説明

インキ組成物およびこれを使用したボールペン

【課題】 筆跡を擦ったとき、筆記直後の筆跡の色とは異なる色彩を醸し出すことができる趣向性の高いインキ組成物及び、該インキ組成物を用いたボールペンを提供する。
【解決手段】 金属被覆無機顔料、金属酸化物被覆無機顔料、金属蒸着膜顔料、金属箔単体顔料、パール顔料からなる平均粒子径が18μm以上100μm以下の平板状着色剤と、インキ組成物全量中10重量%以上の酸化チタンとを少なくとも含有するインキ組成物及び、該インキ組成物を用いたボールペン。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、筆跡を擦ったとき、筆記直後の筆跡の色とは異なる色彩を醸し出すことができる趣向性の高いインキ組成物に関し、また、このインキ組成物を使用して筆跡を形成するペン先として、筆記部材としてのボールと、このボールを先端突出して抱持するボールホルダーとからなるボールペンチップを使用したボールペンに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、筆跡の基本色となる着色剤と共に、大径の顔料を併用することにより、筆跡が複数色の色相から成るインキ組成物が提案されている。
【0003】
例えば、金属層を含む扁平樹脂顔料と異なる色相の水溶性染料を含有した、一つの描線中に複数色の色相が発色する水性インキ組成物が開示されている(特許文献1)。また、筆跡の中で、筆跡の色とは異なったキラキラした感じを視認させる光輝性インキ組成物が開示されている(特許文献2)。
【特許文献1】特開2003−003106公報
【特許文献2】特開2003−012973公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このように、近年は、単一色相を呈した安定な筆跡が得られるような筆記具だけでなく、筆跡にいろいろな視認効果のある、趣向性の高い筆記具が要望されており、広く消費者に受け入れられている。
【0005】
本発明は、筆跡を擦ったとき、筆記直後の筆跡の色とは異なる色彩を醸し出すことができる趣向性の高いインキ組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
即ち、本発明は、平均粒子径が18μm以上100μm以下の平板状着色剤と、インキ組成物全量中10重量%以上の酸化チタンとを少なくとも含有するインキ組成物を要旨とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明で得られるインキ組成物をボールペン、マーキングペン等の筆記具に用いて筆記した筆跡は、紙や消しゴム等で擦ると、筆記した直後に得られた筆跡の色とは色彩が大きく変化し、趣向性の高い視認効果が得られる。本発明のインキ組成物が、何故、筆跡を擦ったとき、筆記直後の筆跡の色と異なった色彩を醸し出し、趣向性の高い視認効果を得ることができるのかは次のように推察できる。筆記した直後は、本発明に用いる平均粒子径が18μm以上100μm以下の平板状着色剤と酸化チタンは筆跡中に混在するが、該酸化チタンをインキ組成物全量に対して10重量%以上使用すると、酸化チタンは隠蔽性の高い塗膜を形成するため、筆記直後の筆跡において、該平板状着色剤の色彩を隠蔽することができ、該平板状着色剤が含まれていることが分からない筆跡とすることができる。この筆跡を擦るときに、該酸化チタンを剥がす程の力を加えたとしても、該平板状着色剤は紙面との接触面積が大きいので剥がれにくく筆跡に残り易いため、酸化チタンが剥がれても該平板状着色剤は筆跡に残り易い。筆跡を擦って、酸化チタンが剥がれたときに、該平板状着色剤の色彩は初めて筆跡上に現れることとなり、筆記直後の筆跡の色とは異なる色彩に変化するのである。
【0008】
尚、本発明でいう平均粒子径とは、平板状着色剤をガラス板状に置き電子顕微鏡写真を撮影したときに、撮影された粒子の画像上に引ける直線の長さが最大になるところを測定したものを長径とし、粒子の長径方向に対して直角方向で最も長い径を短径としたときの長径と短径の積の平方根で求めた。また、メジアン径とは、沈降法で測定し、積算分布曲線の50%に相当する粒子径で、この径以上と以下の粒子の量が等しくなる径である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明を詳細に説明する。本発明のインキ組成物に使用する平板状着色剤とは、広い面積を有する粒子であり、紙面との接触面積が大きいため、筆跡を擦ったときにも剥がれにくく、筆記直後の色とは異なる色彩を醸し出し、趣向性の高い視認効果を得ることを目的として使用する。該平板状着色剤の大きさは、平均粒子径が18μm以上100μm以下、好ましくは60μm以下のものが望ましい。平均粒子径が18μm未満だと紙面との接触面積が小さいため擦ったときに剥がれおちやすく、平均粒子径が100μmより大きいと、ペン先でインキ組成物が詰まってしまい筆記できなくなる場合がある。さらに、平均粒子径が60μm以下のものはインキの吐出が良好であるため好ましい。
また、平板状着色剤は、筆記直後と筆跡を擦った後の色彩差を顕著に変化させるために、粒子表面又は粒子内部に金属反射面(金属反射の平滑面、好ましくは鏡面反射面)を持ち、光の反射によってキラキラと輝く粒子表面を持つ単体又は複数層の粒子で構成される着色剤が好ましい。このようなキラキラと輝く粒子表面を持つ平板状着色剤としては、例えば、金属(合金)が被覆された無機顔料である金属被覆無機顔料、金属被覆無機顔料の中でも無機顔料としてフレーク状ガラスを金属(合金)で被覆した構造からなる金属被覆ガラスフレーク顔料、アルミニウム等に金属酸化物が被覆された金属酸化物無機顔料、フィルムに蒸着された金属蒸着層を剥離したものを、フレーク状または薄片状にして得られる金属蒸着膜顔料、金属箔単体顔料、パール顔料などが挙げられる。
