説明

アーケードゲームシステム、プログラム及び情報記憶媒体

【課題】無線LANルータをアーケードゲームシステムに組み込んだシステムにおいて、セキュリティを確保しつつ無線LANルータの設定を自動化すること。
【解決手段】無線LANルータとホストユニットを含むアーケードゲームシステムであって、無線LANルータは、ホストユニットを探すための問い合わせパケットを送信し、返答パケットに基づき自機とペアリングされるホストユニットとして検出し、返答パケットに含まれた送信元の機器固有の識別情報をホストユニット特定情報として記憶部に記憶させるルータ側ペアリング処理部と、ホストユニットであると判断した場合に前記設定データを受け付ける設定データ受付部と、前記ホストユニットは、前記無線LANルータに対し無線LANルータ機能の設定を行うための設定データを送信するルータ設定制御部と、問い合わせパケットを受信すると、自機を特定可能な固有の識別情報を含む返答パケットを送信する制御を行うホスト側ペアリング処理部とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アーケードゲームシステム、プログラム及び情報記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
ゲームセンターやアミューズメント施設には、様々なアーケードゲームシステムがおかれ、ローカルエリアネットワーク等で通信接続され、マルチプレーヤゲームが楽しめるようになっている。
【0003】
最近ではアーケードゲームシステムとユーザの携帯端末を無線LAN等で通信接続して、ゲームデータのやりとりを行えるアーケードゲームシステムも知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−325659号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この様なユーザの携帯端末とアーケードゲームシステムがゲームデータのやりとりを行うためには、アーケードゲームシステム内のローカルエリアネットワークに無線LANルータを設ける必要があるが、無線LANルータの設定等を店舗管理者が行うと店舗管理者の負担の増加となっていた。
【0006】
本願発明者は、無線LANルータをアーケードゲームシステムに組み込んだシステムの開発を行っているが、かかるシステムにおいては通常のようにコンピュータのブラウザや所定のツール等を利用して無線LANルータの設定を行うことは困難であり、店舗管理者の負担も増えることになる。
【0007】
本発明は、以上のような課題を解決するためになされたものである。本発明のいくつかの態様によれば、無線LANルータをアーケードゲームシステムに組み込んだシステムにおいて、セキュリティを確保しつつ無線LANルータの設定を自動化できるアーケードゲームシステム、プログラム及び情報記憶媒体を提供することができる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)本発明の一態様は、ネットワークを介して通信接続された無線LANルータと当該無線LANルータの設定を行うホストユニットを含むアーケードゲームシステムであって、前記無線LANルータは、無線LANのルータ処理を行うルータ処理部と、所定のタイミングで、自機と同じローカルネットワーク内の機器に対して自機とペアリングされるホストユニットを探すための問い合わせパケットを送信し、問い合わせに対する返答パケットを受信すると、返答パケットの送信元の機器を自機とペアリングされるホストユニットとして検出し、返答パケットに含まれた送信元の機器固有の識別情報をホストユニット特定情報として記憶部に記憶させるルータ側ペアリング処理部と、無線LANルータ機能の設定を行うための設定データを含むパケットを受信した場合、記憶部に記憶された前記ホストユニット特定情報に基づき設定データを含むパケット送信元が自機とペアリングされたホストユニットであるか否か判断し、ホストユニットであると判断した場合に前記設定データを受け付ける設定データ受付部と、を含み、前記ホストユニットは、前記無線LANルータに対し無線LANルータ機能の設定を行うための設定データを送信するルータ設定制御部と、ホストユニットを探すための問い合わせパケットを受信すると、送信元の無線LANルータに対し、自機を特定可能な固有の識別情報を含む返答パケットを送信する制御を行うホスト側ペアリング処理部と、を含むことを特徴とするアーケードゲームシステムに関する。
【0009】
本発明は、上記各部として、コンピュータを機能させるプログラムに関する。また本発明は、コンピュータ読み取り可能な情報記憶媒体であって、上記各部として、コンピュータを機能させるプログラムを記憶した情報記憶媒体に関する。
【0010】
アーケードゲームシステムは、アミューズメント施設等に設置されている業務用のゲーム筐体を含むゲームシステムである。アーケードゲームシステムは、無線LANルータ、複数のゲーム機やその他付属機器を含んで構成されてもよい。
【0011】
所定のタイミングとは例えば無線LANルータの電源オンのタイミングでもよいし、リセットのタイミングでもよいし、例えば所定の日時や時刻や時間サイクルのタイミングでもよい。
【0012】
例えば無線LANルータは、Wi−Fiルータ等でもよい。
【0013】
無線LANルータ機能の設定とは、例えば無線LANルータのコンフィグ情報やファームウエア情報の設定、設定の変更、アップデート等を含む。その他、無線LAN(ローカルエリアネットワーク)内のIPアドレスの設定やDHCP(Dynamic Host Configuration Protocol)サーバ機能を使用する場合の設定やIPマスカレードの設定等を含んでもよい。
無線LANルータは、自機と同じローカルネットワーク内の機器に対して自機とペアリングされるホストユニットを探すための問い合わせパケットをブロードキャストで送信してもよい。
【0014】
ホストユニットは、自機を特定可能な固有の識別情報を含む返答パケットを、無線LANルータに対してユニキャストで送信してもよい。
【0015】
本発明によれば、無線LANルータをアーケードゲームシステムに組み込んだシステムにおいて、セキュリティを確保しつつ無線LANルータの設定を自動化することができる。
【0016】
(2)このアーケードゲームシステム、プログラム及び情報記憶媒体において、前記無線LANルータは、前記ホストユニットと同一の筐体内に設けられていてもよい。
【0017】
例えばホストユニットの筐体の中に、ホストユニット制御用の基板と、無線LANルータ用の基板が格納されていてもよい。ホストユニット制御用の基板と、無線LANルータの基板は電源を共有するようにしてもよい。
【0018】
