説明

イオン性化合物、電解液、電気化学デバイスおよび電池

【課題】サイクル特性を向上させることが可能な電池を提供する。
【解決手段】セパレータ23に含浸された電解液は、フルオロトリフルオロメチル[オキソラト−O,O’]ホウ酸リチウムなどの非対称構造のイオン性化合物を電解質塩として含んでいる。これにより、ビス[オキソラト−O,O’]ホウ酸リチウムやジフルオロ[オキソラト−O,O’]ホウ酸リチウムなどの対称構造のイオン性化合物を電解質塩として含む場合と比較して、電解液の導電率が向上する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、イオン性化合物、それを用いた電解液、ならびにそれを用いた電気化学デバイスおよび電池に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、多様な分野において、イオン性化合物が広く使用されている。一例を挙げると、電気化学デバイスの分野では、溶解性およびイオン解離性などを重視して、PF6-あるいはBF4-などのアニオンを含むイオン性化合物が電解質塩として使用されている。
【0003】
この電気化学デバイスのうち、主に電子機器用の電源として使用される電池、特に充放電可能な二次電池の分野では、容量特性やサイクル特性などの電池特性を向上させる研究開発が盛んに行われている。中でも、充放電反応にリチウムイオンの吸蔵および放出を利用する二次電池(いわゆるリチウムイオン二次電池)や、リチウム金属の析出および溶解を利用する二次電池(いわゆるリチウム金属二次電池)は、従来の鉛電池やニッケルカドミウム電池と比較して大きなエネルギー密度が得られるため、大いに期待されている。
【0004】
この種の二次電池では、導電性および電位安定性などを重視して、炭酸プロピレンあるいは炭酸ジエチルなどの炭酸エステル系非水溶媒にLiPF6 などの電解質塩が溶解された電解液が広く使用されている。この電解質塩としては、LiPF6 の他に、LiBF4 、LiCF3 SO3 、LiClO4 あるいはLiAsF6 や、LiN(CF3 SO2 2 、LiN(C2 5 SO2 2 あるいはLiN(C4 9 SO2 )(CF3 SO2 )なども使用されている。さらに、最近では、ビス[オキサラト−O,O’]ホウ酸リチウムやジフルオロ[オキサラト−O,O’]ホウ酸リチウムなども使用されている。このジフルオロ[オキサラト−O,O’]ホウ酸リチウムについては、電気化学デバイスの分野において耐熱性および耐加水分解性などを向上させるために使用することが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2002−110235号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来のイオン性化合物は、溶解性および化学的安定性の面において未だ十分とは言えない。このため、従来のイオン性化合物を用いた電解液および電気化学デバイスでは、各種性能に自ずと限界が生じてしまう。具体的には、電解液では十分な導電率が得られず、二次電池では十分なサイクル特性が得られない。
【0006】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その第1の目的は、溶解性および化学的安定性を向上させることが可能なイオン性化合物を提供することにある。
【0007】
また、本発明の第2の目的は、導電率を向上させることが可能な電解液を提供することにある。
【0008】
さらに、本発明の第3の目的は、サイクル特性を向上させることが可能な電気化学デバイスおよび電池を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明によるイオン性化合物は、化1に示した構造を有するものである。
【化1】

(Xn+は短周期型周期表における1A族元素あるいは2A族元素からなるイオン、またはオニウムイオン、Mは遷移金属、または短周期型周期表における3B族元素、4B族元素あるいは5B族元素、Rfは炭素数1〜10のフッ素化アルキル基あるいはフッ素化アリール基、YはZC(CR2 d CZ、O2 S(CR2 e SO2 あるいはOC(CR2 e SO2 (Zは=O、ハロゲン化アルキル基あるいはハロゲン基、Rは水素基、アルキル基、ハロゲン化アルキル基あるいはハロゲン基をそれぞれ表す。)をそれぞれ表す。また、a、gおよびnはいずれも1あるいは2の整数、b、cおよびeはいずれも1〜4の整数、dは0あるいは1〜4の整数、fおよびmはいずれも1〜3の整数である。)
【0010】
本発明による電解液は、溶媒と、化2に示した電解質塩とを含むものである。
【化2】

(Xn+は短周期型周期表における1A族元素あるいは2A族元素からなるイオン、またはオニウムイオン、Mは遷移金属、または短周期型周期表における3B族元素、4B族元素あるいは5B族元素、Rfは炭素数1〜10のフッ素化アルキル基あるいはフッ素化アリール基、YはZC(CR2 d CZ、O2 S(CR2 e SO2 あるいはOC(CR2 e SO2 (Zは=O、ハロゲン化アルキル基あるいはハロゲン基、Rは水素基、アルキル基、ハロゲン化アルキル基あるいはハロゲン基をそれぞれ表す。)をそれぞれ表す。また、a、gおよびnはいずれも1あるいは2の整数、b、cおよびeはいずれも1〜4の整数、dは0あるいは1〜4の整数、fおよびmはいずれも1〜3の整数である。)
【0011】
本発明による電気化学デバイスは、化3に示した電解質塩を含有する電解液を備えたものである。
【化3】

(Xn+は短周期型周期表における1A族元素あるいは2A族元素からなるイオン、またはオニウムイオン、Mは遷移金属、または短周期型周期表における3B族元素、4B族元素あるいは5B族元素、Rfは炭素数1〜10のフッ素化アルキル基あるいはフッ素化アリール基、YはZC(CR2 d CZ、O2 S(CR2 e SO2 あるいはOC(CR2 e SO2 (Zは=O、ハロゲン化アルキル基あるいはハロゲン基、Rは水素基、アルキル基、ハロゲン化アルキル基あるいはハロゲン基をそれぞれ表す。)をそれぞれ表す。また、a、gおよびnはいずれも1あるいは2の整数、b、cおよびeはいずれも1〜4の整数、dは0あるいは1〜4の整数、fおよびmはいずれも1〜3の整数である。)
【0012】
本発明による電池は、正極および負極と共に電解液を備え、電解液が化4に示した電解質塩を含むものである。
【化4】

(Xn+は短周期型周期表における1A族元素あるいは2A族元素からなるイオン、またはオニウムイオン、Mは遷移金属、または短周期型周期表における3B族元素、4B族元素あるいは5B族元素、Rfは炭素数1〜10のフッ素化アルキル基あるいはフッ素化アリール基、YはZC(CR2 d CZ、O2 S(CR2 e SO2 あるいはOC(CR2 e SO2 (Zは=O、ハロゲン化アルキル基あるいはハロゲン基、Rは水素基、アルキル基、ハロゲン化アルキル基あるいはハロゲン基をそれぞれ表す。)をそれぞれ表す。また、a、gおよびnはいずれも1あるいは2の整数、b、cおよびeはいずれも1〜4の整数、dは0あるいは1〜4の整数、fおよびmはいずれも1〜3の整数である。)
【発明の効果】
【0013】
本発明のイオン性化合物によれば、化1に示した構造を有するようにしたので、溶解性および化学的安定性を向上させることができる。よって、このイオン性化合物を用いた本発明の電解液によれば、導電率を向上させることができる。さらに、この電解液を用いた本発明の電気化学デバイスおよび電池によれば、サイクル特性を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0015】
本発明の一実施の形態に係るイオン性化合物は、化5に示した構造を有している。このイオン性化合物のアニオンは、中心元素(M)に互いに異なる3種類の基、すなわちフッ素基(−F)と、フッ素化アルキル基あるいはフッ素化アリール基(−Rf)と、酸素キレート構造を有する配位子(−O−Y−O−)とが導入されたものである。
【0016】
【化5】

