イソプレノイド修飾酵素をコードするポリヌクレオチド、およびその使用方法
本発明は、イソプレノイド修飾酵素をコードするヌクレオチド配列を含む単離された核酸、および該核酸を含む組換えベクターを提供する。本発明は、本核酸または組換えベクターを含む、遺伝的に改変された宿主細胞をさらに提供する。本発明は、本核酸を含むトランスジェニック植物をさらに提供する。本発明は、本遺伝的に改変された宿主細胞を、本核酸にコードされたイソプレノイド化合物修飾酵素の合成を可能とする条件で培養する段階を一般に含む、イソプレノイド化合物を産生させる方法をさらに提供する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、イソプレノイド化合物、および特にイソプレノイド化合物を修飾する酵素の産生の領域に関する。
【0002】
相互参照
本出願は、参照により、その全体が本明細書に組み入れられる、2005年7月5日に出願された米国仮特許出願第60/697,067号の恩典を主張する。
【背景技術】
【0003】
発明の背景
イソプレノイドは、共通の生合成起源、すなわち1つの代謝前駆体であるイソペンテニル二リン酸(IPP)を有する、極めて多種多様な一群の天然物を含む。少なくとも20,000種類のイソプレノイドの存在が明らかにされている。定義上、イソプレノイドは、いわゆるイソプレン(C5)単位から作られる。イソプレノイド中に存在するC原子の数は、典型的には5で割り切れる数(C5、C10、C15、C20、C25、C30、およびC40)であるが、不規則なイソプレノイドおよびポリテルペンが報告されている。イソプレノイド化合物は、「テルペン」または「テルペノイド」とも呼ばれる。イソプレノイドの重要な成員は、カロテノイド、セスキテルペノイド、ジテルペノイド、およびヘミテルペンを含む。カロテノイドは例えば、多くが抗酸化剤として機能するリコピン、β-カロテンなどを含む。セスキテルペノイドは例えば、抗マラリア活性を有する化合物であるアルテミシニンを含む。ジテルペノイドは例えば、癌の化学療法剤であるタキソールを含む。
【0004】
イソプレノイドは、非常に数多くの、かつ構造的に多様なファミリーの天然産物を含む。このファミリーのなかでは、植物および他の天然供給源から単離されるテルペノイドは、市販の香料および芳香剤、ならびに抗マラリア薬、抗ウイルス薬、および抗癌剤などの薬学的化合物として使用されている。今日、使用されているテルペノイド化合物の大半は、天然産物またはこの誘導体である。これらの天然産物の多くの供給源となる生物(例えば、樹木、海洋無脊椎動物)は、商業的に意味のある量の産生に必要な大規模培養にも、このような化合物の産生または誘導体化を高めるための遺伝子操作にも適していない。したがって、天然産物は類似体から半合成的に、または従来の化学合成法で合成的に産生されなければならない。さらに、多くの天然産物は複雑な構造を有し、結果的に、現時点で経済的でないか、または合成が不可能である。このような天然産物は、樹木、海綿、サンゴ、および海洋微生物などの、その天然供給源から抽出するか;または、より多量に存在する前駆体から合成的もしくは半合成的に製造するしかない。天然供給源からの天然産物の抽出は、天然供給源の利用可能性によって制限されており;ならびに天然産物の合成もしくは半合成による産生には、低収量および/または高費用という難点がある。こうした製造上の問題、および天然供給源の利用可能性の限界は、このような産物の商業的開発および臨床開発を制限していると言える。
【0005】
重要なセスキテルペン化合物の一例がアルテミシニンである。アルテミシニンは、現在は植物(クソニンジン(Artemisia annua))から抽出されており、および併用療法用の薬物の製造に使用されている、極めて有効な抗マラリア薬である。植物由来のアルテミシニンは高価であり、およびその入手可能性は、この植物を育てる国における気象条件および政治的条件に影響される。アルテミシニック酸は、アルテミシニンの生合成の重要な中間体である。従来の化学的方法によってアルテミシニンを製造する上で重要な段階である、アモルファ-4,11-ジエンのアルテミシニックアルコールへの変換は、困難かつ費用のかかる過程である。
【0006】
上述の難点のいくつかを回避するイソプレノイド化合物を作製する方法が当技術分野では求められている。本発明は、このニーズを、イソプレノイド化合物を修飾する酵素をコードするポリヌクレオチド、およびこのような酵素を産生するように遺伝的に改変された宿主細胞を提供することによって解決する。
【0007】
文献
Bertea et al. (2005) Planta Med. 71:40-47 (非特許文献1);deKraker et al. (2003) Tetradedron 59:409-418 (非特許文献2);Martin et al. (2003) Nat. Biotechnol. 21:796-802 (非特許文献3);WO 03/025193 (特許文献1);米国特許公報第20050019882号 (特許文献2);米国特許公報第20030148479号 (特許文献3);米国特許公報第20040005678号 (特許文献4);米国特許公報第20030166255号 (特許文献5)。
【0008】
【特許文献1】WO 03/025193
【特許文献2】米国特許公報第20050019882号
【特許文献3】米国特許公報第20030148479号
【特許文献4】米国特許公報第20040005678号
【特許文献5】米国特許公報第20030166255号
【非特許文献1】Bertea et al. (2005) Planta Med. 71:40-47
【非特許文献2】deKraker et al. (2003) Tetradedron 59:409-418
【非特許文献3】Martin et al. (2003) Nat. Biotechnol. 21:796-802
【発明の開示】
【0009】
発明の概要
本発明は、イソプレノイド修飾酵素をコードするヌクレオチド配列を含む単離された核酸、ならびに該
核酸を含む組換えベクターを提供する。本発明は、本発明の核酸または組換えベクターを含む遺伝的に改変された宿主細胞をさらに提供する。本発明は、本発明の核酸を含むトランスジェニック植物をさらに提供する。本発明は、本発明の遺伝的に改変された宿主細胞を、イソプレノイド化合物を修飾する、本発明の核酸にコードされた酵素の合成を可能とする条件で培養する段階を一般に含む、イソプレノイド化合物を産生させる方法をさらに提供する。
【0010】
定義
「イソプレノイド」、「イソプレノイド化合物」、「テルペン」、「テルペン化合物」、「テルペノイド」、および「テルペノイド化合物」という用語は、本明細書で互換的に使用される。イソプレノイド化合物は、さまざまな数の、いわゆるイソプレン(C5)単位から作られる。イソプレノイド中に存在するC原子の数は典型的には、5で割り切れる数(例えば、C5、C10、C15、C20、C25、C30、およびC40)である。不規則なイソプレノイドおよびポリテルペンが報告されており、これらも「イソプレノイド」の定義に含まれる。イソプレノイド化合物は、モノテルペン、セスキテルペン、トリテルペン、ポリテルペン、およびジテルペンを含むが、これらに限定されない。
【0011】
本明細書で用いる「プレニル二リン酸」という用語は、「プレニルピロリン酸」と互換的に使用され、かつ1つのプレニル基を有するモノプレニル二リン酸(例えばIPPおよびDMAPP)、ならびに2個またはそれ以上のプレニル基を含むポリプレニル二リン酸を含む。モノプレニル二リン酸は、イソペンテニルピロリン酸(IPP)、およびその異性体であるジメチルアリルピロリン酸(DMAPP)を含む。
【0012】
本明細書で用いる「テルペンシンターゼ」という用語は、テルペノイド化合物が産生されるように、IPP、DMAPP、またはポリプレニルピロリン酸を酵素的に修飾する任意の酵素を意味する。「テルペンシンターゼ」という用語は、プレニル二リン酸のイソプレノイドへの変換を触媒する酵素を含む。
【0013】
「ピロリン酸」という語は、本明細書で「二リン酸」と互換的に使用される。したがって、例えば「プレニル二リン酸」と「プレニルピロリン酸」という用語は互換的に使用可能であり;「イソペンテニルピロリン酸」と「イソペンテニル二リン酸」という用語は互換的に使用可能であり;「ファルネシル二リン酸」と「ファルネシルピロリン酸」という用語は互換的に使用可能である等である。
【0014】
「メバロン酸経路」または「MEV経路」という用語は、本明細書で、アセチル-CoAをIPPに変換する生合成経路を意味するように使用される。メバロン酸経路は、以下の段階を触媒する酵素を含む:(a)アセチル-CoAの2つの分子をアセトアセチル-CoAに縮合させる段階;(b)アセトアセチル-CoAとアセチル-CoAを縮合させてHMG-CoAを生成させる段階;(c)HMG-CoAをメバロン酸に変換する段階;(d)メバロン酸をメバロン酸5-リン酸にリン酸化する段階;(e)メバロン酸5-リン酸をメバロン酸5-ピロリン酸に変換する段階;および(f)メバロン酸5-ピロリン酸をイソペンテニルピロリン酸に変換する段階。メバロン酸経路を図14に図解的に示す。メバロン酸経路の「上半分」とは、MEV経路の中間体を介したアセチル-CoAのメバロン酸への変換に関与する酵素群を意味する。
【0015】
「1-デオキシ-D-キシルロース5-二リン酸経路」または「DXP経路」という用語は本明細書で、グリセルアルデヒド-3-リン酸およびピルビン酸をDXP経路中間体を介してIPPおよびDMAPPに変換する経路を意味するように使用され、DXP経路は、図15に図解的に示された反応を触媒する酵素群を含む。
【0016】
本明細書で用いる「プレニルトランスフェラーゼ」という用語は、「イソプレニル二リン酸シンターゼ」および「ポリプレニルシンターゼ」(例えば、「GPPシンターゼ」、「FPPシンターゼ」、「OPPシンターゼ」など)という用語と互換的に使用され、さまざまな鎖長のプレニル二リン酸の形成につながる、イソペンテニル二リン酸のアリルプライマー基質による連続的な1'-4縮合を触媒する酵素を意味する。
【0017】
本明細書で互換的に使用される「ポリヌクレオチド」および「核酸」という用語は、リボヌクレオチドまたはデオキシヌクレオチドのいずれかである、任意の長さのポリマー状のヌクレオチドを意味する。したがって、この用語は、1本鎖、2本鎖、または多重鎖のDNAもしくはRNA、ゲノムDNA、cDNA、DNA-RNAのハイブリッド、またはプリン塩基およびピリミジン塩基、または他の天然のヌクレオチド塩基、化学的もしくは生化学的に修飾された非天然の、もしくは誘導体化されたヌクレオチド塩基を含むポリマーを含むが、これらに限定されない。
【0018】
「ペプチド」、「ポリペプチド」、および「タンパク質」という用語は本明細書で互換的に使用され、ならびにコードアミノ酸および非コードアミノ酸、化学的もしくは生化学的に修飾もしくは誘導体化されたアミノ酸、ならびに修飾されたペプチド主鎖を有するポリペプチドを含む場合のある、任意の長さのポリマー状のアミノ酸を意味する。
【0019】
核酸、細胞、または生物体について本明細書で用いる「天然の」という用語は、天然の状態で存在する核酸、細胞、または生物体を意味する。例えば、天然の供給源から単離可能で、かつ実験室において人間の手によって意図的に改変されていない生物体(ウイルスを含む)に存在するポリペプチド配列またはポリヌクレオチド配列は天然の配列である。
【0020】
本明細書で用いる「単離された」という用語は、ポリヌクレオチド、ポリペプチド、または細胞が天然に存在する環境とは異なる環境中のポリヌクレオチド、ポリペプチド、または細胞を意味する。単離された遺伝的に改変された宿主細胞は、遺伝的に改変された宿主細胞の混合集団中に存在する場合がある。
【0021】
本明細書で用いる「外因性核酸」という用語は、天然の任意の細菌、生物体、もしくは細胞には通常もしくは天然の状態では見出されない核酸か、および/または天然の任意の細菌、生物体、もしくは細胞では作られない核酸を意味する。本明細書で用いる「内因性核酸」という用語は、天然の状態で、天然の任意の細菌、生物体、もしくは細胞に通常見出される核酸か、および/または天然の任意の細菌、生物体、もしくは細胞で作られる核酸を意味する。「内因性核酸」は、「天然の核酸」、すなわち任意の細菌、生物体、もしくは細胞に対して「天然」である核酸とも表現される。例えば、HMGS、メバロン酸キナーゼ、およびホスホメバロン酸キナーゼをコードする核酸は、大腸菌に対して外因性核酸である。これらのメバロン酸経路の核酸は、出芽酵母(Sacchromyces cerevisiae)からクローン化可能である。出芽酵母では、染色体上のHMGS、MK、およびPMKをコードする遺伝子配列は、「内因性」核酸である。
【0022】
本明細書で用いる「異種核酸」という用語は、以下の事項の少なくとも1つが真である核酸を意味する:(a)核酸が、所与の宿主微生物もしくは宿主細胞に対して異物(「外因性」)である(すなわち天然の状態で見出されない)こと;(b)内因性に見出されるものと同じコードタンパク質(同じか、もしくは実質的に同じアミノ酸配列を有する)が、細胞内に非天然の量(例えば推定量より多いか、もしくは天然の状態で見出される量より多い量)で産生されるように、核酸が、所与の宿主微生物もしくは宿主細胞中において天然の状態で見出される(例えば、「内因性である」)ヌクレオチド配列を含む(例えば核酸が、宿主微生物もしくは宿主細胞に内因性のヌクレオチド配列を含む)が、細胞内に非天然の量(例えば推定量より多いか、もしくは天然の状態で見出される量より多い量)で産生されるか、または内因性のヌクレオチド配列とは配列が異なること(c)核酸が、天然の状態における関係と相互に同じ関係では見出されない2つもしくはそれ以上のヌクレオチド配列、またはセグメントを含むこと、例えば核酸が組換え型であること。
【0023】
本明細書で用いる「組換え型」は、特定の核酸(DNAもしくはRNA)が、天然の系に見出される内因性の核酸とは区別される、構造的なコード配列もしくは非コード配列を有するコンストラクトを生じるクローニング段階、制限酵素による切断段階、および/または連結段階のさまざまな組み合わせの産物であることを意味する。一般に、構造的なコード配列をコードするDNA配列は、細胞に、または無細胞の転写系および翻訳系に含まれる組換え転写単位から発現され得る合成核酸を提供するように、cDNA断片および短いオリゴヌクレオチドリンカーから、または一連の合成オリゴヌクレオチドから組み立てることができる。このような配列は、典型的には真核生物の遺伝子中に存在する内部の非翻訳配列すなわちイントロンによって分断されていないオープンリーディングフレームの状態で提供され得る。重要な配列を含むゲノムDNAも、組換え遺伝子または転写単位の生成に使用することができる。翻訳されないDNAの配列は、オープンリーディングフレームの5'側または3'側に存在する場合があり、このような配列は、コード領域の操作または発現に干渉せず、および実際には、さまざまな機構で所望の産物の産生を調節するように作用する場合がある(以下の「DNA調節配列」を参照)。
【0024】
したがって例えば、「組換え型」のポリヌクレオチドまたは核酸という用語は、天然でないポリヌクレオチドまたは核酸、例えば2つの通常は別個の配列セグメントの、人間の介入による人工的な組み合わせによって作られるポリヌクレオチドまたは核酸を意味する。このような人工的な組み合わせはしばしば、化学的合成手段によって、または単離された核酸セグメントの人工的な操作によって、例えば遺伝子工学的手法のいずれかによって達成される。これは通常、コドンを同じアミノ酸か、または保存的なアミノ酸をコードする縮重コドンと、典型的には配列認識部位を導入もしくは除去しながら置換するように実施される。または、所望の機能を有する核酸セグメントをまとめて連結することで、機能の所望の組み合わせを生じさせることが行われる。このような人工的な組み合わせは、しばしば、化学的合成手段、または単離された核酸セグメントの人工的操作、例えば遺伝子工学的手法のいずれかによって達成される。
【0025】
「コンストラクト」は、特定のヌクレオチド配列(群)を発現させる目的で作製された組換え核酸、一般的には組換えDNAを意味するほか、他の組換えヌクレオチド配列の構築に使用される。
【0026】
本明細書で用いる「オペロン」および「1転写単位」という用語は、1つもしくは複数の制御エレメント(例えばプロモーター)によって協調的に調節される、2つまたはそれ以上の隣接コード領域(RNAもしくはタンパク質などの遺伝子産物をコードするヌクレオチド配列)を意味するように互換的に使用される。本明細書で用いる「遺伝子産物」という用語は、DNAにコードされるRNA(もしくはこの逆)、またはRNAもしくはDNAにコードされるタンパク質を意味し、遺伝子は典型的には、タンパク質をコードする1つもしくは複数のヌクレオチド配列を含み、ならびにイントロンおよび他の非コードヌクレオチド配列も含む場合もある。
【0027】
本明細書で互換的に使用される、「DNA調節配列」、「制御エレメント」、および「調節エレメント」という用語は、宿主細胞におけるコード配列の発現、および/またはコードされたポリペプチドの産生を提供するか、および/または調節するプロモーター、エンハンサー、ポリアデニル化シグナル、ターミネーター、タンパク質分解シグナルなどの、転写および翻訳の制御配列を意味する。
【0028】
「形質転換」という用語は、本明細書で「遺伝的改変」と互換的に使用され、および新しい核酸(すなわち細胞に対して外因性のDNA)の導入によって細胞内で誘導される恒久的または一過的な遺伝的変化を意味する。遺伝的変化(「改変」)は、新しいDNAの宿主細胞のゲノムへの組込み、またはエピソームエレメントとしての新しいDNAの一過的もしくは安定な維持のいずれかによって達成可能である。細胞が真核細胞の場合、恒久的な遺伝的変化は一般に、細胞のゲノムへのDNAの導入によって達成される。原核細胞の場合、恒久的な変化が染色体中に、または組換え宿主細胞内における維持を目的とする1つもしくは複数の選択マーカーを含み得るプラスミドおよび発現ベクターなどの染色体外エレメントを介して導入され得る。遺伝的改変の適切な方法は、ウイルス感染、トランスフェクション、コンジュゲーション、プロトプラスト融合、エレクトロポレーション、パーティクルガン法、リン酸カルシウム沈殿法、直接マイクロインジェクションなどの方法を含む。方法の選択は一般に、形質転換の対象となる細胞のタイプ、および形質転換が起こる環境(すなわちインビトロか、エクスビボか、またはインビボか)に依存する。これらの方法の全般的な議論は、Ausubel, et al, Short Protocols in Molecular Biology、第3版、Wiley & Sons, 1995に記載されている。
【0029】
「機能的に連結された」とは、記載された成分が、意図された様式における機能を可能とする関係性をもって並置されることを意味する。例えばプロモーターは、仮にプロモーターがコード配列の転写または発現に影響を及ぼす場合に、コード配列に機能的に連結されている。本明細書で用いる「異種プロモーター」および「異種制御領域」という用語は、天然の状態で特定の核酸とは通常は結合していないプロモーターおよび他の制御領域を意味する。例えば、「コード領域に対して異種である転写制御領域」は、天然の状態では通常、コード配列と結合していない転写制御領域である。
【0030】
本明細書で用いる「宿主細胞」は、インビボもしくはインビトロにおける真核細胞、原核細胞、または単細胞体として培養された多細胞生物に由来する細胞(例えば細胞系)を意味し、真核細胞もしくは原核細胞は、核酸(例えば、メバロン酸経路の遺伝子産物などの1つもしくは複数の生合成経路の遺伝子産物をコードするヌクレオチド配列を含む発現ベクター)のレシピエントとして使用可能であるか、または使用されたことがあり、および核酸によって遺伝的に改変された起源の細胞の子孫を含む。1つの細胞の子孫は、形態に関して、またはゲノムDNAすなわちDNA全体が、天然の変異、偶発的な変異、または意図的な変異のために、起源の親と必ずしも完全に同一であるとは限らないと理解される。「組換え宿主細胞」(「遺伝的に改変された宿主細胞」とも呼ばれる)は、異種核酸、例えば発現ベクターが導入された宿主細胞である。例えば本発明の原核宿主細胞は、異種核酸、例えば原核宿主細胞に対して異物である(通常は天然の状態で見出されない)外来性核酸、または原核宿主細胞には通常は見出されない組換え核酸の適切な原核宿主細胞への導入のために、遺伝的に改変された原核宿主細胞(例えば細菌)であり;ならびに本発明の真核宿主細胞は、異種核酸、例えば真核宿主細胞に対して異物である外来性核酸、または真核宿主細胞には通常は見出されない組換え核酸の適切な真核宿主細胞への導入のために、遺伝的に改変された真核宿主細胞である。
【0031】
核酸は、1本鎖型の核酸が、温度および溶液のイオン強度の適切な条件で他の核酸とアニーリング可能な場合に、cDNA、ゲノムDNA、またはRNAなどの別の核酸と「ハイブリダイズ可能である」。ハイブリダイゼーションおよび洗浄条件は周知であり、Sambrook, J., Fritsch, E. F. およびManiatis, T. Molecular Cloning: A Laboratory Manual、第2版、Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor (1989)、特に第11章および同章の表11.1;ならびにSambrook, J. and Russell, W., Molecular Cloning: A Laboratory Manual、第3版、Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor (2001)に例示されている。温度およびイオン強度の条件が、ハイブリダイゼーションの「ストリンジェンシー」を決定する。ストリンジェンシーの条件は、遠縁の生物に由来する相同配列などの類似性が中程度の断片から、近縁の生物に由来する機能性酵素を重複する遺伝子などの類似性の高い断片のスクリーニングを行うために調整することができる。ハイブリダイゼーションの条件、およびハイブリダイゼーション後の洗浄は、ハイブリダイゼーションについて望ましいと決定されたストリンジェンシー条件を得るために有用である。1組の説明目的のハイブリダイゼーション後の洗浄は、6×SSC(SSCは0.15 M NaClおよび15 mMクエン酸の緩衝液)、0.5% SDSによる室温で15分間の洗浄で開始され、これに続く2×SSC、0.5% SDSによる45℃で30分間の反復と、これに続く0.2×SSC、0.5% SDSによる50℃で30分間の2回の反復を行う一連の洗浄である。他のストリンジェントな条件は、洗浄が上記と、0.2×SSC、0.5% SDSで2回行う最後の30分間の洗浄温度を60℃に上げる以外は同一である。別の一連の、高度にストリンジェントな条件では、0.1×SSC、0.1% SDSによる65℃における2回の最終洗浄を行う。ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件の別の例は、50℃またはそれ以上における、0.1×SSC(15 mM塩化ナトリウム/1.5 mMクエン酸ナトリウム)によるハイブリダイゼーションである。ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件の別の例は、50%ホルムアミド、5×SSC(150 mM NaCl、15 mMクエン酸三ナトリウム)、50 mMリン酸ナトリウム(pH 7.6)、5×デンハート液、10%硫酸デキストラン、および20μg/mlの変性剪断サケ精子DNAの溶液中における42℃での一晩のインキュベーションと、これに続く0.1×SSCによる約65℃におけるフィルターの洗浄である。ストリンジェントなハイブリダイゼーションの条件、およびハイブリダイゼーション後の洗浄の条件とは、上記の代表的条件と少なくとも同等にストリンジェントなハイブリダイゼーション条件およびハイブリダイゼーション後の洗浄の条件である。
【0032】
ハイブリダイゼーションは、2つの核酸が相補的配列を含むことを必要とするが、ハイブリダイゼーションのストリンジェンシーに依存して、塩基間のミスマッチが生じ得る。核酸をハイブリダイズさせる際の適切なストリンジェンシーは、当技術分野で周知の変数である、核酸の長さ、および相補性の程度に依存する。2つのヌクレオチド配列間の類似性または相同性の程度が高くなるほど、このような配列を有する核酸のハイブリッドの溶解温度(Tm)の値は高くなる。核酸ハイブリダイゼーションの相対安定性(より高いTmに対応する)は、RNA:RNA、DNA:RNA、DNA:DNAの順に低下する。長さが100ヌクレオチドを上回るハイブリッドに関しては、Tmを計算する方程式が導かれている(前掲のSambrook et al.の9.50〜9.51参照)。より短い核酸、すなわちオリゴヌクレオチドとのハイブリダイゼーションに関しては、ミスマッチの位置が、より重要となり、およびオリゴヌクレオチドの長さが、その特異性を決定する(前掲のSambrook et al.の11.7〜11.8参照)。典型的には、ハイブリダイズ可能な核酸の長さは、少なくとも約10ヌクレオチドである。ハイブリダイズ可能な核酸の例示的な最小の長さは:少なくとも約15ヌクレオチド;少なくとも約20ヌクレオチド;および少なくとも約30ヌクレオチドである。さらに当業者であれば、温度および洗浄溶液の塩濃度が、必要に応じて、プローブ長などの因子に応じて調節可能なことを理解するであろう。
【0033】
「保存的アミノ酸置換」という用語は、類似の側鎖を有する、タンパク質のアミノ酸残基の可換性を意味する。例えば、脂肪族側鎖を有する一群のアミノ酸はグリシン、アラニン、バリン、ロイシン、およびイソロイシンからなり;脂肪族-ヒドロキシル側鎖を有する一群のアミノ酸はセリンおよびトレオニンからなり;アミド含有側鎖を有する一群のアミノ酸はアスパラギンおよびグルタミンからなり;芳香族側鎖を有する一群のアミノ酸はフェニルアラニン、チロシン、およびトリプトファンからなり;塩基性側鎖を有する一群のアミノ酸はリシン、アルギニン、およびヒスチジンからなり;ならびに硫黄含有側鎖を有する一群のアミノ酸はシステインおよびメチオニンからなる。例示的な保存的アミノ酸置換のグループは、バリン-ロイシン-イソロイシン、フェニルアラニン-チロシン、リシン-アルギニン、アラニン-バリン、およびアスパラギン-グルタミンである。
【0034】
「合成核酸」は、当業者に公知の手順で化学的に合成されるオリゴヌクレオチドの構成単位から組み立てることができる。このような構成単位は、連結され、およびアニーリングされて、遺伝子セグメントを形成し、これが後に、酵素的に組み立てられて遺伝子全体を構築する。DNAの配列に関して、「化学的に合成された」とは、成分ヌクレオチドがインビトロで組み立てられたことを意味する。手作業によるDNAの化学合成は、十分に確立された手順で達成可能であり、またはいくつかの市販の装置の1つを使用して自動化学合成を実施できる。核酸のヌクレオチド配列は、宿主細胞のコドンのバイアスを反映するように、ヌクレオチド配列を最適化することを元に最適に発現されるように改変され得る。当業者であれば、仮にコドン使用に、宿主が好むコドンへのバイアスがある場合に、良好な発現の可能性が高くなることを理解する。好ましいコドンの決定は、配列情報が利用可能な宿主細胞に由来する遺伝子の調査に基づく場合がある。
【0035】
ポリヌクレオチドまたはポリペプチドは、別のポリヌクレオチドまたはポリペプチドに対して、ある程度の割合(パーセント)の「配列同一性」を有する。つまり、アライメントさせたときに、2つの配列の比較時に塩基もしくはアミノ酸の比率が同じであり、および同じ相対的な位置であることを意味する。配列の類似性は多種多様な方法で決定できる。配列同一性を決定するためには、配列を、ワールドワイドウェブ(ncbi.nlm.nih.gov/BLAST)経由で入手可能な方法、およびBLASTを含むコンピュータプログラムでアライメントさせることができる。これについては例えば、Altschul et al. (1990), J. Mol. Biol. 215:403-10を参照されたい。別のアライメントアルゴリズムに、Oxford Molecular Group, Inc.の完全子会社であるGenetics Computing Group (GCG)(米国ウィスコンシン州マジソン)のパッケージとして入手可能なFASTAがある。アライメントの他の手法は、Methods in Enzymology, vol.266: Computer Methods for Macromolecular Sequence Analysis (1996)、Doolittle編、Academic Press, Inc., a division of Harcourt Brace & Co., San Diego, California, USAに記載されている。特に関心が寄せられるのは、配列中のギャップを許容するアライメントプログラムである。スミス-ウォーターマン(Smith-Waterman)の方法は、配列アライメント中のギャップを許容するアルゴリズムの1つである。これについては、Meth. Mol. Biol. 70: 173-187 (1997)を参照されたい。NeedlemanおよびWunschのアライメント法を使用するGAPプログラムも配列のアライメントに利用可能である。これについては、J. Mol. Biol. 48: 443-453 (1970)を参照されたい。
【0036】
本発明を詳述する前に、本発明が、記載された特定の態様に制限されることなく、当然変化することを理解されたい。本発明の範囲は添付の特許請求の範囲によってのみ制限されるため、本明細書で使用される術語が、特定の態様を説明することのみを目的としており、制限する意図はないことも理解されたい。
【0037】
数値の範囲が示される場合、文中で特に断らない限り、個々の介在する値は、下限の単位の10分の1まで、対象範囲の上限と下限の間、および任意の他の指定された値または指定された範囲の介在値が本発明に含まれることを理解されたい。このような、より小さな範囲の上限および下限は、より小さい方の範囲に独立に含まれる場合があり、かつ指定された範囲内の任意の特異的に除去される限界に従って本発明にも含まれる。指定された範囲が、限界の一方または両方を含む場合、このような含まれる限界の一方または両方を除外する範囲も本発明に含まれる。
【0038】
文中で特に限定しない限り、本明細書で使用される全ての技術用語および科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般に理解される用語と同じ意味を有する。本明細書に記載された方法および材料と同等または等価である任意の方法および材料を、本発明の実施または検討に使用することもできるが、好ましい方法および材料について以下に述べる。本明細書で言及された全ての出版物は、引用される出版物に関連する方法および/または材料を開示および説明するために、参照により本明細書に組み入れられる。
【0039】
本明細書で用いられるように、および添付の特許請求の範囲に使用されるように、単数形の「1つの(a)」、および「その(the)」は、文中で明記しない限り、複数の対象を含むことに注意しなければならない。したがって例えば、「1つのイソプレノイド修飾酵素」と記載する場合、複数のそのような酵素を含み、ならびに「そのシトクロムP450還元酵素」と表現する場合、1つもしくは複数のシトクロムP450還元酵素、および当業者に公知のその等価物などを含む。特許請求の範囲が任意の要素を除去するように起案される可能性があることにも注意されたい。したがって、この表現は、特許請求の範囲の要素の引用と関連して、「だけ(solely)」、「のみ(only)」などといった排他的な術語の使用、または「負の」制限の使用に関する先行的な基礎となることが意図される。
【0040】
本明細書に記載された出版物は、開示目的でのみ本出願の出願日に先立って提供される。本発明は、先行発明により、それらの開示を事前の日付にする権利を有することを了承したものとして制限されない。さらに、提供された公開日は、独立した確認の必要のある場合のある実際の公開日とは異なる場合がある。
【0041】
発明の詳細な説明
本発明は、イソプレノイド修飾酵素をコードするヌクレオチド配列を含む単離された核酸、ならびに該核酸を含む組換えベクターを提供する。本発明は、本発明の核酸または組換えベクターを含む遺伝的に改変された宿主細胞をさらに提供する。本発明は、本発明の核酸を含むトランスジェニック植物をさらに提供する。本発明は、本発明の遺伝的に改変された宿主細胞を、本発明の核酸にコードされたイソプレノイド化合物修飾酵素の合成を可能とする条件で培養する段階を一般に含む、イソプレノイド化合物を産生させる方法をさらに提供する。
【0042】
核酸、ベクター、および宿主細胞
本発明は、本明細書で「イソプレノイド修飾酵素」と呼ばれる、イソプレノイド化合物を修飾する酵素をコードするヌクレオチド配列を含む単離された核酸を提供する。イソプレノイド修飾酵素をコードするヌクレオチド配列を含む本発明の核酸は、「イソプレノイド修飾酵素の核酸」と記載される。特定の態様では、本発明の単離されたイソプレノイド修飾酵素の核酸は、シトクロムP450モノオキシゲナーゼをコードするヌクレオチド配列を含む。特定の態様では、本発明の単離されたイソプレノイド修飾酵素の核酸は、イソプレノイド酸化酵素をコードするヌクレオチド配列を含む。いくつかの態様では、本発明の単離されたイソプレノイド修飾酵素の核酸は、テルペン水酸化酵素をコードするヌクレオチド配列を含む。いくつかの態様では、本発明の単離されたイソプレノイド修飾酵素の核酸は、テルペン酸化酵素をコードするヌクレオチド配列を含む。いくつかの態様では、本発明の単離されたイソプレノイド修飾酵素の核酸は、セスキテルペン酸化酵素をコードするヌクレオチド配列を含む。いくつかの態様では、本発明の単離されたイソプレノイド修飾酵素の核酸は、セスキテルペン水酸化酵素をコードするヌクレオチド配列を含む。
【0043】
NADPH-シトクロムP450酸化還元酵素(CPR, EC 1.6.2.4)は、多くのP450-モノオキシゲナーゼの還元パートナー(redox partner)である。本発明はさらに、シトクロムP450還元酵素(CPR)をコードするヌクレオチド配列を含む単離された核酸を提供する。CPRをコードするヌクレオチド配列を含む本発明の核酸は、「CPRの核酸」と記載される。本発明のCPRの核酸にコードされたCPRは、電子をNADPHからシトクロムP450へ伝達する。一般に、本発明のCPRの核酸にコードされたCPRは、電子をNADPHからイソプレノイド修飾酵素へ、例えば本発明のイソプレノイド修飾酵素をコードする核酸にコードされたセスキテルペン酸化酵素へ伝達する。
【0044】
イソプレノイド修飾酵素をコードする核酸
いくつかの態様では、本発明の単離された核酸は、イソプレノイド水酸化酵素および/またはイソプレノイド酸化酵素の活性を示すポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む。いくつかの態様では、本発明の単離された核酸は、シトクロムP450モノオキシゲナーゼをコードするヌクレオチド配列を含む。いくつかの態様では、本発明の単離された核酸は、イソプレノイド水酸化酵素をコードするヌクレオチド配列を含む。いくつかの態様では、本発明の単離された核酸は、イソプレノイド酸化酵素をコードするヌクレオチド配列を含む。いくつかの態様では、本発明の単離された核酸は、連続的な水酸化化反応および酸化反応を実行するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む。例えば、このようなポリペプチドはテルペン化合物を水酸化してテルペンアルコールを生じ、テルペンアルコールを酸化してテルペンアルデヒドを生じ、およびテルペンアルデヒドを酸化してテルペンカルボン酸を生じる。いくつかの態様では、本発明の単離された核酸は、テルペンのイソプロペニル基の水酸化および/または酸化を触媒する、例えばモノテルペン、ジテルペン、トリテルペン、セスキテルペン、またはポリテルペンのイソプロペニル基の水酸化を触媒するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む。いくつかの態様では、本発明の単離された核酸は、モノテルペン酸化酵素をコードするヌクレオチド配列を含む。いくつかの態様では、本発明の単離された核酸は、モノテルペン水酸化酵素をコードするヌクレオチド配列を含む。いくつかの態様では、本発明の単離された核酸は、ポリテルペン水酸化酵素をコードするヌクレオチド配列を含む。いくつかの態様では、本発明の単離された核酸は、ポリテルペン酸化酵素をコードするヌクレオチド配列を含む。いくつかの態様では、本発明の単離された核酸は、ジテルペン水酸化酵素をコードするヌクレオチド配列を含む。いくつかの態様では、本発明の単離された核酸は、ジテルペン酸化酵素をコードするヌクレオチド配列を含む。いくつかの態様では、本発明の単離された核酸は、トリテルペン水酸化酵素をコードするヌクレオチド配列を含む。いくつかの態様では、本発明の単離された核酸は、トリテルペン酸化酵素をコードするヌクレオチド配列を含む。いくつかの態様では、本発明の単離された核酸は、セスキテルペン水酸化酵素をコードするヌクレオチド配列を含む。いくつかの態様では、本発明の単離された核酸は、セスキテルペン酸化酵素をコードするヌクレオチド配列を含む。いくつかの態様では、本発明の単離された核酸は、セスキテルペンC12水酸化酵素をコードするヌクレオチド配列を含む。いくつかの態様では、本発明の単離された核酸は、セスキテルペンのC12酸化を実行するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む。いくつかの態様では、本発明の単離された核酸は、アモルファジエン12酸化酵素をコードするヌクレオチド配列を含む。
【0045】
テルペンシクラーゼ(「テルペンシンターゼ」とも呼ばれる)による反応の作用の生成物が、いわゆる「テルペン骨格」である。いくつかの態様では、本発明の単離された核酸は、テルペン骨格、またはこの下流生成物の水酸化および/または酸化を触媒するイソプレノイド修飾酵素をコードするヌクレオチド配列を含む。本発明の核酸にコードされたイソプレノイド修飾酵素の基質は一般に、テルペン骨格または修飾テルペン骨格を含む。多くの態様では、本発明の核酸にコードされたイソプレノイド修飾酵素の基質はイソプロペニル基を含む。
【0046】
本発明の核酸にコードされたイソプレノイド修飾酵素のモノテルペン基質は、モノテルペン化合物であるか、またはモノテルペン化合物を生じる生合成経路の中間体である酸化生成物を生じる任意のモノテルペン基質を含むが、これらに限定されない。例示的なモノテルペン基質は、以下の任意のファミリーに属すモノテルペン基質を含むが、これらに限定されない:非環式モノテルペン、ジメチルオクタン、メンテン、不規則なモノテルペノイド、シネオール、カンファン、イソカンファン、単環式モノテルペン、ピナン、フェンチャン(Fenchane)、ツジャン、カラン、イオノン、イリダン(Iridane)、およびカンナビノイド。例示的なモノテルペン基質、中間体、および生成物は、リモネン、シトラネロール、ゲラニオール、メントール、ペリリルアルコール、リナロール、およびツジョンを含むが、これらに限定されない。
【0047】
本発明の核酸にコードされたイソプレノイド修飾酵素のジテルペン基質は、ジテルペン化合物か、またはジテルペン化合物を生じる生合成経路の中間体である酸化生成物を生じる任意のジテルペン基質を含むが、これらに限定されない。例示的なジテルペン基質は、以下の任意のファミリーに属すジテルペン基質を含むが、これらに限定されない:非環式ジテルペノイド、二環式ジテルペノイド、単環式ジテルペノイド、ラブダン(Labdane)、クレロダン、タキサン、三環式ジテルペノイド、四環式ジテルペノイド、カウレン、ベイエレン(Beyerene)、アティセレン(Atiserene)、アフィディコリン、グラヤノトキシン、ジベレリン、大環状ジテルペン、およびエリザベスアトリエン(Elizabethatriene)。例示的なジテルペン基質、中間体、および生成物は、カスベン、エレウセルビン(eleutherobin)、パクリタキセル、プロストラチン、およびシュードプテロシン(pseudopterosin)を含むが、これらに限定されない。
【0048】
本発明の核酸にコードされたイソプレノイド修飾酵素のトリテルペン基質は、トリテルペン化合物か、またはトリテルペン化合物を生じる生合成経路の中間体である酸化生成物を生じる任意のトリテルペン基質を含むが、これらに限定されない。例示的なトリテルペン基質、中間体、および生成物は、アルブシド(arbruside)E、ブルセアンチン(bruceantin)、テストステロン、プロゲステロン、コルチゾン、およびジギトキシンを含むが、これらに限定されない。
【0049】
本発明の核酸にコードされたイソプレノイド修飾酵素のセスキテルペン基質は、セスキテルペン化合物か、またはセスキテルペン化合物を生じる生合成経路の中間体である酸化生成物を生じる任意のセスキテルペン基質を含むが、これらに限定されない。例示的なセスキテルペン基質は、以下の任意のファミリーに属すセスキテルペン基質を含むが、これらに限定されない:ファルネサン(Farnesane)、モノシクロファルネサン(Monocyclofarnesane)、単環式セスキテルペン、二環式セスキテルペン、二環式ファルネサン(Bicyclofarnesane)、ビスボラン(Bisbolane)、サンタラン(Santalane)、クプラン(Cuprane)、ヘルベルタン(Herbertane)、ジムノミトラン(Gymnomitrane)、トリコテカン(Trichothecane)、チャミグラン(Chamigrane)、カロタン(Carotane)、アコラン(Acorane)、アンチサチン(Antisatin)、カジナン(Cadinane)、オプロパナン(Oplopanane)、コパーン(Copaane)、ピクロトキサン(Picrotoxane)、ヒマカラン(Himachalane)、ロンジピナン(Longipinane)、ロンジシクラン(Longicyclane)、カリオフィラン(Caryophyllane)、モドヘファン(Modhephane)、シフィパーフォラン(Siphiperfolane)、フムラン(Humulane)、インターグリフォリラン(Intergrifoliane)、リッピフォリアン(Lippifoliane)、プロトイルダン(Protoilludane)、イルダン(Illudane)、ヒルスタン(Hirsutane)、ラクタラン(Lactarane)、ステルプラン(Sterpurane)、フォマンノサン(Fomannosane)、マラスマン(Marasmane)、ゲルマクラン(Germacrane)、エレマン(Elemane)、オイデスマン(Eudesmane)、バッカン(Bakkane)、チロシファン(Chilosyphane)、グアイアン(Guaiane)、シュードグアイアン(Pseudoguaiane)、三環式セスキテルペン、パッチョウラン(Patchoulane)、トリキサン(Trixane)、アロマデンドラン(Aromadendrane)、ゴルゴナン(Gorgonane)、ナルドシナン(Nardosinane)、ブラシラン(Brasilane)、ピングイサン(Pinguisane)、セスキピナン(Sesquipinane)、セスキカンファン(Sesquicamphane)、ツジョプサン(Thujopsane)、ビシクロフムラン(Bicylcohumulane)、アリアカン(Alliacane)、ステルプラン(Sterpurane)、ラクタラン(Lactarane)、アフリカン(Africane)、インテグリフォリラン(Integrifoliane)、プロトイルダン(Protoilludane)、アリストラン(Aristolane)、およびネオレムナン(Neolemnane)。例示的なセスキテルペン基質は、アモルファジエン、アロイソロンギフォレン、(-)-α-トランス-ベルガモテン、(-)-β-エレメン、(+)-ゲルマクレンA、ゲルマクレンB、(+)-γ-グルジュネン(gurjunene)、(+)-レデン(ledene)、ネオインテルメデオール(neointermedeol)、(+)-β-セリネン、および(+)-バレンセン(valencene)。
【0050】
本発明の核酸が、テルペン酸化酵素またはテルペン水酸化酵素のどちらをコードするかは、適切な基質を使用する、これらの酵素活性を対象とする標準的なアッセイ法で容易に確認可能である。酵素修飾の生成物は一般に、ガスクロマトグラフィー-質量分析によって解析される。本発明の核酸がセスキテルペン酸化酵素またはセスキテルペン水酸化酵素のどちらをコードするかは、これらの酵素活性を対象とする標準的なアッセイ法で容易に確認可能である。これについては例えば、その開示が参照により本明細書に組み入れられる、米国特許公報第20050019882号を参照されたい。
【0051】
いくつかの態様では、本発明の核酸は、図1に示された、およびSEQ ID NO:1に記載されたヌクレオチド配列を含む。いくつかの態様では、本発明の核酸は、SEQ ID NO:1に記載されたヌクレオチド配列に対して少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約57%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%のヌクレオチド配列同一性を有するヌクレオチド配列を含む。いくつかの態様では、本発明の核酸は、SEQ ID NO:1に記載されたヌクレオチド配列と比較して1残基、2残基、3残基、4残基、5残基、6残基、7残基、8残基、9残基、10残基、約10〜約15残基、約15〜約20残基、約20〜約25残基、または約25〜約50残基のヌクレオチド置換を有するヌクレオチド配列を含む。
【0052】