なおホストユニットがゲーム機として機能する場合にはゲーム基板がホストユニット制御用の処理も行うようにしてもよい。
【0019】
(3)このアーケードゲームシステム、プログラム及び情報記憶媒体において、前記ホストユニットは、ゲームシステムを構成するゲーム機として機能してもよい。
【0020】
ゲームシステムを構成する少なくとも1台のゲーム機が、ホストユニットとしての機能を有していてもよい。
【0021】
(4)このアーケードゲームシステム、プログラム及び情報記憶媒体において、前記ホスト側ペアリング処理部は、自機及び自機と同じローカルネットワーク内の他の機器に割り当てられた所定の識別情報に基づき、自機が無線LANルータとペアリングされるホストユニットか否か判断する判断部を含み、自機がペアリングされるホストユニットであると判断した場合に、前記問い合わせパケットの送信元である無線LANルータに対し、自機を特定可能な固有の識別情報を含む返答パケットを送信してもよい。
【0022】
自機が無線LANルータとペアリングされるホストユニットか否か判断するのは、例えば問い合わせパケットを受信したタイミングでもよいし、ホストユニットの電源がオンになったタイミングでもよい。
【0023】
自機が無線LANルータとペアリングされるホストユニットか否か判断する際に用いる所定の識別情報(番号、記号)は、返答パケットに含まれる固有の識別情報と同じものでもよいし、その他の機器固有のIDでもよい。
【0024】
各ホストユニットには自機が無線LANルータとペアリングされるホストユニットか否か判断するための判断ルーチンが組み込まれていてもよい。このようにするとゲームシステムに複数のホストユニットが存在する場合には、各ホストユニットが、同じアルゴリズムに基づき所定の識別情報に基づき、自機が無線LANルータとペアリングされるホストユニットか否か判断するので、すべてのホストユニットで、ペアリングされるホストユニットを一意に決定することができる。
【0025】
(5)このアーケードゲームシステム、プログラム及び情報記憶媒体において、前記ルータ側ペアリング処理部は、自機と同じローカルネットワーク内の複数の機器から、ホストユニットを探すための問い合わせパケットに対する返答パケットを受信すると、返答パケットの受信タイミング又は所定のアルゴリズムに基づき、又はランダムに1つの機器を選択して自機とペアリングされるホストユニットとして決定してもよい。
【0026】
無線LANルータは、自機とペアリングされるホストユニットとして決定したホストユニットに対し、確認応答信号(例えばAck信号)を送信するようにしてもよい。確認応答信号を受信したホストユニットは、自機が無線LANルータのホストユニットであると認識することができる。
【0027】
(6)このアーケードゲームシステム、プログラム及び情報記憶媒体において、前記ルータ処理部は、前記ホストユニットの検出ができなかった場合には、無線LANルータ処理を停止状態にしてもよい。
【0028】
無線LANルータ処理を停止状態にするとは、ルーティング処理を行っていない状態や電波を飛ばしていない状態や無線を受け付けていない状態等のルータとして機能しない状態であればよい。
例えば同じローカルエリアネットワーク内で、既に他の無線LANルータとホストユニットがペアリングされている場合には、ホストユニットはその無線LANルータの特定情報(例えばといあわせパケットで受け取ったシリアルナンバー)を記憶しておき、新たに受信した問い合わせパケットに含まれる無線LANルータの特定情報が記憶している無線LANルータの特定情報と一致しない場合には、返答パケットを送信しないようにしてもよい。この様な場合、他の無線LANルータは、返答パケットを受信できないので、ホストユニットが検出できなかったとしてもよい。このようにすると、同じローカルエリアネットワーク内に複数の無線LANルータを含む場合、先にホストユニットとペアリングが確立した無線LANルータが当該ローカルエリアネットワーク内で無線LANルータ(アクティブな無線LANルータ)として機能することができる。
【0029】
(7)このアーケードゲームシステム、プログラム及び情報記憶媒体において、前記ルータ側ペアリング処理部は、前記ホストユニット特定情報を不揮発性記憶部に記憶させ、前記ホストユニット特定情報のリセット又は更新要求を受けた場合には、前記不揮発性記憶部に記憶されているホストユニット特定情報に基づき、要求元がペアリングされたホストユニットであるか否か判定し、要求元がペアリングされたホストユニットでない場合には、前記ホストユニット特定情報のリセット又は更新要求を許可しないようにしてもよい。
【0030】
この様にすると、ペアリングされたホストユニット以外から前記ホストユニット特定情報が書き換えられることを防止できるのでセキュリティを強化することができる。しかし例えば既にペアリングされているホストユニットが何らかの理由(例えば故障等)でローカルネットワーク内に存在しなくなって、ペアリングを再設定したい場合にも、許可されない可能性があるが、そのような場合には無線LANルータを強制リセットする等で対応可能である。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本実施形態のアーケードゲームシステムの機能ブロック図。
【図2】本実施の形態のネットワーク構成図の一例である。
【図3】ペアリング処理について説明するための図。
【図4】ペアリング処理について説明するための図。
【図5】ペアリング処理について説明するための図。
【図6】無線LANルータのホストユニット検出処理の流れを示すフローチャート。
【図7】無線LANルータの設定データの設定処理の流れを示すフローチャート。
【図8】ホストユニットの処理の流れを示すフローチャート。
【図9】システム内に複数の無線LANルータ又は複数のホストユニットを含む場合について説明するための図。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本実施形態について説明する。なお、以下に説明する本実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また本実施形態で説明される構成の全てが、本発明の必須構成要件であるとは限らない。
【0033】
1.構成
1−1.アーケードゲームシステム
図1に本実施形態のアーケードゲームシステムの機能ブロック図の例を示す。なお本実施形態のアーケードゲームシステムは図1の構成要素(各部)の一部を省略した構成としてもよい。
【0034】