【0010】
金属被覆ガラスフレーク顔料として一例を挙げれば、フレーク状ガラスが無電解メッキ法により金属で被覆されたガラスフレーク顔料があり、例えば、市販品として、銀で被覆されたガラスフレーク顔料としては、メタシャインREFSX−2025PS(平均粒子径25μm)、同REFSX−2040PS(平均粒子径40μm)、チタンで被覆されたガラスフレーク顔料としては、メタシャインRCFSX−1040RS、同RCFSX−1040RC(以上、平均粒子径40μm)(以上、東洋アルミニウム(株)製)の各コールド、グリーン、レッドが挙げられる。
また、金属被覆ガラスフレーク顔料としてはフレーク状ガラスがスパッタリング法により金属で被覆されたガラスフレーク粒子も使用することができ、例えば、市販品として、銀で被覆されたクリスタルカラーGF2125、同GF2125−M(以上、平均粒子径25μm)、同GF2140、同GF2140−M(以上、平均粒子径40μm)、ニッケル・クロム・モリブデンで被覆されたガラスフレーク顔料としては、クリスタルカラーGF2525、同GF2525−M(以上、平均粒子径25μm)、同GF2540、同GF2540−M(以上、平均粒子径40μm)、真鍮で被覆されたガラスフレーク顔料としては、クリスタルカラーGF250(平均粒子径50μm)、銀合金で被覆されたガラスフレーク顔料としては、クリスタルカラーGF1345(平均粒子径45μm、チタンで被覆されたガラスフレーク顔料としては、クリスタルカラーGF1445」(平均粒子径45μm)(以上、東洋アルミニウム(株)製)がある。
【0011】
金属蒸着膜顔料としてはアルミニウムを樹脂フィルムに蒸着し、樹脂フィルムを剥離又は一体化した蒸着アルミニウム膜のフレーク又は薄片があり、例えば、市販品として、エルジー Silver #325、同Red Gold #325、同Blue Gold #325、同Red #325、同Blue #325、同Green #325、同Violet #325、同Black #325、同Copper #325(以上、平均粒子径44μm)、エルジー Silver #500、同Gold #500(以上、平均粒子径28μm)(以上、尾池工業(株)製)がある。
【0012】
金属箔単体顔料としては、金属をスタンプ・ミルでステアリン酸や無機リン酸などの減磨剤と共に粉砕するスタンプ法や、適当な剛球と共にドラム中に入れ、ドラムを回転させて粉砕するボールミル法などにより得られるアルミニウム粉やブロンズ粉があるが、例えば、市販品として、WXM 5452(平均粒子径18μm)、同1440(平均粒子径30μm)、同1415(平均粒子径50μm)(以上、東洋アルミニウム(株)製)、スーパーファインNo.22000、同No.18000(以上、平均粒径40μm)(以上、大和金属粉工業(株)製)がある。
【0013】
パール顔料としては、例えば、市販品として、SD−100(平均粒径20μm)、SE−100(平均粒径35μm)、SF−100(平均粒径70μm)(以上、トピー工業(株)製)がある。
これら平板状着色剤は、単独でも2種以上併用しても使用できる。
【0014】
本発明に使用される平均粒子径が18μm以上100μm以下の平板状着色剤の使用量は、インキ組成物全量に対して2.0重量%以上10重量%以下が好ましい。2.0重量%未満であると、筆跡を擦っても平板状着色剤の色彩が乏しいため、色彩の変化が視認しづらく、10重量%より多いとインキの粘度が上がりすぎ流動性が悪くなる。
【0015】
平均粒子径が18μm以上100μm以下の平板状着色剤を吐出させ、筆跡を形成するペン先としては、繊維集束体を使用したマーカー、弁式の塗布具などが例示できるが、先端に筆記部材としてのボールを一部突出して抱持するボールペンチップを有するボールペンが好適に使用される。特に、回転によってインキ組成物を被記録面に転写する筆記部材であるボールが、炭化ケイ素の焼結体であると共に表面に形成されている孔が深さ0.3μm以上1.0μm以下、平均孔径1.0μm以上10μm以下であることが好ましい。このようなボールとすることによって、上記のような粒子径の平板状着色剤であっても、インキ組成物のボールへの乗りがよく、良好に吐出されるため、継続的に良好な筆跡を形成することができるものである。
また、該ボールは表面の少なくとも50μm×50μmの領域内の算術平均粗さ(Ra)が4nm以上30nm以下であると、インキ組成物中の平板状着色剤のボールへの乗りがよいことから平板状着色剤が良好に吐出されるため、筆跡を擦って、酸化チタンが剥がれたときに、筆跡上に該平板状着色剤が多く現れて色彩がより強調されるため好ましい。
なお、算術平均粗さ(Ra)は、JIS B0601で定義されている中心線平均粗さを測定面(2500μm、一辺50μmの正方形)に対して三次元に拡張し、基準面から指定面までの偏差の絶対値を平均した値を使用した。表面粗さの測定は(セイコーエプソン社製の機種名SPI3800N)を使用した。
【0016】
本発明のインキ組成物に使用する酸化チタンは、筆記直後において上記平板状着色剤の色彩を隠蔽するために使用する。該酸化チタンの大きさは、メジアン径が0.1μm以上10μm以下のものが望ましい。0.1μm未満だと紙面の繊維に入り込み、筆跡を擦っても剥がれ落ちにくく、1.0μmより大きいと剥がれ落ちる時に平板状着色剤も一緒に掻き取ってしてしまう場合がある。さらに、酸化チタンのメジアン径は0.5μm以下であれば酸化チタンの隠蔽力が最大限になるので好ましい。
