説明

イソインドール誘導体

【課題】 静脈投与可能な麻酔・鎮静薬の製造に有用な新規化合物を提供する。
【解決手段】 本発明は式I
【化1】


(I)
[式中、Rはメチル、または2個のRが結合して炭素数2〜4のアルキレン基を形成する、Rはヒドロキシ、炭素数1〜3のアルコキシまたはオキソで置換されている直鎖状又は分岐鎖状、炭素数1〜5の脂肪族飽和炭化水素基、または炭素数3〜6の直鎖状または分岐鎖状不飽和炭化水素基、Xは水素またはハロゲン基]で示される化合物またはその塩を提供する。本発明の化合物は、哺乳動物において鎮静を誘導することにより、麻酔・鎮静薬として有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規イソインドール誘導体に関する。本発明のイソインドール誘導体は、医薬、特に麻酔・鎮静薬の製造に有用である。
【背景技術】
【0002】
中枢神経系に作用する薬剤としてこれまでにイソインドリン骨格を有する多くの化合物が知られている。これらの多くは特許文献1や特許文献2に示されているごとく、精神安定剤、鎮痙剤または抗不安薬の開発を目的としたものであった。
【0003】
現在、全身麻酔・鎮静用剤として用いられているプロポフォール(2,6−ジイソプロピルフェノール)は水にほとんど溶けないため、大豆油、グリセリン、精製卵リン脂質の乳濁液にエマルジョン化させた製剤において臨床的に使用されている。このため注射時の血管痛や脂質蓄積および易感染性等の副作用が指摘されている。よって、注射用剤形として調製するため水溶性であることが望ましい。
【0004】
本出願人は特定のイソインドリン誘導体が中枢神経系に作用し、副作用が少なく、水に溶解乃至は混和させ得ることを見いだし、別途出願している(特許文献3)。
【特許文献1】特開昭47−12322号公報
【特許文献2】特開昭58−189163号公報
【特許文献3】特開2004−189733号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本願発明は水溶性もしくは水混和性である麻酔・鎮静薬、特に静脈投与される麻酔・鎮静薬の製造に有用な新規化合物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、下記式で示される化合物またはその塩を提供する:
【化1】

[式中、Rはメチル、または2個のRが結合して炭素数2〜4のアルキレン基を形成する、
はヒドロキシ、炭素数1〜3のアルコキシまたはオキソで置換されている直鎖状又は分岐鎖状、炭素数1〜5の脂肪族飽和炭化水素基、または炭素数3〜6の直鎖状または分岐鎖状不飽和炭化水素基、
Xは水素またはハロゲン基]。
【0007】
本発明の化合物は、哺乳類に対して好適な鎮静作用を有し、麻酔・鎮静薬の製造に好適に用いることができる。
【0008】
本発明はさらに、式(I)で表される化合物またはその医薬上許容される塩および医薬上許容されるビヒクルを含有する、哺乳動物用の麻酔・鎮静薬組成物を提供する。本発明の麻酔・鎮静薬組成物は、特に静脈投与可能な麻酔薬および鎮静薬として全身麻酔、および術後や集中治療における鎮静管理に好適に用いられる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
式(I)の化合物において、好適にはRはメチル基または2個のR1が結合して−CHCHCH−を形成する基である。
【0010】
が炭素数3〜6の直鎖状または分岐鎖状不飽和炭化水素基である場合、R2の炭素数はより好適には3〜4である。不飽和結合が二重結合である場合、二重結合は1または2個、好適には1個含有される。不飽和結合が三重結合である場合、三重結合は1個含有するものが好ましい。
【0011】
がヒドロキシ、炭素数1〜3のアルコキシおよびオキソから成る群から選択される1または2の置換基で置換されている直鎖状又は分岐鎖状、炭素数1〜5の脂肪族飽和炭化水素基である場合、脂肪族飽和炭化水素基の炭素数は好適には2〜4、より好ましくは2または3である。好適にはR全体の炭素原子数が2〜6、より好ましくは2〜4である基が用いられる。
【0012】
置換基は、ヒドロキシ、オキソおよび炭素数1〜3のアルコキシであるが、特にメトキシ基が好適に用いられる。置換基の数は、メトキシ基の場合は1個または2個が好ましく、その他の基の場合には好適には1個である。
【0013】
より具体的には、Rとしては
−CHCH=CH
−CHCH=CHCH
−CHCH=CHCHCH
−CHCH=C(CH)
−CHCHCH=CH
−CHC(CH)=CH
−CH(CH)CH=CH
−CHC≡CH
−CHC≡CCH
−CHC≡CCHCH
−CHCHOCH
−CHOCH
−CHOCHCH
−CHCHOCHCH
−CHCHOH
−CHCHCHOH
−CHC(=O)CH
−CHC(=O)CHCH
−CHCHC(=O)CHCH
−CHCH(OCH)
−CHCHCH(OCH)
が例示される。
【0014】
これらのうち、好適に用いられるものは、
−CHCH=CH
−CHC(CH)=CH
−CHC≡CH
−CHCHOCH
−CHCHOH
−CHC(=O)CH、および
−CHCH(OCH)である。
【0015】
そして、最も好適には、
−CHCH=CH
−CHC(CH)=CHおよび
−CHC≡CH
である。
【0016】
式(I)においてXは水素またはハロゲンである。ハロゲン原子としては、塩素、フッ素、臭素、ヨウ素のいずれであってもよいが、フッ素が特に好ましい。ハロゲン原子はフェニル基上のいずれの位置に結合していてもよいが、特にメタ位に結合したものが好適に用いられる。
【0017】
合成方法
以下、本発明の化合物の合成方法について説明する。下記の方法は例示であり、本発明の化合物は公知のいずれの方法を用いて得てもよい。
本発明化合物(I)は下記のスキームにしたがって製造することができる。
(反応式中、R1、R2およびXは前記と同意義)
【化2】

