説明

アルテミシニン及びその誘導体を使用する良性色素性ホクロ(母斑)の処置及び予防

【化1】


良性色素性ホクロ又は足の水虫又は爪のタムシは式(I)[式中、XはCO、CHOZ又はCHNRZを表し、Zは水素、線状又は分枝(C−C)アルキル、線状又は分枝(C−C)アルケニル、線状又は分枝(C−C)アルキニル、(C−C)シクロアルキル、(C−C24)アリール、(C−C24)アラルキル、m−及びp−CH(C)COOM、COR、CSR、C(NR)R、SOR、SOOM、SONR、SOO−アルテミシニル、SONH−アルテミシニル、POR及びPSRから選択され、Rは線状又は分枝(C−C)アルキル、線状又は分枝(C−C)アルコキシ、線状又は分枝(C−C)アルケニル、線状又は分枝(C−C)アルキニル、(C−C)シクロアルキル、(C−C24)アリール、(C−C10)アリールオキシ、(C−C24)アラルキル、−(CH−COOM(ここでnは1〜6の自然数を表す)又は10α−ジ−ヒドロアルテミシニルを表し、R及びRは独立して、線状又は分枝(C−C)アルキル、線状又は分枝(C−C)アルケニル、線状又は分枝(C−C)アルキニル、(C−C)シクロアルキル、(C−C24)アリール、(C−C24)アラルキル、OM、線状又は分枝(C−C)アルコキシ、(C−C10)アリールオキシ及びNRから選択され、Rは線状又は分枝(C−C)アルキル、線状又は分枝(C−C)アルケニル、線状又は分枝(C−C)アルキニル、(C−C)シクロアルキル、(C−C24)アリール及び(C−C24)アラルキルから選択され、Mは水素又は製薬学的に許容できるカチオンを表し、そしてR及びRは独立して、水素あるいは線状又は分枝(C−C)アルキルを表すかあるいは、R及びRが一緒になってアルキレン橋(C−C)を形成し、そしてRは水素及び、Rに対して引用された基から選択される]の、局所適用可能な、特に局所用に調合された有効成分により処置することができる。該化合物はまた、後天性母斑細胞性母斑の予防にも有効である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、局部的に適用される調合物による、しかしとりわけ局所用調合物による、皮膚及び粘膜の良性色素性ホクロ(母斑)、とりわけ粘膜の母斑細胞性母斑、ホクロ及び色素性母斑の処置を対象とする。更に、それはこの目的に適した局所用調合物を対象とする。
【背景技術】
【0002】
用語の母斑細胞性母斑(nevus cell nevi)は細胞の観点でいわゆる母斑細胞より構成される、異なる良性の皮膚変化物、色素性ホクロ(あざ、肝斑)を意味する。母斑細胞は正常な色素形成細胞、メラノサイトの欠陥発達物である。メラノサイト性母斑は実質的にすべての人類において異なる数、サイズ及び色彩の強度で起る。母斑の外見は非常に多彩である可能性がある。それらは皮膚レベルに横たわる又は皮膚レベルより上に盛り上がった(丸い、有柄の又は平坦な)点状の、しかしまた大型の、痣様の不均一な又は滑らかな色素性ホクロであってもよく、そしてその色彩は皮膚色から褐色から黒色までの範囲にある。後天的メラノサイト母斑の数は年齢経過とともに増加する。明白な構造を伴う母斑細胞性母斑は変性の増加した危険性をもち、形成不全又は異形母斑細胞性母斑と呼ばれる。
【0003】
黒色の皮膚癌である悪性黒色腫は恐らく母斑細胞性母斑から発症する可能性がある。全症例の60パーセント以上に、それは母斑細胞性母斑から発症する。最近数十年には、メラノーマの発生率の明白な増加が記録された。1960年代の米国では、約1:600の生涯危険度と推定されたが、今日では1:100の生涯危険度と認められる。従って、例えば、Matthias Volkenandt博士(Ludwig−Maximilian University,Munich,Frauenlobstrasse 9,80337ミュンヘンの皮膚科学及びアレルギー学クリニック)に従うと、メラノーマは1年に100,000人口当たり約14の(すなわち14の新規症例)のBavaria地方の発生率を有する。これは約1%の生涯危険度に対応する(100人に1人がそれらの生涯にメラノーマと診断されるであろう)。この数字を与えられると、メラノーマはヒトにもっとも頻発する腫瘍ではないが、Volkenandtに従う発生率の上昇は、いずれの他の腫瘍より大きい。
【0004】
現在知られているレベルに従うと、母斑細胞性母斑の変性を治療する予防的処置又は治療はない。変性の危険性の大きい母斑は主として外科的に除去される。レーザー処置は美容的観点においてより多くの役割を果たす。双方の方法は侵襲的であり、特定の危険性(瘢痕、皮膚の変色、等)及び高価格を伴う。
【0005】
後天的母斑の発症は常に、小さい、時々は顕微鏡的に小さい、赤色母斑(出血又は血管腫)により先行される。この母斑の前駆物から、より大きい赤色の幾らか盛り上がったホクロがしばしば発症する。次に母斑の前駆物から、異なるサイズ、褐色及び構造をもつ褐色母斑細胞性母斑が発症する。
【0006】
アルテミシニン(キンガオス(qinghaosu)とも呼ばれる)は、これまで主として全身的に作用する抗マラリア薬として試験され、使用されてきた過酸化物基を有するセスキテルペン・ラクトンである。アルテミシニンは非常に難水溶性であるが、アルテミシニンの水溶性誘導体が開発された。乾癬、ウイルス由来の疾患(瘤、伝染性軟属腫及び羊痘)、紫外線誘発疾患(多型光線皮膚病、「膠原血管病」、前癌状態の角化症、ボーエ
ン症候群、悪性ホクロ、基底細胞癌、扁平上皮細胞癌及び悪性メラノーマ)、水胞性皮膚疾患及び痔疾の処置に対する、アルテミシニン及びその誘導体の、全身又は局所使用は特許文献1に記載されている(特許文献1参照)。
【特許文献1】欧州特許第428 773号明細書
【発明の開示】
【0007】
本発明の目的は、良性色素性ホクロ、とりわけメラニン細胞性母斑に対して有効で、従ってまた、皮膚癌の予防にも使用することができる、局部的に作用する、しかし好ましくは局所用調合物を提供することである。
【0008】
その目的は、式(I):
【0009】
【化1】

【0010】
[式中、
XはCO、CHOZ又はCHNRZを表し、ここで
Zは水素、直鎖及び分枝(C−C)アルキル、直鎖又は分枝(C−C)アルケニル、直鎖又は分枝(C−C)アルキニル、(C−C)シクロアルキル、(C−C24)アリール、(C−C24)アラルキル、m−及びp−CH(C)COOM、COR、CSR、C(NR)R、SOR、SOOM、SONR、SOO−アルテミシニル、SONH−アルテミシニル、POR及びPSR:から選択され、ここで
は直鎖又は分枝(C−C)アルキル、直鎖又は分枝(C−C)アルコキシ、直鎖又は分枝(C−C)アルケニル、直鎖又は分枝(C−C)アルキニル、(C−C)シクロアルキル、(C−C24)アリール、(C−C10)アリールオキシ、(C−C24)アラルキル、−(CH−COOM(ここでnは1〜6の整数である)又は10α−ジ−ヒドロアルテミシニルであり、
