説明

イミダゾ縮合化合物

本発明は、式(I)(式中、A、Z、Z1、Y、R1およびR2は、本明細書中に定義されたとおりである)に相当する化合物、ならびにその医薬製剤、製造方法、およびp38により仲介される疾患の処置のための使用を開示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、p38タンパク質キナーゼ(「p38」)阻害剤としてのある種の複素環式化合物に関する。特に、本発明は、イミダゾ−置換された複素二環式化合物、これらの製造方法、これらを含む医薬製剤、およびこれらの使用方法に関する。
【0002】
マイトジュン活性化タンパク質キナーゼ(MAP)は、それらの基質を二重リン酸化により活性化するプロリン指向セリン/トレオニンキナーゼの一群である。キナーゼは、栄養および浸透圧ストレス、UV光、成長因子、エンドトキシンおよび炎症性サイトカインを包含する様々な信号により活性化される。MAPキナーゼの一群は、様々なアイソフォーム(例えばp38α、p38β、p38δおよびp38γ)を包含するp38キナーゼ群である。p38キナーゼは、他のキナーゼと同様にリン酸化および転写因子活性化の原因となり、それら自体は、物理的および化学的ストレス、炎症誘発性サイトカインおよび細菌性リポ多糖により活性化される。
【0003】
より重要なのは、P38リン酸化の生成物が、TNF、IL−1、IL−6を包含する炎症性サイトカインおよびシクロオキシゲナーゼ−2の産生を仲介することが示されていることである。これらサイトカインのそれぞれは、数多くの病状および状態に関係している。例えば、TNF−αは、主として活性化された単球およびマクロファージにより産生されるサイトカインである。その過剰なまたは制御されない産生は、関節リウマチの病理学で原因的な役割を果たしている。より最近では、TNF産生の抑制は、炎症、炎症性腸疾患、アルツハイマー病、クローン病、多発性硬化症および喘息の処置に広い用途があることが示されている。
【0004】
TNFは、ウイルス感染、例えば、HIV、インフルエンザウイルス、および単純ヘルペスウイルスタイプ−1(HSV−1)、単純ヘルペスウイルスタイプ−2(HSV−2)、サイトメガロウイルス(CMV)、水痘帯状疱疹ウイルス(VZV)、エプスタイン・バーウイルス、ヒトヘルペスウイルス−6(HHV−6)、ヒトヘルペスウイルス−7(HHV−7)、ヒトヘルペスウイルス−8(HHV−8)、仮性狂犬病および鼻気管炎(rhinotracheitis)等にも関連している。
【0005】
同様に、IL−1は、活性化された単球およびマクロファージにより産生され、関節リウマチ、発熱および骨吸収の低下を包含する多くの病理生理学的応答で役割を果たしている。
【0006】
p38キナーゼを阻害することによりこれらのサイトカインを抑制することは、これらの病状の多くを制御し、軽減させ、緩和するのに有益である。
【0007】
一つの態様(i)で、本発明は、式I
【化13】


(式中、
Zは、NまたはCHであり;
原子C5とZ1の間の結合が単結合である場合、Z1は、NおよびCHから選択され、C5とZ1の間の結合が二重結合である場合、Z1は、Cであり;
1は、水素またはアルキルであり;
2は、アルキル、アラルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、ヘテロシクリル、アリールまたはヘテロアリールであり;
Aは、存在しないか、または−O−、−CHR’―、―C(=O)―、―S(O)n―または―NR3−であり、nは、0、1または2であり、R’は、水素またはアルキルであり、R3は、水素、アルキル、アリール、ヘテロアリールまたはシクロアルキルであり;
原子C5とZ1の間の結合は、単結合または二重結合であり;
原子C8とC9の間の結合は、単結合または二重結合であり;
Yは、アルキル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、アリールまたはヘテロアリールである)
により表される化合物、またはこれらの異性体、薬学的に許容され得る塩、エステルもしくはプロドラッグを提供する。
【0008】
別の態様で、本発明は、
(ii)式
【化14】


(式中、
2は、場合により置換されたアラルキル、場合により置換されたシクロアルキル、場合により置換されたヘテロシクリル、場合により置換されたアリール、および場合によりヒドロキシ、O(C1-4アルキル)またはS(O)2(C1-4アルキル)の一つで置換されたC1-4アルキルから選択され;
Aは、存在しないか、または−O−であり;
Yは、場合によりハロ、ヒドロキシ、アミノ、アルキルまたはヘテロアルキルから選択された1〜2個の基で置換されたフェニルである)
を有する(i)の化合物、またはこれらの異性体、薬学的に許容され得る塩、エステルもしくはプロドラッグ;あるいは
【0009】
(iii)R2が、シクロペンチル、シクロヘキシル、テトラヒドロピラニル、ピペリジニル、チアノニル、テトラヒドロ−1,1−ジオキシド−2−H−チオピラニル、フェニルおよびベンジルから選択され、該R2基のそれぞれが、場合によりヒドロキシ、ハロゲン、O(C1-4アルキル)もしくはS(O)2(C1-4アルキル)の一つで置換されているか;またはR2が、場合によりヒドロキシ、O(C1-4アルキル)もしくはS(O)2(C1-4アルキル)の一つで置換されたC1-4アルキルから選択される、(ii)の化合物;あるいは
【0010】
(iv)式
【化15】


(式中、R2は、(ii)で定義したとおりである)
を有する(ii)の化合物;あるいは
【0011】
(v)R2が、シクロペンチル、シクロヘキシル、テトラヒドロピラニル、ピペリジニル、チアノニル、テトラヒドロ−1,1−ジオキシド−2−H−チオピラニル、フェニルおよびベンジルから選択され、ここでこのR2基のそれぞれが、場合によりヒドロキシ、ハロゲン、O(CH3)もしくはS(O)2(CH3)の一つで置換されているか;またはR2が、場合によりヒドロキシ、O(CH3)もしくはS(O)2(CH3)の一つで置換されたC1-4アルキルから選択される、(iv)の化合物;あるいは
【0012】
(vi)Zが−N−である(i)の化合物;あるいは
【0013】
(vii)Z1が−C−であり、Z1とC5の間の結合が二重結合である(i)または(vi)の化合物;あるいは
【0014】
(viii)Aが存在しないか、または−O−である(i)、(vi)または(vii)のいずれか一つの化合物;あるいは
【0015】
(ix)R1が水素である(i)、(vi)〜(viii)のいずれか一つの化合物;あるいは
【0016】
(x)R2が、シクロペンチル、シクロヘキシル、テトラヒドロピラニル、ピペリジニル、チアノニル、テトラヒドロ−1,1−ジオキシド−2−H−チオピラニル、フェニルおよびベンジルから選択され、ここでこのR2基のそれぞれが、場合によりヒドロキシ、ハロゲン、O(C1-4アルキル)もしくはS(O)2(C1-4アルキル)の一つで置換されているか;またはR2が、場合によりヒドロキシ、O(C1-4アルキル)もしくはS(O)2(C1-4アルキル)の一つで置換されたC1-4アルキルから選択される、(i)、(vi)〜(ix)のいずれか一つの化合物;あるいは
【0017】
(xi)Yが、場合によりハロ、ヒドロキシ、アミノ、アルキルまたはヘテロアリールで置換されたフェニルである、(i)、(vi)〜(ix)のいずれか一つの化合物;あるいは
【0018】
(xii)式Ia
【化16】


(式中、
Yは、アリールであり、
Zは、NまたはCHであり、
Aは、存在しないか、またはOであり、
1は、水素であり、
2は、アルキル、ヒドロキシアルキル、場合により置換されたシクロアルキル、場合により置換されたヘテロシクリル、場合により置換されたアリール、または場合により置換されたアラルキルであり;C8とC9の間の結合は単結合または二重結合である)
を有する化合物;あるいは
【0019】
(xiii)ZがNであり、Aが−O−であり、C8とC9の間の結合が二重結合である(xii)の化合物;あるいは
【0020】
(xiv)R2が4−テトラヒドロピラニルであり、Yが4−フルオロフェニルであるか、またはR2が4−フルオロフェニルであり、Yが4−フルオロフェニルである(xiii)の化合物;あるいは
【0021】
(xv)ZがNであり、Aが存在せず、C8とC9の間の結合が二重結合である(xii)の化合物;あるいは
【0022】
(xvi)R2が4−ヒドロキシシクロヘキシルであり、Yが2−クロロフェニルであるか;
2が4−テトラヒドロピラニルであり、Yが2−クロロフェニルであるか;
2が4−(N−メチル−スルホニルピペリジニル)であり、Yが2−クロロフェニルであるか;
2がシクロペンチルであり、Yが2−クロロフェニルであるか;
2が4−(N−メチル−スルホニルピペリジニル)であり、Yが2−クロロフェニルであるか;
2が4−テトラヒドロ−1,1−ジオキシド−2−H−チオピラニルであり、Yが2−クロロフェニルであるか;
2がイソプロピルであり、Yが2−クロロフェニルであるか;または
2が4−フルオロベンジルであり、Yが2−クロロフェニルである
(xv)の化合物;あるいは
【0023】
(xvii)式
【化17】


を有する(i)の化合物;あるいは
【0024】
(xviii)ZがNであり、Aが存在せず、R1が水素であり、Yが2−クロロフェニルであり、R2が4−ヒドロキシシクロヘキシルである(xvii)の化合物;あるいは
【0025】
(xix)式I(c)
【化18】


