説明

イソシアナトオルガノシランの製造方法

本発明の対象は、カルバメート官能性のシラン(C)をイソシアネート官能性のシラン(I)とアルコールとに分割する方法であって、
a)液状のカルバメート官能性のシラン(C)を触媒(K)の作用下で蒸発ユニット中で100ミリバールを上回る圧力下に加熱し、そして
b)その際に生ずるイソシアネート官能性のシラン(I)を蒸発させる、方法である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、イソシアナトアルキルシランの製造方法に関する。
【0002】
長い間、イソシアナトオルガノシランを高い収率及び純度で経済的に製造する方法に高い関心が持たれてきた。上述の化合物は、高い経済的重要性を有する。
【0003】
イソシアナトシランは、例えば有機ポリマーと無機材料との間の付着媒介剤として使用できる。しかし、とりわけ、イソシアナトオルガノシランは、工業的には、有機ポリオール、例えばポリエーテルポリオール、ポリウレタン、ポリエステルもしくはポリ(メタ)アクリレートの末端形成(Terminierung)のために使用される。得られたアルコキシシラン末端のプレポリマーは、空気湿分と接触した場合に硬化し、そしてとりわけ接着剤及び封止剤として又は塗料用樹脂あるいは塗料用樹脂成分としても使用される。
【0004】
技術水準においては、その際、一般式(1)
OCN−(CH23−SiR′y(OR′′)3-y (1)
[式中、R′及びR′′は、アルキル基であり、かつyは、0〜3の数、好ましくは3もしくは2を表す]で示される、大部分が市販されているγ−イソシアナトプロピルシランが使用される。
【0005】
しかしながら、近年になって、一般式(2)
OCN−(CH2)−SiR′y(OR′′)3-y (2)
[式中、R′及びR′′及びyは、上述の意味を有する]で示される、いわゆるα−イソシアナトメチルシランに特に関心が向けられている。
【0006】
これらのα−イソシアナトメチルシランは、空気湿分に対する特に高い反応性の点で優れており、かつ硬化速度が速いが制御可能なアルコキシシラン末端のプレポリマーの製造のために適している(例えばEP1421129号に記載されている)。さらに、相応のα−シラン末端のプレポリマーは、毒性学的な観点から議論の余地があるスズ触媒を使用しなくても架橋させることができる(とりわけEP1421129号に記載されている)。
【0007】
イソシアナトオルガノシランの種々の製造方法が知られている。ここで、EP1010704号では、γ−イソシアナトオルガノシランの製造方法であって、カルバマトオルガノシランを、分割塔と精留塔を組み合わせたもので、好ましくは40〜80ミリバールの圧力において相応のイソシアナトオルガノシランに分割する製造方法が記載されている。その際、液相には、塩化スズIIが触媒として添加される。この方法の欠点は、その非常に低い転化率であり、それにより、さらに反応生成物の単離・精製のための高い設備費用が必要となる。従って、前記の方法は、今日まで工業的には使用されていない。
【0008】
DE10108543号においては、イソシアナトオルガノシランを、相応のカルバマトオルガノシラン及びアルキルクロロシランもしくはビニルクロロシランから製造することが記載されている。この方法もまた、工業的な生産のためには不適であると見なされており、従って今日まで使用されていない。
【0009】
EP0649850号から、カルバマトオルガノシランを熱的にイソシアナトオルガノシランとメタノールとに分割する方法が知られている。該分割は、その際、気相中で常圧もしくは減圧下で行われる。該反応は、好ましくは管形反応器中で実施され、その中で蒸発されたカルバマトシランが、このシランの蒸発温度より明らかに高い温度に加熱される。カルバメート分割が不均一系触媒の存在下で実施される前記方法の改善は、さらにEP1343793号から知られている。この方法の欠点は、とりわけ高反応性の反応生成物の高い熱負荷と、高い技術的費用とエネルギー費用である。
【0010】
カルバマトオルガノシランをイソシアナトオルガノシランとメタノールとに熱的に分割することは、US6,008,396号に記載されている。ここで、カルバマトオルガノシランは、不活性な熱した媒体中でアルコールの脱離下に相応のイソシアナトシランに変換され、次いでそれは反応混合物から蒸留により直接的に分離される。この方法でも、反応生成物は高い熱負荷に晒される。さらに、副生成物と不純物が不活性媒体中に蓄積しうる。