本実施形態のアーケードゲームシステム1は、ローカルエリアネットワーク30を介して通信接続された無線LANルータ10とホストユニット20−hを含むアーケード(業務用)ゲームシステム1である。アーケードゲームシステム1は、業務用のゲームシステム(少なくとも1つ以上のゲーム機を含むゲームシステム)であり、例えばゲームセンターや遊園地などのアミューズメントスポットに設置され、プレイごとに料金を徴収するタイプのゲームシステムである。例えばn台のゲーム機が通信接続され、複数のプレーヤがマルチプレーヤゲームが楽しめるように構成されたアーケードゲームシステムでもよい。なおアーケードゲームシステムはプレーヤが操作するゲーム機のみならず、モニタやコンソールなどの付属機器を含んでいてもよい。
【0035】
無線LANルータ10は、アーケードゲームシステム1と無線通信を行う機能を有するユーザ端末(図2の90参照。携帯電話やスマートフォンや無線通信機能を備えた携帯用ゲーム機やパーソナルコンピュータ)間に存在する無線ローカル・エリア・ネットワーク(LAN:Local Area Network)(図2の80参照)を含むローカル・エリア・ネットワーク30において送受信される無線パケットのルーティング機能をそなえていればよい。無線LANルータ10は、外部のインターネット等の広域エリアネットワークに接続されてもよい(無線LANアクセスポイント(Wireless LAN access point)としての機能を有していてもよい)し、施設内の他のルータに接続されてもよい。
【0036】
無線LANルータ10は、無線LANのルータ処理を行うルータ処理部12を含む。
【0037】
ルータ処理部12は、例えばOSI参照モデルでいうネットワーク層(第3層)やトランスポート層(第4層)の一部のプロトコルを解析して転送を行ってもよいし、ネットワーク層のアドレスを見て、どの経路を通して転送すべきかを判断する経路選択処理をおこなってもよい。
【0038】
なおルータは、複数のネットワーク間で伝送パケットの伝送経路制御や中継を行うための装置であり、用途によりローカルルータとアクセスルータに大別される。ローカルルータとは、LAN(Local Area Network)を相互接続するルータであり、アクセスルータとは、WAN(Wide Area Network)とLANを接続するルータである。WANは、通信事業者によって構築・運用されたネットワークであり、利用者へは接続サービスという形で提供される。WANは、中継網と中継網に接続するためのアクセス回線とから構成され、アクセス回線にはISDN(Integrated Services Digital Network)、デジタル専用線、ATM(Asynchronous Transfer Mode)、ADSL(Asymmetric Digital Subscriber Line)、FTTH(Fiber To The Home)など様々な種類が挙げられる。アクセスルータは、前述のようにWANとLANを接続する装置であり、それぞれに対応したインターフェースを持つ。WANを利用する際のインターフェースはアクセス回線であるため、装置のWAN側インターフェースはアクセス回線に対応することになる。アクセス回線には、ブロードバンド回線(ADSL、FTTHなど)も含まれ、WAN側インターフェースとして、これらのブロードバンド回線に対応したアクセスルータが、ブロードバンドルータと称される装置である。
【0039】
本実施の形態の無線LANルータ10は、ローカルルータの機能をそなえていればよいが、アクセスルータとしての機能を備えていてもよい。すなわちルータ処理部12は、ローカルルータとしての処理を行うが、アクセスルータとしての処理を行ってもよい。また本実施の形態の無線LANルータ10が、ブロードバンドルータとしての機能を備えている場合には、セキュリティ対策のファイアウォール処理やVPN(Virtual Private Network)処理や、グローバルアドレスとプライベートアドレスを変換するアドレス変換処理などを行ってもよい。
【0040】
無線LANルータ10は、所定のタイミングで、自機と同じローカルネットワーク内の機器に対して自機とペアリングされるホストユニットを探すための問い合わせパケットを送信し、問い合わせに対する返答パケットを受信すると、返答パケットの送信元の機器を自機とペアリングされるホストユニットとして検出し、返答パケットに含まれた送信元の機器固有の識別情報をホストユニット特定情報として記憶部に記憶させる処理を行うルータ側ペアリング処理部14を含む。
【0041】
無線LANルータ10は、無線LANルータ機能の設定を行うための設定データを含むパケットを受信した場合、記憶部に記憶された前記ホストユニット特定情報に基づき設定データを含むパケット送信元が自機とペアリングされたホストユニットであるか否か判断し、ホストユニットであると判断した場合に前記設定データを受け付ける処理を行う設定データ受付部14を含む。
【0042】
設定データ受付部14は、ペアリングされたホストユニットから、無線LANルータ機能の設定を行うための設定データを受け付ける。ルータの基本的な機能は、装置内に格納されたルーティングテーブルと呼ばれるデータベースを参照し、受け取ったパケットに対する適切な宛先ネットワークを選択し、そのネットワークへと転送(フォワーディング)することである。
【0043】
このような処理を行うには、新規設置の際や設定変更の際に、LANに接続されるインターフェース単位に、そのネットワークに適合するアドレスや、コンフィグレーション情報やファームウエア情報を設定する必要がある。ここで受け付ける設定データは、上記ネットワークに適合するアドレスや、コンフィグレーション情報やファームウエア情報でもよい。その他DHCP(Dynamic Host Configuration Protocol)サーバ機能を使用する場合の設定やIPマスカレードの設定等を含んでもよい。
【0044】
また設定データは無線LANルータの初期設定の際に使用するものでもよいし、設定の変更、アップデート等で使用するものでもよい。
【0045】
ホストユニット20−hは、アーケードゲームシステムを構成するゲーム機、又はゲーム機に付属する機器(例えばモニタやコンソール)でもよい。ここではホスト装置20−hは、アーケードゲームシステムを構成するゲーム機である場合を例にとり説明する。
【0046】
また無線LANルータ10とホストユニット20−hは同一のゲーム機筐体内に設けられていてもよい。
【0047】
前記ホストユニット20−hは、無線LANルータに対し無線LANルータ機能の設定を行うための設定データを送信するルータ設定制御部24を含む。
【0048】
前記ホストユニット20−hは、ホストユニットを探すための問い合わせパケットを受信すると、送信元の無線LANルータに対し、自機を特定可能な固有の識別情報を含む返答パケットを(ユニキャストで)送信する制御を行うホスト側ペアリング処理部26を含む。
【0049】
