イムノアッセイ用のメタンフェタミン誘導体およびコンジュゲート
ベンゼン環上にメタ-置換アルキルリンカーを、そしてメタンフェタミンハプテンの窒素上に保護基を有するメタンフェタミン誘導体の化合物。そのような化合物は構造(I)(式中、R1は、2〜15個の炭素原子および0〜6個のヘテロ原子を含むアルキルリンカーであり、R2は脱離基であり、R3は保護基である)を有する。式(II)(式中、R1は、2〜15個の炭素原子および0〜6個のヘテロ原子を含むアルキルリンカーであり、R2は多糖または微粒子である)を有する化合物。サンプル中のメタンフェタミンを測定するためのイムノアッセイおよびサンプル中のメタンフェタミンの測定に使用する試験キット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、全般的には、生物学的サンプルにおける薬物乱用の判定のためのイムノアッセイ方法の分野、特に、アンフェタミン類の薬物の測定のためのイムノアッセイ方法、より詳しくは、それに有用なメタンフェタミン誘導体およびコンジュゲートに関する。
【背景技術】
【0002】
「エクスタシー類(ecstasy-class)薬物」として一般に公知の違法製造麻薬類の使用および乱用が近年著しく増加している。これらの化合物は、縮合メチレンジオキシフェニル環系を有することを特徴とするアンフェタミン誘導体であり、MDA(3,4-メチレンジオキシアンフェタミン)、「エクスタシー」としても公知のMDMA(3,4-メチレンジオキシ-N-メチルアンフェタミン)、「イブ(Eve)」としても公知のMDEA(3,4-メチレンジオキシ-N-エチルアンフェタミン)、BDB(3,4-メチレンジオキシフェニル-2-ブタンアミン)およびMBDB(3,4-メチレンジオキシフェニル-N-メチルブタンアミン)を包含する。
【0003】
現在のところ、エクスタシー類薬物の検出方法は主として、元々アンフェタミンおよび/またはメタンフェタミンの検出用に開発されたイムノアッセイを含むものである。そのようなアッセイによるエクスタシー類薬物の検出は、エクスタシー類薬物とアンフェタミンおよび/またはメタンフェタミン抗体との間にたまたま存在しうる限られた交差反応性に基づくものである。そのようなアッセイにより得られる陽性結果は、メチレンジオキシ(MD)類の誘導体のどの特定の物質またはメンバーがサンプル中に存在するのかまでは示さない。
【0004】
一般に、アンフェタミンおよびメタンフェタミンイムノアッセイはエクスタシー類薬物に比較的不感受性であり非特異的である。そのようなアッセイは、MDEA誘導体に対しては特に限られた認識しか示さない。
【0005】
本発明は、メチレンジオキシ類またはエクスタシー類薬物のメンバーの検出のための通常のアンフェタミンおよび/またはメタンフェタミンイムノアッセイの使用に関するこれら及び他の問題の解決手段に関する。
【0006】
薬物乱用に関する試験においては、イムノアッセイ、特に競合結合イムノアッセイが特に好都合であることが判明している。競合結合イムノアッセイにおいては、生物学的サンプル中のアナライトは、該アナライトおよびアナライト類似体に特異的な抗体上の限られた数の受容体結合部位に関して、標識試薬またはアナライト類似体またはトレーサーと競合する。β-ガラクトシダーゼおよびペルオキシダーゼのような酵素、フルオレセイン化合物のような蛍光分子、125Iのような放射性化合物および微粒子が、トレーサーとして使用される一般的な標識物質である。サンプル中のアナライトの濃度は、抗体に結合するアナライト類似体の量を決定する。結合するアナライト類似体の量は、サンプル中のアナライトの濃度に反比例する。なぜなら、アナライトおよびアナライト類似体はそれぞれ、それらのそれぞれの濃度に比例して抗体に結合するからである。したがって、使用されている個々の標識に適した方法により、遊離および結合アナライト類似体の量が決定されうる。
【0007】
現在一般的なのは、光透過の変化により測定される溶液中の微粒子の速度論的相互作用に基づく自動化アッセイである。サンプル薬の非存在下、遊離抗体は薬物微粒子コンジュゲートに結合して、粒子凝集体の形成を引き起こす。サンプル薬の非存在下で凝集反応が進行するにつれて、吸光度が増加する。問題の薬物をサンプルが含有する場合には、該薬物は遊離抗体に関して粒子結合薬誘導体と競合する。サンプル薬に結合した抗体は粒子凝集の促進にはもはや利用不可能であり、後続の粒子格子形成は抑制される。サンプル薬の存在は、サンプル中の薬物の濃度に比例して、吸光度の増加を減少させる。サンプル薬含量は、薬物の既知カットオフ濃度に関して得られた値に対して決定される。
【0008】
アンフェタミン類薬物に関するアッセイにおける問題は、先行技術の方法が、サンプル中のすべてのアンフェタミン類のアナライト、特にアンフェタミン、メタンフェタミン、3,4-メチレンジオキシアンフェタミン(MDA)、3,4-メチレンジオキシ-N-メチルアンフェタミン(MDMA)および3,4-メチレンジオキシ-N-エチルアンフェタミン(MDEA))を十分な感度で測定するのに十分な抗体との交差反応性および抗体からの置換をもたらさないことである。本発明のメタンフェタミン誘導体は、アンフェタミン、メタンフェタミンおよびエクスタシー類化合物の高感度測定に要求されるメタンフェタミン抗体との交差反応性およびメタンフェタミン抗体からの置換をもたらすことにより、そのような問題を解決するものである。
【0009】
本発明により解決されるもう1つの問題は、メタンフェタミンハプテン上の遊離アミノ基を介したハプテンの望ましくないコンジュゲーション(結合)の問題である。本発明の誘導体はこの問題を解決するものである。
【0010】
1992年8月4日付け発行の米国特許第5,135,863号において、Huらは、チオール結合を介してアンフェタミンまたはメタンフェタミンの類似体に結合した標識を含むコンジュゲートを記載している。該コンジュゲートは更に、メタまたはパラ位においてベンゼン環に結合したリンカーを含み、アンフェタミン窒素は保護されていない。
【0011】
2001年12月13日付け公開の米国特許出願第2001/0051158号において、Owensらは、メタンフェタミンのメタ位誘導体である免疫化学的ハプテンを記載している。メタンフェタミンハプテン上の遊離アミノ基は保護されていない。
【発明の開示】
【0012】
本発明の化合物は、ベンゼン環上にメタ置換アルキルリンカーを、およびメタンフェタミンハプテンの窒素上に保護基を有するメタンフェタミン誘導体である。そのような化合物は、構造
【化1】
(式中、R1は、2〜15個の炭素原子および0〜6個のヘテロ原子を含むアルキルリンカーであり、R2は脱離基であり、R3は保護基である)を有する。
【0013】
本発明はまた、式
【化2】
(式中、R1は、2〜15個の炭素原子および0〜6個のヘテロ原子を含むアルキルリンカーであり、R2は多糖または微粒子である)を有する化合物に関する。
【0014】
本発明は更に、
(a)メタンフェタミンを含有する疑いのあるサンプルを、メタンフェタミンに特異的な抗体および構造
【化3】
(式中、R1は、2〜15個の炭素原子および0〜6個のヘテロ原子を含むアルキルリンカーであり、R2は多糖または微粒子である)を有する標識アナライト類似体と一緒にし、それにより、該メタンフェタミンおよび該アナライト類似体を該抗体に競合的に結合させ、
(b)該抗体に結合した又は結合していない標識類似体の量を該サンプル中のメタンフェタミンの尺度として測定する工程を含む、サンプル中のメタンフェタミンを測定するためのイムノアッセイに関する。
【0015】
また、
(a)メタンフェタミンに特異的な抗体および
(b)構造
【化4】
(式中、R1は、2〜15個の炭素原子および0〜6個のヘテロ原子を含むアルキルリンカーであり、R2は多糖または微粒子である)を有する標識アナライト類似体
を含む、サンプル中のメタンフェタミンの測定に使用する試験キットも本発明の範囲内である。
【0016】
本発明の好ましい化合物は、構造
【化5】
を有する4-{[4-(3-{(S)-2-[メチル-(2,2,2-トリフルオロ-アセチル)-アミノ]-プロピル}-フェノキシ)-ブチリルアミノ]-メチル}-安息香酸 2,5-ジオキソ-ピロリジン-1-イル エステルである。
【0017】
この化合物は、アミノデキストランにコンジュゲートされ次いでN-トリフルオロアセタート基の脱保護に付されると、微粒子上に固定化されたメタンフェタミン特異的抗体への結合に関してそれが遊離メタンフェタミンと競合するイムノアッセイにおいて使用された場合に対応アンフェタミン-アミノデキストラン-抗体系との良好なフィットを有する標準曲線を与えるコンジュゲートを与える。
【0018】
発明の詳細な説明
本明細書の全体にわたり及び添付の特許請求の範囲においては、以下の定義が理解されるべきである。
【0019】
「ハプテン」なる語は部分的または不完全な抗原を意味する。ハプテンは、抗体生成を刺激し得ないが抗体と反応するタンパク質非含有物質、大抵の場合には低分子量物質である。アンフェタミン、メタンフェタミン、メチレンジオキシメタンフェタミンおよび他のアンフェタミン類化合物はハプテンである。
【0020】
「活性化ハプテン」なる語は、例えば、ハプテンを担体、免疫原、標識、トレーサーまたは他の部分に連結するために使用されうる反応性部分を含有する連結基の結合により、利用可能な反応部位を備えたハプテンである。
【0021】
「アナライト」なる語は、その存在または量を測定すべき任意の物質または物質群を意味する。本明細書中で用いるアナライトなる語は、抗体に結合しうる任意の化合物を意味する「抗原」なる語を包含する。
【0022】
本明細書中で用いる「アンフェタミン」および「アンフェタミン類薬物」なる語は、アンフェタミン、メタンフェタミン、「違法製造(designer)」アンフェタミンとしても公知のメチレンジオキシフェニルアルキルアミンのアンフェタミン類似体、例えばメチレンジオキシメタンフェタミン(MDMA;エクスタシーとしても公知である)、およびこれらの薬物の代謝産物を意味する。
【0023】
「誘導体」なる語は、1以上の化学反応により親化合物から製造された化合物または分子を意味する。
【0024】
「コンジュゲート」なる語は、2つの部分が互いに結合することにより形成される任意の物質を意味する。本発明の代表的なコンジュゲートには、小さな分子および大きな分子(例えば、タンパク質)が互いに結合することにより形成されるものが含まれる。コンジュゲートなる語は「免疫原」なる語を包含する。
【0025】
本明細書中で用いる「連結基」または「リンカー」は、例えばハプテン、担体、免疫原、標識、トレーサーまたは他のリンカーのような、2以上の小構造体を連結する化学構造体の部分を意味する。連結基は、該小構造体間に伸長する、水素(または他の一価原子)以外の原子の非遮断鎖の少なくとも1つを有する。連結基の原子および連結基内の鎖の原子のそれ自体が化学結合により連結されている。リンカーは直鎖状または分枝状の飽和または不飽和の炭素鎖でありうる。それらはまた、1以上のヘテロ原子を鎖内または鎖の末端に含みうる。「ヘテロ原子」は、酸素、窒素および硫黄よりなる群から選ばれる炭素以外の原子を意味する。連結基は、鎖の一部として又は鎖内の原子の1つにおける置換基として、環状または芳香族基をも含みうる。
【0026】
連結基またはリンカー内の原子の数は、水素以外の原子を計数することにより決定される。連結基またはリンカー内の原子の数は、連結されている小構造体の間の最短経路に沿って水素以外の原子を計数することにより決定される。連結基は、ハプテンと標識または担体とのコンジュゲートを合成するためのハプテン上の利用可能部位を活性化(例えば供与)するために使用されうる。
【0027】
「アルキル基」なる語は、任意の直鎖状、分枝状、環状、非環状、飽和または不飽和炭素鎖を意味する。代表的なアルキル基には、アルカン、アルケン、アルキン、シクロアルカン、シクロアルケン、シクロアルキン、アリールなど及びそれらの組合せが含まれる。
【0028】
「所望により置換されていてもよい」なる表現は、1以上の置換基がアルキル基上に結合していてもよいことを意味する。
【0029】
「脱離基」なる語は、基本構造体と反応する試薬により脱離されうる該基本構造体の任意の化学的部分を意味する。適当な脱離基には、ハリド、メシラート、トシラート、アルコキシ、第四級アンモニウム塩などが含まれるが、これらに限定されるものではない。現在好ましい実施形態において使用するための好ましい脱離基は、活性エステル、例えばトリフルオロエトキシエステル、N-ヒドロキシスクシンイミドエステル、p-ニトロフェニルエステル、ペンタフルオロフェニルエステル、イミダゾリルエステルおよびN-ヒドロキシベンゾトリアゾリルエステルにより与えられ、それにより、カルボニル炭素に結合した該エステルの酸素含有部分が反応経過中に脱離する。