【0018】
上記スキームにおいて出発物質となる上記(II)で示される化合物は、以下のごとく得ることができる。
4,5−ジメチル無水フタル酸(II−1)は、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエンと無水マレイン酸との反応で得られた酸無水物を酢酸溶媒中、臭素と加熱することにより得られる。
5,6−インダンジカルボン酸無水物(II−2)は、1,6−ヘプタジインとアセチレンジカルボン酸 ジエチルエステルとの反応で得られたジエステル体を塩酸によりジカルボン酸へと変換し、無水酢酸で脱水閉環することにより得ることができる。
【化3】


【0019】
上記のごとく適当な出発物質(II)を得、これを酢酸またはジメチルホルムアミド溶媒中、式:
【化4】

(式中、Xは前記と同意義)
で表わされるアミンと加熱下で反応させて化合物(III)を得る。
【0020】
次いで特開昭58−189163に記載されている方法に準じて、化合物(III)をメタノール、テトラヒドロフラン混合溶媒中、水素化ホウ素ナトリウムで還元して化合物(IV)へと導き、トルエン溶媒中、PhP=CHCOOCHCHと加熱して化合物(V)とした後、これを加水分解することにより(VI)を得ることができる。
最後に(VI)をWSC〔1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド ハイドロクロリド〕およびHOBT(1−ヒドロキシベンゾトリアゾール ハイドレート)存在下、対応するピペラジン誘導体(VIII)とジメチルホルムアミドまたはテトラヒドロフラン溶媒中で反応させることにより製造できる。
上記のピペラジン誘導体
【化5】