ホスト側ペアリング処理部26は、自機及び自機と同じローカルネットワーク内の他の機器に割り当てられた所定の識別情報に基づき、自機が無線LANルータとペアリングされるホストユニットか否か判断する判断部を含み、自機がペアリングされるホストユニットであると判断した場合に、前記問い合わせパケットの送信元である無線LANルータに対し、自機を特定可能な固有の識別情報を含む返答パケットを送信してもよい。
【0050】
またルータ側ペアリング処理部14は、自機と同じローカルネットワーク内の複数の機器から、ホストユニットを探すための問い合わせパケットに対する返答パケットを受信すると、返答パケットの受信タイミング又は所定のアルゴリズムに基づき、又はランダムに1つの機器を選択して自機とペアリングされるホストユニットとして決定してもよい。
【0051】
またルータ処理部12は、ホストユニットの検出ができなかった場合には、無線LANルータ処理を停止状態にしてもよい。
【0052】
ルータ側ペアリング処理部14は、ホストユニット特定情報を不揮発性記憶部に記憶させ、前記ホストユニット特定情報のリセット又は更新要求を受けた場合には、前記不揮発性記憶部に記憶されているホストユニット特定情報に基づき、要求元がペアリングされたホストユニットであるか否か判定し、要求元がペアリングされたホストユニットでない場合には、前記ホストユニット特定情報のリセット又は更新要求を許可しないようにしてもよい。
【0053】
2.本実施の形態の手法
2−1.ネットワーク構成図
図2は、本実施の形態のネットワーク構成図の一例である。
【0054】
本実施の形態では、アミューズメント施設(店舗)毎に、図2に示すような店舗内ネットワークを構成している。310は店舗ルータであり、インターネット等の外部の広域ネットワークに接続されるルータである。店舗ルータ310は、グローバルIPアドレスが割り当てられる。
【0055】
グローバルIPアドレスとは、インターネットで相手と通信するための、ほかのアドレスと重複しない一意のIPアドレスのことで、TCP/IPでは、通信相手を特定してIPパケットを送信したり、ルーティングするために必要となる。LAN内のコンピュータには一定の範囲のIPアドレスをプライベートIPアドレスとして割り当てられ、そのLANとWANを接続する機器にのみグローバルIPアドレスが割り当てられる。
【0056】
店舗ルータ310は、インターネットなどのネットワークに一時的に接続するコンピュータに、IPアドレスなど必要な情報を自動的に割り当てるプロトコルであるDHCPで設定情報を提供する機能を有するDHCPサーバとして機能してもよい。DHCPサーバにはゲートウェイサーバやDNSサーバのIPアドレスや、サブネットマスク、クライアントに割り当ててもよいIPアドレスの範囲など、ネットワークに接続するために必要な情報が設定されており、ネットワークに接続したばかりのコンピュータにこれらの情報を提供する。接続していたコンピュータが通信を切断すると、自動的にアドレスなどを回収して、新たに接続してきた他のコンピュータに割り当てる。
【0057】
ゲームシステム専用ルータ330−1、ゲームシステム専用ルータ330−2、ゲームシステム専用ルータ330−3は、ゲームシステム毎に割り当てられている。ゲームシステム内の各機器(ゲーム機やルータ等)はローカルエリアネットワークで接続され、当該ゲームシステムに割り当てられたゲームシステム専用ルータを介して上位のネットワークと接続される。ゲームシステム専用ルータはDHCPサーバとして機能してもよい。
【0058】
360−1〜360−13は各機器に割り当てられたIPアドレスである。x、yは店舗毎に固定割り当てとなっており、p、q、rはゲームシステム毎の固定割り当てとなっており、wは無線LANルータ毎に任意又は固定割り当てになっており、a,b,c、〜DHCPサーバより任意に割り当てられる。
【0059】
ゲームシステムは、設置や販売する際の単位となるもので、例えばゲーム機1(20−1)、ゲーム機2(20−2)、ゲーム機3(20−3)、ゲーム機4(20−4)と無線LANルータ10を含んで構成されてもよい。ここでゲーム機1(20−1)がホストユニットとして機能し、無線LANルータ10とホストユニットとして機能するゲーム機1(20−1)は同一のゲーム機筐体40内に設けられていてもよい。
【0060】
ホストユニットとして機能するゲーム機1(20−1)には、予め無線LAN制御用のプログラムがインストールされている。
【0061】
例えば4台のゲーム機20−1〜20−4を構成要素とするゲームシステムの場合、4台のゲーム機20−1〜20−4と少なくとも1つの無線LANルータ(無線LANルータはいずれかのゲーム機の筐体内に納められていてもよい)を含むゲームシステムを1セットして、このセット単位で販売や設置されることになる。なお無線LANルータ10とホストユニットとして機能するゲーム機1(20−1)は同一のゲーム機筐体40内に設けられていてもよい。
【0062】
ここで、ゲーム機1〜ゲーム機4の各ゲーム機は、プレーヤがプレイするゲーム筐体に対応しており、それぞれ操作部やゲーム画像表示部やゲーム音出力部を含む。例えばレースゲームであれば、最大4人のプレーヤがそれぞれのゲーム機を操作してマルチプレーヤゲームを楽しむことができる。
【0063】
370−1〜370−4は、各機を特定可能な固有の識別情報であり、例えばゲームサーバに接続する必要のあるゲーム機すべてに対して割り当てられたユニークなID等を採用することができる。
【0064】
ここではゲームシステム1セットに1機の無線LANルータを含む場合を例にとり説明するが、これに限られず、ゲームシステム1セットに複数機の無線LANルータを含む場合や、各ゲーム機がそれぞれ1機の無線LANルータを含む場合も本発明の範囲内である。
【0065】
2−2.ペアリング処理
図3〜図5は、ペアリング処理について説明するための図である。
【0066】
無線LANルータ10の電源がONになると、無線LANルータ10はDHCPサーバとして機能するゲームシステム専用ルータ330−1へIPアドレスを要求する(図3の(a)参照)。要求を受けたゲームシステム専用ルータ330−1は、IPアドレス’192.168.P.a’(360−8)を返答する(図3の(b)参照)。TCP/IPの設定はDHCP Ackの内容に従う。
【0067】
無線LANルータ10は、ゲームシステム内のローカルエリアネットワークに対して、自機とペアリングされるホストユニットを探すための問い合わせパケットをUDP(User Datagram Protocol)ブロードキャストで送信する(図4の(c)参照)。
【0068】
