説明

イチゴ搬送体

【課題】 イチゴを傷めずに保持・開放でき、自動選別装置に使用可能なイチゴ搬送体がなかった。
【解決手段】 本発明のイチゴ搬送体は、ガイドレールにガイドされて案内・搬送される搬送体本体と、搬送体本体の中心部に回転自在に取り付けられて搬送体本体の上下に突出する回転主軸と、イチゴの蔓を挟着解除可能な挟着具と、挟着具を開閉させる操作軸及び操作具を備えたものである。また、挟着具が掴んだイチゴの蔓を下向き横向きに回動自在とした。更に、搬送体本体を円板状とし、回転主軸に搬送体本体の外周より外側に突出して後続のイチゴ搬送体と接触可能な後続抑え具を設け、後続抑え具はイチゴ搬送体の進行方向真後ろに突出するときに後続のイチゴ搬送体を最も遠ざけ、横方向に回転するにつれて後続のイチゴ搬送体を徐々に近づけることができるものとすることもできる。搬送体本体を円板状とし、搬送体本体の外周が拡大収縮可能な構造とすることもできる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、本発明は柔らかく痛みやすいイチゴを等階級別に自動選別して出荷販売用のパック等に充填するイチゴ自動選別方法及びイチゴ自動選別装置に用いられるイチゴ搬送体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
イチゴは、作業者が農場、例えば、栽培ハウスで手摘みしてコンテナに詰め、そのコンテナを集荷場に持ち帰り、作業者の勘と経験を頼りに目視によって、品質や大きさなどの等階級毎に選別し、出荷販売用のパックに詰め直し、さらに数パックずつ段ボール箱に収容して集荷場等に運搬して出荷している。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来の摘取りから段ボール箱への収納までの一連の作業には、次のような課題があった。
【0004】
1.一連の出荷作業が全て手作業であるため、多くの労力と時間がかかり、農作業者が農薬散布や施肥等の栽培作業に掛ける時間が少なくなり、栽培作業がおろそかになって、品質の良いイチゴの生産が難しくなるとか、栽培面積を拡張することができないといったことがあった。
【0005】
2.農作業者の勘と経験という主観的な判断によって選別充填しているため、イチゴの選別に作業者毎のバラツキを生じる虞があるだけでなく、傷んだイチゴを見過ごして充填する虞があった。
【0006】
3.摘取りから段ボール箱への収納までの一連の作業が全て手作業で行われるため、イチゴの実に指や爪が触れて痛められることがあり、品質劣化や衛生面で課題があった。特に、近年の消費者の強い衛生志向から、衛生面の課題は重要である。
【0007】
4.従来は、蔓付の状態で出荷されるイチゴもあり、この場合は蔓を持って摘み取るため実が傷んだり汚れたりしにくいが、その後の作業は前記の場合と同じであるため、根本的な課題解決には至っていない。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1記載のイチゴ搬送体は、ガイドレールにガイドされて案内・搬送される搬送体本体と、搬送体本体の中心部に回転自在に取り付けられて搬送体本体の上下に突出する回転主軸と、回転主軸の下部に取り付けられ、イチゴの蔓を挟着解除可能な挟着具と、回転主軸の内部を貫通して回転主軸の上部に突出した操作軸と、操作軸の下部に形成されて操作軸が下方へ押し込まれると挟着具が開き、押し込みが解除されると挟着具が閉じるようにした操作具を備えたものである。
【0009】
請求項2記載のイチゴ搬送体は、請求項1記載のイチゴ搬送体において、挟着具が掴んだイチゴの蔓を下向き横向きに回動自在としたものである。
【0010】
請求項3記載のイチゴ搬送体は、請求項1又は請求項2記載のイチゴ搬送体において、搬送体本体が円板状であり、回転主軸に搬送体本体の外周より外側に突出して後続のイチゴ搬送体と接触可能な後続抑え具が設けられ、後続抑え具はイチゴ搬送体の進行方向真後ろに突出するときに後続のイチゴ搬送体を最も遠ざけ、横方向に回転するにつれて後続のイチゴ搬送体を徐々に近づけることができるものである。
