説明

イオンがEUV光源の内部部品に到達することを防ぐための、プラズマ生成イオンを偏向するシステム及び方法

【課題】EUV光源(20)の内部部品(30)を、プラズマ形成位置(28)で生成され、最初は内部部品(30)に向けられたイオン(206a、206b)から保護するシステムを提供する。
【解決手段】内部部品(30)とプラズマ形成位置(28)との間に挿入され、プラズマ形成位置(28)から内部部品(30)へと延びる線に実質的に沿って位置合わせされた表面を有する少なくとも1つの箔板(180)と、イオン(206a、206b)を箔板表面(208a、208b)内へと偏向させる磁場(B2)を発生させる磁気源(200a、200b)とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原料物質から作り出されるプラズマから極紫外(「EUV」)光を提供し、EUV光源チェンバの外側で利用されるために、例えば半導体集積回路製造用フォトリソグラフィのために、集光され、焦点に向けられる、例えば約20nm以下の波長の、EUV光源に関する。
【0002】
関連出願の相互参照
本出願は、2005年6月8日に出願され、かつ2003年4月8日に出願された米国特許出願番号10/409,254号の一部継続出願である米国特許出願番号11/148,021号に基づく優先権を主張し、その開示は引用により本明細書に組み入れられる。本出願は、2004年3月10日に出願された米国特許出願番号10/798,740号に関連し、その開示は引用により本明細書に組み入れられる。
【背景技術】
【0003】
極紫外(「EUV」)光、例えば約20nm以下の波長を有し、約13.5nmの波長の光を含む電磁放射線は、基板、例えばシリコンウエハの中に極めて小さい特徴を作り出すためのフォトリソグラフィ・プロセスにおいて使用することができる。
EUV光を生成する方法は、材料を、EUV領域に輝線がある、例えばキセノン、リチウム、又はスズのような元素を有するプラズマ状態へと変換させることを含むが、必ずしもそれに限定されない。放電生成プラズマ(「DPP」)と呼ばれることが多いそのような方法の1つにおいて、プラズマは、一対の電極間の放電によって生成することができる。別の方法において、必要とされるプラズマは、必要とされる輝線を出す元素を有する材料の液滴、流れ、又はクラスタのようなターゲット材料をレーザ光で照射することによって生成することができる。この後者のプロセスは、レーザ生成プラズマ(「LPP」)と呼ばれる。
これらのプロセスの各々において、プラズマは一般に密封容器、例えば真空チャンバの中で生成され、様々の種類の計測装置を用いて監視される。EUV放射線の発生に加えて、これらのプラズマ・プロセスは、典型的には、プラズマ・チャンバ内で、熱、高エネルギー・イオン、及びプラズマ形成由来の散乱破片(debris)、例えばプラズマ形成プロセスにおいて完全にイオン化されない材料の原子及び/又は凝集物を含む場合がある望ましくない副産物も発生させる。
【0004】
これらのプラズマ形成副産物は、垂直入射でのEUV反射を可能にする多層鏡(MLM)及びグレージング角入射鏡を含む集光鏡、計測検出器の表面、プラズマ形成プロセスをイメージングするために使用される窓、及びLPPの場合にはレーザ入力窓を含むがこれらに限定されない、様々なプラズマ・チャンバ内部部品に潜在的に損傷を与え、又はその運転効率を減少させることがある。熱、高エネルギー・イオン及び/又は原料物質の破片は、光学素子を加熱すること、光透過性を減少させる材料で光学素子を被覆すること、光学素子の中に浸透すること、及び、例えば構造的完全性、及び/又は、例えば非常に短い波長の光を反射する鏡の能力のような光学的特性を損なうこと、光学素子を腐食又は侵食すること、光学素子及び/又はスパッタリングされた表面材料の内部に拡散することを含む多くのやり方で、光学素子を損なうことがある。さらには、例えばレーザ入力窓のような幾つかの光学素子は、真空チャンバの一部分を形成するので、そのため、プラズマ・チャンバ内に真空が存在する場合には応力下に置かれることになる。これらの素子については、堆積物と熱が一緒になって素子を破損する(即ち亀裂を入れる)ことがあり、その結果、真空が損なわれ、費用のかかる修理を必要とすることになる。
【0005】