いくつかの態様では、本発明の核酸は、核酸が、テルペン水酸化酵素および/またはテルペン酸化酵素の活性(例えばセスキテルペン酸化酵素活性、セスキテルペン水酸化酵素活性など)を示すポリペプチドをコードする、SEQ ID NO:1に記載されたヌクレオチド配列に対して少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約57%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%のヌクレオチド配列同一性を有するヌクレオチド配列を含む。
【0053】
いくつかの態様では、本発明の核酸は、SEQ ID NO.1に記載されたヌクレオチド配列の少なくとも約500残基、少なくとも約600残基、少なくとも約700残基、少なくとも約800残基、少なくとも約900残基、少なくとも約1000残基、少なくとも約1100残基、少なくとも約1200残基、少なくとも約1300残基、少なくとも約1400残基、または少なくとも約1450残基の一続きの連続ヌクレオチドに対して少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約57%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%のヌクレオチド配列同一性を有するヌクレオチド配列を含む。
【0054】
いくつかの態様では、本発明の核酸は、SEQ ID NO:1に記載されたヌクレオチド配列の少なくとも約500残基、少なくとも約600残基、少なくとも約700残基、少なくとも約800残基、少なくとも約900残基、少なくとも約1000残基、少なくとも約1100残基、少なくとも約1200残基、少なくとも約1300残基、少なくとも約1400残基、または少なくとも約1450残基の連続ヌクレオチドを含む。いくつかの態様では、本発明の核酸は、SEQ ID NO:1に記載されたヌクレオチド配列の少なくとも約500残基、少なくとも約600残基、少なくとも約700残基、少なくとも約800残基、少なくとも約900残基、少なくとも約1000残基、少なくとも約1100残基、少なくとも約1200残基、少なくとも約1300残基、少なくとも約1400残基、または少なくとも約1450残基の連続ヌクレオチドを含み、ならびにテルペン水酸化酵素および/またはテルペン酸化酵素の活性、例えばセスキテルペンの水酸化酵素および/または酸化酵素の活性を示すポリペプチドをコードする。
【0055】
いくつかの態様では、本発明の核酸は、SEQ ID NO:1に記載されたヌクレオチド配列を含む核酸、またはその相補物と、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件でハイブリダイズするヌクレオチド配列を含む。
【0056】
いくつかの態様では、本発明の核酸は、図2に示された、およびSEQ ID NO:2に記載されたアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む。いくつかの態様では、本発明の核酸は、SEQ ID NO:2に記載されたアミノ酸配列に対して少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む。いくつかの態様では、本発明の核酸は、SEQ ID NO:2に記載されたアミノ酸配列の少なくとも約50残基、少なくとも約75残基、少なくとも約100残基、少なくとも約150残基、少なくとも約200残基、少なくとも約250残基、少なくとも約300残基、少なくとも約350残基、少なくとも約400残基、少なくとも約450残基、または少なくとも約490残基の一続きの連続アミノ酸に対して少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む。いくつかの態様では、本発明の核酸は、SEQ ID NO:2に記載されたアミノ酸配列と比較して1残基、2残基、3残基、4残基、5残基、6残基、7残基、8残基、9残基、10残基、約10〜約15残基、約15〜約20残基、または約20〜約25残基の保存的アミノ酸置換を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む。いくつかの態様では、コードされるポリペプチドは、テルペン水酸化酵素および/またはテルペン酸化酵素の活性を示す。いくつかの態様では、コードされるポリペプチドは、セスキテルペン酸化酵素活性を示す。いくつかの態様では、コードされるポリペプチドは、セスキテルペン基質のC12酸化を触媒する。他の態様では、コードされるポリペプチドは、セスキテルペン水酸化酵素活性を示す。
【0057】
いくつかの態様では、本発明の核酸は、SEQ ID NO:2に記載されたアミノ酸配列に対して少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列の、少なくとも約50残基、少なくとも約75残基、少なくとも約100残基、少なくとも約150残基、少なくとも約200残基、少なくとも約250残基、少なくとも約300残基、少なくとも約350残基、少なくとも約400残基、少なくとも約450残基、または少なくとも約490残基の連続アミノ酸を含むポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む。いくつかの態様では、コードされるポリペプチドは、テルペン水酸化酵素および/またはテルペン酸化酵素の活性を示す。いくつかの態様では、コードされるポリペプチドは、セスキテルペン酸化酵素活性を示す。いくつかの態様では、コードされるポリペプチドは、セスキテルペン基質のC12酸化を触媒する。他の態様では、コードされるポリペプチドは、セスキテルペン水酸化酵素活性を示す。
【0058】
いくつかの態様では、本発明の核酸は、図9に示された、およびSEQ ID NO:5に記載されたヌクレオチド配列を含む。いくつかの態様では、本発明の核酸は、SEQ ID NO:5に記載されたヌクレオチド配列に対して少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約57%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%のヌクレオチド配列同一性を有するヌクレオチド配列を含む。いくつかの態様では、本発明の核酸は、SEQ ID NO:5に記載されたヌクレオチド配列と比較して1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、約10〜約15個、約15〜約20個、約20〜約25個、または約25〜約50個のヌクレオチド置換を有するヌクレオチド配列を含む。
【0059】
いくつかの態様では、本発明の核酸は、核酸が、テルペン水酸化酵素および/またはテルペン酸化酵素の活性(例えばセスキテルペン酸化酵素活性、セスキテルペン水酸化酵素活性など)を示すポリペプチドをコードする、SEQ ID NO:5に記載されたヌクレオチド配列に対して少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約57%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%のヌクレオチド配列同一性を有するヌクレオチド配列を含む。
【0060】
いくつかの態様では、本発明の核酸は、SEQ ID NO:5に記載されたヌクレオチド配列の少なくとも約500残基、少なくとも約600残基、少なくとも約700残基、少なくとも約800残基、少なくとも約900残基、少なくとも約1000残基、少なくとも約1100残基、少なくとも約1200残基、少なくとも約1300残基、少なくとも約1400残基、または少なくとも約1450残基の一続きの連続ヌクレオチドに対して少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約57%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%のヌクレオチド配列同一性を有するヌクレオチド配列を含む。
【0061】
いくつかの態様では、本発明の核酸は、SEQ ID NO:6に記載されたアミノ酸配列に対して少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列の少なくとも約50残基、少なくとも約75残基、少なくとも約100残基、少なくとも約150残基、少なくとも約200残基、少なくとも約250残基、少なくとも約300残基、少なくとも約350残基、少なくとも約400残基、少なくとも約450残基、または少なくとも約480残基の連続アミノ酸を含むポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む。多くの態様では、コードされるポリペプチドは、テルペン水酸化酵素および/またはテルペン酸化酵素の活性を示す。多くの態様では、コードされるポリペプチドは、セスキテルペン酸化酵素またはセスキテルペン水酸化酵素の活性を示す。多くの態様では、コードされるポリペプチドは、セスキテルペン基質の水酸化を触媒する。
【0062】
いくつかの態様では、本発明の核酸は、SEQ ID NO:5に記載されたヌクレオチド配列の少なくとも約500残基、少なくとも約600残基、少なくとも約700残基、少なくとも約800残基、少なくとも約900残基、少なくとも約1000残基、少なくとも約1100残基、少なくとも約1200残基、少なくとも約1300残基、少なくとも約1400残基、または少なくとも約1450残基の連続ヌクレオチドを含む。いくつかの態様では、本発明の核酸は、SEQ ID NO:5に記載されたヌクレオチド配列の少なくとも約500残基、少なくとも約600残基、少なくとも約700残基、少なくとも約800残基、少なくとも約900残基、少なくとも約1000残基、少なくとも約1100残基、少なくとも約1200残基、少なくとも約1300残基、少なくとも約1400残基、または少なくとも約1450残基の連続ヌクレオチドを含み、ならびにテルペン水酸化酵素および/または酸化酵素の活性、例えばセスキテルペン酸化酵素活性、セスキテルペン水酸化酵素活性などを示すポリペプチドをコードする。
【0063】
いくつかの態様では、本発明の核酸は、SEQ ID NO:5に記載されたヌクレオチド配列を含む核酸、またはこの相補物と、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件でハイブリダイズするヌクレオチド配列を含む。
【0064】
いくつかの態様では、本発明の核酸は、図9に示された、およびSEQ ID NO:6に記載されたアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む。いくつかの態様では、本発明の核酸は、SEQ ID NO:6に記載されたアミノ酸配列に対して少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む。いくつかの態様では、本発明の核酸は、SEQ ID NO:6に記載されたアミノ酸配列の少なくとも約50残基、少なくとも約75残基、少なくとも約100残基、少なくとも約150残基、少なくとも約200残基、少なくとも約250残基、少なくとも約300残基、少なくとも約350残基、少なくとも約400残基、少なくとも約450残基、または少なくとも約480残基の一続きの連続アミノ酸に対して少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む。いくつかの態様では、本発明の核酸は、SEQ ID NO:6に記載されたアミノ酸配列と比較して1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、約10〜約15個、約15〜約20個、または約20〜約25個の保存的アミノ酸置換を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む。いくつかの態様では、コードされたポリペプチドは、テルペン水酸化酵素および/またはテルペン酸化酵素の活性を示す。いくつかの態様では、コードされるポリペプチドは、セスキテルペン酸化酵素活性を示す。いくつかの態様では、コードされるポリペプチドは、セスキテルペン基質の水酸化を触媒する。他の態様では、コードされるポリペプチドは、セスキテルペン水酸化酵素活性を示す。
【0065】
いくつかの態様では、本発明の核酸は、SEQ ID NO:6に記載されたアミノ酸配列に対して少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列の少なくとも約50残基、少なくとも約75残基、少なくとも約100残基、少なくとも約150残基、少なくとも約200残基、少なくとも約250残基、少なくとも約300残基、少なくとも約350残基、少なくとも約400残基、少なくとも約450残基、または少なくとも約480残基の連続アミノ酸を含むポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む。いくつかの態様では、コードされるポリペプチドは、テルペン水酸化酵素および/またはテルペン酸化酵素の活性を示す。いくつかの態様では、コードされるポリペプチドは、セスキテルペン酸化酵素活性を示す。いくつかの態様では、コードされるポリペプチドは、セスキテルペン基質の水酸化を触媒する。他の態様では、コードされたポリペプチドは、セスキテルペン水酸化酵素活性を示す。
【0066】
いくつかの態様では、本発明の核酸は、SEQ ID NO:2またはSEQ ID NO:6に記載されたアミノ酸配列を含むポリペプチドのバリアントをコードするヌクレオチド配列を含む。例えば、いくつかの態様では、本発明の核酸は、SEQ ID NO:2またはSEQ ID NO:6に記載されたアミノ酸配列を含む酵素と比較して、以下の1つもしくは複数の特性を示す酵素をコードするヌクレオチド配列を含む:1)高い酵素活性;2)インビトロおよび/またはインビボにおける高い安定性;3)生成物の高い収率;4)変化した、タンパク質のターンオーバー速度;5)変化した基質特異性(例えばバリアント酵素が、選択された基質を修飾するように);6)高い酵素効率(例えば、生成物を生じる基質変換の高い効率);ならびに7)高い溶解性(例えば細胞基質質もしくは細胞質内における溶解性)。
【0067】
シトクロムP450還元酵素をコードする核酸
本発明は、シトクロムP450還元酵素(CPR)をコードするヌクレオチド配列を含む単離された核酸を提供する。いくつかの態様では、本発明のCPRの核酸は、電子をNADPHから、本発明のイソプレノイド修飾酵素の核酸にコードされたシトクロムP450酸化酵素へ伝達するCPRをコードするヌクレオチド配列を含む。
【0068】
いくつかの態様では、本発明の核酸は、図3に示された、およびSEQ ID NO:3に記載されたヌクレオチド配列を含む。いくつかの態様では、本発明の核酸は、SEQ ID NO:3に記載されたヌクレオチド配列に対して少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%のヌクレオチド配列同一性を有するヌクレオチド配列を含む。
【0069】
いくつかの態様では、本発明の核酸は、SEQ ID NO:3に記載されたヌクレオチド配列を含む核酸、またはこの相補物と、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件でハイブリダイズするヌクレオチド配列を含む。
【0070】
いくつかの態様では、本発明の核酸は、図4に示された、およびSEQ ID NO:4に記載されたアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む。いくつかの態様では、本発明の核酸は、SEQ ID NO:4に記載されたアミノ酸配列に対して少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む。いくつかの態様では、本発明の核酸は、SEQ ID NO:4に記載されたアミノ酸配列と比較して1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、約10〜約15個、約15〜約20個、または約20〜約25個の保存的アミノ酸置換を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む。
【0071】
いくつかの態様では、本発明の核酸は、SEQ ID NO:4に記載されたアミノ酸配列に対して少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列の少なくとも約50残基、少なくとも約75残基、少なくとも約100残基、少なくとも約150残基、少なくとも約200残基、少なくとも約250残基、少なくとも約300残基、少なくとも約350残基、少なくとも約400残基、少なくとも約450残基、少なくとも約500残基、少なくとも約550残基、少なくとも約600残基、少なくとも約650残基、または少なくとも約700残基の連続アミノ酸を含むポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む。いくつかの態様では、コードされるポリペプチドは、電子をNADPHから、本発明のイソプレノイド修飾酵素の核酸にコードされたポリペプチド(例えばイソプレノイド修飾酵素)へ伝達する。
【0072】
いくつかの態様では、本発明の核酸は、SEQ ID NO:3に記載されたヌクレオチド配列の少なくとも約500残基、少なくとも約600残基、少なくとも約700残基、少なくとも約800残基、少なくとも約900残基、少なくとも約1000残基、少なくとも約1100残基、少なくとも約1200残基、少なくとも約1300残基、少なくとも約1400残基、少なくとも約1500残基、少なくとも約1600残基、少なくとも約1700残基、少なくとも約1800残基、少なくとも約1900残基、少なくとも約2000残基、または少なくとも約2100残基の連続ヌクレオチドを含む。いくつかの態様では、本発明の核酸は、SEQ ID NO:3に記載されたヌクレオチド配列の少なくとも約500残基、少なくとも約600残基、少なくとも約700残基、少なくとも約800残基、少なくとも約900残基、少なくとも約1000残基、少なくとも約1100残基、少なくとも約1200残基、少なくとも約1300残基、少なくとも約1400残基、少なくとも約1500残基、少なくとも約1600残基、少なくとも約1700残基、少なくとも約1800残基、少なくとも約1900残基、少なくとも約2000残基、または少なくとも約2100残基の連続ヌクレオチドを含み、および電子をNADPHから、本発明のイソプレノイド修飾酵素の核酸にコードされたシトクロムP450酸化酵素へ伝達するポリペプチドをコードする(例えば、コードされたポリペプチドは、電子をNADPHから、本発明のイソプレノイド修飾酵素の核酸にコードされたポリペプチド(例えばイソプレノイド修飾酵素)へ伝達する)。
【0073】
いくつかの態様では、本発明の核酸は、SEQ ID NO:4に記載されたアミノ酸配列を含むポリペプチドのバリアントをコードするヌクレオチド配列を含む。例えば、いくつかの態様では、本発明の核酸は、SEQ ID NO:4に記載されたアミノ酸配列を含む酵素と比較して、以下の1つもしくは複数の特性を示す酵素をコードするヌクレオチド配列を含む:1)高い酵素活性;2)インビトロおよび/またはインビボにおける高い安定性;3)生成物の高い収率;4)変化した、タンパク質のターンオーバー速度;5)変化した基質特異性(例えばバリアント酵素が、選択された基質を修飾するように);6)高い酵素効率(例えば、生成物を生じる基質変換の高い効率);ならびに7)高い溶解性(例えば細胞基質もしくは細胞質内における溶解性)。
【0074】
いくつかの態様では、本発明の核酸は、異種ポリペプチド(「融合パートナー」)、例えば、上記のイソプレノイド修飾酵素以外のポリペプチドと融合した、上記のテルペン水酸化酵素および/またはテルペン酸化酵素活性を示すイソプレノイド修飾酵素のアミノ酸配列を含む融合タンパク質をコードするヌクレオチド配列を含む。いくつかの態様では、本発明の核酸は、上記のCPRのアミノ酸配列を含む融合タンパク質、および異種ポリペプチド、例えばCPR以外のポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む。適切な融合パートナーは、イソプレノイド修飾酵素またはCPRの溶解性を高めるポリペプチド;検出可能なシグナルを提供するポリペプチド(例えば蛍光タンパク質;検出可能な産物を生じる酵素、例えばβ-ガラクトシダーゼ、ルシフェラーゼ、西洋ワサビペルオキシダーゼなど);イソプレノイド修飾酵素またはCPRの、特定の細胞区画(例えば細胞基質、細胞質など)における封入体を提供するポリペプチドなどを含むが、これらに限定されない。
【0075】
いくつかの態様では、本発明の核酸は、イソプレノイド修飾酵素(例えば、テルペン水酸化酵素および/またはテルペン酸化酵素の活性を示すポリペプチド)とCPRの両方をコードするヌクレオチド配列を含む。いくつかの態様では、本発明の核酸は、CPRポリペプチドと融合した、上記のテルペン水酸化酵素および/またはテルペン酸化酵素の活性を示すイソプレノイド修飾酵素のアミノ酸配列を含む融合タンパク質をコードするヌクレオチド配列を含む。いくつかの態様では、コードされる融合タンパク質は、式NH2-A-X-B-COOHである。同式でAはテルペン水酸化酵素および/またはテルペン酸化酵素の活性を示すイソプレノイド修飾酵素であり、Xは任意のリンカーであり、ならびにBはCPRポリペプチドである。いくつかの態様では、コードされる融合タンパク質は、式NH2-A-X-B-COOHである。同式でAはCPRポリペプチドであり、Xは任意のリンカーであり、およびBは、テルペン水酸化酵素および/またはテルペン酸化酵素の活性を示すイソプレノイド修飾ポリペプチドである。
【0076】
リンカーペプチドは、任意のさまざまなアミノ酸配列を有する場合がある。タンパク質は、一般に柔軟な性質のスペーサーペプチドによって連結可能であるが、他の化学的連結は除外されない。リンカーは、切断され得るリンカーでもよい。適切なリンカーの配列は一般に、約5〜約50アミノ酸の長さ、または約6〜約25アミノ酸の長さのペプチドである。ある程度の柔軟性を有するペプチドリンカーが一般に使用される。連結用ペプチドは、好ましいリンカーが、一般に柔軟なペプチドを生じる配列を有することを念頭において、実質的に任意のアミノ酸配列を有する場合がある。グリシンやアラニンなどの小型のアミノ酸は、柔軟なペプチドの作製に使用される。このような配列の作製は、当業者にとってルーチンである。多種多様なリンカーが市販されており、および本発明による使用に適切であるとみなされている。
【0077】
適切なリンカーペプチドは、タンパク質構造に柔軟性を賦与することが知られている、アラニン残基およびプロリン残基に富むアミノ酸配列を高頻度で含む。例示的なリンカーは、AAAGGM(SEQ ID NO:8);AAAGGMPPAAAGGM(SEQ ID NO:9);AAAGGM(SEQ ID NO:10);およびPPAAAGGM(SEQ ID NO:11)などの、グリシン残基、アラニン残基、プロリン残基、およびメチオニン残基の組み合わせを有する。他の例示的なリンカーペプチドは、IEGR(SEQ ID NO:12);およびGGKGGK(SEQ ID NO:13)を含む。しかしながら、一般に約5〜約50アミノ酸の長さの任意の柔軟なリンカーを使用することができる。リンカーは、上記に例示されたタイプのアラニン-プロリンに富む配列を含む一般に柔軟なペプチドを生じる、実質的に任意の配列を有する場合がある。
【0078】
コンストラクト
本発明はさらに、本発明の核酸を含む組換えベクター(「コンストラクト」)を提供する。いくつかの態様では、本発明の組換えベクターは、本発明の核酸の増幅を提供する。いくつかの態様では、本発明の組換えベクターは、真核細胞における、原核細胞における、または無細胞転写/翻訳系における、コードされたイソプレノイド修飾酵素、またはコードされたCPRの産生を提供する。適切な発現ベクターは、バキュロウイルスベクター、バクテリオファージベクター、プラスミド、ファジミド、コスミド、フォスミド、細菌人工染色体、ウイルスベクター(例えばワクシニアウイルス、ポリオウイルス、アデノウイルス、アデノ関連ウイルス、SV40、単純ヘルペスウイルスなどをベースとするウイルスベクター)、P1ベースの人工染色体、酵母プラスミド、酵母人工染色体、ならびに特定の対象宿主(大腸菌、酵母、および植物の細胞など)に特異的な他の任意のベクターを含むが、これらに限定されない。
【0079】
いくつかの態様では、本発明の組換えベクターは、本発明のイソプレノイド修飾酵素をコードする核酸、および本発明のCPRをコードする核酸を含む。これらの態様のいくつかでは、本発明の組換えベクターは、真核細胞内において、原核細胞内において、または無細胞転写/翻訳系において、コードされたイソプレノイド修飾酵素と、コードされたCPRの両方の産生を提供する発現ベクターである。
【0080】
ある特定のタイプのベクターでは、本発明の発現カセットの増幅が可能である。他のタイプのベクターは、本発明の核酸の細胞内への効率的な導入に、および導入後は、それらの安定な発現に必要である。本発明の核酸を受入れ可能な任意のベクターは、本発明の目的に適切な組換えベクターであると想定される。ベクターは、宿主ゲノムに組み込まれるか、またはエピソーム状態で維持される、任意の環状または直線状のDNAの場合がある。ベクターは、宿主細胞に効率的に組込まれるために(例えば多くの発現プラスミド)、または自己組込み型の細胞特異的な系の一部となるために(例えば組換えウイルス)、追加的な操作もしくは特定の条件を必要とする場合がある。ベクターは、いくつかの態様では、組換えベクターを増殖させるように、および/または本発明の核酸の発現を提供するように機能するように原核細胞内で機能する。いくつかの態様では、ベクターは、ベクターが多くの態様では発現ベクターである真核細胞で機能する。
【0081】
数多くの適切な発現ベクターが当業者に公知であり、および多くが市販されている。例として以下のベクターが挙げられる;細菌宿主細胞用:pBluescript(Stratagene, San Diego, Calif.)、pQEベクター(Qiagen)、pBluescriptプラスミド、pNHベクター、λ-ZAPベクター(Stratagene);pTrc(Amann et al., Gene, 69:301-315 (1988));pTrc99a、pKK223-3、pDR540、およびpRIT2T(Pharmacia);真核宿主細胞用:pXT1、pSG5(Stratagene)、pSVK3、pBPV、pMSG、およびpSVLSV40(Pharmacia)。しかしながら、宿主細胞と適合する限りにおいて、他の任意のプラスミドまたは他のベクターを使用することができる。
【0082】
本発明の組換えベクターは多くの態様で、形質転換宿主細胞の選択用の表現型形質を提供するために、1つまたは複数の選択マーカー遺伝子を含む。適切な選択マーカーは、真核細胞培養用にジヒドロ葉酸還元酵素、ネオマイシン耐性;および大腸菌などの原核宿主細胞用にテトラサイクリン耐性またはアンピシリン耐性を含むが、これらに限定されない。
【0083】
多くの態様では、本発明の核酸は、イソプレノイド修飾酵素をコードするヌクレオチド配列が1つもしくは複数の転写および/または翻訳の制御エレメントに機能的に連結されている、イソプレノイド修飾酵素をコードするヌクレオチド配列を含む。多くの態様では、本発明の核酸は、CPRをコードするヌクレオチド配列が1つもしくは複数の転写および/または翻訳の制御エレメントに機能的に連結されている、CPRをコードするヌクレオチド配列を含む。
【0084】
上記のいくつかの態様では、本発明の組換えベクターは、本発明のイソプレノイド修飾酵素をコードする核酸、および本発明のCPRをコードする核酸を含む。これらの態様のいくつかでは、イソプレノイド修飾酵素をコードするヌクレオチド配列、およびCPRをコードするヌクレオチド配列は、異なる転写制御エレメントに機能的に連結されている。他の態様では、イソプレノイド修飾酵素をコードするヌクレオチド配列、およびCPRをコードするヌクレオチド配列は同じ転写制御エレメントに機能的に連結されている。いくつかの態様では、イソプレノイド修飾酵素をコードするヌクレオチド配列、およびCPRをコードするヌクレオチド配列はいずれも、同じ誘導性プロモーターに機能的に連結されている。いくつかの態様では、イソプレノイド修飾酵素をコードするヌクレオチド配列、およびCPRをコードするヌクレオチド配列はいずれも、同じ構成的プロモーターに機能的に連結されている。
【0085】
原核宿主細胞で使用される適切なプロモーターは、バクテリオファージT7のRNAポリメラーゼプロモーター;trpプロモーター;lacオペロンプロモーター;ハイブリッドプロモーター、例えばlac/tacハイブリッドプロモーター、tac/trcハイブリッドプロモーター、trp/lacプロモーター、T7/lacプロモーター;trcプロモーター;tacプロモーターなど;araBADプロモーター;ssaGプロモーターなどのインビボで調節されるプロモーターまたは関連プロモーター(例えば米国特許公報第20040131637号参照)、pagCプロモーター(Pulkkinen and Miller, J. Bacteriol., 1991: 173(1): 86-93;Alpuche-Aranda et al., PNAS, 1992;89(21): 10079-83)、nirBプロモーター(Harborne et al. (1992) Mol. Micro. 6:2805-2813)など(例えばDunstan et al. (1999) Infect. Immun. 67:5133-5141;McKelvie et al. (2004) Vaccine 22:3243-3255;およびChatfield et al. (1992) Biotechnol. 10:888-892参照);sigma70プロモーター、例えばコンセンサスのsigma70プロモーター(例えばGenBankアクセッション番号AX798980、AX798961、およびAX798183参照);静止期プロモーター、例えばdpsプロモーター、spvプロモーターなど;病原性遺伝子群SPI-2に由来するプロモーター(例えばWO96/17951参照);actAプロモーター(例えばShetron-Rama et al. (2002) Infect. Immun. 70:1087-1096参照);rpsMプロモーター(例えばValdivia and Falkow (1996). Mol. Microbiol. 22:367-378参照);tetプロモーター(例えばHillen, W. and Wissmann, A. (1989) In Saenger,W. and Heinemann,U. (eds), Topics in Molecular and Structural Biology, Protein-Nucleic Acid Interaction. Macmillan, London, UK, Vol. 10, pp. 143-162参照);SP6プロモーター(例えばMelton et al. (1984) Nucl. Acids Res. 12:7035-7056参照)などを含むが、これらに限定されない。
【0086】
適切な真核生物プロモーターの非制限的な例は、CMVの前初期、HSVチミジンキナーゼ、SV40の初期および後期、レトロウイルスのLTR、ならびにマウスメタロチオネイン-Iを含む。いくつかの態様では、例えば酵母細胞における発現の場合は、適切なプロモーターは、ADH1プロモーター、PGK1プロモーター、ENOプロモーター、PYK1プロモーターなどの構成的プロモーター;またはGAL1プロモーター、GAL10プロモーター、ADH2プロモーター、PHO5プロモーター、CUP1プロモーター、GAL7プロモーター、MET25プロモーター、MET3プロモーターなどの調節可能なプロモーターである。適切なベクターおよびプロモーターの選択は、当業者の能力のレベル内にある。発現ベクターは、翻訳開始用のリボソーム結合部位、および転写ターミネーターを含む場合もある。発現ベクターは、発現の増幅に適切な配列を含む場合もある。
【0087】
多くの態様では、イソプレノイド修飾酵素をコードするヌクレオチド配列は、誘導性プロモーターに機能的に連結されている。多くの態様では、CPRをコードするヌクレオチド配列は、誘導性プロモーターに機能的に連結されている。誘導性プロモーターは当技術分野で周知である。適切な誘導性プロモーターは、バクテリオファージλのpL;Plac;Ptrp;Ptac(Ptrp-lacハイブリッドプロモーター);イソプロピル-β-D-チオガラクトピラノシド(IPTG)誘導性プロモーター、例えばlacZプロモーター;テトラサイクリン誘導性プロモーター;アラビノース誘導性プロモーター、例えばPBAD(例えばGuzman et al. (1995) J. Bacteriol. 177:4121-4130参照):キシロース誘導性プロモーター、例えばPxyl(例えばKim et al. (1996) Gene 181:71-76参照);GAL1プロモーター;トリプトファンプロモーター;lacプロモーター;アルコール誘導性プロモーター、例えばメタノール誘導性プロモーター、エタノール誘導性プロモーター;ラフィノース誘導性プロモーター;熱誘導性プロモーター、例えば熱感受性リプレッサーによって制御されるプロモーターである熱誘導性のλPLプロモーター(例えばCI857抑制型のλベースの発現ベクター、例えばHoffmann et al. (1999) FEMS Microbiol Lett. 177(2):327-34参照)などのプロモーターを含むが、これらに限定されない。
【0088】
酵母では、構成的または誘導性のプロモーターを含む、いくつかのベクターを使用することができる。総説として、Current Protocols in Molecular Biology, Vol.2, 1988, Ed. Ausubel, et al., Greene Publish. Assoc. & Wiley Interscience, Ch.13;Grant, et al., 1987, Expression and Secretion Vectors for Yeast, in Methods in Enzymology, Eds. Wu & Grossman, 31987, Acad. Press, N.Y., Vol.153, pp.516-544;Glover, 1986, DNA Cloning, Vol.II, IRL Press, Wash., D.C., Ch.3;and Bitter, 1987, Heterologous Gene Expression in Yeast, Methods in Enzymology, Eds. Berger & Kimmel, Acad. Press, N.Y., Vol.152, pp.673-684;およびThe Molecular Biology of the Yeast Saccharomyces, 1982, Eds. Strathern et al., Cold Spring Harbor Press, Vols. I and IIを参照されたい。ADHやLEU2などの構成的な酵母プロモーター、またはGALなどの誘導性プロモーターを使用することができる(Cloning, in Yeast, Ch.3, R. Rothstein In: DNA Cloning Vol.11, A Practical Approach, Ed. DM Glover, 1986, IRL Press, Wash., D.C.)。または、外来性DNA配列の、酵母染色体への組込みを促進するベクターを使用することができる。
【0089】
いくつかの態様では、本発明の核酸または本発明のベクターは、植物細胞における発現のためのプロモーターまたは他の調節エレメントを含む。植物細胞において機能する適切な構成的プロモーターの非制限的な例は、カリフラワーモザイクウイルスの35Sプロモーター、タンデム35Sプロモーター(Kay et al., Science 236:1299 (1987))、カリフラワーモザイクウイルスの19Sプロモーター、ノパリンシンターゼ遺伝子のプロモーター(Singer et al., Plant Mol. Biol. 14:433 (1990);An, Plant Physiol. 81:86 (1986)、オクトピンシンターゼ遺伝子のプロモーター、およびユビキチンプロモーターである。植物細胞で機能する適切な誘導性プロモーターは、フェニルアラニンアンモニア-リアーゼ遺伝子のプロモーター、カルコンシンターゼ遺伝子のプロモーター、病原性関連タンパク質遺伝子のプロモーター、銅誘導性の調節エレメント;(Mett et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90:4567-4571 (1993);Furst et al., Cell 55:705-717 (1988));テトラサイクリン誘導性およびクロロテトラサイクリン誘導性の調節エレメント(Gatz et al., Plant J. 2:397-404 (1992);Roder et al., Mol. Gen. Genet. 243:32-38 (1994);Gatz, Meth. Cell Biol. 50:411-424 (1995))、エクジソン誘導性の調節エレメント(Christopherson et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89: 6314-6318 (1992);Kreutzweiser et al., Ecotoxicol. Environ. Safety 28:14-24 (1994));熱ショック誘導性の調節エレメント(Takahashi et al., Plant Physiol. 99:383-390 (1992);Yabe et al., Plant Cell Physiol. 35:1207-1219 (1994);Ueda et al., Mol. Gen. Genet. 250:533-539 (1996));ならびに構成的に発現されるlacリプレッサーと組み合わせて使用される、例えばIPTG誘導性の発現をもたらすlacオペロンのエレメント(Wilde et al., EMBO J. 11:1251-1259 (1992);ホウレンソウの亜硝酸還元酵素の遺伝子に由来する硝酸誘導性プロモーター(Back et al., Plant Mol. Biol. 17:9 (1991));RuBPカルボキシラーゼの小サブユニットまたはLHCP遺伝子ファミリーと関連するプロモーターなどの光誘導性プロモーター(Feinbaum et al., Mol. Gen. Genet. 226:449 (1991);Lam and Chua, Science 248:471 (1990));米国特許公報第20040038400号に記載されている光反応性の調節エレメント;サリチル酸誘導性の調節エレメント(Uknes et al., Plant Cell 5:159-169 (1993);Bi et al., Plant J. 8:235-245 (1995));植物ホルモン誘導性の調節エレメント(Yamaguchi-Shinozaki et al., Plant Mol. Biol. 15:905 (1990);Kares et al., Plant Mol. Biol. 15:225 (1990));ならびにヒトグルココルチコイド応答配列などのヒトホルモン誘導性の調節エレメント(Schena et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 88:10421 (1991)を含むが、これらに限定されない。
【0090】
植物組織に選択的な調節エレメントも、本発明の核酸または本発明のベクターに含まれ得る。1つの組織で、または限られた数の組織で核酸を異所的に発現させるために使用可能な、適切な組織選択的な調節エレメントは、木部選択的な調節エレメント、仮導管選択的な調節エレメント、繊維選択的な調節エレメント、毛状突起選択的な調節エレメント(例えばWang et al. (2002) J. Exp. Botany 53:1891-1897参照)、腺状突起選択的な調節エレメントなどの調節エレメントを含むが、これらに限定されない。
【0091】
植物細胞における使用に適切なベクターは当技術分野で公知であり、および任意のこのようなベクターを、本発明の核酸を植物の宿主細胞に導入するために使用することができる。適切なベクターは、例えば、アグロバクテリウム・ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)のTiプラスミド、またはアグロバクテリウム・リゾジェネス(A. rhizogenes)のRi1プラスミドを含む。TiプラスミドまたはRi1プラスミドは、感染時にアグロバクテリウムによって植物細胞に伝達され、および植物ゲノムに安定に組み込まれる。J. Schell, Science, 237:1176-83 (1987)。例えば米国特許第6,900,012号に記載された植物の人工染色体も使用に適している。
【0092】
組成物
本発明はさらに、本発明の核酸を含む組成物を提供する。本発明はさらに、本発明の組換えベクターを含む組成物を提供する。本発明の核酸または本発明の発現ベクターを含む組成物は、多くの態様で、以下の1つもしくは複数を含む:塩類、例えばNaCl、MgCl、KCl、MgSO4など;緩衝剤、例えばTris緩衝液、N-(2-ヒドロキシエチル)ピペラジン-N'-(2-エタンスルホン酸)(HEPES)、2-(N-モルホリノ)エタンスルホン酸(MES)、2-(N-モルホリノ)エタンスルホン酸のナトリウム塩(MES)、3-(N-モルホリノ)プロパンスルホン酸(MOPS)、N-tris[ヒドロキシメチル]メチル-3-アミノプロパンスルホン酸(TAPS)など;可溶化剤;界面活性剤、例えばTween-20などの非イオン性界面活性剤など;ヌクレアーゼ阻害剤など。いくつかの態様では、本発明の核酸または本発明の組換えベクターは凍結乾燥される。
【0093】
宿主細胞
本発明は、遺伝的に改変された宿主細胞、例えば本発明の核酸または本発明の組換えベクターで遺伝的に改変された宿主細胞を提供する。多くの態様では、本発明の遺伝的に改変された宿主細胞は、インビトロにおける宿主細胞である。他の態様では、本発明の遺伝的に改変された宿主細胞は、インビボにおける宿主細胞である。他の態様では、本発明の遺伝的に改変された宿主細胞は、多細胞生物の一部である。
【0094】
宿主細胞は、多くの態様では単細胞生物であるか、または培養液中で単一細胞として成長する。いくつかの態様では、宿主細胞は真核細胞である。適切な真核宿主細胞は、酵母細胞、昆虫細胞、植物細胞、真菌細胞、および藻細胞を含むが、これらに限定されない。適切な真核宿主細胞は、ピキア・パストリス(Pichia pastoris)、ピキア・フィンランディカ(Pichia finlandica)、ピキア・トレハロフィラ(Pichia trehalophila)、ピキア・コクラマエ(Pichia koclamae)、ピキア・メンブラナエファシエンス(Pichia membranaefaciens)、ピキア・オプンティアエ(Pichia opuntiae)、ピキア・サーモトレランス(Pichia thermotolerans)、ピキア・サリクタリア(Pichia salictaria)、ピキア・グエルキューム(Pichia guercuum)、ピキア・ピジペリ(Pichia pijperi)、ピキア・スティプティス(Pichia stiptis)、ピキア・メタノリカ(Pichia methanolica)、ピキア属(Pichia sp.)、出芽酵母、サッカロミセス属(Saccharomyces sp.)、ハンセヌラ・ポリモルファ(Hansenula polymorpha)、クリヴェロミセス属(Kluyveromyces sp.)、クリヴェロミセス・ラクチス(Kluyveromyces lactis)、カンジダ・アルビカンス(Candida albicans)、アスペルギルス・ニドゥランス(Aspergillus nidulans)、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)、アスペルギルス・オリゼー(Aspergillus oryzae)、トリコデルマ・リーゼイ(Trichoderma reesei)、クリソスポリウム・ルクノヴェンス(Chrysosporium lucknowense)、フザリウム属(Fusarium sp.)、フザリウム・グラミネウム(Fusarium gramineum)、フザリウム・ベネナトゥム(Fusarium venenatum)、アカパンカビ(Neurospora crassa)、クラミドモナス・レインハルトチイ(Chlamydomonas reinhardtii)などを含むが、これらに限定されない。いくつかの態様では、宿主細胞は、植物細胞以外の真核細胞である。
【0095】
他の態様では、宿主細胞は植物細胞である。植物細胞は、単子葉類(「単子葉植物」)および双子葉類(「双子葉植物」)の細胞を含む。
【0096】
