説明

アンテナ装置

【課題】 70mm以下の低姿勢としても感度劣化を極力抑制することのできるAM放送とFM放送を受信可能なアンテナ装置とする。
【解決手段】 平板状のアンテナベース20上に立設してアンテナ基板30が取り付けられており、アンテナ基板30を跨ぐようにトップ部31が配置される。トップ部31とアンテナ基板30に形成されているアンテナパターンとによりアンテナエレメントが構成され、トップ部31の下方へ折曲されている下縁とアンテナベース20との間隔が約10mm以上とされていると共に、トップ部31の大きさが、アンテナエレメントのアンテナ容量が約3pF以上となる大きさとされている。アンテナエレメントからの受信信号は、接続線33を介してアンプ基板34に導かれて増幅される。アンテナケース10がアンテナベース20に嵌着されてアンテナ装置1は構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、AM放送とFM放送を受信可能な車両に取り付けられる低姿勢のアンテナ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
車両に取り付けられる従来のアンテナ装置は、一般にAM放送とFM放送を受信可能なアンテナ装置とされている。このアンテナ装置において、AM放送およびFM放送を受信するために従来は1m程度の長さのロッドアンテナが用いられていた。このロッドアンテナの長さは、FM波帯においてはおよそ1/4波長となるが、AM波帯においては波長に対してはるかに短い長さとなることからその感度が著しく低下する。このため、従来は、ハイインピーダンスケーブルを用いてAM波帯に対してロッドアンテナをハイインピーダンス化したり、AM波帯の増幅器を用いて増幅し感度を確保していた。また、アンテナのロッド部をヘリカル状に巻回されたヘリカルアンテナとすることにより、アンテナの長さを約180mm〜400mmに短くするようにした車載用のアンテナ装置も用いられている。しかし、ロッド部を縮小化したことによる性能劣化を補うためにアンテナ直下に増幅器を入れるようにしている。
【0003】
ロッド部を短くした従来のアンテナ装置100の構成を示す側面図を図70に示す。図70に示す従来のアンテナ装置100は、エレメント110と、このエレメント110の下端が所定の角度範囲において回動自在に取り付けられているアンテナ基部111とを備えている。アンテナ基部111はアンテナカバーとアンテナベースとからなり、アンテナカバー内には、増幅器や整合回路が内蔵されており、アンテナカバーの下面にはアンテナベースが嵌着されている。このアンテナベースの下面からはアンテナ装置100を車体に取り付けるためのボルト部が突出して形成されている。このアンテナ装置1はAM放送とFM放送を受信するアンテナとされ、エレメント110の長さは約180mmとされ、アンテナ基部111の下面からエレメント110の先端までの全高h100は約195mmとされている。なお、エレメント110はヘリカルエレメントと、このヘリカルエレメントを覆うエレメントカバーから構成されている。
また、アンテナ装置100において、エレメント110をアンテナ基部111に対して垂直方向に回動させてアンテナ基部111の下面からエレメント110の先端までの高さh101を約70mmとした状態を示す側面図を図71に示す。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−223957
【特許文献2】特開2003−188619
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このような従来のアンテナ装置100では、アンテナ装置100を車体に取り付けた際に、エレメント110が車体から大きく突出しているため車両の美観・デザインを損ねると共に、車庫入れや洗車時等に倒したロッド部を起こし忘れた場合、アンテナ性能が失われたままになるという問題点があった。また、アンテナ装置100は車外に露出しているため、エレメント110が盗難にあう恐れも生じる。そこで、アンテナケース内にアンテナを収納した車載用のアンテナ装置が考えられる。この場合、車両から突出するアンテナ装置の高さは車両外部突起規制により70mm以下の高さに制限されると共に、車両の美観を損ねないよう長手方向の長さも160〜220mm程度が好適とされる。このようなアンテナの放射抵抗Rradは、600〜800×(高さ/波長)2として表されるようにアンテナの高さの2乗に比例してほぼ決定されるようになる。例えば、アンテナ装置100においてエレメント110を回動させて、アンテナ高を図70に示す約195mmから図71に示す約70mmに低くすると約7dBも感度が劣化するようになる。このように、単純にエレメント110の高さを低くすると性能が大きく劣化して実用化が困難になるという問題点があった。さらに、アンテナを70mm以下の低姿勢とすると放射抵抗Rradが小さくなってしまうことから、アンテナそのものの導体損失の影響により放射効率が低下しやすくなって、さらなる感度劣化の原因になるという問題点があった。
【0006】
そこで、本発明は70mm以下の低姿勢としても感度劣化を極力抑制することのできるAM放送とFM放送を受信可能なアンテナ装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明は、アンテナケースと、該アンテナケース内に収納されるアンテナ部とを備え、取り付けられた際に約70mm以下の高さで突出するアンテナ装置であって、アンテナケースの下端に嵌着されるアンテナベース上に、アンテナパターンが上部に形成されているアンテナ基板が立設され、アンテナ基板を跨ぐように断面形状が山形に形成されており、後部が、アンテナベースの後端より後方に突出しているアンテナパターンと共にアンテナエレメントを構成しているトップ部が配置されており、トップ部の斜面とされた側部の下縁とアンテナベースとの間隔が約10mm以上とされていることを最も主要な特徴としている。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、トップ部の断面形状が山形に形成されていると共に、後部が、アンテナベースの後端より後方に突出していることから、トップ部の斜面とされた側部とアンテナベースとの対向面積を極力小さくすることができるようになって、アンテナ容量における無効容量分を極力小さくすることができる。併せて、トップ部の斜面とされた側部の下縁とアンテナベースとの間隔が約10mm以上とすると共に、トップ部とアンテナパターンからなるアンテナエレメントのアンテナ容量が約3pF以上となる大きさとしたことにより、取り付けられた際に70mm以下の高さで突出するアンテナ装置としても、約195mmの高さとなる従来のアンテナ装置とほぼ同等のアンテナ性能を得ることができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施例にかかるアンテナ装置の構成を示す平面図である。
【図2】本発明の実施例にかかるアンテナ装置の構成を示す正面図である。
【図3】本発明の実施例にかかるアンテナ装置の構成を示す側面図である。
【図4】本発明の実施例にかかるアンテナ装置の内部構成を示す平面図である。
【図5】本発明の実施例にかかるアンテナ装置の内部構成を示す正面図である。
【図6】本発明の実施例にかかるアンテナ装置の内部構成を示す右側面図である。
【図7】本発明の実施例にかかるアンテナ装置の分解組立図である。
【図8】本発明にかかるアンテナ装置のアンテナケースおよびベースパッドを省略した構成を示す平面図である。
【図9】本発明にかかるアンテナ装置のアンテナケースおよびベースパッドを省略した構成を示す正面図である。
【図10】本発明にかかるアンテナ装置のアンテナケースおよびベースパッドを省略した構成を示す右側面図である。
【図11】本発明にかかるアンテナ装置のアンテナケースおよびベースパッドを省略した構成を示す下面図である。
【図12】本発明のアンテナ装置にかかるアンテナケースの構成を示す平面図である。
【図13】本発明のアンテナ装置にかかるアンテナケースの構成を示す正面図である。
【図14】本発明のアンテナ装置にかかるアンテナケースの構成を示す左側面図である。
【図15】本発明のアンテナ装置にかかるトップ部の構成を示す平面図である。
【図16】本発明のアンテナ装置にかかるトップ部の構成を示す正面図である。
【図17】本発明のアンテナ装置にかかるトップ部の構成を示す下面図である。
【図18】本発明のアンテナ装置にかかるトップ部の構成を示す右側面図である。
【図19】本発明のアンテナ装置にかかるコイルの構成を示す正面図および側面図である。
【図20】本発明のアンテナ装置にかかる接続線の構成を示す平面図、正面図、右側面図である。
【図21】本発明のアンテナ装置にかかるアンプ基板の構成を示す平面図である。
