説明

アンテナ・アダプテーションを用いた無線通信符号化方法および送信システム

【課題】無線通信システムにおいて、通信環境が悪い状態にあるユーザを救済する。
【解決手段】データを非パケット依存(PI)符号化方式で符号化し、パケットの一部を無指向性送信する一方、通信環境が悪い状態にあるユーザに対しては補完パケットを指向性送信する。PI符号化は、K=N+Aを満たすならば、どのパケットを受信したかに拘わらず、符号化されたパケットのうち受信したK個から元データを復元できる。無指向性アンテナからは、K以上の値であるM個のデータパケットの一部を1または複数のユーザに対して送る。このK個のデータパケットの受信に成功しなかったユーザに対して、R個の補完パケットを送る。この補完パケットの送信は、指向性アンテナによって、K個のデータパケットを受信しなかった特定のユーザに向けて行われる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して無線通信に関し、特に無線通信信号を符号化および送信するシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話のような移動無線通信装置上でのデータサービスに対する消費者の需要が高まりつつある。例えば、映像ストリーミングは、携帯電話向けの楽しくかつ有用な新たなアプリケーションである。映像ストリーミングのアプリケーションのひとつに、映像一斉配信がある。一斉配信とは、あるデータが同時に多くのユーザに配信されることを意味する。例えば、ある映画映像が1つのセルラ基地局から多くの携帯電話ユーザに配信される場合がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、映像ストリーミングのアプリケーションやその他同様のアプリケーションには、従来の音声通話に比べ、必要な帯域幅がはるかに広いという問題がある。広い帯域幅を必要とするため、ネットワーク資源に過大な負荷を与える傾向がある。また、無線リンク状態はユーザ間で異なるため、通信環境の悪いユーザが、同一配信エリア内の他のユーザが受信・復号できた送信データと同じ分量の送信データを受信および復号することができない可能性もある。
【0004】
また、この伝送路状態の悪いユーザを予め把握できる場合とできない場合がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
無線ネットワークにおける、従来型のデータ送信手法に関わる上記の問題を解決するため、データを非パケット依存(PI)符号化方式で符号化し、パケットの一部を無指向性送信する一方、無線リンク状態が悪いユーザに対しては補完パケットを指向性送信する。ここで、PI符号化とは、K=N+Aの場合、どのパケットを受信したかに拘わらず、符号化されたパケットのうち受信したK個から元データを復元できる符号化方式として定義される。尚、Nは元データのパケット数と等しく、AはPI符号化によって必要となる付加パケット数の最小値である。従って、PI符号化はレートレス符号つまりファウンテン符号やリードソロモン符号に適用することができ、これらに関しては、参照により本明細書に援用される米国公開公報第11/125,517号(2005年5月9日出願)に記載がある。
【0006】
無指向性アンテナからは、M=K+L個のデータパケットの一部を1または複数のユーザに対して送ることができる。Lは予想される損失パケットの数である。ユーザがK個のデータパケットを受信すれば、データブロックの受信に成功したことになる。一方、少なくとも一人のユーザがK個未満のデータパケットを受信した場合には、そのユーザはデータブロックの受信に失敗したことになる。そこで、このK個のデータパケットを受信できなかったユーザに対して、R個の補完パケットを送ることができる。このR個の補完パケットの送信は、指向性アンテナによって、K個のデータパケットを受信しなかった特定のユーザに向けて行われる。
【0007】
指向性アンテナを使って補完パケットを送信した場合、無指向性アンテナを使って送信した場合に消費されるシステム資源の量と同程度のシステム資源が消費されないことが考えられる。従って、ユーザ全体に負荷を与えることなく、通信環境の悪いユーザでも元データを再構築するのに十分な数のパケットを受信できる。
【0008】
ユーザまたは場所が予め分かっている場合には、一斉配信されるパケットと同時またはその後に補完パケットを送ってもよい。ユーザまたは場所が予め分かっていない場合には、可能性のある方法が2つある。第1の方法では、一斉配信されたパケットの一部の受信失敗の報告を、少なくとも一人のユーザから受ける(または、全てのパケットの受信成功の報告が、少なくとも一人のユーザから来ない)まで待ってから、通信システムはそのユーザに対する補完パケットの送信を開始する。一方、第2の方法では、通信システムは、一斉配信されるパケットと同じタイムフレームにおいて、セルエリア内全体を一巡する1本以上の指向性ビームを使って、補完データパケットを送信する。