を有する(i)の化合物;あるいは
【0026】
(xx)ZがNであり、Aが存在せず、R1が水素であり、Yが2−クロロフェニルであり、R2が4−ヒドロキシシクロヘキシルである(xix)の化合物
を提供する。
【0027】
式Iの化合物およびこれらの上記塩は、プロテインキナーゼの阻害剤であり、インビトロでp38に対して効果的な活性を示す。したがって、これらの化合物は、炎症誘発性サイトカイン、例えばTNFおよびIL-1により仲介される病気の処置に使用できる。
【0028】
したがって、もう一つの態様で、本発明は、p38により仲介される病気または状態を処置するための方法であって、治療的に有効な量の式Iの化合物を、このような処置を必要とする患者に投与する方法に関する。
【0029】
さらに別の態様で、本発明は、上記化合物の製造方法に関する。
【0030】
さらに別の態様では、本発明は、p38により仲介される病気または状態を処置するのに有用な医薬の製造方法に関する。
【0031】
ここで使用する用語「アルキル」は、1〜6個の炭素原子を有する直鎖状の飽和1価炭化水素基または分岐鎖状の飽和1価炭化水素基、例えばメチル、エチル、n-プロピル、2−プロピル、tert−ブチル、ペンチル、等を意味する。
【0032】
用語「アリール」は、1価の単環式または二環式芳香族炭化水素基、好ましくは、場合により1個以上の置換基で独立して置換されたフェニルを意味する。アリール基が、好ましくは1、2または3個の置換基で置換されている場合、これらの置換基は、好ましくはアルキル、ハロアルキル、ハロ、ヒドロキシ、ニトロ、シアノ、アミノ、ハロアルコキシ、ヘテロアルキル、メチレンジオキシ、エチレンジオキシ、Y−アリール、Y−ヘテロアリール、Y−シクロアルキル、Y−ヘテロシクリル、Y−ORp−Y−NRpq、Y−C(O)Rp、−YS(O)0-2p、−Y−N−S(O)2p、−Y−S(O)2NRpq、−Y−N−C(O)NRpqからなる群より選択されるが、ここでYは、存在しないか、またはC1〜C3アルキレン基であり、RpおよびRqは、それぞれ互いに独立して、水素、アルキル、ハロアルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキルおよびヘテロシクリルから選択される。より詳しくは、用語アリールは、フェニル、クロロフェニル、メトキシフェニル、1−ナフチル、2−ナフチル、およびこれらの誘導体を包含するが、これらに限定されるものではない。
【0033】
「アラルキル」は、基−Rxy(Rxはアルキレン基であり、Ryは上に定義したアリール基である)、例えばベンジル、フェニルエチレン、等を意味する。
【0034】
ここで使用する用語「シクロアルキル」は、3〜7個の環炭素を有する飽和1価環式炭化水素基、例えばシクロペンチル、シクロブチル、シクロヘキシル、等を意味する。上に定義する飽和1価環式炭化水素基は、場合により、水素ではない1、2または3個の置換基で置換されていてもよい。好ましくは、置換基は、アルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、アミノ、一置換されたアミノ、二置換されたアミノ、ハロアルキル、ハロ、シアノアルキル、オキソ(すなわちカルボニル酸素)、ヘテロアルキル、ヘテロシクリル、ヒドロキシアルキル、および−(X)n−C(O)R’(ここでXはOまたはNR”であり、nは0または1であり、R”は水素、アルキル、ハロアルキル、アミノ、一置換されたアミノ、二置換されたアミノ、ヒドロキシ、アルコキシ、アルキルまたは場合により置換されたフェニルであり、R’はHまたはアルキルである)、および−S(O)nR’(ここでnは0〜2である)からなる群から選択される。より詳しくは、置換されたシクロアルキルの用語は、例えば置換されたシクロペンチル、置換されたシクロヘキシル、等を包含する。
【0035】
用語「ハロ」、「ハロゲン化物」または「ハロゲン」は、置換基に言及する場合、フルオロ、クロロ、ブロモ、またはヨード、好ましくはクロロを意味する。
【0036】
用語「ハロアルキル」は、1個以上の、同一であるかまたは異なったハロ原子で置換されたアルキル、例えば−CH2Cl、−CF3、−CH2CF3、−CH2CCl3、等を意味し、さらに、アルキル水素原子のすべてがフッ素原子に置き換わっているペルフルオロアルキルのようなアルキル基を包含する。
【0037】
ここで使用する用語「ヘテロアルキル」は、1、2または3個の水素原子が、−OR−、−NRおよびS(O)n(ここでnは、0〜2の整数である)からなる群より独立して選択された置換基で置き換えられている、上に定義するアルキル基を意味し、その際、ヘテロラジカルの付加点は炭素原子を通してであるが、ここで、Rは、水素、アシル、アルキル、シクロアルキルもしくはシクロアルキルアルキルであるか;あるいはRおよびRは、互いに独立して、水素、アシル、アルキル、シクロアルキルもしくはシクロアルキルアルキルであるか、またはRおよびRは、これらが付加している窒素原子と共に、ヘテロシクロもしくはヘテロアリールを形成し;nが0である場合、Rは、水素、アルキル、シクロアルキルまたはシクロアルキルアルキルであり、nが1または2である場合、Rは、アルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アミノ、アシルアミノ、モノアルキルアミノまたはジアルキルアミノである。代表的な例としては、2−ヒドロキシエチル、3−ヒドロキシプロピル、2−ヒドロキシメチルエチル、2,3−ジヒドロキシプロピル、1−ヒドロキシ−メチルエチル、3−ヒドロキシブチル、2,3−ジヒドロキシブチル、2−ヒドロキシ−1−メチルプロピル、2−アミノエチル、3−アミノプロピル、2−メチルスルホニルエチル、アミノスルホニルメチル、アミノスルホニルエチル、メチルアミノスルホニルメチル、メチルアミノスルホニルエチル、メチルアミノスルホニルプロピル、等があるが、これらに限定するものではない。Rが水素である場合、基−ORは、「ヒドロキシアルキル」とも呼ばれ、2−ヒドロキシエチル、3−ヒドロキシプロピル、2−ヒドロキシメチルエチル、2,3−ジヒドロキシプロピル、1−ヒドロキシメチルエチル、3−ヒドロキシブチル、2,3−ジヒドロキシブチルおよび2−ヒドロキシ−1−メチルプロピルを包含するが、これらに限定されるものではない。
【0038】
「ヘテロアリール」は、N、OまたはSから選択された1、2または3個の環ヘテロ原子を含み、残りの環原子がCである少なくとも1個の芳香族環を有する、5〜12個の環原子を有する1価の単環式または二環式基を意味し、ヘテロアリールが二環系であり、環の一方が炭素環式および/または非芳香族である場合、ヘテロアリール基の付加点は、ヘテロアリール環上であることが理解される。ヘテロアリール環は、場合により、アルキル、ハロアルキル、ハロ、ニトロ、シアノ、アミノ、メチレンジオキシ、Y−アリール、Y−ヘテロアリール、Y−シクロアルキル、Y−ヘテロシクリル、−Y−OR’、−YNR’R”、−Y−C(O)R’、−Y−O−C(O)−R’、−Y−S(O)0-2R’、−Y−N−S(O)2R’、−Y−S(O)2−NR’R”、および−Y−N−C(O)−NR’R”から互いに独立して選択された、1個以上の置換基で、好ましくは1または2個の置換基で置換されており、ここでYは、存在しないか、またはC1〜C3アルキレン基であり、R’およびR”は、それぞれ互いに独立して、水素、アルキル、ハロアルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキルまたはヘテロシクリルである。より詳しくは、用語ヘテロアリールは、ピリジル、フラニル、チエニル、チアゾリル、イソチアゾリル、トリアゾリル、イミダゾリル、イソオキサゾリル、ピロリル、ピラゾリル、ピリミジニル、ベンゾフラニル、テトラヒドロベンゾフラニル、イソベンゾフラニル、ベンゾチアゾリル、ベンゾイソチアゾリル、ベンゾトリアゾリル、インドリル、イソインドリル、ベンゾオキサゾリル、キノリル、テトラヒドロキノリル、イソキノリル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾイソオキサゾリルまたはベンゾチエニル、イミダゾ[1,2−a]ピリジニル、イミダゾ[2,1−b]チアゾリル、およびこれらの誘導体を包含するが、これらに限定されるものではない。
【0039】
「一置換されたアミノ」は、基−NHRを意味し(ここでRは、アルキル、ヘテロアルキル、ハロアルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、ヒドロキシアルキル、アリール、アラルキル、アラルケニル、ヘテロアリール、ヘテロアラルキル、ヘテロアラルケニル、ヘテロシクリルまたはヘテロシクリルアルキルである)、例えばメチルアミノ、エチルアミノ、フェニルアミン、ベンジルアミン、等である。同様に、用語「二置換されたアミノ」は、基−NRを意味し、ここで、RおよびRは、互いに独立してアルキル、ヘテロアルキル、ハロアルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、ヒドロキシアルキル、アリール、アラルキル、アラルケニル、ヘテロアリール、ヘテロアラルキル、ヘテロアラルケニル、ヘテロシクリルもしくはヘテロシクリルアルキルであるか、またはRおよびRは、これらが付加している窒素原子と共に、複素環を形成する。代表的な例としては、ジメチルアミノ、メチルエチルアミノ、ジ(1−メチル−エチル)アミノ、ピペラジニル、等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0040】
「ヘテロシクリル」は、1または2個の環原子が、N、OまたはS(O)n(nは、0〜2の整数である)から選択されたヘテロ原子であり、残りの環原子がCである飽和環式基を意味し、その際、1または2個のC原子は、場合によりカルボニル酸素原子を含んでもよく、例えば環中の1または2個の原子は、式−C(=O)−の部分であってもよい。ヘテロシクリル環は、場合により独立してアルキル、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、アルコキシ、ヘテロアルキル、ハロアルキル、および−(X)n−C(O)R(ここで、XはOまたはNR’であり、nは0または1であり、Rは水素、アルキル、ハロアルキル、アミノ、一置換されたアミノ、二置換されたアミノ、ヒドロキシ、アルコキシまたは場合により置換されたフェニルであり、R’はHまたはアルキルである)、Y−アリール、Y−ヘテロアリール、Y−シクロアルキル、Y−ヘテロシクリル、Y−ORp、−Y−NRpq、Y−C(O)Rp、−YS(O)0-2p、−Y−N−S(O)2p、−Y−S(O)2NRpq、−Y−N−C(O)NRpq、から選択された1、2または3個の置換基で置換されていてもよく、ここで、Yは存在しないかまたはC1〜C3アルキレン基であり、RpおよびRqは、それぞれ互いに独立して、水素、アルキル、ハロアルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキルおよびヘテロシクリルから選択される。より詳しくは、用語ヘテロシクリルは、テトラヒドロピラニル、ピペリジニル、ピペラジニル、モルホリニルおよびそれらの誘導体を包含するが、これらに限定されるものではない。
【0041】
用語「アシル」は、基−C(O)Rを意味し、ここでRは、アルキル、ハロアルキル、ヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アラルキルまたはヘテロアラルキルである。
【0042】
「アルコキシ」、「アリールオキシ」、「アラルキルオキシ」または「ヘテロアラルキルオキシ」は、基ORを意味し(ここで、Rは、それぞれ上に定義したアルキル、アリール、アラルキルまたはヘテロアラルキルである)、例えばメトキシ、フェノキシ、ピリジン−2−イルメチルオキシ、ベンジルオキシ、等である。
【0043】
本明細書で記載する式に結合が二重結合として現れ、その際、2個の結合の一方が、
【化19】


のように破線として記載される場合、他に特別な指示がない限り、この記号は、この結合が、隣接する原子に対して適宜選択される、場合により単結合または二重結合であってもよいことを意味する。したがって、「破線は結合である」と記載されている場合、これは二重結合が存在することを意味し、「破線は結合ではない」と記載されている場合、これは単結合が存在することを意味する。
【0044】
「離脱基」とは、合成有機化学で通常それに関連する意味、すなわち求核試薬により置き換えられ得る原子または基を意味し、ハロ(例えばクロロ、ブロモおよびヨード)、アルカンスルホニルオキシ、アレーンスルホニルオキシ、アルキルカルボニルオキシ(例えばアセトキシ)、アリールカルボニルオキシ、メシルオキシ、トシルオキシ、トリフルオロメタンスルホニルオキシ、アリールオキシ(例えば2,4−ジニトロフェノキシ)、メトキシ、N,O−ジメチルヒドロキシルアミノ、等が挙げられる。
【0045】
「薬学的に許容され得る添加剤」とは、医薬組成物の製造において有用であって、一般的に安全であり、無毒性であり、生物学的にも、他の観点からも好ましくないものではない添加剤を意味し、獣医用ならびにヒト用医薬用途に許容され得る添加剤を包含する。本明細書および請求項で使用する「薬学的に許容され得る添加剤」は、このような添加剤の1種以上を包含する。
【0046】
ある化合物の「薬学的に許容され得る塩」は、薬学的に許容され得る、親化合物の所望の薬理活性を有する塩を意味する。このような塩としては、(1)無機酸、例えば塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸、等で形成される酸付加塩;または有機酸、例えば酢酸、プロピオン酸、ヘキサン酸、シクロペンタンプロピオン酸、グリコール酸、ピルビン酸、乳酸、マロン酸、コハク酸、リンゴ酸、マレイン酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、3−(4−ヒドロキシベンゾイル)安息香酸、ケイ皮酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、1,2−エタンジスルホン酸、2−ヒドロキシエタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、4−クロロベンゼンスルホン酸、2−ナフタレンスルホン酸、4−トルエンスルホン酸、ショウノウスルホン酸、4−メチルビシクロ[2.2.2]−オクタ−2−エン−1カルボン酸、グルコヘプトン酸、4,4’−メチレンビス−(3−ヒドロキシ−2−エン−1−カルボン酸)、3−フェニルプロピオン酸、トリメチル酢酸、tert−ブチル酢酸、ラウリルスルホン酸、グルコン酸、グルタミン酸、ヒドロキシナフトエ酸、サリチル酸、ステアリン酸、ムコン酸、等で形成される酸付加塩、あるいは(2)親化合物中に存在する酸性プロトンが、金属イオン、例えばアルカリ金属イオン、アルカリ土類イオン、もしくはアルミニウムイオンにより置き換えられるか;または有機塩基、例えばエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トリメタミン、N−メチルグルカミン、等と配位する場合に形成される塩が挙げられる。
【0047】
「プロ−ドラッグ」および「プロドラッグ」は、本明細書では互換的に使用され、このようなプロドラッグを哺乳動物被検体に投与した時に、式Iで示される活性な親薬物をインビボで放出するすべての化合物を意味する。式Iの化合物のプロドラッグは、式Iの化合物中に存在する1個以上の官能基を修飾し、その修飾部がインビトロで開裂し、親化合物が放出されるように製造される。プロドラッグは、式Iの化合物中のヒドロキシ、アミノまたはスルフィドリル基が、インビトロで開裂して遊離のヒドロキシ、アミノまたはスルフィドリル基をそれぞれ再生することができるいずれかの基に結合している式Iの化合物を包含する。プロドラッグの例は、式Iの化合物中のヒドロキシ官能基のエステル(例えばアセテート、ホルメートおよびベンゾエート誘導体)、カルバメート(例えばN,N−ジメチルアミノカルボニル)、等を包含するが、これらに限定されるものではない。
【0048】
「保護基」は、分子中の反応性基に付加した時に、その反応性をマスク、抑制または阻止する原子団を意味する。保護基の例は、T.W. Green and P.G. Futs, Protective Groups in Organic Chemistry, (Wiley, 2nd ed. 1991)およびHarrison and Harrisonら、Compendium of Synthetic Organic Methods, Vols. 1-8 (John Wiley and Sons, 1971-1996)に記載されている。代表的なアミノ保護基としては、ホルミル、アセチル、トリフルオロアセチル、ベンジル、ベンジルオキシカルボニル(CBZ)、tert−ブトキシカルボニル(BOC)、トリメチルシリル(TMS)、2−トリメチルシリル−エタンスルホニル(SES)、トリチルおよび置換されたトリチル基、アリルオキシカルボニル、9−フルオレニルメチルオキシカルボニル(FMOC)、ニトロベラトリルオキシカルボニル(NVOC)、等がある。代表的なヒドロキシ保護基としてはヒドロキシ基をアシル化またはアルキル化する保護基、例えばベンジル、およびトリチルエーテルならびにアルキルエーテル、テトラヒドロピラニルエーテル、トリアルキルシリルエーテルおよびアリルエーテルがある。
【0049】
病気を「処置すること」または「処置」は、(1)病気を阻止すること、すなわち病気にさらされる可能性があるか、または病気になりやすいが、まだ病気を経験していないか、または症状を示していない哺乳動物に、病気の臨床的症状を引き起こさないこと、(2)病気を抑制すること、すなわち病気またはその臨床的症状の進行を止めるか、または遅らせること、または(3)病気を緩和すること、すなわち病気またはその臨床的症状を後退させることを包含する。
【0050】
「治療的有効量」は、病気を処置するために哺乳動物に投与した時に、その病気を処置するのに十分な化合物の量を意味する。「治療的有効量」は、化合物、病気およびその重度、ならびに処置される哺乳動物の年齢、体重、等により異なる。
【0051】
一つの実施態様で、本発明は、式
【化20】


