説明

アンモニア含有液の処理方法及び装置

【課題】 工場等から排出される排液に含まれる或は各種有機系汚染物、悪臭成分、細菌類等から発生するアンモニアを含有する液からアンモニアを除いて無害化して清浄化する処理方法及び装置を提供する。
【解決手段】 下記の工程:(A)アンモニア含有液にオゾンを添加して混合し、(B)該混合液を、(1)ペンタシルゼオライト、(2)ゼオライトβ、(3)超安定Y型ゼオライト(USY)、(4)メソポーラスシリケート、及び(5)超安定モルデナイト(USM)から選ばれた少なくとも一種の吸着剤を充填した充填塔に流過させて吸着剤にアンモニア及びオゾンを吸着させ、(C)吸着剤表面上でアンモニアをオゾンの作用により酸化分解して無害化して清浄化液を吸着塔から流出させることを含むアンモニア含有液の処理方法。該処理方法を実施するための装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、工場等から排出される排液に含まれる或は各種有機系汚染物、悪臭成分、細菌類等から発生するアンモニアを含有する液からアンモニアを除いて無害化して清浄化する処理方法及び装置に関する。一層詳細には、アンモニア及びオゾンを吸着剤に吸着させてアンモニアをオゾンによって酸化分解して無害化効率を向上させるアンモニア含有液の無害化処理方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
アンモニアは、人の健康に被害をもたらす有害物質の一種とされ、全国一律の排水基準が定められている。
アンモニアを含有する汚染液の無害化処理方法の一つとして、生物活性処理があるが、生化学反応に依存することからその処理速度は遅く、また、アンモニアを分解する微生物槽の維持に多大な注意と経験とを必用とする。また、微生物によるアンモニアの分解は好気性雰囲気でのアンモニアから硝酸への酸化が一般的であり、生成する硝酸が増大することによるpH低下の調整、硝酸の処理等の課題が残る。
【0003】
アンモニアを含有する汚染液にオゾンを添加してアンモニアを酸化分解して処理しようとする方法も試みられている。オゾンによる処理は、アンモニア含有液中にオゾン発生器(オゾナイザー)によって発生されるオゾンを注入することによって行われる。しかし、通常は液中のアンモニアの濃度は非常に希薄であり、低濃度アンモニアとオゾンとの反応速度が小さいことからアンモニアの酸化分解、殺菌等に寄与する前に分解するオゾンの割合も多く、無害化効率が低いという問題があった。
【0004】
しかし、オゾンは自己分解が進行することから、処理液中に残存して入体に悪影響を及ぼす危険性は少なく、クリーンな処理剤として今後さらに利用分野が拡大していくものと予想され、アンモニアの酸化剤として利用できれば非常に有効な処理法として期待される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、安全性の高い酸化剤であるオゾンを使用してアンモニアを含有する液の無害化効率を向上させることができるアンモニア含有液の処理方法及びそのための装置を提供するである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者等は、上記の課題を達成するために、鋭意研究した結果、アンモニアのような汚染成分を吸着した特定の吸着剤に、オゾンを接触させると、アンモニアを高い効率で酸化分解して無害化して清浄化することができることを見出して本発明をなすに至った。
【0007】
かくして本発明によれば、以下の1〜12の発明が提供される。
1. 下記の工程:
(A)アンモニア含有液にオゾンを添加して混合し、
(B)該混合液を、(1)ペンタシルゼオライト、(2)ゼオライトβ、(3)超安定Y型ゼオライト(USY)、(4)メソポーラスシリケート、及び(5)超安定モルデナイト(USM)から選ばれた少なくとも一種の吸着剤を充填した充填塔に流過させて吸着剤にアンモニア及びオゾンを吸着させ、
(C)吸着剤表面上でアンモニアをオゾンの作用により酸化分解して無害化して清浄化液を吸着塔から流出させる
ことを含むアンモニア含有液の処理方法。
2.更に、(D)前記工程(C)で無害化されて得られた処理液をオゾン分解剤と接触させて残留するオゾンを分解する工程を含む上記1記載のアンモニア含有液の処理方法。
3.アンモニア含有液を、吸着剤を充填した吸着塔に導入してアンモニアを吸着剤に吸着させてアンモニアが除去されて無害化された清浄化液を吸着塔から流出させる吸着工程を終了した後に、アンモニア含有液の導入を停止し、次いでアンモニアを吸着した吸着塔にオゾンを導入して吸着剤表面でアンモニアを酸化分解するアンモニア含有液の処理方法であって、上記吸着剤は(1)ペンタシルゼオライト、(2)ゼオライトβ、(3)超安定Y型ゼオライト(USY)、(4)メソポーラスシリケート、(5)超安定モルデナイト(USM)の少なくとも一種であるアンモニア含有水の処理方法。
4.吸着剤床を収容した吸着塔が並列に2以上存在し、1つの吸着塔にアンモニア含有液を導入して、吸着剤にアンモニアを吸着させてアンモニアが除去されて無害化された清浄化液を吸着塔から流出させる吸着工程に在る間に、吸着工程を終了した別の吸着塔にオゾンを導入して吸着剤表面でアンモニアを酸化分解する酸化分解工程を施し、次いでオゾンの導入を、吸着工程を終了した吸着塔に切り換え、上記の工程を繰り返す、汚染成分含有水の処理方法であって、上記吸着剤は(1)ペンタシルゼオライト、(2)ゼオライトβ、(3)超安定Y型ゼオライト(USY)、(4)メソポーラスシリケート、(5)超安定モルデナイト(USM)の少なくとも一種であるアンモニア含有液の処理方法。
