説明

イオン伝導度を用いた塩度センサー、塩度測定システム及び測定方法

【課題】イオン伝導度を用いた塩度センサー、塩度測定システム及び測定方法を提供する。
【解決手段】塩度センサーを食品や溶液を収容する容器に直接に内蔵すると共に、塩分濃度測定時測定時間が経過することに伴ってプローブ(probe)へのイオン蓄積によって塩分イオンの伝導度が低下することを防止するため、塩分濃度測定時プローブに蓄積されるイオンを任意に放電(release)させることによって塩分濃度の測定誤差が発生することを防止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塩分濃度測定に係り、さらに詳しくは塩分濃度測定時測定時間が経過するに伴ってプローブ(probe)へのイオン蓄積によってナトリウムイオンと塩素イオンの伝導度が低下して塩分濃度の測定誤差が発生することを防止することと共に、塩度センサーを食品や溶液を収容する容器に直接に内蔵することによって塩分濃度測定を容易にしたイオン伝導度を用いた塩度センサー、塩度測定システム及び測定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、食べ物や溶液の塩分濃度(塩度)を測定する方式は次のような3種類に大別される。
【0003】
第1に、測定装置が屈折率方式を用いて塩分濃度を測定する場合、レーザモジュールから発生した光が試料を通過しつつ屈折されたレーザ光を光電センサーで受光して塩分濃度を計算するようになる。もし試料の塩分濃度が変わると屈折率も変わるので、測定装置は、屈折率を測定して試料の塩分濃度を算出するようになる。
【0004】
しかし、このような屈折率方式は、屈折率が温度に極めて敏感に変わるので、一定温度で測定したり温度変化による屈折率の補償が必要であるという短所と、光センサーが高価であるという短所がある。また、色々の物質が混ざっている食べ物の場合、屈折率を通じて塩分濃度を分析することは、殆ど不可能であると知られている。
【0005】
別の分析方法として、試料で塩分中塩素イオン(Cl-)の濃度を測定する方式があるが、これは塩素の量を塩化銀で適定して塩素の量を測定した後、これを他の元素との比率で換算して全体塩分を測定し、この際1%の標準溶液で塩素の濃度を測定した後、所望の試料の塩分を測定するようになる。この方式の場合、分析のための基準電極を必要とし、これもやはり試料に食べ物が混ざると測定が不可能なことから、食べ物塩分濃度測定用としては不向きな方式である。
【0006】
最後に、本発明で適用しようとするイオン伝導度による塩分濃度分析方式がある。イオン伝導度を用いた塩分分析は、塩分の量によってイオン伝導度が相異なる原理を用いるものである。すなわち、測定装置は、試料を通じて流れる電流が抵抗に半比例し、イオン伝導度に比例することを用いて塩分濃度を測定する。
【0007】
しかし、従来のイオン伝導度による塩分濃度測定方式は、連続的な塩分濃度測定時塩度センサー内の測定電極に直流電源成分が一部供給されることによって、経時的に測定電極にイオン(Na+、Cl-)が蓄積され、よってイオン伝導度が低下するようになる。
【0008】
従って、同一な塩分濃度の試料を測定しても電極に蓄積されたイオン(Na+、Cl-)によってイオン伝導度が低下されることによって測定時ごとに塩分濃度が違ってくるし、実際塩分濃度より低い塩分濃度が測定され測定データの信頼性に劣る問題点があった。
【0009】
また、従来の測定装置は、食品や溶液の塩分濃度を測定する前に可変抵抗を用いて抵抗値をセットすべきなどの煩わしい手続が必ず必要となることから、一般ユーザが直接にこのような可変抵抗を用いて塩分濃度を測定することはかなり難しかった。
【0010】
また、測定装置の塩度センサーが食品や溶液を収容する容器に内蔵されるのではなく、容器とは別の製品に作製されるので、ユーザが容器に収容された食品や溶液の塩分濃度を測定するには相当に煩わしい問題点があった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、前述した従来の技術の問題点を解決するために案出されたもので、その目的は、塩分濃度測定時プローブ(probe)に蓄積されるイオンを周期的に放電(release)させることによって連続的な塩分濃度測定時塩分濃度の測定誤差が発生することを防止できるイオン伝導度を用いた塩度センサー、塩度測定システム及び測定方法を提供するところにある。
【0012】