(Xn+は短周期型周期表における1A族元素あるいは2A族元素からなるイオン、またはオニウムイオン、Mは遷移金属、または短周期型周期表における3B族元素、4B族元素あるいは5B族元素、Rfは炭素数1〜10のフッ素化アルキル基あるいはフッ素化アリール基、YはZC(CR2 d CZ、O2 S(CR2 e SO2 あるいはOC(CR2 e SO2 (Zは=O、ハロゲン化アルキル基あるいはハロゲン基、Rは水素基、アルキル基、ハロゲン化アルキル基あるいはハロゲン基をそれぞれ表す。)をそれぞれ表す。また、a、gおよびnはいずれも1あるいは2の整数、b、cおよびeはいずれも1〜4の整数、dは0あるいは1〜4の整数、fおよびmはいずれも1〜3の整数である。)
【0017】
このイオン性化合物の一例をカチオンの種類ごとに分類して挙げると、以下の通りである。
【0018】
1A族元素あるいは2A族元素からなるイオンを代表してリチウムイオン(Li+ )を含むものとしては、化6に示した一連の化合物が挙げられる。すなわち、(1)のフルオロトリフルオロメチル[オキソラト−O,O’]ホウ酸リチウム、(2)のフルオロペンタフルオロエチル[オキソラト−O,O’]ホウ酸リチウム、(3)のフルオロトリフルオロメチル[マロナート−O,O’]ホウ酸リチウム、(4)のフルオロトリフルオロメチル[ジフルオロマロナート−O,O’]ホウ酸リチウム、(5)のフルオロトリフルオロメチル[3,3,3−トリフルオロ−2−オキシド−2−トリフルオロメチルプロピナート(2−)−O,O’]ホウ酸リチウム、(6)のフルオロトリスペンタフルオロエチル[オキソラト−O,O’]リン酸リチウム、(7)のフルオロトリスペンタフルオロエチル[マロナート−O,O’]リン酸リチウム、(8)のフルオロトリスペンタフルオロエチル[ジフルオロマロナート−O,O’]リン酸リチウム、(9)のフルオロトリフルオロメチル[メチレンジスルホナート−O,O’]ホウ酸リチウム、(10)のフルオロトリフルオロメチル[スルホアセテート−O,O’]ホウ酸リチウムなどである。
【0019】
【化6】

【0020】
オニウムイオンを代表してテトラエチルアンモニウムイオン((C2 5 4 + )を含むものとしては、化7に示した一連の化合物が挙げられる。すなわち、(1)のフルオロトリフルオロメチル[オキソラト−O,O’]ホウ酸テトラエチルアンモニウム、(2)のフルオロペンタフルオロエチル[オキソラト−O,O’]ホウ酸テトラエチルアンモニウム、(3)のフルオロトリフルオロメチル[マロナート−O,O’]ホウ酸テトラエチルアンモニウム、(4)のフルオロトリフルオロメチル[ジフルオロマロナート−O,O’]ホウ酸テトラエチルアンモニウム、(5)のフルオロトリフルオロメチル[3,3,3−トリフルオロ−2−オキシド−2−トリフルオロメチルプロピナート(2−)−O,O’]ホウ酸テトラエチルアンモニウム、(6)のフルオロトリスペンタフルオロエチル[オキソラト−O,O’]リン酸テトラエチルアンモニウム、(7)のフルオロトリスペンタフルオロエチル[マロナート−O,O’]リン酸テトラエチルアンモニウム、(8)のフルオロトリスペンタフルオロエチル[ジフルオロマロナート−O,O’]リン酸テトラエチルアンモニウム、(9)のフルオロトリフルオロメチル[メチレンジスルホナート−O,O’]ホウ酸テトラエチルアンモニウム、(10)のフルオロトリフルオロメチル[スルホアセテート−O,O’]ホウ酸テトラエチルアンモニウムなどである。
【0021】
【化7】

【0022】
トリエチルメチルアンモニウムイオン((C2 5 3 NCH3 + )を含むものとしては、化8に示した一連の化合物が挙げられる。すなわち、(1)のフルオロトリフルオロメチル[オキソラト−O,O’]ホウ酸トリエチルメチルアンモニウム、(2)のフルオロペンタフルオロエチル[オキソラト−O,O’]ホウ酸トリエチルメチルアンモニウム、(3)のフルオロトリフルオロメチル[マロナート−O,O’]ホウ酸トリエチルメチルアンモニウム、(4)のフルオロトリフルオロメチル[ジフルオロマロナート−O,O’]ホウ酸トリエチルメチルアンモニウム、(5)のフルオロトリフルオロメチル[3,3,3−トリフルオロ−2−オキシド−2−トリフルオロメチルプロピナート(2−)−O,O’]ホウ酸トリエチルメチルアンモニウム、(6)のフルオロトリスペンタフルオロエチル[オキソラト−O,O’]リン酸トリエチルメチルアンモニウム、(7)のフルオロトリスペンタフルオロエチル[マロナート−O,O’]リン酸トリエチルメチルアンモニウム、(8)のフルオロトリスペンタフルオロエチル[ジフルオロマロナート−O,O’]リン酸トリエチルメチルアンモニウム、(9)のフルオロトリフルオロメチル[メチレンジスルホナート−O,O’]ホウ酸トリエチルメチルアンモニウム、(10)のフルオロトリフルオロメチル[スルホアセテート−O,O’]ホウ酸トリエチルメチルアンモニウムなどである。
【0023】
【化8】

【0024】
エチルメチルイミダゾリウムイオン(C6 112 + )を含むものとしては、化9に示した一連の化合物が挙げられる。すなわち、(1)のフルオロトリフルオロメチル[オキソラト−O,O’]ホウ酸エチルメチルイミダゾリウム、(2)のフルオロペンタフルオロエチル[オキソラト−O,O’]ホウ酸エチルメチルイミダゾリウム、(3)のフルオロトリフルオロメチル[マロナート−O,O’]ホウ酸エチルメチルイミダゾリウム、(4)のフルオロトリフルオロメチル[ジフルオロマロナート−O,O’]ホウ酸エチルメチルイミダゾリウム、(5)のフルオロトリフルオロメチル[3,3,3−トリフルオロ−2−オキシド−2−トリフルオロメチルプロピナート(2−)−O,O’]ホウ酸エチルメチルイミダゾリウム、(6)のフルオロトリスペンタフルオロエチル[オキソラト−O,O’]リン酸エチルメチルイミダゾリウム、(7)のフルオロトリスペンタフルオロエチル[マロナート−O,O’]リン酸エチルメチルイミダゾリウム、(8)のフルオロトリスペンタフルオロエチル[ジフルオロマロナート−O,O’]リン酸エチルメチルイミダゾリウム、(9)のフルオロトリフルオロメチル[メチレンジスルホナート−O,O’]ホウ酸エチルメチルイミダゾリウム、(10)のフルオロトリフルオロメチル[スルホアセテート−O,O’]ホウ酸エチルメチルイミダゾリウムなどである。
【0025】
【化9】

