説明

インキ入り容器

【課題】印刷機の自動吸引機の容器置き部にセットする際の確実性を確保しつつ、インキの排出を最後まで円滑に行い得るインキ入り容器の提供を図る。
【解決手段】袋本体12と、注出口61と、形状保持体51とを備える。袋本体12は、前面シート21と、後面シート31と、前面シート21と後面シート31との間に配位された底面シート41とを備える。形状保持体は、前面シート21よりも変形しにくいものであり、上記後面シートには設けられていないものであり、底面を下にして置いた際に、注出口61を含む断面において、前面シート21が後面シート31よりも垂直に近い状態で立つ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、インキ入り容器、特に、印刷機に装着して用いるもので、高粘度インキが充填されたインキ入り容器に関する。この容器は、合成樹脂等の柔軟なシートによって袋状に形成され、インキが充填されたもので、印刷機の自動吸引機により、内容物である高粘度インキを吸引され注出される。
【背景技術】
【0002】
従来より、この種のインキ容器として、特許文献1に示すものが知られている。この容器は、内容物が充填された状態で、ほぼ直方体状の箱形状を成し、その一側面に注出口が融着されて内容物を排出可能にしたものであり、注出口が融着されて連なった4角形の前後の四側面シートと、この前後の四側面シートの上方及び下方に水平面(上面と底面)を形成する上下のシートとからなる。この上下のシートは、それぞれ融着する面が外側になるように折り曲げられ、四側面シートの内面に挿入された状態で四側面シートと周囲を融着したものである。
【0003】
この従来のインキ容器は、上底前後左右の6面を備えた略直方体状をなしているもので、印刷機の自動吸引機の容器置き部に底面を下にして置かれる。その際、前面の下部に設けられた注出口が、自動吸引機の吸引部の受け部に上方から嵌め込まれるようにセットされる。安定して吸引部の受け部に、注出口が接続されるためには、注出口のある前面が垂直状態に維持されていることが重要であるため、上底前後左右の6面を備えた略直方体状であることは、きわめて重要なことであった。
【0004】
ところが、インキの粘度が高いこと、注出口が前面の下部に設けられていること等の理由により、上面がインキの排出の際に不規則に折畳まれる場合もある。その結果として、自動吸引機による排出が不可能になる使用完了時におけるインキ残留量に、バラツキが生じてしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−122290号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本願発明は、印刷機の自動吸引機の容器置き部にセットする際、注出口が自動吸引機の吸引部の受け部に上方から円滑に嵌め込まれるという装着の確実性を確保しつつ、インキの排出を最後まで円滑に行いインキの残留量のバラツキを抑え、常に残留量を低く抑えことができるようにしたインキ容器の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願発明は、
インキが充填された袋本体を備え、袋本体の前面に注出口が設けられ、上記注出口からインキを排出可能にした印刷機に設置して用いるインキ容器において、
上記袋本体と、上記注出口とを備え、
上記袋本体は、上記注出口が設けられた前面シートと、上記前面シートと反対側に設けられた後面シートと、上記前面シートと上記後面シートとの間に配位された底面シートと、形状保持体とを備え、
上記袋本体の上部は、上記前面シートと上記後面シートとが直接接合されることにより、襠のない線状の端部を構成し、
上記前面シートと上記後面シートとの下部の間には、上記中央底部が介在することにより、上記袋本体の下部は底襠のある底面を構成し、
上記形状保持体は、上記前面シートよりも変形しにくいものであることを特徴とするインキ入り容器を提供する。
【発明の効果】
【0008】
