説明

イムノグロブリンの産生のための組成物および方法

細胞又は細胞系、例えばハイブリドーマから、ヒト抗体cDNAを単離するためのオリゴヌクレオチドが提供される。本発明はまた、B.anthracisの防御抗原へと結合するヒトモノクローナル抗体の、少なくとも1つの所定の重鎖又は軽鎖のCDRをコードするcDNA;及び、B.anthracisの致死因子へと結合するヒトモノクローナル抗体の、少なくとも1つの所定の重鎖又は軽鎖のCDRをコードするcDNA、を提供する。本発明はさらに、本発明の方法に従って単離された1以上のcDNAを含む発現ベクター、1以上の本発明のcDNAを発現する宿主細胞、及び1以上の本発明のcDNAを発現するトランスジェニック植物及び動物を提供する。本発明の特定の実施形態において、発現系は植物をベースとした発現系である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2005年8月3日に出願した米国仮特許第60/705,653号(この内容は、本明細書中にその全体が参考として援用される。)の優先権の利益を主張する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
炭疽病は、胞子形成菌のBacillus anthracisにより引き起こされる、よく知られた感染性疾患である。この疾患は、歴史的に、動物感染、特にウシ、ヒツジ及びヤギ等の草食動物に関連し、通常はヒトでは見られない。しかしながら、感染が起きている場所で動物製品に携わるヒトは、炭疽病と接触する危険を有する。この生物は世界の多くの領域で見出されているにも関わらず、中東のある領域、及び、サハラ砂漠下のアフリカは、炭疽病の多発地域である。この疾患は3つの異なる方法で現れ:皮膚炭疽、胃腸炭疽及び吸入炭疽は、汚染された肉製品中の胞子、摂食胞子に外傷部が曝されることにより、又は胞子を吸入することにより、それぞれ引き起こされる。皮膚炭疽の致死率が25%までであるのに対し、胃腸炭疽又は吸入炭疽は、ほぼ100%の致死率をもたらす。炭疽病感染の確定診断は、蘇生的なケアを提供するには既に手遅れであることがしばしばある。
【0003】
B.anthracisの主たる病原性因子は、その生物によって分泌される多成分からなる毒素である。毒素は、防御抗原(PA)、致死因子(LF)及び浮腫因子(EF)と称される3つのタンパク質からなり、遺伝子pag、lef、及びcyaにより、それぞれコードされる。PAは、分子量83kDaの735アミノ酸からなるタンパク質である。それは哺乳類細胞表面上の炭疽病毒素受容体(ATR)と結合して、フミンにより介在される開裂を受けた結果として、63kDaの受容体結合産物を生じる。63kDaのPA断片は、細胞表面上にLF又はEFのいずれかと相互作用し得る6量体の複合体を形成し、この複合体はその後、内在化される。LFは、亜鉛金属タンパク質であり、MAPキナーゼキナーゼのいくつかのアイソフォームを開裂させ、それにより細胞内のシグナル伝達事象を破壊して、最終的に細胞死をもたらす。LFは、炭疽病感染の致死的な転帰に関与すると考えられる。EFは、細胞生理の脱制御を引き起こすカルモジュリン依存性アデニレートシクラーゼであり、浮腫を含む臨床的徴候をもたらす。PA及びLFは共に、致死的毒素と称される。
【0004】
CDCは、炭疽病をカテゴリーAの病原体としてリスト化し、炭疽病の攻撃による損失を、攻撃に曝されたヒト100,000人につき260億ドルを超えるものと見積もっている。現在、米国でのヒトへの使用に関して認可されている唯一のワクチンであるBiothrax(かつての吸着炭疽ワクチン、又はAVA)は、防御抗原であるPAをベースとした、水酸化アルミニウム吸着されてホルマリン処理された、サブユニットワクチンである。それは皮下注射により送達され、bacillusが分泌する致死毒素に対する免疫を誘導する。ワクチンは、B.anthracis V770−NP1−R株の濾過培養上清から製造される。製造工程は複雑であり、ワクチン調製のロットによりバッチ間にぶれを有し、かつ、ワクチンの厳密な組成は不確定である。さらに、現在のワクチンと共存するアジュバントとしてミョウバンを含むため、ワクチンの保存及び流通の間は低温流通を維持しなければならず、不便性及びコストの負荷がかかる。ワクチンは注射によって投与され、このことが、一括的処理としての対応作業を複雑なものとし得る。従って、炭疽病の発症又は攻撃に関する感染可能性に対して対抗可能な、さらなる試薬が望まれているといえよう。
【0005】
各種の治療的ならびに診断的な、また工業的及び研究的な目的に関し、モノクローナル抗体の重要性は高まっている。例えば、いくつかの動物における研究により、ワクチン接種した動物由来の炭疽病毒素に特異的な抗体が、感染による致死的な影響から、接種を受けた個体を受動的に守ることが示されている。しかしながら、動物由来の血清には、治療薬として広範に使用することを妨げる明白な欠点がある。ハイブリドーマにより産生されるモノクローナル抗体は、ハイブリドーマが培養される培地から回収されるか、又はマウス腹水から回収される。残念なことに、これらの産生システムは高価であり、手間がかかり、かつ、その他の顕著な不都合を有している。これらの理由等により、組み換えDNA技術を含む製造システム等による、モノクローナル抗体の代替的製造システムを利用することが望ましいといえよう。
【0006】
試薬への十分な要求及び限られた供給に関する懸念、製品コスト、及び試薬の純度により、改良された製品及び試薬に対する緊急の必要性はさらに高まっている。従って、潜在的な炭疽病感染に対抗する改良されたアプローチ、ならびに診断的検出方法の改良、及び、炭疽病感染メカニズムを調べるために有用なリサーチツールに対する明確なニーズ及び緊急性が存在する。さらに、合理的なコストでこのような適用を行うために有用な、大量生産を可能にする製造方法の提供が望まれている。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0007】
発明の概要
本発明は、組み換え系で抗体を調製するために有用な核酸及びタンパク質配列を提供する。特に、軽鎖抗体配列及び重鎖抗体配列をコードする核酸配列の調製に関して有用な、オリゴヌクレオチドプライマー配列を提供する。さらに、少なくとも1つの重鎖ポリペプチド又はその機能的な断片からなるポリペプチドをコードする抗体の核酸配列;及び、少なくとも1つの軽鎖ポリペプチド又はその機能的な断片からなるポリペプチドをコードする抗体の核酸配列を提供する。また、重鎖及び軽鎖ポリペプチド及びその機能的な断片を提供する。本発明はさらに、少なくとも1つのCDR重鎖ポリペプチド及び少なくとも1つのCDR軽鎖ポリペプチドをそれぞれ独立に含んでなる、PA−1及びLF−1抗体の抗体配列を提供する。また、少なくとも1つのアミノ酸置換を有する1以上のCDRをそれぞれ独立に含んでなり、PA−1又はLF−1結合活性が向上されている、PA−1及びLF−1抗体の抗体配列を提供する。PA−1及びLF−1の重鎖及び軽鎖をコードする核酸、ならびにPA−1及びLF−1抗体をコードする核酸が付加的に提供される。このようなコード核酸の機能的な断片が同様に提供される。提供される組成物の製造方法及び用途も、本明細書中で提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
定義
用語「抗体」、「抗体鎖」、「可変領域又はドメイン」、「定常領域又はドメイン」、「γ鎖」、「κ鎖」、「λ鎖」、「重鎖」、「軽鎖」、及びその他の抗体に関連する用語は、例えば、Goldby,R.A.,Kuby Immunology,上掲.及び/又はHarlow,上掲.に記載されるようなそれらの技術分野において認められる意味にしたがって使用される。
【0009】
用語「cDNA」とは、mRNAと相補的である一本鎖DNA分子、又はmRNAと相補的である鎖を含んでなる二本鎖DNA分子のことをいう。二本鎖cDNAのもう一方の鎖は、mRNAと同じ配列を有することになり、したがって、mRNAと同じポリペプチドをコードすることになる。
【0010】
「発現ベクター」は、調節配列(例えば、プロモーター及び/又はその他の発現シグナル並びに、場合により、3’調節配列等の3’配列又は機能可能に連結している核酸部分の転写を推進させるために十分な停止シグナルを含むベクターである。発現ベクターはさらに、核酸部分の適当な転写のために必要とされる、機能可能に連結された配列を含んでもよい。核酸部分は、必ずしもそうでなくてもよいが、タンパク質コード配列であってもよい。核酸部分は、組み換えDNA技法により一緒に結合され、天然には存在しないヌクレオチド配列を生じる、別由来の1以上の配列を含むことを意味する、キメラであってもよい。用語「発現ベクター」とは、機能可能に連結される核酸部分の挿入前又は後いずれかのベクターのことをいい得る。特定の発現ベクターは、細菌−酵母、又は細菌−動物細胞、又は細菌−真菌細胞、又は細菌−無脊椎動物細胞、又は細菌−植物細胞等の宿主間でのDNAの往復を可能にしている。典型的な発現ベクターは、宿主細胞中での自己複製のための複製開始起源、1以上の選択マーカー、1以上の(通常は複数の)有用な制限酵素部位、及び(多いコピー数のために有効であることの多い)1以上のプロモーターを含み得る。
【0011】
「同一性」とは、2以上の核酸の配列が同じである度合のことをいう。評価ウィンドウ上の第1の核酸と第2の核酸との間のパーセント同一性は、核酸を整列させ、同一性を最大にするためにギャップの導入を可能にする、評価ウィンドウ内の反対に位置し同一であるヌクレオチド数を調べ、ウィンドウ内の全ヌクレオチド数で割り、100を掛けることにより、計算することができる。特定の%同一性を得るために必要とされる同一なヌクレオチド数を計算する場合、割合は最も近い自然数に四捨五入される。2以上の配列を比較する場合、そのうちのいずれかを参照配列と考えてもよい。
【0012】
パーセント同一性は、当技術分野において公知の様々なコンピュータープログラムを用いて計算することができる。例えば、BLASTN、BLASTP、ギャップBLAST等のコンピュータープログラムは、アラインメントを作成し、対象配列と様々な公開されているデータベースのいずれかの配列との%同一性を提供する。Karlin and Altschul,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:5873−5877,1993中に記載されるのものを改変した、Karlin及びAltschulのアルゴリズム(Karlin and Altschul,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 87:22264−2268,1990)が、AltschulらのNBLAST及びXBLASTプログラム(Altschul,et al.,J.Mol.Biol.215:403−410,1990)に組み入れられる。比較目的のためにギャップのあるアラインメントを得るためには、Altschul et al.(Altschul, et al.Nucleic Acids Res.25:3389−3402,1997)に記載されているようにしてギャップBLASTが利用される。BLAST及びギャップBLASTプログラムを利用する場合、各プログラムのデフォルトのパラメーターが使用される。URL www.ncbi.nlm.nih.gov.を有するウェブサイトを参照されたい。PAM250又はBLOSUM62マトリックスを使用してもよい。
【0013】
用語「単離される」とは、1)天然において通常それと関連する少なくともいくつかの成分から分離されること;2)ヒトの手が関係する工程によって調製又は精製されること;及び/又は3)天然には存在しないこと、を意味する。天然に見られるより大きな核酸(例えば、染色体、エピソーム、ウィルス又は細菌のゲノム)から切り出された又は増幅された核酸は、単離されているとみなされる。いくつかの実施形態において、切り出された又は増幅された核酸はこれ以上、非コード領域とは結合しないか(しかし、その天然の調節領域又はその一部とは結合し得る)、又は、より大きな核酸において見られるような、単離された核酸の上流又は下流に位置するその他の遺伝子とは結合しない。単離された核酸には、プラスミド、コスミド、人工染色体、ウィルスベクター等中に挿入される核酸、すなわち、単離されていると考えられる組み換え核酸構築物の一部を形成する核酸が含まれる。単離された核酸は、増幅産物(例えば、PCR産物)、単離されたmRNA、cDNA、制限断片等であってもよい。単離されたポリペプチドは、異種発現系において発現された、すなわち、天然にはそのポリペプチドを発現しない細胞によって発現されたポリペプチドであってもよい。単離された抗体は、血液又は血清以外の組成中に存在する抗体であってもよい。単離された核酸から発現される抗体は単離された抗体であると考えられる。任意の本発明の核酸、抗体鎖、抗体は、単離された形態で提供することができる。
【0014】
用語「核酸」、「ポリヌクレオチド」、及び「オリゴヌクレオチド」は、少なくとも3種類のヌクレオチド類のポリマーを言及するために本明細書において同義的に使用される。糖分子と結合した窒素含有塩基をヌクレオシドは含んでなる。ポリヌクレオチドにおいて、リン酸基は隣接するヌクレオシドと共有結合してポリマーを形成する。ポリマーとしては、天然のヌクレオシド(例えば、アデノシン、チミジン、グアノシン、シチジン、ウリジン、デオキシアデノシン、デオキシチミジン、デオキシグアノシン、及びデオキシシチジン)、ヌクレオシドアナログ、化学的に修飾された塩基、生物学的に修飾された塩基(例えば、メチル化された塩基)、介在塩基、修飾された糖(例えば、修飾されたプリン又はピリミジン)を挙げることができる。本明細書において開示されるポリヌクレオチドにおいて使用され得る各種ヌクレオチド類、ヌクレオチド類、及び骨格構造並びにその製造方法のさらなる検討のために、Kornberg and Baker,DNA Replication,2nd Ed.(Freeman,San Francisco,1992)、Scheit,Nucleotide Analogs(John Wiley,New York,1980)、及び米国特許公開第20040092470号並びにそれらの中に記載される参考文献を参照されたい。ペプチド核酸、ロック核酸等のアナログも本発明の範囲にある。ポリヌクレオチドは任意の大きさ又は配列であってもよく、一本鎖又は二本鎖であってもよい。オリゴヌクレオチドは通常、100ヌクレオチド長より短い。本明細書において開示される任意の核酸は、一本鎖又は二本鎖形態であることができる。本発明が核酸配列を提供する場合、相補的配列も提供される。さらに、ある配列がDNAとして提供される場合、対応するRNA配列(すなわち、Tの代わりにUである配列)も提供される。
【0015】
用語「核酸構築物」は、ヒトの手により修飾されている核酸又はかかる核酸に由来するもののことを指すために用いられる。例えば、核酸構築物は、天然の核酸分子と比較した変異、欠失、又は置換を含むことができる。核酸構築物は、異なる生物等の異なる供給源に由来する又はそこから生じた2以上の核酸セグメント、例えば、組み換えポリヌクレオチドを含み得る。核酸構築物の1以上の部分の配列は、ヒトによって全体が創作されてもよい。
【0016】
本明細書において使用する場合、用語「核酸配列」とは、核酸物質自体のことをいうこともでき、特定の核酸、例えば、DNA又はRNA分子を生化学的に特徴付ける配列情報(すなわち、5種類の塩基の文字A、G、C、T、又はUの中から選択される連続文字)に限定されない。
【0017】
「機能可能に連結している」又は「機能可能に結合している」とは、一方の配列の発現、活性、局在性等が他方の核酸により調節される、指示される、制御される、変調される等、2つの核酸間の機能的な関係のことをいう。2つの核酸は機能可能に連結している又は機能可能に結合していると称される。「機能可能に連結している」又は「機能可能に結合している」とはさらに、一方のポリペプチドの発現が他方のポリペプチドにより調節される、指示される、制御される、変調される等、2つのポリペプチド間の機能的な関係のことをもいう。2つの核酸は機能可能に連結している又は機能可能に結合していると称される。例えば、核酸の転写は、機能可能に連結しているプロモーターによって指示され;核酸の転写後プロセシングは、機能可能に連結しているプロセス配列によって指示され;核酸の翻訳は機能可能に連結している翻訳調節配列、例えば、翻訳開始配列によって指示され;核酸又はポリペプチドの輸送、安定性、又は局在性は、機能可能に連結している輸送又は局在配列、例えば、分泌シグナル配列によって指示され;ポリペプチドの翻訳後プロセシングは機能可能に連結しているプロセス配列によって指示される。好ましくは、第2の核酸配列と機能可能に連結している第1の核酸配列、又は、第2のポリペプチド配列と機能可能に連結している第1のポリペプチド配列は、かかる配列と直接的又は間接的に共有結合しているが、任意の有効な3次元的結合も許容され得る。当業者であれば、複数の核酸、又は複数のポリペプチドが機能可能に連結又は結合し得ることを理解するであろう。