(式中、R2は上記と同意)
は市販試薬として入手可能なものを用いてもよく、または下記のスキームにしたがって製造してもよい。
【化6】

【0021】
即ち、アセトニトリル溶媒中、1-tert-ブトキシカルボニルピペラジン(IX)を炭酸カリウム存在下、適当なブロモ体またはクロロ体と加熱して(X)を得、これにトリフルオロ酢酸を作用させて(VIII)を得ることができる。
【0022】
本発明の式(I)で表される化合物は、酸付加塩、とりわけ医薬上許容される酸付加塩を形成していてもよい。酸付加塩としては例えば無機酸(例、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、臭化水素酸)、あるいは有機酸(例、酢酸、プロピオン酸、フマル酸、マレイン酸、酒石酸、クエン酸、リンゴ酸、シュウ酸、安息香酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸)との塩が挙げられる。
【0023】
本発明の化合物は光学異性体を含む。各異性体およびラセミ体のいずれも本発明の範囲に包含されるものである。本発明化合物は、通常、ラセミ体として得られるが、必要に応じて自体公知の常套の方法によって光学活性体に分割してもよい。
【0024】
麻酔の3要素として、意識をなくす鎮静作用、刺激の受容および伝達を抑制する鎮痛作用および不必要な体動や有害な反射反応を抑制する筋弛緩作用がある。臨床において、麻酔に際してはそれぞれの作用を示す物質を必要に応じ組み合わせて用いている。本発明のイソインドール誘導体はヒトを含む哺乳動物に作用し、強い鎮静作用を誘導することから、哺乳動物のための麻酔・鎮静用薬として有用である。
【0025】
本発明の化合物は、医薬上許容し得る塩にする、または溶解補助剤を用いることにより容易に水溶性または水混和性とすることができる。このため、本発明の化合物は理想的な静脈投与可能な麻酔・鎮静薬の製造に有用である。医薬上許容し得る塩としては、上記のいずれも好適に用いることができる。
【0026】
本発明の麻酔・鎮静薬組成物は、錠剤、顆粒剤、カプセル剤、注射剤、点眼剤、眼軟膏、坐剤など種々の剤型で、人を含む哺乳動物に経口的、もしくは非経口的例えば静脈内、硬膜外、脊髄内、皮下、筋肉内等に投与して用いることができる。特に好ましくは、医薬上許容されるビヒクルに直接溶解して、または溶解補助剤を用いて溶解させて得られる、静脈投与可能な剤形として提供される麻酔・鎮静薬である。
【0027】
本発明の麻酔・鎮静薬組成物に好適に用いられる医薬上許容されるビヒクルとしては、精製水、生理食塩水、注射用水、リンゲル液が挙げられる。特に生理食塩水が好ましい。
【0028】
本発明の式(I)の化合物のほとんどは、医薬上許容される塩の形とすることによって、容易に水溶性となる。また、一部水に溶けにくい化合物を用いる場合には、溶解補助剤を用いることによって水溶液とすることができる。
【0029】
溶解補助剤としては、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、シクロデキストリン、グリセリン、エタノール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコールなどが挙げられる。
本発明の麻酔・鎮静薬組成物は、使用前に水もしくは生理食塩水等の適当なビヒクルと混合して用いられる粉末状組成物として提供されてもよい。
【0030】
本発明の麻酔・鎮静薬組成物には、上記のほか、通常の注射用製剤に添加される他の成分を含有させてもよい。他の成分としては、以下に限定されることはないが、等張化剤、例えば塩化ナトリウムおよびブドウ糖;緩衝剤、例えばクエン酸カルシウム、クエン酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸ナトリウム、リン酸水素ナトリウム、リン酸二水素カリウム;防腐剤、例えばベンジルアルコールおよびフェノール;抗酸化剤、例えばピロ亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウムおよびアスコルビン酸;保存剤、例えば塩化ベンゼトニウム、塩化ベンザルコニウム、フェノール、クレゾール、クロロブタノールおよびベンジルアルコール;およびキレート剤、例えばEDTA、チオグリコール酸、チオ乳酸、チオグリセリンが例表される。
【0031】
本発明の麻酔・鎮静薬組成物には、本発明の目的に反しない限り、その他の薬効成分を添加してもよい。
本発明の麻酔・鎮静薬組成物は、特に静脈投与によって鎮静作用を誘導することが可能であり、外科的手術の際の麻酔の導入、麻酔の維持、および術後の鎮静管理のために、あるいは集中治療時の鎮静管理、例えば人工呼吸中などにおいて好適に用いられる。これら麻酔や鎮静管理の各段階において、必要に応じてその他の鎮痛薬および/または筋弛緩薬と適宜組み合わせて使用することができる。
【0032】
本発明の式(I)の化合物もしくはその塩の有効量は特に限定されず、投与対象の年齢、性別、体重、健康状態等、および目的とする麻酔深度や麻酔持続時間ならびに鎮静深度や持続時間などによって適宜選択すればよい。
【0033】
麻酔・鎮静薬として使用する場合の典型例として、以下のごとき態様が挙げられる。全身麻酔の導入時には本発明のイソインドール誘導体を約0.1〜10mg/kg、好ましくは1.0〜5.0mg/kgを静脈投与する。麻酔維持には0.5〜25mg/kg/時、好ましくは1.0〜15mg/kg/時で連続的に静脈投与する。集中治療時の鎮静の維持または術後鎮静管理においては0.05〜10mg/kg/時、好ましくは0.1〜5.0mg/kg/時を連続的に静脈投与する。本発明の化合物の投与量はこの数値範囲に限定されるわけではない。
【0034】
以下に試験例、参考例、実施例などを示して本発明をさらに具体的に説明するが、本発明がこれらの範囲に限定されるものではない。
【0035】
参考例1
5,6−インダンジカルボン酸無水物
(a) 5,6−インダンジカルボン酸 ジエチルエステル
1,6−ヘプタジイン(0.72 ml, 6.3 mmol)のキシレン(5 ml)溶液にアセチレンジカルボン酸 ジエチルエステル(1.0 ml, 6.3 mmol)およびジカルボニルシクロペンタジエニルコバルト(0.1 ml, 0.62 mmol)を滴下後、80℃で5日間撹拌した。反応液に希塩酸を加え、酢酸エチルで抽出、有機層を飽和食塩水で洗浄、乾燥、減圧濃縮し、残渣をシリカゲルクロマトグラフィ−(クロロホルム 続いてヘキサン:酢酸エチル=10:1)で精製することにより5,6−インダンジカルボン酸 ジエチルエステル 0.36 gを得た。
【0036】
(b) 5,6−インダンジカルボン酸
