説明

アンテナ内蔵ストラップ

【課題】携帯用電子機器で、テレビジョン放送用電波などの広い周波数帯域の電波を効果的に受信することが可能となるアンテナ内蔵ストラップである。
【解決手段】中空紐の両端付近を結束して環状に形成されているとともに、人体Hの首から懸架可能となるようなストラップ部と、携帯用電子機器との連結部とを有するストラップ本体と、携帯用電子機器の電源19に接続される給電線5aと、携帯用電子機器の接地導体19aに接続される接地線5bとを有し、給電線5aに接続されている給電素子3bと、給電素子3bの長手方向に対して平行に配設されている無給電素子3dと、給電素子3bの長手方向に延びる直線上に配設されているとともに、給電素子3bの長手方向の長さより長く形成されており、かつ接地線5bに接続されている接地素子3cとを、可撓性の誘電基板3a上に有して形成されている外部アンテナ3とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アンテナ内蔵ストラップに係り、特に、無線通信を利用する携帯用電子機器に接続する外部アンテナとして好適に利用可能となるアンテナ内蔵ストラップに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、携帯電話機、PDA(個人用携帯情報端末機)その他の無線通信を利用する携帯用電子機器(以下、単に「携帯用電子機器」という。)において、所望の受信感度と高い携帯性を得るため、イヤホーンやヘッドホーンなどの端末機器類の接地線を利用した外部アンテナが用いられることがある。その一例としては、ダイバーシティアンテナ兼用ヘッドホーン(特許文献1を参照)や、携帯電話機用ストラップ(特許文献2を参照)が挙げられる。
【0003】
ダイバーシティアンテナ兼用ヘッドホーンは、ヘッドホーンのスピーカ部と、スピーカ部に接続される音声信号線や接地線などの信号線を有する接続線と、携帯用電子機器に配設された接続リセプタクル(携帯用電子機器側のコネクタ)と接続線とを接続する接続プラグとを有して形成されている。このダイバーシティアンテナ兼用ヘッドホーンは、スピーカ部に接続された接続線の接地線が所望の電波を受信し、受信電波を当該携帯用電子機器に伝送することが可能となっている(特許文献1を参照)。
【0004】
また、携帯電話機用ストラップは、ループ状紐体と、ループ状紐体の内部に配設された外部アンテナと、外部アンテナに接続された給電線と、携帯用電子機器の接続リセプタクルに接続線を接続する係止突片付の接続プラグとを備えている。この携帯電話機用ストラップは、人体の首から懸架可能な大きさを有するループ状紐体と、ループ状紐体に連結して接続された係止突片付の接続プラグとを有していることから、外部アンテナが所望の電波を受信して受信電波の電気信号を当該携帯用電子機器に伝送するとともに、人体の首からループ状紐体をかけて当該携帯用電子機器を携帯することが可能となっている。(特許文献2を参照)。
【0005】
【特許文献1】特開2003−163529号公報
【特許文献2】特開2001−251407号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、ダイバーシティアンテナ兼用ヘッドホーンは、接続プラグからイヤホーン部までに配設された当該接地線をモノポールアンテナとして単に利用していることから、アンテナの利得を向上させることが困難であった。
【0007】
また、携帯電話機用ストラップは、図21に示すように、たとえループ状紐体102の内部にダイポールアンテナ103を配設させたとしても、ダイバーシティアンテナ兼用ヘッドホーンと同様、アンテナの利得を向上させることが困難であった。これは、携帯電話機用ストラップのループ状紐体102などの細長いものの内部にダイポールアンテナ103を配設する場合、ダイポールアンテナ103と給電線105とを平行に配設して近接させなければならないことが原因となっている。一般的に、図22に示すように、ダイポールアンテナ103は、ダイポールアンテナ103と給電線105とが近接してその電荷容量が変化しないように、ダイポールアンテナ103の長手方向に対して直角をなすように給電線105を配設される必要がある。つまり、ダイポールアンテナ103と給電線105とを近接させてしまうと、ダイポールアンテナ103のインピーダンス特性が変化してしまうことになり、ダイポールアンテナ103の本来の性能を発揮することができなくなってしまう。このことから、図21に示すように、携帯電話機用ストラップのループ状紐体102の内部に外部アンテナを配設する場合、外部アンテナとしてダイポールアンテナ103が配設されたとしても、アンテナの利得を向上させることが困難であった。
【0008】
さらに、ダイバーシティアンテナ兼用ヘッドホーンや携帯用ストラップは、一般的に、信号線のみによって形成されたモノポールアンテナを外部アンテナとして利用していることから、不作為に決定された1つの共振点のみを有することになり、テレビジョン放送用電波などの広い周波数帯域を利用する電波を受信することが困難であった。
【0009】
そこで、本発明はこれらの点に鑑みてなされたものであり、携帯電話機、PDA(個人用携帯情報端末機)その他の無線通信を利用する携帯用電子機器に接続することにより、テレビジョン放送用電波などの広い周波数帯域の電波を効果的に受信することが可能となるアンテナ内蔵ストラップを提供することを本発明の目的としている。
【0010】
また、アンテナ内蔵ストラップの内部構造を簡易なものとし、携帯用電子機器の利便性を向上させることが可能となるアンテナ内蔵ストラップを提供することを他の目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前述した目的を達成するため、本発明のアンテナ内蔵ストラップは、一の態様として、環状に形成されているストラップ部と、無線通信を利用する携帯用電子機器をストラップ部の一部分に連結させる連結部とを有するストラップ本体と、携帯用電子機器の電源に接続される給電線と、携帯用電子機器の接地導体に接続される接地線とを有している接続線と、給電線に接続されている給電素子と、給電素子の長手方向に対して平行に配設されている無給電素子と、給電素子の長手方向の長さより長く形成されているとともに給電素子の長手方向に延びる直線上に配設されており、接地線に接続されている接地素子とを、可撓性の誘電基板上に有して形成されている外部アンテナとを備えていることを特徴としている。
