説明

アルミニウム合金−炭化珪素窒化珪素質複合体

【課題】
静電チャック部材、半導体製造部材等として好適な高剛性で低熱膨張係数を有するアルミニウム合金−炭化珪素窒化珪素質複合体を提供する。
【解決手段】
炭化珪素粉及び珪素粉、或いは、炭化珪素粉、窒化珪素粉及び珪素粉を使用し、反応焼結により珪素粉を窒化させてセラミックス多孔体を作製し、アルミニウムを主成分とする金属を含浸することを特徴とし、未反応の残存珪素粉が、セラミックス多孔体中の10質量%以下であることを特徴とするアルミニウム合金−炭化珪素窒化珪素質複合体の製造方法。炭化珪素粉及び窒化珪素粉を含み、相対密度が60〜85%であるセラミックス多孔体にアルミニウムを主成分とする金属を含浸することを特徴とするアルミニウム合金−炭化珪素窒化珪素質複合体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アルミニウム合金−炭化珪素窒化珪素質複合体に関する。
【背景技術】
【0002】
セラミックスを分散粒子として添加し、マトリックスを金属とする金属−セラミックス複合体は、金属とセラミックスの両方の特性を兼ね備えており、セラミックスの持つ低熱膨張特性、高剛性等の特徴を活かしながら、金属の持つ高靱性、加工性を付加した材料であり、いろいろな分野での利用が期待されることから開発ニーズがある。従来、この様な材料としては、Cu−W、Cu−Mo等の材料が検討されていたが、比重が大きく、大型の装置部品として用いる場合に問題があり、機械装置メーカー等より、次世代材料として金属−セラミックス複合体が注目されている。
【0003】
また、近年特に半導体分野においては、シリコンウェハーの大型化並びに使用温度が高くなるに伴い、装置部品も大型化とともに高熱伝導性並びに低熱膨張であることが求められるようになってきた。
【0004】
金属−セラミックス複合体としては、金属としてアルミニウムをマトリックスとする材料が、近年、活発に研究されている。アルミニウムは、軽量であり熱伝導特性に優れ且つ融点が低い為、比較的容易に複合化できる特徴がある。この様な、アルミニウム合金−セラミックス複合体の製造方法としては、従来は高圧鍛造法にてアルミニウム又はアルミニウムを主成分とするアルミニウム合金を含浸するものが知られており、セラミックス粒子又は繊維によるプリフォームを作製し、高温、高圧下でアルミニウム合金を複合化させる方法である。また、アルミニウム合金−セラミックス複合体の製法については、高圧鍛造法以外にも加圧を行わずに含浸を行う非加圧含浸法(特許文献1)、セラミックス粉とアルミニウム粉を混合して温度と圧力を加えて製造を行う粉冶金法(特許文献2)等の製法がある。

【特許文献1】特開平11−116362号公報
【特許文献2】特開平10−8164号公報
【0005】
前記粉冶金法や非加圧含浸法では、溶解している金属がセラミックス粒子に濡れ難い為、強化材を多くすると強化材の均一な混合が難しくなり、強化材を高充填した複合体の製造が難しいという問題点があった。従来の複合体の製造方法においては、強化材の充填量が少なく、高剛性や低熱膨張が要求される用途には用いることができなかった。


【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、静電チャック部材等の半導体製造部材として好適な低熱膨張であり、且つ強度等の特性が損なわれることのないアルミニウム合金−セラミックス複合体を提供するものである。具体的には、セラミックスとして窒化珪素及び炭化珪素を含むセラミックス多孔体を用いることにより、低熱膨張であり、且つ強度等の特性が損なわれることのないアルミニウム合金−炭化珪素窒化珪素質複合体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
即ち、本発明は、原料として、炭化珪素粉及び珪素粉、或いは、炭化珪素粉、窒化珪素粉及び珪素粉を使用し、反応焼結により珪素粉を窒化させてセラミックス多孔体を作製し、アルミニウムを主成分とする金属を含浸することを特徴とし、窒化後に未反応として残存する珪素粉が、セラミックス多孔体中の10質量%以下であることを特徴とするアルミニウム合金−炭化珪素窒化珪素質複合体の製造方法である。
【0008】