UDP(User Datagram Protocol)は、インターネット等で使用されるプロトコルの一つであり、主にIPプロトコル上等に実装されておりOSI参照モデルのトランスポート層にあたる。TCPと違いコネクションレスであり、送達確認などを行わないため言わば無手順方式のデータ転送となる。
【0069】
問い合わせパケットには、無線ルータの機種名、シリアルナンバー、ファームウエアバージョン、コンフィグ(Config)の内容、ペアリングされているホストユニットを特定可能な固有の識別情報(新規ペアリング時は設定されていない)の少なくとも1つを含む。
【0070】
ここでコンフィグ(Config)とは無線LANルータの設定情報であり、ルーティングする(パケットの経路を決める)ための情報、例えばルーティング・プロトコル(ルーティングテーブルやフィルタリング等)の定義やインターフェースの定義やルータ自身の定義等でもよい。コンフィグ(Config)の内容は、フィンガープリント値(Configをハッシュ関数にかけて得られたハッシュ値)で与えてもよい。
【0071】
無線LANルータ10からの問い合わせパケットは、ローカルエリアネットワークを構成する各機器20−1〜20−4、330−1にブロードキャストで送信されるので、無線LANルータとペアリング可能なホストユニット(ここではゲーム機1で、予め無線LANルータ制御用のプログラムがインストールされている)20−1は、問い合わせパケットを受信すると、問い合わせパケット送信元である無線LANルータ10に返答パケットを送信する(図4の(d)参照)。返答パケットには、ホストユニットを特定可能な固有の識別情報370−1を含む。なお返答パケットに無線LANルータ10に要求するファームウエアのバージョンや要求するコンフィグ情報(Config)のフィンガープリント値を含んでもよい。なお他の機器330−1、20−2、20−3、20−4は、ホストユニットとしての機能を備えていないので、受信した問い合わせパケットは無視する。
【0072】
返答パケットを受信した無線LANルータ10は、受信した返答パケットに含まれたホストユニットを特定可能な固有の識別情報370−1を、ホストユニット特定情報として記憶部(不揮発性の記憶部でもよい)に記憶させ(図4の(e)参照)。ホストユニットとなるゲーム機1(20−1)に確認応答パケットを送信する(図5の(f)参照)。
【0073】
なお既にホストユニット特定情報を保持している場合(不揮発性記憶部に記憶している場合)に、受信した返答パケットに含まれている固有の識別情報が保持しているホストユニット特定情報と異なる場合には、返答パケットは無視し上記処理は行わない。
【0074】
また無線LANルータ10が問い合わせパケットを送信してから一定時間以内に返答パケットを受信しなかった場合には、一連の手続きを中止し、エラー表示を出して停止するようにしてもよい。
【0075】
なお例えば返答パケットに、無線LANルータに要求するファームウエアのバージョンや要求するコンフィグ情報(Config)のフィンガープリント値を含んでいる場合に、これらが自機のファームウエアのバージョンやコンフィグ情報(Config)、もしくはこれらのフィンガープリント値と一致しない場合には、新しいバージョンを要求するようにしてもよい。
【0076】
確認応答信号を受信したホストユニット20−1は、ファームウエアが要求値以下の場合やコンフィグ情報(Config)、もしくはこれらのフィンガープリント値が一致しない場合には、ホスト側からファームウエアやコンフィグ情報(Config)の設定データを送信して無線LANルータに書き込む制御を行ってもよい。また書き換えが必要ない場合には、ホスト側から無線を有効にするパケットを送信し、無線LAN通信を開始する(図5の(g)参照)。
この様にすると、DHCPでIPアドレスが配布されているLAN内など、IPアドレスで無線LANルータを特定することが困難な環境でも、ホストユニットが制御対象の無線LANルータを特定し制御することができる。
【0077】
なお無線LANルータ10とホストユニット20−1が既にペアリングされている場合、例えばホストユニット特定情報が不揮発性の記憶部に記憶されている場合には(b)〜(g)の処理を省略してもよい。しかしペアリング相手がローカルネットワーク内に存在することを確認するために、ホストユニット特定情報が不揮発性の記憶部に記憶されている場合でも電源投入時又は所定のタイミングで、(c)〜(g)の処理を行ってもよい。例えば何らかの理由でホストユニットがローカルネットワークに存在しなくなる場合もあるからである。
【0078】
無線LANルータ10とホストユニット20−1が同じゲーム機筐体40内に設けられている場合に分離して移動させられることはまれであるが、無線LANルータとホストユニットが別個に存在する場合や無線LANルータがホストユニットとは異なるゲーム筐体に格納されている場合には、ホストユニットがローカルエリアネットワーク内に存在しなくなることもあり得る。
【0079】
またホストユニット特定情報が不揮発性の記憶部に記憶されている場合に(c)〜(g)の処理を行って(d)で受信した返答パケットの固有の識別情報が不揮発性記憶部に記憶されたホストユニット特定情報と一致しない場合にはエラー処理を行うようにしてもよいし、ホストユニット特定情報を新たに受信した返答パケットの固有の識別情報でおきかえてもよい。
【0080】
2−3.システム内の複数の無線LANルータ又は複数のホストユニットを含む場合
図9は、システム内に複数の無線LANルータ又は複数のホストユニットを含む場合について説明するための図である。
【0081】
ゲームシステムは、複数のゲーム機筐体を含み、そのなかの複数のゲーム機筐体が、無線LANルータを含んでいる場合、ここではゲーム機1筐体40−1がホストユニットとして機能するゲーム機1(20−1)と無線LANルータ10−1を含み、ゲーム機2筐体40−1がホストユニットとして機能するゲーム機2(20−2)と無線LANルータ10−2を含む1のゲームシステムでローカルエリアネットワークを形成する場合でもよいし、1つの無線LANルータを含むゲームシステムを複数接続してローカルエリアネットワークを形成する場合でもよい。
【0082】
このような場合、1つのローカルエリアネットワーク内に複数の無線LANルータと複数のホストユニットが存在することになる。1つのローカルエリアネットワーク内でアクティブな無線LANルータと、これを制御するホストユニットは1対のみとする運用ルールを採用している場合のペアリング手法について説明する。
【0083】
ホストユニットとして機能するゲーム機は自機がアクティブなホストユニットか否か判断する機能を備えていてもよい。
【0084】
