説明

イミダゾリルアルキル−ピリジンの安定な投薬製剤

徐放性製剤(controlled−release formulations)を含む、イミダゾリルアルキル−ピリジンの安定な製剤。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、本明細書中に援用される、2006年2月13日に提出された同時係属中の米国特許仮出願第60/772727号明細書の恩恵を主張する。
【0002】
発明の背景
(1)技術分野
本発明は、製薬技術、特に、周囲室温で満足な安定性を示す[2−(2−メチルイミダゾール−1−イル)メチル]ピリジンフマレートの固体投薬製剤の製造に関する。
【0003】
(2)関連技術の説明
[2−(2−メチルイミダゾール−1−イル)メチル]ピリジンは、例えば、参照によって本明細書中に援用される米国特許第5856343号明細書及び第5635521号明細書から既知である。
【0004】
発明の概要
本発明は、室温で安定であるイミダゾリルアルキル−ピリジンの製剤、より具体的には[2−(2−メチルイミダゾリル−1−イル)メチル]ピリジンフマレートを含む製剤に関する。本発明はさらに、かかる製剤の製造のための方法を提供する。
【0005】
一実施形態において、本発明の方法は、所定量(a quantity of)の[2−(2−メチルイミダゾール−1−イル)メチル]ピリジンフマレート及び所定量の、低水分グレードの微結晶性セルロース(low−moisture grade microcrystalline cellulose)、無水ラクトース及び予備ゼラチン化デンプン(pre−gelatinized starch)の少なくとも1つを、混合するステップと、混合された化合物をカプセルに充填するステップであり、得られた投薬製剤(dosage formulation)が室温で実質的に安定である、前記ステップとを含む。
【0006】
本発明の前述の、及び他の特徴は、以下の、より具体的な本発明の実施形態の説明から、明らかになるであろう。
【0007】
発明の詳細な説明
[2−(2−メチルイミダゾール−1−イル)メチル]ピリジン遊離塩基のフマル酸塩は、式1のイミダゾリルピリジンのクラスの一種
【0008】
【化1】

【0009】
及び薬学的に許容され得るその塩であり、
【0010】
式中、遊離塩基又は酸付加塩形態で、Rは、水素、低級アルキル、9〜35の原子番号を有するハロゲン、又は低級アルキルによって場合により一置換若しくは二置換されているアミノであり、R及びRは、互いに独立して、水素又は低級アルキルであり、Rは、水素、ヒドロキシ、低級アルキル、低級アルコキシ、又は9〜35の原子番号を有するハロゲンであり、メチレンとして説明されているピリジンとイミダゾールとの間の架橋は、メチレン又はエチレンである。
【0011】
本明細書中で使用される場合、「低級」は、アルキル及びアルコキシ基の文脈において、7つまでの炭素原子、好ましくは4つまでの炭素原子、より好ましくは2つまでの炭素原子を有するラジカルを意味する。結果として、低級アルキルは、特に7つまでの炭素原子、好ましくは4つまでの炭素原子、具体的には2つまでの炭素原子を有し、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、tert−ブチル、ペンチル、又はヘキシルである。したがって、低級アルコキシは、7つまでの炭素原子、好ましくは4つまでの炭素原子、具体的には2つまでの炭素原子を有し、例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、tert−ブトキシ、ペントキシ、又はヘキシルオキシである。