【0030】
「保護基」なる語は、反応性原子または中心に結合した、その通常の反応性を改変するための任意の部分を意味する。適当な保護基には、Theodora W. GreeneおよびPeter G.M. WutsによるProtective Groups in Organic Synthesis, 3rd Edition (John Wiley & Sons, Inc., New York, 1999)なる書名の専門書に記載されているものが含まれるが、これらに限定されるものではない。アミンの窒素のための種々の保護基が当技術分野で公知であり、これらのうち、トリフルオロアセチルが現在好ましい窒素保護基である。他の好ましい保護基の例には、t-Boc(tert-ブチルオキシカルボニル)およびCBZ(ベンジルオキシカルボニル)が含まれる。
【0031】
「アナライト類似体」なる語は、抗体に対する結合アフィニティーに関してアナライトと同様に挙動する任意の物質または物質群、例えば競合イムノアッセにおいて使用されうるものを意味する。代表的なアナライト類似体には、薬物およびその異性体、薬物誘導体、ホルモン、ポリペプチド、ヌクレオチドなどが含まれる。
【0032】
「アナライトを検出する」なる表現は、任意の定量的、半定量的または定性的方法、およびアナライト全般、特にアンフェタミン薬を測定するための全ての他の方法を意味する。例えば、サンプル中のアンフェタミン薬の量または濃度に関するデータを提供する方法に加えて、サンプル中のアンフェタミン薬の存在または非存在を単に検出するに過ぎない方法も本発明の範囲内に含まれる。検出(detecting)、測定(determining)、特定(identifying)などの語は本明細書においては同義語として用いられ、すべてが本発明の範囲内である。
【0033】
「標識」、「検出分子」または「トレーサー」は、検出可能なシグナルを生成する又は検出可能なシグナルを生成するよう誘導されうる任意の分子である。標識は、アナライト、免疫原、抗体、または他の分子、例えば受容体、または受容体に結合しうる分子、例えばリガンド、特にハプテンにコンジュゲートさせることが可能である。標識の非限定的な例には、放射性同位体、酵素、酵素断片、酵素基質、酵素阻害物質、補酵素、触媒、発蛍光団、色素、化学発光体、発光体、増感剤、非磁性または磁性粒子、固体支持体、リポソーム、リガンドおよび受容体が含まれる。
【0034】
「試薬キット」または「試験キット」なる語は、アッセイの実施に使用される部材の集合体を意味する。試薬は、その交差反応性および安定性に応じて、同じ又は別々の容器内の、パッケージングされた組合せ体として、および液体または凍結乾燥形態で提供されうる。キットとして提供される試薬の量および比率は、特定の用途のための最適な結果が得られるよう選ばれうる。本発明の特徴を具体化する試薬キットは、アンフェタミン化合物に特異的な抗体を含む。該キットは更に、アナライトのリガンドならびに較正および対照物質を含みうる。該試薬は液体形態のままであることが可能であり、あるいは凍結乾燥されうる。
【0035】
「較正および対照物質」なる語は、測定すべきアナライトの既知量を含有する任意の標準または基準物質を意味する。アナライトを含有する疑いのあるサンプルおよび対応較正物質は、類似の条件下でアッセイされうる。アナライトの濃度は、未知試料に関して得られた結果を、該標準に関して得られた結果と比較することにより計算される。これは、一般には、較正または用量反応曲線を作成することにより行われる。
【0036】
本発明の化合物は、ベンゼン環上のメタ-置換アルキルまたはアルコキシリンカーおよび窒素における保護基を有するメタンフェタミン誘導体である。そのような化合物は、構造
【化6】
(式中、R1は、2〜15個の炭素原子および0〜6個のヘテロ原子を含むアルキルリンカーであり、R2は脱離基であり、R3は保護基である)を有する。
【0037】
該誘導体は窒素における保護基を含有する。そのような保護基は該誘導体の活性エステル部分と典型的には担体化合物のアミンとの容易な反応を可能にして、該誘導体自身のアミンが阻害することなしに安定なアミド結合を形成させる。ついで保護基は容易に除去されて、遊離薬物のアミンに対応する所望の脱保護アミン部分が得られる。
【0038】
本発明の1つの実施形態においては、R3はトリフルオロアセチルである。
【0039】
本発明のもう1つの実施形態においては、R2は多糖または微粒子、好ましくはアミノデキストランである。
【0040】
本発明はまた、式
【化7】
(式中、R1は、2〜15個の炭素原子および0〜6個のヘテロ原子を含むアルキルリンカーであり、R2は多糖または微粒子、好ましくはアミノデキストランである)を有する化合物に関する。
【0041】
さらに、本発明は、式
【化8】
を有する化合物に関する。
【0042】
本発明は更に、
(a)メタンフェタミンを含有する疑いのあるサンプルを、メタンフェタミンに特異的な抗体および構造
【化9】
(式中、R1は、2〜15個の炭素原子および0〜6個のヘテロ原子を含むアルキルリンカーであり、R2は多糖または微粒子、好ましくはアミノデキストランである)を有する標識アナライト類似体と一緒にし、それにより、該メタンフェタミンおよび該アナライト類似体を該抗体に競合的に結合させ、
(b)該抗体に結合した又は結合していない標識類似体の量を該サンプル中のメタンフェタミンの尺度として測定する工程を含む、サンプル中のメタンフェタミンを測定するためのイムノアッセイに関する。
【0043】
また、
(a)メタンフェタミンに特異的な抗体および
(b)構造
【化10】
(式中、R1は、2〜15個の炭素原子および0〜6個のヘテロ原子を含むアルキルリンカーであり、R2は多糖または微粒子、好ましくはアミノデキストランである)を有する標識アナライト類似体
を含む、サンプル中のメタンフェタミンの測定に使用する試験キットも本発明の範囲内である。
【0044】
本発明の好ましい化合物は、構造
【化11】
を有する4-{[4-(3-{(S)-2-[メチル-(2,2,2-トリフルオロ-アセチル)-アミノ]-プロピル}-フェノキシ)-ブチリルアミノ]-メチル}-安息香酸 2,5-ジオキソ-ピロリジン-1-イル エステルである。
【0045】
そのような化合物は、アミノデキストランのような担体分子にコンジュゲートされ次いでN-トリフルオロアセタート基の脱保護に付されると、微粒子上に固定化されたメタンフェタミン特異的抗体への結合に関して該コンジュゲートが遊離メタンフェタミンと競合するイムノアッセイにおいて使用された場合に対応アンフェタミン-アミノデキストラン-抗体系との良好な相関性を有する標準曲線を与えるコンジュゲートを与える。該組合せはまた、望ましい(高い交差反応性の)アナライトおよび望ましくない(低い交差反応性の)アナライトの両方との適当な交差反応性を与える。また、そのような化合物は、ウシ血清アルブミンに低い置換比でコンジュゲートされた場合に、メタンフェタミン抗体のスクリーニングに適したコンジュゲートをも与える。
【0046】
該連結基の置換およびエーテル連結の位置は、該誘導体コンジュゲートに対する抗体のアフィニティを適正化するのに好都合であることが判明した。一方、アミノメチレンベンゾアート部分の使用はまた、該誘導体の、より容易な特徴づけ(より大きなUV吸光度)、および(ガムまたは液体と比べた場合の)該誘導体の固体性の増強の両方を促進する。
【0047】
非常に驚くべきことに、本発明の誘導体は、好ましくは、該新規誘導体とは構造的に全く異なる免疫原に応答して生成する少なくとも2つの抗体により認識されることが見出された。1つの相違点は置換の位置であり、それはそれらの2つの免疫原においてはパラであるが、該コンジュゲートにおいてはメタである。もう1つの相違点としては、該免疫原に使用されるリンカーは、該コンジュゲートの場合とは異なり、ベンゼン環から出る酸素原子を有さない。最後に、該免疫原における窒素はメチル基に結合しているが、本発明のコンジュゲートにおける窒素はエチル基に結合している。
【実施例】
【0048】
具体的な実施形態
以下の実施例において、太字の数字は図面内の対応構造を示す。
【0049】
フラッシュクロマトグラフィーは、シリカゲル60(230-400メッシュ, EM Science)上で行った。薄層クロマトグラフィーは、シリカゲルプレート(0.25 mm, EM Science, Cat # 5717-5)上で行い、紫外線ランプ下で可視化した。
【0050】
溶媒は、特に示さない限り、J.T. Baker Companyから入手した。酢酸エチル(EtOAc)、ヘキサン(Hex)、メタノール(MeOH)および塩化メチレン(CH2Cl2)は、入手したままの状態で、クロマトグラフィーおよび反応後処理に使用した。乾燥CH2Cl2は、アルゴン下および還流下、水素化カルシウム上で沸騰させることにより得た。乾燥テトラヒドロフラン(THF)は、アルゴン下および還流下、ナトリウム-ベンゾフェノン上で沸騰させることにより得た。乾燥ジメチルホルムアミド(DMF)および乾燥ジメチルスルホキシド(DMSO)はAldrich Chemical CompanyからSure/Seal(商標)ボトルとして得た。
【0051】
試薬および化学物質は、特に示さない限り、Sigma-Aldrich Chemical CompanyまたはFluka Chemicalsから得た。
【0052】
プロトン核磁気共鳴スペクトル(1H-NMR)は、Sun/Sparc ワークステーションを備えたVarian Gemini 2000 (200 MHz)上で得た。旋光はPerkin Elmer 341旋光計上で行った。
【0053】
3N 過塩素酸は、70% 過塩素酸(11.7N)を希釈することにより調製した。
【0054】
液体クロマトグラフィー質量スペクトル(LC-MS)および高速液体クロマトグラフィースペクトル(HPLC)は、ダイオードアレイ検出器および第四級(quaternary)ポンプを備えたAgilent HP1100 LC/MS系上で得た。LC-MSスペクトル/分析には、クロマトグラフィー系を、カラム後に、MSD検出器へ接続した。特に示さない限り、使用した分析用カラムは、Phenomenexガードモジュール(KJO-4282)を備えたVydac 218TP54分析用カラム(300オングストローム, 5μ)であった。特に示さない限り、実施は、0.1% TFA-H2O(A)中の0.1% TFA-MeCN(C)を使用して行い、これは、(A)中の(C)の5%(0分)から100%(20分)から5%(25分)の溶媒勾配を有するものであった。
【0055】
〔実施例1〕
化合物1, [(S)-2-(3-メトキシ-フェニル)-1-メチル-エチル]-((S)-1-フェニル-エチル)-アミンの合成
100 mlのベンゼン(Acros)中の6.0 g (0.0365 mol)の3-メトキシフェニルアセトン (Trans World Chem.)および4.47 g (0.0369 mol)のS-(−)-α-フェニルエチルアミン (Fluka)の溶液を6.0 gの4オングストロームのモレキュラーシーブで処理し、3時間加熱して還流した。該混合物を濾過し、減圧下で濃縮した。残渣を100 mlの無水エタノール(Aldrich)に溶解し、2.4 gのラネーニッケル (H20中の50%スラリー)を含有する500 ml Parrボトル内に配置し、50 PSIで24時間水素化した。該触媒をセライトで濾去し、濾液を減圧下で濃縮した。残渣を、3%メタノール-CH2Cl2を溶離液として使用する800 gのシリカゲル上のフラッシュクロマトグラフィーにより精製して、5.0 gの生成物を淡黄色油として得た。1H-NMR (CDCl3) 適合; LC-MS: tR 11.4分, 実測M+H 270.2; [α]D -36.6° (589 nm, c=1, CHCl3)。
【0056】
〔実施例2〕
化合物2, [(S)-2-(3-メトキシ-フェニル)-1-メチル-エチルアミンの合成