【0026】
なお、化5に示した構造を有していれば、イオン性化合物が化6〜化9に示した化合物に限定されないことは言うまでもない。ここでは詳細に説明しないが、例えば、カチオンとしては、上記した他にアンモニウムイオン(NH4+)やホスホニウムイオン(PH4+)なども挙げられる。
【0027】
このイオン性化合物では、アニオンが、中心元素に互いに異なる3種類の基が導入された非対称構造を有しているため、アニオンが対称構造を有する場合と比較して、以下の利点が得られる。第1に、フッ素基の高い電子吸引性により解離性が向上する。第2に、フッ素化アルキル基あるいはフッ素化アリール基の高い電子吸引性により解離性が向上すると共に、それらの大きな立体サイズ(立体的な保護効果)により中心元素が反応しにくくなり、すなわち分解が抑制される。第3に、酸素キレート構造を有する配位子の大きな立体サイズにより、分解が抑制される。
【0028】
このイオン性化合物は、単体で使用されてもよいし、あるいは他の材料と混合されることにより使用されてもよい。また、イオン性化合物の使用用途は、例えば、カチオンの種類に応じて任意に設定可能である。一例を挙げると、トリエチルメチルアンモニウムイオンなどの非対称アンモニウムイオンやイミダゾリウムイオンを含むものは、単体のままでイオン性液体として使用可能である。また、リチウムイオン、アンモニウムイオンおよびホスホニウムイオンなどを含むものは、電解液を構成する電解質塩として電気化学デバイスに使用可能である。特に、リチウムイオンを含むものは二次電池などに適しており、アンモニウムイオンおよびホスホニウムイオンを含むものは電気二重層キャパシタなどに適している。
【0029】
このイオン性化合物によれば、化5に示した構造を有するようにしたので、上記したように、解離性が向上すると共に分解が抑制される。したがって、溶解性および化学的安定性を向上させることができる。
【0030】
次に、本実施の形態に係るイオン性化合物の使用例について説明する。ここで、電気化学デバイスとして、電解液を備えた二次電池を例に挙げると、イオン性化合物は以下のようにして二次電池に用いられる。
【0031】
(第1の電池)
図1は、イオン性化合物を電解質塩として用いた第1の電池の断面構成を表している。この電池は、負極の容量が電極反応物質であるリチウムの吸蔵および放出に基づく容量成分により表されるものであり、いわゆるリチウムイオン二次電池である。図1では、いわゆる円筒型と呼ばれる電池構造を示しており、ほぼ中空円柱状の電池缶11の内部に、正極21および負極22がセパレータ23を介して巻回された巻回電極体20と、一対の絶縁板12,13とが収納されている。電池缶11は、例えばニッケル(Ni)めっきが施された鉄(Fe)により構成されており、その一端部は閉鎖され、他端部は開放されている。一対の絶縁板12,13は、巻回電極体20を挟み、その巻回周面に対して垂直に延在するように配置されている。
【0032】
電池缶11の開放端部には、電池蓋14と、その電池蓋14の内側に設けられた安全弁機構15および熱感抵抗素子(Positive Temperature Coefficient;PTC素子)16とが、ガスケット17を介してかしめられることにより取り付けられており、電池缶11の内部は密閉されている。電池蓋14は、例えば、電池缶11と同様の材料により構成されている。安全弁機構15は、熱感抵抗素子16を介して電池蓋14と電気的に接続されている。この安全弁機構15では、内部短絡あるいは外部からの加熱などに起因して内圧が一定以上となった場合に、ディスク板15Aが反転することにより電池蓋14と巻回電極体20との間の電気的接続が切断されるようになっている。熱感抵抗素子16は、温度の上昇に応じて抵抗が増大することにより、電流を制限して大電流に起因する異常な発熱を防止するものである。ガスケット17は、例えば絶縁材料により構成されており、その表面にはアスファルトが塗布されている。
【0033】
巻回電極体20の中心には、例えば、センターピン24が挿入されている。この巻回電極体20では、アルミニウム(Al)などにより構成された正極リード25が正極21に接続されており、ニッケルなどにより構成された負極リード26が負極22に接続されている。正極リード25は、安全弁機構15に溶接されることにより電池蓋14と電気的に接続されており、負極リード26は、電池缶11に溶接されることにより電気的に接続されている。
【0034】
図2は、図1に示した巻回電極体20の一部を拡大して表している。正極21は、例えば、対向する一対の面を有する正極集電体21Aの両面に、正極活物質層21Bが設けられたものである。正極集電体21Aは、例えばアルミニウム、ニッケルあるいはステンレスなどの金属材料により構成されている。正極活物質層21Bは、例えば、正極活物質として、電極反応物質であるリチウムを吸蔵および放出することが可能な正極材料のいずれか1種または2種以上を含んでいる。この正極活物質層21Bは、必要に応じて、炭素材料などの導電材や、ポリフッ化ビニリデンなどの結着材を含んでいてもよい。
【0035】
リチウムを吸蔵および放出することが可能な正極材料としては、例えばコバルト酸リチウム、ニッケル酸リチウムあるいはこれらを含む固溶体(Li(Nix Coy Mnz )O2 );x、yおよびzの値はそれぞれ0<x<1,0<y<1,0<z<1,x+y+z=1である。)、またはスピネル構造を有するマンガン酸リチウム(LiMn2 4 )あるいはその固溶体(Li(Mn2-v Niv )O4 ;vの値はv<2である。)などのリチウム複合酸化物や、リン酸鉄リチウム(LiFePO4 )などのオリビン構造を有するリン酸化合物などが好ましい。高いエネルギー密度を得ることができるからである。また、上記した他、例えば酸化チタン、酸化バナジウムあるいは二酸化マンガンなどの酸化物や、二硫化鉄、二硫化チタンあるいは硫化モリブデンなどの二硫化物や、硫黄、ポリアニリンあるいはポリチオフェンなどの導電性高分子も挙げられる。
【0036】
負極22は、例えば、対向する一対の面を有する負極集電体22Aの両面に、負極活物質層22Bが設けられたものである。負極集電体22Aは、例えば銅(Cu)、ニッケルあるいはステンレスなどの金属材料により構成されている。負極活物質層22Bは、リチウムを吸蔵および放出することが可能な負極材料のいずれか1種または2種以上を含んでいる。この負極活物質層22Bは、必要に応じて、導電材あるいは結着材などを含んでいてもよい。
【0037】
リチウムを吸蔵および放出することが可能な負極材料としては、例えば、リチウムを吸蔵および放出することが可能であり、金属元素および半金属元素のうちの少なくとも1種を構成元素として含む材料が挙げられる。このような負極材料を用いれば、高いエネルギー密度を得ることができるので好ましい。この負極材料は、金属元素あるいは半金属元素の単体でも合金でも化合物でもよく、またはこれらの1種または2種以上の相を少なくとも一部に有するようなものでもよい。なお、本発明において、合金には、2種以上の金属元素からなるものに加えて、1種以上の金属元素と1種以上の半金属元素とを含むものも含める。また、非金属元素を含んでいてもよい。この組織には、固溶体、共晶(共融混合物)、金属間化合物あるいはそれらのうちの2種以上が共存するものがある。
【0038】
この負極材料を構成する金属元素あるいは半金属元素としては、例えば、リチウムと合金を形成することが可能な金属元素あるいは半金属元素が挙げられる。具体的には、マグネシウム(Mg)、ホウ素(B)、アルミニウム、ガリウム(Ga)、インジウム(In)、ケイ素、ゲルマニウム(Ge)、スズ、鉛(Pb)、ビスマス(Bi)、カドミウム(Cd)、銀(Ag)、亜鉛(Zn)、ハフニウム(Hf)、ジルコニウム(Zr)、イットリウム(Y)、パラジウム(Pd)あるいは白金(Pt)などが挙げられる。このうち、特に好ましいのは、ケイ素またはスズである。リチウムを吸蔵および放出する能力が大きく、高いエネルギー密度を得ることができるからである。
【0039】
このような負極材料としては、例えば、スズを第1の構成元素とし、そのスズに加えて第2の構成元素と第3の構成元素とを含むものが好ましい。第2の構成元素は、コバルト(Co)、鉄、マグネシウム、チタン(Ti)、バナジウム(V)、クロム(Cr)、マンガン(Mn)、ニッケル、銅、亜鉛、ガリウム、ジルコニウム、ニオブ(Nb)、モリブデン(Mo)、銀、インジウム、セリウム(Ce)、ハフニウム、タンタル(Ta)、タングステン(W)、ビスマスおよびケイ素からなる群のうちの少なくとも1種である。第3の構成元素は、ホウ素、炭素(C)、アルミニウムおよびリン(P)からなる群のうちの少なくとも1種である。第2の元素および第3の元素を含むことにより、サイクル特性を向上させることができるからである。
【0040】
中でも、負極材料としては、スズ、コバルトおよび炭素を構成元素として含み、炭素の含有量が9.9質量%以上29.7質量%以下、スズおよびコバルトの合計に対するコバルトの割合(Co/(Sn+Co))が30質量%以上70質量%以下であるCoSnC含有材料が好ましい。このような組成範囲において、高いエネルギー密度を得ることができると共に優れたサイクル特性を得ることができるからである。
【0041】
このCoSnC含有材料は、必要に応じて、さらに他の構成元素を含んでいてもよい。他の構成元素としては、例えばケイ素、鉄、ニッケル、クロム、インジウム、ニオブ、ゲルマニウム、チタン、モリブデン、アルミニウム、リン、ガリウムあるいはビスマスなどが好ましく、それらの2種以上を含んでいてもよい。容量あるいはサイクル特性をさらに向上させることができるからである。
【0042】
なお、CoSnC含有材料は、スズ、コバルトおよび炭素を含む相を有しており、この相は結晶性の低いまたは非晶質な構造を有していることが好ましい。また、CoSnC含有材料では、構成元素である炭素の少なくとも一部が、他の構成元素である金属元素あるいは半金属元素と結合していることが好ましい。サイクル特性の低下は、スズなどが凝集あるいは結晶化することによるものであると考えられるが、炭素が他の元素と結合することにより、そのような凝集または結晶化を抑制することができるからである。
【0043】