本発明の他の目的は、塩度センサーを食品や溶液を収容する容器に直接に内蔵して作製し、塩分濃度測定時別の装備をセッティングせず塩分濃度測定が可能になることによって一般ユーザも容易に使用可能なイオン伝導度を用いた塩度センサー、塩度測定システム及び測定方法を提供するところにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前述した目的を達成するための本発明に係るイオン伝導度を用いた塩度センサーは、基準抵抗測定端子または塩度測定端子にスイッチングされ、外部から入力されるパルスを選択された出力端子に印加する第1スイッチング手段と、第1スイッチング手段の基準抵抗測定端子と接地端子との間に連結され、接地端子に印加されるパルスの電圧を検出して外部演算制御部に伝達する基準抵抗体と、第1スイッチング手段の塩度測定端子と接地端子との間に離隔して設置され、塩分濃度によって電極間で可変されるイオン伝導度による電圧を検出して演算制御部に伝達する第1電極及び第2電極、及び第1電極と第2電極との間に連結され、演算制御部の制御信号に応じてスイッチングされ、第1電極と第2電極の両端を電気的に短絡(short)させて電極に蓄積されたイオンを放電させる第2スイッチング手段と、を含むことを特徴とする。
【0014】
具体的に、第1スイッチング手段、基準抵抗体、第1電極、第2電極及び第2スイッチング手段は容器に内蔵される内蔵型であり、第1及び第2電極は容器の底面に固設され、電極の一側が容器の内側に露出されることを特徴とする。
【0015】
基準抵抗体と第1及び第2電極は、相互並列に連結されることを特徴とする。
【0016】
前述した目的を達成するための本発明に係るイオン伝導度を用いた塩分濃度測定システムは、容器の底面に一定間隔離隔して設置され塩分濃度によって電極の間で可変されるイオン伝導度による電圧を検出する第1電極及び第2電極と、基準抵抗測定端子または塩度測定端子にスイッチングされ外部から入力されたパルスを選択された出力端子に印加する第1スイッチング手段と、第1スイッチング手段の基準抵抗測定端子と接地端子との間に連結され接地端子に印加されるパルスの電圧を検出して外部演算制御部に伝達する基準抵抗体と、第1電極と第2電極との間に連結され、制御信号に応じてスイッチングされ第1電極と第2電極の両端を電気的に短絡させて電極に蓄積されたイオンを放電させる第2スイッチング手段、及び外部から入力された測定開始命令に従って第1スイッチング手段及び第2スイッチング手段の動作を制御し、第1電極及び第2電極間のイオン伝導度によって検出された電圧を用いて電極抵抗値を計算し、計算された電極抵抗値を用いて塩分濃度を決める演算制御部とを含むことを特徴とする。
【0017】
具体的に、演算制御部は、イオン伝導度によって検出された電圧を用いて電極抵抗値を測定し、測定された電極抵抗値に基準抵抗体の基準抵抗値を減算して最終抵抗値を獲得した後、最終抵抗値に予めマッチングされた塩分濃度をメモリから抽出して塩分濃度を決めることを特徴とする。
【0018】
演算制御部の制御信号に応じて第1スイッチング手段に印加される電源を遮断して第1電極及び第2電極に蓄積されたイオンを放電させる第3スイッチング手段をさらに含むことを特徴とする。
【0019】
第1及び第2電極を通じて検出したイオン伝導度による電圧を、提供されて増幅した後デジタル信号に変換して演算制御部に出力する検出信号処理部をさらに含み、検出信号処理部は、第1電極及び第2電極を通じて検出したイオン伝導度による電圧と基準抵抗体を通じて獲得した電圧をそれぞれ提供されて増幅して整流する増幅/整流回路部と、増幅/整流回路部から出力された信号を、提供されてデジタル信号に変換した後、演算制御部に出力するA/Dコンバータとからなることを特徴とする。
【0020】
前述した目的を達成するための本発明に係るイオン伝導度を用いた塩分濃度測定方法は、塩分濃度測定命令に従って、演算制御部は、パルスが基準抵抗体に印加されるように制御し、基準抵抗体の両端に印加される電圧を通じて基準抵抗値を測定する段階と、基準抵抗値を測定した後、演算制御部は、パルスが第1及び第2電極に印加されるように制御し、第1電極及び第2電極間の塩分が含まれた溶液のイオン伝導度による電圧を用いて電極抵抗値を測定する段階と、電極抵抗値を測定した後、演算制御部は、第1電極と第2電極の両端を電気的に短絡(short)させて電極に蓄積された残存イオンを放電させるように制御する段階と、電極抵抗値を測定し、残存イオンを放電制御する段階をn回繰り返して制御し、n-1番目測定したn−1番目電極抵抗値とn番目測定したn番目電極抵抗値とが設定された範囲内の誤差値を有すれば、n番目測定したn番目電極抵抗値を最終電極抵抗値と決める段階と、を含むことを特徴とする。