及びRは相互から独立して、直鎖又は分枝(C−C)アルキル、直鎖又は分枝(C−C)アルケニル、直鎖又は分枝(C−C)アルキニル、(C−C)シクロアルキル、(C−C24)アリール、(C−C24)アラルキル、OM、直鎖又は分枝(C−C)アルコキシ、(C−C10)アリールオキシ及びNRから選択され、
は直鎖又は分枝(C−C)アルキル、直鎖又は分枝(C−C)アルケニル、直鎖又は分枝(C−C)アルキニル、(C−C)シクロアルキル、(C−C24)アリール及び(C−C24)アラルキルから選択され、
Mは水素又は製薬学的に許容できるカチオンであり、そしてR及びRは相互から独立して、水素あるいは直鎖又は分枝(C−C)アルキルであるか、あるいはR及びRが一緒になって(C−C)アルキレン橋を形成し、そして
Rは水素及び、Rに対してリストに挙げた基から選択される]
を有する化合物の群からの有効成分が、良性色素性ホクロに対して局所的に適用される調合物、とりわけ局所用調合物を製造するために使用される本発明に従って達成される。
【0011】
驚くべきことには、皮膚の色素性ホクロ、とりわけメラニン細胞由来のものは、前記に引用された有効物質、とりわけ局所用(例えば皮膚用)調製物により、局所的に非常に早期に有効に処置することができることが見いだされた。更に、皮膚癌(とりわけ基底細胞癌又はメラノーマ)の予防が、式(I)の化合物による母斑細胞性母斑の処置により可能であることが見いだされた。更に、これらの有効物質はまた、良性色素性ホクロ、とりわけ後天的母斑細胞性母斑の予防における局所適用により有効であることも見いだされた。
【0012】
本出願の範囲内の「良性色素性ホクロ」はとりわけ:
− 発生の部位により区別することができる3種のサブタイプ、境界母斑細胞性母斑(表皮/真皮の境界領域)、複合母斑細胞性母斑(真皮の結合組織)及び真皮母斑細胞性母斑(真皮の深部層)並びに発生時に従って区別することができるそのサブタイプ、先天性母斑細胞性母斑(=痣)及び後天性母斑細胞性母斑、を包含する、母斑、とりわけ母斑細胞性母斑(基底又は異形;母斑細胞性母斑はまたしばしばメラニン細胞性母斑と呼ばれる)。後天性母斑細胞性母斑のサブグループは、もう1つの良性の痣の外科的除去後に発症する再発性母斑である。先天性境界母斑細胞性母斑の1例は扁平母斑であり、後天性境界母斑細胞性母斑又は複合母斑細胞性母斑の1例は暈状母斑(サットン母斑)であり、そして後天性メラニン細胞境界細胞性母斑、複合母斑細胞性母斑又は真皮母斑細胞性母斑の例はSpitz母斑及びReed母斑である。先天性真皮母斑細胞性母斑の1例は蒙古点(=青母斑)であり、そして先天性複合母斑細胞性母斑又は真皮母斑細胞性母斑の1例は先天性巨大色素母斑(巨大母斑)である;
− ホクロ(肝斑−単純性ホクロ、そばかす=日光ホクロ、老人斑−老人性ホクロ、PUVAホクロのような)、
− メラニン色素沈着の障害(そばかす=ephelidesのような)並びに
− 粘膜の色素性ホクロ(眼の結合組織の母斑、口唇及び口腔粘膜及び生殖器上の母斑のような)
であると理解される。
【0013】
式(I)の化合物は前記のすべての良性色素性ホクロ、とりわけ後天性又は先天性母斑細胞性母斑の処置に有効である。前記の母斑中、形成不全(異形)母斑細胞性母斑は皮膚癌に変性する可能性がより高く、従って、好ましくは、皮膚癌を予防するために式(I)の化合物で処置される母斑である。
【0014】
(C−C)アルキルに対しては、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、sec−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、sec−ペンチル、ネオ−ペンチル、n−ヘキシル、sec−ヘキシル及びneo−ヘキシルが好ましい。より好ましいものは直鎖(C−C)アルキルであり、特に好ましいものはメチル又はエチルである。直鎖又は分枝(C−C)アルケニルに対しては、ビニル、アリル、1−メチルビニル、2−メチルビニル、ブト−1−エン−1−イル、ブト−2−エン−1−イル、ブト−3−エン−1−イル、ブト−1−エン−2−イル、ブト−2−エン−2−イル、ブト−3−エン−2−イル、2,2−ジメチルビニル及び1,2−ジメチルビニルのような(C−C)アルケニルが好ましい。直鎖又は分枝(C−C)アルキニルに対しては、例えばエチニル、プロパルギル、プロプ−1−イン−1−イル、ブト−1−イン−1−イル、ブト−2−イン−1−イル、ブト−3−イン−1−イル、ブト−3−イン−2−イル、3−メチルブト−1−イン−1−イル、3,3−ジメチルブト−1−イン−1−イル、1,1−ジメチルブト−2−イン−1−イル及び1,1−ジメチルプロプ−2−イン−1−イルが好ましい。(C−C)シクロアルキルに対しては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル及びシクロヘキシルが好ましい。(C−C24)アリールに対しては、フェニル、ナフト−1−イル及びナフト−2−イルのような(C−C10)アリールが好ましい。(C−C24)アラルキルに対しては、ベンジル、フェネチル、(ナフト−1−イル)メチル及び(ナフト−2−イル)メチルのような(C−C12)アラルキルが好ましい。(C−C)アルコキシ中のアルキルに対しては、(C−C)アルキルに対して前記に例示されたものと同様な基が好ましい。それは好ましくは、(C−C)アルコキシであり、そしてより好ましくはそれはメトキシ、エトキシ又はn−プロポキシである。(C−C10)アリールオキシ中のアリールに対しては、(C−C24)アリールに対して前記に例示されたものと同様な基が好ましい。より好ましくは、それはフェノキシ又はα−もしくはβ−ナフトキシである。
【0015】
本出願の範囲内の用語「アルテミシニル」は、X=CH−である式(I)の基を意味し、従ってこの基は、炭素の自由原子価により酸素又は窒素に結合されることができる。本出願の範囲内の用語「10−α−ジヒドロアルテミシニル」は、そのアルテミシニルが前記の意味を有する−O−アルテミシニルを意味する。
【0016】
式(I)において、Zに対しては、水素、直鎖又は分枝(C−C)アルキル、m−及びp−CH(C)COOM、COR、SOR、SOOM、SONR、SONH−アルテミシニル及びPORが好ましい。
【0017】
Mとしての製薬学的に許容できるカチオンに対しては、例えばアルカリ金属、例えばリチウム、ナトリウム又はカリウムあるいはアルカリ土類金属、例えばマグネシウム及びカルシウム、アンモニウム並びにHN(R)[ここでR、R、Rは相互から独立にメチル又はエチルであってもよい]のカチオンを挙げることができる。
【0018】
CORとしてのZに対しては、Rが直鎖又は分枝(C−C)アルキル、直鎖又は分枝(C−C)アルコキシ、−(CH−COOM又はアルテミシニルであることが好ましい。とりわけ、ここでは、Mに対して水素、ナトリウム、カリウム又はアンモニウムが好ましい。
【0019】
SOOMとしてのZに対しては、Mがアルカリ金属、アルカリ土類金属又はアンモニウムであることが好ましい。
