmol)を入れ、65℃で一晩撹拌した。その反応物を室温まで冷却し、1N HClでクエンチし、5分間撹拌した後、1N NaOHで中和した。その混合物をCHCl(3×15mL)で抽出した。有機物を合してNaSOで脱水し、濃縮し、逆相HPLCで精製して、所望のアミノピリジンTFA塩を得た。H NMR(CDCl)δ 7.68(t,J=8.0Hz,1H),7.22−7.27(m,5H),7.16(s,1H),7.04−7.08(m,2H),6.89(d,J=8.6Hz,2H),6.67(d,J=8.7Hz,1H),6.64(d,J=7.2Hz,1H),2.08(br s,2H),3.83(s,3H)。LRMS(M+H)=303.1。
【0100】
ステップE: ステップDで得たアミノピリジン(21.0mg,0.069mmol)をメタノール(15mL)に溶解させ、10%Pd/C(10mg)で処理した。得られた反応物を、水素ガスのバルーン下で2時間水素化した。その溶液をセライトで濾過し、濃縮し、逆相HPLCで精製して、所望の生成物を得た。H NMR(CDCl)δ 7.58(t,J=8.0Hz,1H),7.14−7.28(m,7H),6.83(d,J=8.7Hz,2H),6.59(d,J=7.5Hz,1H),6.48(d,J=8.7Hz,1H),4.54(t,J=8.1Hz,1H),3.77(s,3H),3.40−3.45(dd,J=7.8Hz,1H),3.28−3.34(dd,J=8.4Hz,1H),1.66(br s,2H)。LRMS(M+H)=305.2。
【0101】
実施例4: 6−{1−フェニル−2−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−エチル}ピリジン−2−アミン
【0102】
【化21】

【0103】
ステップA: 2,6−ジクロロピリジン(3.65g,25mmol)をTHF(50mL)に溶解させた溶液を脱ガスし、それに、4−メトキシベンジル亜鉛クロリド(50mLの0.5M THF溶液,25mmol)を添加した。Pd(PPh(1.0g,0.87mmol)を添加し、その溶液を50℃に12時間加熱した。その溶液を冷却し、シリカゲル(30g)に吸収させた。シリカゲルクロマトグラフィー(9:1 Hex/EtOAc)で精製して、ベンジルピリジンを透明な油状物として得た。LCMS[M+H]=234.2。H NMR(CDCl)δ 7.51(t,J=7.8Hz,1H),7.17(d,J=8.4Hz,2H),7.14(d,J=7.9Hz,1H),6.96(d,J=7.7Hz,1H),6.85(d,J=8.6Hz,2H),4.07(s,2H),3.79(s,3H)。
【0104】
ステップB: ジイソプロピルアミン(0.14g,1.35mmol)をTHF(5mL)に溶解させた0℃の溶液に、n−BuLi(0.84mLの1.6M ヘキサン溶液,1.35mmol)を添加した。その溶液を、0℃で20分間撹拌し、次いで、−78℃に冷却した後、ステップAで得たベンジルピリジン(0.3g,1.3mmol)をTHF(5mL)に溶解させた溶液を添加した。得られた深紅色の溶液を−78℃で1時間撹拌した。α’−ブロモ−α,α,α−トリフルオロ−p−キシレン(0.31g,1.29mmol)をTHF(5mL)に溶解させ、その溶液を、−78℃で30分間撹拌した。その反応物を、飽和NaHCO溶液(5mL)を加えてクエンチし、EtOAc(3×20mL)で抽出し、MgSOで脱水し、濾過し、減圧下に蒸発させた。逆相HPLCで精製して、アルキル化クロロピリジンを得た。LCMS[M+H]=392.1。H NMR(CDCl)δ 7.46(t,J=7.7Hz,1H),7.41(d,J=8.1Hz,2H),7.21(d,J=8.6Hz,2H),7.16(d,J=8.1,2H),7.11(d,J=7.9Hz,1H),6.95(d,J=7.5Hz,1H),6.81(d,J=8.8Hz,2H),4.24(t,J=7.8Hz,1H),3.76(s,3H),3.67(dd,J=14,7.5Hz,1H),3.31(dd,J=14,7.9Hz,1H)。
【0105】
ステップC: ステップBで得たアルキル化クロロピリジン(50.0mg,0.12mmol)、Pd(dba)(6mg,0.006mmol)及び2−(ジシクロヘキシルホスフィノ)ビフェニル(6mg,0.014mmol)に、LiHMDS(0.15mLの1.0M THF溶液,0.15mmol)を添加した。その反応容器を密閉し、65℃に12時間加熱した。その反応物を冷却し、TBAF(0.36mLの1.0M THF溶液)を添加した。その混合物を5分間撹拌し、次いで、HO(10mL)で希釈した。その溶液を、EtOAc(3×15mL)で抽出し、MgSOで脱水し、濾過し、減圧下に濃縮した。逆相HPLCで精製して、所望のアミノピリジンを得た。LCMS(M+H)=373.1。H NMR(CDCl)δ 7.56(t,J=8.1Hz,1H),7.44(d,J=8.0,2H),7.31(d,J=8.0Hz,2H),7.24(d,J=8.5Hz,2H),6.83(d,J=8.4Hz,2H),6.68(d,J=8.7Hz,1H),6.48(d,J=7.2Hz,1H),4.49(t,J=8.0Hz,1H),3.77(s,3H),3.51(dd,J=14,7.5Hz,1H),3.32(dd,J=14,9.5Hz,1H)。
【0106】
以下の実施例の化合物は、上記で説明した方法A〜方法Dを使用し、上記実施例で記載した方法と同様の方法で調製した。
【0107】
【表2】



