説明

アロファネート基及びシラン基を含む高官能性ポリイソシアネート

【課題】専ら二官能性塗料バインダーと組み合わせた場合でも非常に速い表面乾燥をもたらし、同時に従来のシラン変性アロファネートポリイソシアネートの優れた接着特性を発揮できる新規シラン基含有ポリイソシアネートを提供する。
【解決手段】A)アミノシランと環式カーボネート又はラクトンとの反応により得られる、シラン基含有ヒドロキシウレタン及び/又はヒドロキシアミド、及びB)62〜2000g/モルの範囲の分子量を有する更なる多価ヒドロキシ官能性成分を、成分A)及びB)のNCO反応性基に対してモル過剰の量のC)脂肪族的、脂環式的、芳香脂肪族的及び/又は芳香族的に結合したイソシアネート基を有するジイソシアネートと反応させることにより、アロファネート基含有ポリイソシアネートを製造する。
アネートの使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アロファネート基及びシラン基を含む高官能性ポリイソシアネート、そのようなポリイソシアネートの製造方法、及びポリウレタンプラスチックの製造における出発成分、特にポリウレタン塗料及びコーティングの架橋剤成分としてのそのようなポリイソシアネートの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
アルコキシシラン基を含むポリイソシアネート混合物は、かなり前から知られている。そのような生成物は、イソシアネート基に加えて第2反応構造、すなわち架橋できる構造を含んでおり、これまで、種々のポリウレタン系や、特定の性質、例えば接着性、耐薬品性又は耐引っ掻き性を改良する為の用途に使用されてきた。
【0003】
例えば、WO 03/054049 には、ポリウレタンホットメルト接着剤用接着促進剤として、低モノマー脂肪族又は脂環式ポリイソシアネート及び第2級アミノプロピルトリメトキシシランから製造されたイソシアネート官能性シランが記載されている。
【0004】
特開2005-015644号公報によれば、接着剤及びシーラントの接着性は、N-置換、すなわち第2級アミノプロピルアルコキシシランにより変性されたポリイソシアネート又はイソシアネートプレポリマーを用いて改良することができる。
【0005】
EP-B 0 994 139 のクレームには、促進された硬化性を有する1液型湿気硬化型コーティング、接着剤又はシーラントの為のバインダーとして、脂肪族又は脂環式ポリイソシアネートと、不足量のアルコキシシラン官能性アスパラギン酸エステル(例えば、EP-A 0 596 360 に、イソシアネート官能性化合物に対する反応体として記載されているような化合物)及び所望によりポリエチレンオキシドポリエーテルアルコールとの反応生成物が記載されている。
【0006】
脂肪族又は脂環式ポリイソシアネートと不足量のアルコキシシラン官能性アスパラギン酸エステル又は第2級アミノアルキルシランとの反応生成物は、2液型ポリウレタンプライマー用架橋剤成分として、WO 02/058569 にも記載されている。
【0007】
EP-B 0 872 499 には、架橋成分として、イソシアネート基及びアルコキシシリル基を有する化合物を含む水性2液型ポリウレタン塗料が記載されている。このような特別なポリイソシアネートを使用すると、高光沢と共に改良された耐水性を有するコーティングが得られる。
【0008】
親水性に変性された、従ってより簡単に乳化できるアルコキシシラン基含有ポリイソシアネートは、2液型塗料及び接着剤水性分散体の架橋剤成分として、既に言及されている(例えば、EP-A 0 949 284)。
【0009】
近年、脂肪族及び/又は脂環式ポリイソシアネートとN,N-ビス-(トリアルコキシシリルプロピル)アミンとの反応生成物が、溶媒含有熱硬化性2液型PU自動車用クリアコート又はトップコートの耐引っ掻き性を改良するための架橋剤成分として提案されている(EP-A 1 273 640)。
【0010】
上記のようなシラン基含有ポリイソシアネート混合物全てに共通することは、それらが、未変性ポリイソシアネート又はポリイソシアネートプレポリマーとイソシアネート基反応性基含有有機官能性シラン(例えば、メルカプト官能性シラン、第1級アミノアルキルシラン、第2級N-アルキル置換アミノアルキルシラン又はアルコキシシラン官能性アスパラギン酸エステル)との部分反応により製造されることである。
【0011】
しかしながら、そのような変性は、使用した出発ポリイソシアネートに対する平均イソシアネート官能価の低下を生じさせ、その効果は、反応生成物中の所望シラン含量の増加に伴って増大する。しかし、実際には、可能な限り高いイソシアネート官能性を有するポリイソシアネート架橋剤が、例えば高い架橋密度を達成するために、塗料又は接着剤のような上記の用途においては、望まれる。
【0012】
更に、変性の程度が増すにつれ、分子内にチオウレタン、特にウレア基が導入されるので、生成物の粘度が劇的に増加し、その結果、通例、そのようなシラン基含有ポリイソシアネートは、かなりの量の有機溶媒を使用した溶解形態でしか使用できない。
【0013】
しかしながら、シラン変性ポリイソシアネートの低NCO官能価及び高粘度に関する上記欠点は、EP-A 2 014 692 の方法により、非常に的確に回避することができる。その方法によれば、環式カーボネート又はラクトンによる開環反応を用いてアミノアルキルシランから導くことができるシラン基含有ヒドロキシウレタン又はヒドロキシアミドを、過剰量のモノマージイソシアネートと反応させて、高シラン含量と共に、低粘度と組み合わさった高イソシアネート官能価により特徴付けられる安定な淡色アロファネートポリイソシアネートを生成する。
【0014】
EP-A 2 014 692 のシラン基含有アロファネートポリイソシアネートは、溶媒含有、無溶媒又は水性ポリウレタン又はポリウレア系の組成物用の多種のヒドロキシ−及び/又はアミノ−官能性バインダーの為の架橋剤成分として、適している。
【0015】
出願人による未公開の先願(出願番号102009016173.2)に記載されているような、ポリアスパラギン酸エステルに基づく高固形分2液型コーティング系は、シラン変性ポリイソシアネートの特に興味ある用途を代表している。特に、EP-A 2 014 692 に記載されたアロファネートポリイソシアネートを用いて製造されたポリアスパラギン酸エステル塗料は、亜鉛、アルミニウム又は冷間圧延スチール(これらは、従来被覆するのが困難であった)のような金属基材に対して優れた直接接着性を発揮し、従って、プライマー被覆を省略することができる。
【0016】
EP-A 2 014 692 に従った方法により得られるシラン変性アロファネートポリイソシアネートは、既に、比較的高いイソシアネート官能価を有しているが、現在入手できる二官能性ポリアスパラギン酸エステルのみと組み合わせた場合、実際の用途の為のコーティングの十分に急速な表面乾燥を保証するのには、しばしば十分ではない。しかしながら、プライマー被覆を省略できる可能性は、塗装回数を確実に減少させ、従って、相応して短い乾燥時間と組み合わさったならば、そのようなコーティング剤の使用者における生産性が増加することを意味する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0017】
【特許文献1】WO 03/054049
【特許文献2】特開2005-015644号公報
【特許文献3】P-B 0 994 139
【特許文献4】EP-A 0 596 360
【特許文献5】WO 02/058569
【特許文献6】EP-B 0 872 499
【特許文献7】EP-A 0 949 284
【特許文献8】EP-A 1 273 640
【特許文献9】EP-A 2 014 692
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
そこで、本発明の目的は、専ら二官能性塗料バインダーと組み合わせた場合でも、非常に速い表面乾燥をもたらし、同時に、従来技術のシラン変性アロファネートポリイソシアネートの優れた接着特性を発揮できる、新しいシラン基含有ポリイソシアネートを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0019】
この目的は、以下において詳細に説明する本発明のポリイソシアネート又はその製造方法を提供することにより達成される。
【0020】
本発明の1つの態様は、
A)アミノシランと環式カーボネート又はラクトンとの反応により得られる、少なくとも1種のシラン基含有ヒドロキシウレタン及び/又はヒドロキシアミド、及び
B)62〜2000g/モルの範囲の分子量を有する少なくとも1種の更なる多価ヒドロキシ官能性成分を、
成分A)及びB)のNCO反応性基に対してモル過剰の量の
C)脂肪族的、脂環式的、芳香脂肪族的及び/又は芳香族的に結合したイソシアネート基を有する少なくとも1種のジイソシアネート
と反応させ、
所望により、続いて、未反応のジイソシアネート過剰分を除去する
ことを含んでなる、アロファネート基含有ポリイソシアネートの製造方法である。
【0021】
本発明の別の態様は、成分A)が、一般式(I):
【化1】