【0020】
PORとしてのZに対しては、R及びRがOM及び直鎖又は分枝(C−C)アルコキシから選択されることが好ましい。より好ましくは、R及びRの一方がOMであり、そのMがとりわけナトリウム、カリウム又はアンモニウムであり、そして他方が直鎖又は分枝(C−C)アルコキシ又はOHである。
【0021】
式(I)の化合物は知られているか又は、式(I)の知られた化合物と同様に製造することができる。X=COである化合物はアルテミシニンであり、X=CHOHである化合物はジヒドロアルテミシニンである。X=CHOZで、Zが水素以外である又はX=CHNRZである化合物は以下に「ジヒドロアルテミシニンの誘導体」と呼ばれる。
【0022】
式(I)の化合物は以下のように得ることができる:
− アルテミシニン(X=CO)は知られているように、植物のアルテミシア・アヌア(Artemisia Annua)から単離することができる。
− ジヒドロアルテミシニン(X=CHOH)は知られており、例えば約0℃でメタノール中のホウ水素化ナトリウムによるアルテミシニンの還元により製造することができる。− X=CHOZであり、Zが直鎖又は分枝(C−C)アルキル、直鎖又は分枝(C−C)アルケニル、直鎖又は分枝(C−C)アルキニル、(C−C)シクロアルキル、(C−C24)アリール又は(C−C24)アラルキルであるジヒドロアルテミシニンの誘導体はジヒドロアルテミシニンから製造することができ、そこで、第1にそれをトリメチルシリル・クロリドによりそのトリメチルシリルエーテルに転化させ、
トリメチルシリル基をトリメチルシリルボロミドで臭素と置換し(米国特許第2005/0119232号明細書の実施例1に記載)、そして次に臭素原子を順次、塩基の存在下で、そのZが記載の意味を有する、所望される場合は過剰に使用されるHOZと置換される。これらの誘導体中でアルテムエーテル(Z=Me)及びアルテエーテル(Z=Et)は知られた化合物である。
− X=CHNRZであり、Rが式(I)に記載の意味をもち、そしてZが水素、直鎖又は分枝(C−C)アルキル、直鎖又は分枝(C−C)アルケニル、直鎖又は分枝(C−C)アルキニル、(C−C)シクロアルキル、(C−C24)アリール又は(C−C24)アラルキルである、ジヒドロアルテミシニンの誘導体はジヒドロアルテミシニンから製造することができ、ここで最初に、トリメチルシリル・クロリドをそのトリメチルシリルエーテルに転化させ、トリメチルシリルオキシ基をトリメチルシリルブロミドで臭素と置換し(米国特許第2005/0119232号明細書の実施例1に記載)、次に順次臭素原子を塩基の存在下で、所望される場合は、過剰に使用されるアミンHNRZ(ここでR及びZは前記の意味を有する)と置換する。
− X=CHOZ又はCHNRZであり、ここでRが式(I)で記載された意味を有し、Z=m−又はp−CH(C)COOM(式(I)に与えられるMの定義)であるジヒドロアルテミシニンの誘導体は、ジヒドロアルテミシニン又はX=CHNRHであるジヒドロアルテミシニンの誘導体から入手でき、そこで、それらを塩基の存在下でm−又はp−ブロモメチル安息香酸メチルエステルでアルキル化し、次にメチルエステルを加水分解し、そしてMが水素でない場合は、適当な塩を形成する。これらの誘導体中、X=CHOZであり、Z=p−CH(C)COOHである誘導体は「アルテリン酸(artelinic acid)」として知られる。
− X=CHOZ又はCHNRZであり、Rが式(I)に記載の意味をもち、Z=COR又はCSRを意味し、そしてRが直鎖又は分枝(C−C)アルコキシ又は(C−C10)アリールオキシであるジヒドロアルテミシニンの誘導体は、ジヒドロアルテミシニン又は、X=CHNRHであるジヒドロアルテミシニンの誘導体を適当なクロロ炭酸−(C−C)アルキルエステル又はクロロ炭酸−(C−C10)アリールエステル又はクロロチオ炭酸−(C−C)アルキルエステル又はクロロチオ炭酸−(C−C10)アリールエステル及び塩基を反応させることにより製造することができる。
− X=CHOZ又はCHNRZであり、ここでRが式(I)に記載の意味をもち、Z=CORであり、そしてRが直鎖又は分枝(C−C)アルキル、直鎖又は分枝(C−C)アルケニル、直鎖又は分枝(C−C)アルキニル、(C−C)シクロアルキル、(C−C24)アリール又は(C−C24)アラルキルであるジヒドロアルテミシニンの誘導体は、ジヒドロアルテミシニン又は、X=CHNRHであるジヒドロアルテミシニンの誘導体を、適当なRで置換されたアシルクロリド及び塩基と反応させることにより製造することができる。
− X=CHOZ又はCHNRZであり、ここでRが式(I)に記載の意味をもち、Z=CSRであり、そしてRが直鎖又は分枝(C−C)アルキル、直鎖又は分枝(C−C)アルケニル、直鎖又は分枝(C−C)アルキニル、(C−C)シクロアルキル、(C−C24)アリール又は(C−C24)アラルキルであるジヒドロアルテミシニンの誘導体は、そのZ=CORである前記の対応する誘導体をLawessonの試薬と反応させることにより得ることができる。
− X=CHOZ又はCHNRZであり、ここでRが式(I)に記載の意味をもち、Z=CORであり、そしてRが−(CH−COOM(Mは式(I)に記載の意味をもつ)であるジヒドロアルテミシニンの誘導体は、ジヒドロアルテミシニン又はX=CHNRHである誘導体を、環式酸無水物(n=2又は3である場合)又はMeOOC−(CH−COOMeと反応させることにより調製することができる。X=CHOZの場合の後者の場合には、NEtのような塩基性触媒も使用することができ、エステル移動反応中に放出されるメチルアルコールを減圧下蒸発によるように、平衡から除去する(withdraw)ことができる。Mが水素以外である時は、次に対応する塩が形成され、
そこで、残りのメチルエステル基は例えばM−シアニドにより分解される。これらの誘導体中、X=CHOZ、n=2であり、そしてM=水素であるものは「アルテスネート」として知られる。
− X=CHOZ又はCHNRZであり、ここでRが式(I)に記載の意味をもち、Z=CSRであり、そしてRが−(CH−COOM(Mは式(I)に記載の意味をもつ)であるジヒドロアルテミシニンの誘導体は、MeOOC−(CH−COOMe中の2個のカルボニル酸素の一方がLawessonの試薬により硫黄と置換され、このヘミチオ−ジエステルがジヒドロアルテミシニン又はそのX=CHNRHであるジヒドロアルテミシニン誘導体と反応され、次に、Mが水素でない場合は、まだ自由な−COOMe基を加水分解してCOOHと対応する塩を形成する。
− X=CHOZ又はCHNRZであり、ここでRが式(I)に記載の意味をもち、Z=C(NR)R(Rは式(I)に記載の意味をもつ)であり、そしてRが直鎖又は分枝(C−C)アルコキシ又は(C−C10)アリールオキシであるジヒドロアルテミシニンの誘導体は、そのRが前記の意味をもつイソシアネートR−NCOを、対応する(C−C)アルコール又は(C−C10)アリールアルコールと反応させ、そしてこのように得たウレタンをPOClと反応させ、次に塩基の存在下で、ジヒドロアルテミシニン又は、X=CHNRHであるジヒドロアルテミシニンの誘導体と反応させると得ることができる。