【0012】
これによって、携帯性に優れたストラップ本体の内部に配設された外部アンテナの共振点を2つ以上にすることができる。
【0013】
また、本発明のアンテナ内蔵ストラップにおいては、他の態様として、接続線が、同軸ケーブルをもって形成されていることが好ましい。
【0014】
これによって、接続線が外部から受けるノイズの影響を受けにくくなるため、外部アンテナから携帯用電子機器までの間の電気信号の伝送を安定して行なうことが可能になる。
【0015】
また、本発明のアンテナ内蔵ストラップにおいては、他の態様として、接続線が、誘電基板上に形成されたコプレーナ線路をもって形成されていることが好ましい。
【0016】
これによって、前述した同軸ケーブルを用いる場合と同様、接続線が外部から受けるノイズの影響を受けにくくなり、外部アンテナから携帯用電子機器までの間の電気信号の伝送を安定して行なうことが可能になる。また、誘電基板上に形成された給電線および接地線の幅方向の長さの変更によって、接続線のインピーダンスを容易に調整することができる。
【0017】
また、本発明のアンテナ内蔵ストラップにおいては、他の態様として、接地素子が、コプレーナ線路の接地線と一体に形成されていることが好ましい。
【0018】
これによって、外部アンテナの小型化を図ることが可能になる。
【0019】
また、本発明のアンテナ内蔵ストラップにおいては、他の態様として、無給電素子が、接地素子と一体に形成されていることが好ましい。
【0020】
これによって、無給電素子が接地素子と一体に形成されていない外部アンテナと同様の効果を得つつ、誘電基板上に形成される外部アンテナのプリントパターンを簡易なものにすることが可能になる。
【0021】
また、本発明のアンテナ内蔵ストラップにおいては、他の態様として、給電素子が、無給電素子を囲む逆L字状に形成されていることが好ましい。
【0022】
これによって、逆L字状に形成された給電素子の水平部と無給電素子との静電容量を変化させて外部アンテナの共振周波数を容易に調整することができる。
【0023】
また、本発明のアンテナ内蔵ストラップにおいては、他の態様として、給電素子は、給電線が接続されている部分の周辺にスリットを有していることが好ましい。
【0024】
これによって、給電素子の全長を変化させずにその給電点の位置を調整することが可能となり、給電素子と接続線とのインピーダンス整合を容易に行なうことができる。
【0025】
また、本発明のアンテナ内蔵ストラップにおいては、他の態様として、給電素子は、ミアンダ線路を介して給電線に接続されていることが好ましい。
【0026】
これによって、ミアンダ線路のインダクタンスを変化させて外部アンテナの共振周波数を容易に調整することができる。
【0027】
また、本発明のアンテナ内蔵ストラップにおいては、他の態様として、ストラップ本体が、携帯用電子機器に内蔵されたチューナを制御する遠隔制御手段を有していることが好ましい。
【0028】
これにより、携帯用電子機器を直接的に操作することなく、携帯用電子機器に表示された地上デジタルテレビジョン放送のチャンネル(周波数)選択や音量などをアンテナ内蔵ストラップのみにより適宜選択することが可能となり、もって携帯用電子機器の利便性を向上させることができる。
【0029】
また、本発明のアンテナ内蔵ストラップにおいては、他の態様として、遠隔制御手段が、接地線もしくは接地線に接続された導体を共通電極として形成されていることが好ましい。
【0030】
これによって、遠隔制御手段に用いられる部材を一部兼用することが可能となり、当該遠隔制御手段を簡易な構造にすることができる。
【0031】
そして、本発明のアンテナ内蔵ストラップにおいては、他の態様として、外部アンテナは、地上デジタルテレビジョン放送用電波を受信するISDB−T用アンテナとなるように形成されていることが好ましい。
【0032】
これにより、地上デジタルテレビジョン放送用電波を効率よく受信することができる。
【発明の効果】
【0033】
本発明のアンテナ内蔵ストラップは、前述のように形成されていることから、広帯域の電波を効率よく受信することが可能となるという効果を奏する。
【0034】
また、本発明のアンテナ内蔵ストラップは、外部アンテナとして無給電素子付の給電素子(モノポールアンテナ)に接地素子3cを有して配設されているので、給電線を有する接続線と給電素子とによってなす角度の値に依存することなく、アンテナの利得が常に一定になるという効果を奏する。
【0035】
さらに、本発明のアンテナ内蔵ストラップは、携帯用電子機器のチューナに接続された制御手段を制御する遠隔制御手段を有していることから、アンテナ内蔵ストラップの利便性が向上するという効果を奏する。
【0036】
そして、本発明のアンテナ内蔵ストラップは、地上デジタルテレビジョン放送用電波の受信感度が向上するという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0037】
以下、図1から図20を用いて、本発明のアンテナ内蔵ストラップの第1から第3の各実施形態を説明する。
【0038】
(1)第1の実施形態
はじめに、図1から図12を用いて、第1の実施形態のアンテナ内蔵ストラップを説明する。
【0039】
ここで、図1は、本発明のアンテナ内蔵ストラップの実施形態の一態様を示している。図2は、第1の実施形態のアンテナ内蔵ストラップを人体の首から懸架した状態を示している。図3は、第1の実施形態の外部アンテナを示している。図4は、第1の実施形態の外部アンテナの接地素子および無給電素子を一体に形成した態様を示している。図5は、第1の実施形態の外部アンテナに同軸ケーブルを有する接続線が接続された状態を示している。図6は、第1の実施形態の外部アンテナにコプレーナ線路を有する接続線が接続された状態を示している。図7は、第1の実施形態に用いられるコプレーナ線路の接地線と外部アンテナの接地素子を一体に形成した状態を示している。図8は、各実施形態のアンテナ内蔵ストラップの概念的な回路図を示している。
【0040】
第1の実施形態のアンテナ内蔵ストラップ1A(図1には総括符号1を付している。以下、同じ。)は、図1に示すように、携帯電話機、PDA(個人用携帯情報端末機)その他の無線通信を利用する携帯用電子機器(以下、単に「携帯用電子機器」という。)11に接続して利用することができるように形成されている。具体的には、このアンテナ内蔵ストラップ1Aは、図1に示すように、ストラップ本体2と、給電素子3b、接地素子3cおよび無給電素子3d(図3〜図7を参照)を有している外部アンテナ3と、給電線5aと接地線5b(図5〜図7を参照)とを有している接続線5と、遠隔制御手段6とを有して形成されている。
