説明

アンテナ装置

【課題】複数のアンテナについて相関の度合いが低くかつ均衡したアンテナ効率を有するアンテナ装置を提供する。
【解決手段】アンテナ装置100は、第1の給電点11を有する第1のアンテナ部10と、第2の給電点21を有する第2のアンテナ部20と、少なくとも1個の無給電素子40とを備える。無給電素子40は第1および第2の給電点11,21のいずれからも所定距離以上離間した接地点41に接地される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アンテナ装置に関し、特に(但し限定する意味ではなく)MIMO用アンテナ装置およびこれを採用した無線通信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話の高速なデータ通信仕様の一つとして、一部の通信事業者(オペレータ)によりLTE(Long Term Evolution)と呼ばれるサービスが開始されようとしている。アンテナとしての技術的な観点から見た場合にLTEには以下のような特徴がある。
【0003】
すなわち、LTEは、MIMO(Multi Input Multi Output)と呼ばれる通信システムであって、送受信で複数のアンテナを使用することにより高速のデータ通信を実現している。MIMOを採用した携帯端末では通常2つのアンテナを使用する。2つのアンテナ特性は理想的には同等であることが求められる。
【0004】
アンテナ特性に関しては、アンテナの相関(Correlation) と呼ばれる指標がキーポイントとなる。アンテナの相関の数値(係数)が高い(すなわち相関度が高い)と通信速度が低下する。
【0005】
現在、各国で予定されているLTEサービスに使用される周波数帯は広範囲に及び、現在のセルラーシステムの低バンドおよび高バンドをともに広帯域化することが望まれている。
【0006】
例えば、米国では700MHz帯にてサービスが開始される予定であるが、700MHz帯では相関を低くすることが著しく困難となる。この理由は、周波数が低くなると携帯端末の基板全体に高周波電流が流れるようになり、ダイポールと同様の動作モードになって、アンテナの指向性がアンテナのデザインにあまり依存しなくなるからである。よって、一方のアンテナのデザインを変更して指向性を変えることにより相関を改善しようとしても、所望の結果を得ることがなかなか困難である。
【0007】
特許文献1には、相互結合の影響が小さい移動通信システムに適用可能なマルチアンテナが提案されている。このマルチアンテナは、回路基板上の複数の給電点にそれぞれ接続された複数の給電素子および任意の給電点の近傍において回路基板に接続した単数または複数の無給電素子を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2008−17047号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上述したように、MIMOを採用した携帯端末等の無線通信装置では、通常2つのアンテナのアンテナ特性は理想的には同等であることが求められる。しかし、上記従来技術のように無給電素子を給電素子近傍に接続すると、アンテナ効率に差分が発生する可能性がある。したがって、上記従来技術は、理想的に同じアンテナ効率のアンテナが好ましいMIMOには適さない。
【0010】
このような背景において、発明者は、複数のアンテナについて相関の度合いが低くかつ均衡したアンテナ効率を有するアンテナ装置の必要性を認識している。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の実施形態によるアンテナ装置は、第1の給電点を有する第1のアンテナ部と、第2の給電点を有する第2のアンテナ部と、少なくとも1個の無給電素子とを備え、前記無給電素子は前記第1および第2の給電点のいずれからも所定距離以上離間した接地点(GND点)に接地される。
【0012】
前記第1および第2のアンテナ部は、好ましくは、MIMO伝送を行うための複数のアンテナ部を構成する。
【0013】
前記所定距離は波長λの使用周波数に対して、例えば、ほぼ0.1λである。
【発明の効果】
【0014】
本発明の実施の形態によれば、複数のアンテナについて相関の度合いが低くかつ比較的均衡したアンテナ効率を有する、MIMOシステムに適したアンテナ装置、ひいてはこれを用いた無線通信装置が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施の形態が適用されるアンテナ装置の主要構成を示す図である。
【図2】図1のアンテナ装置の説明図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態に係るアンテナ装置の主要構成を示す図である。
【図4】図3に示したアンテナ装置構成における両アンテナの相関の周波数特性と、アンテナ効率の周波数特性を表したグラフである。
【図5】(a)(b)はそれぞれ図3に示したアンテナ装置の複合効率(multiplexing efficiency)[dB]と、利得不均衡度[dB]の周波数特性を表した図である。
【図6】図3に示したアンテナ装置の変形例を示す図である。
【図7】(a)(b)は、図6に示したアンテナ装置構成における両アンテナの相関の周波数特性と、アンテナ効率の周波数特性を表したグラフである。
【図8】図6に示したアンテナ装置において、第1および第2の接地点のそれぞれに介挿するインダクタを異ならせたアンテナ装置を示す図である。
【図9】(a)(b)(c)は、それぞれ、図8の構成の相関、アンテナ効率、複合効率の周波数特性を表したグラフである。
【図10】図3に示したアンテナ装置の変形例を示す図である。
【図11】図6に示したアンテナ装置の変形例を示す図である。
【図12】(a)(b)は、図10,図11に示したアンテナ装置についての相関とアンテナ効率の周波数特性を示したグラフである。