本願発明は、上記形状保持体は、上記前面シートよりも変形しにくいものであり、上記後面シートには設けられていないものであり、底面を下にして置いた際に、上記注出口を含む断面において、前面シートが後面シートよりも垂直に近い状態で立つをものであるため、印刷機の自動吸引機の容器置き部にセットする際、前面シートに設けられた注出口を、自動吸引機の吸引部の受け部に上方から円滑に嵌め込むことができる。
そして、上記前面シートと上記後面シートとの上辺同士は直接接合されることにより、上記袋本体の上端は襠のない線状の上端を構成し、上記前面シートと上記後面シートとの左右側辺の上部同士は、直接接合されることにより、上記袋本体の左右側端の上部は襠のない線状の左右側端を構成しているため、インキが注出されていくにしたがい、上記前面シートと上記後面シートの上部同士は、十分に接近し、インキ残留量を少なくできる。しかも、上記袋本体の下方は上記の側襠と底襠とが配置されるが、上記袋本体の左右側端の上部は襠のない線状の左右側端を構成しているため、円滑に折りたたまれ、シート同士が十分に接近し、インキ残留量を少なくできる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本願発明の実施の形態に係るインキ入り容器の斜視図。
【図2】(A)同インキ入り容器の左側面図、(B)同インキ入り容器の右側面図。
【図3】(A)同インキ入り容器の前面シートの正面図、(B)同インキ入り容器の後面シートの正面図、(C)同インキ入り容器の底面シートの平面図。
【図4】(A)同インキ入り容器の形状保持体の正面図、(B)同インキ入り容器の形状保持体の背面図、(C)同インキ入り容器の形状保持体に係る突起の説明図、(C)同インキ入り容器の形状保持体に係る他の突起の説明図。
【図5】同インキ入り容器の使用状態の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面に基づき本願発明の実施の形態を説明する。
【0011】
この実施の形態のインキ容器11は、内部にインキが充填された袋本体12を備える。袋本体12の前面の下部に注出口61が設けられ、この注出口61からインキを排出可能にした印刷機に設置して用いられる。
この袋本体12は、注出口61が設けられた前面シート21と、前面シート21の後方に配置された後面シート31と、前面シート21と後面シート31との間に配位された底面シート41とを備える。
このインキは、50,000〜300,000cpsの高粘度を想定しているが、これ以外の粘度のインキを用いることもできる。
【0012】
(前面シート21)
前面シート21は、柔軟なシート製で、展開状態において、左右対称の6角形をなすもので、上下に実質的に平行に形成された上辺22と下辺23とを備える。上辺22の左端からは左側辺上部24が下方に伸ばされ、左側辺上部24の下端からは左側辺下部26が下方に伸ばされ、左側辺下部26の下端は下辺23の左端に接続されている。上辺22の右端からは右側辺上部25が下方に伸ばされ、右側辺上部25の下端からは右側辺下部27が下方に伸ばされ、右側辺下部27の下端は下辺23の右端に接続されている。上辺22の中央上部には、人が持ち運びするのに適する把持部28が設けられているが、設けなくてもよく、他の位置に設けてもよい。
【0013】
上辺22は下辺23より短く、左側辺上部24、右側辺上部25は左側辺下部26、右側辺下部27よりも長い。この前面シート21の左右幅の最も長い個所は、左側辺上部24と左側辺下部26とがなす左頂点71と、右側辺上部25と右側辺下部27とがなす右頂点72とを結んだ位置であり、左側辺上部24と右側辺上部25とは、下方に向かうにしたがい漸次左右に広がる傾斜線となっており、左側辺下部26と右側辺下部27とは、下方に向かうにしたがい漸次中央に狭まる傾斜線となっている。左側辺上部24、右側辺上部25は左側辺下部26、右側辺下部27よりも長いため、左側辺上部24、右側辺上部25の傾斜は、左側辺下部26、右側辺下部27の傾斜よりも緩やかである。
【0014】
(注出口61)
この前面シート21には、下部に注出口61が設けられている。この例では、注出口61の左右位置は左よりに設けられているが、中央でも、右よりでもよく、自動吸引機81の容器置き部82における受け部83に合致する位置に設けられる。
