説明

アンテナ装置

【課題】 アンテナベースを強度部材とする必要をなくす。
【解決手段】 シャークフィン状のアンテナケース10の下部に外側周壁部と内側周壁部とが形成されており、下面に配置されたアンテナベース11における絶縁ベース20の上面に内側周壁部の下端面が溶着される。これにより、防水構造とされたアンテナケース10内にアンテナアセンブリを収納することができる。アンテナアセンブリは、アンテナベース11上に立設されて設けられたエレメントホルダー12と、後部が絶縁ベース20上に位置するようにエレメントホルダー12の上部に固着されている傘型エレメント13と、傘型エレメントの受信信号を増幅するアンプ基板16と、傘型エレメント13を所定の周波数に共振させるコイル14とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車へ搭載可能な小型低姿勢のアンテナ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、アンテナケースを備える車両用のアンテナ装置のように限られた空間しか有していないアンテナ装置が知られている。この従来のアンテナ装置100の構成を図41ないし図43に示す。ただし、図41は従来のアンテナ装置100の構成を示す側面図であり、図42は従来のアンテナ装置100の内部構成を示す側面図であり、図43は従来のアンテナ装置100の分解組立図である。
これらの図に示す従来のアンテナ装置100は、車両のルーフに取り付けられるアンテナ装置とされており、車両に取り付けられた際に車両から突出する高さは約66mm、幅が約63mm、長さが約153mmとされている。アンテナ装置100は低姿勢とされており、AM放送とFM放送を受信することが可能とされている。このアンテナ装置100の形状は先端に行くほど細くなる流線型とされている。そして、アンテナ装置100の下面には、ゴム製またはエラストマー製の柔軟なベースパッドが嵌着されており、車両に水密に取り付けることができるようにされている。
【0003】
従来のアンテナ装置100は、樹脂製のアンテナケース110と、このアンテナケース110の下部が嵌着されている金属製のアンテナベース120と、アンテナベース120に垂直に取り付けられているアンテナ基板130および平行に取り付けられているアンプ基板134と、断面形状が山形に形成されアンテナ基板130を跨ぐように配置されているトップ部131と、アンテナベース120上に取り付けられているGPSアンテナ132とを備えている。アンテナケース110は電波透過性の合成樹脂製とされており、先端に行くほど細くなる流線型の外形形状の外殻部110aから構成されている。アンテナケース110内には、立設されたアンテナ基板130およびアンテナ基板130の上部に配置されたトップ部131を収納できる空間と、アンプ基板134を横方向に収納する空間が形成されている。アンテナケース110の下面には金属製のアンテナベース120が嵌着されている。そして、アンテナベース120にアンテナ基板130が立設して固着され、アンテナ基板130の前方にアンプ基板134がアンテナベース120にほぼ平行に固着されている。アンテナ基板130の上部には、アンテナパターンが形成されている。また、アンテナケース110内の上部にトップ部131が内蔵されている。そして、アンテナケース110をアンテナベース120に嵌着することにより、アンテナケース110に内蔵されたトップ部131がアンテナ基板130の上部を跨ぐように配置され、アンテナ基板130の上部に取り付けられた接続金具136がトップ部131の内面に電気的に接触するようになる。接続金具136は、アンテナ基板130に形成されているアンテナパターンに電気的に接続されていることから、接続金具136を介してトップ部131とアンテナパターンとが接続されるようになる。これにより、アンテナパターンとトップ部131とによりアンテナエレメントが構成され、アンテナケース110内の空間にアンテナ基板130とトップ部131とアンプ基板134とが収納されるようになる。
【0004】
アンテナ基板130上には、アンテナパターンとトップ部131とにより構成されるアンテナエレメントをFM波帯付近で共振させるためのコイル135が設けられている。コイル135の一端はアンテナパターンに接続され、コイル135の他端はアンテナ基板130上に形成されているパターンの一端に接続され、このパターンの他端には接続線133の一端が接続される。接続線133の他端はアンプ基板134に設けられているAM/FMアンプの入力部に接続され、アンテナパターンとトップ部131とにより構成されるアンテナエレメントにより受信されたAM/FM受信信号がAM/FMアンプに入力されて増幅されるようになる。また、アンテナベース120の下面からは、アンテナ装置100を車両に取り付けるためのボルト部121が突出するよう形成されている。また、アンテナ装置100から受信信号を車両内に導くためのケーブル122がアンテナベース120の下面から導出されている。このケーブル122はアンプ基板134から導出されており、アンプ基板134に設けられているAM/FMアンプにより増幅されたAM受信信号およびFM受信信号を導くケーブルが含まれており、カラー145により束ねられている。この場合、ボルト部121およびケーブル122が挿通される穴が車両のルーフに形成され、これらの穴にボルト部121およびケーブル122が挿通されるようルーフ上にアンテナ装置100を載置する。そして、車両内に突出したボルト部121にナットを締着することによりアンテナ装置100を車両のルーフに固着することができる。また、アンテナケース110内に収納されているアンプ基板134への電源は、車両内からケーブル122によりアンプ基板134に供給される。
【0005】
従来のアンテナ装置100の組み立てについて図43に示す分解組立図を参照して説明する。従来のアンテナ装置100は、アンテナケース110内の上部にトップ部131が2本のネジ140により固着される。アンテナ基板130の上端には接続金具136が嵌着される。接続金具136はアンテナ基板130を挟持することによりアンテナ基板130の上部に取り付けられる。また、アンテナ基板130上にコイル135がハンダ付けされて取り付けられる。このアンテナ基板130は、2本のネジ141によりアンテナベース120に立設されて固着される。また、アンプ基板134はアンテナ基板130より前方に配置され、3本のネジ142によりアンテナベース120にほぼ平行に固着される。アンプ基板134からは増幅されたAM受信信号およびFM受信信号を出力するケーブル122が導出されており、ケーブル122の先端に端子143が装着され、端子143はアンプ基板134の裏面に固着される。また、アンテナ基板130に針金状の接続線133の一端が接続され、接続線133の他端がアンプ基板134に接続されることにより、アンテナ基板130に設けられたコイル135の出力端とアンプ基板134に設けられたAM/FMアンプの入力端とが接続されて、アンテナパターンとトップ部131とにより構成されるアンテナエレメントにより受信されたAM/FM受信信号がアンプ基板134におけるAM/FMアンプに入力されるようになる。アンテナベース120の引き出し孔から引き出されたケーブル122を束ねるように、ケーブル122の根本にはカラー145が嵌着される。
