説明

アンテナ装置、及び、電子装置

【課題】
容易に設計できるアンテナ装置、及び、電子装置を提供すること。
【解決手段】
アンテナ装置は、前記グランド部に接続される第1スタブ部と、第1給電部とを有する逆F型の第1アンテナ部と、前記グランド部に接続されるとともに前記第1スタブ部に離間して配設される第2スタブ部と、第2給電部とを有する逆F型の第2アンテナ部とを含み、前記グランド部は、前記第1スタブ部と前記グランド部との第1接続部と、前記第2スタブ部と前記グランド部との第2接続部との間に直線部を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アンテナ装置、及び、電子装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、端部に切り欠き部が形成されたグランド部と、切り欠き部の一方の側に配置され給電部を備える第1の放射素子と、切り欠き部の他方の側に配置され給電部を備える第2の放射素子とを有するアンテナ装置があった(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−013643号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、従来のアンテナ装置は、グランド部のうちの放射素子の近傍の部分に切り欠きを有するため、例えば、アンテナ装置を電子部品等とともに一つの装置に実装する場合に、スペース的な制約を受ける場合があった。これにより、省スペース化の障害になる場合があった。
【0005】
また、グランド部が上述のような切り欠きを有するため、良好なアンテナ特性を得るために考慮する必要のあるパラメータが増え、アンテナ装置の設計における負担が大きくなっていた。
【0006】
このように、従来のアンテナ装置は、設計が容易ではないという課題があった。
【0007】
そこで、本発明は、容易に設計できるアンテナ装置、及び、電子装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一局面のアンテナ装置は、グランド部と、前記グランド部に接続される第1スタブ部と、第1給電部とを有する逆F型の第1アンテナ部と、前記グランド部に接続されるとともに前記第1スタブ部に離間して配設される第2スタブ部と、第2給電部とを有する逆F型の第2アンテナ部とを含み、前記グランド部は、前記第1スタブ部と前記グランド部との第1接続部と、前記第2スタブ部と前記グランド部との第2接続部との間に直線部を有する。
【0009】
また、前記グランド部は、前記直線部から前記第1スタブ部及び前記第2スタブ部の延在する方向に延在するグランド延在部を含んでもよい。
【0010】
また、前記グランド部に接続され、前記第1アンテナ部の近傍に配設される第1無給電素子、又は、前記グランド部に接続され、前記第2アンテナ部の近傍に配設される第2無給電素子をさらに含んでもよい。
【0011】
また、前記第1給電部と前記第1アンテナ部の逆F型の端部との間で、前記第1アンテナ部に挿入される第1インダクタ、又は、前記第2給電部と前記第2アンテナ部の逆F型の端部との間で、前記第2アンテナ部に挿入される第2インダクタをさらに含んでもよい。
【0012】
また、前記第1給電部と前記第1アンテナ部の逆F型の端部との間で分岐する第1分岐線路部、又は、前記第2給電部と前記第2アンテナ部の逆F型の端部との間で分岐する第2分岐線路部をさらに含んでもよい。
【0013】
また、前記第1接続部と前記第2接続部との間の距離は、使用周波数における波長の1/20以下の長さであってもよい。
【0014】
また、前記第1アンテナ部の逆F型の端部から平面視で折り曲がって延在する第1延在部、又は、前記第1アンテナ部の逆F型の端部から平面視で折り曲がって延在する第2延在部をさらに含んでもよい。
【0015】
また、前記グランドは、スロット部を有し、前記スロット部に給電を行う給電部をさらに含んでもよい。
【0016】
また、前記第1アンテナ部の偏波方向と前記第2アンテナ部の偏波方向は等しく、前記第1アンテナ部及び前記第2アンテナ部の偏波方向と異なる偏波方向を有する第3アンテナ部をさらに含んでもよい。
【0017】
また、前記第3アンテナ部は、第3給電部を有し、前記第1アンテナ部、前記第2アンテナ部、及び前記グランド部とは離間して配設されてもよい。
【0018】
また、前記第3アンテナ部は、第3給電部を有するアンテナ素子と、前記グランド部に接続される無給電素子とを有してもよい。
【0019】
本発明の他の局面のアンテナ装置は、端辺から延在する延在グランド部を有するグランド部と、前記延在グランド部に接続される第1スタブ部と、第1給電部とを有する逆F型の第1アンテナ部と、前記延在グランド部に接続される第2スタブ部と、第2給電部とを有し、平面視で前記延在グランド部に対して、前記第1アンテナ部とは反対側に配設される逆F型の第2アンテナ部とを含む。
【0020】
本発明の一局面の電子装置は、前記いずれか一項記載のアンテナ装置と、前記アンテナ装置に接続され、無線通信を行う通信装置とを含む。
【発明の効果】
【0021】
容易に設計できるアンテナ装置、及び、電子装置を提供できるという特有の効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】実施の形態1のアンテナ装置を含む電子装置を示す斜視図である。
【図2】実施の形態1のアンテナ装置100を示す平面図である。
【図3】実施の形態1のアンテナ装置100が実装される基板2を示す斜視分解図である。
【図4】実施の形態1のアンテナ装置100のVSWRの周波数特性を示す図である。
【図5】実施の形態1のアンテナ装置100のSパラメータ(S21)の周波数特性を示す図である。
【図6】実施の形態1の変形例によるアンテナ装置100A、100Bを示す図である。
【図7】実施の形態1の変形例によるアンテナ装置100C、100Dを示す図である。
【図8】実施の形態2のアンテナ装置200を示す図である。
【図9】実施の形態2のアンテナ装置200のVSWRの周波数特性を示す図である。
【図10】実施の形態2のアンテナ装置200のSパラメータ(S21)の周波数特性を示す図である。
【図11】実施の形態1のアンテナ装置100と、実施の形態2のアンテナ装置200のSパラメータ(S21)を示す図である。
【図12】実施の形態2の変形例によるアンテナ装置200A、200Bを示す図である。
【図13】実施の形態2の変形例によるアンテナ装置200Cを示す図である。
【図14】実施の形態3のアンテナ装置300を示す図である。
【図15】実施の形態3の変形例のアンテナ装置300A、300Bを示す図である。
【図16】実施の形態3のアンテナ装置300と、実施の形態3の変形例のアンテナ装置300AとのSパラメータ(S21)の周波数特性を示す図である。
【図17】実施の形態4のアンテナ装置400を示す図である。
【図18】実施の形態4のアンテナ装置400を基板2に実装した状態を示す図である。
【図19】実施の形態4の変形例のアンテナ装置400Aを示す図である。
【図20】実施の形態4の変形例のアンテナ装置400Aにおけるアンテナエレメント10A、10B、及びスロットアンテナ440の間におけるSパラメータ(S21)の周波数特性を示す図である。
【図21】実施の形態4の変形例のアンテナ装置400B、400Cを示す図である。
【図22】実施の形態4の変形例のアンテナ装置400B、400CにおけるSパラメータ(S21)の周波数特性を示す図である。
【図23】実施の形態5のアンテナ装置500を示す図である。
【図24】実施の形態5のアンテナ装置500のSパラメータ(S21)の周波数特性を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明のアンテナ装置、及び、電子装置を適用した実施の形態について説明する。
【0024】
図1は、実施の形態1のアンテナ装置を含む電子装置を示す斜視図である。図1(A)は電子装置の一例としてのUSB(Universal Serial Bus)ドングル1Aを示し、図1(B)は電子装置の他の一例としてのMini−PCI(Peripheral Component Interconnect)カード1Bを示す図である。図1(A)、(B)には、理解しやすくするために、内部構成を透視的に示す。
【0025】
USBドングル1Aは、アンテナ装置100、基板2、RF(Radio Frequency)通信装置3、MCU(Micro Control Unit)チップ4、及びUSBコネクタ5を含む。
【0026】
アンテナ装置100は、基板2に形成されている。基板2は、例えば、FR(Flame Retardant Type)4規格の多層基板である。RF通信装置3、MCUチップ4、及びUSBコネクタ5は、基板2に実装されている。
【0027】
アンテナ装置100は、基板2の配線を通じてRF通信装置3に接続されており、RF通信装置3は、基板2の配線を通じてMCUチップ4に接続されている。MCUチップ4は、基板2の配線を通じて、RF通信装置3とUSBコネクタ5に接続されている。
【0028】
このようなUSBドングル1Aは、例えば、PC(Personal Computer)等のUSBコネクタにUSBコネクタ5を差し込んだ状態で、MCUチップ4がRF通信装置3を駆動してアンテナ装置100を通じて無線通信を行い、PCを無線通信網(典型的には無線LAN(Local Area Network))に接続する。