プラズマ・チャンバ内の汚染され又は損傷を受けた光学素子を洗浄又は交換する目的で、その素子に接近することは、費用がかかり、労働集約的で時間がかかる場合がある。特に、これらのシステムは一般に、プラズマ・チャンバが開放された後に再始動する前に、かなり複雑で時間のかかる、プラズマ・チャンバのパージと真空ポンプダウンを必要とする。この長時間のプロセスは、製造スケジュールに悪影響を与え、ほとんど又は全く休止時間無しで運転することが一般に望ましい光源の全体としての効率を減少させる場合がある。
上記のことがらを鑑みて、出願人は、イオンがEUV光源の内部部品に到達することを防ぐための、プラズマ生成イオンを偏向するシステム、及びその方法を開示する。
【発明の概要】
【0006】
EUV光源の内部部品を、プラズマ形成位置で生み出され、最初は内部部品に向けられたイオンから保護するシステムが開示される。このシステムは、内部部品とプラズマ形成位置との間に挿入された複数の箔板を備えることができ、箔板の各々は、プラズマ形成位置から内部部品へと延びるそれぞれの線に実質的に沿って位置合わせされた表面を有する。このシステムは、イオンを箔板表面の内の1つの中へと偏向させる磁場を発生させる手段をさらに備える。内部部品は、軸線を定める楕円の集光鏡とすることができ、プラズマ形成位置はこの軸線上に位置し、磁場は、プラズマ形成位置において軸線に対して実質的に垂直に配向する磁力線を有する実質的に均一な磁場とすることができる。第2の磁場は、第1の磁場に対して垂直に確立され、かつ第2の磁場がプラズマ形成位置から非ゼロの距離において軸線に対して実質的に垂直に配向する磁力線を有するように、位置決めされることができる。
【0007】
本発明の実施形態の別の態様において、内部EUV光源部品をイオンから保護するシステムは、イオンエネルギーを減少させるためのイオンとの相互作用のために位置決めされた静電気グリッドと、エネルギーが減少されたイオンをイオンが内部部品に当たらない経路上へと偏向させる磁場を発生させる磁場源とを含むことができる。一例として、本発明の実施形態の態様において、楕円形状の集光鏡は、イオンを減速させる静電気グリッドを、エネルギーが減少されたイオンを集光鏡から離れる方向に偏向させる永久磁石と共に用いて、プラズマ形成中に生成された2KeVイオンから保護されることができる。
【0008】
本発明の実施形態のさらに別の態様において、内部EUV光源部品を、電子パルス、次いでイオンパルスを放出するプラズマ形成位置において生成されたイオンから保護するシステムは、プラズマ形成位置から距離dに位置決めされたグリッドを含むことができる。このグリッドは、イオンと相互作用するように配向され、イオンエネルギーを減少させるための共振周波数に同調する回路に接続されることができる。例えば、共振周波数は、1)電子パルスがグリッドに到達する時間と、2)イオンパルスがグリッドに到達する時間との間の時間遅延の逆数に実質的に等しくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の一態様による、レーザ生成プラズマEUV光源についての全体的な広い概念の概略図である。
【図2】集光鏡に向いて照射着火点から見た、本発明の一態様による楕円集光鏡のためのEUV破片シールドの実施形態を示す、概略側面図である。
【図3】EUV光源内部部品から離れる方向にイオンを偏向させるために静電グリッドを磁場と組み合わせて用いて用いることができる、本発明の実施形態の別の態様を示す、概略図である。
【図4】図3に示される実施形態における使用に適した静電グリッドの斜視図である。
【図5】イオンを減速させるために、共振回路に接続したグリッドを用いることができる、本発明の実施形態の別の態様を示す概略図である。
【図6】図5に示される装置における使用に適した電気回路の回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
最初に図1を参照とすると、本発明の一態様による例示的なEUV光源の製品、例えばレーザ生成プラズマEUV光源20の概略図を示す。本発明の態様がレーザ生成プラズマ(LPP)を参照として図示されているが、本発明は、その代表的な構造が本明細書に引用として組み入れられる同一出願人による米国特許第6,815,700号に開示されている、放電生成プラズマ(「DPP」)を含むプラズマを生成する他の種類の光源に対しても等しく適用できることが認識されるべきである。
【0011】