500 ml Parrボトルに550 mgの10% Pd/Cおよび100 mlのメタノール中の5.0 g (0.0186 mol)の化合物1の溶液を入れ、それを50 PSIで48時間水素化した。該触媒をセライトで濾去し、濾液を減圧下で濃縮して黄色油を得た。これを、10%メタノール-CH2Cl2を使用するシリカゲルのショートカラム(幅4 cm, 高さ5 cm)上のフラッシュクロマトグラフィーにより精製して残留触媒を除去して、2.84 gの黄色油を得た。これをCH2Cl2に溶解し、濾過して残留シリカゲルを除去し、ついで減圧下で濃縮し、高真空のポンプに一晩付して、2.5 gの黄色油を得た。1H-NMR (CDCl3) 適合; LC-MS: tR 8.05分 (Chiralcel OD-RH, Daicel Chemical Industries; 0.1%TFA/水中の0.1%TFA/アセトニトリルの5% (0分)から85%(17.5分)への勾配; 0.5 mL/分の流速), 実測M+H 166.1, 1つのピーク; HPLC: tR 30.0分 (d-異性体), 33.7分 (l-異性体), 200 nmにおけるd/l比=97.2/2.8 (Crownpak CR(+), Daicel Chemical Industries; 5% MeOHを含有する水性過塩素酸 pH 1.35 (〜0.2%)の無勾配で1 ml/分); [α]D +31.7°(589 nm, c=1, CHCl3)。
【0057】
〔実施例3〕
化合物3, 2,2,2-トリフルオロ-N-[(S)-2-(3-メトキシ-フェニル)-1-メチル-エチル]-アセトアミドの合成
アルゴン下の24 mlのピリジン (Aldrich)中の2.4 g (0.0145 mol)の化合物2 の溶液を-20℃に冷却し、36 mlのエーテル(E. M. Science)中の3.2 mlのトリフルオロ酢酸無水物の溶液で処理し、-20℃で15分間攪拌した。該混合物を3×100mlの酢酸エチルで抽出した。合わせた酢酸エチル抽出物を2×150 mlの飽和ブライン溶液で洗浄し、無水Na2SO4で乾燥させ、減圧下で濃縮して、3.79 gの黄色固体を得た。1H-NMR (CDCl3) 適合。
【0058】
〔実施例4〕
化合物4, 2,2,2-トリフルオロ-N-[(S)-2-(3-ヒドロキシ-フェニル)-1-メチル-エチル]-アセトアミドの合成
3.77 g (0.0144 mol)の化合物3 および70.0 g (0.6057 mol)のピリジン・HClを含有する加圧ボンベにアルゴンをパージし、210℃で45分間加熱した。該固体は溶融し、均一になった。該反応混合物を冷却し、その時点でそれは凝固した。該固体をH2Oに溶解し、400 mlの氷水中に注いだ。これを5×250 mlのCH2Cl2で抽出した。該CH2Cl2抽出物を合わせ、無水Na2SO4上で乾燥させ、減圧下で濃縮し、高真空のポンプに一晩付して3.34 gの黄色油を得た。1H-NMR (CDCl3) 適合; LC-MS 適合。
【0059】
もう1つの実施において、加圧ボンベ内の320 mgの化合物3 および5.94のピリジン塩酸の同様の反応は、同様の後処理の後、213 mgの化合物4 を与え、それは以下を有していた。1H-NMR 適合; LC-MS: tR 11.4分, 実測M+H 248.1, M+Na 270.1。
【0060】
〔実施例5〕
化合物5, 4-{3-[(S)-2-(2,2,2-トリフルオロ-アセチルアミノ)-プロピル]-フェノキシ}-酪酸 エチル エステルの合成
アルゴン下の1.08 g (0.027 mol)のNaH (鉱油中の60% 分散液) および10 mlの無水DMF (Aldrich)の混合物を、5分間にわたって滴下した33 mlの無水DMF (Aldrich)中の3.3 g (0.0133 mol)の化合物4 の溶液で処理した。該混合物を室温で10分間攪拌し、ついで3.4 ml (0.0238 mol) のエチル-4-ブロモブチラート (Fluka)で処理し、室温で一晩攪拌した。該混合物を250 mlの1M リン酸カリウムバッファー (pH 7)中に注ぎ、ついで2×250 mlの酢酸エチルで抽出した。有機抽出物を合わせ、2×150 mlの1M リン酸カリウムバッファー (pH 7)で洗浄し、無水Na2SO4で乾燥させ、減圧濃縮した。残渣を、溶離液としてEtOAc-ヘキサンを使用する250 gのシリカゲル上のフラッシュクロマトグラフィーにより精製して、淡黄色油を得、これを放置して結晶化して3.9 gの白色固体を得た。1H-NMR (CDCl3) 適合; LC-MS: tR 15.7 分, 実測M+H 362.1, M+H2O 379.1, M+Na 384.1。
【0061】
〔実施例6〕
化合物6, 4-(3-{(S)-2-[メチル-(2,2,2-トリフルオロ-アセチル)-アミノ]-プロピル}-フェノキシ)-酪酸 エチル エステルの合成
アルゴン下の72 mlの無水DMF (Aldrich)中の3.8 g (0.0105 mol)の化合物5の溶液を9.5 ml (0.1526 mol)のヨードメタンおよび11.74 g (0.0507 mol)の酸化銀(I) で処理し、40℃で一晩攪拌した。該混合物をセライトで濾過し、濾過ケーキを450 mlの酢酸エチルで洗浄し、濾液を再び濾過して白色沈殿物を除去した。濾液を2×250 mlのH2Oで洗浄した。該H2O洗浄液を合わせ、200 mlの酢酸エチルで抽出した。有機層を合わせ、無水 Na2SO4で乾燥させ、減圧下で濃縮し、高真空のポンプに一晩付して、3.84 gの淡黄色油を得た。1H-NMR (CDCl3) 適合, 〜2:1の比の回転異性体。
【0062】
〔実施例7〕
化合物7, 4-(3-{(S)-2-[メチル-(2,2,2-トリフルオロ-アセチル)-アミノ]-プロピル}-フェノキシ)-酪酸の合成
50 mlの蒸留THF中の 3.8 g (0,0101 mol)の化合物6 の溶液を50 mlの3N 過塩素酸 (Aldrichから入手した70%過塩素酸から調製)で処理し、50℃で4時間加熱した。該混合物を冷却し、2×200 mlの酢酸エチルで抽出した。有機抽出物を合わせ、4×200 mlのH2O、2×200 mlの飽和ブライン溶液で洗浄し、無水Na2SO4で乾燥させ、減圧下で濃縮し、高真空のポンプに一晩付して3.5 gの淡黄色油を得た。1H-NMR (CDCl3) 適合, 〜2:1の比の回転異性体。
【0063】
〔実施例8〕
化合物8, 4-(3-{(S)-2-[(2,2-diメチル-プロピオニル)-メチル-アミノ]-プロピル}-フェノキシ)-酪酸 2,5-ジオキソ-ピロリジン-1-イル エステルの合成
アルゴン下の220 mlの無水CH2Cl2 中の3.5 g (0.0101 mol)の化合物7 の溶液を1.4 g (0.0122 mol) のNHSおよび2.4 g (0.0125 mol) のEDC (Sigma)で処理し、室温で一晩攪拌した。該混合物を200 mlの0.1N HCl、2×200 mlのH2O、2×200 mlの飽和NaHCO3溶液、200 mlの飽和ブライン溶液で洗浄し、無水Na2SO4で乾燥させ、減圧濃縮して4.42 gの透明な油を得た。1H-NMR (CDCl3) 適合, 〜3:2の比の回転異性体。
【0064】
〔実施例9〕
化合物9, 4-{[4-(3-{(S)-2-[メチル-(2,2,2-トリフルオロ-アセチル)-アミノ]-プロピル}-フェノキシ)-ブチリルアミノ]-メチル}-安息香酸の合成
60 mlのH2Oおよび120 mlの蒸留THF中の1.6 g (0.0106 mol)の4-アミノメチル安息香酸の混合物を10 mlの1N NaOHで処理した。ついで、得られた溶液を120 mlの蒸留THF中の4.4 g (0.01 mol)の化合物8 で処理した。ついで該反応液を、pH9を維持するよう1回に1 mlずつ加えた4 mlの1N NaOHで処理した。該反応液を室温で1時間攪拌した。該THFを減圧下で除去し、水性残渣を2N HClでpH 6に中和した。これを2×250 mlの酢酸エチルで抽出した。有機抽出物を合わせ、無水Na2SO4で乾燥させ、減圧濃縮して4.65 gの白色固体を得た。1H-NMR (CDCl3) 適合, 〜3:2の比の回転異性体。
【0065】
〔実施例10〕
化合物10, 4-{[4-(3-{(S)-2-[メチル-(2,2,2-トリフルオロ-アセチル)-アミノ]-プロピル}-フェノキシ)-ブチリルアミノ]-メチル}-安息香酸 2,5-ジオキソ-ピロリジン-1-イル エステルの合成
アルゴン下の100 mlの無水CH2Cl2 中の1.0 g (0.002 mol)の化合物9 の溶液を300 mg (0.0026 mol)のNHSおよび480 mg (0.0025 mol)のEDC (Sigma)で処理し、室温で一晩攪拌した。該混合物を100 mlの0.1N HCl、2×100 mlのH2O、2×100 mlの飽和NaHCO3溶液、100 mlの飽和ブライン溶液で洗浄し、無水Na2SO4 で乾燥させ、減圧濃縮して1.13 gの白色アモルファス固体を得た。1H-NMR (CDCl3) 適合, 〜3:2の比の回転異性体; LC-MS: tR 14.5分, 実測M+H 578.2, M+Na 600.2; [α]D +15.7°(589 nm, c=1, CHCl3)。
【0066】
〔実施例11〕
脱保護4-(3-{(S)-2-[(2,2-ジメチル-プロピオニル)-メチル-アミノ]-プロピル}-フェノキシ)-酪酸 2,5-ジオキソ-ピロリジン-1-イル エステルとBSAとのコンジュゲート(化合物11)の合成
16 mlの50 mM リン酸カリウム (KPi)(pH 7.5)中の1.0 gのウシ血清アルブミン (BSA; Pentex Fraction V; Miles Inc., Kankakee, IL, USA)の溶液を氷浴内で冷却し、22 mlのDMSOをゆっくり滴下して処理した。滴下が完了した後、2 mlのDMSO中の13.4 mgの化合物8 の溶液を滴下し、該反応を、攪拌しながら室温にした。1.6 mlの50 mM KPi (pH 7.5)および2.4 mlのDMSO中の100 mgのBSAの基準サンプルも、ハプテンを加えないこと以外は同様にして調製した。一晩の攪拌後、該反応および基準サンプルの両方を別々に透析チューブ(SpectraPor 7; 10,000 分子量カットオフ)に移し、60% DMSO - 50mM KPi (pH 7.5) に透析し(それぞれ室温/4時間で2回; 室温で一晩で1回)、ついで40%から20%から10%へのDMSO -50 mM KPi (pH7.5)に、ついで50mM KPi (pH7.5)に透析した。トリフルオロアセチル基を脱保護するために、透析を50 mM 炭酸カリウム (4回の変化)に対して室温で4日間、ついで50mM KPi (pH7.5)に対して〜4℃で数日間(6回の変化)継続した。保持物を回収して、コンジュゲート11 を灰色がかった溶液 (68 ml)として、および基準BSAを得た。標準曲線を作成するために該基準BSAを使用するクーマシーブルー タンパク質アッセイ [UVによるタンパク質濃度測定]は、コンジュゲート11に関して14.0 mg/mlのタンパク質を示した。
【0067】
〔実施例12〕
化合物15, [2-(3-{(S)-2-[メチル-(2,2,2-トリフルオロ-アセチル)-アミノ]-プロピル}-フェノキシ)-エチル]-カルバミン酸 tert-ブチルエステルの合成
化合物13, 2,2,2-トリフルオロ-N-[(S)-2-(3-メトキシ-フェニル)-1-メチル-エチル]-N-メチル-アセトアミド。アルゴン下の10 mlの乾燥ジメチルホルムアミド (DMF)中の384 mgの化合物3 の溶液を1.33 mlのヨードメタンおよび1.64 gの酸化銀(I)で処理し、40℃で一晩攪拌した。該混合物をセライトで濾過し、濾過ケーキを酢酸エチルで洗浄した。濾液を再び濾過して白色沈殿物を除去した。濾液を2×250 mlのH2Oで洗浄した。該水性洗浄液を合わせ、50 mlの酢酸エチルで抽出した。酢酸エチル部分を合わせ、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧濃縮して330 mgの黄色油を得た。これを、溶離液としてCH2Cl2を使用する50 gのシリカゲル上のクロマトグラフィーに付して、220 mgの生成物(化合物13)を淡黄色油として得た。LC-MS: tR 15.4分, 実測M+H 276.0, M+Na 298.0。
【0068】