【0009】
この通信環境の悪いユーザや場所に送る補完パケットの数は、通信環境の悪いユーザが一斉配信されたパケットのうちどれだけ受信できるか、または/および受信できると予測されるかに基づいて決めることができる。
【0010】
本発明のその他の態様、効果、新規な特徴については、以下の実施の形態を添付の図面と合わせて検討することにより、明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0011】
本明細書中で教示した本発明の好適な実施形態は、以下の図において、本発明を限定するためではなく例として示される。
【図1】無指向性送信と適応指向性送信を使ってデータ送信を行う無線通信システムを示すブロック図である。
【図2】無指向性送信と回転指向性送信を使ってデータ送信を行う無線通信システムを示すブロック図である。
【図3】無指向性送信と固定指向性送信を使ってデータ送信を行う無線通信システムを示すブロック図である。
【図4】無指向性送信と指向性送信を使ってデータ送信を行う無線通信システムのコールフローを示すコールフロー図である。
【図5】無指向性送信と指向性送信を使ってデータ送信を行う無線通信システムを示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1は、データブロックを無指向性送信および適応指向性送信で送信する無線通信システムを示すブロック図である。アクセスノード制御装置(ANC)15はインターネット(図示せず)および無線通信サービスプロバイダ回線などの専用回線網(図示せず)に接続されている。ANC15はこの専用回線網の一部であってもよい。ANC15はインターネットおよび/または専用回線網からの映像フレームなどのデータブロックを入力部17で受信する。例えば、無線通信サービスプロバイダから映画が一斉配信され、配信された映画映像のフレームが入力部17で受信される。他にも例えば、無線通信サービスプロバイダが映画の予告などの映像素材を一斉配信する場合や、入力部17で受信されるデータがビデオ会議の映像である場合が考えられる。
【0013】
受信されたデータブロックはパケット処理・多重化部(PPM)19に入力される。PPM19は、図5で説明した上述の米国公開公報第11/125517号と同様のものであってよい。また、PPM19は受信したデータブロックを適宜、PI符号化によって符号化する。
【0014】
ANC15はアクセスノード1(AN1)25およびアクセスノード2(AN2)30に接続されている。AN1 25は任意の形式の無指向性無線アクセスノードであってよい。例えば、AN1 25は、TIA/EIA IS−2000および/またはTIA−856(1xEV−DO)として知られる符号分割多重接続(CDMA)規格に準拠するか、またはGSMや広帯域CDMA(W−CDMA)などの無指向性送信が可能でかつ利便性の高い無線通信システムに準拠する基地局(アクセスノード)であればよい。また、将来的には、通信システムは、無指向性から指向性に設定変更可能となる可能性がある。その場合には、無指向性であるべき時にのみ無指向性無線アクセスノードになるよう、AN1 25を設定すればよい。無指向性とは、一領域内の全ての方向をカバーするということを意味する。一般に、セルラ基地局がカバーするエリアは、各局を中心に中心角が120°を成す3つの領域に分割される。よって、実質的には、AN1 25はそのうちの一領域内において送信を行う基地局を指すと言ってもよい。
【0015】
AN2 30は指向性基地局である。例えば、AN2 30は特定の建物32の方向に狭ビームを送信するよう構成されている1以上のアンテナを備える基地局であればよい。AN2 30はIEEE802.16(「WiMAX」とも呼ばれる)として知られている規格に準拠していればよい。WiMAXという規格は、見通しのきく地点間の固定無線通信に有効と考えられている。従って、建物32などの建物に対する無線データスループット向上のために、WiMAXを採用するとよい。
【0016】
無指向性送信に関しては、全方向に対して完全に一様な送信電力が理想的なケースであるが、このケースと多少異なった形態も無指向性の定義に含まれることを理解されたい。また、本明細書中において、「指向性」は「無指向性」以外のすべての指向性を包含する。一本の狭ビームが送信機から受信機に向けられた形態が、理想的な指向性送信であるが、様々な形状および本数のビームを指向性送信とみなすことができる。
【0017】