[式中、
、R及びRは、同一又は異なって、18個までの炭素原子を有する飽和又は不飽和、直鎖又は分岐鎖の脂肪族又は脂環式基、若しくは18個までの炭素原子を有する、場合により置換されていてよい芳香族又は芳香脂肪族基(ただし、該18個までの炭素原子を有する飽和又は不飽和、直鎖又は分岐鎖の脂肪族又は脂環式基若しくは該場合により置換されていてよい芳香族又は芳香脂肪族基は、酸素原子、硫黄原子及び窒素原子からなる群から選択される3個までのヘテロ原子を含んでいてよい。)であり、
Xは、場合により2個までのイミノ基(−NH−)を含んでいてよい、少なくとも2個の炭素原子を有する直鎖又は分岐鎖有機基であり、
は、水素、18個までの炭素原子を有する飽和又は不飽和、直鎖又は分岐鎖の脂肪族又は脂環式基、18個までの炭素原子を有する、場合により置換されていてよい芳香族又は芳香脂肪族基、若しくは式:
【化2】

(式中、R、R、R及びXは、上記と同意義である。)
で示される基である。]
で示されるアミノシランと環式カーボネート又はラクトンとの反応生成物である、上記方法である。
【0022】
本発明の別の態様は、成分A)が、一般式(I):
【化3】

[式中、
、R及びRは、同一又は異なって、場合により3個までの酸素原子を含んでいてよい、6個までの炭素原子を有する飽和、直鎖又は分岐鎖の、脂肪族又は脂環式基であり、
Xは、場合により2個までのイミノ基(−NH−)を含んでいてよい、2〜10個の炭素原子を有する直鎖又は分岐鎖アルキレン基であり、
は、水素、6個までの炭素原子を有する飽和、直鎖又は分岐鎖の脂肪族又は脂環式基、又は式:
【化4】

(式中、R、R、R及びXは、上記と同意義である。)
で示される基である。]
で示されるアミノシランと環式カーボネート又はラクトンとの反応生成物である、上記方法である。
【0023】
本発明の他の態様は、成分A)が、一般式(I):
【化5】

[式中、
、R及びRは、それぞれ、6個までの炭素原子を有するアルキル基及び/又は3個までの酸素原子を有するアルコキシ基(ただし、R、R及びRの少なくとも1つはアルコキシ基である。)であり、
Xは、3又は4個の炭素原子を有する直鎖又は分岐鎖アルキレン基であり、
は、水素、メチル基、又は式:
【化6】

(式中、R、R、R及びXは、上記と同意義である。)
で示される基である。]
で示されるアミノシランと環式カーボネート又はラクトンとの反応生成物である、上記方法である。
【0024】
本発明の他の態様は、成分A)が、アミノシランと、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、β-プロピオラクトン、γ-ブチロラクトン、γ-バレロラクトン、γ-カプロラクトン及び/又はε-カプロラクトンとの反応生成物である、上記方法である。
【0025】
本発明の他の態様は、成分B)が62〜400g/モルの範囲の分子量及び2〜14個の炭素原子を有する多価アルコール並びに/若しくは106〜400g/モルの範囲の分子量を有するエステル及び/又はエーテルアルコールである、上記方法である。
【0026】
本発明の他の態様は、成分B)が2〜6個の炭素原子を有するジオール及び/又はトリオールである、上記方法である。
【0027】
本発明の他の態様は、成分B)の合計量が、使用する成分Aの合計量に対して、1〜70重量%の範囲にある、上記方法である。
【0028】
本発明の他の態様は、成分C)が脂肪族的及び/又は脂環式的に結合したイソシアネート基を有するジイソシアネートである、上記方法である。
【0029】
本発明の他の態様は、成分C)が1,6-ジイソシアナトヘキサン、1-イソシアナト-3,3,5-トリメチル-5-イソシアナトメチルシクロヘキサン、2,4'-及び/又は4,4'-ジイソシアナトジシクロヘキシルメタン又はこれらの混合物である、上記方法である。
【0030】
本発明の他の態様は、該反応をアロファネート基の形成を促進する触媒の存在下に行う、上記方法である。
【0031】
本発明の他の態様は、該触媒が亜鉛化合物及び/又はジルコニウム化合物である、上記方法である。
【0032】
本発明の更に他の態様は、上記方法により得られるアロファネート基含有ポリイソシアネートである。
【0033】
本発明の他の態様は、該アロファネート含有ポリイソシアネートがブロック剤によりブロックされている、上記アロファネート基含有ポリイソシアネートである。
【0034】
本発明の更に別の態様は、上記アロファネート基含有ポリイソシアネートから調製されたポリウレタンプラスチックである。
【0035】
本発明の更にまた別の態様は、上記アロファネート基含有ポリイソシアネートを含むコーティング剤である。
【0036】
本発明のまた他の態様は、上記コーティング剤により被覆された基材である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
本発明は、アミノアルキルシランと環式カーボネート又はラクトンとを開環反応により反応させることによって得られるシラン基含有ヒドロキシウレタン又はヒドロキシアミドを、所定量の更なるジオール及び/又はポリオールを配合して、過剰量のモノマージイソシアネートと反応させると、高官能性アロファネートポリイソシアネートを生成でき、これにより、高シラン含量であってさえ、低い粘度を有し、既知のシラン変性アロファネートポリイソシアネートと比べて、明らかに減少した乾燥時間が、同等に良好な金属接着性と共に、達成されるという、驚くべき知見に基づいている。
【0038】
本発明は、
A)アミノシランと環式カーボネート又はラクトンとの反応により得られる、少なくとも1種のシラン基含有ヒドロキシウレタン及び/又はヒドロキシアミド、及び
B)62〜2000g/モルの範囲の分子量を有する少なくとも1種の更なる多価ヒドロキシ官能性成分を、
成分A)及びB)のNCO反応性基に対してモル過剰の量の
C)脂肪族的、脂環式的、芳香脂肪族的及び/又は芳香族的に結合したイソシアネート基を有する少なくとも1種のジイソシアネート
と反応させ、
所望により、続いて、未反応のジイソシアネート過剰分を除去する
ことにより、アロファネート基含有ポリイソシアネートを製造する方法を提供する。
【0039】
また、本発明は、上記方法により得られるアロファネート基及びシラン基を含むポリイソシアネート、並びにポリウレタンプラスチックの製造における出発成分、特にポリウレタン塗料及びコーティングの架橋剤成分としてのそのようなポリイソシアネートの使用も提供する。
【0040】
本発明の方法にとっての出発化合物A)は、アミノシランと環式カーボネート又はラクトンとのあらゆる反応生成物である。
【0041】
出発化合物A)を製造するのに適したアミノシランは、例えば、一般式(I):
【化7】

[式中、
、R及びRは、同一又は異なって、18個までの炭素原子を有する飽和又は不飽和、直鎖又は分岐鎖の脂肪族又は脂環式基、若しくは18個までの炭素原子を有する、場合により置換されていてよい芳香族又は芳香脂肪族基(ただし、これらの基は、酸素原子、硫黄原子及び窒素原子から選択される3個までのヘテロ原子を含んでいてよい。)であり、
Xは、場合により2個までのイミノ基(−NH−)を含んでいてよい、少なくとも2個の炭素原子を有する直鎖又は分岐鎖有機基であり、
は、水素、18個までの炭素原子を有する飽和又は不飽和、直鎖又は分岐鎖の脂肪族又は脂環式基、18個までの炭素原子を有する、場合により置換されていてよい芳香族又は芳香脂肪族基、又は式:
【化8】

(式中、R、R、R及びXは、上記と同意義である。)
で示される基である。]
で示されるアミノシランである。
【0042】
適当なアミノシランは、例えば、以下の化合物である:3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3-アミノプロピルメチルジエトキシシラン、3-アミノプロピルエチルジエトキシシラン、3-アミノプロピルジメチルエトキシシラン、3-アミノプロピルジイソプロピルエトキシシラン、3-アミノプロピルトリプロポキシシラン、3-アミノプロピルトリプトキシシラン、3-アミノプロピルフェニルジエトキシシラン、3-アミノプロピルフェニルジメトキシシラン、3-アミノプロピルトリス(メトキシエトキシエトキシ)シラン、2-アミノイソプロピルトリメトキシシラン、4-アミノブチルトリメトキシシラン、4-アミノブチルトリエトキシシラン、4-アミノブチルメチルジメトキシシラン、4-アミノブチルメチルジエトキシシラン、4-アミノブチルエチルジメトキシシラン、4-アミノブチルエチルジエトキシシラン、4-アミノブチルジメチルメトキシシラン、4-アミノブチルフェニルジメトキシシラン、4-アミノブチルフェニルジエトキシシラン、4-アミノ(3-メチルブチル)メチルジメトキシシラン、4-アミノ(3-メチルブチル)メチルジエトキシシラン、4-アミノ(3-メチルブチル)トリメトキシシラン、3-アミノプロピルフェニルメチル-n-プロポキシシラン、3-アミノプロピルメチルジブトキシシラン、3-アミノプロピルジエチルメチルシラン、3-アミノプロピルメチルビス(トリメチルシロキシ)シラン、11-アミノウンデシルトリメトキシシラン、N-メチル-3-アミノプロピルトリエトキシシラン、N-(n-ブチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-(2-アミノエチル)-3-アミノイソブチルメチルジメトキシシラン、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリス(2-エチルヘキソキシ)シラン、N-(6-アミノヘキシル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-ベンジル-N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、ビス(3-トリメトキシシリルプロピル)アミン、ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)アミン、(アミノエチルアミノメチル)フェネチルトリメトキシシラン、N-ビニルベンジル-N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルポリシロキサン、N-ビニルベンジル-N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルポリシロキサン、3-ウレイドプロピルトリエトキシシラン、3-(m-アミノフェノキシ)プロピルトリメトキシシラン、m-及び/又はp-アミノフェニルトリメトキシシラン、3-(3-アミノプロポキシ)-3,3-ジメチル-1-プロペニルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルメチルビス(トリメチルシロキシ)シラン、3-アミノプロピルトリス(トリメチルシロキシ)シラン、3-アミノプロピルペンタメチルジシロキサン又はこれらアミノシランの混合物。
【0043】
出発化合物A)を製造するのに好ましいアミノシランは、R、R及びRが、それぞれ、6個までの炭素原子を有する飽和、直鎖又は分岐鎖の、場合により3個までの酸素原子を有していてよい脂肪族又は脂環式基であり、Xが、2〜10個の炭素原子を有し、場合により2個までのイミノ基(−NH−)を有していてよい直鎖又は分岐鎖アルキレン基であり、Rが、水素、6個までの炭素原子を有する飽和、直鎖又は分岐鎖の脂肪族又は脂環式基、若しくは式:
【化9】