【図13】(a)(b)は、図10,図11に示したアンテナ装置についての複合効率と利得不均衡度の周波数特性を示したグラフである。
【図14】本発明の第2の実施の形態に係るアンテナ装置の主要構成を示した図である。
【図15】(a)〜(d)は、図14に示したアンテナ装置の動作を説明するための図である。
【図16】第1および第2のアンテナ部のそれぞれの放射パターンの関係を説明するための図である。
【図17】図14に示した構成を有するアンテナ装置の低域(Low band)における周波数特性を示すグラフである。
【図18】図14に示した構成を有するアンテナ装置の高域(High band)における周波数特性を示すグラフである。
【図19】(a)(b)は、それぞれ、図14に示した構成を有するアンテナ装置において、Sパラメータの周波数特性を表したグラフである。
【図20】図14に示した構成を有するアンテナ装置の相関の周波数特性を表したグラフである。
【図21】好ましい所定距離の根拠について説明するための図である。
【図22】図10(および他の図)に示したアンテナ装置の変形例を示す図である。
【図23】(a)(b)は、図22に示したアンテナ装置についての相関とアンテナ効率の周波数特性を示したグラフである。
【図24】図22に示したアンテナ装置の変形例を示す図である。
【図25】図24に示したアンテナ装置の変形例を示す図である。
【図26】無給電素子の接地条件を切り替えることができる構成を示す図である。
【図27】無給電素子の構成例を示す図である。
【図28】アンテナ装置を採用した無線通信装置の一実施形態の概略構成を表した断面図である。
【図29】実施の形態のいずれかに係るアンテナ装置を内蔵した無線通信装置の構成例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
まず、本発明の実施の形態を説明する前に、本発明が適用される無線通信装置のアンテナ装置の構成例およびその問題点を説明する。
【0017】
図1は本実施の形態が適用されるアンテナ装置の主要構成を示している。
【0018】
アンテナ装置は、MIMO伝送を行うための複数のアンテナとして、第1の給電点11を有する第1のアンテナ部10(メインアンテナ)と、第2の給電点21を有する第2のアンテナ部20(サブアンテナ)とを有する。アンテナ部10,20は、それぞれ、ほぼ長方形状の基板30の一方向(この場合、長手方向)の一端部および他端部に配置されている。給電点11,21は基板の互いに逆のサイドに配置されている。アンテナ部10は複数のアンテナエレメント12a,12b等を有するマルチバンド対応となっている。アンテナ部20も同様に複数のアンテナエレメント22a,22b等を有するマルチバンド対応となっている。但し、本発明が適用されるアンテナ部は必ずしもマルチバンド対応でなくてもよく、シングルバンド対応であってもよい。基板30には、各種の部品が搭載されるとともに、グランドプレーンを含む。
【0019】
図1に示したような構成では、各アンテナ部がグランドプレーンと協働して図2(a)に示すようなダイポール(Dipole)アンテナと類似した放射パターン(radiation pattern)を有する。図2(b)は第2のアンテナ部20の3次元状の放射パターンを濃淡で表したものである。図の縦軸方向が無線通信装置の長手方向に沿っている。図2(c)は同様に第1のアンテナ部10の3次元状の放射パターンを濃淡で表したものである。
【0020】
図2(b)(c)の放射パターンは、いずれも無線通信装置の長手方向軸を中心軸としたドーナツ形状を有する。その結果、両アンテナの相関が高く、MIMO用アンテナとしては適さない。
【0021】
図3は、本発明の第1の実施の形態に係るアンテナ装置100の主要構成を示している。この構成は図1に示した構成を基本としており、同様の構成要素には同じ参照番号を付してある。
【0022】
アンテナ装置100は、MIMO用の複数のアンテナとして、第1の給電点11を有する第1のアンテナ部10と、第2の給電点21を有する第2のアンテナ部20に加えて、無給電素子40とを備える。第1の給電点11は基板30の一方の長辺寄りに配置され、第2の給電点21は基板30の他方の長辺寄りに配置されている。ここに「長辺寄り」とは、短辺方向の中点と短辺の一端の間の位置、典型的には長辺の近傍を意味する。無給電素子40は、第1および第2のアンテナ部10,20のそれぞれの給電点11,21のいずれからも離間した接地点41に接地される。このアンテナ装置100は、アンテナ部10とアンテナ部20の間隔を88cmとし、基板30の長辺に沿って、無給電素子40のエレメントを配置している。無給電素子40のエレメントはその一端を接地し、この接地点から基板30の長辺に沿って伸びた後、平行に折り返す構成としている。また、無給電素子40のエレメントは、平行に折り返した後、その他端が接地点41付近に位置する構成としている。さらに、この接地点41は、基板30の他方の長辺付近で、第2の給電点21に比較的近い位置に配置している。エレメントの折り畳み長さは55mmとしている。接地点41は長手方向の中点位置(Y=0)から2つの異なる位置(ここでは−27mmと−37mmの位置)について、後述の特性を確認した。
【0023】
図4(a)(b)は、図3に示したアンテナ装置構成における両アンテナの相関の周波数特性と、アンテナ効率の周波数特性を表したグラフである。
【0024】
図4(a)における横軸は周波数[GHz]、縦軸は相関係数(0から1)を表している。波形aは無給電素子(stub)が無い場合を表している。波形b、cはそれぞれ無給電素子の接地点を二つの異なる点(ここでは中点から−27mmおよび−37mm)とした場合を表している。この図から分かるように、無給電素子を用いた場合は、無給電素子なしの場合に比べて、両接地点ともに、700MHz帯において相関が低下(すなわち改善)していることが分かる。
【0025】