PPM19はデータブロックをPI符号化法によって符号化する。データブロックがPI符号化法によって符号化されるため、少なくともK個の符号化パケットが受信されれば、それがどのパケットであるかは重要でない。さらに、複数のパケットが同一送信機から送信されたか否か、さらには同一のネットワークを介して送信されたか否かも重要でない。これによる利点は、AN1 25およびAN2 30から受信したパケットの復号/復調が可能な、無線端末などの受信機であれば、その無線端末はAN1 25から一部、AN2 30から一部という形でパケットを受信できるということである。この場合、無線端末はAN1 25から受信したパケットとAN2 30から受信したパケットを合成して元のデータブロックを再構築できる。従って、例えば建物32内の無線端末が、元のデータブロックの第1部分を構成するパケットの一部をAN1 25経由で、第2部分を構成するパケットの一部をAN2 30経由でデータを受信することもできる。そして、この無線端末は受信したこの第1および第2部分のパケットを合成し、元のデータブロックを再構築できる。
【0018】
例えば、PI符号化データパケットの第1部分は、AN1 25経由で一斉配信されてもよい。その場合、このPI符号化データパケットの第1部分に含まれるPI符号化データパケットの数は、その全部またはほぼ全部(例えば98%)を受信したユーザが元のデータブロックを再構築できる数であればよい。また例えば、AN1 25はIS−2000に準拠したアクセスノードであればよい。ここで、ユーザの一部が、元のデータブロックを再構築できるだけのパケット数を受信・復号することができない場合が考えられる。
【0019】
例えば、信号の減衰や建物32内がマルチパス環境となっているために、建物32内の受信機における受信状態が劣化していることが考えられる。建物32には、アンテナ34として図示されているWiMAX受信機が設置されていてよい。この場合、AN2 30はWiMAX基地局であってよく、パケットは、このAN2 30に接続されている指向性アンテナ36を経由して、AN2 30からWiMAX受信機34に送信されることが可能である。WiMAX受信機34が受信したパケットは、例えばWi−Fiとして知られているIEEE802.11などの無線LAN(WLAN)(図示せず)で建物32内に再送できる。そして、建物32内のある特定の受信機は、一部のパケットについてはAN1 25から直接、一部のパケットについてはAN2 30からアンテナ34を経由し、建物32内のWLAN(図示せず)での再送を経て受信できる。
【0020】
あるいは、図2に示すように、固定指向性アンテナ36の代わりに適応指向性アンテナで補完パケットを送信することもできる。図2に示したシステムは、ANC15が適応指向性AN 3(AN3)40に接続されている点を除いて、図1に示したシステムと同様である。AN3 40は適応指向性アンテナまたはアンテナアレイ42を有する。適応指向性アンテナに関しては、米国特許第6,865,377号(2005年3月8日発行)、同6,828,923号(2004年12月7日発行)、同6,888,505号(2005年3月3日発行)に記載があり、これらは参照により本明細書に援用される。
適応指向性アンテナアレイ42は信号ビーム44の送信および送信方向の操作のために用いられ、信号ビーム44は移動無線通信装置(移動局(MS)とも呼ばれる)46の動きを追って送信される。これにより、MS46は、無指向性のAN1 25から一部のパケット、適応指向性のAN3 40から一部のパケットというように、データを受信できる。MS46は、AN1 25またはAN3 40から受信したパケットを基に元のデータブロックを再構築できる。
【0021】
また、図3に示すように、ANC15はAN 4(AN4)50に接続されていてもよい。AN4 50は回転指向性パターン53で補完パケットを送信するために用いられる。すなわち、AN4 50は指向性アンテナ56を備えるが、既知のMS46の方向に送信を行うのではなく、自身を中心にビーム53を回転させることにより、事実上全方向に対して補完パケットを送信するものである。1つの態様として、ビーム53は、矢印59に示すようにAN4 50を中心に方位角方向に回転する。
【0022】
図1〜図3はそれぞれ個別の図として示されているが、実際には、同一のシステムを、図1〜図3に示す3つの方法のいずれを使っても動作させることができる。すなわち、実際にはAN2 30、AN3 40およびAN4 50は同一のANであってよい。つまり、1つのANを使って、図1に示す固定指向性送信、図2に示す適応指向性送信、図3に示す回転指向性送信のいずれの方法でも送信を行うことができる。AN2 30,AN3 40およびAN4 50はAN1 25とまとめることができる。
【0023】