(式中、Z、Z1、R1、R2、A、Y、ならびにC5とZ1の間の結合およびC8とC9の間の結合は、上に定義したとおりである)により表される化合物を提供する。
【0052】
式Iの好ましい化合物としては、Aが、存在しないか、または−O−であり、ZおよびZ1の両方がNであり、Yがアリールであり、R1が水素であり、R2が、式(I)の化合物に関して上に定義したとおりである化合物が挙げられる。より好ましい化合物は、ZがNであり、C5とZ1の間の結合が二重結合になるようにZ1がCであり、Aが存在しないかまたは−O−であり、Yがアリール(より好ましくは場合により置換されたフェニル)であり、R1が水素であり、R2が式Iの化合物に関して上に定義したとおりである、式Iの化合物である。
【0053】
さらに好ましい化合物は、式I(a)
【化21】


(式中、ZがNであり、Aが存在しないかまたは−O−であり、Yが場合により置換されたフェニルであり、R1が水素であり、R2が上に定義したとおりである)の化合物である。
【0054】
最も好ましい化合物は、ZがNであり、Aが存在せず、Yがハロ、ヒドロキシ、アミノ、アルキルまたはヘテロアルキルで置換されたフェニルであり、R1が水素であり、R2が、アルキル、ヘテロアルキル、場合により置換されたシクロアルキル、場合により置換されたヘテロシクリル、または置換されたフェニルもしくはベンジルである、式I(a)の化合物である。
【0055】
特に好ましい化合物は、Aが存在せず、Yがハロで置換されたフェニルであり、破線が二重結合であり、R1が水素であり、R2がアルキル(より好ましくは、場合によりヒドロキシ、メトキシまたはメチルスルホニルで置換された低級アルキル)、ヘテロアルキル、場合により置換されたシクロアルキル(より好ましくは、場合によりメトキシで置換された、シクロペンチルまたはシクロヘキシル)、場合により置換されたヘテロシクリル(より好ましくは、場合により置換されたピペリジニル)、または置換されたフェニルもしくはベンジル(より好ましくは、ハロで置換された、フェニルまたはベンジル)である、式I(a)の化合物である。下記の表Iに、式I(a)の代表的な化合物の幾つかを挙げる。
【0056】
本発明の他の代表的な化合物は、式I(b)
【化22】


(式中、R1、Z、R2、AおよびYは、式(I)およびI(a)に関して上に定義したとおりである)の化合物である。
【0057】
本発明のさらに他の代表的な化合物は、式I(c)
【化23】


(式中、Z、R1、R2、AおよびYは、式(I)およびI(a)に関して上に定義したとおりである)の化合物である。
【0058】
式I(c)の好ましい化合物(12)は、ZがNであり、Aが存在せず、R1が水素であり、Yが2−クロロフェニルであり、R2が4−ヒドロキシシクロヘキシルである。質量スペクトルは、MH+399である。
【0059】
表1
式I(a)の代表的な化合物は、破線が結合であり、ZがNであり、R1が水素であり、R2、AおよびYの意味が下記の表に示される化合物である。
【0060】
【化24】


【0061】
式I(a)の好ましい化合物(13)は、ZがNであり、破線が結合ではなく、R1が水素であり、R2が4−ヒドロキシシクロヘキシルであり、Yが2−クロロフェニルである化合物である。MH+396、M.P.169.3〜175.8℃。
【0062】
式I(a)の特に好ましい化合物は、上記表1の化合物(3)および(7)である。
【0063】
本発明の化合物は、非溶媒和形態、ならびに水和形態を含む溶媒和形態で存在することができ、本発明の範囲内に入る。さらに、上記のように、本発明は、これらの化合物のすべての薬学的に許容され得る塩を、これらの化合物のプロドラッグ形態および純粋なキラル形態であろうと他の形態の混合物のラセミ混合物であろうとすべての立体異性体と共に包含する。
【0064】
式Iの化合物は、薬学的に許容され得る酸付加塩をさらに形成することができる。これらの形態のすべてが、本発明の範囲内に入る。
【0065】
式Iの化合物の薬学的に許容され得る酸付加塩は、無機酸、例えば塩酸、硝酸、リン酸、硫酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、リン酸、等から誘導される塩、ならびに有機酸、例えば脂肪族モノ−およびジカルボン酸、フェニル置換されたアルカン酸、ヒドロキシアルカン酸、アルカンジオン酸、芳香族酸、脂肪族および芳香族スルホン酸、等から誘導される塩を包含する。このような塩には、硫酸塩、ピロ硫酸塩、重硫酸塩、亜硫酸塩、重亜硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩、リン酸一水素塩、リン酸二水素塩、メタリン酸塩、ピロリン酸塩、塩化物、臭化物、ヨウ化物、酢酸塩、プロピオン酸塩、カプリル酸塩、イソ酪酸塩、シュウ酸塩、マロン酸塩、コハク酸塩、スベリン酸塩、セバシン酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、マンデル酸塩、安息香酸塩、クロロ安息香酸塩、メチル安息香酸塩、ジニトロ安息香酸塩、フタル酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、トルエンスルホン酸塩、フェニル酢酸塩、クエン酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、酒石酸塩、メタンスルホン酸塩、等が挙げられる。アミノ酸の塩、例えばアルギン酸塩等、およびグルコン酸塩、ガラクツロン酸塩(例えばBergeら、「Pharmaceutical Salts」J. of Pharmaceutical Science, 1977, 66, 1-19参照)も含まれる。
【0066】
塩基性化合物の酸付加塩は、遊離塩基形態を十分な量の所望の酸と接触させ、通常の様式で塩を形成することにより、製造することができる。遊離塩基形態は、塩形態を塩基と接触させ、遊離塩基を通常の様式で単離することにより、再生することができる。遊離塩基形態は、それらのそれぞれの塩形態と、特定の物理的特性、例えば極性溶媒に対する溶解度においてある程度異なる場合があるが、他の点では、これらの塩は、本発明の目的についてそれらのそれぞれの遊離塩基と等価である。
【0067】
薬学的に許容され得る塩基付加塩は、金属イオンまたはアミン、例えばアルカリおよびアルカリ土類金属イオンまたは有機アミンを用いて形成することができる。陽イオンとして使用される金属イオンの例としては、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、等が挙げられる。適切なアミンの例は、N,N’−ジベンジルエチレンジアミン、クロロロカイン(chlororocaine)、コリン、ジエタノールアミン、エチレンジアミン、N−メチルグルカミンおよびプロカイン(例えば上記Bergeら参照)である。
【0068】
酸性化合物の塩基付加塩は、遊離酸形態を十分な量の所望の塩基と接触させ、通常の様式で塩を形成することにより、製造することができる。遊離酸形態は、塩形態を酸と接触させ、遊離酸を通常の様式で単離することにより、再生することができる。遊離酸形態は、それらのそれぞれの塩形態と、特定の物理的特性、例えば極性溶媒に対する溶解度においてある程度異なる場合があるが、他の点では、これらの塩は、本発明の目的についてそれらのそれぞれの遊離酸と等価である。
【0069】
本発明の化合物は、様々な方法により、当業者には周知の手順を使用して製造することができる。下記のスキームは、本発明の化合物の製造方法を例示し、ここで使用される略号は下記の意味を有する。
MCPBA:m-クロロ安息香酸
NMP:1−メチル−2−ピロリジノン
THF:テトラヒドロフラン
TLC:薄層クロマトグラフィー
EtOAc:酢酸エチル
LAH:水素化アルミニウムリチウム
DMF:ジメチルホルムアミド
DMPU:1,3−ジメチル−3,4,5,6−テトラヒドロ−2(1H)−ピリミジノン
【0070】
スキーム1は、保護されたチオピリジン−5−カルボキシレートから出発し、式I(a)(1)の化合物(破線が結合ではない式I(a)の化合物)を合成する一般的な方法を記載するが、その際、RpおよびRpaは、保護基、例えば低級アルキルおよびベンジルであり、Rは、離脱基、例えばハロである。保護基および離脱基は、上記にそれぞれ定義してある。このスキームのカルボキシレートから化合物を製造する一般的な方法は、WO0129042およびWO0129041に記載されている。
【0071】
化合物をトリエチルアミンおよび水性アンモニウムで処理し、化合物を得る。化合物を水素化アルミニウムリチウムまたはこの分野で周知の他の還元剤で還元し、化合物を得る。化合物を活性化酸化マンガン粉末で、またはこの分野で周知の他の酸化方法により処理することにより、アルデヒドに酸化する。化合物を一般式−A−Y−C(O)ORz(式中、AおよびYは上に定義したとおりであり、Rzは低級アルキル、アリールまたはシクロアルキルである)で示されるエステルと反応させ、ピリミジノンを得る。
【0072】
化合物をN−(2−ヒドロキシエチル)−フタルイミドと反応させ、フタルイミドを得る。フタルイミドをヒドラジン一水和物と共に攪拌し、化合物を純粋な形態で単離する。化合物を、トリメチルアルミニウムと反応させて三環式スルフィドに環化する。
【0073】
三環式スルフィドを一般式−NH212で示されるアミンと直接反応させ、一般式I(a)(1)の化合物を得ることができる。
【0074】
【化25】

【0075】
スキーム2は、上記のスキーム1から得たアルデヒドから出発し、これをDPMU中で、一般式CN−CH2−A−Y(式中、AおよびYは上に定義したとおりである)で示されるシアニドおよび炭酸カリウムと共に加熱し、アミノピリドピリミジンを得る、式I(a)(2)の化合物(破線が結合である式I(a)の化合物)を合成する一般的な方法を記載する。化合物をトリエチルアミンおよび1,2−ジクロロエチルエチルエーテルで処理し、式10で示されるスルフィドを得る。
【0076】
次いで、スキーム1に記載する方法により、化合物10を対応するスルホキシド11に酸化する。次いで、スルホキシド11を式−NH212で示されるアミンと反応させ、一般式I(a)の化合物を得る。あるいは、スルフィド10を−NH212と直接反応させ、一般式I(a)(2)の化合物を得ることもできる。
【0077】
【化26】

【0078】
スキーム3は、化合物12から出発し、式I(c)の化合物を製造する一般的な方法を記載する。化合物12は、WO0129042およびWO0129041に記載されている方法により製造される。
【0079】
【化27】