引き続き図1によると、LPP光源20は、例えば高出力及び高パルス繰返し数で動作するガス放電エキシマレーザ又はフッ素分子レーザ等のパルスレーザ・システム22を含むことができ、米国特許第6,625,191号、第6,549,551号及び第6,567,450号に示されるようなMOPA構成のレーザ・システムであってもよい。光源20はまた、例えば液滴、液体流、固体粒子又はクラスタ、液滴内に含まれた固体粒子、又は液体流内に含まれた固体粒子の形状でターゲットを送出するターゲット送出システム24を含むこともできる。ターゲットはターゲット送出システム24によって、例えばチャンバ26の内部の、別名として着火位置、又は「火球(fire ball)」の照準として知られるプラズマ形成位置28へと送出されることができる。
【0012】
レーザパルスは、パルスレーザ・システム22からレーザ光軸に沿って、レーザ入力窓57を通ってチャンバ26の中に入り、着火位置へと送出され、適切に合焦されて、ターゲットの原料物質に応じて特定の特性を有するプラズマを形成する着火又は火球を作り出すことができる。これらの特性は、生成されたEUV光の波長、並びに着火の間、及び/又は後にプラズマから放出される破片の種類又は量を含むことができる。
【0013】
光源は、レーザ光が通過して着火位置28に到達することを可能にする開口部を備えた、例えば切頭楕円形状の、例えば反射器である、集光器30を含むこともできる。集光器30は、例えば、着火位置28に第1の焦点を有し、かつ、EUV光が光源から出力され、例えば集積回路リソグラフィ・ツール(図示せず)に入力される、いわゆる中間点40(中間焦点40とも称される)に第2の焦点を有する、楕円鏡とすることができる。
【0014】
パルスシステム22は、例えば主発振器電力増幅器(master oscillator−power amplifier(「MOPA」))のような、例えば発振器レーザ・システム44及び増幅器レーザ・システム48を有し、例えば発振器レーザ・システム44のための磁気リアクトルスイッチ型パルス圧縮及びタイミング回路50及び増幅器レーザ・システム48のための磁気リアクトルスイッチ型パルス圧縮及びタイミング回路52を、発振器レーザ・システム44のためのパルス電力タイミング監視システム54及び増幅器レーザ・システム48のためのパルス電力タイミング監視システム56と共に備えた、デュアルチャンバのガス放電レーザ・システムを含むことができる。システム20はまた、EUV光源制御器システム60を含むこともでき、これは、例えばターゲット位置検出フィードバック・システム62及び燃焼制御システム65を、例えばレーザービーム位置合わせシステム66と共に含むこともできる。
【0015】
システム20はまた、ターゲット位置検出システムを含むこともでき、これは1つ又はそれ以上の液滴イメージャ70a、bを含んでもよく、このイメージャは、ターゲット液滴の位置、例えば着火位置に対する位置を示す出力を提供し、かつ、この出力をターゲット位置検出フィードバック・システムに提供し、このターゲット位置検出フィードバック・システムは、例えば、ターゲットの位置及び軌道を計算することが可能であり、そこから、液滴毎か、そうでない場合には平均として、ターゲット誤差を計算することができる。次に、ターゲット誤差は、入力としてシステム制御器60に提供されることができ、システム制御器は、例えば、レーザ位置、方向及びタイミングの補正信号を、例えば、レーザービーム位置決めシステム66に提供することができ、レーザービーム位置決めシステムはそれを、例えばレーザー・タイミング回路を制御し、及び/又はレーザ位置及び方向変換器68を制御して、例えばレーザービームの焦点位置を異なる着火位置28に変更するために用いることが可能である。
【0016】
ターゲット送出制御システム90は、システム制御器60からの信号に応答して、例えば、所望の着火位置28に到達したターゲット液滴における誤差を補正するために、ターゲット送出機構によって放出されるターゲット液滴の放出点を修正することができる。EUV光源探知器(図示せず)もまた、例えば、有効かつ効率的なEUV光生成のための正しい位置及び時間で適正にターゲット液滴を捕捉するためのレーザパルスのタイミング及び焦点のような事柄における誤差の指標とすることが可能なフィードバックを、システム制御器60に対して提供することができる。
【0017】