【0011】
イソシアナトオルガノシランをマイクロ波の作用下で製造する更なる方法は、WO2005/056564号に記載されている。最後に、WO2005/055974号において、前記のマイクロ波法と流動化された固体粒子とを組み合わせたものが記載されている。この方法もまた、高い工業的な費用に結びつくものである。
【0012】
従って、本発明の課題は、実質的により容易かつ工業的に問題なく転化させることができる方法であって、イソシアナトアルキルシラン、特に式(1)及び(2)のイソシアナトアルキルシランが高い収率で製造できる方法を開発することであった。
【0013】
本発明の対象は、カルバメート官能性のシラン(C)をイソシアネート官能性のシラン(I)とアルコールとに分割する方法であって、
a)液状のカルバメート官能性のシラン(C)を触媒(K)の作用下で蒸発ユニット中で100ミリバールを上回る圧力下に加熱し、そして
b)その際に生ずるイソシアネート官能性のシラン(I)を蒸発させる、方法である。
【0014】
本発明の重要な態様は、本発明の反応を薄い層厚を有する液状薄膜中で実施することであり、それにより形成されたイソシアネート官能性のシラン(I)と、第二の分割生成物として形成されるアルコールの素早い蒸発が可能となる。この素早い蒸発は、触媒(K)を含有する液相中で平衡が生じ、かつ反応がそれとともに静止しうることを防ぐだけではない。イソシアネート官能性のシラン(I)の分離は、同時に、該シランが後続反応によって、例えばイソシアヌレート形成によって分解しうることを防ぐ。
【0015】
従って、本発明の更なる対象は、カルバメート官能性のシラン(C)をイソシアネート官能性のシラン(I)とアルコールとに分割する方法であって、
a)液状のカルバメート官能性のシラン(C)を触媒(K)の作用下で最大5cmの層厚を有する液状薄膜(F)中でかつ少なくとも80ミリバールの圧力下に加熱し、そして
b)その際に生ずるイソシアネート官能性のシラン(I)を蒸発させる、方法である。
【0016】
その際、該液状薄膜(F)の好ましい層厚は、好ましくは、最大2cmであり、特に好ましくは最大1cmの層厚であり、その際、最大0.5cm又はそれどころか最大0.3cmの層厚が、特に好ましい。
【0017】
通常、同時に生ずるアルコールは、イソシアネート官能性のシラン(I)よりも難揮発性もしくは易揮発性ではなく、その際、このシランと一緒に蒸発する。
【0018】
望ましくない場合にも、使用されるカルバメート官能性のシラン(C)の一部は一緒に蒸発されることがある。
【0019】
好ましくは、蒸発された反応生成物は、その後に、直接的に分別されて凝縮され、その際、場合により存在するアルコールは、好ましくは気体状で分離され、そしてイソシアネート官能性のシラン(I)及び場合により存在するカルバメート官能性のシラン(C)は、一緒にもしくは場合により前後して別個に凝縮される。アルコールの分離によって、形成されたイソシアネート官能性のシラン(I)の逆反応が防がれる。好ましくは、アルコールの分離は、凝縮器もしくは簡単な分離カラム中で行われ、そこでアルコールは気体状で取り出され、そしてシラン(I)及び(C)は一緒に凝縮分離される。
【0020】
蒸発ユニットは、好ましくは、薄膜型蒸発器、流下薄膜型蒸発器もしくは短経路型蒸発器である。特に好ましくは、カルバメート官能性のシラン(C)の本発明による分割は、慣用の薄膜型蒸発器中で実施される。これは、好ましくは壁温度>180℃、好ましくは>220℃、特に好ましくは壁温度>260℃で運転される。その際、好ましくは、薄膜型蒸発器中に導入された材料の10%より多くが、特に好ましくはその20%より多くが蒸発される。本発明の特定の一実施態様においては、再度、30%を上回る、あるいはそれどころか50%を上回る明らかにより高い蒸発速度が達成される。蒸発される材料は、その際、好ましくは、未分解のカルバメート官能性のシラン(C)、イソシアネート官能性のシラン(I)及びアルコールからなる混合物である。好ましくは、蒸発される材料は、少なくとも35質量%までが、特に好ましくは少なくとも50質量%までが、それぞれのイソシアネート官能性のシラン(I)から成る。
【0021】
本発明による方法では、蒸発は、好ましくは>100ミリバールの圧力で実施され、その際、圧力>200ミリバールもしくは<500ミリバールが特に好ましい。できる限り高い蒸発温度と、それとともに高い転化率を達成するためには、しかしながら、蒸発は、好ましくは決して真空ではなく、従って周囲圧で、又はそれどころか軽い過圧下で実施され、その際、1〜2バールの圧力範囲が特に好ましい。更なる本発明の態様では、蒸発は、好ましくは圧力>2バールで、又はそれどころか圧力>3バールで実施される。