【0018】
用語「プライマー」とは、好適な温度にて、任意の必要な共同因子を含む適当なバッファー溶液中の適当な条件下(例えば、4つの異なるヌクレオシド三リン酸及びDNAポリメラーゼ、RNAポリメラーゼ又は逆転写酵素等のポリメライゼ−ション試薬の存在下)で、テンプレートによって指示されるDNA合成の開始点として機能する一本鎖オリゴヌクレオチドのことをいう。プライマーの適当な長さは意図されるプライマーの用途によって左右されるが、通常は約10〜約50ヌクレオチドの範囲である。プライマーはテンプレートと完全に相補的である必要はないが、テンプレートとハイブリダイズするために十分に相補的であるべきである。プライマーは二本鎖形態で提供することができ、すなわち、その相補鎖とハイブリダイズすることができる。
【0019】
本明細書において使用する場合、「精製されている」とは、ある実体又は物質が、精製される前に従前にそれとともに見出されている1以上の他の実体又は物質と分離されていることを意味する。実体又は物質は、部分的に精製されていても、実質的に精製されていても、又は純粋であってもよい。核酸又はポリペプチド等の物質又は実体は、溶媒及び溶媒中に含まれる任意のイオン以外の実質的に全ての他の化合物又は実体からかかる物質又は実体が除去された場合に純粋であるとみなされ、すなわち、それは、組成物の乾燥重量の少なくとも約90%、より好ましくは少なくとも約91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は99%以上を構成する。部分的に又は実質的に精製された、核酸又はポリペプチド等の化合物又は実体は、天然にそれとともに見出される物質、例えば、細胞タンパク質及び/又は核酸等の細胞物質の少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、又は少なくとも80%から除去され得る。特定の実施形態において、精製された核酸又はポリペプチドは、組成物中でそれぞれ、全核酸又はポリペプチドの乾燥重量の少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、99%又はそれ以上を構成する。純度を評価するための方法は当技術分野において公知であり、クロマトグラフィー方法、免疫学的方法、電気泳動方法等が挙げられる。
【0020】
核酸に関連して用語「調節エレメント」又は「調節配列」は、通常、それと機能し得るように連結している核酸配列の発現における1以上の工程(特に転写であるが、いくつかのケースにおいては、スプライシング又はプロセシング等のその他の事象)を指示又は調節する核酸部分を記載するために本明細書においては使用される。この用語にはプロモーターが含まれ、エンハンサー、サイレンサー、及びその他の転写調節エレメントのことも言い得る。プロモーターとは、転写開始前にRNAポリメラーゼが結合する部位を含み、通常は基底レベルの転写ですら起こるのに必要である核酸領域である。一般的にはかかるエレメントはTATAボックスを含んでなる。エンハンサーとは、そのエンハンサーの非存在下で起こり得る発現のいくつかの基底レベルを通常は上回って、近位に又は遠位に位置するプロモーターの転写活性を上昇させるタンパク質のための結合部位を包含する核酸領域である。本発明のいくつかの実施形態において、調節配列はヌクレオチド配列の構成的発現を指示することができ、例えば、発現は、多くの又は全ての細胞型において且つ/又は多くの又は全ての条件において起こり得、他の実施形態においては、調節配列は、細胞又は組織特異的且つ/又は誘導性の発現を生じ得る。例えば、発現は、ホルモン又はその他小分子等の誘導物質の存在又は添加、温度の上昇等により誘導することができる。調節エレメントは、機能可能に連結した核酸の発現を抑制又は減少させることもある。このように挙動する調節エレメントは、本明細書において「負の調節エレメント」と称され得る。
【0021】
通常、発現レベルは、mRNA又はタンパク質を測定するための標準的技法を用いて測定することができる。かかる方法としては、ノーザンブロッティング、in situハイブリダイゼーション、RT−PCR、配列決定、イムノブロッティング等の免疫学的方法、免疫学的検出、又は蛍光検出に続く蛍光標識抗体による染色、オリゴヌクレオチド又はcDNAマイクロアレイ又は膜アレイ、タンパク質アレイ分析、質量分析等が挙げられる。発現レベルを調べるための簡便な方法は、発現ベクター中で調節エレメントと機能可能に連結させて容易に検出可能なマーカー(例えば、緑色蛍光タンパク質又はルシフェラーゼ等の蛍光又は発光タンパク質、アルカリホスファターゼ等の酵素等)をコードする核酸を配置して、ベクターを対象の細胞型又は生物中に導入し、一定時間細胞又は生物を維持し、次いで、容易に検出可能なマーカーの発現を測定することであり、容易に検出し得る特性(例えば、蛍光、発光、基質の光学的特性の変化等)を利用し得る。調節エレメントの非存在下及び存在下での発現を比較することにより、調節エレメントが機能可能に連結している配列の発現に影響を及ぼす程度が示される。
【0022】
「特異的結合」とは、通常、標的ポリペプチド(又は、より一般的には標的分子)と、抗体又はリガンド等の結合分子との間の物理的結合のことをいう。この結合は通常、結合する分子によって認識される抗原決定基又はエピトープ等の標的における特定の構造的特徴の存在に依存する。例えば、
抗体がエピトープAに対して特異的である場合、エピトープAを含むポリペプチドの存在又は遊離している標識されたAとそれに結合する分子の両方を含有する反応物中で遊離している非標識Aの存在は、結合分子と結合する標識されたAの量を減少させる。特異性は絶対的である必要はないが、通常、結合が起こる状況のことをいうことを理解すべきである。例えば、多数の抗体が、標的分子に存在するものに加えて、その他のエピトープと交差反応することは、当技術分野において周知である。かかる交差反応性は、抗体を使用する用途に応じて許容され得る。当業者であれば、任意の所定の用途(例えば、標的分子の検出のため、治療目的のため等)において適切に実行しうるように、十分な程度の特異性を有する抗体又はリガンドを選択し得る。結合分子のその他の標的、例えば、競合分子との親和性に対する、標的に対する結合分子の親和性等の付加的因子との関連において評価し得る事も理解すべきである。結合分子が、検出されることが望まれる標的分子に対して高い親和性を示し、非標的分子に対しては低い親和性を示す場合、抗体は恐らく許容可能な試薬となり得る。結合分子の特異性が1以上の状況において一旦確立されたならば、それは、必ずしもその特異性を再評価することなく、その他の、好ましくは類似の状況において使用することができる。2以上の分子の結合は、親和性(平衡解離定数,Kd)が、試験条件下、例えば、生理学的条件下で少なくとも10−3M、好ましくは10−4M、より好ましくは10−5M、例えば、10−6M、10−7M、10−8M、又は10−9Mである場合に、2以上の分子の結合は特異的であるとみなすことができる。
【0023】
本明細書において使用する場合、「対象」とは、例えば、実験、診断、及び/又は治療目的のために、抗体組成物が送達される個体のことをいう。好ましい対象は哺乳動物、特に家畜(例えば、イヌ、ネコ等)、霊長類、又はヒトである。
【0024】
本明細書において使用する場合、「治療すること」とは、通常、かかる用語が適用される疾患、障害、又は症状の進行を逆転すること、軽減すること、低下させること、抑制すること、又は、それらの可能性を低減すること、又はかかる用語が適用される疾患、障害、又は症状の1以上の症候又は徴候を低減することを含み得る。「予防すること」とは、疾患、障害、症状、又はそれらの症候もしくは徴候が、又はそれらの重篤度の悪化が生じなくすることをいう。
【0025】
「ベクター」は、本明細書において、例えば、移送、輸送等、核酸分子の細胞への進入を介在し得る核酸又はウィルス、ウィルスゲノム、又はそれらの部分(例えば、ウィルスキャプシド又はウィルスゲノム成分)のことを称するために用いられる。ベクターが核酸である場合、移送される核酸分子は通常、ベクター核酸分子と連結、例えば、その中へ挿入される。核酸ベクターは、好適な宿主細胞内において自己複製を指示する配列(例えば、複製開始点)を含んでもよく、あるいは、宿主細胞DNA中へ核酸の一部又は全部が組み込まれることを可能にするのに十分な配列を含んでもよい。有用な核酸ベクターとしては、例えば、DNA又はRNAプラスミド、コスミド、及び天然の又は修飾されたウィルスゲノム又はその一部又はウィルスキャプシド中にパッケージングされ得る核酸(DNA又はRNA)が挙げられる。プラスミドベクターは、通常、複製開始点及び1以上の選択マーカーを含む。プラスミドはウィルスゲノムの一部又は全てを含んでもよい(例えば、ウィルスのプロモーター、エンハンサー、プロセシングシグナル又はパッケージングシグナル等)。核酸分子を細胞中に導入し得るウィルス又はその一部(例えば、ウィルスキャプシド)はウィルスベクターと呼ばれる。有用な動物ウィルスベクターとしては、アデノウィルス、レトロウィルス、レンチウィルス、ワクシニアウィルス及びその他のポックスウィルス、単純ヘルペスウィルス等が挙げられる。有用な植物ウィルスベクターとしては、トバモウィルス、イラルウィルス等をベースとするものが挙げられる。ウィルスベクターは、宿主細胞に導入された場合に、感染性ウィルスの産生に関する十分なウィルス遺伝情報を含んでいても、含んでいなくてもよく、すなわち、ウィルスベクターは複製欠損的であり、かかる複製欠損性ウィルスベクターが本発明の特定の実施形態に対しては望ましい。十分な情報が欠如している場合、必ずしも宿主細胞によって情報が提供される必要もなく、又は細胞に導入される別のベクターによって提供される必要もない。
【0026】
発明の特定の実施形態の詳細な説明
本発明は、モノクローナル抗体(mab)PAをコードする核酸、及びモノクローナル抗体LFをコードする核酸に関する。核酸及びその機能的な断片によりコードされる抗体は、炭疽病タンパク質PA及びLFをそれぞれ特異的に認識し、活性及び炭疽病感染の発生を阻害する。本発明はまた、PA及び/又はLF、及びその機能的な断片の修飾された形態を含んでなるポリペプチドをコードする核酸に関する。これらの抗体及び機能的な断片は、結合特異性及び、親マウス抗体PA及び/又はLFの阻害活性を維持している。本発明はさらに、PA及び/又はLF 抗体の親形態と比較して結合親和性及び特異性が上昇していることを示すPA及び/又はLF抗体の形態を最適化することに関する。
【0027】
Kohler & Milstein,Nature 256:495,1975により最初に記載されたハイブリドーマ法は、所望の結合特性を呈するモノクローナル抗体の同定に広く使用されている。手短に言えば、この技術は、通常、免疫した哺乳動物からリンパ球を単離し、このリンパ球をメラノーマ細胞と融合させて、融合により作製されたクローン細胞株(ハイブリドーマ)を単離することを含む。これらの細胞株から、対象のポリペプチド又はその特定の部分、又は抗原決定基に対し結合する抗体を産生するものをスクリーニングする。株はまた、標的ポリペプチドに対する所望の親和性を有する抗体を産生するものを特定するために、スクリーニングすることができる。免疫した哺乳動物は、例えば、ワクチン接種により意図的に免疫されていてもよく、又は感染性生物により感染されているか、抗原等に曝されていてもよい。従って、「免疫した哺乳動物」とは、対象のポリペプチドに特異的に結合する抗体を産生する、任意の哺乳動物をいう。本発明の好ましい実施形態において、哺乳動物は、例えば、病原菌に対するワクチン接種をされたヒト、病原菌に曝されたヒト等のヒトである。
【0028】
本発明は、例えば、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を用いて、ハイブリドーマ由来の抗体重鎖又は抗体軽鎖をコードするcDNAを単離する際に使用するための、オリゴヌクレオチドプライマー及びプライマーのセットを提供する。
【0029】
一実施形態において、オリゴヌクレオチドは、配列番号1〜44の任意のものを含んでなる。別の実施形態において、オリゴヌクレオチドは、配列番号1〜44のうちの任意のものからなる。その他の態様において、特定のプライマー中で提供される制限酵素部は、任意の好ましい制限酵素部位に対し、望ましいベクター挿入部位へとプライマーを適合させるために修飾することができる。
【0030】
別の態様において、本発明は、抗体鎖又はその部分をコードする核酸を単離する方法を提供する。一実施形態において、この方法は、(a)抗体産生細胞から得られる核酸を、配列番号1〜44からなる群から選択される少なくとも1つのオリゴヌクレオチドプライマーと接触させるステップ;及び、(b)増幅反応を行うステップ、を含んでなる。増幅反応は通常、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)である。本発明の特定の実施形態において、ステップ(a)は、核酸を、配列番号1〜44からなる群から選択される少なくとも2つのオリゴヌクレオチドプライマーとcontainctさせることを含んでなる。本発明のプライマー及び方法が、ハイブリドーマから抗体鎖cDNAをクローニングするための特定の用途(すなわち、抗体鎖をコードするcDNA)を有し得る一方、それらがその用途に限定される理由も何らなく、任意の抗体産生細胞、細胞株等由来の抗体鎖cDNAをクローニングするために使用し得ることが理解されるだろう。好ましくは、抗体鎖はヒト抗体鎖である。
【0031】
別の態様において、本発明は、炭疽病タンパク質に結合する抗体ポリペプチド鎖、その又は機能的な断片をコードする核酸組成物を提供する。一実施形態において、抗体ポリペプチド鎖又はその機能的な断片をコードする核酸組成物は、B.anthracisの防御抗原と結合する機能的タンパク質を含んでなる。一実施形態において、B.anthracisの防御抗原と結合するモノクローナル抗体、又はその機能的な断片のκ軽鎖をコードする核酸が提供される。一実施形態において、B.anthracisの防御抗原と結合するモノクローナル抗体、又はその機能的な断片のγ重鎖をコードする核酸が提供される。一実施形態において、核酸はcDNA配列であるか、又はcDNA配列を含んでなる。
【0032】
一実施形態において、抗体ポリペプチド鎖又はその機能的な断片をコードする核酸組成物は、B.anthracisの致死因子と結合する機能的タンパク質を含んでなる。一実施形態において、B.anthracisの致死因子と結合するモノクローナル抗体、又はその機能的な断片のκ軽鎖をコードする核酸が提供される。一実施形態において、B.anthracisの防御抗原と結合するモノクローナル抗体、又はその機能的な断片のγ重鎖をコードする核酸が提供される。一実施形態において、核酸はcDNA配列であるか、又はcDNA配列を含んでなる。
【0033】
さらに、1以上の本発明の核酸、例えば、抗体重鎖又は抗体軽鎖をコードする核酸を含んでなる多様性を有する核酸構築物が提供され、該核酸は、例えば、1以上の抗体重鎖又は抗体軽鎖を発現する本発明のプライマーを用いて、細胞又は細胞株から単離される。例えば、本発明は、ベクター、例えば、1以上の本発明の核酸を含む発現ベクターを提供する。特定の実施形態において、ベクターはアグロバクテリウムにより介在される形質転換にとって好適なバイナリーベクターである。特定の実施形態において、ベクターは植物ウィルスである。特定の実施形態において、ベクターは、植物ウィルス、例えば、1以上の植物ウィルスのゲノム要素を含むウィルスに基づく。
【0034】
本発明はさらに、1以上の提供される核酸を発現し、モノクローナル抗体の重鎖又は軽鎖又はその機能的な断片を産生する宿主細胞を提供する。
【0035】
本発明はさらに、(i)モノクローナル抗体の重鎖又は軽鎖、又はその機能的な断片をコードする核酸であって、本発明の1以上のプライマーを用いて単離され、前記核酸は発現系中で核酸の発現を方向付けるプロモーター等の調節エレメントへと制御可能な形で連結されている、前記核酸を含む発現システムを提供すること、(ii)発現が生じる条件下に発現系を維持すること、を含んでなる、抗体重鎖又は抗体軽鎖を産生する方法を提供する。この方法はさらに、(iii)抗体又はその機能的な断片を回収することを含んでなる。抗体又はその機能的な断片は、当技術分野で公知の各種の技術の任意のものを用いて精製することができる。発現系は、例えば、細胞培養物、トランスジェニック植物又は動物、クローン根又は植物株等の任意の好適な発現系であり得る。完全な抗体は、重鎖及び軽鎖を互いに関連するようにさせることにより、産生され得る。
【0036】