さらに、炭化珪素粉及び窒化珪素粉を含み、相対密度が60〜85%であるセラミックス多孔体にアルミニウムを主成分とする金属を含浸することを特徴とするアルミニウム合金−炭化珪素窒化珪素質複合体であり、セラミックス多孔体の抗折強度が30MPa以上であるアルミニウム合金−炭化珪素窒化珪素質複合体であり、セラミックス多孔体中に含まれる窒化珪素のβ化率が80%以上であるアルミニウム合金−炭化珪素窒化珪素質複合体であり、熱膨張係数が10×10−6/K以下であることを特徴とするアルミニウム合金−炭化珪素窒化珪素質複合体である。
【0009】
さらに、前記アルミニウム合金−炭化珪素窒化珪素質複合体を使用してなる静電チャック部材等の半導体製造部材である。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、低熱膨張及び高強度を有するアルミニウム合金−炭化珪素窒化珪素質複合体およびそれを用いた静電チャック部材、半導体製造部材等が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
金属-セラミックス複合体の製法は、大別すると含浸法と粉冶金法の2種がある。このうち粉冶金法は熱伝導率等の特性面で十分なものが得られておらず、実際に商品化されているのは、含浸法によるものである。含浸法にも種々の製法が有り、常圧で行う方法と、高圧下で行う方法(高圧鍛造法)がある。高圧鍛造法には、溶湯鍛造法とダイキャスト法がある。
【0012】
本発明に好適な方法は、高圧下で含浸を行う高圧鍛造法であり、溶湯鍛造法とダイキャスト法のどちらも使用できるが、溶湯鍛造法がより好ましい。高圧鍛造法は、高圧容器内に、セラミックス多孔体(以下、プリフォームという)を装填し、これにアルミニウム合金の溶湯を高圧で含浸させて複合体を得る方法である。
【0013】
以下、本発明について、溶湯鍛造法による製法例を説明する。
原料であるセラミックス粉に、必要に応じて例えばシリカ等の結合材を添加し、成型、焼成してプリフォームを作製する。該プリフォームを型枠内に収めた後、前記型枠の両主面に、アルミナ若しくはシリカを主成分とする繊維、球状粒子、破砕形状の粒子のうち1種以上を直接接するように配置し、一つのブロックとする。前記ブロックを500〜650℃程度で予備加熱後、高圧容器内に1個または2個以上配置し、ブロックの温度低下を防ぐために出来るだけ速やかにアルミニウム合金の溶湯を30MPa以上の圧力で加圧し、アルミニウム合金をプリフォームの空隙中に含浸させることで、アルミニウム合金−セラミックス複合体が得られる。なお、含浸時の歪み除去の目的でアニール処理を行うこともある。アニール処理には、アルミニウム層とプリフォームの接合をより強固にするという効果もある。
【0014】
本発明に係る多孔質炭化珪素窒化珪素質成形体(以下、SiC−SNプリフォームという)の製造方法に関して説明する。
【0015】
炭化珪素粉の平均粒子径は、特に限定されるものではないが、平均粒子径が10〜100μmのものが好ましい。平均粒子径が100μmよりも大きいと強度発現性に乏しく、一方、平均粒子径が10μm未満であると、アルミニウム合金−炭化珪素窒化珪素質複合体の熱伝導率が良好でない場合がある。炭化珪素質粉の平均粒子径が10〜100μmの範囲において、粗い粒子の割合が多くなるように調整すると、熱伝導率が高くなる傾向がある。
【0016】
窒化珪素粉の平均粒子径については、特に限定されるものではないが、平均粒子径が0.5〜50μmのものが好ましい。平均粒子径が0.5μmより小さいと、充填性が悪くなり熱膨張率の制御が困難になることがある。また平均粒子径が50μmより大きいと熱伝導率が低下してしまうことがある。また窒化珪素粉のβ化率についても特に限定されるものではなく、任意のβ化率の窒化珪素粉を用いることができる。それは後述するSiC−SNプリフォームを焼成して得る工程において、焼成温度を1300℃以上にすることでβ化率を高めることが可能であるためである。
【0017】
また、窒化珪素粉の一部あるいは全部を珪素粉に置き換えてもかまわない。用いる珪素粉の平均粒子径については特に制限されるものではないが平均粒子径が0.5〜50μmのものが好ましい。平均粒子径が0.5μmより小さいと、充填性が悪くなる場合があり、また平均粒子径が50μmより大きいと反応焼結後に未反応として残存するが珪素粉がセラミックス多孔体の10質量%以上となる場合がある。