図1に模式的に示され、以下で、より詳細に説明されるように、本発明の実施形態の態様は、図1に示される実施形態では集光鏡30とすることができるEUV光源内部部品を、プラズマ形成位置で生成され、最初は例えば集光鏡30などの部品に対して向けられたイオンから保護するシステムを含むことができる。図示されるように、そのシステムは、例えば箔トラップなどのシールド180と、1つ又はそれ以上の磁気源とを含むことができ、磁気源は、図1に示される実施形態においては、磁場B1を確立するための第1の一対の離間された励磁コイル200a、bと、磁場B2(図1に示す)を確立するための第2の一対の離間された励磁コイル202a、b(図2Aに示す)とすることができる。システムは、EUV光源集光鏡30の表面を保護するための構成で示されているが、ここで説明されるシステムは、レーザ入力窓57、イメージャ70a、bのためのイメージング窓、及び/又は計測モニタ(図示せず)の入力面を含むがこれらに限定されない、チャンバ26内の他の光学素子を保護するために使用することができることが認識されるべきである。
【0018】
図2は、図1に示されるシステムにおいて用いられることができる箔トラップシールド180をより詳細に示す。具体的に、図2は、中間焦点40(図1参照)における視点から楕円集光鏡30を覗き込んだ場合に見えることになる集光器30及びシールド180の概略図を示す。図2に示すように、楕円集光鏡30は、鏡の方を向いた断面が円形であり、図1に示されるように、楕円鏡30の焦点28を含む軸線204を定めることができる。
【0019】
楕円鏡はまた、例えば、集束光学素子(focusing optics)を通り、鏡30を通って、楕円鏡の焦点であることが望まれる着火位置28に対して合焦されるLPPレーザービーム154の進入を可能にするための、例えば図2において円形であることが示されているような開口部152を有することもできる。開口部152はまた、使用される制御システムの種類に応じて、着火位置上のレーザービーム154の焦点を補正するためにビーム光学経路を修正する必要がもしあればその範囲内で、例えばビームプロファイルもっと合うように、例えば一般に矩形に調整されることも可能である。
【0020】
図1及び図2には、本発明の実施形態の態様による箔トラップ破片シールド180もまた示されている。破片シールド180は、例えばモリブデンの薄い箔で作られた複数の薄い箔板から作られることができ、その中の例示的な板182a−cに表示が付けられている。図2で最も良くわかるように、箔板182a−cの各々は、軸線204から実質的に半径方向外向きに延び、かつ図1に示されるように、破片シールド180の各箔板は、着火位置28と集光鏡30との間に挿入されることができる。隣接する箔板182a−cの各対の間に、EUV光が破片シールド180を通過することを可能にする光伝送チャネル(例示的なチャネル184a−cに表示が付けられている)を確立することができることが、図2でさらにわかる。図2に示されるシールド180は28の箔板を含むが、28よりも多い箔板、並びに、わずか1つの箔板を用いることもできることが認識されるべきである。追加の箔板は、ある場合には、破片の捕獲を増やす結果をもたらすことができるが、箔板の追加はまた、チャネルのサイズを低減させることにもなり得るので、そのためシールド180を通過するEUV光を減少させることになる(注釈:プラズマから放出されるEUV光の妨害はできるだけ少ないことが望ましい。)
【0021】
図1と図2を相互参照すると、破片シールド180の中に放射状に位置合わせされたチャネル182a−cの機能を理解することができる。放射状チャネルは、図1中に示され、回転対称性の破片シールド180の実例である。図1は、着火位置28から放出される2つのEUV光線190a、bの例示的な経路を示す。図示されるように、各光線は着火位置28から進行し、図1に示すように所望であれば集光鏡150の反射面までずっと延びていてもよい破片シールド180内のチャネル182を通過することができる。いかなる入射角度で楕円鏡150の表面に当たっても、光線190aは、反射光線192aとして同じチャネル180内で戻り反射され、中間焦点40に向けられることができる。
【0022】