図4(b)における横軸は周波数[GHz]、縦軸はアンテナ効率[dB]を表している。波形aは無給電素子(stub)が無い場合のメインアンテナ(アンテナ部10)のアンテナ効率を表している。波形bは無給電素子(stub)が無い場合のサブアンテナ(アンテナ部20)のアンテナ効率を表している。波形cは無給電素子の接地点を−27mmの位置としたメインアンテナのアンテナ効率を表している。波形dは無給電素子の接地点を−27mmの位置としたサブアンテナのアンテナ効率を表している。波形eは無給電素子の接地点を−37mmの位置としたメインアンテナのアンテナ効率を表している。波形fは無給電素子の接地点を−37mmの位置としたサブアンテナのアンテナ効率を表している。これらのグラフから、アンテナ効率については無給電素子を用いた場合でも、接地点の位置によってアンテナ効率が良い場合と悪い場合とがありうることが分かる。
【0026】
図5(a)(b)はそれぞれ図3に示したアンテナ装置の複合効率(multiplexing efficiency)[dB]と、利得不均衡度[dB]の周波数特性を表している。複合効率(multiplexing efficiency)とは、送受信のアンテナ特性とアンテナ相関特性を総括的に評価する指標であり、次式で表される。
【0027】
ηmux =√{η1・η2(1−|γ|・|γ|)}
ここに、ηmuxは複合効率を表し、η1,η2は第1および第2のアンテナのアンテナ効率、γは相関すなわち複素パターン相関(Patten complex correlation)を表す。
【0028】
複合効率の物理的な意味は、相関が0かつアンテナ効率が100%のメインアンテナとサブアンテナで受信したときのアンテナ利得からの相対的な劣化量を表すものである。複合効率が高い(0に近い)ほど好ましい。図5(a)において波形aは無給電素子なしの場合を表している。波形b,cはそれぞれ無給電素子の接地点を−27mmおよび−37mmの位置とした場合を表している。このグラフから、無給電素子を用いた場合、700MHz帯において複合効率が約2dB程度改善されていることが分かる。
【0029】
但し、図5(b)から分かるように、無給電素子を用いた場合には、メインアンテナとサブアンテナの利得の間で若干不均衡が見られる。
【0030】
図6は、図3に示したアンテナ装置の変形例を示している。この構成では、図3における無給電素子40に相当する第1の無給電素子40aに加えて、第2の無給電素子40bを、基板30の対向する辺に沿って設けている。無給電素子40bは、無給電素子40aの接地点41aと逆側(回転対称)の接地点41bで接地されている。無給電素子40a、40bの各エレメントは、図3における無給電素子40と同様に、その一端を接地し、この接地点から基板30の長辺に沿って伸びた後、平行に折り返し、その他端が接地点41付近に位置する構成としている。また、接地点41aは基板30の他方の長辺付近で第2の給電点21により近い位置に、接地点42aは基板30の一方の長辺付近で第1の給電点11に比較的近い位置に配置している。
【0031】
図7(a)(b)は、図6に示したアンテナ装置構成における両アンテナの相関の周波数特性と、アンテナ効率の周波数特性を表したグラフである。
【0032】
図7(a)における横軸は周波数[GHz]、縦軸は相関係数(0から1)を表している。波形aは無給電素子が無い場合を表している。波形bは接地点を−27mmとした単一の無給電素子を用いた場合を表している。波形c,dは、接地点を−27mmとした二つの無給電素子を用いた場合を表している。波形c,dの違いは、異なる集中定数の回路素子(この例では4nHと5nHのインダクタ)を介して無給電素子の接地を行ったことである。無給電素子の共振周波数はその電気長によって調整することができる。これに対して、無給電素子を集中定数のような回路素子を介して接地する構成により、集中定数を変更することによっても無給電素子の共振周波数を調整することができる。そのような回路素子を用いる構成の詳細については後述する。
【0033】
この図から分かるように、無給電素子を用いた場合は、無給電素子なしの場合に比べて、波形b〜dのいずれの場合も、700MHz帯において相関が低下(すなわち改善)していることが分かる。
【0034】
図7(b)における横軸は周波数[GHz]、縦軸はアンテナ効率[dB]を表している。波形aは無給電素子が無い場合のメインアンテナのアンテナ効率を表している。波形bは無給電素子が無い場合のサブアンテナのアンテナ効率を表している。波形cは接地点を−27mmの位置とした単一の無給電素子を用いた場合のメインアンテナのアンテナ効率を表している。波形dは接地点を−27mmの位置とした単一の無給電素子を4nHのインダクタを介して接地した場合のサブアンテナのアンテナ効率を表している。波形eは接地点を−27mmの位置とした二つの無給電素子を4nHのインダクタを介して接地した場合のメインアンテナのアンテナ効率を表している。波形fは接地点を−27mmの位置とした二つの無給電素子を4nHのインダクタを介して接地した場合のサブアンテナのアンテナ効率を表している。波形gは接地点を−27mmの位置とした二つの無給電素子を5nHのインダクタを介して接地した場合のメインアンテナのアンテナ効率を表している。波形hは接地点を−27mmの位置とした二つの無給電素子を5nHのインダクタを介して接地した場合のサブアンテナのアンテナ効率を表している。
【0035】
これらのグラフから、アンテナ効率については無給電素子を用いた場合でも、無給電素子の個数および介挿するインダクタンス値によってアンテナ効率が良い場合と悪い場合とがありうることが分かる。よって、無給電素子の個数やインダクタンスの値を選択することにより、相関を低下させる周波数範囲をコントロールすることができる。
【0036】
図8は、図6に示したアンテナ装置の構成において、接地点41a,41bのそれぞれに介挿するインダクタを異なるインダクタンス値Lm、Lsと異ならせたものである。他の構成は図6と同じである。
【0037】