この注出口61は、形状保持体51と一体に形成されるが、別体に形成してもよい。注出口61は、前面シート21よりも硬質の合成樹脂または金属製で実施し得るが、同じ素材の樹脂で厚みを前面シート21よりも厚くすることによって、前面シート21よりも変形しにくいものとしてもよい。
【0015】
注出口61は袋本体12の内部の収容空間と外部とを導通する筒部62と、注出口61の袋外部側に設けられたフランジ63とを備え、このフランジ63が受け部83に係合してセットされる。
【0016】
(形状保持体51)
形状保持体51は、筒部62の外周に環状に形成された注出口支持部52と、注出口支持部52から放射状に形成された腕部を備える。この腕部は、注出口支持部52から実質的に左方向に伸びる左水平部53、右方向に伸びる右水平部54、上方向に伸びる垂直部55、左上方向に伸びる左斜め部56、右上方向に伸びる右斜め部57の、全部で5本が形成されているが、その方向、本数、形状は適宜変更して実施できる。インキが充填された状態において、これらの腕部は、全体で袋本体12の略矩形の正面を規定するもので、左水平部53の先端は左端、左斜め部56の先端は左上端、垂直部55の先端は上端、右斜め部57の先端は右上端、右水平部54の先端は右端を規定する。これらの腕部に代えて、1枚の矩形の平板上のものとすることもできる。
【0017】
この形状保持体51の各腕部の先端を結ぶ仮想線kにて規定される矩形の大きさは、前面シート21よりも一回り小さくする。具体的には、上記各腕部の先端を結んだ仮想線kと、前面シート21の上辺22、左側辺上部24、右側辺上部25との間隔が、底面シート41の前後幅の1/4〜1/1とすることが、立体的な袋形状への変形のために望ましい。なお、下辺23と形状保持体51(この例では注出口支持部52)との間隔は、間隔を設けない0mm〜底面シート41の前後幅の1/2とすることが好ましい。
【0018】
これらの腕の前面は平面状であるが、後面には突起58が形成されている。これらの突起は、袋本体12内の収容空間に突出することによって、インキの排出時に前面シート21と後面シート31とが完全に密着してしまうことを防止する。インキは、下部の注出口61から排出されていくが、先に中間部分の前面シート21と後面シート31とが完全に密着してしまうと、それより上部のインキが円滑に排出されなくなってしまう。そこで突起58を設けることで前面シート21と後面シート31との間の隙間を確保し、袋本体12内のインキの全てを完全に排出されるようにしたものである。この突起58は、図4(C)に示すように直線的に連続したものでもよく、図4(D)に示すように断続的に小さな凸片を形成してもよい。
【0019】
この形状保持体51は注出口61と一体に形成されるが、成型に際して前面シート21をインサートして、前面シート21と一体化される。詳しくは形状保持体51及び注出口61の成型用の金型内に前面シート21を予め配置し、樹脂を射出する。これにより、前面シート21には注出口61の開口のみを予め形成しておくだけでよく、樹脂は、前面シート21の前面に上記平面的な各腕を形成するとともに、前面シート21を突き破り突起58を前面シート21の後面に形成し、形状保持体51、注出口61、前面シート21は完全に一体化する。
【0020】
(後面シート31)
次に、後面シート31について説明する。後面シート31は前面シート21と同じ形状をなす。この後面シート31は、柔軟なシート製で、展開状態において、左右対称の6角形をなすもので、上下に実質的に平行に形成された上辺32と下辺33とを備える。上辺32の左端からは左側辺上部34が下方に伸ばされ、左側辺上部34の下端からは左側辺下部36が下方に伸ばされ、左側辺下部36の下端は下辺33の左端に接続されている。上辺32の右端からは右側辺上部35が下方に伸ばされ、右側辺上部35の下端からは右側辺下部37が下方に伸ばされ、右側辺下部37の下端は下辺33の右端に接続されている。上辺32の中央上部には、人が持ち運びするのに適する把持部38が設けられているが、設けなくてもよく、他の位置に設けてもよい。