【0080】
化合物12をトリフェニルホスフィン、ジエチルアゾジカルボキシレートおよびN−(2−ヒドロキシエチル)−フタルイミドで処理し、化合物13を得る。次いで、化合物13をヒドラジン水和物と反応させて化合物14を得、次いでこれをトリメチルアルミニウム溶液と反応させ、化合物15を得る。化合物15を式−H2NR12で示されるアミンと反応させ、一般式I(c)の化合物を得る。あるいは、化合物15を3−クロロ過安息香酸で酸化し、対応するスルホキシド(スキーム中には示していない)を得、次いでこれをアミン−NR12と反応させ、所望の式I(c)の化合物を得ることもできる。
【0081】
本発明の化合物のこれらの製造方法も本発明の目的であり、下記の方法を含む。
【0082】
(i)式Aの化合物を式CN−CH2−A−Y(式中、A、ZおよびYは、請求項1に定義されており、Rpは低級アルキルおよびベンジルから選択される)で示されるシアニドと反応させて式Bの化合物を得ること;
【0083】
【化28】

【0084】
b)化合物Bを、トリエチルアミン、トリアルキルアミン塩基、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタンまたはジイソプロピルエチルアミンから選択された試薬および1,2−ジクロロエチルエーテルと反応させて化合物Cを得ること;
【0085】
【化29】

【0086】
c)化合物Cを、3−クロロ過安息香酸、過酸化水素/ギ酸、過酸化水素/メチルトリオキソレニウムVII、またはOXONEから選択された試薬で酸化して化合物Dを得ること;および
【0087】
【化30】

【0088】
d)化合物Dを式−H2N−R12(式中、R1およびR2は、請求項1に定義されている)で示されるアミンと十分な時間接触させて請求項1の化合物を得る
ことを含む、請求項1の化合物の製造方法。
【0089】
(ii)
a)式E(式中、Z、AおよびYは、請求項1に定義されており、Rpは低級アルキルまたはベンジルである)の化合物を、トリフェニルホスフィン、ジエチルアゾジカルボキシレートおよびN−(2−ヒドロキシエチル)−フタルイミドから選択された試薬と反応させて化合物Fを得ること;
【0090】
【化31】

【0091】
b)化合物Fをヒドラジンと反応させて化合物Gを得ること;
【0092】
【化32】

【0093】
c)化合物Gをトリメチルアルミニウムと反応させて化合物Hを得ること;
【0094】
【化33】

【0095】
d)場合により化合物Hを、3−クロロ過安息香酸、過酸化水素/ギ酸、過酸化水素/メチルトリオキソレニウムVII、またはOXONEから選択された試薬で酸化して対応するスルホキシドを得、このスルホキシドを式−H2N−R12(式中、R1およびR2は、請求項1に定義されている)で示されるアミンと十分な時間接触させて請求項1の化合物を得ること
を含む、請求項1の化合物の製造方法。
【0096】
式Iの化合物および式Iの塩基性化合物の酸との薬学的に許容され得る塩は、医薬として、例えば医薬製剤の形態で使用することができる。医薬製剤は、経腸的に、例えば経口的に錠剤、コーティング錠、糖剤、硬および軟ゼラチンカプセル剤、液剤、乳剤または懸濁剤の形態で、経鼻的に、例えば鼻噴用スプレーの形態で、または直腸内に、例えば坐剤の形態で投与することができる。しかし、これらの医薬製剤は、非経口的に、例えば注射液剤の形態で投与することもできる。
【0097】
式Iの化合物およびこれらの上記薬学的に許容され得る塩は、医薬製剤製造用の薬学的に不活性な有機または無機担体で処理することができる。ラクトース、コーンスターチもしくはこれらの誘導体、タルク、ステアリン酸もしくはその塩等を、例えば、錠剤、糖剤および硬ゼラチンカプセル剤用の担体などとして使用することができる。軟ゼラチンカプセル剤用の適切な担体は、例えば植物油、ろう状物、脂肪、半固体および液体ポリオール、等であるが、活性成分の性質に応じて、軟ゼラチンカプセル剤の場合、通常は担体を必要としない。液剤およびシロップ剤の製造に適切な担体は、例えば水、ポリオール、スクロース、転化糖、グルコース、等である。坐剤に適切な担体は、例えば天然または硬化油、ろう状物、脂肪、半液体または液体ポリオール、等である。
【0098】
医薬製剤は、保存剤、可溶化剤、安定剤、湿潤剤、乳化剤、甘味料、着色剤、香味料、浸透圧を変えるための塩、緩衝剤、マスク剤または抗酸化剤も含むことができる。医薬製剤は、式Iの化合物およびこれらの上記薬学的に許容され得る塩以外の、治療的に有用な物質も含むことができる。
【0099】
式Iの化合物または式Iの塩基性化合物の酸との薬学的に許容され得る塩を、適合性のある医薬担体材料と共に含む医薬も、これら化合物または塩の1種以上、および望ましい場合、1種以上の他の治療的に有用な物質を、適合性のある医薬担体と共にガレヌス製剤投与形態中に取り入れることを含む、このような医薬の製造方法と同様に、本発明の目的の一つである。
【0100】
前に記載したように、式Iの化合物およびこれらの上記薬学的に許容され得る塩は、本発明により、治療的に活性な物質として、特に抗炎症剤として、または移植手術に続く拒絶反応を阻止するために使用することができる。投与量は、広い限度内で変えることができるが、無論、それぞれの特別な症例における個別の必要条件に適合させる。一般的に、成人に投与する場合、都合の良い一日量は、約0.1mg/kg〜約100mg/kg、好ましくは約0.5mg/kg〜約5mg/kgにすべきである。一日量は、1回量または分割量で投与することができ、さらに投与量の上限は、指示されていることが分かった場合には、超えることができる。
【0101】
最後に、式Iの化合物およびこれらの上記薬学的に許容され得る塩の、医薬を製造するための、特に炎症性、免疫学的、腫瘍学的、気管支肺、皮膚科学的および心臓血管の障害の処置または予防における、喘息、中枢神経系障害または糖尿病合併症の処置における、あるいは移植手術に続く拒絶反応の阻止のための医薬を製造するための使用も本発明の目的である。
【0102】
式Iの化合物は、ヒトまたは他の哺乳動物における、このような哺乳動物による過剰の制御されないTNFまたはp38キナーゼ産生により悪化するか、または引き起こされるあらゆる障害または病状(ただし、これらに限定するものではない)の処置に有効であろう。したがって、本発明は、サイトカインにより仲介される病気の処置方法であって、式Iの化合物、またはその薬学的に許容され得る塩もしくは互変異性体をサイトカインの抑制に有効な量で投与することを含む方法を提供する。
【0103】
式Iの化合物は、被検体における炎症の処置に、および発熱の処置用の解熱薬として使用するのに有用であるが、これらに限定されるものではない。本発明の化合物は、関節リウマチ、脊椎関節症、痛風性関節炎、骨関節炎、全身性エリテマトーデス、若年性関節炎、および他の関節炎症状を包含する(ただし、これらに限定するものではない)関節炎の処置に有用である。このような化合物は、成人呼吸困難症候群、肺サルコイドーシス、喘息、珪肺、および慢性肺炎症性疾患を包含する肺の障害または肺の炎症の処置に有用であろう。これらの化合物はまた、敗血症、感染症ショック、グラム陰性敗血症、マラリア、髄膜炎、感染または悪性腫瘍による二次性の悪液質、後天性免疫不全症候群(AIDS)による二次性の悪液質、AIDS、ARC(AIDS関連複合体)、肺炎、およびヘルペスウイルスを包含するウイルスおよび細菌感染の処置にも有用である。これらの化合物はまた、骨吸収病、例えば骨粗鬆症、内毒素ショック、トキシックショック症候群、再潅流損傷(reperfusion injury)、移植片対宿主反応および同種移植片拒絶を包含する自己免疫性疾患、アテローム性動脈硬化症、血栓症、鬱血性心不全および心臓再潅流損傷を包含する心臓血管病、腎再潅流損傷、肝臓病および腎炎、および感染による筋肉痛の処置にも有用である。
【0104】
これらの化合物は、インフルエンザ、多発性硬化症、癌、糖尿病、全身性エリテマトーデス(SLE)、皮膚に関連する状態、例えば乾癬、湿疹、熱傷、皮膚炎、ケロイド形成、および瘢痕組織形成の処置にも有用である。本発明の化合物は、胃腸状態、例えば炎症性腸疾患、クローン病、胃炎、過敏性腸症候群、潰瘍性大腸炎の処置にも有用である。これらの化合物は、眼病、例えば網膜炎、網膜症、ブドウ膜炎、眼のしゅう明、および眼の組織に対する急性損傷の処置にも有用である。本発明の化合物は、新形成を包含する血管新生;転移;眼科学的状態、例えば角膜移植片拒絶、眼の新生血管形成、損傷または感染に続く新生血管形成を包含する網膜新生血管形成、糖尿病性網膜症、水晶体後方線維増殖症および新生血管緑内障;潰瘍性疾病、例えば胃潰瘍;病理学的な、ただし悪性ではない状態、例えば小児血管腫、鼻咽頭の線維性血管腫および無血管性壊死を包含する血管腫;糖尿病性ネフロパシーおよび心筋症;ならびに女性の生殖系障害、例えば子宮内膜の処置にも有用であろう。本発明の化合物は、シクロ−オキシゲナーゼ−2の産生を阻止するのにも有用である。
【0105】
ヒトの処置に有用であることに加えて、これらの化合物は、哺乳動物、齧歯類、等を包含するペット、外来動物および家畜類の獣医学的処置にも有用である。より好ましい動物としては、馬、犬および猫が挙げられる。
【0106】
本化合物は、他の慣用の抗炎症剤と、部分的にまたは完全に置き換わって、例えばステロイド、シクロオキシゲナーゼ−2阻害剤、NSAID、DMARDS、免疫抑制剤、5−リポキシゲナーゼ阻害剤、LTB4アンタゴニストおよびLTA4ヒドロラーゼ阻害剤と共に、共治療(co-therapy)にも使用できる。
【0107】
ここで使用する用語「TNFにより仲介される障害」とは、TNF自体の制御により、あるいはTNFが別のモノカイン、例えばIL-1、IL-6またはIL-8(ただし、これらに限定されるものではない)を放出させることにより、TNFが役割を果たすすべての障害および病気状態を意味する。例えば、IL-1が主成分であり、その産生または作用がTNFに応答して悪化するかまたは分泌される、病気状態は、したがって、TNFにより仲介される障害といえる。
【0108】
ここで使用する用語「p38により仲介される障害」とは、p38自体の制御により、あるいはp38が別の因子、例えばIL-1、IL-6またはIL-8(ただし、これらに限定されるものではない)を放出させることにより、p38が役割を果たすすべての障害および病気状態を意味する。例えば、IL-1が主成分であり、その産生または作用がp38に応答して悪化するかまたは分泌される、病気状態は、したがって、p38により仲介される障害といえる。
【0109】
TNF−βは、TNF−α(カケクチン(chachectin)とも呼ばれる)と近接した構造上の相同性を有しており、それぞれが類似の生物学的応答を誘発し、また同じ細胞レセプタ−に結合するので、TNF−αとTNF−βの両方の合成が本発明の化合物により阻害され、それゆえ、ここでは他に指示がない限り、一括して「TNF」と呼ぶことにする。
【0110】

例1(化合物12)
【化34】

【0111】
この例は、式I(c)の化合物の製造を例示する。
【0112】
【化35】

【0113】
工程1
ピリミジノン3.0g(7.84mmol)、トリフェニルホスフィン4.12g(15.7mmol)およびN−(2−ヒドロキシエチル)−フタルイミド4.12g(15.7mmol)の1,4−ジオキサン45mL中の懸濁液に、ジエチルアゾジカルボキシレート2.73g(2.5mL、15.7mmol)の1,4−ジオキサン10mL中の溶液を、5℃で20分間かけ、滴下漏斗を通して滴加した。この懸濁液を5℃で1時間、次いで室温で一晩攪拌したが、この時点で懸濁液は黄色の溶液に変化した。この溶液を真空中で濃縮し、残留物を、ジクロロメタン中7.5%酢酸エチルで溶離するシリカのカラムクロマトグラフィーにより精製し、フタルイミドを3.92g得た(収率90%)。
【0114】
工程2
【化36】

【0115】
工程1から得たフタルイミドの1.5g(2.7mmol)とヒドラジン水和物2.0mLのメタノール100mL中の混合物を室温で一晩攪拌した。この溶液を真空中で濃縮し、残留物をクロロホルムと水の間で分配した。クロロホルム溶液をブラインで洗浄し、乾燥させ(MgSO4)、濃縮した。生成物を、ジクロロメタン中10%メタノールで溶離するシリカのカラムクロマトグラフィーにより精製し、中間体を1.0g得た(収率87%)。
【0116】
工程3
【化37】