【0041】
第1の実施形態のストラップ本体2は、ストラップ部2a、結束部2bおよび連結部2cを有している。
【0042】
ストラップ部2aは、合成樹脂繊維を編み込むことによって、可撓性を有する帯状の中空紐(ストラップ)となるように形成されている。また、図1に示すように、この中空状のストラップ部2aの両端は、結束部2bによって結束されることによって環状に形成されている。この環状のストラップ部2aは、図2に示すように、人体Hの首Nから掛けられるような大きさを有して形成されていることが好ましい。
【0043】
ストラップ部2aの両端付近を結束する結束部2bは、図1に示すように、ABS(アクリルニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体)樹脂などの機械的特性に優れた合成樹脂を用いて、軽量かつ耐衝撃性に優れた箱状に形成されている。また、この結束部2bの内部には、ストラップ部2aの両端付近が結束されており、この結束部2bの外部におけるストラップ部2aと対向する位置には、携帯用電子機器11を連結する連結部2cが形成されている。
【0044】
連結部2cは、携帯用電子機器11を連結させても破断しないような強靱な合成樹脂繊維を環状にして形成されている。また、この環状の連結部2cは、携帯用電子機器11の筐体に形成されたL字もしくはU字トンネル状の取付孔11bに挿通して結び付けることが可能な程度の長さを有して形成されている。
【0045】
また、第1の実施形態の外部アンテナ3は、図3に示すように、誘電基板3a、給電素子3b、接地素子3cおよび無給電素子3dを有して形成されており、図1に示すように、中空のストラップ部2aの内部に配設されている。
【0046】
この外部アンテナ3の誘電基板3aは、図3に示すように、PET(ポリエチレンテレフタレート)などの合成樹脂を用いて、矩形平板状に形成されている。また、この誘電基板3aは、ストラップ部2aの幅方向(短手方向)の長さよりも短い幅寸法を有して形成されている。
【0047】
給電素子3bは、銀や銅などの良導電性の金属を用いて、誘電基板3aの長手方向に対して平行になるように、誘電基板3a上に線状に形成されている。この給電素子3bの全長(=給電素子3bの長手方向の長さ)L1は、地上デジタルテレビジョン放送を受信するISDB−T(地上デジタルテレビジョン放送)用アンテナとなるように、地上デジタルテレビジョン放送に用いられている周波数の電波(以下、「第1の電波」という。)の波長の1/4倍の長さとなっている。
【0048】
また、この給電素子3bは、給電線5aが接続される部分の周辺に、その長手方向(=給電素子3bの長手方向と同様の方向)の長さSを有する矩形状のスリット3sを有して形成されている。
【0049】
そして、この給電素子3bは、垂直部3pと水平部3hを有する逆L字状に形成されている。この場合、逆L字状に形成された給電素子3bの水平部3hの長さL2は、給電素子3bの垂直部3pの長さ(=給電素子3bの全長)L1の6.5%程度の長さ(=15%以下の長さ)を有して形成されている。また、給電素子3bの水平部3hは、給電素子3bと無給電素子3dとによって生じる静電容量結合を利用して無給電素子3dが受信する電波(以下に述べる第2の電波)の周波数帯域を変化させることが可能となるように、無給電素子3dの端部から所定の間隔D2となるような厚さ(=水平部における無給電素子の長手方向と平行の長さ)L5を有して形成されている。
【0050】
接地素子3cは、給電素子3bと同様の材料を用いて、誘電基板3a上に平板状に形成されている。この接地素子3cは、給電素子3bの長手方向に延びる直線上に対して同一もしくは平行に配設されており、その全長(=接地素子3cの長手方向の長さ)L3が、給電素子3bの長手方向の長さL1よりも長くなるように形成されている。
【0051】
無給電素子3dは、給電素子3bおよび接地素子3cと同様の材料を用いて、誘電基板3a上に線状に形成されている。この無給電素子3dは、給電素子3bと無給電素子3dとによって生じる静電容量結合を利用して無給電素子3dが受信する電波(以下に述べる第2の電波)の周波数帯域を変化させることが可能となるように、所定の間隔D1をもって給電素子3bの長手方向に対して平行に配設されている。また、その全長(=無給電素子3dの長手方向の長さ)L4は、地上デジタルテレビジョン放送に用いられる周波数であって、前述した第1の電波の周波数と異なる周波数となっている電波(以下、「第2の電波」という。)の波長の1/2倍の長さとなっている。
【0052】
なお、図4に示すように、この無給電素子3dは、誘電基板3a上に形成される外部アンテナ3のプリントパターンを簡易なものにするため、接地素子3cと一体に形成されていることが好ましい。この場合、この無給電素子3dは、図4に示すように、その全長L4の1/2倍の長さ(=第2の電波の波長の1/4倍の長さ)分だけ接地素子3cから延出するように形成されている。
【0053】
そして、第1の実施形態の接続線5は、図5から図7に示すように、携帯用電子機器11の電源19に接続された給電線5a、携帯用電子機器11の接地導体19aに接続された接地線5bおよび携帯用電子機器11の接続リセプタクル(携帯用電子機器側のコネクタ)11aに接続される接続プラグ5cを有して形成されている。
【0054】
この接続線5の給電線5aおよび接地線5bは、図5に示すように、接続線5Aが、内部導体9Aaを給電線5aとしつつ外部導体9Abを接地線5bとする同心円筒導体の同軸ケーブル9Aを有して形成されている。また、この給電線5a(=内部導体9Aa)の端部は、はんだ付けによって給電素子3bの端部P(給電点)に接続されており、接地線5b(=外部導体9Ab)の端部は、はんだ付けによって無給電素子3cの一部G(接地点)に接続している。
【0055】
接続プラグ5cは、図1に示すように、給電線5aおよび接地線5bの外部アンテナ3が接続されていない端部に、携帯電話機用平型プラグ(EIAJ RC−5240)などの携帯用電子機器用として規格化された形状の形成されている。この接続プラグ5cは、遠隔制御手段6などの外部アンテナ3以外の接続線6a、6b(図8を参照)に対しても利用可能となるように、複数の接続電極(図示せず)を有して形成されている。
