説明

アレイ表面における新規二本鎖核酸形成に基づく方法および装置

【課題】 凝縮されたオリゴヌクレオチドは、非対称で非らせん形の塩基対合を伴い、装置の表面からのオリゴヌクレオチドの解離を伴わない相補的一本鎖核酸への解離的なハイブリダイズに効果的である。また同時に、 プローブ核酸にハイブリダイズ可能な溶液状態のターゲット核酸と生体分子ハイブリダイゼーション装置を用いたヌクレオチド-結合タンパク質が結合するヌクレオチド配列の同定方法を提供するものである。
【解決手段】 半永久的に共有結合して付着された官能基の表面を持つ基板と各々のオリゴヌクレオチドのほぼすべてのリン酸基の直接の非共有結合的リン酸表面への吸着接触により圧縮されたオリゴヌクレオチドの飽和膜として10から約24塩基長の変更されていない、一本鎖オリゴヌクレオチドの吸着した単分子層からなる生体分子ハイブリダイゼーション装置である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本国際出願は米国特許法(35 U.S.C.120条)に基づき審議中の2008年4月4日に出願された米国特許出願第12/080,720の一部継続出願の優先権の利益を請求するものである。その内容は参照する事により本書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、マイクロアレイ装置とハイブリダイセーションの技術分野に関するものである。具体的には、本発明は、非らせん形の非対称の二本鎖として相補的核酸に効果的にハイブリダイズさせる為、オリゴヌクレオチドが吸着したアレイ表面と飽和膜を有するハイブリダイセーション装置を提供するものである。
【背景技術】
【0003】
二重らせん構造は水溶液中で相補的核酸のハイブリダイゼーションの結果として形成される事が知られる。らせん構造では負に荷電する各核酸のリン酸基が二本鎖の外側にらせん状に配向され、陽イオン性基と相互作用可能である。特にマイクロアレイにおける表面結合プローブとし、cDNAとオリゴヌクレオチドを共有結合させるため、カチオン被覆した固体担体は現在バイオテクノロジー分野で広く使用されている。これらの陽イオン表面は核酸バックボーン(糖とリン酸からなるDNAの骨格)に静電気的にリン酸基を介し結合可能となる。そのような担体では全長遺伝子を用いるより100塩基対(bp)以下のオリゴヌクレオチドの方がハイブリダイゼーションに適している。
【0004】
マイクロアレイ技術は応用ゲノム科学に革命をもたらした(非特許文献1)。相補的な塩基鎖間で水溶液中において混相反応によるワトソン‐クリックの二重らせん構造の形成は塩基と塩基の表面結合のハイブリダイセーションに基づく。二重らせんの結果として生じる二次構造は、一つにはリン酸ジエステル結合によるリン酸‐糖バックボーンの立体構造と糖のパッカリング(折れ構造)に課される拘束と連動して塩基の対合と塩基スタッキングにより決まる。これらの相互作用は部位的な塩基の対合、さらにはらせん構造全体のピッチを決定するのに役立つ。溶液中でらせんの平均ピッチはおよそ10塩基対(一回転=3.4nm)であるが、極度に膨張状態となる条件下では平面状で非らせんのひも状構造を形成するモデリングに基づく予測などの構造研究(Leger JF et al., 1999, Phys. Rev. Lett. 83:1066-1069; Bensimon D et al., 1995, Phys. Rev. Lett. 74:4754-4757; Smith SB et al., 1996, Science 271:795-799; Lebrun A et al., 1996, Nucl. Acids Res. 24:2260-2267; and Marko JF, Feig M, and Pettitt BM J. Phys. Chem., submitted (私信))や、挿入剤による結合の崩壊(Gao O et al., 1991, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 88:2422-2426)を示した研究により、ピッチ角度の高い可変性と柔軟性とが明らかにされた。
【0005】
核酸はアレイ表面において共有結合、非共有結合で固定化される。塩基の共有結合を利用したいくつかの手法が既に知られており、その例として、ナイロンまたはニトロセルロース膜を利用した核酸のノーザンブロットおよびサザンブロット法で既に一般的に知られている化学的または光化学的な架橋結合により表面に共有結合するオリゴヌクレオチドが挙げられる。また、共有結合は、オリゴヌクレオチドの一方または両方の末端に化学的リンカーをつけ、あらかじめ合成されたオリゴヌクレオチドを使用した方法に利用されつつある。特許文献1を有するBradleyおよびCaiはアレイ表面において反応基との共有結合を生じさせるためオリゴヌクレオチドにリンカーを付加する方法を開示している。特許文献1および参考文献を参照。このようにオリゴヌクレオチドプローブの付着はプローブの表面への直接的な吸着相互作用というよりはむしろリンカーを利用したアレイ表面との結合となる。
【0006】
さらにアレイ表面への共有結合を利用した核酸の固定化法としてフォトリソグラフィーを用いた方法がある。Goldbergらは特許文献2で光保護基を利用し表面を誘導体化する方法を開示している。核酸は光照射により選択的に保護基を脱離させることによりアレイ表面で直接合成される。脱保護された領域はその後、光保護基を持つヌクレオチド1種類を共有結合可能となる。この作業の繰り返しによりアレイ表面に共有結合するオリゴヌクレオチドとなる。さらに他のアレイ作成法の例として特許文献3のCarenとLuebkeによる核酸構成成分のインクジェットプリント法、特許文献4の質量分析計を用いた解析のためサンプルアレイを準備するマイクロ流体工学ロボットが挙げられる。
【0007】
一般的に非共有結合的に核酸を固定する方法では架橋剤が必要となる。場合によっては塩または界面活性剤が架橋剤となる。例えばNikiforovとKnappは特許文献5で核酸と陽イオン架橋剤(塩酸ナトリウムまたは界面活性剤)の組み合わせでによりガラスまたは親水性ポリスチレン担体に接着させる固定化法を開示している。要約287を参照。この方法はオリゴヌクレオチドとアレイ表面間における直接的な吸着相互作用よりむしろアレイ表面との海面活性剤の凝集性の相互作用に基づいた接着法となる。
【0008】
またアビジンとビオチン、またはジゴキシゲニンと抗ジゴキシゲニン抗体などといった高い親和力を持つものが架橋剤として利用される場合もある。例として、ビオチン化した核酸のストレプトアビジンで被覆したアレイ表面への固定化が挙げられる。 Belosludtsev Y et al., 2001, Biochem Biophys Res Commun. 282:1263-1267; Holmstrom et al., 1993, Anal. Biochem. 209(2):278-283. 参照。この方法では、アビジンまたはアビジン様物質で被覆したアレイ表面に結合させるためオリゴヌクレオチドにビオチン修飾したリンカーが付加される。アレイ表面とプローブの接着は直接的な吸着相互作用ではなくむしろビオチン修飾されたリンカーを介し行われる。
【0009】
膜表面における長い一本鎖または二本鎖DNA分子の吸着性、非共有結合による固定化方法はサザンまたはノーザンブロットと呼ばれる技術をもとにしたものである。ブロッティングの標準的技法はプローブの長さが100bp以下で確立されてきたものであり、既知の吸着法では十分安定なハイブリダイゼーションを形成しプローブの結合を維持するには弱すぎる。このようにブロッティング反応における短い核酸プローブの結合のための標準技術は核酸の固体担体への(光化学的クロスリンクの様な)非共有結合、または(化学的クロスリンクの様な)非吸着結合を用いた他の方法となる。短い核酸プローブを用いる従来のブロッティング法は全て固定化に共有結合を用いた方法である。多孔性ビーズや多孔性小粒子基板などの他のタイプの多孔質材は膜と同様な反応を示すことが知られ、長いDNAプローブは吸着相互作用により付着されるが、短いプローブは非吸着により固定化される。
【0010】
長い一本鎖または二本鎖のDNA分子は吸着、非共有結合を利用したの既知の固定化により、非メンブレン表面、具体的には平面基板(しばしばスライドと呼ばれる)を使用しDNAマイクロアレイが作成される。吸着プローブ相互作用はマイクロアレイを作るべく平面基板に長い(100bp以上)核酸がスポッティングされたDNAマイクロアレイの作成およびその使用の基本原理である。マイクロアレイ作成の標準的技術は長い核酸プローブをポリカチオンコートされた表面(通常ポリリシン)との吸着作用によりアレイ表面に付着させることである。
【0011】
しかしながら100bp以下の短い核酸をマイクロアレイ表面に付着させる場合、既知の吸着方法ではハイブリダイゼーション装置の基礎となるマイクロアレイに安定なプローブ結合をさせるには弱すぎる事が明らかとなった。従って100bp以下のオリゴヌクレオチドプローブを付着させたマイクロアレイを利用するには、通常、オリゴヌクレオチド末端(3'または5')の固体担体への共有結合または他の非吸着相互作用を用いた方法を利用し、核酸をマイクロアレイ担体に共有結合させる技術が標準的に関与する。既知の短い核酸のマイクロアレイ担体への吸着、非共有結合結合能を高める方法はDNAを不適当なものにしてしまう事が示されている。これはオリゴヌクレオチドの二本鎖形成能の低下、またはマイクロアレイへの非特異的ターゲットの結合によるものである可能性がある。
【0012】
ハイブリダイゼーション装置としての基礎となる固形担体に付着させるためのオリゴヌクレオチド(DNAやRNAなどの100bp以下の短い一本鎖核酸)の研究がすすんでいる。しかしながらこれまでのところ固形担体へ直接オリゴヌクレオチドを付着させる方法は知られていない。実際、オリゴヌクレオチドの直接吸着が期待するほどうまく働かない事を示す論文が存在する。例えばLindsayはアミノプロピルトリエトキシシランを用いた原子力顕微鏡による構造解析でDNAがin situで強く結合し過ぎ、雲母への約100塩基以上の長さのDNAの接着法の解析が不可能であると主張している。http://green.la.asu.edu/review/chap_7(3-5).htmにて公開されているドラフトLindsay SM, The Scanning Probe Microscope in Biologyを参照。
【0013】
炭化水素で被覆されたシリカ表面を用いた最近の吸着オリゴヌクレオチド研究では100塩基以下のオリゴヌクレオチド吸着は必ず塩基対の特異的なハイブリダイゼーションを妨げるためハイブリダイゼーション装置としては利用不可能であると結論づけている。Wirth MJ, http://www.udel.edu/chem/wirth/oligos.htmlを参照。(どのような特異的な吸着もハイブリダイゼーションの行程を妨げる。実際にはアレイ表面はオリゴヌクレオチドの塩基に水素結合を生ずる官能基を持つ傾向となる。そのような基板への水素結合はオリゴヌクレオチドを検出する感度を低め、バックグラウンドノイズを増やす事となる。
【0014】
さらにBradleyとCaiはガラス表面の荷電による吸着法について論じている。アメリカ特許XXX2号のコラム1の46行目からコラム2の8行目を参照。
【0015】
このようにこれまでの論文では(文献中の数行の議論では)固体担体へのオリゴヌクレオチドプローブの直接吸着に基づくハイブリダイゼーション装置は作成不可能であるとされている。本発明の知見の限りでは、そのようなオリゴヌクレオチドの吸着を基盤としたハイブリダイゼーション装置についての証拠や考察はこれまでの文献や市販されているものの中には存在しない。これまでに知られている全ての(マイクロアレイ、メンブレン、ビーズ担体と他全ての担体とプローブの結着に関与する構造を含めた)ヌクレオチドのハイブリダイゼーション装置はこれまでに記述した結着方法のうちの一つに基づいたものである。
【0016】
上記のように改良された安価なオリゴヌクレオチドの直接吸着を利用したハイブリダイゼーション装置の為の技術開発が必須である。さらに具体的に言うと、これまでの技術では効果的に非らせんで非対称の二本鎖のターゲットにハイブリダイするオリゴヌクレオチドプローブで構成される生体分子ハイブリダイゼーション装置が確立されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0017】
【特許文献1】米国特許第6,048,695号
【特許文献2】米国特許第5,959,098号
【特許文献3】米国特許第6,221,653号
【特許文献4】米国特許第6,024,925号
【特許文献5】米国特許第5,610,287号
【非特許文献】
【0018】
【非特許文献1】Cheung VG et al., 1999, Nature Genetics 21:15-19; Duggan DJ et al., 1999, Nature Genetics 21:10-14
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
本発明は表面へのオリゴヌクレオチドの共有結合でなく、吸着に基づくDNAハイブリダイゼーション装置製造のための簡易法に関するものである。そのような吸着オリゴヌクレオチドプローブは高密度に圧縮された一層構造を持ち、溶液状態でヌクレオチド鎖が二本鎖を形成し、塩基対特異的ハイブリダイゼーションのための能力を持つするものである。しかしながら両鎖の解離速度とDNase消化の率ともにターゲット核酸がそのような吸着したオリゴヌクレオチドに結合して非対称的な巻き戻された二本鎖を形成し、対称性が保たれた基底状態であることを示している。非らせん状二本鎖核酸は荷電した表面において構造異性体となる可能性がある。
【課題を解決するための手段】
【0020】
このように本発明は生体分子ハイブリダイゼーション装置の開発を目的としたものである。ハイブリダイゼーション装置は半永久的に共有結合する官能基の表面を持つ基板、そして修飾されない各ヌクレオチドのほぼ全てのリン酸基が直接的に非共有結合リン酸化された表面への吸着接触により表面に圧縮されたオリゴヌクレオチドの飽和膜として10から約24塩基長の一本鎖オリゴヌクレオチドが吸着した単一分子層から構成される。圧縮された各オリゴヌクレオチド単分子層は非対称の非らせん塩基対合によりオリゴヌクレオチドの塩基平面が変化せず、オリゴヌクレオチドのリン酸基が表面から解離する事無く相補的な一本鎖塩基に解離的にハイブリダイズするのに効果的な方法を用いたアレイ表面である。本発明はさらにそれぞれ約30塩基の長さの吸着されたオリゴヌクレオチドの5'または3'の一方または両末端においてハイブリダイズしないポリT配列を含む生体分子ハイブリダイゼーション装置に関連したものである。また、本発明はさらに表面に配置されたにキャッピング材を含んだ生体分子ハイブリダイゼーション装置に関連する事を目的とするものである。本発明はさらにもう一つ、表面に吸着した長さが10から約24塩基対の非らせん形二本鎖としてオリゴヌクレオチドに可逆的にハイブリダイズする一本鎖塩基からなる生体分子ハイブリダイゼーション装置の開発を目的とする。