【0006】
アンプ基板134の下にはフック144が配置されてアンテナベース120に嵌着される。フック144の両側面からは一対の長くされた係合脚部が延伸されている。この係合脚部は、アンテナ装置100を車両に取り付けた際に、車両に形成された取付孔の縁に係合されて、アンテナ装置100を車体に仮止めする作用を奏している。これにより、車体外からアンテナ装置100を保持することなく、車内からボルト部121にナット147を螺合する際に、アンテナ装置100が取付孔から抜け出ることなく螺合することができるようになる。
アンテナベース120の下面にはベースパッド124が嵌着される。ベースパッド124の周縁部には合計5つのネジの頭部が挿通可能な孔部が形成されており、この孔部に下から5本のネジ146を挿通して、ネジ146をアンテナベース120の周縁部に形成された嵌入孔に挿通し、アンテナケース110の下面の周縁に螺着する。これにより、アンテナ装置100を組み立てることができる。組み立てられたアンテナ装置100を、車両に形成された取付孔にボルト部121を位置合わせして取り付けると、上述したようにフック144によりアンテナ装置100は取付孔に仮止めされる。この状態において、車内からナット147をボルト部121に螺着することにより、アンテナ装置100を車体に取り付けることができる。
【0007】
従来のアンテナ装置100のアンテナケース110の構成を図44および図45に示す。ただし、図44はアンテナケース110の構成を断面図で示す側面図であり、図45はアンテナケース110の構成を示す下面図である。
これらの図に示すように、アンテナケース110は電波透過性の合成樹脂製とされており、先端に行くほど細くなる流線型の外形形状とされている。アンテナケース110内には、立設されたアンテナ基板130およびアンテナ基板130の上部に配置されたトップ部131を収納できる空間と、アンプ基板134を横方向に収納できる空間が形成されている。また、5本のネジを螺着するために、前部に1つ中央部の両側にそれぞれ1つと後部の両側にそれぞれ1つの合計5個のネジ孔110cが下面に形成されている。さらに、ネジ孔110cを形成するために、ネジ孔110cの周囲に膨出する5個のボス110bが形成されている。さらにまた、トップ部131を2本のネジ140により固着するための2つのボス110eがアンテナケース110内の上部に形成されている。
【0008】
また、従来のアンテナ装置100のトップ部131は、図42,図43に示すように金属板を加工して形成されており、前方に向かって緩やかに降下する曲面とされた頂部を有し、頂部から両側に傾斜した第1側部と第2側部が形成されている。第1側部と第2側部には3つずつスリットが形成されて、それぞれの側部は4つの片からなっている。この片の内のほぼ中央よりの一対の片が接続金具136に接続される接触片とされている。接触片は、内側に膨出するよう形成されているボス110bに接触しないように、中途からほぼ垂直なるよう折曲されて形成されている。また、トップ部131の頂部には平坦部が2カ所形成されて、平坦部にそれぞれネジ孔が形成されている。このネジ孔にそれぞれネジ140が挿通されて、アンテナケース110の頂部の内側に形成されているボス110eに螺着されることにより、トップ部131がアンテナケース110内に取り付けられるようになる。
【0009】
次に、従来のアンテナ装置100のアンテナベース120の構成を図46および図47に示す。ただし、図46はアンテナベース120の構成を示す示す平面図であり、図47はアンテナベース120の構成を示す側面図である。
これらの図に示すアンテナベース120は金属製とされ、前部がテーパ状に細くされたほぼ矩形状の平板からなる本体部120aを有し、本体部120aの周縁部には合計5つの嵌入孔120fが形成されている。この嵌入孔120fに下からそれぞれ挿通されたネジ146をアンテナケース110の下面に形成されたネジ孔110cにそれぞれ螺着することにより、アンテナケース110にアンテナベース120が嵌着される。本体部120aのテーパ状に細くされた前部には3つのボス120eが形成されており、このボス120e上にアンプ基板134が載置されてアンプ基板134に挿通されたネジ142をそれぞれボス120eに螺着することにより、アンプ基板134をアンテナベース120上に固着することができる。
【0010】
また、本体部120aのほぼ中央部と後部側に2つのネジ部120dが水平方向に形成されている。このネジ部120dに、アンテナ基板130の取付孔に挿通されたネジ141をそれぞれ螺着することによりアンテナ基板130を立設してアンテナベース120に取り付けることができる。本体部120aの中央よりやや後部側には矩形状の凹部を形成する矩形枠状のGPSアンテナ取付部120bが形成され、GPSアンテナ取付部120bの四隅にネジ孔120cが形成されている。このネジ孔120cに、GPSアンテナ132の取付孔に挿通した4本のネジをそれぞれ螺着することにより、GPSアンテナ132をGPSアンテナ取付部120bに取り付けることができる。本体部120aの中央部には長方形状のケーブル引き出し孔120hが形成されている。このケーブル引き出し孔120hからは、アンプ基板134に接続されているケーブル122とGPSアンテナ132に接続されているケーブルを引き出すことができる。
【0011】
さらに、本体部120aの中央よりやや前部側に4つの第1矩形穴120gと2つの第2矩形穴120iとが形成されている。第1矩形穴120gには、フック144の4本の嵌合脚部144bがそれぞれ挿通されて、その先端がアンテナベース120の裏面に係合することによりフック144がアンテナベース120に取り付けられる。第2矩形穴120iにはフック144の2本の係合脚部144cが挿通されて、アンテナベース120の下面からボルト部121に沿って突出するようになる。本体部120aの裏面からはボルト部121が突出して形成されていると共に、ケーブル引き出し孔120hから引き出されるケーブル122を束ねるカラー145が設けられている。
【0012】
次に、従来のアンテナ装置100のベースパッド124の構成を図48および図49に示す。ただし、図48はベースパッド124の構成を示す平面図であり、図49はベースパッド124の構成を示す側面図である。
これらの図に示すベースパッド124はゴム製またはエラストマー製とされており、前部に向かって次第に細くなる曲面とされ、後端が直線状とされた細長い楕円形を半截した形状の平板からなる本体部124aを有し、本体部124aの表面にはアンテナベース120の外形形状に沿った形状の周壁部124bが形成されている。ベースパッド124の表面にアンテナベース120を載置して、周壁部124b内にアンテナベース120を嵌挿することにより、アンテナベース120にベースパッド124が嵌着される。また、周壁部124bの内側に沿って合計5つの孔部124dが形成されており、この孔部124dには、アンテナベース120の嵌入孔120fに下から挿通されるネジ146の頭部が挿通される。本体部124aの中央から前部にかけて楕円形の切欠孔124cが形成されており、この切欠孔124cからはアンテナベース120の下面に設けられているボルト部121とケーブル122およびカラー145が突出するようになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開2010−21856号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