【0029】
図1(B)に示すMini−PCIカード1Bは、アンテナ装置100、基板2、RF通信装置3、MCUチップ4、及びPCIコネクタ6を含む。図1(B)に示すアンテナ装置100、基板2、RF通信装置3、及びMCUチップ4は、図1(A)に示すUSBドングル1Aのアンテナ装置100、基板2、RF通信装置3、及びMCUチップ4と同様である。
【0030】
Mini−PCIカード1Bでは、MCUチップ4は基板2の配線を通じてRF通信装置3に接続されるとともに、基板2の配線を通じてPCIコネクタ6に接続されている。
【0031】
このようなMini−PCIカード1Bは、例えば、PC等のPCIコネクタにPCIコネクタ6を差し込んだ状態で、MCUチップ4がRF通信装置3を駆動してアンテナ装置100を通じて無線通信を行い、PCを無線通信網(典型的には無線LAN)に接続する。
【0032】
次に、図2及び図3を用いて、実施の形態1のアンテナ装置100について説明する。
【0033】
図2は、実施の形態1のアンテナ装置100を示す平面図である。
【0034】
アンテナ装置100は、アンテナエレメント10A、10B、及びグランドエレメント20を含む。アンテナエレメント10A、10B、及びグランドエレメント20は、例えば、銅箔をパターニングすることによって形成される。
【0035】
アンテナ装置100は、基板に形成されるが、基板に実装した状態については図3を用いて後述する。このため、図2には、アンテナエレメント10A、10B、及びグランドエレメント20のパターンについて説明する。
【0036】
なお、図2では、アンテナ装置100の横方向にX軸を取り、縦方向にY軸を取り、紙面を貫く方向にZ軸を取る。X軸及びY軸におけるプラス方向は、それぞれ、矢印が示す方向である。また、Z軸のプレス方向は、図面を奥から手前に貫く方向である。
【0037】
アンテナエレメント10A、10Bは、図2に示すように左右対称に形成されている。
【0038】
アンテナエレメント10Aは、第1アンテナ部の一例であり、グランドエレメント20に接続されるショートスタブ11A、給電部12A、給電線路13A、線路14A、及び端部15Aを有する。
【0039】
ショートスタブ11Aは、一端11A1がグランドエレメント20に接続されている。給電部12Aは、グランドエレメント20に近接しており、通信装置から給電が行われる。ショートスタブ11A、給電線路13A、及び線路14Aは逆F型のアンテナエレメント10Aを構成する。
【0040】
ショートスタブ11Aがグランドエレメント20に接続される一端11A1から開放端15Aまでの長さは、使用周波数における波長λの略1/4に設定される。これは、アンテナエレメント10Bの一端11B1から開放端15Bの長さについても同様である。
【0041】
線路14Aは、グランドエレメント20の端辺20Aと平行に延在し、ショートスタブ11A及び給電線路13Aは、端辺20Aとは直交する方向に延在する。
【0042】
端部15Aは、線路14Aの開放端であり、逆F型のアンテナエレメント10Aの開放端である。
【0043】
アンテナエレメント10Bは、第1アンテナ部の一例であり、グランドエレメント20に接続されるショートスタブ11B、給電部12B、給電線路13B、線路14B、及び端部15Bを有する。
【0044】
ショートスタブ11Bは、一端11B1がグランドエレメント20に接続されている。給電部12Bは、グランドエレメント20に近接しており、通信装置から給電が行われる。ショートスタブ11B、給電線路13B、及び線路14Bは逆F型のアンテナエレメント10Bを構成する。
【0045】
線路14Bは、グランドエレメント20の端辺20Aと平行に延在し、ショートスタブ11B及び給電線路13Bは、端辺20Aとは直交する方向に延在する。
【0046】
端部15Bは、線路14Bの開放端であり、逆F型のアンテナエレメント10Bの開放端である。
【0047】
アンテナエレメント10Bは、アンテナエレメント10Aとは左右対称に形成されており、ショートスタブ11Aと11Bは、間隔Aをおいて平行に配設されている。
【0048】
このようなアンテナエレメント10A、10Bの偏波方向は、Y軸におけるプラス方向及びマイナス方向である。
【0049】
ここで、間隔Aは、例えば、使用周波数における波長λのλ/20以下であることが好ましい。この理由については後述する。
【0050】
グランドエレメント20は、グランド部の一例であり、矩形状にパターニングされている。グランドエレメント20の横方向の幅(X方向の長さ)Bは、例えば30mmであり、縦方向(Y軸方向)の長さCは、例えば24mmである。また、端辺20Aから線路14A及び14Bの上端までの距離は、例えば、2.5mmである。これらは、使用周波数が2.45GHzの場合の数値である。
【0051】
なお、使用周波数が2.45GHzの場合、ショートスタブ11Aと11Bの間隔Aは、略5mmになる。また、ショートスタブ11A、11B、給電線路13A、13A、及び線路14A、14Bの線幅は、一例として、0.5mmに設定した。
【0052】
次に、図3の斜視分解図を用いて、アンテナ装置100を基板2(図1(A)、(B)参照)に実装する形態について説明する。
【0053】
図3は、実施の形態1のアンテナ装置100が実装される基板2を示す斜視分解図である。図3には符号100を示さないが、図2に示すアンテナ装置100の構成要素のすべてを示す。
【0054】
ここで、基板2は、4層の銅箔層と、3層の絶縁層2A〜2Cを有する所謂4層基板であるものとする。図3には、4層の銅箔層のうち、絶縁層2Aの表面に形成される第1層と、絶縁層2Aと2Bとの間に形成される第2層とを示す。
【0055】
また、例えば、絶縁層2A、2Cはプリプレグ層であり、絶縁層2Bはガラスエポキシ材を含むコア層である。
【0056】
図3では、分かりやすさのために、絶縁層2Aの表面に第1層(アンテナエレメント10A、10B等)がパターニングされ、絶縁層2Bの上面に第2層(グランドエレメント20等)がパターニングされているものとして説明を行う。
【0057】
4層の銅箔層と、3層の絶縁層2A〜2Cは、加熱及び加圧された状態で熱圧着され、アンテナ装置100が形成された基板2になる。
【0058】
絶縁層2Aには、アンテナエレメント10A、10Bが形成されるとともに、RF通信装置3が実装されている。アンテナエレメント10A、10Bの給電部12A、12Bは、マイクロストリップライン3A、3Bを介して、RF通信装置3から給電を受けるように構成されている。
【0059】
絶縁層2Bには、グランドエレメント20が形成されている。なお、絶縁層2Aには、グランドエレメント20が位置する部分を破線で示す。絶縁層2Bには、アンテナエレメント10A、10Bが位置する部分を破線で示す。
【0060】
ここで、グランドエレメント20を矩形状に表すが、グランドエレメント20は、ショートスタブ11Aの一端11A1とショートスタブ11Bの一端11B1との間のグランドエレメント20の端辺20Aが直線状に構成されていればよい。すなわち、端辺20A以外の辺については、必ずしも直線状でなくてもよい。また、グランドエレメント20には、例えば、層間配線であるビアを避けるようにパターニングされていてもよい。
【0061】
また、図3では、絶縁層2Cの両面に配設される銅箔層を省略するが、絶縁層2Cの上面及び下面には、例えば、電源層及び信号層がそれぞれ形成される。
【0062】
アンテナエレメント10Aのショートスタブ11Aの一端11A1は、絶縁層2Aを厚さ方向に貫通するビアにより、グランドエレメントの接続部21Aに接続されている。
【0063】
同様に、アンテナエレメント10Bのショートスタブ11Bの一端11B1は、絶縁層2Bを厚さ方向に貫通するビアにより、グランドエレメントの接続部21Bに接続されている。
【0064】
RF通信装置3は、図示しない層間配線を通じて、絶縁層2Bに形成されるグランドエレメント20に接続されている。
【0065】
次に、図4及び図5を用いて、実施の形態1のアンテナ装置100のVSWR(Voltage Standing Wave Ratio:電圧定在波比)とSパラメータ(S21)の周波数特性について説明する。
【0066】
図4は、実施の形態1のアンテナ装置100のVSWRの周波数特性を示す図である。
【0067】
図4に示すように、アンテナエレメント10A、10Bともに、使用周波数である2.45GHzで極小値(約3.5前後)の値が得られ、反射が少ない良好な結果が得られた。
【0068】
このことから、2.45GHzの帯域における無線通信を行うのに適切なアンテナ装置100が得られることが分かった。
【0069】
図5は、実施の形態1のアンテナ装置100のSパラメータ(S21)の周波数特性を示す図である。
【0070】
図5に示すSパラメータ(S21)は、アンテナエレメント10Aとアンテナエレメント10Bとで通信を行った場合に得られる挿入損失(SパラメータのS21)を表すものである。すなわち、アンテナエレメント10Aとアンテナエレメント10Bとで通信を行った場合に、給電部12A又は12Bで得られる挿入損失(SパラメータのうちのS21)を表す。
【0071】
また、図5に示す5本の特性は、ショートスタブ11Aと11Bの間隔Aを変えた5種類のアンテナ装置100によって得られるSパラメータ(S21)を示す。