【0021】
本発明はまた、生体分子ハイブリダイゼーション装置に関連したものである。ハイブリダイゼーション装置は半永久的に共有結合する官能基の表面を持つ基板、そして修飾されない各ヌクレオチドのほぼ全てのリン酸基が直接的に非共有結合リン酸化された表面への吸着接触により表面に圧縮されたオリゴヌクレオチドの飽和膜として約30塩基長の一本鎖オリゴヌクレオチドが吸着した単一分子層から構成される。その圧縮されたオリゴヌクレオチドは、10から約24塩基のターゲットとしてハイブリダイズするドメインと3'または5'末端の一方または両方に位置している塩基のターゲットでないハイブリダイズしないドメインをそれぞれ持つ。その圧縮されたターゲットドメインの各オリゴヌクレオチド塩基表面は非対称の非らせん塩基対合によりオリゴヌクレオチドの塩基平面が変化せず、オリゴヌクレオチドのリン酸基が表面から解離する事無く相補的な一本鎖塩基に解離的にハイブリダイズするのに効果的な方法を用いたアレイ表面である。本発明はさらに前述した通り、キャッピング材とオリゴヌクレオチドに可逆的にハイブリダイズする一本鎖塩基からなる生体分子ハイブリダイゼーション装置の開発を目的とする。
【0022】
本発明はまたさらにもう一つ別の生体分子ハイブリダイゼーション装置の開発を目的とする。アミノシラン化された表面を持つ基板からなるハイブリダイゼーション装置は半永久的に共有結合し、約0.5平方nmから約1平方nm未満の表面につき1つのリン酸基の密度の各々のオリゴヌクレオチドのほぼ全てのリン酸基が直接的な非共有結合リン酸化された表面への吸着接触により吸着した単一分子層は圧縮されたオリゴヌクレオチドの飽和膜としてアミノシラン化表面に吸着した10から約24塩基の長さの修飾されない一本鎖オリゴヌクレオチドを形成する。 圧縮された各オリゴヌクレオチド平面基板は非対称の非らせん塩基対合によりオリゴヌクレオチドの塩基平面が変化せず、オリゴヌクレオチドのリン酸基が表面から解離する事無く相補的な一本鎖塩基に解離的にハイブリダイズするのに効果的な方法を用いたアレイ表面である。本発明はさらに前述した通り、5'または3'の一方または両方のハイブリダイズしないポリT配列、キャッピング材とオリゴヌクレオチドに可逆的にハイブリダイズする一本鎖核酸を含む生体分子ハイブリダイゼーション装置に関連したものである。
【0023】
本発明はさらにまたプローブ核酸とターゲット核酸の溶液状態のハイブリダイズ方法の開発を目指すものである。その方法とはこれまでに述べてきた通り非らせん形非対称性のプローブとターゲットの二本鎖が形成されるハイブリダイゼーションが可能となる条件下において、少なくとも1つの溶液状態の核酸ターゲットと生体分子ハイブリダイゼーション装置から構成させるものである。
【0024】
本発明はさらにヌクレオチド結合タンパク質に結合するヌクレオチド配列を同定する方法に繋がるものである。その方法とは、結合が可能となる条件下でヌクレオチド結合タンパク質とこれまでに述べたような非らせん形二本鎖からなる生体分子ハイブリダイゼーション装置からなるものである。形成された二本鎖タンパク質複合体は約1Mから5Mまでの水溶液中のイオン強度を持つNaClによりアレイ表面から溶出される。少なくとも溶出された二本鎖核酸のうち一本鎖をシークエンスする。
【0025】
本発明の他のそしてさらなる特徴と利点は、開示する目的で記述された本発明の今回申請した以下の実施例の記述より明確である。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1−A】図1A-1Bは、正に荷電するアレイ表面におけるDNAオリゴヌクレオチドの非共有結合性吸着を示す。図1Aは、12-mer(黒四角)と24-mer(白四角)における標準曲線を示す。Cy5標識したプローブを10nl印刷し後、洗浄せずArray Worxイメージャー(Applied Precision社)によりスキャンし画像を取り込んだ。アレイエレメントごとのプローブ分子数(x軸)は印刷した総量、プローブ濃度、アボガドロ係数より計算した。y軸は、アレイエレメントからのCy5蛍光シグナルの平均積算値のlogを示す。各々のデータポイントは56のアレイエレメントの平均値と平均値から求めた標準偏差を示す。
【図1−B】図1A-1Bは、正に荷電するアレイ表面におけるDNAオリゴヌクレオチドの非共有結合性吸着を示す。図1Bは12-mer(黒丸)または24-mer(白丸)により占められるオリゴヌクレオチドごとの表面積を示す。Cy5標識したオリゴヌクレオチドプローブは70%DMSO/30%水溶液中でアミノシラン化したスライド表面に10nl印刷し、洗浄し結合しなかったプローブを洗い流した。y軸は、アレイエレメントごとの計測したアレイエレメント表面積を(図1Aの標準曲線から計算した)吸着されたプローブの分子量で割り計算した。各々のデータポイントは56のアレイエレメントの平均値と平均値から求めた標準偏差を示す。
【図2】図2A-2Cは、アレイの作成と特異的なハイブリダイゼーションを示す。図2Aは、本発明のマイクロアレイのレイアウト例(プロトタイプ)である。図2Bは、図2Aで示されるアレイに対する、12-merのCy3標識されたプローブのハイブリダイゼーションを示す。室温にて5mMで10分間ハイブリダイズの後、60mMナトリウム炭酸、20%ホルムアミド、0.6%ポリビニルアルコール、5X Denhardts、pH=9.5溶液で1分間洗浄した。図2Cは、図2Aで示されるアレイに対する、24-merのCy3標識したプローブのハイブリダイゼーションを示す。 室温にて3mMで10分間ハイブリダイズの後、60mMナトリウム炭酸、35%ホルムアミド、0.6%ポリビニルアルコール、5X Denhardts、pH=9.5溶液で1分間洗浄した。ハイブリダイゼーションの条件は材料と方法に詳述する。プローブとターゲット配列は表1に示す。Cy3とCy5はそれぞれ緑色、赤色となる。
【図3】図3A-3Dは、本発明のカチオン性表面における二本鎖形成のモデルを示す。図3Aは一本鎖で静電的にアミノシラン化されたアレイ表面に結着した24-merのオリゴヌクレオチドプローブを示す。図3A-3CのモデルはMolecular Builder module of InsightIIを用い作成しひも状二本鎖のエネルギー最小化はAmber force field of Discover 3 package (MSI)を用い行った。一本鎖(図3A)と二本鎖DNA(図3B)の最も一般的な異性体が正に荷電した表面でいくつかの湾曲を生む可能性は十分あるが、単純化するため直線状のアイソマーのみを示した。図3Bは本発明のカチオン性表面上で伸長した24-merのプローブとその24-merの相補的なターゲットの間でその全長に沿って形成された線形で非らせん形のDNAリボン状二本鎖を示す。図3A-3CのモデルはMolecular Builder module of InsightIIを用い作成しひも状二本鎖のエネルギー最小化はAmber force field of Discover 3 package (MSI)を用い行った。一本鎖(図3A)と二本鎖DNA(図3B)の最も一般的な異性体が正に荷電した表面でいくつかの湾曲を生む可能性は十分あるが、単純化するため直線状のアイソマーのみを示した。図3Cは、本発明のカチオン性表面上での24塩基対長のB形DNA二重らせんを示す。図3A-3CのモデルはMolecular Builder module of InsightIIを用い作成しひも状二本鎖のエネルギー最小化はAmber force field of Discover 3 package (MSI)を用い行った。一本鎖(図3A)と二本鎖DNA(図3B)の最も一般的な異性体が正に荷電した表面でいくつかの湾曲を生む可能性は十分あるが、単純化するため直線状のアイソマーのみを示した。図3Dは本発明の3-アミノプロピルトリメソキシシラン化したガラス表面の化学構造を示す。
【図4】図4A-4Bは表面結合する二本鎖の鎖の非対称性を分析するための解離速度を示したものである。図4Aは、図2A-2Cで記述されるアレイにハイブリダイズしたCy3蛍光標識された野生型センス12-merのターゲットを示す。図4Bは、図2A-2Cで記述されるアレイにハイブリダイズしたCy3蛍光標識された野生型センス24-merのターゲットを示す。洗浄によるターゲットの解離速度論。(1)ハイブリダイゼーション無し、(2)ハイブリダイゼーション後、解離無し、(3)ハイブリダイゼーション後、1分間の解離、(4)ハイブリダイゼーション後、4分間の解離、(5)ハイブリダイゼーション後、16分間の解離、(6)ハイブリダイゼーションと16分間の解離の後、2回目のハイブリダイゼーション。棒グラフはノーマライズした平均値と8つのアレイエレメントの平均値からの標準偏差を表す。
【図5】図5A-5Bは洗浄溶出液の解析を示す。図5Aではアミノシラン化した表面(各3平方mm)のパッチをCy5標識したプローブ(赤色)により飽和状態にし、材料と方法に記述されているように過剰のプローブを洗い流した。Cy3標識したターゲット(緑色)をこれらのパッチとハイブリダイズし、結合できないターゲットを取り除くためすすぎ、2mlの洗浄バッファーで15分間洗浄した。(材料と方法を参照。)洗浄バッファーを一定分量0.2ml吸引し、きれいなスライドにスポッティングした後、Array Worx Imager (Applied Precision社)を用いCy3とCy5のフィルターセットによりイメージングした。図5Bはターゲットとプローブの蛍光標識を逆にした場合の実験結果を示す。棒グラフはノーマライズした平均値と4回の0.2mlの溶出液の平均の標準偏差を示す。
【図6】図6A-6Bは例6のDNaseプロテクションアッセイを示す。図6Aは野生型のセンス鎖でCy3標識した12-merのターゲットを図2A-2Cで前述したアレイにハイブリダイズさせたものである。図6Bは野生型のセンス鎖でCy3標識した24merのターゲットが図2で示したアレイにハイブリダイズしたものを示す。(1)ハイブリダイズしなかったもの、(2)ハイブリダイズの後、0 u/mlのDNaseを含むDNaseバファー中でインキュベートしたもの、(3)ハイブリダイゼーション後、0.1 u/mlのDNaseを含むDNaseバファー中でインキュベートしたもの、(4)ハイブリダイゼーション後、1 u/mlのDNaseを含むDNaseバファー中でインキュベートしたもの、(5)ハイブリダイゼーション後、10 u/mlのDNaseを含むDNaseバファー中でインキュベートしたもの、(6)ハイブリダイゼーション後、0.1 u/mlのDNaseを含むDNaseバファー中でインキュベートし、プレハイブリダイゼーションと2回目のハイブリダイゼーションを行ったもの。棒ブラフは8つのアレイエレメントからの平均の標準偏差とノーマライズした平均値を示す。Cy3シグナルは緑色、Cy5シグナルは赤色である。
【図7】図7は24塩基の表面に結合したプローブにおける長さに依存したターゲットハイブリダイゼーションの安定性を示す。続く全行程は室温にて行った。(1)60mM炭酸ナトリウム、20%ホルムアミド、5X Denhardts、1.5% ポリビニルアルコール(PVA)、pH=9.5において1分間プレハイブリダイゼーション。(2)60mM炭酸ナトリウム、20%ホルムアミド、5X Denhardts、0.6% PVA、pH=9.5において3mMのCy3標識したターゲット(10‐28塩基)を10分間ハイブリダイゼーション。(3)プレハイブリダイゼーションバッファーにて2回洗浄。(4)60mM炭酸ナトリウム、25%ホルムアミド、5X Denhardts、0.6% PVA、pH=9.5により10分洗浄。(5)脱イオン水により短時間洗浄。(6)乾燥。x軸のオリゴヌクレオチド配列は表1に示す。これらの実験に用いたアレイは図2Aで示したものに同じ。棒グラフは12アレイの平均の標準偏差とノーマライズした平均値と平均値の標準偏差を示す。
【図8】図8A-8Dは吸着したDNAの安定性を示す。 蒸着(実施例1)を用い陽イオン表面に直接吸着させたCy3標識した50-merのDNAを5分(図8A)または24時間(図8B)洗浄した。数値結果は表2に示す。図8Cと8DはそれぞれCel Associates (CSA-25; http://www.cel-1.com/) のソリューションディップ法により陽イオン表面へCy3標識した50-merのDNAを直接吸着した後、5分間洗浄したものと24時間洗浄したものを示す。
【図9−A】図9A-9Bはプローブとターゲットの二本鎖形成の検出におけるキャッピングとハイブリダイゼーション条件の影響を示す。図9Aは40-merのプローブを印刷したキャップしたDNAマイクロアレイのシグナルの絶対値、絶対値から蛍光バックグラウンドを差し引いたもの、そしてシグナルとバックグラウンドとの比率を示す。
【図9−B】図9A-9Bはプローブとターゲットの二本鎖形成の検出におけるキャッピングとハイブリダイゼーション条件の影響を示す。図9Bはキャップしない同アレイのそれぞれの値を示す。
【図10】図10は非照射(緑色)またはガンマ線照射した(赤色)マウスの胸腺組織由来のcDNAターゲットをハイブリダイズした吸着マイクロアレイを示す。
【図11−A】図11A-11EはヒトHLA-B遺伝子のヌクレオチド265‐278の1-8のシークエンスバリアントをプローブとして用いたシークエンスプロファイルとマイクロアレイハイブリダイゼーションのデータを示す。30-marの1-8のバリアントはマイクロアレイ上にプリントされ、いくつかの既知のHLA-Bのシークエンスバリアント由来のCy3標識したPCR産物をハイブリダイズし、図2A-2Cと同様にハイブリダイゼーションデータを得た。図11A-11Bはそれぞれバリアント2-3と3そして7の標準的なシークエンスプロファイルである。