5.オゾンがオゾン含有ガス又はオゾン含有液である上記1〜4のいずれか一に記載の処理方法。
6.前記ペンタシルゼオライトがSiO/Al比20〜1000を有する上記1〜4のいずれか一に記載の処理方法。
7.前記ゼオライトβがSiO/Al比20〜200を有する上記1〜4のいずれか一に記載の処理方法。
8.前記超安定Y型ゼオライト(USY)がSiO/Al比20〜1000を有する上記1〜4のいずれか一に記載の処理方法。
9.前記メソポーラスシリケートがSiO/Al比10〜\を有する上記1〜4のいずれか一に記載の処理方法。
10.前記超安定モルデナイト(USM)がSiO/Al比20〜1000を有する上記1〜4のいずれか一に記載の処理方法。
11.(1)ペンタシルゼオライト、(2)ゼオライトβ、(3)超安定Y型ゼオライト(USY)、(4)メソポーラスシリケート、(5)超安定モルデナイト(USM)の少なくとも一種の吸着剤床を設けた吸着剤充填塔と、上記吸着剤充填塔にアンモニアを含有する液を供給する供給管と、上記供給管に接続され、液中にオゾンを添加するオゾン発生器と、前記吸着剤充填塔から処理済みの処理液を排出する排出管とを備えてなるアンモニア含有液の処理装置。
12.前記吸着剤充填塔の下流側に、リークするオゾンを分解するオゾン分解剤床が設けられてなる上記11記載のアンモニア含有液の処理装置。
【発明の効果】
【0008】
本発明のアンモニア含有液の処理方法及び装置は、アンモニア含有液のオゾンによる処理において、特定の吸着剤を使用することにより、オゾンとアンモニアを同時吸着してオゾン、アンモニアを濃縮し、また吸着剤の結晶構造内でオゾンが分解されることなく吸着されることから、使用するオゾン当たりのアンモニアの酸化分解効率が高い。
また、本発明において用いる特定の吸着剤は、オゾンの吸着能力が高く、しかも吸着したオゾンの分解率が低く、かつアンモニアを吸着する特性を有することから、液相での安定したアンモニアの処理が可能である。
工場等から排出される排液に含まれる人の健康に被害をもたらす有害物質の一種であるアンモニアを高い分解効率で酸化分解して無害化することができる。
また、養殖槽や水槽中で魚を飼育する場合に、魚が排出するアンモニアを処理しなければ、魚は長い期間飼育することができない。このような場合にも、本発明のアンモニア含有液の処理方法及び装置を簡便に使用して、アンモニアを有効に処理して魚の飼育期間を顕著に延ばすことができる。
更に、本発明のアンモニア含有液の処理方法及び装置を使用する場合に、NHOHの酸化で有害物であるHNO、HNOが殆ど副生されないから、二次公害を引き起こす恐れがない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明において言うアンモニアとは、オゾンによって酸化分解することができるものであれば、アンモニア化合物等を含んでよい。
【0010】
オゾンを供給するためのオゾン発生器(オゾナイザー)としては、公知の無声放電方式、紫外線ランプ方式、水電解方式などいずれの方式のものでも適用できるが、オゾンを安価に発生することができる点で、無声放電方式を用いるのが好ましい。オゾンを添加する方法として、上流に配置したエジェクターにオゾンを吸引して処理液に混合する方法と、液相に挿入したオゾン散気管でマイクロバブルを発生させて気−液接触により注入する方法が一般的である。オゾンの添加量は処理液中の有害成分の種類、濃度等によって適宜設定すればよいが、通常の汚水液処理においては有害成分1モルに対し0.33〜20モル程度である。
【0011】
本発明で使用する吸着剤は、オゾンを吸着し、かつアンモニアを吸着するものでなければならない。このような本発明の吸着剤は、(1)ペンタシルゼオライト、(2)ゼオライトβ、(3)超安定Y型ゼオライト(USY)、(4)メソポーラスシリケート及び(5)超安定モルデナイト(USM)から選択する少なくとも一種である。
【0012】
理論によって本発明を限定するものではないが、上記本発明の高い値のSiO/Al比を有するシリカ系無機多孔体は、従来オゾン吸着剤として使用されるアルミノシリケートと比べて、強いルイス酸点を固体表面に持たないため、オゾン分解が少なくかつオゾン吸着能が高いと考えられる。これは、下記の表-1及び図1に示す通りに、吸着剤のアンモニアTPD(昇温脱離曲線:Temperature Programmed Desorption)試験において、強酸点に対応すると考えられるアンモニアβピーク(高温ピーク)が低SiO/Al比のアルミノシリケートよりも強いピークを示すことを根拠としている。低SiO/Al比20,80はαピークよりはβピークが大きいが、低SiO/Al比400ではβが消失している。これはSiO/Al比の増大に伴い化学吸着活性点が消失したためと思われる。
【0013】
【表1】


上記の表中のデータを図1にプロットして示す。
【0014】
従って、本発明において用いるオゾン吸着剤は、オゾンとアンモニアを同時吸着してオゾン、アンモニアを濃縮し、吸着剤の結晶構造内でオゾンが分解されることなく吸着されてアンモニアを効率良く酸化分解する効果を奏する。