他の態様では、宿主細胞は原核細胞である。適切な原核細胞は、大腸菌、乳酸桿菌属(Lactobacillus sp.)、サルモネラ属(Salmonella sp.)、シゲラ属(Shigella sp.)などの任意のさまざまな実験室株を含むが、これらに限定されない。これについては例えば、Carrier et al. (1992) J. Immunol. 148:1176-1181;米国特許第6,447,784号;およびSizemore et al. (1995) Science 270:299-302を参照されたい。本発明に利用可能なサルモネラ株の例は、チフス菌(Salmonella typhi)およびネズミチフス菌(S. typhimurium)を含むが、これらに限定されない。適切なシゲラ株は、シゲラ・フレクスネリ(Shigella flexneri)、シゲラ・ソンネイ(Shigella sonnei)、およびシゲラ・ディセンテリアエ(Shigella disenteriae)を含むが、これらに限定されない。典型的には、実験室株は、非病原性の株である。他の適切な細菌の非制限的な例は、枯草菌(Bacillus subtilis)、シュードモナス・プディタ(Pseudomonas pudita)、シュードモナス・アエルジノーサ(Pseudomonas aeruginosa)、シュードモナス・メバロニイ(Pseudomonas mevalonii)、ロドバクター・スファエロイデス(Rhodobacter sphaeroides)、ロドバクター・カプスラトゥス(Rhodobacter capsulatus)、ロドスポリリウム・ルブラム(Rhodospirillum rubrum)、ロドコッカス属(Rhodococcus sp.)などを含むが、これらに限定されない。いくつかの態様では、宿主細胞は大腸菌である。
【0097】
本発明の遺伝的に改変された宿主細胞を作製するためには、イソプレノイド修飾酵素をコードするヌクレオチド配列を含む本発明の核酸が親宿主細胞に、エレクトロポレーション、リン酸カルシウム沈殿法、DEAE-デキストランによるトランスフェクション、リポソームによるトランスフェクションなどの手法を含むが、これらに限定されない確立された手法で安定に、または一過的に導入される。安定な形質転換のためには、核酸は一般にさらに、選択マーカー、例えばネオマイシン耐性、アンピシリン耐性、テトラサイクリン耐性、クロラムフェニコール耐性、カナマイシン耐性などの複数の周知の選択マーカーのいずれかを含む。
【0098】
いくつかの態様では、本発明の遺伝的に改変された宿主細胞は植物細胞である。本発明の遺伝的に改変された植物細胞は、インビトロにおける植物細胞の培養における、選択されたイソプレノイド化合物の産生に有用である。植物の組織培養に関する手引きは例えば、Plant Cell and Tissue Culture, 1994, Vasil and Thorpe Eds., Kluwer Academic Publishersに;およびPlant Cell Culture Protocols(Methods in Molecular Biology 111), 1999, Hall Eds., Humana Pressに記載されている。
【0099】
遺伝的に改変された宿主細胞
いくつかの態様では、本発明の遺伝的に改変された宿主細胞は、イソプレノイド修飾酵素をコードするヌクレオチド配列を含む、本発明の発現ベクターを含む。いくつかの態様では、本発明の遺伝的に改変された宿主細胞は、テルペン水酸化酵素および/またはテルペン酸化酵素の活性を示すポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む、本発明の発現ベクターを含む。
【0100】
いくつかの態様では、本発明の遺伝的に改変された宿主細胞は、テルペン水酸化酵素および/またはテルペン酸化酵素の活性を示すポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む本発明の核酸を含む第1の本発明の発現ベクターを含み;ならびに、CPRをコードするヌクレオチド配列を含む本発明の核酸を含む第2の本発明の発現ベクターをさらに含む。他の態様では、本発明の遺伝的に改変された宿主細胞は、イソプレノイド修飾酵素をコードするヌクレオチド配列を含む本発明の核酸、およびCPRをコードするヌクレオチド配列を含む本発明の核酸を含む本発明の発現ベクターを含む。他の態様では、本発明の遺伝的に改変された宿主細胞は、融合ポリペプチド(例えばイソプレノイド修飾酵素およびCPRを含むポリペプチド)をコードするヌクレオチド配列を含む本発明の核酸を含む本発明の発現ベクターを含む。
【0101】
適切なCPRをコードする核酸は、植物に見出されるCPRをコードする核酸を含む。適切なCPRをコードする核酸は、真菌に見出されるCPRをコードする核酸を含む。CPRをコードする適切な核酸の例は以下を含む:GenBankアクセッション番号AJ303373(コムギ(Triticum aestivum)のCPR);GenBankアクセッション番号AY959320(チュウゴクイチイ(Taxus chinensis)のCPR);GenBankアクセッション番号AY532374(レースフラワー(Ammi majus)のCPR);GenBankアクセッション番号AG211221(イネ(Oryza sativa)のCPR);およびGenBankアクセッション番号AF024635(パセリ(Petroselinum crispum)のCPR)。
【0102】
いくつかの態様では、本発明の遺伝的に改変された宿主細胞は、通常はイソペンテニルピロリン酸(IPP)またはメバロン酸をメバロン酸経路を介して合成しない宿主細胞である。メバロン酸経路は、以下の段階を含む:(a)2分子のアセチル-CoAをアセトアセチル-CoAに縮合させる段階;(b)アセトアセチル-CoAをアセチル-CoAと縮合させてHMG-CoAを生じる段階;(c)HMG-CoAをメバロン酸塩に変換する段階;(d)メバロン酸塩をメバロン酸5-リン酸にリン酸化する段階;(e)メバロン酸5-リン酸をメバロン酸5-ピロリン酸に変換する段階;および(f)メバロン酸5-ピロリン酸をイソペンテニルピロリン酸に変換する段階。IPPの産生に必要なメバロン酸経路の酵素は、培養条件に依存して変動する。
【0103】
上述したように、いくつかの態様では、本発明の遺伝的に改変された宿主細胞は、通常はイソペンテニルピロリン酸(IPP)またはメバロン酸をメバロン酸経路を介して合成しない宿主細胞である。このような態様のいくつかでは、宿主細胞は、イソプレノイド修飾酵素をコードする本発明の核酸を含む本発明の発現ベクターで遺伝的に改変されており;ならびに宿主細胞は、アセトアセチル-CoAチオラーゼ、ヒドロキシメチルグルタリル-CoAシンターゼ(HMGS)、ヒドロキシメチルグルタリル-CoA還元酵素(HMGR)、メバロン酸キナーゼ(MK)、ホスホメバロン酸キナーゼ(PMK)、およびメバロン酸ピロリン酸デカルボキシラーゼ(MPD)(および任意でIPPイソメラーゼも)をコードするヌクレオチド配列を含む1つもしくは複数の異種核酸で遺伝的に改変されている。これらの態様の多くでは、宿主細胞は、CPRをコードするヌクレオチド配列を含む発現ベクターで遺伝的に改変されている。これらの態様のいくつかでは、宿主細胞は、イソプレノイド修飾酵素をコードする本発明の核酸を含む本発明の発現ベクターで遺伝的に改変されており;ならびに宿主細胞は、MK、PMK、MPD(および任意でIPPイソメラーゼも)をコードするヌクレオチド配列を含む1つもしくは複数の異種核酸で遺伝的に改変されている。これらの態様の多くでは、宿主細胞は、CPRをコードするヌクレオチド配列を含む発現ベクターで遺伝的に改変されている。
【0104】
いくつかの態様では、本発明の遺伝的に改変された宿主細胞は、通常はIPPまたはメバロン酸をメバロン酸経路を介して合成しない宿主細胞であり;宿主細胞は、イソプレノイド修飾酵素をコードする本発明の核酸を含む本発明の発現ベクターで遺伝的に改変されており;ならびに宿主細胞は、アセトアセチル-CoAチオラーゼ、HMGS、HMGR、MK、PMK、MPD、IPPイソメラーゼ、およびプレニルトランスフェラーゼをコードするヌクレオチド配列を含む1つもしくは複数の異種核酸で遺伝的に改変されている。これらの態様の多くでは、宿主細胞は、CPRをコードするヌクレオチド配列を含む発現ベクターで遺伝的に改変されている。いくつかの態様では、本発明の遺伝的に改変された宿主細胞は、通常はIPPまたはメバロン酸をメバロン酸経路を介して合成しない宿主細胞であり;宿主細胞は、イソプレノイド修飾酵素をコードする本発明の核酸を含む本発明の発現ベクターで遺伝的に改変されており;ならびに宿主細胞は、MK、PMK、MPD、IPPイソメラーゼ、およびプレニルトランスフェラーゼをコードするヌクレオチド配列を含む1つもしくは複数の異種核酸で遺伝的に改変されている。これらの態様の多くでは、宿主細胞は、CPRをコードするヌクレオチド配列を含む発現ベクターで遺伝的に改変されている。
【0105】
いくつかの態様では、本発明の遺伝的に改変された宿主細胞は、通常はIPPまたはメバロン酸をメバロン酸経路を介して合成する宿主細胞であり、例えば宿主細胞は、内因性のメバロン酸経路を含む宿主細胞である。これらの態様のいくつかでは、宿主細胞は酵母細胞である。これらの態様のいくつかでは、宿主細胞は出芽酵母である。
【0106】
いくつかの態様では、本発明の遺伝的に改変された宿主細胞はさらに、イソプレノイド化合物をさらに修飾する、デヒドロゲナーゼをコードするヌクレオチド配列を含む1つもしくは複数の核酸で遺伝的に改変されている。コードされたデヒドロゲナーゼは、天然で原核細胞もしくは真核細胞に見出されるデヒドロゲナーゼの場合があるか、またはこのようなデヒドロゲナーゼのバリアントである場合がある。いくつかの態様では、本発明は、このようなデヒドロゲナーゼをコードするヌクレオチド配列を含む単離された核酸を提供する。
【0107】
メバロン酸経路の核酸
MEV経路の遺伝子産物をコードするヌクレオチド配列は当技術分野で公知であり、および公知の任意のMEV経路の遺伝子産物をコードするヌクレオチド配列を、本発明の遺伝的に改変された宿主細胞の作製に使用することができる。例えば、アセトアセチル-CoAチオラーゼ、HMGS、HMGR、MK、PMK、MPD、およびIDIをコードするヌクレオチド配列は当技術分野で公知である。MEV経路の遺伝子産物をコードする公知のヌクレオチド配列の非制限的な例を、MEV経路の個々の酵素とそれに続く括弧内のGenBankアクセッション番号、および生物体とともに以下に示す:アセトアセチル-CoAチオラーゼ:(NC_000913領域:2324131..2325315;大腸菌)、(D49362;パラコッカス・デニトリフィカンス(Paracoccus denitrificans))、および(L20428;出芽酵母);HMGS:(NC_001145.相補物19061..20536;出芽酵母)、(X96617;出芽酵母)、(X83882;シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)、(AB037907;キタサトスポラ・グリセオラ(Kitasatospora griseola))、および(BT007302;ヒト(Homo sapiens);HMGR:(NM_206548;ショウジョウバエ(Drosophila melanogaster))、(NM_204485;ニワトリ(Gallus gallus))、(AB015627;ストレプトミセス属(Streptomyces sp.)KO-3988)、(AF542543;ニコチアナ・アテニュアタ(Nicotiana attenuata))、(AB037907;キタサトスポラ・グリセオラ)、(短縮型HMGRをコードする配列を提供するAX128213;出芽酵母)、および(NC_001145:相補物(115734..118898;出芽酵母));MK:(L77688;シロイヌナズナ)、および(X55875;出芽酵母);PMK:(AF429385;パラゴムノキ(Hevea brasiliensis))、(NM_006556;ヒト)、(NC_001145.相補物712315..713670;出芽酵母);MPD:(X97557;出芽酵母)、(AF290095;エンテロコッカス・ファエシウム(Enterococcus faecium))、および(U49260;ヒト);ならびにIDI:(NC_000913、3031087..3031635;大腸菌)、および(AF082326;ヘマトコッカス・プルビアリス(Haematococcus pluvialis))。
【0108】
いくつかの態様では、HMGRのコード領域は、野生型HMGRの膜貫通ドメインを欠く短縮型HMGR(「tHMGR」)をコードする。HMGRの膜貫通ドメインは、酵素の調節部分を含み、および酵素活性を含まない。
【0109】
公知の任意のMEV経路の酵素のコード配列は、当技術分野で公知のさまざまな方法で変化させて、コードされた酵素のアミノ酸配列に標的変化を作ることができる。バリアントのMEV経路酵素のアミノ酸は通常、公知の任意のMEV経路の酵素のアミノ酸配列に実質的に類似しており、すなわち少なくとも1残基のアミノ酸が異なり、および少なくとも2残基、少なくとも5残基、少なくとも10残基、または少なくとも20残基のアミノ酸が異なる場合があるが、典型的には約50残基のアミノ酸を越えない。配列の変化は、置換、挿入、または欠失の場合がある。例えば、後述するように、ヌクレオチド配列は、特定の宿主細胞のコドンのバイアスに対して変化させることができる。加えて、1つもしくは複数のヌクレオチド配列の差を、コードされたタンパク質に保存的なアミノ酸変化を生じるように導入することができる。
【0110】
プレニルトランスフェラーゼ
いくつかの態様では、本発明の遺伝的に改変された宿主細胞は、イソプレノイド修飾酵素をコードするヌクレオチド配列を含む核酸を含むように遺伝的に改変されており;ならびにいくつかの態様では、上記の1つもしくは複数のメバロン酸経路の酵素をコードするヌクレオチド配列を含む1つもしくは複数の核酸;ならびにプレニルトランスフェラーゼをコードするヌクレオチド配列を含むように遺伝的に改変されてもいる。
【0111】
プレニルトランスフェラーゼは、さまざまな鎖長のプレニル二リン酸の生成につながる、IPPの連続的な縮合を触媒する広範囲の酵素を含む。適切なプレニルトランスフェラーゼは、IPPとアリルプライマー基質の縮合を触媒して、約2イソプレン単位〜約6000イソプレン単位もしくはそれ以上、例えば2イソプレン単位(ゲラニルピロリン酸シンターゼ)、3イソプレン単位(ファルネシルピロリン酸シンターゼ)、4イソプレン単位(ゲラニルゲラニルピロリン酸シンターゼ)、5イソプレン単位、6イソプレン単位(ヘキサデシルピロリン酸シンターゼ)、7イソプレン単位、8イソプレン単位(フィトエン(phytoene)シンターゼ、オクタプレニルピロリン酸シンターゼ)、9イソプレン単位(ノナプレニルピロリン酸シンターゼ、10イソプレン単位(デカプレニルピロリン酸シンターゼ)、約10イソプレン単位〜約15イソプレン単位、約15イソプレン単位〜約20イソプレン単位、約20イソプレン単位〜約25イソプレン単位、約25イソプレン単位〜約30イソプレン単位、約30イソプレン単位〜約40イソプレン単位、約40イソプレン単位〜約50イソプレン単位、約50イソプレン単位〜約100イソプレン単位、約100イソプレン単位〜約250イソプレン単位、約250イソプレン単位〜約500イソプレン単位、約500イソプレン単位〜約1000イソプレン単位、約1000イソプレン単位〜約2000イソプレン単位、約2000イソプレン単位〜約3000イソプレン単位、約3000イソプレン単位〜約4000イソプレン単位、約4000イソプレン単位〜約5000イソプレン単位、または約5000イソプレン単位〜約6000イソプレン単位もしくはそれ以上のイソプレノイド化合物を生成する酵素を含む。
【0112】
適切なプレニルトランスフェラーゼは、ゲラニル二リン酸(GPP)シンターゼ、ファルネシル二リン酸(FPP)シンターゼ、ゲラニルゲラニル二リン酸(GGPP)シンターゼ、ヘキサプレニル二リン酸(HexPP)シンターゼ、ヘプタプレニル二リン酸(HepPP)シンターゼ、オクタプレニル(OPP)二リン酸シンターゼ、ソラネシル二リン酸(SPP)シンターゼ、デカプレニル二リン酸(DPP)シンターゼ、チクル(chicle)シンターゼ、およびガッタパーチャ(gutta-percha)シンターゼを含むが、これらに限定されないE-イソプレニル二リン酸シンターゼ;ならびにノナプレニル二リン酸(NPP)シンターゼ、ウンデカプレニル二リン酸(UPP)シンターゼ、デヒドロドリチル(dehydrodolichyl)二リン酸シンターゼ、エイコサプレニル二リン酸シンターゼ、天然ゴムシンターゼ、および他のZ-イソプレニル二リン酸シンターゼを含むが、これらに限定されないZ-イソプレニル二リン酸シンターゼを含むが、これらに限定されない。
【0113】
さまざまな種に由来する、数多くのプレニルトランスフェラーゼのヌクレオチド配列が公知であり、および本発明の遺伝的に改変された宿主細胞の作製に使用可能または改変可能である。プレニルトランスフェラーゼをコードするヌクレオチド配列は当技術分野で公知である。例えば、ヒトのファルネシルピロリン酸合成酵素のmRNA(GenBankアクセッション番号J05262;ヒト);ファルネシル二リン酸合成酵素(FPP)の遺伝子(GenBankアクセッション番号J05091;出芽酵母);イソペンテニル二リン酸:ジメチルアリル二リン酸イソメラーゼの遺伝子(J05090;出芽酵母);Wang and Ohnuma (2000) Biochim. Biophys. Acta 1529:33-48;米国特許第6,645,747号;シロイヌナズナのファルネシルピロリン酸合成酵素2(FPS2)/FPP合成酵素2/ファルネシル二リン酸シンターゼ2(At4gl7190)のmRNA(GenBankアクセッション番号NM_202836);イチョウ(Ginkgo biloba)のゲラニルゲラニル二リン酸シンターゼ(ggpps)のmRNA(GenBankアクセッション番号AY371321);シロイヌナズナのゲラニルゲラニルピロリン酸シンターゼ(GGPS1)/GGPP合成酵素/ファルネシルトランストランスフェラーゼ(At4g36810)のmRNA(GenBankアクセッション番号NM_119845);シネチョコッカス・エロンガトゥス(Synechococcus elongatus)のファルネシルシンターゼ、ゲラニルゲラニルシンターゼ、ゲラニルファルネシルシンターゼ、ヘキサプレニルシンターゼ、ヘプタプレニル二リン酸シンターゼ(SelF-HepPS)の遺伝子(GenBankアクセッション番号AB016095)などを参照されたい。
【0114】
テルペンシンターゼ
いくつかの態様では、本発明の遺伝的に改変された宿主細胞は、テルペンシンターゼをコードするヌクレオチド配列を含む核酸を含むように遺伝的に改変されている。いくつかの態様では、テルペンシンターゼは、FPPを修飾してセスキテルペンを生じるテルペンシンターゼである。他の態様では、テルペンシンターゼは、GPPを修飾してモノテルペンを生じるテルペンシンターゼである。他の態様では、テルペンシンターゼは、GGPPを修飾してジテルペンを生じるテルペンシンターゼである。
【0115】
テルペンシンターゼをコードするヌクレオチド配列は当技術分野で公知であり、および公知の任意のテルペンシンターゼをコードするヌクレオチド配列を、宿主細胞を遺伝的に改変するために使用することができる。例えば、以下のテルペンシンターゼをコードするヌクレオチド配列(GenBankアクセッション番号、および各テルペンシンターゼが同定された生物種を後置)が知られており、かつ使用可能である:(-)-ゲルマクレンDシンターゼのmRNA(AY438099;バルサムポプラ(Populus balsamifera)の亜種コットンウッド(trichocarpax Populus deltoids));E,E-アルファ-ファルネセンシンターゼのmRNA(AY640154;キュウリ(Cucumis sativus));1,8-シネオールシンターゼのmRNA(AY691947;シロイヌナズナ);テルペンシンターゼ5(TPS5)のmRNA(AY518314;トウモロコシ(Zea mays));テルペンシンターゼ4(TPS4)のmRNA(AY518312;トウモロコシ);ミルセン/オシメンシンターゼ(TPS10)(At2g24210)のmRNA(NM_127982;シロイヌナズナ);ゲラニオールシンターゼ(GES)のmRNA(AY362553;バジル(Ocimum basilicum));ピネンシンターゼのmRNA(AY237645;トウヒ(Picea sitchensis));ミルセンシンターゼ1e20のmRNA(AY195609;キンギョソウ(Antirrhinum majus));(E)-β-オシメンシンターゼ(0e23)のmRNA(AY 195607;キンギョソウ);E-β-オシメンシンターゼのmRNA(AY151086;キンギョソウ);テルペンシンターゼのmRNA(AF497492;シロイヌナズナ);(-)-カンフェンシンターゼ(AG6.5)のmRNA(U87910;アメリカオオモミ(Abies grandis));(-)-4S-リモネンシンターゼの遺伝子(例えばゲノム配列)(AF326518;アメリカオオモミ);デルタ-セリネンシンターゼの遺伝子(AF326513;アメリカオオモミ);アモルファ-4,11-ジエンシンターゼのmRNA(AJ251751;クソニンジン);E-α-ビサボレンシンターゼのmRNA(AF006195;アメリカオオモミ);ガンマ-フムレンシンターゼのmRNA(U92267;アメリカオオモミ);δ-セリネンシンターゼのmRNA(U92266;アメリカオオモミ);ピネンシンターゼ(AG3.18)のmRNA(U87909;アメリカオオモミ);ミルセンシンターゼ(AG2.2)のmRNA(U87908;アメリカオオモミ)など。
【0116】
コドン使用
いくつかの態様では、本発明の遺伝的に改変された宿主細胞の作製に使用されるヌクレオチド配列は、ヌクレオチド配列が、特定の宿主細胞のコドンの好みを反映するように改変される。例えばヌクレオチド配列は、いくつかの態様では、酵母のコドン優先性に合わせて改変される。これについては例えば、Bennetzen and Hall (1982) J. Biol. Chem. 257(6): 3026-3031を参照されたい。別の非制限的な例として、ヌクレオチド配列は他の態様では、大腸菌のコドン優先性に合わせて改変される。これについては例えば、Gouy and Gautier (1982) Nucleic Acids Res. 10(22):7055-7074;Eyre-Walker (1996) Mol. Biol. Evol. 13(6):864-872を参照されたい。Nakamura et al. (2000) Nucleic Acids Res. 28(1):292も参照されたい。
【0117】
他の遺伝的改変
いくつかの態様では、本発明の遺伝的に改変された宿主細胞は、イソプレノイド修飾酵素をコードするヌクレオチド配列を含む1つもしくは複数の核酸を含むように遺伝的に改変された;ならびに、テルペン生合成経路の中間体の産生亢進を達成するようにさらに遺伝的に改変されたか、および/または、内因性のテルペン生合成経路の遺伝子が機能的に無効となるようにさらに遺伝的に改変された宿主細胞である。内因性のテルペン生合成経路の遺伝子との関連で本明細書で用いる「機能的に無効とされた」という用語は、正常レベルに満たないか、および/または非機能性で産生される遺伝子にコードされた遺伝子産物の産生につながる、テルペン生合成経路の遺伝子の遺伝的改変を意味する。
【0118】
内因性のテルペン生合成経路の中間体の産生を促進する遺伝的改変は、宿主細胞におけるホスホトランスアセチラーゼのレベルおよび/または活性の低下をもたらす遺伝的改変を含むが、これらに限定されない。テルペン生合成経路の中間体の細胞内濃度は、アセチル-CoAの細胞内濃度を高めることで高められる。大腸菌は、細胞内アセチル-CoAのかなりの部分を酢酸塩の状態で培地中に分泌する。アセチル-CoAの酢酸塩への転換に関与する第1の酵素であるホスホトランスアセチラーゼであるptaをコードする遺伝子を欠失させると酢酸塩の分泌が低下する。原核宿主細胞におけるホスホトランスアセチラーゼのレベルおよび/または活性を低下させる遺伝的改変は、遺伝的に改変された宿主細胞が、MEV経路の1つもしくは複数の遺伝子産物をコードするヌクレオチド配列を含む核酸で遺伝的に改変された細胞である場合に特に有用である。
【0119】
いくつかの態様では、原核宿主細胞におけるホスホトランスアセチラーゼのレベルの低下を生じる遺伝的改変は、ホスホトランスアセチラーゼをコードする、原核宿主細胞の内因性のpta遺伝子を機能的に無効とする遺伝的変異である。pta遺伝子は、可動遺伝因子(例えばトランスポゾンなど)の挿入;遺伝子産物が作られないか、または切断されてアセチル-CoAの酢酸塩への変換が機能しなくなるような遺伝子の全体もしくは一部の欠失;遺伝子産物が作られないか、または切断されてアセチル-CoAの酢酸塩への変換が機能しなくなるような遺伝子の変異;遺伝子産物が作られなくなるような、pta遺伝子の発現を制御する1つもしくは複数の制御エレメントの欠失もしくは変異などを含む任意のさまざまな方法で、機能的に無効化可能である。
【0120】
いくつかの態様では、遺伝的に改変された宿主細胞の内因性のpta遺伝子は欠失される。遺伝子を欠失させる任意の方法を使用することができる。pta遺伝子を欠失させる方法の1つの非制限的な例が、λRed組換え系の使用である。Datsenko and Wanner (2000) Proc Natl Acad Sci USA 97(12): p.6640-5。pta遺伝子は、いくつかの態様では、MK、PMK、MPD、およびIDIをコードするヌクレオチド配列を含む核酸で遺伝的に改変された宿主細胞(例えば大腸菌)から欠失される。pta遺伝子は、いくつかの態様では、MK、PMK、MPD、およびIPPをコードするヌクレオチド配列を含む核酸で遺伝的に改変された宿主細胞(例えば大腸菌)から欠失される。pta遺伝子は、いくつかの態様では、MK、PMK、MPD、IPP、およびプレニルトランスフェラーゼをコードするヌクレオチド配列を含む核酸で遺伝的に改変された宿主細胞(例えば大腸菌)から欠失される。
【0121】
いくつかの態様では、本発明の遺伝的に改変された宿主細胞は、MEV生合成経路の遺伝子産物をコードするヌクレオチド配列を含む1つもしくは複数の核酸を含むように遺伝的に改変され;および内因性のDXP生合成経路の遺伝子が機能的に無効とされるようにさらに遺伝的に改変された細胞である。他の態様では、本発明の遺伝的に改変された宿主細胞は、DXP生合成経路の遺伝子産物をコードするヌクレオチド配列を含む1つもしくは複数の核酸を含むように遺伝的に改変され;および内因性のMEV生合成経路の遺伝子が機能的に無効とされるようにさらに遺伝的に改変された細胞である。
【0122】
本発明の遺伝的に改変された宿主細胞が、MEV経路の1つもしくは複数の遺伝子産物をコードするヌクレオチド配列を含む核酸で遺伝的に改変された原核宿主細胞であるいくつかの態様では、宿主細胞は、内因性のDXP経路の1つもしくは複数の遺伝子が機能的に無効とされるようにさらに遺伝的に改変される。機能的に無効化可能なDXP経路の遺伝子は、以下のDXPの任意の遺伝子産物をコードする1つもしくは複数の遺伝子を含む:1-デオキシ-D-キシルロース-5-リン酸シンターゼ、1-デオキシ-D-キシルロース-5-リン酸還元異性化酵素、4-ジホスホシチジル-2-C-メチル-D-エリスリトールシンターゼ、4-ジホスホシチジル-2-C-メチル-D-エリスリトールキナーゼ、2C-メチル-D-エリスリトール2,4-シクロ二リン酸シンターゼ、および1-ヒドロキシ-2-メチル-2-(E)-ブテニル4-二リン酸シンターゼ。
【0123】
内因性のDXP経路の遺伝子は、可動遺伝因子(例えばトランスポゾンなど)の挿入;遺伝子産物が作られないか、または切断されて酵素的に不活性となるような、遺伝子の全体もしくは一部の欠失;遺伝子産物が作られないか、または切断されて酵素的に非機能性となるような遺伝子の変異;遺伝子産物が作られなくなるような、遺伝子の発現を制御する1つもしくは複数の制御エレメントの欠失もしくは変異などを含む、任意のさまざまな方法で機能的に無効化可能である。
【0124】
本発明の遺伝的に改変された宿主細胞が、DXP経路の1つもしくは複数の遺伝子産物をコードするヌクレオチド配列を含む核酸で遺伝的に改変された原核宿主細胞である他の態様では、宿主細胞は、内因性のMEV経路の1つもしくは複数の遺伝子が機能的に無効化されるようにさらに遺伝的に改変される。機能的に無効化可能な内因性のMEV経路の遺伝子は、以下の任意のMEV遺伝子産物をコードする1つもしくは複数の遺伝子を含む:HMGS、HMGR、MK、PMK、MPD、およびIDI。内因性のMEV経路の遺伝子は、可動遺伝因子(例えばトランスポゾンなど)の挿入;遺伝子産物が作られないか、または切断されて酵素的に不活性となるような、遺伝子の全体もしくは一部の欠失;遺伝子産物が作られないか、または切断されて酵素的に非機能性となるような遺伝子の変異;遺伝子産物が作られなくなるような、遺伝子の発現を制御する1つもしくは複数の制御エレメントの欠失もしくは変異などを含む、任意のさまざまな方法で機能的に無効化可能である。
【0125】
本発明の遺伝的に改変された宿主細胞を含む組成物
本発明は、本発明の遺伝的に改変された宿主細胞を含む組成物をさらに提供する。本発明の組成物は、本発明の遺伝的に改変された宿主細胞を含み、およびいくつかの態様では、部分的に、遺伝的に改変された宿主細胞の意図された用途を元に選択される1つもしくは複数の他の成分を含む。適切な成分は、以下を含むが、これらに限定されない:塩類;緩衝剤;安定剤;プロテアーゼ阻害剤;ヌクレアーゼ阻害剤;細胞膜および/または細胞壁を保存する化合物、例えばグリセロール、ジメチルスルフォキシドなど;細胞に適切な栄養培地など。いくつかの態様では、細胞は凍結乾燥される。
【0126】
トランスジェニック植物
いくつかの態様では、本発明の核酸または本発明の発現ベクター(例えば本発明のイソプレノイド修飾酵素の核酸、またはイソプレノイド修飾酵素の核酸を含む本発明の発現ベクター)は、コードされたイソプレノイド修飾酵素を産生するトランスジェニック植物を作製するための導入遺伝子として使用される。したがって本発明は、上記のテルペン水酸化酵素および/またはテルペン酸化酵素の活性を示す酵素をコードするヌクレオチド配列を含む本発明の核酸を含む導入遺伝子を含むトランスジェニック植物をさらに提供する。いくつかの態様では、トランスジェニック植物のゲノムは、本発明の核酸を含む。いくつかの態様では、トランスジェニック植物は、遺伝的改変がホモ接合である。いくつかの態様では、トランスジェニック植物は、遺伝的改変がヘテロ接合である。
【0127】
いくつかの態様では、本発明のトランスジェニック植物は、テルペン水酸化酵素および/またはテルペン酸化酵素の活性を示す、導入遺伝子にコードされたポリペプチドを、同じ種の対照植物、例えば非トランスジェニック植物(ポリペプチドをコードする導入遺伝子を含まない植物)で産生されるポリペプチドの量より少なくとも約50%、少なくとも約2倍、少なくとも約5倍、少なくとも約10倍、少なくとも約25倍、少なくとも約50倍、または少なくとも約100倍、もしくはそれ以上の量で産生する。
【0128】
いくつかの態様では、本発明のトランスジェニック植物は、テルペン水酸化酵素および/または酸化酵素の活性を示す、導入遺伝子にコードされたポリペプチドによって作られるか、または導入遺伝子にコードされたポリペプチドの下流生成物であるイソプレノイド化合物を通常産生する、対照の非トランスジェニック植物のトランスジェニックバージョンであり;トランスジェニック植物はイソプレノイド化合物を、同じ種の対照植物、例えば非トランスジェニック植物(ポリペプチドをコードする導入遺伝子を含まない植物)によって産生されるイソプレノイド化合物の量より少なくとも約50%多い、少なくとも約2倍多い、少なくとも約5倍多い、少なくとも約10倍多い、少なくとも約25倍多い、少なくとも約50倍多い、または少なくとも約100倍、もしくはそれ以上多い量で産生する。
【0129】
外因性核酸を植物細胞に導入する方法は当技術分野で周知である。このような植物細胞は、既に定義したように、「形質転換された」とみなされる。適切な方法は、ウイルス感染(2本鎖DNAウイルスなど)、トランスフェクション、コンジュゲーション、プロトプラスト融合、エレクトロポレーション、パーティクルガン法、リン酸カルシウム沈殿法、直接マイクロインジェクション、シリコーンカーバイドホイスカー(silicone carbide whisker)法、アグロバクテリウムによる形質転換などを含む。方法の選択は一般に、形質転換対象の細胞のタイプ、および形質転換が起こる環境(すなわちインビトロか、エクスビボか、またはインビボか)に依存する。
【0130】
土壌細菌アグロバクテリウム・ツメファシエンスに基づく形質転換法は、維管束植物への外因性核酸分子の導入に特に有用である。野生型のアグロバクテリウムは、植物植物において腫瘍形成性のクラウンゴール成長の発生を誘導するTi(腫瘍誘導性)プラスミドを含む。Tiプラスミドの腫瘍誘導性のT-DNA領域の、植物ゲノムへの移動には、Tiプラスミドにコードされる毒性遺伝子群、ならびに移動対象領域の端を示す1セットのダイレクトDNAリピートであるT-DNAの境界が必要である。アグロバクテリウムをベースとするベクターは、腫瘍誘導能が、植物宿主への導入対象の核酸配列と置換された改変型のTiプラスミドである。
【0131】
アグロバクテリウムによる形質転換は一般に、融合体(cointegrate)ベクター、または好ましくは、Tiプラスミドの成分が、アグロバクテリウム宿主中に恒久的に存在して、および毒性遺伝子群を有するヘルパーベクターと、T-DNA配列に挟まれた対象遺伝子を含むシャトルベクターに分けられるバイナリベクター系を使用する。さまざまなバイナリベクターが当技術分野で周知であり、および例えばClontech(Palo Alto, Calif.)から販売されている。アグロバクテリウムを培養植物細胞、または例えば葉の組織、根の外植片、子葉下(hypocotyledon)、茎片(stem piece)、もしくは塊茎などの創傷組織と共培養する方法も当技術分野で周知である。これについては例えば、Glick and Thompson, (eds.), Methods in Plant Molecular Biology and Biotechnology, Boca Raton, Fla.: CRC Press (1993)を参照されたい。
【0132】
アグロバクテリウムによる形質転換は、少なくとも1種のユーカリおよびアルファルファ(lucerne)などの飼料用豆類(forage legume);セイヨウミヤコグサ(birdsfoot trefoil)、シロツメクサ、スタイロ(Stylosanthes)、ロトノニス・バイネッシイ(Lotononis bainessi)、およびイガマメを含む、さまざまなトランスジェニック維管束植物(Wang et al., supra, 1995)の作出に有用である。
【0133】
微小発射体による形質転換も、本発明のトランスジェニック植物の作出に使用可能である。Klein et al. (Nature 327:70-73 (1987))に最初に記載された、この方法は、塩化カルシウム、スペルミジン、またはポリエチレングリコールによる沈殿法による、所望の核酸分子でコーティングされた金やタングステンなどの微小発射体に依存する。微小発射体粒子は、BIOLISTIC PD-1000(Biorad;Hercules Calif.)などの装置を使用して、被子植物の組織中に高速で加速されて打ち込まれる。
【0134】
本発明の核酸は、核酸が植物細胞中に侵入可能な様式で、例えばインビボまたはエクスビボのプロトコルによって植物に導入することができる。「インビボ」とは、核酸が、生きている状態の植物に、例えば浸透によって導入されることを意味する。「エクスビボ」とは、細胞または外植片が植物体外で改変された後に、そのような細胞もしくは器官が植物体に再生されることを意味する。植物細胞の安定な形質転換に、またはトランスジェニック植物の確立に適切ないくつかのベクターは、Weissbach and Weissbach, (1989) Methods for Plant Molecular Biology Academic Press, and Gelvin et al., (1990) Plant Molecular Biology Manual, Kluwer Academic Publishersに記載されている。特定の例は、アグロバクテリウム・ツメファシエンスのTiプラスミドに由来するもの、およびHerrera-Estrella et al., (1983) Nature 303: 209, Bevan (1984) Nucl Acid Res. 12: 8711-8721、Klee (1985) Bio/Technolo 3: 637-642に記載されたものを含む。または非Tiベクターを使用して、遊離DNA送達法(free DNA delivery technique)で植物および細胞内にDNAを移すことができる。このような方法を用いることで、コムギ、イネ(Christou (1991) Bio/Technology 9:957-962)、およびトウモロコシ(Gordon-Kamm (1990) Plant Cell 2: 603-618)などのトランスジェニック植物を作出することができる。未成熟の胚は、単子葉植物に対する、パーティクルガン(Weeks et al. (1993) Plant Physiol 102: 1077-1084;Vasil (1993) Bio/Technolo 10: 667-674;Wan and Lemeaux (1994) Plant Physiol 104: 37-48)を使用する直接DNA送達法に、およびアグロバクテリウムによるDNA輸送(Ishida et al. (1996) Nature Biotech 14: 745-750)に良好な標的組織と成り得る。DNAの葉緑体への例示的な導入法は、遺伝子銃法(biolistic bombardment)、ポリエチレングリコールによるプロトプラストの形質転換、およびマイクロインジェクションである(Danieli et al Nat. Biotechnol 16:345-348, 1998;Staub et al Nat. Biotechnol 18: 333-338, 2000;O'Neill et al Plant J. 3:729-738, 1993;Knoblauch et al Nat. Biotechnol 17: 906-909;米国特許第5,451,513号、第5,545,817号、第5,545,818号、および第5,576,198号;Intl. Application No. WO 95/16783;およびBoynton et al., Methods in Enzymology 217: 510-536 (1993), Svab et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90: 913-917 (1993)、ならびにMcBride et al., Proc. Nati. Acad. Sci. USA 91: 7301-7305 (1994))。遺伝子銃法、ポリエチレングリコールによるプロトプラストの形質転換、およびマイクロインジェクションの方法に適切な任意のベクターが、葉緑体の形質転換用のターゲッティングベクターとして適切である。任意の2本鎖DNAベクターを、特に導入法がアグロバクテリウムを使用しない場合に、形質転換用ベクターとして使用することができる。
【0135】
遺伝的に改変可能な植物は、穀物類、飼料作物、果物、野菜類、油料種子作物、パームヤシ、樹木(forestry)、およびツル植物を含む。改変可能な植物の特定の例を以下に挙げる:トウモロコシ、バナナ、ピーナツ、サヤエンドウ(field pea)、ヒマワリ、トマト、カノーラ、タバコ、コムギ、オオムギ、カラスムギ、ジャガイモ、ダイズ、ワタ、カーネーション、ソルガム、ルピナス、およびイネ。他の例は、クソニンジン、または対象イソプレノイド化合物を産生することが知られている他の植物を含む。
【0136】
本発明は、形質転換された植物細胞、組織、植物体、および形質転換された植物細胞を含む生成物も提供する。これらを含む、本発明の形質転換された細胞および組織ならびに生成物の特徴は、ゲノムに組み混まれた本発明の核酸の存在、ならびにテルペン水酸化酵素および/またはテルペン酸化酵素の活性を示すポリペプチド、例えばセスキテルペン酸化酵素の、植物細胞による産生である。本発明の組換え植物細胞は、組換え細胞の集団として、または組織、種子、全植物体、茎、果実、葉、根、花、茎、塊茎、穀粒、動物飼料、植物の場(field of plant)などとして有用である。
【0137】
本発明では、種子、子孫植物体、およびクローン材料を含む、本発明のトランスジェニック植物の再生材料も提供される。
【0138】
イソプレノイド化合物の産生法
本発明は、イソプレノイド化合物を産生させる方法を提供する。いくつかの態様では、この方法は一般に、イソプレノイド修飾酵素をコードするヌクレオチド配列を含む本発明の核酸で遺伝的に改変された宿主細胞を適切な培地で培養する段階を含む。他の態様では、この方法は一般に、本発明のトランスジェニック植物を、コードされたイソプレノイド修飾酵素の産生に好ましい条件に維持する段階を含む。イソプレノイド修飾酵素の産生は、イソプレノイド化合物の産生につながる。例えば、いくつかの態様では、この方法は一般に、テルペン酸化酵素をコードするヌクレオチド配列を含む本発明の核酸によって遺伝的に改変された宿主細胞を適切な培地で培養する段階を含む。テルペン酸化酵素の産生は、イソプレノイド化合物の産生につながる。典型的には、この方法はインビトロで実施されるが、イソプレノイド化合物のインビボにおける産生も想定される。これらの態様のいくつかでは、宿主細胞は真核細胞、例えば酵母細胞である。他の態様では、宿主細胞は原核細胞である。これらの態様のいくつかでは、宿主細胞は植物細胞である。いくつかの態様では、この方法は、本発明のトランスジェニック植物を対象に実施される。
【0139】
細胞は典型的には2経路の1つを使用して、イソプレノイドまたはイソプレノイド前駆体(例えばIPP、ポリプレニル二リン酸など)を作る。図13〜15は、細胞がイソプレノイド化合物、またはポリプレニル二リン酸などの前駆体の産生に使用する経路を示す。
【0140】
図13は、ポリプレニル二リン酸ゲラニル二リン酸(GPP)、ファルネシル二リン酸(FPP)、ならびにゲラニルゲラニル二リン酸(GGPP)を作るための、プレニルトランスフェラーゼによるイソペンテニル二リン酸(IPP)および/またはこの異性体であるジメチルアリル二リン酸(DMAPP)の修飾を含むイソプレノイド経路を示す。GPPおよびFPPはさらにテルペンシンターゼによって修飾されて、それぞれモノテルペンおよびセスキテルペンを産生し;ならびにGGPPはさらにテルペンシンターゼによって修飾されてジテルペンおよびカロテノイドを産生する。IPPおよびDMAPPは、メバロン酸(MEV)経路と1-デオキシ-D-キシルロース-5-リン酸(DXP)経路の2経路の1つによって産生される。
【0141】
図14は、アセチルCoAが一連の反応を経てIPPに変換されるMEV経路を図解的に示す。
【0142】
図15は、ピルビン酸およびD-グリセルアルデヒド-3-リン酸が一連の反応を経てIPPおよびDMAPPに変換されるDXP経路を図解的に示す。植物細胞以外の真核細胞は、後にDMAPPに異性化されるアセチル-補酵素A(アセチル-CoA)をIPPに変換するためにMEVイソプレノイド経路をもっぱら使用する。植物は、MEV経路と、メバロン酸に依存しない、すなわちDXP経路の両方をイソプレノイド合成に使用する。原核生物は、いくつか例外はあるものの、DXP経路を使用してIPPおよびDMAPPを個別に、分岐点を介して産生する。
【0143】
いくつかの態様では、宿主細胞は、セスキテルペン酸化酵素をコードするヌクレオチド配列を含む本発明の核酸によって遺伝的に改変され、および宿主細胞は、セスキテルペンを含む培地で培養される。セスキテルペンは細胞内に侵入して、そこでセスキテルペン酸化酵素によって修飾される。多くの態様では、セスキテルペンは、アモルファジエン、アロイソロンギフォレン、(-)-α-トランス-ベルガモテン(bergamotene)、(-)-β-エレメン、(+)-ゲルマクレンA、ゲルマクレンB、(+)-γ-グルジュネン、(+)-レデン、ネオインターメデオール、(+)-β-セリネン、および(+)-バレンセンから選択される。いくつかの態様では、セスキテルペン酸化酵素はアモルファジエン酸化酵素であり、および宿主細胞は、アモルファ-4,11-ジエン酸化酵素を含む培地で培養される。
【0144】
他の態様では、宿主細胞はさらに、テルペンシンターゼをコードするヌクレオチド配列を含む核酸で遺伝的に改変される。したがって例えば宿主細胞は、テルペンシンターゼおよびイソプレノイド修飾酵素(例えばセスキテルペン酸化酵素)をコードするヌクレオチド配列を含む1つもしくは複数の核酸で遺伝的に改変される。このような宿主細胞を適切な培地で培養することで、テルペンシンターゼおよびイソプレノイド修飾酵素(例えばセスキテルペン酸化酵素)の産生が提供される。例えばテルペンシンターゼは、ファルネシルピロリン酸を修飾して、該セスキテルペン酸化酵素用のセスキテルペン基質を産生する。
【0145】