【0011】
請求項4記載のイチゴ搬送体は、請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のイチゴ搬送体において、搬送体本体が円板状であり、搬送体本体の外周が拡大収縮可能な構造としたものである。
【発明の効果】
【0012】
本件出願の請求項1記載のイチゴ搬送体は、ガイドレールにガイドされて案内・搬送される搬送体本体と、搬送体本体の中心部に回転自在に取り付けられて搬送体本体の上下に突出する回転主軸と、回転主軸の下部に取り付けられ、イチゴの蔓を挟着解除可能な挟着具と、回転主軸の内部を貫通して回転主軸の上部に突出した操作軸と、操作軸の下部に形成されて操作軸が下方へ押し込まれると挟着具が開き、押し込みが解除されると挟着具が閉じるようにした操作具を備えているので、イチゴの挟着解除が容易且つ確実になる。
【0013】
本件出願の請求項2記載のイチゴ搬送体は、挟着具が掴んだイチゴの蔓を下向き横向きに回動自在としたので、イチゴを吊下げて搬送することができ、充填用容器等に充填する際に、イチゴを横向きに寝かせて充填することができ、応用が広がる。
【0014】
本件出願の請求項3記載のイチゴ搬送体は、搬送体本体が円板状であり、回転主軸に搬送体本体の外周より外側に突出して後続のイチゴ搬送体と接触可能な後続抑え具が設けられ、後続抑え具はイチゴ搬送体の進行方向真後ろに突出するときに後続のイチゴ搬送体を最も遠ざけ、横方向に回転するにつれて後続のイチゴ搬送体を徐々に近づけることができるので、簡潔な構造でのイチゴの間隔を調整することができる。
【0015】
本件出願の請求項4記載のイチゴ搬送体は、搬送体本体が円板状であり、搬送体本体の外周が拡大収縮可能であるため、簡潔な構造でのイチゴの間隔を調整することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
(実施形態1)
図1は本発明のイチゴ搬送体を用いたイチゴ自動選別装置の概略を示した平面図である。本発明のイチゴ搬送体10は、イチゴ1の蔓2を掴んで吊下げて搬送可能なものであって、図1、図3(a)のように、搬送駆動手段32a、32bを備えたガイドレール30に取り付けられて、搬送駆動手段32a、32bによりガイドレール30に沿って図1の矢印方向に搬送されるようになっている。前記ガイドレール30には第1区間A、第2区間B、第3区間Cがあり、第1区間Aにおいて、図1に示すようにイチゴ用コンテナ40に収容されているイチゴ1の蔓2が、図2(a)のようにイチゴ搬送体10に取り付けられる。続く第2区間Bにおいて図2(c)に示すようにカメラ3及び画像処理プロセッサ4でイチゴ1の等階級が判定され、第3区間Cにおいて図2(d)に示す振分手段60によりイチゴ1の等階級に応じて分別ガイドレール30に振り分けられ、分別ガイドレール30の第4区間Dで、図2(e)に示すようにイチゴ1がイチゴ搬送体10から取り外され、最後に図示されていない回収用のガイドレールにより合流されて再び図示されたガイドレール30の第1区間Aに送出されるようになっている。
【0017】
本発明のイチゴ搬送体10は図3(a)〜(e)に示すように、回転主軸13が、直径6cm程度の円板状の搬送体本体11の中心にベアリング12を介して取り付けられ、回転主軸13の軸方向途中にその回転方向の角度を規制して決めるための角度規制体23が取り付けられ、回転主軸13の下部にイチゴ1の蔓2を挟着可能な挟着具14が取り付けられ、回転主軸13の中心にその内部を上下に貫通して前記挟着具14を開閉操作するための操作具15が設けられている。
【0018】