【0072】
間隔Aが1mm、3mm、5mm、7mm、9mmの5種類のアンテナ装置100についてSパラメータ(S21)をシミュレーションで求めた。
【0073】
この結果、すべての場合において、使用周波数である2.45GHzの近傍で約−20dB以下の比較的良好な値が得られたが、間隔Aが7mmと9mmの場合は、2.45GHzの前後でSパラメータ(S21)の値が極大になった。
【0074】
これに対して、間隔Aが1mm、3mm、5mmの場合については、2.45GHzの前後で極小値を有する特性が得られ、特に、間隔Aが3mmの場合には、約−29dBとかなり良好なSパラメータ(S21)の値が得られた。
【0075】
また、図5には示さないが、間隔Aを6mmに設定した場合にも、2.45GHzの前後で極小値を有する良好な特性が得られ、間隔Aを5mmに設定した場合と略同様の結果が得られた。
【0076】
以上のように、間隔Aが6mm程度までの比較的狭い場合にSパラメータ(S21)は良好な値を示し、間隔Aが7mm以上の場合の比較的広い場合にSパラメータ(S21)は2.45GHz前後に極小値を有しないことが分かった。
【0077】
このように、間隔Aが6mm程度までの比較的狭い場合にSパラメータ(S21)が良好な値を示したのは、2つのアンテナエレメント10A、10Bの干渉が低減されたためと考えられる。
【0078】
ここで、周波数が2.45GHzの場合の波長λは、約120mmである。間隔Aは6mm以下であることが好ましいことが分かったため、間隔Aは、λ/20以下であることが好ましいと言える。
【0079】
以上より、実施の形態1によれば、ショートスタブ11A、11B同士が隣り合うように逆F型のアンテナエレメント10A、10Bを左右対称に配置し、かつ、ショートスタブ11Aの一端11A1とショートスタブ11Bの一端11B1との間のグランドエレメント20の端辺20Aを直線状に構成し、さらに、ショートスタブ11A、11Bの間隔Aを使用周波数における波長λのλ/20以下に設定することにより、2つの逆F型のアンテナエレメント10A、10Bの干渉を低減したアンテナ装置100を提供することができる。
【0080】
このようなアンテナ装置100は、例えば、無線LAN用の通信やダイバーシティアンテナとして用いることができる。また、このようなアンテナ装置100を複数用いることにより、WiMAX等のMIMO(Multiple Input Multiple Output)通信を実現することができる。
【0081】
また、上述のように、実施の形態1のアンテナ装置100は、ショートスタブ11Aの一端11A1とショートスタブ11Bの一端11B1との間のグランドエレメント20の端辺20Aを直線状に構成している。
【0082】
このため、例えば、RF通信装置3やMCUチップ4のような電子部品等とともにアンテナ装置100を一つの電子装置(例えば、USBドングル1AやMini−PCIカード1B(図1(A)、(B)参照))に実装する場合に、グランドエレメント20の端辺20Aの部分においてスペース的な制約が生じない。例えば、端辺20Aのエッジに沿って、RF通信装置3を配設できるので、省スペース化をはかることができる。
【0083】
また、グランド部に切り欠き部を有する従来のアンテナ装置に比べると、良好なアンテナ特性を得るために考慮する必要のあるパラメータが(切り欠き部の分だけ)減るため、アンテナ装置100を設計する際の負担が軽減される。
【0084】
以上、実施の形態1によれば、ショートスタブ11Aの一端11A1とショートスタブ11Bの一端11B1との間のグランドエレメント20の端辺20Aを直線状に構成しているため、容易に設計できるアンテナ装置100を提供できる。
【0085】
なお、実施の形態1のアンテナ装置100は、図6及び図7に示す変形例のように、無給電素子やインダクタを追加することにより、使用周波数を調整することができる。
【0086】
図6は、実施の形態1の変形例によるアンテナ装置100A、100Bを示す図である。
【0087】
図6(A)に示すアンテナ装置100Aは、図2に示すアンテナ装置100に、逆F型のアンテナエレメント10A、10Bの給電線路13A、13Bよりも幅方向(X軸方向)における外側に位置する無給電素子30A、30Bを追加したものである。無給電素子30A、30Bは、グランドエレメント20の端辺20Aに接続されており、それぞれ、アンテナエレメント10A、10Bと結合(電磁界結合)されている。
【0088】
無給電素子30A、30Bの長さは、5GHzの波長λの略1/4の長さになるように設定されている。
【0089】
このため、給電部12Aに、2.45GHzの電力を供給すると、逆F型のアンテナエレメント10Aが励振され、電波が放射される。また、給電部12Aに5GHzの電力を供給すると、アンテナエレメント10Aを介して、無給電素子30Aが励振され、無給電素子30Aから電波が放射される。なお、これは、給電部12Bに2.45GHz又は5GHzの電力を供給した場合におけるアンテナエレメント10Bと無給電素子30Bの動作についても同様である。
【0090】
従って、無給電素子30A、30Bを加えることにより、2つの使用周波数を有するデュアルバンドのアンテナ装置100Aを提供することができる。
【0091】
図6(B)に示すアンテナ装置100Bは、図2に示すアンテナ装置100の線路14A、14Bに、それぞれ、インダクタチップ31A、31Bを挿入したものである。
【0092】
アンテナエレメント10A、10Bの線路14A、14Bにインダクタを挿入すると、実質的に使用周波数を低周波数側にシフトさせることができる。これは、換言すれば、線路長を長くすることができるため、同じ使用周波数を用いる場合には線路14A、14Bを短くすることができる。従って、アンテナ装置100Bをアンテナ装置100よりも小型化できる。
【0093】
このため、インダクタチップ31A、31Bを線路14A、14Bに挿入することにより、使用周波数の調整、又は、アンテナ装置100Bの小型化を図ることができる。
【0094】
図7は、実施の形態1の変形例によるアンテナ装置100C、100Dを示す図である。
【0095】
図7(A)に示すアンテナ装置100Cは、図2に示すアンテナ装置100に、アンテナ部32A、32B、及び延在グランド部33を追加したものである。
【0096】
アンテナ部32A、32Bは、給電線路13A、13Bにそれぞれ接続されており、それぞれ、グランドエレメント20の端辺20Aに沿って、アンテナ装置100CのX方向における外側に延在するように構成されている。
【0097】
アンテナ部32A、32Bの長さは、5GHzの波長λの略1/4の長さになるように設定されている。
【0098】
このため、給電部12Aに、2.45GHzの電力を供給すると、逆F型のアンテナエレメント10Aが励振され、電波が放射される。また、給電部12Aに5GHzの電力を供給すると、アンテナエレメント10Aを介して、アンテナ部32Aが励振され、アンテナ部32Aから電波が放射される。なお、これは、給電部12Bに2.45GHz又は5GHzの電力を供給した場合におけるアンテナエレメント10Bとアンテナ部32Bの動作についても同様である。
【0099】
また、延在グランド部33は、ショートスタブ11A、11Bの間においてグランドエレメント20に接続され、グランドエレメント20の端辺20Aから、Y軸プラス方向に延在している。
【0100】
従って、アンテナ装置100Cは、アンテナ部32A、32Bを加えることにより、2つの使用周波数を有するデュアルバンドのアンテナ装置である。また、延在グランド部33を追加することによって、アンテナエレメント10A、10Bとグランドエレメント20との結合状態を調整できるので、アンテナ装置100Cの周波数特性を調整することができる。
【0101】
なお、図7(A)に示すアンテナ装置100Cのアンテナエレメント10A、10Bの線路14A、14Bにインダクタチップ31A、31Bを挿入することにより、アンテナ装置100Cの小型化を図ってもよい。
【0102】
図7(B)に示すアンテナ装置100Dは、図2に示すアンテナ装置100に、アンテナ部32A、32B、及び延在グランド部33A、33Bを追加したものである。
【0103】
アンテナ部32A、32Bは、図7(A)に示すアンテナ部32A、32Bと同様である。
【0104】
延在グランド部33A、33Bは、ショートスタブ11A、11Bの間においてグランドエレメント20に接続され、グランドエレメント20の端辺20Aから、Y軸プラス方向に延在している。
【0105】
従って、アンテナ装置100Dは、アンテナ部32A、32Bを加えることにより、2つの使用周波数を有するデュアルバンドのアンテナ装置である。また、延在グランド部33A、33Bを追加することによって、アンテナエレメント10A、10Bとグランドエレメント20との結合状態を調整できるので、アンテナ装置100Dの周波数特性を調整することができる。
【0106】
なお、図7(B)に示すアンテナ装置100Dのアンテナエレメント10A、10Bの線路14A、14Bにインダクタチップ31A、31Bを挿入することにより、アンテナ装置100Dの小型化を図ってもよい。
【0107】
<実施の形態2>
図8は、実施の形態2のアンテナ装置200を示す図である。
【0108】