元素の結合状態を調べる測定方法としては、例えばX線光電子分光法(X-ray Photoelectron Spectroscopy;XPS)が挙げられる。このXPSでは、金原子の4f軌道(Au4f)のピークが84.0eVに得られるようにエネルギー較正された装置において、グラファイトであれば、炭素の1s軌道(C1s)のピークは284.5eVに現れる。また、表面汚染炭素であれば、284.8eVに現れる。これに対して、炭素元素の電荷密度が高くなる場合、例えば、炭素が金属元素あるいは半金属元素と結合している場合には、C1sのピークは284.5eVよりも低い領域に現れる。すなわち、CoSnC含有材料について得られるC1sの合成波のピークが284.5eVよりも低い領域に現れる場合には、CoSnC含有材料に含まれる炭素の少なくとも一部が他の構成元素である金属元素あるいは半金属元素と結合している。
【0044】
なお、XPSでは、例えば、スペクトルのエネルギー軸の補正に、C1sのピークを用いる。通常、表面には表面汚染炭素が存在しているので、表面汚染炭素のC1sのピークを284.8eVとし、これをエネルギー基準とする。XPSにおいて、C1sのピークの波形は、表面汚染炭素のピークとCoSnC含有材料中の炭素のピークとを含んだ形として得られるので、例えば、市販のソフトウエアを用いて解析することにより、表面汚染炭素のピークと、CoSnC含有材料中の炭素のピークとを分離する。波形の解析では、最低束縛エネルギー側に存在する主ピークの位置をエネルギー基準(284.8eV)とする。
【0045】
リチウムを吸蔵および放出することが可能な負極材料としては、例えば黒鉛、難黒鉛化性炭素あるいは易黒鉛化性炭素などの炭素材料も挙げられる。これらの炭素材料と上記した負極材料とを共に用いるようにしてもよい。炭素材料は、リチウムの吸蔵および放出に伴う結晶構造の変化が非常に少ないため、例えば、上記した負極材料と共に用いることにより、高エネルギー密度を得ることができると共に優れたサイクル特性を得ることができる上、さらに導電材としても機能するので好ましい。
【0046】
この二次電池では、正極活物質とリチウムを吸蔵および放出することが可能な負極材料との間で量を調整することにより、正極活物質による充電容量よりも、リチウムを吸蔵および放出することが可能な負極材料による充電容量の方が大きくなり、完全充電時においても負極22にリチウム金属が析出しないようになっている。
【0047】
セパレータ23は、正極21と負極22とを隔離し、両極の接触による電流の短絡を防止しつつリチウムイオンを通過させるものである。このセパレータ23は、例えばポリテトラフルオロエチレン、ポリプロピレンあるいはポリエチレンなどの合成樹脂からなる多孔質膜、またはセラミックからなる多硬質膜により構成されており、これらの2種以上の多孔質膜を積層した構造とされていてもよい。
【0048】
セパレータ23には、液状の電解質である電解液が含浸されている。この電解液は、液状の溶媒、例えば有機溶剤などの非水溶媒と、その非水溶媒に溶解された電解質塩とを含んでいる。
【0049】
非水溶媒としては、例えば、炭酸エチレン、炭酸プロピレン、炭酸ブチレン、炭酸ビニレン、1,3−ジオキソール−2−オン、4−ビニル−1,3−ジオキソラン−2−オン、炭酸ジメチル、炭酸ジエチル、炭酸エチルメチル、炭酸メチルプロピル、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、1,2−ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、1,3−ジオキソラン、4−メチル−1,3−ジオキソラン、1,3−ジオキサン、1,4−ジオキサン、酢酸メチル、酢酸エチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、酪酸メチル、イソ酪酸メチル、トリメチル酢酸メチル、トリメチル酢酸エチル、アセトニトリル、グルタロニトリル、アジポニトリル、メトキシアセトニトリル、3−メトキシプロピオニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリジノン、N−メチルオキサゾリジノン、N,N’−ジメチルイミダゾリジノン、ニトロメタン、ニトロエタン、スルホランあるいはジメチルスルフォキシド燐酸などが挙げられる。これらの非水溶媒は、単独で用いてもよいし、複数種を混合して用いてもよい。中でも、炭酸エチレン、炭酸プロピレン、炭酸ビニレン、炭酸ジメチルあるいは炭酸エチルメチルの少なくとも1種を用いることが好ましい。優れた充放電容量特性および充放電サイクル特性が得られるからである。
【0050】
電解質塩は、本実施の形態に係るイオン性化合物を含んでいる。電解液の導電性および化学的安定性が向上するため、サイクル特性を向上させることができるからである。
【0051】
この電解質塩は、例えば、上記したイオン性化合物に加えて、軽金属塩(イオン性化合物と一致するものを除く)のいずれか1種または2種以上を含んでいてもよい。電解液の電気化学的特性を向上させることができるからである。この軽金属塩としては、例えば、LiB(C6 5 4 、LiCH3 SO3 、LiCF3 SO3 、LiAlCl4 、LiSiF6 、LiCl、LiBr、LiPF6 、LiBF4 、LiB(OCOCF3 4 、LiB(OCOC2 5 4 、LiClO4 、LiAsF6 、LiN(CF3 SO2 2 、LiN(C2 5 SO2 2 、LiN(C4 9 SO2 )(CF3 SO2 )、リチウム環状1,2−パーフルオロエタンジスルホニルイミド、1,3−パーフルオロプロパンジスルホニルイミド、リチウム環状1,3−パーフルオロブタンジスルホニルイミド、リチウム環状1,4−パーフルオロブタンジスルホニルイミドあるいはリチウム環状パーフルオロヘプタンニ酸イミドなどが挙げられる。これらの電解質塩は、単独で用いてもよいし、複数種を混合して用いてもよい。中でも、LiPF6 、LiBF4 ,LiClO4 あるいはLiAsF6 の少なくとも1種を用いることが好ましい。より高い電気化学的特性が得られると共に高い導電率が得られるからである。特に、LiPF6 と共に、LiBF4 、LiClO4 、LiAsF6 、リチウムイミド塩あるいは環状リチウムイミド塩のうちの少なくとも1種を混合して含むようにすれば、より好ましい。より高い効果が得られるからである。
【0052】
電解質塩の含有量は、溶媒に対して0.3mol/kg以上3.0mol/kg以下の範囲内であることが好ましい。この範囲外では、イオン伝導性が極端に低下することにより十分な電池特性が得られなくなるおそれがあるからである。特に、電解質塩が軽金属塩を含む場合には、その軽金属塩の含有量が溶媒に対して0.01mol/kg以上2.0mol/kg以下の範囲内であることが好ましい。この範囲内において、より高い効果が得られるからである。
【0053】
この二次電池は、例えば、以下のようにして製造することができる。
【0054】
まず、例えば、正極集電体21Aの両面に正極活物質層21Bを形成することにより、正極21を作製する。この正極活物質層21Bを形成する際には、正極活物質の粉末と、導電材と、結着材とを混合した正極合剤をN−メチル−2−ピロリドンなどの溶剤に分散させることによりペースト状の正極合剤スラリーとし、その正極合剤スラリーを正極集電体21Aに塗布して乾燥させたのちに圧縮成型する。また、例えば、正極21と同様の手順にしたがって負極集電体22Aの両面に負極活物質層22Bを形成することにより、負極22を作製する。
【0055】
続いて、正極集電体21Aに正極リード25を溶接して取り付けると共に、負極集電体22Aに負極リード26を溶接して取り付ける。続いて、正極21および負極22をセパレータ23を介して巻回させることにより巻回電極体20を形成し、正極リード25の先端部を安全弁機構15に溶接すると共に負極リード26の先端部を電池缶11に溶接したのち、巻回電極体20を一対の絶縁板12,13で挟みながら電池缶11の内部に収納する。続いて、電池缶11の内部に電解液を注入してセパレータ23に含浸させる。最後に、電池缶11の開口端部に電池蓋14、安全弁機構15および熱感抵抗素子16をガスケット17を介してかしめることにより固定する。これにより、図1および図2に示した二次電池が完成する。
【0056】
この二次電池では、充電を行うと、例えば、正極21からリチウムイオンが放出され、電解液を介して負極22に吸蔵される。一方、放電を行うと、例えば、負極22からリチウムイオンが放出され、電解液を介して正極21に吸蔵される。
【0057】
この二次電池によれば、負極の容量がリチウムの吸蔵および放出に基づく容量成分により表される場合に、電解液に化5に示したイオン性化合物を電解質塩として含むようにしたので、その電解液において高い導電率が得られる。したがって、サイクル特性を向上させることができる。
【0058】
(第2の電池)
第2の電池は、負極22の構成が異なる点を除き、第1の電池と同様の構成、作用および効果を有していると共に同様の手順により製造される。よって、以下では、図1および図2を参照し、対応する構成要素には同一の符号を付して同一部分の説明は省略する。
【0059】
負極22は、第1の電池と同様に、負極集電体22Aの両面に負極活物質層22Bが設けられたものである。負極活物質層22Bは、例えば、スズあるいはケイ素を構成元素として含む負極活物質を含有している。具体的には、例えば、スズの単体、合金あるいは化合物、またはケイ素の単体、合金あるいは化合物を含有しており、それらの2種以上を含有していてもよい。
【0060】
この負極活物質層22Bは、例えば気相法、液相法、溶射法あるいは焼成法、またはそれらの2種以上の方法を用いて形成されたものであり、負極活物質層22Bと負極集電体22Aとが界面の少なくとも一部において合金化していることが好ましい。具体的には、界面において負極集電体22Aの構成元素が負極活物質層22Bに拡散し、あるいは負極活物質の構成元素が負極集電体22Aに拡散し、またはそれらの構成元素が互いに拡散し合っていることが好ましい。充放電に伴う負極活物質層22Bの膨張および収縮による破壊を抑制することができると共に、負極活物質層22Bと負極集電体22Aとの間の電子伝導性を向上させることができるからである。
【0061】
なお、気相法としては、例えば物理堆積法あるいは化学堆積法、具体的には真空蒸着法、スパッタ法、イオンプレーティング法、レーザーアブレーション法、熱化学気相成長(CVD;Chemical Vapor Deposition )法あるいはプラズマ化学気相成長法などが挙げられる。液相法としては、電気鍍金あるいは無電解鍍金などの公知の手法を用いることができる。焼成法とは、例えば、粒子状の負極活物質を結着材などと混合して溶剤に分散させることにより塗布したのち、結着材などの融点よりも高い温度で熱処理する方法である。焼成法に関しても公知の手法が利用可能であり、例えば雰囲気焼成法、反応焼成法あるいはホットプレス焼成法が挙げられる。