【0012】
上に定義した範囲で、式1の化合物中の存在する低級アルキル又はアルコキシ基は、好ましくは1つ又は2つの炭素原子を有し、特にメチル又はメトキシを表す。イミダゾリルメチルラジカルは、好ましくはピリジンの2位にある。Rは、好ましくはメチル又はエチル、より好ましくはメチルである。R及びRは、好ましくはそれぞれ水素である。Rは、好ましくはメチル、エチル又は水素、より好ましくはメチル又は水素、具体的には水素である。
【0013】
特定の群の式1の化合物において、Rは低級アルキルであり、R及びRは互いに独立して、水素又は低級アルキルであり、Rは、水素、低級アルキル、又は9〜35の原子番号を有するハロゲンである。
【0014】
さらなる特定の群の式1の化合物において、Rはメチルであり、R及びRは互いに独立して、水素又はメチルであり、Rは、水素、メチル、又は9〜35の原子番号を有するハロゲンである。9〜35の原子番号を有するハロゲンは、具体的には、フッ素及び塩素残基、好ましくは塩素残基を表す。
【0015】
式1の化合物は、例えば、フマル酸水素塩及びフマル酸塩形態を含む、遊離塩基形態、又はそれらの酸付加塩の形態で存在してもよい。酸付加塩は、遊離塩基から既知の様式で生成してもよく、その逆もまた同じである。
【0016】
式1の化合物は、例えば、参照によって本明細書中に援用される、米国特許第5856343号明細書及び第5635521号明細書から既知であるか、又は、既知のプロセスに従って、すなわち既知のプロセスと同じように、生成してもよい。米国特許第5635521号明細書の実施例1に例示されている化合物[2−(2−メチルイミダゾール−1−イル)メチル]ピリジンが好ましい。この特許は、[2−(2−メチルイミダゾール−1−イル)メチル]ピリジンの合成を、下記のように説明している。
【0017】
「9.7g(75mM)の2−(クロロメチル)ピリジン及び42g(512mM)の2−メチル−イミダゾールを、40mlのジメチルホルムアミドに懸濁させ、次いで105℃で3時間撹拌する。ジメチルホルムアミドを蒸留して除き、結晶性残渣を酢酸エチル及び少量のヘキサンで希釈する。ろ過に続いて、エバポレーションによって母溶液を濃縮し、ジメチルホルムアミドを蒸留して除き、次いで水と塩化メチレンとの間で数回振る。10.3gの油状の表題の化合物が得られる。」
【0018】
フマル酸塩の調製は、以下のように説明されている。
【0019】
「エタノール中の、得られた塩基の9.3gを、12.7gのフマル酸と混合する。得られたビス(塩基)−トリス(フマル酸水素塩)が、エタノール/酢酸エチルから結晶化し、エタノール/酢酸エチルから1度再結晶化する。これは薄層クロマトグラフィー上で均一であり、109℃〜110℃で融解する。フマル酸塩が、同様にして得られ、120℃〜121℃で融解する。」
【0020】
本発明者らは、式1の化合物のフマル酸塩が、水分の非存在下、周囲室温で適度に安定であることを発見した。しかしながら、水分と接触したときに、これは化学反応を経て、それによって、下記で示される、本明細書中でDP−1と呼ばれる分解産物が形成される。
【0021】
【化2】