【0021】
具体的に、最終電極抵抗値を決める段階において、演算制御部は、第1電極及び第2電極に供給される電源を一時遮断させて電極に蓄積された残存イオンを2次に放電させる段階をさらに含むことを特徴とする。
【0022】
最終電極抵抗値を決めた後、演算制御部は決定された最終電極抵抗値と測定された基準抵抗値との差値を計算する段階と、計算された差値に該当する塩分濃度をメモリのルックアップテーブルから抽出する段階と、抽出された塩分濃度を百分率にして表示部にディスプレイさせる段階と、をさらに行うことを特徴とする。
【0023】
測定された電極抵抗値は2回の電極抵抗値を平均した平均抵抗値であり、n-1番目電極抵抗値は、第n-2電極抵抗値と第n-1電極抵抗値とを平均した平均抵抗値であり、n番目電極抵抗値は、第n-1電極抵抗値と第n電極抵抗値とを平均した平均抵抗値であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0024】
以上述べたように、本発明では、塩分濃度測定時電極(probe)に蓄積されるイオンを任意に放電(release)させることによって、塩分濃度の測定誤差が発生することを防止して製品の信頼性を向上させられる利点がある。
【0025】
また、塩分濃度測定時ユーザが装備をセッティングする過程を経なくて済むので、一般ユーザも容易に塩分濃度を測定できる利点がある。
【0026】
のみならず、塩度センサーを食品や溶液を収容する容器に直接に内蔵して作製することによって、容器に収容された食品の塩分濃度をいつでも容易に測定でき、もしキムチのような食品容器に適用した場合、食品の塩分濃度によって保存温度を最適に、それから自動的に制御することができるので、一般ユーザに食品の発酵及び保存機能上大きな満足を与えられる利点がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下の詳細な説明は例示にすぎず、本発明の実施形態を示したことに過ぎない。また本発明の原理と概念は最も有用であり、容易に説明する目的で提供される。
【0028】
従って、本発明の基本理解のための必要以上の詳しい構造を提供しようとしないことは勿論、通常の知識を有する者が本発明の実体から実施できる色々の形態を図面を通じて例示する。
【0029】
以下、添付した図面に基づき本発明の望ましい実施形態についてさらに詳しく説明する。
【0030】
図1は、本発明に係るイオン伝導度を用いた塩分濃度測定システムを示した図である。塩分濃度測定システムは、塩度センサー10(salinity sensor)、パルス発生器20、検出信号処理部30及び演算制御部50を含んでなる。
【0031】
そして、塩度センサー10は、第1及び第2電極11-1、11-2と第1スイッチング手段SW1、基準抵抗体Rref及び第2スイッチング手段SW2を含んでなる。
【0032】
第1スイッチング手段SW1は、所定の制御信号に応じて基準抵抗測定モードである第1出力端子T1または塩度測定モードである第2出力端子T2にスイッチングされ、外部から入力されるパルスが選択された出力端子に印加されるようにする。
【0033】
基準抵抗体Rrefは、第1スイッチング手段SW1の第1出力端子T1と接地端子との間に連結され、接地端子に印加される入力パルスに対する電圧を検出して外部演算制御部50に伝達するように構成されている。
【0034】
第1及び第2電極11-1、11−2は、第1スイッチング手段SW1の第2出力端子T2と接地端子との間に離隔して設置され、塩分濃度によって電極11の間で可変されるイオン伝導度による電圧を検出して演算制御部50に提供する。電極11の材料としては、CuまたはTiを使用することができ、CuやTiマトリックスにPt、Au、Pd、IrO2をコーティングした材料を使用することができる。
【0035】
第2スイッチング手段SW2は、第1電極11-1と第2電極11-2との間に連結され、演算制御部50の制御信号に応じてスイッチングされ、第1電極11-1と第2電極11-2の両端を電気的に短絡させて第1電極11-1または第2電極11-2に蓄積されたイオンを放電させる。ここで、塩度センサー10の第1スイッチング手段SW1、基準抵抗体Rref、第1電極11-1、第2電極11-2及び第2スイッチング手段SW2は、図2の断面図のように容器100の底面に内蔵される内蔵型に設けられ、床面の下部にモールディングを通じて容器と一体化可能である。
【0036】
また、第1及び第2電極11-1、11-2は、容器の底面に固設され電極の一側が容器内側に露出され、容器に収容された食品や溶液のイオン伝導度による電圧を検出できるようにすることが望ましい。