図2は、磁場B1及びB2の影響下での2つのイオンの例示的な軌道を示す。図示されるように、イオン206aは、プラズマ形成位置28から出て、集光鏡30へと向かう軌道上を通り、磁場 B1によって、イオンがそこで捕獲されることができる箔板184dの表面208a内へと偏向される。他方、磁場B1の配向(alignment)のため、磁場B1単独では全てのイオンを破片シールド180内へと偏向させるには不十分である場合もある。その代わりに、図示されているイオン206bのように、あるイオン軌道に対しては、磁場B1の影響は、イオンを集光鏡30の中へとさらに加速させるだけの場合もある。しかしながら、図示されるように、第2の磁場B2を、イオンが捕獲されることができる箔板184eの表面208b内へとイオン206bを偏向させるように位置合わせすることができる。図示される実施形態については、磁場B1は、プラズマ形成位置28において軸線204に対して実質的に垂直に配向する磁力線を有する、実質的に均一な磁場とすることができる。第2の磁場B2は、用いられる場合には、第1の磁場B1に対して垂直に確立され、かつ、図1に示されるように、第2の磁場B2がプラズマ形成位置28からある距離で軸線204に対して実質的に垂直に配向する磁力線を有するように、位置決めされることができる。幾つかの場合においては、第2の磁場B2は第1の磁場B1よりも幾分弱くすることができる。数値的には、プラズマ形成位置28から約20cmのところに位置する集光器について、約100ガウス未満の比較的小さい磁場が、約2mmのチャネル幅及び約50のアスペクト比を有する破片シールド内へと2KeVのイオンを偏向させるために十分な横方向の運動を提供することができることを、計算が示している。そのような磁場は、例えば冷却されたコイルを使用して比較的大きい容積にわたって確立されることができる。このことを、破片シールド無しで全ての2KeVイオンを集光鏡と衝突しない軌道上へと十分に偏向させるに必要であり得る、約1テスラの磁場強度と比較することができる。
【0023】
図1はまた、システムが、例えばヘリウム又はアルゴンなどの気体分子をチャンバ26の中のプラズマ形成位置28と集光器30との間の導入する気体源210をさらに備えることができることも示す。使用時には、気体分子は、プラズマ形成位置で生成され、集光鏡30に対して向けられているプラズマ破片粒子(荷電又は中性)に衝突する場合がある。これらの衝突は、粒子を減速させ、及び/又は、粒子を破片シールド180の箔板182内へと偏向させることができ、集光鏡30の表面を破片の蓄積から保護する。
【0024】
図3は、本発明の実施形態の別の態様を示す概略図であり、ここでは、静電気グリッド300を1つ又はそれ以上の磁場B’、B”と組み合わせて用いて、例えばプラズマ形成の際に生成されたイオンなどのイオンを、図3に示される実施形態の場合はEUV光線192a’−c’を中間焦点へと反射させる集光鏡30’である、EUV光源内部部品から離れる方向に偏向させることができる。システムは、EUV光源集光鏡30’の表面を保護するための構成で示されているが、ここで説明されるシステムは、レーザ入力窓57’、イメージャのためのイメージング窓、及び/又は計測モニタ(図示せず)の入力面を含むがこれらに限定されない、チャンバ26’内の他の光学素子を保護するために使用することができることが認識されるべきである。
【0025】
構造的には、図3に示されるように、荷電したグリッド300は、プラズマ形成位置28’と集光鏡30’との間に位置決めされることができ、イオンがグリッド300(図4もまた参照のこと)を通過するときにイオンのエネルギーを減少させる(イオンの速度を減少させる)ように機能することができる。システムは、グリッド300と集光鏡30’との間に1つ又はそれ以上の磁場B’、B”を確立するために、1つ又はそれ以上の磁気源302a−dを含むことができることもまた図示されている。幾つかの場合には、中程度の磁場が減速されたイオンを集光鏡30から離れる方向に偏向させることが可能となるように、イオンはグリッドによって十分に減速されることができる。従って、いくつかの実施については、磁気源300a−dは、励磁コイル、永久磁石、又はそれらの組み合わせとすることができる。
【0026】
図3は、プラズマ形成位置28’を出て集光鏡30’に向かう経路上を通る、イオン304の例示的な軌道を示す。より具体的には、例示的なイオン304は、最初は磁場B’及びレーザ軸線306の両方に直交する非ゼロの速度成分vを有する軌道上に向けられる(即ち、イオンはページの平面から出る方向に進行する)。図示されるように、イオン304は、イオンがそこで減速されるグリッド300を通過することができ、次にイオンが1つ又はそれ以上の磁場 B’、B”と相互作用する領域に進入することができる。磁場B’及びB”の影響下で、イオン304は周知の式