【図11−B】図11A-11EはヒトHLA-B遺伝子のヌクレオチド265‐278の1-8のシークエンスバリアントをプローブとして用いたシークエンスプロファイルとマイクロアレイハイブリダイゼーションのデータを示す。30-marの1-8のバリアントはマイクロアレイ上にプリントされ、いくつかの既知のHLA-Bのシークエンスバリアント由来のCy3標識したPCR産物をハイブリダイズし、図2A-2Cと同様にハイブリダイゼーションデータを得た。図11A-11Bはそれぞれバリアント2-3と3そして7の標準的なシークエンスプロファイルである。
【図11−C】図11A-11EはヒトHLA-B遺伝子のヌクレオチド265‐278の1-8のシークエンスバリアントをプローブとして用いたシークエンスプロファイルとマイクロアレイハイブリダイゼーションのデータを示す。30-marの1-8のバリアントはマイクロアレイ上にプリントされ、いくつかの既知のHLA-Bのシークエンスバリアント由来のCy3標識したPCR産物をハイブリダイズし、図2A-2Cと同様にハイブリダイゼーションデータを得た。図11C-11Dはこれらのバリアントのハイブリダイゼーションデータである。
【図11−D】図11A-11EはヒトHLA-B遺伝子のヌクレオチド265‐278の1-8のシークエンスバリアントをプローブとして用いたシークエンスプロファイルとマイクロアレイハイブリダイゼーションのデータを示す。30-marの1-8のバリアントはマイクロアレイ上にプリントされ、いくつかの既知のHLA-Bのシークエンスバリアント由来のCy3標識したPCR産物をハイブリダイズし、図2A-2Cと同様にハイブリダイゼーションデータを得た。図11C-11Dはこれらのバリアントのハイブリダイゼーションデータである。
【図11−E】図11A-11EはヒトHLA-B遺伝子のヌクレオチド265‐278の1-8のシークエンスバリアントをプローブとして用いたシークエンスプロファイルとマイクロアレイハイブリダイゼーションのデータを示す。30-marの1-8のバリアントはマイクロアレイ上にプリントされ、いくつかの既知のHLA-Bのシークエンスバリアント由来のCy3標識したPCR産物をハイブリダイズし、図2A-2Cと同様にハイブリダイゼーションデータを得た。図11Eは既知のDNAシークエンスバリアントに対応するいくつかのDNAサンプルにおいてHLA-B特異的なPCRの結果とマイクロアレイデータとが一致していること示す。2領域の30-merのハイブリダイゼーションプローブはバリアント配列の判別が可能である事を示すマイクロアレイハイブリダイゼーションデータを生じ、ヒトゲノム上のHLA-B遺伝子領域におけるヌクレオチド配列の変化を確認する事に使用することが可能である。
【図12−A】図12A-12EはCy3標識したPCR産物ターゲットHLA-B遺伝子のエクソン2を様々な金属酸化物の表面に印刷したマイクロアレイハイブリダイゼーションの結果を示す。表面は下記の通りである。フェライト粒子の表面にあるアガロース‐フェライト粒子複合物がプローブ結合の基板である場合(図12A)。
【図12−B】図12A-12EはCy3標識したPCR産物ターゲットHLA-B遺伝子のエクソン2を様々な金属酸化物の表面に印刷したマイクロアレイハイブリダイゼーションの結果を示す。表面は下記の通りである。酸化アルミニウムで被覆されたフェライト粒子の表面にあるアガロース‐フェライト粒子複合体がプローブ結合の基板である場合(図12B)。
【図12−C】図12A-12EはCy3標識したPCR産物ターゲットHLA-B遺伝子のエクソン2を様々な金属酸化物の表面に印刷したマイクロアレイハイブリダイゼーションの結果を示す。表面は下記の通りである。酸化マグネシウムで被覆されたフェライト粒子の表面にあるアガロース‐フェライト粒子複合体がプローブ結合の基板である場合(図12C)。
【図12−D】図12A-12EはCy3標識したPCR産物ターゲットHLA-B遺伝子のエクソン2を様々な金属酸化物の表面に印刷したマイクロアレイハイブリダイゼーションの結果を示す。表面は下記の通りである。酸化亜鉛で被覆されたフェライト粒子の表面にあるアガロース‐フェライト粒子複合体がプローブ結合の基板である場合(図12D)。
【図12−E】図12A-12EはCy3標識したPCR産物ターゲットHLA-B遺伝子のエクソン2を様々な金属酸化物の表面に印刷したマイクロアレイハイブリダイゼーションの結果を示す。表面は下記の通りである。酸化ジルコニウムで被覆されたフェライト粒子の表面にあるアガロース‐フェライト粒子複合体がプローブ結合の基板である場合(図12E)。
【発明を実施するための形態】
【0027】
前述の本発明の特徴、長所と対象と同様に他にの解明されるであろう事が達成され詳細まで理解することができるよう、簡単に上で要約した本発明のより詳細な解説と特定の実施例を添付した図を用い例示する。これらの図面は仕様書の一部となる。しかしながら添付図面は本発明の好ましい実施例を示すものであり、したがってその展望において限界が考慮なされていない事を留意いただきたい。
【0028】
本明細書中で使用される用語“a”または“an”が特許請求の範囲または/および仕様書において“comprising(成り立っている)”という単語とともに使用される場合、それは“一つ”を意味するが、それだけではなく“一つまたはそれ以上”“少なくとも一つ”そして“一つか一つ以上”の意味を持つ。本発明のいくつかの実施例は基本的に一つまたはそれ以上のエレメント、方法、そしてまたは発明の方法論から構成される。ここに記述されるどんな方法や構造(合成物)でもここに記述される他のどんな方法や構造(合成物)に関しても実施可能であるものと考えられる。
【0029】
本開示では取って代わる意味のもののみと“and/or”を意味するという定義を支持するが、本明細書中で特許請求の範囲で使用される用語“or”は別に取って代わるものが明確に示されない限り、“and/or”を意味する。または別に取って代わるものは相互排他的である(もれなく別に取って代わる意味のものとなる。)。
【0030】
本明細書中で使用される用語”adsorb(吸着する)”、“adsorption(吸着)”そして文法上同等のものは方面と生体分子との非共有結合的な相互作用を意味する。本発明の適切な実施例ではその生体分子は核酸となる。その他の本発明の実施例には生体分子があり、一つ以上のアミノ酸、脂質や炭水化物からなるものである。その相互作用は静電気引力、水素結合、 ファン・デル・ワールス相互作用や疎水性相互作用に基づくものである。ここに示す実施例では、少なくともある程度はリン酸バックボーンとカチオン性官能基を持つ表面との間での静電気引力の相互作用に基づくものを示す。
【0031】
本明細書中で使用される語句「官能基」は合成物の特徴的反応の原因となる原子を意味する。たとえば、アルコールの官能基はOH、アルデヒドの官能基はCHO、カルボン酸の官能基はCOOHである。特定のある官能基は、それを持つすべての分子で、ほぼ同様の反応を示す。単一分子が複数の官能基を持つ場合がある。本発明の官能基が表面と核酸の間の非共有結合的な相互作用の媒介となる。
【0032】
本明細書中で使用される用語”probe”は通常表面に吸着する一本鎖の核酸を意味する。本発明のプローブの長さは、約1ヌクレオチドから約100ヌクレオチド、望ましくは約12ヌクレオチドから約60ヌクレオチド長である。吸着したプローブ構造の限定のないモデルはほぼすべてのリン酸基バックボーンが表面接着する非らせん構造となる。
【0033】
本明細書中で使用される用語“ターゲット”は溶液状態またはプローブ分子にハイブリダイズした状態の核酸を指す。本発明のターゲットは、一本鎖または二本鎖であり、DNA、RNAまたはその両方からなるものである。本発明のいくつかの実施例において、ターゲットの長さは、約1ヌクレオチドから約100ヌクレオチド、望ましくは約12ヌクレオチドから約60ヌクレオチド長である。本発明のいくつかの実施例において、ターゲットの長さは、望ましくはマウスまたはヒトの約100ヌクレオチドから全長のcDNAまたはRNAとなる。ハイブリダイズしたプローブ-ターゲット構造の限定のないモデルは、少なくとも10ヌクレオチド塩基対のうち約9つにおいてらせん形のピッチ角度がゼロに近い値を持つ、非らせん形二本鎖の構造である。
【0034】
本明細書中で使用される用語”基板”は通常本発明の表面を持つあらゆる物質素材を意味する。それはまた、本発明の表面を作成するため修飾された素材も含まれる。基板はガラス、金属、有機物、無機物またはそれらの組み合わせとなる。基板はスライド、ビーズ、または既存技術において知られている他の形態をとる。
【0035】
本明細書中で使用される用語“表面”は共有結合し隣接する幾何学的ドメインまたは静電相互作用、水素結合、ファン・デル・ワールス相互作用、ロンドン相互作用、疎水的相互作用あるいはそれらの組み合わせを通してヌクレオチドの吸着を維持する官能基を持つ事により周囲の媒質により直接接触することが可能な幾何学的ドメインの領域を意味する。本発明のいくつかの実施例において、両性イオン表面が生体分子吸着を支持するのに使用される。本発明の表面は基板上に形成されるか基板の固有特性である場合がある。限定されない表面形成の例はカチオン性官能基が基板に共有結合したガラス基板のアミノシラン化である。いくつかの実施例において、本発明の装置は ここで解説されるように、各々のスポットが表面であるマイクロアレイである。
【0036】
本発明の一つの実施例として半永久的に共有結合可能な官能基の表面を持つ基盤から成る生体分子ハイブリダイゼーション装置がある。そして修飾されない各ヌクレオチドのほぼ全てのリン酸基が直接的に非共有結合リン酸化された表面への吸着接触により表面に圧縮されたオリゴヌクレオチドの飽和膜として10から約24塩基長の一本鎖オリゴヌクレオチドが吸着した単一分子層から構成される。そこでその圧縮された各オリゴヌクレオチド塩基表面は非対称の非らせん塩基対合によりオリゴヌクレオチドの塩基平面が変化せず、オリゴヌクレオチドのリン酸基が表面から解離する事無く相補的な一本鎖塩基に解離的にハイブリダイズするのに効果的な方法を用いたアレイ表面である。
【0037】
さらに本実施例に関して、生体分子ハイブリダイゼーション装置はそれぞれ約30塩基の長さの吸着されたオリゴヌクレオチドの5'または3'の一方または両末端においてハイブリダイズしないポリT配列からなる。さらにもう一つの実施例において生体分子ハイブリダイゼーション装置は表面に結着するキャッピング材からなる。そのキャッピング材の例として海面活性剤、酸無水物が挙げられる。さらにもう一つの実施例の中で、生体分子ハイブリダイゼーション装置は表面に吸着した長さが10から約24塩基対の非らせん形二本鎖としてオリゴヌクレオチドに可逆的にハイブリダイズする一本鎖塩基から構成される。核酸の例としてはDNAまたはRNAである。
【0038】
全ての実施例においてリン酸基は0.5から1平方ナノメートル未満のアレイ表面に吸着する。さらに基板の形態はスライドかビーズである。
【0039】
また全ての実施例において官能基は正に荷電するか極性か負に荷電するか親水性表面か疎水性になる。正に荷電する表面の例はアミノシランである。加えて表面は有機または無機素材からなる。有機素材の例としてアミノ酸、脂質、ヌクレオチド、炭水化物、炭化水素またはイソプレノイドが挙げられる。 無機素材の例として水素結合ドナー(供与体)の金属酸化物がある。特に金属酸化物はフェライト、二酸化アルミニウム、二酸化チタニウムまたはアルミニウム、ジルコニウム、バリウム、カルシウム、カドミウム、コバルト、鉄、マグネシウム、ニッケルまたは亜鉛の酸化物で被覆されたフェライトである。
【0040】
本発明の関連した実施例として、半永久的に共有結合する官能基の表面を持つ基板からなるハイブリダイゼーション装置が提供される。そして修飾されない各ヌクレオチドのほぼ全てのリン酸基が直接的に非共有結合リン酸化された表面への吸着接触により表面に圧縮されたオリゴヌクレオチドの飽和膜として約30塩基長の一本鎖オリゴヌクレオチドが吸着した単一分子層から構成される。その圧縮されたオリゴヌクレオチドは、10から約24塩基のターゲットとしてハイブリダイズするドメインと3'または5'末端の一方または両方に位置している塩基のターゲットでないハイブリダイズしないドメインをそれぞれ持つ。その圧縮されたターゲットドメインの各オリゴヌクレオチド塩基表面は非対称の非らせん塩基対合によりオリゴヌクレオチドの塩基平面が変化せず、オリゴヌクレオチドのリン酸基が表面から解離する事無く相補的な一本鎖塩基に解離的にハイブリダイズするのに効果的な方法を用いたアレイ表面である。さらなる実施例において、前述の通りキャッピング材とオリゴヌクレオチドに可逆的にハイブリダイズする一本鎖塩基から構成される生体分子ハイブリダイゼーション装置がある。
【0041】
全ての実施例においてターゲットとされずハイブリダイズされない塩基ドメインはポリT配列または他の挿入配列である。また、 吸着した単一分子層を形成する飽和量は吸着したオリゴヌクレオチドの密度、表面に存在する官能基、そして上記のような基板の形態による。
【0042】
本発明のもう一つの関連した実施例として、半永久的に共有結合しアミノシラン化された表面を持つバイオ分子ハイブリダイゼーション装置がある。それは非対称な非らせんで、オリゴヌクレオチド塩基平面が変化し表面からヌクレオチドのリン酸基が解離する事無く、相補的一本鎖核酸に解離的なハイブリダイズさせるのに効率的な方法でそれぞれの圧縮されたオリゴヌクレオチド塩基平面が表面に存在し、約0.5から1平方ナノメートル以下ごとに一つのリン酸基の密度で、各オリゴヌクレオチドのほぼ全てのリン酸基の直接的な非共有結合のリン酸と表面との吸着接触により圧縮されたオリゴヌクレオチドの飽和膜としてアミノシラン化した表面へ吸着した10から24塩基長の非修飾一本鎖オリゴヌクレオチドの吸着した一層を持つ。
【0043】
さらに前述した通り実施例の生体分子ハイブリダイゼーション装置は5'または3'の一方または両方のハイブリダイズしないポリT配列、キャッピング材とオリゴヌクレオチドに非らせん二本鎖として可逆的にハイブリダイズする一本鎖核酸からなる。全ての実施態様における基板の形態は上記に述べた通りである。
【0044】
本発明のもう一つの実施例ではこれまでに述べてきた通り非らせん形非対称性のプローブとターゲットの二本鎖が形成されるハイブリダイゼーションが可能となる条件下において、少なくとも1つの溶液状態の核酸ターゲットと生体分子ハイブリダイゼーション装置から構成されるターゲット塩基とプローブ塩基の溶液状態でのハイブリダイゼーションの方法が提供されている。
【0045】
本発明のその他の実施例はヌクレオチド結合タンパク質に結合するヌクレオチド配列を同定する方法を提供するものである。結合可能な条件下でヌクレオチド結合タンパク質により構成される前述した非らせん二本鎖をなす生体分子ハイブリダイゼーション装置を用い、形成された二本鎖タンパク質複合体を約1Mから5Mまでの水溶液中のイオン強度のNaClによりアレイ表面から溶出し、そして少なくとも溶出した核酸二本鎖の片方の鎖のシークエンスを行う。