【0037】
このように塩度センサー10を小型化して容器に内蔵設置されることによって、容器に収容された食品や溶液をユーザが所望の時間に使いやすく塩分濃度を測定できる環境を提供するようになる。
【0038】
一方、パルス発生器20は、所定の制御信号に応じてパルスを生成して塩度センサー10に供給するように構成されている。
【0039】
検出信号処理部30は、基準抵抗体Rrefまたは第1及び第2電極11-1、11-2を通じて検出したイオン伝導度によって検出された電圧をそれぞれ提供されて増幅して整流した後、デジタル信号に変換するようになされている。具体的には、検出信号処理部30は、増幅/整流回路部31とA/Dコンバータ35とを含んでなる。
【0040】
増幅/整流回路部31は、基準抵抗体Rrefを通じて獲得した電圧または第1及び第2電極11-1、11-2を通じて検出したイオン伝導度による電圧を、それぞれ提供されて増幅して整流した後出力するように構成されている。A/Dコンバータ35は、増幅/整流回路部31から出力された信号を提供されてデジタル信号に変換した後、演算制御部50に出力するように構成されている。
【0041】
また、演算制御部50は、所定の測定開始命令に従って第1及び第2スイッチング手段SW1、SW2の動作を制御し、検出信号処理部30を通じて獲得した基準抵抗体Rrefと第1及び第2電極11-1、11-2の電圧を用いて抵抗値を計算し、第1及び第2電極11-1、11-2との間の抵抗値に基準抵抗体Rrefの基準抵抗値を減算して最終抵抗値を獲得した後、最終抵抗値に予めマッチングされた塩分濃度をメモリ60から抽出して塩分濃度を決めた後、決定された塩分濃度が表示部70にディスプレイされるように制御する。
【0042】
そして、パルス発生器20の電源入力端に第3スイッチング手段SW3が設けられているが、第3スイッチング手段SW3は演算制御部50の制御信号に応じて作動されてパルス発生器20に供給される電源を遮断するようになる。これは第2スイッチング手段SW2を通じて第1及び第2電極11-1、11-2間の短絡にも拘わらず、電極11に残存しうる残りイオンを完全に放電させて塩分濃度測定の信頼性を高めるためである。
【0043】
図面においては、第3スイッチング手段SW3をパルス発生器20に入力される電源側に設けたが、第1及び第2電極11-1、11-2に供給される電源を遮断できる位置ならばいずれも構わない。
【0044】
未説明符号40は、ユーザから塩分濃度測定命令を入力されて演算制御部50に出力する測定ボタンのようなキー入力部である。70は、演算制御部50の制御によって測定された塩分濃度を百分率でディスプレイする7-セグメント、LCDなどのような表示部である。
【0045】
また、通常イオン伝導度の場合、溶液の温度1℃当たり2%ほどの伝導度が変わる。これに鑑みて、塩度センサー10に温度センサー(図示せず)を設けて溶液の塩分濃度検出時に温度を補償して塩分濃度を換算するのが望ましい。
【0046】
一方、本発明に係る塩度センサー10は、図2のようにキムチを入れる容器100に装着される。パルス発生器20と検出信号処理部30及び演算制御部50などは、キムチ冷蔵庫の本体に装着されうる。
【0047】
この際、塩度センサー10の第1スイッチング手段SW1は、所定の電気端子を通じてパルス発生器20と電気的に連結され、塩度センサー10の基準抵抗体Rref及び複数の電極11も所定の電気端子を介して検出信号処理部30と電気的に連結されうる。図示していないが、塩度センサー10と演算制御部50側は、有線ではなく近距離無線通信方式であるIrDA(Infrared DataAssociation)、ブルートゥース(Bluethooth)、ジグビー(ZigBee)及びUWB(Ultra Wide Band)のようなWPAN(Wireless Personal Area Network)を用いて通信するように構成されうる。
【0048】
このように構成された塩分濃度測定システムの諸般動作過程を、図3a及び図3bのフローチャートを参照して説明すれば次の通りである。
【0049】
まず、演算制御部50は、キー入力部40を介してユーザの塩分濃度測定要請命令が入力されたかを判断する(S1)。
【0050】
キー入力部40から塩分濃度測定命令が入力される場合、演算制御部50は、第3スイッチング手段SW3に制御信号を出力してターンオンさせてパルス発生器20を動作させると共に、第1スイッチング手段SW1を基準抵抗測定モードである第1出力端子T1にスイッチングさせる(S2、S3)。これによりパルス発生器20で生成された約4kHzのパルスは、第1スイッチング手段SW1に出力される。