F=qv x B
に従って集光器30’から離れる方向に偏向し、ここで Fは偏向力であり、太字はベクトル量を表し、qはイオンの電荷である。
【0027】
図5は、本発明の実施形態の別の態様を示し、ここではグリッド300’は、プラズマ形成位置28”から距離「d」のところに位置決めされることができる。例えばレーザパルスとターゲットとの間の相互作用などでプラズマ形成されると、電子400のパルスが位置28”から放出されて平均速度veで進行し、その後にve> vionである平均速度vionで進行するイオン402’のパルスが続く。位置28”からの距離「d」におけるグリッド300’では、イオン402は、電子400の後にグリッド300’に到達し、グリッド300’における電子パルスとイオンパルスとの間の時間遅延tを確立する。
【0028】
図6は、グリッド300’が、スイッチ404、コンデンサ406、及び電源408を有する回路に電気的に接続できることを示す。回路は、グリッド300’上に予め選択された電圧を維持することが可能であり、コンデンサ406を含み、このコンデンサは低いインダクタンスを通じてグリッド300’に連結されることができ、かつ所望のグリッド電位まで充電されることができる。コンデンサ406の電気容量は、グリッド300’における電子パルスとイオンパルスとの間の時間遅延tの逆数と実質的に等しくすることができる共振周波数に回路を同調するように、選択されることができる。この構造によって、グリッド300’によって確立された電場は、走行時間周波数(transit time frequency)で1回のサイクルを経過し、グリッド300’は、イオン402と相互作用してイオンのエネルギーを減少させることができる。具体的には、グリッド電位及びイオンのエネルギーに応じて、グリッド300’は、イオン402を、減速、停止、又は逆戻りさせることができる。1つの実施において、群れになった(bunched)電子の通過により回路中に起動された電流は散逸する場合があり、その後、イオン402は、回路電流の逆起電力によって減速されることができる。あるいは、グリッド300’は、イオンパルスにおけるエネルギーが減衰するように、逆位相を有する外部発振器によって励振されることができる(図6参照)。この後者の場合には、スイッチ404は、イオンがグリッド300’の近くに存在しない周期の間は、グリッド300’とプラズマ・チェンバ壁410との間の短絡を減らすために、開放されていてもよい。短絡を減らすため、幾つかの場合には短絡を排除するために、接地された第2のグリッド(図示せず)をグリッド300’の近くに置くことができる。
【0029】
適切な距離dにおけるグリッド300’を用いて行われた実験では、約2.3KeVの平均初期エネルギーを有するSnイオンは、コンデンサの値が0.1uFの範囲である場合に、グリッドによって大幅に減速されることを示した。これは、約1Mhzの共振周波数に対応する。パルスレーザー源によってレーザ生成プラズマが形成位置で確立される場合には、回路は、パルスレーザー源と同期することがある。減速されたイオンは、グリッドと内部部品との間に確立されることができる磁場によって、内部部品から離れる方向に偏向されることができる(図3参照)。幾つかの場合には、減速されたイオンは、箔トラップ破片シールド(図1及び2参照)の中へと偏向されることが可能である。
【0030】
上記に開示された本発明の実施形態の態様は、好ましい実施形態であることが意図されるのみであり、本発明の開示を決して限定することを意図するものではなく、特に特定の好ましい実施形態のみに限定することを意図するものではないことは、当業者によって理解されるであろう。当業者によって理解され、認識されるであろう多くの変更及び修正を、開示された本発明の実施形態の開示された態様に対して成すことができる。添付の特許請求の範囲は、範囲及び意味において、本発明の実施形態の開示された態様のみならず、当業者に明らかなその等価物、並びに他の修正及び変更をも包含することが意図される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
