説明

アルミニウム鉱石からアルミニウム及び鉄を抽出する方法

アルミニウム鉱石又は混合物からアルミニウム及び/又は鉄イオンを抽出する方法及び組成物を提供する。一方法は、アルミニウムイオン、鉄イオン、有機溶媒及び有機溶媒に可溶で鉄イオン又はアルミニウムイオンと実質選択的に有機金属錯体を形成するのに適した抽出剤を含む組成物からのアルミニウムイオンの回収を含む。鉱石からアルミニウムを抽出する他の方法は、鉱石を酸で浸出して浸出液と固体残留物を得る工程と、pH10以上の塩基性条件下、鉄イオンの少なくとも一部を実質選択的に沈殿させ又は有機金属錯体を形成するのに適した抽出剤で鉄イオンの少なくとも一部を実質選択的に錯形成させ浸出液中に含まれた鉄イオンの少なくとも一部を除去する工程を含む。組成物に含まれる鉄イオンからアルミニウムイオンを少なくとも部分的に分離する他の方法は、pH10以上の塩基性条件下、鉄イオンの少なくとも一部を実質選択的に沈殿させる工程を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アルミニウム鉱石からのアルミニウムの抽出に応用される化学分野における改良に関する。例えば、かかる方法は、Fe、K、Mg、Na、Ca、Mn、Ba、Zn、Li、Sr、V、Ni、Cr、Pb、Cu、Co、Sb、As、B、Sn、Be、Mo及びその混合物などの多種の金属を含むアルミニウム鉱石からアルミニウムを抽出するのに有用である。
【背景技術】
【0002】
世界中で製造されるアルミナの96%超はボーキサイトから得られており、該ボーキサイトは特にアルミナ分に富む鉱物であり(40〜60%)、その主な産地はジャマイカ、豪州、ブラジル、アフリカ及びロシアである。世界の特定地域には大量のアルミニウム鉱石が存在し、該アルミニウム鉱石は、比較的アルミナ分に富む(20〜28%)アルミノシリケート類(例えばアージライト、ネフェリンなど)である。しかしながら、今までのところこれらの地域はほとんど注目されていない。なぜなら、かかる鉱石からアルミニウムを抽出する製造コストが高すぎるままだったからである。これらのアルミニウム材料においては、ボーキサイトと違って、酸化アルミニウムがケイ酸塩相又は硫酸塩相と結合している。そのため、バイヤー法を使うことができず、このことは、アルミナ製造のための代替処理法を使用又は開発しなければならないことを意味する。アルミノシリケート類を含むかかるアルミニウム鉱石からアルミニウムを抽出するために多様な方法が提案されてきたが、いまだ改良又は代替経路の余地がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
1つの形態によれば、鉄イオンとアルミニウムイオンを含む混合物からアルミニウムイオンを抽出する方法が提供される。該方法は、アルミニウムイオン、鉄イオン、有機溶媒及び該有機溶媒に可溶で鉄イオン又はアルミニウムイオンと実質選択的に有機金属錯体を形成するのに適した抽出剤を含む組成物からアルミニウムイオンを回収する工程を具える。
【0004】
1つの実施形態によれば、組成物はアルミニウムイオンを含む酸性の水相及び抽出剤と錯形成した鉄イオンを含む有機相と含むことができ、有機相から水相を分離することによってアルミニウムイオンが回収される。該水相のpHは約1〜約2.5又は約2であってもよい。抽出剤は、リン酸及びその誘導体、並びにホスフィン酸及びその誘導体から選択してもよい。例えば、抽出剤は、ジ(2−エチルヘキシル)リン酸(HDEHP)、ビス(2,4,4−トリメチルペンチル)ホスフィン酸及び2−エチルヘキシルホスホン酸モノ−2−エチルヘキシルエステルから選択することができる。抽出剤の濃度は、有機相中で約0.5M〜約1.5M又は約1Mであってもよい。組成物は有機相:水相の体積比率が1:1であってもよい。抽出後(組成物を膜に通した後)、有機相から水相を分離し、アルミニウムイオンを水相中で回収し、水相を塩基(例えば、NaOH、KOHやその混合物)によって処理することができる。水相を、pHを約4以上にするため、塩基で処理してもよい。該方法は、更に、有機相をHClで処理し、Fe3+の形で鉄イオンを分離する工程を具えることができる。
【0005】
他の実施形態によれば、組成物は、鉄イオンを含む酸性の水相と、抽出剤と錯形成したアルミニウムイオンを含む有機相とを含むことができ、有機相から水相を分離することでアルミニウムイオンが回収される。水相のpHは約2.5〜約3.5であってもよい。抽出剤は、ホスフィン酸又はその誘導体であってもよい。、例えば、抽出剤は、ビス(2,4,4−トリメチルペンチル)ホスフィン酸であってもよい。抽出剤は、有機溶媒に対して約10%〜約25%(体積/体積)の濃度又は約20%(体積/体積)の濃度であってもよい。組成物は、水相:有機相の体積比が約1:1〜約1:3であってもよい。該方法の実施中、組成物の温度は、約30℃〜約50℃又は約35℃〜約45℃であってもよい。膜を通した抽出の後、有機相から水相を分離することができる。錯形成したアルミニウムイオンを有機相中から回収することができる。それから有機相をHClで処理してアルミニウムイオンを含む水性の組成物を得ることができる。
【0006】
例えば、有機溶媒は炭化水素類から選ぶことができる。例えば、有機溶媒は、C5〜C12のアルカン及びその混合物から選ぶことができる。また、有機溶媒はヘキサン又はヘプタンであってもよい。有機相と水相をろ過膜、例えば中空糸膜を用いて分離することができる。このような膜は、ポリプロピレン、ポリフッ化ビニリデン又はそれらの混合物を含んでもよい。pHを約4以上にするため、水相を塩基で処理してもよい。該方法は、また、Al(OH)3を取得するために、ろ過によって分離する工程を更に含んでよい。また、該方法は、Al(OH)3を洗浄する工程を含んでよい。また、該方法は、Al(OH)3をAl23へ転化する工程を含でもよい。Al(OH)3からAl23への転化は、約800℃〜約1200℃の温度で行うことができる。