【図22】本発明のアンテナ装置にかかるアンプ基板の構成を示す正面図である。
【図23】本発明のアンテナ装置にかかるフックの構成を示す平面図、下面図、側面図、正面図である。
【図24】本発明のアンテナ装置にかかるアンテナベースの構成を示す平面図である。
【図25】本発明のアンテナ装置にかかるアンテナベースの構成を示す正面図である。
【図26】本発明のアンテナ装置にかかるアンテナベースの構成を示す右側面図である。
【図27】本発明のアンテナ装置にかかるベースパッドの構成を示す平面図である。
【図28】本発明のアンテナ装置にかかるベースパッドの構成を示す正面図である。
【図29】本発明のアンテナ装置にかかるベースパッドの構成を示す右側面図である。
【図30】本発明のアンテナ装置にかかる接続金具の構成を示す平面図である。
【図31】本発明のアンテナ装置にかかる接続金具の構成を示す下面図である。
【図32】本発明のアンテナ装置にかかる接続金具の構成を示す正面図である。
【図33】本発明のアンテナ装置にかかる接続金具の構成を示す側面図である。
【図34】本発明のアンテナ装置にかかるアンテナ基板の構成を示す正面図である。
【図35】本発明のアンテナ装置にかかるアンテナ基板の構成を示す側面図である。
【図36】本発明のアンテナ装置にかかるアンテナ基板に接続金具、コイルおよび接続線を取り付けた状態を示す図である。
【図37】本発明のアンテナ装置における平均利得のFM波帯における周波数特性を従来例のアンテナ装置と対比して示す図である。
【図38】本発明のアンテナ装置におけるS/N比のAM波帯の周波数特性を従来例のアンテナ装置と対比して示す図である。
【図39】本発明のアンテナ装置におけるS/N比のFM波帯の周波数特性を従来例のアンテナ装置と対比して示す図である。
【図40】トップ部後方突出長さの基礎実験に用いたアンテナ装置の構成を示す平面図である。
【図41】トップ部後方突出長さの基礎実験に用いたアンテナ装置の構成を示す正面図である。
【図42】トップ部後方突出長さの基礎実験に用いたアンテナ装置の構成を示す右側面図である。
【図43】トップ部後方突出長さの基礎実験に用いたアンテナ装置の一態様を示す平面図である。
【図44】標準の位置からのトップ部の後方への移動量Lを変更して後方へ移動した際のFM波帯における平均利得の周波数特性を示す図である。
【図45】標準の位置からのトップ部の後方への移動量Lを変更して後方へ移動した際のAM波帯におけるS/N比の変化特性を示す図である。
【図46】標準の位置からのトップ部の後方への移動量Lを変更して後方へ移動した際のAM波帯におけるS/N比の変化特性を示す他の図である。
【図47】標準の位置からのトップ部の後方への移動量Lを変更して後方へ移動した際のAM波帯におけるS/N比の変化特性を示すさらに他の図である。
【図48】標準の位置からのトップ部の後方への移動量Lを変更して後方へ移動した際のFM波帯におけるS/N比の変化特性を示す図である。
【図49】標準の位置からのトップ部の後方への移動量Lを変更して後方へ移動した際のFM波帯におけるS/N比の変化特性を示す他の図である。
【図50】標準の位置からのトップ部の後方への移動量Lを変更して後方へ移動した際のFM波帯におけるS/N比の変化特性を示すさらに他の図である。
【図51】トップ部のアンテナベースからの高さを変化させる基礎実験に用いたアンテナ装置の構成を示す右側面図である。
【図52】トップ部のアンテナベースからの高さを変化させる基礎実験に用いたアンテナ装置の構成を示す正面図である。
【図53】トップ部のアンテナベースからの高さを変化させる基礎実験に用いたアンテナ装置の構成を示す平面図である。
【図54】トップ部のアンテナベースからの高さを変化させる基礎実験に用いたアンテナ装置の一態様を示す平面図である。
【図55】トップ部のアンテナベースからの高さを変化させる基礎実験に用いたアンテナ装置の一態様を示す右側面図である。
【図56】トップ部の高さを次第に高くした際のFM波帯における平均利得の周波数特性を示す図である。
【図57】トップ部の高さを次第に高くした際のAM波帯におけるS/N比の変化特性を示す図である。
【図58】トップ部の高さを次第に高くした際のAM波帯におけるS/N比の変化特性を示す他の図である。
【図59】トップ部の高さを次第に高くした際のAM波帯におけるS/N比の変化特性を示すさらに他の図である。
【図60】トップ部の高さを次第に高くした際のFM波帯におけるS/N比の変化特性を示す図である。
【図61】トップ部の高さを次第に高くした際のFM波帯におけるS/N比の変化特性を示す他の図である。
【図62】トップ部の高さを次第に高くした際のFM波帯におけるS/N比の変化特性を示すさらに他の図である。
【図63】トップ部のアンテナベースに対面する面積を変化させた際のアンテナ容量の基礎実験に用いた第1の構成を示す正面図および側面図である。
【図64】トップ部のアンテナベースに対面する面積を変化させた際のアンテナ容量の基礎実験に用いた第2の構成を示す正面図および側面図である。
【図65】トップ部のアンテナベースに対面する面積を変化させた際のアンテナ容量の基礎実験に用いた第3の構成を示す正面図および側面図である。
【図66】第1の構成において、クリアランス変化させた際のアンテナ容量の変化特性を示す図である。
【図67】第2の構成において、クリアランス変化させた際のアンテナ容量の変化特性を示す図である。
【図68】第3の構成において、クリアランス変化させた際のアンテナ容量の変化特性を示す図である。
【図69】本発明のアンテナ装置の等価回路を示す図である。
【図70】従来のアンテナ装置の構成を示す側面図である。
【図71】従来のアンテナ装置の高さを低くした際の構成を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の実施例にかかるアンテナ装置の構成を図1ないし図6に示す。ただし、図1は本発明にかかるアンテナ装置1の構成を示す平面図であり、図2は本発明にかかるアンテナ装置1の構成を示す正面図であり、図3は本発明にかかるアンテナ装置1の構成を示す側面図であり、図4は本発明にかかるアンテナ装置1の内部構成を示す平面図であり、図5は本発明にかかるアンテナ装置1の内部構成を示す正面図であり、図6は本発明にかかるアンテナ装置1の内部構成を示す右側面図である。
これらの図に示す本発明の実施例にかかるアンテナ装置1は、車両のルーフに取り付けられるアンテナ装置とされており、車両に取り付けられた際に車両から突出する高さhは約70mmとされている。アンテナ装置1は極めて低姿勢(周波数100MHzの波長をλとすると、高さhは約0.0023λ以下)とされているが、AM放送とFM放送を受信することが可能とされている。このアンテナ装置1の形状は先端に行くほど細くなる流線型とされており、車両の美観・デザインを損ねないようある程度の範囲内において自由に形状を決定することができる。そして、アンテナ装置1の下面には、ゴム製またはエラストマー製の柔軟なベースパッドが嵌着されており、車両に水密に取り付けることができるようにされている。
【0011】
本発明の実施例にかかるアンテナ装置1は、樹脂製のアンテナケース10と、このアンテナケース10の下部が嵌着されている金属製のアンテナベース20と、アンテナベース20に垂直に取り付けられているアンテナ基板30および平行に取り付けられているアンプ基板34と、頂部と、該頂部の両側から斜面とされた側部形成されて断面形状が山形に形成され、アンテナ基板30を跨ぐように上に配置されているトップ部31と、アンテナベース20上に取り付けられているGPSアンテナ32とを備えている。アンテナケース10は電波透過性の合成樹脂製とされており、先端に行くほど細くなる流線型の外形形状とされている。アンテナケース10内には、立設されたアンテナ基板30およびアンテナ基板30の上部に配置されたトップ部31を収納できる空間と、アンプ基板34を横方向に収納する空間が形成されている。アンテナケース10の下面には金属製のアンテナベース20が嵌着されている。そして、アンテナベース20にアンテナ基板30が立設して固着され、アンテナ基板30の前方にアンプ基板34がアンテナベース20にほぼ平行に固着されている。アンテナ基板30の上部には後述するように、アンテナパターンが形成されている。また、アンテナケース10内の上部にトップ部31が内蔵されている。そして、アンテナケース10をアンテナベース20に嵌着することにより、アンテナケース10に内蔵されたトップ部31がアンテナ基板30の上部を跨ぐように配置され、アンテナ基板30の上部に取り付けられた接続金具36がトップ部31の内面に電気的に接触するようになる。接続金具36は、アンテナ基板30に形成されているアンテナパターンに電気的に接続されていることから、接続金具36を介してトップ部31とアンテナパターンとが接続されるようになる。これにより、アンテナパターンとトップ部31とによりアンテナエレメントが構成され、アンテナケース10内の空間にアンテナ基板30とトップ部31とアンプ基板34とが収納されるようになる。