図4は、データブロックが無指向性送信と指向性送信の両方を使って送信される無線通信システムのコールフローを示すコールフロー図である。尚、このコールフロー図は、図1〜図3で説明したシステムまたは方法の各々に適用できる。図4にはMS46,AN1 25,ANC15およびAN2 30の4つの構成要素が示されている。上述した通り、AN3 40およびAN4 50は、図4のAN2 30と置き換え可能である。(後述する図5においても同様)。コールフローは、ANC15が信号65を送信することから始まる。この時、ANC15は、PI符号化データパケットの第1部分を無指向性送信するために、信号65としてまずAN1 25に送る。ここでの無指向性送信とは、一斉配信と個別配信のいずれであってもよい。これを受け、AN1 25は、PI符号化データパケットの第1部分を、通信70において、無指向性送信によってMS46に送る。
【0024】
MS46が元のデータブロックを再構築するのに十分なパケット数の受信・符号化に成功した場合、MS46は、信号75において、AN1 25に対し、該通信システムが確認応答(ACK)システムであるか否定応答(NACK)システムに応じて、ACKメッセージを送る、またはNACKメッセージを送らない。この場合には、MS46はPI符号化パケットの第2部分を全く受信する必要がない。尚、実際には、信号75において何の信号も送られない場合があるが、ACKが送られない場合には、十分なパケット数を受信・符号化できなかったものと解釈される。
【0025】
MS46が元のデータブロックを再構築するのに十分なパケット数を受信・符号化できなかった場合には、MS46は、信号75において、AN1 25に対し、ACKを送らない(これは該通信システムがACKシステムの場合であり、該通信システムがNACKシステムならばNACKを送る)。この場合、MS46が元のデータブロックを再構築するためには、さらにパケット(つまり第2部分の少なくとも一部)を必要とする。尚、ここでも実際には、信号75において何の信号も送られない場合があるが、NACKが送られない場合には、十分なパケット数を受信・符号化できたものと解釈される。
【0026】
ここで、信号75において、ACKが送られなかったか、NACKが送られたかのいずれかの場合、AN1 25は、信号80において、ANC15に対し、NACKを転送するか、ACKを送らないかのいずれかを行う。これにより、ANC15には、MS46が十分な数のPI符号化パケットを受信・符号化できなかったことが通知される。この情報に応じて、ANC15は、PI符号化パケットの第2部分をMS46に指向性送信するために、信号85においてAN2 30に送る。これを受け、AN2 30は、PI符号化データパケットの第2部分を、信号90において指向性送信によってMS46に送る。既に述べた通り、信号90の指向性送信は、図1〜図3に示された方式の少なくともいずれか1つを用いて行うことができる。
【0027】
尚、ここまで、ACKメッセージまたはNACKメッセージを用いた通信システムについて説明してきたが、ここに説明された考え方は、ACKメッセージまたはNACKメッセージを用いない通信システムにも適用できる。ACKやNAKCに依らず、通信環境が悪いことが予め確認されている領域に補完的な符号化パケットを送信すれば、ACKまたはNACKを用いない、例えば一斉配信システムのような既存システムに大幅な改修を加えることなく、データブロック復元成功の可能性を高めることができる。一斉配信サービスの中にはACKまたはNACKを備えないものがある。この方法は、サービスエリア内に確認されている既知の通信不可領域への配信を可能にするほか、例えば、試合中などの一時期に利用が集中することが予め分かっている球場などの競技場のような、一定の時期に通信容量を高める必要のある場所のニーズに応えることができる。
【0028】
図5は、無指向性送信と指向性送信の両方を使ってデータブロックの送信を行う無線通信システムを示すブロック図である。より詳細には、図5は、ANC15の一態様を取り上げている。ANC15は、入力部17で元のデータブロックを受信する。まず、その元のデータブロックを無指向性送信と指向性送信の両方を使って送信するデータの候補とするか否かが暫定的に決められる。この暫定的な決定は、スケジューラ21が、図示しない他の構成要素やモジュールと連携して行う。このような構成要素やモジュールとしては、例えば、分類器、サービス品質(QoS)モジュール、通信経路状態指標(CIS)モジュールなどがある。QoSモジュール、分類器、CISモジュールに関しては、上述の米国公開公報第11/125,517号に図示および記述されているため、ここではこれ以上の説明を省略する。
【0029】