【0056】
そして、図1に示すように、給電線5aおよび接地線5bにおける結束部2bから接続プラグ5cまでの外部に露出する部分は、絶縁性の合成樹脂を用いて形成された筒状の保護カバー4によって覆われている。
【0057】
なお、この接続線5は、図6もしくは図7に示すように、同軸ケーブル9Aの代わりにコプレーナ線路9Bを有して形成されていても良い。この場合、コプレーナ線路9Bを有する接続線5Bは、外部アンテナ3の誘電基板3a上に線状に形成された2つの外部導体9Bbと、当該外部導体9Bbの間に線状に形成された1つの内部導体9Baとを有して形成されている。ここで、図7に示すように、コプレーナ線路9Bの接地線9Bbは、誘電基板3aの幅方向(短手方向)の小型化を図るため、接地素子と一体に形成されていることが好ましい。
【0058】
このようにして形成されたアンテナ内蔵ストラップ1Aは、連結部2cおよび接続プラグ5cを介して、携帯用電子機器11に接続されている。この携帯用電子機器11は、図8に示すように、ホイップアンテナ12、内蔵アンテナ13、アンテナ切替手段14、チューナ15、電源19、制御手段16、ディスプレイ17およびスピーカ18を有している。
【0059】
携帯用電子機器11のホイップアンテナ12は、当該携帯用電子機器11が送受信する電波の波長の1/4倍の長さを有して形成されており、携帯用電子機器11の筐体に対して出し入れ可能なように配設されている。また、内蔵アンテナ13は、銀や銅などの金属材料を用いて矩形平板状に形成されており、その長手方向がホイップアンテナ12の長手方向に対して直角をなすように携帯用電子機器11の筐体内部に配設されている。
【0060】
アンテナ切替手段14は、ホイップアンテナ12、内蔵アンテナ13および接続プラグ5cが差し込まれる接続リセプタクル11aに接続されており、ホイップアンテナ12、内蔵アンテナ13および外部アンテナ3から得られた受信電波の電気信号を適宜切替もしくは合成を行なうように形成されている。
【0061】
アンテナ切替手段14に接続しているチューナ15は、地上デジタルテレビジョン放送用チューナとなるように形成されており、受信電波の電気信号から所望のチャンネル(周波数)の電気信号を選別し、音声信号と映像信号とを分離するように形成されている。また、このチューナ15は、分離した映像信号と音声信号とを制御手段16に伝送するように形成されている。
【0062】
チューナ15に接続された制御手段16は、所望のチャンネル(周波数)の電気信号をチューナ15に選別させる制御を行うように形成されている。また、この制御手段16は、チューナ15から得られた映像信号をディスプレイ17に伝送して所望の画像を表示させ、チューナ15から得られた音声信号をスピーカ18に伝送して所望の音声を出力させる制御を行なうように形成されている。そして、この制御手段16は、電源19にも接続されており、電源19に接続された各種部材に所望の電源19を給電させる制御を行なうように形成されている。
【0063】
電源19は、携帯用電子機器11の各種部材14〜18に駆動電力を供給するように形成されている。また、この電源19は、アンテナ切替手段14を介して、ホイップアンテナ12、内蔵アンテナ13および外部アンテナ3に給電するように形成されている。そして、この電源19は、外部アンテナ3およびその他の接地線を有する各部材や各手段と接続する接地導体19aを有して形成されている。
【0064】
前述した携帯用電子機器11の電源19および制御手段16には、アンテナ内蔵ストラップ1Aの遠隔制御手段6が接続されている。この遠隔制御手段6は、図8に示すように、直流電流を給電する携帯用電子機器11の電源19から、遠隔制御手段6の給電線6aを介して直列に接続された複数の抵抗Rの間およびその列の後端にスイッチ7A、7B、7C、7Dの一端をそれぞれ接続して形成されている。また、この遠隔制御手段6は、それら各スイッチ7A、7B、7C、7Dの他端に電源19の接地導体19aと接続された遠隔制御手段6の接地線6bを接続して形成されている。このスイッチ7A、7B、7C、7Dは、薄型化が容易なメンブレンスイッチとなっており、図1に示すように、そのスイッチ7A、7B、7C、7Dの入力面7a、7b、7c、7dがストラップ部2aの表面に一体となって形成されている。この入力面7a、7b、7c、7dには、図1に示すように、所望のチャンネル(周波数)の選出に用いられているマーク7a、7bや、音量の調整に用いられているマーク7c、7dが形成されている。このようなスイッチ7A、7B、7C、7Dを有する遠隔制御手段6は、アンテナ内蔵ストラップ1Aのストラップ部2aおよび保護カバー4を通り、接続プラグ5cを介して、携帯用電子機器11に接続するように配設されている。
【0065】
次に、図1から図12を用いて、第1の実施形態のアンテナ内蔵ストラップ1Aの作用を説明する。
【0066】
本実施形態のアンテナ内蔵ストラップ1Aは、図1に示すように、連結部2cを介して携帯用電子機器11の取付孔11bに環状のストラップ部2aを連結することができるようになっているとともに、図2に示すように、その環状のストラップ部2aが外部アンテナ部3を内設しながら人体Hの首Nから掛けられるようになっているので、アンテナ内蔵ストラップ1Aに連結された携帯用電子機器11の利用主体は、特に意識することなく外部アンテナ3を携帯することができるようになっている。
【0067】
また、図3および図4に示すように、ストラップ部2aに内設された外部アンテナ3は、電源19に接続された給電素子3bと、接地導体19aに接続された接地素子3cと、給電素子3bと所定の間隔D1を持って平行に配設することによって給電素子3bに静電容量結合している無給電素子3dとを有している。そのため、外部アンテナ3は、いわゆる無給電素子付モノポールアンテナ(J型アンテナ)を形成することになる。これによって、図9に示すように、外部アンテナ3は、給電素子3bおよび無給電素子3dのイメージアンテナ(影像アンテナ)となるイメージ給電素子3b’およびイメージ無給電素子3d’を有するイメージ外部アンテナ3’を接地素子3cに影像することになる。接地素子3cにイメージ外部アンテナ3’を生じると、その外部アンテナ3は、給電素子3bおよびイメージ給電素子3b’による半波長ダイポールアンテナと、無給電素子3dおよびイメージ無給電素子3d’による半波長の無給電素子とを有する無給電素子付ダイポールアンテナと同様の効果を得られるので、広帯域の電波を受信することができるようになる。