図9(a)(b)(c)に、それぞれ、図8の構成の相関、アンテナ効率、複合効率の周波数特性を表したグラフを示す。
【0038】
図9(a)において、それぞれ、波形aはLm=3.5nH、Ls=5nHとした場合、波形bはLm=3nH、Ls=6nHとした場合、波形cはLm=6nH、Ls=3nHとした場合を示している。いずれも、二つの無給電素子に付加する集中定数の値を異ならせることにより相関の度合いが低減される帯域が広帯域化していることが分かる。これは、両無給電素子の共振周波数がずれることに起因すると考えられる。
【0039】
図9(b)において、波形a,bは、それぞれ、Lm=3.5nH、Ls=5nHとした場合のメインアンテナおよびサブアンテナのアンテナ効率を表している。波形b,cは、それぞれ、Lm=3nH、Ls=6nHとした場合のメインアンテナおよびサブアンテナのアンテナ効率を表している。波形e,fは、それぞれ、Lm=6nH、Ls=3nHとした場合のメインアンテナおよびサブアンテナのアンテナ効率を示している。このグラフから、700MHz帯におけるメインアンテナとサブアンテナのアンテナ効率はLmとLsの組み合わせによってかなりのばらつきがあることが分かる。
【0040】
図9(c)において、それぞれ、波形aはLm=3.5nH、Ls=5nHとした場合、波形bはLm=3nH、Ls=6nHとした場合、波形cはLm=6nH、Ls=3nHとした場合、波形dは無給電素子がない場合を示している。このグラフから、複合効率については、700MHz帯においてLmとLsの組み合わせによらず、無給電素子が無い場合に比べて改善されていることが分かる。
【0041】
図10は、図3に示したアンテナ装置の変形例を示している。図3のアンテナ装置では無給電素子40(およびその接地点41)はアンテナ部20の給電点21の側に配置され、その接地点41も給電点21に比較的近い側に配置された。これに対して、図10の構成では、無給電素子40をアンテナ部20の給電点21と反対の側に配置した。接地点41はアンテナ部10の給電点11からも十分に遠い位置にある。
【0042】
図11は、図6に示したアンテナ装置の変形例を示している。図6のアンテナ装置では無給電素子40aの接地点41aと、無給電素子40bの接地点41bとが、それぞれ、給電点11,21に近い側に配置されていた。これに対して、図11のアンテナ装置では、無給電素子40a,40bの位置を入れ替えた。これにより、接地点41a,41bがいずれも給電点21,11からより遠くへ離れることになる。
【0043】
図12(a)(b)は、図10,図11のアンテナ装置についての相関とアンテナ効率の周波数特性を示したグラフである。
【0044】
図12(a)において、波形aは無給電素子が無い場合の相関を表している。波形bは接地点を−27mmの位置とした単一の無給電素子を用いた場合(図10)の相関を表している。波形cは接地点を−27mmの位置とした二つの無給電素子を用いた場合(図11)の相関を表している。波形b、cのいずれにおいても700MHz帯における相関係数が0.2〜0.25程度改善されていることが分かる。
【0045】
図12(b)において、波形aは無給電素子が無い場合のメインアンテナのアンテナ効率を表している。波形bは無給電素子が無い場合のサブアンテナの効率を表している。波形cは接地点を−27mmの位置とした単一の無給電素子を用いた場合のメインアンテナのアンテナ効率を表している。波形dは接地点を−27mmの位置とした単一の無給電素子を用いた場合のサブアンテナのアンテナ効率を表している。波形eは接地点を−27mmの位置とした二つの無給電素子を用いた場合のメインアンテナのアンテナ効率を表している。波形fは無給電素子の接地点を−27mmの位置とした二つの無給電素子を用いた場合のサブアンテナのアンテナ効率を表している。これらのグラフから、アンテナ効率については無給電素子を用いた場合でも、アンテナがメインかサブか、無給電素子の個数によってアンテナ効率が良い場合と悪い場合とがありうることが分かる。
【0046】
図13(a)(b)は、図10,図11のアンテナ装置についての複合効率と利得不均衡度の周波数特性を示したグラフである。
【0047】
図13(a)において、波形aは無給電素子が無い場合の複合効率を表している。波形bは接地点を−27mmの位置とした単一の無給電素子を用いた場合の複合効率を表している。波形cは接地点を−27mmの位置とした二つの無給電素子を用いた場合の複合効率を表している。このグラフから、無給電素子が無い場合に比べて、単一でも複数でも無給電素子を設けた場合には複合効率が2〜3dB程度改善することが分かる。
【0048】
図13(b)において、波形aは無給電素子が無い場合の利得不均衡度を表している。波形bは、接地点を−27mmの位置とした単一の無給電素子を用いた場合の利得不均衡度を表している。波形cは接地点を−27mmの位置とした二つの無給電素子を用いた場合の利得不均衡度を表している。このグラフから、単一の無給電素子を用いるアンテナ装置(図10)の利得不均衡度が大きいのに対して、二つの無給電素子を用いるアンテナ装置(図11)では利得不均衡度が良好であることが分かる。
【0049】
図14は、本発明の第2の実施の形態に係るアンテナ装置の主要構成を示した図である。この第2の実施の形態は第1の実施の形態のアンテナ装置のアンテナ特性の改善を企図するものである。このアンテナ装置は、図3に示したアンテナ装置と同様、MIMO伝送を行うための複数のアンテナとして、第1の給電点11を有する第1のアンテナ部(メインアンテナ)10と、第2の給電点21を有する第2のアンテナ部20(サブアンテナ)とを有する。アンテナ部10,20はほぼ長方形状の基板30の一方向(この場合、長手方向)の一端部および他端部に配置されている。この図では、便宜上、第1のアンテナ部10と第2のアンテナ部20の上下関係が上述した図3等と逆になっている。
【0050】