【0062】
(第3の電池)
第3の電池は、負極22の容量がリチウムの析出および溶解に基づく容量成分により表されるものであり、いわゆるリチウム金属二次電池である。この二次電池は、負極活物質層22Bがリチウム金属により構成されている点を除き、第1の電池と同様の構成を有していると共に同様の手順により製造される。よって、以下では、図1および図2を参照し、対応する構成要素には同一の符号を付して同一部分の説明は省略する。
【0063】
この二次電池は、負極活物質としてリチウム金属を用いており、これにより高いエネルギー密度を得ることができるようになっている。負極活物質層22Bは、組み立て時から既に有するようにしてもよいが、組み立て時には存在せず、充電時に析出したリチウム金属により構成されるようにしてもよい。また、負極活物質層22Bを集電体としても利用することにより、負極集電体22Aを省略するようにしてもよい。
【0064】
この二次電池では、充電を行うと、例えば、正極21からリチウムイオンが放出され、電解液を介して負極集電体22Aの表面にリチウム金属となって析出する。一方、放電を行うと、例えば、負極活物質層22Bからリチウム金属がリチウムイオンとなって溶出し、電解液を介して正極21に吸蔵される。
【0065】
この二次電池によれば、負極の容量がリチウムの析出および溶解に基づく容量成分により表される場合に、電解液に化5に示したイオン性化合物を電解質塩として含むようにしたので、サイクル特性を向上させることができる。
【0066】
(第4の電池)
図3は、第4の電池の分解斜視構成を表している。この電池は、正極リード31および負極リード32が取り付けられた巻回電極体30をフィルム状の外装部材40の内部に収容したものであり、この電池構造はいわゆるラミネート型と呼ばれている。
【0067】
正極リード31および負極リード32は、例えば、それぞれ外装部材40の内部から外部に向かって同一方向に導出されている。正極リード31および負極リード32は、例えば、それぞれアルミニウム、銅、ニッケルあるいはステンレスなどの金属材料により構成されており、薄板状または網目状とされている。
【0068】
外装部材40は、例えばナイロンフィルム、アルミニウム箔およびポリエチレンフィルムがこの順に貼り合わされた矩形状のアルミラミネートフィルムにより構成されている。この外装部材40では、例えば、ポリエチレンフィルムが巻回電極体30と対向していると共に、各外縁部が融着あるいは接着剤により互いに密着されている。外装部材40と正極リード31および負極リード32との間には、外気の侵入を防止するための密着フィルム41が挿入されている。この密着フィルム41は、正極リード31および負極リード32に対して密着性を有する材料、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、変性ポリエチレンあるいは変性ポリプロピレンなどのポリオレフィン樹脂により構成されている。
【0069】
なお、外装部材40は、上記した3層構造のアルミラミネートフィルムに代えて、他の構造を有するラミネートフィルムにより構成されていてもよいし、またはポリプロピレンなどの高分子フィルムあるいは金属フィルムにより構成されていてもよい。
【0070】
図4は、図3に示した巻回電極体30のI−I線に沿った断面構成を表している。この電極巻回体30は、正極33および負極34がセパレータ35および電解質層36を介して積層されたのちに巻回されたものであり、その最外周部は保護テープ37により保護されている。
【0071】
正極33は、正極集電体33Aの両面に正極活物質層33Bが設けられたものである。負極34は、負極集電体34Aの両面に負極活物質層34Bが設けられたものであり、その負極活物質層34Bが正極活物質層33Bと対向するように配置されている。正極集電体33A、正極活物質層33B、負極集電体34A、負極活物質層34Bおよびセパレータ35の構成は、それぞれ上記第1あるいは第2の電池における正極集電体21A、正極活物質層21B、負極集電体22A、負極活物質層22Bおよびセパレータ23の構成と同様である。
【0072】
電解質層36は、本実施の形態に係るイオン性化合物を電解質塩として含む電解液と、その電解液の保持体である高分子化合物とを含んでおり、いわゆるゲル状になっている。ゲル状の電解質は、高いイオン伝導率(例えば、室温で1mS/cm以上)を得ることができると共に電池の漏液を防止することができるので好ましい。
【0073】
高分子化合物としては、例えば、ポリアクリロニトリル、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニリデンとポリヘキサフルオロピレンとの共重合体、ポリテトラフルオロエチレン、ポリヘキサフルオロプロピレン、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリフォスファゼン、ポリシロキサン、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリメタクリル酸メチル、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、スチレン−ブタジエンゴム、ニトリル−ブタジエンゴム、ポリスチレンあるいはポリカーボネートなどが挙げられる。これらの高分子化合物は、単独で用いられてもよいし、あるいは複数種が混合されて用いられてもよい。特に、電気化学的安定性の点から、ポリアクリロニトリル、ポリフッ化ビニリデン、ポリヘキサフルオロプロピレンあるいはポリエチレンオキサイドなどを用いることが好ましい。電解液に対する高分子化合物の添加量は、両者の相溶性によっても異なるが、例えば5質量%以上50質量%以下の範囲であることが好ましい。
【0074】
なお、電解質塩の含有量は、上記した第1ないし第3の電池の場合と同様である。ただし、この場合の溶媒とは、液状の溶媒だけでなく、電解質塩を解離させることが可能なイオン伝導性を有するものまで含む広い概念である。したがって、イオン伝導性を有する高分子化合物を用いる場合には、その高分子化合物も溶媒に含まれる。
【0075】
この二次電池は、例えば、以下のようにして製造することができる。
【0076】
まず、電解液と、高分子化合物と、混合溶剤とを含む前駆溶液を調製し、正極33および負極34のそれぞれに塗布したのちに混合溶剤を揮発させることにより、電解質層36を形成する。続いて、正極集電体33Aに正極リード31を取り付けると共に、負極電体層34Aに負極リード32を取り付ける。続いて、電解質層36が形成された正極33および負極34をセパレータ35を介して積層させたのち、長手方向に巻回させると共に最外周部に保護テープ37を接着させることにより、巻回電極体30を形成する。続いて、例えば、外装部材40の間に巻回電極体30を挟み込み、その外装部材40の外縁部同士を熱融着などで密着させることにより巻回電極体30を封入する。その際、正極リード31および負極リード32と外装部材40との間に、密着フィルム41を挿入する。これにより、図3および図4に示した二次電池が完成する。
【0077】
なお、この二次電池は、以下のようにして製造してもよい。まず、正極33および負極34にそれぞれ正極リード31および負極リード32を取り付けたのち、それらの正極33および負極34をセパレータ35を介して積層および巻回させると共に最外周部に保護テープ37を接着させることにより、巻回電極体30の前駆体である巻回体を形成する。続いて、外装部材40の間に巻回体を挟み込み、一辺の外周縁部を除く残りの外周縁部を熱融着などで密着させることにより、袋状の外装部材40の内部に収納する。続いて、電解液と、高分子化合物の原料であるモノマーと、重合開始剤と、必要に応じて重合禁止剤などの他の材料とを含む電解質用組成物を調製し、袋状の外装部材40の内部に注入したのち、外装部材40の開口部を熱融着などで密封する。最後に、モノマーを熱重合させて高分子化合物とすることにより、ゲル状の電解質層36を形成する。これにより、図3および図4に示した二次電池が完成する。
【0078】
この二次電池の作用および効果は、上記した第1あるいは第2の二次電池と同様である。
【実施例】
【0079】
本発明の具体的な実施例について詳細に説明する。
【0080】
まず、以下の手順により、本発明のイオン性化合物を代表して、化6(1)に示したフルオロトリフルオロメチル[オキソラト−O,O’]ホウ酸リチウムを合成した。すなわち、炭酸ジメチル(DMC)が配位したフルオロトリフルオロメチルホウ酸リチウム10gと、シュウ酸4.7gと、DMC60mlとを混合し、それにテトラクロロシラン4.9gを攪拌しながら滴下したのち、一晩攪拌を続けて反応させた。反応後、減圧して反応物を濃縮したのち、DMCとトルエンとの混合溶媒で再結晶することにより、無色の化合物6.5gを得た。
【0081】
この化合物について、重水素化溶媒としてアセトン−d6 を用いて核磁気共鳴法(nuclear magnetic resonance;NMR)により同定した。その結果、11B−NMRスペクトル(NaBH4 基準)が1.08ppm(quin.)に見られたと共に、19F−NMRスペクトル(CF3 COOH基準)が−77.5ppm(m)および−167.4ppm(m)に見られた。この結果より、得られた化合物がフルオロトリフルオロメチル[オキソラト−O,O’]ホウ酸リチウムであることを確認できた。このことから、本発明のイオン性化合物を合成可能であることが確認された。
【0082】
次に、以下の手順により、イオン性化合物を電解質塩として用いて一連の電解液を調製した。
【0083】
(実施例1)
炭酸エチレン(EC)とDMCとを1;1の体積比で混合したのち、それに電解質塩として上記したフルオロトリフルオロメチル[オキソラト−O,O’]ホウ酸リチウムを溶解させた。この際、濃度が1mol/dm3 となるようにした。
【0084】
(比較例1−1)
電解質塩としてフルオロトリフルオロメチル[オキソラト−O,O’]ホウ酸リチウムに代えてビス[オキソラト−O,O’]ホウ酸リチウムを用いた点を除き、実施例1と同様の手順を経た。
【0085】
(比較例1−2)
電解質塩としてフルオロトリフルオロメチル[オキソラト−O,O’]ホウ酸リチウムに代えてジフルオロ[オキソラト−O,O’]ホウ酸リチウムを用いた点を除き、実施例1と同様の手順を経た。
【0086】
これらの実施例1および比較例1−1,1−2の電解液について、交流二極式セルにより25℃における導電率(mS/cm)を測定したところ、表1に示した結果が得られた。
【0087】
【表1】