【0007】
他の形態によれば、アルミニウムイオン、鉄イオン、有機溶媒及び該有機溶媒に可溶で鉄イオン又はアルミニウムイオンと実質選択的に有機金属錯体を形成するのに適した抽出剤を含む組成物が提供される。
【0008】
他の形態によれば、アルミニウムイオンを含む酸性の水相及び抽出剤と錯形成した鉄イオンを含む有機相を含む組成物が提供される。
【0009】
他の形態によれば、鉄イオンを含む酸性の水相及び抽出剤と錯形成したアルミニウムイオンを含む有機相を含む組成物が提供される。
【0010】
前記方法に関して上述した多種のパラメーター、実施形態及び具体例を、可能な場合、これらの組成物にも適用することができる。
【0011】
他の形態によれば、組成物に含まれる鉄イオンからアルミニウムイオンを少なくとも部分的に分離する方法が提供され、該方法は、pHが10以上である塩基性条件下、鉄イオンの少なくとも一部を実質上選択的に沈殿させる工程を具える。NaOH又はKOHを含む塩基性の水性組成物から鉄イオンを沈殿させてもよい。例えば、pHが10以上である混合物を得るために、組成物と塩基を反応させ、そして、混合物の残部から沈殿した鉄イオンの少なくとも一部を分離してもよい。例えば、ろ過、デカンテーション、遠心分離及びこれらの組み合わせによって、混合物の残部から沈殿した鉄イオンを分離することができる。該方法は、更に、得られた沈殿鉄イオンを塩基溶液によりすすぐ工程を具えてもよい。塩基溶液は、約0.01M〜約0.02Mの濃度であってもよい。pHは、11以上、12以上、約10.8〜約11.2、又は約11.5〜約12.5とすることができる。該方法は、更に、中空糸膜を用いて沈殿した鉄イオンを精製する工程を具えてもよい。
【0012】
他の形態によれば、アルミニウム鉱石からアルミニウムを抽出する方法が提供され、該方法は、
浸出液と固体残留物を取得するため、アルミニウム鉱石を酸で浸出する工程と、
(i)アルミニウム濃縮組成物を取得するため、pHが10以上である塩基性条件下、鉄イオンの少なくとも一部を実質上選択的に沈殿させること、又は
(ii)アルミニウム濃縮組成物を得るために、鉄イオンと実質選択的に有機金属錯体を形成するのに適した抽出剤で鉄イオンの少なくとも一部を実質選択的に錯形成させることにより、
浸出液中に含まれる鉄イオンの少なくとも一部を除去する工程
を具える。
【0013】
例えば、酸はHClであってもよい。80℃以上、90℃以上又は約100℃〜約110℃の温度でHClによりアルミニウム鉱石を浸出してもよい。HClは、濃度が約6Mであってもよい。アルミニウム鉱石/酸の比は、重量/体積で約1/10であってもよい。
【0014】
例えば、塩基性の水性組成物から鉄イオンを沈殿させて、鉄イオンの少なくとも一部の除去を行うことができる。組成物は、NaOH又はKOHを含んでもよい。
【0015】
例えば、pHを10以上にして鉄イオンを沈殿させるために、浸出液と塩基を反応させることで、鉄イオンの少なくとも一部の除去を行うことができる。
【0016】
例えば、ろ過、デカンテーション、遠心分離及びこれらの組み合わせによって、浸出液の残部から沈殿した鉄イオンを分離することができる。
【0017】
前記方法は、更に、得られた沈殿鉄イオンを塩基溶液によりすすぐ工程を具えてもよい。塩基溶液は、約0.01M〜約0.02Mの濃度であってもよい。該pHは、11以上、12以上、約10.8〜約11.2、又は約11.5〜約12.5とすることができる。該方法は、更に、中空糸膜を用いて沈殿した鉄イオンを精製する工程を具えてもよい。
【0018】
アルミニウムイオンを含む酸性の水相と抽出剤と錯形成した鉄イオンを含む有機相を含む組成物を取得するために、酸性条件下、浸出液と抽出剤及び有機溶剤とを反応させることで鉄イオンの少なくとも一部を除去してもよい。有機相から水相を分離することで、アルミニウム濃縮組成物を取得できる。水相のpHは、約1〜約2.5、又は約2であってもよい。抽出剤は、ジ(2−エチルヘキシル)リン酸(HDEHP)、ビス(2,4,4−トリメチルペンチル)ホスフィン酸及び2−エチルヘキシルホスホン酸モノ−2−エチルヘキシルエステルから選択することができる。抽出剤の濃度は、有機相中で約0.5M〜約1.5M、又は約1Mであってもよい。
【0019】
例えば、有機溶媒は、C5〜C12のアルカン及びその混合物から選択することができる。該有機溶媒は、ヘプタンであってもよい。組成物は、有機相:水相の体積比率が約1:1であってもよい。有機相と水相は、ろ過膜を用いて分離することができる。膜は、中空糸膜であってもよい。膜は、ポリプロピレン、ポリフッ化ビニリデン又はそれらの混合物を含んでもよい。
【0020】
組成物を膜に通した後、水相を有機相から分離してもよい。水相中のアルミニウムイオンを回収し、水相を塩基(NaOH又はKOHなど)で処理してもよい。水相を塩基で処理し、pHを4以上にしてもよい。該方法は、更に、Al(OH)3を得るために、ろ過によって分離する工程を具えてもよく、該Al(OH)3は最後に洗浄してもよい。
【0021】
例えば、浸出前にアルミニウム鉱石を粉砕し焙焼してもよい。
【0022】
例えば、鉄イオンを除去する前に、浸出液を塩基で処理してもよい。
【0023】