【0018】
反応焼結とは、加熱中に化学反応と焼結とを同時に行う焼結法である。本発明においては、成形体中に含まれる珪素粉末が窒素を含む雰囲気下で加熱されることにより、窒化反応と同時に焼結が行われることにより、SiC−SNプリフォームが得られる。
【0019】
炭化珪素粉と窒化珪素粉あるいは珪素粉の混合割合であるが、炭化珪素粉30〜70質量%並びに窒化珪素粉70〜30質量%の範囲にすることが必要である。炭化珪素粉が30質量%未満では炭化珪素の有する熱伝導性を発現することが困難であり、逆に炭化珪素粉が70質量%を超えると窒化珪素粉を添加して発現するSiC−SNプリフォームの強度を30MPa以上とすることが困難となる。
またアルミニウム合金−炭化珪素窒化珪素質複合体の低熱膨張係数を更に小さくするには、SiC−SNプリフォームの相対密度をより高める必要があるが、その場合には、出発原料として用いる窒化珪素粉の全部を珪素粉に置き換えるか、珪素粉を用いる割合を高めて、反応焼結させる方法により達成することができる。
【0020】
炭化珪素粉及び窒化珪素粉あるいは珪素粉の混合方法については特に制限はなく、V型ブレンダー、攪拌混合機、ボールミル等の公知の混合法を用いることができる。また成形方法は、SiC−SNプリフォームの相対密度が60〜85%の範囲にあれば特に限定されるものではなく、プレス成形、押し出し成形、鋳込み成形等の公知の方法が使用できる。プリフォームに強度を与える為、シリカ或いはアルミナ等を結合材として添加してもよく、更に成形直後の保形性を高めるため、必要に応じて有機バインダーを併用してもかまわない。ただし結合材を過剰に用いるとプリフォームの熱伝導率を低下させる要因となるので、結合材を用いる場合は、0.5〜5.0質量%の範囲で用いることが好ましい。SiC−SNプリフォームの相対密度が60%未満であれば熱膨張率を低くすることが困難であり、逆に85%を超えると30MPa以上の高圧をかけてもアルミニウムがプリフォーム中に含浸せず、気孔が残り熱伝導の妨げとなり、良好な熱伝導性を得ることが困難になる可能性がある。
【0021】
成形体は、有機バインダーを併用した場合には脱脂処理と焼成処理が施され、プリフォームとなる。脱脂は、大気中、100〜400℃の温度で10時間以上保持する条件で行われるのが一般的である。焼成処理は、30MPa以上の抗折強度のプリフォームを得るため、反応焼結をさせる必要があるので圧力3kPa以上、窒素濃度95%以上の窒素雰囲気下において、1300〜1800℃で焼成することが必要である。反応焼結の際、圧力が3kPa未満の場合や窒素濃度が95%未満の場合には珪素粉が十分に窒化されずプリフォームの抗折強度を30MPa以上にできない場合がる。いずれの焼成条件においても焼成時間は、プリフォームの大きさ、炉への投入量、雰囲気等の条件に合わせて適宜決められる。この窒化により、珪素粉添加量の80%以上が反応焼結してβ型の窒化珪素となっていれば、プリフォームの強度並びに熱膨張率などの特性においても問題なく使用可能である。ただし、反応焼結後に未反応として残存するが珪素粉がセラミックス多孔体の10質量%以下でなければ十分なプリフォーム強度を発現できない。プリフォーム抗折強度が30MPa未満であると、アルミニウム合金−炭化珪素窒化珪素質複合体を静電チャック部材等の半導体製造部材として用いた場合にクラックが発生することがある。
【0022】
SiC−SNプリフォームの一主面または両主面を、予め所定の形状に機械加工する方法に関して特に制限はない。成型時に形状を付加した成形型を用いる方法、又は、焼成後に一主面を機械加工して所定の形状を形成する方法のいずれも使用してもかまわない。
【0023】
金属製の簡易治具に、SiC−SNプリフォームを配置(積層)し、両端に離型板を置いて一つのブロックとする。離型板は、予備加熱やアルミニウム合金含浸時に、SiC−SNプリフォームやアルミニウム合金と反応しない材質であれば特に限定されず、鉄、ステンレス、チタン等の金属板が好適に用いられる。離型性を高めるため、カーボンや窒化ホウ素等を離型板にコーティングしておくことは好ましい。前記ブロックを500〜700℃で予備加熱後、高圧容器内に1個または2個以上配置し、ブロックの温度低下を防ぐためできるだけ速やかにアルミニウム合金の溶湯を30MPa以上の圧力で加圧し、アルミニウム合金をSiC−SNプリフォームの空隙中に含浸させることで、アルミニウム合金-炭化珪素質複合体のブロックが得られる。