酸化チタンは、ルチル型、アナターゼ型などの各種の酸化チタンが使用できる。市販のものとしては、タイト−ンSR−1(メジアン径0.21μm)、同R−650(メジアン径0.27μm)、同R−3L(メジアン径0.26μm)、同R−310(メジアン径0.24μm)、同A−110(メジアン径0.18μm)、同A−150(メジアン径0.20μm)、同R−5N(メジアン径0.24μm)(以上、堺化学工業(株)製)、タイペ−クR−580(メジアン径0.26μm)、同R−930(メジアン径0.27μm)、同A−100(メジアン径0.20μm)、同A−220(メジアン径0.19μm)、同R−630(メジアン径0.24μm)、同R−830(メジアン径0.24μm)(以上、石原産業(株)製)、クロノスKR−310(メジアン径0.24μm)、同KR−380(メジアン径0.24μm)、同KA−10(メジアン径0.20μm)、同KA−20(メジアン径0.20μm)、同KA−30(メジアン径0.20μm)(以上、チタン工業(株)製)、タイピュアR−900(メジアン径0.24μm)、同R−901(メジアン径0.27μm)(以上、デュポン・ジャパン・リミテッド社製)、チタニックス JR−301(メジアン径0.3μm)、同JR−805(メジアン径0.29μm)、同JR−809(メジアン径0.29μm)、同JR−603(メジアン径0.28μm)、同JR800(メジアン径0.27μm)、同JR−403(メジアン径0.25μm)、JR701(メジアン径0.27μm)(以上、テイカ(株)製)、STR−60C(メジアン径0.02μm、堺化学工業(株)製)などの酸化チタンが挙げられる。
これら酸化チタンは、1種又は2種以上混合して使用することができる。
【0017】
本発明に使用される酸化チタンの使用量は、インキ組成物全量に対して10重量%以上50重量%以下が好ましい。10重量%未満であると酸化チタンの色味に乏しいため筆跡を擦る前から平板状着色剤が入っていることが視認されてしまう。また、50重量%以上であるとインキの粘度が上がりすぎ流動性が悪くなる。
【0018】
また、平均粒子径が18μm以上100μm以下の平板状着色剤や酸化チタン以外の着色剤でも、調色の為に従来公知の着色剤を併用できる。即ち、緑の着色剤と金色の平板状着色剤を共に用いれば、筆跡を擦った後、緑色の筆跡の上に平板状着色剤が金色に輝き、あるいは緑の着色剤と青色の平板状着色剤を共に用いれば、筆跡を擦った後、青色が点在する緑色の筆跡が得られる。着色剤として顔料の具体例を挙げると、アニリンブラック(C.I.50440)、シアニンブラック、ナフトールエローS(C.I.10316)、ハンザエロー10G(C.I.11710)、ハンザエロー5G(C.I.11660)、ハンザエロー3G(C.I.11670)、ハンザエローG(C.I.11680)、ハンザエローGR(C.I.11730)、ハンザエローA(C.I.11735)、ハンザエローRN(C.I.11740)、ハンザエローR(C.I.12710)、ピグメントエローL(C.I.12720)、ベンジジンエロー(C.I.21090)、ベンジジンエローG(C.I.21095)、ベンジジンエローGR(C.I.21100)、パーマネントエローNCG(C.I.20040)、バルカンファストエロー5G(C.I.21220)、バルカンファストエローR(C.I.21135)、タートラジンレーキ(C.I.19140)、キノリンエローレーキ(C.I.47005)、アンスラゲンエロー6GL(C.I.60520)、パーマネントエローFGL、パーマネントエローH10G、パーマネントエローHR、アンスラピリミジンエロー(C.I.68420)、スダーンI(C.I.12055)、パーマネントオレンジ(C.I.12075)、リソールファストオレンジ(C.I.12125)、パーマネントオレンジGTR(C.I.12305)、ハンザエロー3R(C.I.11725)、バルカンファストオレンジGG(C.I.21165)、ベンジジンオレンジG(C.I.21110)、ペルシアンオレンジ(C.I.15510)、インダンスレンブリリアントオレンジGK(C.I.59305)、インダンスレンブリリアントオレンジRK(C.I.59105)、インダンスレンブリリアントオレンジGR(C.I.71105)、パーマネントブラウンFG(C.I.12480)、パラブラウン(C.I.12071)、パーマネントレッド4R(C.I.12120)、パラレッド(C.I.12070)、ファイヤーレッド(C.I.12085)、パラクロルオルトアニリンレッド(C.I.12090)、リソールファストスカーレット、ブリリアントファストスカーレット(C.I.12315)、ブリリアントカーミンBS、パーマネントレッドF2R(C.I.12310)、パーマネントレッドF4R(C.I.12335)、パーマネントレッドFRL(C.I.12440)、パーマネントレッドFRLL(C.I.12460),パーマネントレッドF4RH(C.I.12420)、ファストスカーレットVD、バルカンファストルビンB(C.I.12320)、バルカンファストピンクG(C.I.12330),ライトファストレッドトーナーB(C.I.12450)、ライトファストレッドトーナーR(C.I.12455)、パーマネントカーミンFB(C.I.12490)、ピラゾロンレッド(C.I.12120)、リソールレッド(C.I.15630)、レーキレッドC(C.I.15585)、レーキレッドD(C.I.15500)、アンソシンB(C.I.18030)、ブリリアントスカーレットG(C.I.15800)、リソールルビンGK(C.I.15825)、パーマネントレッドF5R(C.I.15865)、ブリリアントカーミン6B(C.I.15850)、ピグメントスカーレット3B(C.I.16105)、ボルドー5B(C.I.12170)、トルイジンマルーン(C.I.12350)、パーマネントボルドーF2R(C.I.12385)、ヘリオボルドーBL(C.I.14830)、ボルドー10B(C.I.15880)、ボンマルーンライト(C.I.15825)、ボンマルーンメジウム(C.I.15880)、エオシンレーキ(C.I.45380)、ローダミンレーキB(C.I.45170)、ローダミンレーキY(C.I.45160)、アリザリンレーキ(C.I.58000)、チオインジゴレッドB(C.I.73300)、チオインジゴマルーン(C.I.73385)、パーマネントレッドFGR(C.I.12370)、PVカーミンHR、ワッチングレッド、モノライトファストレッドYS(C.I.59300)、パーマネントレッドBL、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ(C.I.42535)、ジオキサジンバイオレット、アルカリブルーレーキ(C.I.42750A、C.I.42770A)、ピーコックブルーレーキ(C.I.42090)、ピーコックブルーレーキ(C.I.42025)、ビクトリアブルーレーキ(C.I.44045)、フタロシアニンブルー(C.I.74160)、ファストスカイブルー(C.I.74180)、インダンスレンブルーRS(C.I.69800)、インダンスレンブルーBC(C.I.69825)、インジゴ(C.I.73000)、ピグメントグリーンB(C.I.10006)、ナフトールグリーンB(C.I.10020)、グリーンゴールド(C.I.12775)、アシッドグリーンレーキ、マラカイトグリーンレーキ(C.I.42000)、フタロシアニングリーン等の有機顔料や、黒色酸化鉄、ファーネストブラック、チャンネルブラック、サーマルブラック、アセチレンブラック等のカーボンブラック、黄色酸化鉄、赤色酸化鉄、群青、紺青、コバルトブルー、チタンイエロー、ターコイズ、モリブデートオレンジ等の無機顔料が挙げられ、これらを液媒体に分散して用いられる。
【0019】
液媒体が水であるインキ組成物に顔料を用いる場合、市販の水分散タイプを用いると取り扱い性や生産性が高まるので好ましく用いられる。水分散タイプの具体例としては、Ryudye−Wシリーズ(大日本インキ化学工業(株)製)、NKWシリーズ(日本蛍光化学(株)製)、Sandye Superシリーズ(山陽色素(株)製)、EM Colorシリーズ、LIOFAST Colorシリーズ(以上、東洋インキ製造(株)製)等が挙げられる。
【0020】
さらに、染料も着色剤として使用できる。染料の具体例としては、酸性染料、直接染料、塩基性染料等のいずれも用いることができる。その一例を挙げれば、ジャパノールファストブラックDコンク(C.I.ダイレクトブラック17)、ウォーターブラック100L(同19)、ウォーターブラックL−200(同19)、ダイレクトファストブラックB(同22)、ダイレクトファストブラックAB(同32)、ダイレクトディープブラックEX(同38)、ダイレクトファストブラックコンク(同51)、カヤラススプラグレイVGN(同71)、カヤラスダイレクトブリリアントエローG(C.I.ダイレクトエロー4)、ダイレクトファストエロー5GL(同26)、アイゼンプリムラエローGCLH(同44)、ダイレクトファストエローR(同50)、アイゼンダイレクトファストレッドFH(C.I.ダイレクトレッド1)、ニッポンファストスカーレットGSX(同4)、ダイレクトファストスカーレット4BS(同23)、アイゼンダイレクトローデュリンBH(同31)、ダイレクトスカーレットB(同37)、カヤクダイレクトスカーレット3B(同39)、アイゼンプリムラピンク2BLH(同75)、スミライトレッドF3B(同80)、アイゼンプリムラレッド4BH(同81)、カヤラススプラルビンBL(同83)、カヤラスライトレッドF5G(同225)、カヤラスライトレッドF5B(同226)、カヤラスライトローズFR(同227)、ダイレクトスカイブルー6B(C.I.ダイレクトブルー1)、ダイレクトスカイブルー5B(同15)、スミライトスプラブルーBRRコンク(同71)、ダイボーゲンターコイズブルーS(同86)、ウォーターブルー#3(同86)、カヤラスターコイズブルーGL(同86)、カヤラススプラブルーFF2GL(同106)、カヤラススプラターコイズブルーFBL(同199)等の直接染料や、アシッドブルーブラック10B(C.I.アシッドブラック1)、ニグロシン(同2)、スミノールミリングブラック8BX(同24)、カヤノールミリングブラックVLG(同26)、スミノールファストブラックBRコンク(同31)、ミツイナイロンブラックGL(同52)、アイゼンオパールブラックWHエクストラコンク(同52)、スミランブラックWA(同52)、ラニルブラックBGエクストラコンク(同107)、カヤノールミリングブラックTLB(同109)、スミノールミリングブラックB(同109)、カヤノールミリングブラックTLR(同110)、アイゼンオパールブラックニューコンク(同119)、ウォーターブラック187−L(同154)、カヤクアシッドブリリアントフラビンFF(C.I.アシッドエロー7:1)、カヤシルエローGG(同17)、キシレンライトエロー2G140%(同17)、スミノールレベリングエローNR(同19)、ダイワタートラジン(同23)、カヤクタートラジン(同23)、スミノールファストエローR(同25)、ダイアシッドライトエロー2GP(同29)、スミノールミリングエローO(同38)、スミノールミリングエローMR(同42)、ウォーターエロー#6(同42)、カヤノールエローNFG(同49)、スミノールミリングエロー3G(同72)、スミノールファストエローG(同61)、スミノールミリングエローG(同78)、カヤノールエローN5G(同110)、スミノールミリングエロー4G200%(同141)、カヤノールエローNG(同135)、カヤノールミリングエロー5GW(同127)、カヤノールミリングエロー6GW(同142)、スミトモファストスカーレットA(C.I.