宿主細胞が培養される培地に依存して、および宿主細胞がIPPの合成にDXP経路またはメバロン酸経路のどちらを介するかに依存して、宿主細胞は、いくつかの態様では、さらなる遺伝的改変を含む。例えば、いくつかの態様では、宿主細胞は、内因性のメバロン酸経路を有しない細胞であり、例えば宿主細胞は、通常はIPPまたはメバロン酸をメバロン酸経路を介して合成しない細胞である。例えば、いくつかの態様では、宿主細胞は、通常はIPPをメバロン酸経路を介して合成しない細胞であり、ならびに宿主細胞は、メバロン酸経路の2種類もしくはそれ以上の酵素、IPPイソメラーゼ、プレニルトランスフェラーゼ、テルペンシンターゼ、およびイソプレノイド修飾酵素(例えば本発明の核酸にコードされたイソプレノイド修飾酵素)をコードするヌクレオチド配列を含む1つもしくは複数の核酸で遺伝的に改変される。このような宿主細胞を培養することで、メバロン酸経路の酵素であるIPPイソメラーゼ、プレニルトランスフェラーゼ、テルペンシンターゼ、およびイソプレノイド修飾酵素(例えばセスキテルペン酸化酵素)の産生が提供される。メバロン酸経路の酵素であるIPPイソメラーゼ、プレニルトランスフェラーゼ、テルペンシンターゼ、およびイソプレノイド修飾酵素(例えばセスキテルペン酸化酵素)の産生は、イソプレノイド化合物の産生につながる。多くの態様では、プレニルトランスフェラーゼは、本発明の核酸にコードされたセスキテルペン酸化酵素用のセスキテルペン基質を生じるFPPシンターゼであり;およびセスキテルペン酸化酵素の産生は、宿主細胞においてセスキテルペン基質の酸化につながる。メバロン酸経路の酵素であるIPPイソメラーゼ、プレニルトランスフェラーゼ、およびテルペンシンターゼをコードする任意の核酸が使用に適している。例えば適切な核酸は、例えば前記のMartin et al. (2003)に記載されている。
【0146】
宿主細胞が、2種類もしくはそれ以上のメバロン酸経路の酵素をコードするヌクレオチド配列を含む1つもしくは複数の核酸で遺伝的に改変されている上記の態様のいくつかでは、2種類もしくはそれ以上のメバロン酸経路の酵素は、MK、PMK、およびMPDを含み、ならびに宿主細胞は、メバロン酸塩を含む培地で培養される。他の態様では、メバロン酸経路の2種類もしくはそれ以上の酵素は、アセトアセチルCoAチオラーゼ、HMGS、HMGR、MK、PMK、およびMPDを含む。
【0147】
いくつかの態様では、宿主細胞は、通常はIPPをメバロン酸経路を介して合成しない細胞であり、宿主細胞は上述の手順で遺伝的に改変されており、および宿主細胞はさらに、機能的に無効化されたDXP経路を含む。
【0148】
いくつかの態様では、宿主細胞は、シトクロムP450還元酵素(CPR)をコードするヌクレオチド配列を含む核酸で遺伝的に改変されている。CPRのさまざまなヌクレオチド配列が知られており、および公知の任意のCPRをコードする核酸を、コードされたCPRが、電子をNADPHから伝達する活性を示す限りにおいて使用することができる。いくつかの態様では、CPRをコードする核酸は、電子をNADPHから、本発明のイソプレノイド修飾酵素をコードする核酸にコードされたイソプレノイド修飾酵素、例えばセスキテルペン酸化酵素へ伝達するCPRをコードする。いくつかの態様では、CPRをコードする核酸は、本発明のCPRの核酸である。
【0149】
本発明の方法は、アルテミシニック酸(例えばセスキテルペン基質がアモルファ-4,11-ジエンの場合)、アロイソロンギフォレンアルコール(例えば基質がアロイソロンギフォレンの場合)、(E)-トランス-ベルガモタ-2,12-ジエン-14-オール(例えば基質が(-)-α-トランス-ベルガモテンの場合)、(-)-エレマ-1,3,11(13)-トリエン-12-オール(例えば基質が(-)-β-エレメンの場合)、ゲルマクラ(germacra)-1(10),4,11(13)-トリエン-12-オール(例えば基質が(+)-ゲルマクレンAの場合)、ゲルマクレンBアルコール(例えば基質がゲルマクレンBの場合)、5,11(13)-グアイアジエン(guaiadiene)-12-オール(例えば基質が(+)-γ-グルジュネンの場合)、レデンアルコール(例えば基質が(+)-レデンの場合)、4β-H-エウデスム(eudesm)-11(13)-エン-4,12-ジオール(例えば基質がネオインテルメデオールの場合)、(+)-β-コストール(costol)(例えば基質が(+)-β-セリネンなどの場合);ならびに前述の他の任意の誘導体を含むが、これらに限定されない、さまざまなイソプレノイド化合物の産生に有用である。
【0150】
いくつかの態様では、本発明の遺伝的に改変された宿主細胞は、適切な培地(例えば任意で、誘導物質などの1種類もしくは複数の添加剤を添加したルリア-ベルトーニブロスなど)(例えば、イソプレノイド修飾酵素をコードするヌクレオチド配列は誘導性プロモーターの制御下にある)で培養され;および培地を、有機溶媒、例えばドデカンで覆って有機層を形成させる。遺伝的に改変された宿主細胞によって産生されるイソプレノイド化合物は有機層に分配され、この有機層から精製可能である。イソプレノイド修飾酵素をコードするヌクレオチド配列が誘導性プロモーターに機能的に連結されている、いくつかの態様では、誘導物質を培地に添加し;および適切な時間が経過した後に、培地を覆う有機層からイソプレノイド化合物を単離する。
【0151】
いくつかの態様では、イソプレノイド化合物は、有機層中に存在する可能性のある他の生成物と分離される。有機層中に存在する可能性のある他の生成物とイソプレノイド化合物の分離は、例えば標準的なクロマトグラフィーによる手法で容易に達成される。
【0152】
いくつかの態様では、本発明の方法で合成されたイソプレノイド化合物はさらに、無細胞反応で化学的に修飾される。例えば、いくつかの態様では、アルテミシニック酸が培地および/または細胞溶解物から分離され、ならびにアルテミシニック酸はさらに無細胞反応で化学的に修飾されてアルテミシニンを生じる。
【0153】
いくつかの態様では、イソプレノイド化合物は純粋であり、例えば純度が少なくとも約40%であり、純度が少なくとも約50%であり、純度が少なくとも約60%であり、純度が少なくとも約70%であり、純度が少なくとも約80%であり、純度が少なくとも約90%であり、純度が少なくとも約95%であり、純度が少なくとも約98%であるか、または純度が98%を上回る。イソプレノイド化合物に関して使う、「純粋」とは、他のイソプレノイド化合物、高分子、混入物などを含まないイソプレノイド化合物を意味する。
【0154】
実施例
以下の実施例は、本発明の作製法および使用法の完全な開示および記述を当業者に提供するために示すものであり、発明者らが、発明者らの発明とみなす範囲を制限することを意図したものではなく、以下に示す実験が、実施された全てまたは唯一の実験であることを示すことを意図したものでもない。使用された数値(例えば、量、温度など)に関しては正確を期すように努力したが、ある程度の実験誤差および偏差は考慮されなければならない。特に示された部分を除き、割合(part)は重量の割合、分子量は重量平均分子量、温度は摂氏、および圧力は大気圧またはほぼ大気圧である。標準的な省略形を使用することができる。例えば、bp、塩基対;kb、キロ塩基;pl、ピコリットル;sまたはsec、秒;min、分;hまたはhr、時間;aa、アミノ酸;kb、キロ塩基;bp、塩基対;nt、ヌクレオチド;i.m.、筋肉内(に);i.p.、腹腔内(に);s.c.、皮下(に);など。
【0155】
実施例1:イソプレノイド修飾酵素のクローニングおよび配列決定
テルペンを水酸化することが知られている酵素の大半はシトクロムP450である。テルペン水酸化酵素の利用可能な全てのアミノ酸配列を、ヒマワリおよびレタスに由来するシトクロムP450のアミノ酸配列とアライメントした。これら2種の植物種は、クソニンジンも属するキク科に属する。イソプレノイド修飾酵素、例えばCYP71Dファミリーはクラスターを構成することから、祖先が共通であることが示唆されている。キク科のCYP71Dファミリーの遺伝子を増幅する、縮重ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)用のプライマーを設計した。
【0156】
CYP71AV1(CYP71D-A4またはAMOとも呼ばれる)およびCPRのcDNAのクローニング
cDNAのプールを、Super SMART PCR cDNA合成キット(BD Bioscience)によって、クソニンジンの線毛濃縮細胞から精製した50 ngの全RNAを使用して調製した。[Y/Q]G[E/D][H/Y]WR(フォワード)のプライマー1およびFIPERFのプライマー2(リバース)の縮重P450プライマーを、レタスおよびヒマワリのCYP71サブファミリーの保存アミノ酸モチーフから設計した(表Iにプライマーの配列情報を示す)。
【0157】
(表I)プラスミドの構築に使用したプライマー
【0158】
これらのプライマー、およびクソニンジンのcDNAを使用するポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によって、1 kbのDNA断片が得られた。PCRプログラムは、48℃のアニーリング温度で7サイクルと55℃のアニーリング温度で追加の27サイクルとした。増幅遺伝子断片に由来する推定アミノ酸は、それぞれヒマワリ(QH_CA_Contig1442)およびレタス(QG_CA_Contig7108)のコンティグに対して85%および88%のアミノ酸同一性を示した。Compositae EST-データベースはcgpdb.ucdavis.eduにある。クソニンジンのCPR断片を、それぞれ保存されたQYEHFNKI(SEQ ID NO:32)およびCGDAKGMA(SEQ ID NO:33)のモチーフから設計したフォワードプライマー(プライマー3)およびリバースプライマー(プライマー4)を使用して単離した。PCRプログラムは、50℃のアニーリング温度で30サイクルとした。CYP71AV1(「CYP71D-A4」)およびCPRに対する5'端と3'端の両方の配列をRLM-RACEキット(Ambion)を使用して決定後に、クソニンジンの葉のcDNAから完全長のcDNAを回収した。CYP71AV1およびCPRのオープンリーディングフレームをPCRで増幅し、ならびに、FLAGおよびcMycタギング用のpESC-URA(Stratagene)のSpeIおよびBamHI/SalI切断部位にそれぞれ連結した。CYP71AV1のPCRによる増幅にはプライマー5およびプライマー6を使用し;CPRのPCRによる増幅にはプライマー7およびプライマー8を使用した。PCRプログラムは、55℃のアニーリング温度で35サイクルとした。全てのクローンの配列を決定して配列を確認した。
【0159】
植物抽出物の解析
クソニンジンの葉(新鮮重量100〜200 mg)を、5.8μMのオクタデカンを内部標準として添加した1 mLのヘキサン中で2時間、激しく攪拌した。ヘキサノール抽出物を200μLに濃縮し、および1μLの試料を、DB-XLBカラム(内径0.25 mm×0.25μm×30 m、J & W Scientific)を使用するGC-MS解析に使用することで、上述の14の植物試料中のアルテミシニン含量を決定した。Woerdenbag et al. (1991) Phytochem. Anal., 2, 215-219。GCオーブンのプログラムは、100℃〜250℃で5℃/分の増分とした。植物のヘキサノール抽出物をTMS-ジアゾメタンによって誘導体化することで、アルテミシニック酸含量を、DB5カラムを装着したGC-FIDで決定した(n=8)。GCオーブンのプログラムは、80℃(2分間維持)、20℃/分ので140℃に上昇、5℃/分の増分による最高220℃までの上昇による生成物の分離とした。真正アルテミシニン標準は、Sigma-Aldrich(St. Louis, MO)から購入した。
【0160】
アルテミシニックアルコールの合成
アルテミシニック酸(100.0 mg、0.43 mmol)をTHF(10.0 mL)に溶解し、およびLiAlH4(17.0 mg、0.45 mmol)を添加した。この非均質混合物を70℃で15時間、還流しながら維持した。冷却後に反応を、水(3.0 mL)および15% NaOH水溶液(3.0 mL)で停止させ、10分間攪拌し、ならびにセライトで濾過した。有機相を分離し、MgSO4上で乾燥し、および回転式エバポレーターを使用して濃縮した。生成物をカラムクロマトグラフィー(2:1ヘキサン/EtOAc)で精製し、61.0 mg(収率65%)のアルコールを無色の油状物質として得た。微量のアルテミシニック酸の混入物をさらに、中性アルミナ(ブロックマン活性1)によるカラムクロマトグラフィーで除去した。解析データは、文献報告値と一致していた。
【0161】
アルテミシニックアルデヒドの合成
アルテミシニックアルコールを、文献に報告された手順に従って、アルテミシニックアルデヒドに酸化した。Sharpless et al. Tetrahedron Letters 17, 2503-2506 (1976)。アルゴン雰囲気下で、RuCl2(PPh3)3(17.0 mg、0.018 mmol)およびN-メチルモルホリンN-オキシド(60.0 mg、0.51 mmol)を含む、炎で乾燥した10-mLフラスコにアセトン(4.0 mL)を添加した。同溶液に、アセトン(1.0 mL)に溶解したアルテミシニックアルコール(55.0 mg、0.25 mmol)をシリンジ経由で添加した。同混合物を23℃で2時間、攪拌し、および真空中で濃縮した。粗生成物をカラムクロマトグラフィー(4:1ヘキサン/EtOAc)で精製し、32.0 mg(収率59%)のアルテミシニックアルデヒドを無色の油状物質として得た。解析データは、文献報告値と一致していた。
【0162】
EPY株の作製および解析
化学物質
ドデカンおよびカリオフィレンはSigma-Aldrich(St. Louis, MO)から購入した。5-フルオロオロト酸(5-FOA)はZymo Research(Orange, CA)から購入した。Synthetic Defined(SD)培地調製用のComplete Supplement MixtureはQbiogene(Irvine, CA)から購入した。他の全ての培地成分はSigma-AldrichまたはBecton Dickinson(Franklin Lakes, NJ)のいずれかから購入した。
【0163】
株および培地
本研究で使用する発現プラスミドの構築時の細菌の形質転換、およびプラスミドの増幅には、大腸菌株DH10BおよびDH5αを使用した。これらの株は、100 mg/Lのアンピシリンを添加したルリア-ベルターニ培地で37℃で培養した。ただしpδ-UBベースのプラスミドの場合は、DH5αを使用して50 mg L/Lのアンピシリン存在下で培養した。
【0164】
S288Cに由来する出芽酵母株BY4742(Brachmann et al. Yeast 14, 115-132 (1998))を、全ての酵母株の親株として使用した。この株をリッチYPD培地で成長させた。Burke et al. Methods in yeast genetics: a Cold Spring Harbor laboratory course manual (Cold Spring Harbor Laboratory Press, Plainview, NY, 2000)。改変酵母株は、適切であればロイシン、ウラシル、ヒスチジン、および/またはメチオニンを添加したSD培地(Burke et al.、前掲)で成長させた。GAL1プロモーターから発現される遺伝子の誘導時には、出芽酵母株を、炭素源を2%ガラクトースのみとして成長させた。
【0165】
プラスミドの構築
GAL1プロモーターによるADS発現用にプラスミドpRS425ADSを作製するために、ADSをpADS(Martin et al. Nat. Biotechnol. 21, 796-802 (2003))からPCRで、プライマー対9および10を使用して増幅した(表I)。これらのプライマーを使用して、ヌクレオチド配列5'-AAAACA-3'をADSの開始コドンのすぐ上流にクローニングした。このコンセンサス配列は、ADSおよび本研究で使用される他のガラクトース誘導性遺伝子の効率的な翻訳のために使用した。増幅産物をSpeIおよびHindIIIで切断し、ならびにSpeIおよびHindIIIで切断したpRS425GAL1(Mumberg et al. Nucleic Acids Research 22, 5767-5768 (1994))にクローニングした。
【0166】
tHMGRの発現カセットの組込み用にプラスミドpδ-HMGRを構築した。第1のSacII制限酵素切断部位をpRS426GAL1(Mumberg et al.、前掲)のGAL1プロモーターの5'側およびCYC1ターミネーターの3'側に導入した。これを達成するために、pRS426GAL1のプロモーター-マルチクローニングサイト-ターミネーターのカセットを、プライマー対11および12によるPCRで増幅した。増幅産物を、PvuIIで切断したpRS426GAL1に直接クローニングし、ベクターpRS426-SacIIを構築した。HMG1の触媒ドメインをプラスミドpRH127-3(Donald et al. Appl. Environ. Microbiol. 63, 3341-3344 (1997))から、プライマー対13および14を使用したPCRで増幅した。増幅産物をBamHIおよびSalIで切断し、ならびにBamHIおよびXhoIで切断したpRS426-SacIIにクローニングした。pRS-HMGRをSacIIで切断し、ならびに発現カセット断片をゲルから抽出し、およびSacIIで切断したpδ-UBにクローニングした(Lee et al. Biotechnol. Prog. 13, 368-373 (1997))。
【0167】
UPC2のupc2-1対立遺伝子をプラスミドpBD33から、プライマー対15および16を使用したPCRで増幅した。増幅産物をBamHIおよびSalIで切断し、ならびにBamHIおよびXhoIで切断したpRS426-SacIIにクローニングしてプラスミドpRS-UPC2を得た。upc2-1の組込みに関しては、pRS-UPC2をSacIIで切断して適切な断片をpδ-UBに移動させることによって、同一の様式でpδ-UPC2を作製した。
【0168】
ERG9プロモーターとMET3プロモーターを置換するためにプラスミドpRS-ERG9を構築した。プラスミドpRH973(Gardner et al. J. Biol. Chem. 274, 31671-31678 (1999))は、MET3プロモーターの下流に配置されたERG9の短縮型の5'セグメントを含む。pRH973をApaIおよびClaIで切断し、ならびにApaIおよびClaIで切断した、HIS3選択マーカーを有するpRS403(Sikorski et al. Genetics 122, 19-27 (1989))にクローニングした。
【0169】
ERG20の発現用に、プラスミドpδ-ERG20を構築した。プラスミドpRS-SacIIを最初にSalIおよびXhoIで切断し、適合性のある付着末端を生じさせた。次に同プラスミドを自己連結させてSalI切断部位およびXhoI切断部位を除去してプラスミドpRS-SacII-DXを得た。ERG20をBY4742のゲノムDNAからPCRで、プライマー対17および18を使用して増幅した。増幅産物をSpeIおよびSmaIで切断し、ならびにSpeIおよびSmaIで切断したpRS-SacII-DXにクローニングした。次にpRS-ERG20をSacIIで切断し、および発現カセット断片をゲルから抽出し、SacIIで切断したpδ-UBにクローニングした。
【0170】
酵母の形質転換および株の構築
S288Cに由来する出芽酵母株BY4742(Brachmann et al.、前掲)を全ての出芽酵母株の親株として使用した。全ての出芽酵母株の形質転換は、標準的な酢酸リチウム法で実施した。Gietz, R. D. & Woods, R.A. in Guide to Yeast Genetics and Molecular and Cell Biology, Part B, 87-96 (Academic Press Inc, San Diego, 2002)。最高のアモルファジエン産生形質転換体を選択するために、各形質転換に由来する3〜10個のコロニーをスクリーニングした。株BY4742のプラスミドpRS425ADSによる形質転換およびSD-LEUプレート上における選択によって、株EPY201を構築した。プラスミドpδ-HMGRをXhoIで切断後に、同DNAで株EPY201を形質転換した。SD-LEU-URAプレート上における最初の選択後に、形質転換体を培養し、およびURA3マーカーの欠失を選択するために、1 g/Lの5-FOAを含むSD-LEUプレートにプレーティングした。結果として得られたウラシル栄養要求株であるEPY208を次に、XhoIで切断したpδ-UPC2プラスミドDNAで形質転換した。SD-LEU-URAプレート上における最初の選択後に、形質転換体を培養し、およびEPY210を構築するために、1 g/Lの5-FOAを含むSD-LEUプレートにプレーティングした。プラスミドpRS-ERG9を、PMET3-ERG9融合体を、それぞれEPY213およびEPY225を構築する目的でEPY208およびEPY210のERG9座位に組み込むためにHindIIで切断した。これらの株は、SD-LEU-HIS-METプレートで選択された。次にEPY213を、XhoIで切断したpδ-HMGRプラスミドDNAで形質転換した。SD-LEU-URA-HIS-METプレートによる最初の選択後に、形質転換体を培養し、およびEPY219を構築するために、1 g/Lの5-FOAを含むSD-LEU-HIS-METプレートにプレーティングした。EPY219を、XhoIで切断したpδ-ERG20プラスミドDNAで形質転換した。SD-LEU-URA-HIS-METプレートによる最初の選択後に、形質転換体を培養し、およびEPY224を構築するために、1 g/Lの5-FOAを含むSD-LEU-HIS-METプレートにプレーティングした。
【0171】
pRS-ERG9の組込みを、2セットのプライマーを使用したPCR解析で検証した。各セットは、挿入DNAに結合するオリゴ、および挿入部の周囲のゲノムDNAに結合するオリゴを含むものとした。他の全ての組込みは、完全長の挿入に関して、GAL1プロモーターの5'端および融合遺伝子の3'端に結合するプライマーを使用して検証した。
【0172】
酵母の培養
600 nmにおける全ての光学密度(OD600)の測定を、Beckman DU-640型分光光度計を使用して行った。アモルファジエンの産生を測定するために、5 mLのSD(2%ガラクトース)培地(上述の適切なアミノ酸を欠く)を含む培養用チューブに対象株を播種した。これらの播種物(innocula)を、OD600が1〜2となるまで30℃で成長させた。50 mLのSD培地を含むバッフル無し培養フラスコ(250 mL)に、OD600が0.05の種培養物を播種した。アモルファジエンの産生を、6日間の成長後に測定した。ERG9座位におけるPMET3-ERG9融合体の抑制目的で、1 mMのメチオニンを各培養物に存在させた。全てのフラスコには、5 mLのドデカンも含むようにした。このドデカン層をサンプリングして酢酸エチルで希釈し、GC-MSによるアモルファジエンの産生の決定に使用した。
【0173】
結果
アルテミシニンは、植物の特殊な細胞群である腺状突起で産生される。腺状突起をクソニンジンから分離し;およびRNAを細胞から抽出した。縮重プライマーを使用して、CYP71D-A4と命名された新規遺伝子の部分的なcDNAを単離した。完全長の遺伝子を、cDNA末端の迅速な増幅(RACE)を行うことで回収した。cDNAのコード領域のヌクレオチド配列を図1に示し(SEQ ID NO:1);翻訳されたアミノ酸配列を図2に示す(SEQ ID NO:2)。
【0174】
CYP71D-A4の完全長のcDNAを酵母細胞で発現させた。アモルファジエン酸化酵素の活性を調べるために、CYP71D-A4を、クソニンジン由来のCPR遺伝子(AACPR;図3;図4に示されたコードされたタンパク質のアミノ酸配列)がGal1プロモーターから発現されるpESC-URA(Stratagene)バックボーンプラスミド中のGal10プロモーターの転写制御下に配置した。上述した縮重プライマーを使用するPCRおよびRACE法によって、クソニンジンの腺状突起中のmRNAからAACPR遺伝子を得た。
【0175】
アモルファ-4,11-ジエン酸化酵素の活性を対象とするインビボアッセイ法を行うために、このプラスミド(p71D-A4/CPR::pESC-URA)、およびCYP71D-A4遺伝子を欠く対照プラスミドで、アモルファ-4,11-ジエンを産生するように改変した出芽酵母細胞を形質転換した。簡単に説明すると、このような細胞は、酵母で可溶性の短縮型HMG CoA還元酵素をコードする組み込まれた遺伝子を有する株BY4742である。これらの細胞は、コドンが最適化されたADS遺伝子をGAL1プロモーターの制御下に有するpRS425ADSを有する。形質転換された細胞を、合成ロイシンおよび合成ウラシルを滴下した培地で培養し、ならびに2%ガラクトースで29時間かけて誘導し、および培地をエーテルで抽出した。抽出物を濃縮し、および1μlについて、EXLカラムを装着したガスクロマトグラフィー-質量分析(GC-MS)による解析を、50℃から250℃まで5℃/分で上昇させる温度プログラムで行った。アルテミシニックアルコールおよびアルテミシニックアルデヒドの合成には、標準として使用される真正アルテミシニック酸を使用した。この方法によって、CPRおよびCYP71D-A4を発現する細胞から2本のピークが検出されたが、CPRのみを発現する対照細胞からは検出されなかった。保持時間および質量スペクトルを、真正標準と比較することで、これらのピークがアルテミシニックアルコールおよびアルテミシニックアルデヒドに対応することが判明した。アルテミシニック酸は検出されなかった;つまり、その低揮発性のために誘導体化されることなしには、GCにおいて出現しないと推定される。
【0176】
同じ2つのプラスミドが出芽酵母の野生株YPH499に個別に導入された、アモルファ-4,11-ジエン酸化酵素活性を対象としたインビボフィーディングアッセイ法を実施した。酵母細胞を、50 mLの2%デキストロースおよびウラシルを滴下した培地で培養し、ならびに2%ガラクトースで24時間かけて誘導した。5 mLの誘導酵母細胞を遠心分離して回収し、および150μMのアモルファ-4,11-ジエン、アルテミシニックアルコール、またはアルテミシニックアルデヒドを含む新鮮な培地を、酵母細胞を再懸濁するために使用した。次に酵母細胞を30℃で5時間、培養した。培地をエーテルで抽出後に、N-(tert-ブチルジメチルシリル)-N-メチルトリフルオロアセトアミドを使用して誘導体化することで、GC-MSによる任意のアルテミシニック酸の検出が可能となった。真正のアルテミシニックアルコールおよびアルテミシニック酸の標準も同様に誘導体化した。1μLの個々の誘導体化された対照および試料をGC-MSで解析した。50℃から250℃まで5℃/分で上昇させる温度プログラムを使用した。
【0177】
細胞にアモルファ-4,11-ジエンを加えたところ、アルテミシニック酸が有意に蓄積し、併せて微量のアルテミシニックアルコール化合物およびアルテミシニックアルデヒド化合物が、CPRとCYP71D-A4の両方を発現する酵母細胞でのみ検出された(図5A)。細胞にアルテミシニックアルコールまたはアルテミシニックアルデヒドを加えたところ、アルテミシニック酸の相対的な蓄積は、CPRのみで形質転換された対照株より、CPR/CYP71D-A4で形質転換された酵母細胞の培地において高かった(図5Bおよび図5C)。
【0178】
図5A〜C
アモルファジエン(図5A)および他の2種類のアルテミシニン中間体--アルテミシニックアルコール(図5B)およびアルテミシニックアルデヒド(図5C)--を150μMの濃度で、CPRのみで形質転換された酵母細胞(上のクロマトグラフ)、またはCPRとCYP71D-A4の両方で形質転換された酵母細胞(下のクロマトグラフ)を含む培地に添加して培養し、および2%ガラクトースで誘導した。アモルファジエン(1)、アルテミシニックアルコール(2)、アルテミシニックアルデヒド(3)、およびアルテミシニック酸(4)を矢印で示す。アルテミシニックアルコール(2)およびアルテミシニック酸(4)は、N-(tert-ブチルジメチルシリル)-N-メチルトリフルオロアセトアミドによる誘導体化後に検出された。アスタリスクは、培地に添加された基質を示す。
【0179】
試料に含まれる誘導体化されたアルテミシニック酸が本物であることを、真正アルテミシニック酸標準によって確認した(図6Aおよび図6B)。これらのデータから、第1の水酸化が、CYP71D-A4クローンにコードされたシトクロムP450酵素によって触媒されること、ならびに、これに続くアルテミシニックアルコールからアルテミシニックアルデヒドへの、およびアルテミシニックアルデヒドからアルテミシニック酸への酸化による変換が、酵母の内因性の酸化活性とともにCYP71D-A4組換え酵素によって触媒されている可能性が高いことがわかる。
【0180】
図6Aおよび図6B
CPR/71D-A4によって形質転換された酵母細胞へのアモルファジエンの添加後に産生された新規化合物の質量スペクトルおよび保持時間を図6Aに示し、ならびにアルテミシニック酸の真正標準の質量スペクトルおよび保持時間を図6Bに示す。生成物も標準も、114質量単位がベースの分子量に添加された、誘導体化後のGC-MSによって検出された。
【0181】
ガラクトースなどの単糖に由来する、改変酵母におけるアルテミシニック酸のデノボ合成は、CPR(「AACPR」)とAMO(「CYP17D-A4」)の両方を有するpESC-URAで遺伝的に改変されたEPY224(pESC-URA::AACPR/AMO)によって明らかにされた。短縮型の酵母HMGCoA還元酵素をコードするコンストラクトは、酵母株BY4742に2回組み込まれていた。転写因子upc2-1を、エルゴステロール生合成経路の複数の遺伝子の転写レベルを上昇させるために過剰発現させた。スクアレンシンターゼの遺伝子(ERG9)は、メチオニン抑制型プロモーターMET3によってダウンレギュレートされた。FPPシンターゼをGal1プロモーターによって過剰に発現し、およびADSもpRS425バックボーン中のGal1プロモーターによって過剰に発現した。pESC-URA::AACPR/AMOを有する酵母EPY224株を、1.8%ガラクトースおよび0.2%グルコースを含む合成培地で5日間にわたって30℃で培養した。酵母細胞を沈殿させ、およびペレットをアルカリ性緩衝液(Tris緩衝液、pH 9)で洗浄した。HClを添加して緩衝液をpH 2に酸性化させ;ならびに酸性化された緩衝液を酢酸エチルで抽出した。TMS-ジアゾメタンおよびメタノールを酢酸エチルフラクションに添加し、アルテミシニック酸を誘導体化した。メチルエステル型のアルテミシニック酸がGC-MSで検出された。
【0182】
図7A〜7Cは、AACPRおよびAMOの発現時の酵母におけるアルテミシニック酸のデノボ産生を示す。これとは対照的に、AACPRのみを発現する対照酵母株ではアルテミシニック酸は検出されなかった。13.62分における新たなピーク(図7A、ピーク1)は、植物クソニンジン由来の真正アルテミシニック酸と同じ質量断片化パターンを示していた(図7Bおよび図7C)。
【0183】
図8A〜8Cは、インビトロAMO酵素アッセイ法を示す。ミクロソームは、AACPRまたはCPR/AMOを発現する出芽酵母YPH499から単離した。使用した基質に対するクロマトグラフィーによるピークに星印を付す。各酵素アッセイ法には、10μMのアモルファジエン(a)、25μMのアルテミシニックアルコール(b)、または25μMのアルテミシニックアルデヒド(c)を使用した。エーテル抽出可能なフラクションを誘導体化し、およびGC-MSで選択的イオンモード(m/z:121、189、204、218、220、および248)で解析した。酵素反応生成物を以下のように示す:1、アルテミシニックアルコール[保持時間(Rt)=13.20];2、アルテミシニックアルデヒド(Rt=11.79);3、アルテミシニック酸(Rt=13.58、メチルエステルとして検出)。
【0184】
図9は、テルペン水酸化酵素をコードする、71D-B1(アモルファジエン水酸化酵素の場合は「AMH」とも呼ばれる)と命名されたcDNAクローンのヌクレオチド配列を示す。
【0185】
図10は、71D-B1(AMH)にコードされたタンパク質のアミノ酸配列を示す。
【0186】
図11A〜Cは、AMHクローン(71D-B1)にコードされた組換え型酵素の水酸化活性を示す。Aの16.82分におけるピークは、HMGCoAを過剰発現する酵母におけるAMOが発現時のアルテミシニック酸であり、ならびにBの18.50分におけるピークは、HMGCoAを過剰発現する酵母におけるAMHおよびAACPRが過剰発現時の水酸化アモルファジエンである。水酸化アモルファジエンの質量断片化パターンを図11Cに示す。水酸化アモルファジエンの親イオンのピーク(220)が示されており、ならびにセスキテルペンおよびテルペンに対応する他の典型的なイオン断片化パターンも示されている(例えば、93、119、132、145、159、および177)。
【0187】
図12は、テルペン水酸化酵素/酸化酵素をコードするゲノムDNAのヌクレオチド配列を示す。
【0188】
本発明を、本発明の特定の態様を参照して説明したが、当業者であれば、本発明の真の意図および範囲から逸脱することなく、さまざまな変更を加えることが可能であること、および同等物で置き換えることが可能なことを理解すべきである。加えて、本発明の目的、意図、および範囲に対して、特定の状況、材料、組成物、工程、工程段階もしくは複数の段階に適合させるために多くの変更が可能である。このようなあらゆる変更は、添付の特許請求の範囲に含まれることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0189】
【図1】CYP71D-A4のcDNAをコードする配列のヌクレオチド配列(SEQ ID NO:1)を示す。
【図2】アモルファジエン12-酸化酵素のアミノ酸配列(SEQ ID NO:2)を示す。
【図3】クソニンジンのシトクロムP450還元酵素(AACPR)のcDNAのコード領域のヌクレオチド配列(SEQ ID NO:3)を示す。
【図4】クソニンジンのシトクロムP450還元酵素のアミノ酸配列(SEQ ID NO:4)を示す。
【図5】インビボ基質フィーディング実験の結果を示す。
【図6】GC-MSによる生成物の確認を示す。
【図7】酵母におけるアルテミシニック酸のデノボ産生を示す。
【図8】インビトロにおけるアモルファジエン酸化酵素の酵素アッセイ法を示す。
【図9】イソプレノイド修飾酵素をコードするcDNA(クローン71D-B1)のヌクレオチド配列(SEQ ID NO:5)を示す。
【図10】イソプレノイド修飾酵素のアミノ酸配列(71D-B1;SEQ ID NO:6)を示す。
【図11】酵素71D-B1の水酸化活性を示す。
【図12】イソプレノイド修飾酵素をコードするゲノムDNAのヌクレオチド配列(SEQ ID NO:7)を示す。
【図13】イソペンテニル二リン酸(IPP)およびジメチルアリル二リン酸(DMAPP)に由来する、イソプレノイド生合成経路の中間体であるポリプレニル二リン酸ゲラニル二リン酸(GPP)、ファルネシル二リン酸(FPP)、およびゲラニルゲラニル二リン酸(GGPPP)の産生につながるイソプレノイド代謝経路の略図。
【図14】IPPの産生につながるメバロン酸(MEV)経路の略図。
【図15】IPPおよびジメチルアリルピロリン酸(DMAPP)の産生につながるDXP経路の略図。
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、イソプレノイド化合物、および特にイソプレノイド化合物を修飾する酵素の産生の領域に関する。
【0002】
相互参照
本出願は、参照により、その全体が本明細書に組み入れられる、2005年7月5日に出願された米国仮特許出願第60/697,067号の恩典を主張する。
【背景技術】
【0003】
発明の背景
イソプレノイドは、共通の生合成起源、すなわち1つの代謝前駆体であるイソペンテニル二リン酸(IPP)を有する、極めて多種多様な一群の天然物を含む。少なくとも20,000種類のイソプレノイドの存在が明らかにされている。定義上、イソプレノイドは、いわゆるイソプレン(C5)単位から作られる。イソプレノイド中に存在するC原子の数は、典型的には5で割り切れる数(C5、C10、C15、C20、C25、C30、およびC40)であるが、不規則なイソプレノイドおよびポリテルペンが報告されている。イソプレノイド化合物は、「テルペン」または「テルペノイド」とも呼ばれる。イソプレノイドの重要な成員は、カロテノイド、セスキテルペノイド、ジテルペノイド、およびヘミテルペンを含む。カロテノイドは例えば、多くが抗酸化剤として機能するリコピン、β-カロテンなどを含む。セスキテルペノイドは例えば、抗マラリア活性を有する化合物であるアルテミシニンを含む。ジテルペノイドは例えば、癌の化学療法剤であるタキソールを含む。
【0004】
イソプレノイドは、非常に数多くの、かつ構造的に多様なファミリーの天然産物を含む。このファミリーのなかでは、植物および他の天然供給源から単離されるテルペノイドは、市販の香料および芳香剤、ならびに抗マラリア薬、抗ウイルス薬、および抗癌剤などの薬学的化合物として使用されている。今日、使用されているテルペノイド化合物の大半は、天然産物またはこの誘導体である。これらの天然産物の多くの供給源となる生物(例えば、樹木、海洋無脊椎動物)は、商業的に意味のある量の産生に必要な大規模培養にも、このような化合物の産生または誘導体化を高めるための遺伝子操作にも適していない。したがって、天然産物は類似体から半合成的に、または従来の化学合成法で合成的に産生されなければならない。さらに、多くの天然産物は複雑な構造を有し、結果的に、現時点で経済的でないか、または合成が不可能である。このような天然産物は、樹木、海綿、サンゴ、および海洋微生物などの、その天然供給源から抽出するか;または、より多量に存在する前駆体から合成的もしくは半合成的に製造するしかない。天然供給源からの天然産物の抽出は、天然供給源の利用可能性によって制限されており;ならびに天然産物の合成もしくは半合成による産生には、低収量および/または高費用という難点がある。こうした製造上の問題、および天然供給源の利用可能性の限界は、このような産物の商業的開発および臨床開発を制限していると言える。
【0005】
重要なセスキテルペン化合物の一例がアルテミシニンである。アルテミシニンは、現在は植物(クソニンジン(Artemisia annua))から抽出されており、および併用療法用の薬物の製造に使用されている、極めて有効な抗マラリア薬である。植物由来のアルテミシニンは高価であり、およびその入手可能性は、この植物を育てる国における気象条件および政治的条件に影響される。アルテミシニック酸は、アルテミシニンの生合成の重要な中間体である。従来の化学的方法によってアルテミシニンを製造する上で重要な段階である、アモルファ-4,11-ジエンのアルテミシニックアルコールへの変換は、困難かつ費用のかかる過程である。
【0006】
上述の難点のいくつかを回避するイソプレノイド化合物を作製する方法が当技術分野では求められている。本発明は、このニーズを、イソプレノイド化合物を修飾する酵素をコードするポリヌクレオチド、およびこのような酵素を産生するように遺伝的に改変された宿主細胞を提供することによって解決する。
【0007】
文献
Bertea et al. (2005) Planta Med. 71:40-47 (非特許文献1);deKraker et al. (2003) Tetradedron 59:409-418 (非特許文献2);Martin et al. (2003) Nat. Biotechnol. 21:796-802 (非特許文献3);WO 03/025193 (特許文献1);米国特許公報第20050019882号 (特許文献2);米国特許公報第20030148479号 (特許文献3);米国特許公報第20040005678号 (特許文献4);米国特許公報第20030166255号 (特許文献5)。
【0008】
【特許文献1】WO 03/025193
【特許文献2】米国特許公報第20050019882号
【特許文献3】米国特許公報第20030148479号
【特許文献4】米国特許公報第20040005678号
【特許文献5】米国特許公報第20030166255号
【非特許文献1】Bertea et al. (2005) Planta Med. 71:40-47
【非特許文献2】deKraker et al. (2003) Tetradedron 59:409-418
【非特許文献3】Martin et al. (2003) Nat. Biotechnol. 21:796-802
【発明の開示】
【0009】
発明の概要
本発明は、イソプレノイド修飾酵素をコードするヌクレオチド配列を含む単離された核酸、ならびに該
核酸を含む組換えベクターを提供する。本発明は、本発明の核酸または組換えベクターを含む遺伝的に改変された宿主細胞をさらに提供する。本発明は、本発明の核酸を含むトランスジェニック植物をさらに提供する。本発明は、本発明の遺伝的に改変された宿主細胞を、イソプレノイド化合物を修飾する、本発明の核酸にコードされた酵素の合成を可能とする条件で培養する段階を一般に含む、イソプレノイド化合物を産生させる方法をさらに提供する。
【0010】
定義
「イソプレノイド」、「イソプレノイド化合物」、「テルペン」、「テルペン化合物」、「テルペノイド」、および「テルペノイド化合物」という用語は、本明細書で互換的に使用される。イソプレノイド化合物は、さまざまな数の、いわゆるイソプレン(C5)単位から作られる。イソプレノイド中に存在するC原子の数は典型的には、5で割り切れる数(例えば、C5、C10、C15、C20、C25、C30、およびC40)である。不規則なイソプレノイドおよびポリテルペンが報告されており、これらも「イソプレノイド」の定義に含まれる。イソプレノイド化合物は、モノテルペン、セスキテルペン、トリテルペン、ポリテルペン、およびジテルペンを含むが、これらに限定されない。
【0011】
本明細書で用いる「プレニル二リン酸」という用語は、「プレニルピロリン酸」と互換的に使用され、かつ1つのプレニル基を有するモノプレニル二リン酸(例えばIPPおよびDMAPP)、ならびに2個またはそれ以上のプレニル基を含むポリプレニル二リン酸を含む。モノプレニル二リン酸は、イソペンテニルピロリン酸(IPP)、およびその異性体であるジメチルアリルピロリン酸(DMAPP)を含む。
【0012】
本明細書で用いる「テルペンシンターゼ」という用語は、テルペノイド化合物が産生されるように、IPP、DMAPP、またはポリプレニルピロリン酸を酵素的に修飾する任意の酵素を意味する。「テルペンシンターゼ」という用語は、プレニル二リン酸のイソプレノイドへの変換を触媒する酵素を含む。
【0013】
「ピロリン酸」という語は、本明細書で「二リン酸」と互換的に使用される。したがって、例えば「プレニル二リン酸」と「プレニルピロリン酸」という用語は互換的に使用可能であり;「イソペンテニルピロリン酸」と「イソペンテニル二リン酸」という用語は互換的に使用可能であり;「ファルネシル二リン酸」と「ファルネシルピロリン酸」という用語は互換的に使用可能である等である。
【0014】
「メバロン酸経路」または「MEV経路」という用語は、本明細書で、アセチル-CoAをIPPに変換する生合成経路を意味するように使用される。メバロン酸経路は、以下の段階を触媒する酵素を含む:(a)アセチル-CoAの2つの分子をアセトアセチル-CoAに縮合させる段階;(b)アセトアセチル-CoAとアセチル-CoAを縮合させてHMG-CoAを生成させる段階;(c)HMG-CoAをメバロン酸に変換する段階;(d)メバロン酸をメバロン酸5-リン酸にリン酸化する段階;(e)メバロン酸5-リン酸をメバロン酸5-ピロリン酸に変換する段階;および(f)メバロン酸5-ピロリン酸をイソペンテニルピロリン酸に変換する段階。メバロン酸経路を図14に図解的に示す。メバロン酸経路の「上半分」とは、MEV経路の中間体を介したアセチル-CoAのメバロン酸への変換に関与する酵素群を意味する。
【0015】
「1-デオキシ-D-キシルロース5-二リン酸経路」または「DXP経路」という用語は本明細書で、グリセルアルデヒド-3-リン酸およびピルビン酸をDXP経路中間体を介してIPPおよびDMAPPに変換する経路を意味するように使用され、DXP経路は、図15に図解的に示された反応を触媒する酵素群を含む。
【0016】
本明細書で用いる「プレニルトランスフェラーゼ」という用語は、「イソプレニル二リン酸シンターゼ」および「ポリプレニルシンターゼ」(例えば、「GPPシンターゼ」、「FPPシンターゼ」、「OPPシンターゼ」など)という用語と互換的に使用され、さまざまな鎖長のプレニル二リン酸の形成につながる、イソペンテニル二リン酸のアリルプライマー基質による連続的な1'-4縮合を触媒する酵素を意味する。
【0017】
本明細書で互換的に使用される「ポリヌクレオチド」および「核酸」という用語は、リボヌクレオチドまたはデオキシヌクレオチドのいずれかである、任意の長さのポリマー状のヌクレオチドを意味する。したがって、この用語は、1本鎖、2本鎖、または多重鎖のDNAもしくはRNA、ゲノムDNA、cDNA、DNA-RNAのハイブリッド、またはプリン塩基およびピリミジン塩基、または他の天然のヌクレオチド塩基、化学的もしくは生化学的に修飾された非天然の、もしくは誘導体化されたヌクレオチド塩基を含むポリマーを含むが、これらに限定されない。
【0018】
「ペプチド」、「ポリペプチド」、および「タンパク質」という用語は本明細書で互換的に使用され、ならびにコードアミノ酸および非コードアミノ酸、化学的もしくは生化学的に修飾もしくは誘導体化されたアミノ酸、ならびに修飾されたペプチド主鎖を有するポリペプチドを含む場合のある、任意の長さのポリマー状のアミノ酸を意味する。
【0019】
核酸、細胞、または生物体について本明細書で用いる「天然の」という用語は、天然の状態で存在する核酸、細胞、または生物体を意味する。例えば、天然の供給源から単離可能で、かつ実験室において人間の手によって意図的に改変されていない生物体(ウイルスを含む)に存在するポリペプチド配列またはポリヌクレオチド配列は天然の配列である。
【0020】