【0012】
アンテナ基板30上には、アンテナパターンとトップ部31とにより構成されるアンテナエレメントをFM波帯付近で共振させるためのコイル35が設けられている。コイル35の一端はアンテナパターンに接続され、コイル35の他端はアンテナ基板30上に形成されているパターンの一端に接続され、このパターンの他端には接続線33の一端が接続される。接続線33の他端はアンプ基板34に設けられているAM/FMアンプの入力部に接続され、アンテナパターンとトップ部31とにより構成されるアンテナエレメントにより受信されたAM/FM受信信号がAM/FMアンプに入力されて増幅されるようになる。また、アンテナベース20の下面からは、アンテナ装置1を車両に取り付けるためのボルト部21が突出するよう形成されている。また、アンテナ装置1から受信信号を車両内に導くためのケーブル22がアンテナベース20の下面から導出されている。このケーブル22はアンプ基板34から導出されており、アンプ基板34に設けられているAM/FMアンプにより増幅されたAM受信信号およびFM受信信号を導くケーブルが含まれており、カラー45により束ねられている。この場合、ボルト部21およびケーブル22が挿通される穴が車両のルーフに形成され、これらの穴にボルト部21およびケーブル22が挿通されるようルーフ上にアンテナ装置1を載置する。そして、車両内に突出したボルト部21にナットを締着することによりアンテナ装置1を車両のルーフに固着することができる。また、アンテナケース10内に収納されているアンプ基板34への電源は、車両内からケーブル22によりアンプ基板34に供給される。
【0013】
本発明にかかるアンテナ装置1の分解組立図を図7に示す。
図7を参照して本発明にかかるアンテナ装置1の組み立てについて説明すると、アンテナケース10内の上部にトップ部31が2本のネジ40により固着される。アンテナ基板30の上端には接続金具36が嵌着される。接続金具36はアンテナ基板30を挟持することによりアンテナ基板30の上部に取り付けられる。また、アンテナ基板30上にコイル35がハンダ付けされて取り付けられる。このアンテナ基板30は、2本のネジ41によりアンテナベース20に立設されて固着される。また、アンプ基板34はアンテナ基板30より前方に配置され、3本のネジ42によりアンテナベース20にほぼ平行に固着される。アンプ基板34からは増幅されたAM受信信号およびFM受信信号を出力するケーブル22が導出されており、ケーブル22の先端に端子43が装着され、端子43はアンプ基板34の裏面に固着される。また、アンテナ基板30に針金状の接続線33の一端が接続され、接続線33の他端がアンプ基板34に接続されることにより、アンテナ基板30に設けられたコイル35の出力端とアンプ基板34に設けられたAM/FMアンプの入力端とが接続されて、アンテナパターンとトップ部31とにより構成されるアンテナエレメントにより受信されたAM/FM受信信号がアンプ基板34におけるAM/FMアンプに入力されるようになる。アンテナベース20の引き出し孔から引き出されたケーブル22を束ねるように、ケーブル22の根本にはカラー45が嵌着される。
【0014】
アンプ基板34の下にはフック44が配置されてアンテナベース20に嵌着される。フック44の両側面からは一対の長くされた係合脚部が延伸されている。この係合脚部は、アンテナ装置1を車両に取り付けた際に、車両に形成された取付孔の縁に係合されて、アンテナ装置1を車体に仮止めする作用を奏している。これにより、車体外からアンテナ装置1を保持することなく、車内からボルト部21にナット47を螺合する際に、アンテナ装置1が取付孔から抜け出ることなく螺合することができるようになる。
アンテナベース20の下面にはベースパッド24が嵌着される。ベースパッド24の周縁部には合計5つのネジの頭部が挿通可能な孔部が形成されており、この孔部に下から5本のネジ46を挿通して、ネジ46をアンテナベース20の周縁部に形成された嵌入孔に挿通し、アンテナケース10の下面の周縁に螺着する。これにより、アンテナ装置1を組み立てることができる。組み立てられたアンテナ装置1を、車両に形成された取付孔にボルト部21を位置合わせして取り付けると、上述したようにフック44によりアンテナ装置1は取付孔に仮止めされる。この状態において、車内からナット47をボルト部21に螺着することにより、アンテナ装置1を車体に取り付けることができる。
【0015】
図7に示すようにして組み立てられたアンテナ装置1の構成を図8ないし図11に示す。ただし、図8は本発明にかかるアンテナ装置1の構成を示す平面図であり、図9は本発明にかかるアンテナ装置1の構成を示す正面図であり、図10は本発明にかかるアンテナ装置1の構成を示す右側面図であり、図11は本発明にかかるアンテナ装置1の構成を示す下面図である。ただし、図8ないし図11においてはアンテナケース10およびベースパッド24を省略して示している。
これらの図の説明は前述した通りであるから説明は省略するが、アンテナ基板30は2本のネジ41によりアンテナベース20に立設して取り付けられており、アンテナ基板30の下端には切欠30iが形成されて、この切欠30iに一部収納されるようGPSアンテナ32をアンテナベース20に取り付けることができる。GPSアンテナ32が取り付けられた場合は、GPSアンテナ32からもケーブル22に沿ってケーブルが導出される。また、アンテナ基板30の上部を跨ぐように配置されたトップ部31の斜面とされた側部の下縁とアンテナベース20の上面との間隔がh10とされ、間隔h10は例えば約34.4mmとされている。なお、GPSアンテナ32は必要とされる場合に限って取り付けられる。また、トップ部31の後部は斜めに切り取られてアンテナベース20の後端より後方へ突出されており、アンテナベース20との対向面積が極力低減されている。
【0016】
次に、アンテナ装置1を構成している各部の構成を示す。図12ないし図14にアンテナケース10の構成を示す。ただし、図12はアンテナケース10の構成を示す平面図であり、図13はアンテナケース10の構成を示す正面図であり、図14はアンテナケース10の構成を示す左側面図である。
これらの図に示すように、アンテナケース10は電波透過性の合成樹脂製とされており、先端に行くほど細くなる流線型の外形形状とされている。アンテナケース10内には、立設されたアンテナ基板30およびアンテナ基板30の上部に配置されたトップ部31を収納できる空間と、アンプ基板34を横方向に収納できる空間が形成されている。
【0017】
図15ないし図18にトップ部31の構成を示す。ただし、図15はトップ部31の構成を示す平面図であり、図16はトップ部31の構成を示す正面図であり、図17はトップ部31の構成を示す下面図であり、図18はトップ部31の構成を示す右側面図である。
これらの図に示すトップ部31は、金属板を加工して形成されており、前方に向かって緩やかに降下する曲面とされた頂部を有し、頂部から両側に傾斜した第1側部31aと第2側部31bが形成されている。第1側部31aと第2側部31bの斜面は急傾斜の斜面とされている。第1側部31aと第2側部31bには3つずつスリット31fが形成されて、それぞれの側部31a、31bは4つの片からなっている。この片の内のほぼ中央よりの一対の片が接触片31cとされている。接触片31cは、中途からほぼ垂直なるよう折曲されて形成されている。また、トップ部31の頂部には平坦部31eが2カ所形成されて、平坦部31eにそれぞれネジ孔31dが形成されている。このネジ孔31dにそれぞれネジ40が挿通されて、アンテナケース10の頂部の内側に螺着されることにより、トップ部31がアンテナケース10に内蔵されるようになる。
【0018】
トップ部31の長さをL20、後端の幅をw20、前端の幅をw21、高さをh20とした際に、例えば長さL20は約106mm、後端の幅w20は約28mm、前端の幅w21は約19mm、高さh20は約28mmとされる。また、トップ部31の頂部の細い幅w22は約4mmとされる。トップ部31の第1側部31aと第2側部31bの斜面を急傾斜の斜面とするのは、アンテナケース10の内側の断面形状にあわせるためでもあるが、主に、トップ部31とアンテナベース20との対面する面積を低減させて、トップ部31とアンテナベース20間の浮遊容量を減少させるためである。この浮遊容量は、アンテナ容量の内の無効容量となってアンテナのゲインを低減させる要因となる。また、トップ部31の後部は斜めに切り取られてアンテナベース20との対向面積を極力低減させている。
【0019】