【0108】
上記表に記載した化合物の一部は、その酸形態で表されているが、本発明は、上記化合物の塩形態及び遊離塩基形態の両方を包含するものである。
【0109】
本発明のいくつかの特定の実施形態を参照しながら、本発明について記載及び説明したが、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、手順及びプロトコルに対して、様々な適合、変化、修正、置き換え、削除又は付加を加えることができるということは、当業者には理解される。従って、本発明は、「特許請求の範囲」の範囲によって定義されることが意図されており、また、そのような「特許請求の範囲」は、合理的な範囲で広く解釈されるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式:
【化1】

[式中、
は、
(1)−C1−6アルキル;
(2)−C2−6アルケニル
(3)−C0−6アルキル−C3−8炭素環(ここで、該炭素環基の環炭素原子のうちの1〜3個は、O、S及びNからなる群から選択される1〜3個の環ヘテロ原子で、場合により置き換えられていてもよい。);
(4)
【化2】

及び
(5)ヘテロアリール(ここで、該ヘテロアリールは、フリル、ピラニル、ベンゾフラニル、イソベンゾフラニル、クロメニル、チエニル、ベンゾチオフェニル、ピロリル、ピラゾリル、イミダゾリル、ピリジル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、インドリル、インダゾリル、ベンゾイミダゾリル、キノリル及びイソキノリルからなる群から選択される。);
からなる群から選択され、
ここで、
(a)該Rアルキル基、アルケニル基及び炭素環基は、置換されていないか、又は、1以上のハロゲン、−C1−6アルキル、−C1−6アルコキシ、ヒドロキシ若しくはシアノで置換されており;
(b)該Rヘテロアリール基は、置換されていないか、又は、1以上のハロゲン、−C1−6アルキル、−C1−6アルコキシ、フェニル、ヒドロキシ若しくはシアノで置換されており;
1a、R1b、R1c、R1d及びR1eは、
(a)水素;
(b)ハロゲン;
(c)シアノ;
(d)−C1−6アルキル(ここで、該アルキルは、置換されていないか、又は、1以上のヒドロキシル、ハロゲン若しくはNHで置換されている。);
(e)−OR7a
(f)−C(=O)−NR7a7b
(g)−NH−C(=O)−R7a
(h)−N−R7a7b
(i)−S(=O)−R8a
(j)−NR7a−S(=O)−R8a
からなる群から選択されるか、又は、R1cとR1dは連結して基−OCHCHO−若しくは−OCHCH−を形成しており;
は、
(1)−C1−6アルキル;
(2)−C2−6アルケニル;
(3)−C1−6アルキル−C3−8炭素環(ここで、該炭素環基の環炭素原子のうちの1〜3個は、O、S及びNからなる群から選択される1〜3個の環ヘテロ原子で、場合により置き換えられていてもよい。);
(4)
【化3】