本明細書で用いる「単離された」という用語は、ポリヌクレオチド、ポリペプチド、または細胞が天然に存在する環境とは異なる環境中のポリヌクレオチド、ポリペプチド、または細胞を意味する。単離された遺伝的に改変された宿主細胞は、遺伝的に改変された宿主細胞の混合集団中に存在する場合がある。
【0021】
本明細書で用いる「外因性核酸」という用語は、天然の任意の細菌、生物体、もしくは細胞には通常もしくは天然の状態では見出されない核酸か、および/または天然の任意の細菌、生物体、もしくは細胞では作られない核酸を意味する。本明細書で用いる「内因性核酸」という用語は、天然の状態で、天然の任意の細菌、生物体、もしくは細胞に通常見出される核酸か、および/または天然の任意の細菌、生物体、もしくは細胞で作られる核酸を意味する。「内因性核酸」は、「天然の核酸」、すなわち任意の細菌、生物体、もしくは細胞に対して「天然」である核酸とも表現される。例えば、HMGS、メバロン酸キナーゼ、およびホスホメバロン酸キナーゼをコードする核酸は、大腸菌に対して外因性核酸である。これらのメバロン酸経路の核酸は、出芽酵母(Sacchromyces cerevisiae)からクローン化可能である。出芽酵母では、染色体上のHMGS、MK、およびPMKをコードする遺伝子配列は、「内因性」核酸である。
【0022】
本明細書で用いる「異種核酸」という用語は、以下の事項の少なくとも1つが真である核酸を意味する:(a)核酸が、所与の宿主微生物もしくは宿主細胞に対して異物(「外因性」)である(すなわち天然の状態で見出されない)こと;(b)内因性に見出されるものと同じコードタンパク質(同じか、もしくは実質的に同じアミノ酸配列を有する)が、細胞内に非天然の量(例えば推定量より多いか、もしくは天然の状態で見出される量より多い量)で産生されるように、核酸が、所与の宿主微生物もしくは宿主細胞中において天然の状態で見出される(例えば、「内因性である」)ヌクレオチド配列を含む(例えば核酸が、宿主微生物もしくは宿主細胞に内因性のヌクレオチド配列を含む)が、細胞内に非天然の量(例えば推定量より多いか、もしくは天然の状態で見出される量より多い量)で産生されるか、または内因性のヌクレオチド配列とは配列が異なること(c)核酸が、天然の状態における関係と相互に同じ関係では見出されない2つもしくはそれ以上のヌクレオチド配列、またはセグメントを含むこと、例えば核酸が組換え型であること。
【0023】
本明細書で用いる「組換え型」は、特定の核酸(DNAもしくはRNA)が、天然の系に見出される内因性の核酸とは区別される、構造的なコード配列もしくは非コード配列を有するコンストラクトを生じるクローニング段階、制限酵素による切断段階、および/または連結段階のさまざまな組み合わせの産物であることを意味する。一般に、構造的なコード配列をコードするDNA配列は、細胞に、または無細胞の転写系および翻訳系に含まれる組換え転写単位から発現され得る合成核酸を提供するように、cDNA断片および短いオリゴヌクレオチドリンカーから、または一連の合成オリゴヌクレオチドから組み立てることができる。このような配列は、典型的には真核生物の遺伝子中に存在する内部の非翻訳配列すなわちイントロンによって分断されていないオープンリーディングフレームの状態で提供され得る。重要な配列を含むゲノムDNAも、組換え遺伝子または転写単位の生成に使用することができる。翻訳されないDNAの配列は、オープンリーディングフレームの5'側または3'側に存在する場合があり、このような配列は、コード領域の操作または発現に干渉せず、および実際には、さまざまな機構で所望の産物の産生を調節するように作用する場合がある(以下の「DNA調節配列」を参照)。
【0024】
したがって例えば、「組換え型」のポリヌクレオチドまたは核酸という用語は、天然でないポリヌクレオチドまたは核酸、例えば2つの通常は別個の配列セグメントの、人間の介入による人工的な組み合わせによって作られるポリヌクレオチドまたは核酸を意味する。このような人工的な組み合わせはしばしば、化学的合成手段によって、または単離された核酸セグメントの人工的な操作によって、例えば遺伝子工学的手法のいずれかによって達成される。これは通常、コドンを同じアミノ酸か、または保存的なアミノ酸をコードする縮重コドンと、典型的には配列認識部位を導入もしくは除去しながら置換するように実施される。または、所望の機能を有する核酸セグメントをまとめて連結することで、機能の所望の組み合わせを生じさせることが行われる。このような人工的な組み合わせは、しばしば、化学的合成手段、または単離された核酸セグメントの人工的操作、例えば遺伝子工学的手法のいずれかによって達成される。
【0025】
「コンストラクト」は、特定のヌクレオチド配列(群)を発現させる目的で作製された組換え核酸、一般的には組換えDNAを意味するほか、他の組換えヌクレオチド配列の構築に使用される。
【0026】
本明細書で用いる「オペロン」および「1転写単位」という用語は、1つもしくは複数の制御エレメント(例えばプロモーター)によって協調的に調節される、2つまたはそれ以上の隣接コード領域(RNAもしくはタンパク質などの遺伝子産物をコードするヌクレオチド配列)を意味するように互換的に使用される。本明細書で用いる「遺伝子産物」という用語は、DNAにコードされるRNA(もしくはこの逆)、またはRNAもしくはDNAにコードされるタンパク質を意味し、遺伝子は典型的には、タンパク質をコードする1つもしくは複数のヌクレオチド配列を含み、ならびにイントロンおよび他の非コードヌクレオチド配列も含む場合もある。
【0027】
本明細書で互換的に使用される、「DNA調節配列」、「制御エレメント」、および「調節エレメント」という用語は、宿主細胞におけるコード配列の発現、および/またはコードされたポリペプチドの産生を提供するか、および/または調節するプロモーター、エンハンサー、ポリアデニル化シグナル、ターミネーター、タンパク質分解シグナルなどの、転写および翻訳の制御配列を意味する。
【0028】
「形質転換」という用語は、本明細書で「遺伝的改変」と互換的に使用され、および新しい核酸(すなわち細胞に対して外因性のDNA)の導入によって細胞内で誘導される恒久的または一過的な遺伝的変化を意味する。遺伝的変化(「改変」)は、新しいDNAの宿主細胞のゲノムへの組込み、またはエピソームエレメントとしての新しいDNAの一過的もしくは安定な維持のいずれかによって達成可能である。細胞が真核細胞の場合、恒久的な遺伝的変化は一般に、細胞のゲノムへのDNAの導入によって達成される。原核細胞の場合、恒久的な変化が染色体中に、または組換え宿主細胞内における維持を目的とする1つもしくは複数の選択マーカーを含み得るプラスミドおよび発現ベクターなどの染色体外エレメントを介して導入され得る。遺伝的改変の適切な方法は、ウイルス感染、トランスフェクション、コンジュゲーション、プロトプラスト融合、エレクトロポレーション、パーティクルガン法、リン酸カルシウム沈殿法、直接マイクロインジェクションなどの方法を含む。方法の選択は一般に、形質転換の対象となる細胞のタイプ、および形質転換が起こる環境(すなわちインビトロか、エクスビボか、またはインビボか)に依存する。これらの方法の全般的な議論は、Ausubel, et al, Short Protocols in Molecular Biology、第3版、Wiley & Sons, 1995に記載されている。
【0029】
「機能的に連結された」とは、記載された成分が、意図された様式における機能を可能とする関係性をもって並置されることを意味する。例えばプロモーターは、仮にプロモーターがコード配列の転写または発現に影響を及ぼす場合に、コード配列に機能的に連結されている。本明細書で用いる「異種プロモーター」および「異種制御領域」という用語は、天然の状態で特定の核酸とは通常は結合していないプロモーターおよび他の制御領域を意味する。例えば、「コード領域に対して異種である転写制御領域」は、天然の状態では通常、コード配列と結合していない転写制御領域である。
【0030】
本明細書で用いる「宿主細胞」は、インビボもしくはインビトロにおける真核細胞、原核細胞、または単細胞体として培養された多細胞生物に由来する細胞(例えば細胞系)を意味し、真核細胞もしくは原核細胞は、核酸(例えば、メバロン酸経路の遺伝子産物などの1つもしくは複数の生合成経路の遺伝子産物をコードするヌクレオチド配列を含む発現ベクター)のレシピエントとして使用可能であるか、または使用されたことがあり、および核酸によって遺伝的に改変された起源の細胞の子孫を含む。1つの細胞の子孫は、形態に関して、またはゲノムDNAすなわちDNA全体が、天然の変異、偶発的な変異、または意図的な変異のために、起源の親と必ずしも完全に同一であるとは限らないと理解される。「組換え宿主細胞」(「遺伝的に改変された宿主細胞」とも呼ばれる)は、異種核酸、例えば発現ベクターが導入された宿主細胞である。例えば本発明の原核宿主細胞は、異種核酸、例えば原核宿主細胞に対して異物である(通常は天然の状態で見出されない)外来性核酸、または原核宿主細胞には通常は見出されない組換え核酸の適切な原核宿主細胞への導入のために、遺伝的に改変された原核宿主細胞(例えば細菌)であり;ならびに本発明の真核宿主細胞は、異種核酸、例えば真核宿主細胞に対して異物である外来性核酸、または真核宿主細胞には通常は見出されない組換え核酸の適切な真核宿主細胞への導入のために、遺伝的に改変された真核宿主細胞である。
【0031】
核酸は、1本鎖型の核酸が、温度および溶液のイオン強度の適切な条件で他の核酸とアニーリング可能な場合に、cDNA、ゲノムDNA、またはRNAなどの別の核酸と「ハイブリダイズ可能である」。ハイブリダイゼーションおよび洗浄条件は周知であり、Sambrook, J., Fritsch, E. F. およびManiatis, T. Molecular Cloning: A Laboratory Manual、第2版、Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor (1989)、特に第11章および同章の表11.1;ならびにSambrook, J. and Russell, W., Molecular Cloning: A Laboratory Manual、第3版、Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor (2001)に例示されている。温度およびイオン強度の条件が、ハイブリダイゼーションの「ストリンジェンシー」を決定する。ストリンジェンシーの条件は、遠縁の生物に由来する相同配列などの類似性が中程度の断片から、近縁の生物に由来する機能性酵素を重複する遺伝子などの類似性の高い断片のスクリーニングを行うために調整することができる。ハイブリダイゼーションの条件、およびハイブリダイゼーション後の洗浄は、ハイブリダイゼーションについて望ましいと決定されたストリンジェンシー条件を得るために有用である。1組の説明目的のハイブリダイゼーション後の洗浄は、6×SSC(SSCは0.15 M NaClおよび15 mMクエン酸の緩衝液)、0.5% SDSによる室温で15分間の洗浄で開始され、これに続く2×SSC、0.5% SDSによる45℃で30分間の反復と、これに続く0.2×SSC、0.5% SDSによる50℃で30分間の2回の反復を行う一連の洗浄である。他のストリンジェントな条件は、洗浄が上記と、0.2×SSC、0.5% SDSで2回行う最後の30分間の洗浄温度を60℃に上げる以外は同一である。別の一連の、高度にストリンジェントな条件では、0.1×SSC、0.1% SDSによる65℃における2回の最終洗浄を行う。ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件の別の例は、50℃またはそれ以上における、0.1×SSC(15 mM塩化ナトリウム/1.5 mMクエン酸ナトリウム)によるハイブリダイゼーションである。ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件の別の例は、50%ホルムアミド、5×SSC(150 mM NaCl、15 mMクエン酸三ナトリウム)、50 mMリン酸ナトリウム(pH 7.6)、5×デンハート液、10%硫酸デキストラン、および20μg/mlの変性剪断サケ精子DNAの溶液中における42℃での一晩のインキュベーションと、これに続く0.1×SSCによる約65℃におけるフィルターの洗浄である。ストリンジェントなハイブリダイゼーションの条件、およびハイブリダイゼーション後の洗浄の条件とは、上記の代表的条件と少なくとも同等にストリンジェントなハイブリダイゼーション条件およびハイブリダイゼーション後の洗浄の条件である。
【0032】
ハイブリダイゼーションは、2つの核酸が相補的配列を含むことを必要とするが、ハイブリダイゼーションのストリンジェンシーに依存して、塩基間のミスマッチが生じ得る。核酸をハイブリダイズさせる際の適切なストリンジェンシーは、当技術分野で周知の変数である、核酸の長さ、および相補性の程度に依存する。2つのヌクレオチド配列間の類似性または相同性の程度が高くなるほど、このような配列を有する核酸のハイブリッドの溶解温度(Tm)の値は高くなる。核酸ハイブリダイゼーションの相対安定性(より高いTmに対応する)は、RNA:RNA、DNA:RNA、DNA:DNAの順に低下する。長さが100ヌクレオチドを上回るハイブリッドに関しては、Tmを計算する方程式が導かれている(前掲のSambrook et al.の9.50〜9.51参照)。より短い核酸、すなわちオリゴヌクレオチドとのハイブリダイゼーションに関しては、ミスマッチの位置が、より重要となり、およびオリゴヌクレオチドの長さが、その特異性を決定する(前掲のSambrook et al.の11.7〜11.8参照)。典型的には、ハイブリダイズ可能な核酸の長さは、少なくとも約10ヌクレオチドである。ハイブリダイズ可能な核酸の例示的な最小の長さは:少なくとも約15ヌクレオチド;少なくとも約20ヌクレオチド;および少なくとも約30ヌクレオチドである。さらに当業者であれば、温度および洗浄溶液の塩濃度が、必要に応じて、プローブ長などの因子に応じて調節可能なことを理解するであろう。
【0033】
「保存的アミノ酸置換」という用語は、類似の側鎖を有する、タンパク質のアミノ酸残基の可換性を意味する。例えば、脂肪族側鎖を有する一群のアミノ酸はグリシン、アラニン、バリン、ロイシン、およびイソロイシンからなり;脂肪族-ヒドロキシル側鎖を有する一群のアミノ酸はセリンおよびトレオニンからなり;アミド含有側鎖を有する一群のアミノ酸はアスパラギンおよびグルタミンからなり;芳香族側鎖を有する一群のアミノ酸はフェニルアラニン、チロシン、およびトリプトファンからなり;塩基性側鎖を有する一群のアミノ酸はリシン、アルギニン、およびヒスチジンからなり;ならびに硫黄含有側鎖を有する一群のアミノ酸はシステインおよびメチオニンからなる。例示的な保存的アミノ酸置換のグループは、バリン-ロイシン-イソロイシン、フェニルアラニン-チロシン、リシン-アルギニン、アラニン-バリン、およびアスパラギン-グルタミンである。
【0034】
「合成核酸」は、当業者に公知の手順で化学的に合成されるオリゴヌクレオチドの構成単位から組み立てることができる。このような構成単位は、連結され、およびアニーリングされて、遺伝子セグメントを形成し、これが後に、酵素的に組み立てられて遺伝子全体を構築する。DNAの配列に関して、「化学的に合成された」とは、成分ヌクレオチドがインビトロで組み立てられたことを意味する。手作業によるDNAの化学合成は、十分に確立された手順で達成可能であり、またはいくつかの市販の装置の1つを使用して自動化学合成を実施できる。核酸のヌクレオチド配列は、宿主細胞のコドンのバイアスを反映するように、ヌクレオチド配列を最適化することを元に最適に発現されるように改変され得る。当業者であれば、仮にコドン使用に、宿主が好むコドンへのバイアスがある場合に、良好な発現の可能性が高くなることを理解する。好ましいコドンの決定は、配列情報が利用可能な宿主細胞に由来する遺伝子の調査に基づく場合がある。
【0035】
ポリヌクレオチドまたはポリペプチドは、別のポリヌクレオチドまたはポリペプチドに対して、ある程度の割合(パーセント)の「配列同一性」を有する。つまり、アライメントさせたときに、2つの配列の比較時に塩基もしくはアミノ酸の比率が同じであり、および同じ相対的な位置であることを意味する。配列の類似性は多種多様な方法で決定できる。配列同一性を決定するためには、配列を、ワールドワイドウェブ(ncbi.nlm.nih.gov/BLAST)経由で入手可能な方法、およびBLASTを含むコンピュータプログラムでアライメントさせることができる。これについては例えば、Altschul et al. (1990), J. Mol. Biol. 215:403-10を参照されたい。別のアライメントアルゴリズムに、Oxford Molecular Group, Inc.の完全子会社であるGenetics Computing Group (GCG)(米国ウィスコンシン州マジソン)のパッケージとして入手可能なFASTAがある。アライメントの他の手法は、Methods in Enzymology, vol.266: Computer Methods for Macromolecular Sequence Analysis (1996)、Doolittle編、Academic Press, Inc., a division of Harcourt Brace & Co., San Diego, California, USAに記載されている。特に関心が寄せられるのは、配列中のギャップを許容するアライメントプログラムである。スミス-ウォーターマン(Smith-Waterman)の方法は、配列アライメント中のギャップを許容するアルゴリズムの1つである。これについては、Meth. Mol. Biol. 70: 173-187 (1997)を参照されたい。NeedlemanおよびWunschのアライメント法を使用するGAPプログラムも配列のアライメントに利用可能である。これについては、J. Mol. Biol. 48: 443-453 (1970)を参照されたい。
【0036】
本発明を詳述する前に、本発明が、記載された特定の態様に制限されることなく、当然変化することを理解されたい。本発明の範囲は添付の特許請求の範囲によってのみ制限されるため、本明細書で使用される術語が、特定の態様を説明することのみを目的としており、制限する意図はないことも理解されたい。
【0037】
数値の範囲が示される場合、文中で特に断らない限り、個々の介在する値は、下限の単位の10分の1まで、対象範囲の上限と下限の間、および任意の他の指定された値または指定された範囲の介在値が本発明に含まれることを理解されたい。このような、より小さな範囲の上限および下限は、より小さい方の範囲に独立に含まれる場合があり、かつ指定された範囲内の任意の特異的に除去される限界に従って本発明にも含まれる。指定された範囲が、限界の一方または両方を含む場合、このような含まれる限界の一方または両方を除外する範囲も本発明に含まれる。
【0038】
文中で特に限定しない限り、本明細書で使用される全ての技術用語および科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般に理解される用語と同じ意味を有する。本明細書に記載された方法および材料と同等または等価である任意の方法および材料を、本発明の実施または検討に使用することもできるが、好ましい方法および材料について以下に述べる。本明細書で言及された全ての出版物は、引用される出版物に関連する方法および/または材料を開示および説明するために、参照により本明細書に組み入れられる。
【0039】
本明細書で用いられるように、および添付の特許請求の範囲に使用されるように、単数形の「1つの(a)」、および「その(the)」は、文中で明記しない限り、複数の対象を含むことに注意しなければならない。したがって例えば、「1つのイソプレノイド修飾酵素」と記載する場合、複数のそのような酵素を含み、ならびに「そのシトクロムP450還元酵素」と表現する場合、1つもしくは複数のシトクロムP450還元酵素、および当業者に公知のその等価物などを含む。特許請求の範囲が任意の要素を除去するように起案される可能性があることにも注意されたい。したがって、この表現は、特許請求の範囲の要素の引用と関連して、「だけ(solely)」、「のみ(only)」などといった排他的な術語の使用、または「負の」制限の使用に関する先行的な基礎となることが意図される。
【0040】
本明細書に記載された出版物は、開示目的でのみ本出願の出願日に先立って提供される。本発明は、先行発明により、それらの開示を事前の日付にする権利を有することを了承したものとして制限されない。さらに、提供された公開日は、独立した確認の必要のある場合のある実際の公開日とは異なる場合がある。
【0041】
発明の詳細な説明
本発明は、イソプレノイド修飾酵素をコードするヌクレオチド配列を含む単離された核酸、ならびに該核酸を含む組換えベクターを提供する。本発明は、本発明の核酸または組換えベクターを含む遺伝的に改変された宿主細胞をさらに提供する。本発明は、本発明の核酸を含むトランスジェニック植物をさらに提供する。本発明は、本発明の遺伝的に改変された宿主細胞を、本発明の核酸にコードされたイソプレノイド化合物修飾酵素の合成を可能とする条件で培養する段階を一般に含む、イソプレノイド化合物を産生させる方法をさらに提供する。
【0042】
核酸、ベクター、および宿主細胞
本発明は、本明細書で「イソプレノイド修飾酵素」と呼ばれる、イソプレノイド化合物を修飾する酵素をコードするヌクレオチド配列を含む単離された核酸を提供する。イソプレノイド修飾酵素をコードするヌクレオチド配列を含む本発明の核酸は、「イソプレノイド修飾酵素の核酸」と記載される。特定の態様では、本発明の単離されたイソプレノイド修飾酵素の核酸は、シトクロムP450モノオキシゲナーゼをコードするヌクレオチド配列を含む。特定の態様では、本発明の単離されたイソプレノイド修飾酵素の核酸は、イソプレノイド酸化酵素をコードするヌクレオチド配列を含む。いくつかの態様では、本発明の単離されたイソプレノイド修飾酵素の核酸は、テルペン水酸化酵素をコードするヌクレオチド配列を含む。いくつかの態様では、本発明の単離されたイソプレノイド修飾酵素の核酸は、テルペン酸化酵素をコードするヌクレオチド配列を含む。いくつかの態様では、本発明の単離されたイソプレノイド修飾酵素の核酸は、セスキテルペン酸化酵素をコードするヌクレオチド配列を含む。いくつかの態様では、本発明の単離されたイソプレノイド修飾酵素の核酸は、セスキテルペン水酸化酵素をコードするヌクレオチド配列を含む。
【0043】
NADPH-シトクロムP450酸化還元酵素(CPR, EC 1.6.2.4)は、多くのP450-モノオキシゲナーゼの還元パートナー(redox partner)である。本発明はさらに、シトクロムP450還元酵素(CPR)をコードするヌクレオチド配列を含む単離された核酸を提供する。CPRをコードするヌクレオチド配列を含む本発明の核酸は、「CPRの核酸」と記載される。本発明のCPRの核酸にコードされたCPRは、電子をNADPHからシトクロムP450へ伝達する。一般に、本発明のCPRの核酸にコードされたCPRは、電子をNADPHからイソプレノイド修飾酵素へ、例えば本発明のイソプレノイド修飾酵素をコードする核酸にコードされたセスキテルペン酸化酵素へ伝達する。
【0044】
イソプレノイド修飾酵素をコードする核酸
いくつかの態様では、本発明の単離された核酸は、イソプレノイド水酸化酵素および/またはイソプレノイド酸化酵素の活性を示すポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む。いくつかの態様では、本発明の単離された核酸は、シトクロムP450モノオキシゲナーゼをコードするヌクレオチド配列を含む。いくつかの態様では、本発明の単離された核酸は、イソプレノイド水酸化酵素をコードするヌクレオチド配列を含む。いくつかの態様では、本発明の単離された核酸は、イソプレノイド酸化酵素をコードするヌクレオチド配列を含む。いくつかの態様では、本発明の単離された核酸は、連続的な水酸化化反応および酸化反応を実行するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む。例えば、このようなポリペプチドはテルペン化合物を水酸化してテルペンアルコールを生じ、テルペンアルコールを酸化してテルペンアルデヒドを生じ、およびテルペンアルデヒドを酸化してテルペンカルボン酸を生じる。いくつかの態様では、本発明の単離された核酸は、テルペンのイソプロペニル基の水酸化および/または酸化を触媒する、例えばモノテルペン、ジテルペン、トリテルペン、セスキテルペン、またはポリテルペンのイソプロペニル基の水酸化を触媒するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む。いくつかの態様では、本発明の単離された核酸は、モノテルペン酸化酵素をコードするヌクレオチド配列を含む。いくつかの態様では、本発明の単離された核酸は、モノテルペン水酸化酵素をコードするヌクレオチド配列を含む。いくつかの態様では、本発明の単離された核酸は、ポリテルペン水酸化酵素をコードするヌクレオチド配列を含む。いくつかの態様では、本発明の単離された核酸は、ポリテルペン酸化酵素をコードするヌクレオチド配列を含む。いくつかの態様では、本発明の単離された核酸は、ジテルペン水酸化酵素をコードするヌクレオチド配列を含む。いくつかの態様では、本発明の単離された核酸は、ジテルペン酸化酵素をコードするヌクレオチド配列を含む。いくつかの態様では、本発明の単離された核酸は、トリテルペン水酸化酵素をコードするヌクレオチド配列を含む。いくつかの態様では、本発明の単離された核酸は、トリテルペン酸化酵素をコードするヌクレオチド配列を含む。いくつかの態様では、本発明の単離された核酸は、セスキテルペン水酸化酵素をコードするヌクレオチド配列を含む。いくつかの態様では、本発明の単離された核酸は、セスキテルペン酸化酵素をコードするヌクレオチド配列を含む。いくつかの態様では、本発明の単離された核酸は、セスキテルペンC12水酸化酵素をコードするヌクレオチド配列を含む。いくつかの態様では、本発明の単離された核酸は、セスキテルペンのC12酸化を実行するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む。いくつかの態様では、本発明の単離された核酸は、アモルファジエン12酸化酵素をコードするヌクレオチド配列を含む。
【0045】
テルペンシクラーゼ(「テルペンシンターゼ」とも呼ばれる)による反応の作用の生成物が、いわゆる「テルペン骨格」である。いくつかの態様では、本発明の単離された核酸は、テルペン骨格、またはこの下流生成物の水酸化および/または酸化を触媒するイソプレノイド修飾酵素をコードするヌクレオチド配列を含む。本発明の核酸にコードされたイソプレノイド修飾酵素の基質は一般に、テルペン骨格または修飾テルペン骨格を含む。多くの態様では、本発明の核酸にコードされたイソプレノイド修飾酵素の基質はイソプロペニル基を含む。
【0046】
本発明の核酸にコードされたイソプレノイド修飾酵素のモノテルペン基質は、モノテルペン化合物であるか、またはモノテルペン化合物を生じる生合成経路の中間体である酸化生成物を生じる任意のモノテルペン基質を含むが、これらに限定されない。例示的なモノテルペン基質は、以下の任意のファミリーに属すモノテルペン基質を含むが、これらに限定されない:非環式モノテルペン、ジメチルオクタン、メンテン、不規則なモノテルペノイド、シネオール、カンファン、イソカンファン、単環式モノテルペン、ピナン、フェンチャン(Fenchane)、ツジャン、カラン、イオノン、イリダン(Iridane)、およびカンナビノイド。例示的なモノテルペン基質、中間体、および生成物は、リモネン、シトラネロール、ゲラニオール、メントール、ペリリルアルコール、リナロール、およびツジョンを含むが、これらに限定されない。
【0047】
本発明の核酸にコードされたイソプレノイド修飾酵素のジテルペン基質は、ジテルペン化合物か、またはジテルペン化合物を生じる生合成経路の中間体である酸化生成物を生じる任意のジテルペン基質を含むが、これらに限定されない。例示的なジテルペン基質は、以下の任意のファミリーに属すジテルペン基質を含むが、これらに限定されない:非環式ジテルペノイド、二環式ジテルペノイド、単環式ジテルペノイド、ラブダン(Labdane)、クレロダン、タキサン、三環式ジテルペノイド、四環式ジテルペノイド、カウレン、ベイエレン(Beyerene)、アティセレン(Atiserene)、アフィディコリン、グラヤノトキシン、ジベレリン、大環状ジテルペン、およびエリザベスアトリエン(Elizabethatriene)。例示的なジテルペン基質、中間体、および生成物は、カスベン、エレウセルビン(eleutherobin)、パクリタキセル、プロストラチン、およびシュードプテロシン(pseudopterosin)を含むが、これらに限定されない。
【0048】
本発明の核酸にコードされたイソプレノイド修飾酵素のトリテルペン基質は、トリテルペン化合物か、またはトリテルペン化合物を生じる生合成経路の中間体である酸化生成物を生じる任意のトリテルペン基質を含むが、これらに限定されない。例示的なトリテルペン基質、中間体、および生成物は、アルブシド(arbruside)E、ブルセアンチン(bruceantin)、テストステロン、プロゲステロン、コルチゾン、およびジギトキシンを含むが、これらに限定されない。
【0049】
本発明の核酸にコードされたイソプレノイド修飾酵素のセスキテルペン基質は、セスキテルペン化合物か、またはセスキテルペン化合物を生じる生合成経路の中間体である酸化生成物を生じる任意のセスキテルペン基質を含むが、これらに限定されない。例示的なセスキテルペン基質は、以下の任意のファミリーに属すセスキテルペン基質を含むが、これらに限定されない:ファルネサン(Farnesane)、モノシクロファルネサン(Monocyclofarnesane)、単環式セスキテルペン、二環式セスキテルペン、二環式ファルネサン(Bicyclofarnesane)、ビスボラン(Bisbolane)、サンタラン(Santalane)、クプラン(Cuprane)、ヘルベルタン(Herbertane)、ジムノミトラン(Gymnomitrane)、トリコテカン(Trichothecane)、チャミグラン(Chamigrane)、カロタン(Carotane)、アコラン(Acorane)、アンチサチン(Antisatin)、カジナン(Cadinane)、オプロパナン(Oplopanane)、コパーン(Copaane)、ピクロトキサン(Picrotoxane)、ヒマカラン(Himachalane)、ロンジピナン(Longipinane)、ロンジシクラン(Longicyclane)、カリオフィラン(Caryophyllane)、モドヘファン(Modhephane)、シフィパーフォラン(Siphiperfolane)、フムラン(Humulane)、インターグリフォリラン(Intergrifoliane)、リッピフォリアン(Lippifoliane)、プロトイルダン(Protoilludane)、イルダン(Illudane)、ヒルスタン(Hirsutane)、ラクタラン(Lactarane)、ステルプラン(Sterpurane)、フォマンノサン(Fomannosane)、マラスマン(Marasmane)、ゲルマクラン(Germacrane)、エレマン(Elemane)、オイデスマン(Eudesmane)、バッカン(Bakkane)、チロシファン(Chilosyphane)、グアイアン(Guaiane)、シュードグアイアン(Pseudoguaiane)、三環式セスキテルペン、パッチョウラン(Patchoulane)、トリキサン(Trixane)、アロマデンドラン(Aromadendrane)、ゴルゴナン(Gorgonane)、ナルドシナン(Nardosinane)、ブラシラン(Brasilane)、ピングイサン(Pinguisane)、セスキピナン(Sesquipinane)、セスキカンファン(Sesquicamphane)、ツジョプサン(Thujopsane)、ビシクロフムラン(Bicylcohumulane)、アリアカン(Alliacane)、ステルプラン(Sterpurane)、ラクタラン(Lactarane)、アフリカン(Africane)、インテグリフォリラン(Integrifoliane)、プロトイルダン(Protoilludane)、アリストラン(Aristolane)、およびネオレムナン(Neolemnane)。例示的なセスキテルペン基質は、アモルファジエン、アロイソロンギフォレン、(-)-α-トランス-ベルガモテン、(-)-β-エレメン、(+)-ゲルマクレンA、ゲルマクレンB、(+)-γ-グルジュネン(gurjunene)、(+)-レデン(ledene)、ネオインテルメデオール(neointermedeol)、(+)-β-セリネン、および(+)-バレンセン(valencene)。
【0050】
本発明の核酸が、テルペン酸化酵素またはテルペン水酸化酵素のどちらをコードするかは、適切な基質を使用する、これらの酵素活性を対象とする標準的なアッセイ法で容易に確認可能である。酵素修飾の生成物は一般に、ガスクロマトグラフィー-質量分析によって解析される。本発明の核酸がセスキテルペン酸化酵素またはセスキテルペン水酸化酵素のどちらをコードするかは、これらの酵素活性を対象とする標準的なアッセイ法で容易に確認可能である。これについては例えば、その開示が参照により本明細書に組み入れられる、米国特許公報第20050019882号を参照されたい。
【0051】
いくつかの態様では、本発明の核酸は、図1に示された、およびSEQ ID NO:1に記載されたヌクレオチド配列を含む。いくつかの態様では、本発明の核酸は、SEQ ID NO:1に記載されたヌクレオチド配列に対して少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約57%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%のヌクレオチド配列同一性を有するヌクレオチド配列を含む。いくつかの態様では、本発明の核酸は、SEQ ID NO:1に記載されたヌクレオチド配列と比較して1残基、2残基、3残基、4残基、5残基、6残基、7残基、8残基、9残基、10残基、約10〜約15残基、約15〜約20残基、約20〜約25残基、または約25〜約50残基のヌクレオチド置換を有するヌクレオチド配列を含む。
【0052】
いくつかの態様では、本発明の核酸は、核酸が、テルペン水酸化酵素および/またはテルペン酸化酵素の活性(例えばセスキテルペン酸化酵素活性、セスキテルペン水酸化酵素活性など)を示すポリペプチドをコードする、SEQ ID NO:1に記載されたヌクレオチド配列に対して少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約57%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%のヌクレオチド配列同一性を有するヌクレオチド配列を含む。
【0053】
いくつかの態様では、本発明の核酸は、SEQ ID NO.1に記載されたヌクレオチド配列の少なくとも約500残基、少なくとも約600残基、少なくとも約700残基、少なくとも約800残基、少なくとも約900残基、少なくとも約1000残基、少なくとも約1100残基、少なくとも約1200残基、少なくとも約1300残基、少なくとも約1400残基、または少なくとも約1450残基の一続きの連続ヌクレオチドに対して少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約57%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%のヌクレオチド配列同一性を有するヌクレオチド配列を含む。
【0054】
いくつかの態様では、本発明の核酸は、SEQ ID NO:1に記載されたヌクレオチド配列の少なくとも約500残基、少なくとも約600残基、少なくとも約700残基、少なくとも約800残基、少なくとも約900残基、少なくとも約1000残基、少なくとも約1100残基、少なくとも約1200残基、少なくとも約1300残基、少なくとも約1400残基、または少なくとも約1450残基の連続ヌクレオチドを含む。いくつかの態様では、本発明の核酸は、SEQ ID NO:1に記載されたヌクレオチド配列の少なくとも約500残基、少なくとも約600残基、少なくとも約700残基、少なくとも約800残基、少なくとも約900残基、少なくとも約1000残基、少なくとも約1100残基、少なくとも約1200残基、少なくとも約1300残基、少なくとも約1400残基、または少なくとも約1450残基の連続ヌクレオチドを含み、ならびにテルペン水酸化酵素および/またはテルペン酸化酵素の活性、例えばセスキテルペンの水酸化酵素および/または酸化酵素の活性を示すポリペプチドをコードする。
【0055】
いくつかの態様では、本発明の核酸は、SEQ ID NO:1に記載されたヌクレオチド配列を含む核酸、またはその相補物と、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件でハイブリダイズするヌクレオチド配列を含む。
【0056】
いくつかの態様では、本発明の核酸は、図2に示された、およびSEQ ID NO:2に記載されたアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む。いくつかの態様では、本発明の核酸は、SEQ ID NO:2に記載されたアミノ酸配列に対して少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む。いくつかの態様では、本発明の核酸は、SEQ ID NO:2に記載されたアミノ酸配列の少なくとも約50残基、少なくとも約75残基、少なくとも約100残基、少なくとも約150残基、少なくとも約200残基、少なくとも約250残基、少なくとも約300残基、少なくとも約350残基、少なくとも約400残基、少なくとも約450残基、または少なくとも約490残基の一続きの連続アミノ酸に対して少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む。いくつかの態様では、本発明の核酸は、SEQ ID NO:2に記載されたアミノ酸配列と比較して1残基、2残基、3残基、4残基、5残基、6残基、7残基、8残基、9残基、10残基、約10〜約15残基、約15〜約20残基、または約20〜約25残基の保存的アミノ酸置換を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む。いくつかの態様では、コードされるポリペプチドは、テルペン水酸化酵素および/またはテルペン酸化酵素の活性を示す。いくつかの態様では、コードされるポリペプチドは、セスキテルペン酸化酵素活性を示す。いくつかの態様では、コードされるポリペプチドは、セスキテルペン基質のC12酸化を触媒する。他の態様では、コードされるポリペプチドは、セスキテルペン水酸化酵素活性を示す。
【0057】
いくつかの態様では、本発明の核酸は、SEQ ID NO:2に記載されたアミノ酸配列に対して少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列の、少なくとも約50残基、少なくとも約75残基、少なくとも約100残基、少なくとも約150残基、少なくとも約200残基、少なくとも約250残基、少なくとも約300残基、少なくとも約350残基、少なくとも約400残基、少なくとも約450残基、または少なくとも約490残基の連続アミノ酸を含むポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む。いくつかの態様では、コードされるポリペプチドは、テルペン水酸化酵素および/またはテルペン酸化酵素の活性を示す。いくつかの態様では、コードされるポリペプチドは、セスキテルペン酸化酵素活性を示す。いくつかの態様では、コードされるポリペプチドは、セスキテルペン基質のC12酸化を触媒する。他の態様では、コードされるポリペプチドは、セスキテルペン水酸化酵素活性を示す。
【0058】
いくつかの態様では、本発明の核酸は、図9に示された、およびSEQ ID NO:5に記載されたヌクレオチド配列を含む。いくつかの態様では、本発明の核酸は、SEQ ID NO:5に記載されたヌクレオチド配列に対して少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約57%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%のヌクレオチド配列同一性を有するヌクレオチド配列を含む。いくつかの態様では、本発明の核酸は、SEQ ID NO:5に記載されたヌクレオチド配列と比較して1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、約10〜約15個、約15〜約20個、約20〜約25個、または約25〜約50個のヌクレオチド置換を有するヌクレオチド配列を含む。
【0059】
いくつかの態様では、本発明の核酸は、核酸が、テルペン水酸化酵素および/またはテルペン酸化酵素の活性(例えばセスキテルペン酸化酵素活性、セスキテルペン水酸化酵素活性など)を示すポリペプチドをコードする、SEQ ID NO:5に記載されたヌクレオチド配列に対して少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約57%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%のヌクレオチド配列同一性を有するヌクレオチド配列を含む。
【0060】
いくつかの態様では、本発明の核酸は、SEQ ID NO:5に記載されたヌクレオチド配列の少なくとも約500残基、少なくとも約600残基、少なくとも約700残基、少なくとも約800残基、少なくとも約900残基、少なくとも約1000残基、少なくとも約1100残基、少なくとも約1200残基、少なくとも約1300残基、少なくとも約1400残基、または少なくとも約1450残基の一続きの連続ヌクレオチドに対して少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約57%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%のヌクレオチド配列同一性を有するヌクレオチド配列を含む。
【0061】
いくつかの態様では、本発明の核酸は、SEQ ID NO:6に記載されたアミノ酸配列に対して少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列の少なくとも約50残基、少なくとも約75残基、少なくとも約100残基、少なくとも約150残基、少なくとも約200残基、少なくとも約250残基、少なくとも約300残基、少なくとも約350残基、少なくとも約400残基、少なくとも約450残基、または少なくとも約480残基の連続アミノ酸を含むポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む。多くの態様では、コードされるポリペプチドは、テルペン水酸化酵素および/またはテルペン酸化酵素の活性を示す。多くの態様では、コードされるポリペプチドは、セスキテルペン酸化酵素またはセスキテルペン水酸化酵素の活性を示す。多くの態様では、コードされるポリペプチドは、セスキテルペン基質の水酸化を触媒する。
【0062】
いくつかの態様では、本発明の核酸は、SEQ ID NO:5に記載されたヌクレオチド配列の少なくとも約500残基、少なくとも約600残基、少なくとも約700残基、少なくとも約800残基、少なくとも約900残基、少なくとも約1000残基、少なくとも約1100残基、少なくとも約1200残基、少なくとも約1300残基、少なくとも約1400残基、または少なくとも約1450残基の連続ヌクレオチドを含む。いくつかの態様では、本発明の核酸は、SEQ ID NO:5に記載されたヌクレオチド配列の少なくとも約500残基、少なくとも約600残基、少なくとも約700残基、少なくとも約800残基、少なくとも約900残基、少なくとも約1000残基、少なくとも約1100残基、少なくとも約1200残基、少なくとも約1300残基、少なくとも約1400残基、または少なくとも約1450残基の連続ヌクレオチドを含み、ならびにテルペン水酸化酵素および/または酸化酵素の活性、例えばセスキテルペン酸化酵素活性、セスキテルペン水酸化酵素活性などを示すポリペプチドをコードする。
【0063】
いくつかの態様では、本発明の核酸は、SEQ ID NO:5に記載されたヌクレオチド配列を含む核酸、またはこの相補物と、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件でハイブリダイズするヌクレオチド配列を含む。
【0064】
いくつかの態様では、本発明の核酸は、図9に示された、およびSEQ ID NO:6に記載されたアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む。いくつかの態様では、本発明の核酸は、SEQ ID NO:6に記載されたアミノ酸配列に対して少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む。いくつかの態様では、本発明の核酸は、SEQ ID NO:6に記載されたアミノ酸配列の少なくとも約50残基、少なくとも約75残基、少なくとも約100残基、少なくとも約150残基、少なくとも約200残基、少なくとも約250残基、少なくとも約300残基、少なくとも約350残基、少なくとも約400残基、少なくとも約450残基、または少なくとも約480残基の一続きの連続アミノ酸に対して少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む。いくつかの態様では、本発明の核酸は、SEQ ID NO:6に記載されたアミノ酸配列と比較して1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、約10〜約15個、約15〜約20個、または約20〜約25個の保存的アミノ酸置換を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む。いくつかの態様では、コードされたポリペプチドは、テルペン水酸化酵素および/またはテルペン酸化酵素の活性を示す。いくつかの態様では、コードされるポリペプチドは、セスキテルペン酸化酵素活性を示す。いくつかの態様では、コードされるポリペプチドは、セスキテルペン基質の水酸化を触媒する。他の態様では、コードされるポリペプチドは、セスキテルペン水酸化酵素活性を示す。