【0021】
上辺32は下辺33より短く、左側辺上部34、右側辺上部35は左側辺下部36、右側辺下部37よりも長い。この後面シート31の左右幅の最も長い個所は、左側辺上部34と左側辺下部36とがなす左頂点73と、右側辺上部35と右側辺下部37とがなす右頂点74とを結んだ位置であり、左側辺上部34と右側辺上部35とは、下方に向かうにしたがい漸次左右に広がる傾斜線となっており、左側辺下部36と右側辺下部37とは、下方に向かうにしたがい漸次中央に狭まる傾斜線となっている。左側辺上部34、右側辺上部35は左側辺下部36、右側辺下部37よりも長いため、左側辺上部34、右側辺上部35の傾斜は、左側辺下部36、右側辺下部37の傾斜よりも緩やかである。
【0022】
(底面シート41)
次に、底面シート41について説明する。この底面シート41は、柔軟なシート製で、展開状態において、左右対称の6角形をなすもので、前後に実質的に平行に形成された前辺42と後辺43とを備える。前辺42の左端からは左前辺44が左後方に伸ばされ、左前辺44の後端からは左後辺46が右後方に伸ばされ、左後辺46の後端は後辺43の左端に接続されている。前辺42の右端からは右前辺45が右後方に伸ばされ、右前辺45の後端からは右後辺47が左後方に伸ばされ、右後辺47の後端は後辺43の右端に接続されている。
【0023】
前辺42は後辺43と同じ長さであり、左前辺44、右前辺45は左後辺46、右後辺47と同じ長さである。この底面シート41の左右幅の最も長い個所は、左前辺44と左後辺46とがなす左頂点75と、右前辺45と右後辺47とがなす右頂点76とを結んだ中央折り目48の位置であり、左前辺44と右前辺45とは、後方に向かうにしたがい漸次左右に広がる傾斜線となっており、左後辺46と右後辺47とは、後方に向かうにしたがい漸次中央に狭まる傾斜線となっている。左前辺44、右前辺45は左後辺46、右後辺47と長さが等しいため、これらの傾斜の斜度は等しく設定されている。
【0024】
(袋本体12の形成)
袋本体12は、前面シート21、後面シート31、底面シート41を接合することによって形成される。接合には、接着剤を用いてもよく、超音波や熱による融着にて行なってもよい。詳しくは、中央折り目48で二つ折りにした底面シート41を前面シート21と後面シート31との間に挟んで前面シート21、後面シート31、底面シート41の3者を接合する。前面シート21と後面シート31との接合個所は、上辺22と上辺32、左側辺上部24と左側辺上部34、右側辺上部25と右側辺上部35、把持部28と把持部38である。前面シート21と底面シート41との接合個所は、左側辺下部26と左前辺44、下辺23と前辺42、右側辺下部27と右前辺45である。後面シート31と底面シート41との接合個所は、左側辺下部36と左後辺46、下辺33と後辺43、右側辺下部37と右後辺47である。これらの接合される各辺は実質的に等しく設定される。また各シートの左頂点71,左頂点73,左頂点75は1点に接合され、右頂点72,右頂点74,右頂点76も1点に接合される。接合代は、5〜10mm程度でよく、いずれも袋本体12の外側に出るようにしておくことが望ましい。
【0025】
(インキの充填)
内容物である高粘度のインキは、注出口61から注入してもよく、注出口61に予め閉ざした膜を形成した場合には、上記の袋本体12の接合を一部行わすに充填用の注入口としておき、インキの充填後にその口を接合するようにしてもよい。
【0026】
充填が完了したインキ容器11は、立体的な形状となる。詳しくは、前面シート21の上辺22と後面シート31の上辺32が接合されることにより、袋本体12の上端13は襠のない線状の上端を構成する。前面シート21の左側辺上部24、左側辺下部26は上辺32の左側辺上部34、左側辺下部36と接合されることにより、袋本体12の左右側端の上部は襠のない線状の左側端14、右側端15を構成する。底面シート41は、底面と襠部となる。前辺42と後辺43とに挟まれた部分は中央底部18となるが、その左側に設けられた左前辺44と左後辺46に挟まれた部分は左襠部16となり、中央底部18から上方に立ち上がる。