図19(a)(b)にコイル35の構成を示す。コイル35は、トップ部31とアンテナ基板30に形成されたアンテナパターンからなる小さなアンテナ容量のアンテナエレメントをFM波帯付近で共振させるためのものである。図19(a)はコイル35の構成を示す正面図、図19(b)はコイル35の構成を示す側面図である。これらの図に示すコイル35は、コイルが巻回された円筒状のコイル本体35aと、コイル本体35aから引き出された2本の引出線35bを有している。コイル35は、FM波帯付近で共振させるためにアンテナエレメントに直列に接続される。前述したように、アンテナ装置1のアンテナエレメントは、トップ部31とアンテナ基板30に形成されているアンテナパターンとにより構成されるが、このアンテナエレメントのアンテナ容量は約4.7pF程度であることから、0.5μH〜3μH程度のコイル35を直列に挿入することにより、アンテナエレメントをFM波帯付近で共振できるようにしている。これにより、トップ部31とアンテナパターンからなるアンテナエレメントは、コイル35の作用によりFM波帯において良好に動作するようになる。なお、このFM波帯で共振するアンテナエレメントをAM波帯では電圧受信素子として利用することにより、AM波帯を受信するようにしている。
【0020】
図20(a)(b)(c)に接続線33の構成を示す。ただし、図20(a)は接続線33の構成を示す平面図、図20(b)は接続線33の構成を示す正面図、図20(c)は接続線33の構成を示す右側面図である。これらの図に示す接続線33は、アンテナ基板30から出力される受信信号をアンプ基板34に導くための接続線であり、針金状の導体を折曲して形成されている。接続線33は、正面から見るとL字状に折曲されている本体部33aを有している。接続線33の上部の端部はコ字状に折曲されたコ字状部33bとされて、アンテナ基板30に形成されている長孔に挿通されてハンダ付けされる。また、接続線33の下部の端部はU字状に折曲されたU字状部33cとされ、その先端にはさらに本体部33aにほぼ平行に折曲された折曲部33dを有し、アンプ基板34に形成されている挿通孔に折曲部33dおよびU字状部33cが挿通されてハンダ付けされる。
【0021】
図21および図22にアンプ基板34の構成を示す。ただし、図21はアンプ基板34の構成を示す平面図であり、図22はアンプ基板34の構成を示す正面図である。これらの図に示すように、アンプ基板34は前部がテーパ状に細くされたほぼ矩形状の基板本体34aから構成されている。基板本体34aの周縁部には3つのネジ孔34bが形成されていると共に、後部に長孔とされた挿通孔34bが形成されている。この挿通孔34bに、接続線33の下部に形成された折曲部33dおよびU字状部33cが挿通されてハンダ付けされる。3つのネジ孔34bには、それぞれネジ42が挿通されてアンテナベース20のボス20eに螺着され、これによりアンプ基板34がアンテナベース20に固着される。
【0022】
図23(a)〜(d)にフック44の構成を示す。ただし、図23(a)はフック44の構成を示す平面図、図23(b)はフック44の構成を示す下面図、図23(c)はフック44の構成を示す側面図、図23(d)はフック44の構成を示す正面図である。
これらの図に示すフック44は、矩形状の本体部44aを有し、本体部44aの4隅から下方へ向かって、先端に鈎状の係合片が形成された嵌合脚部44bが一側の両側部に対向するように形成されている。また、他側の両側部のほぼ中央から下方へ延伸するように長い係合脚部44cが対向するように形成されている。フック44をアンテナベース20に取り付ける際には、嵌合脚部44bがアンテナベース20に形成された矩形穴の縁部に係合し、長い係合脚部44cはアンテナベース20に形成された矩形穴から抜け出てボルト部21の側面に沿って突出するようになる。係合脚部44cは、アンテナ装置1を車体に取り付ける際に、車体に設けられた取付孔の縁部に係合して、アンテナ装置1が抜け出ないように仮止めできるようになる。
【0023】
図24ないし図26にアンテナベース20の構成を示す。ただし、図24はアンテナベース20の構成を示す平面図であり、図25はアンテナベース20の構成を示す正面図であり、図26はアンテナベース20の構成を示す右側面図である。
これらの図に示すアンテナベース20は、前部がテーパ状に細くされたほぼ矩形状の平板からなる本体部20aを有し、本体部20aの周縁部には合計5つの嵌入孔20fが形成されている。この嵌入孔20fに下からそれぞれ挿通されたネジ46をアンテナケース10の下面の周辺部に螺着することにより、アンテナケース10がアンテナベース20に嵌着される。本体部20aのテーパ状に細くされた前部には3つのボス20eが形成されており、このボス20e上にアンプ基板34が載置されてアンプ基板34に挿通されたネジ42をそれぞれボス20eに螺着することにより、アンプ基板34をアンテナベース20に固着することができる。
【0024】
また、本体部20aのほぼ中央部と後部側に2つのネジ部20dが水平方向に形成されている。このネジ部20dに、アンテナ基板30の取付孔に挿通されたネジ41をそれぞれ螺着することによりアンテナ基板30を立設してアンテナベース20に取り付けることができる。本体部20aの中央よりやや後部側には矩形状の凹部を形成する矩形枠状のGPSアンテナ取付部20bが形成され、GPSアンテナ取付部20bの四隅にネジ孔20cが形成されている。このネジ孔20cに、GPSアンテナ32の取付孔に挿通した4本のネジをそれぞれ螺着することにより、GPSアンテナ32をGPSアンテナ取付部20bに取り付けることができる。本体部20aの中央部には長方形状のケーブル引き出し孔20hが形成されている。このケーブル引き出し孔20hからは、アンプ基板34から引き出されたケーブル22とGPSアンテナ32から引き出されたケーブルを引き出すことができる。
【0025】
さらに、本体部20aの中央よりやや前部側に4つの第1矩形穴20gと2つの第2矩形穴20iとが形成されている。第1矩形穴20gには、フック44の4本の嵌合脚部44bがそれぞれ挿通されて、その先端がアンテナベース20の裏面に係合することによりフック44がアンテナベース20に取り付けられる。第2矩形穴20iにはフック44の2本の係合脚部44cが挿通されて、アンテナベース20の下面からボルト部21に沿って突出するようになる。本体部20aの裏面からはボルト部21が突出して形成されていると共に、ケーブル引き出し孔20hから引き出されるケーブル22を束ねるカラー45が設けられている。
【0026】
次に、図27ないし図29にベースパッド24の構成を示す。ただし、図27はベースパッド24の構成を示す平面図であり、図28はベースパッド24の構成を示す正面図であり、図29はベースパッド24の構成を示す右側面図である。
これらの図に示すベースパッド24は、前部に向かって次第に細くなる曲面とされ、後端が直線状とされた細長い楕円形を半截した形状の平板からなる本体部24aを有し、本体部24aの表面にはアンテナベース20の外形形状に沿った形状の周壁部24bが形成されている。ベースパッド24の表面にアンテナベース20を載置して、周壁部24bにアンテナベース20の周縁を嵌合することにより、アンテナベース20の下面にベースパッド24が嵌着される。また、周壁部24bに沿って合計5つの孔部24dが形成されており、この孔部24dには、アンテナベース20の嵌入孔20fに下から挿通されるネジ46の頭部が挿通される。本体部24aの中央から前部にかけて楕円形の切欠孔24cが形成されており、この切欠孔24cからはアンテナベース20の下面に設けられているボルト部21とケーブル22およびカラー45が突出するようになる。
【0027】
次に、図30ないし図33に接続金具36の構成を示す。ただし、図30は接続金具36の構成を示す平面図であり、図31は接続金具36の構成を示す下面図であり、図32は接続金具36の構成を示す正面図であり、図33は接続金具36の構成を示す側面図である。
これらの図に示す接続金具36は弾性を有する金属板を加工して形成されており、中央部が折り返されるよう折曲されている金具本体36aを有している。金具本体36aにおける前部と後部の両側にはそれぞれ挟持片36cが形成されており、2枚ずつの挟持片36cが向き合って配置され、その先端部が接触していると共に先端が開くように加工されている。また、2組の挟持片36cの間には挟持片36cより長く形成された接触片36bが向き合って形成されている。接触片36bは下方へ行くほど拡がるように拡開され先端部は外方へ向かって半円形にカールされている。接続金具36は、アンテナ基板30の上端を挟持するように取り付けられる。この際に、一対の挟持片36cの先端が開いていることから、アンテナ基板30の上端から容易に挟持片36cの間に挿入することができるようになる。また、接続金具36がアンテナ基板30の上部に挿着された際に、アンテナ基板30の上部に形成されているアンテナパターンに接続金具36が電気的に接続されるようになる。また、アンテナベース20にアンテナケース10を嵌着した際に、アンテナケース10内に取り付けられているトップ部31の接触片31cの内面に拡開されている接触片36bが接触する。これにより、トップ部31は接続金具36を介してアンテナパターンに電気的に接続されるようになる。