従来のアンテナ装置100においては、電波を受信する機能部品を雨や塵埃などから保護するためこれらの受信機能部品をアンテナケース110内に収納し、アンテナベース120をアンテナケース110にネジ146で固定している。そして、アンテナケース110とアンテナベース120のスキマからアンテナケース110内部に雨水等が浸入するのを防止するため、アンテナケース110の下部には防水リブとして機能する周壁部110dが設けられている。この周壁部110dとアンテナベース120の間にベースパッド124が挟み込まれて水密構造とされ、内部の機能部品が保護される。アンテナベース120は機能部品やアンテナケース110を保持する強度部材であると共にアンプ基板134の接地電極を兼ねており、アンプ基板134のアースは、アンテナベース120のボルト部121とナット147を介して車体に電気的に接続されている。
【0015】
従来のアンテナ装置100の感度はトップ部131と相対する電気的な接地面との間隔によって決定され、間隔が大きいほどトップ部131の面積が大きいほど感度が良く安定することが知られている。このことから、受信性能を確保するためにはトップ部131を高い位置に配置するか、幅を広くして面積を拡張する必要がある。しかしながら、アンテナケース110にアンテナベース120をネジ146で固着するために、アンテナケース110の内側にネジ孔110cを設けるための複数のボス110bが形成されている。このボス110bは内側に膨出されて形成されているため、ボス110bとトップ部131との干渉を避けるためにトップ部131の幅が制約されることになる。そこで、トップ部131の側部に3つずつスリットを形成して、ボス110bに対面する位置のトップ部131の側部の幅を狭くするようにしていた。また、自動車の外部突起は法令により70mm以下と規制されており、アンテナ装置100を小型化した際にトップ部131と接地面との間隔を一定以上保持するために、高さが低くなるトップ部131の一部を切り欠くようにしていた。このため、トップ部131の形状が複雑になるという問題点があった。
【0016】
さらに、ベースパッド124の形状は、アンテナケース110のボス110bを迂回する図48に示す形状とされて防水構造を保持するようにしており、複雑な形状となっている。また、アンテナケース110内部ではボス110bや周壁部110dおよびこれらの補強リブ等により複雑な構造となっている。受信感度向上のためトップ部131を収容する内部空間を広く取る必要があることから、アンテナケース110の肉厚を薄くする設計とされているが、上記複雑な形状の部位は肉厚を薄くすることができない。このため、アンテナケース110の成型時に肉厚の異なる複雑な構造の部分に大きな収縮変形を生じ易く外観面が歪むヒケを生じることが多いという問題点があった。
さらにまた、アンテナ装置100の最大高さは受信感度向上のために限界の高さとされていることから、さらなる感度向上のためにはトップ部131と相対するアンテナベース120の厚さを薄くすることが有効となる。しかしながら、アンテナベース120は接地電極を兼ねた強度部材であると共に、アンテナケース110内部への浸水を防止するためにアンテナケース110との間にベースパッド124を大きな軸力で挟持する必要があり、薄くすることができないと共に、大型になるという問題点があった。
【0017】
アンテナベース120が大型になると、雨水等による腐食を防止するためにアンテナベース120の外気に晒される部分を覆うベースパッド124も大型になる。このため、板厚が薄く剛性が低い車両のルーフが大型のベースパッド124で押圧されるようになって、その押圧力によりルーフにゆがみが生じ易くなり、外観デザインを損ねたり、防水機能が低下するという問題点があった。
そこで、本発明は上記した問題点を解決することのできるアンテナ装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0018】
上記目的を達成するために、本発明のアンテナ装置は、下面が開口されて内部に収納空間が形成されている絶縁性のアンテナケースと、該アンテナケースが被嵌される絶縁ベースと、該絶縁ベースより小型とされ、前記絶縁ベース上に固着されている導電ベースとからなるアンテナベースと、該アンテナベース上に立設されて設けられた絶縁性のエレメントホルダーと、後部が前記絶縁ベース上に位置するように前記エレメントホルダーの上部に固着されている傘型エレメントと、該傘型エレメントの受信信号を増幅するアンプを有し、前記導電ベース上に配置されて前記アンテナベースに固着されたアンプ基板と、
前記傘型エレメントの出力端と、前記アンプの入力端との間に挿入された前記傘型エレメントを所定の周波数に共振させるコイルとを備え、前記アンテナケースが前記絶縁ベースに被嵌された際に、前記アンテナケースの下面が、前記絶縁ベース上に溶着あるいは接着により固着されて防水構造とされることを最も主要な特徴としている。
【発明の効果】
【0019】
本発明のアンテナ装置では、アンテナケースの下面が、絶縁ベース上に溶着あるいは接着により固着されることで防水構造とされる。このため、防水構造とするための大型のベースパッドを不要とすることができ、アンテナベースはベースパッドを大きな軸力で挟持する必要がないことから、アンテナベースを金属製の強度部材とすることなく絶縁ベースにより構成できるようになる。また、アンテナ装置を車両に取り付けた際に、ルーフにゆがみが生じないようになり、外観デザインを損ねたり、防水機能が低下することを防止することができる。さらに、アンテナケースにはアンテナベースをネジで固定するためのネジ孔を形成するボスを設ける必要をなくすことができる。これにより、アンテナケースをほぼ均一の薄い肉厚とすることができることから、成型時の収縮変形が生じ難く外観面が歪むヒケを生じることを防止することができる。また、アンテナケースにはボスが設けられていないことから、傘型エレメントの構成を簡易化することができる。
さらに、アンテナベースを絶縁ベースと導電ベースとにより構成したことから、絶縁ベース上の傘型エレメントは接地面が車体となって実質的な高さを高くすることができ、受信感度を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施例にかかるアンテナ装置の構成を示す斜視図である。
【図2】本発明の実施例にかかるアンテナ装置の構成を示す側面図である。
【図3】本発明の実施例にかかるアンテナ装置の構成を示す上面図である。
【図4】本発明の実施例にかかるアンテナ装置の構成を示す正面図である。
【図5】本発明の実施例にかかるアンテナ装置の内部構成を断面図で示す側面図である。
【図6】本発明の実施例にかかるアンテナ装置の内部構成を半断面図で示す斜視図である。