(式中、R、R、R及びXは、上記と同意義である。)
で示される基である、式(I)のアミノシランである。
【0044】
出発化合物A)を製造するのにより好ましいアミノシランは、R、R及びRが、それぞれ、6個までの炭素原子を有するアルキル基及び/又は3個までの酸素原子を有するアルコキシ基(ただし、R、R及びRの少なくとも1つはアルコキシ基である。)であり、Xが、3又は4個の炭素原子を有する直鎖又は分岐鎖アルキレン基であり、Rが、水素、メチル基、又は式:
【化10】

(式中、R、R、R及びXは、上記と同意義である。)
で示される基である、式(I)のアミノシランである。
【0045】
出発化合物A)を製造するのに特に好ましいアミノシランは、R、R及びRが、それぞれ、メチル基、メトキシ基及び/又はエトキシ基(ただし、R、R及びRの少なくとも1つはメトキシ基又はエトキシ基である。)であり、Xが、プロピレン基(−CH−CH−CH−)であり、Rが、水素、メチル基、又は式:
【化11】

(式中、R、R、R及びXは、上記と同意義である。)
で示される基である、式(I)のアミノシランである。
【0046】
最も好ましいアミノシランは、アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン及び/又は3-アミノプロピルメチルジエトキシシランである。
【0047】
本発明の方法の為の出発化合物A)の製造において、上記アミノシランは、開環反応によって、あらゆる環式カーボネート又はラクトンと反応する。
【0048】
適当な環式カーボネートは、特に、環内に3個又は4個の炭素原子を有し、場合により置換されていてもよい化合物である。その例は、以下の化合物である:1,3-ジオキソラン-2-オン(エチレンカーボネート、EC)、4-クロロ-1,3-ジオキソラン-2-オン、4,5-ジクロロ-1,3-ジオキソラン-2-オン、4-メチル-1,3-ジオキソラン-2-オン(プロピレンカーボネート、PC)、4-エチル-1,3-ジオキソラン-2-オン、4,5-ジメチル-1,3-ジオキソラン-2-オン、4,4-ジメチル-1,3-ジオキソラン-2-オン、4-ヒドロキシメチル-1,3-ジオキソラン-2-オン(グリセロールカーボネート)、4-フェノキシメチル-1,3-ジオキソラン-2-オン、1,3-ジオキサン-2-オン(トリメチレンカーボネート)、5,5-ジメチル-1,3-ジオキサン-2-オン、5-メチル-5-プロピル-1,3-ジオキサン-2-オン、5-エチル-5-(ヒドロキシメチル)-1,3-ジオキサン-2-オン(TMPカーボネート)、4-イソプロピル-5,5-ジメチル-1,3-ジオキサン-2-オン(2,2,4-トリメチルペンタン-1,3-ジオールカーボネート)、4-tert-ブチル-5-メチル-1,3-ジオキサン-2-オン(2,4,4-トリメチルペンタン-1,3-ジオールカーボネート)、2,4-ジオキサスピロ[5.5]ウンデカン-3-オン(シクロヘキサン-1,1-ジメタノールスピロカーボネート)又はこれら環式カーボネートの混合物。好ましい環式カーボネートは、エチレンカーボネート及び/又はプロピレンカーボネートである。
【0049】
適当なラクトンは、環中に3〜6個の炭素原子を有し、場合により置換されていてもよいラクトンであり、その例は、以下の化合物である:β-プロピオラクトン、β-ブチロラクトン、γ-ブチロラクトン、α-メチル-γ-ブチロラクトン、γ-バレロラクトン、γ-フェニル-γ-ブチロラクトン、α,α-ジフェニル-γ-ブチロラクトン、γ-ヘキサラクトン(γ-カプロラクトン)、γ-ヘプタラクトン、γ-オクタラクトン、γ-ノナラクトン、γ-デカラクトン、γ-ウンデカラクトン、γ-ドデカラクトン、γ-メチル-γ-デカノラクトン、α-アセチル-γ-ブチロラクトン、δ-バレロラクトン、δ-ヘキサノラクトン、δ-オクタノラクトン、δ-ノナノラクトン、δ-デカラクトン、δ-ウンデカラクトン、δ-トリデカラクトン、δ-テトラデカラクトン、γ-エチル-γ-ブチル-δ-バレロラクトン、オクタヒドロクマリン、ε-カプロラクトン、γ-フェニル-ε-カプロラクトン、ε-デカラクトン又はこれらラクトンの混合物。好ましいラクトンは、β-プロピオラクトン、γ-ブチロラクトン、γ-バレロラクトン、γ-カプロラクトン及び/又はε-カプロラクトン。
【0050】
上記アミノシランと環式カーボネート又はラクトンとの反応による出発化合物A)の製造は、既知であり、例えばSU 295764、US 4 104 296、EP-B 0 833 830 又はWO 98/18844 に記載された方法により、行うことができる。一般に、反応種は、互いに等モル量で、15〜100℃、好ましくは20〜60℃の温度で反応される。しかし、化合物の一方、例えばアミノシラン又は環式カーボネート又はラクトンを、モル過剰、好ましくは10モル%まで、特に好ましくは5モル%までの過剰量で使用することもできる。このようにして得られ、環式カーボネートが使用される場合にはウレタン基を有し、ラクトンが使用される場合にはアミド基を有するヒドロキシ官能性出発化合物A)は、通例、無色の低粘度液体である。
【0051】
本発明の方法においては、ヒドロキシウレタン又はヒドロキシアミドA)に加えて、62〜2000g/モルの範囲の分子量を有する少なくとも1種の更なる多価ヒドロキシ官能性成分B)を使用する。
【0052】
このような化合物は、例えば、2〜14個、好ましくは2〜6個の炭素原子を有する単純多価アルコールであり、その例は、次のようなアルコールである:1,2-エタンジオール、1,2-及び1,3-プロパンジオール、異性体のブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、ヘプタンジオール及びオクタンジオールs、1,10-デカンジオール、1,2-及び1,4-シクロヘキサンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、4,4'-(1-メチルエチリデン)-ビス-シクロヘキサノール、1,2,3-プロパントリオール、1,1,1-トリメチノールエタン、1,2,6-ヘキサントリオール、1,1,1-トリメチロールプロパン、2,2-ビス(ヒドロキシメチル)-1,3-プロパンジオール、ビス-(2-ヒドロキシエチル)ヒドロキノン、1,2,4-及び1,3,5-トリヒドロキシシクロヘキサン又は1,3,5-トリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、単純エステル又はエーテルアルコール、例えば、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールエステル、ジエチレングリコール又はジプロピレングリコール。
【0053】
適当なヒドロキシ官能性成分B)は、既知の、ポリエステル型、ポリカーボネート型、ポリエステルカーボネート型又はポリエーテル型の高分子量ポリヒドロキシ化合物、特に分子量200〜2000g/モルのポリヒドロキシ化合物であってもよい。
【0054】
ヒドロキシ官能性成分B)として適するポリエステルポリオールは、例えば、官能価及び水酸価から計算できる200〜2000g/モル、好ましくは250〜1500g/モルの平均分子量、1〜21質量%、好ましくは2〜18質量%の水酸基含量を有する、多価アルコール(例えば、2〜14個の炭素原子を有する上記のアルコール)と不足量の多塩基性カルボン酸、対応するカルボン酸無水物、低級アルコール又はラクトンとの対応するポリカルボン酸エステルとを反応させることにより、既知の方法で製造できるようなポリエステルポリオールである。
【0055】
ポリエステルポリオールを製造するのに使用される酸又は酸誘導体は、脂肪族、脂環式及び/又は芳香族系のものであってよく、場合により、例えばハロゲン原子により置換されていても、未置換であってもよい。適当な酸の例は、118〜300g/モルの範囲の分子量を有する多塩基性カルボン酸又はその誘導体、例えば、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、フタル酸、イソフタル酸、トリメリット酸、無水フタル酸、テトラヒドロフタル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、二量体又は三量体脂肪酸、テレフタル酸ジメチルエステル及びテレフタル酸ビスグリコールエステルである。
【0056】
例示した出発化合物の混合物も、ポリエステルポリオールを製造するために使用することができる。
【0057】
ヒドロキシ官能性成分B)として使用するのに好ましいポリエステルポリオールは、出発分子としてのラクトン及び単純多価アルコール、例えば先に例示したアルコールから、開環反応により既知の方法で製造できるポリエステルポリオールである。このようなポリエステルポリオールを製造するのに適したラクトンは、例えば、β-プロピオラクトン、γ-ブチロラクトン、γ-及びδ-バレロラクトン、ε-カプロラクトン、3,5,5-及び3,3,5-トリメチルカプロラクトン又はこれらラクトンの混合物である。
【0058】
ヒドロキシ官能性成分B)として適当なポリカーボネート型のポリヒドロキシ化合物は、特に、既知のポリカーボネートジオール、例えば二価アルコール(例えば、62〜400g/モルの範囲の分子量を有する多価アルコールのリストに示したもの)をジアリールカーボネート(例えば、ジフェニルカーボネート)、ジアルキルカーボネート(例えば、ジメチルカーボネート)又はホスゲンと反応させて製造することができるポリカーボネートジオールである。
【0059】
ヒドロキシ官能性成分B)として適当なポリエステルカーボネート型のポリヒドロキシ化合物は、特に、DE-A 1 770 245 又はWO 03/002630 の教示に従って、エステル基及びカーボネート基を有する既知のジオール、例えば二価アルコールと先に例示した型のラクトン(例えば、ε-カプロラクトン)とを反応させ、次いで、得られたポリエステルジオールとジフェニルカーボネート又はジメチルカーボネートとを反応させることにより、得ることができる化合物である。
【0060】
ヒドロキシ官能性成分B)として適しているポリエーテルポリオールは、特に、官能価基及び水酸価から計算できる200〜2000g/モル、好ましくは250〜1500g/モルの平均分子量、1.7〜25質量%、好ましくは2.2〜20質量%の水酸基含量を有する、適当な出発分子のアルコキシル化により既知の方法で製造できるようなポリエーテルポリオールである。このようなポリエーテルポリオールを製造するための出発分子として、あらゆる多価アルコール、例えば先に記載した2〜14個の炭素原子を有する単純多価アルコールを使用することができる。アルコキシル化反応に適したアルキレンオキシドは、特に、エチレンオキシド及びプロピレンオキシドであり、これらは、アルコキシル化反応において、任意の順序で又は混合物として使用することができる。
【0061】
また、適当なポリエーテルポリオールは、例えばAngew. Chem. 72, 927 (1960) に従ったテトラヒドロフランの重合により得ることができる、自体既知のポリオキシテトラメチレングリコールである。
【0062】
本発明の方法にとって好ましいヒドロキシ官能性成分B)は、62〜400g/モルの範囲の分子量を有する上記単純多価アルコール、並びに/若しくは106〜400g/モルの範囲の分子量を有するエステル及び/又はエーテルアルコールである。
【0063】
単純多価アルコールの上記リストに含まれる2〜6個の炭素原子を有するジオール及び/又はトリオールが特に好ましい。
【0064】
最も好ましいヒドロキシ官能性成分B)は、1,2-エタンジオール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール及び/又は1,1,1-トリメチロールプロパンである。
【0065】
本発明の方法において、ヒドロキシ官能性成分B)は、使用されるヒドロキシウレタン及び/又はヒドロキシアミドA)の合計量に対して、1〜70質量%、好ましくは2〜35質量%、特に好ましくは3〜20質量%の量で使用される。
【0066】