上記(a)の生成物(0.36 g, 1.4 mmol)の酢酸(0.8 ml)溶液に濃塩酸(0.4 ml)を加え、80℃で一夜撹拌した。反応液に氷水を加え、析出結晶を濾取、水洗、乾燥することにより5,6−インダンジカルボン酸 0.28 g を得た。
【0037】
(c) 5,6−インダンジカルボン酸無水物
上記(b)の生成物(0.28 g,1.4 mmol)を無水酢酸(6.7 ml)中、一夜加熱還流した。反応液を氷水中に注ぎ、析出結晶を濾取、水洗、乾燥することにより標題化合物 0.25 gを得た。
【0038】
参考例2
4,5−ジメチル無水フタル酸
(a) 5,6−ジメチル−3a,4,7,7a−テトラヒドロ−2−ベンゾフラン−1,3−ジオン
無水マレイン酸 (5.4 g, 55 mmol) のベンゼン (50 ml) 溶液に2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン (6.3 ml, 55 mmol) を滴下後、25℃で一夜撹拌した。不溶物を濾別後、濾液を減圧濃縮することにより5,6−ジメチル−3a,4,7,7a−テトラヒドロ−2−ベンゾフラン−1,3−ジオン 9.5 g を得た。
【0039】
(b) 4,5−ジメチル無水フタル酸
上記(a)の生成物 (9.5 g, 53 mmol) の酢酸 (28 ml) 溶液に、115℃で臭素 (6.1 ml, 0.12 mol) の酢酸 (28 ml) 溶液を45分かけて滴下後、1時間加熱還流した。反応液を一夜放置し、析出結晶を濾取、ジエチルエーテルで洗浄し、乾燥することにより標題化合物 3.5 g を得た。
【0040】
実施例1
2−[2−(3−フルオロフェニル)−3−オキソ−1,2,3,5,6,7−ヘキサヒドロシクロペンタ[f]イソインドール−1−イル]酢酸
(1-a) 2−(3−フルオロフェニル)−6,7−ジヒドロシクロペンタ[f]イソインドール−1,3(2H,5H)−ジオン
5,6−インダンジカルボン酸無水物(1.2 g, 6.4 mmol) と3−フルオロアニリン (708 mg, 6.4 mmol) を酢酸(20 mL)中、135℃で3時間加熱攪拌した。反応液を減圧濃縮し、残渣をシリカゲルクロマトグラフィー (クロロホルム) で精製することにより2−(3−フルオロフェニル)−6,7−ジヒドロシクロペンタ[f]イソインドール−1,3(2H,5H)−ジオン 1.57 gを得た。
【0041】
1H-NMR (CDCl3) δ: 2.21 (2H, quintet, CH2), 3.06 (4H, t, CH2), 7.08 (1H, td, PhH), 7.22-7.29 (2H, m, PhH), 7.42-7.48 (1H, m, PhH), 7.75 (2H, s, C4,8-H)
【0042】
(1-b) 2−(3−フルオロフェニル)−3−ヒドロキシ−3,5,6,7−テトラヒドロシクロペンタ[f]イソインドール−1(2H)−オン
上記(1-a)の生成物 (0.80 g, 2.8 mmol) をメタノ−ル (8 mL) 、テトラヒドロフラン (8 mL) に懸濁させ、氷冷攪拌下、水素化ホウ素ナトリウム (0.10 g, 2.8 mmol) を徐々に加えた後、この温度で30分間攪拌した。反応液に水を加え、析出した結晶を濾取、水洗し、乾燥することにより2−(3−フルオロフェニル)−3−ヒドロキシ−3,5,6,7−テトラヒドロシクロペンタ[f]イソインドール−1(2H)−オン 0.79 gを得た。
【0043】
(1-c) 2−[2−(3−フルオロフェニル)−3−オキソ−1,2,3,5,6,7−ヘキサヒドロシクロペンタ[f]イソインドール−1−イル]酢酸
上記(1-b)の生成物 (1.6 g, 5.6 mmol) と (カルボエトキシメチレン)トリフェニルホスホラン (2.1 g, 6.2 mmol) をアルゴン雰囲気下、トルエン (28 mL) 中で3時間加熱還流した。反応液を減圧濃縮し、未反応の(カルボエトキシメチレン)トリフェニルホスホランをシリカゲルに吸着させて除いた後、クルードな生成物をメタノ−ル (12 mL)、15% K2CO3水溶液 (4.6 mL) 中、80℃で3時間加熱攪拌した。反応液を減圧濃縮し、残渣に水を加え不溶物を濾過した。濾液を濃塩酸で酸性とし、析出した結晶を濾取、水洗し、乾燥することにより標題化合物1.8 gを得た。
【0044】
1H-NMR (DMSO-d6) δ: 2.16 (2H, quintet, CH2), 2.55 (1H, dd, CH2), 2.99 (4H, t, CH2), 3.04 (1H, dd, CH2), 5.49 (1H, dd, CH), 6.94 (1H, td, PhH ), 7.41(2H, s, C4-H), 7.33-7.49 (3H, m, PhH), 7.74(2H, s, C8-H)
【0045】
実施例2
(−)−2−[2−(3−フルオロフェニル)−3−オキソ−1,2,3,5,6,7−ヘキサヒドロシクロペンタ[f]イソインドール−1−イル]酢酸
ラセミ体の2−[2−(3−フルオロフェニル)−3−オキソ−1,2,3,5,6,7−ヘキサヒドロシクロペンタ[f]イソインドール−1−イル]酢酸と(S)−(−)−フェニルエチルアミンで塩を形成し、その塩をエタノールを使用して分別再結晶した。得られた塩を1N 塩酸で処理することにより標題化合物を得た。
比旋光度 [α]29 =−38.5 °(c=1.0、メタノール)
【0046】
実施例3
2−[2−(3−フルオロフェニル)−5,6−ジメチル−3−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−イソインドール−1−イル]酢酸
(3-a) 2−(3−フルオロフェニル)−5,6−ジメチル−1H−イソインドール−1,3(2H)−ジオン
4,5−ジメチル無水フタル酸 (4.0 g, 22.7 mmol) と3−フルオロアニリン (2.5 g, 22.7 mmol) を酢酸(70 mL)中、2時間加熱還流し、放冷後、析出結晶を濾取、石油エーテルで洗浄し、乾燥することにより2−(3−フルオロフェニル)−5,6−ジメチル−1H−イソインドール−1,3(2H)−ジオン 4.55 gを得た。
【0047】
1H-NMR (CDCl3) δ: 2.45 (6H, s, CH3), 7.06-7.11 (1H, m, PhH), 7.22-7.29 (2H, m, PhH), 7.43-7.48 (1H, m, PhH), 7.71 (2H, s, C4,7-H)
【0048】
(3-b) 2−(3−フルオロフェニル)−3−ヒドロキシ−5,6−ジメチル−1−イソインドリノン