また中央底部18の右側に設けられた左前辺44と左後辺46に挟まれた部分は右襠部17となり、中央底部18から上方に立ち上がる。前面シート21、後面シート31についても、右側端15、左襠部16の上方などの周辺部分では、自然に襠状に湾曲する。その際、形状保持体51のない後面シート31は、全体が球面に近い形に全体が湾曲するが、後面シート31が設けられた前面シート21は、前面シート21で規定される略矩形の範囲が直立に近い形を維持する。これにより、中央底部18を下にして置いた際に、注出口61を含む断面において、前面シート21が後面シート31よりも垂直に近い状態で立つ。また、上部に襠がないため、下部に比して上部の容積が小さくなるため、安定して立つことができる。垂直性は、水平線に対して、略90であることが最も望ましいが、80度以上であることが望ましい。この結果、図5に示すように、自動吸引機81の容器置き部82にインキ容器11をセットする際、受け部83に注出口61に上方から挿入して、フランジ63を受け部83に係合させることができる。特に、上述のように、形状保持体51には腕が設けられているため、各腕の部分が山となり腕の間が谷となるように前面シート21が変形する。そのため、形状保持体51によって前面シート21の形状の規制と、襠となる前面シート21の周辺部分の変形とがうまく按配されて、立体形状に自然に変形する。また左頂点71,左頂点73と右頂点72,右頂点74との間の長さが、上辺22,上辺32の長さよりも長いため、左襠部16,右襠部17に自然とつながって変形できる。左襠部16,右襠部17の形状は、左頂点75,右頂点76に向かうにしたがい前後の幅が小さくなる略3角形にしておくことで、襠を円滑に折りたたむことができる。左頂点75,右頂点76は略直角にしておくことが望ましいが、これに限るものではない。
【0027】
(インキの注出)
自動吸引機81による吸引が行われると、注出口61からインキが注出される。その際、上端13、左側端14、右側端15は、襠のない線状の端部となっているため、インキが注出されていくにしたがい、前面シート21と後面シート31の上部同士は、十分に接近し、インキ残留量を少なくできる。特に高粘度のインキにあっては、袋本体12の上部にインキが残ってしまう傾向があるが、袋本体12の上部に襠がないため、袋本体12上部のインキの残留を確実に防止できる。しかも、袋本体12の下方は、左襠部16、右襠部17、中央底部18が配置されるが、袋本体12の上部は襠がないため、円滑に折りたたまれる。
【0028】
この例では、注出口61は、前面シート21の下半分、より望ましくは下部1/4までの位置に設けられ、前述の左頂点71,左頂点73,左頂点75の位置と、右頂点72,右頂点74,右頂点76の位置は、注出口61の上端よりも下方に配置される。これにより襠がない部分に十分な長さが得られ、袋本体12上部のインキの残留を確実に防止できる。
【0029】
(実施例)
実施例として、前面シートの高さ約170mm、最大幅約190mm、底面シートの前後幅約70mmに設定して、図示実施の形態によるインキ容器を3袋作成し、高粘度インク1000mlを充填した。
比較例として、特許文献1のインキ容器を3個作成し、高粘度インク1000mlを充填した。
製作したインキ入り容器を、自動吸引機の容器置き部にセットし、自動吸引し、これ以上吸引されなくなった時点でのインキ残留量を測定した。
【0030】
比較例では、3個のインキ容器のインキ残留量は、22ml(2.2%)、19ml(1.9%)、21ml(2.1%)であったが、実施例に係る3個のインキ容器のインキ残留量は、18ml(1.8%)、18ml(1.8%)、19ml(1.9%)であり、本願発明におけるインキ残留量の低減と安定を確認することができた。
【符号の説明】
【0031】
11 インキ容器
12 袋本体
13 上端
14 左側端
15 右側端
16 左襠部
17 右襠部
18 中央底部
21 前面シート
22 上辺
23 下辺
24 左側辺上部
25 右側辺上部
26 左側辺下部
27 右側辺下部
28 把持部
31 後面シート
32 上辺
33 下辺