例えばホスゲン法又は無ホスゲン法(例えば、ウレタン分解)のような任意の方法により製造することができる、脂肪族的、脂環式的、芳香脂肪族的及び/又は芳香族的に結合したイソシアネート基を有するジイソシアネートはいずれも、本発明の方法の為の出発化合物C)として適している。適当な出発ジイソシアネートは、例えば、140〜400g/モルの分子量を有するジイソシアネートであり、その例は、以下の化合物である:
1,4-ジイソシアナトブタン、1,6-ジイソシアナトヘキサン(HDI)、1,5-ジイソシアナト-2,2-ジメチルペンタン、2,2,4-又は2,4,4-トリメチル-1,6-ジイソシアナトヘキサン、1,10-ジイソシアナトデカン、1,3-及び1,4-ジイソシアナトシクロヘキサン、1,4-ジイソシアナト-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、1,3-ジイソシアナト-2-メチルシクロヘキサン、1,3-ジイソシアナト-4-メチルシクロヘキサン、1-イソシアナト-3,3,5-トリメチル-5-イソシアナトメチルシクロヘキサン(イソホロンジイソシアネート;IPDI)、1-イソシアナト-1-メチル-4(3)-イソシアナトメチルシクロヘキサン、2,4'-及び4,4'-ジイソシアナトジシクロヘキシルメタン、1,3-及び1,4-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、4,4'-ジイソシアナト-3,3'-ジメチル ジシクロヘキシルメタン、4,4'-ジイソシアナト-3,3',5,5'-テトラメチル ジシクロヘキシルメタン、4,4'-ジイソシアナト-1,1'-ビ(シクロヘキシル)、4,4'-ジイソシアナト-3,3'-ジメチル-1,1'-ビ(シクロヘキシル)、4,4'-ジイソシアナト-2,2',5,5'-テトラメチル-1,1'-ビ(シクロヘキシル)、1,8-ジイソシアナト-p-メンタン、1,3-ジイソシアナトアダマンタン、1,3-ジメチル-5,7-ジイソシアナトアダマンタン、1,3-及び1,4-ビス-(イソシアナトメチル)ベンゼン、1,3-及び1,4-ビス(1-イソシアナト-1-メチルエチル)ベンゼン(TMXDI)、ビス(4-(1-イソシアナト-1-メチルエチル)フェニル)カーボネート、1,3-及び1,4-フェニレンジイソシアネート、2,4-及び2,6-トルイレンジイソシアネート及びこれらの異性体の混合物、ジフェニルメタン-2,4'-及び/又は-4,4'-ジイソシアネート及びナフタレン-1,5-ジイソシアネート、並びにこれらジイシソアネートの混合物。同様に適しているジイシソアネートは、例えば、Justus Liebigs Annalen der Chemie, Vol. 562 (1949) 75 − 136頁に記載されている。
【0067】
脂肪族的及び/又は脂環式的に結合したイソシアネート基を有する記載のジイソシアネートが、出発成分C)として好ましい。
【0068】
本発明の方法にとって特に好ましい出発成分C)は、1,6-ジイソシアナトヘキサン、1-イソシアナト-3,3,5-トリメチル-5-イソシアナトメチルシクロヘキサン、2,4'-及び/又は4,4'-ジイソシアナトジシクロヘキシルメタン又はこれらジイソシアネートの混合物である。
【0069】
本発明の方法を実施するために、シラン基含有ヒドロキシウレタン及び/又はヒドロキシアミドA)並びに少なくとも1種のヒドロキシ官能性成分B)を、40〜200℃、好ましくは60〜180℃の温度において、イソシアネート基対イソシアネート反応性基の当量比を4:1〜50:1、好ましくは5:1〜30:1に保ちながら、ジイソシアネートC)と反応させて、アロファネートポリイソシアネートを生成する。
【0070】
本発明の意味において、「イソシアネート反応性基」は、成分A)及びB)のヒドロキシル基並びにNCO/OH反応によりヒドロキシル基から形成されるウレタン基に加えて、ヒドロキシウレタンが使用される場合には、それに含まれているウレタン基も包含する。なぜなら、そのようなウレタン基も同様に、反応条件下でアロファネート基と反応するからである。
【0071】
本発明の方法は、熱開始アロファネート化であるので、触媒を用いなくても実施することができる。しかし、アロファネート化反応を促進するために、適当な触媒を使用するのが好ましい。触媒は、既知のアロファネート化触媒であり、例えば、GB-A-0 994 890 に記載されているような種類の金属カルボキシレート、金属キレート又は第3級アミン、US-A-3 769 318に記載されているような種類のアルキル化剤、又はEP-A-0 000 194に記載されているような種類の強酸である。
【0072】
適しているアロファネート化触媒は、特に、亜鉛化合物、例えばステアリン酸亜鉛(II)、n-オクタン酸亜鉛(II)、2-エチル-1-ヘキサン酸亜鉛(II)、ナフテン酸亜鉛(II)又は亜鉛(II)アセチルアセトナート、スズ化合物、例えばn-オクタン酸スズ(II)、2-エチル-1-ヘキサン酸スズ(II)、ラウリン酸スズ(II)、ジブチルスズオキシド、ジブチルスズジクロリド、ジブチルスズジアセテート、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズジマレエート又はジオクチルスズジアセテート、ジルコニウム化合物、例えば2-エチル-1-ヘキサン酸ジルコニウム(IV)、ネオデカン酸ジルコニウム(IV)、ナフテン酸ジルコニウム(IV)又はジルコニウム(IV)アセチルアセトナート、アルミニウムトリ(エチルアセトアセテート)、塩化鉄(III)、オクタン酸カリウム、マンガン、コバルト又はニッケル化合物、及び強酸、例えばトリフルオロ酢酸、硫酸、塩化水素、臭化水素、リン酸又は過塩素酸、若しくはこれら触媒の混合物である。
【0073】
好ましくはないが本発明の方法で使用できる触媒は、アロファネート化反応に加えてイソシアネート基を三量化してイソシアヌレート構造を形成する反応を触媒するような化合物である。そのような触媒は、EP-A-0 649 866(4頁7行〜5頁15行)に記載されている。
【0074】
本発明の方法に好ましい触媒は、上記種類の亜鉛及び/又はジルコニウム化合物である。n-オクタン酸亜鉛(II)、2-エチル-1-ヘキサン酸亜鉛(II)及び/又はステアリン酸亜鉛(II)、n-オクタン酸ジルコニウム(IV)、2-エチル-1-ヘキサン酸ジルコニウム(IV)及び/又はネオデカン酸ジルコニウム(IV)が最も好ましい。
【0075】
本発明の方法において、触媒は、反応成分A)、B)及びC)の合計質量に対して、0.001〜5質量%、好ましくは0.005〜1質量%の量で使用され、反応開始の前又は反応中の任意の時点で添加することができる。
【0076】
本発明の方法は、好ましくは溶媒を使用せずに実施される。しかし、場合により、出発成分の反応性基に対して不活性である適当な溶媒を使用することができる。適当な溶媒は、既知の通常の塗料用溶媒であり、例えば、酢酸エチル、酢酸ブチル、エチレングリコールモノメチル又はエチルエーテルアセテート、1-メトキシプロピル-2-アセテート、3-メトキシ-n-ブチルアセテート、アセトン、2-ブタノン、4-メチル-2-ペンタノン、シクロヘキサノン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、揮発油、より高度に置換された芳香族化合物(例えば、ソルベントナフサ、SolvessoTM、IsoparTM、NapparTM (Deutsche EXXON CHEMICAL GmbH、ドイツ、ケルン) 及びShellsolTM (Deutsche Shell Chemie GmbH, ドイツ、エシュボーン) の商品名で販売されている化合物)、更に、プロピレングリコールジアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールエチル及びブチルエーテルアセテート、N-メチルピロリドン及びN-メチルカプロラクタムのような溶媒、若しくはこれら溶媒の混合物である。
【0077】
可能な態様において、本発明の方法では、出発ジイソシアネートC)又は出発ジイソシアネートの混合物は、まず、場合により不活性ガス(例えば、窒素)中、場合により上記のような適当な溶媒の存在下、20〜100℃の温度に保持される。次いで、ヒドロキシ官能性出発化合物A)及びB)が、上記の量で、任意の順序で又は混合物として添加され、ウレタン化の反応温度は、所望により、適当な手段(加熱又は冷却)により、30〜120℃、好ましくは50〜100℃に調節される。ウレタン化反応に続いて、すなわち、理論的にイソシアネート及びヒドロキシル基の完全な転化に対応するNCO含量に到達した時点で、触媒を添加せず、例えば反応混合物を140〜200℃の温度に加熱することにより、アロファネート化を開始することができる。しかし、好ましくは、アロファネート化反応を促進するために、上記のような適当な触媒を使用する。その場合、温度は、使用する触媒の種類及び量に依存して、60〜140℃、好ましくは80〜120℃が適している。
【0078】
本発明の方法の別の可能な態様において、所望により使用される触媒は、シラン成分A)、ヒドロキシ官能性成分B)及び/又はジイソシアネート成分C)のいずれかに、実際の反応が開始される前に添加される。この場合、中間体として形成されるウレタン基及びヒドロキシウレタンA)を使用した場合には予め含まれているウレタン基が、自然に更に反応して、所望のアロファネート構造を形成する。この種の一段反応では、場合により触媒を含んでいる出発ジイソシアネートC)が、場合により不活性ガス(例えば、窒素)中、場合により上記のような適当な溶媒の存在下、通例60〜140℃、好ましくは80〜120℃の温度範囲のアロファネート化に最適な温度に調節され、場合により触媒を含んでいるヒドロキシ官能性成分A)及びB)と反応される。
【0079】
しかしながら、ウレタン化反応中の任意の時点で、反応混合物に触媒を加えることも可能である。本発明の方法のこの態様では、温度は、触媒の添加前に起こる純粋なウレタン化反応の為に、通例30〜120℃、好ましくは50〜100℃に設定される。適当な触媒を添加した後、アロファネート化反応は、60〜140℃、好ましくは80〜120℃の温度において、実施される。
【0080】
本発明の方法では、反応の進行は、例えばNCO含量を滴定により測定することにより、追跡することができる。反応の停止は、所望のNCO含量に到達した後、好ましくは反応混合物のアロファネート化の程度(すなわち、成分A)及びB)のヒドロキシル基から中間体として形成されるウレタン基及びヒドロキシウレタンA)を使用した場合には予め含まれているウレタン基のアロファネート基に転化された割合、NCO含量から計算可能)が少なくとも80%、特に好ましくは少なくとも90%に達した時点で、最も好ましくは完全なアロファネート化の後に、行う。純粋な熱反応制御では、反応の停止は、例えば反応混合物を室温まで冷却することにより、行うことができる。上記のアロファネート化触媒を好ましく使用した場合、一般に、反応は、適当な触媒毒(例えば、リン酸のような酸、若しくは塩化ベンゾイル又は二塩化イソフタロイルのような酸塩化物)を添加することにより停止することができる。
【0081】
次いで、好ましくは、反応混合物から揮発性成分(過剰のモノマージイソシアネート、出発化合物A)の製造時に場合により過剰に使用された環状カーボネート又はラクトン、場合により使用された溶媒、及び触媒毒を使用しなかった場合に残存する活性な触媒)を、高減圧下、例えば10mbar未満、好ましくは0.5mbar未満、特に好ましくは0.2mbar未満の圧力下、できるだけ穏和な条件、例えば100〜200℃、好ましくは120〜180℃の温度で、膜蒸留により除去する。
【0082】
蓄積された蒸留物は、未反応モノマー出発ジイソシアネートに加え、場合により過剰に使用された環状カーボネート又はラクトン、場合により使用された溶媒、触媒毒を使用しなかった場合に残存する活性な触媒を含むが、再度オリゴマー化に問題なく使用することができる。
【0083】
本発明の方法の更なる態様では、上記の揮発性成分は、オリゴマー化生成物から、イソシアネート基に対して不活性である適当な溶媒、例えば脂肪族又は脂環式炭化水素(例えば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、シクロペンタン又はシクロヘキサン)を用いた抽出により、分離することができる。