このように、本発明の吸着剤は、オゾンの吸着能力が高く、しかも吸着したオゾンの分解率が低く、かつアンモニアを吸着する特性を有する為液相での安定した処理が可能である。
【0015】
次に、本発明において用いるオゾン吸着剤の各々について説明する。
ペンタシル型ゼオライト(S−5)
ペンタシル型ゼオライトは、ZSM−5、シリカライトとして知られているものである。SiO/Al比100以下のペンタシルゼオライトをZSM−5、それ以上のSiO/Al比のものをシリカライトと称する。
【0016】
本発明において用いるペンタシル型ゼオライトのSiO/Al比は、好ましくは20〜1000、更に好ましくは20〜200である。20未満のSiO/Al比のペンタシル型ゼオライトの合成は困難であり、一方、1000を超えると合成のコストが大幅に増大し一般的ではない。
【0017】
ゼオライトβ(S−4)
本発明において用いるオゾン吸着剤の内のゼオライトβについては、ゼオライトβは1967年に初めて合成されたが、結晶構造が明らかになったのは約20年後の1987年であった。ゼオライトβは、約7.5オングストロームの有効入口径の細孔が3次元に結合した構造を持つハイシリカゼオライトである。12員環が3つ交差して、2つの結晶構造ポリモルフAとBとが共晶した複雑な構造を持つ。ゼオライトβの合成は、シリカ源、アルミナ源、アルカリ源、テトラエチルアンモニウムイオンを原料混合物として、SiO/Al=10〜200、75〜200℃の温度で合成できる。
【0018】
本発明において用いるゼオライトβのSiO/Al比は、好ましくは20〜200、更に好ましくは20〜100である。20未満のSiO/Al比のゼオライトβではオゾン分解が顕著となるためアンモニアの酸化反応効率が低下し、一方、200を超えると合成のコストが大幅に増大し一般的ではない。
【0019】
超安定Y型ゼオライト(S−3)
本発明において用いる超安定Y型ゼオライト(以下USY: Ultra Stable Y Type zeolite)は、水熱合成で調製されたSiO/Al比5のY型ゼオライトを温度120℃以上のアンモニア蒸気と接触させてY型ゼオイラト(ファウジャサイト)結晶構造中のアルミニュームを除去して高SiO/Al比のY型ゼオライトを調製したものである。
【0020】
本発明において用いるUSYのSiO/Al比は、好ましくは20〜1000、更に好ましくは20〜200である。20未満のSiO/Al比のUSYではオゾン分解が顕著となるためアンモニアの酸化反応効率が低下し、一方、1000を超えると合成のコストが大幅に増大し一般的ではない。
【0021】
メソポーラスシリケート(S−2)
低pH(pH=1)でモノケイ酸とのミセル形成能に優れた3級アンモニウム塩であるアンモニウムブロミドのような溶媒を溶解した水に、激しく撹拌しながら、水に溶解したケイ酸塩、例えばケイ酸ナトリウムを加え、さらに水に溶解したアルミニウム塩、例えば硫酸アルミニウムを少しずつ加えて懸濁液とし、この懸濁液を撹拌する。上記添加、溶解、攪拌作業は、通常室温で行われる。液中に生成した沈殿物をろ過して多孔体粉末を分離した後に、水で洗浄し、電気炉に入れて、加熱して表面水分を除去した後に、昇温して溶媒を熱分解除去してメソポーラスシリケートを得ることができる。得られるメソポーラス材料は、均一で規則的な配列のメソ孔(直径2〜50nm)を有する多孔質材料(多孔体)であり、構造的には「MCM−41」(2〜50nmの均一メソスコピックサイズの細孔を有するシリカ)と良く似た2次元柱状構造を有している。
本発明のメソポーラスシリケートのメソ孔の直径は、好ましくは12〜100nmである。
【0022】
本発明において用いるメソポーラスシリケートのSiO/Al比は、好ましくは10〜∞、更に好ましくは10〜1000である。10未満のSiO/Al比のメソポーラスシリケートではオゾン分解が顕著となるためアンモニアの酸化反応効率が低下する。
【0023】
超安定モルデナイト型ゼオライト(S−1)
本発明において用いるオゾン吸着剤の内の超安定モルデナイト型ゼオライト(以下USM: Ultra Stable Mordenite Type zeolite)は、水熱合成で調製されたSiO/Al比5程度のモルデナイト型ゼオライトを温度120℃以上のアンモニア蒸気と接触させてモルデナイト型ゼオイラト結晶構造中のアルミニュームを除去して高SiO/Al比のモルデナイト型ゼオライトを調製したものである。
【0024】
本発明のUSMのSiO/Al比は、好ましくは20〜1000、更に好ましくは20〜200である。20未満のSiO/Al比のUSMではオゾン分解が顕著となるためアンモニアの酸化反応効率が低下し、一方、1000を超えると合成のコストが大幅に増大し一般的ではない。
【0025】
本発明は、発明者等がオゾンの液相での吸着試験を行う中で特定の吸着剤が、オゾンを効率よく吸着し、しかも共吸着アンモニアをオゾンにより高効率で無害化し得ることを見出した結果に基づくものである。
【0026】
このように本発明の吸着剤存在下でアンモニアとオゾンとを共存させると、液中のアンモニアのオゾン酸化が効率よく進行する。本発明を制限するものではないが、下記のような酸化分解機構が考えられる。
【0027】