上記(3-a)の生成物 (4.55 g, 16.9 mmol) をメタノ−ル (70 ml) 、テトラヒドロフラン (70 ml) に懸濁させ、氷冷攪拌下、水素化ホウ素ナトリウム (1.28 g, 33.8 mmol) を徐々に加えた後、この温度で20分間攪拌した。反応液に水を加え、析出した結晶を濾取、水洗し、乾燥することにより2−(3−フルオロフェニル)−3−ヒドロキシ−5,6−ジメチル−1−イソインドリノン 3.25 gを得た。
【0049】
(3-c) 2−[2−(3−フルオロフェニル)−5,6−ジメチル−3−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−イソインドール−1−イル]酢酸
上記(3-b)の生成物 (3.25 g, 12 mmol) と (カルボエトキシメチレン)トリフェニルホスホラン (4.88 g, 14 mmol) をアルゴン雰囲気下、トルエン (80 ml) 中で3.5時間加熱還流した。反応液を減圧濃縮し、残渣をクロロホルムに溶かし、未反応の(カルボエトキシメチレン)トリフェニルホスホランをシリカゲルに吸着させて除いた後、クルードな生成物をメタノ−ル (40 ml)、15% K2CO3水溶液 (11 ml) 中、80℃で4時間加熱攪拌した。反応液を減圧濃縮し、残渣に水を加えジエチルエ−テルで抽出、水層を濃塩酸で酸性とし、析出した結晶を濾取、水洗し、乾燥することにより標題化合物 2.36 gを得た。
【0050】
実施例4
(−)−2−[2−(3−フルオロフェニル)−5,6−ジメチル−3−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−イソインドール−1−イル]酢酸
ラセミ体の2−[2−(3−フルオロフェニル)−5,6−ジメチル−3−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−イソインドール−1−イル]酢酸と(S)−(−)−フェニルエチルアミンで塩を形成し、その塩をメタノールを使用して分別再結晶した。得られた塩を1N 塩酸で処理することにより標題化合物を得た。
比旋光度 [α]29 =−61.6 °(c=1.0、クロロホルム:メタノール=1:1)
【0051】
実施例5
1−(2−メチル−2−プロペニル)ピペラジン
(5-a) 4−(2−メチル−2−プロペニル)−1−ピペラジンカルボン酸 tert−ブチルエステル
アセトニトリル10 ml中、1−tert−ブトキシカルボニルピペラジン(600 mg、3.22 mmol)、3−ブロモ−2−メチルプロペン(434 mg、3.22 mmol)および炭酸カリウム(534 mg、3.86 mmol)の混合物を90℃で3時間攪拌した。反応液に水を加え、クロロホルムで抽出、この抽出液を減圧濃縮し、シリカゲルクロマトグラフィー(クロロホルム:メタノール=20:1)で精製することにより4−(2−メチル−2−プロペニル)−1−ピペラジンカルボン酸 tert−ブチルエステル 749 mgを得た。
【0052】
(5-b) 1−(2−メチル−2−プロペニル)ピペラジン
4−(2−メチル−2−プロペニル)−1−ピペラジンカルボン酸 tert−ブチルエステル(749 mg、3.12 mmol)をトリフルオロ酢酸(9.3ml)中、室温で1時間攪拌した。反応液を減圧濃縮し、残渣に水を加え、pHが約10となるように1N−NaOH水溶液を加えた後、クロロホルムで抽出し、有機層を減圧濃縮することにより標題化合物183 mgを得た。
1H-NMR (CDCl3) δ: 1.73 (3H, s, CH3), 2.34 (4H, br, piperazine), 2.84 (2H, s, CH2), 2.87 (4H, t, piperazine), 4.85 (2H, d, CH2)
【0053】
実施例6
(−)−2−(3−フルオロフェニル)−3−{2−[4−(2−メチル−2−プロペニル)−1−ピペラジニル]−2−オキソエチル}−3,5,6,7−テトラヒドロシクロペンタ[f]イソインドール−1(2H)−オン
(−)−2−[2−(3−フルオロフェニル)−3−オキソ−1,2,3,5,6,7−ヘキサヒドロシクロペンタ[f]イソインドール−1−イル]酢酸 (0.15 g, 0.46 mmol)、1−(2−メチル−2−プロペニル)ピペラジン (0.065 g, 0.46 mmol)、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド ハイドロクロリド (0.088 g, 0.46 mmol) および1−ヒドロキシベンゾトリアゾール ハイドレート (0.071 g, 0.46 mmol) をテトラヒドロフラン (2.3 mL) 中、25℃で16時間攪拌した。反応液を減圧濃縮し、残渣をシリカゲルクロマトグラフィ− (クロロホルム:メタノ−ル=20:1) で精製することにより標題化合物 0.15 gを得た。
【0054】
1H-NMR (CDCl3) δ: 1.71 (3H, s, CH3), 2.14 (2H, quintet, CH2), 2.20(2H, t, piperazine), 2.36 (2H, t, piperazine), 2.41 (1H, dd, CH2), 2.83 (2H, s, CH2), 2.91 (1H, dd, CH2), 2.97 (4H, t, CH2), 3.20-3.28 (2H, m, piperazine), 3.65-3.74 (2H, m, piperazine), 4.84 (2H, s, CH2), 5.78 (1H, dd, CH), 6.87-6.92 (1H, m, PhH), 7.35-7.41 (2H, m, PhH), 7.43 (1H, s, C4-H), 7.61 (1H, td, PhH), 7.70 (1H, s, C8-H)
比旋光度 [α]24 =−66.0 °(c=1.0、クロロホルム)
【0055】
実施例7
実施例1、2、5および6と同様にして、表1に示す化合物を得た。各化合物については、その生理的食塩水への溶解性を調べた。得られた化合物を塩酸塩とし、これを生理的食塩水に溶解することができたものについては下記表においてHCl塩と記載した。一方、溶解補助剤を用いて溶解したものについては、用いた溶解液の種類を記載した。
溶解液A:5%ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油/5%グルコース/1%ジメチルスルオキシド溶液
溶解液B:5%ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油/5%グルコース/10% 1N−HCl溶液
【0056】
【表1】