− X=CHOZ又はCHNRZであり、ここでRが式(I)に記載の意味をもち、Z=C(NR)R(Rは式(I)に記載の意味をもつ)であり、そしてRが直鎖又は分枝(C−C)アルキル、直鎖又は分枝(C−C)アルケニル、直鎖又は分枝(C−C)アルキニル、(C−C)シクロアルキル、(C−C24)アリール又は(C−C24)アラルキルであるジヒドロアルテミシニンの誘導体は、そのRが前記の意味をもつイソシアネートR−NCOを、そのRが前記の意味をもつ、対応するグリニアル試薬RMgBrと反応させ、そして、このようにして得られるアミドをPOClと反応させ、次にジヒドロアルテミシニン又は、X=CHNRHであるジヒドロアルテミシニンの誘導体と塩基の存在下で反応させると得ることができる。
− X=CHOZ又はCHNRZであり、ここでRが式(I)に記載の意味をもち、Z=C(NR)Rであり、そしてRが−(CH−COOM(M及びRは式(I)に記載の意味をもつ)であるジヒドロアルテミシニンの誘導体は、そのn及びRが前記の意味をもつ化合物MeOOC−(CH−CONHRをPOClと反応させ、次にジヒドロアルテミシニン又は、X=CHNRHであるジヒドロアルテミシニンの誘導体と塩基の存在下で反応させ、そのメチルエステルを加水分解し、そしてMが水素以外である時は適当な塩形成が実施される方法で得ることができる。
− X=CHOZ又はCHNRZ(Rは式(I)に記載の意味をもつ)であり、ここでZ=SOR、そしてR=OMeであるジヒドロアルテミシニンの誘導体は、場合により塩基性触媒の存在下で過剰なジメチルスルファイト(DRP 487253)とジヒドロアルテミシニンを反応させ、そして減圧下で、放出メタノール及び最後に過剰なジメチルスルファイト蒸留することにより得ることができる。
− X=CHOZ又はCHNRZであり、Rは式(I)に記載の意味をもち、Z=SOR(Rは直鎖又は分枝(C−C)アルコキシあるいは(C−C10)アリールオキシである)であるジヒドロアルテミシニンの誘導体は、X=CHOH又はCHNRHである対応する誘導体の、過剰なチオニルクロリド及びピリジンのような適当な塩基との反応、過剰なチオニルクロリドの除去並びに次の、得られた亜硫酸誘導体の、対応する直鎖又は分枝(C−C)アルコールあるいは(C−C10)アリールアルコールとのピリジンのような適当な塩基の存在下での反応により得ることができる。
− X=CHOZ又はCHNRZであり、Rが式(I)に記載の意味をもち、そしてZ=SOR(Rは(C−C)アルキル、直鎖又は分枝(C−C)アルケニル、直鎖又は分枝(C−C)アルキニル、(C−C)シクロアルキル、(C−C24)アリール又は(C−C24)アラルキルである)であるジヒドロアルテミシニンの誘
導体は、そのRが前記の意味をもつグリニアル試薬RMgBrを過剰なチオニルクロリドと反応させ、過剰なチオニルクロリドを除去し、そして次にピリジンのような適当な塩基の存在下でそのX=CHOH又はCHNRHである、対応するジヒドロアルテミシニン誘導体により得られるR−SOClの反応により得ることができる。
− X=CHOZ又はCHNRZであり、Rは式(I)に記載の意味をもち、Z=SOR(RはNRであり、そしてR及びRは式(I)で前記の意味をもつ)であるジヒドロアルテミシニンの誘導体は、アミンHNRを過剰なチオニルクロリドと反応させ、過剰なチオニルクロリドを除去し、そして次に、ピリジンのような適当な塩基の存在下でX=CHOH又はCHNRHである対応するジヒドロアルテミシニン誘導体の、得られたRRNSOClの反応により得ることができる。
− X=CHOZ又はCHNRZであり、Z=SOOM(Mは式(I)に記載の意味をもつ)であるジヒドロアルテミシニンの誘導体は、そのX=CHOH又はCHNRHである対応する誘導体を、ピリジン−硫黄三オキシド複合体と反応させ、そして得られるスルホネートのピリジニウム対イオンをMと置換することにより得ることができる。
− X=CHOZ又はCHNRZであり、Z=SONRであり、そしてR、R及びRが式(I)に前記の意味をもつジヒドロアルテミシニンの誘導体は、X=CHOZ又はCHNRHであるジヒドロアルテミシニン誘導体を、例えばピリジンのような塩基の存在下で1当量のスルフリルクロリドと反応させ、次にピリジンのような塩基の存在下で、そのR及びRが記載の意味をもつ1当量のアミンHNRと反応させることにより得ることができる。
− X=CHOZ、ここでZ=SOO−アルテミシニルであるジヒドロアルテミシニンの誘導体は、ピリジンのような塩基の存在下での2当量のジヒドロアルテミシニンの、1当量のスルフリルクロリドとの反応により得ることができる。
− X=CHOZ、ここでZ=SONH−アルテミシニルであるジヒドロアルテミシニンの誘導体は、ピリジンのような塩基の存在下でジヒドロアルテミシニンを1当量のスルフリルクロリドと反応させ、次にピリジンのような塩基の存在下でX=CHNHである1当量のアルテミシニン誘導体との反応により得ることができる。このように得た誘導体はX=CHNHZそしてZ=SOO−アルテミシニルの誘導体と同一である。次にこのように得た誘導体から、X=CHNRZで、Rが水素以外の式(I)に記載の意味をもつジヒドロアルテミシニンの誘導体を、スルファミドの窒素上の脱プロトン化及び、そのRが記載の意味をもつアルキルブロミドRBrによるアルキル化により得ることができる。− そのX=CHNHZであり、ここでZ=SONH−アルテミシニルであるジヒドロアルテミシニンの誘導体は米国特許第2005/0119232号明細書の実施例2に従って製造することができる。これから順次、2個のスルファミド窒素の一方上の脱プロトン化及び、そのRが与えられる意味を有するアルキルブロミドRBrでアルキル化することにより、そのX=CHNRZであり、Rが水素以外の式(I)により記載の意味をもつ、ジヒドロアルテミシニンの誘導体を製造することができる。
− X=CHOZ又はCHNHZであり、Z=POR又はPSRであり、そしてR、R及びRが式(I)に記載の意味をもつジヒドロアルテミシニンの誘導体は、最初に、ジヒドロアルテミシニン又は、X=CHNRHであるジヒドロアルテミシニン誘導体を、過剰なPOCl(又はPSCl)と反応させ、そして過剰なPOCl(又はPSCl)を蒸発除去することにより得ることができる。導入される基R及びRのタイプにより、X=CHOPOCl(又はCHOPSCl)又はCHNRPOCl(又はCHNRPSCl)である、得られた粗生成物に対して、これらを、アルコラートR/R(R及び/又はRが直鎖又は分枝(C−C)アルコキシ又は(C−C10)アリールオキシである場合)の形態の、あるいはアミンHNRの形態の、あるいは水又は水酸化物の形態のグリニアル試薬RMgBr/RMgBr(R及び/又はRが(C−C)アルキル、直鎖又は分枝(C−C)アルケニル、直鎖又は分枝(C−C)アルキニル、(C−C)シクロアルキル、(C−C24)アリール又は(C−C24)アラルキルである場合)として導入する、た