【図7】本発明のアンテナ装置にかかるアンテナアセンブリにアンテナケースを被嵌する状態を示す図である。
【図8】本発明のアンテナ装置にかかるアンテナアセンブリの構成を示す斜視図である。
【図9】本発明のアンテナ装置にかかるアンテナアセンブリの構成を示す上面図である。
【図10】本発明のアンテナ装置にかかるアンテナアセンブリの構成を示す側面図である。
【図11】本発明のアンテナ装置にかかるアンテナアセンブリの構成を示す正面図である。
【図12】本発明のアンテナ装置にかかるアンテナケースの構成を示す側面図である。
【図13】本発明のアンテナ装置にかかるアンテナケースの構成を示す下面図である。
【図14】本発明のアンテナ装置にかかるアンテナケースの構成を断面図で示す側面図である。
【図15】本発明のアンテナ装置にかかるアンテナケースの構成を断面図で示す正面図である。
【図16】本発明のアンテナ装置にかかる絶縁ベースの構成を示す上面図である。
【図17】本発明のアンテナ装置にかかる絶縁ベースの構成を示す側面図である。
【図18】本発明のアンテナ装置にかかる絶縁ベースの構成を示す下面図である。
【図19】本発明のアンテナ装置にかかる導電ベースの構成を示す上面図である。
【図20】本発明のアンテナ装置にかかる導電ベースの構成を示す側面図である。
【図21】本発明のアンテナ装置にかかる導電ベースの構成を示す下面図である。
【図22】本発明のアンテナ装置にかかるアンテナベースの組み立ての構成を示す斜視図である。
【図23】本発明のアンテナ装置にかかるアンテナベースの構成を示す斜視図である。
【図24】本発明のアンテナ装置にかかるアンテナベースの構成を示す下面図である。
【図25】本発明のアンテナ装置にかかるアンテナベースの構成を示す正面図である。
【図26】本発明のアンテナ装置にかかるアンテナベースの構成を断面図で示す正面図である。
【図27】本発明のアンテナ装置にかかるエレメントホルダーの構成を示す斜視図である。
【図28】本発明のアンテナ装置にかかるエレメントホルダーの構成を示す側面図である。
【図29】本発明のアンテナ装置にかかるエレメントホルダーの構成を示す上面図である。
【図30】本発明のアンテナ装置にかかるエレメントホルダーの構成を示す正面図である。
【図31】本発明のアンテナ装置にかかるエレメントホルダーの構成を断面図で示す側面図である。
【図32】本発明のアンテナ装置にかかる傘型エレメントの構成を示す上面図である。
【図33】本発明のアンテナ装置にかかる傘型エレメントをエレメントホルダーに組み付ける態様を示す斜視図である。
【図34】本発明のアンテナ装置にかかる傘型エレメントをエレメントホルダーに組み付けた構成を示す側面図である。
【図35】本発明のアンテナ装置にかかる傘型エレメントをエレメントホルダーに組み付けた一部の構成を断面図で示す正面図である。
【図36】本発明のアンテナ装置にかかるアンテナ基板の構成を示す斜視図である。
【図37】本発明のアンテナ装置にかかるコイルの構成を示す斜視図および上面図である。
【図38】本発明のアンテナ装置にかかる給電ターミナルの構成を示す斜視図である。
【図39】本発明のアンテナ装置にかかる傘型エレメント、エレメントホルダー、リング状パッド、スキマカバーの組み立てを示す斜視図である。
【図40】本発明のアンテナ装置と従来のアンテナ装置の平均利得の周波数特性を示すグラフである。
【図41】従来のアンテナ装置の構成を示す側面図である。
【図42】従来のアンテナ装置の内部構成を示す側面図である。
【図43】従来のアンテナ装置の構成を示す分解組立図である。
【図44】従来のアンテナ装置のアンテナケースの構成を断面図で示す側面図である。
【図45】従来のアンテナ装置のアンテナケースの構成を示す下面図である。
【図46】従来のアンテナ装置のアンテナベースの構成を示す上面図である。
【図47】従来のアンテナ装置のアンテナベースの構成を示す側面図である。
【図48】従来のアンテナ装置のベースパッドの構成を示す上面図である。
【図49】従来のアンテナ装置のベースパッドの構成を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の実施例にかかるアンテナ装置1の構成を図1ないし図4に示す。ただし、図1は本発明にかかるアンテナ装置1の構成を示す斜視図であり、図2は本発明にかかるアンテナ装置1の構成を示す側面図であり、図3は本発明にかかるアンテナ装置1の構成を示す上面図であり、図4は本発明にかかるアンテナ装置1の構成を示す正面図である。
これらの図に示すように、本発明の実施例にかかるアンテナ装置1は、車両のルーフに取り付けられるアンテナ装置とされており、アンテナベース11が下面に嵌合されたアンテナケース10を備えている。アンテナケース10は電波透過性の合成樹脂製とされており、先端に行くほど細くなると共に、側面も内側に絞った曲面とされた流線型の外形形状(「シャークフィン形状」という)とされている。アンテナベース11が下面に嵌合されたアンテナケース10内に、後述するアンテナアセンブリが収納されている。アンテナベース11の下面からはアンテナ装置1を車体に取り付けるためのボルト部21aが突出するよう形成されている。このアンテナ装置1の長さは約151mm、幅が約63mm、高さが約66mmの小型で低姿勢のアンテナ装置とされ、AM放送とFM放送を受信することが可能とされている。
【0022】
本発明の実施例にかかるアンテナ装置1の内部構成を図5および図6に示す。ただし、図5は本発明にかかるアンテナ装置1の内部構成をA−A断面図で示す側面図であり、図6は本発明にかかるアンテナ装置1の内部構成を半断面図で示す斜視図である。なお、図6においては、コイル14を省略して示している。
本発明の実施例にかかるアンテナ装置1は、AMラジオ帯と、76〜90MHzあるいは88〜108MHzのFMラジオ帯とを受信できるアンテナ装置とされている。アンテナ装置1は、樹脂製のアンテナケース10と、このアンテナケース10の下面に嵌合されている樹脂製の絶縁ベース20と金属製の導電ベース21とからなるアンテナベース11とを備えている。アンテナベース11において、導電ベース21は絶縁ベース20より一回り小さく長さが短く形成されており、絶縁ベース20上の前側から中央の若干後側までの位置に配置されて、絶縁ベース20に対して導電ベース21の後端が前後に若干移動可能に固着されている。アンテナベース11の上面の中央から後側には、樹脂製の矩形状の枠からなるエレメントホルダー12が立設して取り付けられていると共に、導電ベース21上にアンプ基板16がほぼ水平に取り付けられている。
【0023】