【0022】
式1の他の化合物のフマル酸塩が水分の存在下で反応する場合、化学反応は可変の置換基から独立しているために、分解産物DP−1が形成されるが、可変の置換基の差のために、分解産物の構造は異なる。
【0023】
臨床研究における使用のためのエタノール湿式造粒法を用いて[2−(2−メチルイミダゾール−1−イル)メチル]ピリジンのフマル酸塩+賦形剤の水性フィルムコート錠を調製した。これらの錠剤についての安定性データは、冷蔵条件下で満足な安定性を示したが、周囲温度で化合物DP−1への分解が起こった。
【0024】
上述の錠剤製剤の開発の間に、賦形剤適合性試験から、特に、式1の化合物のフマル酸塩が、無水ラクトース、低水分グレードの微結晶性セルロース、予備ゼラチン化デンプン及びステアリン酸マグネシウムの存在下の乾燥条件下で安定であることが示された。したがって、室温で安定なフマル酸塩の固体製剤は、これらの賦形剤の1つ又は複数をフマル酸塩と組み合わせることによって、生成してもよい。低水分グレードの微結晶性セルロース又は無水ラクトースが使用される場合、それぞれ、好ましくは約1%未満、より好ましくは約0.5%未満の含水率を有する。
【0025】
「安定な」によって、同様の時間及び温度の条件下で、生成物が水の存在下で調製される場合よりも少ないDP−1が形成されることが意味される。本発明を採用することによって、分解産物を、FDA/ICH要領(Q3B(R)不純物に関するガイドライン(新製剤)、2003年11月に発行されたFDA/ICH要領)の範囲内の量まで減少させることができる。6ヶ月後の、40℃/75%相対湿度でのDP−1の量は、約1%未満、好ましくは約0.5%未満、より好ましくは約0.2%未満、最も好ましくは約0.15%未満である。したがって、24ヶ月以上室温で安定な、式1の化合物の医薬品投薬を調製することができる。
【0026】
したがって、加工の間に存在する水分の量を排除又は減少させることによって、フマル酸塩又は他の式1の化合物を活性医薬品成分として含む、より安定な医薬品投薬単位を調製することができる。例えば、所定量のフマル酸塩と、無水ラクトース、低水分グレードの微結晶性セルロース、予備ゼラチン化デンプン及びステアリン酸マグネシウムの1つ又は複数とを混合すること及び混合された製剤をカプセルに充填することによって、より安定な、フマル酸塩の安定なカプセル製剤を、調製することができる。典型的には、湿式造粒法、又は水を採用する他のプロセスは、活性成分のカプセル製剤を製造するときに、必ずしも必要でない。しかしながら、造粒工程が必要又は所望される場合、湿式造粒法の代わりに、スラッギング又は圧密等の既知の方法、それに続く粉砕を用いてもよい。
【0027】
より安定な、式1の化合物のフマル酸塩の錠剤製剤は、同様に、所定量のフマル酸塩と、無水ラクトース、微結晶性セルロース、予備ゼラチン化デンプン及びステアリン酸マグネシウムの1つ又は複数とを混合し、続いて直接圧縮、スラッギング、又は圧密し、続いて粉砕することによって、製造することができる。
【0028】
無水の賦形剤を使用することが好ましいが、単に加工の間に水を避ける、又は最小限にすること、例えば湿式造粒法又は他の水性のプロセス工程を避けること、すなわち乾式製剤プロセスを用いることによって、ある程度の増大した安定性を得ることができる。用語「乾式」は、実質的に乾燥していることを意味する。水が完全に存在しないか、又は全てのプロセス工程及び生成物が完全に乾燥している必要はないが、水の量は、例えば湿式造粒工程を比較して、減少しているべきである。好ましくは、水は、周囲条件下(例えば、25℃で60%湿度)で通常存在するであろう水分の量を超えて、プロセスに導入されず、さらにより好ましくは、プロセスは、例えば無水の賦形剤を使用すること、及び場合によりプロセス環境の相対湿度を減少させることによって、乾燥条件下で行われる。
【0029】
直接圧縮、スラッギング、圧密、それに続く粉砕、又は同様の乾式造粒及び錠剤形成方法の使用は、混合された製剤の、エタノール等の造粒液注に存在する場合がある水との潜在的な接触を、排除する利点を提供する。当業者に認識されるように、本発明に従って製造されるカプセル剤又は錠剤の安定性は、カプセル剤又は錠剤を、賦形剤又は包装中に存在する任意の残りの水分を実質的に除去することができる乾燥剤とともに包装することによって、促進してもよい。
【0030】
本発明の固体製剤は、結合剤、充填剤、錠剤化滑沢剤、崩壊剤、保存剤、甘味剤、矯味矯臭薬等の他の賦形剤を、かかる賦形剤が室温で製剤の安定性に有害な影響を及ぼさなければ、含んでもよい。
【0031】
本発明の固体製剤は、経口投薬製剤として特に有用である。それ自体、本発明の固体製剤は、患者への投与の後に活性成分の速放、持効、遅延放出、又は他に徐放を提供するよう製剤化してもよい。
【0032】