第1の実施の形態と異なる点は、第1のアンテナ部10と第2のアンテナ部20のそれぞれの給電点11,21が基板30の同じサイドに配置されていることである。また、無給電素子40の接地点は給電点11,21が存在する基板30のサイドと逆のサイドのほぼ中央に位置している。給電点11から接地点41までの距離d1と、給電点21から接地点41までの距離d2は、いずれも所定の距離(ここでは0.1λ)以上離れている。無給電素子40は、上述したように、接地点41において集中定数の回路素子を介して接地されてもよい。図14における基板30の中央付近の空白部はバッテリの収容部を表している。
【0051】
図15(a)〜(d)は、図14に示したアンテナ装置の動作を説明するための図である。図15(a)(b)は、第2のアンテナ部20(Port2)に給電したときの電流分布と放射パターンを表したものである。図15(c)(d)は、同様に、第1のアンテナ部10(Port1)に給電したときの電流分布と放射パターンを表したものである。図15(b)(d)の放射パターンの表示形式は図2(b)(c)で説明したとおりである。
【0052】
図15(a)では給電されたアンテナ部20側の近傍および無給電素子の近傍で電流密度が高いことが分かる。図15(c)では給電されたアンテナ部10側の近傍および無給電素子の近傍で電流密度が高いことが分かる。図15(b)(d)は、いずれもドーナツ状の放射パターンが見られるが、そのドーナツの中心軸は両者で逆側に傾斜していることが分かる。この点を次の図でさらに詳細に説明する。
【0053】
図16はアンテナ部10,20のそれぞれの放射パターンの関係を説明するための図である。アンテナ部10により得られる放射パターン33aは、ドーナツ状の3次元の放射パターン33をその中心軸33bに沿って切断した断面に相当する。同様に、アンテナ部20により得られる放射パターン34aは、ドーナツ状の3次元の放射パターン34をその中心軸34bに沿って切断した断面に相当する。図から分かるように、中心軸33bと34bとはアンテナ装置の長手方向を基準として逆側に傾斜している。図の例では、中心軸33bと34bとはほぼ直交している。中心軸34bは給電点11と接地点41とを結ぶ直線の方向に相当する。同様に、中心軸33bは給電点21と接地点41とを結ぶ直線の方向に相当する。したがって、両直線が直交するように、給電点11,21と接地点41との位置関係を設定することにより、アンテナ部10とアンテナ部20の両放射パターン(指向性パターン)が直交する関係とすることが可能となる。これにより、両アンテナの相関の度合いを最大限に低減することができる。
【0054】
図17は、図14に示した構成を有するアンテナ装置の低域(Low band)におけるメインアンテナ(ANT_bttm)とサブアンテナ(ANT_top)のアンテナ効率の周波数特性を示している。ここでは700MHzから1GHzまでの周波数範囲を示している。
【0055】
図17における波形aは7nHのインダクタを介して無給電素子を接地した場合のアンテナ効率を表している。波形bはインダクタ等の回路素子を介挿することなく無給電素子を接地した場合のアンテナ効率を表している。波形cは無給電素子が無い場合のアンテナ効率を表している。
【0056】
図17(a)のグラフから、メインアンテナでは、740MHz付近で波形aに示されるようにインダクタを介して無給電素子を接地した場合のアンテナ効率が良好であることが分かる。この例では無給電素子がない場合に比べて約2dBの改善が見られる。同様に、880MHz付近で波形bに示されるようにインダクタ等の回路素子を介挿することなく無給電素子を接地した場合のアンテナ効率が良好であることが分かる。
【0057】
図17(b)のグラフから、サブアンテナでは、760MHz付近で波形aに示されるようにインダクタを介して無給電素子を接地した場合のアンテナ効率が良好であることが分かる。また、880MHz付近で波形bに示されるようにインダクタ等の回路素子を介挿することなく無給電素子を接地した場合のアンテナ効率が良好であることが分かる。
【0058】
図18は、図14に示した構成を有するアンテナ装置の高域(High band)におけるメインアンテナ(ANT_bttm)とサブアンテナ(ANT_top)のアンテナ効率の周波数特性を示している。ここでは1.7GHzから2.2GHzまでの周波数範囲を示している。
【0059】
図18(a)のグラフから、メインアンテナでは、1.8GHz付近から1.9GHz付近までの範囲で波形a,b,cのいずれの場合のアンテナ効率が良好であることが分かる。
【0060】
図18(b)のグラフから、サブアンテナでは、1.7GHz付近から1.9GHz付近までの範囲で波形a,bに示されるようにインダクタを介してまたはインダクタ無しで無給電素子を接地した場合のアンテナ効率が無給電素子が無い場合に比べて良好であることが分かる。
【0061】
図17、図18のグラフから、無給電素子を用いることによるアンテナ効率の改善は一定の条件付きで低域の方により効果があることが分かる。
【0062】
図19(a)(b)は、それぞれ、図14に示した構成を有するアンテナ装置において、7nHのインダクタを介して無給電素子を接地した場合およびインダクタを介さずに無給電素子を接地した場合のSパラメータの周波数特性を表している。
【0063】
S1,1はアンテナ部10(Port1)の反射特性を表し、s2,2はアンテナ部20(Port2)の反射特性を表わす。S1,1とS2,2の波形の凹部の負側のピークは各アンテナ部の共振周波数を表している。
【0064】
S1,2とS2,1は、アンテナ部10(Port1)とアンテナ部20(Port2)の相互の間の通過特性を表す。S1,2とS2,1は相対的に同じ値をとり、両波形は重なっている。S1,2とS2,1の値が小さいことは、両アンテナ間のアイソレーションが高いことを表し、これは相関の度合いが低いことを意味する。図19(b)に示すように、880MHz付近でアイソレーションがピンポイントで大きく改善されていることが分かる。さらに、図19(a)ではインダクタの介挿により、その周波数が750MHz付近へ移動していることが分かる。このことから、挿入するインダクタの値によってアイソレーションを改善する周波数を調整可能であることが示唆される。