【0065】
いくつかの態様では、本発明の核酸は、SEQ ID NO:6に記載されたアミノ酸配列に対して少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列の少なくとも約50残基、少なくとも約75残基、少なくとも約100残基、少なくとも約150残基、少なくとも約200残基、少なくとも約250残基、少なくとも約300残基、少なくとも約350残基、少なくとも約400残基、少なくとも約450残基、または少なくとも約480残基の連続アミノ酸を含むポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む。いくつかの態様では、コードされるポリペプチドは、テルペン水酸化酵素および/またはテルペン酸化酵素の活性を示す。いくつかの態様では、コードされるポリペプチドは、セスキテルペン酸化酵素活性を示す。いくつかの態様では、コードされるポリペプチドは、セスキテルペン基質の水酸化を触媒する。他の態様では、コードされたポリペプチドは、セスキテルペン水酸化酵素活性を示す。
【0066】
いくつかの態様では、本発明の核酸は、SEQ ID NO:2またはSEQ ID NO:6に記載されたアミノ酸配列を含むポリペプチドのバリアントをコードするヌクレオチド配列を含む。例えば、いくつかの態様では、本発明の核酸は、SEQ ID NO:2またはSEQ ID NO:6に記載されたアミノ酸配列を含む酵素と比較して、以下の1つもしくは複数の特性を示す酵素をコードするヌクレオチド配列を含む:1)高い酵素活性;2)インビトロおよび/またはインビボにおける高い安定性;3)生成物の高い収率;4)変化した、タンパク質のターンオーバー速度;5)変化した基質特異性(例えばバリアント酵素が、選択された基質を修飾するように);6)高い酵素効率(例えば、生成物を生じる基質変換の高い効率);ならびに7)高い溶解性(例えば細胞基質質もしくは細胞質内における溶解性)。
【0067】
シトクロムP450還元酵素をコードする核酸
本発明は、シトクロムP450還元酵素(CPR)をコードするヌクレオチド配列を含む単離された核酸を提供する。いくつかの態様では、本発明のCPRの核酸は、電子をNADPHから、本発明のイソプレノイド修飾酵素の核酸にコードされたシトクロムP450酸化酵素へ伝達するCPRをコードするヌクレオチド配列を含む。
【0068】
いくつかの態様では、本発明の核酸は、図3に示された、およびSEQ ID NO:3に記載されたヌクレオチド配列を含む。いくつかの態様では、本発明の核酸は、SEQ ID NO:3に記載されたヌクレオチド配列に対して少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%のヌクレオチド配列同一性を有するヌクレオチド配列を含む。
【0069】
いくつかの態様では、本発明の核酸は、SEQ ID NO:3に記載されたヌクレオチド配列を含む核酸、またはこの相補物と、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件でハイブリダイズするヌクレオチド配列を含む。
【0070】
いくつかの態様では、本発明の核酸は、図4に示された、およびSEQ ID NO:4に記載されたアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む。いくつかの態様では、本発明の核酸は、SEQ ID NO:4に記載されたアミノ酸配列に対して少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む。いくつかの態様では、本発明の核酸は、SEQ ID NO:4に記載されたアミノ酸配列と比較して1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、約10〜約15個、約15〜約20個、または約20〜約25個の保存的アミノ酸置換を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む。
【0071】
いくつかの態様では、本発明の核酸は、SEQ ID NO:4に記載されたアミノ酸配列に対して少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列の少なくとも約50残基、少なくとも約75残基、少なくとも約100残基、少なくとも約150残基、少なくとも約200残基、少なくとも約250残基、少なくとも約300残基、少なくとも約350残基、少なくとも約400残基、少なくとも約450残基、少なくとも約500残基、少なくとも約550残基、少なくとも約600残基、少なくとも約650残基、または少なくとも約700残基の連続アミノ酸を含むポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む。いくつかの態様では、コードされるポリペプチドは、電子をNADPHから、本発明のイソプレノイド修飾酵素の核酸にコードされたポリペプチド(例えばイソプレノイド修飾酵素)へ伝達する。
【0072】
いくつかの態様では、本発明の核酸は、SEQ ID NO:3に記載されたヌクレオチド配列の少なくとも約500残基、少なくとも約600残基、少なくとも約700残基、少なくとも約800残基、少なくとも約900残基、少なくとも約1000残基、少なくとも約1100残基、少なくとも約1200残基、少なくとも約1300残基、少なくとも約1400残基、少なくとも約1500残基、少なくとも約1600残基、少なくとも約1700残基、少なくとも約1800残基、少なくとも約1900残基、少なくとも約2000残基、または少なくとも約2100残基の連続ヌクレオチドを含む。いくつかの態様では、本発明の核酸は、SEQ ID NO:3に記載されたヌクレオチド配列の少なくとも約500残基、少なくとも約600残基、少なくとも約700残基、少なくとも約800残基、少なくとも約900残基、少なくとも約1000残基、少なくとも約1100残基、少なくとも約1200残基、少なくとも約1300残基、少なくとも約1400残基、少なくとも約1500残基、少なくとも約1600残基、少なくとも約1700残基、少なくとも約1800残基、少なくとも約1900残基、少なくとも約2000残基、または少なくとも約2100残基の連続ヌクレオチドを含み、および電子をNADPHから、本発明のイソプレノイド修飾酵素の核酸にコードされたシトクロムP450酸化酵素へ伝達するポリペプチドをコードする(例えば、コードされたポリペプチドは、電子をNADPHから、本発明のイソプレノイド修飾酵素の核酸にコードされたポリペプチド(例えばイソプレノイド修飾酵素)へ伝達する)。
【0073】
いくつかの態様では、本発明の核酸は、SEQ ID NO:4に記載されたアミノ酸配列を含むポリペプチドのバリアントをコードするヌクレオチド配列を含む。例えば、いくつかの態様では、本発明の核酸は、SEQ ID NO:4に記載されたアミノ酸配列を含む酵素と比較して、以下の1つもしくは複数の特性を示す酵素をコードするヌクレオチド配列を含む:1)高い酵素活性;2)インビトロおよび/またはインビボにおける高い安定性;3)生成物の高い収率;4)変化した、タンパク質のターンオーバー速度;5)変化した基質特異性(例えばバリアント酵素が、選択された基質を修飾するように);6)高い酵素効率(例えば、生成物を生じる基質変換の高い効率);ならびに7)高い溶解性(例えば細胞基質もしくは細胞質内における溶解性)。
【0074】
いくつかの態様では、本発明の核酸は、異種ポリペプチド(「融合パートナー」)、例えば、上記のイソプレノイド修飾酵素以外のポリペプチドと融合した、上記のテルペン水酸化酵素および/またはテルペン酸化酵素活性を示すイソプレノイド修飾酵素のアミノ酸配列を含む融合タンパク質をコードするヌクレオチド配列を含む。いくつかの態様では、本発明の核酸は、上記のCPRのアミノ酸配列を含む融合タンパク質、および異種ポリペプチド、例えばCPR以外のポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む。適切な融合パートナーは、イソプレノイド修飾酵素またはCPRの溶解性を高めるポリペプチド;検出可能なシグナルを提供するポリペプチド(例えば蛍光タンパク質;検出可能な産物を生じる酵素、例えばβ-ガラクトシダーゼ、ルシフェラーゼ、西洋ワサビペルオキシダーゼなど);イソプレノイド修飾酵素またはCPRの、特定の細胞区画(例えば細胞基質、細胞質など)における封入体を提供するポリペプチドなどを含むが、これらに限定されない。
【0075】
いくつかの態様では、本発明の核酸は、イソプレノイド修飾酵素(例えば、テルペン水酸化酵素および/またはテルペン酸化酵素の活性を示すポリペプチド)とCPRの両方をコードするヌクレオチド配列を含む。いくつかの態様では、本発明の核酸は、CPRポリペプチドと融合した、上記のテルペン水酸化酵素および/またはテルペン酸化酵素の活性を示すイソプレノイド修飾酵素のアミノ酸配列を含む融合タンパク質をコードするヌクレオチド配列を含む。いくつかの態様では、コードされる融合タンパク質は、式NH2-A-X-B-COOHである。同式でAはテルペン水酸化酵素および/またはテルペン酸化酵素の活性を示すイソプレノイド修飾酵素であり、Xは任意のリンカーであり、ならびにBはCPRポリペプチドである。いくつかの態様では、コードされる融合タンパク質は、式NH2-A-X-B-COOHである。同式でAはCPRポリペプチドであり、Xは任意のリンカーであり、およびBは、テルペン水酸化酵素および/またはテルペン酸化酵素の活性を示すイソプレノイド修飾ポリペプチドである。
【0076】
リンカーペプチドは、任意のさまざまなアミノ酸配列を有する場合がある。タンパク質は、一般に柔軟な性質のスペーサーペプチドによって連結可能であるが、他の化学的連結は除外されない。リンカーは、切断され得るリンカーでもよい。適切なリンカーの配列は一般に、約5〜約50アミノ酸の長さ、または約6〜約25アミノ酸の長さのペプチドである。ある程度の柔軟性を有するペプチドリンカーが一般に使用される。連結用ペプチドは、好ましいリンカーが、一般に柔軟なペプチドを生じる配列を有することを念頭において、実質的に任意のアミノ酸配列を有する場合がある。グリシンやアラニンなどの小型のアミノ酸は、柔軟なペプチドの作製に使用される。このような配列の作製は、当業者にとってルーチンである。多種多様なリンカーが市販されており、および本発明による使用に適切であるとみなされている。
【0077】
適切なリンカーペプチドは、タンパク質構造に柔軟性を賦与することが知られている、アラニン残基およびプロリン残基に富むアミノ酸配列を高頻度で含む。例示的なリンカーは、AAAGGM(SEQ ID NO:8);AAAGGMPPAAAGGM(SEQ ID NO:9);AAAGGM(SEQ ID NO:10);およびPPAAAGGM(SEQ ID NO:11)などの、グリシン残基、アラニン残基、プロリン残基、およびメチオニン残基の組み合わせを有する。他の例示的なリンカーペプチドは、IEGR(SEQ ID NO:12);およびGGKGGK(SEQ ID NO:13)を含む。しかしながら、一般に約5〜約50アミノ酸の長さの任意の柔軟なリンカーを使用することができる。リンカーは、上記に例示されたタイプのアラニン-プロリンに富む配列を含む一般に柔軟なペプチドを生じる、実質的に任意の配列を有する場合がある。
【0078】
コンストラクト
本発明はさらに、本発明の核酸を含む組換えベクター(「コンストラクト」)を提供する。いくつかの態様では、本発明の組換えベクターは、本発明の核酸の増幅を提供する。いくつかの態様では、本発明の組換えベクターは、真核細胞における、原核細胞における、または無細胞転写/翻訳系における、コードされたイソプレノイド修飾酵素、またはコードされたCPRの産生を提供する。適切な発現ベクターは、バキュロウイルスベクター、バクテリオファージベクター、プラスミド、ファジミド、コスミド、フォスミド、細菌人工染色体、ウイルスベクター(例えばワクシニアウイルス、ポリオウイルス、アデノウイルス、アデノ関連ウイルス、SV40、単純ヘルペスウイルスなどをベースとするウイルスベクター)、P1ベースの人工染色体、酵母プラスミド、酵母人工染色体、ならびに特定の対象宿主(大腸菌、酵母、および植物の細胞など)に特異的な他の任意のベクターを含むが、これらに限定されない。
【0079】
いくつかの態様では、本発明の組換えベクターは、本発明のイソプレノイド修飾酵素をコードする核酸、および本発明のCPRをコードする核酸を含む。これらの態様のいくつかでは、本発明の組換えベクターは、真核細胞内において、原核細胞内において、または無細胞転写/翻訳系において、コードされたイソプレノイド修飾酵素と、コードされたCPRの両方の産生を提供する発現ベクターである。
【0080】
ある特定のタイプのベクターでは、本発明の発現カセットの増幅が可能である。他のタイプのベクターは、本発明の核酸の細胞内への効率的な導入に、および導入後は、それらの安定な発現に必要である。本発明の核酸を受入れ可能な任意のベクターは、本発明の目的に適切な組換えベクターであると想定される。ベクターは、宿主ゲノムに組み込まれるか、またはエピソーム状態で維持される、任意の環状または直線状のDNAの場合がある。ベクターは、宿主細胞に効率的に組込まれるために(例えば多くの発現プラスミド)、または自己組込み型の細胞特異的な系の一部となるために(例えば組換えウイルス)、追加的な操作もしくは特定の条件を必要とする場合がある。ベクターは、いくつかの態様では、組換えベクターを増殖させるように、および/または本発明の核酸の発現を提供するように機能するように原核細胞内で機能する。いくつかの態様では、ベクターは、ベクターが多くの態様では発現ベクターである真核細胞で機能する。
【0081】
数多くの適切な発現ベクターが当業者に公知であり、および多くが市販されている。例として以下のベクターが挙げられる;細菌宿主細胞用:pBluescript(Stratagene, San Diego, Calif.)、pQEベクター(Qiagen)、pBluescriptプラスミド、pNHベクター、λ-ZAPベクター(Stratagene);pTrc(Amann et al., Gene, 69:301-315 (1988));pTrc99a、pKK223-3、pDR540、およびpRIT2T(Pharmacia);真核宿主細胞用:pXT1、pSG5(Stratagene)、pSVK3、pBPV、pMSG、およびpSVLSV40(Pharmacia)。しかしながら、宿主細胞と適合する限りにおいて、他の任意のプラスミドまたは他のベクターを使用することができる。
【0082】
本発明の組換えベクターは多くの態様で、形質転換宿主細胞の選択用の表現型形質を提供するために、1つまたは複数の選択マーカー遺伝子を含む。適切な選択マーカーは、真核細胞培養用にジヒドロ葉酸還元酵素、ネオマイシン耐性;および大腸菌などの原核宿主細胞用にテトラサイクリン耐性またはアンピシリン耐性を含むが、これらに限定されない。
【0083】
多くの態様では、本発明の核酸は、イソプレノイド修飾酵素をコードするヌクレオチド配列が1つもしくは複数の転写および/または翻訳の制御エレメントに機能的に連結されている、イソプレノイド修飾酵素をコードするヌクレオチド配列を含む。多くの態様では、本発明の核酸は、CPRをコードするヌクレオチド配列が1つもしくは複数の転写および/または翻訳の制御エレメントに機能的に連結されている、CPRをコードするヌクレオチド配列を含む。
【0084】
上記のいくつかの態様では、本発明の組換えベクターは、本発明のイソプレノイド修飾酵素をコードする核酸、および本発明のCPRをコードする核酸を含む。これらの態様のいくつかでは、イソプレノイド修飾酵素をコードするヌクレオチド配列、およびCPRをコードするヌクレオチド配列は、異なる転写制御エレメントに機能的に連結されている。他の態様では、イソプレノイド修飾酵素をコードするヌクレオチド配列、およびCPRをコードするヌクレオチド配列は同じ転写制御エレメントに機能的に連結されている。いくつかの態様では、イソプレノイド修飾酵素をコードするヌクレオチド配列、およびCPRをコードするヌクレオチド配列はいずれも、同じ誘導性プロモーターに機能的に連結されている。いくつかの態様では、イソプレノイド修飾酵素をコードするヌクレオチド配列、およびCPRをコードするヌクレオチド配列はいずれも、同じ構成的プロモーターに機能的に連結されている。
【0085】
原核宿主細胞で使用される適切なプロモーターは、バクテリオファージT7のRNAポリメラーゼプロモーター;trpプロモーター;lacオペロンプロモーター;ハイブリッドプロモーター、例えばlac/tacハイブリッドプロモーター、tac/trcハイブリッドプロモーター、trp/lacプロモーター、T7/lacプロモーター;trcプロモーター;tacプロモーターなど;araBADプロモーター;ssaGプロモーターなどのインビボで調節されるプロモーターまたは関連プロモーター(例えば米国特許公報第20040131637号参照)、pagCプロモーター(Pulkkinen and Miller, J. Bacteriol., 1991: 173(1): 86-93;Alpuche-Aranda et al., PNAS, 1992;89(21): 10079-83)、nirBプロモーター(Harborne et al. (1992) Mol. Micro. 6:2805-2813)など(例えばDunstan et al. (1999) Infect. Immun. 67:5133-5141;McKelvie et al. (2004) Vaccine 22:3243-3255;およびChatfield et al. (1992) Biotechnol. 10:888-892参照);sigma70プロモーター、例えばコンセンサスのsigma70プロモーター(例えばGenBankアクセッション番号AX798980、AX798961、およびAX798183参照);静止期プロモーター、例えばdpsプロモーター、spvプロモーターなど;病原性遺伝子群SPI-2に由来するプロモーター(例えばWO96/17951参照);actAプロモーター(例えばShetron-Rama et al. (2002) Infect. Immun. 70:1087-1096参照);rpsMプロモーター(例えばValdivia and Falkow (1996). Mol. Microbiol. 22:367-378参照);tetプロモーター(例えばHillen, W. and Wissmann, A. (1989) In Saenger,W. and Heinemann,U. (eds), Topics in Molecular and Structural Biology, Protein-Nucleic Acid Interaction. Macmillan, London, UK, Vol. 10, pp. 143-162参照);SP6プロモーター(例えばMelton et al. (1984) Nucl. Acids Res. 12:7035-7056参照)などを含むが、これらに限定されない。
【0086】
適切な真核生物プロモーターの非制限的な例は、CMVの前初期、HSVチミジンキナーゼ、SV40の初期および後期、レトロウイルスのLTR、ならびにマウスメタロチオネイン-Iを含む。いくつかの態様では、例えば酵母細胞における発現の場合は、適切なプロモーターは、ADH1プロモーター、PGK1プロモーター、ENOプロモーター、PYK1プロモーターなどの構成的プロモーター;またはGAL1プロモーター、GAL10プロモーター、ADH2プロモーター、PHO5プロモーター、CUP1プロモーター、GAL7プロモーター、MET25プロモーター、MET3プロモーターなどの調節可能なプロモーターである。適切なベクターおよびプロモーターの選択は、当業者の能力のレベル内にある。発現ベクターは、翻訳開始用のリボソーム結合部位、および転写ターミネーターを含む場合もある。発現ベクターは、発現の増幅に適切な配列を含む場合もある。
【0087】
多くの態様では、イソプレノイド修飾酵素をコードするヌクレオチド配列は、誘導性プロモーターに機能的に連結されている。多くの態様では、CPRをコードするヌクレオチド配列は、誘導性プロモーターに機能的に連結されている。誘導性プロモーターは当技術分野で周知である。適切な誘導性プロモーターは、バクテリオファージλのpL;Plac;Ptrp;Ptac(Ptrp-lacハイブリッドプロモーター);イソプロピル-β-D-チオガラクトピラノシド(IPTG)誘導性プロモーター、例えばlacZプロモーター;テトラサイクリン誘導性プロモーター;アラビノース誘導性プロモーター、例えばPBAD(例えばGuzman et al. (1995) J. Bacteriol. 177:4121-4130参照):キシロース誘導性プロモーター、例えばPxyl(例えばKim et al. (1996) Gene 181:71-76参照);GAL1プロモーター;トリプトファンプロモーター;lacプロモーター;アルコール誘導性プロモーター、例えばメタノール誘導性プロモーター、エタノール誘導性プロモーター;ラフィノース誘導性プロモーター;熱誘導性プロモーター、例えば熱感受性リプレッサーによって制御されるプロモーターである熱誘導性のλPLプロモーター(例えばCI857抑制型のλベースの発現ベクター、例えばHoffmann et al. (1999) FEMS Microbiol Lett. 177(2):327-34参照)などのプロモーターを含むが、これらに限定されない。
【0088】
酵母では、構成的または誘導性のプロモーターを含む、いくつかのベクターを使用することができる。総説として、Current Protocols in Molecular Biology, Vol.2, 1988, Ed. Ausubel, et al., Greene Publish. Assoc. & Wiley Interscience, Ch.13;Grant, et al., 1987, Expression and Secretion Vectors for Yeast, in Methods in Enzymology, Eds. Wu & Grossman, 31987, Acad. Press, N.Y., Vol.153, pp.516-544;Glover, 1986, DNA Cloning, Vol.II, IRL Press, Wash., D.C., Ch.3;and Bitter, 1987, Heterologous Gene Expression in Yeast, Methods in Enzymology, Eds. Berger & Kimmel, Acad. Press, N.Y., Vol.152, pp.673-684;およびThe Molecular Biology of the Yeast Saccharomyces, 1982, Eds. Strathern et al., Cold Spring Harbor Press, Vols. I and IIを参照されたい。ADHやLEU2などの構成的な酵母プロモーター、またはGALなどの誘導性プロモーターを使用することができる(Cloning, in Yeast, Ch.3, R. Rothstein In: DNA Cloning Vol.11, A Practical Approach, Ed. DM Glover, 1986, IRL Press, Wash., D.C.)。または、外来性DNA配列の、酵母染色体への組込みを促進するベクターを使用することができる。
【0089】
いくつかの態様では、本発明の核酸または本発明のベクターは、植物細胞における発現のためのプロモーターまたは他の調節エレメントを含む。植物細胞において機能する適切な構成的プロモーターの非制限的な例は、カリフラワーモザイクウイルスの35Sプロモーター、タンデム35Sプロモーター(Kay et al., Science 236:1299 (1987))、カリフラワーモザイクウイルスの19Sプロモーター、ノパリンシンターゼ遺伝子のプロモーター(Singer et al., Plant Mol. Biol. 14:433 (1990);An, Plant Physiol. 81:86 (1986)、オクトピンシンターゼ遺伝子のプロモーター、およびユビキチンプロモーターである。植物細胞で機能する適切な誘導性プロモーターは、フェニルアラニンアンモニア-リアーゼ遺伝子のプロモーター、カルコンシンターゼ遺伝子のプロモーター、病原性関連タンパク質遺伝子のプロモーター、銅誘導性の調節エレメント;(Mett et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90:4567-4571 (1993);Furst et al., Cell 55:705-717 (1988));テトラサイクリン誘導性およびクロロテトラサイクリン誘導性の調節エレメント(Gatz et al., Plant J. 2:397-404 (1992);Roder et al., Mol. Gen. Genet. 243:32-38 (1994);Gatz, Meth. Cell Biol. 50:411-424 (1995))、エクジソン誘導性の調節エレメント(Christopherson et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89: 6314-6318 (1992);Kreutzweiser et al., Ecotoxicol. Environ. Safety 28:14-24 (1994));熱ショック誘導性の調節エレメント(Takahashi et al., Plant Physiol. 99:383-390 (1992);Yabe et al., Plant Cell Physiol. 35:1207-1219 (1994);Ueda et al., Mol. Gen. Genet. 250:533-539 (1996));ならびに構成的に発現されるlacリプレッサーと組み合わせて使用される、例えばIPTG誘導性の発現をもたらすlacオペロンのエレメント(Wilde et al., EMBO J. 11:1251-1259 (1992);ホウレンソウの亜硝酸還元酵素の遺伝子に由来する硝酸誘導性プロモーター(Back et al., Plant Mol. Biol. 17:9 (1991));RuBPカルボキシラーゼの小サブユニットまたはLHCP遺伝子ファミリーと関連するプロモーターなどの光誘導性プロモーター(Feinbaum et al., Mol. Gen. Genet. 226:449 (1991);Lam and Chua, Science 248:471 (1990));米国特許公報第20040038400号に記載されている光反応性の調節エレメント;サリチル酸誘導性の調節エレメント(Uknes et al., Plant Cell 5:159-169 (1993);Bi et al., Plant J. 8:235-245 (1995));植物ホルモン誘導性の調節エレメント(Yamaguchi-Shinozaki et al., Plant Mol. Biol. 15:905 (1990);Kares et al., Plant Mol. Biol. 15:225 (1990));ならびにヒトグルココルチコイド応答配列などのヒトホルモン誘導性の調節エレメント(Schena et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 88:10421 (1991)を含むが、これらに限定されない。
【0090】
植物組織に選択的な調節エレメントも、本発明の核酸または本発明のベクターに含まれ得る。1つの組織で、または限られた数の組織で核酸を異所的に発現させるために使用可能な、適切な組織選択的な調節エレメントは、木部選択的な調節エレメント、仮導管選択的な調節エレメント、繊維選択的な調節エレメント、毛状突起選択的な調節エレメント(例えばWang et al. (2002) J. Exp. Botany 53:1891-1897参照)、腺状突起選択的な調節エレメントなどの調節エレメントを含むが、これらに限定されない。
【0091】
植物細胞における使用に適切なベクターは当技術分野で公知であり、および任意のこのようなベクターを、本発明の核酸を植物の宿主細胞に導入するために使用することができる。適切なベクターは、例えば、アグロバクテリウム・ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)のTiプラスミド、またはアグロバクテリウム・リゾジェネス(A. rhizogenes)のRi1プラスミドを含む。TiプラスミドまたはRi1プラスミドは、感染時にアグロバクテリウムによって植物細胞に伝達され、および植物ゲノムに安定に組み込まれる。J. Schell, Science, 237:1176-83 (1987)。例えば米国特許第6,900,012号に記載された植物の人工染色体も使用に適している。
【0092】
組成物
本発明はさらに、本発明の核酸を含む組成物を提供する。本発明はさらに、本発明の組換えベクターを含む組成物を提供する。本発明の核酸または本発明の発現ベクターを含む組成物は、多くの態様で、以下の1つもしくは複数を含む:塩類、例えばNaCl、MgCl、KCl、MgSO4など;緩衝剤、例えばTris緩衝液、N-(2-ヒドロキシエチル)ピペラジン-N'-(2-エタンスルホン酸)(HEPES)、2-(N-モルホリノ)エタンスルホン酸(MES)、2-(N-モルホリノ)エタンスルホン酸のナトリウム塩(MES)、3-(N-モルホリノ)プロパンスルホン酸(MOPS)、N-tris[ヒドロキシメチル]メチル-3-アミノプロパンスルホン酸(TAPS)など;可溶化剤;界面活性剤、例えばTween-20などの非イオン性界面活性剤など;ヌクレアーゼ阻害剤など。いくつかの態様では、本発明の核酸または本発明の組換えベクターは凍結乾燥される。
【0093】
宿主細胞
本発明は、遺伝的に改変された宿主細胞、例えば本発明の核酸または本発明の組換えベクターで遺伝的に改変された宿主細胞を提供する。多くの態様では、本発明の遺伝的に改変された宿主細胞は、インビトロにおける宿主細胞である。他の態様では、本発明の遺伝的に改変された宿主細胞は、インビボにおける宿主細胞である。他の態様では、本発明の遺伝的に改変された宿主細胞は、多細胞生物の一部である。
【0094】
宿主細胞は、多くの態様では単細胞生物であるか、または培養液中で単一細胞として成長する。いくつかの態様では、宿主細胞は真核細胞である。適切な真核宿主細胞は、酵母細胞、昆虫細胞、植物細胞、真菌細胞、および藻細胞を含むが、これらに限定されない。適切な真核宿主細胞は、ピキア・パストリス(Pichia pastoris)、ピキア・フィンランディカ(Pichia finlandica)、ピキア・トレハロフィラ(Pichia trehalophila)、ピキア・コクラマエ(Pichia koclamae)、ピキア・メンブラナエファシエンス(Pichia membranaefaciens)、ピキア・オプンティアエ(Pichia opuntiae)、ピキア・サーモトレランス(Pichia thermotolerans)、ピキア・サリクタリア(Pichia salictaria)、ピキア・グエルキューム(Pichia guercuum)、ピキア・ピジペリ(Pichia pijperi)、ピキア・スティプティス(Pichia stiptis)、ピキア・メタノリカ(Pichia methanolica)、ピキア属(Pichia sp.)、出芽酵母、サッカロミセス属(Saccharomyces sp.)、ハンセヌラ・ポリモルファ(Hansenula polymorpha)、クリヴェロミセス属(Kluyveromyces sp.)、クリヴェロミセス・ラクチス(Kluyveromyces lactis)、カンジダ・アルビカンス(Candida albicans)、アスペルギルス・ニドゥランス(Aspergillus nidulans)、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)、アスペルギルス・オリゼー(Aspergillus oryzae)、トリコデルマ・リーゼイ(Trichoderma reesei)、クリソスポリウム・ルクノヴェンス(Chrysosporium lucknowense)、フザリウム属(Fusarium sp.)、フザリウム・グラミネウム(Fusarium gramineum)、フザリウム・ベネナトゥム(Fusarium venenatum)、アカパンカビ(Neurospora crassa)、クラミドモナス・レインハルトチイ(Chlamydomonas reinhardtii)などを含むが、これらに限定されない。いくつかの態様では、宿主細胞は、植物細胞以外の真核細胞である。
【0095】
他の態様では、宿主細胞は植物細胞である。植物細胞は、単子葉類(「単子葉植物」)および双子葉類(「双子葉植物」)の細胞を含む。
【0096】
他の態様では、宿主細胞は原核細胞である。適切な原核細胞は、大腸菌、乳酸桿菌属(Lactobacillus sp.)、サルモネラ属(Salmonella sp.)、シゲラ属(Shigella sp.)などの任意のさまざまな実験室株を含むが、これらに限定されない。これについては例えば、Carrier et al. (1992) J. Immunol. 148:1176-1181;米国特許第6,447,784号;およびSizemore et al. (1995) Science 270:299-302を参照されたい。本発明に利用可能なサルモネラ株の例は、チフス菌(Salmonella typhi)およびネズミチフス菌(S. typhimurium)を含むが、これらに限定されない。適切なシゲラ株は、シゲラ・フレクスネリ(Shigella flexneri)、シゲラ・ソンネイ(Shigella sonnei)、およびシゲラ・ディセンテリアエ(Shigella disenteriae)を含むが、これらに限定されない。典型的には、実験室株は、非病原性の株である。他の適切な細菌の非制限的な例は、枯草菌(Bacillus subtilis)、シュードモナス・プディタ(Pseudomonas pudita)、シュードモナス・アエルジノーサ(Pseudomonas aeruginosa)、シュードモナス・メバロニイ(Pseudomonas mevalonii)、ロドバクター・スファエロイデス(Rhodobacter sphaeroides)、ロドバクター・カプスラトゥス(Rhodobacter capsulatus)、ロドスポリリウム・ルブラム(Rhodospirillum rubrum)、ロドコッカス属(Rhodococcus sp.)などを含むが、これらに限定されない。いくつかの態様では、宿主細胞は大腸菌である。
【0097】
本発明の遺伝的に改変された宿主細胞を作製するためには、イソプレノイド修飾酵素をコードするヌクレオチド配列を含む本発明の核酸が親宿主細胞に、エレクトロポレーション、リン酸カルシウム沈殿法、DEAE-デキストランによるトランスフェクション、リポソームによるトランスフェクションなどの手法を含むが、これらに限定されない確立された手法で安定に、または一過的に導入される。安定な形質転換のためには、核酸は一般にさらに、選択マーカー、例えばネオマイシン耐性、アンピシリン耐性、テトラサイクリン耐性、クロラムフェニコール耐性、カナマイシン耐性などの複数の周知の選択マーカーのいずれかを含む。
【0098】
いくつかの態様では、本発明の遺伝的に改変された宿主細胞は植物細胞である。本発明の遺伝的に改変された植物細胞は、インビトロにおける植物細胞の培養における、選択されたイソプレノイド化合物の産生に有用である。植物の組織培養に関する手引きは例えば、Plant Cell and Tissue Culture, 1994, Vasil and Thorpe Eds., Kluwer Academic Publishersに;およびPlant Cell Culture Protocols(Methods in Molecular Biology 111), 1999, Hall Eds., Humana Pressに記載されている。
【0099】
遺伝的に改変された宿主細胞
いくつかの態様では、本発明の遺伝的に改変された宿主細胞は、イソプレノイド修飾酵素をコードするヌクレオチド配列を含む、本発明の発現ベクターを含む。いくつかの態様では、本発明の遺伝的に改変された宿主細胞は、テルペン水酸化酵素および/またはテルペン酸化酵素の活性を示すポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む、本発明の発現ベクターを含む。
【0100】
いくつかの態様では、本発明の遺伝的に改変された宿主細胞は、テルペン水酸化酵素および/またはテルペン酸化酵素の活性を示すポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む本発明の核酸を含む第1の本発明の発現ベクターを含み;ならびに、CPRをコードするヌクレオチド配列を含む本発明の核酸を含む第2の本発明の発現ベクターをさらに含む。他の態様では、本発明の遺伝的に改変された宿主細胞は、イソプレノイド修飾酵素をコードするヌクレオチド配列を含む本発明の核酸、およびCPRをコードするヌクレオチド配列を含む本発明の核酸を含む本発明の発現ベクターを含む。他の態様では、本発明の遺伝的に改変された宿主細胞は、融合ポリペプチド(例えばイソプレノイド修飾酵素およびCPRを含むポリペプチド)をコードするヌクレオチド配列を含む本発明の核酸を含む本発明の発現ベクターを含む。
【0101】
適切なCPRをコードする核酸は、植物に見出されるCPRをコードする核酸を含む。適切なCPRをコードする核酸は、真菌に見出されるCPRをコードする核酸を含む。CPRをコードする適切な核酸の例は以下を含む:GenBankアクセッション番号AJ303373(コムギ(Triticum aestivum)のCPR);GenBankアクセッション番号AY959320(チュウゴクイチイ(Taxus chinensis)のCPR);GenBankアクセッション番号AY532374(レースフラワー(Ammi majus)のCPR);GenBankアクセッション番号AG211221(イネ(Oryza sativa)のCPR);およびGenBankアクセッション番号AF024635(パセリ(Petroselinum crispum)のCPR)。
【0102】
いくつかの態様では、本発明の遺伝的に改変された宿主細胞は、通常はイソペンテニルピロリン酸(IPP)またはメバロン酸をメバロン酸経路を介して合成しない宿主細胞である。メバロン酸経路は、以下の段階を含む:(a)2分子のアセチル-CoAをアセトアセチル-CoAに縮合させる段階;(b)アセトアセチル-CoAをアセチル-CoAと縮合させてHMG-CoAを生じる段階;(c)HMG-CoAをメバロン酸塩に変換する段階;(d)メバロン酸塩をメバロン酸5-リン酸にリン酸化する段階;(e)メバロン酸5-リン酸をメバロン酸5-ピロリン酸に変換する段階;および(f)メバロン酸5-ピロリン酸をイソペンテニルピロリン酸に変換する段階。IPPの産生に必要なメバロン酸経路の酵素は、培養条件に依存して変動する。
【0103】
上述したように、いくつかの態様では、本発明の遺伝的に改変された宿主細胞は、通常はイソペンテニルピロリン酸(IPP)またはメバロン酸をメバロン酸経路を介して合成しない宿主細胞である。このような態様のいくつかでは、宿主細胞は、イソプレノイド修飾酵素をコードする本発明の核酸を含む本発明の発現ベクターで遺伝的に改変されており;ならびに宿主細胞は、アセトアセチル-CoAチオラーゼ、ヒドロキシメチルグルタリル-CoAシンターゼ(HMGS)、ヒドロキシメチルグルタリル-CoA還元酵素(HMGR)、メバロン酸キナーゼ(MK)、ホスホメバロン酸キナーゼ(PMK)、およびメバロン酸ピロリン酸デカルボキシラーゼ(MPD)(および任意でIPPイソメラーゼも)をコードするヌクレオチド配列を含む1つもしくは複数の異種核酸で遺伝的に改変されている。これらの態様の多くでは、宿主細胞は、CPRをコードするヌクレオチド配列を含む発現ベクターで遺伝的に改変されている。これらの態様のいくつかでは、宿主細胞は、イソプレノイド修飾酵素をコードする本発明の核酸を含む本発明の発現ベクターで遺伝的に改変されており;ならびに宿主細胞は、MK、PMK、MPD(および任意でIPPイソメラーゼも)をコードするヌクレオチド配列を含む1つもしくは複数の異種核酸で遺伝的に改変されている。これらの態様の多くでは、宿主細胞は、CPRをコードするヌクレオチド配列を含む発現ベクターで遺伝的に改変されている。
【0104】
いくつかの態様では、本発明の遺伝的に改変された宿主細胞は、通常はIPPまたはメバロン酸をメバロン酸経路を介して合成しない宿主細胞であり;宿主細胞は、イソプレノイド修飾酵素をコードする本発明の核酸を含む本発明の発現ベクターで遺伝的に改変されており;ならびに宿主細胞は、アセトアセチル-CoAチオラーゼ、HMGS、HMGR、MK、PMK、MPD、IPPイソメラーゼ、およびプレニルトランスフェラーゼをコードするヌクレオチド配列を含む1つもしくは複数の異種核酸で遺伝的に改変されている。これらの態様の多くでは、宿主細胞は、CPRをコードするヌクレオチド配列を含む発現ベクターで遺伝的に改変されている。いくつかの態様では、本発明の遺伝的に改変された宿主細胞は、通常はIPPまたはメバロン酸をメバロン酸経路を介して合成しない宿主細胞であり;宿主細胞は、イソプレノイド修飾酵素をコードする本発明の核酸を含む本発明の発現ベクターで遺伝的に改変されており;ならびに宿主細胞は、MK、PMK、MPD、IPPイソメラーゼ、およびプレニルトランスフェラーゼをコードするヌクレオチド配列を含む1つもしくは複数の異種核酸で遺伝的に改変されている。これらの態様の多くでは、宿主細胞は、CPRをコードするヌクレオチド配列を含む発現ベクターで遺伝的に改変されている。
【0105】
いくつかの態様では、本発明の遺伝的に改変された宿主細胞は、通常はIPPまたはメバロン酸をメバロン酸経路を介して合成する宿主細胞であり、例えば宿主細胞は、内因性のメバロン酸経路を含む宿主細胞である。これらの態様のいくつかでは、宿主細胞は酵母細胞である。これらの態様のいくつかでは、宿主細胞は出芽酵母である。
【0106】
いくつかの態様では、本発明の遺伝的に改変された宿主細胞はさらに、イソプレノイド化合物をさらに修飾する、デヒドロゲナーゼをコードするヌクレオチド配列を含む1つもしくは複数の核酸で遺伝的に改変されている。コードされたデヒドロゲナーゼは、天然で原核細胞もしくは真核細胞に見出されるデヒドロゲナーゼの場合があるか、またはこのようなデヒドロゲナーゼのバリアントである場合がある。いくつかの態様では、本発明は、このようなデヒドロゲナーゼをコードするヌクレオチド配列を含む単離された核酸を提供する。
【0107】
メバロン酸経路の核酸
MEV経路の遺伝子産物をコードするヌクレオチド配列は当技術分野で公知であり、および公知の任意のMEV経路の遺伝子産物をコードするヌクレオチド配列を、本発明の遺伝的に改変された宿主細胞の作製に使用することができる。例えば、アセトアセチル-CoAチオラーゼ、HMGS、HMGR、MK、PMK、MPD、およびIDIをコードするヌクレオチド配列は当技術分野で公知である。MEV経路の遺伝子産物をコードする公知のヌクレオチド配列の非制限的な例を、MEV経路の個々の酵素とそれに続く括弧内のGenBankアクセッション番号、および生物体とともに以下に示す:アセトアセチル-CoAチオラーゼ:(NC_000913領域:2324131..2325315;大腸菌)、(D49362;パラコッカス・デニトリフィカンス(Paracoccus denitrificans))、および(L20428;出芽酵母);HMGS:(NC_001145.相補物19061..20536;出芽酵母)、(X96617;出芽酵母)、(X83882;シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)、(AB037907;キタサトスポラ・グリセオラ(Kitasatospora griseola))、および(BT007302;ヒト(Homo sapiens);HMGR:(NM_206548;ショウジョウバエ(Drosophila melanogaster))、(NM_204485;ニワトリ(Gallus gallus))、(AB015627;ストレプトミセス属(Streptomyces sp.)KO-3988)、(AF542543;ニコチアナ・アテニュアタ(Nicotiana attenuata))、(AB037907;キタサトスポラ・グリセオラ)、(短縮型HMGRをコードする配列を提供するAX128213;出芽酵母)、および(NC_001145:相補物(115734..118898;出芽酵母));MK:(L77688;シロイヌナズナ)、および(X55875;出芽酵母);PMK:(AF429385;パラゴムノキ(Hevea brasiliensis))、(NM_006556;ヒト)、(NC_001145.相補物712315..713670;出芽酵母);MPD:(X97557;出芽酵母)、(AF290095;エンテロコッカス・ファエシウム(Enterococcus faecium))、および(U49260;ヒト);ならびにIDI:(NC_000913、3031087..3031635;大腸菌)、および(AF082326;ヘマトコッカス・プルビアリス(Haematococcus pluvialis))。