だし、これらの試薬は好ましくはそれらの増加する核親和性の順序で添加され、そして少なくとも1個がR及び/又はROMである場合は、本目的に必要なMOHが最後の試薬として添加されることを条件とする。
【0023】
X=CHOZ又はCHNRZである化合物において、このC原子(すなわちセスキテルペン主鎖のC10原子)上の立体配置は(R)でも又は(S)であってもよい。式(I)の化合物はまた、C10−エピマー混合物の形態で使用することができ、ここで2種のエピマーの比率(ratio)はアルテミシニンの先行する還元によりそして/又は水から誘動される異なるヒドロキシル又は合成に使用される求核物質の1つに対するC10−ヒドロキシル基の置換により誘動することができる。
【0024】
アルテミシニン、ジヒドロアルテミシニン、カルボキシル基を含有する誘導体(とりわけアルテスネート)、アルテムエーテル、アルテエーテル、ジヒドロアルテミシニンのプロピルカルボネート及びアルテリン酸から選択される前記の式(I)の有効物質が好ましい。アルテミシニン、ジヒドロアルテミシニン及びアルテスネートが特に好ましい。
【0025】
式(I)の化合物は個々に使用しても又は2種以上のこれらの化合物の組み合わせ物として使用してもよい。
【0026】
式(I)の化合物、とりわけアルテスネートはまた、後天性母斑細胞性母斑の予防に有効である。母斑細胞性母斑の予防のためには、式(I)の化合物、とりわけアルテスネートを、皮膚全体に、母斑の形成の可能性の高い皮膚領域に、又は既に可視的母斑前駆体に広範囲に適用される。母斑形成の可能性の高い皮膚領域は一方では、UV光線に、より頻繁に露出される皮膚領域である。他方、このような皮膚領域はしばしば、すでに形成された母斑細胞性母斑の近位(例えば既に存在する母斑の周囲の典型的には5cmの半径内)に存在する。従って式(I)の化合物、とりわけアルテスネートは、それらが弱すぎて裸眼にはほとんど見えない既存の母斑前駆体を可視的にさせる、という更なる有利な特性を有する。式(I)の化合物の作用下では、まだ不可視の母斑前駆体が最初に小さい赤い斑点を形成し、それが数日後に暗色から黒色になり、そして一部分は孔中に鎮座する暗色結晶のように見える。従って、好ましい症例においては、問題の皮膚領域の反射光顕微鏡検査がもはや不要である。
【0027】
適用のためには、式(I)の有効物質は局部、とりわけ局所(皮膚)適用に適した調合物に調合することができる。製造される調合物(調製物)中の有効物質の濃度は特に重要ではない。調合物に基づいて約0.1〜約40重量%の濃度をもつ調合物を製造することができる。母斑細胞性母斑(先天性=あざ又は後天性)の処置のための調合物は好ましくは約5〜約20重量%の有効物質を含有し、そして特に好ましくは、それらは調合物に基づいて約10重量%を含有する。後天性母斑細胞性母斑の予防のためには、調合物は好ましくは調合物に基づいて約5重量%の式(I)の化合物を含有し、より好ましくはそれらは約1〜約5重量%を含有する。有効物質の正確な治療的な必要量は、有効物質自体、使用される基剤、調製される剤形(軟膏、懸濁物、ペースト、プラスター、クリーム、ゲル、液剤のような)及び使用される添加剤に左右され、簡単な効力試験により当業者により決定されることができる。
【0028】
既存の母斑細胞性母斑(先天性=あざ又は後天性)の処置期間は、母斑のタイプ、サイズ、構造、色素沈着及び病年齢に左右される。処置は好ましくは臨床的に、高濃度の式(I)の化合物で実施される。最初の反応はしばしば、処置の最初の数日後に可視的である。母斑細胞性母斑の退色又は消失により示される明白な改善又は変化が現れるまでに数カ月かかる可能性がある。この期間は、表皮の再生は年齢増加とともにより長くかかるために、高齢患者の症例ではより長い可能性がある。
【0029】
後天性母斑細胞性母斑の予防のためには、2〜3回の適用で十分である。より大きい母斑前駆体は好ましくは、母斑前駆体の退色又は消失までより長く処置される。
【0030】
式(I)の有効物質は治療的アプローチにより、異なる深度まで皮膚中に浸透しなければならない:
− 母斑細胞性母斑(先天性=あざ又は後天性)の処置のためには、有効物質は好ましくは、母斑のタイプ及び病年齢に応じて、上部真皮まで浸透する、
− 後天性母斑細胞性母斑の予防のためには、有効物質は好ましくは、表皮を通って表皮と真皮の境界の、境界領域まで浸透する。
【0031】
式(I)の有効物質の調合物基剤としては、局所用調合物として通常で、これらの物質に対して不活性なすべての基剤が適する。局所用調合物に対するこのような基剤はとりわけ、ペトロラタム、脂肪、ワックス、脂肪酸エステル、パラフィン、油、シリコーン及びそれらのポリマーであってもよい。有効物質は好ましくは、最終調合物に基づいて、約60〜約99.9重量%、より好ましくは約80〜約95重量%の調合基剤を使用して調合される。例えばヒドロゲル、クリームのような親水性/水性の局所用調合物基剤が使用される場合は、有効物質はナノ−カプセル封入、リポソーム中に封入又は例えばシクロデキストリンと錯体形成により分解から保護することができる。アルテミシニン及びその誘導体のシクロデキストリンとの錯体形成に関しては、米国特許第2005/187189号明細書の実施例を参照される。
【0032】
無水の単相基剤、例えば無水の、純粋な脂肪相を含む局所用調合物はドイツ薬局方に従うと軟膏と呼ばれる。従って、式(I)の有効物質が本発明に従って使用される軟膏はこのタイプの軟膏基剤よりなり、これは皮膚に対する適用のための微細に分散された1種又は複数の有効物質を含有することができる。
【0033】
局所用調合物が軟膏である場合は、調合物基剤は好ましくは、約1〜約10、より好ましくは約10〜約10そして特に好ましくは約50〜約10の室温のN−オクタノール/水の分配係数をもつ親油性成分よりなることができる。ここで調合物基剤の例は例えば、ペトロラタム、脂肪、ワックス、脂肪酸エステル、パラフィン、油、シリコーン及びそれらのポリマー(例えば、ポリジアルキルシロキサン、シリコーンエラストマー、シリコーンワックス、シリコーン乳化剤)である。
【0034】
軟膏の適用において、式(I)の有効物質はその周囲の局所用基剤を出て、皮膚中に浸透する。親油性基剤は皮膚に非常に良好に付着し、外側に撥水層を形成する。この層も同様に、水が皮膚から外側に排出すること妨げる(密閉効果)。この効果により皮膚は湿気を保持し、水分蒸発が少ないために加熱される。湿気増加により皮膚はまた、より柔軟になり、それが有効物質の吸収を促進する。
【0035】