【0046】
本発明は溶液状態のターゲット塩基または溶液状態の小分子被分析物(検体)を検出する装置と方法を提供する。本発明の装置は生体分子ハイブリダイゼーション装置であり、表面を持つ基板と表面に吸着したオリゴヌクレオチドまたは塩基から構成されるものである。基板自体はガラス、プラスチック、金属、セラミック、織布や紙などの吸着面となる。基板は平面もしくは非平面である。細孔構造は高分子網状構造体(ポリマーネットワーク)、セラミックの細孔網状組織として、または平坦なグラス、プラスチック、金属やセラミック表面により基板にもたらされる。装置の形態はスライド、マイクロビーズ、マイクロアレイ、電極や集積回路となる。
【0047】
基板表面がリン酸バックボーンとの直接結合に関与しないこれらの例では、基板は適切な吸着会合を可能とする適当な表面膜で被覆されている。基板は半永久的に共有結合する官能基からなる吸着表面を持ち、核酸結合を仲介する官能基に関しては均一で濃度が濃い。官能基としては極性、非荷電の官能基、荷電した官能基、疎水性官能基そしてそれらの組み合わせが考えられる。官能基の均一性と濃度は重要な特徴となる。官能基はカチオン性で濃度は中心で5Δあたり1官能基である。特に表面を形成すべく基板に共有結合し結着する官能基が望ましい。また、官能基は蒸着により基板に結着する。 推奨方法である官能基の蒸着法と既存技術である溶液ディップ法との限定されない実例となる比較は例13と例8において述べる。
【0048】
吸着表面はプローブ保持力を最大にする為に単分子層を形成しているオリゴヌクレオチドで飽和させる。これは必要量の約2倍のプローブが添加される事で成し遂げられる。 非限定例として(図1で示した様な) 滴定曲線によりプローブが飽和状態になるのに5μMを要する事が示される場合、プローブ濃度を10μMとする。プローブ吸着後のキャッピングの余剰によるの表面荷電は重要である。本発明は既存技術のいかなるキャッピング方法の使用も意図するものである。いくつかの例として、化学的なキャッピングが使用される。例えばキャッピングはSDSなどの界面活性剤またはコハク無水物のような酸無水物によりなされる。
【0049】
本発明は表面上に核酸を吸着させる為の方法を提供するものである。余剰の核酸結合領域が吸着とキャッピング可能な条件下で、表面に飽和量のオリゴヌクレオチドや核酸を接触させた。表面には吸着を支持する官能基が一様に分布している。さらに望ましい官能基で修飾された表面と共有結合させる方法をここに述べる。
【0050】
表面の官能基とのリン酸結合により吸着表面は核酸を吸着させるのに効果的である。オリゴヌクレオチドプローブが表面に結合することによる吸着力は水素結合、静電相互作用、ファン・デル・ワールス相互作用、疎水性相互作用、またはそれらの組み合わせにより生じる。本発明装置は表面とオリゴヌクレオチドとの間にどんな介入剤、生体分子架橋剤をも必要としない。
【0051】
装置の表面は疎水性または親水性である。親水性装置の表面は荷電していないか(極性)、正、または負に荷電する。表面は例えば第1級アミン、第2級アルキルアミン、第3級アルキルアミン、グアニジニウム基、アミニジウム基、イミダゾリウム基、アルデヒド、アルコールまたはホルムアミドのような非荷電の有機水素結合ドナーとなる物質、または金属や酸化メタロイドのような非荷電の無機水素結合ドナーとなる物質やその他、またはその組み合わせにより構成される。
【0052】
吸着したオリゴヌクレオチドは10から約100塩基からなり、なるべく10から60塩基くらいが望ましく、さらには10から24塩基であればより望ましい。吸着したオリゴヌクレオチドは一本鎖相補的な核酸または同族のDNAまたはRNAのようなリガンドをターゲットとしハイブリダイズする。また、オリゴヌクレオチドは5'または3'末端の片側または両側に隣接したターゲットとされずハイブリダイズしない塩基配列からも構成される。それに関しては吸着したヌクレオチドの塩基数は約30塩基となる。この場合、吸着したオリゴヌクレオチドは10から24塩基のターゲット領域とターゲット塩基とハイブリダイズできない一つまたは二つの隣接領域からなるが、吸着したオリゴヌクレオチドへの吸着能は失われない。隣接領域はポリチミン(ポリT)配列または他の塩基の不活性配列からなる。
【0053】
本発明はまた溶液状態にある核酸被分析物(検体)を解析する為の装置と方法を提供するものである。すなわちここに述べるのは装置の表面との吸着関与により結合するオリゴヌクレオチドまたは核酸プローブからなる装置である。表面への吸着の後、結合したプローブ(この時点で装置の表面にあることとなるプローブ)はプローブとターゲットの二本鎖を形成する事によって溶液状態にある核酸ターゲット(例えばDNAまたはRNA)とハイブリダイズ可能になる。そのようなハイブリダイゼーションは蛍光、光学的、放射線または 電位差測定分析のような標準的な方法で検出される。
【0054】
加えて新規の二本鎖を形成するこの方法は即時的に実用化可能である事が現在の作成費用と比較して約1/10で実施できるという側面より示されている。表面結合プローブの密なパッキングとワトソンクリックの二重らせん構造に基づくハイブリダイゼーションで既に知られているように(プローブとターゲットとの)選択性が限界値かまたはそれに近い値で計測される事によりハイブリダイゼーションのシグナルは高く検出されることとなる。
【0055】
よって、本発明はまた新規の物質組成、すなわち新たな二本鎖核酸の安定した構造を提供するものである。ここで提示されるデータは一本鎖DNAが高密度に凝縮された核酸の単分子層を形成するため正に荷電しているアミノシラン化グラスの表面に固く結合できることを示す。そのような 吸着させたプローブの逆平行ワトソンクリック相補的なシークエンス選択性ハイブリダイゼーションでは、A、BまたはZ二本鎖らせんのような既知のらせんDNA構造と一致させるのが困難な明らかに非対称な特性を持つ二本鎖が形成される。今後簡易な応用例を示すにあたり、“デュープレックス(二本鎖)”という用語は特に明記しない限り、このようならせん構造がゼロ近くの値までピッチ角度が縮小されることにより特徴づけられる核酸の構造を意味する。この新たな構造は10bp以上の長さのDNAまたはRNAの一本鎖プローブのリン酸基バックボーンが表面結合するほどかれた構造のプローブとターゲットの二本鎖を形成する同族のDNAまたはRNA鎖“ターゲット”のワトソンクリックの塩基対合(AとT、CとG)により表面に吸着結合する事で形成される。
【0056】
ここで述べたように単純または混合段階を経るハイブリダイゼーション実験において予想外の事ではあるが、ほどかれたリボン状の二本鎖が他のより極端な状況で一時的に存在する事に注目する事は興味深い。例えばX線結晶学により明らかになったようにジテルカリニウムのような挿入材を用いたDNA複合体の形成(Gao O et al., 1991, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 88:2422-2426)はほぼ完全にらせん巻き状態の消失をもたらす。同様に、ほどかれて有意に伸展した二本鎖らせんは伸張により誘導される機械的なストレスへの反応として溶液中で形成されると報告されている (Leger JF et al., 1999, Phys. Rev. Lett. 83:1066-1069; Bensimon D et al., 1995, Phys. Rev. Lett. 74:4754-4757; Smith SB et al., 1996, Science 271:795-799; Lebrun A et al., 1996, Nucl. Acids Res. 24:2260-2267)。逆平行二本鎖らせん構造を形成する行程において、塩基が行き場を失い(スタックし)、らせんのねじれが機械的に結合する現象が良く知られている。前述の研究において、化学的エネルギー(塩基平面間におけるヘテロ環の挿入)または機械的な二本鎖の緊張状態(ストレッチング)は塩基対の分離が増加し、結果的に二本鎖のねじれが喪失する事と連動している。
【0057】
ここに記述される実験データは直接的に塩基対の分離を計測したものではない。しかしながら、これまでのモデル研究より予測されてきたようにこれらの発明は B型らせんと比較し二本鎖の長さを少なくとも50%増加させることができず直線的にまたはリボン状に吸着させる事は困難である事が明らかとなった(図3B)。このように、ここで述べる研究より推論されるように、リボン状の二本鎖がストレッチングにより塩基のスタッキングの有意な消失を必然的に招いたのではないかと考えられ非常に興味深い。二本鎖形成のエネルギー論が主に塩基のスタッキング相互作用とリン酸基間の静電反発により測定される事は良く知られている。(Dickerson RE, 1992, Methods Enzymol. 211:67-111; McConnell KJ et al., 2000, J. Mol. Biol. 304:803-820)
【0058】
実施例で示された知見は平面上の二本鎖吸着の直接的および間接的な結果のため、その構造とひも状二本鎖形成のエネルギー論の両方について希釈水溶液中で知られているものとは異なる事を示唆する。そのような構造的なそしてエネルギー的な相違点の実用的応用は重要である。
【0059】
例えば新規の二本鎖は遷移状態を模範するものである。試薬とタンパク質を二重らせんに結合させることは多くの場合、一時的に二本鎖らせんがほどかれた伸展状態の形成と関与している。ここで示すデータはほとんどの点においてここで記述される新たならせん構造がそのような遷移状態を模倣している事を示す。作用の強い薬品は基質と酵素複合体(いわゆる遷移状態類似物)の遷移状態との結合能に基づき開発されてきた。推論の域を出ないが、これから述べる(適切な装置と方法の中で)新規の二本鎖の使用はそのようなDNA遷移状態類似物が薬剤をもたらす合成物として発見される可能性を秘める。
【0060】
また、新たな二本鎖形成は水素結合の選択性を強化した。提示されるデータは新たな二本鎖構造の塩基対合の選択性が標準的なワトソンクリックの二重らせんで見られたものかそれ以上であることを示す。新たな二本鎖形態の分子モデルは(シークエンス非依存的な)塩基のスタッキングが(核酸のシークエンス選択性に基づく)水素結合のエネルギーと比較し、かなり低くなっていることを示唆する。このようにモデリングと実際の実験結果は新規のほどかれた二本鎖に基づく方法と装置が通常の二本鎖らせんで達成できるよりさらに正確な塩基配列認識を示す事を示唆する。
【0061】
さらに、表面の近辺はハイブリダイゼーションの調節が可能である。新しいねじれの無いほどかれた二本鎖の形成は表面吸着と関連した対称性の制約により進められる。よって、その中核にあるのは、新規の二本鎖形成はその構造とエネルギー論、アレイ表面における物理化学とが密接に一体になった分子的実体であると言える。実施例で示されるように、表面がカチオン性の場合、二本鎖表面相互作用の静電的な成分はハイブリダイゼーション溶液がカチオン性であるため普通の必要条件を除外する事ができる。この観察は、新しい二本鎖形成のハイブリダイゼーションのイオン依存性、温度依存と選択性の理解のため行われるべき実験を軽減し、表面の賢明な改良により大幅に修正することが可能である。
【0062】
さらにまた、カチオン性そして非カチオン性の両表面は、新しい二本鎖形態を支持する。提示されるデータにおいて、基板表面は、 例えばアミノシランのような官能基一級アミンで被覆したガラス、または金属酸化物で被覆した表面である。このように、基板への核酸プローブの吸着は、アミノ基とリン酸塩バックボーンの間の静電的相互作用と水素結合相互作用の組合せに基づく。実験データとモデリングは、新しいらせん形態がリン酸塩により仲介される安定した吸着を必要とすることを示唆する。負に荷電するリン酸塩とその下にある表面の間の静電相互作用は、その種類の安定した吸着を達成するのに十分でなくれはならない。たとえば、すべての種類の荷電した表面コーティングは、第一級、第二級、第三級アミン、アミノシラン、アミジニウムとグアニジウム基と金属イオンに限らず、新しい表面の形成を支持する可能性がある。
【0063】
あるいは、リン酸が優れた水素結合受容体でもあるので、表面にも寄与している中立の水素結合はまた新規の二重らせんの形成を支持する事が出来るとも言える。これはとりわけ水酸基、アミド、尿素とその他の優れた二酸化アルミニウム(AlO2)、二酸化チタニウム(TiO2)そして二酸化シリコン(SiO2)にような金属やメタロイド酸化物、または二酸化アルミニウム(AlO2)、二酸化チタニウム(TiO2)、酸化ジルコニウム(Zr02)、酸化バリウム(BaO)、酸化カルシウム(CaO)酸化カドミウム(CdO)、酸化コバルト(CoO)、酸化鉄(FeO)、酸化マグネシウム(MgO)、酸化ニッケル(NiO)、酸化亜鉛(ZnO)のような金属酸化物で様面被覆されたクレイやフェライトのような化合物などの金属の水素結合供与体を含む。
【0064】
本発明の二本鎖核酸には通常のらせん構造を持つ核酸とは著しく異なる構造的な特徴がある。隣り合う塩基対間で乖離が頻繁に生じ、らせん構造がほぐれた状態にある。このように核酸の二重らせん構造に結合可能な化合物はその結合または本発明の二本鎖核酸のハイブリダイゼーションにおいて異なる親和性を示す。特に標準的な二重らせん構造を取る核酸と相互作用を持つ蛍光物質とhaptinは二重らせんと高い親和性を持ち、広範にそして本発明のらせん状態を維持しないほぐれた二本鎖と結合しうる。そのような化合物は ハイブリダイゼーション解析二次的な反応として溶液中で形成される標準的な二重らせん構造物から表面結合した二本鎖を識別するのに用いる事が可能である。
【0065】
このように本発明は プローブとターゲットとの二本鎖会合のためそれらの親和性に基づいた小分子被解析物の解析や検索方法を提供する。これは (i) ここに解説するように装置の表面に吸着関係で結合するオリゴヌクレオチドまたは核酸プローブからなる装置を準備する事、(ii)二本鎖を形成する条件下でターゲットとなるヌクレオチドと装置が接触する事、(iii)小分子被解析物の溶液がその装置にさらされる事、そして(iv)二本鎖に結合したものと親和性に基づいた一つまたはそれ以上の被分析物を検出または収集する事で達成されうるものである。
【0066】