本発明はさらに、(i)抗体の重鎖又はその機能的な断片をコードし、さらに抗体の軽鎖又はその機能的な断片をコードする核酸であって、本発明の1以上のプライマーのいずれか又は両方を用いて単離され、前記核酸の各々は発現系中で核酸の発現を方向付けるプロモーター等の調節エレメントへと制御可能な形で連結されている、前記核酸を含む発現システムを提供すること、(ii)発現が生じる条件下に発現系を維持すること、を含んでなる、抗体重鎖又は抗体軽鎖を産生する方法を提供する。抗体鎖はいずれもこの発現系により産生され、互いに関連付けられ得る。任意の好適な発現システムが使用可能である。
【0037】
本発明はさらに、一方又は両方の鎖が本明細書中に記載の本発明の方法に従って産生される、重鎖及び軽鎖又はその機能的な断片を含んでなる抗体を投与することを含んでなる。
【0038】
本特許出願は、各種の特許、特許出願、定期刊行物記事、及びその他の刊行物を参照し、それらの全てを本明細書中に参照により組み入れるものとする。さらに、以下の標準的な参考文献を参照により本明細書中に組み入れるものとする:Ausubel, F.,(ed.),Current Protocols in Molecular Biology,Current Protocols in Immunology,Current Protocols in Protein Science,and Current Protocols in Cell Biology,John Wiley & Sons,N.Y.,2002年7月の版;Sambrook,Russell, and Sambrook,Molecular Cloning:A Laboratory Manual, 3rd ed.,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor, 2001;Harlow, E., et al.,Antibodies:A Laboratory Manual,(Cold Spring Harbor Laboratory Press,2nd ed. 1988);Goldsby,R.A., et al.,(eds.),Kuby Immunology,4th ed.,W.H.Freeman & Company,New York,2000;及びGoodman and Gilman’s The Pharmacological Basis of Therapeutics,10th Ed..McGraw Hill,2001。組み入れられた参考文献のうち、任意の物の間での不一致又は矛盾を有する事象及び、即時の具体化又は当業者の理解に関しては、不一致又は矛盾が発明者の判断の範囲内であるかどうかが理解されるように、明細書が具体的に調整を行うものとし、このことは任意の時点で起こり得る。
【0039】
本発明は、例えば、抗体重鎖又は抗体軽鎖をコードするcDNA等の核酸を、例えばポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を用いてハイブリドーマから単離する際に使用するための、新規なオリゴヌクレオチドプライマー及びプライマーのセットを提供する。PCRは当技術分野でよく知られ、例えば、PCR Primer:A Laboratory Manual,Dieffenbach,C.W. and Dveksler,G.S.(Eds.);PCR Basics:From Background to Bench,Springer Verlag,2000;M.J.McPherson,et al;Mattila et al.,Nucleic Acids Res.,19:4967 (1991);Eckert et al.,PCR Methods and Applications,1:17 (1991);PCR (eds.McPherson et al.,IRL Press,Oxford);及び、米国特許第4,683,202号中に記載されている。本発明の特定の実施形態において、例えば、mRNA等のRNAは、ハイブリドーマ等の細胞又は細胞株から単離される。RNAは逆転写に供されて、cDNAを産生する。抗体重鎖又は抗体軽鎖をコードする核酸は、本発明の1以上のオリゴヌクレオチドプライマー又はプライマーセットを用いて増幅される。本発明のプライマーは、その他の増幅技術を同様に用いて増幅に使用することができる。
【0040】
本発明のオリゴヌクレオチドを表1に列挙する。表には、例えば、それに対しプライマーがハイブリダイズする、γ鎖の定常領域(CG)、λ鎖の定常領域(CL)、κ鎖の定常領域(CK)、重鎖の可変領域(VG)、λ鎖の可変領域(VL)、又はκ鎖の可変領域(VK)等の抗体遺伝子又はcDNAの部分をも示している。特定のプライマーがコード領域又は非コード領域に対しハイブリダイズすることが理解され、従って「ハイブリダイズする」とは、これらの可能性のいずれかを包含することが意図されるであろう。表1はまた、GenBankより入手可能な個々の配列の数を示し、特定のプライマーを用いて増幅可能な「ファミリー」にグルーピングすることができる。プライマーのうち、「短」と記載した特定のものについては、設計された制限部位を含有しない、より長いその他のプライマーは、抗体遺伝子又はcDNAへとハイブリダイズする部分に関する5’側に位置するSfiIに対する制限部位を含む。これらのプライマーはまた、5’末端にCTC又はCTCGCのいずれかを含み、制限酵素による開裂の効率が向上している。本発明は、表1の「短」プライマーの配列を有する部分を含んでなる付加的なオリゴヌクレオチドを包含し、さらに、短プライマーの配列を有する部分に関する、5’側に位置する制限部位を含んでなる。SfiI部位(太字で示す)を含んでなるプライマーは、どのようにして本発明の短プライマーが修飾され、制限部位へと組み入れられるかの例示を提供する。
【0041】
従って、一態様において、本発明は、その配列が配列番号1〜44のいずれかを含んでなる、又はいずれかからなるオリゴヌクレオチドを提供する。別の態様において、本発明は、配列番号1〜44からなる群から選択される少なくとも2つのオリゴヌクレオチドを含むプライマー混合物を提供する。別の態様において、本発明は、配列番号1〜44からなる群から選択される少なくとも3つのオリゴヌクレオチドを含むプライマー混合物を提供する。別の態様において、本発明は、配列番号1〜44からなる群から選択される少なくとも4つのオリゴヌクレオチドを含むプライマー混合物を提供する。別の態様において、本発明は、配列番号1〜44からなる群から選択される少なくとも5つのオリゴヌクレオチドを含むプライマー混合物を提供する。別の態様において、本発明は、配列番号1〜44からなる群から選択される少なくとも6つのオリゴヌクレオチドを含むプライマー混合物を提供する。本発明の特定の実施形態において、プライマー混合物中の少なくとも1つのプライマーは定常領域プライマーであり、プライマー混合物中の少なくとも1つのプライマーは可変領域プライマーである。
【0042】
いくつかの実施形態において、プライマー混合物は、少なくとも1つの、γ鎖の定常領域の少なくとも一部をコードする配列に対しハイブリダイズするプライマー(CGプライマー)及び、少なくとも1つの、重鎖の可変領域の少なくとも一部をコードする配列に対しハイブリダイズするプライマー(VGプライマー)を含む。いくつかの実施形態において、プライマー混合物は、少なくとも1つの、λ鎖の定常領域の少なくとも一部をコードする配列に対しハイブリダイズするプライマー(CLプライマー)及び、少なくとも1つの、λ鎖の可変領域の少なくとも一部をコードする配列に対しハイブリダイズするプライマー(VLプライマー)を含む。いくつかの実施形態において、プライマー混合物は、少なくとも1つの、κ鎖の定常領域の少なくとも一部をコードする配列に対しハイブリダイズするプライマー(CKプライマー)及び、少なくとも1つの、κ鎖の可変領域の少なくとも一部をコードする配列に対しハイブリダイズするプライマー(VKプライマー)を含む。本発明のいくつかの実施形態において、プライマー混合物は、少なくとも2つ又は3つのVGプライマー及び、少なくとも1つのCGプライマーを含む。本発明のいくつかの実施形態において、プライマー混合物は、少なくとも2つ又は3つのVLプライマー及び、少なくとも1つのCLプライマーを含む。本発明のいくつかの実施形態において、プライマー混合物は、少なくとも2つ又は3つのVKプライマー及び、少なくとも1つのCKプライマーを含む。前記実施形態のいずれかにおいて、プライマーは短い場合があり、又は長い場合がある。本発明のいくつかの実施形態においては、プライマーセット又は一対の短プライマーを用いて第1のPCR反応を行い、制限部位を含むプライマーセット又は一対のプライマー(長プライマー)を用いて第2のPCR反応を行う。長プライマーは、実施例1に記載の短プライマーの配列を含んでなり得る。
【0043】
表1. RT−PCRプライマー
【0044】
【表1−1】

【0045】
【表1−2】

【0046】
【表1−3】

表1に列挙された配列は、列挙された配列を有する単一のオリゴヌクレオチド分子であるか、又は、列挙された配列を有する各オリゴヌクレオチド分子の集合であるかの、いずれかを表すことが理解されるであろう。表1に列挙された特定のプライマーは縮重であり、すなわち、縮重位置においてその配列が異なっている個々の要素を含む配列により示される、オリゴヌクレオチド分子の集合である。用語「位置」は、ポリヌクレオチド中の各ヌクレオチドに対し割り振られた数値をいい、通常は5’末端に対する値である。
【0047】
縮重プライマーの概念は、当技術分野でよく知られており、本明細書中で当技術分野での理解と一致している。表2は、IUPACの多義性コードを含み、縮重位置に存在するヌクレオチドを表す略号を列挙している。例えば、Kは、G又はTを表す。
【0048】
表2:多義性コード
【0049】
【表2】

オリゴヌクレオチド中の所定の位置に「N」個の可能性を有するヌクレオチドが存在する場合、この位置はN倍縮重であると称される。すなわち、プライマー配列「CG」、すなわち5’−CTCGCGGCCTCCGAGGCCTCATTTACCCKGAGACAGG−3’(配列番号1)は、29の位置がGであるいくつかのメンバーと29の位置がTであるいくつかのメンバーを含むオリゴヌクレオチドの集合を示す。本発明は、その位置に考えられ得る任意の代替物により縮重位置が占められている、オリゴヌクレオチドを含む。例えば、本発明は、29の位置がGとなっている配列番号1の配列を有するオリゴヌクレオチドを包含し、加えて、29の位置がTとなっている配列番号1の配列を有するオリゴヌクレオチドをも包含する。全ての可能性が包含される。例えば、プライマー「VG1+7短」(配列番号13)は、9及び11の位置で2倍縮重である。すなわち、本発明は、配列番号13で示される縮重オリゴヌクレオチドを包含することに加えて、4つの異なる任意の配列を有するオリゴヌクレオチド分子を含む配列番号13の4倍非縮重変化物を包含する。本発明はまた、表1に示すよりも少ない位置が縮重している実施形態をも包含する。例えば、本発明は、配列番号13における9の位置のみが縮重している(かつ、11の位置はYにより示されるヌクレオチドのいずれかである)実施形態を包含する。
【0050】
縮重オリゴヌクレオチドのオリゴヌクレオチド集合中の異なるオリゴヌクレオチドの比率は異なり得る。通常、配列は、集合中にほぼ同様に表れる。しかしながら、混合物の組成を偏らせることが望ましい場合があり得る。表1中に列挙された縮重オリゴヌクレオチドの、任意の具体的なパーセント組成は、本発明の範囲内である。オリゴヌクレオチドの全体的な縮重度は、オリゴヌクレオチド集合中に存在し得る、異なる配列の総数である。例えば、3つの縮重位置が存在し、そのそれぞれが2倍縮重である場合、そのオリゴヌクレオチド集合の縮重度は2=8である。
【0051】
発現系及び抗体産生
本発明のオリゴヌクレオチドプライマーの任意のものを用いて単離された抗体重鎖又は抗体軽鎖をコードする核酸は、多様な発現系の任意のものにおいて発現され得る。発現系は、ポリペプチドを合成可能な細胞株又はトランスジェニック動物又は植物等の、任意の好適な生物学的システムである。通常、核酸は、各種知られた発現ベクターへと挿入される。対象のポリヌクレオチドを発現するための好適な方法は、当技術分野で知られ、Ausubel,上掲、及びSambrook,上掲、中に記載されている。米国特許第4,816,567号及び同第6,331,415号も参照されたい。任意の原核生物又は真核生物発現システムが使用可能である。本発明の特定の実施形態において、発現系はハイブリドーマではなく、ヒトでもなく、すなわち、発現系は、天然には抗体鎖を産生しないものである。
【0052】
本発明の特定の実施形態において、植物に基づく発現系が用いられる。植物に基づく発現系は、植物細胞又はその一部を利用する任意の発現系である。発現系は、植物細胞株、植物体全体、クローン根等であり得る。植物細胞株、植物体全体、クローン根等、及び、トランスジェニック又は非トランスジェニックなものであり得る。
【0053】
植物に基づく発現系において、例えば、抗体重鎖又は抗体軽鎖等の対象のポリヌクレオチドを発現するための方法及びベクターは、当技術分野においてよく知られている。米国特許第6,852,319号参照。本発明の特定の実施形態においては、植物ウィルスのゲノムに基づくベクターが用いられる。限定することなしに、本発明は、例えば、RNA植物ウィルス又はウィルスゲノム、DNA植物ウィルス又はウィルスゲノム等の植物ウィルス又はウィルスゲノムに基づく任意のベクターの利用を包含する。例えば、米国特許第5,602,242号、同第5,500,360号、及び同第5,846,795号を参照。
【0054】
本発明の特定の実施形態において、トランスジェニック又は非トランスジェニックの芽が発現システムとして使用される。米国特許出願公開第20040093643号及び、2005年2月11日に提出された米国特許出願第60/652,186号、「Production of Foreign Nucleic Acids and Polypeptides in Sprout Systems」Ensley, et al.、参照。本発明の特定の実施形態において、クローン根又はその他のクローン株が用いられる。例えば、2005年2月18日に提出された米国特許出願第11/061,980号、「SYSTEMS AND METHOS FOR CLONAL EXPRESSION IN PLANTS」参照。その他の特許出願には、対象のポリヌクレオチドを発現するための関連情報を含む。米国特許出願公開第20050026291号、同第20050114920号、国際公開第WO2005026375号、同第WO0046350号、同第WO0025574号、同第WO2005049839号、及び米国特許第6448070号を参照されたい。
【0055】
本発明は、抗体の軽鎖又は重鎖をコードする核酸の発現を明確に意図し、該核酸は、本セクションで列挙される特許出願及び刊行物の任意のものに記載の、又はそれを参照する発現系及び方法を用いて、本明細書中で開示される方法及び/又はプライマーを用いて単離される。本明細書中に記載の任意の具体的な植物、植物ウィルス、植物ウィルスレプリコン等が使用可能である。いくつかの実施形態において、ウィルスレプリコンは、植物細胞中で複製され得る十分な配列要素を含み、所望により、トランス植物(例えば、植物がトランスジェニックであるか、又はRNAポリメラーゼを発現した別のベクターを含んでなる)により供給されるRNAポリメラーゼ等の要素を利用することができる。レプリコンは、コートタンパク質遺伝子又は移動タンパク質遺伝子を含む場合があり、又は含まない場合がある。植物ウィルス又はレプリコンを植物又は植物細胞又は植物の部分へと導入するための、任意の特定の方法が使用され得る。例としては、葉等の植物の部分に対する適用、(例えば、葉へとウィルス転写物を導入するための)表皮剥離、アグロインフィルトレーション、アグロバクテリウムが介在する形質転換、微粒子銃等を含む。本発明は、例えば組み換え植物ウィルスベクター又はレプリコン等の、本明細書中で記載する方法に従って単離された核酸を含んでなる、任意の植物ウィルスベクター又はレプリコンを包含し、さらに、ベクターを含んでなる植物、植物の一部、又は植物由来のクローン培養物を包含する。本発明はさらに、そのゲノムが核酸を含んでなるトランスジェニック植物を包含する。
【0056】
本発明のいくつかの実施形態において、重鎖及び軽鎖をコードする核酸配列は、それらの鎖が互いに会合して、回収前に完全な抗体を形成するように共発現される。
【0057】
本発明の方法に従って産生される抗体鎖又は抗体を回収するために、及び、所望により精製するために、任意の好適な方法を用いることができる。
【0058】
勿論、抗体の重鎖又は軽鎖は、化学的に合成することもできる。重鎖又は軽鎖をコードするヌクレオチド配列を調べれば、アミノ酸配列が得られる。
【0059】