実施の形態2のアンテナ装置200は、実施の形態1の変形例のアンテナ装置100C(図7(A)参照)の延在グランド部33をX方向に拡げることにより、ショートスタブ11A、11Bと一体化した構成を有する。その他は実施の形態1のアンテナ装置100と同様であるため、同様の構成要素には同一符号を付し、その説明を省略する。
【0109】
実施の形態2のアンテナ装置200は、アンテナエレメント210A、210B、及びグランドエレメント20を含む。
【0110】
アンテナエレメント210A、210Bのショートスタブ211A、211Bの間に、延在グランド部233を有する。ショートスタブ211A、延在グランド部233、及びショートスタブ211Bは一体化されている。これは、ショートスタブ211A、211Bの幅を拡げて一体化したと考えることもできる。
【0111】
このように延在グランド部233を有する場合でも、アンテナ装置200のショートスタブ211A、211Bとグランドエレメント20とをそれぞれ接続する一端211A1と一端211B1との間には、破線で示すように、直線部が存在する。
【0112】
なお、実施の形態1のアンテナ装置100では、ショートスタブ11Aと11Bの内側の間隔A(図2参照)を変更した場合のアンテナ特性について評価したが、実施の形態2では、ショートスタブ211A及び211Bの外側の寸法A'を変更してアンテナ特性の評価を行う。
【0113】
図9は、実施の形態2のアンテナ装置200のVSWRの周波数特性を示す図である。
【0114】
図9に示すように、アンテナエレメント210A、210Bともに、使用周波数である2.45GHzで極小値(約3.2前後)の値が得られ、反射が少ない良好な結果が得られた。
【0115】
このことから、2.45GHzの帯域における無線通信を行うのに適切なアンテナ装置200が得られることが分かった。
【0116】
図10は、実施の形態2のアンテナ装置200のSパラメータ(S21)の周波数特性を示す図である。
【0117】
図10に示すSパラメータ(S21)は、アンテナエレメント210Aとアンテナエレメント210Bとで通信を行った場合に得られる挿入損失(SパラメータのS21)を表すものである。すなわち、アンテナエレメント210Aとアンテナエレメント210Bとで通信を行った場合に、給電部12A又は12Bで得られる挿入損失(SパラメータのうちのS21)を表す。
【0118】
図10に示す5本の特性は、ショートスタブ211Aと211Bの寸法A'を変えた6種類のアンテナ装置200によって得られるSパラメータ(S21)を示す。
【0119】
寸法A'が1mm、2mm、4mm、5mm、6mm、8mmの6種類のアンテナ装置200についてSパラメータ(S21)をシミュレーションで求めた。
【0120】
この結果、寸法A'が1mm、2mm、4mmの場合には、2.5GHz近傍で極小となり、寸法A'が5mm、6mmの場合には、使用周波数である2.45GHzの近傍で約−25dB以下の比較的良好な値が得られた。寸法A'が8mmの場合は、2.3GHzの前後でSパラメータ(S21)の値が極小になった。
【0121】
以上のように、アンテナエレメント210A、210Bのショートスタブ211A、211Bの間に、延在グランド部233を有するアンテナ装置200では、寸法A'が5〜6mm程度の場合にSパラメータ(S21)は良好な値を示すことが分かった。
【0122】
このように、寸法A'が6mm程度までの比較的狭い場合にSパラメータ(S21)が良好な値を示したのは、2つのアンテナエレメント210A、210Bの干渉が低減されたためと考えられる。
【0123】
ここで、周波数が2.45GHzの場合の波長λは、約120mmである。また、寸法A'は6mm前後であることが好ましいことが分かった。このため、アンテナエレメント210A、210Bのショートスタブ211A、211Bの間に、延在グランド部233を有するアンテナ装置200では、寸法A'は、λ/20前後であることが好ましいと言える。
【0124】
以上より、実施の形態2によれば、アンテナエレメント210A、210Bのショートスタブ211A、211Bの間に、延在グランド部233を有し、かつ、ショートスタブ211A、211Bの寸法A'を使用周波数における波長λのλ/20程度に設定することにより、2つの逆F型のアンテナエレメント210A、210Bの干渉を低減したアンテナ装置200を提供することができる。
【0125】
このようなアンテナ装置200は、例えば、無線LAN用の通信やダイバーシティアンテナとして用いることができる。また、このようなアンテナ装置200を複数用いることにより、WiMAX等のMIMO通信を実現することができる。
【0126】
また、上述のように、実施の形態2のアンテナ装置200は、ショートスタブ211Aの一端211A1とショートスタブ211Bの一端211B1との間において、グランドエレメント20は直線状に構成されており、さらにこの直線から延在する延在グランド部233を有する。
【0127】
このため、例えば、RF通信装置3やMCUチップ4のような電子部品等とともにアンテナ装置200を一つの電子装置(例えば、USBドングル1AやMini−PCIカード1B(図1(A)、(B)参照))に実装する場合に、グランドエレメント20の端辺20Aの部分においてスペース的な制約が生じない。例えば、端辺20Aのエッジに沿って、RF通信装置3を配設できるので、省スペース化をはかることができる。
【0128】
また、グランド部に切り欠き部を有する従来のアンテナ装置に比べると、良好なアンテナ特性を得るために考慮する必要のあるパラメータが(切り欠き部の分だけ)減るため、アンテナ装置200を設計する際の負担が軽減される。
【0129】
以上、実施の形態2によれば、ショートスタブ211Aの一端211A1とショートスタブ211Bの一端211B1との間のグランドエレメント20の端辺20Aを直線状に構成し、さらにこの直線から延在する延在グランド部233を有するため、容易に設計できるアンテナ装置200を提供できる。
【0130】
ここで、図11を用いて、実施の形態1のアンテナ装置100と、実施の形態2のアンテナ装置200のSパラメータ(S21)を比較する。
【0131】
図11は、実施の形態1のアンテナ装置100と、実施の形態2のアンテナ装置200のSパラメータ(S21)を示す図である。図11には、間隔Aが5mmの場合の実施の形態1のアンテナ装置100のSパラメータ(S21)を実線で示し、寸法A'が6mmの場合の実施の形態2のアンテナ装置200のSパラメータ(S21)を破線で示す。
【0132】
ここで、ショートスタブ11A、11B、211A、211B、給電線路13A、13A、及び線路14A、14Bの線幅は、0.5mmに設定されているため、実施の形態1のアンテナ装置100のショートスタブ11A、11Bの間隔と、実施の形態2のアンテナ装置200のショートスタブ211A、211Bの間隔とは等しい。
【0133】
図11に示すように、アンテナ装置100と200では、周波数特性が異なることが分かる。アンテナ装置100の方が極小値は高いが、全体的に特性は緩やかである。一方、アンテナ装置200は、極小値は低いが、全体的に特性は急峻である。
【0134】
このように、延在グランド部233を用いることによって周波数特性を調整できるため、用途や使用周波数に応じて、延在グランド部233の有無を決定すればよい。
【0135】
なお、実施の形態2のアンテナ装置200は、図12及び図13に示す変形例のように、無給電素子やインダクタを追加することにより、使用周波数を調整することができる。
【0136】
図12は、実施の形態2の変形例によるアンテナ装置200A、200Bを示す図である。
【0137】
図12(A)に示すアンテナ装置200Aは、図8に示すアンテナ装置200に、逆F型のアンテナエレメント210A、210Bの給電線路13A、13Bよりも幅方向(X軸方向)における外側に位置する無給電素子30A、30Bを追加するとともに、線路14A、14Bにインダクタチップ31A、31Bを追加したものである。無給電素子30A、30Bは、グランドエレメント20の端辺20Aに接続されており、それぞれ、アンテナエレメント210A、210Bと結合(電磁界結合)されている。
【0138】
無給電素子30A、30Bの長さは、5GHzの波長λの略1/4の長さになるように設定されている。
【0139】
また、アンテナエレメント210A、210Bの線路14A、14Bには、インダクタチップ31A、31Bが挿入されている。
【0140】
アンテナエレメント210A、210Bの線路14A、14Bにインダクタを挿入すると、実質的に使用周波数を低周波数側にシフトさせることができる。これは、換言すれば、線路長を長くすることができるため、同じ使用周波数を用いる場合には線路14A、14Bを短くすることができる。従って、アンテナ装置200Aをアンテナ装置200よりも小型化できる。
【0141】
以上より、給電部12Aに、2.45GHzの電力を供給すると、逆F型のアンテナエレメント210Aが励振され、電波が放射される。また、給電部12Aに5GHzの電力を供給すると、アンテナエレメント210Aを介して、無給電素子30Aが励振され、無給電素子30Aから電波が放射される。なお、これは、給電部12Bに2.45GHz又は5GHzの電力を供給した場合におけるアンテナエレメント210Bと無給電素子30Bの動作についても同様である。
【0142】