本発明はまたそのような検索とそれらの利用により発見される小分子被分析物に関するものである。例えば二本鎖と結合する小分子は(i)本発明の装置を用い二本鎖の形成を光学的に検出するために、(ii)それに続く医薬開発を導くものとして、または(iii)医薬品として使用される。
【0067】
よって、本発明は転写因子などのヌクレオチド結合タンパク質が結合するヌクレオチド配列の同定方法を提供する。その方法とは少なくとも前述したタンパク質に一つの二本鎖が結合する条件下で、ヌクレオチド結合タンパク質と表面結合したプローブとターゲットの二本鎖を持つマイクロアレイを用い、 二本鎖タンパク質複合体を高濃度の食塩水で表面から溶出し、少なくとも二本鎖のうち一つの鎖をシークエンスするものである。
【0068】
本発明の方法と装置は既存技術と装置に勝るいくつかの利点がある。例えば本発明の方法と装置は核酸のリンカーを用いた誘導体化を必要とせず、非効率性を排除し、そのような(誘導体化)に関連したステップで生じる費用を削減できる。既存の方法の非効率性にはリンカーによる不完全な核酸の誘導体化、いくつかのヌクレオチド配列における偏った誘導体化、表面とリンカーの不完全な会合、そして必然的に製造行程が付加される事などが挙げられる。吸着の共有結合法のさらなる利点はプローブと表面との結合が可逆的である事である。
【0069】
以下の例は本発明の様々な実施例を示す為のものであり、どのような方法も本発明の限界をあらかじめ設けるものではない。
【実施例】
【0070】
実施例1
ガラス表面のアミノシラン化
予め洗浄したガラス製のマイクロスライド(Gold Seal, Gold Seal Products) を脱イオン水で洗浄後、HPLCグレードのメタノールですすぎ45度で埃の無いオーブンで乾燥させた。スライドを82度の真空オーブンに移動し、3-アミノプロピルトリメトキシシラン(Aldrich社)とp-キシレン(Aldrich社)、1:2の比の混合液中で平衡化した。スライドはその後、27 mm Hgで一晩インキュベートし、続いて室温にて埃の無い条件下で保存した。
【0071】
実施例2
アレイの作成
全てのオリゴデオキシヌクレオチドを合成し、 5’末端をCy3またはCy5蛍光色素で標識し、BioSource International (Camarillo社)でHPLC精製した。10mlシリンジを持つMicrolab 4200ロボット (Hamilton社)を使用しアミノシラン化したガラススライドに直径500mm、中心間の距離900mmのアレイエレメントごとに10nl、6X8フォーマットのアレイをプリントした。70%DMSO(Aldrich社)/30%溶液に適当な濃度で希釈されたオリゴデオキシリボヌクレオチドは384穴プレート(NUNC社) からプリントした。プリントする溶液のDMSOでの封入は乾燥行程を遅らせ、 水中でプローブを印刷する場合と比較し、より均一なプローブ濃度をもたらす。プリントした後、アレイを1分間NaOHで洗浄し、脱イオン水で数回すすぎ保管の為乾燥させた。全ての行程は室温で行った。
【0072】
実施例3
ハイブリダイゼーションとイメージング
ハイブリダイゼーションは次のハイブリダイゼーションバッファーを用い行った。12merのターゲットに対しては90mMの炭酸ナトリウム, 5X Denhardts溶液, pH=9.5を、24merのターゲットに対しては60mMの炭酸ナトリウム, 5X Denhardts溶液, 20% ホルムアミド, 0.6% ポリビニルアルコール, pH=9.5を用いた。pHは遊離アミノ基による表面への荷電を減らすべく常に9.5に保った。ハイブリダイゼーション前にアレイはターゲットを含まず1.5%ポリビニルアルコール(Aldrich社)を含む、各々のハイブリダイゼーションバッファーで前処理し、ブロッキング剤として使用した。全行程は室温で行った。10分間ハイブリダイズした後、スライドを各々のハイブリダイゼーションバッファーで洗浄し、脱イオン水で数回すすぎ乾燥させスキャナーでイメージを取り込んだ。
【0073】
アレイは10mmの解像度でCCDイメージャーでイメージングした。Cy3とCy5光学フィルターをアレイのイメージングに用いた。露光時間は感度をノーマライズさせるためCy3のため0.2秒、Cy5のために1秒とした。取り込んだイメージのCy3およびCy5チャンネルからのシグナル強度の解析はArrayWoRx バージョン1.50 ソフトウェア (Applied Precision社) を用い、棒ブラフはマイクロソフトエクセルを用い作成した。代表的なアレイの写真はAdobe Photoshop 5.5でプレセンテーションの為だけにレベル調整により修正し、定量化はオリジナルのイメージに基づき行った為、レベル調整は結果には全く影響を及ぼさない。
【0074】
実施例4
ターゲットとプローブの比率の計算
これらの実験には、高いターゲットとプローブの比率を得る事が重要である。したがって特に記述のない限り、12‐merのターゲットは5mM濃度でハイブリダイズさせ、24-merのターゲットは3mM濃度でハイブリダイズさせた。そのようなターゲット濃度はハイブリダイズから5分後にそれらのシグナルが特異的なプローブで飽和状態にあるかどうか、時間経過と濃度依存的な実験により明らかにした。ターゲットとプローブの比率は、プローブのハイブリダイゼーション前のCy5シグナル、およびターゲットのハイブリダイゼーション後のCy3シグナルの解析より分子数の計算、そしてCy3とCy5標識したオリゴデオキシリボヌクレオチドの標準曲線に基づき判断した(図1A)。
【0075】
Cy5野生型24-as(n=56)の標準曲線は線形回帰(log(Cy5シグナル)=yo+a*log(分子量)) によりSigma Plot 2000を用い求めた。分子数は(1アレイエレメントにつき10nlという)既知の量と、アレイエレメントごとのプリントされた溶液のオリゴデオキシリボヌクレオチドの濃度から算出した。Cy3野生型24-s(n=56)と Cy3野生型12-s(n=56)の標準曲線は線形回帰 (log(Cy3シグナル)=yo+a*log(分子量))によりSigma Plot 2000を用い求めた。 Cy5野生型24-asプローブの回帰曲線はyo=-13.1, a=1.58, R=0.999の値であり、Rは平均の回帰係数を示す。 Cy3野生型24-sとCy3野生型12-sの回帰曲線はそれぞれyo=-9.69, a=1.29, R=0.997とyo=-13.7, a=1.64, R=0.999の値となった。Cy5野生型24-asプローブのCy5シグナルからハイブリダイゼーション前のシグナルを差し引いたバックグラウンドの平均値は332であった。
【0076】
このようにアレイエレメントごとのCy5野生型24-asプローブの分子数はその回帰式から:
プローブ分子数=10^[(log(Cy5シグナル)-yo)/a]=10^[(log(332)+13.1)/1.58]=7.7*10^9であると求めることができた。同様に、ハイブリダイゼーション後のターゲットの分子数はそれぞれCy3-野生型-24-s3は8*10^9、anそしてCy3-野生型-12-sは7.8*10^9であった。よって24塩基長のプローブに対するターゲットとプローブの比率およびは12塩基長のターゲットのハイブリダイゼーションの比率は各々0.5と1であった。劇的にバックグラウンドが増加するため24塩基長のターゲットの濃度は3mM以上にはしなかった。5mM濃度が12塩基のターゲットに用いられたという事実は、より長い塩基はより多くの負の電荷を持つため、正に荷電するアレイ表面により強く結着するという事実により説明する事が可能である。(ターゲットとプローブ比率が1に近い値で)正に荷電した表面にあるオリゴデオキシリボヌクレオチドプローブが核酸ターゲットに特異的にハイブリダイズする吸着能は近年ターゲットの放射性標識により示された(Belosludtsev YY et al., 2001, Anal. Biochem. 292:250-256)。
【0077】
実施例5
分離実験
ハイブリダイゼーション後、スライドを5回、1.5%ポリビニルアルコールを含むそれぞれに対応するハイブリダイゼーションバッファーで洗浄した。それから様々な時間、60mM炭酸水素ナトリウム, 20%ホルムアミド(12-merプローブの場合)、35%ホルムアミド(24-merプローブの場合), 5XDenhardts溶液, 0.6%ポリビニルアルコール, pH=9.5を含んだ洗浄バッファー内で室温でインキュベートした。
【0078】
実施例6
DNaseプロテクションアッセイ
ハイブリダイゼーション後、、スライドを2回ポリビニルアルコールを含むそれぞれに対応するハイブリダイゼーションバッファーで洗浄し、50mの塩化カリウム、10mM塩化マグネシウム、20mMのTris-塩酸、pH=8.0を含むDNase消化バッファーで短時間処理した。スライドは0、0.1、1.0または10 u/mlの濃度でDNase I (Roche社)を含む上記のバッファー中で室温にて20分間インキュベートした。その後、1.5%ポリビニルアルコールを含むそれぞれに対応するバッファーで8回すすぎ脱イオン水で洗い乾燥させイメージングした。
【0079】
実施例7
アミノシラン化したガラス表面へのオリゴデオキシリボヌクレオチドの吸着
Cy5(インドジカルボシアニン、1(ex)max=651 nm、1(em)max=651 nm、赤)蛍光標識した12塩基長(12-mer)と24-merのオリゴデオキシリボヌクレオチド(オリゴヌクレオチド)プローブをアミノシラン化したガラス表面に印刷した。吸着しなかったオリゴヌクレオチドは室温にて洗い取り除いた。結合したCy5オリゴヌクレオチドシグナルはプリントしたオリゴヌクレオチドの濃度1mMから飽和し始めた。標準曲線(図1A)を参照することにより結合したオリゴヌクレオチドごとの表面領域は添加したプローブの全ての濃度の関数とし計算可能であった。
【0080】
12merおよび24merのプローブについて特定の密度限界値が求められた(図1B)。単一分子層を形成するための表面飽和は蛍光標識した12merのオリゴヌクレオチドでは最終的に10.6+0.3平方nmを占め、24merオリゴヌクレオチドでは16.6+0.5平方nmを占めることが明らかになった。したがって、図1A-1Bのデータは オリゴヌクレオチド鎖の幅が1nmでリン酸バックボーンが完全伸展していると仮定すれば蛍光色素は約1平方ナノメートルを占めるので、蛍光標識のない12merのオリゴヌクレオチドは最終的に9.6+/-0.3平方nm、蛍光標識のない24merのオリゴヌクレオチドは最終的に15.6+/-0.5平方nm占めることを示唆する。このように、長さnのオリゴにはn-1個のリン酸塩が存在するため、リン酸ごとに占める領域は実験的に測定された図1A-1Bのように、12-merオリゴヌクレオチドでは= 9.6nm2/11 = 0.88+/-0.03nm2、そして、24-merオリゴヌクレオチドでは= 15.6nm2/23=0.68+/-0.02nm2となった。
【0081】
単一分子層でオリゴヌクレオチドが近接してパッキングされていると仮定すれば、単純な核酸構造は完全に伸展した核酸鎖がリン酸に換算して約0.7平方nm占めるであろう事が予測された。このように図1A-1Bの実験データは12merから24merの範囲内でリン酸一つ当たりに占める総表面積が概算で0.7平方nmに近い値である事を示す。実験的な不確実性の関与を考慮するならば、図1A-1Bのデータは本発明の吸着表面密度が約0.5から1平方nmであると定義されることを示す。よって、それらデータは吸着結合飽和において、12-mer、24-mer、両プローブの表面構造は伸長したオリゴヌクレオチド鎖が高密度に圧縮された単分子層に近いものである事を示唆する。
【0082】
そのような標識されたオリゴヌクレオチドの吸着結合はゆるやかに可逆的である事が判明し、沸騰した脱イオン水で洗浄を繰り返しても表面に結合したまま残るプローブが存在する。吸着されたオリゴヌクレオチドは沸騰した5M塩化ナトリウムで洗浄する事で除去可能であった。この事は非共有結合静電相互作用が可逆的である事を示す。よって表面へのオリゴヌクレオチドの吸着は正に荷電した表面のアミン基と核酸の負に荷電したリン酸のバックボーンとの間に生じる特に強固な静電的相互作用が原因であると言える。
【0083】
また、図1A-1Bは12merと24merのプローブのハイブリダイゼーション表面への両方の吸着の機構は単分子層形成と塩基により占められる総表面積に関して全く同質のものである事を証明する。このように、12-merと24-merのプローブは同様のメカニズムにより吸着する。したがって、12-merと24-merが同様に吸着するので、中間の長さを持つ例えば18塩基のプローブやそれよりも長いもの、25や26、または30塩基といった長さのものまで12-merや24-merのプローブと同じメカニズムで吸着するものと考えられる。
【0084】
実施例8
吸着したオリゴヌクレオチドへのDNAの特異的ハイブリダイゼーション
DNAが特異的にそのような高密度で単分子層に吸着させたオリゴヌクレオチドにハイブリダイズするかどうかを確認するため、6つのCy5標識したオリゴヌクレオチドプローブ(赤色)を持つマイクロアレイを作成し、アミノプロピルシラン表面上にそれぞれ4回、プローブ吸着の飽和量をわずかに下回る量(添加プローブの0.3mM)づつプリントし、また飽和状態にあるプローブ濃度3mMでもプリントした。図2Aはプロトタイプを示す。12merのプローブ(図2A‐2C、アレイの左側)と24のプローブ(図2Aー2C、アレイの右側)には、3つのプローブシークエンスホモログ(野生型参考シークエンス(wt)、12塩基毎に一つの変化したヌクレオチドを持つもの、そして無作為にスクランブルされた異性体(scr)。)を使用した。実験に用いたCy3とCy5標識したオリゴデオキシリボヌクレオチドシークエンス(Biosource International社) は表1に示した。
【0085】
マイクロアレイは 野生型参考プローブシークエンスに相補的なものを選択し、Cy3(インドカルボキシシアニン、1(ex)max=552 nm、1(em)max=565 nm、緑)標識した12-merのターゲット(図2B)または24のオリゴヌクレオチドターゲット(図2C)にハイブリダイズさせた。ハイブリダイゼーションは二本鎖結合平衡に完全に一致した飽和状態(黄色)に達するように比較的高い溶液状態のターゲット濃度にて行った(24‐merターゲットでは3mM、12‐mer5ターゲットでは5mM )。飽和点ではそれらハイブリダイゼーション実験におけるターゲットとプローブの結合比率は24-merのターゲットでは0.5、12-merのターゲットでは1として測定された(材料と方法を参照)。このように、得られた特異的なデータは吸着されたプローブ単分子層全体の代表的なものの平均値からなります。