【0051】
第1スイッチング手段SW1に印加されたパルスは、第1スイッチング手段SW1の第1出力端子T1を経由して基準抵抗体Rrefに供給される。基準抵抗体Rrefを経由したパルスは、キャパシタC1を介して接地端子に流れてループを形成するようになる。
【0052】
ここで、増幅/整流回路部31は、基準抵抗体Rrefの両端に印加される電圧を検出して増幅した後整流する。整流された信号は、A/Dコンバータ35を介してデジタル信号に変換され、演算制御部50に供給される。
【0053】
次いで、演算制御部50は、A/Dコンバータ35から供給された電圧と基準抵抗体Rrefに印加されたパルス電流とを用いて基準抵抗体Rrefの抵抗値を計算した後、計算された基準抵抗値をメモリ60に保存するようになる。ここで、基準抵抗体Rrefの固有抵抗値を演算制御部50に予め保存することもできるが、基準抵抗体Rrefの固有抵抗値は温度などの周囲環境によって変わるので、現在の与えられた環境における基準抵抗体Rrefの正確な抵抗値をチェックするためにこのように基準抵抗体Rrefの抵抗値を測定する。
【0054】
このように基準抵抗体Rrefの抵抗値が測定されたら、演算制御部50は、第1スイッチング手段SW1に制御信号を出力して、スイッチを塩度測定モードである第2出力端子T2に転換させるようになる(S5)。
【0055】
これにより、第1スイッチング手段SW1に供給されたパルスは、第1スイッチング手段SW1の第2出力端子T2を経由して第1電極11-1に印加される。第1電極11-1と第2電極11-2との塩分イオンのイオン伝導度によって第2電極11-2に出力されたパルスは、抵抗R1とキャパシタC1を通じて接地端子に流れるようになる。ここで、増幅/整流回路部31は、第1及び第2電極11-1、11-2の間で発生するイオン伝導度による電圧を検出して増幅した後整流するようになる。整流された信号は、A/Dコンバータ35を通じてデジタル信号に変換され、演算制御部50に供給される。
【0056】
演算制御部50は、A/Dコンバータ35から供給された電圧と第1及び第2電極11-1、11-2に印加されたパルス電流とを用いて第1及び第2電極11-1、11-2に印加される抵抗値を計算した後、計算された抵抗値をメモリ60に保存する(S6)。
【0057】
しかし、パルス発生器20で生成されるパルスは、デューティ比が50:50の矩形波であることが望ましいが、実際は矩形波のデューティ比が正確に50%にならない。これにより、塩分濃度測定時一部直流成分が電極11に印加され、電極11に直流成分が印加されることによって、第1電極11-1または/及び第2電極11-2に分極された塩分イオン(Na+、cL-)が全て放電できなくて蓄積される。電極11にイオンが蓄積されれば、イオン伝導度が低下して第1及び第2電極11-1、11-2間の抵抗値が大きくなり、連続的な塩分濃度測定時塩分濃度が実際より低く測定されるエラーが発生する。
【0058】
これにより、第1及び第2電極11-1、11-2の間の抵抗値を測定した後、演算制御部50は、第2スイッチング手段SW2に制御信号を出力してスイッチをターンオンさせることによって、第1電極11-1と第2電極11-2との間を電気的に短絡させる。これにより、第1電極11-1または第2電極11-2に蓄積されたイオンは、放電される(S7)。
【0059】
このような過程(S5~S7)を通じて第1及び第2電極11-1、11-2間の塩分濃度を測定すると共に、第1電極11-1と第2電極11-2に蓄積されたイオンを放電させるようになる。しかし、このような過程を塩分濃度測定時の1サイクルとして見た時、測定時データのエラーを防止するために数回ないし数十回のサイクルを行って測定するようになり、測定された1次及び2次測定値間の変化がない場合有効な塩分濃度測定値として決めるようになる。
【0060】
言い換えれば、初期塩分濃度測定時にはパルスによる第1及び第2電極11-1、11-2間のイオン伝度が活発でなくて電極11間の抵抗が相当に高く現れる。このような高い抵抗値は塩分濃度による抵抗値ではなく外的な要因によるものなので、イオン伝導が活性化するまでパルスを第1及び第2電極11-1、11-2に持続的に印加しつつ反復測定を行う。このように反復的な測定を通じて獲得された1次及び2次電極測定値間の変化がない場合、塩分濃度による測定値として見なし、有効な塩分濃度測定値として決める。
【0061】