【0068】
なお、接地素子3cと別個に形成された無給電素子3dの全長L4が一体に形成された無給電素子3dの全長L4/2にイメージ無給電素子3d’の全長L4/2を足した値と同等になっていることから、外部アンテナ3は、接地素子3cと無給電素子3dとを一体に形成せずに別個に形成した場合においても、接地素子3cと無給電素子3dとを一体に形成した場合においても同様の効果を得ることができるようになっている。
【0069】
次に、前述の外部アンテナ3の各特性を示す。図10は、外部アンテナ3のVSWR特性を示している。ここで、図10のグラフの横軸は周波数(単位はGHz)を示し、その縦軸は電圧定在波率(VSWR)を示している。また、図11は、外部アンテナ3のインピーダンス特性をスミスチャートに示している。この外部アンテナ3は、図10に示すように、515MHzおよび730MHz付近に2つの共振点を有している。この2つの共振点は、図3もしくは図4に示すように、給電素子3bの垂直部3pと無給電素子3dとの配設間隔D1、給電素子3bの水平部3hと無給電素子3dとの配設間隔D2を変えることによって、所望の値に変更することができるようになっている。また、図10に示すように、VSWR<3.0の帯域幅Δf1は300MHz(470〜770MHz)の広帯域となっている。そして、図11に示すように、スミスチャートの円の中心に470MHz〜770MHzが存在しているのが確認できる。このインピーダンス特性を示す曲線の軌跡は、図3および図4に示すように、給電素子3bに形成されたスリット3sの長手方向の長さSを変更することによって所望の値に変更することができるようになっている。このことから、この外部アンテナ3は、地上デジタルテレビジョン放送用電波(470〜770MHz)のような広帯域の電波を受信するのに適していることがわかる。また、所定の配設間隔D1、D2およびスリットの長さSを変更することにより、良好な周波数特性が容易に得られるようになっている。
【0070】
また、図12は、外部アンテナ3における指向性を示している。図12に示すように、470MHz(図12(a))、570MHz(図12(b))、670MHz(図12(c))、770MHz(図12(d))のすべての周波数において、外部アンテナ3の無指向性を示すことが確認できる。このことから、本実施形態のアンテナ内蔵ストラップ1Aは、どの方向においても良好な受信感度を得ることができることがわかる。
【0071】
この外部アンテナ3に接続される接続線5は、図5に示すように、同軸ケーブル9Aを有して形成されていることから、ノイズの影響を受けにくくなるため、外部アンテナ3から携帯用電子機器11までの間の電気信号の伝送を安定して行なうことができる。
【0072】
この接続線5は、図6や図7に示すように、同軸ケーブル9Aの代わりに、誘電基板3a上に形成されたコプレーナ線路9Bを有して形成されていてもよい。これによって、前述した同軸ケーブル9Aを有する場合と同様、接続線5は、ノイズを受信しないようになっており、外部アンテナ3から携帯用電子機器11までの間の電気信号の伝送を安定して行なうことができる。また給電線5aが接続される部分の周辺に、その長手方向(=給電素子3bの長手方向と同様の方向)の長さSを有する矩形状のスリット3sを有して形成することによって、接続線5のインピーダンスを容易に調整することもできる。特に、図7に示すように、このコプレーナ線路9Bの接地線9Bbが接地素子3cと一体に形成されているので、外部アンテナ3の小型化を図ることができる。
【0073】
前述のように形成されたアンテナ内蔵ストラップ1Aは、図8に示すように、接続プラグ5cを介してアンテナ切替手段14に接続されている。このアンテナ切替手段14は、ホイップアンテナ12、内蔵アンテナ13および外部アンテナ部3から得られた受信電波の電気信号を適宜切替もしくは合成を行なうように形成されている。また、アンテナ内蔵ストラップ1Aは、外部アンテナ3が接続線5を介して携帯用電子機器11に接続されていることから、ホイップアンテナ12もしくは内蔵アンテナ13と外部アンテナ部3との間を、地上デジタルテレビジョン放送用電波の波長の1/4倍の長さ以上離して配設することが可能となっている。つまり、第1の実施形態のアンテナ内蔵ストラップ1Aに接続された携帯用電子機器11は、空間ダイバーシティ効果を得ることができる。
【0074】
さらに、ホイップアンテナ12と外部アンテナ3との構成においては、図2に示すように、利用主体が携帯用電子機器11のディスプレイ17を視認しやすいようにするために、利用主体の手によって当該携帯用電子機器11を立てながら保持することが多い。このことから、ホイップアンテナ12と外部アンテナ部3とが直交して偏波ダイバーシティを構成する傾向にあり、アンテナ内蔵ストラップ1Aに接続された携帯用電子機器11は、空間ダイバーシティ効果のみならず偏波ダイバーシティ効果も得ることが可能となっている。
【0075】
前述したホイップアンテナ12、内蔵アンテナ13および外部アンテナ3を利用することにより、アンテナ内蔵ストラップ1Aに接続された携帯用電子機器11は、所望の地上デジタルテレビジョン放送用電波を効率よく受信することができる。それら3つのアンテナによって受信された電波は、電気信号に変えられて、その後にアンテナ切替手段14を介してチューナ15に送られる。チューナ15は、当該受信電波の電気信号から所望のチャンネル(周波数)の電気信号を選別し、映像信号と音声信号とを分離すると、当該映像信号と音声信号とを制御手段16に伝送する。そして、制御手段16は、映像信号をディスプレイ17に伝送して所望の画像を表示させるとともに、チューナ15から得られた音声信号をスピーカ18に伝送して所望の音声を出力させる制御を行なう。
【0076】
ここで、図1および図8に示すように、第1の実施形態のアンテナ内蔵ストラップ1Aは、接続プラグ5cを介して携帯用電子機器11に接続された遠隔制御手段6を有しており、この遠隔制御手段6が、所望の地上デジタルテレビジョン放送用チャンネル(周波数)の選出や、地上デジタルテレビジョン放送の音量の調整を行なうためのスイッチ7A、7B、7C、7Dを有している。これにより、携帯用電子機器11側に配設された制御用スイッチ(図示せず)を操作することなく、アンテナ内蔵ストラップ1Aのみにより、地上デジタルテレビジョン放送のチャンネル(周波数)や音量などを適宜選択することができるようになっている。