軟膏に対して、2相系(水相及び脂肪相)はクリームと呼ばれる。式(I)の化合物はまたクリームとして調合することができる。軟膏基剤として前記に例示されたものと同様な物質が脂肪相として可能である。水に加えて、水相はまた、場合により、水相のpHを皮膚に、より許容性にさせる緩衝剤を含有してもよいか、又はそれはまた、例えば、架橋剤(ボラックスあるいはMg2+又はCa2+のような多価金属カチオンのような)等を含むヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコールのような、知られたゲル形成ポリマーを含有することができる。乳化のためには、例えば脂肪酸モノ及びジグリセリド、PEG−40水素化ヒマシ油(Cremophor(R))又はレシチンのような、皮膚に許容性の十分な従来の界面活性物質を使用することができる。
【0036】
局所用調合物のための補助剤としては、従来の浸透促進剤(ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、プロピレングリコール、脂肪アルコール、トリエタノールアミン、ジメチルスルホキシド、アゾン等のような)、効力を改善するための角質溶解剤(サリチル酸、尿素、レチノイドのような)及び保存剤が可能である。添加剤は概括的に、投与剤形の効力、安定性、耐用性及びコンシステンシーを改善する働きをする。
【0037】
式(I)の化合物は好ましくは、浸透促進物質を本質的に含有しない局所用調合物に調合される。式(I)の化合物はまた、好ましくは(C−C19)モノカルボン酸、それらのエステル及びそれらのアミドを本質的に含有しない。本出願の範囲内の、「本質的に含有しない」は局所用調合物が、調合物に基づいて1重量%未満、好ましくは0.1重量%未満の浸透促進物質を有することを意味する。
【0038】
カルボキシル基をもつすべての誘導体、とりわけアルテスネートはペースト、軟膏、クリーム、液剤、ゲル、スプレー又は懸濁物のための式(I)の化合物として好ましい。従ってカルボキシル基は場合により、アルカリ金属、アルカリ土類金属又はアンモニウム塩の形態で存在することができる。
【0039】
皮膚上又は皮膚中への適用のための式(I)の有効物質は好ましくは、局所調合物の形態、とりわけペースト、軟膏、懸濁物、液剤、ゲル、スプレー又はクリームの形態、特に好ましくは軟膏の形態でプラスターに適用される。このプラスターは場合により、局所用調合物を取り込み又は吸収する材料を有する。しかし、有効物質はまた、スコポラミンに対する(例えば、「Scopoderm TTS」)又はエストラジオールに対する(例えば、「Estraderm TTS」)のような知られたプラスターと同様に、プラスターの不活性な粘着物中に直接懸濁させるか又は溶解させることができる。この方法で、有効物質は直接にそしてより長期間にわたり、処置される局所に接触させることができる。更に、密閉効果が起り、それが有効物質の浸透を改善する。
【0040】
式(I)の有効物質の適用の更なる形態はペースト、液剤、懸濁物、ゲル及びクリーム及びスプレーであろう。引用された有効物質の反固体又は液体調合物はまた、スティック(例えば、正確な用量のためのフェルトティップのような)又はローラー(適当な基剤、溶液、懸濁物、軟膏、クリーム中の有効物質を含む)の形態で存在することができる。
【0041】
式(I)の化合物に対して本発明に従って使用することができる局所適用形態の更なる例は、超音波により、電界により又は微細針により、皮膚又は粘膜中への式(I)の化合物の浸透をもたらすアプリケーターである。超音波を使用し、本発明に従って使用することができる知られたアプリケーターは、例えば引用により本明細書に編入されている米国特許第6,908,448号明細書に開示されている。有効物質の適用のために電界を使用する(従って電気泳動の原理を使用する)アプリケーターは以前から知られている。それらは、生理食塩水である式(I)[すなわち、XがCHOZ又はCHNRZであり、Zはm−及びp−CH(C)COOM、SOOM及びPORから選択され、ここでR及びRの一方はOMであり、そして他方は直鎖又は分枝(C−C)アルコキシ又はOHであり、そしてMは製薬学的に許容できるカチオンを表す]の有効物質に対して本発明に従って適切である。皮膚に対する有効物質の本発明に従う局所適用のための微細針をもつ知られたアプリケーターに対しては、同様に引用により本明細書に編入されている米国特許第2005/065463号明細書に対する実施例により参照することができる。
【0042】
本発明に従って使用することができる適用の局所用形態のもう1つの例は、処置される部位において吸引カップにより皮膚を持上げて、皮膚の持ち上がった部分で、真皮の層の
厚さの一部をブレードによるように機械的に除去する方法である。真皮を一部除去される皮膚のこの部分は、式(I)の化合物に対し、より浸透性であり、この部位の真皮のより深部層の局所的処置を許す。これに必要な装置は引用により本明細書に編入されている国際公開出願第95/15783号パンフレットに記載されている。
【0043】
アルテミシニン及びその誘導体(ジヒドロアルテミシニン、アルテエーテル、アルテムエーテル、アルテスネート、それらの半合成誘導体及び合成による類似化合物)による、後天性母斑細胞性母斑あるいは後天性又は先天性母斑細胞性母斑(=あざ)の、危険性の低い、非浸襲性の予防的又は治療的処置は、母斑細胞性母斑の処置に著しい進歩を表し、そして皮膚癌の危険性を著しく減少させることができるであろう。従って本発明は医学的にのみならずまた、社会経済学的に非常に重要である。式(I)の化合物、とりわけアルテスネートによる前記の局所的処置により、化合物に対するアレルギー性皮膚反応は認められなかった。更に、健康な組織は損傷されず、その処置が無痛で、簡単であることは注目に値する。
【0044】
これまで得られた結果を考察すると、アルテミシニン及びその誘導体による局部の、とりわけ局所治療は非常に有効であり、長期的に予防として考えられ、そして母斑の処置が伝統的な浸襲的処置法よりも経済的に有効で、危険性が低いと推定することができる。
【実施例】
【0045】
次に本発明を以下の実施例により更に具体的に示す。
【0046】
実施例1 局所用調合物
3gのアルテスネートを27gのExipial(R)脂肪軟膏と均一に撹拌した。
【0047】
実施例2a〜8h 局所用調合物
異なる量のアルテスネート(表1参照)を種々の基剤中に取り込んだ。一部は調合物に界面活性物質も添加した。
【0048】
【表1】

【0049】
実施例9a〜9i 色素性ホクロの処置又は予防における局所用(皮膚)適用例
a)直径約1.2cmの不均一な構造をもつ、胸部上の盛り上がった暗褐色のあざ(異形成母斑細胞性母斑)を有する13歳の少年を、実施例2aからの10%アルテスネートペトロラタム軟膏で週2〜3回処置した。2週間後、あざは、「結晶化した」着色物体のように見える幾つかの暗色の、小さい点状のスポットを伴い、淡褐色であった。あざは乾燥し、剥離性で、「内側」から退行しているように見える。