【0065】
図20は、図14に示した構成を有するアンテナ装置の相関の周波数特性を表したグラフである。この例ではLTEのB13というバンドと、cdma2000のBC0というバンドの受信(Rx)に関する周波数特性を示している。
【0066】
図20において、波形aは7nHのインダクタを介して無給電素子を接地した場合の相関を表している。波形bはインダクタ等の回路素子を介挿することなく無給電素子を接地した場合の相関を表している。図において目標となる相関の値をTgで示してある。この相関がこのTgより低いことが望まれる。波形cは無給電素子が無い場合の相関を表している。図から分かるように、LTE B13の帯域については、波形aで示されるように、インダクタを介して無給電素子を接地した場合の相関が格段に良好であることが分かる。C2K BC0の帯域については、波形bで示されるように、インダクタ等の回路素子を介挿することなく無給電素子を接地した場合の相関が格段に良好であることが分かる。
【0067】
ここで、図21により、上述した所定距離を0.1λ以上とすることの根拠について説明する。図21(a),(b),(c)は、それぞれ、図14に示したアンテナ装置のアンテナ効率、相関係数、複合効率と、無給電素子からアンテナ給電点までの距離との関係を示している。この距離はサブアンテナの近傍から無給電素子を離していったときの距離であり、その単位は波長λである。これらのグラフは、アンテナ効率、相関係数、複合効率のいずれについても、波長が0.1λ以上である場合に良好であることを示している。特に、アンテナ効率と相関の効果を総合的に確認できる複合効率で評価すると、その値が目標(Tg:target)である−6dB以上になるのは距離が0.1λ以上離れた場合であることが分かる。
【0068】
次に図22に、図10(および他の図)に示したアンテナ装置の変形例を示す。図10では無給電素子40が基板30の側辺(長辺)に沿った方向に延びる構成とした。これに対して、図22の構成では、接地点41を基板30の側辺上の中間点に位置させ、ここから基板30の短辺に平行に延びて折り返すようにしている。「中間点」の座標(Y)はY軸上の中央点が0で、アンテナ部10側が正、アンテナ部20側が負と設定している。
【0069】
図23(a)(b)は、図22に示したアンテナ装置についての相関とアンテナ効率の周波数特性を示したグラフである。
【0070】
図23(a)において、波形aは無給電素子が無い場合の相関を表している。波形bは接地点をY=0mmの位置とした無給電素子を用いた場合の相関を表している。波形cは接地点をY=+22mmの位置とした無給電素子を用いた場合の相関を表している。波形dは接地点をY=−22mmの位置とした無給電素子を用いた場合の相関を表している。波形eは接地点をY=−32mmの位置とした無給電素子を用いた場合の相関を表している。700MHz帯における相関は、接地点の位置によって改善の度合いは異なるが、無給電素子がある場合には無い場合に比べて相関が改善されていることが分かる。
【0071】
図23(b)において、波形aは無給電素子が無い場合のメインアンテナ(アンテナ部10)のアンテナ効率を表している。波形bは無給電素子が無い場合のサブアンテナ(アンテナ部20)のアンテナ効率を表している。波形cは接地点をY=0mmの位置とした無給電素子を用いた場合のメインアンテナのアンテナ効率を表している。波形dは接地点をY=0mmの位置とした無給電素子を用いた場合のサブアンテナのアンテナ効率を表している。波形eは接地点をY=+22mmの位置とした無給電素子を用いた場合のメインアンテナのアンテナ効率を表している。波形fは接地点をY=+22mmの位置とした無給電素子を用いた場合のサブアンテナのアンテナ効率を表している。波形gは接地点をY=−22mmの位置とした無給電素子を用いた場合のメインアンテナのアンテナ効率を表している。波形hは接地点をY=−22mmの位置とした無給電素子を用いた場合のサブアンテナのアンテナ効率を表している。波形iは接地点をY=−32mmの位置とした無給電素子を用いた場合のメインアンテナのアンテナ効率を表している。波形jは接地点をY=−32mmの位置とした無給電素子を用いた場合のサブアンテナのアンテナ効率を表している。
【0072】
図23(b)のグラフから、各アンテナ部は、その給電点に対して無給電素子40の接地点41が近いほどアンテナ効率が劣化していることが分かる。
【0073】
図24は、図22に示したアンテナ装置の変形例を示している。図22ではアンテナ部10とアンテナ部20の給電点11,21はそれぞれ基板30の逆サイドに位置した。これに対して、図24に示す構成では、給電点11,21は基板30の同じサイドに位置している。無給電素子40の接地点41も基板30の同じサイドに位置している。図24の構成のアンテナ装置の特性を表すグラフについては特に示さないが、上記知見から判断すると、両給電点11,21から接地点41が均等に離れるY=0mmの位置の特性が良好であると推測される。
【0074】
図25は、図24に示したアンテナ装置の変形例を示している。図25の構成では無給電素子40の接地点41を給電点11,21に対して基板30の逆サイドに位置させたものである。この構成は図14に示したアンテナ装置の変形例と見ることもできる。すなわち、図14のアンテナ装置の無給電素子40の接地点41を給電点11,21と逆のサイドに位置させたものである。この構成では給電点11,21と接地点41の位置関係は図14の場合と同じであり、図14のアンテナ装置と同様のアンテナ特性が期待される。但し、無給電素子40が基板30のグランドプレーンからできるだけオフセットして外側に配置された図14の構成の方が相関の観点では良好である。
【0075】