典型的には、徐放性形態は一定の放出速度で遅延放出を生じるが、他の徐放性形態は、一定でない放出速度を生じて、例えばより長い時間にわたる薬物放出の律動を生じることができる。例えば、Sandersらは、ミクロスフェアからの作用物質の徐放を記載している。参照によって本明細書中に援用される、Controlled Release of a Luteinizing Hormone−Releasing Hormone Analogue from Poly(d,l,−lactide−co−glycolide)Microspheres、73 J.of Pharm.Sci.(1984年9月)を参照のこと。徐放性生成物を使用することの目的は、同時に薬物の投与の頻度及び/又はピーク血漿濃度を減少させながら、満足な薬物反応を得ることである。
【0033】
薬物の徐放のための組成物は、当該分野で周知である。一般に、かかる組成物は、胃及び/又は腸における分解又は崩壊に一時的に耐性のあるコーティング材料と混合されるか、又はそれで覆われた、薬物粒子を含む。薬物の放出は、特にコーティング材料の性質及び厚さに依存して、浸出、侵食、破裂、拡散、又は類似した作用によって、生じることができる。いくつかの投薬において、薬物は、第二リン酸カルシウム(DCP)等の球状の粒子上にコーティングされ、次いでこれがゼラチンカプセル内に封入されるか、又は圧縮されて錠剤になる。場合により、1つ又は複数のコーティングを、薬物コートされた粒子に適用してもよい。一般に、かかるコーティングを用いて、投薬の安定性を向上及び/又は薬物の腸内放出を可能にする。
【0034】
律動的の薬物送達製剤は、断続的に大体予め決定された時間間隔で薬物を放出するよう設計された投薬形態である。例えば、それぞれ完全に示されるように参照によって本明細書中に援用される、Bussemerら、Crit.Rev.Ther.Drug Carrier Syst.18(5):433〜458頁(2001年)、Gothoskarら、「Pulsatile Drug Delivery Systems,A Review」、Drug Delivery Thechnology 4(5):64〜69頁(2004年)、Percelら、米国特許出願公開第2005/0118268号明細書、Parikhら、米国特許出願公開第2005/0095294号明細書、及びSharma、米国特許出願公開第2005/0244497号明細書を参照のこと。
【0035】
薬物の特定の投薬形態は、そのバイオアベイラビリティー、すなわち、投薬から放出され、体による使用に利用可能な薬物の量に、有意に影響を及ぼす場合がある。バイオアベイラビリティーにおけるかかる差は、治療の効能の有意な差につながる場合がある。例えば、薬物が生体液中の低い可溶性を有する場合、その吸収の速度、及びしたがってその効能は、投薬溶解速度に大きく依存する。同様に、薬物の高いバイオアベイラビリティーによって、望ましくない効果が生じることがある場合、より低い溶解速度を有する投薬形態を使用してもよい。したがって、薬物の効能及び/又は副作用を、その投薬形態を変化させることによって、変化させることが可能である。
【0036】
本発明の徐放性投薬は、経口送達のための任意の数の徐放技術を採用してもよい。例えば、Lalla及びBhatは、特に、DCP顆粒を、血管拡張薬硝酸イソソルビドでコーティングして、その放出を遅延させる方法を記載している。本発明の投薬形態の調製においてかかる方法を用いることは、最初にDCP顆粒に液糖を噴霧すること、及びコーティングされた顆粒を選別して約500〜約600μmの間の直径を有するものを選択することを含む。次に、式1の化合物のコーティングを顆粒の表面に噴霧し、顆粒を乾燥させる。最後に、乾燥した、式1でコーティングされた顆粒を、カプセル、好ましくはゼラチンカプセル内に封入する。或いは、乾燥された顆粒を圧縮して錠剤にしてもよい。ともに参照によって本明細書中に援用される、J.K.Lalla及びShruti U.Bhat、Controlled−Release Isosorbide Dinitrate Pellets Part I:Design and Evaluation of Controlled−Release Capsule Dosage Form、J.PHARM.SCI.、82(12):1288〜1291頁(1993年)、J.K.Lalla及びShruti U.Bhat、Controlled−Release Isosorbide Dinitrate Pellets.Part II:In Vivo Studies、J.PHARM.SCI.、82(12):1292〜1295頁(1993年)を参照のこと。
【0037】
Beimanらに対する米国特許第5968554号明細書は、胃及び十二指腸の両方へ医薬品を送達することができる多層徐放性投薬を教示している。同様に、これもまたBeimanらに対する米国特許第6312728号明細書は、十二指腸及び大腸若しくは結腸の両方又は胃、十二指腸及び大腸若しくは結腸へ医薬品を送達することができる多層徐放性投薬を教示している。両方の参考文献は、参照によって本明細書中に援用される。
【0038】
多数の関連する徐放性投薬及び方法が、Percelらによって記載されている、例えば、米国特許第6627223号明細書は、少なくとも2つのコーティングされた膜障壁を有する持続徐放性(TSR)ビーズで構成され、障壁の組成及び厚さによって薬物放出の遅延時間及び持続時間が決定される、医薬品投薬を記載している。一実施形態において、第一の膜障壁は腸溶性ポリマーであり、第二の膜は水溶性ポリマー及び腸溶性ポリマーの混合物である。かかる配置によって、血漿濃度−時間プロフィールにおける治療剤の1つ又は複数の律動が可能になる。