ゲーム機(ホストユニット)は、例えば問い合わせパケットを受信したタイミングや、ホストユニットの電源がオンになったタイミングで、自機及び自機と同じローカルネットワーク内の他の機器(ゲーム機等)それぞれに割り当てられた所定の識別情報(番号、記号)に基づき、自機がアクティブなホストユニット(アクティブな無線LANルータとペアリングされるホストユニット)となりうるか否か判断してもよい。
【0085】
例えば、ゲーム機(ホストユニット)は、ローカルエリアネットワーク内の他のホストユニットを識別し、他のホストユニットの所定の識別情報を取得する手段を有してもよい。所定の識別番号は、返答パケットに使用する機器固有の識別情報でもよいし、その他の情報でもよい。
【0086】
自機がアクティブなホストユニット(アクティブな無線LANルータとペアリングされるホストユニット)か否かの判断は、ホストユニットに判断用のルーチンを持たせ、判断用のルーチンが所定のアルゴリズムに従って判断するようにしてもよい。
【0087】
例えば自機及び自機と同じローカルネットワーク内の他の機器(ゲーム機等)それぞれに割り当てられた所定の識別情報(番号、記号)を取得し、識別番号が所定の条件(例えば識別番号が最も小さいもの)を満たす機器をアクティブなホストユニットと判断するようにしてもよい。例えば図9においてホストユニットとして機能するゲーム機(無線LANルータ制御用のプログラムがインストールされている機器)20−1、20−2の機器固有の識別情報はそれぞれ「ABCD−0001」(370−1)、「ABCD−0002」(370−2)なので、その値がより小さい「ABCD−0001」をアクティブなホストユニットと判断してもよい。
【0088】
この様な場合ゲーム機1(20−1)とゲーム機2(20−2)は同じアルゴリズムで自機がアクティブなホストユニットか否かの判断を行い、ゲーム機1(20−1)は自機がアクティブなホストユニットであると判断し、ゲーム機2(20−2)は自機がアクティブなホストユニットでないと判断する。
【0089】
問い合わせパケットを受信した各機器のうち、ホストユニットでない機器(無線LANルータ制御用のプログラムがインストールされていない機器)は、問い合わせパケットを無視する。
【0090】
また問い合わせパケットを受信した各機器のうち、ホストユニットとして機能する機器(無線LANルータ制御用のプログラムがインストールされている機器)は、自機がアクティブなホストユニットであると判断した場合には、問い合わせパケット送信元の無線LANルータに対し返答パケットをユニキャストで送信するようにしてもよい。
【0091】
このようにすると、ローカルエリアネットワーク内にホストユニットが複数存在した場合でも、ホストユニット側で、自機がアクティブなホストユニットか否か判断して、返答パケットを返すので、問い合わせを行った無線LANルータ側は、アクティブなホストユニットからのみ返答パケットを受け取ることになる。
【0092】
上記実施の形態ではホストユニット側でアクティブなホストユニットがどれか判断する構成について説明したが、これに限られず、無線ルータ側でアクティブなホストユニットがどれか判断する構成でもよい。問い合わせパケットに対応する返答パケットを受信した無線LANルータが、返答パケットに基づき、アクティブなホストユニットを決定するようにしてもよい。この様な場合、無線LANルータが、ローカルエリアネットワーク内の機器に向けてホストユニットを探すための問い合わせパケットを送信すると、ホストユニットはすべて返答パケットを送信することになる。
【0093】
無線LANルータ10−1は、自機と同じローカルネットワーク内の複数のホストユニットから、問い合わせパケットに対応する返答パケットを受信すると、返答パケットの受信タイミング又は所定のアルゴリズム基づき、又はランダムに(抽選によって)1つのホストユニットを選択してアクティブなホストユニット(自機とペアリングされるホストユニット)として認識するようにしてもよい。
【0094】
図9では、例えば無線LANルータ10−1がホストユニットを探すための問い合わせパケットを送信すると、ホストユニットとして機能するゲーム機1(20−1)とゲーム機2(20−2)が無線LANルータ10−1に対し、返答パケットを送信する。
【0095】
無線LANルータ10−1が、返答パケットの受信タイミングに基づきアクティブなホストユニットを決定する場合には、受信タイミングの最も早い返答パケットの送信元をアクティブなホストユニットとして決定してもよい。例えば無線LANルータ10−1が問い合わせパケットを送信した後、ゲーム機1(20−1)からの返答パケットを受けとり、その後ゲーム機2(20−2)からの返答パケットを受けたった場合には、ゲーム機1(20−1)をアクティブなホストユニット(無線LANルータ10−1とペアリングされるホストユニット)と判断してもよい。
【0096】
また、無線LANルータ10−1が所定のアルゴリズムに基づきアクティブなホストユニットを決定する場合には、例えば受信した返答パケットに含まれた固有の識別情報に基づきアクティブなホストユニットを決定するアルゴリズムに基づき判断してもよいし、例えば無線LANルータと同一筐体内のゲームシステムローカルサーバを検出してアクティブなホストユニットを決定してもよい。
【0097】
また、無線LANルータ10−1が、といあわせパケットを送信してから所定期間内に受信した返答パケットの中からランダムに1の返答パケットを選択し、選択した返答パケットの送信元をアクティブなホストユニットとして決定してもよい。
【0098】
無線LANルータはアクティブなホストユニットにのみ確認応答信号を送信するので、返答パケットを送信してから所定期間内に確認応答信号を受信したホストユニットは、自機がアクティブなホストユニットであると判断してもよい。
【0099】
システム内に複数の無線LANルータを含む場合、各無線LANルータは図3〜図5の処理(a)〜(f)をおこなってもよい。例えば同じローカルエリアネットワーク内で、既に他の無線LANルータがアクティブになっている場合にはホストユニットはその無線LANルータの特定情報を記憶しておき、新たに受信した問い合わせパケットに含まれる無線LANルータの特定情報が記憶している無線LANルータの特定情報と一致しない場合には、返答パケットを送信しないようにしてもよい。この様な場合、他の無線LANルータは、返答パケットを受信できないので、ホストユニットの検出ができなかったとして、無線LANルータとしての機能を停止状態にするようにしてもよい。このようにすると、同じローカルエリアネットワーク内に複数の無線LANルータを含む場合、先にホストユニットとペアリングが確立した無線LANルータがアクティブな無線LANルータとなる。
なお無線LANルータとしての機能が停止状態にある場合とは、ルーティング処理を行っていない状態や電波を飛ばしていない状態や無線を受け付けていない状態等を含む。