【0022】
本発明の好ましい一実施態様では、蒸発過程の間に、不活性ガス流、例えばアルゴン、水素もしくは窒素からなるガス流が、この蒸発ユニットに導かれる。該ガス流は、好ましくは蒸発ユニットへの導通前に、好ましくは>200℃の温度に、特に好ましくは>300℃の温度に、又はそれどころか>400℃の温度に加熱される。加熱されたキャリヤーガス流は、その際、反応混合物の加熱と蒸発を支援する。ガスとしては、窒素が好ましい。
【0023】
ガス流と液体流は、蒸発ユニット中で、同じ方向でも、反対方向でも、すなわち並流でも向流でも導くことができる。しかしながら、好ましい一実施態様においては、向流原理での操作様式が好ましい。
【0024】
本発明の好ましい一実施態様では、カルバメート官能性のシラン(C)は、蒸発ユニットへの導通前に予熱される。その際、好ましくは、該シランは、>100℃の温度に、特に好ましくは>120℃の温度に、特に>130℃の温度に加熱される。この予熱は、蒸発ユニットにおいて反応混合物を最大の反応温度及び蒸発温度に更に加熱することを促す。
【0025】
触媒(K)は、固定床で蒸発ユニットに埋設された触媒であってよく、その際、該固定床は、例えば薄膜型蒸発器の壁部に取り付けられている。好ましくは、それは、カルバメート官能性のシラン(C)に混加される触媒である。特に好ましくは、触媒(K)は、液状であるか、又はしかしながらカルバメート官能性のシラン(C)中に可溶性である。すなわち、好ましくは、それは均一系触媒である。好ましい触媒(K)は、その際、特にPU化学において、またイソシアネートとアルコールの縮合反応の触媒のためにも使用されるあらゆる化合物である。例としては、このためには、通常使用される有機スズ化合物、例えばジブチルスズジラウレート、ジオクチルスズジラウレート、ジブチルスズジアセチルアセトネート、ジブチルスズジアセテートもしくはジブチルスズジオクトエートなどが挙げられる。同様に、また二価のスズ触媒、例えばスズジアセテートもしくはスズジラウレートを使用することができる。更に、ビスマス触媒、例えばボルチ(Borchi)触媒、チタネート、例えばチタン(IV)イソプロピレート、鉄(III)化合物、例えば鉄(III)アセチルアセトネート、又はアミン、例えばトリエチルアミン、トリブチルアミン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセ−7−エン、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノネ−5−エン、N,N−ビス−(N,N−ジメチル−2−アミノエチル)−メチルアミン、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン、N,N−ジメチルフェニルアミン、N−エチルモルホリンなどを使用することもできる。また、有機又は無機のブレンステッド酸、例えば酢酸、トリフルオロ酢酸もしくは塩化ベンゾイル、塩酸、リン酸、それらのモノエステル及び/又はジエステル、例えばブチルホスフェート、(イソ)プロピルホスフェート、ジブチルホスフェートなども、触媒(K)として好適である。当然のように、複数の触媒の組合せを使用することもできる。好ましくは、非揮発性あるいは僅かにのみ揮発性であるにすぎない触媒、特に上述の金属錯体が使用され、その際、スズ(IV)、スズ(II)及び鉄(III)の錯体が特に好ましい。その際、触媒(K)は、好ましくは1〜10000ppmの濃度で使用され、その際、10〜5000ppmもしくは100〜2000ppmの濃度が特に好ましい。
【0026】
本発明の好ましい一実施態様においては、触媒(K)及びカルバメート官能性のシラン(C)を含有する、薄膜型蒸発器からの底部排出物と、新たなカルバメート官能性のシラン(C)とを混合し、そして改めて本発明による方法で使用される。場合により、事前に、該底部排出物の一部をプロセスから排出して、副生成物及び/又は不純物の蓄積を回避することができる。同様に、また新たな触媒(K)を補充することもできる。このようにして、触媒(K)は、完全に又はしかし少なくとも大きな部分まで再利用される。すなわち、当然のように、触媒作用を有する分解生成物もしくは改変生成物であって、当初添加された触媒(K)から先行する薄膜通過の間に形成されたものを触媒(K)として使用することもできる。