【0084】
処理の種類に関係なく、本発明の方法の生成物として、透明で実質的に無色のポリイソシアネートが得られる。このポリイソシアネートは、200APHA未満、好ましくは100APHA未満、特に好ましくは80APHA未満の明度、2.4〜6.0、好ましくは2.6〜5.0、特に好ましくは3.2〜4.8の平均NCO官能価、6.0〜21.0質量%、好ましくは10.0〜19.0質量%、特に好ましくは12.0〜18.0質量%のNCO含量を有する。
【0085】
本発明のアロファネートポリイソシアネートは、イソシアネート重付加法によるポリウレタンプラスチックの製造の為の重要な出発物質である。
【0086】
本発明のアロファネートポリイソシアネートは、その比較的低い粘度の故に、溶媒なしでも使用できるが、必要であれば、一般的な溶媒(例えば、本発明の方法において任意に使用するために記載した不活性塗料用溶媒)により、濁りを生じることなく希釈することができる。
【0087】
本発明により得ることができるシラン変性アロファネートポリイソシアネートは、ポリイソシアネートに対する反応成分であるポリヒドロキシ化合物として常套のポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール及び/又はポリアクリレートポリオールを含んでいる2液型ポリウレタン塗料の硬化剤として、非常に適している。本発明の方法の生成物にとって特に好ましいヒドロキシ官能性反応成分は、ヒドロキシル基を有するポリアクリレート、すなわち、(メタ)アクリル酸アルキルエステルと所望により使用されるスチレン又は他の共重合性オレフィン系不飽和モノマーとのポリマー又はコポリマーである。
【0088】
また、本発明の方法の生成物は、アミノ官能性バインダーの硬化剤成分として、特に、ポリアスパラギン酸エステルに基づく高固形分2液型塗料(例えば、未公開ドイツ特許出願102009016173,2に記載されているような塗料)における架橋剤として、最も適している。
【0089】
アミノ基がブロックされているポリアミン、例えばポリケチミン、ポリアルジミン又はオキサゾロンも、本発明の方法の生成物に対する適当な反応成分である。湿気の影響下、これらブロックトポリアミンは、遊離アミノ基を再形成し、オキサゾロンの場合は遊離ヒドロキシル基も形成し、それらがイソシアネート基との架橋に使用される。
【0090】
本発明のシラン基含有ポリイソシアネートを使用して形成したコーティングは、金属表面に対して格別に優れた接着性を有しており、従って、下地処理をしていない材料に直接塗布することができる。EP-A 2 014 692 のアロファネートポリイソシアネートに比べ、本発明のポリイソシアネートは、特に低官能性の反応成分、例えばEP-B 0 403 921 から知られている種類の二官能性ポリアスパラギン酸エステルと組み合わせた場合にも、非常に改良された乾燥特性を発揮する。
【0091】
塗料分野で通常使用される助剤及び添加剤(例えば、流れ制御剤、着色用顔料、充填剤又は艶消し剤)を所望により添加することができる本発明のシラン変性アロファネートポリイソシアネートを用いて調製した塗料は、一般に、室温で乾燥された場合にも、優れた塗料特性を有する。もちろん、塗料を、高温での強制条件下で乾燥することもでき、又は260℃までの温度で焼き付けることにより乾燥することもできる。
【0092】
硬化速度を制御するために、塗料組成物に適当な触媒を配合することができる。触媒の例は、イソシアネート化学において通常使用される触媒、例えば第3級アミン(例えば、トリエチルアミン、ピリジン、メチルピリジン、ベンジルジメチルアミン、N,N-エンドエチレンピペラジン、N-メチルピペリジン、ペンタメチルジエチレントリアミン、N,N-ジメチルアミノシクロヘキサン、N,N'-ジメチルピペラジン)、又は金属塩(例えば、塩化鉄(III)、塩化亜鉛、亜鉛-2-エチルカプロエート、オクタン酸スズ(II)、スズ(II)エチルカプロエート、ジブチルスズ(IV)ジラウレート、ビスマス(III)-2-エチルヘキサノエート、ビスマス(III)オクトエート又はモリブデングリコラート)である。加えて、アルコキシシラン基の加水分解及び縮合を促進し、あるいは、それとバインダーとして使用されたポリオール成分のヒドロキシル基との反応を加速する触媒を配合することもできる。上記のイソシアネート触媒に加えて、例えば、p-トルエンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、酢酸、トリフルオロ酢酸及びリン酸ジブチルのような酸、1,5-ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ-5-エン(DBN)及び1,5-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン(DBU)などのN-置換アミジンのような塩基、更にテトライソプロピルチタネート、テトラブチルチタネート、チタン(IV)アセチルアセトナート、アルミニウムアセチルアセトナート、アルミニウムトリルレート又はスズトリフレートのような金属塩又は有機金属化合物を使用することもできる。
【0093】
本発明のシラン変性アロファネートポリイソシアネートは、ポリウレタン化学から自体既知のブロック剤によりブロックされた形態で、上記塗料バインダー又は一液型PU焼付け系の意味での塗料バインダー成分と組み合わせて、使用することもできる。適当なブロック剤の例は、マロン酸ジエチル、アセト酢酸エステル、活性化環状ケトン(例えば、シクロヘキサノン-2-カルボキシメチルエステル及び-カルボキシエチルエステル)、アセトンオキシム、ブタノンオキシム、ε-カプロラクタム、3,5-ジメチルピラゾール、1,2,4-トリアゾール、ジメチル-1,2,4-トリアゾール、イミダゾール、ベンジルtert-ブチルアミン又はこれらブロック剤の混合物である。
【0094】
従って、本発明は、ポリウレタン化学から既知のブロック剤によりブロックされたポリイソシアネートの製造のための本発明のアロファネート基含有ポリイソシアネートの使用、及び得られるブロックトポリイソシアネート自体を提供する。
【0095】
本発明のシラン変性アロファネートポリイソシアネートは、2液型ポリウレタン系の製造において、水に溶解又は分散された、イソシアネート基反応性基、特にアルコール性ヒドロキシル基を有するバインダー又はバインダー成分の架橋剤成分としても適している。本発明のシラン変性アロファネートポリイソシアネートは、その低い粘度の故に、そのままで、すなわち疎水性形のままで、又は既知の方法により、例えばEP-B 0 540 985、EP-B 0 959 087 又はEP-B 1 287 052 に従って変性された親水性形で使用することができる。
【0096】
本発明のシラン変性アロファネートポリイソシアネートを用いて調製した塗料組成物に、反応成分として、他の加水分解性シラン化合物(例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、イソブチルトリエトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、(3-グリシジルオキシプロピル)メチルジエトキシシラン、(3-グリシジルオキシプロピル)トリメトキシシラン、フェニルリメトキシシラン又はフェニルトリエトキシシラン、若しくはこれらシラン化合物の混合物)を、所望により添加することができる。
【0097】
全ての塗料組成物において、本発明の方法の生成物及びその反応成分は、場合によりブロックされた各イソシアネート基に対して0.5〜3個、好ましくは0.6〜2.0個、特に好ましくは0.8〜1.6個の場合によりブロックされたイソシアネート反応性基が配分されるような量で、存在する。
【0098】
しかし、本発明のシラン変性アロファネートポリイソシアネートは、非常に特定の性質を改良するため、例えば接着性を改良するための添加剤として、非官能性塗料バインダーに、少量添加することもできる。
【0099】
本発明のシラン変性アロファネートポリイソシアネートを用いて調製したコーティングの為の基材としては、あらゆる基材が適している。基材の例は、金属、木材、ガラス、石材、セラミック材料、コンクリート、硬質又は軟質プラスチック、繊維製品、皮革及び紙である。また、多くの基材に対する本発明のシラン変性アロファネートポリイソシアネートの優れた直接接着性にもかかわらず、塗装に先立って、これら基材を通常のプライマーで処理しておくこともできる。
【0100】
従って、本発明は、本発明のアロファネート基含有ポリイソシアネートを含む塗料及びそのような塗料で塗装された基材をも提供する。
【0101】
先に記載した全ての文献は、全ての有用な目的のために、それらの全体が参照して本明細書に組み込まれる。
【0102】
本発明を含んでいるある特定の構成を示し、記載したが、本発明の思想及び観念から逸脱することなく、それらの種々の変形及び再配列が行えることや、本発明が記載された特定の態様に限定されることがないことは、当業者には明らかであろう。
【実施例】
【0103】
以下において、特に記載がないかぎり、全てのパーセントは質量パーセントである。
NCO含量は、DIN EN ISO 11909 に従って測定した。
全ての粘度測定は、DIN EN ISO 3219 に従い、Physica MCR 51 レオメータ(Anton Paar Germany GmbH(オストフィルデルン)製)を用いて行った。
ハーゼン明度は、LICO 400 色測定装置(Hach Lange GmbH(デュッセルドルフ)製)を用いて測定した。
【0104】
出発化合物A)の場合に示されたOH価は、理想構造(1:1付加物)の理論的に得られた分子量から計算した。
【0105】
出発化合物A)の製造:
シラン基含有ヒドロキシウレタンA1)
221g(1.0モル)の3-アミノプロピルトリエトキシシランを、窒素中で室温に設定し、88g(1.0モル)のエチレンカーボネートを、攪拌しながら15分で添加した。その間、混合物は、反応熱によりまず34℃に加熱された。次いで、混合物を、更に加熱することなく室温で、18時間攪拌した。1N塩酸によるアミン滴定によれば、転化率は99%であった。
【0106】
2-ヒドロキシエチル[3-(トリエトキシシリル)プロピル]ウレタンを無色液体として得た。
粘度(23℃):69mPas
OH価(計算値):181mgKOH/g
分子量(計算値):309g/mol
【0107】
シラン基含有ヒドロキシウレタンA2)
出発化合物A1)について記載した方法により、179g(1.0モル)の3-アミノプロピルトリメトキシシラン及び88g(1.0モル)のエチレンカーボネートを反応させた。18時間後の転化率(1N塩酸によるアミン滴定)は、99.6%であった。
【0108】
2-ヒドロキシエチル[3-(トリメトキシシリル)プロピル]ウレタンを無色液体として得た。
粘度(23℃):245mPas
OH価(計算値):210mgKOH/g
分子量(計算値):267g/mol
【0109】
シラン基含有ヒドロキシウレタンA3)
出発化合物A1)について記載した方法により、221g(1.0モル)の3-アミノプロピルトリエトキシシラン及び102g(1.0モル)のプロピレンカーボネートを反応させた。18時間後の転化率(1N塩酸によるアミン滴定)は、99.9%であった。
【0110】
2-ヒドロキシプロピル[3-(トリエトキシシリル)プロピル]ウレタンと2-ヒドロキシ-1-メチルエチル[3-(トリエトキシシリル)プロピル]ウレタンの混合物を無色液体として得た。
粘度(23℃):86mPas
OH価(計算値):173mgKOH/g
分子量(計算値):323g/mol
【0111】
シラン基含有ヒドロキシウレタンA4)
出発化合物A1)について記載した方法により、221g(1.0モル)の3-アミノプロピルトリエトキシシラン及び86g(1.0モル)のγ-ブチロラクトンを反応させた。18時間後の転化率(1N塩酸によるアミン滴定)は、99.4%であった。
【0112】
4-ヒドロキシ-N-[3-(トリエトキシシリル)プロピル]ブタナミドを無色液体として得た。