アンテナベース11における導電ベース21の下面からは、アンテナ装置1を車両に取り付けるためのボルト部21aが突出するよう形成されている。このボルト部21aの貫通孔と、その後側に形成されたケーブル引出口から、受信信号等を出力する複数本のケーブルが導出される。エレメントホルダー12は矩形状の枠部から構成され、枠部の上部には傘型エレメント13を支持する挟持部が形成されている。また、エレメントホルダー12の前側の立設している枠の内側に、傘型エレメント13に直列に接続されてFM周波数に共振させるための1μH〜3μH程度のコイル14が保持されている。このコイル14の上端から導出されているリード線は傘型エレメント13の端子に接続され、コイル14の下端から導出されているリード線は給電ターミナル15に接続されている。給電ターミナル15は、図示するように折曲されており上部がエレメントホルダー12の前側の立設している枠のコイル14に対向する面に固着されており、下端の端子がアンプ基板16の入力端子に接続されている。これにより、コイル14が直列に接続された傘型エレメント13で受信されたAM/FM受信信号がアンプ基板16に組まれたアンプで増幅されるようになる。なお、傘型エレメント13とコイル14とからなるアンテナは、AMラジオ帯においては非共振アンテナとして動作する。
【0024】
図5,図6に示すようにアンテナケース10の下部には外側周壁部と内側周壁部とが二重に形成されており、内側周壁部の下端面が絶縁ベース20の外周の上面に当接するようになる。この当接する内側周壁部の下端面と絶縁ベース20の上面とがレーザーにより溶着あるいは接着剤を塗布して接着される。これにより、下面が絶縁ベース20により閉塞されたアンテナケース10の内部は防水構造となる。この絶縁ベース20の周側面にゴム製またはエラストマー製の紐状とされているスキマカバー18が巻回されている。また、絶縁ベース20の中央部には導電ベース21に形成されているボルト部21aが挿通される中央切欠部が形成されており、中央切欠部の内側を防水構造とするリング状シール17が、絶縁ベース20の下面に中央切欠部を囲むように形成されている環状部に嵌入されている。
本発明のアンテナ装置1にかかるアンテナアセンブリ2にアンテナケース10を被嵌する状態を図7に示す。図7に示す状態からアンテナケース10の内側周壁部をアンテナベース11の絶縁ベース20に嵌合すると、図5,図6に示す状態となる。なお、アンテナアセンブリ2は、絶縁ベース20と導電ベース21からなるアンテナベース11上に組み付けられたエレメントホルダー12と、傘型エレメント13と、コイル14と、給電ターミナル15と、アンプ基板16とから構成されている。
【0025】
次に、本発明のアンテナ装置1にかかるアンテナアセンブリ2の構成を図8ないし図11に示す。ただし、図8は本発明のアンテナ装置1にかかるアンテナアセンブリ2の構成を示す斜視図であり、図9は本発明のアンテナ装置1にかかるアンテナアセンブリ2の構成を示す上面図であり、図10は本発明のアンテナ装置1にかかるアンテナアセンブリ2の構成を示す側面図であり、図11は本発明のアンテナ装置1にかかるアンテナアセンブリ2の構成を示す正面図である。
アンテナアセンブリ2は、絶縁ベース20と導電ベース21からなるアンテナベース11を備え、アンテナベース11上には、エレメントホルダー12と、傘型エレメント13と、コイル14と、給電ターミナル15と、アンプ基板16とが組み付けられている。まず、絶縁ベース20と導電ベース21とからなるアンテナベース11の構成を説明する。先に、絶縁ベース20の構成を説明すると、絶縁ベース20の構成を示す上面図を図16に示し、絶縁ベース20の構成を示す側面図を図17に示し、絶縁ベース20の構成を示す下面図を図18に示す。
【0026】
これらの図に示す絶縁ベース20は合成樹脂の成型品とされており、前側に向かって幅が次第に細くなり前端と後端が丸みを帯びた形状の本体部20aから構成され、本体部20aの外周縁より若干内側に上面から突出して所定高さの周壁部20cが外周縁に沿って形成されている。また、本体部20aの上面において、前側のほぼ中央に係合ボス部20dが形成されている。この係合ボス部20dはほぼ円筒状とされ、縦方向に3つスリットが形成され先端の外側にくさび状に突出する係合部が形成されて、径方向に弾性を有している。本体部20aの中央部にはほぼ楕円形の中央切欠部20fが形成され、中央切欠部20fの後側に一対の板状の係合片20eが形成されている。一対の係合片20eの先端の外側面には、くさび状の係合部が形成されている。また、本体部20aの周壁部20cの後部内側にコ字状の断面形状とされた収納部20jが形成されており、本体部20aの後端に一対の小さい係合突起20gが外側に向かって形成されている。また、本体部20aの下面には中央切欠部20fを囲むように環状溝20hが形成されている。環状溝20hは、リング状シール17が嵌入される溝であり、嵌入されたリング状シール17が抜け出ないように環状溝20hの上端から内側に突出して複数の押さえ片20iが形成されている。
【0027】
次に、導電ベース21の構成を示す上面図を図19に、導電ベース21の構成を示す側面図を図20に、導電ベース21の構成を示す下面図を図21に示す。
これらの図に示す導電ベース21は金属製とされており、絶縁ベース20の周壁部20cの内側に収納されるように、周壁部20cの内周形状よりやや小さい同様の形状とされている。ただし、絶縁ベース20に形成されている係合片20eの後側に後端が位置するように、導電ベース21は短く形成されている。導電ベース21の上面には、前端に円形の係合孔21dが形成され、その後側とほぼ中央の両側にネジ孔が形成されている第2ボス21hが3つ形成されている。第2ボス21hは、2等辺三角形の頂点にそれぞれ形成されており、アンプ基板16に挿通されたネジが螺着されるボスとされている。
【0028】
ここで、アンプ基板16の構成を示す斜視図を図36に示す。この図に示すように、アンプ基板16は後部から前部にかけて次第に幅が狭くなる基板本体16aから構成され、前部のほぼ中央と後部の両側にそれぞれ挿通孔16bが形成されている。この挿通孔16bは2等辺三角形の頂点にそれぞれ形成されており、挿通孔16bに挿通されたネジが3つの第2ボス21hに螺着されることで、導電ベース21にアンプ基板16が固着される。また、基板本体16aの後部に接続孔16cが形成されており、この接続孔16cはアンプ基板16に組まれているアンプの入力端子に電気的に接続されている。
図19ないし図21に戻り、導電ベース21の上面の中央より若干後側の両側に一対の第1ボス21gが形成されている。さらに、上面の後端のほぼ中央に矩形の係止孔21fが形成されており、係止孔21fの両側に一対の板状の立設片21jが長軸にほぼ平行に形成されている。また、本体部21bの下面の中央より後部にボルト部21aが突出して形成されている。ボルト部21aには挿通孔21eが形成されており、ボルト部21aの側面に切欠21iが形成されている。アンプ基板16から導出されたケーブルは、ボルト部21aの挿通孔21eに上から挿通されて挿通孔21eの下の切欠21iからケーブルを導出することができる。
【0029】
次に、絶縁ベース20と導電ベース21とからなるアンテナベース11の構成を図22ないし図26に示す。ただし、図22はアンテナベース11の組み立ての構成を示す斜視図であり、図23は組み立てられたアンテナベース11の構成を示す斜視図であり、図24は組み立てられたアンテナベース11の構成を示す下面図であり、図25は組み立てられたアンテナベース11の構成を示す正面図であり、図26は組み立てられたアンテナベース11の構成をD−D断面図で示す正面図である。