液中のオゾン酸化分解反応が液中のオゾン濃度〔O〕とアンモニア濃度〔NHOH〕の積〔O〕・〔NHOH〕に比例して進行する。一方、本発明の吸着剤床にはオゾン及びアンモニアが選択的に吸着されるため、単なる液相に比べて吸着剤表面のオゾン濃度〔O〕及びアンモニア濃度〔NHOH〕はそれぞれ10〜100倍程度に達する(日本吸着学会2000年年会「シリカ系吸着剤における水中溶存オゾンの吸脱着特性」鈴木基之ら)。従って、吸着剤表面での〔O〕・〔NHOH〕は液相中での100〜10000倍に達すると予想される。
【0028】
また、本発明の特筆すべき特長としては、消化菌を使用したNHOHの酸化で生成するHNO、HNOが本高シリカ材料上のNHOH−O反応では殆ど生成しないことである。
これは高シリカゼオライト上での反応が、
NHOH+5/6O→1/2N+5/2HO−−−(1)
2NHOH+7/3O→2NO+5HO−−−(2)
NHOH+4/3O→HNO+2HO−−(3)
NHOH+O→HNO+2HO−(4)
から構成されるが、(1)、(2)>>(3)、(4)の反応の選択性を有し、HNO、HNOが殆ど生成しないことが確認されたことである。
【0029】
本発明の吸着剤は、それぞれ使用目的に応じて単独又は混合物の形で、粒状、ペレット状、ラシヒリング状、ハニカム状など任意の形状に成形して使用できる。
【0030】
本発明に使用される吸着剤量は、使用目的に応じて異なるが、通常汚染物質1〜1000ppm(w/w)、オゾン量1〜10,000ppm(w/w)の条件で吸着剤1m当たりSV値1〜250(1/h)程度である。
【0031】
本発明の吸着剤の性能は、使用目的に応じて異なるが、80質量%以上の非常に高い除去率を示す。
【0032】
また、液相ではオゾンはアンモニア以外の第三物質との衝突により無害化に寄与することなく分解してしまう頻度が多くなり、オゾンの無害化効率に限界がある。特に液中のアンモニア濃度が希薄な程、無害化効率は低下する。しかし、本発明の吸着剤表面でのオゾンによるアンモニアの無害化においては、吸着剤にオゾン及びアンモニアが選択的に吸着されることから、第三物質との衝突によるオゾン分解の確率は大幅に低減され、オゾンはアンモニアの無害化のために効率的に消費される。
【0033】
液相でのアンモニアの無害化処理効率の悪い従来法(消化菌を使用した生物活性処理)では装置容量が大きく、液組成の変動、競合する微生物の侵入で消化菌の活性が大幅に低下する懸念が常に存在し、経済性、保守性についての改善のニーズが強かった。アンモニア−オゾン酸化反応の均一液相反応による排水処理は効率が非常に低いことから採用されていないが、一般的なCOD成分の低減としては生物活性処理の下流処理として採用されている。しかし生物活性処理の上流への本装置の設置はリークオゾンによる生物活性槽の性能を低下させることから採用されていない。しかし、本発明において、通常の液処理の場合は未反応オゾンは吸着剤に吸着されたまま滞留するため下流へのリークの恐れはほとんどなく、リークオゾン濃度が従来の1/10以下である。
【0034】
しかし、本発明でも特殊な細菌の殺菌など多量のオゾンを添加する場合や、何らかの理由によりリークした場合の対策としては、オゾンによる無害化処理を行う吸着剤充填塔の処理液出口部分にリークするオゾンを分解する分解剤層を設けることによって未反応のオゾンを分解することができる。上記オゾン分解剤としては、リークオゾンと接触して自らはCOへと酸化される消耗型吸着剤である活性炭やアルミナ系化合物などが挙げられる。なお、分解剤床は吸着剤充填塔の出口部分の内側に設けてもよく、また、充填塔の外側に別途設けてもよい。本発明では、リークオゾン濃度が低いためオゾン分解剤の交換頻度も従来の10倍程度と大幅な延長が達成できる。
【0035】
なお、必要によりアンモニア含有液ヘのオゾン注入点の上流側及び/又はオゾン吸着反応器の下流側にダストを除去するろ過材層を設けることができる。ろ適材層の設置の有無、設置位置等は装置の状況やアンモニア含有液の性状等により適宜定めればよい。
【0036】
次に図面を参照して本発明の処理方法及び装置を説明する。図2に工場排液からの排液処理に本発明を適用したアンモニア含有液の処理フローの1例を示す。図2において主プラント1からのアンモニア含有液は排液輸送ポンプ3により排液導出配管2を経て混合器4に送られ、オゾン発生器5からオゾンを注入されて吸着剤充填塔6に導入される。吸着剤充填塔6には本発明の特定の吸着剤が充填されており、導入液中のアンモニア及びオゾンが吸着剤に共吸着し、高濃度の状態で反応してアンモニアが分解される。通常は処理液排出配管7から排出される処理済の液ヘのオゾンのリークはないが、必要により吸着剤充填塔6内の処理液出口側あるいは吸着剤充填塔6の下流に活性炭などのオゾン分解剤層を設けてもよい。なお、図6には吸着剤充填塔6内の吸着剤層6aの処理液出口側に仕切6cを介してオゾン分解剤層6bを設けた例を示した。
【0037】
本発明の処理方法及び装置を、複数の吸着塔を用いて実施する場合の実施の形態を図3を用いて説明する。なお、図3は、装置の概略構成図であり、配管11、前記送給ポンプなどにより被処理液送給手段を構成し、配管14、前記オゾン液送給装置などによりオゾン送給手段を構成し、三方バルブ12、13などにより切換手段を構成している。
【0038】
排液1の送給ポンプを連結された配管11は、その先端側が二股に分岐している。この配管11の先端側の一方は、第一の切換弁である三方バルブ12の口12aに連結されている。配管11の先端側の他方は、第二の切換弁である三方バルブ13の口13bに連結されている。