【0077】
以上のことから、第1の実施形態のアンテナ内蔵ストラップ1Aによって、地上デジタルテレビジョン放送用電波のような広帯域の電波を効率よく受信することができる。
【0078】
(2)第2の実施形態
つぎに、図13から図16を用いて、第2の実施形態のアンテナ内蔵ストラップ1Bを説明する。ここで、図13は、第2の実施形態の外部アンテナ3を示している。
【0079】
第2の実施形態のアンテナ内蔵ストラップ1Bは、第1の実施形態の外部アンテナ1Aと同様、ストラップ本体2と、外部アンテナ3と、接続線5と、遠隔制御手段6とを有して形成されている。
【0080】
この外部アンテナ3は、図13に示すように、誘電基板3a、給電素子3b、接地素子3cおよび無給電素子3dを有して形成されており、第1の実施形態と同様、中空のストラップ部2aの内部に配設されている。
【0081】
第2の実施形態の給電素子3bは、誘電基板3a上の長手方向に対して平行になるように、誘電基板3a上に線状に形成されている。また、この給電素子3bは、給電素子3bと無給電素子3dとによって生じる静電容量結合を利用して無給電素子3dが受信する電波(第2の電波)の周波数帯域を変化させることが可能となるように、所定の間隔D1を有して無給電素子3dの長手方向と平行に形成されている。
【0082】
ここで、この給電素子3bは、ミアンダ線路3mを有して形成されており、このミアンダ線路3mを介して給電線5aに接続されている。また、ミアンダ線路3mを含んだこの給電素子3bの全長(=給電素子3bの長手方向の長さ)L1’は、第1の電波の波長の1/4倍の長さ(=第1の実施形態の給電素子3aの全長L1)の半分程度になっている。そして、この給電素子3bは、垂直部3pと水平部3hを有する逆L字状に形成されている。逆L字状に形成された給電素子3bの水平部3hの長さL2’は、給電素子3bの垂直部3pの長さ(=給電素子3bの全長)L1’の12.5%程度の長さ(15%以下の長さ)を有して形成されている。また、給電素子3bの水平部3hは、給電素子3bと無給電素子3dとによって生じる静電容量結合を利用して無給電素子3dが受信する電波(第2の電波)の周波数帯域を変化させることが可能となるように、無給電素子3dの端部から所定の間隔D2となるような厚さ(=水平部における無給電素子の長手方向と平行の長さ)L5を有して形成されている。
【0083】
第2の実施形態の接地素子3cは、第1の実施形態と同様に、平板状に形成されている。また、この接地素子3cは、給電素子3bの長手方向に延びる直線上に対して同一もしくは平行に配設されており、この接地素子3cの全長(=接地素子3cの長手方向の長さ)L3が、第1の電波の波長の1/4倍の長さ(=第1の実施形態の給電素子3aの全長L1)よりも長く形成されている。
【0084】
そして、第2の実施形態の誘電基板3aおよび無給電素子3dは、第1の実施形態と同様にして形成されている。
【0085】
なお、第2の実施形態のストラップ本体2、接続線5および遠隔制御手段6は、第1の実施形態と同様にして形成されている。
【0086】
次に、第2の実施形態のアンテナ内蔵ストラップ1Bの作用を説明する。
【0087】
第2の実施形態のアンテナ内蔵ストラップは、図13に示すように、給電素子3bがミアンダ線路3mを介して給電線5aに接続されているので、ローディング・コイルを挿入したモノポールアンテナと同様の効果が得られ、ミアンダ線路3mを含む給電素子3bの全長L1’を第1の電波の波長の1/4倍の長さよりも短くすることができる。また、ミアンダ線路の形状を変化させることによって、外部アンテナ3の共振周波数を容易に調整することができる。
【0088】
ここで、図14から図16を用いて、第2の実施形態の外部アンテナ3の各特性を示す。図14は、外部アンテナ3のVSWR特性を示している。図14のグラフの横軸は周波数(単位はGHz)を示し、その縦軸は電圧定在波率(VSWR)を示している。また、図15は、外部アンテナ3のインピーダンス特性をスミスチャートに示している。そして、図16は、外部アンテナ3における指向性を示している。
【0089】
この外部アンテナ3は、図14に示すように、510Hzおよび720MHz付近に2つの共振点を有している。この2つの共振点は、図13に示すように、給電素子3bの垂直部3pと無給電素子3dとの配設間隔D1、給電素子3bの水平部3hと無給電素子3dとの配設間隔D2を変えることによって、所望の値に変更することができるようになっている。また、図14に示すように、VSWR<3.2の帯域幅Δf2は、300MHz(470〜770MHz)以上の広帯域となっている。そして、図15に示すように、スミスチャートの円の中心に470MHz〜770MHzが存在しているのが確認できる。このインピーダンス特性を示す曲線の軌跡は、給電素子3bに形成されたミアンダ線路3mの形状を変更することによって所望の値に変更することができるようになっている。このことから、この外部アンテナ3は、地上デジタルテレビジョン放送用電波(470〜770MHz)のような広帯域の電波を受信するのに適していることがわかる。また、所定の配設間隔D1、D2およびミアンダ線路3mの形状を変更することにより、良好な周波数特性が得られるようになっている。
【0090】
そして、この外部アンテナ3は、470MHz(図16(a))、570MHz(図16(b))、670MHz(図16(c))、770MHz(図16(d))のすべての周波数において、無指向性を示すことが確認できる。これによって、アンテナ内蔵ストラップ1Bは、どの方向においても良好な受信感度を得ることが可能となっている。
【0091】
以上のことから、第2の実施形態のアンテナ内蔵ストラップ1Bによって、地上デジタルテレビジョン放送用電波のような広帯域の電波を効率よく受信しつつ、外部アンテナ3の全長を短くすることができる。
【0092】
(3)第3の実施形態
最後に、図17から図19を用いて、第3の実施形態のアンテナ内蔵ストラップ1Cを説明する。ここで、図17は、第3の実施形態のアンテナ内蔵ストラップ1Cに用いられる外部アンテナ3および遠隔制御手段6を示している。また、図18は、図17の18−18断面図を示しており、図19は、遠隔制御手段のある入力面が押下された際の図18と同様の断面図を示している。