前記挟着具14は2本のハサミ部材16a、16bを備えており、これらは回転主軸13の下部に形成されている四角いケース17の内に連結ピン18a、18bにより回動自在に取り付けられ、またハサミ部材16a、16bの上部に形成されたスライド溝19a、19b内に、操作具15の下部のピン20が差し込まれて、ピン20の上下動に連動して下端側が開閉するようになっている。また挟着具14は図3(a)、(c)〜(e)のように、ハサミ部材16a、16bのイチゴ1の蔓2を掴む部分に軟質素材で作成されたクッション22a、22bが取り付けられ、イチゴ1の蔓2を強く挟んでも蔓2が傷まないようにしてある。クッション22a、22bは図3(e)に示す矢印方向に回転自在となっている。このように回転させることにより、図2(a)に示すように横向きに寝かせたイチゴ1の蔓2を2つのクッション22a、22bで掴み、その後に、イチゴ1が収容されているコンテナ40を降下させると、イチゴ1の重みによりクッション22a、22bが自動的に回転して蔓2が縦向きになり、実が下向きになって、イチゴ1が吊下げられるようにしてある。
【0019】
前記操作具15は、外力が働かない状態では、回転主軸13内に設けられたスプリング21により上方に押し上げられて下部のピン20を上方に引き上げ、挟着具14のハサミ部材16a、16bを閉じ、図1の第1区間Aに設けられたイチゴ取付手段54により操作具15が下方に押し込まれると、図3(a)の回転主軸13の下部のピン20が図3(b)のように押し下げられて、挟着具14のハサミ部材16a、16bが開き、イチゴ取付手段54による操作具15の下方への押し込みが解除されると、図3(a)のようにハサミ部材16a、16bが開いてそれに挟着されていたイチゴ1の蔓2が解放されるようにしてある。
【0020】
前記イチゴ取付手段54(図1)は、一時停止したイチゴ搬送体10の操作具15と接触してそれを押し下げて挟着具14を開く押し具55と、イチゴ搬送体10の角度規制体23と接触して挟着具14の向きを蔓2の挟着に適した向きに強制的に向ける強制ガイド56とからなる。前記押し具55は空のイチゴ搬送体10が停止すると操作具15を押して挟着具14を開き、コンテナ40が押し上げられてイチゴ1が挟着具14に向けて送り込まれると、上昇してイチゴ搬送体10の操作具15の押し下げを解除して挟着具14が閉じるようにし、それにより挟着具14のハサミ部材16a、16b間に蔓2が掴まれるようにしてある。
【0021】
前記強制ガイド56は図2(b)に示すように、レール部材31a、31bに沿って2本設けられ、搬送方向手前部分が外広がりに形成されており、その手前部分にイチゴ搬送体10が搬入されて次第に搬送が進むと、イチゴ搬送体10の角度規制体23が徐々に両側からガイドされて、その向きが強制的に搬送方向後ろ向き(場合によっては前向き)になり、挟着具14が蔓2の挟着に適した向きに強制的に向けられる。
【0022】
図1のガイドレール30は、図3(a)に示すように、イチゴ搬送体10の回転主軸13の下側部分及び搬送体本体11を左右両側からガイドするように対向された断面略L字型の2本のレール部材31a、31bと、レール部材31a、31bに沿って敷かれ、その上に載せた搬送体本体11を搬送可能な駆動ロープ(搬送駆動手段)32a、32bとから構成される。駆動ロープ32a、32bは図中に夫々搬送方向のみのものを示し、戻り側のものは省略してある。この駆動ロープ32a、32bと搬送体本体11との間の摩擦抵抗は適切なもとして、ガイドレール30の上のイチゴ搬送体10のプール箇所(例えば図1の第4区間D)において、駆動ロープ32a、32bを働かせたままでもその上に乗っているイチゴ搬送体10が安全に停止されつづけるようにしてある(駆動ロープ32a、32bとイチゴ搬送体10との接触面でスリップする)。
【0023】
図3(a)では搬送駆動手段として円形の駆動ロープ32a、32bが使用されているが、その代わりに平ベルトを用いるとか、駆動ロープ32a、32bの敷設部分に小径のピンローラを敷き詰めて同ローラを回転駆動して駆動手段とすること(カーブする箇所のガイドレール30での搬送に適している)もできる。他にも、搬送体本体11の両側面に駆動ロープ32a、32bや駆動ベルトを配置して、これらで搬送体本体11を挟込んで搬送したり、ドライブチェーンに所定間隔で係止具を取り付けて、それらでイチゴ搬送体10を1個ずつ係止しながら搬送したりすることもできる。より高度な技術を採用するならば、イチゴ搬送体10の搬送体本体11とガイドレール30との間に推進力を生じる磁力を作用させ、リニアモータ方式で駆動・搬送することもできる。