化合物14, 2,2,2-トリフルオロ-N-[(S)-2-(3-ヒドロキシ-フェニル)-1-メチル-エチル]-N-メチル-アセトアミド。220 mgの化合物13 と3.87 gのピリジン塩酸との混合物を加圧ボンベ内で210℃で1時間加熱した。得られた溶融物を冷却し、水に溶解した。これを5×50 mlのCH2Cl2で抽出した。合わせたCH2Cl2抽出物を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧濃縮して100 mgの化合物14 を黄色油として得た。LC-MS: tR 12.9分, 実測M+H 262.0, M+Na 284.0。
【0069】
化合物15, 10 mlの乾燥アセトン中の25 mgの化合物14 の溶液を1 mlの乾燥DMF中の2-(BOC-アミノ)エチルブロミド、77 mgの無水炭酸カリウムおよび触媒量の18-クラウン-6で処理した。該混合物を60℃で一晩加熱した。該混合物を冷却し、CH2Cl2で希釈し、H2Oで3回洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧濃縮して、化合物15を含有する赤色油を得た。LC-MS: tR 16.5分, 実測M+Na 427.1。
【0070】
〔実施例13〕
化合物17の合成
化合物15 をトリフルオロ酢酸で処理し、室温で2時間攪拌する。該混合物を減圧濃縮してアミン化合物16を得る。
【0071】
アルゴン下の乾燥THF中のビフェニル-ジ-カルボン酸NHSエステル, 化合物20 (Ghoshalら, 米国特許第6,794,496号)の溶液を、2当量のトリエチルアミンを滴下した乾燥THF中の1当量の化合物16 で処理する。該混合物を室温で一晩攪拌する。該混合物を減圧濃縮する。クロマトグラフィーによる精製で化合物17が得られる。
【0072】
〔実施例14〕
化合物18の合成
アルゴン下の乾燥THF中のテレフタル酸ジ-(N-ヒドロキシスクシンイミド) エステル 化合物21 (Ghoshalら, 欧州特許出願1,148,339)の溶液を、2当量のトリエチルアミンを滴下した乾燥THF中の1当量の化合物16 で処理する。該混合物を室温で一晩攪拌する。該混合物を減圧濃縮する。クロマトグラフィーによる精製で化合物18が得られる。
【0073】
〔実施例15〕
化合物19の合成
アルゴン下の乾燥THF中の4-イソチオシアナトベンゾイルクロリド, 化合物22 (Ghoshalら, 米国特許第6,794,496号)の溶液を氷浴で冷却し、2当量のトリエチルアミンを滴下した乾燥THF中の1当量の化合物16 で処理する。該混合物を室温で一晩攪拌する。該混合物を減圧濃縮する。クロマトグラフィーによる精製で化合物19が得られる。
【0074】
〔実施例16〕
メタンフェタミン抗体と共に本発明のコンジュゲートを使用するアッセイ
メタンフェタミン-アミノデキストランコンジュゲート, 化合物12, を以下のとおりに製造した。90 mgのアミノデキストランを5 mlのDMSOに溶解した。10 mgの化合物10 を1 ml DMSOに溶解し、該重合体担体の溶液に滴下し、室温で一晩攪拌した。該混合物を10,000 MW カットオフ透析チューブ (Pierce Snakeskin(商標)) 内に配置し、1リットルの80 % DMSO中、室温で一晩透析した。ついでこれを、1リットルの60% DMSO、1リットルの40% DMSO、1リットルの20% DMSO、4リットルの脱イオン水、4リットルの脱イオン水中の段階的減少勾配を用いて、それぞれ少なくとも3時間、室温で透析した。ついでこれを、KOHでpH 13に調節した1リットルの100 mM K2CO3(4回のバッファー変更を行う)で2日間透析した。最終透析工程は、少なくとも2日間の4リットルの脱イオン水(4回の変更を伴う)を使用するものであった。ついで該コンジュゲートを凍結乾燥した。
【0075】
ついで、0.125 μg/ml メタンフェタミンコンジュゲート12、144 mM ピペラジン-1,4-ビス(2-エタンスルホン酸) 二ナトリウム塩、31 mM ピペラジン-1,4-ビス(2-エタンスルホン酸)、0.1% (w/v) BSA、0.09% (w/v) アジ化ナトリウムおよび1.5% (w/v) ポリアクリル酸を含有するコンジュゲート試薬(pH 7.1)を製造した。
【0076】
抗体-微粒子試薬を以下のとおりに製造した。メタンフェタミンに特異的な50 μ/ml モノクローナル抗体100 mlを、50 mM MESバッファー(pH 6.5)中、100 mlの1% 0.201 μm ラテックス粒子と共に室温で一晩インキュベートした。該粒子を、50 mM MESバッファー(pH 6.5)中、10 mlの100 mg/ml BSAで2時間ブロッキングした。接線流動濾過系を用いてラテックスを50 mM MOPSバッファー(pH 7.1)で洗浄した。この抗体は、U.S. 5,501,987(第3欄、構造2、ここで、該タンパク質はウシチログロブリンである)に記載の免疫原に応答して生成したものであった。
【0077】
ついで、0.1% 固体抗体コート化微粒子、25 mM 3-モルホリノプロパンスルホン酸、25 mM 3-モルホリノプロパンスルホン酸、ナトリウム塩、0.1% (w/v) BSAおよび0.09% (w/v)アジ化ナトリウムを含有する微粒子試薬(pH 7.1)を製造した。
【0078】
アッセイはRoche/Hitachi 917分析装置上で行った。10μlのサンプルをキュベット内にピペッティングし、その後直ちに180 μlのコンジュゲート試薬 (R1)を加えた。該混合物を〜90秒間インキュベートし、80μlの微粒子試薬 (R2)を該キュベットに加えた。該反応混合物を37℃で約8分間インキュベートし、その間、粒子凝集反応を505 nmでモニターした。R2の添加後、2点終点(2-point end)測定に基づき、標準曲線を作成した。
【0079】
イムノアッセイにおいて交差反応性(%)を測定した。既知量の標的アナライトであるメタンフェタミンを使用して標準曲線を確立した。既知量の種々のアンフェタミン関連薬を該イムノアッセイにおけるサンプルとして分析し、これらの薬物の見掛け濃度を該標準曲線から求めた。該薬物の見掛け濃度を実際の濃度で割り算し100を掛け算したものがこの薬物の交差反応性(%)である。このようにして得られた標準(用量反応)曲線を図11に示す。
【0080】
コンジュゲート12に対するメタンフェタミンコート化粒子の交差反応性を以下の表に示す。
【表1】
【0081】
これらの結果は、d-メタンフェタミンに対してだけでなくエクスタシー類化合物、例えばMDMAおよびMBDBに対しても良好な交差反応性が得られることを示している。一般的な阻害性(interfering)化合物、例えばエフェドリン、プソイドエフェドリン、フェンテルミンおよびチラミンに対する交差反応性は最小、すなわち、1%未満であった。
【0082】
〔実施例17〕
N-エチルアンフェタミン抗体と共に本発明のコンジュゲートを使用するアッセイ
実施例16に記載されているとおりにコンジュゲート試薬を製造した。
U.S. 2004/0077021に記載のモノクローナル抗体NEAMP 48.2を使用して、実施例16に記載されているとおりにコート化微粒子を製造した。ついで、実施例16に記載されているとおりに微粒子試薬を製造した。
【0083】
実施例16に記載されているとおりに、Roche/Hitachi 917分析装置上で該アッセイを行った。
イムノアッセイにおいて交差反応性(%)を測定した。既知量の標的アナライトであるメチレンジオキシエチルアンフェタミン(MDEA)を使用して標準曲線を確立した。既知量の種々のアンフェタミン関連薬を該イムノアッセイにおけるサンプルとして分析し、これらの薬物の見掛け濃度を該標準曲線から求めた。該薬物の見掛け濃度を実際の濃度で割り算し100を掛け算したものがこの薬物の交差反応性(%)である。このようにして得られた標準(用量反応)曲線を図12に示す。
【0084】
コンジュゲート12に対する該コート化粒子の交差反応性を以下の表に示す。
【表2】
【0085】
これらの結果は、メチレンジオキシエチルアンフェタミンに対する良好な交差反応性だけでなく、d-メタンフェタミンならびにエクスタシー類化合物、例えばMDMAおよびMBDBに対する交差反応性をも示している。同時に、一般的な阻害性(interfering)化合物、例えばエフェドリン、プソイドエフェドリン、フェンテルミンおよびチラミンに対する交差反応性は実質的に存在しなかった。
【図面の簡単な説明】
【0086】
【図1】図1は、実施例1および2に記載の化合物1の合成を示す概要図である。
【図2】図2は、実施例3〜8に記載の化合物8の合成を示す概要図である。
【図3】図3は、実施例3〜8に記載の化合物8の合成を示す概要図である。
【図4】図4は、実施例9および10に記載の化合物10の合成を示す概要図である。
【図5】図5は、BSAとの本発明の化合物のコンジュゲーション(結合)および窒素の脱保護により実施例11に記載の化合物11を得ることを示す概要図である。
【図6】図6は、アミノデキストランとの本発明の化合物のコンジュゲーション(結合)およびそれに続くN-トリフルオロアセタート基の脱保護により実施例16に記載の化合物12を得ることを示す概要図である。
【図7】図7は、実施例12に記載の化合物15の合成を示す概要図である。
【図8】図8は、実施例13に記載の化合物17の合成を示す概要図である。
【図9】図9は、実施例14に記載の化合物18の合成を示す概要図である。
【図10】図10は、実施例15に記載の化合物19の合成を示す概要図である。
【図11】図11は、メタンフェタミン抗体でコートされた粒子との本発明のアミノデキストランコンジュゲート12を使用して作成された用量反応曲線である。
【図12】図12は、N-エチルアンフェタミン抗体でコートされた粒子との本発明のアミノデキストランコンジュゲート12を使用して作成された用量反応曲線である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、全般的には、生物学的サンプルにおける薬物乱用の判定のためのイムノアッセイ方法の分野、特に、アンフェタミン類の薬物の測定のためのイムノアッセイ方法、より詳しくは、それに有用なメタンフェタミン誘導体およびコンジュゲートに関する。
【背景技術】
【0002】
「エクスタシー類(ecstasy-class)薬物」として一般に公知の違法製造麻薬類の使用および乱用が近年著しく増加している。これらの化合物は、縮合メチレンジオキシフェニル環系を有することを特徴とするアンフェタミン誘導体であり、MDA(3,4-メチレンジオキシアンフェタミン)、「エクスタシー」としても公知のMDMA(3,4-メチレンジオキシ-N-メチルアンフェタミン)、「イブ(Eve)」としても公知のMDEA(3,4-メチレンジオキシ-N-エチルアンフェタミン)、BDB(3,4-メチレンジオキシフェニル-2-ブタンアミン)およびMBDB(3,4-メチレンジオキシフェニル-N-メチルブタンアミン)を包含する。
【0003】
現在のところ、エクスタシー類薬物の検出方法は主として、元々アンフェタミンおよび/またはメタンフェタミンの検出用に開発されたイムノアッセイを含むものである。そのようなアッセイによるエクスタシー類薬物の検出は、エクスタシー類薬物とアンフェタミンおよび/またはメタンフェタミン抗体との間にたまたま存在しうる限られた交差反応性に基づくものである。そのようなアッセイにより得られる陽性結果は、メチレンジオキシ(MD)類の誘導体のどの特定の物質またはメンバーがサンプル中に存在するのかまでは示さない。
【0004】
一般に、アンフェタミンおよびメタンフェタミンイムノアッセイはエクスタシー類薬物に比較的不感受性であり非特異的である。そのようなアッセイは、MDEA誘導体に対しては特に限られた認識しか示さない。
【0005】
本発明は、メチレンジオキシ類またはエクスタシー類薬物のメンバーの検出のための通常のアンフェタミンおよび/またはメタンフェタミンイムノアッセイの使用に関するこれら及び他の問題の解決手段に関する。
【0006】
薬物乱用に関する試験においては、イムノアッセイ、特に競合結合イムノアッセイが特に好都合であることが判明している。競合結合イムノアッセイにおいては、生物学的サンプル中のアナライトは、該アナライトおよびアナライト類似体に特異的な抗体上の限られた数の受容体結合部位に関して、標識試薬またはアナライト類似体またはトレーサーと競合する。β-ガラクトシダーゼおよびペルオキシダーゼのような酵素、フルオレセイン化合物のような蛍光分子、125Iのような放射性化合物および微粒子が、トレーサーとして使用される一般的な標識物質である。サンプル中のアナライトの濃度は、抗体に結合するアナライト類似体の量を決定する。結合するアナライト類似体の量は、サンプル中のアナライトの濃度に反比例する。なぜなら、アナライトおよびアナライト類似体はそれぞれ、それらのそれぞれの濃度に比例して抗体に結合するからである。したがって、使用されている個々の標識に適した方法により、遊離および結合アナライト類似体の量が決定されうる。