アシッドレッド8)、カヤクシルクスカーレット(同9)、ソーラールビンエクストラ(同14)、ダイワニューコクシン(同18)、アイゼンボンソーRH(同26)、ダイワ赤色2号(同27)、スミノールレベリングブリリアントレッドS3B(同35)、カヤシルルビノール3GS(同37)、アイゼンエリスロシン(同51)、カヤクアシッドローダミンFB(同52)、スミノールレベリングルビノール3GP(同57)、ダイアシッドアリザリンルビノールF3G200%(同82)、アイゼンエオシンGH(同87)、ウォーターピンク#2(同92)、アイゼンアシッドフロキシンPB(同92)、ローズベンガル(同94)、カヤノールミリングスカーレットFGW(同111)、カヤノールミリングルビン3BW(同129)、スミノオールミリングブリリアントレッド3BNコンク(同131)、スミノールミリングブリリアントレッドBS(同138)、アイゼンオパールピンクBH(同186)、スミノールミリングブリリアントレッドBコンク(同249)、カヤクアシッドブリリアントレッド3BL(同254)、カヤクアシッドブリリドブリリアントレッドBL(同265)、カヤノールミリングレッドGW(同276)、ミツイアシッドバイオレット6BN(C.I.アシッドバイオレット15)、ミツイアシッドバイオレットBN(同17)、スミトモパテントピュアブルーVX(C.I.アシッドブルー1)、ウォーターブルー#106(同1)、パテントブルーAF(同7)、ウォーターブルー#9(同9)、ダイワ青色1号(同9)、スプラノールブルーB(同15)、オリエントソルブルブルーOBC(同22)、スミノールレベリングブルー4GL(同23)、ミツイナイロンファストブルーG(同25)、カヤシルブルーAGG(同40)、カヤシルブルーBR(同41)、ミツイアリザリンサフィロールSE(同43)、スミノールレベリングスカイブルーRエクストラコンク(同62)、ミツイナイロンファストスカイブルーB(同78)、スミトモブリリアントインドシアニン6Bh/c(同83)、サンドランシアニンN−6B350%(同90)、ウォーターブルー#115(同90)、オリエントソルブルブルーOBB(同93)、スミトモブリリアントブルー5G(同103)、カヤノールミリングウルトラスカイSE(同112)、カヤノールミリングシアニン5R(同113)、アイゼンオパールブルー2GLH(同158)、ダイワギニアグリーンB(C.I.アシッドグリーン3)、アシッドブリリアントミリンググリーンB(同9)、ダイワグリーン#70(同16)、カヤノールシアニングリーンG(同25)、スミノールミリンググリーンG(同27)等の酸性染料、アイゼンカチロンイエロー3GLH(C.I.ベーシックイエロー11)、アイゼンカチロンブリリアントイエロー5GLH(同13)、スミアクリルイエローE−3RD(同15)、マキシロンイエロー2RL(同19)、アストラゾンイエロー7GLL(同21)、カヤクリルゴールデンイエローGL−ED(同28)、アストラゾンイエロー5GL(同51)、アイゼンカチロンオレンジGLH(C.I.ベーシックオレンジ21)、アイゼンカチロンブラウン3GLH(同30)、ローダミン6GCP(C.I.ベーシックレッド1)、アイゼンアストラフロキシン(同12)、スミアクリルブリリアントレッドE−2B(同15)、アストラゾンレッドGTL(同18)、アイゼンカチロンブリリアントピンクBGH(同27)、マキシロンレッドGRL(同46)、アイゼンメチルバイオレット(C.I.ベーシックバイオレット1)、アイゼンクリスタルバイオレット(同3)、アイゼンローダミンB(同10)、アストラゾンブルーG(C.I.ベーシックブルー1)、アストラゾンブルーBG(同3)、メチレンブルー(同9)、マキシロンブルーGRL(同41)、アイゼンカチロンブルーBRLH(同54)、アイゼンダイヤモンドグリーンGH(C.I.ベーシックグリーン1)、アイゼンマラカイトグリーン(同4)、ビスマルクブラウンG(C.I.ベーシックブラウン1)等の塩基性染料が挙げられる。
以上の顔料及び染料は、単独或は複数を混合して使用できる。
【0021】
定着剤は、平板状着色剤や酸化チタンといったインキ組成物中の固形物を紙などの被筆記面に定着させるため、また、酸化チタンなどの分散安定剤として使用されるが、水溶性樹脂や樹脂エマルションが挙げられる。水溶性樹脂としては、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル、スチレンより選択されるモノマーの共重合体等がある。前記モノマーは、樹脂の硬度付与成分モノマー又は可塑性付与成分モノマーとして用いられ、これに、架橋・官能付与成分モノマーとしてマレイン酸、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル等を用いることもある。このようにして得たアクリル系樹脂をジエタノールアミン、アンモニア、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ剤により中和し、水溶性化している。このような樹脂の具体例としては、ジョンクリルJ61J(スチレン−アクリル酸エステル−アクリル酸共重合体の30.5重量%アンモニア水溶液)、同J62(スチレン−アクリル酸エステル−アクリル酸共重合体の34重量%アンモニア水溶液)、同J−683(スチレン−アクリル酸エステル−アクリル酸共重合体)、同J−679(スチレン−アクリル酸エステル−アクリル酸共重合体)(以上、ジョンソンポリマー(株)製)、ジュリマーAT−210((メタ)アクリル酸エステル−(メタ)アクリル酸共重合体の30重量%アンモニア水溶液)、同AT−510((メタ)アクリル酸エステル−(メタ)アクリル酸共重合体の30重量%アンモニア水溶液)、同AT515((メタ)アクリル酸エステル−(メタ)アクリル酸共重合体の30%アンモニア水溶液)(以上、日本純薬(株)製)などが挙げられる。アクリル樹脂エマルションの具体例として、ジョンクリルエマルションJ−450、同J−537、同J−74J、同J−790、同J−741、同J−775、同J−7001(以上、ジョンソンポリマー(株)製)、JSRアクリルエマルションAE318、同AE343、同AE337(以上、日本合成ゴム(株)製)、ビニゾール1637(大同化成工業(株)製)、モビニールDM772、同DM774、モビニール727、モビニール700(以上、ヘキスト合成(株)製)等が挙げられる。