【0024】
図1の第1区間Aに設けられた一時停止手段50は、同区間Aの搬送方向前後2箇所に設けられた夫々が独立して開閉するゲート51a、51bである。両ゲート51a、51bは通常は開いており、複数個のイチゴ搬送体10を一時停止させるときに、ゲート51aが先に閉じ、その後、暫くしてからゲート51bが閉じて、両ゲート51a、51b間に走行中のイチゴ搬送体10を2個以上数珠状に連接させて一時停止させる。図1には5個のイチゴ搬送体10を数珠状に一時停止する様子が示してあるが、この個数は後述するイチゴ用コンテナ40内に収容されている横一列のイチゴ1の数に合わせて決定される。また、その数に合わせてゲート51a、51b間の間隔も決定する。
【0025】
図1の第1区間Aに設けられたイチゴ供給手段52は、前記一時停止手段50により一時停止されたイチゴ搬送体10の挟着具14にイチゴ1を供給するものである。このイチゴ供給手段52はイチゴ用コンテナ40をイチゴ搬送体10の下方(図1の右側)に押し出して、イチゴ用コンテナ40内に横向きにして詰めてあるイチゴ1の蔓2を、イチゴ搬送体10の挟着具14に挟着され易くするためにイチゴ1の蔓2を挟着具14に近付けるためのものである。
【0026】
イチゴ用コンテナ40はイチゴ搬送体10の整列間隔と同じ6cm間隔でイチゴ1を並べて詰めることができるようにしてあり、図1に示すものは横一列に5個並べるもことができる例であり、図10に示すものは横一列に10個並べるもことができる例が示されている。図1のイチゴ用コンテナ40は図10、12に示すように、四角形の周枠41の内側に、一枚のイチゴ受け板42が敷かれている。イチゴ受け板42はゴム製又は軟質樹脂製であり、図13に示す基本形状のイチゴ詰め部43が縦横に連続して成形されている。各イチゴ詰め部43はイチゴ1を1個ずつ横向きに寝かせて詰めることができる広さと深さにしてあり、底面80を前下がり傾斜にして、横向きに寝かせて詰めたイチゴ1が斜め前下がりに収容されるようにしてある。イチゴ詰め部43は図10に示すように前後の列のものを一つ分ずつ左右にずらしてある。
【0027】
各イチゴ詰め部43の横方向両側には、横区画壁81が底面80よりも一段高く形成されてイチゴ1が横に位置ズレしないようにしてある。また、各イチゴ詰め部43の前方に前方支持壁44が底面80よりも一段高く形成されて、横向きに寝かせて詰めたイチゴ1のへた側が支持されるようにしてある。前方支持壁44の上縁47の横方向中央部に、下部が狭く上方が広い蔓受け部46が形成されて、その蔓受け部46に横向きに寝かせて詰めたイチゴ1の蔓2をのせることができるようにしてある。この場合、イチゴ詰め部43が図10のように、前後の列のものが一つ分ずつ左右にずれているため、蔓受け部46から先方に突出した蔓2が前の列のイチゴ詰め部43に収容されているイチゴ1に重ならない。前方支持壁44は基材をほぼ逆V字状に折り返した形状にして強度を高めてある。
【0028】
図10のイチゴ受け板42の蔓受け部46は、図11に示すように前方支持壁44に上方開口の溝状に形成され、蔓受け部46の下部は蔓2の直径とほぼ同じ程度の幅にして蔓を保持可能な蔓保持部48とし、蔓受け部46の途中に抜け防止用の突起49が内側に突き出して形成されている。この突起49はその横の通路を通過して蔓保持部48に保持されている蔓2が、蔓受け部46から抜け出すのを防止するためのものである。
【0029】
図1の可動テーブル53は、イチゴ用コンテナ40をホールドして上下、左右、前後方向に移動可能としたテーブルであり、イチゴ用コンテナ40を図9に示すようにイチゴ搬送体10の挟着具14がイチゴ1の蔓2を掴み易い位置まで上昇させ、挟着具14が蔓2を掴むと降下しながら図2(e)に鎖線で示すように横移動して、挟着具14で引き上げられるイチゴ1が前方支持壁44、周枠41に当たらないようにしながら、イチゴ1を徐々に引き起こして吊下げて、支持できるように動作可能としてある。