【0108】
いくつかの態様では、HMGRのコード領域は、野生型HMGRの膜貫通ドメインを欠く短縮型HMGR(「tHMGR」)をコードする。HMGRの膜貫通ドメインは、酵素の調節部分を含み、および酵素活性を含まない。
【0109】
公知の任意のMEV経路の酵素のコード配列は、当技術分野で公知のさまざまな方法で変化させて、コードされた酵素のアミノ酸配列に標的変化を作ることができる。バリアントのMEV経路酵素のアミノ酸は通常、公知の任意のMEV経路の酵素のアミノ酸配列に実質的に類似しており、すなわち少なくとも1残基のアミノ酸が異なり、および少なくとも2残基、少なくとも5残基、少なくとも10残基、または少なくとも20残基のアミノ酸が異なる場合があるが、典型的には約50残基のアミノ酸を越えない。配列の変化は、置換、挿入、または欠失の場合がある。例えば、後述するように、ヌクレオチド配列は、特定の宿主細胞のコドンのバイアスに対して変化させることができる。加えて、1つもしくは複数のヌクレオチド配列の差を、コードされたタンパク質に保存的なアミノ酸変化を生じるように導入することができる。
【0110】
プレニルトランスフェラーゼ
いくつかの態様では、本発明の遺伝的に改変された宿主細胞は、イソプレノイド修飾酵素をコードするヌクレオチド配列を含む核酸を含むように遺伝的に改変されており;ならびにいくつかの態様では、上記の1つもしくは複数のメバロン酸経路の酵素をコードするヌクレオチド配列を含む1つもしくは複数の核酸;ならびにプレニルトランスフェラーゼをコードするヌクレオチド配列を含むように遺伝的に改変されてもいる。
【0111】
プレニルトランスフェラーゼは、さまざまな鎖長のプレニル二リン酸の生成につながる、IPPの連続的な縮合を触媒する広範囲の酵素を含む。適切なプレニルトランスフェラーゼは、IPPとアリルプライマー基質の縮合を触媒して、約2イソプレン単位〜約6000イソプレン単位もしくはそれ以上、例えば2イソプレン単位(ゲラニルピロリン酸シンターゼ)、3イソプレン単位(ファルネシルピロリン酸シンターゼ)、4イソプレン単位(ゲラニルゲラニルピロリン酸シンターゼ)、5イソプレン単位、6イソプレン単位(ヘキサデシルピロリン酸シンターゼ)、7イソプレン単位、8イソプレン単位(フィトエン(phytoene)シンターゼ、オクタプレニルピロリン酸シンターゼ)、9イソプレン単位(ノナプレニルピロリン酸シンターゼ、10イソプレン単位(デカプレニルピロリン酸シンターゼ)、約10イソプレン単位〜約15イソプレン単位、約15イソプレン単位〜約20イソプレン単位、約20イソプレン単位〜約25イソプレン単位、約25イソプレン単位〜約30イソプレン単位、約30イソプレン単位〜約40イソプレン単位、約40イソプレン単位〜約50イソプレン単位、約50イソプレン単位〜約100イソプレン単位、約100イソプレン単位〜約250イソプレン単位、約250イソプレン単位〜約500イソプレン単位、約500イソプレン単位〜約1000イソプレン単位、約1000イソプレン単位〜約2000イソプレン単位、約2000イソプレン単位〜約3000イソプレン単位、約3000イソプレン単位〜約4000イソプレン単位、約4000イソプレン単位〜約5000イソプレン単位、または約5000イソプレン単位〜約6000イソプレン単位もしくはそれ以上のイソプレノイド化合物を生成する酵素を含む。
【0112】
適切なプレニルトランスフェラーゼは、ゲラニル二リン酸(GPP)シンターゼ、ファルネシル二リン酸(FPP)シンターゼ、ゲラニルゲラニル二リン酸(GGPP)シンターゼ、ヘキサプレニル二リン酸(HexPP)シンターゼ、ヘプタプレニル二リン酸(HepPP)シンターゼ、オクタプレニル(OPP)二リン酸シンターゼ、ソラネシル二リン酸(SPP)シンターゼ、デカプレニル二リン酸(DPP)シンターゼ、チクル(chicle)シンターゼ、およびガッタパーチャ(gutta-percha)シンターゼを含むが、これらに限定されないE-イソプレニル二リン酸シンターゼ;ならびにノナプレニル二リン酸(NPP)シンターゼ、ウンデカプレニル二リン酸(UPP)シンターゼ、デヒドロドリチル(dehydrodolichyl)二リン酸シンターゼ、エイコサプレニル二リン酸シンターゼ、天然ゴムシンターゼ、および他のZ-イソプレニル二リン酸シンターゼを含むが、これらに限定されないZ-イソプレニル二リン酸シンターゼを含むが、これらに限定されない。
【0113】
さまざまな種に由来する、数多くのプレニルトランスフェラーゼのヌクレオチド配列が公知であり、および本発明の遺伝的に改変された宿主細胞の作製に使用可能または改変可能である。プレニルトランスフェラーゼをコードするヌクレオチド配列は当技術分野で公知である。例えば、ヒトのファルネシルピロリン酸合成酵素のmRNA(GenBankアクセッション番号J05262;ヒト);ファルネシル二リン酸合成酵素(FPP)の遺伝子(GenBankアクセッション番号J05091;出芽酵母);イソペンテニル二リン酸:ジメチルアリル二リン酸イソメラーゼの遺伝子(J05090;出芽酵母);Wang and Ohnuma (2000) Biochim. Biophys. Acta 1529:33-48;米国特許第6,645,747号;シロイヌナズナのファルネシルピロリン酸合成酵素2(FPS2)/FPP合成酵素2/ファルネシル二リン酸シンターゼ2(At4gl7190)のmRNA(GenBankアクセッション番号NM_202836);イチョウ(Ginkgo biloba)のゲラニルゲラニル二リン酸シンターゼ(ggpps)のmRNA(GenBankアクセッション番号AY371321);シロイヌナズナのゲラニルゲラニルピロリン酸シンターゼ(GGPS1)/GGPP合成酵素/ファルネシルトランストランスフェラーゼ(At4g36810)のmRNA(GenBankアクセッション番号NM_119845);シネチョコッカス・エロンガトゥス(Synechococcus elongatus)のファルネシルシンターゼ、ゲラニルゲラニルシンターゼ、ゲラニルファルネシルシンターゼ、ヘキサプレニルシンターゼ、ヘプタプレニル二リン酸シンターゼ(SelF-HepPS)の遺伝子(GenBankアクセッション番号AB016095)などを参照されたい。
【0114】
テルペンシンターゼ
いくつかの態様では、本発明の遺伝的に改変された宿主細胞は、テルペンシンターゼをコードするヌクレオチド配列を含む核酸を含むように遺伝的に改変されている。いくつかの態様では、テルペンシンターゼは、FPPを修飾してセスキテルペンを生じるテルペンシンターゼである。他の態様では、テルペンシンターゼは、GPPを修飾してモノテルペンを生じるテルペンシンターゼである。他の態様では、テルペンシンターゼは、GGPPを修飾してジテルペンを生じるテルペンシンターゼである。
【0115】
テルペンシンターゼをコードするヌクレオチド配列は当技術分野で公知であり、および公知の任意のテルペンシンターゼをコードするヌクレオチド配列を、宿主細胞を遺伝的に改変するために使用することができる。例えば、以下のテルペンシンターゼをコードするヌクレオチド配列(GenBankアクセッション番号、および各テルペンシンターゼが同定された生物種を後置)が知られており、かつ使用可能である:(-)-ゲルマクレンDシンターゼのmRNA(AY438099;バルサムポプラ(Populus balsamifera)の亜種コットンウッド(trichocarpax Populus deltoids));E,E-アルファ-ファルネセンシンターゼのmRNA(AY640154;キュウリ(Cucumis sativus));1,8-シネオールシンターゼのmRNA(AY691947;シロイヌナズナ);テルペンシンターゼ5(TPS5)のmRNA(AY518314;トウモロコシ(Zea mays));テルペンシンターゼ4(TPS4)のmRNA(AY518312;トウモロコシ);ミルセン/オシメンシンターゼ(TPS10)(At2g24210)のmRNA(NM_127982;シロイヌナズナ);ゲラニオールシンターゼ(GES)のmRNA(AY362553;バジル(Ocimum basilicum));ピネンシンターゼのmRNA(AY237645;トウヒ(Picea sitchensis));ミルセンシンターゼ1e20のmRNA(AY195609;キンギョソウ(Antirrhinum majus));(E)-β-オシメンシンターゼ(0e23)のmRNA(AY 195607;キンギョソウ);E-β-オシメンシンターゼのmRNA(AY151086;キンギョソウ);テルペンシンターゼのmRNA(AF497492;シロイヌナズナ);(-)-カンフェンシンターゼ(AG6.5)のmRNA(U87910;アメリカオオモミ(Abies grandis));(-)-4S-リモネンシンターゼの遺伝子(例えばゲノム配列)(AF326518;アメリカオオモミ);デルタ-セリネンシンターゼの遺伝子(AF326513;アメリカオオモミ);アモルファ-4,11-ジエンシンターゼのmRNA(AJ251751;クソニンジン);E-α-ビサボレンシンターゼのmRNA(AF006195;アメリカオオモミ);ガンマ-フムレンシンターゼのmRNA(U92267;アメリカオオモミ);δ-セリネンシンターゼのmRNA(U92266;アメリカオオモミ);ピネンシンターゼ(AG3.18)のmRNA(U87909;アメリカオオモミ);ミルセンシンターゼ(AG2.2)のmRNA(U87908;アメリカオオモミ)など。
【0116】
コドン使用
いくつかの態様では、本発明の遺伝的に改変された宿主細胞の作製に使用されるヌクレオチド配列は、ヌクレオチド配列が、特定の宿主細胞のコドンの好みを反映するように改変される。例えばヌクレオチド配列は、いくつかの態様では、酵母のコドン優先性に合わせて改変される。これについては例えば、Bennetzen and Hall (1982) J. Biol. Chem. 257(6): 3026-3031を参照されたい。別の非制限的な例として、ヌクレオチド配列は他の態様では、大腸菌のコドン優先性に合わせて改変される。これについては例えば、Gouy and Gautier (1982) Nucleic Acids Res. 10(22):7055-7074;Eyre-Walker (1996) Mol. Biol. Evol. 13(6):864-872を参照されたい。Nakamura et al. (2000) Nucleic Acids Res. 28(1):292も参照されたい。
【0117】
他の遺伝的改変
いくつかの態様では、本発明の遺伝的に改変された宿主細胞は、イソプレノイド修飾酵素をコードするヌクレオチド配列を含む1つもしくは複数の核酸を含むように遺伝的に改変された;ならびに、テルペン生合成経路の中間体の産生亢進を達成するようにさらに遺伝的に改変されたか、および/または、内因性のテルペン生合成経路の遺伝子が機能的に無効となるようにさらに遺伝的に改変された宿主細胞である。内因性のテルペン生合成経路の遺伝子との関連で本明細書で用いる「機能的に無効とされた」という用語は、正常レベルに満たないか、および/または非機能性で産生される遺伝子にコードされた遺伝子産物の産生につながる、テルペン生合成経路の遺伝子の遺伝的改変を意味する。
【0118】
内因性のテルペン生合成経路の中間体の産生を促進する遺伝的改変は、宿主細胞におけるホスホトランスアセチラーゼのレベルおよび/または活性の低下をもたらす遺伝的改変を含むが、これらに限定されない。テルペン生合成経路の中間体の細胞内濃度は、アセチル-CoAの細胞内濃度を高めることで高められる。大腸菌は、細胞内アセチル-CoAのかなりの部分を酢酸塩の状態で培地中に分泌する。アセチル-CoAの酢酸塩への転換に関与する第1の酵素であるホスホトランスアセチラーゼであるptaをコードする遺伝子を欠失させると酢酸塩の分泌が低下する。原核宿主細胞におけるホスホトランスアセチラーゼのレベルおよび/または活性を低下させる遺伝的改変は、遺伝的に改変された宿主細胞が、MEV経路の1つもしくは複数の遺伝子産物をコードするヌクレオチド配列を含む核酸で遺伝的に改変された細胞である場合に特に有用である。
【0119】
いくつかの態様では、原核宿主細胞におけるホスホトランスアセチラーゼのレベルの低下を生じる遺伝的改変は、ホスホトランスアセチラーゼをコードする、原核宿主細胞の内因性のpta遺伝子を機能的に無効とする遺伝的変異である。pta遺伝子は、可動遺伝因子(例えばトランスポゾンなど)の挿入;遺伝子産物が作られないか、または切断されてアセチル-CoAの酢酸塩への変換が機能しなくなるような遺伝子の全体もしくは一部の欠失;遺伝子産物が作られないか、または切断されてアセチル-CoAの酢酸塩への変換が機能しなくなるような遺伝子の変異;遺伝子産物が作られなくなるような、pta遺伝子の発現を制御する1つもしくは複数の制御エレメントの欠失もしくは変異などを含む任意のさまざまな方法で、機能的に無効化可能である。
【0120】
いくつかの態様では、遺伝的に改変された宿主細胞の内因性のpta遺伝子は欠失される。遺伝子を欠失させる任意の方法を使用することができる。pta遺伝子を欠失させる方法の1つの非制限的な例が、λRed組換え系の使用である。Datsenko and Wanner (2000) Proc Natl Acad Sci USA 97(12): p.6640-5。pta遺伝子は、いくつかの態様では、MK、PMK、MPD、およびIDIをコードするヌクレオチド配列を含む核酸で遺伝的に改変された宿主細胞(例えば大腸菌)から欠失される。pta遺伝子は、いくつかの態様では、MK、PMK、MPD、およびIPPをコードするヌクレオチド配列を含む核酸で遺伝的に改変された宿主細胞(例えば大腸菌)から欠失される。pta遺伝子は、いくつかの態様では、MK、PMK、MPD、IPP、およびプレニルトランスフェラーゼをコードするヌクレオチド配列を含む核酸で遺伝的に改変された宿主細胞(例えば大腸菌)から欠失される。
【0121】
いくつかの態様では、本発明の遺伝的に改変された宿主細胞は、MEV生合成経路の遺伝子産物をコードするヌクレオチド配列を含む1つもしくは複数の核酸を含むように遺伝的に改変され;および内因性のDXP生合成経路の遺伝子が機能的に無効とされるようにさらに遺伝的に改変された細胞である。他の態様では、本発明の遺伝的に改変された宿主細胞は、DXP生合成経路の遺伝子産物をコードするヌクレオチド配列を含む1つもしくは複数の核酸を含むように遺伝的に改変され;および内因性のMEV生合成経路の遺伝子が機能的に無効とされるようにさらに遺伝的に改変された細胞である。
【0122】
本発明の遺伝的に改変された宿主細胞が、MEV経路の1つもしくは複数の遺伝子産物をコードするヌクレオチド配列を含む核酸で遺伝的に改変された原核宿主細胞であるいくつかの態様では、宿主細胞は、内因性のDXP経路の1つもしくは複数の遺伝子が機能的に無効とされるようにさらに遺伝的に改変される。機能的に無効化可能なDXP経路の遺伝子は、以下のDXPの任意の遺伝子産物をコードする1つもしくは複数の遺伝子を含む:1-デオキシ-D-キシルロース-5-リン酸シンターゼ、1-デオキシ-D-キシルロース-5-リン酸還元異性化酵素、4-ジホスホシチジル-2-C-メチル-D-エリスリトールシンターゼ、4-ジホスホシチジル-2-C-メチル-D-エリスリトールキナーゼ、2C-メチル-D-エリスリトール2,4-シクロ二リン酸シンターゼ、および1-ヒドロキシ-2-メチル-2-(E)-ブテニル4-二リン酸シンターゼ。
【0123】
内因性のDXP経路の遺伝子は、可動遺伝因子(例えばトランスポゾンなど)の挿入;遺伝子産物が作られないか、または切断されて酵素的に不活性となるような、遺伝子の全体もしくは一部の欠失;遺伝子産物が作られないか、または切断されて酵素的に非機能性となるような遺伝子の変異;遺伝子産物が作られなくなるような、遺伝子の発現を制御する1つもしくは複数の制御エレメントの欠失もしくは変異などを含む、任意のさまざまな方法で機能的に無効化可能である。
【0124】
本発明の遺伝的に改変された宿主細胞が、DXP経路の1つもしくは複数の遺伝子産物をコードするヌクレオチド配列を含む核酸で遺伝的に改変された原核宿主細胞である他の態様では、宿主細胞は、内因性のMEV経路の1つもしくは複数の遺伝子が機能的に無効化されるようにさらに遺伝的に改変される。機能的に無効化可能な内因性のMEV経路の遺伝子は、以下の任意のMEV遺伝子産物をコードする1つもしくは複数の遺伝子を含む:HMGS、HMGR、MK、PMK、MPD、およびIDI。内因性のMEV経路の遺伝子は、可動遺伝因子(例えばトランスポゾンなど)の挿入;遺伝子産物が作られないか、または切断されて酵素的に不活性となるような、遺伝子の全体もしくは一部の欠失;遺伝子産物が作られないか、または切断されて酵素的に非機能性となるような遺伝子の変異;遺伝子産物が作られなくなるような、遺伝子の発現を制御する1つもしくは複数の制御エレメントの欠失もしくは変異などを含む、任意のさまざまな方法で機能的に無効化可能である。
【0125】
本発明の遺伝的に改変された宿主細胞を含む組成物
本発明は、本発明の遺伝的に改変された宿主細胞を含む組成物をさらに提供する。本発明の組成物は、本発明の遺伝的に改変された宿主細胞を含み、およびいくつかの態様では、部分的に、遺伝的に改変された宿主細胞の意図された用途を元に選択される1つもしくは複数の他の成分を含む。適切な成分は、以下を含むが、これらに限定されない:塩類;緩衝剤;安定剤;プロテアーゼ阻害剤;ヌクレアーゼ阻害剤;細胞膜および/または細胞壁を保存する化合物、例えばグリセロール、ジメチルスルフォキシドなど;細胞に適切な栄養培地など。いくつかの態様では、細胞は凍結乾燥される。
【0126】
トランスジェニック植物
いくつかの態様では、本発明の核酸または本発明の発現ベクター(例えば本発明のイソプレノイド修飾酵素の核酸、またはイソプレノイド修飾酵素の核酸を含む本発明の発現ベクター)は、コードされたイソプレノイド修飾酵素を産生するトランスジェニック植物を作製するための導入遺伝子として使用される。したがって本発明は、上記のテルペン水酸化酵素および/またはテルペン酸化酵素の活性を示す酵素をコードするヌクレオチド配列を含む本発明の核酸を含む導入遺伝子を含むトランスジェニック植物をさらに提供する。いくつかの態様では、トランスジェニック植物のゲノムは、本発明の核酸を含む。いくつかの態様では、トランスジェニック植物は、遺伝的改変がホモ接合である。いくつかの態様では、トランスジェニック植物は、遺伝的改変がヘテロ接合である。
【0127】
いくつかの態様では、本発明のトランスジェニック植物は、テルペン水酸化酵素および/またはテルペン酸化酵素の活性を示す、導入遺伝子にコードされたポリペプチドを、同じ種の対照植物、例えば非トランスジェニック植物(ポリペプチドをコードする導入遺伝子を含まない植物)で産生されるポリペプチドの量より少なくとも約50%、少なくとも約2倍、少なくとも約5倍、少なくとも約10倍、少なくとも約25倍、少なくとも約50倍、または少なくとも約100倍、もしくはそれ以上の量で産生する。
【0128】
いくつかの態様では、本発明のトランスジェニック植物は、テルペン水酸化酵素および/または酸化酵素の活性を示す、導入遺伝子にコードされたポリペプチドによって作られるか、または導入遺伝子にコードされたポリペプチドの下流生成物であるイソプレノイド化合物を通常産生する、対照の非トランスジェニック植物のトランスジェニックバージョンであり;トランスジェニック植物はイソプレノイド化合物を、同じ種の対照植物、例えば非トランスジェニック植物(ポリペプチドをコードする導入遺伝子を含まない植物)によって産生されるイソプレノイド化合物の量より少なくとも約50%多い、少なくとも約2倍多い、少なくとも約5倍多い、少なくとも約10倍多い、少なくとも約25倍多い、少なくとも約50倍多い、または少なくとも約100倍、もしくはそれ以上多い量で産生する。
【0129】
外因性核酸を植物細胞に導入する方法は当技術分野で周知である。このような植物細胞は、既に定義したように、「形質転換された」とみなされる。適切な方法は、ウイルス感染(2本鎖DNAウイルスなど)、トランスフェクション、コンジュゲーション、プロトプラスト融合、エレクトロポレーション、パーティクルガン法、リン酸カルシウム沈殿法、直接マイクロインジェクション、シリコーンカーバイドホイスカー(silicone carbide whisker)法、アグロバクテリウムによる形質転換などを含む。方法の選択は一般に、形質転換対象の細胞のタイプ、および形質転換が起こる環境(すなわちインビトロか、エクスビボか、またはインビボか)に依存する。
【0130】
土壌細菌アグロバクテリウム・ツメファシエンスに基づく形質転換法は、維管束植物への外因性核酸分子の導入に特に有用である。野生型のアグロバクテリウムは、植物植物において腫瘍形成性のクラウンゴール成長の発生を誘導するTi(腫瘍誘導性)プラスミドを含む。Tiプラスミドの腫瘍誘導性のT-DNA領域の、植物ゲノムへの移動には、Tiプラスミドにコードされる毒性遺伝子群、ならびに移動対象領域の端を示す1セットのダイレクトDNAリピートであるT-DNAの境界が必要である。アグロバクテリウムをベースとするベクターは、腫瘍誘導能が、植物宿主への導入対象の核酸配列と置換された改変型のTiプラスミドである。
【0131】
アグロバクテリウムによる形質転換は一般に、融合体(cointegrate)ベクター、または好ましくは、Tiプラスミドの成分が、アグロバクテリウム宿主中に恒久的に存在して、および毒性遺伝子群を有するヘルパーベクターと、T-DNA配列に挟まれた対象遺伝子を含むシャトルベクターに分けられるバイナリベクター系を使用する。さまざまなバイナリベクターが当技術分野で周知であり、および例えばClontech(Palo Alto, Calif.)から販売されている。アグロバクテリウムを培養植物細胞、または例えば葉の組織、根の外植片、子葉下(hypocotyledon)、茎片(stem piece)、もしくは塊茎などの創傷組織と共培養する方法も当技術分野で周知である。これについては例えば、Glick and Thompson, (eds.), Methods in Plant Molecular Biology and Biotechnology, Boca Raton, Fla.: CRC Press (1993)を参照されたい。
【0132】
アグロバクテリウムによる形質転換は、少なくとも1種のユーカリおよびアルファルファ(lucerne)などの飼料用豆類(forage legume);セイヨウミヤコグサ(birdsfoot trefoil)、シロツメクサ、スタイロ(Stylosanthes)、ロトノニス・バイネッシイ(Lotononis bainessi)、およびイガマメを含む、さまざまなトランスジェニック維管束植物(Wang et al., supra, 1995)の作出に有用である。
【0133】
微小発射体による形質転換も、本発明のトランスジェニック植物の作出に使用可能である。Klein et al. (Nature 327:70-73 (1987))に最初に記載された、この方法は、塩化カルシウム、スペルミジン、またはポリエチレングリコールによる沈殿法による、所望の核酸分子でコーティングされた金やタングステンなどの微小発射体に依存する。微小発射体粒子は、BIOLISTIC PD-1000(Biorad;Hercules Calif.)などの装置を使用して、被子植物の組織中に高速で加速されて打ち込まれる。
【0134】
本発明の核酸は、核酸が植物細胞中に侵入可能な様式で、例えばインビボまたはエクスビボのプロトコルによって植物に導入することができる。「インビボ」とは、核酸が、生きている状態の植物に、例えば浸透によって導入されることを意味する。「エクスビボ」とは、細胞または外植片が植物体外で改変された後に、そのような細胞もしくは器官が植物体に再生されることを意味する。植物細胞の安定な形質転換に、またはトランスジェニック植物の確立に適切ないくつかのベクターは、Weissbach and Weissbach, (1989) Methods for Plant Molecular Biology Academic Press, and Gelvin et al., (1990) Plant Molecular Biology Manual, Kluwer Academic Publishersに記載されている。特定の例は、アグロバクテリウム・ツメファシエンスのTiプラスミドに由来するもの、およびHerrera-Estrella et al., (1983) Nature 303: 209, Bevan (1984) Nucl Acid Res. 12: 8711-8721、Klee (1985) Bio/Technolo 3: 637-642に記載されたものを含む。または非Tiベクターを使用して、遊離DNA送達法(free DNA delivery technique)で植物および細胞内にDNAを移すことができる。このような方法を用いることで、コムギ、イネ(Christou (1991) Bio/Technology 9:957-962)、およびトウモロコシ(Gordon-Kamm (1990) Plant Cell 2: 603-618)などのトランスジェニック植物を作出することができる。未成熟の胚は、単子葉植物に対する、パーティクルガン(Weeks et al. (1993) Plant Physiol 102: 1077-1084;Vasil (1993) Bio/Technolo 10: 667-674;Wan and Lemeaux (1994) Plant Physiol 104: 37-48)を使用する直接DNA送達法に、およびアグロバクテリウムによるDNA輸送(Ishida et al. (1996) Nature Biotech 14: 745-750)に良好な標的組織と成り得る。DNAの葉緑体への例示的な導入法は、遺伝子銃法(biolistic bombardment)、ポリエチレングリコールによるプロトプラストの形質転換、およびマイクロインジェクションである(Danieli et al Nat. Biotechnol 16:345-348, 1998;Staub et al Nat. Biotechnol 18: 333-338, 2000;O'Neill et al Plant J. 3:729-738, 1993;Knoblauch et al Nat. Biotechnol 17: 906-909;米国特許第5,451,513号、第5,545,817号、第5,545,818号、および第5,576,198号;Intl. Application No. WO 95/16783;およびBoynton et al., Methods in Enzymology 217: 510-536 (1993), Svab et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90: 913-917 (1993)、ならびにMcBride et al., Proc. Nati. Acad. Sci. USA 91: 7301-7305 (1994))。遺伝子銃法、ポリエチレングリコールによるプロトプラストの形質転換、およびマイクロインジェクションの方法に適切な任意のベクターが、葉緑体の形質転換用のターゲッティングベクターとして適切である。任意の2本鎖DNAベクターを、特に導入法がアグロバクテリウムを使用しない場合に、形質転換用ベクターとして使用することができる。
【0135】
遺伝的に改変可能な植物は、穀物類、飼料作物、果物、野菜類、油料種子作物、パームヤシ、樹木(forestry)、およびツル植物を含む。改変可能な植物の特定の例を以下に挙げる:トウモロコシ、バナナ、ピーナツ、サヤエンドウ(field pea)、ヒマワリ、トマト、カノーラ、タバコ、コムギ、オオムギ、カラスムギ、ジャガイモ、ダイズ、ワタ、カーネーション、ソルガム、ルピナス、およびイネ。他の例は、クソニンジン、または対象イソプレノイド化合物を産生することが知られている他の植物を含む。
【0136】
本発明は、形質転換された植物細胞、組織、植物体、および形質転換された植物細胞を含む生成物も提供する。これらを含む、本発明の形質転換された細胞および組織ならびに生成物の特徴は、ゲノムに組み混まれた本発明の核酸の存在、ならびにテルペン水酸化酵素および/またはテルペン酸化酵素の活性を示すポリペプチド、例えばセスキテルペン酸化酵素の、植物細胞による産生である。本発明の組換え植物細胞は、組換え細胞の集団として、または組織、種子、全植物体、茎、果実、葉、根、花、茎、塊茎、穀粒、動物飼料、植物の場(field of plant)などとして有用である。
【0137】
本発明では、種子、子孫植物体、およびクローン材料を含む、本発明のトランスジェニック植物の再生材料も提供される。
【0138】
イソプレノイド化合物の産生法
本発明は、イソプレノイド化合物を産生させる方法を提供する。いくつかの態様では、この方法は一般に、イソプレノイド修飾酵素をコードするヌクレオチド配列を含む本発明の核酸で遺伝的に改変された宿主細胞を適切な培地で培養する段階を含む。他の態様では、この方法は一般に、本発明のトランスジェニック植物を、コードされたイソプレノイド修飾酵素の産生に好ましい条件に維持する段階を含む。イソプレノイド修飾酵素の産生は、イソプレノイド化合物の産生につながる。例えば、いくつかの態様では、この方法は一般に、テルペン酸化酵素をコードするヌクレオチド配列を含む本発明の核酸によって遺伝的に改変された宿主細胞を適切な培地で培養する段階を含む。テルペン酸化酵素の産生は、イソプレノイド化合物の産生につながる。典型的には、この方法はインビトロで実施されるが、イソプレノイド化合物のインビボにおける産生も想定される。これらの態様のいくつかでは、宿主細胞は真核細胞、例えば酵母細胞である。他の態様では、宿主細胞は原核細胞である。これらの態様のいくつかでは、宿主細胞は植物細胞である。いくつかの態様では、この方法は、本発明のトランスジェニック植物を対象に実施される。
【0139】
細胞は典型的には2経路の1つを使用して、イソプレノイドまたはイソプレノイド前駆体(例えばIPP、ポリプレニル二リン酸など)を作る。図13〜15は、細胞がイソプレノイド化合物、またはポリプレニル二リン酸などの前駆体の産生に使用する経路を示す。
【0140】
図13は、ポリプレニル二リン酸ゲラニル二リン酸(GPP)、ファルネシル二リン酸(FPP)、ならびにゲラニルゲラニル二リン酸(GGPP)を作るための、プレニルトランスフェラーゼによるイソペンテニル二リン酸(IPP)および/またはこの異性体であるジメチルアリル二リン酸(DMAPP)の修飾を含むイソプレノイド経路を示す。GPPおよびFPPはさらにテルペンシンターゼによって修飾されて、それぞれモノテルペンおよびセスキテルペンを産生し;ならびにGGPPはさらにテルペンシンターゼによって修飾されてジテルペンおよびカロテノイドを産生する。IPPおよびDMAPPは、メバロン酸(MEV)経路と1-デオキシ-D-キシルロース-5-リン酸(DXP)経路の2経路の1つによって産生される。
【0141】
図14は、アセチルCoAが一連の反応を経てIPPに変換されるMEV経路を図解的に示す。
【0142】
図15は、ピルビン酸およびD-グリセルアルデヒド-3-リン酸が一連の反応を経てIPPおよびDMAPPに変換されるDXP経路を図解的に示す。植物細胞以外の真核細胞は、後にDMAPPに異性化されるアセチル-補酵素A(アセチル-CoA)をIPPに変換するためにMEVイソプレノイド経路をもっぱら使用する。植物は、MEV経路と、メバロン酸に依存しない、すなわちDXP経路の両方をイソプレノイド合成に使用する。原核生物は、いくつか例外はあるものの、DXP経路を使用してIPPおよびDMAPPを個別に、分岐点を介して産生する。
【0143】
いくつかの態様では、宿主細胞は、セスキテルペン酸化酵素をコードするヌクレオチド配列を含む本発明の核酸によって遺伝的に改変され、および宿主細胞は、セスキテルペンを含む培地で培養される。セスキテルペンは細胞内に侵入して、そこでセスキテルペン酸化酵素によって修飾される。多くの態様では、セスキテルペンは、アモルファジエン、アロイソロンギフォレン、(-)-α-トランス-ベルガモテン(bergamotene)、(-)-β-エレメン、(+)-ゲルマクレンA、ゲルマクレンB、(+)-γ-グルジュネン、(+)-レデン、ネオインターメデオール、(+)-β-セリネン、および(+)-バレンセンから選択される。いくつかの態様では、セスキテルペン酸化酵素はアモルファジエン酸化酵素であり、および宿主細胞は、アモルファ-4,11-ジエン酸化酵素を含む培地で培養される。
【0144】
他の態様では、宿主細胞はさらに、テルペンシンターゼをコードするヌクレオチド配列を含む核酸で遺伝的に改変される。したがって例えば宿主細胞は、テルペンシンターゼおよびイソプレノイド修飾酵素(例えばセスキテルペン酸化酵素)をコードするヌクレオチド配列を含む1つもしくは複数の核酸で遺伝的に改変される。このような宿主細胞を適切な培地で培養することで、テルペンシンターゼおよびイソプレノイド修飾酵素(例えばセスキテルペン酸化酵素)の産生が提供される。例えばテルペンシンターゼは、ファルネシルピロリン酸を修飾して、該セスキテルペン酸化酵素用のセスキテルペン基質を産生する。
【0145】
宿主細胞が培養される培地に依存して、および宿主細胞がIPPの合成にDXP経路またはメバロン酸経路のどちらを介するかに依存して、宿主細胞は、いくつかの態様では、さらなる遺伝的改変を含む。例えば、いくつかの態様では、宿主細胞は、内因性のメバロン酸経路を有しない細胞であり、例えば宿主細胞は、通常はIPPまたはメバロン酸をメバロン酸経路を介して合成しない細胞である。例えば、いくつかの態様では、宿主細胞は、通常はIPPをメバロン酸経路を介して合成しない細胞であり、ならびに宿主細胞は、メバロン酸経路の2種類もしくはそれ以上の酵素、IPPイソメラーゼ、プレニルトランスフェラーゼ、テルペンシンターゼ、およびイソプレノイド修飾酵素(例えば本発明の核酸にコードされたイソプレノイド修飾酵素)をコードするヌクレオチド配列を含む1つもしくは複数の核酸で遺伝的に改変される。このような宿主細胞を培養することで、メバロン酸経路の酵素であるIPPイソメラーゼ、プレニルトランスフェラーゼ、テルペンシンターゼ、およびイソプレノイド修飾酵素(例えばセスキテルペン酸化酵素)の産生が提供される。メバロン酸経路の酵素であるIPPイソメラーゼ、プレニルトランスフェラーゼ、テルペンシンターゼ、およびイソプレノイド修飾酵素(例えばセスキテルペン酸化酵素)の産生は、イソプレノイド化合物の産生につながる。多くの態様では、プレニルトランスフェラーゼは、本発明の核酸にコードされたセスキテルペン酸化酵素用のセスキテルペン基質を生じるFPPシンターゼであり;およびセスキテルペン酸化酵素の産生は、宿主細胞においてセスキテルペン基質の酸化につながる。メバロン酸経路の酵素であるIPPイソメラーゼ、プレニルトランスフェラーゼ、およびテルペンシンターゼをコードする任意の核酸が使用に適している。例えば適切な核酸は、例えば前記のMartin et al. (2003)に記載されている。
【0146】
宿主細胞が、2種類もしくはそれ以上のメバロン酸経路の酵素をコードするヌクレオチド配列を含む1つもしくは複数の核酸で遺伝的に改変されている上記の態様のいくつかでは、2種類もしくはそれ以上のメバロン酸経路の酵素は、MK、PMK、およびMPDを含み、ならびに宿主細胞は、メバロン酸塩を含む培地で培養される。他の態様では、メバロン酸経路の2種類もしくはそれ以上の酵素は、アセトアセチルCoAチオラーゼ、HMGS、HMGR、MK、PMK、およびMPDを含む。
【0147】
いくつかの態様では、宿主細胞は、通常はIPPをメバロン酸経路を介して合成しない細胞であり、宿主細胞は上述の手順で遺伝的に改変されており、および宿主細胞はさらに、機能的に無効化されたDXP経路を含む。
【0148】
いくつかの態様では、宿主細胞は、シトクロムP450還元酵素(CPR)をコードするヌクレオチド配列を含む核酸で遺伝的に改変されている。CPRのさまざまなヌクレオチド配列が知られており、および公知の任意のCPRをコードする核酸を、コードされたCPRが、電子をNADPHから伝達する活性を示す限りにおいて使用することができる。いくつかの態様では、CPRをコードする核酸は、電子をNADPHから、本発明のイソプレノイド修飾酵素をコードする核酸にコードされたイソプレノイド修飾酵素、例えばセスキテルペン酸化酵素へ伝達するCPRをコードする。いくつかの態様では、CPRをコードする核酸は、本発明のCPRの核酸である。
【0149】
本発明の方法は、アルテミシニック酸(例えばセスキテルペン基質がアモルファ-4,11-ジエンの場合)、アロイソロンギフォレンアルコール(例えば基質がアロイソロンギフォレンの場合)、(E)-トランス-ベルガモタ-2,12-ジエン-14-オール(例えば基質が(-)-α-トランス-ベルガモテンの場合)、(-)-エレマ-1,3,11(13)-トリエン-12-オール(例えば基質が(-)-β-エレメンの場合)、ゲルマクラ(germacra)-1(10),4,11(13)-トリエン-12-オール(例えば基質が(+)-ゲルマクレンAの場合)、ゲルマクレンBアルコール(例えば基質がゲルマクレンBの場合)、5,11(13)-グアイアジエン(guaiadiene)-12-オール(例えば基質が(+)-γ-グルジュネンの場合)、レデンアルコール(例えば基質が(+)-レデンの場合)、4β-H-エウデスム(eudesm)-11(13)-エン-4,12-ジオール(例えば基質がネオインテルメデオールの場合)、(+)-β-コストール(costol)(例えば基質が(+)-β-セリネンなどの場合);ならびに前述の他の任意の誘導体を含むが、これらに限定されない、さまざまなイソプレノイド化合物の産生に有用である。
【0150】
いくつかの態様では、本発明の遺伝的に改変された宿主細胞は、適切な培地(例えば任意で、誘導物質などの1種類もしくは複数の添加剤を添加したルリア-ベルトーニブロスなど)(例えば、イソプレノイド修飾酵素をコードするヌクレオチド配列は誘導性プロモーターの制御下にある)で培養され;および培地を、有機溶媒、例えばドデカンで覆って有機層を形成させる。遺伝的に改変された宿主細胞によって産生されるイソプレノイド化合物は有機層に分配され、この有機層から精製可能である。イソプレノイド修飾酵素をコードするヌクレオチド配列が誘導性プロモーターに機能的に連結されている、いくつかの態様では、誘導物質を培地に添加し;および適切な時間が経過した後に、培地を覆う有機層からイソプレノイド化合物を単離する。
【0151】
いくつかの態様では、イソプレノイド化合物は、有機層中に存在する可能性のある他の生成物と分離される。有機層中に存在する可能性のある他の生成物とイソプレノイド化合物の分離は、例えば標準的なクロマトグラフィーによる手法で容易に達成される。
【0152】
いくつかの態様では、本発明の方法で合成されたイソプレノイド化合物はさらに、無細胞反応で化学的に修飾される。例えば、いくつかの態様では、アルテミシニック酸が培地および/または細胞溶解物から分離され、ならびにアルテミシニック酸はさらに無細胞反応で化学的に修飾されてアルテミシニンを生じる。
【0153】
いくつかの態様では、イソプレノイド化合物は純粋であり、例えば純度が少なくとも約40%であり、純度が少なくとも約50%であり、純度が少なくとも約60%であり、純度が少なくとも約70%であり、純度が少なくとも約80%であり、純度が少なくとも約90%であり、純度が少なくとも約95%であり、純度が少なくとも約98%であるか、または純度が98%を上回る。イソプレノイド化合物に関して使う、「純粋」とは、他のイソプレノイド化合物、高分子、混入物などを含まないイソプレノイド化合物を意味する。
【0154】
実施例
以下の実施例は、本発明の作製法および使用法の完全な開示および記述を当業者に提供するために示すものであり、発明者らが、発明者らの発明とみなす範囲を制限することを意図したものではなく、以下に示す実験が、実施された全てまたは唯一の実験であることを示すことを意図したものでもない。使用された数値(例えば、量、温度など)に関しては正確を期すように努力したが、ある程度の実験誤差および偏差は考慮されなければならない。特に示された部分を除き、割合(part)は重量の割合、分子量は重量平均分子量、温度は摂氏、および圧力は大気圧またはほぼ大気圧である。標準的な省略形を使用することができる。例えば、bp、塩基対;kb、キロ塩基;pl、ピコリットル;sまたはsec、秒;min、分;hまたはhr、時間;aa、アミノ酸;kb、キロ塩基;bp、塩基対;nt、ヌクレオチド;i.m.、筋肉内(に);i.p.、腹腔内(に);s.c.、皮下(に);など。
【0155】
実施例1:イソプレノイド修飾酵素のクローニングおよび配列決定
テルペンを水酸化することが知られている酵素の大半はシトクロムP450である。テルペン水酸化酵素の利用可能な全てのアミノ酸配列を、ヒマワリおよびレタスに由来するシトクロムP450のアミノ酸配列とアライメントした。これら2種の植物種は、クソニンジンも属するキク科に属する。イソプレノイド修飾酵素、例えばCYP71Dファミリーはクラスターを構成することから、祖先が共通であることが示唆されている。キク科のCYP71Dファミリーの遺伝子を増幅する、縮重ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)用のプライマーを設計した。
【0156】
CYP71AV1(CYP71D-A4またはAMOとも呼ばれる)およびCPRのcDNAのクローニング
cDNAのプールを、Super SMART PCR cDNA合成キット(BD Bioscience)によって、クソニンジンの線毛濃縮細胞から精製した50 ngの全RNAを使用して調製した。[Y/Q]G[E/D][H/Y]WR(フォワード)のプライマー1およびFIPERFのプライマー2(リバース)の縮重P450プライマーを、レタスおよびヒマワリのCYP71サブファミリーの保存アミノ酸モチーフから設計した(表Iにプライマーの配列情報を示す)。
【0157】
(表I)プラスミドの構築に使用したプライマー
【0158】
これらのプライマー、およびクソニンジンのcDNAを使用するポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によって、1 kbのDNA断片が得られた。PCRプログラムは、48℃のアニーリング温度で7サイクルと55℃のアニーリング温度で追加の27サイクルとした。増幅遺伝子断片に由来する推定アミノ酸は、それぞれヒマワリ(QH_CA_Contig1442)およびレタス(QG_CA_Contig7108)のコンティグに対して85%および88%のアミノ酸同一性を示した。Compositae EST-データベースはcgpdb.ucdavis.eduにある。クソニンジンのCPR断片を、それぞれ保存されたQYEHFNKI(SEQ ID NO:32)およびCGDAKGMA(SEQ ID NO:33)のモチーフから設計したフォワードプライマー(プライマー3)およびリバースプライマー(プライマー4)を使用して単離した。PCRプログラムは、50℃のアニーリング温度で30サイクルとした。CYP71AV1(「CYP71D-A4」)およびCPRに対する5'端と3'端の両方の配列をRLM-RACEキット(Ambion)を使用して決定後に、クソニンジンの葉のcDNAから完全長のcDNAを回収した。CYP71AV1およびCPRのオープンリーディングフレームをPCRで増幅し、ならびに、FLAGおよびcMycタギング用のpESC-URA(Stratagene)のSpeIおよびBamHI/SalI切断部位にそれぞれ連結した。CYP71AV1のPCRによる増幅にはプライマー5およびプライマー6を使用し;CPRのPCRによる増幅にはプライマー7およびプライマー8を使用した。PCRプログラムは、55℃のアニーリング温度で35サイクルとした。全てのクローンの配列を決定して配列を確認した。
【0159】
植物抽出物の解析
クソニンジンの葉(新鮮重量100〜200 mg)を、5.8μMのオクタデカンを内部標準として添加した1 mLのヘキサン中で2時間、激しく攪拌した。ヘキサノール抽出物を200μLに濃縮し、および1μLの試料を、DB-XLBカラム(内径0.25 mm×0.25μm×30 m、J & W Scientific)を使用するGC-MS解析に使用することで、上述の14の植物試料中のアルテミシニン含量を決定した。Woerdenbag et al. (1991) Phytochem. Anal., 2, 215-219。GCオーブンのプログラムは、100℃〜250℃で5℃/分の増分とした。植物のヘキサノール抽出物をTMS-ジアゾメタンによって誘導体化することで、アルテミシニック酸含量を、DB5カラムを装着したGC-FIDで決定した(n=8)。GCオーブンのプログラムは、80℃(2分間維持)、20℃/分ので140℃に上昇、5℃/分の増分による最高220℃までの上昇による生成物の分離とした。真正アルテミシニン標準は、Sigma-Aldrich(St. Louis, MO)から購入した。
【0160】
アルテミシニックアルコールの合成