【0086】
12-merのターゲット(図2B)は野生型の12-merと24-merのプローブ両方に対し相補的にデザインされた事に留意することが必要である。同様に、24-merのターゲット(図2C)は 野生型の24-merプローブと、(ターゲット鎖のオーバーハングを含み)12-merの野生型プローブ両方に対し相補的にデザインされている。しかしながら24-merのターゲットへのハイブリダイゼーションは、12-merのプローブとの結合が弱すぎて検出できない為、実験的な説得力は増している。
【0087】
データの目視検査では、飽和状態にある結合でさえ、ハイブリダイゼーションが非常に特異的であるという結果となった。スクランブル異性体への結合は検出できないが、(図2Bと2Cの2と4番目の列を比較し)12-merの対合における1塩基、または24-merの対合における2塩基のミスマッチでは5倍以上のターゲットへの結合の減少を生じさせる事が認められた。よって、上記の12-merの二本鎖でのシングルミスマッチの識別と24-merの対合におけるダブルミスマッチの識別の測定データによりアミノシラン化した表面への吸着によるオリゴヌクレオチド結合はそれらの逆平行ワトソンクリック相補的シークエンスへの結合能を保持する事が確認された。mtプローブに相補的なターゲットへのハイブリダイゼーションは、ターゲットとプローブの逆転と同様に、さらにこの結論を支持するものである。加えて12merと24merの両プローブは標準的なハイブリダイゼーションアッセイにおいて図1A-1Bに示すように同じハイブリダイゼーション機構により、ターゲットとともに相互作用することがデータから確認されている。それゆえ、12merと24merがターゲットに同様にハイブリダイズするため、プローブが18塩基のような中間的な長さや25や26または30塩基の様な長さのものであっても12merや24merなどと同様にターゲットにハイブリダイズするものと考えられる。
【0088】
【表1】

【0089】
【表2】

【0090】
実施例9
二本鎖らせんの対称性に対する議論の明確な論述
図3Aで示されるように、正に荷電するアミノシラン化表面への一本鎖DNAオリゴヌクレオチドの強固でほぼ不可逆的な吸着はバックボーンリン酸基とその表面との間の複数の静電相互作用の存在を示唆するものである。アミノシラン単分子層は、密接に圧縮された(パッキングされた)アミン基の平面を溶液に対し提供する(図3D)。通常の10塩基対ピッチ(3C図)による回転対称の二重らせんの形成の間、プローブのリボン状リン酸バックボーン(図3A)は、引き込まれてくるターゲット鎖を包み込むため、その高密度に荷電した表面から、一時的に分離される。対照的に、表面からのプローブの脱離は、図3Bで示すような非らせん形二本鎖の形成を説明する必要は無い。
【0091】
比較的通常のピッチ(らせん一回転あたりのらせん軸の長さ)で表面に形成される二本鎖がらせん形である場合、らせん形の対称性には(ターゲットとプローブ)両方の鎖がそれらの回転が等価なリン酸塩バックボーン(3C図)を通して同等に表面と結合することが要求される。そしてそれゆえ二本鎖が解離される間に回転対称性(正常なDNAにおいては連結した4種の塩基がそれぞれきまった相手と水素結合して対になり、36度ずつのピッチで10回ねじれて元の位置に戻る)を持つプローブ鎖と同時に解離することなしでターゲットを分離させることは不可能である。モデリング技術の単純さと相当な表面張力の不確実さの観点からして、図3A-3Dのモデルは、実際のものと近いものとして見て妥当であろう。
【0092】
図3A-3Dは、図1Bと2A-2Cのデータと一致する非らせん形メカニズムによってマイクロアレイ基板に吸着した24merのプローブの分子モデリングの予測結果を示す。モデルは線的な性質を持つため、約24塩基より少しだけ長いまたは短いプローブでもモデルに具体的な変化は認められない。このように、24塩基より徐々に長いまたは短いプローブの予測モデルにおいても、図3A-3Dのそれらと類似している構造を生み出す。
【0093】
実施例10
アミノシラン化されたガラス表面で形成されるDNA二本鎖の非対称分離
図4A-4Bは実験的な解離解析を示し、それは図2A-2Cの平衡結合実験の形式と同様の解離速度実験である。簡潔に述べると、図2A-2Cで述べたように、Cy3標識した12-merターゲット(左)またはCy3標識した24-ターゲット(右)をCy5標識したオリゴヌクレオチドプローブのマイクロアレイにハイブリダイズした。ターゲットは、それから時間に応じて、厳しい洗浄によりプローブから解離させた。各時点において、結合シグナルは、二本鎖に結合したシグナル(黄色)をCy3ターゲット(緑)とCy5プローブ(赤)という2つの構成要素にデコンボリューションすることにより蛍光定量的に定量化された。
【0094】
(アレイ1対アレイ5と以降の棒グラフを比較して)吸着したプローブ濃度が完全なままの状態で残る条件下で、最初と最後の時点における解離(図4A-4B、アレイ2対アレイ5と続く棒グラフ)を比較することで、16分の洗浄により、12-merと24-merの両ターゲット鎖の二本鎖対合の90%以上がマイクロアレイから解離する事が明らかとなった。さらに、前回使用したアレイを16分間(アレイ6)洗浄することによるアレイのハイブリダイゼーションの繰り返し利用により、ハイブリダイゼーションと分離の行程が完全に可逆的であり、その結果プローブが失われず、また二本鎖の形成と解離の過程で構造的に変化しないことが明らかとなった。また、12-merプローブと24-merプローブ両方の実験的な解離のデータは図3A-3Dの非らせんモデルと一致した。12-merと24-merに結合したターゲットは同一の非らせんメカニズムにより選択的に解離するのでマイクロアレイ上にあるプローブが18塩基のような中間の長さを持つものや徐々に長くなった25や26、または30塩基といった長さのものまで同様に振る舞うものと考えられる。
【0095】
また、プローブとターゲットの初期比率は実験により1に近い値であった為、ひとつには観察された解離における反応速度論的非対称はマイクロアレイ表面で形成された全ての二本鎖対合の一般的性質であると結論づけられる。プローブ鎖と同等量にする方法でターゲットが表面に結合する場合、この高い非対称速度反応は表面結合する二本鎖のらせん構造との関連により単純には合理的に説明することができない。
【0096】
その重要な実験的観察を確かめるため、アミノシラン化したガラス表面の3平方mmの面積を、マイクロアレイ解析の記述にあるCy5標識した12-merと24-merのそれぞれ3種類のプローブ(wt、mt、scr)セットで飽和させた。Cy3標識した相補的なターゲット(緑)を、図4A-4Bのマイクロアレイ解析に記述されているのと同一の条件下で、この吸着されたプローブのピッチにハイブリダイズさせイメージングした。
【0097】
それからその表面はマイクロアレイ解析で前述の通り、ハイブリバッファーで(結合していないプローブを取り除くべく)短時間すすぎ、洗浄バッファーで処理し二本鎖の解離反応を開始した。図5Aは、それらの画像データを示す。最初の列はハイブリダイゼーション前のプローブで修飾した表面の単分子層の1平方mmの生画像データを示す。二番目の列には飽和結合したターゲットとのハイブリダイゼーション後の同じ表面の1平方mmを示す。三番目の列はハイブリダイゼーション後、15分洗浄した表面の1平方mmを示す。全体として、図5A(列1-3)の数多くのハイブリダイゼーション表面の解析は、すでにマイクロアレイで観察された解離の特異性と速度反応を直接的に確かめるものである。
【0098】
解離の15分後、洗浄バッファーを回収し、新しいアミノシラン化したグラススライドの上に塗抹し画像を取り込んだ。それらの生画像データは4列に示す。強いCy3と弱いCy5シグナルが認められた(図5A)。実験プロトコルを逆にし、プローブを溶液状態のターゲットとして使い、ターゲットを表面に結合したプローブとして使用した場合結果は逆となった。すなわち、その洗浄バッファーには強いCy5と弱いCy3シグナル(図5B)が含まれ、しかも通常最初の解析において得た結果と逆の相対的な割合であった。全体として、図5A-5Bのデータは、2つの表面結合した二本鎖の非対称解離反応速度が5-20倍となることを確かめるものである。
【0099】
実施例11
アミノシラン化したガラス表面で形成されるDNA二本鎖からの非対称のデオキシリボヌクレアーゼI消化
第3の方法によって観察された鎖の非対称を確かめるため、表面結合した二本鎖が定量的デオキシリボヌクレアーゼI消化により解析された(図6A-6B)。簡潔に述べると、実験は図4A-4Bのように正確に計画したが解離速度を観察するというよりはむしろ、結合した二本鎖の各々の濃度勾配(それぞれ、0、0.1、1.0、10ユニットのDNaseIからなるアレイ2-5)のデオキシリボヌクレアーゼIによる20分間の室温での消化を観察した。(アレイ1と5の) 直接の比較から見られるように、 結合した12-mer(6A図)または24-mer(図6B)のターゲットの90%以上がデオキシリボヌクレアーゼIで消化された条件下で、吸着されたプローブからの蛍光シグナルはデオキシリボヌクレアーゼIによる崩壊から(おそらく表面のアミンに対する直接的なリン酸バックボーン相互作用のため)完全に保護されている。しかし、以前に最高濃度でDNaseIで消化したアレイを使用しての再ハイブリダイゼーション(アレイ2対アレイ6を比較)におけるターゲットに結合するプローブの能力の消失は少なく限られていることを示唆する。そして、蛍光物質により同定されたように、それはデオキシリボヌクレアーゼIによるプローブ崩壊が遅いが限りのある比率であることを反映し、表面とプローブとの関係性を変えるという訳ではない。
【0100】
標準的なB-形二重らせんが最初に溶液中で形成され、それから表面上に被覆される場合、デオキシリボヌクレアーゼIが対称的に両方の鎖を消化することはよく知られている(Rhodes D et al., 1980, Nature 286:573-578)。よって、本研究により検出されたデオキシリボヌクレアーゼIプロテクションの高度な非対称性のパターンは、吸着されたプローブ鎖のリン酸バックボーンが溶液状態のデオキシリボヌクレアーゼIとともに相互作用のため存在するのではなく、その代わりにアミノシラン化された表面に向かうという見解を裏付けるものである。一方でデータは結合したターゲット鎖のリン酸バックボーンが溶液相と面し、デオキシリボヌクレアーゼ消化に速やかに移行されやすい状態にあることも裏付けている。
【0101】
12merのプローブおよび24merのプローブの実験的な解離データは共に、図3A-3Dの非らせん形のモデルと一致する。12mersと24mersに結合したターゲットが同じ非らせん形のメカニズムにより選択的に消化されるため、例えば18塩基などの中間の長さのマイクロアレイ装置におけるプローブまたは、徐々に長い25または26または30塩基長のプローブも同様な反応を示すことが考えられる。
【0102】
実施例12
B‐らせんの2つ以上のらせん折り返しの長さにより形成される二本鎖
分離速度とデオキシリボヌクレアーゼプロテクションアッセイの両方が高い対称性を持つ二重らせん構造を示唆し、通常、対称性二重らせん構造と一致しないが、もし研究対象の二本鎖が表面にプローブ結合がなされる間、完全に形成されるのであれば、データのそのような単純な解釈は可能となる。この疑問に答えるべく、様々な長さの一組10個のCy3標識した(緑)ターゲットオリゴヌクレオチドを合成し、図2Aで記述されるアレイにハイブリダイズした。厳しいハイブリダイゼーションと洗浄の条件下、相補的24-merプローブへの結合安定性を同定し、アミノシラン化した表面に0.3mMで印刷し、 完全なプローブ長24塩基(図7)の長さまでターゲットの長さを増加させ、その後レベルを計測した。その間、塩基対合特性は、24-merのプローブにつき2つの塩基変化のレベルで維持された。この比較的単純な結果は、平均的に24塩基のプローブ鎖の全体にわたりシークエンス特異的な二本鎖が形成されていることを示唆し、結果として生じる産物が標準B-形らせん構造である場合、2回強のらせん形折り返しと一致するものである。
【0103】
実験的なハイブリダイゼーションのデータは、12塩基から24塩基へのターゲットが実施例9‐10で示すのと全く同じ非らせん形のメカニズムにより、24塩基長のプローブと結合することを示す。12-merから24-merまでのターゲットが同じ基本メカニズムで24merのプローブと結合するので、中間の長さまたは徐々により長い18-30のベースのような、マイクロアレイ装置のプローブにおいてもその挙動は同様である。また、これらのデータは同じ基本メカニズムによりプローブがターゲットと結合する事を利用する本ハイブリダイゼーション装置は、もしプローブがハイブリダイゼーションに用いられない核酸を含んでいたとしても、すなわちもしプローブがターゲット塩基よりも長かったとしても二本鎖を形成すべく結合するであろうことを明らかに示すものである。
【0104】
実施例13
反復可能な、信頼できる吸着マイクロアレイ作成とハイブリダイゼーションのためのプロトコル:
吸着表面の調製
顕微鏡スライドを脱イオン水できれいにし、ちりのないオーブンで乾燥させた。吸着表面は、82°Cで、一晩中27mm Hgで真空オーブンで吸着表面の材料を平衡化し、ガラス表面に付着させた。
【0105】
オリゴヌクレオチドの調製
予め合成したリンカーのないオリゴヌクレオチドを脱イオン水に溶解した。吸着表面を均一な単分子層にするためジメチルスルホキシド(DMSO)を用い、オリゴヌクレオチドを均一に乾燥させた。オリゴヌクレオチドの表面飽和限界を標識したオリゴヌクレオチドを用いて算出したところ、オリゴヌクレオチド濃度は飽和限界を超え維持されていた。
【0106】
表面へのオリゴヌクレオチドの直接吸着
制御されたロボット機械を用いてハイブリダイゼーション装置ごとの誤差が1%以下の範囲内で微量のヌクレオチド溶液の既知量を表面に吸着させた。
【0107】
プレハイブリダイゼーション
吸着したオリゴヌクレオチドを、5Xデンハート溶液と1%のドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、リン酸塩バッファー(一塩基リン酸カリウム、リン酸ナトリウム二塩酸、pH 8.0)を含むプレハイブリダイゼーション溶液で15分インキュベートした。
【0108】
ハイブリダイゼーションと洗浄