b)0.5〜1.0cmの直径をもつ、皮膚の表面上に盛り上がった3個の黒色痣(体躯上の境界母斑)をもつ婦人に、夜間、密閉下(プラスターとして)で週3回、実施例2aからの10%アルテスネートペトロラタム軟膏を適用した。1週間後、暗スポットが各あざで認識可能であった。3週間後、皮膚はこの暗色の結晶状形成物と一緒に剥離した。皮膚の表面上にもはや盛り上がっていない、色素を含まない部分を伴う3個の淡いあざが残った。処置を継続すると、処置部位の皮膚の更なる褪色及び剥離をもたらした。
c)0.3〜0.4cmの直径をもつ皮膚の噴出し、盛り上がった部分である2個の母斑細胞性母斑前駆体の処置:実施例2aからの10%アルテスネート軟膏を含むプラスターの3回の夜間適用は2週間後に、色彩の変化、暗色のスポットを伴う淡赤色形成物をもたらした。皮膚の盛り上がった変化した部分は剥離することができた。早すぎた剥離のための2個の小さい傷が残ったが、治癒した。
d)約3〜4cmの直径の母斑(基底細胞癌)をもつ女性試験被験者に1〜3カ月(周期的、夕方、1週間おき)実施例1からの10%アルテスネート軟膏を適用した。最初は母斑は赤み(炎症過程と類似の)を示した。3カ月後、約90%の回復(色彩及び構造に関して)を認めることができた。約5カ月後に、母斑は見えなくなった。
e)腕上に母斑(境界母斑)をもつ女性の試験被験者が同様に、実施例1からの10%アルテスネート軟膏を適用された。試験被験者はモニターされなかったので、適用の回数については本明細書には与えることができないが、軟膏の適用は数週間にわたった。母斑は現在ほとんど見えない。
f)鼻/眼部分の根元に先天性母斑をもつ13歳の男性の試験被験者が2カ月間密閉下(プラスター)で週に2〜3回、実施例1からの10%アルテスネート軟膏を適用された。最初に母斑は多数の小さい暗色スポットを示した。それがより緩徐に反応した。しかし、最初の効果が既に示された。それは全体的にずっと淡色になり、幾つかの皮膚色の部分を示した。
g)真皮の母斑をもつ13歳の女性患者が3日間、実施例1からの10%アルテスネート軟膏を適用された。斑点中の3個の暗色スポットの形成物を伴う即座の集中化が起り、残りの部分は実質的に無色である。
h)女性の試験被験者が、既に多数の母斑細胞性母斑(境界母斑)を有した腹部上の広い部分に2回(それぞれ連続2日間)実施例1からの10%アルテスネート軟膏を適用された。既存の母斑に加えて、赤い、一部、開始時に前記のタイプの母斑前駆体が、既に処置の第2日目に、処置部分上に不均一に分散された小さい点の形態に可視的になった。これらの母斑前駆体は既に存在していたが、軟膏の処置によってのみ可視的になった。2〜3日後、それらは暗色から黒色になった。それらは一部、孔の中に鎮座する暗色の結晶のように見えた。それらは上部角質層とともに2〜3週内に剥離し、指の爪でわずかに引っ掻くと剥離した。
i)女性試験被験者が、異なるサイズの多数の色素性ホクロ(母斑)を有する手の甲を、実施例1からの軟膏で処置された。存在した母斑及び母斑前駆体は急速に褪色し、適用期間の増加(7又は10日)とともに退行した。色素性ホクロの色は処置を中断後により淡くなった。4周後にそれらはほとんど全く見えなかった。
【0050】
実施例10 爪の真菌感染症の処置における局所適用
足の中指及び親指の爪真菌感染症:足親指の爪の半分が感染した。Lamisilのような従来の薬剤による処置はほとんど有効ではなかった。実施例2aからの10%アルテスネートペトロラタム軟膏を週3〜4回適用された。軟膏は特に爪床及び爪の下部に適用された。既に2週間後に、明白な改善を認めることができた。4週間後に中指の爪先の脱色が完全に消失したか又は爪が伸びた。親指上の壊死状の爪部分は崩れ落ちた。残りの爪の処置はより容易で、より有効であった。有効物質は爪の境界部分から健康な部分に妨げられずに到達した。その爪の成長は良好で、淡い脱色はなかった。特に爪の真菌感染症の症例では、抗かび剤による更なる全身処置は必要でなく、従って経費のみならずまた、抗かび剤処置の副作用の危険性が減少されるであろうことを期待することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
良性色素性ホクロあるいは足の真菌症(mycosis pedis)又は爪真菌症に対する局所適用可能な、好ましくは局所用調合物の製造のための、式(I)
【化1】

[式中、
XはCO、CHOZ又はCHNRZを表し、ここで
Zは水素、直鎖及び分枝(C−C)アルキル、直鎖又は分枝(C−C)アルケニル、直鎖又は分枝(C−C)アルキニル、(C−C)シクロアルキル、(C−C24)アリール、(C−C24)アラルキル、m−及びp−CH(C)COOM、COR、CSR、C(NR)R、SOR、SOOM、SONR、SOO−アルテミシニル、SONH−アルテミシニル、POR及びPSR:から選択され、ここで
は直鎖又は分枝(C−C)アルキル、直鎖又は分枝(C−C)アルコキシ、直鎖又は分枝(C−C)アルケニル、直鎖又は分枝(C−C)アルキニル、(C−C)シクロアルキル、(C−C24)アリール、(C−C10)アリールオキシ、(C−C24)アラルキル、−(CH−COOM(ここでnは1〜6の整数である)又は10α−ジ−ヒドロアルテミシニルであり、
及びRは相互から独立して、直鎖又は分枝(C−C)アルキル、直鎖又は分枝(C−C)アルケニル、直鎖又は分枝(C−C)アルキニル、(C−C)シクロアルキル、(C−C24)アリール、(C−C24)アラルキル、OM、直鎖又は分枝(C−C)アルコキシ、(C−C10)アリールオキシ及びNRから選択され、
は直鎖又は分枝(C−C)アルキル、直鎖又は分枝(C−C)アルケニル、直鎖又は分枝(C−C)アルキニル、(C−C)シクロアルキル、(C−C24)アリール及び(C−C24)アラルキルから選択され、
Mは水素又は製薬学的に許容できるカチオンであり、そして
及びRは相互から独立して、水素あるいは直鎖又は分枝(C−C)アルキルであるかあるいは、R及びRが一緒になって(C−C)アルキレン橋を形成し、そして
Rは水素及び、Rに対してリストに挙げた基から選択される]
を有する化合物の使用。
【請求項2】
良性色素性ホクロが後天性母斑細胞性母斑;先天性母斑細胞性母斑、すなわちあざ;ホクロ、とりわけ肝斑、そばかす又は老人斑;そばかすのようなメラチン色素沈着障害;及び粘膜の色素性ホクロから選択されることを特徴とする、請求項1記載の使用。
【請求項3】
色素性ホクロが後天性母斑細胞性母斑、先天性母斑細胞性母斑(すなわちあざ)又は肝斑であることを特徴とする、請求項2記載の使用。
【請求項4】
調合物がまた皮膚癌を予防するために使用されることを特徴とする、請求項3記載の使
用。
【請求項5】
後天性母斑細胞性母斑の予防のための局部的(local)、とりわけ局所用(topical)調合物を製造するための請求項1に定義の通りの式(I)の化合物の使用。
【請求項6】
式(I)の化合物がアルテミシニン、ジヒドロアルテミシニン、式(I)のカルボキシル基含有誘導体(とりわけアルテスネート)、アルテムエーテル、アルテエーテル、ジヒドロアルテミシニンのプロピルカルボネート及びアルテリン酸から選択されることを特徴とする前記請求項の1項に記載の使用。