【0027】
好ましくは、本発明による方法においては、一般式(3)
OCN−(CH2x−SiR1a(OR23-a (3)
で示されるイソシアネート官能性のシラン(I)は、一般式(4)
3O−CO−HN−(CH2x−SiR1a(OR23-a (4)
で示されるカルバメート官能性のシラン(C)から出発して製造され、前記式中、
1は、場合によりハロゲン置換された、1〜10個の炭素原子を有するアルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基もしくはアリール基を意味し、
2は、1〜10個の炭素原子を有するアシル基、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基もしくはアリール基又は全部で2〜10個の炭素原子を有するω−オキサアルキル−アルキル基を意味し、
3は、1〜6個の炭素原子を有するアルキル基又は全部で2〜10個の炭素原子を有するω−オキサアルキル−アルキル基を意味し、
xは、1〜8の値を意味し、かつ
aは、0、1、2もしくは3の値を意味する。
【0028】
基R1としては、メチル基、エチル基もしくはフェニル基が好ましい。基R2及びR3は、好ましくはアセチルであり、特に好ましくはメチル基もしくはエチル基である。
【0029】
好ましくは、基R2及びR3は同一である。aは、好ましくは0、1もしくは2であり、特に好ましくは0もしくは1である。変数xは、好ましくは1もしくは3であり、その際、1の値、すなわちα−イソシアナトメチルシランの製造が特に好ましい。
【0030】
α−イソシアナトメチルシラン(I)の製造のためには、特に、本発明による方法が驚くべきほど良好に適している。これらのシラン(I)は、相応するカルバマトシラン(C)のより高い分割温度に基づき、技術水準に相当する方法では、比較的粗悪に製造されうる。
【0031】
本発明により製造されるイソシアネート官能性のシラン(I)の精製は、好ましくは1つ以上の蒸留段階によって行われる。好ましくは、イソシアネート官能性のシラン(I)は、その精製の間に、できる限り高い前記シランの貯蔵安定性を保証するために、もっぱら保護ガス下で取り扱われる。保護ガス雰囲気は、その際、好ましくは、1000ppmの含水率を有し、その際、250ppm未満の含水率が特に好ましい。保護ガスとしては、好ましくは乾燥空気、窒素もしくは希ガスが使用され、その際、窒素が特に好ましい。
【0032】
実施例:
実施例1:
α−カルバマトメチル−ジメトキシメチルシラン(Wacker Chemie AG社製のGENIOSIL(登録商標)XL 65)を、0.5質量%のジブチルスズジラウレートと混合する。得られた混合物を、誘導加熱管中で、約130℃に加熱する
・ 約2.2KWで、かつ以下の技術的データ
・ 蒸発面積:0.25m2
・ 約6KWでの電気的コイル加熱
を有する薄膜型蒸発器中でカルバメートを誘導的に予熱し、
以下の条件
・ 圧力:1.1バール(絶対圧)
・ 薄膜型装置の壁温度:275℃
・ 蒸留物/底部排出物の比率:26kg/6kg
のもとで蒸発させる。
【0033】
引き続き、蒸気を、好適な凝縮器中に導き、そこでカルバマトシラン及びイソシアナトシランから成るシラン混合物を凝縮分離し、一方で、生成したメタノールを気体状で分離する。約83モル%のα−イソシアナトメチル−ジメトキシメチルシラン及び17モル%のα−カルバマトメチル−ジメトキシメチルシランを含有するシラン混合物が得られる。
【0034】
薄層型装置の底部排出物は、純粋なα−カルバマトメチル−ジメトキシメチルシランから成っている。副生成物もしくは分解生成物は、<<5質量%の量で生ずる。
【0035】
比較例2:
純粋なα−カルバマトメチル−ジメトキシメチルシランを、実施例1に記載される薄膜型蒸発器中で触媒を添加せずに蒸発させる。化学反応が生じないため、蒸発の条件を若干変更せねばならない:
・ 圧力:1.1バール(絶対圧)
・ 薄膜型装置の壁温度:320℃〜340℃
・ 蒸留物/底部排出物の比率:26kg/6kg
蒸気相の後処理は、実施例1に記載されるようにして実施する。約16モル%のα−イソシアナトメチル−ジメトキシメチルシラン及び84モル%のα−カルバマトメチル−ジメトキシメチルシランを含有するシラン混合物が得られる。
【0036】
比較例3:
α−カルバマトメチル−ジメトキシメチルシラン(Wacker社製のGENIOSIL(登録商標)XL 65)を、0.5質量%のジブチルスズジラウレートと混合し、そして実施例1に記載される薄膜型蒸発器中で真空中で蒸発させる。化学反応が生じないため、蒸発の条件を若干変更せねばならない:
・ 圧力:5ミリバール
・ 薄膜型装置の壁温度:220℃
・ 蒸留物/底部排出物の比率:50/50
蒸気相の後処理は、実施例1に記載されるようにして実施する。約3モル%のα−イソシアナトメチル−ジメトキシメチルシラン及び97モル%のα−カルバマトメチル−ジメトキシメチルシランを含有するシラン混合物が得られる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カルバメート官能性のシラン(C)をイソシアネート官能性のシラン(I)とアルコールとに分割する方法であって、
a)液状のカルバメート官能性のシラン(C)を触媒(K)の作用下で蒸発ユニット中で100ミリバールを上回る圧力下に加熱し、そして
b)その際に生ずるイソシアネート官能性のシラン(I)を蒸発させる方法。
【請求項2】
カルバメート官能性のシラン(C)をイソシアネート官能性のシラン(I)とアルコールとに分割する方法であって、
a)液状のカルバメート官能性のシラン(C)を触媒(K)の作用下で最大5cmの層厚を有する液状薄膜(F)中でかつ少なくとも80ミリバールの圧力下に加熱し、そして
b)その際に生ずるイソシアネート官能性のシラン(I)を蒸発させる方法。
【請求項3】
蒸発ユニットが、薄膜型蒸発器、流下薄膜型蒸発器及び短経路型蒸発器から選択される、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
カルバメート官能性のシラン(C)が、蒸発ユニットへと導通される前に、>100℃の温度に予熱される、請求項1から3までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
触媒(K)が、液状であるか、又はカルバメート官能性のシラン(C)中に可溶性である、請求項1から4までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
一般式(3)
OCN−(CH2x−SiR1a(OR23-a (3)
で示されるイソシアネート官能性のシラン(I)を、一般式(4)
3O−CO−HN−(CH2x−SiR1a(OR23-a (4)
で示されるカルバメート官能性のシラン(C)から出発して製造し、前記式中、
1は、場合によりハロゲン置換された、1〜10個の炭素原子を有するアルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基もしくはアリール基を意味し、
2は、1〜10個の炭素原子を有するアシル基、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基もしくはアリール基又は全部で2〜10個の炭素原子を有するω−オキサアルキル−アルキル基を意味し、
3は、1〜6個の炭素原子を有するアルキル基又は全部で2〜10個の炭素原子を有するω−オキサアルキル−アルキル基を意味し、
xは、1〜8の値を意味し、かつ
aは、0、1、2もしくは3の値を意味する、請求項1から5までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
xが、1もしくは3を意味する、請求項1から6までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
液状薄膜(F)の層厚が、最大1cmである、請求項2に記載の方法。

【公表番号】特表2010−511658(P2010−511658A)
【公表日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−539704(P2009−539704)
【出願日】平成19年11月28日(2007.11.28)
【国際出願番号】PCT/EP2007/062935
【国際公開番号】WO2008/068175
【国際公開日】平成20年6月12日(2008.6.12)
【出願人】(390008969)ワッカー ケミー アクチエンゲゼルシャフト (417)
【氏名又は名称原語表記】Wacker Chemie AG
【住所又は居所原語表記】Hanns−Seidel−Platz 4, D−81737 Muenchen, Germany
【Fターム(参考)】