【0007】
現在一般的なのは、光透過の変化により測定される溶液中の微粒子の速度論的相互作用に基づく自動化アッセイである。サンプル薬の非存在下、遊離抗体は薬物微粒子コンジュゲートに結合して、粒子凝集体の形成を引き起こす。サンプル薬の非存在下で凝集反応が進行するにつれて、吸光度が増加する。問題の薬物をサンプルが含有する場合には、該薬物は遊離抗体に関して粒子結合薬誘導体と競合する。サンプル薬に結合した抗体は粒子凝集の促進にはもはや利用不可能であり、後続の粒子格子形成は抑制される。サンプル薬の存在は、サンプル中の薬物の濃度に比例して、吸光度の増加を減少させる。サンプル薬含量は、薬物の既知カットオフ濃度に関して得られた値に対して決定される。
【0008】
アンフェタミン類薬物に関するアッセイにおける問題は、先行技術の方法が、サンプル中のすべてのアンフェタミン類のアナライト、特にアンフェタミン、メタンフェタミン、3,4-メチレンジオキシアンフェタミン(MDA)、3,4-メチレンジオキシ-N-メチルアンフェタミン(MDMA)および3,4-メチレンジオキシ-N-エチルアンフェタミン(MDEA))を十分な感度で測定するのに十分な抗体との交差反応性および抗体からの置換をもたらさないことである。本発明のメタンフェタミン誘導体は、アンフェタミン、メタンフェタミンおよびエクスタシー類化合物の高感度測定に要求されるメタンフェタミン抗体との交差反応性およびメタンフェタミン抗体からの置換をもたらすことにより、そのような問題を解決するものである。
【0009】
本発明により解決されるもう1つの問題は、メタンフェタミンハプテン上の遊離アミノ基を介したハプテンの望ましくないコンジュゲーション(結合)の問題である。本発明の誘導体はこの問題を解決するものである。
【0010】
1992年8月4日付け発行の米国特許第5,135,863号において、Huらは、チオール結合を介してアンフェタミンまたはメタンフェタミンの類似体に結合した標識を含むコンジュゲートを記載している。該コンジュゲートは更に、メタまたはパラ位においてベンゼン環に結合したリンカーを含み、アンフェタミン窒素は保護されていない。
【0011】
2001年12月13日付け公開の米国特許出願第2001/0051158号において、Owensらは、メタンフェタミンのメタ位誘導体である免疫化学的ハプテンを記載している。メタンフェタミンハプテン上の遊離アミノ基は保護されていない。
【発明の開示】
【0012】
本発明の化合物は、ベンゼン環上にメタ置換アルキルリンカーを、およびメタンフェタミンハプテンの窒素上に保護基を有するメタンフェタミン誘導体である。そのような化合物は、構造
【化1】
(式中、R1は、2〜15個の炭素原子および0〜6個のヘテロ原子を含むアルキルリンカーであり、R2は脱離基であり、R3は保護基である)を有する。
【0013】
本発明はまた、式
【化2】
(式中、R1は、2〜15個の炭素原子および0〜6個のヘテロ原子を含むアルキルリンカーであり、R2は多糖または微粒子である)を有する化合物に関する。
【0014】
本発明は更に、
(a)メタンフェタミンを含有する疑いのあるサンプルを、メタンフェタミンに特異的な抗体および構造
【化3】
(式中、R1は、2〜15個の炭素原子および0〜6個のヘテロ原子を含むアルキルリンカーであり、R2は多糖または微粒子である)を有する標識アナライト類似体と一緒にし、それにより、該メタンフェタミンおよび該アナライト類似体を該抗体に競合的に結合させ、
(b)該抗体に結合した又は結合していない標識類似体の量を該サンプル中のメタンフェタミンの尺度として測定する工程を含む、サンプル中のメタンフェタミンを測定するためのイムノアッセイに関する。
【0015】
また、
(a)メタンフェタミンに特異的な抗体および
(b)構造
【化4】
(式中、R1は、2〜15個の炭素原子および0〜6個のヘテロ原子を含むアルキルリンカーであり、R2は多糖または微粒子である)を有する標識アナライト類似体
を含む、サンプル中のメタンフェタミンの測定に使用する試験キットも本発明の範囲内である。
【0016】
本発明の好ましい化合物は、構造
【化5】
を有する4-{[4-(3-{(S)-2-[メチル-(2,2,2-トリフルオロ-アセチル)-アミノ]-プロピル}-フェノキシ)-ブチリルアミノ]-メチル}-安息香酸 2,5-ジオキソ-ピロリジン-1-イル エステルである。
【0017】
この化合物は、アミノデキストランにコンジュゲートされ次いでN-トリフルオロアセタート基の脱保護に付されると、微粒子上に固定化されたメタンフェタミン特異的抗体への結合に関してそれが遊離メタンフェタミンと競合するイムノアッセイにおいて使用された場合に対応アンフェタミン-アミノデキストラン-抗体系との良好なフィットを有する標準曲線を与えるコンジュゲートを与える。
【0018】
発明の詳細な説明
本明細書の全体にわたり及び添付の特許請求の範囲においては、以下の定義が理解されるべきである。
【0019】
「ハプテン」なる語は部分的または不完全な抗原を意味する。ハプテンは、抗体生成を刺激し得ないが抗体と反応するタンパク質非含有物質、大抵の場合には低分子量物質である。アンフェタミン、メタンフェタミン、メチレンジオキシメタンフェタミンおよび他のアンフェタミン類化合物はハプテンである。
【0020】
「活性化ハプテン」なる語は、例えば、ハプテンを担体、免疫原、標識、トレーサーまたは他の部分に連結するために使用されうる反応性部分を含有する連結基の結合により、利用可能な反応部位を備えたハプテンである。
【0021】
「アナライト」なる語は、その存在または量を測定すべき任意の物質または物質群を意味する。本明細書中で用いるアナライトなる語は、抗体に結合しうる任意の化合物を意味する「抗原」なる語を包含する。
【0022】
本明細書中で用いる「アンフェタミン」および「アンフェタミン類薬物」なる語は、アンフェタミン、メタンフェタミン、「違法製造(designer)」アンフェタミンとしても公知のメチレンジオキシフェニルアルキルアミンのアンフェタミン類似体、例えばメチレンジオキシメタンフェタミン(MDMA;エクスタシーとしても公知である)、およびこれらの薬物の代謝産物を意味する。
【0023】
「誘導体」なる語は、1以上の化学反応により親化合物から製造された化合物または分子を意味する。
【0024】
「コンジュゲート」なる語は、2つの部分が互いに結合することにより形成される任意の物質を意味する。本発明の代表的なコンジュゲートには、小さな分子および大きな分子(例えば、タンパク質)が互いに結合することにより形成されるものが含まれる。コンジュゲートなる語は「免疫原」なる語を包含する。
【0025】
本明細書中で用いる「連結基」または「リンカー」は、例えばハプテン、担体、免疫原、標識、トレーサーまたは他のリンカーのような、2以上の小構造体を連結する化学構造体の部分を意味する。連結基は、該小構造体間に伸長する、水素(または他の一価原子)以外の原子の非遮断鎖の少なくとも1つを有する。連結基の原子および連結基内の鎖の原子のそれ自体が化学結合により連結されている。リンカーは直鎖状または分枝状の飽和または不飽和の炭素鎖でありうる。それらはまた、1以上のヘテロ原子を鎖内または鎖の末端に含みうる。「ヘテロ原子」は、酸素、窒素および硫黄よりなる群から選ばれる炭素以外の原子を意味する。連結基は、鎖の一部として又は鎖内の原子の1つにおける置換基として、環状または芳香族基をも含みうる。
【0026】
連結基またはリンカー内の原子の数は、水素以外の原子を計数することにより決定される。連結基またはリンカー内の原子の数は、連結されている小構造体の間の最短経路に沿って水素以外の原子を計数することにより決定される。連結基は、ハプテンと標識または担体とのコンジュゲートを合成するためのハプテン上の利用可能部位を活性化(例えば供与)するために使用されうる。
【0027】
「アルキル基」なる語は、任意の直鎖状、分枝状、環状、非環状、飽和または不飽和炭素鎖を意味する。代表的なアルキル基には、アルカン、アルケン、アルキン、シクロアルカン、シクロアルケン、シクロアルキン、アリールなど及びそれらの組合せが含まれる。
【0028】
「所望により置換されていてもよい」なる表現は、1以上の置換基がアルキル基上に結合していてもよいことを意味する。
【0029】
「脱離基」なる語は、基本構造体と反応する試薬により脱離されうる該基本構造体の任意の化学的部分を意味する。適当な脱離基には、ハリド、メシラート、トシラート、アルコキシ、第四級アンモニウム塩などが含まれるが、これらに限定されるものではない。現在好ましい実施形態において使用するための好ましい脱離基は、活性エステル、例えばトリフルオロエトキシエステル、N-ヒドロキシスクシンイミドエステル、p-ニトロフェニルエステル、ペンタフルオロフェニルエステル、イミダゾリルエステルおよびN-ヒドロキシベンゾトリアゾリルエステルにより与えられ、それにより、カルボニル炭素に結合した該エステルの酸素含有部分が反応経過中に脱離する。
【0030】
「保護基」なる語は、反応性原子または中心に結合した、その通常の反応性を改変するための任意の部分を意味する。適当な保護基には、Theodora W. GreeneおよびPeter G.M. WutsによるProtective Groups in Organic Synthesis, 3rd Edition (John Wiley & Sons, Inc., New York, 1999)なる書名の専門書に記載されているものが含まれるが、これらに限定されるものではない。アミンの窒素のための種々の保護基が当技術分野で公知であり、これらのうち、トリフルオロアセチルが現在好ましい窒素保護基である。他の好ましい保護基の例には、t-Boc(tert-ブチルオキシカルボニル)およびCBZ(ベンジルオキシカルボニル)が含まれる。
【0031】
「アナライト類似体」なる語は、抗体に対する結合アフィニティーに関してアナライトと同様に挙動する任意の物質または物質群、例えば競合イムノアッセにおいて使用されうるものを意味する。代表的なアナライト類似体には、薬物およびその異性体、薬物誘導体、ホルモン、ポリペプチド、ヌクレオチドなどが含まれる。
【0032】
「アナライトを検出する」なる表現は、任意の定量的、半定量的または定性的方法、およびアナライト全般、特にアンフェタミン薬を測定するための全ての他の方法を意味する。例えば、サンプル中のアンフェタミン薬の量または濃度に関するデータを提供する方法に加えて、サンプル中のアンフェタミン薬の存在または非存在を単に検出するに過ぎない方法も本発明の範囲内に含まれる。検出(detecting)、測定(determining)、特定(identifying)などの語は本明細書においては同義語として用いられ、すべてが本発明の範囲内である。
【0033】
「標識」、「検出分子」または「トレーサー」は、検出可能なシグナルを生成する又は検出可能なシグナルを生成するよう誘導されうる任意の分子である。標識は、アナライト、免疫原、抗体、または他の分子、例えば受容体、または受容体に結合しうる分子、例えばリガンド、特にハプテンにコンジュゲートさせることが可能である。標識の非限定的な例には、放射性同位体、酵素、酵素断片、酵素基質、酵素阻害物質、補酵素、触媒、発蛍光団、色素、化学発光体、発光体、増感剤、非磁性または磁性粒子、固体支持体、リポソーム、リガンドおよび受容体が含まれる。
【0034】
「試薬キット」または「試験キット」なる語は、アッセイの実施に使用される部材の集合体を意味する。試薬は、その交差反応性および安定性に応じて、同じ又は別々の容器内の、パッケージングされた組合せ体として、および液体または凍結乾燥形態で提供されうる。キットとして提供される試薬の量および比率は、特定の用途のための最適な結果が得られるよう選ばれうる。本発明の特徴を具体化する試薬キットは、アンフェタミン化合物に特異的な抗体を含む。該キットは更に、アナライトのリガンドならびに較正および対照物質を含みうる。該試薬は液体形態のままであることが可能であり、あるいは凍結乾燥されうる。