【0057】
表1に示した各化合物のNMR値を示す:
No.1 1H-NMR (CDCl3) δ: 2.15 (2H, quintet, C6-H), 2.27 (2H, t, piperazine), 2.38-2.44 (3H, m, piperazine and 3-CH2CO), 2.90 (1H, dd, 3-CH2CO), 2.96-3.00 (6H, m, C5-H, C7-H and 3-CH2CH=CH2), 3.25-3.28 (2H, m, piperazine), 3.69-3.72 (2H, m, piperazine), 5.15-5.20 (2H, m, 3-CH2CH=CH2), 5.76-5.84 (2H, m, C3-H and 3-CH2CH=CH2), 6.88-6.93 (1H, m, PhH), 7.36-7.42 (2H, m, PhH), 7.44 (1H, s, C4-H), 7.59-7.62 (1H, m, PhH), 7.73 (1H, s, C8-H)
【0058】
No.2 1H-NMR (CDCl3) δ: 2.15 (2H, quintet, C6-H), 2.25 (2H, t, piperazine), 2.37-2.44 (3H, m, piperazine and 3-CH2CO), 2.88 (1H, dd, 3-CH2CO), 2.95-3.00 (6H, m, C5-H, C7-H and 3-CH2CH=CH2), 3.18-3.29 (2H, m, piperazine), 3.62-3.74 (2H, m, piperazine), 5.15-5.20 (2H, m, 3-CH2CH=CH2), 5.75-5.85 (2H, m, C3-H and 3-CH2CH=CH2), 7.20-7.23 (1H, m, PhH), 7.42-7.46 (3H, m, PhH and C4-H), 7.64-7.67 (2H, m, PhH), 7.73 (1H, s, C8-H)
【0059】
No.3 1H-NMR (CDCl3) δ: 1.72 (3H, s, CH2C(CH3)=CH2) 2.15 (2H, quintet, C6-H), 2.20 (2H, t, piperazine), 2.35-2.45 (3H, m, piperazine and 3-CH2CO), 2.83 (2H, s, CH2C(CH3)=CH2) 2.91 (1H, dd, 3-CH2CO), 2.96-3.00 (5H, m, C5-H and C7-H), 3.20-3.29 (2H, m, piperazine), 3.65-3.74 (2H, m, piperazine), 4.85 (2H, s, CH2C(CH3)=CH2), 5.78 (1H, dd, C3-H), 6.86-6.93 (1H, m, PhH), 7.36-7.42 (2H, m, PhH), 7.44 (1H, s, C4-H), 7.60-7.63 (1H, m, PhH), 7.71 (1H, s, C8-H)
【0060】
No.4 1H-NMR (CDCl3) δ: 2.15 (2H, quintet, C6-H), 2.26 (1H, t, 3-CH2C≡CH), 2.39-2.46 (3H, m, piperazine and 3-CH2CO), 2.56 (2H, t, piperazine), 2.92 (1H, dd, 3-CH2CO), 2.99 (4H, t, C5- and C7-H), 3.27-3.31 (4H, m, piperazine and 3-CH2C≡CH), 3.73-3.74 (2H, m, piperazine), 5.78 (1H, dd, C3-H), 6.89-6.94 (1H, m, PhH), 7.36-7.42 (2H, m, PhH), 7.45 (1H, s, C4-H), 7.58-7.62 (1H, m, PhH), 7.73 (1H, s, C8-H)
【0061】
No.5 1H-NMR (CDCl3) δ: 2.15 (2H, quintet, C6-H), 2.25 (1H, t, 3-CH2C≡CH), 2.37-2.44 (3H, m, piperazine and 3-CH2CO), 2.53 (2H, t, piperazine), 2.89 (1H, dd, 3-CH2CO), 2.99 (4H, t, C5- and C7-H), 3.22-3.30 (4H, m, piperazine and 3-CH2C≡CH), 3.65-3.75 (2H, m, piperazine), 5.81 (1H, dd, C3-H), 7.22 (1H, t, PhH), 7.42-7.46 (3H, t, PhH and C4-H), 7.64-7.67 (2H, m, PhH), 7.74 (1H, s, C8-H)
【0062】
No.6 1H-NMR (CDCl3) δ: 2.15 (2H, quintet, C6-H), 2.33 (2H, t, piperazine), 2.41 (1H, dd, 3-CH2CO), 2.48 (2H, t, piperazine), 2.55 (2H, t, 3-CH2CH2OCH3), 2.91 (1H, dd, 3-CH2CO), 2.98 (4H, t, C5- and C7-H), 3.27-3.30 (2H, m, piperazine), 3.34 (3H, s, 3-CH2CH2OCH3), 3.49 (2H, t, 3-CH2CH2OCH3), 3.73 (2H, t, piperazine), 5.78 (1H, dd, C3-H), 6.88-6.93 (1H, m, PhH), 7.36-7.42 (2H, m, PhH), 7.44 (1H, s, C4-H), 7.59-7.62 (1H, m, PhH), 7.73 (1H, s, C8-H)
【0063】
No.7 1H-NMR (CDCl3) δ: 2.13 (2H, quintet, C6-H), 2.34 (2H, t, piperazine), 2.44 (1H, dd, 3-CH2CO), 2.48-2.54 (4H, m, piperazine and 3-CH2CH2OH), 2.88-3.00 (5H, m, 3-CH2CO, C5- and C7-H ), 3.23-3.33 (2H, m, piperazine), 3.62-3.72 (4H, m, 3-CH2CH2OH and piperazine), 5.78 (1H, dd, C3-H), 6.86-6.91 (1H, m, PhH), 7.34-7.40 (2H, m, PhH), 7.41 (1H, s, C4-H), 7.57-7.62 (1H, m, PhH), 7.67 (1H, s, C8-H)
【0064】
No.8 1H-NMR (CDCl3) δ: 2.13-2.19 (5H, m, C6-H and 3-CH2COCH3), 2.33-2.51 (5H, m, piperazine and 3-CH2CO), 2.91 (1H, dd, 3-CH2CO), 2.99 (4H, t, C5- and C7-H), 3.21 (2H, s, 3-CH2COCH3), 3.29-3.32 (2H, m, piperazine), 3.73-3.76 (2H, m, piperazine), 5.78 (1H, dd, C3-H), 6.89-6.93 (1H, m, PhH), 7.37-7.40 (2H, m, PhH), 7.44 (1H, s, C4-H), 7.58-7.61 (1H, m, PhH), 7.73 (1H, s, C8-H)
【0065】
No.9 1H-NMR (CDCl3) δ: 2.15 (2H, quintet, C6-H), 2.35-2.44 (3H, m, piperazine and 3-CH2CO), 2.50-2.58 (4H, m, piperazine and CH2CH(OCH3)2), 2.90 (1H, dd, 3-CH2CO), 2.98 (4H, t, C5- and C7-H), 3.25-3.28 (2H, m, piperazine), 3.35 (6H, s, CH2CH(OCH3)2), 3.78-3.75 (2H, m, piperazine), 4.49 (1H, t, CH2CH(OCH3)2), 5.78 (1H, dd, C3-H), 6.88-6.93 (1H, m, PhH), 7.36-7.42 (2H, m, PhH), 7.44 (1H, s, C4-H), 7.59-7.63 (1H, m, PhH), 7.72 (1H, s, C8-H)
【0066】
No.10 1H-NMR (CDCl3) δ: 1.71 (3H, s, CH2C(CH3)=CH2), 2.11-2.19 (4H, m, C6-H and piperazine), 2.33-2.43 (3H, m, piperazine and 3-CH2CO), 2.82 (2H, s, CH2C(CH3)=CH2) 2.88 (1H, dd, 3-CH2CO), 2.96-3.00 (5H, m, C5-H and C7-H), 3.16-3.27 (2H, m, piperazine), 3.60-3.72 (2H, m, piperazine), 4.84 (2H, s, CH2C(CH3)=CH2), 5.79-5.82 (2H, m, C3-H), 7.19-7.23 (1H, m, PhH), 7.42-7.46 (3H, m, PhH and C4-H), 7.65-7.67 (2H, m, PhH), 7.73 (1H, s, C8-H)
【0067】
実施例8
実施例3、4、5および6と同様にして、表2に示す化合物を得た。各化合物については、その生理的食塩水への溶解性を調べた。得られた化合物を塩酸塩とし、これを生理的食塩水に溶解することができたものについては下記表においてHCl塩と記載した。一方、溶解補助剤を用いて溶解したものについては、用いた溶解液の種類を記載した。
溶解液A:5%ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油/5%グルコース/1%ジメチルスルオキシド溶液
溶解液B:5%ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油/5%グルコース/10% 1N−HCl溶液
【0068】
【表2】