【0039】
これもPercelらに対する、米国特許第6500454号明細書は、薬物に対する時間依存的な生理学的必要性を模倣するためのプロプラノロールのサーカディアン様放出を提供するための投薬単位を記載している。これもまたPercelらに対する、米国特許第6663888号明細書は、ヒスタミンH2アンタゴニストのサーカディアン様放出のための同様の投薬を記載している。Percelらの上記の参考文献のそれぞれは、参照によって本明細書中に援用される。
【0040】
Dobettiに対する米国特許第6569311号明細書は、多粒子形態で薬物を含み、改良された構造的完全性/破砕性を有する、速崩壊錠を記載している。この参考文献もまた、参照によって本明細書中に援用される。
【0041】
当該分野で既知の他の徐放方法は、本発明の範囲内であり、例えば従来のパンコーティング、有孔パンコーティング、流動層コーティング、トップスプレーコーティング、ボトムスプレーコーティング及びタンジェンシャルスプレーコーティングを含む。例えば、これもまた参照によって本明細書中に援用される、Atul M.Mehta及びDavid M.Jones、Coated Pellets Under the Microscope、PHARM.TECH.、1985年6月を参照のこと。種々の賦形剤が、本発明の徐放性投薬形態に組み込まれてもよい。かかる賦形剤としては、例えば、Eudragit(登録商標)、エチルセルロース、Ethocel(登録商標)、クエン酸トリエチル、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ポリビニルピロリドン(PVP)及び糖が挙げられる。一般に、かかる賦形剤は、徐放性投薬の大半を構成する。
【0042】
本発明の組成物は、好ましくは、各投薬が約0.1〜800mgの活性成分を含む、単位投薬形態で製剤化される。用語「単位投薬形態」は、ヒト被験体及び他の哺乳動物のための単一の投薬として適した物理的に別々の単位をいい、各単位は、必要な薬学的担体と関連して、所望の治療効果を生じるよう計算された、予め決定された量の活性物質を含む。各単位用量形態は、単独で有効量を含まなくてもよく、例えば、同時に、又は1日の異なる時間に、2つの錠剤又はカプセル剤を投与して、患者の血流中に有効な用量を達成することが必要な場合がある。
【0043】
また、好ましくは、本発明の医薬品投薬単位は、低湿度の条件下で包装及び保存される。この目的の達成を容易にするために、本発明の投薬単位は、乾燥剤とともに包装してもよい。
【0044】
本発明の投薬単位は、式1の化合物のフマル酸塩に加えて、1つ又は複数の活性医薬品成分を含んでもよい。
【0045】
式1の化合物のフマル酸塩を薬物として販売することができる前に、非臨床及び臨床研究を行い、例えば米国食品医薬品局に、米国における販売のために、又は他の管轄における同様の機関に、これらの管轄における販売のために、出願し、規制認可を得る必要がある。出願過程においてかかる規制機関に提出されなければならない情報の中に、薬物製品をどのようにして製造するかに関する情報がある。したがって、かかる製造情報に、水がプロセスにおいて使用されないか、又はより好ましくは、例えば製造及び製剤化プロセスにおいて無水の賦形剤の使用を採用し及び/若しくは製造及び製剤化プロセスの間の相対湿度を制御して、薬物の製剤化が乾燥条件下で行われるプロセス説明が含まれることは、本発明の態様である。薬物製品中、すなわち単位投薬形態で製剤化された製剤中のDP−1の最大量についての規定を設けることもまた、本発明の態様である。規定は、例えばFDA/ICH要領(Q3B(R)不純物に関するガイドライン(新製剤)、2003年11月に発行されたFDA/ICH要領)に記載されているように、承認を求める管轄における規制機関によって設けられた、又は許容され得る最大限度を超えないように最大限度で設けられるべきである。
【0046】
したがって、本発明に従って製造する方法は、DP−1用量の量がかかる限度を超えないようにプロセス条件を制御するステップを含む。所定の製造バッチにおけるDP−1の量を検出及び測定するための標準としてDP−1を使用することもまた、本発明の態様である。上述のようにDP−1についての規定を設けることを含んで、式1の化合物のフマル酸塩についての規制認可を求めることもまた、本発明の態様である。かかる規定は、すなわち賦形剤での製剤化の前のバルク製剤物質に関連する場合があるか、又は、薬物製品、すなわち賦形剤と混合されたフマル酸塩に関連する場合がある。式1の化合物のフマル酸塩についてのモノグラフ、例えば米国薬局方又は欧州薬局方への提出のためのモノグラフを提出することもまた、本発明の態様であり、このモノグラフはDP−1の最大量を特定する。
【0047】
本発明の安定な製剤の実例となる例を、下記で表1〜6に示す。各例の成分は、乾式混合して、次いでハードゼラチンカプセルに移してもよい。
【0048】
【表1】