【0088】
表1に示したように、電解液の導電率は、実施例1および比較例1−1,1−2において、それぞれ9.18mS/cm,5.47mS/cm,8.72mS/cmであった。すなわち、導電率は、対称構造のビス[オキソラト−O,O’]ホウ酸リチウムおよびジフルオロ[オキソラト−O,O’]ホウ酸リチウムをそれぞれ含む比較例1−1,1−2よりも、非対称構造のフルオロトリフルオロメチル[オキソラト−O,O’]ホウ酸リチウムを含む実施例1において高くなった。このことから、本発明の電解液では、化5に示した構造を有するイオン性化合物を電解質塩として含むことにより、導電率が向上することが確認された。
【0089】
次に、以下の手順により、電解液を用いた一連の二次電池として、図1および図2に示した円筒型の二次電池を製造した。
【0090】
(実施例2)
まず、負極22を作製した。すなわち、フィラーとなる石炭コークス100質量部にバインダーとなる石油系ピッチ50質量部を加え、100℃で混合したのち、プレスして圧縮成型することにより、炭素成型体の前駆体を得た。続いて、前駆体を1000℃以下で熱処理することにより、炭素成型体を得た。続いて、200℃以下で溶融させたバインダーピッチを炭素成型体に含浸させたのちに1000℃で熱処理するピッチ含浸/焼成工程を数回繰り返した。続いて、炭素成型体を負活性雰囲気中において最高3000℃で熱処理することにより、黒鉛化成型体を得た。続いて、黒鉛化成型体を粉砕することにより、粉末状の負極活物質とした。
【0091】
続いて、負極活物質として黒鉛粉末90質量部と、結着材としてポリフッ化ビニリデン(PVDF)10質量部とを混合して負極合剤としたのち、溶媒としてN−メチル−2−ピロリドンに分散させることにより、ペースト状の負極合剤スラリーとした。続いて、帯状の銅箔からなる負極集電体22Aの両面に負極合剤スラリーを塗布して乾燥させたのちに圧縮成型することにより、負極活物質層22Bを形成した。この際、負極活物質層22Bの面積密度が25mg/cm2 となるようにした。最後に、負極集電体22Aの一端に、ニッケル製の負極リード26を溶接して取り付けた。
【0092】
次に、正極21を作製した。すなわち、炭酸リチウム(Li2 CO3 )と炭酸コバルト(CoCO3 )とを0.5:1のモル比で混合したのち、空気中において900℃で5時間焼成することにより、リチウム・コバルト複合酸化物(LiCoO2 )を得た。得られたLiCoO2 をX線回折法で分析したところ、JCPDS(Joint Committee of Powder Diffraction Standard)ファイルに登録されたピークとよく一致していた。続いて、LiCoO2 を粉砕することにより、粉末状の正極活物質とした。この際、レーザ回折法により得られる累積50%粒径は15μmであった。
【0093】
続いて、LiCoO2 95質量部と、Li2 CO3 5質量部とを混合したのち、正極活物質として混合物91質量部と、導電材としてグラファイト6質量部と、結着材としてポリフッ化ビニリデン3質量部とを混合することにより正極合剤とし、溶媒としてN−メチル−2−ピロリドンに分散させることにより、ペースト状の正極合剤スラリーとした。続いて、帯状のアルミニウム箔(厚さ20μm)からなる正極集電体21Aの両面に正極合剤スラリーを塗布して乾燥させたのちに圧縮成型することにより、正極活物質層22Bを形成した。この際、正極活物質層22Bの面積密度が55mg/cm2 となるようにした。最後に、正極集電体21Aの一端に、アルミニウム製の正極リード25を溶接して取り付けた。
【0094】
続いて、負極22と、微多孔性ポリプロピレンフィルム(厚さ25μm)からなるセパレータ23と、正極21とをこの順に積層してから渦巻状に多数回巻回させたのち、巻き終わり部分を粘着テープで固定することにより、外径18mmの巻回電極体20を形成した。続いて、ニッケルめっきが施された鉄製の電池缶11を準備したのち、巻回電極体20を一対の絶縁板12,13で挟み、負極リード26を電池缶11に溶接すると共に正極リード25を安全弁機構15に溶接して、その巻回電極体20を電池缶11の内部に収納した。続いて、電池缶11の内部に、減圧方式により上記した実施例1の電解液を注入した。続いて、表面にアスファルトが塗布されたガスケット17を介して電池缶11をかしめることにより、安全弁機構15、熱感抵抗素子16および電池蓋14を固定した。これにより、電池缶11の内部の気密性が確保され、直径18mmおよび高さ65mmの円筒型の二次電池が完成した。
【0095】
(比較例2−1)
電解質塩としてフルオロトリフルオロメチル[オキソラト−O,O’]ホウ酸リチウムに代えてLiPF6 を用いた点を除き、実施例1と同様の手順により電解液を調製したのち、その電解液を用いて実施例2と同様の手順を経た。
【0096】
(比較例2−2)
実施例1の電解液に代えて比較例1−2の電解液を用いた点を除き、実施例2と同様の手順を経た。
【0097】
これらの実施例2および比較例2−1,2−2の二次電池についてサイクル特性を調べたところ、表2に示した結果が得られた。このサイクル特性を調べるためには、充放電サイクルを100回繰り返すことにより、1サイクル目の放電容量に対する100サイクル目の放電容量の維持率、すなわち放電容量維持率(%)=(100サイクル目の放電容量/1サイクル目の放電容量)×100を算出した。その際、1サイクルの充放電条件として、第1回充電電流2.75A(1.25C)で充電電圧4.1Vまで充電し、第2回充電電流1.1A(0.5C)で最大充電電圧4.2Vまで充電し、4.2V定電圧充電して電流20mAで充電を完了したのち、電流2Aで3.0Vまで放電した。
【0098】
【表2】