【0093】
第3の実施形態のアンテナ内蔵ストラップ1Cは、ストラップ本体2、外部アンテナ3、接続線5および遠隔制御手段6を有して形成されている。
【0094】
ストラップ本体2および外部アンテナ3は、第1もしくは第2の実施形態のアンテナ内蔵ストラップ1A、1Bと同様にして形成されている(図17においては、図4に示す第1の実施形態の外部アンテナ3が用いられている)。
【0095】
接続線5は、図17に示すように、第1の実施形態と同様の同軸ケーブル9Aを有して形成されている。
【0096】
遠隔制御手段6は、図17に示すように、直流電流を供給する携帯用電子機器11の電源19から遠隔制御手段6の給電線6aを介して直列に接続された複数の抵抗Rの間およびその列の後端に、接点8A、8B、8C、8Dを可撓性の基板8a上に有して形成されている。また、これらの接点8A、8B、8C、8Dは、図18に示すように、ストラップ部2aに形成された入力面7a、7b、7c、7dの下方に配設されており、さらにその下方には、外部アンテナ3の接地素子3cが配設されている。すなわち、第3の実施形態の遠隔制御手段6は、接地素子3cを共通電極として用いており、これらの接点8A、8B、8C、8Dと接地素子3cとを有して構成されるスイッチ7A、7B、7C、7Dがメンブレンスイッチとなるように形成されている。
【0097】
なお、入力面7a、7b、7c、7dに用いられるマークを有するストラップ本体2、外部アンテナ3および接続線5は、第1の実施形態と同様にして形成されている。
【0098】
次に、図17から図19を用いて、第3の実施形態のアンテナ内蔵ストラップ1Cの作用を説明する。
【0099】
第3の実施形態のアンテナ内蔵ストラップ1Cの遠隔制御手段6は、図8に示すような接地導体19aに接続している接地線6bを別個に有さずに、接地素子3cを共通電極として用いている。そのため、たとえば人体Hの指Fがストラップ部2aに形成された入力面7cを押下すると、その下方にある接点8cが接地素子3cに接触することになる。すると、携帯用電子機器11の電源19から供給された直流電流が、接点8cを介して、接地素子3cに流れる。これによって、携帯用電子機器11の制御手段16は、遠隔制御手段6からの入力操作(入力面7cからの押下操作)を検出することが可能となっている。
【0100】
すなわち、第3の実施形態のアンテナ内蔵ストラップ1Cは、接地素子3cを遠隔制御手段6の共通電極として形成されていることから、遠隔制御手段6に用いられる部材を一部兼用することができるので、当該遠隔制御手段6を簡易な構造にすることが可能となる。
【0101】
なお、第3の実施形態のアンテナ内蔵ストラップ1Cにおいては、図17に示すように、接続線5が同軸ケーブル9Aを有して形成されている場合を例にとって説明したが、この接続線5は、図6や図7に示すように、コプレーナ線路9Bを有して形成されていても良い。その場合、接点8A、8B、8C、8Dが給電素子3bおよび給電線5aに接触しないように形成することが肝要である。
【0102】
以上のことから、本実施形態のアンテナ内蔵ストラップ1A、1B、1Cは、接続先の携帯用電子機器11の受信帯域が広くなるという効果を奏する。
【0103】
また、本実施形態のアンテナ内蔵ストラップ1A、1B、1Cは、外部アンテナ3として無給電素子3d付の給電素子(モノポールアンテナ)3b(いわゆるJ型アンテナ)に接地素子3cを有して配設されているので、給電線5aを有する接続線5と給電素子3bとによってなす角度の値に依存することなく、アンテナの利得が常に一定になるという効果を奏する。
【0104】
さらに、本実施形態のアンテナ内蔵ストラップ1A、1B、1Cは、携帯用電子機器11のチューナ15に接続された制御手段16を制御する遠隔制御手段6を有していることから、アンテナ内蔵ストラップ1A、1B、1Cの利便性が向上するという効果を奏する。
【0105】
そして、本実施形態のアンテナ内蔵ストラップ1A、1B、1Cは、地上デジタルテレビジョン放送用電波の受信感度が向上するという効果を奏する。
【0106】
なお、本発明は、前述した各実施形態に限定されるものではなく、必要に応じて種々の変更が可能である。
【0107】
たとえば、本実施形態のアンテナ内蔵ストラップ1A、1B、1Cにおいては、人体Hの首Nからストラップ部2aを懸架して利用することを想定して、そのストラップ部2aの長さが決められているが、他の実施形態として、図20に示すように、人体Hの手首Rからストラップ部2aを懸架して利用することを想定して、そのストラップ部2aの長さが決定されていても良い。ただし、外部アンテナ3の全長は、本実施形態のアンテナ内蔵ストラップ1A、1B、1Cに示されたように形成されていることが好ましい。
【0108】
また、本実施形態のアンテナ内蔵ストラップ1は、外部アンテナ3を地上デジタルテレビジョン放送用アンテナとして形成されているが、他の実施形態として、地上デジタルテレビジョン放送用電波の周波数帯域とは異なる周波数帯域の電波を外部アンテナ3が受信可能となるように、外部アンテナ3の各々の値を変更して形成されていても良い。
【図面の簡単な説明】
【0109】
【図1】本発明のアンテナ内蔵ストラップの実施形態の一態様を示す平面図
【図2】第1の実施形態のアンテナ内蔵ストラップを人体の首から懸架した状態を示した平面図
【図3】第1の実施形態の外部アンテナを示す平面図
【図4】第1の実施形態の外部アンテナの接地素子および無給電素子を一体に形成した態様を示す平面図
【図5】第1の実施形態の外部アンテナに同軸ケーブルを有する接続線が接続された状態を示す平面図
【図6】第1の実施形態の外部アンテナにコプレーナ線路を有する接続線が接続された状態を示す平面図
【図7】第1の実施形態に用いられるコプレーナ線路の接地線と外部アンテナの接地素子を一体に形成した状態を示す平面図
【図8】各実施形態のアンテナ内蔵ストラップの構造を示した概念的な回路図
【図9】本実施形態の外部アンテナに生じるイメージ外部アンテナを示す平面図
【図10】第1の実施形態の外部アンテナのVSWR特性を示すグラフ
【図11】第1の実施形態の外部アンテナのインピーダンス特性を示すスミスチャート
【図12】第1の実施形態の外部アンテナにおける水平面の指向性を示す円グラフ;(a)470MHzの電波に対する利得、(b)570MHzの電波に対する利得、(c)670MHzの電波に対する利得、(d)770MHzの電波に対する利得