アルテミシニック酸(100.0 mg、0.43 mmol)をTHF(10.0 mL)に溶解し、およびLiAlH4(17.0 mg、0.45 mmol)を添加した。この非均質混合物を70℃で15時間、還流しながら維持した。冷却後に反応を、水(3.0 mL)および15% NaOH水溶液(3.0 mL)で停止させ、10分間攪拌し、ならびにセライトで濾過した。有機相を分離し、MgSO4上で乾燥し、および回転式エバポレーターを使用して濃縮した。生成物をカラムクロマトグラフィー(2:1ヘキサン/EtOAc)で精製し、61.0 mg(収率65%)のアルコールを無色の油状物質として得た。微量のアルテミシニック酸の混入物をさらに、中性アルミナ(ブロックマン活性1)によるカラムクロマトグラフィーで除去した。解析データは、文献報告値と一致していた。
【0161】
アルテミシニックアルデヒドの合成
アルテミシニックアルコールを、文献に報告された手順に従って、アルテミシニックアルデヒドに酸化した。Sharpless et al. Tetrahedron Letters 17, 2503-2506 (1976)。アルゴン雰囲気下で、RuCl2(PPh3)3(17.0 mg、0.018 mmol)およびN-メチルモルホリンN-オキシド(60.0 mg、0.51 mmol)を含む、炎で乾燥した10-mLフラスコにアセトン(4.0 mL)を添加した。同溶液に、アセトン(1.0 mL)に溶解したアルテミシニックアルコール(55.0 mg、0.25 mmol)をシリンジ経由で添加した。同混合物を23℃で2時間、攪拌し、および真空中で濃縮した。粗生成物をカラムクロマトグラフィー(4:1ヘキサン/EtOAc)で精製し、32.0 mg(収率59%)のアルテミシニックアルデヒドを無色の油状物質として得た。解析データは、文献報告値と一致していた。
【0162】
EPY株の作製および解析
化学物質
ドデカンおよびカリオフィレンはSigma-Aldrich(St. Louis, MO)から購入した。5-フルオロオロト酸(5-FOA)はZymo Research(Orange, CA)から購入した。Synthetic Defined(SD)培地調製用のComplete Supplement MixtureはQbiogene(Irvine, CA)から購入した。他の全ての培地成分はSigma-AldrichまたはBecton Dickinson(Franklin Lakes, NJ)のいずれかから購入した。
【0163】
株および培地
本研究で使用する発現プラスミドの構築時の細菌の形質転換、およびプラスミドの増幅には、大腸菌株DH10BおよびDH5αを使用した。これらの株は、100 mg/Lのアンピシリンを添加したルリア-ベルターニ培地で37℃で培養した。ただしpδ-UBベースのプラスミドの場合は、DH5αを使用して50 mg L/Lのアンピシリン存在下で培養した。
【0164】
S288Cに由来する出芽酵母株BY4742(Brachmann et al. Yeast 14, 115-132 (1998))を、全ての酵母株の親株として使用した。この株をリッチYPD培地で成長させた。Burke et al. Methods in yeast genetics: a Cold Spring Harbor laboratory course manual (Cold Spring Harbor Laboratory Press, Plainview, NY, 2000)。改変酵母株は、適切であればロイシン、ウラシル、ヒスチジン、および/またはメチオニンを添加したSD培地(Burke et al.、前掲)で成長させた。GAL1プロモーターから発現される遺伝子の誘導時には、出芽酵母株を、炭素源を2%ガラクトースのみとして成長させた。
【0165】
プラスミドの構築
GAL1プロモーターによるADS発現用にプラスミドpRS425ADSを作製するために、ADSをpADS(Martin et al. Nat. Biotechnol. 21, 796-802 (2003))からPCRで、プライマー対9および10を使用して増幅した(表I)。これらのプライマーを使用して、ヌクレオチド配列5'-AAAACA-3'をADSの開始コドンのすぐ上流にクローニングした。このコンセンサス配列は、ADSおよび本研究で使用される他のガラクトース誘導性遺伝子の効率的な翻訳のために使用した。増幅産物をSpeIおよびHindIIIで切断し、ならびにSpeIおよびHindIIIで切断したpRS425GAL1(Mumberg et al. Nucleic Acids Research 22, 5767-5768 (1994))にクローニングした。
【0166】
tHMGRの発現カセットの組込み用にプラスミドpδ-HMGRを構築した。第1のSacII制限酵素切断部位をpRS426GAL1(Mumberg et al.、前掲)のGAL1プロモーターの5'側およびCYC1ターミネーターの3'側に導入した。これを達成するために、pRS426GAL1のプロモーター-マルチクローニングサイト-ターミネーターのカセットを、プライマー対11および12によるPCRで増幅した。増幅産物を、PvuIIで切断したpRS426GAL1に直接クローニングし、ベクターpRS426-SacIIを構築した。HMG1の触媒ドメインをプラスミドpRH127-3(Donald et al. Appl. Environ. Microbiol. 63, 3341-3344 (1997))から、プライマー対13および14を使用したPCRで増幅した。増幅産物をBamHIおよびSalIで切断し、ならびにBamHIおよびXhoIで切断したpRS426-SacIIにクローニングした。pRS-HMGRをSacIIで切断し、ならびに発現カセット断片をゲルから抽出し、およびSacIIで切断したpδ-UBにクローニングした(Lee et al. Biotechnol. Prog. 13, 368-373 (1997))。
【0167】
UPC2のupc2-1対立遺伝子をプラスミドpBD33から、プライマー対15および16を使用したPCRで増幅した。増幅産物をBamHIおよびSalIで切断し、ならびにBamHIおよびXhoIで切断したpRS426-SacIIにクローニングしてプラスミドpRS-UPC2を得た。upc2-1の組込みに関しては、pRS-UPC2をSacIIで切断して適切な断片をpδ-UBに移動させることによって、同一の様式でpδ-UPC2を作製した。
【0168】
ERG9プロモーターとMET3プロモーターを置換するためにプラスミドpRS-ERG9を構築した。プラスミドpRH973(Gardner et al. J. Biol. Chem. 274, 31671-31678 (1999))は、MET3プロモーターの下流に配置されたERG9の短縮型の5'セグメントを含む。pRH973をApaIおよびClaIで切断し、ならびにApaIおよびClaIで切断した、HIS3選択マーカーを有するpRS403(Sikorski et al. Genetics 122, 19-27 (1989))にクローニングした。
【0169】
ERG20の発現用に、プラスミドpδ-ERG20を構築した。プラスミドpRS-SacIIを最初にSalIおよびXhoIで切断し、適合性のある付着末端を生じさせた。次に同プラスミドを自己連結させてSalI切断部位およびXhoI切断部位を除去してプラスミドpRS-SacII-DXを得た。ERG20をBY4742のゲノムDNAからPCRで、プライマー対17および18を使用して増幅した。増幅産物をSpeIおよびSmaIで切断し、ならびにSpeIおよびSmaIで切断したpRS-SacII-DXにクローニングした。次にpRS-ERG20をSacIIで切断し、および発現カセット断片をゲルから抽出し、SacIIで切断したpδ-UBにクローニングした。
【0170】
酵母の形質転換および株の構築
S288Cに由来する出芽酵母株BY4742(Brachmann et al.、前掲)を全ての出芽酵母株の親株として使用した。全ての出芽酵母株の形質転換は、標準的な酢酸リチウム法で実施した。Gietz, R. D. & Woods, R.A. in Guide to Yeast Genetics and Molecular and Cell Biology, Part B, 87-96 (Academic Press Inc, San Diego, 2002)。最高のアモルファジエン産生形質転換体を選択するために、各形質転換に由来する3〜10個のコロニーをスクリーニングした。株BY4742のプラスミドpRS425ADSによる形質転換およびSD-LEUプレート上における選択によって、株EPY201を構築した。プラスミドpδ-HMGRをXhoIで切断後に、同DNAで株EPY201を形質転換した。SD-LEU-URAプレート上における最初の選択後に、形質転換体を培養し、およびURA3マーカーの欠失を選択するために、1 g/Lの5-FOAを含むSD-LEUプレートにプレーティングした。結果として得られたウラシル栄養要求株であるEPY208を次に、XhoIで切断したpδ-UPC2プラスミドDNAで形質転換した。SD-LEU-URAプレート上における最初の選択後に、形質転換体を培養し、およびEPY210を構築するために、1 g/Lの5-FOAを含むSD-LEUプレートにプレーティングした。プラスミドpRS-ERG9を、PMET3-ERG9融合体を、それぞれEPY213およびEPY225を構築する目的でEPY208およびEPY210のERG9座位に組み込むためにHindIIで切断した。これらの株は、SD-LEU-HIS-METプレートで選択された。次にEPY213を、XhoIで切断したpδ-HMGRプラスミドDNAで形質転換した。SD-LEU-URA-HIS-METプレートによる最初の選択後に、形質転換体を培養し、およびEPY219を構築するために、1 g/Lの5-FOAを含むSD-LEU-HIS-METプレートにプレーティングした。EPY219を、XhoIで切断したpδ-ERG20プラスミドDNAで形質転換した。SD-LEU-URA-HIS-METプレートによる最初の選択後に、形質転換体を培養し、およびEPY224を構築するために、1 g/Lの5-FOAを含むSD-LEU-HIS-METプレートにプレーティングした。
【0171】
pRS-ERG9の組込みを、2セットのプライマーを使用したPCR解析で検証した。各セットは、挿入DNAに結合するオリゴ、および挿入部の周囲のゲノムDNAに結合するオリゴを含むものとした。他の全ての組込みは、完全長の挿入に関して、GAL1プロモーターの5'端および融合遺伝子の3'端に結合するプライマーを使用して検証した。
【0172】
酵母の培養
600 nmにおける全ての光学密度(OD600)の測定を、Beckman DU-640型分光光度計を使用して行った。アモルファジエンの産生を測定するために、5 mLのSD(2%ガラクトース)培地(上述の適切なアミノ酸を欠く)を含む培養用チューブに対象株を播種した。これらの播種物(innocula)を、OD600が1〜2となるまで30℃で成長させた。50 mLのSD培地を含むバッフル無し培養フラスコ(250 mL)に、OD600が0.05の種培養物を播種した。アモルファジエンの産生を、6日間の成長後に測定した。ERG9座位におけるPMET3-ERG9融合体の抑制目的で、1 mMのメチオニンを各培養物に存在させた。全てのフラスコには、5 mLのドデカンも含むようにした。このドデカン層をサンプリングして酢酸エチルで希釈し、GC-MSによるアモルファジエンの産生の決定に使用した。
【0173】
結果
アルテミシニンは、植物の特殊な細胞群である腺状突起で産生される。腺状突起をクソニンジンから分離し;およびRNAを細胞から抽出した。縮重プライマーを使用して、CYP71D-A4と命名された新規遺伝子の部分的なcDNAを単離した。完全長の遺伝子を、cDNA末端の迅速な増幅(RACE)を行うことで回収した。cDNAのコード領域のヌクレオチド配列を図1に示し(SEQ ID NO:1);翻訳されたアミノ酸配列を図2に示す(SEQ ID NO:2)。
【0174】
CYP71D-A4の完全長のcDNAを酵母細胞で発現させた。アモルファジエン酸化酵素の活性を調べるために、CYP71D-A4を、クソニンジン由来のCPR遺伝子(AACPR;図3;図4に示されたコードされたタンパク質のアミノ酸配列)がGal1プロモーターから発現されるpESC-URA(Stratagene)バックボーンプラスミド中のGal10プロモーターの転写制御下に配置した。上述した縮重プライマーを使用するPCRおよびRACE法によって、クソニンジンの腺状突起中のmRNAからAACPR遺伝子を得た。
【0175】
アモルファ-4,11-ジエン酸化酵素の活性を対象とするインビボアッセイ法を行うために、このプラスミド(p71D-A4/CPR::pESC-URA)、およびCYP71D-A4遺伝子を欠く対照プラスミドで、アモルファ-4,11-ジエンを産生するように改変した出芽酵母細胞を形質転換した。簡単に説明すると、このような細胞は、酵母で可溶性の短縮型HMG CoA還元酵素をコードする組み込まれた遺伝子を有する株BY4742である。これらの細胞は、コドンが最適化されたADS遺伝子をGAL1プロモーターの制御下に有するpRS425ADSを有する。形質転換された細胞を、合成ロイシンおよび合成ウラシルを滴下した培地で培養し、ならびに2%ガラクトースで29時間かけて誘導し、および培地をエーテルで抽出した。抽出物を濃縮し、および1μlについて、EXLカラムを装着したガスクロマトグラフィー-質量分析(GC-MS)による解析を、50℃から250℃まで5℃/分で上昇させる温度プログラムで行った。アルテミシニックアルコールおよびアルテミシニックアルデヒドの合成には、標準として使用される真正アルテミシニック酸を使用した。この方法によって、CPRおよびCYP71D-A4を発現する細胞から2本のピークが検出されたが、CPRのみを発現する対照細胞からは検出されなかった。保持時間および質量スペクトルを、真正標準と比較することで、これらのピークがアルテミシニックアルコールおよびアルテミシニックアルデヒドに対応することが判明した。アルテミシニック酸は検出されなかった;つまり、その低揮発性のために誘導体化されることなしには、GCにおいて出現しないと推定される。
【0176】
同じ2つのプラスミドが出芽酵母の野生株YPH499に個別に導入された、アモルファ-4,11-ジエン酸化酵素活性を対象としたインビボフィーディングアッセイ法を実施した。酵母細胞を、50 mLの2%デキストロースおよびウラシルを滴下した培地で培養し、ならびに2%ガラクトースで24時間かけて誘導した。5 mLの誘導酵母細胞を遠心分離して回収し、および150μMのアモルファ-4,11-ジエン、アルテミシニックアルコール、またはアルテミシニックアルデヒドを含む新鮮な培地を、酵母細胞を再懸濁するために使用した。次に酵母細胞を30℃で5時間、培養した。培地をエーテルで抽出後に、N-(tert-ブチルジメチルシリル)-N-メチルトリフルオロアセトアミドを使用して誘導体化することで、GC-MSによる任意のアルテミシニック酸の検出が可能となった。真正のアルテミシニックアルコールおよびアルテミシニック酸の標準も同様に誘導体化した。1μLの個々の誘導体化された対照および試料をGC-MSで解析した。50℃から250℃まで5℃/分で上昇させる温度プログラムを使用した。
【0177】
細胞にアモルファ-4,11-ジエンを加えたところ、アルテミシニック酸が有意に蓄積し、併せて微量のアルテミシニックアルコール化合物およびアルテミシニックアルデヒド化合物が、CPRとCYP71D-A4の両方を発現する酵母細胞でのみ検出された(図5A)。細胞にアルテミシニックアルコールまたはアルテミシニックアルデヒドを加えたところ、アルテミシニック酸の相対的な蓄積は、CPRのみで形質転換された対照株より、CPR/CYP71D-A4で形質転換された酵母細胞の培地において高かった(図5Bおよび図5C)。
【0178】
図5A〜C
アモルファジエン(図5A)および他の2種類のアルテミシニン中間体--アルテミシニックアルコール(図5B)およびアルテミシニックアルデヒド(図5C)--を150μMの濃度で、CPRのみで形質転換された酵母細胞(上のクロマトグラフ)、またはCPRとCYP71D-A4の両方で形質転換された酵母細胞(下のクロマトグラフ)を含む培地に添加して培養し、および2%ガラクトースで誘導した。アモルファジエン(1)、アルテミシニックアルコール(2)、アルテミシニックアルデヒド(3)、およびアルテミシニック酸(4)を矢印で示す。アルテミシニックアルコール(2)およびアルテミシニック酸(4)は、N-(tert-ブチルジメチルシリル)-N-メチルトリフルオロアセトアミドによる誘導体化後に検出された。アスタリスクは、培地に添加された基質を示す。
【0179】
試料に含まれる誘導体化されたアルテミシニック酸が本物であることを、真正アルテミシニック酸標準によって確認した(図6Aおよび図6B)。これらのデータから、第1の水酸化が、CYP71D-A4クローンにコードされたシトクロムP450酵素によって触媒されること、ならびに、これに続くアルテミシニックアルコールからアルテミシニックアルデヒドへの、およびアルテミシニックアルデヒドからアルテミシニック酸への酸化による変換が、酵母の内因性の酸化活性とともにCYP71D-A4組換え酵素によって触媒されている可能性が高いことがわかる。
【0180】
図6Aおよび図6B
CPR/71D-A4によって形質転換された酵母細胞へのアモルファジエンの添加後に産生された新規化合物の質量スペクトルおよび保持時間を図6Aに示し、ならびにアルテミシニック酸の真正標準の質量スペクトルおよび保持時間を図6Bに示す。生成物も標準も、114質量単位がベースの分子量に添加された、誘導体化後のGC-MSによって検出された。
【0181】
ガラクトースなどの単糖に由来する、改変酵母におけるアルテミシニック酸のデノボ合成は、CPR(「AACPR」)とAMO(「CYP17D-A4」)の両方を有するpESC-URAで遺伝的に改変されたEPY224(pESC-URA::AACPR/AMO)によって明らかにされた。短縮型の酵母HMGCoA還元酵素をコードするコンストラクトは、酵母株BY4742に2回組み込まれていた。転写因子upc2-1を、エルゴステロール生合成経路の複数の遺伝子の転写レベルを上昇させるために過剰発現させた。スクアレンシンターゼの遺伝子(ERG9)は、メチオニン抑制型プロモーターMET3によってダウンレギュレートされた。FPPシンターゼをGal1プロモーターによって過剰に発現し、およびADSもpRS425バックボーン中のGal1プロモーターによって過剰に発現した。pESC-URA::AACPR/AMOを有する酵母EPY224株を、1.8%ガラクトースおよび0.2%グルコースを含む合成培地で5日間にわたって30℃で培養した。酵母細胞を沈殿させ、およびペレットをアルカリ性緩衝液(Tris緩衝液、pH 9)で洗浄した。HClを添加して緩衝液をpH 2に酸性化させ;ならびに酸性化された緩衝液を酢酸エチルで抽出した。TMS-ジアゾメタンおよびメタノールを酢酸エチルフラクションに添加し、アルテミシニック酸を誘導体化した。メチルエステル型のアルテミシニック酸がGC-MSで検出された。
【0182】
図7A〜7Cは、AACPRおよびAMOの発現時の酵母におけるアルテミシニック酸のデノボ産生を示す。これとは対照的に、AACPRのみを発現する対照酵母株ではアルテミシニック酸は検出されなかった。13.62分における新たなピーク(図7A、ピーク1)は、植物クソニンジン由来の真正アルテミシニック酸と同じ質量断片化パターンを示していた(図7Bおよび図7C)。
【0183】
図8A〜8Cは、インビトロAMO酵素アッセイ法を示す。ミクロソームは、AACPRまたはCPR/AMOを発現する出芽酵母YPH499から単離した。使用した基質に対するクロマトグラフィーによるピークに星印を付す。各酵素アッセイ法には、10μMのアモルファジエン(a)、25μMのアルテミシニックアルコール(b)、または25μMのアルテミシニックアルデヒド(c)を使用した。エーテル抽出可能なフラクションを誘導体化し、およびGC-MSで選択的イオンモード(m/z:121、189、204、218、220、および248)で解析した。酵素反応生成物を以下のように示す:1、アルテミシニックアルコール[保持時間(Rt)=13.20];2、アルテミシニックアルデヒド(Rt=11.79);3、アルテミシニック酸(Rt=13.58、メチルエステルとして検出)。
【0184】
図9は、テルペン水酸化酵素をコードする、71D-B1(アモルファジエン水酸化酵素の場合は「AMH」とも呼ばれる)と命名されたcDNAクローンのヌクレオチド配列を示す。
【0185】
図10は、71D-B1(AMH)にコードされたタンパク質のアミノ酸配列を示す。
【0186】
図11A〜Cは、AMHクローン(71D-B1)にコードされた組換え型酵素の水酸化活性を示す。Aの16.82分におけるピークは、HMGCoAを過剰発現する酵母におけるAMOが発現時のアルテミシニック酸であり、ならびにBの18.50分におけるピークは、HMGCoAを過剰発現する酵母におけるAMHおよびAACPRが過剰発現時の水酸化アモルファジエンである。水酸化アモルファジエンの質量断片化パターンを図11Cに示す。水酸化アモルファジエンの親イオンのピーク(220)が示されており、ならびにセスキテルペンおよびテルペンに対応する他の典型的なイオン断片化パターンも示されている(例えば、93、119、132、145、159、および177)。
【0187】
図12は、テルペン水酸化酵素/酸化酵素をコードするゲノムDNAのヌクレオチド配列を示す。
【0188】
本発明を、本発明の特定の態様を参照して説明したが、当業者であれば、本発明の真の意図および範囲から逸脱することなく、さまざまな変更を加えることが可能であること、および同等物で置き換えることが可能なことを理解すべきである。加えて、本発明の目的、意図、および範囲に対して、特定の状況、材料、組成物、工程、工程段階もしくは複数の段階に適合させるために多くの変更が可能である。このようなあらゆる変更は、添付の特許請求の範囲に含まれることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0189】
【図1】CYP71D-A4のcDNAをコードする配列のヌクレオチド配列(SEQ ID NO:1)を示す。
【図2】アモルファジエン12-酸化酵素のアミノ酸配列(SEQ ID NO:2)を示す。
【図3】クソニンジンのシトクロムP450還元酵素(AACPR)のcDNAのコード領域のヌクレオチド配列(SEQ ID NO:3)を示す。
【図4】クソニンジンのシトクロムP450還元酵素のアミノ酸配列(SEQ ID NO:4)を示す。
【図5】インビボ基質フィーディング実験の結果を示す。
【図6】GC-MSによる生成物の確認を示す。
【図7】酵母におけるアルテミシニック酸のデノボ産生を示す。
【図8】インビトロにおけるアモルファジエン酸化酵素の酵素アッセイ法を示す。
【図9】イソプレノイド修飾酵素をコードするcDNA(クローン71D-B1)のヌクレオチド配列(SEQ ID NO:5)を示す。
【図10】イソプレノイド修飾酵素のアミノ酸配列(71D-B1;SEQ ID NO:6)を示す。
【図11】酵素71D-B1の水酸化活性を示す。
【図12】イソプレノイド修飾酵素をコードするゲノムDNAのヌクレオチド配列(SEQ ID NO:7)を示す。
【図13】イソペンテニル二リン酸(IPP)およびジメチルアリル二リン酸(DMAPP)に由来する、イソプレノイド生合成経路の中間体であるポリプレニル二リン酸ゲラニル二リン酸(GPP)、ファルネシル二リン酸(FPP)、およびゲラニルゲラニル二リン酸(GGPPP)の産生につながるイソプレノイド代謝経路の略図。
【図14】IPPの産生につながるメバロン酸(MEV)経路の略図。
【図15】IPPおよびジメチルアリルピロリン酸(DMAPP)の産生につながるDXP経路の略図。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
SEQ ID NO:1に記載されたヌクレオチド配列に対して少なくとも60%のヌクレオチド配列同一性を有する、イソプレノイド化合物を修飾する酵素をコードするヌクレオチド配列を含む単離されたポリヌクレオチド。
【請求項2】
ヌクレオチド配列が、SEQ ID NO:1に記載されたヌクレオチド配列に対して少なくとも80%のヌクレオチド配列同一性を有する、請求項1記載のポリヌクレオチド。
【請求項3】
ヌクレオチド配列が、SEQ ID NO:1に記載されたヌクレオチド配列に対して少なくとも90%のヌクレオチド配列同一性を有する、請求項1記載のポリヌクレオチド。
【請求項4】
ポリヌクレオチドが、SEQ ID NO:2に記載されたアミノ酸配列に対して少なくとも約45%のアミノ酸配列同一性を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む、請求項1記載のポリヌクレオチド。
【請求項5】
ヌクレオチド配列が、SEQ ID NO:2に記載されたアミノ酸配列に対して少なくとも約65%のアミノ酸配列同一性を有するポリペプチドをコードする、請求項4記載のポリヌクレオチド。
【請求項6】
ヌクレオチド配列が、SEQ ID NO:2に記載されたアミノ酸配列に対して少なくとも約85%のアミノ酸配列同一性を有するポリペプチドをコードする、請求項4記載のポリヌクレオチド。
【請求項7】
請求項1記載のポリヌクレオチドを含む組換えベクター。
【請求項8】
請求項1記載のポリヌクレオチドを含む宿主細胞。
【請求項9】
請求項7記載の組換えベクターを含む宿主細胞。
【請求項10】
宿主細胞が、イソプレノイド修飾酵素を産生するように、SEQ ID NO:2に記載されたアミノ酸配列に対して少なくとも約45%のアミノ酸同一性を有するイソプレノイド修飾酵素をコードするヌクレオチド配列を含む核酸で遺伝的に改変されている、遺伝的に改変された宿主細胞を適切な培地で培養する段階
を含む、宿主細胞でイソプレノイド化合物を産生させる方法であって、
テルペン基質の存在下では、イソプレノイド修飾酵素の産生が、テルペン基質の酵素的修飾およびイソプレノイド化合物の産生につながる、方法。
【請求項11】
イソプレノイド修飾酵素がアモルファジエン酸化酵素であり、かつテルペン基質がアモルファ-4,11-ジエンである、請求項10記載の方法。
【請求項12】
宿主細胞が真核宿主細胞である、請求項10記載の方法。
【請求項13】
宿主細胞が酵母細胞である、請求項12記載の方法。
【請求項14】
宿主細胞が植物細胞である、請求項12記載の方法。
【請求項15】
宿主細胞が、テルペンシンターゼをコードするヌクレオチド配列を含む核酸でさらに遺伝的に改変されている、請求項10記載の方法であって、培養する段階が該テルペンシンターゼの産生を提供し、該テルペンシンターゼがファルネシルピロリン酸を修飾して、イソプレノイド修飾酵素用のセスキテルペン基質を生じる、方法。
【請求項16】
宿主細胞が、テルペンシンターゼをコードするヌクレオチド配列を含む核酸でさらに遺伝的に改変されている、請求項10記載の方法であって、培養する段階が該テルペンシンターゼの産生を提供し、該テルペンシンターゼがゲラニルピロリン酸を修飾して、イソプレノイド修飾酵素用のモノテルペン基質を生じる、方法。
【請求項17】
宿主細胞が、テルペンシンターゼをコードするヌクレオチド配列を含む核酸でさらに遺伝的に改変されている、請求項10記載の方法であって、培養する段階が該テルペンシンターゼの産生を提供し、該テルペンシンターゼがゲラニルゲラニルピロリン酸を修飾して、イソプレノイド修飾酵素用のジテルペン基質を生じる、方法。
【請求項18】
宿主細胞が、通常はイソペンテニルピロリン酸(IPP)をメバロン酸経路を介して合成しない細胞であり、ならびに宿主細胞が、メバロン酸経路の酵素であるIPPイソメラーゼ、プレニルトランスフェラーゼ、およびテルペンシンターゼの2種類もしくはそれ以上をコードするヌクレオチド配列を含む1つもしくは複数の核酸で遺伝的に改変されており、培養する段階がメバロン酸経路の酵素の産生を提供し、メバロン酸経路の酵素である該IPPイソメラーゼ、該プレニルトランスフェラーゼ、該テルペンシンターゼ、およびイソプレノイド修飾酵素の2種類もしくはそれ以上の産生がイソプレノイド化合物の産生を生じる、請求項10記載の方法。
【請求項19】
2種類もしくはそれ以上のメバロン酸経路の酵素が、メバロン酸キナーゼ、ホスホメバロン酸キナーゼ、およびメバロン酸ピロリン酸デカルボキシラーゼを含み、ならびに宿主細胞がメバロン酸の存在下で培養される、請求項18記載の方法。
【請求項20】
2種類もしくはそれ以上のメバロン酸経路の酵素が、アセトアセチル-CoAチオラーゼ、ヒドロキシメチルグルタリル-CoAシンターゼ、ヒドロキシメチルグルタリル-CoA還元酵素、メバロン酸キナーゼ、ホスホメバロン酸キナーゼ、およびメバロン酸ピロリン酸デカルボキシラーゼを含む、請求項18記載の方法。
【請求項21】
プレニルトランスフェラーゼがファルネシルピロリン酸シンターゼである、請求項18記載の方法。
【請求項22】
セスキテルペンがイソプロペニル基を含む、請求項10記載の方法。
【請求項23】
イソプレノイド修飾酵素が、テルペン基質のイソプロペニル基の酸化を触媒する、請求項10記載の方法。
【請求項24】
テルペン基質がセスキテルペンである、請求項10記載の方法。
【請求項25】
イソプレノイド修飾酵素が、アモルファジエンのC12酸化を触媒する、請求項10記載の方法。
【請求項26】
セスキテルペンが、アモルファジエン、アロイソロンギフォレン、(-)-α-トランス-ベルガモテン(bergamotene)、(-)-β-エレメン、(+)-ゲルマクレンA、ゲルマクレンB、(+)-γ-グルジュネン(gurjunene)、(+)-レデン(ledene)、ネオインテルメデオール(neointermedeol)、(+)-β-セリネン、および(+)-バレンセン(valencene)から選択される、請求項24記載の方法。
【請求項27】
テルペン基質がモノテルペンである、請求項10記載の方法。
【請求項28】
テルペン基質がジテルペンである、請求項10記載の方法。
【請求項29】
テルペン基質がトリテルペンである、請求項10記載の方法。
【請求項30】
テルペン基質がポリテルペンである、請求項10記載の方法。
【請求項31】
イソプレノイド修飾酵素をコードするヌクレオチド配列が、SEQ ID NO:1に記載されたヌクレオチド配列に対して少なくとも約60%のヌクレオチド配列同一性を有する、請求項10記載の方法。
【請求項32】
宿主細胞が、シトクロムP450還元酵素(CPR)をコードするヌクレオチド配列を含む核酸で遺伝的に改変されている、請求項10記載の方法。
【請求項33】
イソプレノイド修飾酵素をコードするヌクレオチド配列が、誘導性プロモーターに機能的に連結されている、請求項10記載の方法。
【請求項34】
宿主細胞が原核宿主細胞である、請求項10記載の方法。
【請求項35】
原核宿主細胞が大腸菌である、請求項31記載の方法。
【請求項36】
原核宿主細胞が、通常は、IPPを1-デオキシ-D-キシルロース-5-リン酸(DXP)経路を介して合成する細胞である、請求項34記載の方法。
【請求項37】
DXP経路が不活性化されている、請求項36記載の方法。
【請求項38】
イソプレノイド化合物を単離する段階をさらに含む、請求項10記載の方法。
【請求項39】
イソプレノイド化合物がアルテミシニック酸である、請求項11記載の方法。
【請求項40】
アルテミシニック酸を修飾してアルテミシニンを生じる段階をさらに含む、請求項39記載の方法。
【請求項41】
ヌクレオチド配列が、SEQ ID NO:3に記載されたヌクレオチド配列に対して少なくとも90%のヌクレオチド配列同一性を有する、シトクロムP450還元酵素をコードするヌクレオチド配列を含む単離されたポリヌクレオチド。
【請求項42】
請求項41記載のポリヌクレオチドを含む組換えベクター。
【請求項43】
請求項41記載のポリヌクレオチドを含む宿主細胞。
【請求項44】
請求項42記載の組換えベクターを含む宿主細胞。
【請求項45】
宿主細胞が、イソプレノイド修飾酵素を産生するように、SEQ ID NO:2に記載されたアミノ酸配列に対して少なくとも約45%のアミノ酸同一性を有するイソプレノイド修飾酵素をコードするヌクレオチド配列を含む核酸で遺伝的に改変されている、遺伝的に改変された宿主細胞を適切な培地で培養する段階を含む、テルペン化合物を水酸化する方法であって、テルペン化合物の存在下では、該イソプレノイド修飾酵素の産生がテルペン化合物の水酸化につながる、方法。
【請求項46】
SEQ ID NO:2に記載されたアミノ酸配列に対して少なくとも約45%のアミノ酸同一性を有するイソプレノイド修飾酵素をコードするヌクレオチド配列を含む核酸を含むトランスジェニック植物であって、核酸が植物の細胞で発現されると、細胞内でイソプレノイド修飾酵素が産生される、トランスジェニック植物。
【請求項47】
植物が単子葉植物である、請求項46記載のトランスジェニック植物。
【請求項48】
植物が双子葉植物である、請求項46記載のトランスジェニック植物。
【請求項49】
植物がタバコである、請求項46記載のトランスジェニック植物。
【請求項50】
イソプレノイド修飾酵素をコードするヌクレオチド配列が、構成的プロモーターに機能的に連結されている、請求項46記載のトランスジェニック植物。
【請求項51】
イソプレノイド修飾酵素をコードするヌクレオチド配列が、誘導性プロモーターに機能的に連結されている、請求項46記載のトランスジェニック植物。
【請求項52】
イソプレノイド修飾酵素をコードするヌクレオチド配列が、組織特異的プロモーターに機能的に連結されている、請求項46記載のトランスジェニック植物。
【請求項53】
組織特異的なプロモーターが毛状突起特異的プロモーターである、請求項52記載のトランスジェニック植物。
【請求項54】
植物がクソニンジン(Artemisia annua)である、請求項46記載のトランスジェニック植物。
【請求項55】
請求項46記載のトランスジェニック植物を、イソプレノイド修飾酵素の産生に好ましい条件で維持する段階を含む、イソプレノイド化合物を産生させる方法であって、イソプレノイド修飾酵素の産生が、テルペン基質の修飾およびイソプレノイド化合物の産生を生じる、方法。
【請求項1】
SEQ ID NO:1に記載されたヌクレオチド配列に対して少なくとも60%のヌクレオチド配列同一性を有する、イソプレノイド化合物を修飾する酵素をコードするヌクレオチド配列を含む単離されたポリヌクレオチド。
【請求項2】
ヌクレオチド配列が、SEQ ID NO:1に記載されたヌクレオチド配列に対して少なくとも80%のヌクレオチド配列同一性を有する、請求項1記載のポリヌクレオチド。
【請求項3】
ヌクレオチド配列が、SEQ ID NO:1に記載されたヌクレオチド配列に対して少なくとも90%のヌクレオチド配列同一性を有する、請求項1記載のポリヌクレオチド。
【請求項4】
ポリヌクレオチドが、SEQ ID NO:2に記載されたアミノ酸配列に対して少なくとも約45%のアミノ酸配列同一性を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む、請求項1記載のポリヌクレオチド。
【請求項5】
ヌクレオチド配列が、SEQ ID NO:2に記載されたアミノ酸配列に対して少なくとも約65%のアミノ酸配列同一性を有するポリペプチドをコードする、請求項4記載のポリヌクレオチド。
【請求項6】
ヌクレオチド配列が、SEQ ID NO:2に記載されたアミノ酸配列に対して少なくとも約85%のアミノ酸配列同一性を有するポリペプチドをコードする、請求項4記載のポリヌクレオチド。
【請求項7】
請求項1記載のポリヌクレオチドを含む組換えベクター。
【請求項8】
請求項1記載のポリヌクレオチドを含む宿主細胞。
【請求項9】
請求項7記載の組換えベクターを含む宿主細胞。
【請求項10】
宿主細胞が、イソプレノイド修飾酵素を産生するように、SEQ ID NO:2に記載されたアミノ酸配列に対して少なくとも約45%のアミノ酸同一性を有するイソプレノイド修飾酵素をコードするヌクレオチド配列を含む核酸で遺伝的に改変されている、遺伝的に改変された宿主細胞を適切な培地で培養する段階
を含む、宿主細胞でイソプレノイド化合物を産生させる方法であって、
テルペン基質の存在下では、イソプレノイド修飾酵素の産生が、テルペン基質の酵素的修飾およびイソプレノイド化合物の産生につながる、方法。
【請求項11】
イソプレノイド修飾酵素がアモルファジエン酸化酵素であり、かつテルペン基質がアモルファ-4,11-ジエンである、請求項10記載の方法。
【請求項12】
宿主細胞が真核宿主細胞である、請求項10記載の方法。
【請求項13】
宿主細胞が酵母細胞である、請求項12記載の方法。
【請求項14】
宿主細胞が植物細胞である、請求項12記載の方法。
【請求項15】
宿主細胞が、テルペンシンターゼをコードするヌクレオチド配列を含む核酸でさらに遺伝的に改変されている、請求項10記載の方法であって、培養する段階が該テルペンシンターゼの産生を提供し、該テルペンシンターゼがファルネシルピロリン酸を修飾して、イソプレノイド修飾酵素用のセスキテルペン基質を生じる、方法。
【請求項16】
宿主細胞が、テルペンシンターゼをコードするヌクレオチド配列を含む核酸でさらに遺伝的に改変されている、請求項10記載の方法であって、培養する段階が該テルペンシンターゼの産生を提供し、該テルペンシンターゼがゲラニルピロリン酸を修飾して、イソプレノイド修飾酵素用のモノテルペン基質を生じる、方法。
【請求項17】
宿主細胞が、テルペンシンターゼをコードするヌクレオチド配列を含む核酸でさらに遺伝的に改変されている、請求項10記載の方法であって、培養する段階が該テルペンシンターゼの産生を提供し、該テルペンシンターゼがゲラニルゲラニルピロリン酸を修飾して、イソプレノイド修飾酵素用のジテルペン基質を生じる、方法。
【請求項18】
宿主細胞が、通常はイソペンテニルピロリン酸(IPP)をメバロン酸経路を介して合成しない細胞であり、ならびに宿主細胞が、メバロン酸経路の酵素であるIPPイソメラーゼ、プレニルトランスフェラーゼ、およびテルペンシンターゼの2種類もしくはそれ以上をコードするヌクレオチド配列を含む1つもしくは複数の核酸で遺伝的に改変されており、培養する段階がメバロン酸経路の酵素の産生を提供し、メバロン酸経路の酵素である該IPPイソメラーゼ、該プレニルトランスフェラーゼ、該テルペンシンターゼ、およびイソプレノイド修飾酵素の2種類もしくはそれ以上の産生がイソプレノイド化合物の産生を生じる、請求項10記載の方法。
【請求項19】
2種類もしくはそれ以上のメバロン酸経路の酵素が、メバロン酸キナーゼ、ホスホメバロン酸キナーゼ、およびメバロン酸ピロリン酸デカルボキシラーゼを含み、ならびに宿主細胞がメバロン酸の存在下で培養される、請求項18記載の方法。
【請求項20】
2種類もしくはそれ以上のメバロン酸経路の酵素が、アセトアセチル-CoAチオラーゼ、ヒドロキシメチルグルタリル-CoAシンターゼ、ヒドロキシメチルグルタリル-CoA還元酵素、メバロン酸キナーゼ、ホスホメバロン酸キナーゼ、およびメバロン酸ピロリン酸デカルボキシラーゼを含む、請求項18記載の方法。
【請求項21】
プレニルトランスフェラーゼがファルネシルピロリン酸シンターゼである、請求項18記載の方法。
【請求項22】
セスキテルペンがイソプロペニル基を含む、請求項10記載の方法。
【請求項23】
イソプレノイド修飾酵素が、テルペン基質のイソプロペニル基の酸化を触媒する、請求項10記載の方法。
【請求項24】
テルペン基質がセスキテルペンである、請求項10記載の方法。
【請求項25】
イソプレノイド修飾酵素が、アモルファジエンのC12酸化を触媒する、請求項10記載の方法。
【請求項26】
セスキテルペンが、アモルファジエン、アロイソロンギフォレン、(-)-α-トランス-ベルガモテン(bergamotene)、(-)-β-エレメン、(+)-ゲルマクレンA、ゲルマクレンB、(+)-γ-グルジュネン(gurjunene)、(+)-レデン(ledene)、ネオインテルメデオール(neointermedeol)、(+)-β-セリネン、および(+)-バレンセン(valencene)から選択される、請求項24記載の方法。
【請求項27】
テルペン基質がモノテルペンである、請求項10記載の方法。
【請求項28】
テルペン基質がジテルペンである、請求項10記載の方法。
【請求項29】
テルペン基質がトリテルペンである、請求項10記載の方法。
【請求項30】
テルペン基質がポリテルペンである、請求項10記載の方法。
【請求項31】
イソプレノイド修飾酵素をコードするヌクレオチド配列が、SEQ ID NO:1に記載されたヌクレオチド配列に対して少なくとも約60%のヌクレオチド配列同一性を有する、請求項10記載の方法。
【請求項32】
宿主細胞が、シトクロムP450還元酵素(CPR)をコードするヌクレオチド配列を含む核酸で遺伝的に改変されている、請求項10記載の方法。
【請求項33】
イソプレノイド修飾酵素をコードするヌクレオチド配列が、誘導性プロモーターに機能的に連結されている、請求項10記載の方法。
【請求項34】
宿主細胞が原核宿主細胞である、請求項10記載の方法。
【請求項35】
原核宿主細胞が大腸菌である、請求項31記載の方法。
【請求項36】
原核宿主細胞が、通常は、IPPを1-デオキシ-D-キシルロース-5-リン酸(DXP)経路を介して合成する細胞である、請求項34記載の方法。
【請求項37】
DXP経路が不活性化されている、請求項36記載の方法。
【請求項38】
イソプレノイド化合物を単離する段階をさらに含む、請求項10記載の方法。
【請求項39】
イソプレノイド化合物がアルテミシニック酸である、請求項11記載の方法。
【請求項40】
アルテミシニック酸を修飾してアルテミシニンを生じる段階をさらに含む、請求項39記載の方法。
【請求項41】
ヌクレオチド配列が、SEQ ID NO:3に記載されたヌクレオチド配列に対して少なくとも90%のヌクレオチド配列同一性を有する、シトクロムP450還元酵素をコードするヌクレオチド配列を含む単離されたポリヌクレオチド。
【請求項42】
請求項41記載のポリヌクレオチドを含む組換えベクター。
【請求項43】
請求項41記載のポリヌクレオチドを含む宿主細胞。
【請求項44】
請求項42記載の組換えベクターを含む宿主細胞。
【請求項45】
宿主細胞が、イソプレノイド修飾酵素を産生するように、SEQ ID NO:2に記載されたアミノ酸配列に対して少なくとも約45%のアミノ酸同一性を有するイソプレノイド修飾酵素をコードするヌクレオチド配列を含む核酸で遺伝的に改変されている、遺伝的に改変された宿主細胞を適切な培地で培養する段階を含む、テルペン化合物を水酸化する方法であって、テルペン化合物の存在下では、該イソプレノイド修飾酵素の産生がテルペン化合物の水酸化につながる、方法。
【請求項46】
SEQ ID NO:2に記載されたアミノ酸配列に対して少なくとも約45%のアミノ酸同一性を有するイソプレノイド修飾酵素をコードするヌクレオチド配列を含む核酸を含むトランスジェニック植物であって、核酸が植物の細胞で発現されると、細胞内でイソプレノイド修飾酵素が産生される、トランスジェニック植物。
【請求項47】
植物が単子葉植物である、請求項46記載のトランスジェニック植物。
【請求項48】
植物が双子葉植物である、請求項46記載のトランスジェニック植物。
【請求項49】
植物がタバコである、請求項46記載のトランスジェニック植物。
【請求項50】
イソプレノイド修飾酵素をコードするヌクレオチド配列が、構成的プロモーターに機能的に連結されている、請求項46記載のトランスジェニック植物。
【請求項51】
イソプレノイド修飾酵素をコードするヌクレオチド配列が、誘導性プロモーターに機能的に連結されている、請求項46記載のトランスジェニック植物。
【請求項52】
イソプレノイド修飾酵素をコードするヌクレオチド配列が、組織特異的プロモーターに機能的に連結されている、請求項46記載のトランスジェニック植物。
【請求項53】
組織特異的なプロモーターが毛状突起特異的プロモーターである、請求項52記載のトランスジェニック植物。
【請求項54】
植物がクソニンジン(Artemisia annua)である、請求項46記載のトランスジェニック植物。
【請求項55】
請求項46記載のトランスジェニック植物を、イソプレノイド修飾酵素の産生に好ましい条件で維持する段階を含む、イソプレノイド化合物を産生させる方法であって、イソプレノイド修飾酵素の産生が、テルペン基質の修飾およびイソプレノイド化合物の産生を生じる、方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公表番号】特表2009−504138(P2009−504138A)
【公表日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−519611(P2008−519611)
【出願日】平成18年6月29日(2006.6.29)
【国際出願番号】PCT/US2006/025572
【国際公開番号】WO2007/005604
【国際公開日】平成19年1月11日(2007.1.11)
【出願人】(592130699)ザ リージェンツ オブ ザ ユニバーシティ オブ カリフォルニア (364)
【氏名又は名称原語表記】The Regents of The University of California
【Fターム(参考)】
【公表日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年6月29日(2006.6.29)
【国際出願番号】PCT/US2006/025572
【国際公開番号】WO2007/005604
【国際公開日】平成19年1月11日(2007.1.11)
【出願人】(592130699)ザ リージェンツ オブ ザ ユニバーシティ オブ カリフォルニア (364)
【氏名又は名称原語表記】The Regents of The University of California
【Fターム(参考)】
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