また、インダクタチップ31A、31Bを線路14A、14Bに挿入することにより、使用周波数の調整、又は、アンテナ装置200Aの小型化を図ることができる。
【0143】
従って、無給電素子30A、30Bを加えることにより、2つの使用周波数を有するとともに、小型化を図ったアンテナ装置200Aを提供することができる。
【0144】
なお、図12(A)に示すアンテナ装置200Aは、インダクタチップ31A、31Bを含まなくてもよい。
【0145】
図12(B)に示すアンテナ装置200Bは、図8に示すアンテナ装置200に、アンテナ部32A、32Bを追加したものである。
【0146】
アンテナ部32A、32Bは、給電線路13A、13Bにそれぞれ接続されており、それぞれ、グランドエレメント20の端辺20Aに沿って、アンテナ装置200CのX方向における外側に延在するように構成されている。
【0147】
アンテナ部32A、32Bの長さは、5GHzの波長λの略1/4の長さになるように設定されている。
【0148】
このため、給電部12Aに、2.45GHzの電力を供給すると、逆F型のアンテナエレメント210Aが励振され、電波が放射される。また、給電部12Aに5GHzの電力を供給すると、アンテナエレメント210Aを介して、アンテナ部32Aが励振され、アンテナ部32Aから電波が放射される。なお、これは、給電部12Bに2.45GHz又は5GHzの電力を供給した場合におけるアンテナエレメント210Bとアンテナ部32Bの動作についても同様である。
【0149】
従って、アンテナ装置200Bは、アンテナ部32A、32Bを加えることにより、2つの使用周波数を有するデュアルバンドのアンテナ装置である。
【0150】
図13は、実施の形態2の変形例によるアンテナ装置200Cを示す図である。
【0151】
図13に示すアンテナ装置200Cは、図12(B)に示すアンテナ装置200Bの線路14A、14Bにインダクタチップ31A、31Bを追加したものである。
【0152】
アンテナエレメント210A、210Bの線路14A、14Bにインダクタを挿入すると、実質的に使用周波数を低周波数側にシフトさせることができる。これは、換言すれば、線路長を長くすることができるため、同じ使用周波数を用いる場合には線路14A、14Bを短くすることができる。従って、アンテナ装置200Cをアンテナ装置200Bよりも小型化できる。
【0153】
<実施の形態3>
図14は、実施の形態3のアンテナ装置300を示す図である。
【0154】
実施の形態3のアンテナ装置300は、実施の形態2のアンテナ装置200(図8参照)線路14A、14BをX方向に少し引き伸ばし、さらにY軸マイナス方向に延在する線路317A、317Bを接続したものである。その他は実施の形態2のアンテナ装置200と同様であるため、同様の構成要素には同一符号を付し、その説明を省略する。
【0155】
実施の形態3のアンテナ装置300は、アンテナエレメント310A、310B、及びグランドエレメント20を含む。
【0156】
アンテナエレメント310A、310Bのショートスタブ311A、311Bの間に、延在グランド部333を有する。ショートスタブ311A、延在グランド部333、及びショートスタブ311Bは一体化されている。これは、ショートスタブ311A、311Bの幅を拡げて一体化したと考えることもできる。
【0157】
なお、このように延在グランド部333を有する場合でも、アンテナ装置300のショートスタブ311A、311Bとグランドエレメント20とをそれぞれ接続する一端311A1と一端311B1との間には、破線で示すように、直線部が存在する。
【0158】
線路314A、314Bは、実施の形態2のアンテナ装置200の線路14A、14BよりもY軸方向で外側に延伸されている。また、線路314A、314Bには、それぞれ、端部316A、316Bにおいて、Y軸マイナス方向に延在する線路317A、317Bが接続されている。線路317A、317Bの端部は、それぞれ開放端315A、315Bとなっている。
【0159】
アンテナエレメント310A、310Bは、それぞれ、ショートスタブ311A、311B、給電線路13A、13B、線路314A、314B、及び線路317A、317Bを有する。
【0160】
このため、逆F型のアンテナエレメント310A、310Bの長さは、それぞれ、一端311A1、311B1から開放端315A、315Bまでで、使用周波数における波長λの略1/4の長さに設定すればよい。
【0161】
このようなアンテナ装置300において、線路314A、314Bでの偏波方向は、Y軸のプラス方向及びマイナス方向であり、線路317A、317Bでの偏波方向は、X軸のプラス方向及びマイナス方向である。
【0162】
このため、アンテナエレメント310Aでの偏波方向は、線路314Aでの偏波方向と、線路317Aでの偏波方向と合成された方向であり、Y=−Xなる直線で表される方向である。また、アンテナエレメント310Bでの偏波方向は、線路314Bでの偏波方向と、線路317Bでの偏波方向と合成された方向であり、Y=Xなる直線で表される方向である。
【0163】
実施の形態3のアンテナ装置300は、アンテナエレメント310A、310Bの長さを、それぞれ、一端311A1、311B1から開放端315A、315Bまでで、使用周波数における波長λの略1/4の長さに設定すればよいため、実施の形態2のアンテナ装置200(図8参照)よりも小型化を図ることができる。
【0164】
また、線路317A、317Bは、それぞれ、グランドエレメント20と結合(電磁界結合)するので、線路317A、317Bの長さやグランドエレメント20との間の距離を設定することにより、アンテナ装置300の周波数特性を調整することができる。
【0165】
また、上述のように、実施の形態3のアンテナ装置300は、ショートスタブ311Aの一端311A1とショートスタブ311Bの一端311B1との間において、グランドエレメント20は直線状に構成されており、さらにこの直線から延在する延在グランド部333を有する。
【0166】
このため、例えば、RF通信装置3やMCUチップ4のような電子部品等とともにアンテナ装置300を一つの電子装置(例えば、USBドングル1AやMini−PCIカード1B(図1(A)、(B)参照))に実装する場合に、グランドエレメント20の端辺20Aの部分においてスペース的な制約が生じない。例えば、端辺20Aのエッジに沿って、RF通信装置3を配設できるので、省スペース化をはかることができる。
【0167】
また、グランド部に切り欠き部を有する従来のアンテナ装置に比べると、良好なアンテナ特性を得るために考慮する必要のあるパラメータが(切り欠き部の分だけ)減るため、アンテナ装置300を設計する際の負担が軽減される。
【0168】
以上、実施の形態3によれば、ショートスタブ311Aの一端311A1とショートスタブ311Bの一端311B1との間のグランドエレメント20の端辺20Aを直線状に構成し、さらにこの直線から延在する延在グランド部333を有するため、容易に設計できるアンテナ装置300を提供できる。
【0169】
図15は、実施の形態3の変形例のアンテナ装置300A、300Bを示す図である。図15(A)はアンテナ装置300Aを示し、図15(B)はアンテナ装置300Bを示す。
【0170】
図15(A)に示すアンテナ装置300Aは、図14に示すアンテナ装置300から線路317Aを取り除き、線路314Bの長さをアンテナ装置300(図14参照)の線路314Bよりも少し短くして、かつ、線路317Bの長さを少し長くしたものである。
【0171】
アンテナ装置300Aのショートスタブ311Aと線路314Aの合計の長さは、使用周波数における波長λの略1/4の長さに設定されており、アンテナ装置300Aのショートスタブ311B、線路314B、及び線路317Bの合計の長さも、使用周波数における波長λの略1/4の長さに設定されている。
【0172】
図15(B)に示すアンテナ装置300Bは、図14に示すアンテナ装置300の線路314A、314Bに、インダクタチップ31A、31Bを挿入したものである。
【0173】
このようなアンテナ装置300Bによれば、図14に示すアンテナ装置300よりも小型化を図ることができる。
【0174】
図16は、実施の形態3のアンテナ装置300と、実施の形態3の変形例のアンテナ装置300AとのSパラメータ(S21)の周波数特性を示す図である。
【0175】
実線で示すアンテナ装置300のSパラメータ(S21)と、破線で示すアンテナ装置300AのSパラメータ(S21)とを比べると、極小値を与える周波数の値がシフトしていることが分かる。
【0176】
このため、実施の形態3のように、アンテナエレメント310A、310Bに、線路317A又は317Bを追加することにより、周波数特性を調整できることが分かる。
【0177】
このような線路317A又は317Bの長さやグランドエレメント20に対する位置を調整することにより、使用周波数においてSパラメータ(S21)の値が極小になるようにすればよい。
【0178】
<実施の形態4>
図17は、実施の形態4のアンテナ装置400を示す図である。
【0179】
アンテナ装置400は、実施の形態1のアンテナ装置100(図2参照)のグランドエレメント20に、スロットアンテナ440を付加した構成を有する。その他の構成は実施の形態1のアンテナ装置100と同様であるため、同様の構成要素には同一符号を付し、その説明を省略する。