【請求項7】
式(I)の化合物がアルテミシニン、ジヒドロアルテミシニン又はアルテスネートであることを特徴とする、請求項6記載の使用。
【請求項8】
式(I)
【化2】

[式中、
XはCHOZ又はCHNRZを表し、ここで
Zは水素、直鎖及び分枝(C−C)アルキル、直鎖又は分枝(C−C)アルケニル、直鎖又は分枝(C−C)アルキニル、(C−C)シクロアルキル、(C−C24)アリール、(C−C24)アラルキル、m−及びp−CH(C)COOM、COR、CSR、C(NR)R、SOR、SOOM、SONR、SOO−アルテミシニル、SONH−アルテミシニル、POR及びPSRから選択され、ここで
は直鎖又は分枝(C−C)アルキル、直鎖又は分枝(C−C)アルコキシ、直鎖又は分枝(C−C)アルケニル、直鎖又は分枝(C−C)アルキニル、(C−C)シクロアルキル、(C−C24)アリール、(C−C10)アリールオキシ、(C−C24)アラルキル、−(CH−COOM(ここでnは1〜6の整数である)又は10α−ジ−ヒドロアルテミシニルであり、
及びRは相互から独立して、直鎖又は分枝(C−C)アルキル、直鎖又は分枝(C−C)アルケニル、直鎖又は分枝(C−C)アルキニル、(C−C)シクロアルキル、(C−C24)アリール、(C−C24)アラルキル、OM、直鎖又は分枝(C−C)アルコキシ、(C−C10)アリールオキシ及びNRから選択され、
は直鎖又は分枝(C−C)アルキル、直鎖又は分枝(C−C)アルケニル、直鎖又は分枝(C−C)アルキニル、(C−C)シクロアルキル、(C−C24)アリール及び(C−C24)アラルキルから選択され、
Mは水素又は製薬学的に許容できるカチオンであり、そして
及びRは相互から独立して、水素あるいは直鎖又は分枝(C−C)アルキルであるかあるいは、R及びRが一緒になって(C−C)アルキレン橋を形成し、そして
Rは水素及び、Rに対してリストに挙げた基から選択される]
の有効物質を含有し、そして浸透促進物質を本質的に含まない局所調合物を含むプラスター。
【請求項9】
XがCHOZであり、そしてZがm−及びp−CH(C)COOM及びCORから選択されることを特徴とし、ここでRが−(CH−COOMである、請求項8記載のプラスター。
【請求項10】
式(I)の化合物がアルテスネートであることを特徴とする、請求項9記載のプラスター。
【請求項11】
局所用調合物がペースト、軟膏、ペースト、懸濁物、液剤、ゲル、スプレー又はクリーム、とりわけ軟膏であることを特徴とする、請求項10記載のプラスター。
【請求項12】
式(I)
【化3】

[式中、
XはCO、CHOZ又はCHNRZを表し、ここで
Zは水素、直鎖及び分枝(C−C)アルキル、直鎖又は分枝(C−C)アルケニル、直鎖又は分枝(C−C)アルキニル、(C−C)シクロアルキル、(C−C24)アリール、(C−C24)アラルキル、m−及びp−CH(C)COOM、COR、CSR、C(NR)R、SOR、SOOM、SONR、SOO−アルテミシニル、SONH−アルテミシニル、POR及びPSR:から選択され、ここで
は直鎖又は分枝(C−C)アルキル、直鎖又は分枝(C−C)アルコキシ、直鎖又は分枝(C−C)アルケニル、直鎖又は分枝(C−C)アルキニル、(C−C)シクロアルキル、(C−C24)アリール、(C−C10)アリールオキシ、(C−C24)アラルキル、−(CH−COOM(ここでnは1〜6の整数である)又は10α−ジヒドロアルテミシニルであり、
及びRは相互から独立して、直鎖又は分枝(C−C)アルキル、直鎖又は分枝(C−C)アルケニル、直鎖又は分枝(C−C)アルキニル、(C−C)シクロアルキル、(C−C24)アリール、(C−C24)アラルキル、OM、直鎖又は分枝(C−C)アルコキシ、(C−C10)アリールオキシ及びNRから選択され、
は直鎖又は分枝(C−C)アルキル、直鎖又は分枝(C−C)アルケニル、直鎖又は分枝(C−C)アルキニル、(C−C)シクロアルキル、(C−C24)アリール及び(C−C24)アラルキルから選択され、
Mは水素又は製薬学的に許容できるカチオンであり、そして
及びRは相互から独立して、水素あるいは直鎖又は分枝(C−C)アルキルであるかあるいは、R及びRが一緒になって(C−C)アルキレン橋を形成し、そして
Rは水素及び、Rに対してリストに挙げた基から選択される]
の化合物が、色素性ホクロ又は皮膚真菌症に対して有効な量を局部に、とりわけ局所に適用されることを特徴とする、このタイプの処置を要するヒトの患者における良性色素性ホクロ又は皮膚真菌症を処置する方法。
【請求項13】
良性色素性ホクロが、後天性母斑細胞性母斑;先天性母斑細胞性母斑、すなわちあざ;ホクロ、とりわけ肝斑、そばかす又は老人斑;そばかすのようなメラチン色素沈着障害;及び粘膜の色素性ホクロから選択されることを特徴とする、請求項12記載の方法。
【請求項14】
色素性ホクロが後天性母斑細胞性母斑、先天性母斑細胞性母斑(すなわちあざ)又は肝斑であることを特徴とする、請求項13記載の方法。
【請求項15】
請求項1に定義されたとおりの式(I)の化合物が後天性母斑細胞性母斑の予防に有効な量を局部的に、好ましくは局所に適用されることを特徴とする、後天性母斑細胞性母斑の予防法。
【請求項16】
式(I)の化合物がペースト、軟膏、懸濁物、液剤、ゲル、スプレー又はクリームで適用され、とりわけ軟膏中に調合されることを特徴とする、請求項12〜15のうちの1項に記載の方法。
【請求項17】
式(I)の化合物が軟膏中に調合され、そして皮膚からの湿気の喪失が軟膏の適用により妨げられることを特徴とする、請求項16記載の方法。
【請求項18】
調合物がプラスターとともに適用されることを特徴とする、請求項12〜17のうちの1項に記載の方法。
【請求項19】
式(I)の化合物がアルテミシニン;ジヒドロアルテミシニン;カルボキシル基を含有する式(I)の誘導体、とりわけアルテスネート;アルテムエーテル;アルテエーテル;ジヒドロアルテミシニンのプロピルカーボネート;及びアルテリン酸から選択されることを特徴とする、請求項12〜18のうちの1項に記載の方法。
【請求項20】
式(I)の化合物がアルテミシニン、ジヒドロアルテミシニン又はアルテスネートであることを特徴とする、請求項19記載の方法。
【請求項21】
それが皮膚癌を予防するためにも使用することができることを特徴とする、請求項14記載の方法。

【公表番号】特表2009−523703(P2009−523703A)
【公表日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−535868(P2008−535868)
【出願日】平成18年10月19日(2006.10.19)
【国際出願番号】PCT/CH2006/000583
【国際公開番号】WO2007/045116
【国際公開日】平成19年4月26日(2007.4.26)
【出願人】(508114018)エピフアルマ・ゲゼルシヤフト・ミツト・ベシユレンクテル・ハフツング (1)
【Fターム(参考)】