【0035】
「較正および対照物質」なる語は、測定すべきアナライトの既知量を含有する任意の標準または基準物質を意味する。アナライトを含有する疑いのあるサンプルおよび対応較正物質は、類似の条件下でアッセイされうる。アナライトの濃度は、未知試料に関して得られた結果を、該標準に関して得られた結果と比較することにより計算される。これは、一般には、較正または用量反応曲線を作成することにより行われる。
【0036】
本発明の化合物は、ベンゼン環上のメタ-置換アルキルまたはアルコキシリンカーおよび窒素における保護基を有するメタンフェタミン誘導体である。そのような化合物は、構造
【化6】
(式中、R1は、2〜15個の炭素原子および0〜6個のヘテロ原子を含むアルキルリンカーであり、R2は脱離基であり、R3は保護基である)を有する。
【0037】
該誘導体は窒素における保護基を含有する。そのような保護基は該誘導体の活性エステル部分と典型的には担体化合物のアミンとの容易な反応を可能にして、該誘導体自身のアミンが阻害することなしに安定なアミド結合を形成させる。ついで保護基は容易に除去されて、遊離薬物のアミンに対応する所望の脱保護アミン部分が得られる。
【0038】
本発明の1つの実施形態においては、R3はトリフルオロアセチルである。
【0039】
本発明のもう1つの実施形態においては、R2は多糖または微粒子、好ましくはアミノデキストランである。
【0040】
本発明はまた、式
【化7】
(式中、R1は、2〜15個の炭素原子および0〜6個のヘテロ原子を含むアルキルリンカーであり、R2は多糖または微粒子、好ましくはアミノデキストランである)を有する化合物に関する。
【0041】
さらに、本発明は、式
【化8】
を有する化合物に関する。
【0042】
本発明は更に、
(a)メタンフェタミンを含有する疑いのあるサンプルを、メタンフェタミンに特異的な抗体および構造
【化9】
(式中、R1は、2〜15個の炭素原子および0〜6個のヘテロ原子を含むアルキルリンカーであり、R2は多糖または微粒子、好ましくはアミノデキストランである)を有する標識アナライト類似体と一緒にし、それにより、該メタンフェタミンおよび該アナライト類似体を該抗体に競合的に結合させ、
(b)該抗体に結合した又は結合していない標識類似体の量を該サンプル中のメタンフェタミンの尺度として測定する工程を含む、サンプル中のメタンフェタミンを測定するためのイムノアッセイに関する。
【0043】
また、
(a)メタンフェタミンに特異的な抗体および
(b)構造
【化10】
(式中、R1は、2〜15個の炭素原子および0〜6個のヘテロ原子を含むアルキルリンカーであり、R2は多糖または微粒子、好ましくはアミノデキストランである)を有する標識アナライト類似体
を含む、サンプル中のメタンフェタミンの測定に使用する試験キットも本発明の範囲内である。
【0044】
本発明の好ましい化合物は、構造
【化11】
を有する4-{[4-(3-{(S)-2-[メチル-(2,2,2-トリフルオロ-アセチル)-アミノ]-プロピル}-フェノキシ)-ブチリルアミノ]-メチル}-安息香酸 2,5-ジオキソ-ピロリジン-1-イル エステルである。
【0045】
そのような化合物は、アミノデキストランのような担体分子にコンジュゲートされ次いでN-トリフルオロアセタート基の脱保護に付されると、微粒子上に固定化されたメタンフェタミン特異的抗体への結合に関して該コンジュゲートが遊離メタンフェタミンと競合するイムノアッセイにおいて使用された場合に対応アンフェタミン-アミノデキストラン-抗体系との良好な相関性を有する標準曲線を与えるコンジュゲートを与える。該組合せはまた、望ましい(高い交差反応性の)アナライトおよび望ましくない(低い交差反応性の)アナライトの両方との適当な交差反応性を与える。また、そのような化合物は、ウシ血清アルブミンに低い置換比でコンジュゲートされた場合に、メタンフェタミン抗体のスクリーニングに適したコンジュゲートをも与える。
【0046】
該連結基の置換およびエーテル連結の位置は、該誘導体コンジュゲートに対する抗体のアフィニティを適正化するのに好都合であることが判明した。一方、アミノメチレンベンゾアート部分の使用はまた、該誘導体の、より容易な特徴づけ(より大きなUV吸光度)、および(ガムまたは液体と比べた場合の)該誘導体の固体性の増強の両方を促進する。
【0047】
非常に驚くべきことに、本発明の誘導体は、好ましくは、該新規誘導体とは構造的に全く異なる免疫原に応答して生成する少なくとも2つの抗体により認識されることが見出された。1つの相違点は置換の位置であり、それはそれらの2つの免疫原においてはパラであるが、該コンジュゲートにおいてはメタである。もう1つの相違点としては、該免疫原に使用されるリンカーは、該コンジュゲートの場合とは異なり、ベンゼン環から出る酸素原子を有さない。最後に、該免疫原における窒素はメチル基に結合しているが、本発明のコンジュゲートにおける窒素はエチル基に結合している。
【実施例】
【0048】
具体的な実施形態
以下の実施例において、太字の数字は図面内の対応構造を示す。
【0049】
フラッシュクロマトグラフィーは、シリカゲル60(230-400メッシュ, EM Science)上で行った。薄層クロマトグラフィーは、シリカゲルプレート(0.25 mm, EM Science, Cat # 5717-5)上で行い、紫外線ランプ下で可視化した。
【0050】
溶媒は、特に示さない限り、J.T. Baker Companyから入手した。酢酸エチル(EtOAc)、ヘキサン(Hex)、メタノール(MeOH)および塩化メチレン(CH2Cl2)は、入手したままの状態で、クロマトグラフィーおよび反応後処理に使用した。乾燥CH2Cl2は、アルゴン下および還流下、水素化カルシウム上で沸騰させることにより得た。乾燥テトラヒドロフラン(THF)は、アルゴン下および還流下、ナトリウム-ベンゾフェノン上で沸騰させることにより得た。乾燥ジメチルホルムアミド(DMF)および乾燥ジメチルスルホキシド(DMSO)はAldrich Chemical CompanyからSure/Seal(商標)ボトルとして得た。
【0051】
試薬および化学物質は、特に示さない限り、Sigma-Aldrich Chemical CompanyまたはFluka Chemicalsから得た。
【0052】
プロトン核磁気共鳴スペクトル(1H-NMR)は、Sun/Sparc ワークステーションを備えたVarian Gemini 2000 (200 MHz)上で得た。旋光はPerkin Elmer 341旋光計上で行った。
【0053】
3N 過塩素酸は、70% 過塩素酸(11.7N)を希釈することにより調製した。
【0054】
液体クロマトグラフィー質量スペクトル(LC-MS)および高速液体クロマトグラフィースペクトル(HPLC)は、ダイオードアレイ検出器および第四級(quaternary)ポンプを備えたAgilent HP1100 LC/MS系上で得た。LC-MSスペクトル/分析には、クロマトグラフィー系を、カラム後に、MSD検出器へ接続した。特に示さない限り、使用した分析用カラムは、Phenomenexガードモジュール(KJO-4282)を備えたVydac 218TP54分析用カラム(300オングストローム, 5μ)であった。特に示さない限り、実施は、0.1% TFA-H2O(A)中の0.1% TFA-MeCN(C)を使用して行い、これは、(A)中の(C)の5%(0分)から100%(20分)から5%(25分)の溶媒勾配を有するものであった。
【0055】
〔実施例1〕
化合物1, [(S)-2-(3-メトキシ-フェニル)-1-メチル-エチル]-((S)-1-フェニル-エチル)-アミンの合成
100 mlのベンゼン(Acros)中の6.0 g (0.0365 mol)の3-メトキシフェニルアセトン (Trans World Chem.)および4.47 g (0.0369 mol)のS-(−)-α-フェニルエチルアミン (Fluka)の溶液を6.0 gの4オングストロームのモレキュラーシーブで処理し、3時間加熱して還流した。該混合物を濾過し、減圧下で濃縮した。残渣を100 mlの無水エタノール(Aldrich)に溶解し、2.4 gのラネーニッケル (H20中の50%スラリー)を含有する500 ml Parrボトル内に配置し、50 PSIで24時間水素化した。該触媒をセライトで濾去し、濾液を減圧下で濃縮した。残渣を、3%メタノール-CH2Cl2を溶離液として使用する800 gのシリカゲル上のフラッシュクロマトグラフィーにより精製して、5.0 gの生成物を淡黄色油として得た。1H-NMR (CDCl3) 適合; LC-MS: tR 11.4分, 実測M+H 270.2; [α]D -36.6° (589 nm, c=1, CHCl3)。
【0056】
〔実施例2〕
化合物2, [(S)-2-(3-メトキシ-フェニル)-1-メチル-エチルアミンの合成
500 ml Parrボトルに550 mgの10% Pd/Cおよび100 mlのメタノール中の5.0 g (0.0186 mol)の化合物1の溶液を入れ、それを50 PSIで48時間水素化した。該触媒をセライトで濾去し、濾液を減圧下で濃縮して黄色油を得た。これを、10%メタノール-CH2Cl2を使用するシリカゲルのショートカラム(幅4 cm, 高さ5 cm)上のフラッシュクロマトグラフィーにより精製して残留触媒を除去して、2.84 gの黄色油を得た。これをCH2Cl2に溶解し、濾過して残留シリカゲルを除去し、ついで減圧下で濃縮し、高真空のポンプに一晩付して、2.5 gの黄色油を得た。1H-NMR (CDCl3) 適合; LC-MS: tR 8.05分 (Chiralcel OD-RH, Daicel Chemical Industries; 0.1%TFA/水中の0.1%TFA/アセトニトリルの5% (0分)から85%(17.5分)への勾配; 0.5 mL/分の流速), 実測M+H 166.1, 1つのピーク; HPLC: tR 30.0分 (d-異性体), 33.7分 (l-異性体), 200 nmにおけるd/l比=97.2/2.8 (Crownpak CR(+), Daicel Chemical Industries; 5% MeOHを含有する水性過塩素酸 pH 1.35 (〜0.2%)の無勾配で1 ml/分); [α]D +31.7°(589 nm, c=1, CHCl3)。
【0057】
〔実施例3〕
化合物3, 2,2,2-トリフルオロ-N-[(S)-2-(3-メトキシ-フェニル)-1-メチル-エチル]-アセトアミドの合成
アルゴン下の24 mlのピリジン (Aldrich)中の2.4 g (0.0145 mol)の化合物2 の溶液を-20℃に冷却し、36 mlのエーテル(E. M. Science)中の3.2 mlのトリフルオロ酢酸無水物の溶液で処理し、-20℃で15分間攪拌した。該混合物を3×100mlの酢酸エチルで抽出した。合わせた酢酸エチル抽出物を2×150 mlの飽和ブライン溶液で洗浄し、無水Na2SO4で乾燥させ、減圧下で濃縮して、3.79 gの黄色固体を得た。1H-NMR (CDCl3) 適合。
【0058】
〔実施例4〕
化合物4, 2,2,2-トリフルオロ-N-[(S)-2-(3-ヒドロキシ-フェニル)-1-メチル-エチル]-アセトアミドの合成
3.77 g (0.0144 mol)の化合物3 および70.0 g (0.6057 mol)のピリジン・HClを含有する加圧ボンベにアルゴンをパージし、210℃で45分間加熱した。該固体は溶融し、均一になった。該反応混合物を冷却し、その時点でそれは凝固した。該固体をH2Oに溶解し、400 mlの氷水中に注いだ。これを5×250 mlのCH2Cl2で抽出した。該CH2Cl2抽出物を合わせ、無水Na2SO4上で乾燥させ、減圧下で濃縮し、高真空のポンプに一晩付して3.34 gの黄色油を得た。1H-NMR (CDCl3) 適合; LC-MS 適合。
【0059】
もう1つの実施において、加圧ボンベ内の320 mgの化合物3 および5.94のピリジン塩酸の同様の反応は、同様の後処理の後、213 mgの化合物4 を与え、それは以下を有していた。1H-NMR 適合; LC-MS: tR 11.4分, 実測M+H 248.1, M+Na 270.1。
【0060】
〔実施例5〕
化合物5, 4-{3-[(S)-2-(2,2,2-トリフルオロ-アセチルアミノ)-プロピル]-フェノキシ}-酪酸 エチル エステルの合成
アルゴン下の1.08 g (0.027 mol)のNaH (鉱油中の60% 分散液) および10 mlの無水DMF (Aldrich)の混合物を、5分間にわたって滴下した33 mlの無水DMF (Aldrich)中の3.3 g (0.0133 mol)の化合物4 の溶液で処理した。該混合物を室温で10分間攪拌し、ついで3.4 ml (0.0238 mol) のエチル-4-ブロモブチラート (Fluka)で処理し、室温で一晩攪拌した。該混合物を250 mlの1M リン酸カリウムバッファー (pH 7)中に注ぎ、ついで2×250 mlの酢酸エチルで抽出した。有機抽出物を合わせ、2×150 mlの1M リン酸カリウムバッファー (pH 7)で洗浄し、無水Na2SO4で乾燥させ、減圧濃縮した。残渣を、溶離液としてEtOAc-ヘキサンを使用する250 gのシリカゲル上のフラッシュクロマトグラフィーにより精製して、淡黄色油を得、これを放置して結晶化して3.9 gの白色固体を得た。1H-NMR (CDCl3) 適合; LC-MS: tR 15.7 分, 実測M+H 362.1, M+H2O 379.1, M+Na 384.1。
【0061】
〔実施例6〕
化合物6, 4-(3-{(S)-2-[メチル-(2,2,2-トリフルオロ-アセチル)-アミノ]-プロピル}-フェノキシ)-酪酸 エチル エステルの合成
アルゴン下の72 mlの無水DMF (Aldrich)中の3.8 g (0.0105 mol)の化合物5の溶液を9.5 ml (0.1526 mol)のヨードメタンおよび11.74 g (0.0507 mol)の酸化銀(I) で処理し、40℃で一晩攪拌した。該混合物をセライトで濾過し、濾過ケーキを450 mlの酢酸エチルで洗浄し、濾液を再び濾過して白色沈殿物を除去した。濾液を2×250 mlのH2Oで洗浄した。該H2O洗浄液を合わせ、200 mlの酢酸エチルで抽出した。有機層を合わせ、無水 Na2SO4で乾燥させ、減圧下で濃縮し、高真空のポンプに一晩付して、3.84 gの淡黄色油を得た。1H-NMR (CDCl3) 適合, 〜2:1の比の回転異性体。
【0062】
〔実施例7〕
化合物7, 4-(3-{(S)-2-[メチル-(2,2,2-トリフルオロ-アセチル)-アミノ]-プロピル}-フェノキシ)-酪酸の合成
50 mlの蒸留THF中の 3.8 g (0,0101 mol)の化合物6 の溶液を50 mlの3N 過塩素酸 (Aldrichから入手した70%過塩素酸から調製)で処理し、50℃で4時間加熱した。該混合物を冷却し、2×200 mlの酢酸エチルで抽出した。有機抽出物を合わせ、4×200 mlのH2O、2×200 mlの飽和ブライン溶液で洗浄し、無水Na2SO4で乾燥させ、減圧下で濃縮し、高真空のポンプに一晩付して3.5 gの淡黄色油を得た。1H-NMR (CDCl3) 適合, 〜2:1の比の回転異性体。
【0063】
〔実施例8〕
化合物8, 4-(3-{(S)-2-[(2,2-diメチル-プロピオニル)-メチル-アミノ]-プロピル}-フェノキシ)-酪酸 2,5-ジオキソ-ピロリジン-1-イル エステルの合成
アルゴン下の220 mlの無水CH2Cl2 中の3.5 g (0.0101 mol)の化合物7 の溶液を1.4 g (0.0122 mol) のNHSおよび2.4 g (0.0125 mol) のEDC (Sigma)で処理し、室温で一晩攪拌した。該混合物を200 mlの0.1N HCl、2×200 mlのH2O、2×200 mlの飽和NaHCO3溶液、200 mlの飽和ブライン溶液で洗浄し、無水Na2SO4で乾燥させ、減圧濃縮して4.42 gの透明な油を得た。1H-NMR (CDCl3) 適合, 〜3:2の比の回転異性体。
【0064】
〔実施例9〕
化合物9, 4-{[4-(3-{(S)-2-[メチル-(2,2,2-トリフルオロ-アセチル)-アミノ]-プロピル}-フェノキシ)-ブチリルアミノ]-メチル}-安息香酸の合成
60 mlのH2Oおよび120 mlの蒸留THF中の1.6 g (0.0106 mol)の4-アミノメチル安息香酸の混合物を10 mlの1N NaOHで処理した。ついで、得られた溶液を120 mlの蒸留THF中の4.4 g (0.01 mol)の化合物8 で処理した。ついで該反応液を、pH9を維持するよう1回に1 mlずつ加えた4 mlの1N NaOHで処理した。該反応液を室温で1時間攪拌した。該THFを減圧下で除去し、水性残渣を2N HClでpH 6に中和した。これを2×250 mlの酢酸エチルで抽出した。有機抽出物を合わせ、無水Na2SO4で乾燥させ、減圧濃縮して4.65 gの白色固体を得た。1H-NMR (CDCl3) 適合, 〜3:2の比の回転異性体。
【0065】
〔実施例10〕
化合物10, 4-{[4-(3-{(S)-2-[メチル-(2,2,2-トリフルオロ-アセチル)-アミノ]-プロピル}-フェノキシ)-ブチリルアミノ]-メチル}-安息香酸 2,5-ジオキソ-ピロリジン-1-イル エステルの合成
アルゴン下の100 mlの無水CH2Cl2 中の1.0 g (0.002 mol)の化合物9 の溶液を300 mg (0.0026 mol)のNHSおよび480 mg (0.0025 mol)のEDC (Sigma)で処理し、室温で一晩攪拌した。該混合物を100 mlの0.1N HCl、2×100 mlのH2O、2×100 mlの飽和NaHCO3溶液、100 mlの飽和ブライン溶液で洗浄し、無水Na2SO4 で乾燥させ、減圧濃縮して1.13 gの白色アモルファス固体を得た。1H-NMR (CDCl3) 適合, 〜3:2の比の回転異性体; LC-MS: tR 14.5分, 実測M+H 578.2, M+Na 600.2; [α]D +15.7°(589 nm, c=1, CHCl3)。
【0066】
〔実施例11〕
脱保護4-(3-{(S)-2-[(2,2-ジメチル-プロピオニル)-メチル-アミノ]-プロピル}-フェノキシ)-酪酸 2,5-ジオキソ-ピロリジン-1-イル エステルとBSAとのコンジュゲート(化合物11)の合成
16 mlの50 mM リン酸カリウム (KPi)(pH 7.5)中の1.0 gのウシ血清アルブミン (BSA; Pentex Fraction V; Miles Inc., Kankakee, IL, USA)の溶液を氷浴内で冷却し、22 mlのDMSOをゆっくり滴下して処理した。滴下が完了した後、2 mlのDMSO中の13.4 mgの化合物8 の溶液を滴下し、該反応を、攪拌しながら室温にした。1.6 mlの50 mM KPi (pH 7.5)および2.4 mlのDMSO中の100 mgのBSAの基準サンプルも、ハプテンを加えないこと以外は同様にして調製した。一晩の攪拌後、該反応および基準サンプルの両方を別々に透析チューブ(SpectraPor 7; 10,000 分子量カットオフ)に移し、60% DMSO - 50mM KPi (pH 7.5) に透析し(それぞれ室温/4時間で2回; 室温で一晩で1回)、ついで40%から20%から10%へのDMSO -50 mM KPi (pH7.5)に、ついで50mM KPi (pH7.5)に透析した。トリフルオロアセチル基を脱保護するために、透析を50 mM 炭酸カリウム (4回の変化)に対して室温で4日間、ついで50mM KPi (pH7.5)に対して〜4℃で数日間(6回の変化)継続した。保持物を回収して、コンジュゲート11 を灰色がかった溶液 (68 ml)として、および基準BSAを得た。標準曲線を作成するために該基準BSAを使用するクーマシーブルー タンパク質アッセイ [UVによるタンパク質濃度測定]は、コンジュゲート11に関して14.0 mg/mlのタンパク質を示した。
【0067】
〔実施例12〕
化合物15, [2-(3-{(S)-2-[メチル-(2,2,2-トリフルオロ-アセチル)-アミノ]-プロピル}-フェノキシ)-エチル]-カルバミン酸 tert-ブチルエステルの合成
化合物13, 2,2,2-トリフルオロ-N-[(S)-2-(3-メトキシ-フェニル)-1-メチル-エチル]-N-メチル-アセトアミド。アルゴン下の10 mlの乾燥ジメチルホルムアミド (DMF)中の384 mgの化合物3 の溶液を1.33 mlのヨードメタンおよび1.64 gの酸化銀(I)で処理し、40℃で一晩攪拌した。該混合物をセライトで濾過し、濾過ケーキを酢酸エチルで洗浄した。濾液を再び濾過して白色沈殿物を除去した。濾液を2×250 mlのH2Oで洗浄した。該水性洗浄液を合わせ、50 mlの酢酸エチルで抽出した。酢酸エチル部分を合わせ、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧濃縮して330 mgの黄色油を得た。これを、溶離液としてCH2Cl2を使用する50 gのシリカゲル上のクロマトグラフィーに付して、220 mgの生成物(化合物13)を淡黄色油として得た。LC-MS: tR 15.4分, 実測M+H 276.0, M+Na 298.0。
【0068】
化合物14, 2,2,2-トリフルオロ-N-[(S)-2-(3-ヒドロキシ-フェニル)-1-メチル-エチル]-N-メチル-アセトアミド。220 mgの化合物13 と3.87 gのピリジン塩酸との混合物を加圧ボンベ内で210℃で1時間加熱した。得られた溶融物を冷却し、水に溶解した。これを5×50 mlのCH2Cl2で抽出した。合わせたCH2Cl2抽出物を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧濃縮して100 mgの化合物14 を黄色油として得た。LC-MS: tR 12.9分, 実測M+H 262.0, M+Na 284.0。
【0069】
化合物15, 10 mlの乾燥アセトン中の25 mgの化合物14 の溶液を1 mlの乾燥DMF中の2-(BOC-アミノ)エチルブロミド、77 mgの無水炭酸カリウムおよび触媒量の18-クラウン-6で処理した。該混合物を60℃で一晩加熱した。該混合物を冷却し、CH2Cl2で希釈し、H2Oで3回洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧濃縮して、化合物15を含有する赤色油を得た。LC-MS: tR 16.5分, 実測M+Na 427.1。
【0070】
〔実施例13〕
化合物17の合成
化合物15 をトリフルオロ酢酸で処理し、室温で2時間攪拌する。該混合物を減圧濃縮してアミン化合物16を得る。
【0071】
アルゴン下の乾燥THF中のビフェニル-ジ-カルボン酸NHSエステル, 化合物20 (Ghoshalら, 米国特許第6,794,496号)の溶液を、2当量のトリエチルアミンを滴下した乾燥THF中の1当量の化合物16 で処理する。該混合物を室温で一晩攪拌する。該混合物を減圧濃縮する。クロマトグラフィーによる精製で化合物17が得られる。
【0072】
〔実施例14〕
化合物18の合成
アルゴン下の乾燥THF中のテレフタル酸ジ-(N-ヒドロキシスクシンイミド) エステル 化合物21 (Ghoshalら, 欧州特許出願1,148,339)の溶液を、2当量のトリエチルアミンを滴下した乾燥THF中の1当量の化合物16 で処理する。該混合物を室温で一晩攪拌する。該混合物を減圧濃縮する。クロマトグラフィーによる精製で化合物18が得られる。
【0073】
〔実施例15〕
化合物19の合成
アルゴン下の乾燥THF中の4-イソチオシアナトベンゾイルクロリド, 化合物22 (Ghoshalら, 米国特許第6,794,496号)の溶液を氷浴で冷却し、2当量のトリエチルアミンを滴下した乾燥THF中の1当量の化合物16 で処理する。該混合物を室温で一晩攪拌する。該混合物を減圧濃縮する。クロマトグラフィーによる精製で化合物19が得られる。
【0074】
〔実施例16〕
メタンフェタミン抗体と共に本発明のコンジュゲートを使用するアッセイ
メタンフェタミン-アミノデキストランコンジュゲート, 化合物12, を以下のとおりに製造した。90 mgのアミノデキストランを5 mlのDMSOに溶解した。10 mgの化合物10 を1 ml DMSOに溶解し、該重合体担体の溶液に滴下し、室温で一晩攪拌した。該混合物を10,000 MW カットオフ透析チューブ (Pierce Snakeskin(商標)) 内に配置し、1リットルの80 % DMSO中、室温で一晩透析した。ついでこれを、1リットルの60% DMSO、1リットルの40% DMSO、1リットルの20% DMSO、4リットルの脱イオン水、4リットルの脱イオン水中の段階的減少勾配を用いて、それぞれ少なくとも3時間、室温で透析した。ついでこれを、KOHでpH 13に調節した1リットルの100 mM K2CO3(4回のバッファー変更を行う)で2日間透析した。最終透析工程は、少なくとも2日間の4リットルの脱イオン水(4回の変更を伴う)を使用するものであった。ついで該コンジュゲートを凍結乾燥した。