本発明の任意のオリゴヌクレオチドプライマーを用いて単離された抗体重鎖又は抗体軽鎖をコードする核酸は、各種の方法により修飾することができる。例えば、真核細胞中で別途生じるグリコシル化事象や、又はその他の翻訳後工程を行わせないために、修飾を行う場合がある。例えば、グリコシル化されたアミノ酸、又はアジュバント、又は近傍の部位を変化させる変異を作製することができる。当技術分野でよく知られるように、Asn−X−(Ser/Thr)は、グリコシル化機構に連結された、真核生物のN−結合グリコシル化により認識される配列である。就職される特定の部位は、使用される発現系中で見られる特定のグリコシル化の機構を考慮して選択され得る。それはポリペプチドタグ(すなわち、精製を助けるための)や、特定のオルガネラ等に対する抗体鎖を標的化する配列をコードする部分を含むように改変される場合がある。本発明の範囲内で、抗体の特異的抗原結合特性に干渉することなく、広範な変化を利用することができる。特定の実施形態において、変化は、天然の抗体の配列と少なくとも80%同一、少なくとも85%同一、少なくとも90%同一、少なくとも95%同一である。
【0060】
本発明の方法に従って産生される抗体は、Fab’、F(ab’)、scFv(一本鎖可変)等の抗体断片、又は、抗原結合部位を保持するその他の断片であり得る。断片は、その断片のみを核酸のみが発現されるように発現される場合もあれば、又は、開裂又は消化等の公知の手法を用い、完全な抗体を処理して断片を産生させる場合もある。
【0061】
ベクター
上述のように、本発明のプライマー及び方法を用いて単離されたcDNAを、広範なベクターへと挿入し、広範な細胞タイプ及び発現系にて発現させることができる。本発明は、制限部位を含んでなる本発明のプライマーを用いて単離された、核酸を挿入するために好適な、さらなるベクターを提供する。ベクターは、プライマー中に存在するのと同様の制限部位を含む。制限部位は、ベクター中の1以上の位置に存在する。いくつかの実施形態において、ベクター中の望まない位置に存在する制限部位は、例えば、部位指定変異を用いて除去される。いくつかの実施形態において、制限部位とはSfiIのための制限部位である。
【0062】
本発明の具体的実施形態において、アグロバクテリウムに介在される形質転換のために好適なバイナリーベクターであるpBI121の修飾型が提供され、そこでは、11031の位置の内部SfiI部位が変異されて、1以上の新たなSfiIのための部位が作られている。手短に言えば、pBI121はネオマイシンホスホトランスフェラーゼ(NPTII)遺伝子及びα−グルクロニダーゼ(GUS)遺伝子を担持する(Jefferson et al., EMBO J, 6:3901−3907,1987)。ネオマイシンネオマイシンホスホトランスフェラーゼ(NPTII)遺伝子は、ノパリンシンターゼ(nos)プロモーター及び、ポリアデニル化シグナルを与えるノパリンシンターゼ(nos)由来のターミネーターの制御下にある。このネオマイシンネオマイシンホスホトランスフェラーゼ(NPTII)遺伝子は、カナマイシン耐性を付与する。α−グルクロニダーゼ(GUS)遺伝子活性は、カリフラワーモザイクウィルスの35Sプロモーター及び、ポリアデニル化シグナルを与えるノパリンシンターゼ(nos)由来のターミネーターの制御下にある。本発明は、本来のSfiI部が変異されて2つの新たな位SfiI部位が導入され、抗体重鎖又は抗体軽鎖等をコードする異種核酸の簡便な挿入を可能にするためのpBI121の修飾型を提供する。
【0063】
キット
本発明は、表1に列挙された1以上のオリゴヌクレオチドを含んでなるキットを提供する。好ましくは、キットは、少なくとも2つのオリゴヌクレオチドを含む。具体的実施形態において、キットは、少なくとも3〜44の間の任意の数のオリゴヌクレオチドを含む。通常、キットは、例えばγ重鎖をコードする核酸を増幅するために好適な一対又はセットのオリゴヌクレオチドを含み、及び/又は、例えばλ軽鎖をコードする核酸を増幅するために好適な一対又はセットのオリゴヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態において、キットは、γ重鎖をコードする核酸を増幅するために好適な一対又はセットのオリゴヌクレオチド、κ軽鎖をコードする核酸を増幅するために好適な一対又はセットのオリゴヌクレオチド、及び、λ軽鎖をコードする核酸を増幅するために好適な一対又はセットのオリゴヌクレオチドを含む。上述の任意の対又はセットのオリゴヌクレオチドがキット中に含まれ得る。キットは、通常、ハイブリドーマ等の細胞又は細胞株から抗体の1以上の鎖をコードする核酸を単離するためのキットの使用に関する説明書を含む。
【0064】
1以上のオリゴヌクレオチドに加えて、キットは、任意の数の付加的な試薬をさらに含んでもよい。例えば、キットは、RT−PCR反応等のPCR反応を行うための試薬を含み得る。キットは、従って、例えば、逆転写酵素、耐熱性DNAポリメラーゼ、ヌクレオチド類、緩衝液等を含み得る。キットは、ハイブリドーマ又はその他の細胞性のRNA供給源からRNAを精製するための試薬を含み得る。
【0065】
キットは、キットを用いて増幅した核酸をその中へと挿入し得る1以上のベクターを含んでも良い。ベクターは、例えば、植物細胞、細菌細胞、真菌細胞、昆虫細胞、哺乳動物細胞等の細胞中での発現を充分に方向付けるためのプロモーター等の調節エレメントを含む発現ベクターであり得る。広範な発現ベクターが当技術分野で入手可能であり、これらの任意のものをキット中に含むことが可能である。一実施形態において、ベクターは、アグロバクテリウムにより介在される形質転換にとって好適なバイナリーベクターである。
【0066】
ベクターは、制限酵素によるベクターの開裂が「付着末端」をもたらすように、すなわち、キット中に存在する1以上のオリゴヌクレオチドプライマー中に存在する制限部位へとハイブリダイズするように、1以上の便利な制限部位を含み得る。いくつかの実施形態において、ベクターは、8ヌクレオチド認識部位を認識する酵素に対する1以上の制限部位を含む。この8ヌクレオチドは、連続的である場合もあり、又は、認識にとってその間隔が必須ではあるが、特異的には認識されない1以上のその他のヌクレオチド(例えば、1〜10ヌクレオチド)に分離されている場合もある。例えば、特定の実施形態において、酵素は、XXXXNNNNNXXXXの内部を、Nが任意のヌクレオチドを表し、かつXが任意の特異的ヌクレオチド(すなわち、それぞれのXは独立に選択される)を表す位置で切断する。このような部位は、挿入部の5’−及び3’−末端に5ヌクレオチドの異なる配列を有する配列を、ただ一種の酵素のみを用いて指定的にクローニングすることを可能にするために都合がよいものであり得る。いくつかの実施形態において、ベクターは、部位GGCCNNNNNGGCCの内部を切断する、SfiIに対する1以上の制限部位を含む。ベクターは、直鎖状又は環状の形態で提供され得る。ベクターを開裂させるための制限酵素もまた提供される。例えば、リガーゼ、リガーゼ緩衝液等の、連結を行うための試薬が含まれ得る。
【0067】
例えば、バーコード、高周波IDタグ等の識別子が、キット中に又はキット上に存在し得る。識別子は、例えば、品質管理、在庫管理、追跡、ワークステーション間における移動等の目的のための個別識別を行うために使用され得る。
【0068】
キットは、通常、特定の個々の試薬を別々に収納するための1以上の管又は容器を含む。キットは、また、市販するために、個々の容器を、例えば、プラスチック製の箱等の比較的厳重に管理された容器の中に収納するための手段をも含み、説明書、発泡スチレン等の包装資材等が同梱される場合もある。
【0069】
炭疽病抗原に対するヒトモノクローナル抗体をコードするヌクレオチド配列及び、単離された重鎖及び軽鎖
実施例1中により詳細に記載するように、表1に列挙されたプライマーを、2つの異なるヒトモノクローナル抗体(huMAb)のγ重鎖及びκ軽鎖をコードするcDNA配列を単離するために使用した。これらのcDNAの単離は、本発明のオリゴヌクレオチドプライマーの使用の例である。1つのhuMAbは、PA−1と称するBacillus anthracisの防御抗原(PA)ポリペプチドのドメイン4に対し特異的に結合する。他方のhuMAbは、LF−1と称するBacillus anthracisの致死因子(LF)ポリペプチドに対し特異的に結合する。Bacillus anthracisは、炭疽病の原因病原体である。病原細菌及び免疫応答におけるPA及びLFの役割は当技術分野においてよく知られている。炭疽病のワクチン接種を受けた個体から得たリンパ球をミエローマ細胞と融合し、標準的な方法を用いてB.anthracisに対する特異的な抗体をスクリーニングすることにより、ハイブリドーマ細胞株からcDNA配列を単離した。
【0070】
PA−1 huMAbのκ軽鎖cDNAのDNA配列(配列番号45)、PA−1 huMAbのγ重鎖cDNAのDNA配列(配列番号47)、LF−1 huMAbのκ軽鎖cDNAのDNA配列(配列番号49)、又はLF−1 huMAbのγ重鎖cDNAのDNA配列(配列番号51)を含んでなる単離された核酸が提供される。本発明はまた、TがUに置換された、相当するRNA配列をも提供する。
【0071】
本発明はまた、配列番号45、47、49又は51の任意のものによりコードされる単離されたポリペプチドを提供する。これらのポリペプチドのアミノ酸配列を、配列番号46、48、50及び52中に説明する。本発明はまた、配列番号46、48、50及び52のポリペプチドに対し、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、又はそれ以上の同一性を有する単離されたポリペプチド提供する。本発明はまた、配列番号45、47、49又は51の1以上がハイブリドーマ又はヒト以外の発現システム中で発現される抗体組成物をも提供する。
【0072】
PA−1 huMAb κ軽鎖cDNAのDNA配列:5’−
ATGGAAGCCCCAGCGCAGCTTCTCTTCCTCCTGCTACTCTGGCTCCCAGATACCACCGGAGAAATTGTGTTGACGCAGTCTCCAGGCACCCTGTCTTTGTCTCCAGGGGAAAGAGCCACCCTCTCCTGCAGGGCCAGTCAGAGTGTTAGCTACAGCTCCTTAGCCTGGTACCAGCAGAAACCTGGCCAGGCTCCCAGCCTCCTCATCTATGGTGCATCCAGCAGGGCCACTGGCATCCCAGACAGGTTCAGTGGCAGTGGGTCTGGGCCAGACTTCACTCTCACCATCAGCAGACTGGAGCCTGAAGATTTTGCAGTTTATTACTGTCAGCACTATGGTAACTCACCGTACACTTTTGGCCAGGGGACCAAGCTGGAGATCAAACGAACTGTGGCTGCACCATCTGTCTTCATCTTCCCGCCATCTGATGAGCAGTTGAAATCTGGAACTGCCTCTGTTGTGTGCCTGCTGAATAACTTCTATCCCAGAGAGGCCAAAGTACAGTGGAAGGTGGATAACGCCCTCCAATCGGGTAACTCCCAGGAGAGTGTCACAGAGCAGGACAGCAAGGACAGCACCTACAGCCTCAGCAGCACCCTGACGCTGAGCAAAGCAGACTACGAGAAACACAAAGTCTACGCCTGCGAAGTCACCCATCAGGGCCTGAGCTCGCCCGTCACAAAGAGCTTCAACAGGGGAGAGTGTTAG−3’ (配列番号45)
PA−1 huMAb κ軽鎖のアミノ酸配列:
【0073】
【化1】

PA−1 huMAb κ軽鎖のCDR配列を太字で示し、配列番号46のアミノ酸残基50〜61(PA−lCDR1)、アミノ酸残基77〜83(PA−lCDR2)、及びアミノ酸残基116〜124(PA−lCDR3)に相当する。単離されたCDR配列の各々は以下:
PA−lCDR1:RASQSVSYSSLA(配列番号59)
PA−lCDR2:GASSRAT(配列番号60)
PA−lCDR3:QHYGNSPYT(配列番号61)
からなる。
【0074】
PA−1 huMAb γ重鎖cDNAのDNA配列:5’−
ATGGACTGGATCTGGAGGATCCTCTTTTTGGTGGCAGCAGCCACAGGTGCCCACTCCCAGGTCCAGCTTGTGCAGTCTGGGGCTGAGGTGAAGAAGCCTGGGGCCTCAGTGAAGGTTTCCTGCAAGGCCTCTGGATACACCTTCACTAGCAATGCTATACAATGGGTGCGCCAGGCCCCCGGACAAAGGCTTGAGTGGGTGGGATGGATCAACGGTGGCGATGGTAACACAAAATATTCACAGAAGTTCCAGGGCAGAGTCACCATTAGTAGGGACATATCCGCGAGCACAGCCTACATGGAGCTGAGCAGCCTGAGATCTGAAGACACGGCTGTGTATTACTGTGCGAGACATCGTTTGCAAAGAGGGGGGTTCGACCCCTGGGGCCAGGGAACCCTGGTCACCGTCTCCTCAGCCTCCACCAAGGGCCCATCGGTCTTCCCCCTGGCACCTTCCTCCAAGAGCACCTCTGGGGGCACAGCGGCCCTGGGCTGCCTGGTCAAGGACTACTTCCCCGAACCGGTGACGGTGTCGTGGAACTCAGGCGCCCTGACCAGCGGCGTGCACACCTTCCCGGCTGTCCTACAGTCCTCAGGACTCTACTCCCTCAGCAGCGTGGTGACCGTGCCCTCCAGCAGCTTGGGCACCCAGACCTACATCTGCAACGTGAATCACAAGCCCAGCAACACCAAGGTGGACAAGAGAGTTGAGCCCAAATCTTGTGACAAAACTCACACATGCCCACCGTGCCCAGCACCTGAACTCCTGGGGGGACCGTCAGTCTTCCTCTTCCCCCCAAAACCCAAGGACACCCTCATGATCTCCCGGACCCCTGAGGTCACATGCGTGGTGGTGGACGTGAGCCACGAAGACCCTGAGGTCAAGTTCAACTGGTACGTGGACGGCGTGGAGGTGCATAATGCCAAGACAAAGCCGCGGGAGGAGCAGTACAACAGCACGTACCGTGTGGTCAGCGTCCTCACCGTCCTGCACCAGGACTGGCTGAATGGCAAGGAGTACAAGTGCAAGGTCTCCAACAAAGCCCTCCCAGCCCCCATCGAGAAAACCATCTCCAAAGCCAAAGGGCAGCCCCGAGAACCACAGGTGTACACCCTGCCCCCATCCCGGGAGGAGATGACCAAGAACCAGGTCAGCCTGACCTGCCTGGTCAAAGGCTTCTATCCCAGCGACATCGCCGTGGAGTGGGAGAGCAATGGGCAGCCGGAGAACAACTACAAGACCACGCCTCCCGTGCTGGACTCCGACGGCTCCTTCTTCCTCTATAGCAAGCTCACCGTGGACAAGAGCAGGTGGCAGCAGGGGAACGTCTTCTCATGCTCCGTGATGCATGAGGCTCTGCACAACCACTACACGCAGAAGAGCCTCTCCCTGTCTCCGGGTAAATGA−3’ (配列番号47)
PA−1 huMAb γ重鎖のアミノ酸配列:
【0075】
【化2】

PA−1 huMAb γ重鎖のCDR配列を太字で示し、配列番号48のアミノ酸残基51〜60(PA−hCDR1)、アミノ酸残基75〜90(PA−hCDR2)、及びアミノ酸残基124〜133(PA−hCDR3)に相当する。
PA−hCDR1:GYTFTSNAIQ(配列番号62)
PA−hCDR2:WINGGDGNTKYSQKFQG(配列番号63)
PA−hCDR3:HRLQRGGFDP(配列番号64)
特定の実施形態において、単離された抗体又はその機能的な断片が提供され、前記抗体は、(i)PA−lCDR1:RASQSVSYSSLA(配列番号59)に対し、少なくとも90%の配列同一性を有する軽鎖CDR1;(ii)PA−lCDR2:GASSRAT(配列番号60)に対し、少なくとも90%の配列同一性を有する軽鎖CDR2;及び(iii)PA−lCDR3:QHYGNSPYT(配列番号61)に対し、少なくとも90%の配列同一性を有する軽鎖CDR3、から選択される1又はそれ以上の軽鎖(LC)相補性決定領域(CDR)を含んでなり、この抗体又はその機能的断片はB.anthracisの防御抗原に対し特異的に結合し得る。ある実施形態において、単離された抗体又はその機能的な断片が提供され、前記抗体は、(i)PA−lCDR1:RASQSVSYSSLA(配列番号59)に対し、少なくとも90%の配列同一性を有する軽鎖CDR1;(ii)PA−lCDR2:GASSRAT(配列番号60)に対し、少なくとも90%の配列同一性を有する軽鎖CDR2;及び(iii)PA−lCDR3:QHYGNSPYT(配列番号61)に対し、少なくとも90%の配列同一性を有する軽鎖CDR3、から選択される2又はそれ以上の軽鎖(LC)相補性決定領域(CDR)を含んでなり、この抗体又はその機能的断片はB.anthracisの防御抗原に対し特異的に結合し得る。単離された抗体又はその機能的な断片が提供され、前記抗体は、(i)PA−lCDR1:RASQSVSYSSLA(配列番号59)に対し、少なくとも90%の配列同一性を有する軽鎖CDR1;(ii)PA−lCDR2:GASSRAT(配列番号60)に対し、少なくとも90%の配列同一性を有する軽鎖CDR2;及び(iii)PA−lCDR3:QHYGNSPYT(配列番号61)に対し、少なくとも90%の配列同一性を有する軽鎖CDR3、からなる3つの軽鎖(LC)相補性決定領域(CDR)を含んでなり、この抗体又はその機能的断片はB.anthracisの防御抗原に対し特異的に結合し得る。前述の抗体又は断片配列をコードする核酸組成物がさらに提供される。