ハイブリダイゼーションは興味のあるのサンプルを蛍光標識したターゲット(全長mRNAまたはcDNA)を20μL添加し行い、湿った条件下で、室温で一晩インキュベートした。12時間ハイブリダイゼーションさせた後、結合バッファーと比較しDenhardt’s溶液無しでモル濃度が少なくとも半分となる(150 mM)リン酸バッファーで洗浄した。
【0109】
スキャン
蛍光イメージを出すために、洗浄後のスライドは、遠心分離または熱により乾燥させ、レーザーかCCDに基づくスキャナーを使い蛍光イメージを作成した。蛍光画像強度はアレイスポットに格子を当てはめるか、または自動的にスポットを検出するアルゴリズムを用いマイクロアレイ上のスポットの蛍光を測定する事により得た。
【0110】
実施例14
比較例
Cy3標識した50-merのDNAの最初のセットは、実施例1によって蒸着を使用し均一な陽イオン表面に直接吸着させた。Cy3標識した50-merのDNAの第2セットは、Cel Associates(CSA-25; http://www.cel-1.com/)の溶液ディップ法によって、均一な陽イオン表面に吸着させた。表面は、それから実施例16の洗浄バッファーで5分または24時間洗浄した。洗浄の後、表面に直接付着して残留するDNA、すなわちCy3標識したオリゴデオキシリボヌクレオチドの蛍光強度は図8A‐8Dと表2に示した。5分間の洗浄後の蛍光強度は、洗浄を行わない場合とほぼ同じである。しかしながら洗浄時間0分におけるバックグラウンドは、検知されなかった。
【0111】
【表3】

【0112】
実施例15
ハイブリダイゼーションにおけるキャッピングの影響
1.0μMで印刷した40-merのDNAプローブは、40-merの完全に対応するターゲットにハイブリダイズした。40-merのターゲットは9.1μMのCy3標識したターゲットからなる合計濃度1.0μMでハイブリダイズさせた。二つのキャッピング法がここでは用いられた。化学的キャッピングは、DMF中の0.5Mの無水酢酸で50℃で水銀25インチ気圧で16時間処理し、室温でDMF中で9.5Mのコハク無水物の液相に1時間処理する気相式法によって行った。一方、界面活性剤キャッピングは、プレハイブリダイゼーションバッファーにSDSを使用し行った。ブロッキング効率を高めるべく、約40のプレハイブリダイゼーションとハイブリダイゼーションバッファーの組み合せをテストした。すべての組み合わせにおいて十分なブロッキング効率を観察した。好ましい組合せのうちの8つの組み合わせを、表3と図9A-9Bに示す。
【0113】
【表4】

【0114】
実施例16
吸着マイクロアレイによる溶液状態のcDNAの検出
プローブは予め決定した60-merの配列(マウスp53関連の遺伝子に由来する)で、実施例13のようにガラス表面上へ吸着させた。マイクロアレイへのハイブリダイゼーションのターゲットは、以下の通りに調製した。 - 無照射または放射線照射を受けたマウス胸腺組織よりグアニジン-イソチオシアン酸塩法を修飾した方法(Qiagen、バレンシア、CA、USA)によりトータルRNAを抽出した。RNAの質および濃度は、分光光度計および染料テスト(インビトロゲン、カールズバッド、CA、USA)を用い確認した。未照射のマウス胸腺組織からの10mgのトータルRNAは、Cy3染料(アマシャムBiosciences、Piscataway、NJ)の存在下でMMLV-RT(Clontech、パロアルト、CA、USA)により逆転写し、Cy3標識した未照射のマウス胸腺からのmRNAを得た。γ照射を受けたマウス胸腺組織から抽出した10mgのトータルRNAを、MMLV-RTキットのClontech社により供給される逆転写プロトコルを用いCy5染料(アマシャムBiosciences、Piscataway、NJ)の存在下でMMLV-RT(Clontech社、パロアルト、CA、USA)を用い逆転写し、未照射のマウス胸腺からCy5標識したmRNAを得た。
【0115】
結果的に得た標識したcDNAは-70度で1時間95%エタノールでインキュベーションし沈殿させた後、沈殿物を10分間12,000rpmで遠心機を用いペレットにした。ペレットは70%エタノールで洗浄し、風乾させた。乾燥したペレットは、ハイブリダイゼーションバッファーで溶解した。
【0116】
Cy3およびCy5標識した同量のcDNAターゲットをマイクロアレイに添加し、12時間湿気チャンバー内で室温でインキュベートした。12時間後に、結合しなかったターゲットを、10分毎にバッファー交換し30分間回転震盪器で洗浄バッファーによりマイクロアレイを洗浄し除去した。その後マイクロアレイを風乾させ、CCDイメージャーでスキャンした(Worx Applied Precision)。アレイ上の各スポットの結果イメージは、未処理のマウスの遺伝子発現レベルを緑色シグナル強度として、ガンマ線照射を受けたマウスの遺伝子発現レベルを赤色シグナル強度として読み込まれた。黄色は両サンプルからの遺伝子発現が等しいレベルである事を示す(図10)。
【0117】
プレハイブリダイゼーションバッファーとハイブリダイゼーションバッファーは、300mMのリン酸塩バッファー(0.017Mのリン酸二水素ナトリウム(一水和物))、0.305Mの第二リン酸ナトリウム、pH 8.0、5Xデンハート溶液(0.1%フィコール(タイプ400)、0.1%ポリビニルピロリドンと0.1%ウシ血清アルブミン)そして、1%のドデシル硫酸ナトリウムからなる。洗浄バッファーは、150mMのリン酸塩バッファー(0.0085Mのリン酸二水素ナトリウム(一水和物)、0.15Mの第二リン酸ナトリウム(pH 8.0)、1%ドデシル硫酸ナトリウムからなる。
【0118】
実施例17
ポリT配列により挟まれたHLA-Bバリアントの吸着プローブ
ヒトHLA-B遺伝子のエクソン2のコドン67近傍、すなわちコドン65からコドン69の最初の2塩基を中心とした14塩基の一連のプローブを表4に示した。シーケンスは、EMBL-EPI HLAデータベースシーケンスアライメントツール(イントロンを含まない)から引用したヌクレオチドコーディング配列(CDS)である。ヒトHLA-B遺伝子のヌクレオチドシークエンスの265-278番目の塩基におけるバリアントであるこれらの14塩基長のシーケンスは8つのチミンまたはポリT配列により両側が挟まれ、それが 14-merの中心領域の核酸ターゲットとの結合能力を失う事無く、プローブの表面吸着を高める為の領域を挟むインサートとして使われ、全長30塩基のプローブとなる。これらの30mersが有するHLA-B遺伝子の既知のシーケンスバリアントに特異的な 中央部分における各々の塩基変化は太字で示した。実施例8で行ったように、図11A-11Eはこれらのプローブのシークエンスプロフィルとハイブリダイゼーションを示す。
【0119】
【表5】

【0120】
図11A‐11Eは、長さが最長で約30塩基となるこれらのプローブが各々のプローブ内に有効な2つの領域を有することを示す。およそ10-24塩基の第1領域は二本鎖を形成するためにターゲットDNAに結合し、第2の領域は、第1のプローブ領域の片方または両側に隣接して存在し、例えばイノシンに限らず、ポリTや他のポリマー、またはターゲットに対し非相補的である不活性配列のような通常の核酸ハイブリダイゼーションにおいては不活性である素材からなる。この隣接配列はさらに、表面吸着されたプローブの全長より短い長さに限られはするが、プローブのターゲット結合領域を維持し、図1A-1B、2A-2Cと3A-3Dで示されるメカニズムにより表面へのプローブ吸着を安定化させる。
【0121】
プローブの片側または両側に不活性領域が配置された短いターゲット結合領域の組み合わせは、(プローブが長くなるため)表面吸着にとり最適となり、(より短い、ハイブリダイゼーション領域が実現されるため)ターゲットの結合の識別を強め結合させることが可能となる。
【0122】
実施例18
金属酸化物で表面を被覆したスライド:一般的な方法
金属酸化物で表面被覆したスライドはアガロースマトリックス中で混合した粘土と金属酸化物粒子を用い作成した。通常、金属酸化物粒子は、20mg/mlの粒子濃度で、10mMのNa2B4O7、50mMのホウ酸、10mMのフッ化ナトリウムの溶液中で混和する。別の容器の中でアガロースを2%の濃度で10mMの四ホウ酸ナトリウム、50mMのホウ酸、10mMのフッ化ナトリウムの溶液に溶解し、沸騰させるため加熱した。アガロース溶液は恒温槽中で80-90℃で静置し、1容量の20mg/mlの金属酸化物懸濁液を添加し、よく混和する。スライドは1’x3’のスライドの1x2’領域の上にアガロース金属酸化物懸濁液の1mLを塗抹し作成し、その後このアガロース懸濁液を冷却しゲル化した。ゲルがスライド上で完全に崩壊し乾燥するまで、スライドはそれから周囲の温度と湿気条件の下で乾燥させた。
【0123】
これらのスライド上にアレイとしてオリゴヌクレオチドプローブのを印刷する前に、スライドを氷酢酸で5分間処理し、それから水ですすぎ、アセトンまたは50%エタノール水溶液で1分間洗浄を行った。スライドはその後、周囲の条件下で乾燥させた。DNAプローブの印刷は、150mMのリン酸ナトリウムバッファー(pH = 8.5)、0.005%のナトリウムラウロイルサルコシン溶液中で、75umolarのオリゴヌクレオチド濃度で行った。スライドは16時間未満、湿度50%にてインキュベートした状態で印刷し、 プローブをクロスリンクさせるため3000ミリジュールの紫外線を照射した。その後、スライドは周囲の温度と湿度でハイブリダイゼーションに使用するまで保存した。
【0124】
ターゲットハイブリダイゼーションの行程は30サイクルでPCR増幅したターゲットを1倍量の水で希釈し、110℃のヒートブロックで10分間この溶液をインキュベートし、それからすぐに4℃の恒温槽に移しこの溶液を急冷する。プローブはその後下記の溶液と混合する。50mMのホウ酸、10mMの四ホウ酸ナトリウム、10mMのフッ化ナトリウム、1mMのリン酸二水素一ナトリウム、0.1%のTween-20(ニシン精子DNAの100ug/mL)と5X Denhardts溶液。このプローブ混合物を40μl、各々のスライドに塗抹し、カバーグラスの下に置き、16時間室温で湿気チャンバー内でインキュベートした。マイクロアレイのハイブリダイゼーション後、1XSSCに5分間、2XSSCに20分間浸し0.2XSSCの2分間浸し処理した。スライドは乾燥させイメージャーで画像を取り込んだ。
【0125】
酸化アルミニウムにより被覆されたカオリン粒子
酸化アルミニウムで表面コートされたカオリン粒子は、50mMの塩酸、2mMの塩化アルミニウム溶液中で20mg/mlの濃度で酸で洗浄したカオリンを混合し合成した。この金属塩化物/カオリン懸濁混合物に同等量の2Mの水酸化アンモニウムを加え素早く混ぜ、混合液を室温で1時間インキュベートした。カオリン粒子は、遠心分離(3分間の1500xg)により回収した。上清を捨て、粒子は水に20mg/mlとなるよう再懸濁し、遠心分離(3分間の1500xg)により粒子をペレットにした。この行程を上清のpHが流入洗浄水(5から8の間)と同じになるまで繰り返した。これらの粒子のペレットは、それから100mMの炭酸ナトリウム溶液中に再懸濁し、一晩インキュベートした。粒子とアガロースを混合する前に、粒子は炭酸塩バッファーからペレットにし、20mg/mLの濃度で2回水で洗浄した(再懸濁とペレット化)。
【0126】
金属酸化物で被覆したフェライト粒子
酸化アルミニウム(Al2O3)で被覆された表面は、フェライト(Fe304)すなわち磁鉄鉱、粒子が、50mMの塩酸、2mMの塩化アルミニウム溶液中に20mg/mLの濃度で磁鉄鉱を懸濁し作成した。この溶液に等量の2Mの水酸化アンモニウムを加え、素早く混合し、その混合液を室温で1時間インキュベートした。粒子は磁場により収集し、上澄みを捨て、磁気粒子は20mg/mlの濃度で水に再懸濁した。洗浄行程は、2度繰り返した。続いてペレットを100mMの炭酸ナトリウムに再懸濁し、少なくとも一晩インキュベートし、本例で解説されるようにスライドが完成するまでこのバッファー中にて保存した。粒子とアガロースを混合する前に、粒子は炭酸塩バッファーから磁気によりペレット化し、20mg/mLの濃度で2回水で洗浄した(再懸濁とペレット化)。
【0127】
この方法を用い、他の金属酸化物による被覆は、塩化アルミニウムの代わりに適当な金属塩を用いて形成される。 たとえば、塩化(ZrCl4)ジルコニウムは酸化ジルコニウム(Zr02)被覆の形成、塩化バリウム(BaCl2)はバリウム酸化物の被覆形成、塩化カルシウム(CaCl2)は酸化カルシウム(CaO)の被覆形成、塩化カドミウム(CdCl2)はカドミウム酸化物(CdO)の被覆形成、塩化コバルト(CoCl2)は酸化コバルト(CoO)の被覆形成、塩化鉄(FeCl2)の酸化鉄(FeO)被覆形成、塩化マグネシウム(MgCl2)の酸化マグネシウム(MgO) 被覆形成 、ニッケル塩化物(NiCl2)は酸化ニッケル(NiO)被覆を形成し、そして、硫酸亜鉛(ZnSO4)は酸化亜鉛(ZnO)被覆を形成する。
【0128】
実施例19
HLA-Bのエクソン2に由来するCy3標識したアンプリコンのハイブリダイゼーション
スライドはハイブリダイゼーションの為、1時間2XSSCでスライドを湿らし、その後風乾した。50mMのホウ酸、10mMの四ホウ酸ナトリウム、10mMのフッ化ナトリウム、1mMのリン酸二水素一ナトリウム、0.1%のTween-20、ニシン精子DNAの100ug/mLと5XDenhardts溶液、3XSSCからなるプレハイブリダイゼーション溶液40uLを、スライドに室温で2時間塗布した。プローブは50mMのホウ酸、10mMのホウ砂、10mMのフッ化ナトリウム、1mMののリン酸二水素一ナトリウム、0.1%のTween-20、ニシン精子DNAの100ug/mLを含む5XDenhardtsの溶液に混合した。このプローブ混合物を40μl、各々のスライドに塗布後、ガラスのカバーグラスを被せ、16時間室温で湿気チャンバー内でインキュベートした。スライドは水ですすぎ、風乾させ、そして、スライドは40uL(ガラスのカバーグラスの下で)でハイブリダイズした。15uLのPCR溶液(ターゲット)を2XSSC、10%のDenhardts試薬、100ugのニシン精液DNA、0.01%のナトリウムラウロイルサルコシンの最終濃度となるようハイブリダイゼーション溶液に加えた。マイクロアレイのハイブリダイゼーション後、2XSSCに20分間、1XSSCに5分間、0.2XSSCに2分間浸し処理した。
【0129】