【0117】
化合物の1.56g(3.7mmol)のトルエン30mL中溶液に、トリメチルアルミニウム溶液(トルエン中2、4.6mmol)2.3mLを滴加した。この反応混合物を反応完了まで1時間還流加熱した。トルエンを真空中で除去し、残留物を飽和水性NH4Clの100mLおよび氷100gでクエンチした。酢酸エチル200mLを加え、混合物を濾過した。集めた固体を酢酸エチル200mLおよび水200mLと再度混合した。これを15分間攪拌し、濾過した。この操作をもう一度繰り返した。3回の濾液すべてを一つに合わせ、分液漏斗に移し、層を分離した。水層を酢酸エチルでさらに1回抽出した。一つに合わせた酢酸エチル溶液(約800mL)をブラインで洗浄し、乾燥させ(MgSO4)、真空中で蒸発させ、三環式化合物を1.4g得た(明黄色固体、収率94%)。
【0118】
工程4
【化38】

【0119】
三環式スルフィドの0.171g(0.42mmol)のジクロロメタン20mL中溶液を5℃に冷却した。3−クロロ過安息香酸(最大77%)0.094g(0.42mmol)を加えた。この混合物を反応完了まで30分間攪拌し、溶液を飽和水性Na2SO3中に注ぎ込み、ジクロロメタン(2x75mL)で抽出した。次いで、ジクロロメタンを低温飽和水性NaHCO3およびブラインで洗浄し、乾燥させた(MgSO4)。溶媒を真空中で除去し、スルホキシド0.17gを回収した(収率96%)。このスルホキシドをトランス−4−アミノシクロヘキサノール0.21g(1.8mmol)およびNMP1mLと混合し、120℃の油浴中で反応完了まで45分間熱した。この混合物を水で希釈し、酢酸エチル(3x30mL)で抽出した。次いで、一つに合わせた酢酸エチル溶液を水(3x30mL)、ブラインで洗浄し、乾燥させた(MgSO4)。溶媒を真空中で除去し、回収した残留物を、MeOH/CH2Cl2/Et3N(1/9/0.4)で溶離するシリカのカラムクロマトグラフィーにより精製し、化合物13を19mg得た(質量スペクトルM+1=399)。
【0120】
例2(化合物13)
この例は、スキーム1に記載する手順にしたがう式I(a)の化合物の製造を例示する。
【0121】
工程1
【化39】

【0122】
ピリミジノンB3.0g(9.88mmol)、トリフェニルホスフィン5.18g(19.8mmol)およびN−(2−ヒドロキシエチル)−フタルイミド3.78g(19.8mmol)の1,4−ジオキサン45mL中の懸濁液に、ジエチルアゾジカルボキシレート2.73g(2.5mL、15.7mmol)の1,4−ジオキサン10mL中の溶液を、5℃で20分間かけ、滴下漏斗を通して滴加した。この懸濁液を5℃で1時間、次いで室温で一晩攪拌した。この懸濁液を濾過し、固体をメタノール、次いでエーテルで洗浄した。白色固体2.17gが所望の物質であった。濾液を、ヘキサン中5%酢酸エチルで溶離するシリカのカラムクロマトグラフィーにより精製し、所望の生成物をさらに1.2g得た。の総収率は71%であった。
【0123】
工程2
【化40】

【0124】
フタルイミドの1.2g(2.5mmol)のメタノール100mL中懸濁液に、ヒドラジン一水和物6mLを加えた。これを室温で一晩攪拌したところ、懸濁液が透明な黄色溶液になった。この混合物を濃縮し、残留物を水で希釈し、クロロホルムで抽出した。有機溶液をブラインで洗浄し、乾燥させ(MgSO4)、残留物を、ジクロロメタン中10%メタノールで溶離するシリカのカラムクロマトグラフィーにより精製し、アミノエチルピリドンを0.48g得た(収率55%)。
【0125】
工程3
【化41】

【0126】
化合物の0.48g(1.4mmol)のトルエン10mL中溶液に、トリメチルアルミニウム溶液(トルエン中2、1.76mmol)0.87mLを滴加した。この反応混合物を反応完了まで2時間還流加熱した。トルエンを真空中で除去し、残留物を飽和水性NH4Cl50mLでクエンチし、酢酸エチル(3x75mL)で抽出した。一つに合わせた有機溶液をブラインで洗浄し、乾燥させ(MgSO4)、真空中で蒸発させ、三環式化合物を0.36g得た(収率80%)。
【0127】
工程4
【化42】

【0128】
化合物の0.1g(0.3mmol)およびトランス−4−アミノシクロヘキサノール0.325g(1mmol)のNMP0.5mL中の混合物を200℃の砂浴(加熱マントル)中で14時間加熱した。冷却後、この混合物を水で希釈し、酢酸エチル(3x50mL)で抽出した。一つに合わせた有機溶液を水(3x50mL)、ブラインで洗浄し、乾燥させた(MgSO4)。溶媒を真空中で除去し、生成物を、5%〜20%勾配のジクロロメタン中メタノールで溶離するシリカのカラムクロマトグラフィーにより精製し、化合物13を0.102g得た(質量スペクトルM+1=396、MP=169.3〜175.8℃)。
【0129】
例3(化合物1)
【0130】
【化43】

【0131】
工程1
4−アミノ−2−ベンジルスルファニル−ピリミジン−5−カルボキシレート
【化44】

【0132】
アルデヒドの5g(20.4mmol)、2−クロロベンジルシアニド3.71g(24.4mmol)および炭酸カリウム18g(130mmol)のDMPU50mL中の混合物を110℃の油浴中、反応が完了するまで3時間加熱した。この混合物を水600mL中に注ぎ込み、酢酸エチル300mLで抽出した。有機溶媒を水(3x250mL)で洗浄し、ヘキサン200mLで希釈し、ブラインで洗浄し、乾燥させ(MgSO4)、シリカの短いプラグを通して濾過した。溶媒を真空中で除去した。残留固体を酢酸エチル50mL中で30分間攪拌した。固体を濾別し、少量の酢酸エチルで洗浄し、アミノピリドピリミジンを2.23g回収した。濾液を濃縮し、残留物をヘキサン中50%酢酸エチルで溶離するシリカのカラムクロマトグラフィーにより精製し、2−ベンジルスルファニル−6−(2−クロロ−フェニル)−ピリド[2,3−d]ピリミジン−7−イルアミンを0.62gさらに得た(総収率37%)。
【0133】
工程2
【化45】

【0134】
アミンの3g(7.9mmol)、トリエチルアミン4.8g(6.6mL、47.6mmol)、水5mLおよびアセトニトリル50mLの混合物に、1,2−ジクロロエチルエチルエーテル合計4.0mL(32mmol)を、反応が完了するまで6時間(最初の2時間は1当量/時間で、続く4時間は0.5当量/時間)かけて加えた。この混合物を室温で一晩放置し、水で希釈し、酢酸エチル(2x100mL)で抽出した。有機溶液をブラインで洗浄し、乾燥させ(MgSO4)、真空中で蒸発させた。ヘキサン中30%酢酸エチルで溶離するシリカのカラムクロマトグラフィーにより精製し、スルフィドを2g得た(収率63%)。
【0135】
【化46】

【0136】
化合物の0.056g(0.14mmol)およびトランス−4−アミノシクロヘキサノール0.053g(0.46mmol)のNMP1mL中の混合物を205℃の砂浴(加熱マントル)中で14時間加熱した。冷却後、この混合物を水で希釈し、酢酸エチル(3x50mL)で抽出した。一つに合わせた有機溶液を水(3x50mL)、ブラインで洗浄し、乾燥させた(MgSO4)。溶媒を真空中で除去し、所望の化合物1(化合物1)0.39gを得た(質量スペクトルM+1=394、MP=116〜119℃)。
【0137】
工程4
【化47】

【0138】
場合により、スルフィドの2g(5mmol)のジクロロメタン60mL中の冷却溶液に、5℃で、3−クロロ過安息香酸(最大77%)1.11g(5mmol)を加えた。この反応は3時間で完了し、混合物を飽和水性NaHCO3中に注ぎ込み、ジクロロメタンで抽出した。次いで、有機溶液を10%水性NaHSO3およびブラインで洗浄し、乾燥させた(MgSO4)。溶媒を真空中で除去した後、スルホキシド10を2g回収した(収率96%)。対応するメチルスルホキシドは類似の様式で(BnをMeに置き換えて)製造した。次いで、上記の工程4に記載するようにしてスルホキシド10を化合物1に変換した。
【0139】
例4(化合物3)
【化48】

【0140】
1−(メチルスルホニル)ピペリジン−4−アミン(15)の製造
工程1
ベンジル1−ベンジルピペリジン−4−イルカルバメート
【化49】

【0141】
4−アミノ−1−ベンジルピペリジン11(41.2g、216.5mmol)およびトリエチルアミン(51.3mL、369mmol)のテトラヒドロ600mL中の0℃溶液に、ベンジルクロロホルメート(31mL、217mmol)を30〜45分間かけて、反応温度を5〜10℃に維持するような速度で滴加した。加えた後、反応混合物を室温に温め、12時間攪拌した。溶媒および揮発成分を減圧下で除去した。次いで、水(500mL)および酢酸エチル(1.2L)を加え、反応混合物を2つの相の間で分配した。有機層を飽和重炭酸ナトリウム水溶液(2x150mL)で洗浄し、次いで乾燥させた(食塩水、MgSO4)。溶剤を蒸発させることにより、黄褐色の液体が得られたので、これをカラムクロマトグラフィー(SiO2、EtOAc/ヘキサン−30/70〜EtOAc100)で精製し、アミン12を白色固体として得た(質量スペクトルM+=324、MP=79.1〜79.6℃)
【0142】
工程2
ベンジルピペリジン−4−イルカルバメート
【化50】

【0143】
ベンジルアミン12(27.8g、85.7mmol)を塩化メチレン400mLに室温で溶解させ、1−クロロエチルクロロホルメート(25.4g、178mmol)の塩化メチレン50mL中の液を滴下漏斗を通して滴加した。加えた後、反応混合物を室温で3時間攪拌した。溶媒および揮発成分を減圧下で除去し、メタノール(500mL)を加えた。反応混合物を攪拌しながら1時間還流加熱し、次いで室温に冷却した。反応溶液を真空蒸発させることにより、ピペリジン13を26.3g灰色がかった白色の固体として得た(質量スペクトルM+1=235、MP=190.7〜192.2℃)。
【0144】
工程3
ベンジル1−(メチルスルホニル)ピペリジン−4−イルカルバメート
【化51】

【0145】
保護されたピペリジン13(10g、42.7mmol)およびトリエチルアミン(12mL、86.7mmol)を塩化メチレン500mLに室温で溶解させた。メタンスルホニルクロリド(4.3mL、55.5mmol)の塩化メチレン中の液を滴下漏斗を通して滴加した。加えた後、反応混合物を室温で3時間攪拌した。溶剤および揮発成分を減圧下で除去した。酢酸エチル(500mL)および塩酸の水溶液(0.5M、350mL)を加えた。反応混合物を2つの相の間で分配し、水層を除去した。有機層を塩酸の水溶液(0.5M、2x、100mL)で、次いで重炭酸ナトリウムの飽和水溶液(3x、100mL)で再度洗浄した。次いで、反応溶媒を乾燥させ(食塩水、MgSO4)、減圧下で蒸発させることにより、メタンスルホンアミド14を9.2g得た(MP=148.6〜152.8℃)
【0146】
工程4
1−(メチルスルホニル)ピペリジン−4−アミン
【化52】

【0147】
500mL丸底フラスコ中、窒素雰囲気下で、メタンスルホンアミド14(9.2g、29.5mmol)をテトラヒドロ200mLに室温で溶解させた。次いで、炭素上パラジウム(10%、2〜3g)を加え、反応容器を水素ガスで掃気した(3x)。水素気泡を反応フラスコ中に導入し、溶液を15時間攪拌した(必要であれば、触媒および水素気泡を追加する)。塩化メチレン(100mL)を反応混合物に加え、セライトパッドを通して混合物を濾過した。溶媒を減圧下で蒸発させることにより、所望のアミン15を4.63g得た(質量スペクトルM+1=179、MP=65.3〜65.7℃)。
【0148】
工程5
例3から得たスルホキシド10の0.6g(1.43mmol)および1−(メチルスルホニル)ピペリジン−4−アミン15の0.51g(2.86mmol)のNMP1mLの混合物を70〜80℃に1時間加熱した。この混合物を冷却し、水で希釈し、酢酸エチル(2x75mL)で抽出した。[出発材料15および生成物は、TLC(5%MeOH/CH2Cl2)で同じRf値を有しており、反応生成物の質量スペクトルは、M+1=457であった]。有機溶液を水(2x75mL)、ブラインで洗浄し、乾燥させ(MgSO4)、濃縮した。残留物を、ジクロロメタン中30%酢酸エチルで溶離させるカラムクロマトグラフィーで精製することにより、生成物0.473g(収率73%)が得られた。これをジクロロメタン1mLに溶解させ、1MHCl/エーテル1.24mLを加えた。この懸濁液を30分間攪拌し、濾過し、エーテルで洗浄することにより、化合物3を0.47g得た。(質量スペクトルM+1=457、MP=188〜194℃)
【0149】
例5(化合物2)
【化53】