【0076】
特定の実施形態において、単離された抗体又はその機能的な断片が提供され、前記抗体は、(i)PA−hCDR1:GYTFTSNAIQ(配列番号62)に対し、少なくとも90%の配列同一性を有する重鎖CDR1;(ii)PA−hCDR2:WINGGDGNTKYSQKFQG(配列番号63)に対し、少なくとも90%の配列同一性を有する重鎖CDR2;及び(iii)PA−hCDR3:HRLQRGGFDP(配列番号64)に対し、少なくとも90%の配列同一性を有する重鎖CDR3から選択される1又はそれ以上の重鎖(HC)相補性決定領域(CDR)であって、前記抗体又はその機能的断片がB.anthracisの防御抗原に対し特異的に結合し得る。ある実施形態において、単離された抗体又はその機能的な断片が提供され、前記抗体は、(i)PA−hCDR1:GYTFTSNAIQ(配列番号62)に対し、少なくとも90%の配列同一性を有する重鎖CDR1;(ii)PA−hCDR2:WINGGDGNTKYSQKFQG(配列番号63)に対し、少なくとも90%の配列同一性を有する重鎖CDR2;及び(iii)PA−hCDR3:HRLQRGGFDP(配列番号64)に対し、少なくとも90%の配列同一性を有する重鎖CDR3から選択される2又はそれ以上の重鎖(HC)相補性決定領域(CDR)であって、前記抗体又はその機能的断片がB.anthracisの防御抗原に対し特異的に結合し得る。ある実施形態において、単離された抗体又はその機能的な断片が提供され、前記抗体は、(i)PA−hCDR1:GYTFTSNAIQ(配列番号62)に対し、少なくとも90%の配列同一性を有する重鎖CDR1;(ii)PA−hCDR2:WINGGDGNTKYSQKFQG(配列番号63)に対し、少なくとも90%の配列同一性を有する重鎖CDR2;及び(iii)PA−hCDR3:HRLQRGGFDP(配列番号64)に対し、少なくとも90%の配列同一性を有する重鎖CDR3から選択される3つの重鎖(HC)相補性決定領域(CDR)であって、前記抗体又はその機能的断片がB.anthracisの防御抗原に対し特異的に結合し得る。前述の抗体又は断片配列をコードする核酸組成物がさらに提供される。
【0077】
ある実施形態において、単離された抗体又はその機能的な断片が提供され、前記抗体は、(i)PA−lCDR1:RASQSVSYSSLA(配列番号59)に対し、少なくとも90%の配列同一性を有する軽鎖CDR1;(ii)PA−lCDR2:GASSRAT(配列番号60)に対し、少なくとも90%の配列同一性を有する軽鎖CDR2;及び(iii)PA−lCDR3:QHYGNSPYT(配列番号61)に対し、少なくとも90%の配列同一性を有する軽鎖CDR3、からなる3つの軽鎖(LC)相補性決定領域(CDR)、及び、(i)PA−hCDR1:GYTFTSNAIQ(配列番号62)に対し、少なくとも90%の配列同一性を有する重鎖CDR1;(ii)PA−hCDR2:WINGGDGNTKYSQKFQG(配列番号63)に対し、少なくとも90%の配列同一性を有する重鎖CDR2;及び(iii)PA−hCDR3:HRLQRGGFDP(配列番号64)に対し、少なくとも90%の配列同一性を有する重鎖CDR3、からなる3つの重鎖(HC)相補性決定領域(CDR)を含んでなり、前記抗体又はその機能的断片がB.anthracisの防御抗原に対し特異的に結合し得る。
【0078】
特定の実施形態において、単離された抗体又はその機能的な断片が提供され、前記抗体は、(i)軽鎖PA−lCDR1:RASQSVSYSSLA(配列番号59);(ii)軽鎖PA−lCDR2:GASSRAT(配列番号60);及び(iii)軽鎖PA−lCDR3:QHYGNSPYT(配列番号61)、から選択される1又はそれ以上の軽鎖(LC)相補性決定領域(CDR)を含んでなり、この抗体又はその機能的断片はB.anthracisの防御抗原に対し特異的に結合し得る。ある実施形態において、単離された抗体又はその機能的な断片が提供され、前記抗体は、(i)軽鎖PA−lCDR1:RASQSVSYSSLA(配列番号59);(ii)軽鎖PA−lCDR2:GASSRAT(配列番号60);及び(iii)軽鎖PA−lCDR3:QHYGNSPYT(配列番号61)、から選択される2又はそれ以上の軽鎖(LC)相補性決定領域(CDR)を含んでなり、この抗体又はその機能的断片はB.anthracisの防御抗原に対し特異的に結合し得る。ある実施形態において、単離された抗体又はその機能的な断片が提供され、前記抗体は、(i)軽鎖PA−lCDR1:RASQSVSYSSLA(配列番号59);(ii)軽鎖PA−lCDR2:GASSRAT(配列番号60);及び(iii)軽鎖PA−lCDR3:QHYGNSPYT(配列番号61)、からなる3つの軽鎖(LC)相補性決定領域(CDR)を含んでなり、この抗体又はその機能的断片はB.anthracisの防御抗原に対し特異的に結合し得る。前述の抗体又は断片配列をコードする核酸組成物がさらに提供される。
【0079】
特定の実施形態において、単離された抗体又はその機能的な断片が提供され、前記抗体は、(i)重鎖PA−hCDR1:GYTFTSNAIQ(配列番号62);(ii)重鎖PA−hCDR2:WINGGDGNTKYSQKFQG(配列番号63);及び(iii)重鎖PA−hCDR3:HRLQRGGFDP(配列番号64)から選択される1又はそれ以上の重鎖(HC)相補性決定領域(CDR)であって、前記抗体又はその機能的断片がB.anthracisの防御抗原に対し特異的に結合し得る。ある実施形態において、単離された抗体又はその機能的な断片が提供され、前記抗体は、(i)重鎖PA−hCDR1:GYTFTSNAIQ(配列番号62);(ii)重鎖PA−hCDR2:WINGGDGNTKYSQKFQG(配列番号63);及び(iii)重鎖PA−hCDR3:HRLQRGGFDP(配列番号64)から選択される2又はそれ以上の重鎖(HC)相補性決定領域(CDR)であって、前記抗体又はその機能的断片がB.anthracisの防御抗原に対し特異的に結合し得る。ある実施形態において、単離された抗体又はその機能的な断片が提供され、前記抗体は、(i)重鎖PA−hCDR1:GYTFTSNAIQ(配列番号62);(ii)重鎖PA−hCDR2:WINGGDGNTKYSQKFQG(配列番号63);及び(iii)重鎖PA−hCDR3:HRLQRGGFDP(配列番号64)からなる3つの重鎖(HC)相補性決定領域(CDR)であって、前記抗体又はその機能的断片がB.anthracisの防御抗原に対し特異的に結合し得る。前述の抗体又は断片配列をコードする核酸組成物がさらに提供される。
【0080】
ある実施形態において、単離された抗体又はその機能的な断片が提供され、前記抗体は、(i)軽鎖PA−lCDR1:RASQSVSYSSLA(配列番号59);(ii)軽鎖PA−lCDR2:GASSRAT(配列番号60);及び(iii)軽鎖PA−lCDR3:QHYGNSPYT(配列番号61)、からなる3つの軽鎖(LC)相補性決定領域(CDR)、及び、(i)重鎖PA−hCDR1:GYTFTSNAIQ(配列番号62);(ii)重鎖PA−hCDR2:WINGGDGNTKYSQKFQG(配列番号63);及び(iii)重鎖PA−hCDR3:HRLQRGGFDP(配列番号64)からなる3つの重鎖(HC)相補性決定領域(CDR)を含んでなり、前記抗体又はその機能的断片がB.anthracisの防御抗原に対し特異的に結合し得る。
【0081】
特定の実施形態において、PA−1抗体の機能的断片は、Fv、Fab、F(ab)又はscFV機能的断片のうち任意の1つである。
【0082】
LF−1 huMAb κ軽鎖cDNAのDNA配列:
ATGTTGCCATCACAACTCATTGGGTTTCTGCTGCTCTGGGTTCCAGCCTCCAGGGGTGAAATTGTGCTGACTCAGTCTCCAGACTTTCAGTCTGTGAGTCCAAAGGAGAAAGTCACCATCACCTGCCGGGCCAGCCAGAGCGTTGGTAGTAGCTTACACTGGTACCAGCAGAAACCAGATCAGTCTCCAAAGCTCCTCATCAAGTATGCTTCCCAGTCCTTCTCAGGGGTCCCCTCGAGGTTCAGTGGCAGTGGATCTGGGACAGATTTCACCCTCACCATCAATAGCCTGGAAACTGAAGATGCTGCAACGTATTACTGTCATCAGAGTAGTAGTTTACCTCTCACTTTCGGCGGAGGGACCAAGGTGGAGATCAAACGAACTGTGGCTGCACCATCTGTCTTCATCTTCCCGCCATCTGATGAGCAGTTGAAATCTGGAACTGCCTCTGTTGTGTGCCTGCTGAATAACTTCTATCCCAGAGAGGCCAAAGTACAGTGGAAGGTGGATAACGCCCTCCAATCGGGTAACTCCCAGGAGAGTGTCACAGAGCAGGACAGCAAGGACAGCACCTACAGCCTCAGCAGCACCCTGACGCTGAGCAAAGCAGACTACGAGAAACACAAAGTCTACGCCTGCGAAGTCACCCATCAGGGCCTGAGCTCGCCCGTCACAAAGAGCTTCAACAGGGGAGAGTGTTAG (配列番号49)
LF−1 huMAb κ軽鎖のアミノ酸配列:
【0083】
【化3】

LF−1 huMAb κ軽鎖のCDR配列を太字で示し、配列番号50のアミノ酸残基51〜60(LF−lCDR1)、アミノ酸残基75〜90(LF−lCDR2)、及びアミノ酸残基124〜133(LF−lCDR3)に相当する。単離されたCDR配列の各々は以下:
LF−lCDR1:RASQSVGSSLH(配列番号65)
LF−lCDR2:YASQSFS(配列番号66)
LF−lCDR3:HQSSSLPLT(配列番号67)
からなる。
【0084】
LF−1 huMAb γ重鎖cDNAのDNA配列:
ATGGAGTTGGGGCTGTGCTGGCTTTTTCTTGTGGCTATTTTAAAAGGTGTCCAGTGTGAGGTGCAGCTGTTGGAGTCTGGGGGAGGCTTGGTACAGCCGGGGGGGTCCCTGAGACTCTCCTGTTCTGGCTCTGGATTCATGTTTAGCAGTTATGCCATGAGCTGGGTCCGCCAGGCTCCAGGGAAGGGGCTGGAGTGGGTCTCAGGAATTAGTGGTAGCGGTGGTACTACAAACTACGCAGACTCCGTGAAGGGCCGGTTCACCATCTCCAGAGACAATTCCAAGAACACGCTGTATATGCAAATGAACAGCCTGAGAGCCGAGGACACGGCCGTATATTACTGTGCGAAAGATGGGGTATATGGCCGACTGGGGGGTTCTGACTACTGGGGCCAGGGAACCCTGGTCACCGTCTCCTCAGCCTCCACCAAGGGCCCATCAGTCTTCCCCCTGGCACCCTCCTCCAAGAGCACCTCTGGGGGCACAGCGGCCCTGGGCTGCCTGGTCAAGGACTACTTCCCCGAACCGGTGACGGTGTCGTGGAACTCAGGCGCCCTGACCAGCGGCGTGCACACCTTCCCGGCTGTCCTACAGTCCTCAGGACTCTACTCCCTCAGCAGCGTGGTGACCGTGCCCTCCAGCAGCTTGGGCACCCAGACCTACATCTGCAACGTGAATCACAAGCCCAGCAACACCAAGGTGGACAAGAAAGTTGAGCCCAAATCTTGTGACAAAACTCACACATGCCCACCGTGCCCAGCACCTGAACTCCTGGGGGGACCGTCAGTCTTCCTCTTCCCCCCAAAACCCAAGGACACCCTCATGATCTCCCGGACCCCTGAGGTCACATGCGTGGTGGTGGACGTGAGCCACGAAGACCCTGAGGTCAAGTTCAACTGGTACGTGGACGGCGTGGAGGTGCATAATGCCAAGACAAAGCCGCGGGAGGAGCAGTACAACAGCACGTACCGTGTGGTCAGCGTCCTCACCGTCCTGCACCAGGACTGGCTGAATGGCAAGGAGTACAAGTGCAAGGTCTCCAACAAAGCCCTCCCAGCCCCCATCGAGAAAACCATCTCCAAAGCCAAAGGGCAGCCCCGAGAACCACAGGTGTACACCCTGCCCCCATCCCGGGATGAGCTGACCAAGAACCAGGTCAGCCTGACCTGCCTGGTCAAAGGCTTCTATCCCAGCGACATCGCCGTGGAGTGGGAGAGCAATGGGCAGCCGGAGAACAACTACAAGACCACGCCTCCCGTGCTGGACTCCGACGGCTCCTTCTTCCTCTACAGCAAGCTCACCGTGGACAAGAGCAGGTGGCAGCAGGGGAACGTCTTCTCATGCTCCGTGATGCATGAGGGTCTGCACAACCACTACACGCAGAAGAGCCTCTCCCTGTCTCCGGGTAAATGA (配列番号51)
LF−1 huMAb γ重鎖のアミノ酸配列:
【0085】
【化4−1】

【0086】
【化4−2】

LF−1 huMAb γ重鎖のCDR配列を太字で示し、配列番号48のアミノ酸残基51〜60(LF−hCDR1)、アミノ酸残基75〜90(LF−hCDR2)、及びアミノ酸残基124〜133(LF−hCDR3)に相当する。
LF−hCDR1:GFMFSSYAMS(配列番号68)
LF−hCDR2:GISGSGGTTNYADSVKG(配列番号69)
LF−hCDR3:DGVYGRLGGSDY(配列番号70)
特定の実施形態において、単離された抗体又はその機能的な断片が提供され、前記抗体は、(i)LF−lCDR1:RASQSVGSSLH(配列番号65)に対し、少なくとも90%の配列同一性を有する軽鎖CDR1;(ii)LF−lCDR2:YASQSFS(配列番号66)に対し、少なくとも90%の配列同一性を有する軽鎖CDR2;及び(iii)LF−lCDR3:HQSSSLPLT(配列番号67)に対し、少なくとも90%の配列同一性を有する軽鎖CDR3、から選択される1又はそれ以上の軽鎖(LC)相補性決定領域(CDR)を含んでなり、この抗体又はその機能的断片はB.anthracisの致死因子に対し特異的に結合し得る。ある実施形態において、単離された抗体又はその機能的な断片が提供され、前記抗体は、(i)LF−lCDR1:RASQSVGSSLH(配列番号65)に対し、少なくとも90%の配列同一性を有する軽鎖CDR1;(ii)LF−lCDR2:YASQSFS(配列番号66)に対し、少なくとも90%の配列同一性を有する軽鎖CDR2;及び(iii)LF−lCDR3:HQSSSLPLT(配列番号67)に対し、少なくとも90%の配列同一性を有する軽鎖CDR3、から選択される2又はそれ以上の軽鎖(LC)相補性決定領域(CDR)を含んでなり、この抗体又はその機能的断片はB.anthracisの致死因子に対し特異的に結合し得る。単離された抗体又はその機能的な断片が提供され、前記抗体は、(i)LF−lCDR1:RASQSVGSSLH(配列番号65)に対し、少なくとも90%の配列同一性を有する軽鎖CDR1;(ii)LF−lCDR2:YASQSFS(配列番号66)に対し、少なくとも90%の配列同一性を有する軽鎖CDR2;及び(iii)LF−lCDR3:HQSSSLPLT(配列番号67)に対し、少なくとも90%の配列同一性を有する軽鎖CDR3、からなる3つの軽鎖(LC)相補性決定領域(CDR)を含んでなり、この抗体又はその機能的断片はB.anthracisの致死因子に対し特異的に結合し得る。前述の抗体又は断片配列をコードする核酸組成物がさらに提供される。
【0087】