一方、演算制御部50は、1サイクルの塩分濃度測定が完了すれば、第2スイッチング手段SW2に制御信号を出力してターンオフさせた後、第1スイッチング手段SW1の第2出力端子T2を介して第1及び第2電極11−1、11−2にパルスを印加するようになる。
【0062】
これにより、増幅/整流回路部31は、第1及び第2電極11-1、11-2の間で発生するイオン伝導度による電圧を検出して増幅した後直流に整流するようになる。整流された信号は、A/Dコンバータ35を介してデジタル信号に変換され、演算制御部50に供給される。
【0063】
演算制御部50は、A/Dコンバータ35から供給された電圧データを用いて第1及び第2電極11-1、11-2に印加される抵抗値を計算した後、計算された抵抗値をメモリ60に保存するようになる。
【0064】
一方、第1及び第2電極11-1、11-2間の抵抗値を測定した後、演算制御部50は、第2スイッチング手段SW2に制御信号を出力してスイッチをターンオンさせることによって、第1電極11-1と第2電極11-2との間を電気的に短絡させる。これにより、第1電極11-1または第2電極11-2に蓄積されたイオンは、放電される。
【0065】
ここで、フローチャートには示されていないが、第1または第2電極11-2に蓄積されたイオンが多い場合、第1及び第2電極11-1、11-2の電気的な短絡をもってはイオンを完璧に放電させられないが、この場合は、演算制御部50の制御によって第3スイッチング手段SW3のスイッチをターンオフさせてパルス発生器20に供給される電源を遮断するようになる。これにより、第1及び第2電極11-1、11-2に印加される電源が一時的に完全に遮断され、電極11に残存したイオンが完全に放電される。
【0066】
電源を遮断する過程は、塩分濃度測定時の1サイクル毎に、すなわち第1及び第2電極11-1、11-2間に電気的な短絡を行った後直ちに電源を遮断する過程を行え、数回の塩分濃度測定サイクル毎に1回ずつ行うこともできる。このような電極11に蓄積されたイオンを放電させる電源遮断機能と前述した短絡機能は、必要に応じてその実行周期を変更することが可能である。
【0067】
演算制御部50は、前述したように第1及び第2電極11-1、11-2間の塩分濃度測定過程を繰り返して複数の測定値(n個)を得た後、第n測定値と第n−1測定値を相互比較して異同を判断するようになる(S8)。第n-1測定値と第n測定値が設定された範囲内の誤差値を有したり、概略同一な場合、第n測定値を電極測定値と確定する(S9)。ここで、測定値の正確性を高めるために前後測定値の平均値を比較して測定値を決めることも可能であるが、例えば、第n-2測定値及び第n-1測定値の平均値と第n-1測定値及び第n測定値の平均値とを相互比較して、平均値が概略同一な場合、第n測定値を電極測定値として決定する。
【0068】
上述のように測定値が決定されれば、演算制御部50は、測定値に対する電極抵抗値と測定した基準抵抗体Rrefに対する基準抵抗値とを相互比較してその差値を計算するようになり(S10)、計算された差値に該当する塩分濃度をメモリ60に収録された図4のようなルックアップテーブルを用いて抽出するようになり(S11)、抽出した塩分濃度が表示部70にディスプレイされるように制御するようになる(S12)。このように、第1及び第2電極11-1、11-2間の電極抵抗値と基準抵抗体Rrefの基準抵抗値との差値を最終的に使用する理由は、周辺要因によって各素子の固有抵抗値は変わっても複数の抵抗値(基準抵抗値と電極抵抗値)間の変化量は一定なのでその差値が常に同一なことから、周辺要因を問わず信頼性ある測定値を得ることができるからである。
【0069】
ルックアップテーブルは、第1及び第2電極11-1、11-2の電極抵抗値に基準抵抗値を減算した差値別に塩分濃度を予め保存しておいたものである。例えば、電極抵抗値が100Ωであり、基準抵抗値が10Ωならば、その差値は90Ωになる。従って、ルックアップテーブルの90Ωとマッチングされた0.9%が測定した塩分濃度になる。
【0070】
このようなルックアップテーブルのデータは、食塩水(塩分濃度0.9%)のように塩分濃度が既に分かっている溶液を用いて実験した結果得られた値であり、このような実験結果得られたデータをルックアップテーブルで構成したものである。
【0071】
もし、このような塩度センサー10をキムチ冷蔵庫に使われる容器の底面に内蔵する場合、容器に収容されたキムチの塩分濃度を容易に正確に測定することが可能になり、測定した塩分濃度によってキムチの保存温度を自動的に制御することができる。図4のルックアップテーブルに示したように、例えば塩分濃度が0.9%の場合、演算制御部50はキムチ温度が0.8℃になるように冷蔵温度を制御するようになり、塩分濃度が1.0%の場合キムチ温度が0.5℃になるように冷蔵温度を制御するようになる。この場合、キムチの塩分濃度毎に最適の温度制御が可能になってキムチの発酵と保存期間を現在より遥かに向上させることができる。