図22に示すように、絶縁ベース20上に導電ベース21を配置し、次いで、導電ベース21を絶縁ベース20上に載置する。そして、導電ベース21の係合孔21dに絶縁ベース20の係合ボス部20dを嵌挿すると共に、絶縁ベース20の一対の係合片20eを導電ベース21の係止孔21fに挿入する。これにより、係合孔21dの上端の周囲に係合ボス部20dの先端の係合部が係止されると共に、係合片20eの先端に形成されている係止部が導電ベース21の立設片21jの上面に係合して、絶縁ベース20から導電ベース21が抜け出ないように固着される。この係合ボス部20dが係合孔21dへ係合する第1係合部は位置決めのための係合部であり、係合片20eが立設片21jに係合する第2係合部は、長手軸線方向に摺動可能な係合部とされている。これにより、導電ベース21と絶縁ベース20との熱膨張率の相異により両者の相対的な長さが変化しても、その長さの違いを第2係合部により吸収することができる。導電ベース21が絶縁ベース20上に固着されたアンテナベース11の構成が図23ないし図26に示されている。
【0030】
ここで、本発明のアンテナ装置1にかかるアンテナケース10の構成を図12ないし図15に示す。ただし、図12は本発明のアンテナ装置1にかかるアンテナケース10の構成を示す側面図であり、図13は本発明のアンテナ装置1にかかるアンテナケース10の構成を示す下面図であり、図14は本発明のアンテナ装置1にかかるアンテナケース10の構成をB−B断面図で示す側面図であり、図15は本発明のアンテナ装置1にかかるアンテナケース10の構成をC−C断面図で示す正面図である。
これらの図に示すように、アンテナケース10は電波透過性の合成樹脂製とされており、先端に行くほど細くなると共に、側面も内側に絞った曲面とされたシャークフィン形状とされており、薄い肉厚の外殻部10aにより形成されている。アンテナケース10の下部には薄い肉厚の2重の周壁部が形成されている。外側に外側周壁部10bが形成されており、内側に内側周壁部10cが形成されている。アンテナケース10をアンテナアセンブリ2に被嵌した際に、内側周壁部10cがアンテナベース11における合成樹脂製の絶縁ベース20の上面に形成されている周壁部20cの外周に嵌合されて、内側周壁部10cの下端面が絶縁ベース20の上面に当接する。この当接した部位にレーザーを照射して溶着あるいは接着剤を塗布して接着する。これにより、アンテナアセンブリ2はアンテナケース10と絶縁ベース20とからなる防水構造の内部に収納される。
上記したようにアンテナケース10の下端面は溶着あるいは接着により絶縁ベース20状に固着されることから、アンテナケース10にはアンテナベース11をネジで固定するためのネジ孔を形成するボスを設ける必要がない。これにより、アンテナケース10をほぼ均一の薄い肉厚の外殻部10aとすることができることから、成型時の収縮変形が生じ難く外観面が歪むヒケを生じることを防止することができる。
【0031】
次に、本発明のアンテナ装置1にかかるエレメントホルダー12の構成を図27ないし図31に示す。ただし、図27は本発明のアンテナ装置1にかかるエレメントホルダー12の構成を示す斜視図であり、図28は本発明のアンテナ装置1にかかるエレメントホルダー12の構成を示す側面図であり、図29は本発明のアンテナ装置1にかかるエレメントホルダー12の構成を示す上面図であり、図30は本発明のアンテナ装置1にかかるエレメントホルダー12の構成を示す正面図であり、図31は本発明のアンテナ装置1にかかるエレメントホルダー12の構成をE−E断面図で示す正面図である。
これらの図に示すエレメントホルダー12は、矩形状の枠部12aから構成されており、枠部12aの上部には傘型エレメント13を支持する第1挟持部12cと第2挟持部12dとが対向するよう形成されている。また、枠部12aの断面形状も矩形状とされている。エレメントホルダー12の前側の下端には横方向に延伸された足部12bが形成されており、この足部12bの両端にそれぞれ挿通孔12jが形成されている。この挿通孔12jに挿通されたネジは、導電ベース21に形成されている一対の第1ボス21gに螺着される。また、エレメントホルダー12の後側の下端にL字状の係合爪12eが突出して形成されている。この係合爪12eは、絶縁ベース20に形成されている断面コ字状の収納部20j内に収納されて抜け出ないように係合される。
【0032】
第1挟持部12cは第2挟持部12dとはほぼコ字状に形成されて、第1挟持部12cは第2挟持部12dより高く形成されている。第2挟持部12dの第1挟持部12cに対向する面のほぼ中央にくさび状の係合突起12hが形成されている。第1挟持部12cと第2挟持部12dとの間の間隙に、傘型エレメント13の内側に長軸方向に形成されている折り返し部が嵌入される。折り返し部が嵌入された際に、この係合突起12hが折り返し部に形成されている係合窓に係合される。これにより、第1挟持部12cと第2挟持部12dとから抜け出ないように傘型エレメント13をエレメントホルダー12で支持できるようになる。また、傘型エレメント13の下端に設けられている端子が丸みを帯びたL字状の端子抱持部12kで抱持されるようになる。この端子抱持部12kは、エレメントホルダー12における前側の枠部12aの外側の面に形成されている。さらに、エレメントホルダー12における前側の枠部12aの内側に、コイル14を抱持する4つのコイル抱持片12fが上下左右に形成されている。また、エレメントホルダー12における前側の枠部12aの外側の面に給電ターミナル15を抱持するターミナル抱持片12iが形成されている。
【0033】
次に、傘型エレメント13の構成を示す下面図を図32に示し、傘型エレメント13およびコイル14のエレメントホルダー12への組み付けの態様を示す斜視図を図33に示し、傘型エレメント13をエレメントホルダー12へ組み付けた態様を示す側面図を図34に示し、傘型エレメント13をエレメントホルダー12へ組み付けた態様をF−F断面図で示す正面図を図35に示す。
これらの図に示すように、傘型エレメント13は平坦に形成された頂部13aを有し、この頂部13aから両側に傾斜した屋根状の傾斜部が形成されている。傾斜部のほぼ中央にはスリット13dが一カ所だけ形成されており、スリット13dより前側が第1傾斜部13bとされ、スリット13dより後側が第2傾斜部13cとされている。また、第2傾斜部13cの後端の側縁を折曲した一対の背面部13eが形成されている。第1傾斜部13bが形成されている頂部13aの傾斜角は、第2傾斜部13cが形成されている頂部13aの傾斜角より大きくされている。傘型エレメント13は、所定の形状に切り抜いた薄い金属板を折り曲げることにより形成されており、頂部13bの中央から下方向に伸びる折り返し部13fが形成されている。この折り返し部13fから横方向に端子13gが形成されていると共に、第2傾斜部13cの内側の折り返し部13fにエレメントホルダー12の係合突起12hが係合可能な係合窓が形成されている。
なお、本発明にかかるアンテナ装置1においては、アンテナケース10にボスを設けていないことから、傘型エレメント13とボスとの干渉を防止する必要がなく、傘型エレメント13の形状を簡易とすることができる。
【0034】