【0180】
アンテナ装置400は、アンテナエレメント10A、10B、グランドエレメント20、及びスロットアンテナ440を含む。
【0181】
グランドエレメント20の中央部には、スロットアンテナ440が形成されている。スロットアンテナ440は、グランドエレメント20のX軸方向の中央において、Y軸方向に形成されたスロットによって構成される。スロットアンテナ440は、Y軸方向における長さ(一端440Aから他端440Bまでの長さ)が使用周波数における波長λの1/2に設定されており、一端440Aからλ/20の位置に、給電部441を有する。
【0182】
ここで、アンテナエレメント10A、10Bの偏波方向は、Y軸のプラス方向及びマイナス方向であり、スロットアンテナ440の偏波方向は、X軸のプラス方向及びマイナス方向である。
【0183】
実施の形態4のアンテナ装置400は、アンテナエレメント10A、10Bに加えて、スロットアンテナ440によっても通信を行うことができるため、例えば、アンテナ装置400を複数用いることにより、3つのアンテナを有するアンテナ装置400同士でMIMO通信を行うことができる。
【0184】
次に、図18の斜視分解図を用いて、アンテナ装置400を基板2(図1(A)、(B)参照)に実装する形態について説明する。
【0185】
図18は、実施の形態4のアンテナ装置400を基板2に実装した状態を示す図である。
【0186】
絶縁層2Aには、アンテナエレメント10A、10Bが形成されるとともに、RF通信装置3が実装されている。アンテナエレメント10A、10Bの給電部12A、12Bは、マイクロストリップライン3A、3Bを介して、RF通信装置3から給電を受けるように構成されている。
【0187】
絶縁層2Bには、グランドエレメント20が形成されている。グランドエレメント20には、スロットアンテナ440が形成されている。なお、絶縁層2Aには、グランドエレメント20が位置する部分を破線で示す。絶縁層2Bには、アンテナエレメント10A、10Bが位置する部分を破線で示す。
【0188】
スロットアンテナ440の給電部441は、絶縁層2Aを貫通するビア(図示せず)と、絶縁層2Aに形成されるマイクロストリップライン3Cを通じて、RF通信装置3から給電を受けるように構成されている。
【0189】
アンテナエレメント10Aのショートスタブ11Aの一端11A1は、絶縁層2Aを厚さ方向に貫通するビアにより、グランドエレメントの接続部21Aに接続されている。
【0190】
同様に、アンテナエレメント10Bのショートスタブ11Bの一端11B1は、絶縁層2Bを厚さ方向に貫通するビアにより、グランドエレメントの接続部21Bに接続されている。
【0191】
RF通信装置3は、図示しない層間配線を通じて、絶縁層2Bに形成されるグランドエレメント20に接続されている。
【0192】
図19は、実施の形態4の変形例のアンテナ装置400Aを示す図である。
【0193】
アンテナ装置400Aは、実施の形態2のアンテナ装置200(図8参照)に、スロットアンテナ440と、インダクタチップ31A、31Bを付加したものである。なお、スロットアンテナ440は、図17に示すアンテナ装置400のスロットアンテナ440と同様である。このため、実施の形態2のアンテナ装置200と同様の構成要素には同一符号を付し、その説明を省略する。
【0194】
ここで、アンテナエレメント210A、210Bの偏波方向は、Y軸方向であり、スロットアンテナ440の偏波方向は、X軸方向である。
【0195】
図20は、実施の形態4の変形例のアンテナ装置400Aにおけるアンテナエレメント10A、10B、及びスロットアンテナ440の間におけるSパラメータ(S21)の周波数特性を示す図である。
【0196】
図20において、実線で示す特性Aは、アンテナエレメント210Aとアンテナエレメント210Bとで通信を行った場合に得られる挿入損失(SパラメータのS21)を表すものである。すなわち、アンテナエレメント210Aとアンテナエレメント210Bとで通信を行った場合に、給電部12A又は12Bで得られる挿入損失(SパラメータのうちのS21)を表す。
【0197】
破線で示す特性Bは、アンテナエレメント210Aとスロットアンテナ440とで通信を行った場合に得られる挿入損失(SパラメータのS21)を表すものである。すなわち、アンテナエレメント210Aとスロットアンテナ440とで通信を行った場合に、給電部12A又は給電部441で得られる挿入損失(SパラメータのうちのS21)を表す。
【0198】
一点鎖線で示す特性Cは、アンテナエレメント210Bとスロットアンテナ440とで通信を行った場合に得られる挿入損失(SパラメータのS21)を表すものである。すなわち、アンテナエレメント210Bとスロットアンテナ440とで通信を行った場合に、給電部12B又は給電部441で得られる挿入損失(SパラメータのうちのS21)を表す。
【0199】
特性Aは、約2.25GHzで極小値(約−41dB)を取り、約2.5GHzで極大値(約−10dB)を取る特性であった。
【0200】
特性Bは、約2.45GHzで極小値(約−44dB)を取り、約2.2GHzで極大値(約−11dB)を取る特性であった。
【0201】
特性Cは、約2.45GHzで極小値(約−36dB)を取り、約2.2GHzで極大値(約−12dB)を取る特性であった。
【0202】
これらの結果より、アンテナエレメント210A及び210Bと、スロットアンテナ440との相関は小さいことが分かった。
【0203】
このように、実施の形態4の変形例によれば、アンテナエレメント210A及び210Bと、スロットアンテナ440との相関が小さいアンテナ装置400Aを提供することができる。
【0204】
例えば、アンテナ装置400Aを複数用いれば、3つのアンテナを有するアンテナ装置400A同士で、WiMAX等のMIMO通信を実現することができる。
【0205】
また、上述のように、実施の形態4のアンテナ装置400(図17参照)は、ショートスタブ11Aの一端11A1とショートスタブ11Bの一端11B1との間のグランドエレメント20の端辺20Aを直線状に構成している。
【0206】
このため、例えば、RF通信装置3やMCUチップ4のような電子部品等とともにアンテナ装置400を一つの電子装置(例えば、USBドングル1AやMini−PCIカード1B(図1(A)、(B)参照))に実装する場合に、グランドエレメント20の端辺20Aの部分においてスペース的な制約が生じない。例えば、端辺20Aのエッジに沿って、RF通信装置3を配設できるので、省スペース化をはかることができる。
【0207】
また、グランド部に切り欠き部を有する従来のアンテナ装置に比べると、良好なアンテナ特性を得るために考慮する必要のあるパラメータが(切り欠き部の分だけ)減るため、アンテナ装置400を設計する際の負担が軽減される。
【0208】
以上、実施の形態4によれば、ショートスタブ11Aの一端11A1とショートスタブ11Bの一端11B1との間のグランドエレメント20の端辺20Aを直線状に構成しているため、容易に設計できるアンテナ装置400を提供できる。
【0209】
また、実施の形態4のアンテナ装置400は、スロットアンテナ440を有し、アンテナエレメント10A、10Bと、スロットアンテナ440との相関は低いため、3つのアンテナを有するアンテナ装置400同士で、WiMAX等のMIMO通信を実現することができる。
【0210】
また、上述のように、実施の形態4の変形例のアンテナ装置400A(図19参照)は、ショートスタブ211Aの一端211A1とショートスタブ211Bの一端211B1との間において、グランドエレメント20は直線状に構成されており、さらにこの直線から延在する延在グランド部233を有する。
【0211】
このため、例えば、RF通信装置3やMCUチップ4のような電子部品等とともにアンテナ装置400Aを一つの電子装置(例えば、USBドングル1AやMini−PCIカード1B(図1(A)、(B)参照))に実装する場合に、グランドエレメント20の端辺20Aの部分においてスペース的な制約が生じない。例えば、端辺20Aのエッジに沿って、RF通信装置3を配設できるので、省スペース化をはかることができる。
【0212】
また、グランド部に切り欠き部を有する従来のアンテナ装置に比べると、良好なアンテナ特性を得るために考慮する必要のあるパラメータが(切り欠き部の分だけ)減るため、アンテナ装置400Aを設計する際の負担が軽減される。
【0213】
以上、実施の形態4の変形例によれば、ショートスタブ211Aの一端211A1とショートスタブ211Bの一端211B1との間のグランドエレメント20の端辺20Aを直線状に構成し、さらにこの直線から延在する延在グランド部233を有するため、容易に設計できるアンテナ装置400Aを提供できる。
【0214】
また、実施の形態4の変形例のアンテナ装置400Aは、スロットアンテナ440を有し、アンテナエレメント10A、10Bと、スロットアンテナ440との相関は低いため、3つのアンテナを有するアンテナ装置400A同士で、WiMAX等のMIMO通信を実現することができる。
【0215】
次に、図21を用いて、実施の形態4の変形例のアンテナ装置400B、400Cについて説明する。
【0216】
図21は、実施の形態4の変形例のアンテナ装置400B、400Cを示す図である。
【0217】