【0072】
以上では代表的な実施形態を通じて本発明について詳述してきたが、本発明の属する技術の分野において通常の知識を有する者は前述した実施形態について本発明の範疇から逸脱しない範囲内で多様な変形が可能であろう。
【0073】
従って、本発明の権利範囲は説明された実施形態に限らず、特許請求の範囲だけではなく、この特許請求の範囲と均等なものによって定まるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】本発明に係るイオン伝導度を用いた塩分濃度測定システムを示した図である。
【図2】本発明に係る塩度センサーが容器に内蔵された状態を示した概略的断面図である。
【図3a】本発明の実施形態による塩分濃度測定過程を示したフローチャートである。
【図3b】図3aの続きを示したフローチャートである。
【図4】本発明に係るメモリ内のルックアップテーブルの構造を示した図である。
【符号の説明】
【0075】
10…塩度センサー、11-1…第1電極、11-2…第2電極、20…パルス発生器、30…検出信号処理部、31…増幅/整流回路部、35…コンバータ、40…キー入力部、50…演算制御部、60…メモリ、70…表示部、100…容器、C1…キャパシタ、R1…抵抗、Rref…基準抵抗体、SW1…第1スイッチング手段、SW2…第2スイッチング手段、SW3…第3スイッチング手段、T1…第1出力端子、T2…第2出力端子。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基準抵抗測定端子または塩度測定端子にスイッチングされ、外部から入力されるパルスを選択された出力端子に印加する第1スイッチング手段と、
前記第1スイッチング手段の基準抵抗測定端子と接地端子との間に連結され、前記接地端子に印加されるパルスの電圧を検出して外部演算制御部に伝達する基準抵抗体と、
前記第1スイッチング手段の塩度測定端子と接地端子との間に離隔して設置され、塩分濃度によって電極の間で可変されるイオン伝導度による電圧を検出して前記演算制御部に伝達する第1電極及び第2電極と、
前記第1電極と前記第2電極との間に連結され、前記演算制御部の制御信号に応じてスイッチングされ、前記第1電極と前記第2電極の両端を電気的に短絡させて前記電極に蓄積されたイオンを放電させる第2スイッチング手段と、
を含む、イオン伝導度を用いた塩度センサー。
【請求項2】
前記第1スイッチング手段、前記基準抵抗体、前記第1電極、前記第2電極及び前記第2スイッチング手段は容器に内蔵される内蔵型であることを特徴とする、請求項1に記載のイオン伝導度を用いた塩度センサー。
【請求項3】
前記第1電極及び前記第2電極は前記容器の底面に固設され、前記電極の一側が前記容器の内側に露出されることを特徴とする、請求項2に記載のイオン伝導度を用いた塩度センサー。
【請求項4】
前記基準抵抗体と前記第1電極及び前記第2電極は相互並列に連結されることを特徴とする、請求項1または2に記載のイオン伝導度を用いた塩度センサー。
【請求項5】
容器の底面に一定間隔離隔して設置され、塩分濃度によって電極の間で可変されるイオン伝導度による電圧を検出する第1電極及び第2電極と、
制御信号に応じて基準抵抗測定端子または塩度測定端子にスイッチングされ、外部から入力されたパルスを選択された出力端子に印加する第1スイッチング手段と、
前記第1スイッチング手段の基準抵抗測定端子と接地端子との間に連結され、前記接地端子に印加されるパルスの電圧を検出して外部演算制御部に伝達する基準抵抗体と、
前記第1電極と前記第2電極との間に連結され、制御信号に応じてスイッチングされ、前記第1電極と前記第2電極の両端を電気的に短絡させて前記電極に蓄積されたイオンを放電させる第2スイッチング手段と、
外部から入力された測定開始命令に従って前記第1スイッチング手段及び前記第2スイッチング手段の動作を制御し、前記第1電極及び前記第2電極の間のイオン伝導度によって検出された電圧を用いて電極抵抗値を計算し、前記計算された電極抵抗値を用いて塩分濃度を決める演算制御部と、
を含む、イオン伝導度を用いた塩分濃度測定システム。
【請求項6】