【0022】
インキ組成物とするための液媒体は水の他、従来公知の有機溶剤を使用することが出来る。インキ組成物の液媒体を水とする場合は、ペン先でのインキ組成物の乾燥防止、低温時のインキ組成物の凍結防止などの種々の目的で必要に応じて水溶性有機溶剤を用いてもよい。水溶性有機溶剤の具体例として、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ヘキシレングリコール、グリセリン、ポリエチレングリコール等のグリコール系溶剤や、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル等のグリコールエーテル系溶剤、乳酸エチル、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、トリエタノールアミン等を単独或いは混合して使用することができる。
従来公知の有機溶剤としては、フェニルセルソルブやベンジルアルコール、酢酸−2−エチルへキシル、イソ酪酸イソブチル、乳酸ブチル等のエステル系溶剤等を単独或いは混合して使用することができる。
【0023】
尚、上記した成分の他に、インキ組成物の粘度を調整するために粘度調整剤を添加することができる。例えば、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸ソーダ、ポリアクリルアミド、ポリエチレンオキサイド、ポリビニルピロリドン等の水溶性合成高分子物質や、種子多糖類のグァーガム、ローカストビーンガム及びその誘導体、微生物系のザンサンガム、ウェランガム、ラムザンガム、海藻多糖類のカラーギナン、アルギン酸及びその誘導体、樹脂多糖類のタラガントガム、セルロース系樹脂、ピロリドン系樹脂などの樹脂を使用することができる。これらの粘度調整剤は一種若しくは二種以上を混合して使用することもできる。また、シリカ粉、アルミナ、珪酸アルミニウム、炭酸カルシウム、樹脂球などの体質顔料、尿素、エチレン尿素、チオ尿素などの湿潤剤や潤滑剤、ベンゾチアゾリン系、オマジン系などの防腐剤、ベンゾトリアゾール等の防錆剤、アニオン系、非イオン系の界面活性剤、消泡剤などの種々の添加剤が使用できる。
【0024】
本発明のインキ組成物を製造するに際しては、従来知られている種々の方法が採用できるが、例えば、上記各成分を配合し、ターボミキサー、ヘンシェルミキサー等の撹拌機により撹拌混合することによって、又、ボールミル、ダイノーミル、サンドグラインダー、スピードラインミル、ロールミル等の分散機により混合粉砕することによって容易に得られる。
【実施例】
【0025】
以下、実施例に基づき更に詳細に説明する。
各実施例、比較例のインキ組成物の配合は以下の通りである。
実施例1
チタニックスJR−800(酸化チタン、メジアン径0.27μm、テイカ(株)製)
23.0重量部
メタシャインMC5150NB(青色の金属被覆ガラスフレーク顔料、平均粒径50μm
、日本板硝子(株)製) 2.0重量部
Sandye Super Violet 1103(紫色着色剤、山陽色素(株))
7.0重量部
エチレングリコール 7.0重量部
グリセリン 7.0重量部
プロクセルGXL(防腐剤、1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オン、ICIジャパン
(株)製) 0.2重量部
水 23.8重量部
ジョンクリル61J(水溶性スチレンアクリル樹脂、ジョンソンポリマー(株)製)
5.0重量部
ジョンクリル790(スチレンアクリルエマルジョン、ジョンソンポリマー(株)製)
5.0重量部
ケルザンAR3重量%水溶液(キサンタンガム、三晶(株)製) 20.0重量部
上記各成分ケルザンAR3重量%水溶液を除く上記各成分をボールミルにて24時間分散後、ケルザンAR3重量%水溶液を加え、ターボミキサーで10分攪拌混合し、インキを得た。
【0026】
実施例2
タイピュアR900(酸化チタン、メジアン径0.24μm、デュポン・ジャパン・リミ
テッド社製) 15.0重量部
エルジー Green #325(緑色の金属蒸着膜顔料、平均粒径44μm、尾池工業
(株)製) 4.0重量部
ルミコールNKW−2107(ピンク蛍光色、日本蛍光化学(株)製) 30.0重量部
エチレングリコール 7.0重量部
グリセリン 7.0重量部
プロクセルGXL(防腐剤、1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オン、ICIジャパン
(株)製) 0.2重量部
水 11.8重量部
ジョンクリル61J(水溶性スチレンアクリル樹脂、ジョンソンポリマー(株)製)
5.0重量部
ケルザンAR3重量%水溶液(キサンタンガム、三晶(株)製) 20.0重量部
上記各成分をプロペラ型撹拌機で混合し、インキを得た。
【0027】
実施例3
チタニックスJR−301(酸化チタン、メジアン径0.3μm、テイカ(株)製)
30.0重量部
エルジー Red Gold #325(赤金色の金属蒸着膜顔料、平均粒径44μm、
尾池工業(株)製) 10.0重量部
水 33.0重量部
ジョンクリル1535(樹脂、スチレン−アクリル酸共重合物、ジョンソンポリマー(株