34 左側辺上部
35 右側辺上部
36 左側辺下部
37 右側辺下部
38 把持部
41 底面シート
42 前辺
43 後辺
44 左前辺
45 右前辺
46 左後辺
47 右後辺
48 中央折り目
51 形状保持体
52 注出口支持部
53 左水平部
54 右水平部
55 垂直部
56 左斜め部
57 右斜め部
58 突起
61 注出口
62 筒部
63 フランジ
71 左頂点
72 右頂点
73 左頂点
74 右頂点
75 左頂点
76 右頂点
81 自動吸引機
82 容器置き部
83 受け部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
インキが充填された袋本体を備え、袋本体の前面に注出口が設けられ、上記注出口からインキを排出可能にした印刷機に設置して用いるインキ容器において、
上記袋本体と、上記注出口とを備え、
上記袋本体は、上記注出口が設けられた前面シートと、上記前面シートと反対側に設けられた後面シートと、上記前面シートと上記後面シートとの間に配位された底面シートと、形状保持体とを備え、
上記袋本体の上部は、上記前面シートと上記後面シートとが直接接合されることにより、襠のない線状の端部を構成し、
上記前面シートと上記後面シートとの下部の間には、上記中央底部が介在することにより、上記袋本体の下部は底襠のある底面を構成し、
上記形状保持体は、上記前面シートよりも変形しにくいものであることを特徴とするインキ入り容器。
【請求項2】
上記前面シートと上記後面シートとの上辺同士は直接接合されることにより、上記袋本体の上端は襠のない線状の上端を構成し、
上記前面シートと上記後面シートとの左右側辺の上部同士は、直接接合されることにより、上記袋本体の左右側端の上部は襠のない線状の左右側端を構成し、
上記底面シートは、上記底面を構成する中央底部と、その左右両側に設けられた左右襠部とを備え、上記左右襠部は上記中央底部から左右端に向かうに従い前後の幅が小さくなるものであり、
上記前面シートと上記後面シートとの左右側辺の下部同士の間には、上記左右襠部が介在することにより、上記袋本体の左右下部は側襠のある側面を構成し、
上記前面シートと上記後面シートとの下辺同士の間には、上記中央底部が介在することにより、上記袋本体の下部は底襠のある底面を構成し、
上記注出口は、上記前面シートの下半分に設けられ、
上記前面シートと上記後面シートとの左右側辺の上部は、上記前面シートと上記後面シートとの左右側辺の上辺の端部から、上記注出口の上端よりも下方の位置まで伸ばされ、
上記形状保持体は、上記前面シートに設けられ、上記後面シートには設けられていないものであり、
上記形状保持体は、上記前面シートよりも変形しにくいものであり、上記後面シートには設けられていないものであり、
底面を下にして置いた際に、上記注出口を含む上記形状保持体における断面において、前面シートが後面シートよりも垂直に近い状態で立つことを特徴とする請求項1記載のインキ入り容器。
【請求項3】
上記形状保持体は、上記注出口の外周に環状に形成された注出口支持部と、注出口支持部から放射状に形成された複数の腕部とを備え、上記腕部の先端を結んだ仮想線と、上記前面シートの上辺及び左右側辺の上部との間隔が、上記底面シートの前後幅の1/4〜1/1であることを特徴とする請求項1又は2記載のインキ入り容器。
【請求項4】
上記前面シートと上記後面シートとの左右側辺の上部の下端間の長さが、上記前面シートと上記後面シートとの上辺の長さよりも長ことを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載のインキ入り容器。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2012−158343(P2012−158343A)
【公開日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−17520(P2011−17520)
【出願日】平成23年1月31日(2011.1.31)
【出願人】(396018184)株式会社和光 (1)
【Fターム(参考)】