【0039】
前記三方バルブ12の口12bには、配管14の二股に分岐した先端側の一方が連結されている。前記三方バルブ13の口13aには、上記配管14の先端側の他方が連結されている。この配管14の基端側には、オゾンガス又はオゾンを溶解したオゾン液2を送給するオゾンガス又はオゾン液送給装置(図示せず)が連結されている。
【0040】
前記三方バルブ12の口12cには、排液1中のアンモニアやオゾン液2中のオゾンを吸着保持する吸着剤を充填された第一の吸着塔15の一端側が連結されている。前記三方バルブ13の口13cには、上記吸着塔15と同様な構造をなす第二の吸着塔16の一端側が連結されている。第一の吸着塔15の他端側には、配管17の二股に分岐した基端側の一方が連結されている。第二の吸着塔16の他端側には、上記配管17の基端側の他方が連結されている。
【0041】
図3のアンモニア処理装置を用いて排液1中のアンモニアを処理する場合を次に説明する。
まず、三方バルブ12の口12a、12cを連通させるように当該バルブ12を操作すると共に、三方バルブ13の口13a、13cを連通させるように当該バルブ13を操作した後、配管11に排液1を流通させると、当該排液1は、配管11の先端側の一方から三方バルブ12を介して吸着塔15内に流入し、アンモニアが当該吸着塔15内の前記吸着剤に吸着保持され、当該アンモニアが除去された被処理液である無害化液3が配管17を介して外部に排出される。
【0042】
このようにアンモニアを吸着塔15内の吸着剤に吸着保持して必要十分に蓄積されたら、三方バルブ13の口13b、13cを連通させるように当該バルブ13を操作すると同時に、三方バルブ12の口12b、12cを連通させるように当該バルブ12を操作することにより、配管11内の排液1の流れを前記一方から他方に切り換え、排液1中のアンモニアの吸着除去を吸着管15から吸着塔16に切り換えた後、前記オゾン水送給装置から配管14にオゾン水2を送給すると、当該オゾン液2は、配管14の先端側の一方から三方バルブ12を介して吸着塔15内に流入し、オゾンが当該吸着管15内の前記吸着剤に吸着されて、当該吸着剤に蓄積しているアンモニアを酸化して無害化処理しながら当該吸着剤を再生処理し、オゾンを取り除かれて無害となった無害化液4が、上記吸着塔16でアンモニアを除去された無害化液3と共に配管17を介して外部に排出される。
【0043】
以上の操作を繰り返すことにより、排液1中のアンモニアの吸着蓄積と当該アンモニアの酸化処理とを吸着塔15、16で交互に連続して行うことができる。
つまり、吸着剤にアンモニアを吸着蓄積することによりアンモニアの単位体積当たりの量を多くし、オゾンを当該吸着剤に吸着させることによりオゾンのアンモニアとの接触効率を高めると共に、アンモニアの吸着蓄積と酸化処理との工程を交互に連続して行うことにより処理効率が高められる。
【0044】
従って、酸化反応性や自己分解性の高いオゾンを排液1中のアンモニアの酸化処理に有効に利用することができると共に、その処理を連続的に行うことができるので、アンモニアをオゾンで効率よく処理することができる。
アンモニアの吸着工程の終了は、例えば吸着塔出口のアンモニアの濃度を検出していて、アンモニアのブレークスルーが見られた時に、吸着塔への排液の導入を停止することによって行うことができる。
【0045】
オゾンガス又はオゾン液は、排液の流入口から並流に導入しても又は排液の流出口から向流に導入してもよいが、排液の流入口から並流に導入するのが好ましい。また、オゾンによるアンモニアの酸化処理工程の終了は、例えばオゾンの流入口と反対の吸着塔出口のオゾンの濃度を検出していて、オゾンのブレークスルーが見られた時に、吸着塔へのオゾンの導入を停止することによって行うことができる。
また、アンモニアを吸着蓄積して処理するので、排液1中のアンモニアの濃度が低い場合であっても、アンモニアをオゾンで効率よく処理することができる。
【0046】
なお、上記では、第一の吸着塔15及び第二の吸着塔16を用いたが、処理能力や処理条件等によっては、第一、第二の吸着塔をそれぞれ複数設けることも可能である。
【0047】
本発明の処理方法及び装置の別の実施形態を図4〜6を用いて説明する。なお、図4は、その要部の概略構成図、図5は、図4のIII−III線断面図であり、図6は、図4のIV−IV線断面図である。ただし、上記実施の形態と同様な部分については、前述した第一番目の実施の形態の説明で用いた符号と同様な符号を用いることにより、その説明を省略する。
【0048】
図4〜6では、配管21、前記送給ポンプなどにより被処理液送給手段を構成し、配管22、前記オゾン液送給装置などによりオゾン送給手段を構成し、第一、第二の支持板23、24、前記駆動手段などにより切換手段を構成し、吸着管25などにより第一および第二の吸着手段を構成している。
【0049】
図4、5に示すように、円筒型をなす吸着塔25は、その内部が仕切板25cにより第一の吸着室25aおよび第二の吸着室25bに仕切られている。吸着塔25の上記吸着室25a、25b内には、前述した実施の形態の場合と同様な吸着剤26が充填されている。吸着管25は、その両端が円盤型の第一、第二の支持板23、24により密封されると共に回転可能に支持されており、駆動手段(図示せず)により所定の速度で回転することができるようになっている。