【0030】
図1の第1区間Aにはイチゴ取付手段54が設けられている。これは一時停止したイチゴ搬送体10の操作具15(図2(a))と接触して、それを押し下げて挟着具14を開く押し具55と、イチゴ搬送体10の角度規制体23(図1、図2(b))と接触して、挟着具14の向きをイチゴ1の蔓2の挟着に適した向きに強制する強制ガイド56(図1、図2(b))とからなる。前記押し具55は空のイチゴ搬送体10が停止されると操作具15を押して挟着具14を図3(d)の様に開き、イチゴ1が挟着具14に向けて送り込まれると元の位置に戻って挟着具14が図3(c)のように閉じて、挟着具14によりイチゴ1の蔓2を挟着させるためのものである。前記の強制ガイド56は図2(b)に示すように2本のレールが平行に配置され、搬送方向手前側端部が外広がりに形成され、搬送されるイチゴ搬送体10の角度規制体23を徐々に両側からガイドして、同角度規制体23を搬送方向後ろ向き(場合によっては前向き)に強制するようにしてある。
【0031】
図1の第2区間Bに設けられたカメラ3は、図2(c)に示すように、イチゴ搬送体10により吊下げられて搬送されるイチゴ1を横方向から撮影するものであり、撮影した画像信号を画像処理プロセッサ4に出力するものである。画像処理プロセッサ4は組み込まれたソフトウエアプログラムにより撮影画像を解析して等階級を判定し、判定結果に基づく等階級判定信号を後述する振分手段60(図2(d))に出力する。前記カメラ3と画像処理プロセッサ4とが形状計測手段を構成する。また、図示されていないが、第2区間Bにイチゴ搬送体10で搬送されるイチゴ1の重量を計測する重量計測手段を設け、計測された重量データの信号を画像処理プロセッサ4に送出して、形状と重量とからイチゴ1の等階級を判定するようにすると、より精密な等階級判定を行うことができる。等級判定は、その他にも、寸法とか色等によっても行うこともできる。
【0032】
図1の第3区間Cにおける、分別ガイドレール30が分岐する各分岐部分には、図2(d)に示すような振分手段60が設けられている。振分手段60は図2(d)の回動部材61と、それを駆動するソレノイド(図示されていない)とからなり、回動部材61は図2(d)の鎖線で示す位置と黒塗りの位置の間で回動(首振り)可能であり、黒塗りの位置にあると図2(d)の左側から搬送されてくるイチゴ搬送体10を右側に直進させ、回動部材61が図に点線で示される位置にあるとイチゴ搬送体10が図2(d)の斜め上方に進行して、夫々の等階級の分別ガイドレール30に振り分けられ、夫々の分別ガイドレール30に沿って移動する。前記ソレノイドは等階級判定手段からの等階級判定信号(駆動電流)を受けて動作して、回動部材61を首振りするようになっており、イチゴ搬送体10をイチゴ1の等階級に応じて適切なガイドレール30に振り分けて送り出す。
【0033】
図1の第4区間Dに設けられた一時停止手段70は、図1の第1区間Aに設けられた一時停止手段50と同様に、搬送方向前後2箇所にゲート71a、71bを配置して、両ゲート71a、71b間に所定個数のイチゴ搬送体10が一時停止できるようにしてある。図1では1度に3個のイチゴ搬送体10が一時停止できるようになっているが、その数は所望数とすることができる。例えば、収容容器内に一列に収容可能なイチゴの数と同数とするのが良い。
【0034】
図1の第4区間Dに設けられたイチゴ取外手段72は、図2(e)に示す様に、イチゴ搬送体10の操作具15を押して挟着具14を開く押し具73と、イチゴ搬送体10の角度規制体23(図1)と接触して挟着具14の向きを揃える強制ガイド74とからなる。強制ガイド74は搬送方向手前側が広がっている。押し具73はイチゴ搬送体10が停止されると、操作具15を押して挟着具14を開き、挟着具14によるイチゴ1の蔓2の挟着が解放(リリース)されて、イチゴ1がその下に待機している収容容器75に収容されるようにしてある。収容容器75はイチゴ1がリリースされる際に少し上昇してイチゴ1の落下距離を減少させ、また、後から収容容器75に収容されるイチゴが先に収容されたイチゴの上に落下しないようにするため、イチゴ1個分だけ横に水平移動するようにしてある。