【図13】第2の実施形態の外部アンテナを示す平面図
【図14】第2の実施形態の外部アンテナのVSWR特性を示すグラフ
【図15】第2の実施形態の外部アンテナのインピーダンス特性を示すスミスチャート
【図16】第2の実施形態の外部アンテナにおける水平面の指向性を示す円グラフ;(a)470MHzの電波に対する利得、(b)570MHzの電波に対する利得、(c)670MHzの電波に対する利得、(d)770MHzの電波に対する利得
【図17】第3の実施形態の外部アンテナの接地素子と遠隔制御手段に備わる各接点と位置関係を示した平面図
【図18】図17の18−18断面図
【図19】遠隔制御手段のある入力面が押下された際の図18と同様の断面図
【図20】本実施形態のアンテナ内蔵ストラップを人体の手首から懸架した状態を示した平面図
【図21】一般的なダイポールアンテナと給電線との位置関係を示す平面図
【図22】携帯電話機用ストラップなどのループ状紐体の内部にダイポールアンテナを配設した場合のダイポールアンテナと給電線との位置関係を示す平面図
【符号の説明】
【0110】
1 アンテナ内蔵ストラップ
2 ストラップ本体
2a ストラップ部
2b 結束部
2c 連結部
3 外部アンテナ
3a 誘電基板
3b 給電素子
3c 接地素子
3d 無給電素子
3h 水平部
3m ミアンダ線路
3p 垂直部
3S スリット
4 保護カバー
5 接続線
5a 給電線
5b 接地線
5c 接続プラグ
6 遠隔制御手段
6a 給電線
6b 接地線
7A、7B、7C、7D スイッチ
7a、7b、7c、7d スイッチの入力面
8A、8B、8C、8D 接点
8a 可撓性の基板
11 携帯用電子機器
11a 接続リセプタクル
11b (連結部の)取付孔
12 ホイップアンテナ
13 内蔵アンテナ
14 アンテナ切替手段
15 チューナ
16 制御手段
17 ディスプレイ
18 スピーカ
19 電源
19a 接地導体
D1 給電素子の垂直部から無給電素子までの離間距離
D2 給電素子の水平部から無給電素子までの離間距離
L1 給電素子の長手方向の長さ(給電素子の垂直部の長さ)
L1’ ミアンダ線路を有する給電素子の長手方向の長さ(給電素子の垂直部+ミアンダ線路の長さ)
L2 給電素子の水平部の長さ
L2’ ミアンダ線路を有する給電素子の水平部の長さ
L3 接地素子の長手方向の長さ
L4 無給電素子の長手方向の長さ(別体成形した場合)
L5 給電素子の水平部の厚さ(=水平部における無給電素子の長手方向と平行の長さ)
P 給電点
G 接地点
S スリットの長手方向の長さ
Δf1 第1の実施形態の外部アンテナのVSWR<3.0の帯域幅
Δf2 第2の実施形態の外部アンテナのVSWR<3.2の帯域幅

【特許請求の範囲】
【請求項1】
環状に形成されているストラップ部と、無線通信を利用する携帯用電子機器を前記ストラップ部の一部分に連結させる連結部とを有するストラップ本体と、
前記携帯用電子機器の電源に接続される給電線と、前記携帯用電子機器の接地導体に接続される接地線とを有している接続線と、
前記給電線に接続されている給電素子と、前記給電素子の長手方向に対して平行に配設されている無給電素子と、前記給電素子の長手方向の長さより長く形成されているとともに前記給電素子の長手方向に延びる直線上に配設されており、前記接地線に接続されている接地素子とを可撓性の誘電基板上に有している外部アンテナと
を備えていることを特徴とするアンテナ内蔵ストラップ。
【請求項2】
前記接続線は、同軸ケーブルをもって形成されている
ことを特徴とする請求項1にアンテナ内蔵ストラップ。
【請求項3】
前記接続線は、前記誘電基板上に形成されたコプレーナ線路をもって形成されている
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のアンテナ内蔵ストラップ。
【請求項4】
前記接地素子は、前記コプレーナ線路の前記接地線と一体に形成されている
ことを特徴とする請求項3に記載のアンテナ内蔵ストラップ。
【請求項5】
前記無給電素子は、前記接地素子と一体に形成されている
ことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載のアンテナ内蔵ストラップ。
【請求項6】
前記給電素子は、前記無給電素子を囲む垂直部および水平部を有する逆L字状に形成されている
ことを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載のアンテナ内蔵ストラップ。
【請求項7】
前記給電素子は、前記給電線が接続されている部分の周辺にスリットを有して形成されている
ことを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載のアンテナ内蔵ストラップ。
【請求項8】
前記給電素子は、ミアンダ線路を介して前記給電線に接続されている
ことを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載のアンテナ内蔵ストラップ。
【請求項9】
前記ストラップ本体は、前記携帯用電子機器に内蔵されたチューナを制御する遠隔制御手段を有している
ことを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載のアンテナ内蔵ストラップ。
【請求項10】
前記遠隔制御手段は、前記接地線もしくは接地線に接続された導体を共通電極として形成されている
ことを特徴とする請求項9に記載のアンテナ内蔵ストラップ。
【請求項11】
前記外部アンテナは、地上デジタルテレビジョン放送用電波を受信するISDB−T用アンテナとなるように形成されている
ことを特徴とする請求項1から10のいずれか1項に記載のアンテナ内蔵ストラップ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate


【公開番号】特開2006−332749(P2006−332749A)
【公開日】平成18年12月7日(2006.12.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−149389(P2005−149389)
【出願日】平成17年5月23日(2005.5.23)
【出願人】(000010098)アルプス電気株式会社 (4,263)
【Fターム(参考)】