前記演算制御部は、前記イオン伝導度によって検出された電圧を用いて電極抵抗値を測定し、前記測定された電極抵抗値に前記基準抵抗体の基準抵抗値を減算して最終抵抗値を獲得した後、前記最終抵抗値に予めマッチングされた塩分濃度をメモリから抽出して塩分濃度を決めることを特徴とする、請求項5に記載のイオン伝導度を用いた塩分濃度測定システム。
【請求項7】
前記演算制御部の制御信号に応じて前記第1スイッチング手段に印加される電源を遮断して前記第1電極及び前記第2電極に蓄積されたイオンを放電させる第3スイッチング手段をさらに含むことを特徴とする、請求項5または6に記載のイオン伝導度を用いた塩分濃度測定システム。
【請求項8】
前記第1電極及び前記第2電極を通じて検出したイオン伝導度による電圧を、提供されて増幅した後、デジタル信号に変換して前記演算制御部に出力する検出信号処理部をさらに含むことを特徴とする、請求項5または6に記載のイオン伝導度を用いた塩分濃度測定システム。
【請求項9】
前記検出信号処理部は、
前記第1電極及び前記第2電極を通じて検出したイオン伝導度による電圧と前記基準抵抗体を通じて獲得した電圧とをそれぞれ提供されて増幅して整流する増幅/整流回路部と、
前記増幅/整流回路部から出力された信号を、提供されてデジタル信号に変換した後、演算制御部に出力するA/Dコンバータと、
からなることを特徴とする、請求項8に記載のイオン伝導度を用いた塩分濃度測定システム。
【請求項10】
塩分濃度測定命令に従って、演算制御部は、パルスが基準抵抗体に印加されるように制御し、前記基準抵抗体の両端に印加される電圧を通じて基準抵抗値を測定する段階と、
前記基準抵抗値を測定した後、前記演算制御部は、前記パルスが第1電極及び第2電極に印加されるように制御し、前記第1電極及び前記第2電極の間の塩分が含まれた溶液のイオン伝導度による電圧を用いて電極抵抗値を測定する段階と、
前記電極抵抗値を測定した後、前記演算制御部は、前記第1電極と前記第2電極の両端を電気的に短絡させて電極に蓄積された残存イオンを放電させるように制御する段階と、
前記電極抵抗値を測定し、残存イオンを放電制御する段階をn回繰り返して制御し、n-1番目測定したn−1番目電極抵抗値とn番目測定したn番目電極抵抗値とが設定された範囲内の誤差値を有すれば、前記n番目測定したn番目電極抵抗値を最終電極抵抗値と決める段階と、
を含むイオン伝導度を用いた塩分濃度測定方法。
【請求項11】
前記最終電極抵抗値を決める段階で演算制御部は、前記第1電極及び前記第2電極に供給される電源を一時遮断させ電極に蓄積された残存イオンを2次に放電させる段階をさらに含むことを特徴とする、請求項10に記載のイオン伝導度を用いた塩分濃度測定方法。
【請求項12】
前記最終電極抵抗値を決めた後、演算制御部は前記決定された最終電極抵抗値と前記測定された基準抵抗値との差値を計算する段階と、
前記計算された差値に該当する塩分濃度をメモリのルックアップテーブルから抽出する段階と、
前記抽出された塩分濃度を百分率にして表示部にディスプレイさせる段階と、
をさらに行うことを特徴とする、請求項10または11に記載のイオン伝導度を用いた塩分濃度測定方法。
【請求項13】
前記測定された電極抵抗値は2回の電極抵抗値を平均した平均抵抗値であることを特徴とする、請求項10または11に記載のイオン伝導度を用いた塩分濃度測定方法。
【請求項14】
前記n-1番目電極抵抗値は、第n-2電極抵抗値と第n-1電極抵抗値とを平均した平均抵抗値であり、
前記n番目電極抵抗値は、前記第n-1電極抵抗値と第n電極抵抗値とを平均した平均抵抗値である、
ことを特徴とする、請求項13に記載のイオン伝導度を用いた塩分濃度測定方法。

【図1】
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【図2】
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【図3a】
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【図3b】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−175819(P2008−175819A)
【公開日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−8224(P2008−8224)
【出願日】平成20年1月17日(2008.1.17)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ZIGBEE
【出願人】(502032105)エルジー エレクトロニクス インコーポレイティド (2,269)
【Fターム(参考)】