【0028】
次に、図34および図35にアンテナ基板30の構成を示す。ただし、図34はアンテナ基板30の構成を示す正面図であり、図35はアンテナ基板30の構成を示す側面図である。
これらの図に示すアンテナ基板30は、高周波特性の良好なガラスエポキシ基板等のプリント基板とされている基板本体30aを備え、基板本体30aには矩形状の部分の上部から突出する突出部30fと左下部から左側へ突出する部分が形成されている。基板本体30aの上部と突出部30fにはアンテナパターン30bが両面に形成されており、左側の周縁にはアンテナパターン30bの下から細長いパターンが左下部から突出する部分にかけて両面に形成されている。また、突出部30fは接続金具36を挿着する部位とされ、突出部30fの上端の両側には接続金具36の位置決めのための突起30hがそれぞれ形成されている。基板本体30aの下部には2つの取付孔30dが形成されており、取付孔30dの間に切欠30iが形成されている。この取付孔30dの周囲にはリング状のパターンが両面に形成されており、取付孔30dにそれぞれネジ41が挿通されてアンテナベース20のネジ部20dに螺着されることにより、アンテナ基板30がアンテナベース20に立設して取り付けられる。また、切欠30iに一部収納されるようGPSアンテナ32がアンテナベース20に取り付けられる。
【0029】
アンテナパターン30bの左側に形成された孔部30gにはコイル35の引出線35bの一方が挿入されてアンテナパターン30bにハンダ付けされ、引出線35bの他方はパターン30cの上部に形成されている長孔30eに挿入されてパターン30cにハンダ付けされる。また、パターン30cの下部に形成されている長孔30eには接続線33のコ字状部33bが挿入されてパターン30cにハンダ付けされる。これにより、アンテナパターン30bはコイル35、パターン30c、接続線33を介して接続線33のU字状部33cが接続されているアンプ基板34に設けられたAM/FMアンプに接続される。
【0030】
アンテナ基板30に接続金具36、コイル35および接続線33を取り付けた状態を図36に示す。この図に示すように、アンテナ基板30の上部の突出部30fを挟持するように突出部30fの突起30h間に接続金具36が挟着されている。コイル35はアンテナパターン30bの孔部30gとパターン30cの長孔30eとの間にハンダ付けされている。接続線33のコ字状部33bはパターン30cの長孔30eにハンダ付けされている。
【0031】
本発明のアンテナ装置1において、トップ部31とアンテナベース20との間隔h10を約34.4mmとし、図15ないし図18に示すトップ部31の寸法において、長さL20を約106mm、後端の幅w20を約28mm、前端の幅w21を約19mm、高さh20を約28mm、幅w22を約4mmとした際のアンテナ装置1の平均利得の周波数特性を図37に図70および図71に示す従来例と対比して示す。ただし、アンテナ装置1にはGPSアンテナ32を取り付けていない。
図37に示すアンテナ装置1における平均利得の周波数帯域は76MHz〜90MHzのFM波帯の周波数帯域とされており、従来のアンテナ装置100において全高h100を約195mm(図70参照)とした場合を従来例1として、全高h100を約70mm(図71参照)とした場合を従来例2として示している。従来例1と従来例2との平均利得の周波数特性を参照すると、全高h100を約195mmから約70mmに低くすると、FM波帯の周波数帯域の全体にわたり平均利得が約7dB劣化することが分かる。そして、図37を参照すると、本発明のアンテナ装置1は取り付けられた際に突出する高さhが約70mmとされていても全高h100が約195mmとされた従来例1と同等の平均利得の周波数特性が得られており、特に約84MHz以上の高域においては向上した平均利得が得られていることがわかる。
【0032】
次に、本発明のGPSアンテナ32を取り付けていないアンテナ装置1において、上記の寸法とした際のAM波帯におけるS/N比の周波数特性を上記従来例1および従来例2と対比して図38に示す。
図38に示すS/N比の周波数帯域は531kHz〜1602kHzのAM波帯の周波数帯域とされている。図38は従来例1のアンテナ装置100を基準として、従来例1のアンテナ装置100においてS/N比が20dB得られるアンテナ入力値を0dBに基準化し、本発明のアンテナ装置1および従来例2のアンテナ装置100において20dBのS/N比が得られるアンテナ入力値を、基準化されたアンテナ入力値に対する入力改善値[dB]として示している。従来例1と従来例2との入力改善値の周波数特性を参照すると、全高h100を約195mmから約70mmに低くすると、AM波帯の周波数帯域の全体にわたり入力改善値が約4.5〜約5dB劣化することが分かる。すなわち、S/N比が劣化する。そして、図38を参照すると、本発明のアンテナ装置1は高さhが約70mmとされていても全高h100が約195mmとされた従来例1と同等以上の入力改善値の周波数特性が得られており、周波数が高くなるにつれて向上した入力改善値が得られて、S/N比が向上されていることがわかる。
【0033】
次に、本発明のGPSアンテナ32を取り付けていないアンテナ装置1において、上記の寸法とした際のFM放送受信信号のS/N比の周波数特性を上記従来例1および従来例2と対比して図39に示す。
図39に示す周波数帯域は76MHz〜90MHzのFM波帯の周波数帯域とされている。図39においても従来例1のアンテナ装置100においてS/N比が30dB得られるアンテナ入力値を0dBに基準化し、本発明のアンテナ装置1および従来例2のアンテナ装置100において30dBのS/N比が得られるアンテナ入力値を、基準化されたアンテナ入力値に対する入力改善値[dB]として示している。従来例1と従来例2との入力改善値の周波数特性を参照すると、全高h100を約195mmから約70mmに低くすると、FM波帯の周波数帯域の低域(76MHz)においては約4dB劣化し、中域(83MHz)においては約1dBの劣化にとどまるが中域から高域に行くにつれて劣化するようになり90MHzでは7dB劣化することが分かる。そして、図39を参照すると、本発明のアンテナ装置1は高さhが約70mmとされていても全高h100が約195mmとされた従来例1と同等の入力改善値の周波数特性が得られて、S/N比が向上されていることがわかる。
【0034】
本発明のアンテナ装置1においてはトップ部31をアンテナベース20の後端より後方へ突出すると平均利得およびS/N比が向上するようになる。そこで、トップ部31をアンテナベース20の後端より後方へ突出させた際の基礎実験におけるアンテナ装置1の態様を図40ないし図43に示し、その際に得られた基礎実験データを図44ないし図50に示す。ただし、アンテナ装置1にはGPSアンテナ32を取り付けていない。
図40は基礎実験に用いたアンテナ装置1の構成を示す平面図であり、図41は基礎実験に用いたアンテナ装置1の構成を示す正面図であり、図42は基礎実験に用いたアンテナ装置1の構成を示す右側面図である。これらの図に示すように、アンテナ装置1におけるトップ部31−1の形状は実施例のトップ部31と若干異なっているが長さや幅の寸法はほぼ同様とされており、アンテナエレメントとしてはほぼ同様の電気的性能を奏している。トップ部31−1は、頂部がほぼ平坦に形成されて両側部は下方へ向かって急傾斜の斜面とされている。トップ部31−1の後部は斜めに切り取られてアンテナベース20との対向面積を極力低減させている。このトップ部後方突出長さの基礎実験では、図40,図41に示すように標準の位置からのトップ部31−1の移動量LをL1,L2,L3,L4と後方へ移動しており、ここでは、移動量L1,L2,L3,L4をそれぞれ約10mm、約20mm、約30mm、約40mmとしている。なお、図43はトップ部31−1の移動量Lを約40mm(L4)とした際の構成を示す正面図とされている。
【0035】
標準の位置からのトップ部31−1の後方への移動量LをL1,L2,L3,L4と後方へ移動した際のFM波帯における平均利得の周波数特性を図44に示す。図44に示す平均利得の周波数帯域は76MHz〜90MHzのFM波帯の周波数帯域とされている。図44を参照すると、トップ部31−1の移動量Lを0mmから約10mm、約20mm、約30mm、約40mmと後方にトップ部31−1が移動されるにつれて平均利得の周波数特性が向上していくようになる。トップ部31−1の後方の移動量が0mmの場合と約40mmとの場合とを対比すると、移動量を約40mmの場合はFM波帯の周波数帯域内において最大約4dB、平均利得の周波数特性が向上するようになる。