【0075】
ついで、0.125 μg/ml メタンフェタミンコンジュゲート12、144 mM ピペラジン-1,4-ビス(2-エタンスルホン酸) 二ナトリウム塩、31 mM ピペラジン-1,4-ビス(2-エタンスルホン酸)、0.1% (w/v) BSA、0.09% (w/v) アジ化ナトリウムおよび1.5% (w/v) ポリアクリル酸を含有するコンジュゲート試薬(pH 7.1)を製造した。
【0076】
抗体-微粒子試薬を以下のとおりに製造した。メタンフェタミンに特異的な50 μ/ml モノクローナル抗体100 mlを、50 mM MESバッファー(pH 6.5)中、100 mlの1% 0.201 μm ラテックス粒子と共に室温で一晩インキュベートした。該粒子を、50 mM MESバッファー(pH 6.5)中、10 mlの100 mg/ml BSAで2時間ブロッキングした。接線流動濾過系を用いてラテックスを50 mM MOPSバッファー(pH 7.1)で洗浄した。この抗体は、U.S. 5,501,987(第3欄、構造2、ここで、該タンパク質はウシチログロブリンである)に記載の免疫原に応答して生成したものであった。
【0077】
ついで、0.1% 固体抗体コート化微粒子、25 mM 3-モルホリノプロパンスルホン酸、25 mM 3-モルホリノプロパンスルホン酸、ナトリウム塩、0.1% (w/v) BSAおよび0.09% (w/v)アジ化ナトリウムを含有する微粒子試薬(pH 7.1)を製造した。
【0078】
アッセイはRoche/Hitachi 917分析装置上で行った。10μlのサンプルをキュベット内にピペッティングし、その後直ちに180 μlのコンジュゲート試薬 (R1)を加えた。該混合物を〜90秒間インキュベートし、80μlの微粒子試薬 (R2)を該キュベットに加えた。該反応混合物を37℃で約8分間インキュベートし、その間、粒子凝集反応を505 nmでモニターした。R2の添加後、2点終点(2-point end)測定に基づき、標準曲線を作成した。
【0079】
イムノアッセイにおいて交差反応性(%)を測定した。既知量の標的アナライトであるメタンフェタミンを使用して標準曲線を確立した。既知量の種々のアンフェタミン関連薬を該イムノアッセイにおけるサンプルとして分析し、これらの薬物の見掛け濃度を該標準曲線から求めた。該薬物の見掛け濃度を実際の濃度で割り算し100を掛け算したものがこの薬物の交差反応性(%)である。このようにして得られた標準(用量反応)曲線を図11に示す。
【0080】
コンジュゲート12に対するメタンフェタミンコート化粒子の交差反応性を以下の表に示す。
【表1】
【0081】
これらの結果は、d-メタンフェタミンに対してだけでなくエクスタシー類化合物、例えばMDMAおよびMBDBに対しても良好な交差反応性が得られることを示している。一般的な阻害性(interfering)化合物、例えばエフェドリン、プソイドエフェドリン、フェンテルミンおよびチラミンに対する交差反応性は最小、すなわち、1%未満であった。
【0082】
〔実施例17〕
N-エチルアンフェタミン抗体と共に本発明のコンジュゲートを使用するアッセイ
実施例16に記載されているとおりにコンジュゲート試薬を製造した。
U.S. 2004/0077021に記載のモノクローナル抗体NEAMP 48.2を使用して、実施例16に記載されているとおりにコート化微粒子を製造した。ついで、実施例16に記載されているとおりに微粒子試薬を製造した。
【0083】
実施例16に記載されているとおりに、Roche/Hitachi 917分析装置上で該アッセイを行った。
イムノアッセイにおいて交差反応性(%)を測定した。既知量の標的アナライトであるメチレンジオキシエチルアンフェタミン(MDEA)を使用して標準曲線を確立した。既知量の種々のアンフェタミン関連薬を該イムノアッセイにおけるサンプルとして分析し、これらの薬物の見掛け濃度を該標準曲線から求めた。該薬物の見掛け濃度を実際の濃度で割り算し100を掛け算したものがこの薬物の交差反応性(%)である。このようにして得られた標準(用量反応)曲線を図12に示す。
【0084】
コンジュゲート12に対する該コート化粒子の交差反応性を以下の表に示す。
【表2】
【0085】
これらの結果は、メチレンジオキシエチルアンフェタミンに対する良好な交差反応性だけでなく、d-メタンフェタミンならびにエクスタシー類化合物、例えばMDMAおよびMBDBに対する交差反応性をも示している。同時に、一般的な阻害性(interfering)化合物、例えばエフェドリン、プソイドエフェドリン、フェンテルミンおよびチラミンに対する交差反応性は実質的に存在しなかった。
【図面の簡単な説明】
【0086】
【図1】図1は、実施例1および2に記載の化合物1の合成を示す概要図である。
【図2】図2は、実施例3〜8に記載の化合物8の合成を示す概要図である。
【図3】図3は、実施例3〜8に記載の化合物8の合成を示す概要図である。
【図4】図4は、実施例9および10に記載の化合物10の合成を示す概要図である。
【図5】図5は、BSAとの本発明の化合物のコンジュゲーション(結合)および窒素の脱保護により実施例11に記載の化合物11を得ることを示す概要図である。
【図6】図6は、アミノデキストランとの本発明の化合物のコンジュゲーション(結合)およびそれに続くN-トリフルオロアセタート基の脱保護により実施例16に記載の化合物12を得ることを示す概要図である。
【図7】図7は、実施例12に記載の化合物15の合成を示す概要図である。
【図8】図8は、実施例13に記載の化合物17の合成を示す概要図である。
【図9】図9は、実施例14に記載の化合物18の合成を示す概要図である。
【図10】図10は、実施例15に記載の化合物19の合成を示す概要図である。
【図11】図11は、メタンフェタミン抗体でコートされた粒子との本発明のアミノデキストランコンジュゲート12を使用して作成された用量反応曲線である。
【図12】図12は、N-エチルアンフェタミン抗体でコートされた粒子との本発明のアミノデキストランコンジュゲート12を使用して作成された用量反応曲線である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式
【化1】
(式中、R1は、2〜15個の炭素原子および0〜6個のヘテロ原子を含むアルキルリンカーであり、R2は脱離基であり、R3は保護基である)を有する化合物。
【請求項2】
R3がトリフルオロアセチルである、請求項1記載の化合物。
【請求項3】
R2が多糖または微粒子である、請求項1記載の化合物。
【請求項4】
R2がアミノデキストランである、請求項3記載の化合物。
【請求項5】
式
【化2】
を有する化合物4-{[4-(3-{(S)-2-[メチル-(2,2,2-トリフルオロ-アセチル)-アミノ]-プロピル}-フェノキシ)-ブチリルアミノ]-メチル}-安息香酸 2,5-ジオキソ-ピロリジン-1-イル エステル。
【請求項6】
式
【化3】
(式中、R1は、2〜15個の炭素原子および0〜6個のヘテロ原子を含むアルキルリンカーであり、R2は多糖または微粒子である)を有する化合物。
【請求項7】
R2がアミノデキストランである、請求項6記載の化合物。
【請求項8】
式
【化4】
を有する化合物。
【請求項9】
(a)メタンフェタミンを含有する疑いのあるサンプルを、メタンフェタミンに特異的な抗体および構造
【化5】
(式中、R1は、2〜15個の炭素原子および0〜6個のヘテロ原子を含むアルキルリンカーであり、R2は多糖または微粒子である)を有する標識アナライト類似体と一緒にし、それにより、該メタンフェタミンおよび該アナライト類似体を該抗体に競合的に結合させ、
(b)該抗体に結合した又は結合していない標識類似体の量を該サンプル中のメタンフェタミンの尺度として測定する工程を含んでなる、サンプル中のメタンフェタミンを測定するためのイムノアッセイ。
【請求項10】
R2がアミノデキストランである、請求項9記載のイムノアッセイ。
【請求項11】
(a)メタンフェタミンに特異的な抗体および
(b)構造
【化6】
(式中、R1は、2〜15個の炭素原子および0〜6個のヘテロ原子を含むアルキルリンカーであり、R2は多糖または微粒子である)を有する標識アナライト類似体
を含んでなる、サンプル中のメタンフェタミンの測定に使用する試験キット。
【請求項12】
R2がアミノデキストランである、請求項11記載の試験キット。
【請求項1】
式
【化1】
(式中、R1は、2〜15個の炭素原子および0〜6個のヘテロ原子を含むアルキルリンカーであり、R2は脱離基であり、R3は保護基である)を有する化合物。
【請求項2】
R3がトリフルオロアセチルである、請求項1記載の化合物。
【請求項3】
R2が多糖または微粒子である、請求項1記載の化合物。
【請求項4】
R2がアミノデキストランである、請求項3記載の化合物。
【請求項5】
式
【化2】
を有する化合物4-{[4-(3-{(S)-2-[メチル-(2,2,2-トリフルオロ-アセチル)-アミノ]-プロピル}-フェノキシ)-ブチリルアミノ]-メチル}-安息香酸 2,5-ジオキソ-ピロリジン-1-イル エステル。
【請求項6】
式
【化3】
(式中、R1は、2〜15個の炭素原子および0〜6個のヘテロ原子を含むアルキルリンカーであり、R2は多糖または微粒子である)を有する化合物。
【請求項7】
R2がアミノデキストランである、請求項6記載の化合物。
【請求項8】
式
【化4】
を有する化合物。
【請求項9】
(a)メタンフェタミンを含有する疑いのあるサンプルを、メタンフェタミンに特異的な抗体および構造
【化5】
(式中、R1は、2〜15個の炭素原子および0〜6個のヘテロ原子を含むアルキルリンカーであり、R2は多糖または微粒子である)を有する標識アナライト類似体と一緒にし、それにより、該メタンフェタミンおよび該アナライト類似体を該抗体に競合的に結合させ、
(b)該抗体に結合した又は結合していない標識類似体の量を該サンプル中のメタンフェタミンの尺度として測定する工程を含んでなる、サンプル中のメタンフェタミンを測定するためのイムノアッセイ。
【請求項10】
R2がアミノデキストランである、請求項9記載のイムノアッセイ。
【請求項11】
(a)メタンフェタミンに特異的な抗体および
(b)構造
【化6】
(式中、R1は、2〜15個の炭素原子および0〜6個のヘテロ原子を含むアルキルリンカーであり、R2は多糖または微粒子である)を有する標識アナライト類似体
を含んでなる、サンプル中のメタンフェタミンの測定に使用する試験キット。
【請求項12】
R2がアミノデキストランである、請求項11記載の試験キット。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公表番号】特表2008−524146(P2008−524146A)
【公表日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−545949(P2007−545949)
【出願日】平成17年12月15日(2005.12.15)
【国際出願番号】PCT/EP2005/013493
【国際公開番号】WO2006/063829
【国際公開日】平成18年6月22日(2006.6.22)
【出願人】(591003013)エフ.ホフマン−ラ ロシュ アーゲー (1,754)
【氏名又は名称原語表記】F. HOFFMANN−LA ROCHE AKTIENGESELLSCHAFT
【Fターム(参考)】
【公表日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年12月15日(2005.12.15)
【国際出願番号】PCT/EP2005/013493
【国際公開番号】WO2006/063829
【国際公開日】平成18年6月22日(2006.6.22)
【出願人】(591003013)エフ.ホフマン−ラ ロシュ アーゲー (1,754)
【氏名又は名称原語表記】F. HOFFMANN−LA ROCHE AKTIENGESELLSCHAFT
【Fターム(参考)】
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