例えば、鉄イオンを除去する前に、体積を減らすように浸出液を蒸留してもよい。
【0024】
例えば、該方法は、更に、アルミニウム濃縮組成物中に存在するアルミニウムイオンを少なくとも部分的に回収する工程を具えてもよい。
【0025】
例えば、不純物を含む酸性の水相及び抽出剤と錯形成したアルミニウムイオンを含む有機相を含む組成物を形成するために、有機溶媒と酸溶液の存在下で、アルミニウムイオンと実質選択的に有機金属錯体を形成するのに適した抽出剤によってアルミニウム濃縮組成物を処理してもよい。水相を有機相から分離することでアルミニウムイオンを回収してもよい。例えば、水相のpHは、約2.5〜約3.5とすることができる。抽出剤は、ホスフィン酸又はその誘導体であってもよい。該抽出剤は、ビス(2,4,4−トリメチルペンチル)ホスフィン酸であってもよい。抽出剤は、有機溶媒に対して約10%〜約25%(体積/体積)の濃度又は約20%(体積/体積)の濃度であってもよい。有機溶媒は、C5〜C12のアルカン及びその混合物から選択することができる。有機溶媒は、ヘプタンであってもよい。組成物は、水相:有機相の体積比率が約1:1〜約1:3であってもよい。有機相と水相を膜(例えば、中空糸膜)を用いて分離してもよい。該膜は、ポリプロピレン、ポリフッ化ビニリデン又はそれらの混合物を含んでもよい。組成物は、約30℃〜約50℃又は約35℃〜約45℃の温度であってもよい。組成物を膜に通した後、水相を有機相から分離してもよい。錯体形成したアルミニウムイオンを有機相から回収することができる。その後、有機相をHClで処理してアルミニウムイオンを含む水性の組成物を得てもよい。塩基と接触させることによりアルミニウムイオンをAl(OH)3へ転化してもよい。その後、Al(OH)3をAl23へ転化してもよい。かかるAl(OH)3からAl23への転化は、約800℃〜約1200℃の温度で行うことができる。
【0026】
下記の図面にて、例示のみを目的として本発明の多様な実施形態を示す。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】図1は、アルミニウム鉱石からアルミニウムを抽出する方法の一実施態様に従う方法のブロックダイアグラムを示す。
【発明を実施するための形態】
【0028】
更なる特徴と利点は、添付の図面中に特定の例示としてのみ示した以下の多様な実施形態の記載からより容易に明らかになろう。
【0029】
図1から分かるように、このような方法は多様な工程を含んでもよく、これらの各工程は最終的にはそれぞれがひとつの方法であると考えてもよい。
【0030】
(アージライト試料の前処理工程)
後続の工程中での進展を助けるために、アージライトを細かく粉砕してもよい。例えば、微粉砕化することで反応時間を数時間(約2〜3時間)に短縮できる。鉄の大部分を除去するため、粉砕工程と焙焼工程間に任意選択的に室温での浸出を行う(選択1参照)。本操作は、例えば、塩酸HCl(12M)を用いて、アージライト/酸の比率(重量/体積)1:5にて実施する。実験条件(粒子径、処理時間、撹拌システム)によるが、約65%〜約93%の鉄を除去できる。しかしながら、本浸出工程は、また、数%のアルミニウム(0〜5%)をもっていってしまい得る。アージライトの前処理の最終工程は、前処理したアージライトを焙焼する工程を具える。本工程は550℃より高い温度で約1〜2時間行ってもよい。例えば、加熱処理によって、同一期間に抽出されるアルミニウム量を約30%〜約40%増大できる。換言すれば、抽出されるアルミニウム量が倍増する。酸を回収し加熱コストを低減するため、室温での浸出を実施する場合、焙焼前に相分離がなされる。
【0031】
(酸浸出工程)
酸浸出工程は、所定期間中に高温で、粉砕し焙焼したアージライトを塩酸溶液と反応させることを含む。例えば、アージライト/酸の比率は約1:10(重量/体積)であり、HCl濃度は約6Mであり、温度は約100℃〜約110℃であり、反応時間は約5時間〜約7時間であってもよい。このような条件下では、不純物に加えて、約90%超のアルミニウムと約100%の鉄を抽出できる。
【0032】
このような処理の後半期間(例えば最後の2又は3時間)において、凝縮により酸の一部を回収してもよい。一旦、抽出を終了すると、デカンテーション又はろ過によって液体分から固体分(金属分に乏しいアージライト)を分離してもよく、その後に洗浄する。残った浸出液と洗浄水を完全に蒸発させてもよい。酸性度を低減し、鉄の除去中にpHを調整するのに必要な水酸化ナトリウム(NaOH)の量を減らすために、その後、対応する残留物を水で多数回洗浄してもよい。最終的な体積は初期体積の10%〜20%が見込まれる。ガス状のHClの添加又は濃厚HCl(12M)の添加によってその力価を調整した後、回収した酸を再利用してもよい。反応後、実験条件によるが、約4Mから約6Mへと酸の力価を変えてもよい。固体に関しては、アージライトの初期質量の約65%〜約75%に相当するものだが、その市価を維持し、イオン交換樹脂又は吸着剤として、再使用してもよい。
【0033】
(鉄除去工程)
例えばpHが10以上又は約11.5〜約12.5の塩基性媒体中で後者を沈殿させることで、鉄の除去を行ってもよい。このような工程は、例えば10Mの濃度で、NaOHを添加することにより行ってもよい。KOHなど他の塩基も使用してもよい。そして、ろ過、デカンテーション又は遠心分離によって液体部分から固形部分を分離し、希釈した塩基、NaOH溶液など(例えば0.01M〜0.02Mの濃度のNaOH)によって固体分をすすぐだけで済む。それから、蒸留水で固体分を洗浄する。液体部分はアルミニウムとアルカリ土類等を含んでいる。こうして、実質的に完全な鉄の除去とほとんど全ての不純物(他の金属)の除去が達成できる。任意選択的に、中空糸膜を通した液−液抽出による精製工程を用いて、鉄を回収することが可能である(選択2参照)。