【0036】
次に、標準の位置からのトップ部31−1の後方への移動量LをL1,L2,L3,L4と後方へ移動した際のAM波帯におけるS/N比の変化特性を図45ないし図47に示す。図45ないし図47はAM波帯における周波数において、トップ部31−1の後方への移動量Lが0mmを基準として、S/N比が20dB得られるアンテナ入力値を0dBに基準化し、移動量Lを0mmから約10mm、約20mm、約30mm、約40mmと移動していった際に20dBのS/N比が得られるアンテナ入力値を、基準化されたアンテナ入力値に対する入力改善値[dB]として示している。図45は周波数を下限値の531kHzとした際の移動量Lである突出長さLに対する入力改善値を示しており、図46は周波数をほぼ中心周波数の999kHzとした際の移動量Lである突出長さLに対する入力改善値を示しており、図47は周波数を上限値の1602kHzとした際の移動量Lである突出長さLに対する入力改善値を示している。これらの図を参照すると、531kHzの周波数においては、突出長さLが大きくなるほど入力改善値が向上されていき、突出長さLが40mmとされた際に約1.3dB向上されるようになる。また、999kHzの周波数においても、突出長さLが大きくなるほど入力改善値が向上されていき、突出長さLが40mmとされた際に約0.8dB向上されるようになる。さらに、1602kHzの周波数においても、突出長さLが大きくなるほど入力改善値が向上されていき、突出長さLが40mmとされた際に約1.5dB向上されるようになる。このように、AM波帯においては突出長さLを大きくするほどS/N比が向上されるようになる。
【0037】
次に、標準の位置からのトップ部31−1の後方への移動量LをL1,L2,L3,L4と後方へ移動した際のFM波帯におけるS/N比の周波数特性を図48ないし図50に示す。図48ないし図50はFM波帯における周波数において、トップ部31−1の後方への移動量Lが0mmを基準として、S/N比が30dB得られるアンテナ入力値を0dBに基準化し、移動量Lを0mmから約10mm、約20mm、約30mm、約40mmと移動していった際に30dBのS/N比が得られるアンテナ入力値を、基準化されたアンテナ入力値に対する入力改善値[dB]として示している。図48は周波数を下限値の76MHzとした際の移動量Lである突出長さLに対する入力改善値を示しており、図49は周波数をほぼ中心周波数の83MHzとした際の移動量Lである突出長さLに対する入力改善値を示しており、図50は周波数を上限値の90MHzとした際の移動量Lである突出長さLに対する入力改善値を示している。これらの図を参照すると、76MHzの周波数においては、突出長さLが大きくなるほど入力改善値が向上されていき、突出長さLが40mmとされた際に約1.2dB向上されるようになる。また、83MHzの周波数においても、突出長さLが大きくなるほど入力改善値が向上されていき、突出長さLが40mmとされた際に約0.6dB向上されるようになる。さらに、90MHzの周波数においても、突出長さLが大きくなるほど入力改善値が向上されていき、突出長さLが40mmとされた際に約1.3dB向上されるようになる。このように、FM波帯においても突出長さLを大きくするほどS/N比が向上されるようになる。
上記した基礎実験から、トップ部31を後方へ移動するほどグランドからの間隔が大きくなって、グランドとトップ部31間の浮遊容量が減少されて、AM波帯においてもFM波帯においてもゲインおよびS/N比が向上することが分かる。
【0038】
次に、本発明のアンテナ装置1においてトップ部31とアンテナベース20との高さHを変化させた際の平均利得およびS/N比の基礎実験データを得る基礎実験について説明する。トップ部31のアンテナベース20からの高さHを変化させる基礎実験におけるアンテナ装置1の態様を図51ないし図55に示し、その際に得られた基礎実験データを図56ないし図62に示す。ただし、アンテナ装置1にはGPSアンテナ32を取り付けていない。
図51は基礎実験に用いたアンテナ装置1の構成を示す右側面図であり、図52は基礎実験に用いたアンテナ装置1の構成を示す正面図であり、図53は基礎実験に用いたアンテナ装置1の構成を示す平面図である。これらの図に示すように、アンテナ装置1におけるトップ部31−2の形状は実施例のトップ部31と若干異なっており、前述したトップ部を後方へ移動させる基礎実験に用いたトップ部31−1の両側部の寸法を大きくした形状とされている。下方へ向かって急傾斜の斜面とされているトップ部31−2の両側部は、水平方向に約50mmとされ斜面における下方への寸法が約60mmとされている。このトップ部高さの基礎実験では、図51ないし図53に示すようにトップ部31−2のアンテナベース20からの高さHをH1,H2,H3,H4と高くしており、ここでは、高さH1,H2,H3,H4をそれぞれ約5mm、約10mm、約20mm、約30mmとしている。なお、図54はトップ部31−2の高さHを約30mm(H4)とした際の構成を示す正面図であり、図55はトップ部31−2の高さHを約30mm(H4)とした際の構成を示す右側面図とされている。
【0039】
トップ部31−2の高さHをH1,H2,H3,H4と次第に高くした際のFM波帯における平均利得の周波数特性を図56に示す。図56に示す平均利得の周波数帯域は76MHz〜90MHzのFM波帯の周波数帯域とされている。図56を参照すると、トップ部31−2のアンテナベース20からの高さHを5mmから約10mm、約20mm、約30mmと高くされるにつれて平均利得の周波数特性は次第に向上していくようになる。トップ部31−2の高さが約5mmの場合と約10mmとの場合とを対比すると、高さHを約10mmとした場合はFM波帯の周波数帯域内において最大約5dB、平均利得が向上するようになる。また、トップ部31−2の高さが約5mmの場合と約30mmとの場合とを対比すると、高さHを約30mmとした場合はFM波帯の周波数帯域内において最大約10dB、平均利得が向上するようになる。
【0040】
次に、トップ部31−2の高さHをH1,H2,H3,H4と次第に高くした際のAM波帯におけるS/N比の変化特性を図57ないし図59に示す。図57ないし図59はAM波帯における周波数において、トップ部31−2のアンテナベース20からの高さHが30mmを基準として、S/N比が20dB得られるアンテナ入力値を0dBに基準化し、高さHを5mmから約10mm、約20mm、約30mmと移動していった際に20dBのS/N比が得られるアンテナ入力値を、基準化されたアンテナ入力値に対する入力改善値[dB]として示している。図57は周波数を下限値の531kHzとした際の高さHに対する入力改善値を示しており、図58は周波数をほぼ中心周波数の999kHzとした際の高さHに対する入力改善値を示しており、図59は周波数を上限値の1602kHzとした際の高さHに対する入力改善値を示している。これらの図を参照すると、531kHzの周波数においては、高さHが5mmとされた際に約6dB強劣化しているが、高さHが大きくなるほど入力改善値が向上されていき、高さHが30mmとされた際に0dBまで向上するようになる。また、999kHzの周波数においても、高さHが5mmとされた際に約6dB弱劣化しているが、高さHが大きくなるほど入力改善値が向上されていき、高さHが30mmとされた際に0dBまで向上するようになる。さらに、1602kHzの周波数においても、高さHが5mmとされた際に約6dB弱劣化しているが、高さHが大きくなるほど入力改善値が向上されていき、高さHが30mmとされた際に0dBまで向上するようになる。このように、AM波帯においては高さHを高くするほどS/N比が向上されるようになる。
【0041】
次に、トップ部31−2の高さHをH1,H2,H3,H4と次第に高くした際のFM波帯におけるS/N比の周波数特性を図60ないし図62に示す。図60ないし図62はFM波帯における周波数において、トップ部31−2のアンテナベース20からの高さHが30mmを基準として、S/N比が30dB得られるアンテナ入力値を0dBに基準化し、高さHを5mmから約10mm、約20mm、約30mmと移動していった際に30dBのS/N比が得られるアンテナ入力値を、基準化されたアンテナ入力値に対する入力改善値を示しており、図60は周波数を下限値の76MHzとした際の高さHに対する入力改善値を示しており、図61は周波数をほぼ中心周波数の83MHzとした際の高さHに対する入力改善値を示しており、図62は周波数を上限値の90MHzとした際の高さHに対する入力改善値を示している。これらの図を参照すると、76MHzの周波数においては、高さHが5mmとされた際に約6.4dB劣化しているが、高さHが大きくなるほど入力改善値が向上されていき、高さHが30mmとされた際に0dBまで向上するようになる。また、83MHzの周波数においても、高さHが5mmとされた際に約7.5dB劣化しているが、高さHが大きくなるほど入力改善値が向上されていき、高さHが30mmとされた際に0dBまで向上するようになる。さらに、90MHzの周波数においても、高さHが5mmとされた際に約4.5dB劣化しているが、高さHが大きくなるほど入力改善値が向上されていき、高さHが30mmとされた際に0dBまで向上するようになる。このように、FM波帯においても高さHを高くするほどS/N比が向上されるようになる。