【0099】
表2に示したように、二次電池の放電容量維持率は、実施例2および比較例2−1,2−2において、それぞれ88%,85%,83%であった。すなわち、放電容量維持率は、LiPF6 およびジフルオロ[オキソラト−O,O’]ホウ酸リチウムをそれぞれ含む比較例2−1,2−2よりも、フルオロトリフルオロメチル[オキソラト−O,O’]ホウ酸リチウムを含む実施例2において高くなった。このことから、本発明の二次電池では、電解液が化5に示した構造を有するイオン性化合物を電解質塩として含むことにより、サイクル特性が向上することが確認された。
【0100】
以上、実施の形態および実施例を挙げて本発明を説明したが、本発明は上記した実施の形態および実施例において説明した態様に限定されず、種々の変形が可能である。例えば、本発明のイオン性化合物の使用用途は、必ずしも既に説明した用途に限らず、他の用途であってもよい。他の用途としては、例えば、合成用触媒などが挙げられる。
【0101】
また、上記実施の形態および実施例では、本発明の二次電池の電解質として、電解液、あるいは電解液を高分子化合物に保持させたゲル状電解質を用いる場合について説明したが、他の種類の電解質を用いるようにしてもよい。他の電解質としては、例えば、イオン伝導性セラミックス、イオン伝導性ガラスあるいはイオン性結晶などのイオン伝導性無機化合物と電解液とを混合したものや、他の無機化合物と電解液とを混合したものや、これらの無機化合物とゲル状電解質とを混合したものなどが挙げられる。
【0102】
また、上記実施の形態および実施例では、本発明の二次電池として、負極の容量がリチウムの吸蔵および放出に基づく容量成分により表されるリチウムイオン二次電池、あるいは負極活物質にリチウム金属を用い、負極の容量がリチウムの析出および溶解に基づく容量成分により表されるリチウム金属二次電池について説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。本発明の二次電池は、リチウムを吸蔵および放出することが可能な負極材料の充電容量を正極の充電容量よりも小さくすることにより、負極の容量がリチウムの吸蔵および放出に基づく容量成分とリチウムの析出および溶解に基づく容量成分とを含み、かつそれらの容量成分の和により表される二次電池についても同様に適用可能である。
【0103】
また、上記実施の形態または実施例では、本発明の二次電池の電池構造として、円筒型またはラミネートフィルム型を例に挙げて説明したが、本発明の二次電池は、コイン型、ボタン型あるいは角型などの他の形状を有する二次電池、または積層構造などの他の構造を有する二次電池についても同様に適用可能である。また、本発明は、二次電池に限らず、一次電池などの他の電池についても同様に適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0104】
【図1】本発明の一実施の形態に係るイオン性化合物を電解質塩として用いた第1の電池の構成を表す断面図である。
【図2】図1に示した巻回電極体の一部を拡大して表す断面図である。
【図3】本発明の一実施の形態に係るイオン性化合物を電解質塩として用いた第3の電池の構成を表す分解斜視図である。
【図4】図3に示した巻回電極体のI−I線に沿った構成を表す断面図である。
【符号の説明】
【0105】
11…電池缶、12,13…絶縁板、14…電池蓋、15…安全弁機構、15A…ディスク板、16…熱感抵抗素子、17…ガスケット、20,30…巻回電極体、21,33…正極、21A,33A…正極集電体、21B,33B…正極活物質層、22,34…負極、22A,34A…負極集電体、22B,34B…負極活物質層、23,35…セパレータ、24…センターピン、25,31…正極リード、26,32…負極リード、36…電解質層、37…保護テープ、40…外装部材、41…密着フィルム。











