【0034】
或いは(選択3参照)、抽出剤と中空糸膜を使って鉄を回収してもよい。このような工程においては、Al/Fe比によるが、アルミニウムイオンに比して鉄イオンと(又は鉄イオンに比してアルミニウムイオンと)実質選択的に錯体形成できる多様な抽出剤を使ってもよい。例えば、鉄イオンと錯体形成するのに適した抽出剤として、HDEHP(ジエチルヘキシルリン酸)を用いて抽出を行ってもよい。ヘプタンや炭化水素溶媒などの有機溶媒中で約1Mの濃度のHDEHPを使ってもよい。このような抽出は比較的短い接触時間(数分)で済む。例えば、pHはおよそ2に、水相/有機相の比率は約1:1にしてもよい。このような条件下、86%〜98%の鉄を抽出できることが観察された。この場合、鉄が有機相に捕捉されることが理解されるであろう。水相中の鉄を回収するため、塩酸(2M又は6M)及び約1:0.5の有機相/水相比率により逆抽出を行ってもよい。この場合、得られる水相はFe3+イオンに富んでいる。
【0035】
(アルミニウム回収工程)
沈殿又は抽出技術を用いた前工程から得られた溶液は、比較的清浄で主として例えば約90%〜95%のアルミニウム(沈殿法の場合アルカリ土類等を含まない)を含む。後者の回収は、液−液抽出によって、例えば同じ中空糸膜と、他の金属や残留物より少なくともアルミニウムと実質選択的に錯体形成するのに適応した抽出剤とを使って行ってもよい。例えば、ビス(2,4,4−トリメチルペンチル)ホスフィン酸(市販商品名Cyanex(商標)272など)をアルミニウムに特化した抽出剤として使用してもよい。例えば、この抽出剤はヘプタンなどの有機溶媒中で約20体積/体積%の濃度で使用してもよい。水相:有機相の比率は、約1:1〜約1:3にしてもよい。例えば、抽出温度は約40℃でpHは約2.5〜約3.5に維持してもよい。このような技術によって、70〜90%以上のアルミニウムを抽出することが可能となることが観察された。アルミニウムが有機相に捕捉された後、逆抽出法を用いて濃縮されたAl3+の形で回収してもよい。例えば、約40℃の温度で塩酸(例えば6Mの濃度で)を加え逆抽出してもよい。この条件下、90%超のアルミニウムが回収できる。そして、NaOHを添加することによりAl3+を水酸化アルミニウムAl(OH)3へ転化してもよい。最終的に、Al(OH)3をアルミナ(アルミナAl23)へ、例えば約800℃〜約1200℃の温度で焙焼することにより転化してもよい。
【0036】
以下、非限定的な実施例によって更に本発明を詳述する。
【実施例】
【0037】
<実施例1>
(アージライト試料の前処理工程)
・泥岩の粉砕工程:
試験に採用した微粒子化物の平均値は、10から50ミクロン間の範囲であった。
【0038】
・焙焼工程:
粉砕した泥岩を600℃で少なくとも1時間焙焼した。その平均組成は以下であった:
【表1】

【0039】
・酸浸出工程
粉砕し焙焼したアージライト500gに、6M塩酸5リットルを加えた。100℃〜110℃で7時間、混合物を加熱した。
【0040】
反応後、ろ過により、固体分から液体分を分離した。固体分を蒸留水で洗浄し、これを液体分に加えた。この洗浄によって固体中に捕捉されていたアルミニウムの一部を回収することが可能である。固体分は乾燥質量が345±5gであり、約30%〜32%の減量に相当する。
【0041】
アルミニウム、鉄及び泥岩に最初から存在した不純物の大部分を含んだ残留液体部分を100℃の温度で蒸留することにより、初期体積の90%に減容した。残液の体積は50mLであった。蒸留の前後での液体の組成は以下であった:
【表2】

【0042】
・鉄除去工程
残液の体積を若干希釈し(+25%)、pHが11.5より高くなるまで濃厚な水酸化ナトリウム(10M)を添加した。標準的なろ過によって溶液から生成した沈殿物を分離し、希薄なNaOHと高温の超純水で数回洗浄した。沈殿物には鉄分すべてと金属不純物の大部分が含まれていた。ろ過物には、Al3+イオンに加えて主にはアルカリ−土類等及び以下に記す少量の不純物が含まれていた:
【表3】

【0043】
・アルミニウム回収工程
6MのHClを添加して、ろ過物のpHを2.5〜3.5に調整する。有機溶媒に対して20体積/体積%、体積比率1:1にて、錯形成剤、Cyanex272によって、得られた溶液を抽出する。40℃の温度で中空糸を具える膜接触器中にて抽出を行う。約30〜60分以内に、アルミニウムの85%超を抽出する。NaOH(10M)添加量の調節ループ制御によってpHを調整する。次に、40℃で有機相/酸相の体積比率を1:0.5にしてHCl(6M)により逆抽出することで、Cyanex中で錯形成したAl3+を回収する。逆抽出後、回収した酸相の組成は以下であった:
【表4】

【0044】
純度の百分率値を向上させるため、Al3+イオンをAl(OH)3水酸化物の形で沈殿させ、超純水で数回洗浄する。水酸化物の組成はこのようになる:
【表5】

【0045】
更に、再結晶法によって精製してもよい。
【0046】
特に特定の実施形態に関して記載したのだが、本発明への多数の改変は、当業者にとって容易に浮かぶものと理解される。従って、上記記載と添付の図面は特定の例示としてのみ解釈されるべきであり、限定的な意味で解釈されるべきではない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルミニウムイオン、鉄イオン、有機溶媒及び該有機溶媒に可溶で鉄イオン又はアルミニウムイオンと実質選択的に有機金属錯体を形成するのに適した抽出剤を含む組成物からアルミニウムイオンを回収する工程を具える、鉄イオンとアルミニウムイオンを含む混合物からアルミニウムイオンを抽出する方法。