上述したように、無給電素子を接地する際に使用帯域によって回路素子の介挿の有無や介挿する回路素子の値を変更すれば、使用帯域毎に良好な特性が得られる。そこで、図26に示すように、無給電素子40の接地条件を切り替えることができる構成を提供する。無給電素子40の一端を、単極双投(SPDT:Single Pole Double Throw)型のアンテナスイッチ43の単極側の端子に接続する。アンテナスイッチ43の双投側の端子には、インダクタ、キャパシタ、抵抗等の集中定数の回路素子44,45を、接地との間に接続する。回路素子44,45の一方は抵抗値0の導線をも含みうる。アンテナスイッチ43の切り替え制御は、アンテナ装置が搭載される無線通信装置の制御部210からの制御信号SWCNTLに従って行われる。例えば、LTEと3G(Third Generation)の通信システムのいずれを使用するかに応じて、制御部210が制御信号SWCNTLのON/OFF信号を出力する。
【0076】
次に、図27により、上述した無給電素子の構成例について説明する。無給電素子としては、図27(a)に示すモノポール型、図27(b)に示す折り返しモノポール型の他、図27(c)に示すミアンダ型であってもよい。また、これらの2つを結合して2共振化したものも考えられる。例えば、図27(d)に示すようにミアンダとモノポールを並列に用いた複合型であってもよい。複合型の場合は、単一の無給電素子について、電気長の異なるエレメントを併用することができる。
【0077】
図28は、上述したいずれかのアンテナ装置を採用した無線通信装置の一実施形態の概略構成を表した断面図である。
【0078】
上述した基板30は、複数の部分に分割される場合がある。図28の例では、基板はメインプリント回路基板51とサブプリント回路基板54とに分かれている。メインプリント回路基板51にアンテナ部20(サブアンテナ)が搭載され、サブプリント回路基板54にアンテナ部10(メインアンテナ)が搭載されている。メインプリント回路基板51とサブプリント回路基板54とは、ステンレス板(SUS)52のような導電板にコンタクトリーフ62〜65を介して支持される。このような導電板は、機械的な補強およびグランドプレーンを提供するために、通常、例えば無線通信装置のほぼ全長に亘って、筐体を構成するプラスチック部品内に埋め込まれ、または固定される形で設けられる。この例では、ステンレス板52上のメインプリント回路基板51とサブプリント回路基板54と間にはバッテリ53を収容する空間が設けられる。一般に無給電素子40の接地は基板30に対して行うことができるが、このような構成においては、バッテリ53の近傍に設けられた無給電素子40はコンタクトリーフ61を介してステンレス板52に接地される。勿論、この接地は上述した回路素子(およびスイッチ)を介して行ってもよい。なお、メインプリント回路基板51とサブプリント回路基板54との間は同軸ケーブル(図示せず)のような導線で相互に接続される。
【0079】
図29に、上記実施の形態のいずれかに係るアンテナ装置を内蔵した無線通信装置200の構成例を示す。
【0080】
無線通信装置200は、制御部210、アンテナ装置211、通信部212、表示部213、操作部214、記憶部215、音声処理部216、スピーカ217、マイクロホン218を備える。制御部210は、バス220を介して各部と接続され、各部の制御および必要なデータ処理を行う部位であり、MPU等のプロセッサを有する。通信部212は、アンテナ装置211を介して基地局等と電波による無線通信を行う部位である。アンテナ装置211は上述したようにMIMO伝送を行うための複数のアンテナ部10,20を含む。アンテナ装置211が図26で上述したアンテナスイッチ43および回路素子44,45を含む場合、制御部210からアンテナ装置211へ制御信号SWCNTLが供給される。
【0081】
表示部213は、ユーザに対して表示インタフェースを提供する部位であり、表示画面上に情報を表示するLCD、有機EL等の表示デバイスを有する。操作部214は、ユーザに対して入力インタフェースを提供する部位であり、テンキーや各種制御キー等の入力装置を有する。記憶部215は、制御部210が実行するプログラムとしてOSおよび通信アプリケーション・プログラム等の各種アプリケーション・プログラム、および必要なデータを格納する部位であり、ROM、RAM等のメモリを含む。音声処理部216は、受話音声、動画ファイルの音声、音楽データの処理を行う部位であり、コーデック等を有し、音声を出力するスピーカ217および送話音声等を集音するマイクロホン218が接続される。
【0082】
以上、本発明の好適な実施の形態について説明したが、上記で言及した以外にも種々の変形、変更を行うことが可能である。すなわち、請求項または請求項と均等の範囲内にある限り、デザイン又はその他の要素によって種々の改変、組み合わせ、他の実施形態が生じうることは、当業者にとって当然のことと理解される。例えば、明細書および図面中に示した部品の定数や距離、周波数、寸法等の具体的な数値はあくまで説明のための例示であり、本発明はそれらに限定されるものではない。
【0083】
上述の本発明の実施の形態では、
第1の給電点を有する第1のアンテナ部と、
第2の給電点を有する第2のアンテナ部と、
少なくとも1個の無給電素子とを備え、
前記無給電素子は前記第1および第2の給電点のいずれからも所定距離以上離間した接地点に接地される
アンテナ装置、について説明している。
【0084】
また、
前記第1および第2のアンテナ部はMIMO伝送を行うための複数のアンテナ部を構成するアンテナ装置、についても説明している。
【0085】
前記所定距離は波長λの使用周波数に対してほぼ0.1λであるアンテナ装置、についても説明している。
【0086】
また、
前記第1および第2のアンテナ部が搭載される基板を有し、
前記第1のアンテナ部は前記基板の一方向(たとえば長手方向)の一端部に配置され、前記第2のアンテナ部は前記基板の前記一方向の他端部に配置され、前記無給電素子は前記一端部と前記他端部との間に配置されるアンテナ装置、についても説明している。