【特許請求の範囲】
【請求項1】
化1に示した構造を有する
ことを特徴とするイオン性化合物。
【化1】

(Xn+は短周期型周期表における1A族元素あるいは2A族元素からなるイオン、またはオニウムイオン、Mは遷移金属、または短周期型周期表における3B族元素、4B族元素あるいは5B族元素、Rfは炭素数1〜10のフッ素化アルキル基あるいはフッ素化アリール基、YはZC(CR2 d CZ、O2 S(CR2 e SO2 あるいはOC(CR2 e SO2 (Zは=O、ハロゲン化アルキル基あるいはハロゲン基、Rは水素基、アルキル基、ハロゲン化アルキル基あるいはハロゲン基をそれぞれ表す。)をそれぞれ表す。また、a、gおよびnはいずれも1あるいは2の整数、b、cおよびeはいずれも1〜4の整数、dは0あるいは1〜4の整数、fおよびmはいずれも1〜3の整数である。)
【請求項2】
フルオロトリフルオロメチル[オキソラト−O,O’]ホウ酸リチウムであることを特徴とする請求項1記載のイオン性化合物。
【請求項3】
溶媒と、化2に示した電解質塩とを含む
ことを特徴とする電解液。
【化2】

(Xn+は短周期型周期表における1A族元素あるいは2A族元素からなるイオン、またはオニウムイオン、Mは遷移金属、または短周期型周期表における3B族元素、4B族元素あるいは5B族元素、Rfは炭素数1〜10のフッ素化アルキル基あるいはフッ素化アリール基、YはZC(CR2 d CZ、O2 S(CR2 e SO2 あるいはOC(CR2 e SO2 (Zは=O、ハロゲン化アルキル基あるいはハロゲン基、Rは水素基、アルキル基、ハロゲン化アルキル基あるいはハロゲン基をそれぞれ表す。)をそれぞれ表す。また、a、gおよびnはいずれも1あるいは2の整数、b、cおよびeはいずれも1〜4の整数、dは0あるいは1〜4の整数、fおよびmはいずれも1〜3の整数である。)
【請求項4】
化3に示した電解質塩を含有する電解液を備えた
ことを特徴とする電気化学デバイス。
【化3】

(Xn+は短周期型周期表における1A族元素あるいは2A族元素からなるイオン、またはオニウムイオン、Mは遷移金属、または短周期型周期表における3B族元素、4B族元素あるいは5B族元素、Rfは炭素数1〜10のフッ素化アルキル基あるいはフッ素化アリール基、YはZC(CR2 d CZ、O2 S(CR2 e SO2 あるいはOC(CR2 e SO2 (Zは=O、ハロゲン化アルキル基あるいはハロゲン基、Rは水素基、アルキル基、ハロゲン化アルキル基あるいはハロゲン基をそれぞれ表す。)をそれぞれ表す。また、a、gおよびnはいずれも1あるいは2の整数、b、cおよびeはいずれも1〜4の整数、dは0あるいは1〜4の整数、fおよびmはいずれも1〜3の整数である。)
【請求項5】
正極および負極と共に電解液を備えた電池であって、
前記電解液は、化4に示した電解質塩を含む
ことを特徴とする電池。
【化4】

(Xn+は短周期型周期表における1A族元素あるいは2A族元素からなるイオン、またはオニウムイオン、Mは遷移金属、または短周期型周期表における3B族元素、4B族元素あるいは5B族元素、Rfは炭素数1〜10のフッ素化アルキル基あるいはフッ素化アリール基、YはZC(CR2 d CZ、O2 S(CR2 e SO2 あるいはOC(CR2 e SO2 (Zは=O、ハロゲン化アルキル基あるいはハロゲン基、Rは水素基、アルキル基、ハロゲン化アルキル基あるいはハロゲン基をそれぞれ表す。)をそれぞれ表す。また、a、gおよびnはいずれも1あるいは2の整数、b、cおよびeはいずれも1〜4の整数、dは0あるいは1〜4の整数、fおよびmはいずれも1〜3の整数である。)

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−332067(P2007−332067A)
【公開日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−164730(P2006−164730)
【出願日】平成18年6月14日(2006.6.14)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】