【請求項2】
前記組成物が、アルミニウムイオンを含む酸性の水相と前記抽出剤と錯形成した鉄イオンを含む有機相とを含み、該有機相から該水相を分離することで該アルミニウムイオンを回収することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記水相のpHが約1〜約2.5であることを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記水相のpHが約2であることを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記抽出剤が、ジ(2−エチルヘキシル)リン酸(HDEHP)、ビス(2,4,4−トリメチルペンチル)ホスフィン酸及び2−エチルヘキシルホスホン酸モノ−2−エチルヘキシルエステルから選択されることを特徴とする請求項2〜4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
前記抽出剤の濃度が前記有機相中で約0.5M〜約1.5Mであることを特徴とする請求項2〜5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
前記抽出剤の濃度が前記有機相中で約1Mであることを特徴とする請求項2〜5のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
前記有機溶媒がC5〜C12のアルカン及びその混合物から選択されることを特徴とする請求項2〜7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
前記有機溶媒がヘプタンであることを特徴とする請求項2〜7のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
前記組成物は、有機相:水相の体積比が約1:1であることを特徴とする請求項2〜9のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
前記有機相と前記水相とをろ過膜によって分離することを特徴とする請求項2〜10のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
前記膜が中空糸膜であることを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記膜がポリプロピレン、ポリフッ化ビニリデン又はそれらの混合物を含むことを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記膜がポリプロピレンを含むことを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項15】
前記組成物を前記膜に通した後、前記有機相から前記水相を分離し、該水相中から前記アルミニウムイオンを回収し、該水相を塩基で処理することを特徴とする請求項12〜14のいずれかに記載の方法。
【請求項16】
前記塩基がNaOH、KOH又はその混合物を含むことを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記塩基がNaOHを含むことを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項18】
pHを約4以上にするため、前記水相を前記塩基で処理することを特徴とする請求項15〜17のいずれかに記載の方法。
【請求項19】
更に、Al(OH)3を取得するためにろ過により分離する工程を含む、請求項15〜18のいずれかに記載の方法。
【請求項20】
更に、前記Al(OH)3を洗浄する工程を含む、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
更に、Al(OH)3をAl23に転化する工程を含む、請求項15〜20のいずれかに記載の方法。
【請求項22】
Al(OH)3からAl23への転化を約800℃〜約1200℃の温度で行うことを特徴とする請求項21に記載の方法。
【請求項23】
更に、前記有機相をHClで処理する工程と、Fe3+の形態で鉄イオンを分離する工程とを具える、請求項15〜23のいずれかに記載の方法。
【請求項24】
前記組成物が、鉄イオンを含む酸性の水相と前記抽出剤と錯形成したアルミニウムイオンを含む有機相とを含み、該有機相から該水相を分離することで該アルミニウムイオンを回収することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項25】
前記水相のpHが約2.5〜約3.5であることを特徴とする請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記抽出剤がホスフィン酸又はその誘導体であることを特徴とする請求項24又は25に記載の方法。
【請求項27】
前記抽出剤がビス(2,4,4−トリメチルペンチル)ホスフィン酸であることを特徴とする請求項24又は25に記載の方法。
【請求項28】
前記抽出剤が前記有機溶媒に対して約10%〜約25%(体積/体積)の濃度であることを特徴とする請求項24〜27のいずれかに記載の方法。
【請求項29】