【0035】
(実施形態2)
本発明のイチゴ搬送体10は、図4、5に示すものを用いることもできる。
図4、5のイチゴ搬送体10を使用すれば、図1のイチゴ自動選別装置は、箱詰め箇所(図1の区間D)におけるイチゴ搬送体10の前後の間隔を、イチゴ1の大きさに合わせて詰められるものとすることができる。
【0036】
図4(a)、(b)のイチゴ搬送体10はその搬送体本体11を直径2.5cmの小径の円盤状とし、回転主軸13の途中に搬送体本体11の外周から外側に突出して後続のイチゴ搬送体11と接触可能な後続抑え具24を設けてある。この後続抑え具24は実施形態1の角度規制体23の機能を兼ねて、挟着具14の向きを制御もする。後続抑え具24は搬送体本体11の周囲を回転自在であり、図4の様に、後続抑え具24の後部横から上方に突出された突起25を後述の案内体37(図5(a))でガイドすることにより、左右に回動(首振り)できるようにしてある。この首振り機構により、後続のイチゴ搬送体10との間の距離を任意に規制することができる間隔規制手段が構成されている。
【0037】
図5のガイドレール30には、前記後続抑え具24の角度を調整して、前後のイチゴ搬送体10の間隔を調整する間隔制御手段を設けてある。図5(a)は間隔制御手段の仕組みを示したものであり、図5(b)(c)に示すように、回転主軸13の下側部分がレール部材31a、31bの下部34の間を、搬送体本体11がレール部材31a、31bの中間部35の間を、後続抑え具24がレール部材31a、31bの上部36の間を通過するようにしてある。
【0038】
この場合、ガイドレール30の搬送方向手前のA−A箇所では、図5(b)に示すようにレール部材31a、31bの下部34、中間部35、上部36のいずれの部分の間隔も、回転主軸13、搬送体本体11、後続抑え具24の幅とほぼ同じにして、A−A箇所を通過する後続抑え具24は図5(a)のA−A箇所の様に必ずイチゴ搬送体10の真後ろに突出するようにしてある。ガイドレール30の搬送方向先方のB−B箇所では、図5(c)に示すようにレール部材31a、31bの中間部35、上部36の間の間隔をレール部材31b側に徐々に広げて、その間隔内で後続抑え具24が首振りできる様にしてある。更に、前記間隔の広がりに沿って図5(a)のように湾曲する案内体37を、図5(c)のようにガイドレール30の上方に設けて、後続抑え具24の突起25がその案内体37に案内されると、後続抑え具24が搬送されるにつれて徐々に横を向くようにしてある。案内体37は図5(c)のように二枚の薄板を対向させて縦向きに配置して、その間を突起25が通過できる様にしてある。
【0039】
間隔制御手段を前記構成とすることにより、後続抑え具24がA−A箇所ではイチゴ搬送体10の真後ろに突出して、前後のイチゴ搬送体10の間隔を後続抑え具24の長さに確保することができる。後続抑え具24はB−B側になるにつれて次第に横向きに首を振り、後続抑え具24により保持されるる前後のイチゴ搬送体10の間隔が次第に狭くなり、B−B側を過ぎてイチゴを箱詰めする図1の区間Dまで搬送されると、図6に示すようにもっと狭くなる。このため、イチゴの搬送中は後ろ向きの後続押え具24によりイチゴ搬送体10の間隔が広く確保され、イチゴ搬送体10の挟着具14に吊下げられたイチゴ1の間隔が広くなり、イチゴ同士のぶつかりが阻止され、箱詰めの際は横向きになる後続押え具24によりイチゴ搬送体10の間隔が狭くなり、イチゴ搬送体10の間隔が詰まって、イチゴ同士の間隔が詰まり、イチゴを箱詰めし易くなる。
【0040】
(実施形態3)