)製) 10.0重量部
エチレングリコール 7.0重量部
グリセリン 7.0重量部
プロクセルGXL(防腐剤、1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オン、ICIジャパン
(株)製) 0.2重量部
TL10(非イオン系界面活性剤、日光ケミカルズ(株)製) 2.2重量部
ウエランガム 0.6重量部
上記各成分をプロペラ撹拌機で60分撹拌混合し、インキを得た。
【0028】
実施例4
チタニックスJR−301(酸化チタン、メジアン径0.3μm、テイカ(株)製)
30.0重量部
エルジー Red Gold #325(赤金色の金属蒸着膜顔料、平均粒径44μm、
尾池工業(株)製) 8.0重量部
ルミコールNKW−2108(水色樹脂分散顔料、日本蛍光化学(株)製)
10.0重量部
水 25.0重量部
ジョンクリル1535(樹脂、スチレン−アクリル酸共重合物、ジョンソンポリマー(株
)製) 10.0重量部
エチレングリコール 7.0重量部
グリセリン 7.0重量部
プロクセルGXL(防腐剤、1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オン、ICIジャパン
(株)製) 0.2重量部
TL10(非イオン系界面活性剤、日光ケミカルズ(株)製) 2.2重量部
ウエランガム 0.6重量部
上記各成分をプロペラ撹拌機で60分撹拌混合し、インキを得た。
【0029】
実施例5
チタニックスJR−800(酸化チタン、メジアン径0.27μm、テイカ(株)製)
10.0重量部
WXM 5452(銀色のアルミニウムである麟片状金属箔単体顔料、平均粒径18μm
、東洋アルミニウム(株)製) 5.0重量部
Sandye Super Violet 1103(紫色着色剤、山陽色素(株)製)
7.0重量部
エチレングリコール 7.0重量部
グリセリン 7.0重量部
プロクセルGXL(防腐剤、1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オン、ICIジャパン
(株)製) 0.2重量部
水 33.8重量部
ジョンクリル61J(水溶性スチレンアクリル樹脂、ジョンソンポリマー(株)製)
5.0重量部
ジョンクリル790(スチレンアクリルエマルジョン、ジョンソンポリマー(株)製)
5.0重量部
ケルザンAR3重量%水溶液(キサンタンガム、三晶(株)製)
20.0重量部
上記各成分ケルザンAR3重量%水溶液を除く上記各成分をボールミルにて24時間分散後、ケルザンAR3重量%水溶液を加え、ターボミキサーで10分攪拌混合し、インキを得た。
【0030】
実施例6
チタニックスJA−1(酸化チタン、メジアン径0.18μm、テイカ(株)製)
30.0重量部
エルジー Red Gold #325(赤金色の金属蒸着膜顔料、平均粒径44μm、
尾池工業(株)製) 8.0重量部
ルミコールNKW−2108(水色樹脂分散顔料、日本蛍光化学(株)製)
10.0重量部
水 25.0重量部
ジョンクリル1535(樹脂、スチレン−アクリル酸共重合物、ジョンソンポリマー(株
)製) 10.0重量部
エチレングリコール 7.0重量部
グリセリン 7.0重量部
プロクセルGXL(防腐剤、1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オン、ICIジャパン
(株)製) 0.2重量部
TL10(非イオン系界面活性剤、日光ケミカルズ(株)製) 2.2重量部
ウエランガム 0.6重量部
上記各成分をプロペラ撹拌機で60分撹拌混合し、インキを得た。
【0031】
実施例7
STR−60C(酸化チタン、メジアン径0.02μm、堺化学工業(株)製)
15.0重量部
エルジー Green# 325(緑色の金属蒸着膜顔料、平均粒径44μm、尾池工業
(株)製) 4.0重量部
Sandye Super Violet 1103(紫色着色剤、山陽色素(株))
30.0重量部
エチレングリコール 7.0重量部
グリセリン 7.0重量部
プロクセルGXL(防腐剤、1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オン、ICIジャパン
(株)製) 0.2重量部
水 11.8重量部
ジョンクリル61J(水溶性スチレンアクリル樹脂、ジョンソンポリマー(株)製)
5.0重量部
ケルザンAR3重量%水溶液(キサンタンガム、三晶(株)製) 20.0重量部
上記各成分をプロペラ型撹拌機で混合し、インキを得た。
【0032】
比較例1
チタニックスJR−800(酸化チタン、メジアン径0.27μm、テイカ(株)製)
9.0重量部
エルジー Blue #325(青色金の金属蒸着膜顔料、平均粒径44μm、尾池工業
(株)製) 2.0重量部
Sandye Super Violet 1103(紫色着色剤、山陽色素(株)製)
21.0重量部
エチレングリコール 7.0重量部
グリセリン 7.0重量部
プロクセルGXL(防腐剤、1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オン、ICIジャパン
(株)製) 0.2重量部
水 23.8重量部
ジョンクリル61J(水溶性スチレンアクリル樹脂、ジョンソンポリマー(株)製)
5.0重量部
ジョンクリル790(スチレンアクリルエマルジョン、ジョンソンポリマー(株)製)
5.0重量部
ケルザンAR3重量%水溶液(キサンタンガム、三晶(株)製) 20.0重量部
上記各成分ケルザンAR3重量%水溶液を除く上記各成分をボールミルにて24時間分散後、ケルザンAR3重量%水溶液を加え、ターボミキサーで10分攪拌混合し、インキを得た。
【0033】
比較例2
チタニックスJR−800(酸化チタン、メジアン径0.27μm、テイカ(株)製)
23.0重量部