前記抽出剤が前記有機溶媒に対して約20%(体積/体積)の濃度であることを特徴とする請求項24〜27のいずれかに記載の方法。
【請求項30】
前記有機溶媒がC5〜C12のアルカン及びその混合物から選択されることを特徴とする請求項24〜29のいずれかに記載の方法。
【請求項31】
前記有機溶媒がヘプタンであることを特徴とする請求項24〜29のいずれかに記載の方法。
【請求項32】
前記組成物は、水相:有機相の体積比が約1:1〜約1:3であることを特徴とする請求項24〜31のいずれかに記載の方法。
【請求項33】
前記有機相と前記水相とを膜によって分離することを特徴とする請求項24〜31のいずれかに記載の方法。
【請求項34】
前記膜が中空糸膜であることを特徴とする請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記膜がポリプロピレン、ポリフッ化ビニリデン又はそれらの混合物を含むことを特徴とする請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記膜がポリプロピレンを含むことを特徴とする請求項34に記載の方法。
【請求項37】
前記組成物が約30℃〜約50℃の温度であることを特徴とする請求項24〜36のいずれかに記載の方法。
【請求項38】
前記組成物が約35℃〜約45℃の温度であることを特徴とする請求項24〜37のいずれかに記載の方法。
【請求項39】
前記組成物を前記膜に通した後、前記水相を前記有機相から分離し、前記錯形成したアルミニウムイオンを該有機相中から回収し、その後、該有機相をHClで処理して該アルミニウムイオンを含む水性組成物を得ることを特徴とする請求項24〜37のいずれかに記載の方法。
【請求項40】
塩基を添加、接触させることで、アルミニウムイオンをAl(OH)3に転化することを特徴とする請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記塩基がNaOH、KOH又はその混合物を含むことを特徴とする請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記塩基がNaOHを含むことを特徴とする請求項40に記載の方法。
【請求項43】
pHを約4以上にするため、前記水性組成物を前記塩基で処理することを特徴とする請求項40〜42のいずれかに記載の方法。
【請求項44】
更に、Al(OH)3を取得するためにろ過により分離する工程を含む、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
更に、前記Al(OH)3を洗浄する工程を含む、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
更に、Al(OH)3をAl23に転化する工程を含む、請求項43〜45のいずれかに記載の方法。
【請求項47】
Al(OH)3からAl23への転化を約800℃〜約1200℃の温度で行うことを特徴とする請求項46に記載の方法。
【請求項48】
アルミニウムイオン、鉄イオン、有機溶媒及び該有機溶媒に可溶で鉄イオン又はアルミニウムイオンと実質選択的に有機金属錯体を形成するのに適した抽出剤を含む組成物。
【請求項49】
アルミニウムイオンを含む酸性の水相と、抽出剤と錯形成した鉄イオンを含む有機相とを含む組成物。
【請求項50】
鉄イオンを含む酸性の水相と、抽出剤と錯形成したアルミニウムイオンを含む有機相とを含む組成物。
【請求項51】
組成物に含まれる鉄イオンからアルミニウムイオンを少なくとも部分的に分離する方法であって、pHが10以上である塩基性条件下、該鉄イオンの少なくとも一部を実質選択的に沈殿させる工程を具える、方法。
【請求項52】
NaOHを含む塩基性の水性組成物から前記鉄イオンを沈殿させることを特徴とする請求項51に記載の方法。
【請求項53】
KOHを含む塩基性の水性組成物から前記鉄イオンを沈殿させることを特徴とする請求項51に記載の方法。
【請求項54】
pHが10以上である混合物を得るために、前記組成物と塩基を反応させ、その後、該混合物の残部から前記沈殿した鉄イオンの少なくとも一部を分離することを特徴とする請求項51に記載の方法。
【請求項55】
ろ過、デカンテーション、遠心分離及びこれらの組み合わせを実行することによって、前記混合物の残部から前記沈殿した鉄イオンを分離することを特徴とする請求項54に記載の方法。
【請求項56】
前記塩基がKOH、NaOH、及びその混合物から選択されることを特徴とする請求項54又は55に記載の方法。
【請求項57】
前記塩基がNaOHであることを特徴とする請求項54又は55に記載の方法。
【請求項58】
前記塩基がKOHであることを特徴とする請求項54又は55に記載の方法。
【請求項59】
更に、得られた沈殿鉄イオンを塩基性溶液によりすすぐ工程を具える、請求項54〜58のいずれかに記載の方法。
【請求項60】
前記塩基性溶液が約0.01M〜約0.02Mの濃度のNaOH又はKOHであることを特徴とする請求項59に記載の方法。
【請求項61】
前記pHが11以上であることを特徴とする請求項51〜60のいずれかに記載の方法。
【請求項62】
前記pHが12以上であることを特徴とする請求項51〜60のいずれかに記載の方法。
【請求項63】
前記pHが約10.8〜約11.2であることを特徴とする請求項51〜60のいずれかに記載の方法。
【請求項64】
前記pHが約11.5〜約12.5であることを特徴とする請求項51〜60のいずれかに記載の方法。
【請求項65】