また、無線LANルータ処理を停止状態にしている際には、必ずしも電源がOFFでアル必要はなく、電源オンの状態で、例えば同一LAN内で動作している他のペアリング済無線LANルータのリピーター(電波中継装置)として動作しているような場合でもよい。
【0100】
無線LANルータのホストユニット特定情報は、他の機器から安易に書き換えできないようにするほうがセキュリティ上好ましい。従って、無線LANルータは、ホストユニット特定情報を不揮発性記憶部に記憶させ、このホストユニット特定情報のリセット又は更新をペアリングされているホストユニット以外行えないようにしてもよい。例えばホストユニット特定情報のリセット又は更新要求を受けた場合には、前記不揮発性記憶部に記憶されているホストユニット特定情報に基づき、要求元がペアリングされたホストユニットであるか否か判定し、要求元がペアリングされたホストユニットでない場合には、前記ホストユニット特定情報のリセット又は更新要求を許可しないようにしてもよい。
【0101】
この様にすると、ペアリングされたホストユニット以外から前記ホストユニット特定情報が書き換えられることを防止できるのでセキュリティを強化することができる。しかし例えば既にペアリングされているホストユニットが何らかの理由(例えば故障等)でローカルネットワーク内に存在しなくなって、ペアリングを再設定したい場合にも、許可されない可能性があるが、そのような場合には無線LANルータを強制リセットする等で対応可能である。
【0102】
なおローカルエリアネットワーク内でアクティブとなる1対の無線LANルータとホストユニットが設定されている場合、何らかの理由で、ホストユニットと無線LANルータのペアリングが成り立たなくなるケースについて説明する。例えばいずれかがローカルエリアネットワーク内に存在しなくなる場合や故障した場合がこれに該当する。
【0103】
例えばアクティブとなる1対の無線LANルータとホストユニットが、無線LANルータ10−1とホストユニット(ゲームシステムローカルサーバ)20−2のように同一筐体でない場合には、どちらかの筐体がローカルエリアネットワークから切りはなされたりすることで、上記問題が生じる可能性がある。しかしアクティブとなる1対の無線LANルータとホストユニットが、無線LANルータ10−1とホストユニット(ゲームシステムローカルサーバ)20−1のように同一筐体にある場合には、筐体自体がローカルエリアネットワークから切り離される場合等は両方一緒になくなるので、このような問題は生じにくいので、ペアリングされる無線LANルータとホストユニットは同一筐体内にあることが好ましい。
【0104】
3.本実施の形態の処理
図6は、本実施の形態の無線LANルータのホストユニット検出処理の流れを示すフローチャートである。
【0105】
無線LANルータは、電源がオンになると(ステップS10)、ローカルエリアネットワーク内のDHCPサーバへIPアドレス要求を行う(ステップS20)。
【0106】
DHCPサーバからIPアドレスを受信して、ローカルエリアネットワーク内の各機器のIPアドレスを取得する。また返答パケットに含まれたIPアドレスをデフォルトゲートウェイに設定する(ステップS30)。
【0107】
次に所定のタイミングで、自機と同じローカルネットワーク内の機器に対してホストユニットを探すための問い合わせパケットをブロードキャストで送信する(ステップS40)。なお既にホストユニットとペアリングされている場合にはホストユニット検出処理を行わない仕様の場合には以下の処理は行わないようにしてもよい。例えば不揮発性記憶部にホストユニット特定情報が記憶されている場合には、既にホストユニットとペアリングされていると判断してもよい。
【0108】
問い合わせパケットの送信から所定期間内に問い合わせに対する返答パケットを受信した場合には(ステップS50)、返答パケットに含まれた固有の識別情報をホストユニット特定情報として記憶させ、返答パケット送信元に確認応答パケットを送信する(ステップS60)。なお、既にペアリングされている場合に、返答パケットの固有の識別情報が不揮発性記憶部に記憶されたホストユニット特定情報と一致しない場合にはエラー処理を行うようにしてもよいし、ホストユニット特定情報を新たに受信した返答パケットの固有の識別情報でおきかえてもよい。
【0109】
図7は、本実施の形態の無線LANルータの設定データの設定処理の流れを示すフローチャートである。
【0110】
無線LANルータは、設定データを含むパケットを受信すると(ステップS110)、ホストユニット特定情報に基づきパケット送信元がペアリングされたホストユニットであるか否か判断する(ステップS120)。
【0111】
パケット送信元がペアリングされているホストユニットである場合には(ステップS130)、設定データを受け付ける(ステップS140)。設定データがコンフィグ情報(Config)やファームウエア情報である場合、現在無線LANルータに設定されているコンフィグ情報(Config)やファームウエア情報を受信した内容で、置き換えや更新してもよい。またその他の設定データである場合には、現在無線LANルータに設定されているその他の設定データを受信した内容で、置き換えや更新してもよい。
【0112】
図8は、本実施の形態のホストユニットの処理の流れを示すフローチャートである。
【0113】
ホストユニットは、自機及び自機と同じローカルネットワーク内の他の機器それぞれに割り当てられた所定の識別IDに基づき、自機が無線LANルータとペアリング可能なホストユニットか否か判断する(ステップS210)。所定の識別IDは、固有の識別情報でもよい。
【0114】
無線LANルータからホストユニットを探すための問い合わせを受信すると以下の処理をおこなう(ステップS220)。
【0115】
自機が無線LANルータとペアリング可能なホストユニットである場合には(ステップS230)、送信元の無線LANルータに対し、自機を特定可能な固有の識別情報を含む返答パケットをユニキャストで送信する(ステップS240)。
【0116】
返答パケット送信先から確認応答パケット受信すると(ステップS250でYESの場合)、自機が無線LANルータとペアリングされたホストユニットであると認識する(ステップS260)。この場合、ペアリング相手の無線LANルータを特定する情報(例えば問い合わせパケットに含まれるシリアル番号やその他の固有の識別情報)を、記憶するようにしてもよい。
【0117】
返答パケット送信先から所定期間内に確認応答パケット受信しなかった場合(ステップS250でYESの場合)、自機が無線LANルータとペアリングされていないいと認識する(ステップS270)。
【0118】