【0050】
図4、5では、第一の支持板23には、排液1の送給ポンプを連結された配管21の先端が上記吸着塔25の第一、第二の吸着室25a、25bと連通できるように貫通して連結されている。この支持板23には、オゾンガス又はオゾンを溶解したオゾン液2を送給する図示しないオゾンガス又はオゾン液送給装置を基端に連結された配管22の先端が上記吸着塔25の第一、第二の吸着室25a、25bと連通できるように貫通して連結されており、当該配管22は、その先端が上記配管21の先端に対して当該支持板23の中心を挟んで点対称となる位置で連結されている。
【0051】
一方、第二の支持板24には、配管27の二股に分岐した基端側の一方と他方とが上記吸着塔25の第一、第二の吸着室25a、25bと連通できるように貫通して連結されており、当該配管27は、上記基端側の一方と他方とが前記配管21、22の先端と同軸をなすようにそれぞれ対応して連結されている。
【0052】
このようなアンモニア処理装置を用いて排液1中のアンモニアを処理する場合を次に説明する。
吸着管25を所定の速度で回転駆動させると共に、配管21内に排液1を流通させると、排液1は、当該配管21の先端と対面する吸着管25のどちらか一方の吸着室25a、25b(説明の便宜上吸着室25aとする。)内に支持板23を介して流入し、アンモニアが当該吸着室25a内の吸着剤26に吸着保持されて蓄積し、当該アンモニアを除去された無害化液3が支持板24を介して配管27から外部に排出される。
【0053】
このように処理していき、前記吸着室25a内の吸着剤26が上記アンモニアを必要十分に蓄積すると、吸着管25が上述したように所定の速度で回転しているので、当該吸着管25が吸着室25bと配管21とを連通させると共に吸着室25aと配管22とを連通させるように切り替わり、吸着室25b内の吸着剤26が配管21からの排液1中のアンモニアを新たに吸着保持して蓄積し、上述と同様に、アンモニアを除去された無害化水3が支持板24を介して配管27から外部に排出される。
【0054】
これと同時に、前記オゾン液送給装置からオゾン液2を配管22内に送給すると、オゾン液2は、支持板23を介して吸着管25の吸着室25a内に流入し、オゾンが当該吸着室25a内の吸着剤26に吸着されて、当該吸着剤26に蓄積しているアンモニアを酸化して無害化処理しながら当該吸着剤26を再生処理し、オゾンを取り除かれて無害となった無害化液4が、前記吸着室25a内の上記吸着剤26でアンモニアを除去された無害化液3と共に配管27を介して外部に排出される。
【0055】
以上の操作を繰り返すことにより、排液1中のアンモニアの吸着・蓄積と当該アンモニアの酸化処理とを吸着塔25の吸着室25a、25bで交互に連続して行うことができる。
【0056】
従って、前述した実施の形態の場合と同様に、酸化反応性や自己分解性の高いオゾンを排液1中のアンモニアの酸化処理に有効に利用することができると共に、その処理を連続的に行うことができるので、排液1中のアンモニアの濃度に左右されることなく、アンモニアをオゾンで効率よく処理することができる。
【0057】
なお、本実施の形態では、2つの吸着室25a、25bを有する吸着管25を用いたが、処理能力や処理条件等によっては、3つ以上の吸着室を有する吸着管を用いることも可能である。
【0058】
また、稚魚の養殖などを行うにあたって、海や河川からの水を養殖槽に汲み入れる場合に本発明によるアンモニア除去装置を適用すると、稚魚を高育成率で養殖することができる。
すなわち、従来は、海水にオゾンを加えてアンモニアを酸化処理した後に活性炭吸着塔を流通させて残留オゾンを除去してから養殖槽に給水していたため、残留オゾンを十分に取り除くのに多大な量の活性炭を使用しなければならないばかりか、海水5中に含まれる臭化水素とオゾンとの反応で生じたHBrOを除去することができなかった。
【0059】
一方、本発明では、例えば図7に示すように、被処理液である海水5をポンプ31等で汲み取り、海水5中のゴミ等の浮遊物を砂濾過器32等で除去した後、前述した吸着管15、16に流通させて当該海水5中のアンモニアを除去し、当該アンモニアをオゾン液2で酸化分解して無害化して、無害化水3、4を養殖プール36に給水できる。その結果、無害化水3、4中にオゾンを残留させることがない(0.001ppm未満)ばかりか、HBrOの生成自体を抑えることができる。
【0060】
尚、図7に示すように、オゾン濃度を検出するオゾン検出手段であるオゾンセンサ33および無害化水3、4の流通を制止する流量調整手段である制止弁34を配管17に設け、オゾンセンサ33からの信号に基づいて、無害化水3、4中のオゾン濃度が所定値を超えた場合には無害化水3、4の流通を制止するように制御弁34を閉じる制御手段である制御装置35を設ければ、吸着管15、16が何らかの原因で故障した場合であっても養殖プール36内へのオゾンの流入を防止することができ、稚魚の死亡を防止することができる。
【実施例】
【0061】
以下実施例により本発明をさらに具体的に説明する。
(1)ペンタシルゼオライト(S−5)、(2)ゼオライトβ(S−4)、(3)超安定Y型ゼオライト(USY)(S−3)、(5)超安定モルデナイト(USM)(S−1)についてはZeolyst社製粉末試料を使用した。
【0062】