この決定は、無指向性送信元および指向性送信元(例えば、それぞれAN1 25 およびAN2 30)が現在、MS46への送信に利用できる状態にあるか否かなどに関する入力情報に基づき行われる。スケジューラ21は、元のデータブロックを無指向性送信のみで送ると決定した場合、PI符号化・多重化部108を制御して、元のデータブロックに含まれる全ての符号化パケットがAN1 25を経由するようにする。これにより、AN1 25が全パケットをPI符号化方式で符号化してから送信する。一方、スケジューラ21は、元のデータブロックを無指向性送信と指向性送信の両方を使って送信するデータの候補とすると決定した場合、PI符号化・多重化部108を制御して、符号化パケットがAN1 25とAN2 30を経由するようにする。
【0030】
スケジューラ21はAN1 25経由の送信を行うために、M個のPI符号化パケットの送信のスケジューリングをする。信号65(図4を用いて上述)に示すように、スケジューラ21は、PI符号化・多重化部108を使って、PI符号化パケットの第1部分をAN1 25に送る。ANC15は、信号80において、NACKを受け取るかACKを受け取らないかのいずれかが行われた場合、この信号80はスケジューラ21に転送される。尚、非フィードバックシステムにおいては、信号80は使用されず、この場合、スケジューラ21は、一部のパケットをAN1 25から送り、一部のパケットをAN2 30から送るということを、先験的に決定できる。
【0031】
信号80を受けたスケジューラ21は、AN2 30からMS46に指向性送信で送るべき補完PI符号化データパケットの数Rを決定する。信号85に示すように、スケジューラ21は、PI符号化・多重化部108を使い、R個の補完PI符号化データパケットをAN2 30に送る。尚、既に述べた通り、図5のAN2 30は、AN3 40またはAN4 50であってよい。AN2 25は、信号90に示すように、PI符号化データパケットの第2部分をMS46に送信する。
【0032】
パケット数Rは、MS46から受け取るNACK信号またはACK信号の数から直接推定してもよい。例えば、M個のデータパケットのうち6個に対してMS46がACK信号を送らなかったとすれば、パケット数Rは6または6に比例する数と推定できる。あるいは、パケット数Rを、MS46から受信した信号品質指標に基づいて推定してもよい。例えば、AN1 25とMS46が利用する通信システムがIS−2000システムであり、MS46がAN1 25に対して自局のフレーム誤り率が高いことを示す指標を送った場合、パケット数RはMS46のフレーム誤り率が高いことを考慮した高い値として推定されることになる。フレーム誤り率を基に、補完PI符号化パケットの適正数Rを算出する方法については、周知のことであるため、簡略化のためここでは詳細に述べない。以上述べた方法の利点は、MS46がAN1 25とAN2 30のいずれかからパケットを受信し、そのANから受信したパケットを使って元のデータブロックを再構築できるということである。
【0033】
以上、本発明の実施形態および実施態様について述べたが、さらに多くの実施形態および実施態様が本発明の範囲に含まれることは明らかである。従って、本発明は特許請求の範囲およびそれに相当するものに照らした限定を除き、いかなる限定も受けない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線通信装置からデータブロックを送信する方法であって、
前記データブロックを符号化したパケットのうちK個から前記データブロックが再構築されるように、前記データブロックをK以上の値であるM個の符号化パケットに符号化し、
前記M個の符号化パケットを無指向性送信し、
前記M個の符号化パケットである第1部分と前記データブロックを符号化したR個の補完符号化パケットである第2部分との組み合わせから前記データブロックが再構築されるように、前記データブロックを前記R個の補完符号化パケットに符号化し、
前記R個の補完符号化データパケットを指向性送信すること
を含む方法。
【請求項2】
前記パケット数Rを推定することをさらに含み、
前記パケット数Rは、第2の無線通信装置が前記データブロックを再構築するために必要な前記補完符号化パケットの数を含む請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記推定することは、確認応答メッセージまたは否定応答メッセージに応じて行われる請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記推定することは、確認応答メッセージまたは否定応答メッセージの受信に失敗したことに応じて行われる請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記無指向性送信することは、第1の通信規格に準拠して送信することを含み、