【0024】
本発明のアルミニウム合金-炭化珪素窒化珪素質複合体に用いるアルミニウム合金の純度について制限は無いが、含浸時にプリフォームの空隙内に十分に浸透するために融点がなるべく低いことが好ましい。このようなアルミニウム合金として、例えばシリコンを7〜25質量%含有したアルミニウム合金があげられる。更にマグネシウムを含有させることは、炭化珪素質粒子と金属部分との結合がより強固になり好ましい。アルミニウム合金中のアルミニウム、シリコン、マグネシウム以外の金属成分に関しては、極端に特性が変化しない範囲であれば特に制限はなく、例えば、銅等が含まれていてもよい。
【0025】
次にアルミニウム合金−炭化珪素窒化珪素質複合体のブロックを湿式バンドソーにて切断し、両端に挟んだ離型板をはがしてアルミニウム合金−炭化珪素窒化珪素質複合体を取り出す。含浸時のひずみ除去の為に、含浸に用いたアルミニウム合金の溶融温度未満の温度でアニール処理を行うことが好ましい。アニール処理は、350〜550℃の温度で10分以上行うのが一般的である。
【0026】
本発明のアルミニウム合金−炭化珪素窒化珪素質複合体は、熱膨張係数が10×10−6/K以下、更に多孔質炭化珪素窒化珪素質成形体の抗折強度が30MPa以上である。このように、熱膨張率、強度のバランスに優れるため、静電チャック部材、半導体製造部材等に好適に用いることができ、放熱特性に優れ、また、温度変化を受けても変形しがたいので、高信頼性が得られるという特長がある。

【実施例】
【0027】
[実施例1]
炭化珪素粉末(太平洋ランダム社製:NG−220、平均粒子径:60μm)及び窒化珪素粉末(電気化学工業社製:SN−9S、平均粒子径:1.2μm)、珪素粉末(シリコンウェハー用の単結晶シリコンを粉砕したもので、平均粒径:5μm)を表1に示す割合で秤取し、更に外割でシリカゾル(日産化学社製:スノーテックス)を9部、水を12部添加した後、攪拌混合機で20分間混合した後、185mm×135mm×5.0mmの寸法の平板状に圧力10MPaでプレス成形した。 得られた成形体を、窒素雰囲気中(3.5kPa、窒素濃度98%)、1450℃で10時間焼成して、SiC−SNプリフォームを得た。
【0028】
得られたSiC−SNプリフォームを、溶湯が流入できる湯口のついた185mm×135m
m×5.2mmの鉄製枠に入れ、両面をカーボンコートしたSUS板で挟んで一体としたものを電気炉で600℃に予備加熱した。次にそれをあらかじめ加熱しておいた内径300mmのプレス型内に収め、シリコンを12質量%、マグネシウムを0.5質量%含有するアルミニウム合金の溶湯を注ぎ、100MPaの圧力で30分間加圧してSiC−SNプリフォームにアルミニウム合金を含浸させた。室温まで冷却した後、湿式バンドソーにて鉄枠等を切断し、挟んだSUS板をはがした後、含浸時の歪み除去のために525℃の温度で3時間アニール処理を行い、アルミニウム合金−炭化珪素窒化珪素質複合体を得た。

【0029】
SiC−SNプリフォーム又はアルミニウム合金−炭化珪素窒化珪素質複合体から研削加工により試験体を作製し、下記の項目について評価を行った。
(1)β化率
SiC−SNプリフォームを直径20mm×3mmの円柱状に加工した試験体を、CuKα線を用いたX線回折法によるSiのα相の(102)面の回折線強度Ia102と(210)面のIa210、及びβ相の(101)面の回折線強度Ib101と(210)面の回折線強度Ib210から、次式により算出した。
β化率(%)=[(Ib101+Ib210)/( Ia102+ Ia210+ Ib101+ Ib210)]×100
測定においては、高出力X線回折システム(日本電子社製 モデルJDX-3500)を用いて測定した。

(2)相対密度
SiC−SNプリフォームを20mm×5mm×5mmに加工した試験体の重量を測定後、算出した密度を、原料として添加した珪素粉末が窒化後に全て窒化珪素になると想定して求めた理論密度で除して求めた。