イチゴ搬送体10の間隔規制手段として、搬送体本体11自身の外形の大きさを可変とした、図7(a)〜(c)のイチゴ搬送体10を使用することもできる。このイチゴ搬送体10は直径2.5cm の基部26の周囲に、上方に跳ね上げ可能に12枚の羽部材27を取り付けて搬送体本体11とし、回転主軸13に上下動可能なリング部材28を取り付け、リング部材28と羽部材27とを針金29で繋いである。この構成とすることにより、リング部材28を最も下げると羽部材27が全開して搬送体本体11の直径が6cmになり、リング部材28を最も引き上げると羽部材27が閉じて搬送体本体11の直径が基部26とほぼ同じ2.5cmになるようにしてある。この間隔制御手段の場合は、ガイドレール30側にリング部材28を上下動させるためのガイド等を設けると、リング部材28の上下動及び羽部材27の動作が円滑になり、好ましい。
【0041】
(実施形態4)
イチゴ搬送体10の間隔規制手段として、前記したもの以外に図8(a)(b)に示す搬送体本体11を使用することもできる。図8(a)に示す搬送体本体11はウレタンフォームなどの軟質素材や、ぜんまいバネのような材料で作成して、外径を収縮できるようにしてある。この場合、図1の第4区間Dの箱詰め箇所のガイドレール30側に、一時停止されたイチゴ搬送体10の各回転主軸13を夫々係止し、それらの間隔を、図8(a)に示す搬送体本体11を強制的に圧縮しながら狭める間隔調整機構を設けることにより、間隔規制手段を実現することができる。
【0042】
本発明のイチゴ搬送体を用いた前記イチゴ自動選別方法によれば、イチゴの蔓を掴んで選別作業を行うので、搬送から選別、充填までを、イチゴを傷めずに、効率よく、衛生的に、自動で行うことができる。また、バラツキのない選別が可能となる。大幅な省力化が可能となり、イチゴ栽培に労力をかけることができる。
【0043】
本発明のイチゴ搬送体を備えた前記イチゴ自動選別装置では次のような効果が得られる。
1.イチゴの蔓を掴んで選別作業を行うことができるので、搬送から選別、充填までを、イチゴを傷めずに、効率よく、衛生的に、自動で行うことができる。また、バラツキのない選別が可能となる。大幅な省力化が可能となり、イチゴ栽培に労力をかけることができる。
2.イチゴの蔓を掴んで選別作業を行うことができるので、搬送から選別、充填までを、イチゴを傷めずに、効率よく、衛生的に、自動で行うことができる。また、走行中のイチゴ搬送体を2以上連接させて一時停止させる一時停止手段を備えているので、複数のイチゴ搬送体に一度にイチゴを挟着させることができる。また、分別ガイドレールでガイドされてくるイチゴ搬送体を一時停止させる一時停止手段を備えているので、複数のイチゴを一度にはずして収容容器に詰めることができる。
3.ガイドレールが搬送駆動手段を備えているので、搬送機構が簡潔になる。
4.前後のイチゴ搬送体との間隔を任意に規制可能な間隔規制手段を備え、ガイドレール側にイチゴ搬送体の間隔規制手段を制御して間隔を可変可能な間隔制御手段を備えたので、搬送中はイチゴの間隔を広げてイチゴ同士がぶつかって、イチゴが傷つかないようにすることがで、イチゴを挟む時や、取り外す時はイチゴの間隔をせばめて、イチゴの挟着や取り外しを効率よく行うことができる。
【0044】
本発明のイチゴ搬送体を使用するためのイチゴ用コンテナを前記したものとした場合、次のような効果がある。
1.イチゴを1個ずつ横向きに寝かせて詰めるイチゴ詰め部が、前後及び左右に整列して設けられ、各イチゴ詰め部の前方にそれらに詰められたイチゴのへた側を支持する支持壁がイチゴ詰め部よりも高く形成され、支持壁に、横向きに寝かせて詰めたイチゴの蔓を上方からのせる凹状の蔓支持部が形成されたので、イチゴを一個ずつ整然と整列させることができ、自動的に挟着して搬送するのに便利である。
2.イチゴを前下がり傾斜に整列できるので、前方支持壁にはイチゴのへたが当たり、イチゴが傷つきにくい。
3.イチゴの蔓を上方から差し込んで保持可能であるため、イチゴの収容、保持が容易である。
4.蔓支持部の途中にその下部に収容された蔓の抜けを防止するための突起状の抜け防止部が形成されたので、イチゴが不用意に落下しない。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明のイチゴ搬送体が多数備えられたイチゴ自動選別装置の全体概略を示した平面図。