EUV光源の内部光学部品を、プラズマ形成位置で生成され、最初は前記内部光学部品に向けられたイオンから保護するシステムであって、
光軸を有する前記内部光学部品と前記プラズマ形成位置との間に挿入され、前記プラズマ形成位置から前記内部光学部品へ向かう方向と実質的に同じ方向に延びる表面を有する少なくとも1つの箔板であって、前記表面が前記光軸から半径方向外向きに延びる少なくとも1つの箔板と、

(ここで

は偏向力を表すベクトル、qはイオンの電荷、

はイオンの速度を表すベクトル、

は磁界強度を表すベクトル)
という式に従って前記イオンを前記箔板表面内へと偏向させる磁場を発生させる磁気源と、
を備えることを特徴とするシステム。
【請求項2】
前記表面は、実質的に平面であることを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記磁場は第1の磁場であり、前記システムは、前記箔板表面内へとイオンを偏向させる第2の磁場を発生させる第2の磁気源をさらに備え、前記第2の磁場は、前記第1の磁場に対して実質的に直交して配向することを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記内部光学部品は軸線を有し、前記プラズマ形成位置は前記軸線に沿って位置し、前記第1の磁場は、前記プラズマ形成位置において前記軸線に対して実質的に垂直に配向する磁力線を有する実質的に均一な磁場であることを特徴とする請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記第2の磁場は、前記プラズマ形成位置からある距離において前記軸線に対して実質的に垂直に配向する磁力線を有する実質的に均一な磁場であることを特徴とする請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記少なくとも1つの箔板は、離間した複数の箔板であり、前記箔板の各々は前記プラズマ形成位置から前記内部光学部品へと延びるそれぞれの線に実質的に沿って位置合わせされた表面を有することを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記内部光学部品は、鏡であることを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記鏡は、楕円形状であることを特徴とする請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記内部光学部品は軸線を有し、前記プラズマ形成位置は前記軸線に沿って位置し、前記箔板の表面の各々は前記軸線に対して実質的に放射状に位置合わせされたことを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記プラズマ形成位置と前記内部光学部品との間に気体分子を供給する気体源をさらに備え、前記気体分子は、前記プラズマ破片粒子と衝突して、該粒子を前記箔板内へと偏向させるためのものであることを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
EUV光源の内部光学部品を、プラズマ形成位置で生成され、最初は前記内部光学部品に向けられたイオンから保護するシステムであって、
イオンエネルギーを減少させるために前記イオンと相互作用するように位置決めされた静電グリッドと、

(ここで

は偏向力を表すベクトル、qはイオンの電荷、

はイオンの速度を表すベクトル、

は磁界強度を表すベクトル)
という式に従って前記エネルギーが減少されたイオンを前記イオンが前記内部光学部品に当たらない経路上へと偏向させる磁場を発生させる磁気源と、
を備えることを特徴とするシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−102229(P2013−102229A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2013−30203(P2013−30203)
【出願日】平成25年2月19日(2013.2.19)
【分割の表示】特願2008−515739(P2008−515739)の分割
【原出願日】平成18年5月25日(2006.5.25)
【出願人】(504010648)サイマー インコーポレイテッド (115)
【Fターム(参考)】