上記した基礎実験から、トップ部31のアンテナベース20からの高さHを高くするほどアンテナベース20とされるグランドからの間隔が大きくなって、グランドとトップ部31間の浮遊容量が減少されるようになる。ここでは、高さHを約10mm以上とするとAM波帯においてもFM波帯においてもゲインおよびS/N比が向上することが分かる。
【0042】
次に、本発明のアンテナ装置1においてトップ部31のアンテナベース20に対面する面積を変化させた際のアンテナ容量の基礎実験データを得る基礎実験について説明する。本発明のアンテナ装置1の等価回路を図69に示す。等価回路におけるアンテナエレメント部50は、トップ部31とアンテナ基板30に形成されているアンテナパターン30bとにより構成されており、アンテナエレメント誘起電圧源V0とアンテナ全体容量Caとが直列に接続されている。アンテナエレメント部50から出力される受信信号はアンプ基板34に設けられているアンプ回路部51に入力される。アンプ回路部51にはアンプAMPが設けられており、入力された受信信号が増幅されて出力端OUTから出力される。また、アンプ回路部51の入力側にはグランドとの間にアンプ入力部容量とされる無効容量Ciが接続されている。無効容量Ciは、アンテナエレメント部50のグランドに対する浮遊容量により発生する。アンプAMPに入力される受信信号のアンテナ入力部電圧Viは次式(1)で求められる。
Vi=V0・Ca/(Ca+Ci) (1)
(1)式で示されるように、無効容量Ciが小さいほどアンプAMPに入力されるアンテナ入力部電圧Viは大きくなって、アンテナ装置1のゲインが向上することがわかる。
【0043】
そこで、トップ部31のアンテナベース20に対面する面積を変化させた際のアンテナ容量(Ca+Ci)の基礎実験データを得る基礎実験においては、3種類の面積の異なるトップ部31−3を用意し、トップ部31−3をアンテナベース20に対して垂直および平行に配置して、その間のクリアランスSを変化させた際のアンテナ容量を測定した。図63(a)(b)に示すトップ部31−3は横の長さa1が約50mm、縦の長さb1が約50mmとされており、図63(a)はトップ部31−3がアンテナベース20に立設されたアンテナ基板30上に垂直に配置された構成を示す正面図であり、アンテナ基板30の高さがクリアランスSとされている。図63(b)はトップ部31−3がアンテナベース20に立設されたアンテナ基板30上に水平に配置された構成を示す側面図であり、アンテナ基板30の高さがクリアランスSとされている。図63(a)(b)に示す第1の構成において、クリアランスSを約10mmから約50mmまで変化させた際のアンテナ容量の変化特性を図66に示す。図66を参照すると、図63(a)に示すようにトップ部31−3を垂直に配置した場合は、クリアランスSが10mmの時に最大となってアンテナ容量は約2.8pFとなり、クリアランスSが大きくなるにつれて減少していきクリアランスSが40mmとされた際にアンテナ容量は約1.9pFとなる。また、図63(b)に示すようにトップ部31−3を水平に配置した場合はアンテナベース20との対向面積が大きくなり、クリアランスSが10mmの時に最大となってアンテナ容量は約4.3pFとなり、クリアランスSが大きくなるにつれて減少していきクリアランスSが40mmとされた際にアンテナ容量は約2pFとなる。
【0044】
次に、図64(a)(b)に示すトップ部31−3は横の長さa2が約50mm、縦の長さb2が約25mmとされており、図64(a)はトップ部31−3がアンテナベース20に立設されたアンテナ基板30上に垂直に配置された構成を示す正面図であり、アンテナ基板30の高さがクリアランスSとされている。図64(b)はトップ部31−3がアンテナベース20に立設されたアンテナ基板30上に水平に配置された構成を示す側面図であり、アンテナ基板30の高さがクリアランスSとされている。図64(a)(b)に示す第2の構成において、クリアランスSを約10mmから約50mmまで変化させた際のアンテナ容量の変化特性を図67に示す。図67を参照すると、図64(a)に示すようにトップ部31−3を垂直に配置した場合は、クリアランスSが10mmの時に最大となってアンテナ容量は約2.1pFとなり、クリアランスSが大きくなるにつれて減少していきクリアランスSが40mmとされた際にアンテナ容量は約1.3pFとなる。また、図64(b)に示すようにトップ部31−3を水平に配置した場合はアンテナベース20との対向面積が大きくなり、クリアランスSが10mmの時に最大となってアンテナ容量は約3pFとなり、クリアランスSが大きくなるにつれて減少していきクリアランスSが40mmとされた際にアンテナ容量は約1.4pFとなる。
【0045】
次に、図65(a)(b)に示すトップ部31−3は横の長さa3が約50mm、縦の長さb3が約3mmとされており、図65(a)はトップ部31−3がアンテナベース20に立設されたアンテナ基板30上に垂直に配置された構成を示す正面図であり、アンテナ基板30の高さがクリアランスSとされている。図65(b)はトップ部31−3がアンテナベース20に立設されたアンテナ基板30上に水平に配置された構成を示す側面図であり、アンテナ基板30の高さがクリアランスSとされている。図65(a)(b)に示す第3の構成において、クリアランスSを約10mmから約50mmまで変化させた際のアンテナ容量の変化特性を図68に示す。図68を参照すると、図65(a)に示すようにトップ部31−3を垂直に配置した場合は、クリアランスSが10mmの時に最大となってアンテナ容量は約1pFとなり、クリアランスSが大きくなるにつれて減少していきクリアランスSが40mmとされた際にアンテナ容量は約0.7pFとなる。また、図65(b)に示すようにトップ部31−3を水平に配置した場合も同様になり、クリアランスSが10mmの時に最大となってアンテナ容量は約1pFとなり、クリアランスSが大きくなるにつれて減少していきクリアランスSが40mmとされた際にアンテナ容量は約0.7pFとなる。
【0046】
アンテナ容量はアンテナ全体容量Caと無効容量Ciとの和であり、無効容量Ciは、アンテナエレメント部50とグランドとの対向面積により生じる浮遊容量であることから、トップ部31−3を横に配置した際に、トップ部31−3とアンテナベース20との対向面積が大きくなって無効容量Ciが大きくなる。この無効容量CiはクリアランスSに反比例して減少することから、クリアランスSが大きくなるにつれてアンテナ容量は減少していく。この場合、減少していく容量は無効容量Ciに基づく容量であってアンテナ全体容量CaはクリアランスSが変化しても変化しない。従って、図66ないし図68のアンテナ容量の変化特性に示されるように、無効容量Ciはトップ部31−3とアンテナベース20との対向面積を少なくすることにより小さくなることが分かる。このように、トップ部31−3の面積を小さくするほど無効容量Ciは小さくなるが、トップ部31−3の面積を大きくしても垂直に配置することにより無効容量Ciを小さくすることができる。そこで、本発明の実施例のアンテナ装置1におけるトップ部31においては、頂部から両側に急傾斜の斜面とされた第1側部31aと第2側部31bで構成することにより、アンテナベース20との対向面積を低減させて、無効容量を小さくしているのである。
【産業上の利用可能性】
【0047】
以上説明した本発明の実施例にかかるアンテナ装置1は低姿勢とされて、約70mm以下の高さとされる。アンテナ装置1では、前述したようにトップ部31とアンテナ基板30に形成されているアンテナパターン30bとによりアンテナエレメントが構成されるが、このアンテナエレメントのアンテナ容量は約4.7pFとなる。この場合、トップ部31の下縁からアンテナベース20の上面までの高さh10は約34.4mmとされ、トップ部31の寸法は前述した寸法とされる。本発明のアンテナ装置1におけるアンテナ容量としては、アンテナエレメントがアンテナとして有効に機能するように約3pF以上とすることが好適とされる。そして、無効容量を低減するためにクリアランスSで示されるトップ部31の下縁からアンテナベース20の上面までの高さh10は約10mm以上とすることが好適とされる。また、トップ部31の後部をアンテナベース20の後端より後方へ突出するよう移動させることにより、電気的特性を向上することができる。さらに、トップ部31の形状は図15ないし図18に示す形状に限るものではなく、図40ないし図43に示すトップ部31−1の形状としてもよい。