【0069】
表2に示した各化合物のNMR値を示す:
No.1 1H-NMR (CDCl3) δ: 2.26 (2H, t, piperazine), 2.36-2.44 (9H, m, 5-CH3,6-CH3, piperazine and 3-CH2CO), 2.89 (1H, dd, 3-CH2CO), 2.97 (2H, d, 3-CH2CH=CH2), 3.20-3.29 (2H, m, piperazine), 3.66-3.74 (2H, m, piperazine), 5.15-5.19 (2H, m, 3-CH2CH=CH2), 5.75-5.85 (2H, m, C3-H and 3-CH2CH=CH2), 6.88-6.93 (1H, m, PhH), 7.37-7.41 (3H, m, PhH and C4-H), 7.57-7.61 (1H, m, PhH), 7.67 (1H, s, C7-H)
【0070】
No.2 1H-NMR (CDCl3) δ: 1.72 (3H, s, CH2C(CH3)=CH2), 2.20-2.21 (2H, m, piperazine), 2.36-2.43 (9H, m, piperazine, 5-CH3, 6-CH3 and 3-CH2CO), 2.83 (2H,s, CH2C(CH3)=CH2), 2.90 (1H, dd, 3-CH2CO), 3.20-3.30 (2H, m, piperazine), 3.62-3.76 (2H, m, piperazine), 4.85 (2H, s, CH2C(CH3)=CH2), 5.77 (1H, dd, C3-H), 6.89-6.94 (1H, m, PhH), 7.38-7.42 (3H, m, C4-H and PhH), 7.58-7.64 (1H, m, PhH), 7.67 (1H, s, C7-H)
【0071】
No.3 1H-NMR (CDCl3) δ: 2.26 (1H, t, 3-CH2C≡CH), 2.36-2.44 (9H, m, 5-CH3,6-CH3,piperazine and 3-CH2CO), 2.56 (2H, t, piperazine), 2.91 (1H, dd, 3-CH2CO), 3.26-3.31 (4H, m, piperazine and 3-CH2C≡CH), 3.71-3.76 (2H, m, piperazine), 5.77 (1H, dd, C3-H), 6.89-6.94 (1H, m, PhH), 7.36-7.42 (3H, m, C4-H and PhH), 7.57-7.61 (1H, m, PhH), 7.68 (1H, s, C7-H)
【0072】
No.4 1H-NMR (CDCl3) δ: 2.31-2.56 (13H, m, 5-CH3, 6-CH3, piperazine ,3-CH2CO and 3-CH2CH2OCH3), 2.91 (1H, dd, 3-CH2CO), 3.24-3.35 (2H, m, 3-CH2CH2OCH3), 3.33 (3H, s, 3-CH2CH2OCH3), 3.45-3.52 (2H, m, piperazine), 3.67-3.78 (2H, m, piperazine), 5.77 (1H, dd, C3-H), 6.86-6.91 (1H, m, PhH), 7.34-7.41 (3H, m, C4-H and PhH), 7.57-7.66 (2H, m, PhH and C7-H)
【0073】
No.5 1H-NMR (CDCl3) δ:2.33-2.44 (9H, m, 5-CH3,6-CH3, piperazine and 3-CH2CO),
2.49-2.55 (4H, m, piperazine, 3-CH2CH2OH), 2.90 (1H, dd, 3-CH2CO), 3.22-3.32 (2H, m, piperazine), 3.62 (2H, t, 3-CH2CH2OH), 3.71 (2H, t, piperazine), 5.77 (1H, dd, C3-H), 6.87-6.93 (1H, m, PhH), 7.35-7.42 (3H, m, PhH and C4-H), 7.57-7.60 (1H, m, PhH), 7.67 (1H, s, C7-H)
【0074】
No.6 1H-NMR (CDCl3) δ: 2.13 (3H, s, 3-CH2COCH3), 2.13-2.45 (9H, m, 5-CH3,6-CH3,piperazine and 3-CH2CO), 2.48-2.53 (2H, m, piperazine), 2.90 (1H, dd, 3-CH2CO), 3.21 (2H, s, 3-CH2COCH3), 3.28-3.32 (2H, m, piperazine), 3.75 (2H, t, piperazine), 5.77 (1H, dd, C3-H), 6.89-6.94 (1H, m, PhH), 7.36-7.42 (3H, m, C4-H and PhH), 7.57-7.61 (1H, m, PhH), 7.67 (1H, s, C7-H)
【0075】
薬理学的試験例
本発明化合物の麻酔作用を以下の方法で検討した。
上記実施例で得た化合物を用いて試験を行った。表1及び2においてHCl塩と記載した化合物については、化合物を塩酸塩として生理食塩水に溶解させて用いた。塩酸塩としても溶解しなかった化合物については、5%ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油/5%グルコース/1%ジメチルスルオキシド溶液または5%ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油/5%グルコース/10% 1N−HCl溶液として調製し、試験に用いた。
基本的に各群4〜5匹のマウスを用いた。マウスの尾静脈にそれぞれの投与用量の調製液を注入し、マウスの全数が30秒以上正向反射を消失した投与用量にて麻酔活性の強さを評価した。評価は以下の基準にて行った:
【0076】
40mg/kgの投与で全数が30秒以上の正向反射消失 +
20mg/kgの投与で全数が30秒以上の正向反射消失 ++
10mg/kgの投与で全数が30秒以上の正向反射消失 +++
5mg/kgの投与で全数が30秒以上の正向反射消失 ++++
【0077】
また一部の化合物については、マウスの半数の正向反射を30秒間以上消失させる最小用量HD50値を求めた。
結果を表3に示す。
【表3−1】