【図2】(a)は第1区間Aにおけるコンテナからイチゴ搬送体にイチゴが取り付けられる様子を示した側面図、(b)は第1区間Aにおけるイチゴ搬送体の整列状態を示した平面図、(c)は第2区間Bにおけるカメラ部分の側面図、(d)は第3区間Cにおける分岐部分の平面図、(e)は第4区間Dにおけるイチゴ搬送体からイチゴを取外して充填用容器に充填する様子を示した側面図。
【図3】(a)は本発明のイチゴ搬送体の正面図、(b)はイチゴ搬送体の上面図、(c)、(d)はイチゴ搬送体の断面図であり、(c)は挟着具を閉じたときの状態を示したもの、(d)は挟着具を開いたときの状態を示したものであり、(e)は挟着具のクッション部分を示した側面図。
【図4】本発明のイチゴ搬送体の第2例を示したものであり、(a)は側面図、(b)は上面図。
【図5】図4のイチゴ搬送体における後続抑え具の働きを示す説明図であり、(a)は平面図、(b)はA−A断面図、(c)はB−B断面図。
【図6】図4のイチゴ搬送体のイチゴ充填部分における動作を示した平面図。
【図7】本発明のイチゴ搬送体の第3例を示したものであり、(a)は側面図、(b)は上面図、(c)は閉じた状態の上面図。
【図8】本発明のイチゴ搬送体の第4例を示したものであり、(a)は上面図、(b)はイチゴ搬送体の間隔が狭められる様子を示した上面図。
【図9】図1の第1区間Aにおけるイチゴ搬送体がイチゴ用コンテナからイチゴを取り出すところを示した側面図。
【図10】イチゴ用コンテナの平面図。
【図11】図10のイチゴ用コンテナの固定具を示した正面図。
【図12】イチゴ用コンテナの斜視図。
【図13】(a)はイチゴ用コンテナのイチゴ受け板の基本形状を示す斜視図、(b)は側面図。
【符号の説明】
【0046】
1 イチゴ
2 蔓
3 カメラ
4 画像処理プロセッサ
10 イチゴ搬送体
13 回転主軸
14 挟着具
30 ガイドレール
32a、32b 搬送駆動手段
50 一時停止手段
52 イチゴ供給手段
54 イチゴ取付手段
60 振分手段
70 一時停止手段
72 イチゴ取外手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガイドレールにガイドされて案内・搬送される搬送体本体と、搬送体本体の中心部に回転自在に取り付けられて搬送体本体の上下に突出する回転主軸と、回転主軸の下部に取り付けられ、イチゴの蔓を挟着解除可能な挟着具と、回転主軸の内部を貫通して回転主軸の上部に突出した操作軸と、操作軸の下部に形成されて操作軸が下方へ押し込まれると挟着具が開き、押し込みが解除されると挟着具が閉じるようにした操作具を備えたことを特徴とするイチゴ搬送体。
【請求項2】
請求項1記載のイチゴ搬送体において、挟着具は掴んだイチゴの蔓を下向き横向きに回動自在であることを特徴とするイチゴ搬送体。
【請求項3】
請求項1又は請求項2記載のイチゴ搬送体において、搬送体本体が円板状であり、回転主軸に搬送体本体の外周より外側に突出して後続のイチゴ搬送体と接触可能な後続抑え具が設けられ、後続抑え具はイチゴ搬送体の進行方向真後ろに突出するときに後続のイチゴ搬送体を最も遠ざけ、横方向に回転するにつれて後続のイチゴ搬送体を徐々に近づけることができることを特徴とするイチゴ搬送体。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のイチゴ搬送体において、搬送体本体が円板状であり、搬送体本体の外周が拡大収縮可能な構造であることを特徴とするイチゴ搬送体。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate


【公開番号】特開2007−99523(P2007−99523A)
【公開日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−9603(P2007−9603)
【出願日】平成19年1月18日(2007.1.18)
【分割の表示】特願2001−331734(P2001−331734)の分割
【原出願日】平成13年10月29日(2001.10.29)
【出願人】(391017702)日本協同企画株式会社 (19)
【Fターム(参考)】