粘度(23℃):326mPas
OH価(計算値):199mgKOH/g
分子量(計算値):281g/mol
【0113】
実施例1(本発明)
216.3g(0.7モル)のシラン基含有ヒドロキシウレタンA1)及び18.6g(0.3モル)の1,2-エタンジオール(ヒドロキシウレタンA1)の量に対して8.6質量%に相当)を、乾燥窒素雰囲気中、80℃で、2520.0g(15.0モル)のヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)に添加し、43.8%のNCO含量(完全なウレタン化に相当)に達するまで、3時間攪拌した。次いで、反応混合物を95℃に加熱し、アロファネート化触媒として0.5gの2-エチル-1-ヘキサン酸亜鉛(II)を加えた。反応の開始は発熱であるので、混合物の温度は110℃に上昇した。約30分後、反応混合物のNCO含量は、40.7%であった。触媒は、1gの塩化ベンゾイルを加えて不活性化し、未反応のモノマーHDIを、130℃の温度及び0.1mbarの圧力での薄膜蒸留により分離して、697gの実質的に無色で透明なアロファネートポリイソシアネートを得た。この生成物は、以下の性質を有していた。
NCO含量:16.2%
モノマーHDI:0.04%
粘度(23℃):1180mPas.
明度(APHA):20Hazen
NCO官能価:>3.3(計算値)
シラン基含量:8.1%(SiO3(分子量=76g/モル)として計算)
【0114】
実施例2(本発明)
実施例1に記載の方法により、1680.0g(10.0モル)のHDIを、247.2g(0.8モル)のシラン基含有ヒドロキシウレタンA1)及び15.2g(0.2モル)の1,3-プロパンジオール(ヒドロキシウレタンA1)に対して6.1質量%に相当)と反応させた。アロファネート化反応は、0.5gの2-エチル-1-ヘキサン酸亜鉛(II)の添加により、40.7%のNCO含量で開始した。36.3%のNCO含量に達した後、反応を、1gの塩化ベンゾイルにより停止し、実施例1に記載したように処理して、673gの実質的に無色で透明なアロファネートポリイソシアネートを得た。この生成物は、以下の性質を有していた。
NCO含量:14.9%
モノマーHDI:0.07%
粘度(23℃):1550mPas.
明度(APHA):21Hazen
NCO官能価:>3.2(計算値)
シラン基含量:8.7%(SiO3(分子量=76g/モル)として計算)
【0115】
実施例3(本発明)
実施例1に記載の方法により、2520.0g(15.0モル)のHDIを、200.9g(0.65モル)のシラン基含有ヒドロキシウレタンA1)及び31.5g(0.35モル)の1,3-ブタンジオール(ヒドロキシウレタンA1)に対して15.7質量%に相当)と反応させた。アロファネート化反応は、0.5gの2-エチル-1-ヘキサン酸亜鉛(II)の添加により、43.7%のNCO含量で開始した。40.7%のNCO含量に達した後、反応を、1gの塩化ベンゾイルにより停止し、実施例1に記載したように処理して、631gの実質的に無色で透明なアロファネートポリイソシアネートを得た。この生成物は、以下の性質を有していた。
NCO含量:16.1%
モノマーHDI:0.08%
粘度(23℃):1250mPas.
明度(APHA):19Hazen
NCO官能価:>3.4(計算値)
シラン基含量:6.9%(SiO3(分子量=76g/モル)として計算)
【0116】
実施例4(本発明)
実施例1に記載の方法により、2520.0g(15.0モル)のHDIを、278.1g(0.9モル)のシラン基含有ヒドロキシウレタンA1)及び13.4g(0.1モル)のトリメチロールプロパン(ヒドロキシウレタンA1)に対して4.8質量%に相当)と反応させた。アロファネート化反応は、0.5gの2-エチル-1-ヘキサン酸亜鉛(II)の添加により、43.0%のNCO含量で開始した。39.9%のNCO含量に達した後、反応を、1gの塩化ベンゾイルにより停止し、実施例1に記載したように処理して、662gの実質的に無色で透明なアロファネートポリイソシアネートを得た。この生成物は、以下の性質を有していた。
NCO含量:13.8%
モノマーHDI:0.06%
粘度(23℃):1280mPas.
明度(APHA):22Hazen
NCO官能価:>3.3(計算値)
シラン基含量:9.5%(SiO3(分子量=76g/モル)として計算)
【0117】
実施例5(本発明)
実施例1に記載の方法により、2520.0g(15.0モル)のHDIを、186.9g(0.7モル)のシラン基含有ヒドロキシウレタンA2)及び27.0g(0.3モル)の1,3-ブタンジオール(ヒドロキシウレタンA2)に対して14.4質量%に相当)と反応させた。アロファネート化反応は、0.5gの2-エチル-1-ヘキサン酸亜鉛(II)の添加により、44.1%のNCO含量で開始した。41.0%のNCO含量に達した後、反応を、1gの塩化ベンゾイルにより停止し、実施例1に記載したように処理して、667gの実質的に無色で透明なアロファネートポリイソシアネートを得た。この生成物は、以下の性質を有していた。
NCO含量:16.2%
モノマーHDI:0.06%
粘度(23℃):1660mPas.
明度(APHA):22Hazen
NCO官能価:>3.3(計算値)
シラン基含量:8.0%(SiO3(分子量=76g/モル)として計算)
【0118】
実施例6(本発明)
実施例1に記載の方法により、2520.0g(15.0モル)のHDIを、226.1g(0.7モル)のシラン基含有ヒドロキシウレタンA3)及び27.0g(0.3モル)の1,3-ブタンジオール(ヒドロキシウレタンA3)に対して11.9質量%に相当)と反応させた。アロファネート化反応は、0.5gの2-エチル-1-ヘキサン酸亜鉛(II)の添加により、43.5%のNCO含量で開始した。40.4%のNCO含量に達した後、反応を、1gの塩化ベンゾイルにより停止し、実施例1に記載したように処理して、718gの実質的に無色で透明なアロファネートポリイソシアネートを得た。この生成物は、以下の性質を有していた。
NCO含量:15.5%
モノマーHDI:0.06%
粘度(23℃):1270mPas.
明度(APHA):23Hazen
NCO官能価:>3.3(計算値)
シラン基含量:7.4%(SiO3(分子量=76g/モル)として計算)
【0119】
実施例7(本発明)
実施例1に記載の方法により、2520.0g(15.0モル)のHDIを、278.1g(0.9モル)のシラン基含有ヒドロキシウレタンA1)及び64.0g(0.1モル)の直鎖ポリカプロラクトンポリエステル(OH価175mgKOH/g)(ヒドロキシウレタンA1)に対して35.9質量%に相当)と反応させた。アロファネート化反応は、0.5gの2-エチル-1-ヘキサン酸亜鉛(II)の添加により、42.4%のNCO含量で開始した。39.5%のNCO含量に達した後、反応を、1gの塩化ベンゾイルにより停止し、実施例1に記載したように処理して、740gの実質的に無色で透明なアロファネートポリイソシアネートを得た。この生成物は、以下の性質を有していた。
NCO含量:13.8%
モノマーHDI:0.04%
粘度(23℃):1000mPas.
明度(APHA):20Hazen
NCO官能価:>3.1(計算値)
シラン基含量:9.2%(SiO3(分子量=76g/モル)として計算)
【0120】
実施例8(比較例:EP-A 2 014 692 による)
実施例1に記載の方法により、1680g(10.0モル)のHDIを、309g(1.0モル)のシラン基含有ヒドロキシウレタンA1)と反応させた。アロファネート化反応は、0.5gの2-エチル-1-ヘキサン酸亜鉛(II)の添加により、40.1%のNCO含量で開始した。35.9%のNCO含量に達した後、反応を、1gの塩化ベンゾイルにより停止し、実施例1に記載したように処理して、789gの実質的に無色で透明なアロファネートポリイソシアネートを得た。この生成物は、以下の性質を有していた。
NCO含量:13.7%
モノマーHDI:0.03%
粘度(23℃):1270mPas.
明度(APHA):21Hazen
NCO官能価:>3(計算値)
シラン基含量:9.6%(SiO3(分子量=76g/モル)として計算)
【0121】
実施例9(比較例:EP-A 2 014 692 による)
実施例1に記載の方法により、1680g(10.0モル)のHDIを、267g(1.0モル)のシラン基含有ヒドロキシウレタンA2)と反応させた。アロファネート化反応は、0.5gの2-エチル-1-ヘキサン酸亜鉛(II)の添加により、41.0%のNCO含量で開始した。36.7%のNCO含量に達した後、反応を、1gの塩化ベンゾイルにより停止し、実施例1に記載したように処理して、690gの実質的に無色で透明なアロファネートポリイソシアネートを得た。この生成物は、以下の性質を有していた。
NCO含量:14.2%
モノマーHDI:0.06%
粘度(23℃):3050mPas.
明度(APHA):19Hazen
NCO官能価:>3(計算値)
シラン基含量:11.0%(SiO3(分子量=76g/モル)として計算)
【0122】
実施例10及び11(本発明及び比較例)
記載した量の下記の出発物質を、高速ミキサーにより10分間予備分散し、冷却しながらビーズミルにより粉砕して、アミノ官能性バインダー成分を調製した。
Desmophen NH 1520 1) 24.32 質量部
Desmophen VP LS 2142 2) 7.68 質量部
UOP-L 粉末 3) 3.26 質量部
酢酸ブチル 3.34 質量部
Bentone 38, 10% 蒸解 4) 3.76 質量部
DisperbykTM 110 5) 1.04 質量部
BykTM 085 5) 1.14 質量部
Chromium oxide green GNM 6) 8.29 質量部
BayferroxTM 415 6) 1.48 質量部
TronoxTM R-KB-4 7) 11.88 質量部
Barytes EWO 8) 31.58 質量部
Cab-O-SilTM TS 720 9) 1.51 質量部
TinuvinTM 292 10) 0.72 質量部
注:1) ポリアスパラギン酸エステル、二官能性(配送形態 100%、当量:290 g/val NH)、Bayer MaterialScience AG(51368 ドイツ Leverkusen)
2) ブロックト脂環式ジアミン(配送形態 100%、当量:139 g/val NH)、Bayer MaterialScience AG(51368 ドイツ Leverkusen)
3) モレキュラーシーブ、UOP GmbH(51368 ドイツ Leverkusen)
4) 沈降防止剤、Elementis Specialties(9000 ベルギー Gent)
5) 分散助剤/脱気剤、Byk-Chemie GmbH(46483 ドイツ Wesel)
6) 顔料、Lanxess(51369 ドイツ Leverkusen)
7) 顔料、Tronox Pigments GmbH(42789 ドイツ Krefeld)
8) 充填剤、Sachtleben Chemie GmbH(47198 ドイツ、Duisburg)
9) レオロジー添加剤、Cabot GmbH(63457 ドイツ Hanau)
10) 光安定剤、Ciba(スイス、バーゼル)
【0123】
本発明の即用塗料を製造するために、上記バインダー成分に、39.67質量部の本発明のシラン基含有ポリイソシアネート(実施例1)(イソシアネート基対イソシアネート反応性基の当量比1.1:1に相当)を添加し、十分に混合した。
【0124】
比較のため、同じバインダー成分に、46.91質量部のシラン基含有ポリイソシアネート(実施例8)(同じく、イソシアネート基対イソシアネート反応性基の当量比1.1:1に相当)を添加し、十分に混合した。
【0125】
上記のように調製した2種の塗料を、脱脂したアルミニウムシート及び冷間圧延鋼に、無気噴霧装置を用いて、湿潤フィルム厚み約120μmで塗布し、室温(約23℃)及び約50%の相対湿度で硬化した。
【0126】
塗料バッチのポットライフは、両方とも約2時間であった。塗料試験の結果を表1に示す。
【0127】
【表1】