上記の説明では金属板からなるトップ部をアンテナケース内に取り付けることにより内蔵するようにしたが、トップ部をアンテナケース内の上部内面に蒸着あるいは貼着することにより、トップ部をアンテナケース内に内蔵させるようにしてもよい。また、本発明にかかるアンテナ装置は車両のルーフやトランクに取り付けられる車載用としたが、これに限るものではなくAM波帯とFM波帯を受信するアンテナ装置であれば適用することができる。
【符号の説明】
【0048】
1 アンテナ装置、10 アンテナケース、20 アンテナベース、20a 本体部、20b アンテナ取付部、20c ネジ孔、20d ネジ部、20e ボス、20f 嵌入孔、20g 矩形穴、20h ケーブル引き出し孔、20i 矩形穴、21 ボルト部、22 ケーブル、24 ベースパッド、24a 本体部、24b 周壁部、24c 切欠孔、24d 孔部、30 アンテナ基板、30a 基板本体、30b アンテナパターン、30c パターン、30d 取付孔、30e 長孔、30f 突出部、30g 孔部、30h 突起、30i 切欠、31 トップ部、31a 第1側部、31b 第2側部、31c 接触片、31d ネジ孔、31e 平坦部、31f スリット、32 GPSアンテナ、33 接続線、33a 本体部、33b コ字状部、33c U字状部、33d 折曲部、34 アンプ基板、34a 基板本体、34b ネジ孔、34b 挿通孔、35 コイル、35a コイル本体、35b 引出線、36 接続金具、36a 金具本体、36b 接触片、36c 挟持片、40 ネジ、41 ネジ、42 ネジ、43 端子、44 フック、44a 本体部、44b 嵌合脚部、44c 係合脚部、45 カラー、46 ネジ、47 ナット、50 アンテナエレメント部、51 アンプ回路部、100 アンテナ装置、110 エレメント、111 アンテナ基部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アンテナケースと、該アンテナケース内に収納されるアンテナ部とを備え、取り付けられた際に約70mm以下の高さで突出するアンテナ装置であって、
前記アンテナ部は、
前記アンテナケースの下端に、前記アンテナケースの下面を閉塞するよう嵌着される導電性のアンテナベースと、
該アンテナベース上に立設されて配置され、アンテナパターンが上部に形成されているアンテナ基板と、
頂部と、該頂部の両側から斜面とされた側部が形成されて断面形状が山形に形成されており、前記アンテナ基板を跨ぐように配置されていると共に、前記頂部近傍が前記アンテナパターンに接続されて、前記アンテナパターンと共にアンテナエレメントを構成しており、後部が、前記アンテナベースの後端より後方に突出している導電性のトップ部と、
前記アンテナエレメントにより受信されたAM放送とFM放送の信号を増幅するアンプが設けられ、前記アンテナベース上に配置されているアンプ基板とを備え、
前記トップ部における前記側部の下縁と前記アンテナベースとの間隔が約10mm以上とされており、前記アンテナ基板における前記アンテナパターンが、前記アンプ基板における前記アンプの入力に、前記アンテナエレメントのインダクタンス分を補うコイルを介して接続されていることを特徴とするアンテナ装置。
【請求項2】
前記トップ部の大きさが、前記アンテナエレメントのアンテナ容量が約3pF以上となる大きさとされていることを特徴とするアンテナ装置。
【請求項3】
前記アンテナパターンが形成されている前記アンテナ基板の上部を挟持するように取り付けられ、両側に拡がるよう形成されている接触片を有する接続金具を、前記アンテナ部はさらに備え、
前記アンテナケース内の上部に前記トップ部が内蔵されて取り付けられており、前記アンテナケースにより前記アンテナ部を覆うように前記アンテナベースに前記アンテナケースを取り付けた際に、前記接続金具の前記接触片が前記トップ部の前記側部の内側に接触することにより、前記トップ部と前記アンテナパターンとが電気的に接続されることを特徴とする請求項1または2記載のアンテナ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【図43】
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【図44】
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【図45】
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【図46】
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【図47】
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【図48】
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【図49】
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【図50】
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【図51】
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【図52】
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【図53】
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【図54】
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【図55】
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【図56】
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【図57】
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【図58】
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【図59】
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【図60】
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【図61】
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【図62】
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【図63】
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【図64】
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【図65】
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【図66】
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【図67】
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【図68】
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【図69】
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【図70】
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【図71】
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【公開番号】特開2012−10409(P2012−10409A)
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−215419(P2011−215419)
【出願日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【分割の表示】特願2008−181545(P2008−181545)の分割
【原出願日】平成20年7月11日(2008.7.11)
【出願人】(000227892)日本アンテナ株式会社 (176)
【Fターム(参考)】