特定の実施形態において、単離された抗体又はその機能的な断片が提供され、前記抗体は、(i)LF−hCDR1:GFMFSSYAMS(配列番号68)に対し、少なくとも90%の配列同一性を有する重鎖CDR1;(ii)LF−hCDR2:GISGSGGTTNYADSVKG(配列番号69)に対し、少なくとも90%の配列同一性を有する重鎖CDR2;及び(iii)LF−hCDR3:DGVYGRLGGSDY(配列番号70)に対し、少なくとも90%の配列同一性を有する重鎖CDR3から選択される1又はそれ以上の重鎖(HC)相補性決定領域(CDR)であって、前記抗体又はその機能的断片がB.anthracisの致死因子に対し特異的に結合し得る。ある実施形態において、単離された抗体又はその機能的な断片が提供され、前記抗体は、(i)LF−hCDR1:GFMFSSYAMS(配列番号68)に対し、少なくとも90%の配列同一性を有する重鎖CDR1;(ii)LF−hCDR2:GISGSGGTTNYADSVKG(配列番号69)に対し、少なくとも90%の配列同一性を有する重鎖CDR2;及び(iii)LF−hCDR3:DGVYGRLGGSDY(配列番号70)に対し、少なくとも90%の配列同一性を有する重鎖CDR3から選択される2又はそれ以上の重鎖(HC)相補性決定領域(CDR)であって、前記抗体又はその機能的断片がB.anthracisの致死因子に対し特異的に結合し得る。ある実施形態において、単離された抗体又はその機能的な断片が提供され、前記抗体は、(i)LF−hCDR1:GFMFSSYAMS(配列番号68)に対し、少なくとも90%の配列同一性を有する重鎖CDR1;(ii)LF−hCDR2:GISGSGGTTNYADSVKG(配列番号69)に対し、少なくとも90%の配列同一性を有する重鎖CDR2;及び(iii)LF−hCDR3:DGVYGRLGGSDY(配列番号70)に対し、少なくとも90%の配列同一性を有する重鎖CDR3から選択される3つの重鎖(HC)相補性決定領域(CDR)であって、前記抗体又はその機能的断片がB.anthracisの致死因子に対し特異的に結合し得る。前述の抗体又は断片配列をコードする核酸組成物がさらに提供される。
【0088】
ある実施形態において、単離された抗体又はその機能的な断片が提供され、前記抗体は、(i)LF−lCDR1:RASQSVGSSLH(配列番号65)に対し、少なくとも90%の配列同一性を有する軽鎖CDR1;(ii)LF−lCDR2:YASQSFS(配列番号66)に対し、少なくとも90%の配列同一性を有する軽鎖CDR2;及び(iii)LF−lCDR3:HQSSSLPLT(配列番号67)に対し、少なくとも90%の配列同一性を有する軽鎖CDR3、からなる3つの軽鎖(LC)相補性決定領域(CDR)、及び、(i)LF−hCDR1:GFMFSSYAMS(配列番号68)に対し、少なくとも90%の配列同一性を有する重鎖CDR1;(ii)LF−hCDR2:GISGSGGTTNYADSVKG(配列番号69)に対し、少なくとも90%の配列同一性を有する重鎖CDR2;及び(iii)LF−hCDR3:DGVYGRLGGSDY(配列番号70)に対し、少なくとも90%の配列同一性を有する重鎖CDR3、からなる3つの重鎖(HC)相補性決定領域(CDR)を含んでなり、前記抗体又はその機能的断片がB.anthracisの致死因子に対し特異的に結合し得る。
【0089】
特定の実施形態において、単離された抗体又はその機能的な断片が提供され、前記抗体は、(i)軽鎖LF−lCDR1:RASQSVGSSLH(配列番号65);(ii)軽鎖LF−lCDR2:YASQSFS(配列番号66);及び(iii)軽鎖LF−lCDR3:HQSSSLPLT(配列番号67)、から選択される1又はそれ以上の軽鎖(LC)相補性決定領域(CDR)を含んでなり、この抗体又はその機能的断片はB.anthracisの致死因子に対し特異的に結合し得る。ある実施形態において、単離された抗体又はその機能的な断片が提供され、前記抗体は、(i)軽鎖LF−lCDR1:RASQSVGSSLH(配列番号65);(ii)軽鎖LF−lCDR2:YASQSFS(配列番号66);及び(iii)軽鎖LF−lCDR3:HQSSSLPLT(配列番号67)、から選択される2又はそれ以上の軽鎖(LC)相補性決定領域(CDR)を含んでなり、この抗体又はその機能的断片はB.anthracisの致死因子に対し特異的に結合し得る。ある実施形態において、単離された抗体又はその機能的な断片が提供され、前記抗体は、(i)軽鎖LF−lCDR1:RASQSVGSSLH(配列番号65);(ii)軽鎖LF−lCDR2:YASQSFS(配列番号66);及び(iii)軽鎖LF−lCDR3:HQSSSLPLT(配列番号67)、からなる3つの軽鎖(LC)相補性決定領域(CDR)を含んでなり、この抗体又はその機能的断片はB.anthracisの致死因子に対し特異的に結合し得る。前述の抗体又は断片配列をコードする核酸組成物がさらに提供される。
【0090】
特定の実施形態において、単離された抗体又はその機能的な断片が提供され、前記抗体は、(i)重鎖LF−hCDR1:GFMFSSYAMS(配列番号68);(ii)重鎖LF−hCDR2:GISGSGGTTNYADSVKG(配列番号69);及び(iii)重鎖LF−hCDR3:DGVYGRLGGSDY(配列番号70)から選択される1又はそれ以上の重鎖(HC)相補性決定領域(CDR)であって、前記抗体又はその機能的断片がB.anthracisの致死因子に対し特異的に結合し得る。ある実施形態において、単離された抗体又はその機能的な断片が提供され、前記抗体は、(i)重鎖LF−hCDR1:GFMFSSYAMS(配列番号68);(ii)重鎖LF−hCDR2:GISGSGGTTNYADSVKG(配列番号69);及び(iii)重鎖LF−hCDR3:DGVYGRLGGSDY(配列番号70)から選択される2又はそれ以上の重鎖(HC)相補性決定領域(CDR)であって、前記抗体又はその機能的断片がB.anthracisの致死因子に対し特異的に結合し得る。ある実施形態において、単離された抗体又はその機能的な断片が提供され、前記抗体は、(i)重鎖LF−hCDR1:GFMFSSYAMS(配列番号68);(ii)重鎖LF−hCDR2:GISGSGGTTNYADSVKG(配列番号69);及び(iii)重鎖LF−hCDR3:DGVYGRLGGSDY(配列番号70)からなる3つの重鎖(HC)相補性決定領域(CDR)であって、前記抗体又はその機能的断片がB.anthracisの致死因子に対し特異的に結合し得る。前述の抗体又は断片配列をコードする核酸組成物がさらに提供される。
【0091】
ある実施形態において、単離された抗体又はその機能的な断片が提供され、前記抗体は、(i)軽鎖LF−lCDR1:RASQSVGSSLH(配列番号65);(ii)軽鎖LF−lCDR2:YASQSFS(配列番号66);及び(iii)軽鎖LF−lCDR3:HQSSSLPLT(配列番号67)、からなる3つの軽鎖(LC)相補性決定領域(CDR)、及び、(i)重鎖LF−hCDR1:GFMFSSYAMS(配列番号68);(ii)重鎖LF−hCDR2:GISGSGGTTNYADSVKG(配列番号69);及び(iii)重鎖LF−hCDR3:DGVYGRLGGSDY(配列番号70)からなる3つの重鎖(HC)相補性決定領域(CDR)を含んでなり、前記抗体又はその機能的断片がB.anthracisの致死因子に対し特異的に結合し得る。
【0092】
特定の実施形態において、LF−1抗体の機能的断片は、Fv、Fab、F(ab)又はscFV機能的断片のうち任意の1つである。
【0093】
抗体組成物及び送達ビヒクル及び方法
本発明は本発明の方法に従って調製した1以上の抗体を含んでなる抗体組成物を提供する。「抗体組成物」とは、1以上の抗体又はその機能的断片、及び、場合により、抗体精製プロセス中に除去されない産生システムの任意の成分を含んでなる組成物のことをいう。したがって、選択した発現系、例えば植物に基づく発現系、において本発明のオリゴヌクレオチドプライマーを用いて、単離されたcDNAを発現させることにより調製した抗体又はその機能的断片を含む第1の抗体組成物は、異なる発現系を用いて調製した、同じ抗体を含む第2の抗体組成物とは同一でない場合があることが理解されるであろう。例えば、組織培養として維持されたハイブリドーマにより産生された抗体を含んでなる抗体組成物は、組織培養培地中に見られる残りの成分を含み得るのに対して、植物に基づく発現系を用いて産生した抗体は通常これらの成分を含まない。したがって、特定の実施形態において、本発明の抗体組成物は、同じ抗体を含む他の抗体組成物と識別可能である。
【0094】
いくつかの実施形態において、本発明の方法に従って調製した1以上の抗体は、診断及び/又は治療目的のために、対象への投与に適した医薬組成物として提供される。この場合、「治療目的」は、予防目的(すなわち、疾患又は症状の任意の徴候又は症状が生じる前の投与)及び治療目的(すなわち、疾患又は症状の1以上の徴候又は症状が生じた後の投与)を含むものとして理解される。本発明の抗体は、限定することなく、診断的に、予防的に、及び/又は、感染性疾患(例えば、細菌性、ウィルス性、真菌性、又は寄生虫疾患)、癌(この用語は、上皮性悪性腫瘍、非上皮性悪性腫瘍、リンパ腫、白血病、骨髄異形成症候群、良性腫瘍等を包含する)、炎症性症状、望ましくない血管新生により特徴付けられる疾患、移植拒絶、対宿主性移植片疾患等の治療のために使用することができる。本発明の抗体のその他の用途には、癌細胞、リンパ細胞等の望ましくない細胞のin vitroにおける免疫涸渇が含まれる。抗体は、その他の物質(例えば、診断的又は治療的物質)を、抗体によって認識される抗原が発現される体内のある部位を標的とするためにも使用することができる。
【0095】
好適な調製物、例えば、実質的に純粋な抗体調製物は、適当な医薬組成物を製造するために、薬学的許容可能な担体、希釈剤、溶媒等と組み合わせてもよい。本発明は、従って、(i)抗体;及び(ii)薬学的許容可能な担体、アジュバント、又はビヒクルを含んでなる、対象へ投与するための、様々な薬学的許容可能な組成物を提供する。対象へ投与する場合、本発明の医薬組成物は、好ましくは、投与される治療又は予防の疾患又は症状を治療又は予防するために十分な時間及び量で投与されることを理解すべきである。
【0096】
本発明の各種実施形態において、有効量の医薬組成物は、限定するものではないが、静脈内、筋肉内、吸入による、カテーテルによる、眼内、経口、経直腸、皮内、皮膚への適用による等を含む任意の好適な投与経路により対象に投与される。
【0097】
本発明の組成物は、限定するものではないが、非経口、経口、肺への吸入による、経鼻、経気管支、眼科的、経皮(局所)、経粘膜、経直腸、及び経膣経路等の任意の利用可能な経路による送達のために製剤化することができる。本明細書において使用する場合、用語「非経口」には、皮下、静脈内、筋肉内、関節内、滑膜内、胸骨内、髄腔内、肝内、病変内及び頭蓋内への注射又は注入技法が含まれる。
【0098】
用語「薬学的許容可能な担体、アジュバント、又はビヒクル」とは、共に製剤化する化合物の薬理活性を損なわない非毒性の担体、アジュバント、又はビヒクルのことをいう。本発明の組成物において使用され得る薬学的許容可能な担体、アジュバント、又はビヒクルとしては、限定するものではないが、イオン交換物質、アルミナ、ステアリン酸アルミニウム、レシチン、ヒト血清アルブミン等の血清タンパク質、リン酸塩等のバッファー物質、グリシン、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、飽和植物脂肪酸のグリセリド混合物、水、硫酸プロタミン、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素カリウム、塩化ナトリウム、亜鉛塩等の塩又は電解質、コロイド状シリカ、三ケイ酸マグネシウム、ポリビニルピロリドン、セルロース系物質、ポリエチレングリコール、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、ポリアクリレート、ワックス、ポリエチレン−ポリオキシプロピレンブロックポリマー、ポリエチレングリコール及び羊毛脂が挙げられる。薬学的投与に適合し得る、溶媒、分散媒、コーティング、抗細菌物質及び抗真菌物質、等張剤及び吸収遅延剤等を含んでもよい。補助活性化合物、例えば、治療する疾患又は臨床症状に対して独立して活性である化合物、又は化合物の活性を促進する化合物も組成物中に組み入れることができる。
【0099】
本発明の化合物の薬学的許容可能な塩には、薬学的許容可能な無機及び有機酸及び塩基に由来するものが含まれる。好適な塩の例としては、酢酸塩、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、重硫酸塩、酪酸塩、クエン酸塩、カンフル酸塩、カンフルスルホン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、ジグルコン酸塩、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、ギ酸塩、フマル酸塩、グルコヘプタン酸塩、グリセロリン酸塩、グリコール酸塩、ヘミサルフェート、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、塩化水素、臭化水素、ヨウ化水素、2−ヒドロキシエタンスルホネート、ニコチン酸塩、硝酸塩、シュウ酸塩、パルモエート、ペクチネート、過硫酸塩、3−フェニルプロピオン酸塩、リン酸塩、ピクリン酸塩、ピバリン酸塩、プロピオン酸塩、サリチル酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、チオシアネート、トシル酸塩及びウンデカン酸塩が挙げられる。シュウ酸等のその他の酸は、それ自体は薬学的許容可能ではないが、本発明の化合物及びそれらの薬学的許容可能な酸付加塩を取得する際の中間体として有用な塩の調製に使用することができる。
【0100】
適当な塩基に由来する塩としては、アルカリ金属(例えば、ナトリウム及びカリウム)、アルカリ土類金属(例えば、マグネシウム)、アンモニウム及びN+(C1〜4アルキル)4塩が挙げられる。本発明は、本明細書において開示される任意の塩基性窒素含有化合物群の4級化も想定している。水又は油溶解性又は分散性生成物はかかる4級化によって得ることができる。
【0101】
医薬組成物は、その意図する投与経路と適合するように製剤化される。非経口(例えば、静脈内)、筋肉内、皮内、又は皮下への適用のために使用される溶液又は懸濁液は以下の成分を含んでもよい:注射用水、食塩水、不揮発性油、ポリエチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコール又はその他の合成溶媒等の無菌希釈剤;ベンジルアルコール又はメチルパラベン等の抗菌剤;アスコルビン酸又は重亜硫酸ナトリウム等の抗酸化剤;エチレンジアミン四酢酸等のキレート剤;酢酸塩、クエン酸塩又はリン酸塩等のバッファー並びに塩化ナトリウム又はデキストロース等の等張性を調節するための物質。pHは、塩酸又は水酸化ナトリウム等の酸又は塩基を用いて調整することができる。非経口調製物には、アンプル、使い捨て型シリンジ、又はガラスもしくはプラスチックから作られたマルチ用量バイアルが包含され得る。
【0102】
注射用途に適した医薬組成物としては、通常、無菌注射溶液又は分散液の即時調製のための水溶液(水溶性の場合)又は分散液及び無菌粉末が挙げられる。静脈内投与のための好適な担体としては、生理食塩水、静菌水、Cremophor EL(商標)(BASF,Parsippany,NJ)、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)、リンゲル溶液等が挙げられる。
【0103】
無菌の不揮発性油が通常、溶媒又は懸濁媒体として使用される。この目的のために、合成モノ又はジグリセリドを含む任意のブランドの不揮発性油を使用することができる。オレイン酸及びそのグリセリド誘導体等の脂肪酸は、オリーブ油又はヒマシ油等の油は特にそのポリオキシエチル化された状態で天然の薬学的許容可能であるので、注射用物質の調製において有用である。これらの油溶液又は懸濁液は、長鎖アルコール希釈剤又はカルボキシメチルセルロース等の分散剤又はエマルジョン及び懸濁液を含む薬学的許容可能な剤形の製剤化において通常使用される同様の分散剤も含んでよい。Tween、Span等の一般的に使用されているその他の界面活性剤及びその他の乳化剤又は薬学的許容可能な固体、液体、又はその他の剤形の製造に通常使用し得る生物学的活性促進剤もまた、製剤化の目的のために使用することができる。
【0104】
全ての場合において、組成物は無菌である必要があり、可能であれば、簡便な注射操作性となりうるように液体であるべきである。
【0105】