【0128】
上記の比較から、実施例1からの本発明のシラン基含有ポリイソシアネート架橋剤を使用して製造した塗料(実施例10)は、EP-A 2 014 692 に従った実施例8からのシラン基含有ポリイソシアネートにより架橋した塗料に比べ、同等に優れた接着力を有しているにもかかわらず、非常に短い乾燥時間を有していることが示される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
A)アミノシランと環式カーボネート又はラクトンとの反応により得られる、少なくとも1種のシラン基含有ヒドロキシウレタン及び/又はヒドロキシアミド、及び
B)62〜2000g/モルの範囲の分子量を有する少なくとも1種の更なる多価ヒドロキシ官能性成分を、
成分A)及びB)のNCO反応性基に対してモル過剰の量の
C)脂肪族的、脂環式的、芳香脂肪族的及び/又は芳香族的に結合したイソシアネート基を有する少なくとも1種のジイソシアネート
と反応させ、
所望により、続いて、未反応のジイソシアネート過剰分を除去する
ことを含んでなる、アロファネート基含有ポリイソシアネートの製造方法。
【請求項2】
成分A)が、一般式(I):
【化1】

[式中、
、R及びRは、同一又は異なって、18個までの炭素原子を有する飽和又は不飽和、直鎖又は分岐鎖の脂肪族又は脂環式基、若しくは18個までの炭素原子を有する、場合により置換されていてよい芳香族又は芳香脂肪族基(ただし、該18個までの炭素原子を有する飽和又は不飽和、直鎖又は分岐鎖の脂肪族又は脂環式基若しくは該場合により置換されていてよい芳香族又は芳香脂肪族基は、酸素原子、硫黄原子及び窒素原子からなる群から選択される3個までのヘテロ原子を含んでいてよい。)であり、
Xは、場合により2個までのイミノ基(−NH−)を含んでいてよい、少なくとも2個の炭素原子を有する直鎖又は分岐鎖有機基であり、
は、水素、18個までの炭素原子を有する飽和又は不飽和、直鎖又は分岐鎖の脂肪族又は脂環式基、18個までの炭素原子を有する、場合により置換されていてよい芳香族又は芳香脂肪族基、若しくは式:
【化2】