及び
(5)−(CH−ヘテロアリール(ここで、該ヘテロアリールは、フリル、ピラニル、ベンゾフラニル、イソベンゾフラニル、クロメニル、チエニル、ベンゾチオフェニル、ピロリル、ピラゾリル、イミダゾリル、ピリジル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、インドリル、インダゾリル、ベンゾイミダゾリル、キノリル及びイソキノリルからなる群から選択される。);
からなる群から選択され、
ここで、
該Rアルキル基、アルケニル基、炭素環基及びヘテロアリール基は、置換されていないか、又は、1以上の
(a)ハロゲン;
(b)−C1−6アルキル;
(c)−C2−6アルケニル;
(d)−C1−6アルコキシ;
(e)−C6−10アリール;
(f)ヒドロキシル;
(g)シアノ;
又は
(h)−C(=O)−R7a
で、置換されており;
2a、R2b、R2c、R2d及びR2eは、
(i)水素;
(ii)ハロゲン;
(iii)シアノ;
(iv)ヒドロキシル;
(v)−C0−6アルキル−C3−8シクロアルキル;
(vi)−C1−6アルキル(ここで、該アルキルは、置換されていないか、又は、1以上のハロゲン若しくはヒドロキシルで置換されている。);
(vii)−C2−6アルケニル;
(viii)−O−R7a
(ix)−C(=O)−R7a
(x)−NO
(xi)C6−10アリール(ここで、該アリールは、置換されていなくてもよいか、又は、1以上の
(A)ハロゲン;
(B)シアノ;
(C)−C1−6アルキル;
(D)−C1−6アルコキシ;
(E)−C(=O)−O−R7a
(F)−C(=O)−R7a
(G)−NR7a7b
(H)−NR7a−S(=O)−R8a
(I)−NR7a−C(=O)−R7b
(J)−NO
で置換されていてもよい。);
(x)ヘテロアリール(ここで、該ヘテロアリールは、フリル,ピラニル、ベンゾフラニル、イソベンゾフラニル、クロメニル、チエニル、ベンゾチオフェニル、ピロリル、ピラゾリル、イミダゾリル、ピリジル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、インドリル、インダゾリル、ベンゾイミダゾリル、キノリル及びイソキノリルからなる群から選択され、また、該ヘテロアリールは、置換されていないか、又は、1以上のハロゲン、−C1−6アルキル、−C1−6アルコキシ、ヒドロキシ若しくはシアノで置換されている。);
からなる群から選択され、又は、
2cとR2dは連結して基−CR7a7bCR7c7dCR7e7f−、−OCHCHO−若しくは−OCHCH−を形成しており;
は、−C1−4アルキルであり;
、R及びRは、独立して、
(1)水素;
(2)−(Q−R
(3)ヘテロアリール(ここで、該ヘテロアリールは、フリル、ピラニル、ベンゾフラニル、イソベンゾフラニル、クロメニル、チエニル、ベンゾチオフェニル、ピロリル、ピラゾリル、イミダゾリル、ピリジル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、インドリル、インダゾリル、ベンゾイミダゾリル、キノリル及びイソキノリルからなる群から選択される。);
(4)−C6−10アリール;
(5)炭素環基(ここで、該炭素環基は、3〜8個の環原子を有し、場合により、(i)−C(=O)−環原子、(ii)S、N及びOからなる群から選択される1〜3個の環ヘテロ原子、及び、(iii)1つの炭素−炭素二重結合を有していてもよい。);
(6)ハロゲン;
(7)シアノ;
(8)−N
(9)−NO
(10)−OR7a
からなる群から選択され、
ここで、Rは、
(a)−C1−10アルキル;
(b)−C0−3アルキル−C3−8シクロアルキル;
(c)−C2−10アルケニル;
(d)−C2−10アルキニル,
(e)−C3−10シクロアルケニル;及び
(f)−C3−10シクロアルキニル;
からなる群から選択され;
は、O、S、NR7a、−(C=O)−O−、−NR7a−S(=O)−、−S(=O)、−C(=O)−NR7a、−NR7a−C(=O)−からなる群から選択され;
該Rアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、シクロアルキニル基、炭素環基、アリール基及びヘテロアリール基は、置換されていないか、又は、1以上の
(a)ハロゲン;
(b)シアノ;
(c)−C1−6アルキル;
(d)−C2−6アルケニル;
(e)−C2−6アルキニル;
(f)−OR7a
(g)−C(=O)−O−R7a
(h)−C(=O)−R7a
(i)−C(=O)−NR7a7b
(j)−NR7a7b
(k)−NR7a−S(=O)−R7b
(l)−NR7a−C(=O)−R7b
(m)−NO
(n)−CH−C6−10アリール;
(o)−C6−10アリール;
(p)ヘテロアリール;
(q)−C3−8シクロアルキル;
(r)−C(=O)−N−SO8a
で置換されており;
アルキル基、アルケニル基及びアルキニル基は、1つ以上のQ基で、場合により、中断されていてもよく;
7a、R7b、R7C、R7d、R7e及びR7fは、
(1)水素;
(2)−C1−6アルキル;
(3)−C3−8シクロアルキル;
(4)−C6−10アリール;及び
(5)−CH−C6−10アリール;
からなる群から選択され、但し、R7aとR7bが同一のN原子に結合している場合、R7aとR7bは、1個のN原子を有する炭素環式環を形成するために、それらが結合しているN原子を含んでいる4〜5の炭化水素鎖を形成してもよく;
ここで、該R7a〜R7fのアルキル基、シクロアルキル基又はアリール基は、置換されていないか、又は、1つ以上のハロゲン、−C1−6アルキル、−C1−6アルコキシ、ヒドロキシル、シアノ若しくは炭素環基(ここで、該炭素環基は、3〜8個の環原子を有し、場合により、(i)−C(=O)−環原子、(ii)S、N及びOからなる群から選択される1〜3個の環ヘテロ原子、及び、(iii)1つの炭素−炭素二重結合を有していてもよい。)で置換されており;
8a及びR8bは、独立して、
(1)−C1−6アルキル;
(2)−C6−10アリール;及び
(3)−CH−C6−10アリール
からなる群から選択され、
ここで、該R8a及びR8bのアルキル基又はアリール基は、置換されていないか、又は、1つ以上のハロゲン、−C1−6アルキル、−C1−6アルコキシ、ヒドロキシル若しくはシアノで置換されており;
mは、0又は1であり;
nは、0又は1であり;
pは、0、1又は2であり;
rは、0、1、2又は3である。]
で表される化合物、並びに、これらの製薬上許容される塩、並びに、これらの個々のエナンチオマー及びジアステレオマー。
【請求項2】
が水素である、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
が、
【化4】