好ましい医薬製剤は、製造及び保存条件下で安定であり、細菌及び真菌等の微生物の汚染作用に対抗して保存されなければならない。一般的に、関連する担体は、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、及び液体ポリエチレングリコール等)を含む溶媒又は分散媒、及び好適なそれらの混合物であることができる。適当な流動性は、例えば、レシチン等のコーティング剤の使用により、分散させる場合に必要とされる粒径の維持により、及び界面活性剤の使用により、維持することができる。微生物の作用の抑制は、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、アスコルビン酸、チメロサール等の各種抗菌剤及び抗真菌剤によって達成することができる。多くの場合において、組成物中に、例えば、糖類、マニトール等の多価アルコール、ソルビトール、塩化ナトリウム等の等張剤を含有するのが好ましい。注射可能な組成物の持続吸収は、組成物中に吸収を遅延させる物質、例えば、モノステアリン酸アルミニウム及びゼラチンを含有させることによりもたらすことができる。経口用組成物の持続吸収は、カプセル化等の各種手段により達成することができる。
【0106】
無菌の注射可能な溶液は、必要とされる量で活性化合物を上記列挙した成分の1つ又は組み合わせの適当な溶媒中に含有させ、必要であれば、次に滅菌濾過することにより、調製することができる。好ましくは注射のための溶液はエンドトキシンを含んでいない。通常、分散液は、活性化合物を、塩基性分散媒体と上記列挙したものから必要とされるその他の成分を含む無菌ビヒクル中に含有させることにより調製される。無菌の注射可能な溶液の調製のための無菌粉末の場合、好ましい調製方法は真空乾燥及び凍結乾燥であり、これにより活性成分の粉末と、従前にその滅菌濾過した溶液からの任意のさらなる所望の成分が得られる。
【0107】
経口用組成物は、通常、不活性希釈剤又は可食担体を含む。経口治療投与の目的のために、活性化合物は賦形剤と共に含有させることができ、錠剤、トローチ、又はゼラチンカプセル等のカプセルの形態で使用することができる。経口用組成物は、うがい薬として使用するために液体担体を用いて調製することもできる。薬学的に適合可能な結合剤及び/又はアジュバント物質は組成物の一部として含有させることができる。錠剤、丸剤、カプセル、トローチ等は任意の以下の成分又は同様の特性の化合物を含むことができる:微晶質セルロース、トラガカントガム又はゼラチン等の結合剤;デンプン又は乳糖等の賦形剤、アルギン酸、Primogel、又はトウモロコシデンプン等の崩壊剤;ステアリン酸マグネシウム又はSterotes等の潤滑剤;コロイド状二酸化ケイ素等の流動促進剤;ショ糖又はサッカリン等の甘味剤;又はペパーミント、サリチル酸メチルもしくはオレンジ香料等の香味剤。経口送達のための製剤は、有利には、消化管内において安定性を向上させるため及び/又は吸収を促進させるための物質を含んでもよい。
【0108】
吸入による投与のために、本発明の組成物は、好ましくは、好適な噴射剤、例えば、二酸化炭素等の気体、を含む加圧容器又は投薬装置又はネブライザーからエアロゾルスプレーの形態で送達される。液体又は乾燥エアロゾル(例えば、ドライパウダー、大きな多孔質粒子等)を使用してもよい。本発明は鼻腔用スプレーを用いた組成物の送達も意図する。
【0109】
局所投与のために、薬学的許容可能な組成物は、1以上の担体中に懸濁させた又は溶解させた活性成分を含む適当な軟膏として製剤化することもできる。本発明の化合物の局所投与のための担体としては、限定するものではないが、鉱油、流動ワセリン、白色ワセリン、プロピレングリコール、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン化合物、乳化ろう及び水が挙げられる。あるいは、薬学的許容可能な組成物は、1以上の薬学的許容可能な担体中に懸濁させた又は溶解させた活性成分を含む適当なローション又はクリームとして製剤化することができる。好適な担体としては、限定するものではないが、鉱油、ソルビタンモノステアレート、ポリソルベート60、セチルエステルろう、セテアリルアルコール、2−オクチルドデカノール、ベンジルアルコール及び水が挙げられる。
【0110】
眼への局所送達のために、薬学的許容可能な組成物は、等張性のpH調整した無菌食塩水中の微小懸濁液として、又は、好ましくは、塩化ベンジルアルコニウム等の保存剤を含有していようがいまいと、等張性のpH調整した無菌食塩水中の溶液として製剤化することができる。あるいは、眼への使用のために、薬学的許容可能な組成物は、ワセリン等の軟膏として製剤化することができる。
【0111】
本発明の薬学的許容可能な組成物は、鼻腔用エアロゾル又は吸入により投与することもできる。かかる組成物は、医薬製剤化の技術分野における周知の技法に従って調製され、ベンジルアルコール又はその他の好適な保存剤、バイオアベイラビリティーを増大させるための吸収促進剤、フルオロカーボン及び/又はその他の通常の可溶化剤又は分散剤を用いて、食塩水中の溶液として調製することができる。
【0112】
全身投与は、経粘膜的又は経皮的手段であってもよい。経粘膜又は経皮投与のために、バリアを通過するのに適当な浸透剤が製剤中で使用される。かかる浸透剤は通常、当技術分野において公知であり、経粘膜投与のためには、界面活性剤、胆汁酸塩、及びフシジン酸誘導体が挙げられる。経粘膜投与は、鼻腔内スプレー又は座薬の使用により達成することができる。経皮投与のためには、抗体が、通常公知である、軟膏、サルベ、ゲル又はクリームの形態に製剤化される。
【0113】
抗体組成物は、(例えば、ココアバター等の従来の座薬基剤及びその他のグリセリド類と共に)座薬又は直腸送達のために滞留型浣腸の形態で調製することもできる。
【0114】
上記物質に加えて、本発明の特定の実施形態において、抗体組成物は、身体からの迅速な排除に対して抗体を保護し得る担体と共に調製される。例えば、移植及び微小カプセル化送達システムを含む、放出制御製剤である。エチレンビニルアセテート、多価無水物、ポリグリコール酸、コラーゲン、ポリオルトエステル、ポリエーテル及びポリ乳酸等の生物分解性、生物適合性ポリマーを使用することができる。かかる製剤の調製方法は当業者に明らかである。特定の物質は、Alza Corporation及びNova Pharmaceuticals,Inc.から購入することもできる。リポソーム懸濁物も薬学的許容可能な担体として使用することができる。これらは、例えば、米国特許第4,522,811号及び本明細書中に記載されるその他の参考文献に記載されるような、当業者に公知の方法にしたがって調製することができる。標的化リポソーム(例えば、抗体標的化リポソーム)を含むリポソーム及びPEG化リポソームについて記載されている(Hansen CB,et al.,Biochim Biophys Acta.1239(2):133−44,1995;Torchilin VP,et al.,Biochim Biophys Acta,1511(2):397−411,2001;Ishida T,et al.,FEBS Lett.460(1):129−33,1999)。当業者であれば、放出制御製剤、移植物等の調製のために選択される材料及び方法においては抗体の活性を維持すべきであることを理解するであろう。例えば、変性及び活性の喪失につながり得る、抗体等のポリペプチドを過剰に加熱することは避けるのが望ましい。
【0115】
投与の簡便性及び用量の均一性のためには、経口用組成物又は非経口用組成物を単位投与形態で製剤化することが通常は有利である。本明細書において使用する場合、単位投与形態とは、治療する対象に対して単位用量を最適化した物理的に分離した単位のことをいい;各単位は必要とされる医薬担体と共に所望の治療効果を生じるように計算された所定量の抗体を含む。
【0116】
かかる組成物の毒性及び治療効力は、例えば、LD50(全集団の50%が死に至る用量)及びED50(全集団の50%において治療的に有効である用量)を、細胞培養又は実験動物における標準的薬学的方法によって調べることができる。毒性と治療効果との用量比が治療指数であり、比LD50/ED50として表し得る。高い治療指数を示す組成物が好ましい。毒性副作用を示す組成物は使用され得るが、感染していない細胞への潜在的な被害を最小にし、それにより副作用を減少させるために、影響を受ける組織部位に対してかかる組成物が標的とする送達システムを設計することに注意すべきである。
【0117】
細胞培養アッセイ及び動物試験から得られるデータは、ヒトでの使用のために用量範囲を決定する際に使用することができる。用量は好ましくは、毒性をほとんど示さないか又は全く示さずに、ED50を含む循環濃度範囲にある。用量は、使用される剤形及び利用される投与経路に応じて、この範囲で変動し得る。本発明の方法において使用される任意の抗体又はその他の化合物について、治療的有効な用量は、最初は細胞培養アッセイから計算し得る。動物モデルにおいては、細胞培養において決定されたED50を含む循環血漿濃度範囲を達成するように、用量を決定し得る。かかる情報を用いることにより、ヒトにおける有用な用量をより正確に決定することができる。血漿中レベルは、例えば高速液体クロマトグラフィーによって測定することができる。
【0118】
医薬組成物の治療的有効量は、通常、約0.001〜100mg/kg体重、好ましくは約0.01〜25mg/kg体重、より好ましくは約0.1〜20mg/kg体重、さらにより好ましくは約1〜10mg/kg、2〜9mg/kg、3〜8mg/kg体重、4〜7mg/kg、又は5〜6mg/kg体重の範囲である。医薬組成物は、様々な間隔、及び、必要とされる様々な期間に亘り、例えば、1日あたり複数回、毎日、1日置き、約1〜10週間に亘り、2〜8週間に亘り、約3〜7週間に亘り、約4、5、又は6週間、1週間に1回等で投与することができる。対象を有効に治療するために必要とされる用量及び時間に、限定するものでないが、疾患又は障害の重篤度、従前の治療、対象の全体的な健康及び/又は年齢、並びに罹患しているその他の疾患等の特定の要素が影響を及ぼし得ることは、当業者であれば理解するであろう。通常、本発明の組成物による対象の治療には、単回治療が含まれ、多くの場合では、一連の治療を含み得る。一定の範囲の異なる用量の組み合わせ(すなわち、ある用量の2以上の抗体又は1以上の抗体と1以上の付加的活性物質)を使用することができる。
【0119】
例示的用量には、対象又はサンプル体重1キログラムあたりミリグラム又はマイクログラム量の抗体を含む(例えば、1キログラムあたり約1マイクログラム〜1キログラムあたり約500ミリグラム、1キログラムあたり約100マイクログラム〜1キログラムあたり約5ミリグラム、又は1キログラムあたり約1マイクログラム〜1キログラムあたり約50マイクログラム)。局所投与(例えば、鼻腔内)に対しては、これらよりもずっと少ない用量が使用され得る。適当な用量は薬剤の効力に依存し、例えば、予め選択された所望の反応が得られるまで用量を増大させて投与することにより、特定の受容者に対して任意に対応し得ることがさらに理解される。任意の特定の対象に対する特定の用量レベルは、使用される具体的な化合物、対象の年齢、体重、全体的健康、性別及び食事、投与時間、投与経路、排泄速度、任意の薬物との組み合わせ、並びに変調し得る発現又は活性の程度等の様々な因子に依存し得ることが理解される。
【0120】
本発明はさらに、2又はそれ以上の本発明の抗体及び、所望により1以上の付加的な活性薬剤を含んでなる医薬組成物を提供する。
【実施例】
【0121】
以下の実施例は、B.anthracisのPA又はLFタンパク質に対し特異的に結合する抗体を産生するヒトハイブリドーマ細胞株からcDNAをクローニングしたことを記載する。PA(本明細書中でPAとする)又はLF(本明細書中でLFとする)を特異的に認識するモノクローナル抗体のヒト重鎖及び軽鎖に関するcDNAを、ライセンスされた炭疽病ワクチンを用いて免疫したヒト患者から単離した細胞から作製したハイブリドーマ細胞より単離した。
【0122】
実施例1:ヒトモノクローナル抗体をコードするcDNAの、ハイブリドーマからの単離
この実施例は、ヒトモノクローナル抗体をコードするcDNAを単離するための、表1中に列挙された特定のオリゴヌクレオチドプライマーの使用について記載する。全てのキットは、製造者の説明書に従って使用した。
【0123】
ハイブリドーマ細胞株からのRNA精製
10個の細胞の任意の所定のハイブリドーマ細胞株から、RNeasy Mini Kit(Qiagen)を用いて総RNAを精製した。RNAを50μlの水中に溶出し(収率未計算)、5μlを各RT−PCR反応に使用した。
【0124】
逆転写PCR
RT−PCRに使用するプライマーを表1中に列挙する。Superscript One−Step RT−PCR with Platinum Taq DNA polymerase(Invitrogen)を用いてRT−PCRを行った。任意の所定の重鎖又は軽鎖配列中の可能性を有する全ての可変領域を効果的に標的化するために、各RT−PCR反応のためのプライマーの組み合わせを使用し、各抗体遺伝子を増幅するためにいくつかのRT−PCR反応を同時に行った。
【0125】
重鎖については、各2μMのプライマーであるVG1+7短、VG2短、及びVG3短を2μMの不変γ短(CG短)プライマーと1反応で組み合わせ、各2μMのプライマーであるVG4−短、VG5−短、及びVG6−短を各2μMの不変γ短(CG−短)プライマーと第2の反応で組み合わせた。任意の産物を次いでQiaex II(Qiagen)を用いて精製し、その産物が第1の反応から生じる場合には、2μMのプライマーCGと組み合わせた各2μMのプライマーVG1、VG2、及びVG3により再増幅し、又は、その産物が第2のRT−PCR反応から生じる場合には、Platinum PCR SuperMix High Fidelity(Invitrogen)を用いて、2μMのプライマーCGと組み合わせた各2μMのプライマーVG4、VG5、及びVG6により再増幅し、異なる5’及び3’Sfi I制限部位を導入した。
【0126】
軽鎖については、産物の迅速なクローニングのために、RT−PCR産物の収量は常に十分なものとし、すなわち、短プライマーを用いた最初のRT−PCR反応の必要性をなくすようにした。代わりに、各2μMの3つの可変領域プライマーを2μMの定常領域プライマー(表1)と組み合わせて、λに関する3つの別々の反応及びκ軽鎖に関する2つの別々の反応を引き起こした。具体的には、反応は2つ又は3つの以下の可変プライマー:
CK + VK1, 2+1.8及び3
CK + VK 4及び5
CL + VL1, 2及び3
CL + VL4, 5及び6+9
CL + VL7及び10+8、を含むものとした。
その他の組み合わせが使用され得ることが理解されるであろう。
【0127】
PCRサイクリングの条件は、Krebber,A.,Bornhauser,S.,Burmester,J.,Honegger,A.,Willuda,J.,Bosshard,H.R.,and Pluckthun,A.(1997)によるものに適合させた。Reliable cloning of functional antibody variable domains from hybridomas and spleen cell repertoires employing a reengineered phage display system.J Immunol Methods 201,35−55。RT−PCRのために、サイクリング条件を以下のようにした:45℃にて30分間、94℃にて2分間:94℃にて1分間、63℃にて30秒間、58℃にて50秒間、72℃にて3分間、の7サイクル:94℃にて1分間、63℃にて1分間、及び72℃にて3分間の33サイクル、次いで72℃にて7分間。通常のPCR(RT−PCRではない)のためには、45℃にて30分間、及び94℃にて2分間の開始時のステップを除いた。
【0128】
増幅産物をバイナリーベクターであるpBISfiへとクローニングし、その構築を実施例2に記載する。
【0129】
実施例2: pBISfiベクターの構築
この実施例は、植物中での抗体発現のために使用することを助けるためのバイナリーベクターpBI121の修飾について記載する。最初に、pBI121ベクターの11031bpの内部Sfi I部位を以下のように変異させた:ベクターをSfi Iで消化し、Klenowを用いて、得られた一本鎖の突出部を埋め、得られた平滑末端を再度連結した。5’に唯一のSfi I部位を作製するために、オリゴヌクレオチドBamSfi 1(5’−GATCCGGCCCAGCCGGCCG−3’;配列番号53)及びBamSfi 2(5’−GATCCGGCCGGCTGGGCCG−3’;配列番号54)を互いにアニールし、(内部Sfi I部位を欠損した)pBI121ベクターのBamH I部位へと連結した。同様に、オリゴヌクレオチドSacSfi 1(5’−GCCTCGGGGGCCGAGCT−3’;配列番号55)及びSacSfi 2(5’−GCCCCCGAGGCCGAGCT−3’;配列番号56)をアニールし、(内部Sfi I部位を欠損した)pBI121ベクターのSac I部位へと連結して、3’に唯一のSfi I部位を作製した。