なお本発明は、上記実施形態で説明したものに限らず、種々の変形実施が可能である。例えば、明細書又は図面中の記載において広義や同義な用語として引用された用語は、明細書又は図面中の他の記載においても広義や同義な用語に置き換えることができる。
【0119】
例えば無線LANルータは、Wi−Fiルータ等でもよい。
【符号の説明】
【0120】
1 アーケードゲームシステム、10 無線LANルータ、12 ルータ処理部、14 ルータ側ペアリング処理部、16 設定データ受付部、20−h ホストユニット、22 ゲーム処理部、24 ルータ設定制御部、26 ホスト側ペアリング処理部、20−1 ゲーム機、30 ローカルエリアネットワーク、40 アーケードゲーム機

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークを介して通信接続された無線LANルータと当該無線LANルータの設定を行うホストユニットを含むアーケードゲームシステムであって、
前記無線LANルータは、
無線LANのルータ処理を行うルータ処理部と、
所定のタイミングで、自機と同じローカルネットワーク内の機器に対して自機とペアリングされるホストユニットを探すための問い合わせパケットを送信し、問い合わせに対する返答パケットを受信すると、返答パケットの送信元の機器を自機とペアリングされるホストユニットとして検出し、返答パケットに含まれた送信元の機器固有の識別情報をホストユニット特定情報として記憶部に記憶させるルータ側ペアリング処理部と、
無線LANルータ機能の設定を行うための設定データを含むパケットを受信した場合、記憶部に記憶された前記ホストユニット特定情報に基づき設定データを含むパケット送信元が自機とペアリングされたホストユニットであるか否か判断し、ホストユニットであると判断した場合に前記設定データを受け付ける設定データ受付部と、を含み、
前記ホストユニットは、
前記無線LANルータに対し無線LANルータ機能の設定を行うための設定データを送信するルータ設定制御部と、
ホストユニットを探すための問い合わせパケットを受信すると、送信元の無線LANルータに対し、自機を特定可能な固有の識別情報を含む返答パケットを送信する制御を行うホスト側ペアリング処理部と、を含むことを特徴とするアーケードゲームシステム。
【請求項2】
請求項1において、
前記無線LANルータは、前記ホストユニットと同一の筐体内に設けられていることを特徴とするアーケードゲームシステム。
【請求項3】
請求項1又は2において、
前記ホストユニットは、ゲームシステムを構成するゲーム機として機能するアーケードゲームシステム。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかにおいて、
前記ホスト側ペアリング処理部は、
自機及び自機と同じローカルネットワーク内の他の機器に割り当てられた所定の識別情報に基づき、自機が無線LANルータとペアリングされるホストユニットか否か判断する判断部を含み、
自機がペアリングされるホストユニットであると判断した場合に、前記問い合わせパケットの送信元である無線LANルータに対し、自機を特定可能な固有の識別情報を含む返答パケットを送信することを特徴とするアーケードゲームシステム。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれかにおいて、
前記ルータ側ペアリング処理部は、
自機と同じローカルネットワーク内の複数の機器から、ホストユニットを探すための問い合わせパケットに対する返答パケットを受信すると、返答パケットの受信タイミング又は所定のアルゴリズムに基づき、又はランダムに1つの機器を選択して自機とペアリングされるホストユニットとして決定することを特徴とするアーケードゲームシステム。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれかにおいて、
前記ルータ処理部は、
前記ホストユニットの検出ができなかった場合には、無線LANルータ処理を停止状態にすることを特徴とするアーケードゲームシステム。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれかにおいて、
前記ルータ側ペアリング処理部は、
前記ホストユニット特定情報を不揮発性記憶部に記憶させ、
前記ホストユニット特定情報のリセット又は更新要求を受けた場合には、前記不揮発性記憶部に記憶されているホストユニット特定情報に基づき、要求元がペアリングされたホストユニットであるか否か判定し、要求元がペアリングされたホストユニットでない場合には、前記ホストユニット特定情報のリセット又は更新要求を許可しないことを特徴とするアーケードゲームシステム。
【請求項8】
ネットワークを介して通信接続された無線LANルータと当該無線LANルータの設定を行うホストユニットを含むアーケードゲームシステムのためのプログラムであって、
無線LANのルータ処理を行うルータ処理部と、
所定のタイミングで、自機と同じローカルネットワーク内の機器に対して自機とペアリングされるホストユニットを探すための問い合わせパケットを送信し、問い合わせに対する返答パケットを受信すると、返答パケットの送信元の機器を自機とペアリングされるホストユニットとして検出し、返答パケットに含まれた送信元の機器固有の識別情報をホストユニット特定情報として記憶部に記憶させるルータ側ペアリング処理部と、
無線LANルータ機能の設定を行うための設定データを含むパケットを受信した場合、記憶部に記憶された前記ホストユニット特定情報に基づき設定データを含むパケット送信元が自機とペアリングされたホストユニットであるか否か判断し、ホストユニットであると判断した場合に前記設定データを受け付ける設定データ受付部と、
前記無線LANルータに対し無線LANルータ機能の設定を行うための設定データを送信するルータ設定制御部と、
ホストユニットを探すための問い合わせパケットを受信すると、送信元の無線LANルータに対し、自機を特定可能な固有の識別情報を含む返答パケットを送信する制御を行うホスト側ペアリング処理部と、としてコンピュータを機能させることを特徴とするプログラム。
【請求項9】
請求項8に記載のプログラムが記憶されたコンピュータ読み取り可能な情報記憶媒体。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2013−16889(P2013−16889A)
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−146190(P2011−146190)
【出願日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【出願人】(000134855)株式会社バンダイナムコゲームス (1,157)
【Fターム(参考)】