図21(A)は実施の形態4の変形例のアンテナ装置400Bを示し、図21(B)は実施の形態4の変形例のアンテナ装置400Cを示す。
【0218】
図21(A)に示すように、アンテナ装置400Bは、アンテナエレメント210A、210B、グランドエレメント20、延在グランド部233、及びダイポールアンテナ450を含む。
【0219】
図21(A)に示すアンテナ装置400Bは、実施の形態2のアンテナ装置200(図8参照)に、ダイポールアンテナ450を追加したものである。ダイポールアンテナ450は、長手方向の中央部に給電部451を有する。ダイポールアンテナ450は、アンテナエレメント210A、210Bに加えて、アンテナ装置400Bの3番目のアンテナである。
【0220】
また、図21(B)に示すように、アンテナ装置400Cは、アンテナエレメント210A、210B、グランドエレメント20、延在グランド部233、アンテナエレメント460、及び無給電素子470を含む。
【0221】
図21(B)に示すアンテナ装置400Cは、実施の形態2のアンテナ装置200(図8参照)に、アンテナエレメント460と無給電素子470を追加したものである。
【0222】
アンテナエレメント460は、L字型であり、延在グランド部233の近傍に配設される給電部461を有する。給電部461はアンテナエレメント460の一端であり、他端は開放端462である。
【0223】
無給電素子470は、L字型であり、一端が延在グランド部233に接続され、他端は開放端472である。
【0224】
アンテナエレメント460の給電部461に電力を供給すると、アンテナエレメント460とともに無給電素子470が励振されるため、アンテナエレメント460及び無給電素子470を3番目のアンテナとして用いることができる。
【0225】
図22は、実施の形態4の変形例のアンテナ装置400B、400CにおけるSパラメータ(S21)の周波数特性を示す図である。図22(A)は、アンテナ装置400Bにおけるアンテナエレメント210A、210B、及びダイポールアンテナ450の間におけるSパラメータ(S21)の周波数特性を示す。図22(B)は、アンテナ装置400Cにおけるアンテナエレメント210A、210B、及びアンテナエレメント460の間におけるSパラメータ(S21)の周波数特性を示す図である。
【0226】
図22(A)において、実線で示す特性Aは、アンテナエレメント210Aとアンテナエレメント210Bとで通信を行った場合に得られる挿入損失(SパラメータのS21)を表すものである。すなわち、アンテナエレメント210Aとアンテナエレメント210Bとで通信を行った場合に、給電部12A又は12Bで得られる挿入損失(SパラメータのうちのS21)を表す。
【0227】
破線で示す特性Bは、アンテナエレメント210Aとダイポールアンテナ450とで通信を行った場合に得られる挿入損失(SパラメータのS21)を表すものである。すなわち、アンテナエレメント210Aとダイポールアンテナ450とで通信を行った場合に、給電部12A又は給電部451で得られる挿入損失(SパラメータのうちのS21)を表す。
【0228】
一点鎖線で示す特性Cは、アンテナエレメント210Bとダイポールアンテナ450とで通信を行った場合に得られる挿入損失(SパラメータのS21)を表すものである。すなわち、アンテナエレメント210Bとダイポールアンテナ450とで通信を行った場合に、給電部12B又は給電部451で得られる挿入損失(SパラメータのうちのS21)を表す。
【0229】
特性Aは、約2.35GHzで極小値(約−24dB)を取り、約2.15GHzと約2.55GHzで極大値(約−15dB)を取る特性であった。
【0230】
特性B、Cは、略同一であり、約2.4GHzで極大値(約−10dB)を取る特性であった。
【0231】
これらの結果より、アンテナエレメント210A及び210Bと、ダイポールアンテナ450との相関は小さいことが分かった。
【0232】
このように、実施の形態4の変形例によれば、アンテナエレメント210A及び210Bと、ダイポールアンテナ450との相関が小さいアンテナ装置400Bを提供することができる。
【0233】
例えば、アンテナ装置400Bを複数用いれば、3つのアンテナを有するアンテナ装置400B同士で、WiMAX等のMIMO通信を実現することができる。
【0234】
図22(B)において、実線で示す特性Aは、アンテナエレメント210Aとアンテナエレメント210Bとで通信を行った場合に得られる挿入損失(SパラメータのS21)を表すものである。すなわち、アンテナエレメント210Aとアンテナエレメント210Bとで通信を行った場合に、給電部12A又は12Bで得られる挿入損失(SパラメータのうちのS21)を表す。
【0235】
破線で示す特性Bは、アンテナエレメント210Aとアンテナエレメント460とで通信を行った場合に得られる挿入損失(SパラメータのS21)を表すものである。すなわち、アンテナエレメント210Aとアンテナエレメント460とで通信を行った場合に、給電部12A又は給電部461で得られる挿入損失(SパラメータのうちのS21)を表す。
【0236】
一点鎖線で示す特性Cは、アンテナエレメント210Bとアンテナエレメント460とで通信を行った場合に得られる挿入損失(SパラメータのS21)を表すものである。すなわち、アンテナエレメント210Bとアンテナエレメント460とで通信を行った場合に、給電部12B又は給電部461で得られる挿入損失(SパラメータのうちのS21)を表す。
【0237】
特性Aは、約2.35GHzで極小値(約−43dB)を取り、約2.45GHzで極大値(約−13dB)を取る特性であった。
【0238】
特性Bは、約2.4GHzで極大値(約−15dB)を取り、周波数の上昇とともに低下する特性であった。
【0239】
特性Cは、約2.45GHzで極大値(約−8dB)を取り、全体的に−15dB前後の値を取る特性であった。
【0240】
これらの結果より、アンテナエレメント210A及び210Bと、アンテナエレメント460との相関は小さいことが分かった。
【0241】
このように、実施の形態4の変形例によれば、アンテナエレメント210A及び210Bと、アンテナエレメント460との相関が小さいアンテナ装置400Cを提供することができる。
【0242】
例えば、アンテナ装置400Cを複数用いれば、3つのアンテナを有するアンテナ装置400C同士で、WiMAX等のMIMO通信を実現することができる。
【0243】
<実施の形態5>
図23は、実施の形態5のアンテナ装置500を示す図である。
【0244】
実施の形態5のアンテナ装置500は、実施の形態2のアンテナ装置200(図8参照)において、線路14A、14Bのうち、給電線路13A、13Bよりも開放端15A、15B側の部分をY軸プラス方向に折り曲げ、かつ、延在グランド部233をY軸プラス方向に引き伸ばした構成を有する。
【0245】
アンテナ装置500は、アンテナエレメント510A、510B、グランドエレメント520、延在グランド部533を含む。
【0246】
アンテナエレメント510Aは、ショートスタブ511A、給電線路513A、線路514A1、514A2を有する。
【0247】
アンテナエレメント510Bは、ショートスタブ511B、給電線路513B、線路514B1、514B2を有する。
【0248】
延在グランド部533は、アンテナエレメント510A、510Bの間において、グランド部520の端辺520AからY軸プラス方向に延在する。
【0249】
アンテナエレメント510Aのショートスタブ511Aは、延在グランド部533に含まれている。同様に、アンテナエレメント510Bのショートスタブ511Bは、延在グランド部533に含まれている。
【0250】
ショートスタブ511Aは、一端511A1でグランドエレメント520に接続され、ショートスタブ511Bは、一端511B1でグランドエレメント520に接続される。一端511A1と一端511B1との間は直線状に構成され、さらに延在グランド部533がY軸プラス方向に延在している。
【0251】
線路514A1は、延在グランド部533から分岐し、X軸マイナス方向に延在する。線路514A1の端部には、給電線路513Aと線路514A2が接続されている。
【0252】
給電線路513Aは、Y軸マイナス方向に延在し、グランドエレメント520の近傍に位置する先端に給電部512Aを有する。
【0253】
線路514A2は、Y軸プラス方向に延在し、端部が開放端515Aとなる。
【0254】
線路514B1は、延在グランド部533から分岐し、X軸プラス方向に延在する。線路514B1の端部には、給電線路513Bと線路514B2が接続されている。
【0255】
給電線路513Bは、Y軸マイナス方向に延在し、グランドエレメント520の近傍に位置する先端に給電部512Bを有する。
【0256】
線路514B2は、Y軸プラス方向に延在し、端部が開放端515Bとなる。
【0257】
延在グランド部533の端部533A、開放端515A、515Bは、Y軸方向において、同じ位置で揃えられている。
【0258】
このように、実施の形態5のアンテナ装置500は、実施の形態2のアンテナ装置200(図8参照)において、線路14A、14Bのうち、給電線路13A、13Bよりも開放端15A、15B側の部分をY軸プラス方向に折り曲げ、かつ、延在グランド部233をY軸プラス方向に引き伸ばした構成を有する。このため、アンテナエレメント510A、510Bは、ともに逆F型である。