これに対しメソポーラスシリケートについては、(低温合成法(4)メソポーラスシリケート(S−2)、)を採用した。調製法を以下に記す。
セチルトリメチルアンモニウムブロミド(CTMAB;C1635(CHNBr)(FW364.45 東京化成社製)6.0kgを溶解した水32リットルに、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAOH)水溶液((CHNOH、水中25wt%)30〜33リットルを加えてpH7.7に調整した。
【0063】
これを激しく撹拌しながら、水15.4リットルに溶解したケイ酸ナトリウム(NaO・2SiO・2.52HO)(FW 227.56 キシダ化学)3.00kgを加え、さらに水31.6リットルに溶解した硫酸アルミニウム(Al(SO・17HO)(半井化学薬品社製)0.01〜0.25kgを少しずつ加え、この懸濁液を室温で3時間撹拌した。
【0064】
この沈殿生成物をろ過して多孔体粉末を分離した後、水で洗浄後、電気炉に入れて、まず110℃で約8時間保持して表面水分を除去したのち、昇温速度100℃/時間で昇温して600℃6時間保持してセチルトリメチルアンモニウムブロミドを熱分解除去してメソポーラスシリケートを約1kg調製した。得られたゲル組成は、SiO/Al:CTMAB:HO=0.8:0.0012〜0.012:0.5:80であり、粉末状メソポーラスシリケートの収率は80%であった。
【0065】
以上の手順により調製した粉末状SiO/Al比は20〜1000であり、日本ベル社製BET法表面積計測機により測定した比表面積は767〜1100m2/g、細孔直径は3.5nmであった。
【0066】
使用サンプル;
本発明の吸着剤サンプルは、上記で製造したS−1〜S−5中の末尾にSiO/Al比を付して区別している。また、比較例として未充填及び低SiO/Al比ゼオライトとしてNa−A型ゼオライト(以下Na−A:UOP社製SiO/Al比2)を使用した。未充填をR−1、Na−A充填をR−2として表した。R−2の形状は、直径10cm、高さ10cmのモノリスであった。
アンモニアとしては10ppm含有する工業用水を使用した。
【0067】
実施例1
図2のフローの試験装置(オゾン分解剤層は設けず)を用いてオゾンによるアンモニア含有水の処理試験を行った。使用した吸着剤を表-2に示す。
【0068】
【表2】

【0069】
アンモニア10ppmを含有する排水を表-3に示す条件で処理し、図2の処理液排出配管7の部分でサンプリングした液中のアンモニア濃度(出口アンモニア濃度)及びオゾン濃度(出口O濃度)を測定した。
【0070】
【表3】

【0071】
使用した吸着剤は、(S−1−20、−200、−1000)USM、(S−2−20、−200、−1000)メソポーラスシリケート、(S−3−20、−200、−1000)USY、(S−4−20、−200)β、(S−5−20、−200、−1000)シリカライトの5種類であり、オゾン/アンモニアモル比1.0に設定した。
試験結果として、出口アンモニア濃度、出口O濃度、NO転換率(w/w%)及び従来法との比較結果を下記表3に示す。サンプルR−1、R−2と比べて優れた結果の場合「○」とした。
【0072】
【表4】

【0073】
表-4より、アンモニアのオゾン分解では、(S−1)〜(S−3)及び(S−5)のいずれもSiO/Al比20〜1000の全領域でかつ(S−4)ではSiO/Al比20〜200の全領域で(SiO/Al比1000のUSMでは未充填より若干除去率が高い程度)未充填、Na−Aのアンモニア分解率を上回っており、更にこの時に従来の消化菌による液相オゾン反応のように多量の硝酸が生成する反応は認められない。(消化菌ではほぼアンモニア−硝酸+亜硝酸転換率100%)このことから本発明の吸着剤上でのアンモニア−オゾン反応では窒素又はNO、NO等が生成して生成物の大半は気相に移行していることが予想される。従って、本発明は高度排水処理設備用の高性能の脱窒法であることが示される。
【0074】
実施例2;
最も高いアンモニア除去率を示したシリカライト(SiO/Al比20)をハニカム化して吸着剤形状−モノリス(板厚0.2mm、ピッチ2mm)、反応温度25℃、オゾン/処理物質モル比1(mol/mol)でSV値を30〜200で変更してアンモニア除去率を評価した。
【0075】
得られた結果を表-5に示し、データを図8にプロットして示す。
【表5】


SV値30〜200の全領域でアンモニア除去率90%以上の高効率であることが確認された。
【0076】
実施例3;
最も高いアンモニア除去率を示したシリカライト(SiO/Al比20)をハニカム化して吸着剤形状−モノリス(板厚0.2mm、ピッチ2mm)、反応温度25℃、SV値60、でオゾン/処理物質モル比1(mol/mol)を0.5〜3で変更してアンモニア除去率を評価した。
【0077】
得られた結果を表6に示し、データを図9にプロットして示す。
【表6】


オゾン/処理物質モル比1(mol/mol)0.5〜3の全領域でアンモニア除去率90%以上の高効率であることが確認された。
【産業上の利用可能性】
【0078】
工場排液からのアンモニア含有液を処理して無害化することができる。稚魚の養殖などを行うにあたって、海や河川からの水を養殖槽に汲み入れる場合に本発明によるアンモニア除去装置を適用すると、稚魚を高育成率で養殖することができる。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】ペンタシルゼオライトのアンモニアTPDを示すグラフである。