プローブは、表5で示すヒトHLA-Bのエクソン2の第9のコドンのバリアント9-12(シークエンスID番号:33‐36)の配列である。プローブバリアント9と10もまたHLA-Bのコドン9からのものであるが、シーケンスはアンチセンス鎖からあって、それぞれ、102から90、そして101から90番目のヌクレオチドである。それらは、6-10、または方向を正しく言うと10-6のコドンに相当する。プローブバリアント11と12は混合し、ポジティブコントロールとして使用した。それらはHLA-Bのエクソン2からのセンス鎖シークエンスであり、コドン72-75に相当する。ターゲットはHLA-Bのエクソン2由来の30サイクルのPCR増幅し得たCy3標識したアンプリコン(PCR産物)である。
【0130】
【表6】

【0131】
図12A-12Eは、様々な表面(例えばアミノプロピルシラン、フェライト粒子とアルミニウム、マグネシウム、亜鉛またはジルコニウムの金属酸化物で被覆されているフェライト粒子)に吸着させたプローブと様々なアンプリコンとのハイブリダイゼーションを示すハイブリダイゼーションアレイである。マイクロアレイ上へハイブリダイゼーションの相対的シグナル強度のスコアリングは表6に示す。すべてのシグナル強度の数値は、6つのアレイの平均値である。
【0132】
【表7】

【0133】
本明細事項で言及される特許または出版物は、本発明特許が関係する当業者の水準を示唆る。さらに、これらの特許と出版物は参照する事により、各個別の文献が具体的に個別に参照する事により本書に含まれるのと同様に本書に含まれる。
当該技術に精通する当業者は本発明が目的を実行にうつし、これまで述べた予想される結果と利点とを、ここに示す固有の目的、結論、利点と同様に達成し得るのに非常に適していると直ちに評価するであろう。当業者に生じうる要求の範囲によって定義されるように、本発明の精神の範囲内で変更と他への使用が包含される。
【図3A−3D】

【図8A】

【図8B】

【図8C】

【図8D】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体分子ハイブリダイゼーション装置であって、
該生体分子ハイブリダイゼーション装置が、
半永久的に共有結合する官能基の表面を有する基板と、そして
各オリゴヌクレオチドのほぼ全てのリン酸基の直接的な非共有結合性のリン酸と表面との吸着接触により表面上に圧縮されたオリゴヌクレオチドの飽和膜として10から約24塩基長の修飾されない全ての一本鎖オリゴヌクレオチドの吸着単一分子層とを含み、
圧縮された各オリゴヌクレオチド塩基表面が、オリゴヌクレオチドの塩基平面の提示の変更を伴わず、そして表面からのオリゴヌクレオチドリン酸基の解離を伴わない非対称の非らせん塩基対合により相補的な一本鎖核酸に解離的にハイブリダイズするのに効果的な方法で表面から提示されることを特徴とする生体分子ハイブリダイゼーション装置。
【請求項2】
オリゴヌクレオチドの5’または3’末端の一方または両方でハイブリダイズしないポリT配列をさらに包含し、吸着したオリゴヌクレオチドが各々約30塩基長となることを特徴とする請求項1に記載の生体分子ハイブリダイゼーション装置。
【請求項3】
前記表面に処理されたキャッピング材をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の生体分子ハイブリダイゼーション装置。
【請求項4】
前記キャッピング材が界面活性剤または酸無水物であることを特徴とする請求項3に記載の生体分子ハイブリダイゼーション装置。
【請求項5】
前記表面に吸着する10〜約24の塩基対の長さの非らせん形の二本鎖としてオリゴヌクレオチドに可逆的にハイブリダイズする一本鎖核酸をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の生体分子ハイブリダイゼーション装置。
【請求項6】
前記核酸がDNAまたはRNAであることを特徴とする請求項5に記載の生体分子ハイブリダイゼーション装置。
【請求項7】
前記リン酸基が約0.5から1平方nm未満の表面当たり、1つのリン酸基という密度で、表面に吸着することを特徴とする請求項1に記載の生体分子ハイブリダイゼーション装置。
【請求項8】
前記官能基が、正に荷電する、極性の、又は負に荷電する親水性表面を形成するか又は疎水性の表面を形成することを特徴とする請求項1に記載の生体分子ハイブリダイゼーション装置。
【請求項9】
前記正に荷電する表面がアミノシランであることを特徴とする請求項8に記載の生体分子ハイブリダイゼーション装置。
【請求項10】
前記表面が有機材料または無機材料を含むことを特徴とする請求項8に記載の生体分子ハイブリダイゼーション装置。
【請求項11】
前記有機材料がアミノ酸、脂質、ヌクレオチド、炭水化物、炭化水素またはイソプレノイドであることを特徴とする請求項10に記載の生体分子ハイブリダイゼーション装置。
【請求項12】
前記無機材料が水素結合供与体である金属酸化物であることを特徴とする請求項10に記載の生体分子ハイブリダイゼーション装置。
【請求項13】
前記金属酸化物がフェライト、二酸化アルミニウムまたは二酸化チタンあるいは、アルミニウム、チタン、ジルコニウム、バリウム、カルシウム、カドミウム、コバルト、鉄、マグネシウム、ニッケルまたは亜鉛の酸化物で被覆されるフェライトであることを特徴とする請求項12に記載の生体分子ハイブリダイゼーション装置。
【請求項14】
前記基板の形態がスライドまたはビーズであることを特徴とする請求項1に記載の生体分子ハイブリダイゼーション装置。
【請求項15】
ハイブリダイゼーション可能な条件下で少なくとも1つの溶液状態の核酸ターゲットと、請求項1に記載の生体分子ハイブリダイゼーション装置とを接触する工程を含み、非らせん形の、非対称のプローブ-ターゲット二本鎖が形成されることを特徴とする溶液状態のターゲット核酸をプローブ核酸にハイブリダイズする方法。
【請求項16】
結合可能な状況下でのヌクレオチド結合タンパク質と請求項5に記載の生体分子ハイブリダイゼーション装置を接触する工程と、
約1Mから約5MのNaCl水溶液のイオン強度を備える食塩水を用いて前記表面から形成される二本鎖タンパク質複合体を溶出する工程と、そして、溶出させた二本鎖核酸の少なくとも一方の鎖をシークエンスする工程とを含むことを特徴とするヌクレオチド-結合タンパク質に結合するヌクレオチド配列を同定する方法。
【請求項17】
生体分子ハイブリダイゼーション装置であって、
該生体分子ハイブリダイゼーション装置が、
半永久的に共有結合する官能基の表面を有する基板と、そして、
各オリゴヌクレオチドのほぼ全てのリン酸基の直接的な非共有結合性のリン酸と表面との吸着接触により表面上に圧縮されたオリゴヌクレオチドの飽和膜として約30塩基長の修飾されない全ての非修飾一本鎖オリゴヌクレオチドの吸着単一分子層とを含み、
圧縮されたオリゴヌクレオチドの夫々がターゲットとされ、ハイブリダイズする10から約24塩基の領域と、5'または3'末端の片側または両側の隣接する塩基のターゲットとされずハイブリダイズしない領域を持ち、これにより、前記ターゲット領域中の圧縮された各オリゴヌクレオチド塩基平面が、オリゴヌクレオチドの塩基平面の提示の変更を伴わず、そして表面からのオリゴヌクレオチドリン酸基の解離を伴わない非対称の非らせん塩基対合により相補的な一本鎖核酸に解離的にハイブリダイズするのに効果的な方法で表面から提示されることを特徴とする生体分子ハイブリダイゼーション装置。
【請求項18】
前記表面に処理されたキャッピング材をさらに含むことを特徴とする請求項17に記載の生体分子ハイブリダイゼーション装置。
【請求項19】
前記キャッピング材が界面活性剤または酸無水物であることを特徴とする請求項18に記載の生体分子ハイブリダイゼーション装置。
【請求項20】
前記表面に吸着する10〜約24の塩基対の長さの非らせん形の二本鎖としてオリゴヌクレオチドに可逆的にハイブリダイズする一本鎖核酸をさらに含むことを特徴とする請求項17に記載の生体分子ハイブリダイゼーション装置。
【請求項21】
前記核酸がDNAまたはRNAであることを特徴とする請求項20に記載の生体分子ハイブリダイゼーション装置。
【請求項22】
ターゲットとされずハイブリダイズしない領域の塩基がポリT配列または他の挿入塩基配列であることを特徴とする請求項17に記載の生体分子ハイブリダイゼーション装置。
【請求項23】
前記吸着単一分子層が非修飾一本鎖オリゴヌクレオチドの約二倍の飽和量から形成されることを特徴とする請求項17に記載の生体分子ハイブリダイゼーション装置。
【請求項24】
前記リン酸基が約0.5から1平方nm未満の表面当たり、1つのリン酸基という密度で、表面に吸着することを特徴とする請求項17に記載の生体分子ハイブリダイゼーション装置。
【請求項25】
前記官能基が、正に荷電する、極性の、又は負に荷電する親水性表面を形成するか又は疎水性の表面を形成することを特徴とする請求項17に記載の生体分子ハイブリダイゼーション装置。
【請求項26】
前記正に荷電する表面がアミノシランであることを特徴とする請求項25に記載の生体分子ハイブリダイゼーション装置。
【請求項27】
前記表面が有機材料または無機材料を含むことを特徴とする請求項25に記載の生体分子ハイブリダイゼーション装置。
【請求項28】
前記有機材料がアミノ酸、脂質、ヌクレオチド、炭水化物、炭化水素またはイソプレノイドであることを特徴とする請求項27に記載の生体分子ハイブリダイゼーション装置。
【請求項29】
前記無機材料が水素結合供与体である金属酸化物であることを特徴とする請求項27に記載の生体分子ハイブリダイゼーション装置。
【請求項30】
前記金属酸化物がフェライト、二酸化アルミニウム、二酸化チタニウムあるいはアルミニウム、チタニウム、ジルコニウム、バリウム、カルシウム、カドミウム、コバルト、鉄、マグネシウム、ニッケルまたは亜鉛の酸化物で被覆されたフェライトであることを特徴とする請求項29に記載の生体分子ハイブリダイゼーション装置。
【請求項31】
前記基板の形態がスライドまたはビーズであることを特徴とする請求項17に記載の生体分子ハイブリダイゼーション装置。
【請求項32】
半永久的に共有結合しアミノシラン化された表面を有する基板と、
表面の約0.5から1平方ナノメートル未満当たり一つのリン酸基の密度で、各オリゴヌクレオチドのほぼ全てのリン酸基の直接的な非共有結合性のリン酸と表面との吸着接触により表面上に圧縮されたオリゴヌクレオチドの飽和膜としてアミノシラン化した表面に吸着された10から24塩基長の全ての非修飾一本鎖オリゴヌクレオチドの吸着単一分子層とを含み、
圧縮された各オリゴヌクレオチド塩基表面が、オリゴヌクレオチドの塩基平面の提示の変更を伴わず、そして表面からのオリゴヌクレオチドリン酸基の解離を伴わない非対称の非らせん塩基対合により相補的な一本鎖核酸に解離的にハイブリダイズするのに効果的な方法で表面から提示されることを特徴とする生体分子ハイブリダイゼーション装置。
【請求項33】
オリゴヌクレオチドの5’または3’末端の一方または両方でハイブリダイズしないポリT配列をさらに包含し、吸着したオリゴヌクレオチドが各々約30塩基長となることを特徴とする請求項32に記載の生体分子ハイブリダイゼーション装置。
【請求項34】
前記表面に処理されたキャッピング材をさらに含むことを特徴とする請求項32に記載の生体分子ハイブリダイゼーション装置。
【請求項35】
前記キャッピング材が界面活性剤または酸無水物であることを特徴とする請求項34に記載の生体分子ハイブリダイゼーション装置。
【請求項36】
前記表面に吸着する10〜約24の塩基対の長さの非らせん形の二本鎖としてオリゴヌクレオチドに可逆的にハイブリダイズする一本鎖のDNAまたはRNAをさらに含むことを特徴とする請求項33に記載の生体分子ハイブリダイゼーション装置。
【請求項37】
前記基板の形態がスライドまたはビーズであることを特徴とする請求項33に記載の生体分子ハイブリダイゼーション装置。

【図10】
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【図11−A】
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【図11−B】
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【図1−A】
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【図1−B】
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【図2】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図9−A】
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【図9−B】
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【図11−C】
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【図11−D】
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【図11−E】
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【図12−A】
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【図12−B】
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【図12−C】
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【図12−D】
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【図12−E】
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【公表番号】特表2011−516062(P2011−516062A)
【公表日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−502988(P2011−502988)
【出願日】平成21年4月3日(2009.4.3)
【国際出願番号】PCT/US2009/002088
【国際公開番号】WO2009/145836
【国際公開日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【出願人】(510264660)ゲノミクス ユーエスエー, インク. (1)
【Fターム(参考)】