【0087】
また、
異なる集中定数の第1および第2の回路素子と、
前記無給電素子を選択的に前記第1および第2の回路素子のいずれかを介して接地するスイッチとをさらに備えたアンテナ装置、についても説明している。
【0088】
また、
前記第1および第2のアンテナ部を選択的に第1の周波数帯と第2の周波数帯のいずれかで動作するよう切り替え制御する制御部をさらに備え、前記制御部はいずれの周波数帯で動作するかに応じて前記スイッチを切り替え制御するアンテナ装置、についても説明している。
【0089】
また、
前記少なくとも1個の無給電素子として、第1の無給電素子と第2の無給電素子とを備えたアンテナ装置、についても説明している。
【0090】
また、
第1の給電点を有する第1のアンテナ部と、
第2の給電点を有する第2のアンテナ部と、
少なくとも1個の無給電素子とを備え、
前記無給電素子は前記第1および第2の給電点のいずれからも所定距離以上離間した接地点に接地される
無線通信装置、についても説明している。
【0091】
また、
無線通信装置の一端部側に配備され、前記第1のアンテナ部が接続される第1の回路基板と、
前記無線通信装置の前記他端側に配置され、前記第2のアンテナ部が接続される第2の回路基板と、
前記第1およびの回路基板と並行して、前記基板のほぼ全長に亘って延びる導体板とをさらに備え、
前記無給電素子は前記導体板に対して接地される
無線通信装置、についても説明している。
【符号の説明】
【0092】
10,20…アンテナ部、11,21…給電点、12a,12b…アンテナエレメント、22a,22b…アンテナエレメント、30…基板、33,33a…放射パターン、33b…中心軸、34,34a…放射パターン、34b…中心軸、40,40a,40b…無給電素子、41,41a,41b…接地点、43…アンテナスイッチ、44,45…回路素子、51…メインプリント回路基板、52…ステンレス板(SUS)、53…バッテリ、54…サブプリント回路基板、61,62……コンタクトリーフ、100…アンテナ装置、200…無線通信装置、210…制御部、211…アンテナ装置、212…通信部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の給電点を有する第1のアンテナ部と、
第2の給電点を有する第2のアンテナ部と、
少なくとも1個の無給電素子とを備え、
前記無給電素子は前記第1および第2の給電点のいずれからも所定距離以上離間した接地点に接地される
アンテナ装置。

【図1】
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【図3】
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【図6】
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【図8】
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【図10】
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【図11】
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【図14】
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【図22】
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【図24】
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【図25】
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【図27】
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【図29】
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【図2】
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【図4】
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【図5】
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【図7】
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【図9】
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【図12】
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【図13】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図23】
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【図26】
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【図28】
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【公開番号】特開2012−231452(P2012−231452A)
【公開日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−67159(P2012−67159)
【出願日】平成24年3月23日(2012.3.23)
【出願人】(501431073)ソニーモバイルコミュニケーションズ株式会社 (810)
【Fターム(参考)】