【0130】
実施例3: PA抗体重鎖をコードするcDNAの変異
PAγ鎖の318の位置におけるN−グリコシル化部位を変化させるために、製造者の推奨に従ってInvitrogen’s GeneTailor kitを使用し、PAγ鎖をコードするcDNAを変異させた。以下の変異プライマーを使用した:5’−ccgcgggaggagcagtacCAAagcacgtaccgt−3’(配列番号57)。逆向きプライマーは以下を用いた:gtactgctcctcccgcggctttgtcttggca(配列番号58)。変異の結果として、AACコドンがCAAコドンに置き換えられ、Asn→Glnの変化がもたらされた。
【0131】
実施例4: 植物中でのグリコシル化された及びグリコシル化されなPA抗体の製造
pBISfiI中の35Sプロモーター下での、軽鎖又は重鎖cDNAを担持するアグロバクテリウム培養物の1:1混合物を用いたアグロインフィルトレーション法により、ベンサミアナタバコ(Nicotiana benthamiana)植物体の葉から、グリコシル化された及びグリコシル化されないPA抗体(それぞれPA及びPANG)を精製した。抗体をタンパク質A−及びT−ゲルクロマトグラフィーを用いて精製し、SDS−PAGEを用いて比較した。図1はゲルのイメージを示し、グリコシル化の欠損によりPANG重鎖の電気泳動移動度に差が出ていること、すなわち、PANG重鎖が、より軽いPA重鎖よりも早く移動することが明確に示されている。ウェスタンブロット及びELISA分析の結果、それぞれPA及びLFのためのPA、PANG及びLF抗体の特異的結合活性が示され、植物中での製造が抗体結合の特異性を損なわないことが示された。
【0132】
実施例5: ラットにおける抗PA及び抗LFヒトモノクローナル抗体の半減期の検討
雄Fischerラットの腹腔内に、植物が産生したPA、植物が産生したPANG、又は、植物が産生したLFのいずれかを50μg注射した。注射前、ならびに注射2時間後、1、2、3、4、5、10、15及び20日後に血清サンプルを採取した。血清を、PA−又はLF−特異的結合ELISAのいずれかにより分析した。植物が産生したPA及びPANGは同様の半減期を示し、一方、LF抗体は、植物が産生したPA抗体のいずれと比較した時でも、いくらか短い半減期を有していた。
【0133】
実施例6: 動物防御試験
Beedham及び同僚らの方法に従い、植物が産生したPAの、A/J マウスをB.anthracisのSterne株の胞子を用いた攻撃から守るための能力を試験した。5匹のマウスの群に180μgの植物が産生したPA mAbをPBS中、腹腔内の経路により投与した。対照マウスにはPBSを与えた。受動免疫2.5時間後に、動物に対し、0.1mLのPBS中に1×10個の胞子(ほぼ30半数致死投与量)を含むようにB.anthracisの胞子を与えた。challendに続き、罹患率又は死亡率の徴候に関し、14日間毎日動物を観察した。植物が産生したmAbを与えた動物では疾患症状が進行せず、健康を維持し、攻撃に対して生存した。一方、対象の動物では疾患が進行し、攻撃後3日以内で死亡した。
【0134】
当業者であれば、定型的な実験をこれ以上行うことなく、本明細書中に記載する本発明の具体的実施形態に対する多くの均等物を認識し、又は確認できるであろう。本発明の範囲は上述の記載に限定されることを意図されず、むしろ添付の特許請求の範囲に説明されるようなものであることが意図される。特許請求の範囲の項目において、「a」、「an」及び「the」等の語は、それに反する記載がない限り、又は文脈から明らかである場合、1以上を意味する場合がある。グループの中の1又はそれ以上の要素の間に「又は」を含む請求項又は記載は、それに反する記載がない限り、又は文脈から明らかである場合、所定の製品又はプロセス中に存在し、利用され、又は関連する場合、1つの、1つ以上の、又は全ての要素が充足されるものと考えられる。さらに、本発明が、全ての変形、組み合わせ及び置換を包含し、1以上の限定、要素、節、記述的な用語等が、1以上の列挙された請求項から別の請求項へと導入されることが理解されるべきである。具体的には、他の請求項に依存する任意の請求項は、同様の基礎となる請求項に依存する、その他の任意の請求項中に見られる1以上の限定を含むように修飾され得る。さらに、先行技術の範囲内に含まれる本発明の任意の特定の実施形態は、請求項から明確に除外されることが理解される。このような実施形態は、それらが本明細書中で明確に説明されない場合であっても、当業者にとっては知られているものと考えられる。例えば、任意の具体的なオリゴヌクレオチド、cDNA、核酸、又は抗体が請求項から除外され得る。
【図面の簡単な説明】
【0135】
【図1】図1は、PA及びPANG(非グリコシル型)植物産生抗体のSDS−PAGE分析を示すゲルの写真である。IgG標準は精製された総ヒトIgGである。重(H)鎖及び軽(L)鎖の位置を矢印で示す。
【図2】図2は、植物によって産生されるPA(PA)、又はPANG(PANG)、LF(LF)抗体の半減期に関する研究の結果を表すグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)1又はそれ以上の軽鎖(LC)相補性決定領域(CDR);および
(b)1又はそれ以上の重鎖(HC)相補性決定領域(CDR)
を含む、単離された抗体又はその機能性断片であって、前記抗体又はその機能性断片がB.anthracisの防御抗原に対し特異的に結合することができ、
該(a)は、以下:
(i)PA−lCDR1:RASQSVSYSSLA(配列番号59)に対し、少なくとも90%の配列同一性を有する軽鎖CDR1;
(ii)PA−lCDR2:GASSRAT(配列番号60)に対し、少なくとも90%の配列同一性を有する軽鎖CDR2;及び
(iii)PA−lCDR3:QHYGNSPYT(配列番号61)に対し、少なくとも90%の配列同一性を有する軽鎖CDR3、からなる群から選択され、
該(b)は、以下:
(iv)PA−hCDR1:GYTFTSNAIQ(配列番号62)に対し、少なくとも90%の配列同一性を有する重鎖CDR1;
(v)PA−hCDR2:WINGGDGNTKYSQKFQG(配列番号63)に対し、少なくとも90%の配列同一性を有する重鎖CDR2;及び
(vi)PA−hCDR3:HRLQRGGFDP(配列番号64)に対し、少なくとも90%の配列同一性を有する重鎖CDR3、
からなる群から選択される、前記抗体又はその機能的断片。
【請求項2】
(a)2又はそれ以上の軽鎖(LC)相補性決定領域(CDR);および
(b)2又はそれ以上の重鎖相補性決定領域(CDR)
を含み、前記抗体又はその機能的断片がB.anthracisの防御抗原に対し特異的に結合することができる、請求項1記載の抗体又はその機能的断片であって、
該(a)は、以下:
(i)PA−lCDR1:RASQSVSYSSLA(配列番号59)に対し、少なくとも90%の配列同一性を有する軽鎖CDR1;
(ii)PA−lCDR2:GASSRAT(配列番号60)に対し、少なくとも90%の配列同一性を有する軽鎖CDR2;
(iii)PA−lCDR3:QHYGNSPYT(配列番号61)に対し、少なくとも90%の配列同一性を有する軽鎖CDR3、
からなる群から選択され、
該(b)は、以下:
(iv)PA−hCDR1:GYTFTSNAIQ(配列番号62)に対し、少なくとも90%の配列同一性を有する重鎖CDR1;
(v)PA−hCDR2:WINGGDGNTKYSQKFQG(配列番号63)に対し、少なくとも90%の配列同一性を有する重鎖CDR2;及び
(vi)PA−hCDR3:HRLQRGGFDP(配列番号64)に対し、少なくとも90%の配列同一性を有する重鎖CDR3、
からなる群から選択される、抗体又はその機能的断片。
【請求項3】
(a)3つの軽鎖(LC)相補性決定領域(CDR);および
(b)3つの重鎖相補性決定領域(CDR)
を含み、前記抗体又はその機能的断片がB.anthracisの防御抗原に対し特異的に結合することができる、請求項1記載の抗体又はその機能的断片であって、
該(a)が、以下:
(i)PA−lCDR1:RASQSVSYSSLA(配列番号59)に対し、少なくとも90%の配列同一性を有する軽鎖CDR1;
(ii)PA−lCDR2:GASSRAT(配列番号60)に対し、少なくとも90%の配列同一性を有する軽鎖CDR2;及び
(iii)PA−lCDR3:QHYGNSPYT(配列番号61)に対し、少なくとも90%の配列同一性を有する軽鎖CDR3、
からなり、
該(b)が、以下:
(iv)PA−hCDR1:GYTFTSNAIQ(配列番号62)に対し、少なくとも90%の配列同一性を有する重鎖CDR1;
(v)PA−hCDR2:WINGGDGNTKYSQKFQG(配列番号63)に対し、少なくとも90%の配列同一性を有する重鎖CDR2;及び
(vi)PA−hCDR3:HRLQRGGFDP(配列番号64)に対し、少なくとも90%の配列同一性を有する重鎖CDR3、
からなる、抗体又はその機能的断片。
【請求項4】
(a)1又はそれ以上の軽鎖(LC)相補性決定領域(CDR);および
(b)1又はそれ以上の重鎖(HC)相補性決定領域(CDR)
を含む、単離された抗体又はその機能的断片であって、前記抗体又はその機能的断片がB.anthracis致死因子に対し特異的に結合することができ、
該(a)は、以下:
(i)LF−lCDR1:RASQSVGSSLH(配列番号65)に対し、少なくとも90%の配列同一性を有する軽鎖CDR1;
(ii)LF−lCDR2:YASQSFS(配列番号66)に対し、少なくとも90%の配列同一性を有する軽鎖CDR2;及び
(iii)LF−lCDR3:HQSSSLPLT(配列番号67)に対し、少なくとも90%の配列同一性を有する軽鎖CDR3、
からなる群から選択され、
該(b)は、以下:
(iv)LF−hCDR1:GFMFSSYAMS(配列番号68)に対し、少なくとも90%の配列同一性を有する重鎖CDR1;
(v)LF−hCDR2:GISGSGGTTNYADSVKG(配列番号69)に対し、少なくとも90%の配列同一性を有する重鎖CDR2;及び
(vi)LF−hCDR3:DGVYGRLGGSDY(配列番号70)に対し、少なくとも90%の配列同一性を有する重鎖CDR3、
からなる群より選択される、抗体又はその機能的断片。
【請求項5】
(a)2又はそれ以上の軽鎖(LC)相補性決定領域(CDR);および
(b)2又はそれ以上の重鎖(HC)相補性決定領域(CDR)
を含み、前記抗体又はその機能的断片がB.anthracis致死因子に対し特異的に結合することができる、請求項4記載の抗体又はその機能的断片であって、
該(a)は、以下:
(i)LF−lCDR1:RASQSVGSSLH(配列番号65)に対し、少なくとも90%の配列同一性を有する軽鎖CDR1;
(ii)LF−lCDR2:YASQSFS(配列番号66)に対し、少なくとも90%の配列同一性を有する軽鎖CDR2;及び
(iii)LF−lCDR3:HQSSSLPLT(配列番号67)に対し、少なくとも90%の配列同一性を有する軽鎖CDR3、
からなる群から選択され、
該(b)は、以下:
(iv)LF−hCDR1:GFMFSSYAMS(配列番号68)に対し、少なくとも90%の配列同一性を有する重鎖CDR1;
(v)LF−hCDR2:GISGSGGTTNYADSVKG(配列番号69)に対し、少なくとも90%の配列同一性を有する重鎖CDR2;及び
(vi)LF−hCDR3:DGVYGRLGGSDY(配列番号70);に対し、少なくとも90%の配列同一性を有する重鎖CDR3、
からなる群から選択される、抗体又はその機能的断片。
【請求項6】
(a)3つの軽鎖(LC)相補性決定領域(CDR);および
(b)3つの重鎖(HC)相補性決定領域(CDR)、
を含み、前記抗体又はその機能的断片がB.anthracis致死因子に対し特異的に結合し得る、請求項4記載の抗体又はその機能的断片であって、
該(a)は、以下:
(i)LF−lCDR1:RASQSVGSSLH(配列番号65)に対し、少なくとも90%の配列同一性を有する軽鎖CDR1;
(ii)LF−lCDR2:YASQSFS(配列番号66)に対し、少なくとも90%の配列同一性を有する軽鎖CDR2;及び
(iii)LF−lCDR3:HQSSSLPLT(配列番号67)に対し、少なくとも90%の配列同一性を有する軽鎖CDR3、
からなり、
該(b)は、以下:
(iv)LF−hCDR1:GFMFSSYAMS(配列番号68)に対し、少なくとも90%の配列同一性を有する重鎖CDR1;
(v)LF−hCDR2:GISGSGGTTNYADSVKG(配列番号69);に対し、少なくとも90%の配列同一性を有する重鎖CDR2;及び
(vi)LF−hCDR3:DGVYGRLGGSDY(配列番号70)に対し、少なくとも90%の配列同一性を有する重鎖CDR3、
からなる、抗体又はその機能的断片。
【請求項7】
前記機能性断片が、Fv、Fab、F(ab)及びscFVからなる群より選択される、請求項1〜3のいずれか1項に記載の抗体又はその機能性断片。
【請求項8】
請求項1に記載の抗体又は機能性断片をコードする核酸。
【請求項9】
請求項1に記載の抗体又は機能性断片及び薬学的許容可能な担体を含む組成物。
【請求項10】
前記機能性断片が、Fv、Fab、F(ab)及びscFVからなる群より選択される、請求項4に記載の抗体又はその機能性断片。
【請求項11】
請求項4に記載の抗体又は機能性断片をコードする核酸。
【請求項12】
請求項4に記載の抗体又は機能性断片及び薬学的許容可能な担体を含む組成物。
【請求項13】
配列番号46、48、50、又は52のいずれかからなるポリペプチド配列を含む単離されたポリペプチド。
【請求項14】
配列番号46、48、50、又は52のいずれか一つのポリペプチド配列からなる単離されたポリペプチド。
【請求項15】
前記ポリペプチドがグリコシル化されていない、請求項13又は請求項14に記載のポリペプチド。
【請求項16】
請求項13に記載のポリペプチドをコードする単離された核酸。
【請求項17】
前記核酸配列が天然の配列でない、請求項16に記載の単離された核酸。
【請求項18】
配列が配列番号1〜44のいずれかからなる、又はいずれかを含む、オリゴヌクレオチドプライマー。
【請求項19】
請求項18に記載のオリゴヌクレオチドプライマーを少なくとも2つ含むプライマー混合物。
【請求項20】
少なくとも2つのプライマーを含み、該少なくとも2つのプライマーが抗体重鎖又は抗体軽鎖を増幅させるための増幅反応において利用される、請求項19に記載のプライマー混合物。
【請求項21】
請求項18に記載のプライマーを用いて、抗体産生細胞又は細胞系から増幅された核酸。
【請求項22】
請求項21に記載の核酸を含む、発現ベクター、細胞、トランスジェニック動物、又はトランスジェニック植物。
【請求項23】
請求項21に記載の核酸を含む植物ウィルスベクター又はレプリコン。
【請求項24】
適当な発現系において、請求項21に記載の核酸を発現させる工程を含む、抗体鎖の産生方法。
【請求項25】
前記発現系が植物に基づく発現系である、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
配列番号1〜44からなる群より選択される1又はそれ以上のプライマーを用いて、抗体重鎖又は抗体軽鎖を産生する細胞又は細胞系から前記核酸を増幅させる工程を含む、抗体重鎖又は抗体軽鎖をコードする核酸の単離方法。
【請求項27】
配列番号45、47、49、又は51のいずれかからなる核酸配列を含む単離された核酸。
【請求項28】
配列番号45、47、49、又は51のいずれか一つの核酸配列からなる単離された核酸。
【請求項29】
請求項27又は請求項28に記載の核酸を含む発現ベクター。
【請求項30】
請求項29に記載の発現ベクターを含む宿主細胞。
【請求項31】
植物細胞である、請求項30に記載の宿主細胞。
【請求項32】
請求項30又は請求項31に記載の前記宿主細胞を、抗体産生にとって十分な条件下で培養する工程、及び、産生された抗体を精製する工程を含む、抗体又はその機能性断片の産生方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2009−502207(P2009−502207A)
【公表日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−525248(P2008−525248)
【出願日】平成18年8月3日(2006.8.3)
【国際出願番号】PCT/US2006/030545
【国際公開番号】WO2007/117264
【国際公開日】平成19年10月18日(2007.10.18)
【出願人】(508033591)フラウンホーファー ユーエスエー, インコーポレイテッド (5)
【Fターム(参考)】