更に、沈殿した鉄イオンを中空糸膜によって精製する工程を具える、請求項51〜64のいずれかに記載の方法。
【請求項66】
アルミニウム鉱石からアルミニウムを抽出する方法であって、
浸出液と固体残留物を取得するために、該アルミニウム鉱石を酸で浸出する工程と、
(i)アルミニウム濃縮組成物を取得するために、pHが10以上である塩基性条件下、鉄イオンの少なくとも一部を実質選択的に沈殿させること、又は、(ii)アルミニウム濃縮組成物を得るために、鉄イオンと実質選択的に有機金属錯体を形成するのに適した抽出剤で鉄イオンの少なくとも一部を実質選択的に錯形成させることにより、該浸出液中に含まれた鉄イオンの少なくとも一部を除去する工程
を具える、方法。
【請求項67】
前記酸がHClであることを特徴とする請求項66に記載の方法。
【請求項68】
80℃以上の温度でHClにより前記アルミニウム鉱石を浸出することを特徴とする請求項66に記載の方法。
【請求項69】
90℃以上の温度でHClにより前記アルミニウム鉱石を浸出することを特徴とする請求項66に記載の方法。
【請求項70】
約100℃〜約110℃の温度でHClにより前記アルミニウム鉱石を浸出することを特徴とする請求項66に記載の方法。
【請求項71】
前記酸が濃度約6MのHClであることを特徴とする請求項66〜70のいずれかに記載の方法。
【請求項72】
アルミニウム鉱石/酸の比が、重量/体積で約1/10であることを特徴とする請求項66〜71のいずれかに記載の方法。
【請求項73】
NaOHを含む塩基性の水性組成物から前記鉄イオンを沈殿させることにより、該鉄イオンの少なくとも一部を除去することを特徴とする請求項66〜72のいずれかに記載の方法。
【請求項74】
KOHを含む塩基性の水性組成物から前記鉄イオンを沈殿させることにより、該鉄イオンの少なくとも一部を除去することを特徴とする請求項66〜72のいずれかに記載の方法。
【請求項75】
pHを10以上にするために前記浸出液と塩基を反応させ、そして前記鉄イオンを沈殿させることにより、該鉄イオンの少なくとも一部を除去することを特徴とする請求項66〜72のいずれかに記載の方法。
【請求項76】
ろ過、デカンテーション、遠心分離及びこれらの組み合わせを実行することによって、前記浸出液の残部から前記沈殿した鉄イオンを分離することを特徴とする請求項75に記載の方法。
【請求項77】
前記塩基がKOH、NaOH、及びその混合物から選択されることを特徴とする請求項75又は76に記載の方法。
【請求項78】
前記塩基がNaOHであることを特徴とする請求項75又は76に記載の方法。
【請求項79】
前記塩基がKOHであることを特徴とする請求項75又は76に記載の方法。
【請求項80】
更に、得られた沈殿鉄イオンを塩基性溶液によってすすぐ工程を具える、請求項75〜79のいずれかに記載の方法。
【請求項81】
前記塩基性溶液が約0.01M〜約0.02Mの濃度のNaOH又はKOHであることを特徴とする請求項80に記載の方法。
【請求項82】
前記pHが11以上であることを特徴とする請求項75〜81のいずれかに記載の方法。
【請求項83】
前記pHが12以上であることを特徴とする請求項75〜81のいずれかに記載の方法。
【請求項84】
前記pHが約10.8〜約11.2であることを特徴とする請求項75〜81のいずれかに記載の方法。
【請求項85】
前記pHが約11.5〜約12.5であることを特徴とする請求項75〜81のいずれかに記載の方法。
【請求項86】
更に、沈殿した鉄イオンを中空糸膜により精製する工程を具える、請求項66〜85のいずれかに記載の方法。
【請求項87】
アルミニウムイオンを含む酸性の水相と前記抽出剤と錯形成した鉄イオンを含む有機相とを含む組成物を取得するために、酸性条件下、前記浸出液と該抽出剤及び有機溶剤とを反応させることで少なくとも鉄イオンの一部を除去し、該有機相から該水相を分離することで、前記アルミニウム濃縮組成物を取得することを特徴とする請求項66〜86のいずれかに記載の方法。
【請求項88】
前記水相のpHが約1〜約2.5であることを特徴とする請求項87に記載の方法。
【請求項89】
前記水相のpHが約2であることを特徴とする請求項87に記載の方法。
【請求項90】
前記抽出剤が、ジ(2−エチルヘキシル)リン酸(HDEHP)、ビス(2,4,4−トリメチルペンチル)ホスフィン酸及び2−エチルヘキシルホスホン酸モノ−2−エチルヘキシルエステルから選択されることを特徴とする請求項87〜89のいずれかに記載の方法。
【請求項91】
前記抽出剤の濃度が前記有機相中で約0.5M〜約1.5Mであることを特徴とする請求項87〜90のいずれかに記載の方法。
【請求項92】
前記抽出剤の濃度が前記有機相中で約1Mであることを特徴とする請求項87〜90のいずれかに記載の方法。
【請求項93】
前記有機溶媒がC5〜C12のアルカン及びその混合物から選択されることを特徴とする請求項87〜90のいずれかに記載の方法。
【請求項94】
前記有機溶媒がヘプタンであることを特徴とする請求項87〜90のいずれかに記載の方法。
【請求項95】
前記組成物は、有機相:水相の体積比が約1:1であることを特徴とする請求項87〜94のいずれかに記載の方法。
【請求項96】
前記有機相と前記水相とをろ過膜によって分離することを特徴とする請求項87〜95のいずれかに記載の方法。
【請求項97】
前記膜が中空糸膜であることを特徴とする請求項96に記載の方法。
【請求項98】
前記膜がポリプロピレン、ポリフッ化ビニリデン又はそれらの混合物を含むことを特徴とする請求項97に記載の方法。