【0150】
例3から得たスルホキシド10の0.7g(1.67mmol)および4−アミノテトラヒドロピラン0.84g(8.4mmol)のNMP1mL中の混合物を10分間攪拌した。反応は発熱反応であり、10分間で完了した。この混合物を水で希釈し、酢酸エチルで抽出した。有機溶液をブラインで洗浄し、乾燥させ(MgSO4)、真空中で蒸発させた。精製を、ヘキサン中60%酢酸エチルで溶離させるシリカのカラムクロマトグラフィーで行うことにより、生成物0.46g(収率73%)を得た。この固体をジクロロメタン1mLに入れ、1HCl/エーテル1.45mLと混合し、この混合物を1時間攪拌した。溶媒を真空中で除去し、化合物2を0.48g得た。(質量スペクトルM+1=380、MP=211〜214℃)
【0151】
例6(化合物5)
【化54】

【0152】
4−アミノテトラヒドロチオピラン−ジオキシドの製造
工程1
4−アミノテトラヒドロチオピラン
【化55】

【0153】
テトラヒドロチオピラン−4−オン16の5g(0.043モル)、酢酸ナトリウム三水和物29.26g(0.215モル)およびヒドロキシルアミン塩酸塩14.9g(0.215モル)のエタノール200mL中の懸濁液混合物を、反応完了まで6時間還流加熱した。反応混合物を冷却し、エタノールを減圧下で除去した。残留物を氷水400mLで希釈し、酢酸エチル3x150mLで抽出した。有機溶液を食塩水で洗浄し、乾燥させ、濾過した。濾液を減圧下で濃縮し、チアノンオキシム17(白色固体)5.6g(定量的収率)を得た。
【0154】
【化56】

【0155】
LAH/THF76mL(0.076モル)に、チアノンオキシム17の2g(0.015モル)のTHF30mL溶液を滴加した。加えた後、この混合物を還流下で7時間、次いで室温で一晩攪拌した。この懸濁液を冷却し、水2.9mL、続いて15%水性水酸化ナトリウム2.9mL、次いで水8.7mLを注意深く滴加した。この懸濁液を30分間攪拌し、セライト上で濾過し、酢酸エチル200mLで洗浄した。濾液を乾燥させ、濾過し、減圧下で蒸発乾固させ(<50℃)、4−アミノテトラヒドロチオピラン18を1.62g(収率92.3%)得た。
【0156】
工程3
【化57】

【0157】
4−アミノテトラヒドロチオピラン18の2.3g(0.0197モル)の1NaOH25mL懸濁液に、ベンジルクロロホルメート3.14mL(3.75g、0.022モル)を5℃で滴加した。直ちに固体が形成された。加えた後、この混合物を室温で1時間攪拌し、濾過し、水で洗浄した。続いてヘキサン(50mL)で洗浄した。乾燥(空気乾燥)後、生成物19を4.4g(収率88%)得た(質量スペクトルM+1=252)。
【0158】
工程4
【化58】

【0159】
スルフィド19の40g(0.159モル)のジクロロメタン200mL溶液に、室温で、3−クロロ過安息香酸75g(0.33モル)を少量ずつ加えた。反応は発熱反応であった。反応混合物を一晩攪拌した。混合物を水性飽和Na2SO3(2x150mL)、次いでNaHCO3(3x150mL)で洗浄した。次いで、有機溶液をブラインで洗浄し、MgSO4上で乾燥させた。混合物を濾過し、濾液を真空中で蒸発させ、スルホン20を37.5g得た(収率83%)。
【0160】
【化59】

【0161】
Parrボトル中でN−ベンゾイルオキシカルボニル−スルホン20の10g(0.026モル)のエタノール150mL混合物に、水酸化パラジウム0.5g(炭素上20%、Pearlmanの触媒)を加えた。これをParr水素化装置に50psiで反応完了まで15時間かけた。これをセライト上で濾過し、真空中濃縮し、遊離アミン21を5.0g(収率68%)得た。
【0162】
工程6
スルホキシド10の1.4g(0.41mmol)および4−アミノテトラヒドロチオピラン−ジオキシド21の1.22g(8.2mmol)のNMP3mL混合物を70℃に2時間加熱した。この混合物を冷却し、水で希釈し、酢酸エチル(2x75mL)で抽出した。一つに合わせた酢酸エチル溶液を水(3x75mL)、ブラインで洗浄し、乾燥させ(MgSO4)、粗製物を、ジクロロメタン中4%メタノールで溶離させるシリカのカラムクロマトグラフィーで精製し、所望の生成物1.5gを得た。これをジクロロメタン3mLに溶解させ、1HCl/エーテル4.5mLを滴加した。この懸濁液を30分間攪拌し、固体を濾過し、エーテルで洗浄し、化合物を1.86g(収率98%)得た(質量スペクトルM+1=428、MP=211.8〜226.8℃)。
【0163】
例7(化合物6)
【化60】

【0164】
スルホキシド10の0.4g(1.2モル)および2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール0.52g(5.8mmol)のクロロホルム10mL混合物を70℃に3時間加熱した。クロロホルムを減圧下で除去した。メタノール/エーテル(1:1)40mLを加えた。この懸濁液を10分間攪拌し、濾過した。固体をさらにエーテルで洗浄し、所望の生成物0.258g(収率58.5%)を得た。これをジクロロメタン中10%メタノール15mLに溶解させ、1HCl/エーテル0.85mLを滴加した。この混合物を30分間攪拌し、濃縮した。エーテルを加え、固体を濾過し、エーテルで洗浄し、化合物を0.295g得た(質量スペクトルM+1=368、MP=190.8〜194.3℃)。
【0165】
例8(化合物7)
【化61】

【0166】
ガラス製の密封管(テフロンネジ栓)反応器に、スルホキシド10の0.4g(1.2mmol)を入れた。反応容器を氷水浴で冷却しながら窒素で2時間掃気した。イソプロピルアミン5mLを加え、管を密封した。この赤色の溶液を64℃の油浴中で反応完了まで2時間加熱した。混合物を冷却し、反応容器をジクロロメタンですすいだ。溶媒を真空中で除去し、試料を、ジクロロメタン中5〜10%勾配のメタノールで溶離させるシリカのカラムクロマトグラフィーで精製し、生成物0.34g(収率87%)を得た。明黄色の固体を最少量のジクロロメタン中に溶解させ、1HCl/エーテル1.2mL、続いてエーテル5mLを加えた。この黄色の懸濁液を1時間攪拌し、濾過し、エーテルで洗浄し、化合物70.34gを得た。(質量スペクトルM+1=338、MP=210〜212.5℃)。
【0167】
例9(化合物8)
【化62】

【0168】
スルホキシド10の0.4g(1.2mmol)および4−フルオロベンジルアミン0.29g(2.33mmol)のクロロホルム5mL中の混合物を、60℃油浴中で反応完了まで1.5時間加熱した。生成物を、ジクロロメタン中5〜10%勾配の酢酸エチルで溶離させるカラムクロマトグラフィーで直接精製し、生成物0.42g(収率89%)を得た。黄色の固体を最少量のジクロロメタン中に溶解させ、1HCl/エーテル1.25mLを加えた。この混合物を30分間攪拌し、溶剤を真空中で除去した。エーテルを加え、固体を濾過し、エーテルで洗浄し、化合物8を0.469g得た。(質量スペクトルM+1=404、MP=178〜180℃)
【0169】
例10(化合物9)
【化63】

【0170】
スルホキシド10の0.4g(1.2mmol)および2−アミノエチルメチルスルホン0.36g(2.4mmol)のNMP3mL中の混合物を65℃に30分間加熱した。[2−アミノエチルメチルスルホンは、THF中、トリエチルアミンの存在下で、4−メトキシベンジルアミンをメチルビニルスルホンと室温で反応させ、N−ベンジル基を、メタノール中、ギ酸アンモニウムおよび10%Pd−Cの存在下で攪拌することにより除去することにより製造された]。この混合物を冷却し、水および酢酸エチルで希釈した。形成された固体を濾過し、さらに酢酸エチル、次いでメタノール40mLで洗浄し、生成物0.34g(収率72.6%)を得た。これをジクロロメタン中10%メタノール5mLに溶解させ、1HCl/エーテル1mLを加えた。攪拌を30分間続け、溶媒を真空中で除去した。粉末化(trituation)するためにエーテルを加え、形成された固体を濾過し、追加のエーテル10mLで洗浄し、化合物9を0.374g得た(質量スペクトルM+1=402、MP=172.2〜176℃)。
【0171】
例11(化合物10)
【化64】

【0172】
工程1
【化65】

【0173】
例2から得たアルデヒドの2.48g(10.1mmol)、4−フルオロフェノキシアセトニトリル(K2CO3/DMF中で4−フルオロフェノールとヨードアセトニトリルから製造した)1.83g(12mmol)および炭酸カリウム7g(50.6mmol)のNMP30mL中の混合物を110℃に反応完了まで4時間加熱した。この混合物を水200mL中に注ぎ込み、酢酸エチル(3x125mL)で抽出した。有機溶媒を水(3x150mL)、ブラインで洗浄し、ヘキサン200mLで希釈し、乾燥させ(MgSO4)、シリカの短いプラグを通して濾過した。溶媒を真空中で除去した。残留固体をジクロロメタン中5%〜20%勾配の酢酸エチルで溶離するシリカのカラムクロマトグラフィーにより精製し、アミノピリドピリミジン22を1.3gを得た(収率37%)。(質量スペクトルM+1=379、MP=186.2〜192.9℃)。
【0174】
工程2
【化66】

【0175】
アミン22の1.3g(3.4mmol)、トリエチルアミン1.54g(2.1mL、15.3mmol)、水3mLおよびアセトニトリル30mLの混合物に、1,2−ジクロロエチルエチルエーテル合計2.4mL(19.6mmol、5.8eq)を、反応が完了するまで6時間(最初の2時間は1当量/時間で、続く4時間は0.5当量/時間)かけて加えた。この混合物を室温で一晩放置し、水で希釈し、酢酸エチル(2x100mL)で抽出した。有機溶液をブラインで洗浄し、乾燥させ(MgSO4)、真空中で蒸発させた。ヘキサン中10%酢酸エチルで溶離するシリカのカラムクロマトグラフィーにより精製し、フェノキシ−三環式−イミダゾール23を0.78g得た(収率57%)。
【0176】
工程3
【化67】

【0177】
スルフィド23の0.77g(1.92mmol)のジクロロメタン30mL中の冷却溶液に、5℃で、3−クロロ過安息香酸(最大77%)0.43g(1.92mmol)を加えた。この反応は1時間で完了し、混合物を低温の飽和水性NaHCO3中に注ぎ込み、ジクロロメタンで抽出した。次いで、有機溶液をブラインで洗浄し、乾燥させた(MgSO4)。溶媒を真空中で除去した後、スルホキシド0.763gを回収した(収率95%)。
【0178】
工程4
スルホキシド24の0.4g(0.96mmol)および4−アミノテトラヒドロピラン0.48g(4.78mmol)のNMP1mL中の混合物を60〜70℃で30分間加熱した。この混合物を水で希釈し、酢酸エチルで抽出した。有機溶液をブラインで洗浄し、乾燥させ(MgSO4)、真空中で蒸発させた。精製を、ジクロロメタン中10〜30%勾配の酢酸エチルで溶離させるシリカのカラムクロマトグラフィーで行い、非極性不純物を溶出させ、最後にジクロロメタン中2.5%メタノールで行い、生成物0.210g(収率58%)を得た。この固体をジクロロメタン1mLに入れ、1HCl/エーテル0.83mLと混合し、この混合物を1時間攪拌し、エーテルで希釈し、濾過し、化合物10 0.21gを得た。(質量スペクトルM+1=380、MP=198〜206℃)
【0179】
例12(化合物11)
【化68】