(3)抗折強度
SiC−SNプリフォームを40mm×4mm×4mmに加工した試験体を、25℃、スパン30mm、クロスヘッド速度0.5mm/minでの条件において3点曲げ抗折強度を抗折強度計(今田製作所製;SV-301)を用いて測定した。
(4)熱膨張係数
アルミニウム合金−炭化珪素窒化珪素質複合体を20mm×5mm×5mmに加工した試験体より、昇温速度5℃/分で25〜150℃の熱膨張係数を熱膨張計(セイコー電子工業社製;TMA300)を用いて測定した。
(5)熱伝導率
アルミニウム合金−炭化珪素窒化珪素質複合体を直径10mm×5mmの円柱状に加工した試験体より、25℃、100℃での熱伝導率をレーザーフラッシュ法(理学電機社製;TC−7000)にて測定した。
(6)珪素残存量
SiC−SNプリフォームを粉砕した後、粉末X線回折装置にて予め作成した検量線を用いX線ピーク値により珪素残存量を算出した。
測定においては、高出力X線回折システム(日本電子社製 モデルJDX-3500)を用いて測定した。
【0030】
[実施例2〜6]
窒化珪素粉末と珪素粉末の配合比を表1に示すように変えたこと以外は、実施例1と同様にしてSiC−SNプリフォーム並びにアルミニウム合金−炭化珪素窒化珪素質複合体を作製し、評価を行った。結果を表1に示す。
【0031】
[比較例1]
原料の珪素粉を窒化珪素に置き換えた以外は、実施例1と同様にしてSiC−SNプリフォーム並びにアルミニウム合金−炭化珪素窒化珪素質複合体を作製し、評価を行った。結果を表1に示す。
【0032】
[実施例7]
炭化珪素粉末及び窒化珪素粉末、珪素粉末を秤取し、更に外割でシリカゾル、水を添加した後、攪拌混合機で混合した後、φ300mm×20mmの寸法の平板状にプレス成形し、SiC−SNプリフォームを溶湯が流入できる湯口のついたφ300mm×20mmの鉄製枠以外は、実施例1の製法にて製造したアルミニウム合金−炭化珪素窒化珪素質複合体を所定形状に加工し静電チャック部材として使用したところ、天板である窒化アルミニウムとの熱膨張係数の差が小さくなり、従来品に比べクラック等の発生が少なく装置寿命が大幅に改善された。
【0033】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
原料として、炭化珪素粉及び珪素粉、或いは、炭化珪素粉、窒化珪素粉及び珪素粉を使用し、反応焼結により珪素粉を窒化させてセラミックス多孔体を作製し、アルミニウムを主成分とする金属を含浸することを特徴とするアルミニウム合金−炭化珪素窒化珪素質複合体の製造方法。
【請求項2】
窒化後に未反応として残存する珪素粉が、セラミックス多孔体中の10質量%以下であることを特徴とする請求項1記載のアルミニウム合金−炭化珪素窒化珪素質複合体の製造方法。
【請求項3】
炭化珪素粉及び窒化珪素粉を含み、相対密度が60〜85%であるセラミックス多孔体にアルミニウムを主成分とする金属を含浸することを特徴とするアルミニウム合金−炭化珪素窒化珪素質複合体。
【請求項4】
セラミックス多孔体の抗折強度が30MPa以上であることを特徴とする請求項3記載のアルミニウム合金−炭化珪素窒化珪素質複合体。
【請求項5】
セラミックス多孔体中に含まれる窒化珪素のβ化率が80%以上であることを特徴とする請求項3又は請求項4記載のアルミニウム合金−炭化珪素窒化珪素質複合体。
【請求項6】
熱膨張係数が10×10−6/K以下であることを特徴とする請求項3〜5のうちいずれか一項記載のアルミニウム合金−炭化珪素窒化珪素質複合体。
【請求項7】
請求項3〜6のうちいずれか一項記載のアルミニウム合金−炭化珪素窒化珪素質複合体を使用してなる静電チャック部材等の半導体製造部材。

【公開番号】特開2007−107070(P2007−107070A)
【公開日】平成19年4月26日(2007.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−301116(P2005−301116)
【出願日】平成17年10月17日(2005.10.17)
【出願人】(000003296)電気化学工業株式会社 (1,539)
【Fターム(参考)】