ここで、コイル14の構成を示す斜視図を図37(a)に示し、コイルの構成を示す上面図を図37(b)に示す。これらの図に示すように、コイル14は円筒形に巻回されているコイル本体14aと、コイル本体14aの上端から接線方向に導出されたリード14bと、コイル本体14aの下端から接線方向に導出されたリード14bとから構成されている。このように、2本のリード14bの間隔はコイル本体14aのほぼ直径に等しい間隔となる。コイル14は、傘型エレメント13に直列に接続されてFM周波数に共振させるための1μH〜3μH程度のコイルとされている。
また、給電ターミナル15の構成を示す斜視図を図38に示す。この図に示すように、給電ターミナル15の端部には矩形状の面状部15aが形成されており、その一端縁に折曲部15bが形成されている。面状部15aは、エレメントホルダー12のターミナル抱持片12iに折曲部15bにより位置決めされて抱持され、抱持された際に面状部15aに形成されている穴が導出溝12gに一致するようになる。面状部15aの他端縁からは屈曲された導出部15cが延伸されて形成されており、導出部15cの先端には端子片15dが形成されている。この端子片15dはアンプ基板16の接続孔16cに挿入されてハンダ付けされ、アンプの入力端子に接続されるようになる。
【0035】
図33に示すように、エレメントホルダー12の上に配置した傘型エレメント13を下に移動させていき、その折り返し部13fを第1挟持部12cと第2挟持部12dとの間の間隙に嵌入させる。折り返し部13fを間隙に押し込んでいくと、図35に示すように第2挟持部12dの内側に形成されているくさび状の係合突起12hが、折り返し部13fに形成されている係合窓に係合するようになり、傘型エレメント13がエレメントホルダー12に固着されるようになる。この際に、折り返し部13fに形成されている端子13gがエレメントホルダー12の端子抱持部12k内に抱持されるようになる。次に、図33に示すコイル14を4つのコイル抱持片12fで囲まれた保持空間に嵌挿する。これにより、コイル14は4つのコイル抱持片12fにより抱持される。コイル14の上端からのリード14bは端子抱持部12kに形成されている導出溝12gから導出されて、端子抱持部12kに抱持されている傘型エレメント13の端子13gの穴に挿入され、ハンダ付けにより端子13gに接続される。また、コイル14の下端からのリード14bはターミナル抱持片12iの間に形成されている導出溝12gから導出されて、ターミナル抱持片12iに抱持されている給電ターミナル15の穴に挿入され、ハンダ付けにより給電ターミナル15に接続される。これにより、コイル14はエレメントホルダー12の幅方向のほぼ中心に配置される。すなわち、傘型エレメント13の幅方向のほぼ中心にコイル14が配置されることから、傘型エレメント13とコイル14との干渉を極力避けることができるようになり、受信性能を同等に維持したままで傘型エレメント13の幅を狭くすることができる。これにより、アンテナケース10の上部の幅を狭くして意匠性を改善することができる。
【0036】
次に、本発明のアンテナ装置1にかかる傘型エレメント13、エレメントホルダー12、リング状シール17、スキマカバー18の組み立てを示す斜視図を図39に示す。
この図に示すように、絶縁ベース20上に導電ベース21を配置し、次いで、導電ベース21を絶縁ベース20上に載置する。そして、導電ベース21の係合孔21dに絶縁ベース20の係合ボス部20dを嵌挿すると共に、絶縁ベース20の一対の係合片20eを導電ベース21の係止孔21fに挿入する。これにより、係合孔21dの上端の周囲に嵌入された係合ボス部20dの先端の係合部が係止されると共に、係合片20eの先端に形成されている係止部が導電ベース21の立設片21jの上面に係合して、絶縁ベース20から導電ベース21が抜け出ないように固着される。この際に、導電ベース21の下面から突出して形成されているボルト部21aが、絶縁ベース20の中央切欠部20fを貫通して絶縁ベース20の下面から突出する。
【0037】
次いで、絶縁ベース20の下面において中央切欠部20fの周囲に形成されている図24に示す環状溝20h内にリング状シール17を嵌挿する。リング状シール17の平坦な上面には環状溝20hの外周縁に形成された押さえ片20iが当接されて、リング状シール17は環状溝20h内に保持されるようになる。また、スキマカバー18は紐状とされており両端部は切断部18bとされている。この切断部18bの若干内側に孔部が形成されており、この孔部に絶縁ベース20の後端に形成されている係合突起20gの1つを挿入して、絶縁ベース20の周側面に形成されている鍔部20bをスキマカバー18の溝部18a内に嵌挿しながら、スキマカバー18を絶縁ベース20の周側面に巻回していく。そして、巻き終わり端の切断部18bの若干内側に形成された孔部を、他方の係合突起20gに挿入する。これにより、絶縁ベース20の周側面にスキマカバー18を装着することができる。
従来のアンテナ装置では、アンテナケースとアンテナベースとからなる剛体構造として、ベースパッドを大きな軸力で挟持することにより防水構造としている。本発明のアンテナ装置1では、アンテナケース10と絶縁ベース20とを溶着あるいは接着することにより防水構造としたことから、導電ベース21を強度部材として用いる必要がなく、導電ベース21の大きさをリング状シール17を押圧できればよい大きさまで小型化することができる。なお、導電ベース21はアンプ基板16のアースとしても機能している。
【0038】
アンテナアセンブリ2の説明に戻ると、アンテナアセンブリ2を構成する各部の構成は上記した通りである。図8ないし図11に示すアンテナアセンブリ2は、導電ベース21が上面に組み付けられた絶縁ベース20からなるアンテナベース11の外周にスキマカバー18が装着されている。アンテナベース11上にはエレメントホルダー12が立設されて固着されていると共に、アンプ基板16がほぼ水平に固着されている。エレメントホルダー12の上部に傘型エレメント13が取り付けられており、エレメントホルダー12の枠部12aの内側にコイル14が保持されている。コイル14の上側のリードは傘型エレメント13の端子13fに接続されており、コイル14の下側のリードは給電ターミナル15の一端に接続されている。給電ターミナル15の他端はアンプ基板16のアンプの入力端子に接続されて、傘型エレメント13およびコイル14からなるアンテナの受信信号がアンプ基板16のアンプで増幅されるようになる。
アンテナアセンブリ2において、傘型エレメント13における第1傾斜部13bは導電ベース21上に位置しており、第1傾斜部13bの接地面からの高さは導電ベース21からの高さに相当する。また、傘型エレメント13における第2傾斜部13cはほぼ絶縁ベース20上に位置するようになり、第2傾斜部13cの接地面からの高さはアンテナ装置1が取り付けられる車体からの高さに実質的に相当することになる。このように、アンテナ装置1の高さを低くしても第2傾斜部13cの接地面からの実質的な高さを高くすることができ、高くしたことによりアンテナ装置1の動作利得を向上することができるようになる。
【0039】
本発明のアンテナ装置1にかかる平均利得の周波数特性を、従来のアンテナ装置にかかる平均利得の周波数特性を対比して図40に示す。なお、平均利得は仰角が45°の平均利得とされている。