【請求項99】
前記膜がポリプロピレンを含むことを特徴とする請求項97に記載の方法。
【請求項100】
前記組成物を前記膜に通した後、前記水相を前記有機相から分離し、該水相中の前記アルミニウムイオンを回収し、該水相を塩基で処理することを特徴とする請求項96〜99のいずれかに記載の方法。
【請求項101】
前記塩基がNaOH、KOH、又はそれらの混合物を含むことを特徴とする請求項100に記載の方法。
【請求項102】
前記塩基がNaOHを含むことを特徴とする請求項100に記載の方法。
【請求項103】
前記水相を前記塩基で処理して、pHを約4以上にすることを特徴とする請求項100〜102のいずれかに記載の方法。
【請求項104】
更に、Al(OH)3を得るために、ろ過によって分離する工程を具える、請求項100〜103のいずれかに記載の方法。
【請求項105】
更に、前記Al(OH)3を洗浄する工程を具える、請求項104に記載の方法。
【請求項106】
浸出前に、前記アルミニウム鉱石を粉砕し焙焼することを特徴とする請求項66〜105のいずれかに記載の方法。
【請求項107】
前記鉄イオンを除去する前に、前記浸出液を塩基で処理することを特徴とする請求項66〜106のいずれかに記載の方法。
【請求項108】
前記鉄イオンを除去する前に、前記浸出液を蒸留して体積を減らすことを特徴とする請求項66〜107のいずれかに記載の方法。
【請求項109】
更に、前記アルミニウム濃縮組成物中に存在する前記アルミニウムイオンを少なくとも部分的に回収する工程を具える、請求項66〜108のいずれかに記載の方法。
【請求項110】
不純物を含む酸性の水相と前記抽出剤と錯形成したアルミニウムイオンを含む有機相とを含む組成物を形成するために、有機溶媒及び酸性溶液の存在下で、該アルミニウムイオンと実質選択的に有機金属錯体を形成するのに適した抽出剤によって前記アルミニウム濃縮組成物を処理し、該水相を該有機相から分離することで該アルミニウムイオンを回収することを特徴とする請求項109に記載の方法。
【請求項111】
前記水相のpHが約2.5〜約3.5であることを特徴とする請求項110に記載の方法。
【請求項112】
前記抽出剤がホスフィン酸又はその誘導体であることを特徴とする請求項110又は111に記載の方法。
【請求項113】
前記抽出剤がビス(2,4,4−トリメチルペンチル)ホスフィン酸であることを特徴とする請求項110又は111に記載の方法。
【請求項114】
前記抽出剤が前記有機溶媒に対して約10%〜約25%(体積/体積)の濃度であることを特徴とする請求項110〜113のいずれかに記載の方法。
【請求項115】
前記抽出剤が前記有機溶媒に対して約20%(体積/体積)の濃度であることを特徴とする請求項110〜113のいずれかに記載の方法。
【請求項116】
前記有機溶媒がC5〜C12のアルカン及びその混合物から選択されることを特徴とする請求項110〜115のいずれかに記載の方法。
【請求項117】
前記有機溶媒がヘプタンであることを特徴とする請求項110〜115のいずれかに記載の方法。
【請求項118】
前記組成物は、水相:有機相の体積比が約1:1〜約1:3であることを特徴とする請求項110〜117のいずれかに記載の方法。
【請求項119】
前記有機相と前記水相とを膜によって分離することを特徴とする請求項110〜118のいずれかに記載の方法。
【請求項120】
前記膜が中空糸膜であることを特徴とする請求項119に記載の方法。
【請求項121】
前記膜がポリプロピレン、ポリフッ化ビニリデン又はそれらの混合物を含むことを特徴とする請求項120に記載の方法。
【請求項122】
前記膜がポリプロピレンを含むことを特徴とする請求項120に記載の方法。
【請求項123】
前記組成物が約30℃〜約50℃の温度であることを特徴とする請求項110〜122のいずれかに記載の方法。
【請求項124】
前記組成物が約35℃〜約45℃の温度であることを特徴とする請求項110〜122のいずれかに記載の方法。
【請求項125】
前記組成物を前記膜に通した後、前記水相を前記有機相から分離し、前記錯形成したアルミニウムイオンを該有機相から回収し、その後、該有機相をHClで処理して該アルミニウムイオンを含む水性組成物を得ることを特徴とする請求項119〜124のいずれかに記載の方法。
【請求項126】
塩基と接触させることによりアルミニウムイオンをAl(OH)3へ転化することを特徴とする請求項125に記載の方法。
【請求項127】
更に、Al(OH)3からAl23へ転化する工程を含む、請求項104、105又は126に記載の方法。
【請求項128】
Al(OH)3からAl23への転化を約800℃〜約1200℃の温度で行うことを特徴とする請求項127に記載の方法。

【図1】
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【公表番号】特表2010−529289(P2010−529289A)
【公表日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−508674(P2010−508674)
【出願日】平成20年5月7日(2008.5.7)
【国際出願番号】PCT/CA2008/000877
【国際公開番号】WO2008/141423
【国際公開日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【出願人】(509322144)エクスプロレイション オーバイト ヴイエスピーエー インコーポレイテッド (1)
【Fターム(参考)】