である、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
mが0である、請求項3に記載の化合物。
【請求項5】
1a、R1b、R1c、R1d及びR1eが、
(a)水素;
(b)ハロゲン;
(c)−OR8a(ここで、R8aは、C1−6アルキルである。);及び
(d)−CHOH;
からなる群から選択される、請求項3又は4に記載の化合物。
【請求項6】
1a、R1d及びR1eが水素であり、及び、R1b及びR1cが、独立して、
(a)水素;
(b)ハロゲン;
(c)−OR8a(ここで、R8aは、C1−6アルキルである。);及び
(d)−CHOH;
からなる群から選択される、請求項2又は3に記載の化合物。
【請求項7】
が、
【化5】

からなる群から選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項8】
がCHである、請求項7に記載の化合物。
【請求項9】
2a、R2b、R2c、R2d及びR2eが、
(1)水素;
(2)−C1−6アルキル(ここで、該アルキルは、置換されていないか、又は、1つ以上のハロゲンで置換されている。);
(3)−O−R7a(ここで、R7aは、C1−6アルキルである。);
(4)−NO
(5)−C2−6アルケニル;
(6)−C1−6アルキル−C3−6シクロアルキル;
からなる群から選択される、請求項6又は7に記載の化合物。
【請求項10】
2a、R2b、R2c、R2d及びR2eが、それぞれ水素である、請求項6又は7に記載の化合物。
【請求項11】
、R及びRが、独立して、
(1)水素;
(2)C1−10アルキル;
(3)C6−10アリール;及び
(4)ハロゲン;
からなる群から選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項12】
、R及びRが、それぞれ水素である、請求項11に記載の化合物。
【請求項13】
式(II):
【化6】

[式中、R1a、R1b、R1c、R1d、R1e、R2a、R2b、R2c、R2d、R2e、R、R及びRは、請求項1で定義されているとおりである]
で表される化合物である、請求項1に記載の化合物、並びに、これらの製薬上許容される塩、並びに、これらの個々のエナンチオマー及びジアステレオマー。
【請求項14】
【化7】






からなる群から選択される化合物、及び、その製薬上許容される塩。
【請求項15】
治療上有効量の請求項1に記載の化合物又はその製薬上許容される塩及び製薬上許容される担体を含んでいる、医薬組成物。
【請求項16】
β−セクレターゼ活性を阻害することが必要な哺乳動物におけるβ−セクレターゼ活性を阻害する方法であって、該哺乳動物に治療上有効量の請求項1に記載の化合物又はその製薬上許容される塩を投与することを含む、前記方法。
【請求項17】
アルツハイマー病の治療が必要な患者におけるアルツハイマー病を治療する方法であって、該患者に治療上有効量の請求項1に記載の化合物又はその製薬上許容される塩を投与することを含む、前記方法。
【請求項18】
アルツハイマー病の改善又は制御が必用な患者におけるアルツハイマー病を改善又は制御する方法であって、該患者に治療上有効量の請求項1に記載の化合物又はその製薬上許容される塩を投与することを含む、前記方法。

【公表番号】特表2008−518969(P2008−518969A)
【公表日】平成20年6月5日(2008.6.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−539354(P2007−539354)
【出願日】平成17年10月25日(2005.10.25)
【国際出願番号】PCT/US2005/039932
【国際公開番号】WO2006/060109
【国際公開日】平成18年6月8日(2006.6.8)
【出願人】(390023526)メルク エンド カムパニー インコーポレーテッド (924)
【氏名又は名称原語表記】MERCK & COMPANY INCOPORATED
【Fターム(参考)】