メタシャインME2015PS(銀色の金属被覆ガラスフレーク顔料、平均粒径15μm
、日本板硝子(株)製) 2.0重量部
Sandye Super Violet 1103(紫色着色剤、山陽色素(株)製)
7.0重量部
エチレングリコール 7.0重量部
グリセリン 7.0重量部
プロクセルGXL(防腐剤、1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オン、ICIジャパン
(株)製) 0.2重量部
水 23.8重量部
ジョンクリル61J(水溶性スチレンアクリル樹脂、ジョンソンポリマー(株)製)
5.0重量部
ジョンクリル790(スチレンアクリルエマルジョン、ジョンソンポリマー(株)製)
5.0重量部
ケルザンAR3重量%水溶液(キサンタンガム、三晶(株)製) 20.0重量部
上記各成分ケルザンAR3重量%水溶液を除く上記各成分をボールミルにて24時間分散後、ケルザンAR3重量%水溶液を加え、ターボミキサーで10分攪拌混合し、インキを得た。
【0034】
比較例3
チタニックスJR−301(酸化チタン、メジアン径0.3μm、テイカ(株)製)
30.0重量部
メタシャインMC5150PS(銀色の金属被覆ガラスフレーク顔料、平均粒径150μ
m、日本板ガラス(株)製) 8.0重量部
ルミコールNKW−2108(水色樹脂分散顔料、日本蛍光化学(株)製)
10.0重量部
水 25.0重量部
ジョンクリル1535(樹脂、スチレン−アクリル酸共重合物、ジョンソンポリマー(株
)製) 10.0重量部
エチレングリコール 7.0重量部
グリセリン 7.0重量部
プロクセルGXL(防腐剤、1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オン、ICIジャパン
(株)製) 0.2重量部
TL10(非イオン系界面活性剤、日光ケミカルズ(株)製) 2.2重量部
ウエランガム 0.6重量部
上記各成分をプロペラ撹拌機で60分撹拌混合し、インキを得た。
【0035】
各実施例、比較例の評価用のボールペンに使用したボールには、種々の表面粗さ(Ra)を持つ、ボール直径1.0mmの炭化ケイ素の焼結体を用いた。各実施例、比較例の評価用のボールペンに使用したボールの表面粗さ(Ra)を以下に示す。なお、ボールの表面粗さの測定にはセイコーエプソン社製の機種名SPI3800Nを用いた。
ボールa:表面粗さ0.5nm
ボールb:表面粗さ4.0nm
ボールc:表面粗さ15.0nm
ボールd:表面粗さ30.0nm
ボールe:表面粗さ50.0nm
【0036】
ぺんてる(株)製のHybrid Gel grip DX(製品符号K230)に上記のボールa〜eを取り付けたボールペンのインキ収容管に、それぞれ上記実施例、比較例のインキ組成物を充填したものを試験サンプルとし、上質紙(JIS P3201筆記用紙A)に縦横方向に密に直線引きして面塗りした。500gの荷重を掛けた3cm×3cmのステンレス板を7cm/秒の速さで引いて、面塗りした筆跡を2回擦り、人為的に擦った後の筆跡を作り、面塗りの直後と、筆跡を擦った後の筆跡の色調を目視確認した。また、面塗り直後の筆跡と、筆跡を擦った後の筆跡の電子顕微鏡写真をそれぞれ撮影し、単位面積1平方cmあたりの視認できる平板状着色剤の数をカウントした。結果を表1に示す。
【0037】
【表1】

【0038】
上記の表1より、実施例1〜7では、面塗り直後の筆跡で平板状着色剤が含まれていることは視認されなかったが、ステンレス板で筆跡を擦ると平板状着色剤が筆跡上に現れ、面塗り直後と筆跡を擦った後で筆跡の色彩変化が視認された。比較例1では面塗りした直後に筆跡を擦らなくても平板状着色剤の色彩が視認されてしまい、比較例2では面塗り直後の筆跡で平板状着色剤が含まれていることは視認されなかったが、筆跡を擦ると酸化チタンと一緒に平板状着色剤も剥がれ落ちてしまい満足のいく視認効果が得られなかった。
また、実施例1〜7において、ボールb、c、dを用いたものは、ボールa、eを用いたものに比べて平板状着色剤の吐出量が多いものとなり、面塗り直後と筆跡を擦った後での筆跡の色彩変化が著しいものとなった。
以上、詳細に説明したように、本発明に係わるインキ組成物は、筆跡を擦ったとき、筆記直後の筆跡の色とは異なる色彩を醸し出すことができる趣向性の高いインキ組成物となる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
平均粒子径が18μm以上100μm以下の平板状着色剤と、インキ組成物全量中10重量%以上の酸化チタンとを少なくとも含有するインキ組成物。
【請求項2】
前記酸化チタンのメジアン径が0.1μm以上1.0μm以下である請求項1に記載のインキ組成物。
【請求項3】
前記平板状着色剤が、金属被覆無機顔料、金属酸化物被覆無機顔料、金属蒸着膜顔料、金属箔単体顔料、パール顔料から選ばれる1種もしくは2種以上の混合物である請求項1又は請求項2に記載のインキ組成物。
【請求項4】
筆記部材として、炭化珪素の焼結体であると共に表面粗さ(Ra)が4nm以上30nm以下であるボールと、このボールを先端突出して保持するボールホルダーとからなるボールペンチップを備え、請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のインキ組成物を用いたボールペン。

【公開番号】特開2006−265519(P2006−265519A)
【公開日】平成18年10月5日(2006.10.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−251553(P2005−251553)
【出願日】平成17年8月31日(2005.8.31)
【出願人】(000005511)ぺんてる株式会社 (899)
【Fターム(参考)】