【0180】
ジクロロメタン5mL中の4−フルオロアニリン0.11g(1.0mmol)に、5℃で、トリメチルアルミニウム試薬(2/トルエン)0.5mL(1.0mmol)を滴加した。加えた後、攪拌を10分間続けた。次いで、この溶液を、注射器を通して、例10から得たスルホキシド0.355g(0.85mmol)のジクロロメタン10mL溶液に5℃で加えた。次いで、混合物を17時間、さらに3時間還流下で攪拌した。この混合物を飽和NH4Cl水溶液中に注ぎ込んだ。混合物を濾過し、濾液を分液漏斗に移して層を分離した。水層をジクロロメタンでもう一度抽出し、一つに合わせた有機溶液を食塩水で洗浄し、乾燥させた(ブライン、MgSO4)。溶媒を真空中で除去した後、残留物をジクロロメタン中10%酢酸エチルで溶離させるシリカのカラムクロマトグラフィーで精製し、黄色の固体0.16gを得た。これをジクロロメタン中20%メタノール5mLと混合し、1HCl/エーテル0.49mLを加えた。これを30分間攪拌し、溶剤を蒸発乾固させた。エーテル10mLを加え、黄色の懸濁液を10分間攪拌し、濾過し、さらにエーテルで洗浄し、化合物11を0.145g得た。(質量スペクトルM+1=390、mp=289.3〜291.1℃)
【0181】
当業者には明らかなように、上記のスキームに対する特定の修正が可能であり、本発明の範囲内に入る。例えば、特定の工程では、特定の反応条件と適合しない官能基に対する保護基を使用する。
【0182】
例13
式(I)の化合物を含む代表的な医薬組成物を以下に挙げる。
【0183】
錠剤
下記の成分を緊密に混合し、一分割錠に圧縮した。
【0184】
【表1】

【0185】
カプセル剤
下記の成分を緊密に混合し、硬外皮(hard-shell)ゼラチンカプセルに封入した。
【0186】
【表2】

【0187】
懸濁剤
下記の成分を混合し、経口投与用の懸濁剤を形成した。
【0188】
【表3】

【0189】
注射可能な製剤
下記の成分を混合し、注射可能な製剤を形成した。
【0190】
【表4】

【0191】
水を除く上記の成分をすべて、混合し、攪拌しながら60〜70℃に加熱した。次いで十分な量の水を60℃で強く攪拌しながら加え、成分を乳化させ、次いで適量の水を加えて100gにした。
【0192】
坐剤
本発明の化合物をWitepsol(登録商標)H-15(飽和植物脂肪酸のトリグリセリド、Riches-Nelson, Inc., ニューヨーク)と混合することにより、下記の組成を有する総重量2.5gの坐剤を製造した。
【0193】
【表5】

【0194】
例14
p38(MAP)キナーゼの阻害−インビトロアッセイ
本発明の化合物のインビトロp-38MAPキナーゼ阻害活性を、Ahn, N.G.;ら、 J. of Biol. Chem. Vol;. 266(7), 4220-4227, (1991)に記載されている方法を若干修正した方法を使用し、p-38キナーゼによるγ−33P−ATPからミエリン塩基性タンパク質(MBP)へのγ−ホスフェートの移動を測定することにより決定した。
【0195】
組換えp38MAPキナーゼのリン酸化形態を、SEK-1およびMEKKでE. Coli中で発現させ(Khokhlatchev, A.ら、J. of Biol. Chem. Vol. 272(17), 11057-11062, (1997)参照)、次いでニッケルカラムを使用するアフィニティークロマトグラフィーにより精製した。
【0196】
リン酸化されたp38MAPキナーゼをキナーゼ緩衝剤(20mM 3−(N−モルホリノ)プロパンスルホン酸、pH7.2、25mMβ−グリセロールホスフェート、5mMエチレングリコール−ビス(β−アミノエチルエーテル)−N,N,N’,N’−テトラ酢酸、1mMバナジウム酸ナトリウム、1mMジチオトレイトール、40mM塩化マグネシウム)で希釈した。DMSO中に溶解させた供試化合物またはDMSOのみ(対照)を加え、試料を30℃で10分間インキュベートした。キナーゼ反応を、MBPおよびγ−33P−ATPを含む基質カクテルを加えることにより開始させた。30℃でさらに20分間インキュベートした後、0.75%リン酸を加えて反応を停止させた。次いで、リン酸化されたMBPをホスホセルロースメンブラン(Millipore, Bedfrod, MA)を使用して残留γ−33P−ATPから分離し、シンチレーションカウンター(Packard, Meriden, CT)を使用して定量した。
【0197】
本明細書の表1に挙げた化合物のp-38阻害活性(分析されているp-38酵素の50%阻害を引き起こす濃度IC50で表す)は、0.001μM〜10μMであった。例えば、下記の表2は、例14のアッセイを使用するp38の阻害に関する代表的な値を示す。
【0198】
【表6】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I
【化1】


(式中、
Zは、NまたはCHであり;
原子C5とZ1の間の結合が単結合である場合、Z1は、NおよびCHから選択され、C5とZ1の間の結合が二重結合である場合、Z1は、Cであり;
1は、水素またはアルキルであり;
2は、アルキル、ヒドロキシアルキル、場合により置換されたアラルキル、場合により置換されたシクロアルキル、ヘテロアルキル、場合により置換されたヘテロシクリル、場合により置換されたアリールまたは場合により置換されたヘテロアリールであり;
Aは、存在しないか、または−O−、―S(O)n―、−CHR’―、―C(=O)―もしくは―NR3−であり、nは、0、1または2であり、R’は、水素またはアルキルであり、R3は、水素、アルキル、場合により置換されたアリール、場合により置換されたヘテロアリールまたは場合により置換されたシクロアルキルであり;
原子C5とZ1の間の結合は、単結合または二重結合であり;
原子C8とC9の間の結合は、単結合または二重結合であり;
Yは、アルキル、ヘテロアルキル、場合により置換されたシクロアルキル、場合により置換されたアリールまたは場合により置換されたヘテロアリールである)
により表される化合物、またはこれらの異性体、薬学的に許容され得る塩、エステルもしくはプロドラッグ。
【請求項2】

【化2】


(式中、
2は、場合により置換されたアラルキル、場合により置換されたシクロアルキル、場合により置換されたヘテロシクリル、場合により置換されたアリール、および場合によりヒドロキシ、O(C1-4アルキル)もしくはS(O)2(C1-4アルキル)の一つで置換されたC1-4アルキルから選択され;
Aは、存在しないか、または−O−であり;
Yは、場合によりハロ、ヒドロキシ、アミノ、アルキルまたはヘテロアルキルから選択された1〜2個の基で置換されたフェニルである)
を有する請求項1記載の化合物、またはこれらの異性体、薬学的に許容され得る塩、エステルもしくはプロドラッグ。
【請求項3】
2が、シクロペンチル、シクロヘキシル、テトラヒドロピラニル、ピペリジニル、チアノニル、テトラヒドロ−1,1−ジオキシド−2−H−チオピラニル、フェニルおよびベンジルから選択され、ここで、前記R2基のそれぞれが、場合によりヒドロキシ、ハロゲン、O(C1-4アルキル)もしくはS(O)2(C1-4アルキル)の一つで置換されているか;またはR2が、場合によりヒドロキシ、O(C1-4アルキル)もしくはS(O)2(C1-4アルキル)の一つで置換されたC1-4アルキルから選択される、請求項2記載の化合物。
【請求項4】

【化3】


(式中、R2は、請求項2で定義したとおりである)
を有する、請求項2記載の化合物。
【請求項5】
2が、シクロペンチル、シクロヘキシル、テトラヒドロピラニル、ピペリジニル、チアノニル、テトラヒドロ−1,1−ジオキシド−2−H−チオピラニル、フェニルおよびベンジルから選択され、ここで、前記R2基のそれぞれが、場合によりヒドロキシ、ハロゲン、O(CH3)もしくはS(O)2(CH3)の一つで置換されているか;またはR2が、場合によりヒドロキシ、O(CH3)もしくはS(O)2(CH3)の一つで置換されたC1-4アルキルから選択される、請求項4記載の化合物。
【請求項6】
Zが−N−である、請求項1記載の化合物。
【請求項7】
1が−C−であり、Z1とC5の間の結合が二重結合である、請求項1または6記載の化合物。
【請求項8】
Aが存在しないか、または−O−である、請求項1、6または7記載の化合物。
【請求項9】
1が水素である、請求項1、6〜8のいずれか一項記載の化合物。
【請求項10】
2が、シクロペンチル、シクロヘキシル、テトラヒドロピラニル、ピペリジニル、チアノニル、テトラヒドロ−1,1−ジオキシド−2−H−チオピラニル、フェニルおよびベンジルから選択され、ここで、前記R2基のそれぞれが、場合によりヒドロキシ、ハロゲン、O(C1-4アルキル)もしくはS(O)2(C1-4アルキル)の一つで置換されているか;またはR2が、場合によりヒドロキシ、O(C1-4アルキル)もしくはS(O)2(C1-4アルキル)の一つで置換されたC1-4アルキルから選択される、請求項1、6〜9のいずれか一項記載の化合物。
【請求項11】
Yが、場合によりハロ、ヒドロキシ、アミノ、アルキルまたはヘテロアリールで置換されたフェニルである、請求項1、6〜10のいずれか一項記載の化合物。
【請求項12】
式Ia
【化4】


(式中、
Yは、アリールであり、
Zは、NまたはCHであり、
Aは、存在しないか、またはOであり、
1は、水素であり、
2は、アルキル、ヒドロキシアルキル、場合により置換されたシクロアルキル、場合により置換されたヘテロシクリル、場合により置換されたアリール、または場合により置換されたアラルキルであり;C8とC9の間の結合は単結合または二重結合である)
を有する化合物。
【請求項13】
ZがNであり、Aが−O−であり、C8とC9の間の結合が二重結合である、請求項12記載の化合物。
【請求項14】
2が4−テトラヒドロピラニルであり、Yが4−フルオロフェニルであるか、または
2が4−フルオロフェニルであり、Yが4−フルオロフェニルである、請求項13記載の化合物。
【請求項15】
ZがNであり、Aが存在せず、C8とC9の間の結合が二重結合である、請求項12記載の化合物。
【請求項16】
2が4−ヒドロキシシクロヘキシルであり、Yが2−クロロフェニルであるか;
2が4−テトラヒドロピラニルであり、Yが2−クロロフェニルであるか;
2が4−(N−メチル−スルホニルピペリジニル)であり、Yが2−クロロフェニルであるか;
2がシクロペンチルであり、Yが2−クロロフェニルであるか;
2が4−(N−メチル−スルホニルピペリジニル)であり、Yが2−クロロフェニルであるか;
2が4−テトラヒドロ−1,1−ジオキシド−2−H−チオピラニルであり、Yが2−クロロフェニルであるか;
2がイソプロピルであり、Yが2−クロロフェニルであるか;または
2が4−フルオロベンジルであり、Yが2−クロロフェニルである、請求項15記載の化合物。
【請求項17】

【化5】


を有する、請求項1記載の化合物。
【請求項18】
ZがNであり、Aが存在せず、R1が水素であり、Yが2−クロロフェニルであり、R2が4−ヒドロキシシクロヘキシルである、請求項17記載の化合物。
【請求項19】
式I(c)
【化6】