本発明のアンテナ装置1においては高さが約66mm、幅が約63mm、長さは約151mmとされており、従来のアンテナ装置では高さが約66mm、幅が約63mm、長さが約153mmとされて、両アンテナ装置はほぼ同じ大きさとされている。図40を参照すると、本発明のアンテナ装置1においては周波数が約84MHzにおいて最大利得約−28dBdが得られており、76MHz〜90MHzの周波数帯域において約−34dBd以上の平均利得が得られている。これに対して、従来のアンテナ装置においては周波数が約84MHzにおいて最大利得約−28.5dBdが得られており、76MHz〜90MHzの周波数帯域において約−35dBd以上の平均利得が得られている。このように、76MHz〜90MHzの周波数帯域の全体にわたって本発明のアンテナ装置1の利得が向上していることが分かる。
【産業上の利用可能性】
【0040】
以上説明した本発明にかかるアンテナ装置1において、導電ベース21のボルト部21aの貫通孔に両側面から一対の長くされた係合脚部が延伸されている仮固定用の仮止めフックを嵌合するようにしてもよい。この係合脚部は、アンテナ装置1を車両に取り付けた際に、車両に形成された取付孔の縁に係合されて、アンテナ装置1を車体に仮止めする作用を奏するようになる。なお、フックを貫通孔に嵌合した場合は、貫通孔を介してケーブルを導出することはできないが、貫通孔の後側に形成されたケーブル引出口からアンプに接続されたケーブルを導出することができる。
【符号の説明】
【0041】
1 アンテナ装置、2 アンテナアセンブリ、10 アンテナケース、10a 外殻部、10b 外側周壁部、10c 内側周壁部、11 アンテナベース、12 エレメントホルダー、12a 枠部、12b 足部、12c 挟持部、12d 挟持部、12e 係合爪、12f コイル抱持片、12g 導出溝、12h 係合突起、12i ターミナル抱持片、12j 挿通孔、12k 端子抱持部、13 傘型エレメント、13a 頂部、13b 傾斜部、13b 頂部、13c 傾斜部、13d スリット、13e 背面部、13f 端子、13f 折り返し部、13g 端子、14 コイル、14a コイル本体、14b リード、15 給電ターミナル、15a 面状部、15b 折曲部、15c 導出部、15d 端子片、16 アンプ基板、16a 基板本体、16b 挿通孔、16c 接続孔、17 リング状シール、18 スキマカバー、18a 溝部、18b 切断部、20 絶縁ベース、20a 本体部、20b 鍔部、20c 周壁部、20d 係合ボス部、20e 係合片、20f 中央切欠部、20g 係合突起、20h 環状溝、20i 押さえ片、20j 収納部、21 導電ベース、21a ボルト部、21b 本体部、21d 係合孔、21e 挿通孔、21f 係止孔、21g 第1ボス、21h 第2ボス、21i 切欠、21j 立設片、100 アンテナ装置、110 アンテナケース、110a 外殻部、110b ボス、110c ネジ孔、110d 周壁部、110e ボス、120 アンテナベース、120a 本体部、120b アンテナ取付部、120c ネジ孔、120d ネジ部、120e ボス、120f 嵌入孔、120g 第1矩形穴、120h ケーブル引き出し孔、120i 第2矩形穴、121 ボルト部、122 ケーブル、124 ベースパッド、124a 本体部、124b 周壁部、124c 切欠孔、124d 孔部、130 アンテナ基板、131 トップ部、132 アンテナ、133 接続線、134 アンプ基板、135 コイル、136 接続金具、140 ネジ、141 ネジ、142 ネジ、143 端子、144 フック、144b 嵌合脚部、144c 係合脚部、145 カラー、146 ネジ、147 ナット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下面が開口されて内部に収納空間が形成されている絶縁性のアンテナケースと、
該アンテナケースが被嵌される絶縁ベースと、該絶縁ベースより小型とされ、前記絶縁ベース上に固着されている導電ベースとからなるアンテナベースと、
該アンテナベース上に立設されて設けられた絶縁性のエレメントホルダーと、
後部が前記絶縁ベース上に位置するように前記エレメントホルダーの上部に固着されている傘型エレメントと、
該傘型エレメントの受信信号を増幅するアンプを有し、前記導電ベース上に配置されて前記アンテナベースに固着されたアンプ基板と、
前記傘型エレメントの出力端と、前記アンプの入力端との間に挿入された前記傘型エレメントを所定の周波数に共振させるコイルとを備え、
前記アンテナケースが前記絶縁ベースに被嵌された際に、前記アンテナケースの下面が、前記絶縁ベース上に溶着あるいは接着により固着されて防水構造とされることを特徴とするアンテナ装置。
【請求項2】
紐状のスキマカバーに形成されている溝部が、前記絶縁ベースの外周に形成されている鍔部に嵌入されることにより、前記スキマカバーが前記絶縁ベースの周囲に巻回されており、
前記アンテナケースの下部に、前記導電ベース上に溶着あるいは接着により固着される下面を有する内周周壁部と、前記スキマカバーが巻回された前記絶縁ベースの外周に、内周が当接する外側周壁部が形成されていることを特徴とする請求項1記載のアンテナ装置。
【請求項3】
長軸にほぼ平行な係合片が前記絶縁ベースに形成され、前記係合片が係合する立設片が長軸にほぼ平行に前記導電ベースに形成されており、前記係合片が前記立設片係合されて前記導電ベースが前記絶縁ベース上に固着された状態において、前記導電ベースが前記絶縁ベースに対して長軸方向に伸縮できることを特徴とする請求項1記載のアンテナ装置。
【請求項4】
前記エレメントホルダーは枠状の枠部で形成されて、前記コイルが前記枠部の内側に固着されていることを特徴とする請求項1記載のアンテナ装置。
【請求項5】
前記アンテナベースにおいて、前記導電ベースの下面から突出するよう形成されているボルト部が、前記絶縁ベースを介して下面から突出しており、前記ボルト部を囲むように前記絶縁ベースの下面に形成されている溝部内にリング状シールが嵌入されていることを特徴とする請求項1記載のアンテナ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【図43】
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【図44】
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【図45】
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【図46】
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【図47】
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【図48】
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【図49】
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