(式中、R、R、R及びXは、上記と同意義である。)
で示される基である。]
で示されるアミノシランと環式カーボネート又はラクトンとの反応生成物である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
成分A)が、一般式(I):
【化3】

[式中、
、R及びRは、同一又は異なって、場合により3個までの酸素原子を含んでいてよい、6個までの炭素原子を有する飽和、直鎖又は分岐鎖の、脂肪族又は脂環式基であり、
Xは、場合により2個までのイミノ基(−NH−)を含んでいてよい、2〜10個の炭素原子を有する直鎖又は分岐鎖アルキレン基であり、
は、水素、6個までの炭素原子を有する飽和、直鎖又は分岐鎖の脂肪族又は脂環式基、又は式:
【化4】

(式中、R、R、R及びXは、上記と同意義である。)
で示される基である。]
で示されるアミノシランと環式カーボネート又はラクトンとの反応生成物である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
成分A)が、一般式(I):
【化5】

[式中、
、R及びRは、それぞれ、6個までの炭素原子を有するアルキル基及び/又は3個までの酸素原子を有するアルコキシ基(ただし、R、R及びRの少なくとも1つはアルコキシ基である。)であり、
Xは、3又は4個の炭素原子を有する直鎖又は分岐鎖アルキレン基であり、
は、水素、メチル基、又は式:
【化6】

(式中、R、R、R及びXは、上記と同意義である。)
で示される基である。]
で示されるアミノシランと環式カーボネート又はラクトンとの反応生成物である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
成分A)が、アミノシランと、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、β-プロピオラクトン、γ-ブチロラクトン、γ-バレロラクトン、γ-カプロラクトン及び/又はε-カプロラクトンとの反応生成物である、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
成分B)が62〜400g/モルの範囲の分子量及び2〜14個の炭素原子を有する多価アルコール並びに/若しくは106〜400g/モルの範囲の分子量を有するエステル及び/又はエーテルアルコールである、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
成分B)が2〜6個の炭素原子を有するジオール及び/又はトリオールである、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
成分B)の合計量が、使用する成分Aの合計量に対して、1〜70重量%の範囲にある、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
成分C)が、脂肪族的及び/又は脂環式的に結合したイソシアネート基を有するジイソシアネートである、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
成分C)が1,6-ジイソシアナトヘキサン、1-イソシアナト-3,3,5-トリメチル-5-イソシアナトメチルシクロヘキサン、2,4'-及び/又は4,4'-ジイソシアナトジシクロヘキシルメタン又はこれらの混合物である、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
該反応をアロファネート基の形成を促進する触媒の存在下に行う、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
該触媒が亜鉛化合物及び/又はジルコニウム化合物である、請求項12に記載の方法。
【請求項13】
請求項1に記載の方法により得られるアロファネート基含有ポリイソシアネート。
【請求項14】
該アロファネート含有ポリイソシアネートがブロック剤によりブロックされている、請求項13に記載のアロファネート基含有ポリイソシアネート。
【請求項15】
請求項13に記載のアロファネート基含有ポリイソシアネートから調製されたポリウレタンプラスチック。
【請求項16】
請求項13に記載のアロファネート基含有ポリイソシアネートを含むコーティング剤。
【請求項17】
請求項16に記載のコーティング剤により被覆された基材。

【公開番号】特開2011−74390(P2011−74390A)
【公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−223672(P2010−223672)
【出願日】平成22年10月1日(2010.10.1)
【出願人】(504037346)バイエル・マテリアルサイエンス・アクチェンゲゼルシャフト (728)
【氏名又は名称原語表記】Bayer MaterialScience AG
【Fターム(参考)】