を有する、請求項1記載の化合物。
【請求項20】
ZがNであり、Aが存在せず、R1が水素であり、Yが2−クロロフェニルであり、R2が4−ヒドロキシシクロヘキシルである、請求項19記載の化合物。
【請求項21】
請求項1〜18または24のいずれか一項記載の1種以上の化合物の治療的に有効な量を、薬学的に許容され得る担体との組み合わせで含む医薬組成物。
【請求項22】
請求項1記載の化合物の製造方法であって、式Aの化合物を式CN−CH2−A−Y(式中、A、ZおよびYは、請求項1に定義されており、Rpは低級アルキルおよびベンジルから選択される)で示されるシアニドと反応させて式Bの化合物を得ること;
【化7】


b)化合物Bを、トリエチルアミン、トリアルキルアミン塩基、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタンまたはジイソプロピルエチルアミンから選択された試薬および1,2−ジクロロエチルエーテルで処理して化合物Cを得ること;
【化8】


c)化合物Cを、3−クロロ過安息香酸、過酸化水素/ギ酸、過酸化水素/メチルトリオキソレニウムVII、またはOXONEから選択された試薬で酸化して化合物Dを得ること;及び
【化9】


d)化合物Dを式−H2N−R12(式中、R1およびR2は、請求項1に定義されている)で示されるアミンと十分な時間接触させて請求項1の化合物を得る
ことを含む製造方法。
【請求項23】
請求項1記載の化合物の製造方法であって、
a)式E(式中、Z、AおよびYは、請求項1に定義されており、Rpは低級アルキルまたはベンジルである)の化合物を、トリフェニルホスフィン、ジエチルアゾジカルボキシレートおよびN−(2−ヒドロキシエチル)−フタルイミドから選択された試薬と反応させて化合物Fを得ること;
【化10】


b)化合物Fをヒドラジンと反応させて化合物Gを得ること;
【化11】


c)化合物Gをトリメチルアルミニウムと反応させて化合物Hを得ること;及び
【化12】


d)場合により化合物Hを、3−クロロ過安息香酸、過酸化水素/ギ酸、過酸化水素/メチルトリオキソレニウムVII、またはOXONEから選択された試薬で酸化して、対応するスルホキシドを得、前記スルホキシドを式−H2N−R12(式中、R1およびR2は、請求項1に定義されている)で示されるアミンと十分な時間接触させて請求項1の化合物を得る
ことを含む製造方法。
【請求項24】
請求項22または23記載の方法により製造される、請求項1〜20のいずれか一項記載の化合物。
【請求項25】
医薬としての、請求項1〜20または24のいずれか一項記載の化合物。
【請求項26】
p38により仲介される障害の処置方法であって、このような処置を必要とする患者に、請求項1〜20または24のいずれか一項記載の化合物の有効量を投与することを含む方法。
【請求項27】
p38により仲介される障害が、関節炎、クローン病、アルツハイマー病、過敏性腸症候群、成人呼吸困難症候群、および慢性閉塞性肺疾患からなる群より選択される、請求項26記載の方法。
【請求項28】
p38により仲介される障害の処置用医薬を製造するための、請求項1〜20または24のいずれか一項記載の化合物の使用。
【請求項29】
P38により仲介される障害が、関節炎、クローン病、アルツハイマー病、過敏性腸症候群、成人呼吸困難症候群、および慢性閉塞性肺疾患からなる群より選択される、請求項28記載の使用。
【請求項30】
前記の発明。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I
【化1】


(式中、
Zは、NまたはCHであり;
原子C5とZ1の間の結合が単結合である場合、Z1は、NおよびCHから選択され、C5とZ1の間の結合が二重結合である場合、Z1は、Cであり;
1は、水素またはアルキルであり;
2は、アルキル、ヒドロキシアルキル、場合により置換されたアラルキル、場合により置換されたシクロアルキル、ヘテロアルキル、場合により置換されたヘテロシクリル、場合により置換されたアリールまたは場合により置換されたヘテロアリールであり;
Aは、存在しないか、または−O−、―S(O)n―、−CHR’―、―C(=O)―もしくは―NR3−であり、nは、0、1または2であり、R’は、水素またはアルキルであり、R3は、水素、アルキル、場合により置換されたアリール、場合により置換されたヘテロアリールまたは場合により置換されたシクロアルキルであり;
原子C5とZ1の間の結合は、単結合または二重結合であり;
原子C8とC9の間の結合は、単結合または二重結合であり;
Yは、アルキル、ヘテロアルキル、場合により置換されたシクロアルキル、場合により置換されたアリールまたは場合により置換されたヘテロアリールである)
により表される化合物、またはこれらの異性体、薬学的に許容され得る塩、エステルもしくはプロドラッグ。
【請求項2】

【化2】


(式中、
2は、場合により置換されたアラルキル、場合により置換されたシクロアルキル、場合により置換されたヘテロシクリル、場合により置換されたアリール、および場合によりヒドロキシ、O(C1-4アルキル)もしくはS(O)2(C1-4アルキル)の一つで置換されたC1-4アルキルから選択され;
Aは、存在しないか、または−O−であり;
Yは、場合によりハロ、ヒドロキシ、アミノ、アルキルまたはヘテロアルキルから選択された1〜2個の基で置換されたフェニルである)
を有する請求項1記載の化合物、またはこれらの異性体、薬学的に許容され得る塩、エステルもしくはプロドラッグ。
【請求項3】
2が、シクロペンチル、シクロヘキシル、テトラヒドロピラニル、ピペリジニル、チアノニル、テトラヒドロ−1,1−ジオキシド−2−H−チオピラニル、フェニルおよびベンジルから選択され、ここで、前記R2基のそれぞれが、場合によりヒドロキシ、ハロゲン、O(C1-4アルキル)もしくはS(O)2(C1-4アルキル)の一つで置換されているか;またはR2が、場合によりヒドロキシ、O(C1-4アルキル)もしくはS(O)2(C1-4アルキル)の一つで置換されたC1-4アルキルから選択される、請求項2記載の化合物。
【請求項4】

【化3】


(式中、R2は、請求項2で定義したとおりである)
を有する、請求項2記載の化合物。
【請求項5】
2が、シクロペンチル、シクロヘキシル、テトラヒドロピラニル、ピペリジニル、チアノニル、テトラヒドロ−1,1−ジオキシド−2−H−チオピラニル、フェニルおよびベンジルから選択され、ここで、前記R2基のそれぞれが、場合によりヒドロキシ、ハロゲン、O(CH3)もしくはS(O)2(CH3)の一つで置換されているか;またはR2が、場合によりヒドロキシ、O(CH3)もしくはS(O)2(CH3)の一つで置換されたC1-4アルキルから選択される、請求項4記載の化合物。
【請求項6】
Zが−N−である、請求項1記載の化合物。
【請求項7】
1が−C−であり、Z1とC5の間の結合が二重結合である、請求項1または6記載の化合物。
【請求項8】
Aが存在しないか、または−O−である、請求項1、6または7記載の化合物。
【請求項9】
1が水素である、請求項1、6〜8のいずれか一項記載の化合物。
【請求項10】
2が、シクロペンチル、シクロヘキシル、テトラヒドロピラニル、ピペリジニル、チアノニル、テトラヒドロ−1,1−ジオキシド−2−H−チオピラニル、フェニルおよびベンジルから選択され、ここで、前記R2基のそれぞれが、場合によりヒドロキシ、ハロゲン、O(C1-4アルキル)もしくはS(O)2(C1-4アルキル)の一つで置換されているか;またはR2が、場合によりヒドロキシ、O(C1-4アルキル)もしくはS(O)2(C1-4アルキル)の一つで置換されたC1-4アルキルから選択される、請求項1、6〜9のいずれか一項記載の化合物。
【請求項11】
Yが、場合によりハロ、ヒドロキシ、アミノ、アルキルまたはヘテロアリールで置換されたフェニルである、請求項1、6〜10のいずれか一項記載の化合物。
【請求項12】
式Ia
【化4】


(式中、
Yは、アリールであり、
Zは、NまたはCHであり、
Aは、存在しないか、またはOであり、
1は、水素であり、
2は、アルキル、ヒドロキシアルキル、場合により置換されたシクロアルキル、場合により置換されたヘテロシクリル、場合により置換されたアリール、または場合により置換されたアラルキルであり;C8とC9の間の結合は単結合または二重結合である)
を有する化合物。
【請求項13】
ZがNであり、Aが−O−であり、C8とC9の間の結合が二重結合である、請求項12記載の化合物。
【請求項14】
2が4−テトラヒドロピラニルであり、Yが4−フルオロフェニルであるか、または
2が4−フルオロフェニルであり、Yが4−フルオロフェニルである、請求項13記載の化合物。
【請求項15】
ZがNであり、Aが存在せず、C8とC9の間の結合が二重結合である、請求項12記載の化合物。
【請求項16】
2が4−ヒドロキシシクロヘキシルであり、Yが2−クロロフェニルであるか;
2が4−テトラヒドロピラニルであり、Yが2−クロロフェニルであるか;
2が4−(N−メチル−スルホニルピペリジニル)であり、Yが2−クロロフェニルであるか;
2がシクロペンチルであり、Yが2−クロロフェニルであるか;
2が4−(N−メチル−スルホニルピペリジニル)であり、Yが2−クロロフェニルであるか;
2が4−テトラヒドロ−1,1−ジオキシド−2−H−チオピラニルであり、Yが2−クロロフェニルであるか;
2がイソプロピルであり、Yが2−クロロフェニルであるか;または
2が4−フルオロベンジルであり、Yが2−クロロフェニルである、請求項15記載の化合物。
【請求項17】

【化5】


を有する、請求項1記載の化合物。
【請求項18】
ZがNであり、Aが存在せず、R1が水素であり、Yが2−クロロフェニルであり、R2が4−ヒドロキシシクロヘキシルである、請求項17記載の化合物。
【請求項19】
式I(c)
【化6】


を有する、請求項1記載の化合物。
【請求項20】
ZがNであり、Aが存在せず、R1が水素であり、Yが2−クロロフェニルであり、R2が4−ヒドロキシシクロヘキシルである、請求項19記載の化合物。
【請求項21】
請求項1記載の化合物の製造方法であって、式Aの化合物を式CN−CH2−A−Y(式中、A、ZおよびYは、請求項1に定義されており、Rpは低級アルキルおよびベンジルから選択される)で示されるシアニドと反応させて式Bの化合物を得ること;
【化7】


b)化合物Bを、トリエチルアミン、トリアルキルアミン塩基、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタンまたはジイソプロピルエチルアミンから選択された試薬および1,2−ジクロロエチルエーテルで処理して化合物Cを得ること;
【化8】


c)化合物Cを、3−クロロ過安息香酸、過酸化水素/ギ酸、過酸化水素/メチルトリオキソレニウムVII、またはOXONEから選択された試薬で酸化して化合物Dを得ること;及び
【化9】


d)化合物Dを式−H2N−R12(式中、R1およびR2は、請求項1に定義されている)で示されるアミンと十分な時間接触させて請求項1の化合物を得ることを含む製造方法。
【請求項22】
請求項1記載の化合物の製造方法であって、
a)式E(式中、Z、AおよびYは、請求項1に定義されており、Rpは低級アルキルまたはベンジルである)の化合物を、トリフェニルホスフィン、ジエチルアゾジカルボキシレートおよびN−(2−ヒドロキシエチル)−フタルイミドから選択された試薬と反応させて化合物Fを得ること;
【化10】


b)化合物Fをヒドラジンと反応させて化合物Gを得ること;
【化11】


c)化合物Gをトリメチルアルミニウムと反応させて化合物Hを得ること;及び
【化12】


d)場合により化合物Hを、3−クロロ過安息香酸、過酸化水素/ギ酸、過酸化水素/メチルトリオキソレニウムVII、またはOXONEから選択された試薬で酸化して、対応するスルホキシドを得、前記スルホキシドを式−H2N−R12(式中、R1およびR2は、請求項1に定義されている)で示されるアミンと十分な時間接触させて請求項1の化合物を得る
ことを含む製造方法。
【請求項23】
請求項21または22記載の方法により製造される、請求項1〜20のいずれか一項記載の化合物。
【請求項24】
医薬としての、請求項1〜20または23のいずれか一項記載の化合物。
【請求項25】
請求項1〜20または23のいずれか一項記載の1種以上の化合物の治療的に有効な量を、薬学的に許容され得る担体との組み合わせで含む医薬組成物。
【請求項26】
p38により仲介される障害の処置用の、請求項25記載の医薬組成物。
【請求項27】
p38により仲介される障害が、関節炎、クローン病、アルツハイマー病、過敏性腸症候群、成人呼吸困難症候群、および慢性閉塞性肺疾患からなる群より選択される、請求項26記載の医薬組成物。
【請求項28】
p38により仲介される障害の処置用医薬を製造するための、請求項1〜20または23のいずれか一項記載の化合物の使用。
【請求項29】
P38により仲介される障害が、関節炎、クローン病、アルツハイマー病、過敏性腸症候群、成人呼吸困難症候群、および慢性閉塞性肺疾患からなる群より選択される、請求項28記載の使用。

【公表番号】特表2006−503802(P2006−503802A)
【公表日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2003−580336(P2003−580336)
【出願日】平成15年3月27日(2003.3.27)
【国際出願番号】PCT/EP2003/003178
【国際公開番号】WO2003/082871
【国際公開日】平成15年10月9日(2003.10.9)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
テフロン
【出願人】(591003013)エフ.ホフマン−ラ ロシュ アーゲー (1,754)
【氏名又は名称原語表記】F. HOFFMANN−LA ROCHE AKTIENGESELLSCHAFT
【Fターム(参考)】