前記指向性送信することは、第2の通信規格に準拠して送信することを含む請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記第1の通信規格は、符号分割多重接続規格を含む請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記第2の通信規格は、IEEE802.16規格(WiMAX)を含む請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記第2の通信規格は、IEEE802.16規格(WiMAX)を含む請求項5に記載の方法。
【請求項9】
前記R個の補完符号化データパケットを指向性送信することは、複数の方向に向けて前記R個の補完符号化データパケットを指向性送信することをさらに含む請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記複数の方向に向けて前記R個の補完符号化データパケットを指向性送信することは、送信点から方位角方向に指向性送信ビームを回転させることをさらに含む請求項9に記載の方法。
【請求項11】
元のデータブロックを符号化して得られる、K以上の値であるM個の非パケット依存パケットのうちK個から前記元のデータブロックが再構築されるように、前記元のデータブロックをM個の非パケット依存パケットに符号化するように構成された非パケット依存符号化部と、
前記非パケット依存符号化部に接続されたスケジューラと
を備える無線アクセスノード制御装置と、
前記スケジューラに接続された無指向性無線アクセスノードと、
前記スケジューラに接続された指向性無線アクセスノードと
を備え、
前記スケジューラは、前記M個の非パケット依存パケットが前記無指向性無線アクセスノードに送られるように構成され、R個の非パケット依存パケットが前記指向性アクセスノードに送られるように構成され、
前記データブロックは、前記M個の符号化パケットの第1部分と前記R個の補完符号化パケットの第2部分との組み合わせから再構築可能である無線通信システム。
【請求項12】
前記無指向性無線アクセスノードは、第1の通信規格に準拠し、
前記指向性無線アクセスノードは、第2の通信規格に準拠する請求項11に記載の無線通信システム。
【請求項13】
前記第1の通信規格は、符号分割多重接続通信規格である請求項12に記載の無線通信システム。
【請求項14】
前記第2の通信規格は、直交周波数分割多重接続規格である請求項12に記載の無線通信システム。
【請求項15】
前記第2の通信規格は、IEEE802.16である請求項12に記載の無線通信システム。
【請求項16】
前記第2の通信規格は、直交周波数分割多重接続規格である請求項12に記載の無線通信システム。
【請求項17】
元のデータブロックを符号化して得られる、K以上の値であるM個の非パケット依存パケットのうちK個から前記元のデータブロックが再構築されるように、前記元のデータブロックをM個の非パケット依存パケットに符号化する符号化手段と、
前記符号化手段に接続されたスケジューリング手段と
を備え、無線アクセスノードを制御する無線アクセスノード制御手段と、
前記スケジューリング手段に接続された無指向性の無線ネットワークアクセス手段と、
前記スケジューリング手段に接続された指向性の無線ネットワークアクセス手段と
を備え、
前記スケジューリング手段は、前記M個の非パケット依存パケットが前記無指向性の無線ネットワークアクセス手段に送られるように構成され、R個の非パケット依存パケットが前記指向性の無線ネットワークアクセス手段に送られるように構成され、
前記データブロックは、前記M個の符号化パケットである第1部分と前記R個の補完符号化パケットである第2部分との組み合わせから再構築可能である無線通信システム。
【請求項18】
前記無指向性の無線ネットワークアクセス手段は、第1の通信規格に準拠し、
前記指向性の無線ネットワークアクセス手段は、第2の通信規格に準拠する請求項17に記載の無線通信システム。
【請求項19】
前記第1の通信規格は、符号分割多重接続通信規格である請求項18に記載の無線通信システム。
【請求項20】
前記第2の通信規格は、直交周波数分割多重接続規格である請求項18に記載の無線通信システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−54954(P2012−54954A)
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−213537(P2011−213537)
【出願日】平成23年9月28日(2011.9.28)
【分割の表示】特願2008−538914(P2008−538914)の分割
【原出願日】平成18年10月20日(2006.10.20)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.GSM
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】