【0049】
【表2】

【0050】
【表3】

【0051】
【表4】

【0052】
【表5】

【0053】
【表6】

【0054】
表4〜6で上記した安定な製剤4〜6は、正常条件下及び加速条件下の両方で6ヶ月間にわたって安定であることがわかった。かかる安定性及び他の製剤の安定性は、投薬が保存される包装中での乾燥剤(例えば、シリカゲル容器)の使用によって、さらに改良することができる。
【0055】
上記で概説された特定の実施形態とともに本発明を説明してきたが、多くの代替案、変更及び変化が当業者に明らかになるであろうことは、明らかである。したがって、上記の本発明の実施形態は実例となることが意図され、限定しない。以下の特許請求の範囲において定義されるような本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、種々の変化を行ってもよい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定量の式1の化合物のフマル酸塩を含む固体投薬製剤の製造方法であって、
所定量のフマル酸塩を、前記フマル酸塩を水と接触させることなく、少なくとも1つの賦形剤と混合するステップを含む方法。
【化1】


[式中、Rは水素、低級アルキル、9〜35の原子番号を有するハロゲン、又は、低級アルキルで一置換若しくは二置換されていてもよいアミノであり、R及びRはそれぞれ独立に水素又は低級アルキルであり、Rは水素、ヒドロキシ、低級アルキル、低級アルコキシ又は9〜35の原子番号を有するハロゲンであり、メチレンとして描かれているピリジンとイミダゾールとの間の架橋は、メチレン又はエチレンである]。
【請求項2】
が低級アルキルであり、R、R及びRが−Hであり、メチルイミダゾリルメチル基がピリジンの2位で置換されている、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
がメチルであり、R、R及びRが−Hである、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
投与される化合物が[2−(2−メチルイミダゾール−1−イル)メチル]ピリジンフマレートである、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
混合するステップが乾燥条件下で行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
少なくとも1つの賦形剤が無水である、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
少なくとも1つの賦形剤が、低水分グレードの微結晶性セルロース、無水ラクトース及び予備ゼラチン化デンプンからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
混合された物質をカプセルに充填するステップをさらに含み、投薬製剤が室温で実質的に安定である、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
混合された化合物を錠剤に成形するステップをさらに含み、投薬製剤が室温で実質的に安定である、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
混合された物質に、所定量のステアリン酸マグネシウムを添加するステップ
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
混合された物質を粒状にするステップ
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
粒状にするステップが、直接圧縮、スラッギング及び圧密に続いて粉砕することからなる群から選択される少なくとも1つのステップを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
混合された物質を徐放性製剤に組み込むステップ
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
徐放性製剤が、速崩壊製剤(fast−disintegrating formulation)、遅延放出製剤(delayed−release formulation)、持効性製剤(sustained−release formulation)、律動的放出製剤(pulsatile−release formulation)及びサーカディアン様放出製剤(circadian−like release formulation)からなる群から選択される、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
が低級アルキルであり、R、R及びRが−Hであり、メチルイミダゾリルメチル基がピリジンの2位で置換されている、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
がメチルであり、R、R及びRが−Hである、請求項13に記載の方法。
【請求項17】
投与される化合物が[2−(2−メチルイミダゾール−1−イル)メチル]ピリジンフマレートである、請求項13に記載の方法。
【請求項18】
少なくとも1つの賦形剤が、低水分グレードの微結晶性セルロース、無水ラクトース、予備ゼラチン化デンプン、メタクリル酸のアニオン性及びカチオン性ポリマー、アクリレートとメタクリレートのコポリマー、エチルセルロース、クエン酸トリエチル、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ポリビニルピロリドン(PVP)及び糖からなる群から選択される、請求項13に記載の方法。
【請求項19】
所定量の、式1の化合物のフマル酸塩
【化2】