【図2】工場排液からの排液処理に本発明を適用したアンモニア含有液の処理フローの1例を示す。
【図3】本発明の処理方法及び装置を、複数の吸着塔を用いて実施する場合の実施の形態を示す。
【図4】本発明の処理方法及び装置の別の実施形態を示す。
【図5】図3のIII−III線断面図である。
【図6】図3のIV−IV線断面図である
【図7】本発明の処理方法を、海水を処理液として複数の吸着塔を用いて実施する場合の実施の形態を示す。
【図8】表4に示すデータをプロットして示すグラフである。
【図9】表5に示すデータをプロットして示すグラフである。
【符号の説明】
【0080】
11,14,17,21,22 配管
12,13 三方バルブ
23,24 支持板
25 吸着管
101 主プラント
102 排液導出配管
103 排液輸送ポンプ
104 混合器
105 オゾン発生器
15,16,106 吸着剤充填塔
106a 吸着剤層
106b オゾン分解剤層
106c 仕切板
107 処理液排出配管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の工程:
(A)アンモニア含有液にオゾンを添加して混合し、
(B)該混合液を、(1)ペンタシルゼオライト、(2)ゼオライトβ、(3)超安定Y型ゼオライト(USY)、(4)メソポーラスシリケート、及び(5)超安定モルデナイト(USM)から選ばれた少なくとも一種の吸着剤を充填した充填塔に流過させて吸着剤にアンモニア及びオゾンを吸着させ、
(C)吸着剤表面上でアンモニアをオゾンの作用により酸化分解して無害化して清浄化液を吸着塔から流出させる
ことを含むアンモニア含有液の処理方法。
【請求項2】
更に、(D)前記工程(C)で無害化されて得られた処理液をオゾン分解剤と接触させて残留するオゾンを分解する工程を含む請求項1記載のアンモニア含有液の処理方法。
【請求項3】
アンモニア含有液を、吸着剤を充填した吸着塔に導入してアンモニアを吸着剤に吸着させてアンモニアが除去されて無害化された清浄化液を吸着塔から流出させる吸着工程を終了した後に、アンモニア含有液の導入を停止し、次いでアンモニアを吸着した吸着塔にオゾンを導入して吸着剤上でアンモニアを酸化分解するアンモニア含有液の処理方法であって、上記吸着剤は(1)ペンタシルゼオライト、(2)ゼオライトβ、(3)超安定Y型ゼオライト(USY)、(4)メソポーラスシリケート、(5)超安定モルデナイト(USM)の少なくとも一種であるアンモニア含有水の処理方法。
【請求項4】
吸着剤床を収容した吸着塔が並列に2以上存在し、1つの吸着塔にアンモニア含有液を導入して、吸着剤にアンモニアを吸着させてアンモニアが除去されて無害化された清浄化液を吸着塔から流出させる吸着工程に在る間に、吸着工程を終了した別の吸着塔にオゾンを導入して吸着剤上でアンモニアを酸化分解する酸化分解工程を施し、次いでオゾンの導入を、吸着工程を終了した吸着塔に切り換え、上記の工程を繰り返す、汚染成分含有液の処理方法であって、上記吸着剤は(1)ペンタシルゼオライト、(2)ゼオライトβ、(3)超安定Y型ゼオライト(USY)、(4)メソポーラスシリケート、(5)超安定モルデナイト(USM)の少なくとも一種であるアンモニア含有液の処理方法。
【請求項5】
オゾンがオゾン含有ガス又はオゾン含有液である請求項1〜4のいずれか一に記載の処理方法。
【請求項6】
前記ペンタシルゼオライトがSiO/Al比20〜1000を有する請求項1〜4のいずれか一に記載の処理方法。
【請求項7】
前記ゼオライトβがSiO/Al比20〜200を有する請求項1〜4のいずれか一に記載の処理方法。
【請求項8】
前記超安定Y型ゼオライト(USY)がSiO/Al比20〜1000を有する請求項1〜4のいずれか一に記載の処理方法。
【請求項9】
前記メソポーラスシリケートがSiO/Al比10〜\を有する請求項1〜4のいずれか一に記載の処理方法。
【請求項10】
前記超安定モルデナイト(USM)がSiO/Al比20〜1000を有する請求項1〜4のいずれか一に記載の処理方法。
【請求項11】
(1)ペンタシルゼオライト、(2)ゼオライトβ、(3)超安定Y型ゼオライト(USY)、(4)メソポーラスシリケート、(5)超安定モルデナイト(USM)の少なくとも一種の吸着剤床を設けた吸着剤充填塔と、上記吸着剤充填塔にアンモニアを含有する液を供給する供給管と、上記供給管に接続され、液中にオゾンを添加するオゾン発生器と、前記吸着剤充填塔から処理済みの処理液を排出する排出管とを備えてなるアンモニア含有液の処理装置。
【請求項12】
前記吸着剤充填塔の下流側に、リークするオゾンを分解するオゾン分解剤床が設けられている請求項11記載のアンモニア含有液の処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−29784(P2007−29784A)
【公開日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−212755(P2005−212755)
【出願日】平成17年7月22日(2005.7.22)
【出願人】(000173647)財団法人産業創造研究所 (17)
【Fターム(参考)】