【0259】
ここで、線路514A2と延在グランド部533との間の寸法をA1、延在グランド部533の幅をB、延在グランド部533と線路514B2との間の寸法をA2、グランドエレメント520の端辺520Aから延在グランド部533の端部533Aまでの長さをC、グランドエレメント520の縦方向の長さをD、グランドエレメント520の横方向の長さをEとする。
【0260】
例えば、寸法A1、A2は3mm、幅Bは2mm、長さCは21mm、長さDは25mm、長さEは15mmである。これらは、アンテナ装置500の使用周波数を2.45GHzに設定した場合の例示的な値である。
【0261】
次に、図24を用いて、実施の形態5のアンテナ装置500のSパラメータ(S21)の周波数特性について説明する。
【0262】
図24は、実施の形態5のアンテナ装置500のSパラメータ(S21)の周波数特性を示す図である。
【0263】
図24に示すSパラメータ(S21)は、アンテナエレメント510Aとアンテナエレメント510Bとで通信を行った場合に得られる挿入損失(SパラメータのS21)を表すものである。すなわち、アンテナエレメント510Aとアンテナエレメント510Bとで通信を行った場合に、給電部512A又は512Bで得られる挿入損失(SパラメータのうちのS21)を表す。
【0264】
図24に示すように、2.45GHz近傍に極小値(約−12dB)が得られた。比較用に線路514A1、514B1を含まないアンテナ装置についてSパラメータ(S21)を求めたところ、極小値は得られなかった。このような比較用のアンテナ装置に比べて、実施の形態5のアンテナ装置500は、極小値の部分において、約−7dB低下しており、大幅に改善されることが分かった。
【0265】
以上より、実施の形態5によれば、2つの逆F型のアンテナエレメント510A、510Bの干渉を低減したアンテナ装置500を提供することができる。
【0266】
このようなアンテナ装置500は、例えば、無線LAN用の通信やダイバーシティアンテナとして用いることができる。また、このようなアンテナ装置500を複数用いることにより、WiMAX等のMIMO通信を実現することができる。
【0267】
また、上述のように、実施の形態5のアンテナ装置500は、ショートスタブ511Aの一端511A1とショートスタブ511Bの一端511B1との間において、グランドエレメント520は直線状に構成されており、さらに延在グランド部533がY軸プラス方向に延在している。
【0268】
このため、例えば、RF通信装置3やMCUチップ4のような電子部品等とともにアンテナ装置500を一つの電子装置(例えば、USBドングル1AやMini−PCIカード1B(図1(A)、(B)参照))に実装する場合に、グランドエレメント520の端辺520Aの部分においてスペース的な制約が生じない。例えば、端辺520Aのエッジに沿って、RF通信装置3を配設できるので、省スペース化をはかることができる。
【0269】
また、グランド部に切り欠き部を有する従来のアンテナ装置に比べると、良好なアンテナ特性を得るために考慮する必要のあるパラメータが(切り欠き部の分だけ)減るため、アンテナ装置500を設計する際の負担が軽減される。
【0270】
以上、実施の形態5によれば、ショートスタブ511Aの一端511A1とショートスタブ511Bの一端511B1との間において、グランドエレメント20を直線状に構成しているため、容易に設計できるアンテナ装置500を提供できる。
【0271】
以上、本発明の例示的な実施の形態のアンテナ装置、及び、電子装置について説明したが、本発明は、具体的に開示された実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲から逸脱することなく、種々の変形や変更が可能である。
【符号の説明】
【0272】
2 基板
3 RF通信装置
4 MCUチップ
10A、10B アンテナエレメント
11A、11B ショートスタブ
11A1、11B1 一端
12A、12B 給電部
13A、13B 給電線路
14A、14B 線路
15A、15B 端部
20 グランドエレメント
20A 端辺
30A、30B 無給電素子
31A、31B インダクタチップ
32A、32B アンテナ部
33、33A、33B 延在グランド部
100、100A、100B、100C、100D アンテナ装置
200、200A、200B、200C アンテナ装置
210A、210B アンテナエレメント
233 延在グランド部
300、300A、300B アンテナ装置
317A、317B 線路
310A、310B アンテナエレメント
311A、311B ショートスタブ
311A1、311B1 一端
314A、314B 線路
315A、315B 開放端
317A、317B 線路
333 延在グランド部
400、400A、400B、400C アンテナ装置
440 スロットアンテナ
440A 一端
440B 他端
441 給電部
450 ダイポールアンテナ
451 給電部
460 アンテナエレメント
461 給電部
470 無給電素子
500、510A、510B アンテナ装置
510A、510B アンテナエレメント
511A、511B ショートスタブ
513A、513B 給電線路
514A1、514A2、514B1、514B2 線路
520 グランド部
520A 端辺
533 延在グランド部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
グランド部と、
前記グランド部に接続される第1スタブ部と、第1給電部とを有する逆F型の第1アンテナ部と、
前記グランド部に接続されるとともに前記第1スタブ部に離間して配設される第2スタブ部と、第2給電部とを有する逆F型の第2アンテナ部と
を含み、
前記グランド部は、前記第1スタブ部と前記グランド部との第1接続部と、前記第2スタブ部と前記グランド部との第2接続部との間に直線部を有するアンテナ装置。
【請求項2】
前記グランド部は、前記直線部から前記第1スタブ部及び前記第2スタブ部の延在する方向に延在するグランド延在部を含む、請求項1記載のアンテナ装置。
【請求項3】
前記グランド部に接続され、前記第1アンテナ部の近傍に配設される第1無給電素子、又は、
前記グランド部に接続され、前記第2アンテナ部の近傍に配設される第2無給電素子
をさらに含む、請求項1又は2記載のアンテナ装置。
【請求項4】
前記第1給電部と前記第1アンテナ部の逆F型の端部との間で、前記第1アンテナ部に挿入される第1インダクタ、又は、
前記第2給電部と前記第2アンテナ部の逆F型の端部との間で、前記第2アンテナ部に挿入される第2インダクタ
をさらに含む、請求項1乃至3のいずれか一項記載のアンテナ装置。
【請求項5】
前記第1給電部と前記第1アンテナ部の逆F型の端部との間で分岐する第1分岐線路部、又は、
前記第2給電部と前記第2アンテナ部の逆F型の端部との間で分岐する第2分岐線路部
をさらに含む、請求項1乃至4のいずれか一項記載のアンテナ装置。
【請求項6】
前記第1接続部と前記第2接続部との間の距離は、使用周波数における波長の1/20以下の長さである、請求項1乃至5のいずれか一項記載のアンテナ装置。
【請求項7】
前記第1アンテナ部の逆F型の端部から平面視で折り曲がって延在する第1延在部、又は、
前記第1アンテナ部の逆F型の端部から平面視で折り曲がって延在する第2延在部
をさらに含む、請求項1乃至6のいずれか一項記載のアンテナ装置。
【請求項8】
前記グランドは、スロット部を有し、
前記スロット部に給電を行う給電部をさらに含む、請求項1乃至7のいずれか一項記載のアンテナ装置。
【請求項9】
前記第1アンテナ部の偏波方向と前記第2アンテナ部の偏波方向は等しく、
前記第1アンテナ部及び前記第2アンテナ部の偏波方向と異なる偏波方向を有する第3アンテナ部をさらに含む、請求項1乃至7のいずれか一項記載のアンテナ装置。
【請求項10】
前記第3アンテナ部は、第3給電部を有し、前記第1アンテナ部、前記第2アンテナ部、及び前記グランド部とは離間して配設される、請求項9記載のアンテナ装置。
【請求項11】
前記第3アンテナ部は、第3給電部を有するアンテナ素子と、
前記グランド部に接続される無給電素子と
を有する、請求項2記載のアンテナ装置。
【請求項12】
端辺から延在する延在グランド部を有するグランド部と、
前記延在グランド部に接続される第1スタブ部と、第1給電部とを有する逆F型の第1アンテナ部と、
前記延在グランド部に接続される第2スタブ部と、第2給電部とを有し、平面視で前記延在グランド部に対して、前記第1アンテナ部とは反対側に配設される逆F型の第2アンテナ部と
を含むアンテナ装置。
【請求項13】
請求項1乃至12のいずれか一項記載のアンテナ装置と、
前記アンテナ装置に接続され、無線通信を行う通信装置と
を含む、電子装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【公開番号】特開2012−231417(P2012−231417A)
【公開日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−99919(P2011−99919)
【出願日】平成23年4月27日(2011.4.27)
【出願人】(501398606)富士通コンポーネント株式会社 (848)
【Fターム(参考)】