【0078】
【表3−2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
下式:
【化1】

(I)
[式中、
はメチル、または2個のRが結合して炭素数2〜4のアルキレン基を形成する、
はヒドロキシ、炭素数1〜3のアルコキシまたはオキソで置換されている直鎖状又は分岐鎖状、炭素数1〜5の脂肪族飽和炭化水素基、または炭素数3〜6の直鎖状または分岐鎖状不飽和炭化水素基、
Xは水素またはハロゲン基]
で示される化合物またはその塩。
【請求項2】
がメチルである、請求項1記載の化合物またはその塩。
【請求項3】
2個のRが結合して−CHCHCH−を形成している、請求項1記載の化合物またはその塩。
【請求項4】

−CHCH=CH
−CHC(CH)=CH
−CHC≡CH
−CHCHOCH
−CHCHOH
−CHC(=O)CH
および
−CHCH(OCH
からなる群から選択される、請求項1記載の化合物またはその塩。
【請求項5】
Xが水素である、請求項1記載の化合物またはその塩。
【請求項6】
Xがメタ位に結合したフッ素である、請求項1記載の化合物またはその塩。
【請求項7】
下式:
【化2】

(式中、Rは−CHCH=CH2、−CHC(CH)=CH2、−CHC≡CH、−CHCHOCH3、−CHCHOH、−CHC(=O)CHおよび−CHCH(OCHからなる群から選択される、R4は水素またはフッ素である。)
で示される、請求項1記載の化合物またはその塩。
【請求項8】
が−CHCH=CHである請求項7記載の化合物またはその塩。
【請求項9】
が−CHC(CH)=CHである請求項7記載の化合物またはその塩。
【請求項10】
が−CHC≡CHである請求項7記載の化合物またはその塩。
【請求項11】
下式:
【化3】

(式中、Rは−CHCH=CH2、−CHC(CH)=CH2、−CHC≡CH、−CHCHOCH3、−CHCHOH、−CHC(=O)CH3、および−CHCH(OCHからなる群から選択される、R4は水素またはフッ素である。)
で示される請求項1記載の化合物またはその塩。
【請求項12】
が−CHCH=CHである請求項11記載の化合物またはその塩。
【請求項13】
が−CHC(CH)=CHである請求項11記載の化合物またはその塩。
【請求項14】
が−CHC≡CHである請求項11記載の化合物またはその塩。
【請求項15】
請求項1〜14いずれかに記載の化合物またはその塩、及び医薬上許容されるキャリアを含有してなる、ほ乳動物のための麻酔・鎮静薬組成物。
【請求項16】
静脈投与のためのものである、請求項15記載の麻酔・鎮静薬組成物。
【請求項17】
全身麻酔の導入および維持に用いられる、請求項15または16記載の麻酔・鎮静薬組成物。
【請求項18】
術後の鎮静管理または集中治療時の鎮静管理に用いられる、請求項15または16記載の麻酔・鎮静薬組成物。

【公開番号】特開2006−76913(P2006−76913A)
【公開日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−262082(P2004−262082)
【出願日】平成16年9月9日(2004.9.9)
【出願人】(393028036)丸石製薬株式会社 (20)
【Fターム(参考)】