[式中、Rは、水素、低級アルキル、9〜35の原子番号を有するハロゲン、又は低級アルキルによって場合により一置換若しくは二置換されているアミノであり、R及びRは、互いに独立して、水素又は低級アルキルであり、Rは、水素、ヒドロキシ、低級アルキル、低級アルコキシ、又は9〜35の原子番号を有するハロゲンであり、メチレンとして説明されているピリジンとイミダゾールとの間の架橋は、メチレン又はエチレンである]
及び
低水分グレードの微結晶性セルロース、無水ラクトース、予備ゼラチン化デンプン及びステアリン酸マグネシウムの少なくとも1つ
を含み、室温で実質的に安定である、固体投薬製剤。
【請求項20】
カプセル形態である、請求項19に記載の製剤。
【請求項21】
錠剤形態である、請求項19に記載の製剤。
【請求項22】
式1の化合物のフマル酸塩を販売するための規制認可を得るための方法であって、
【化3】


[式中、Rは、水素、低級アルキル、9〜35の原子番号を有するハロゲン、又は低級アルキルによって場合により一置換若しくは二置換されているアミノであり、R及びRは、互いに独立して、水素又は低級アルキルであり、Rは、水素、ヒドロキシ、低級アルキル、低級アルコキシ、又は9〜35の原子番号を有するハロゲンであり、メチレンとして説明されているピリジンとイミダゾールとの間の架橋は、メチレン又はエチレンである]
バルク製剤物質又は製剤化された薬物製品中の化合物DP−1の最大量についての規定を設けるステップを含む方法。
【化4】

【請求項23】
式1の化合物のフマル酸塩を製造する方法であって、
【化5】


[式中、Rは、水素、低級アルキル、9〜35の原子番号を有するハロゲン、又は低級アルキルによって場合により一置換若しくは二置換されているアミノであり、R及びRは、互いに独立して、水素又は低級アルキルであり、Rは、水素、ヒドロキシ、低級アルキル、低級アルコキシ、又は9〜35の原子番号を有するハロゲンであり、メチレンとして説明されているピリジンとイミダゾールとの間の架橋は、メチレン又はエチレンである]
プロセスから生じる化合物DP−1の量が規制認可のための許容され得る限界の範囲内であるようにプロセス条件を制御するステップを含む方法。
【化6】

【請求項24】
式1の化合物のフマル酸塩を製造する方法であって、
【化7】


[式中、Rは、水素、低級アルキル、9〜35の原子番号を有するハロゲン、又は低級アルキルによって場合により一置換若しくは二置換されているアミノであり、R及びRは、互いに独立して、水素又は低級アルキルであり、Rは、水素、ヒドロキシ、低級アルキル、低級アルコキシ、又は9〜35の原子番号を有するハロゲンであり、メチレンとして説明されているピリジンとイミダゾールとの間の架橋は、メチレン又はエチレンである]
バルク製剤物質中又は製剤化された薬物製品中の化合物DP−1の量をモニタリングするステップを含む方法。
【化8】

【請求項25】
所定量の式1の化合物のフマル酸塩を含む徐放性投薬製剤
【化9】


[式中、Rは、水素、低級アルキル、9〜35の原子番号を有するハロゲン、又は低級アルキルによって場合により一置換若しくは二置換されているアミノであり、R及びRは、互いに独立して、水素又は低級アルキルであり、Rは、水素、ヒドロキシ、低級アルキル、低級アルコキシ、又は9〜35の原子番号を有するハロゲンであり、メチレンとして説明されているピリジンとイミダゾールとの間の架橋は、メチレン又はエチレンである]。
【請求項26】
カプセル形態である、請求項25に記載の製剤。
【請求項27】
錠剤形態である、請求項25に記載の製剤。
【請求項28】
速崩壊製剤、遅延放出製剤、持効性製剤、律動的放出製剤及びサーカディアン様放出製剤からなる群から選択されるものである、請求項25に記載の製剤。
【請求項29】
低水分グレードの微結晶性セルロース、無水ラクトース、予備ゼラチン化デンプン、メタクリル酸のアニオン性及びカチオン性ポリマー、アクリレートとメタクリレートのコポリマー、エチルセルロース、クエン酸トリエチル、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ポリビニルピロリドン(PVP)及び糖からなる群から選択される少なくとも1つの賦形剤をさらに含む、請求項25に記載の製剤。
【請求項30】
室温で実質的に安定である、請求項25に記載の製剤。


【公表番号】特表2009−526783(P2009−526783A)
【公表日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−554542(P2008−554542)
【出願日】平成19年2月13日(2007.2.13)
【国際出願番号】PCT/US2007/062034
【国際公開番号】WO2007/095523
【国際公開日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【出願人】(507021702)ヴァンダ ファーマシューティカルズ インコーポレイテッド (20)
【Fターム(参考)】