インクカートリッジ
【課題】インク導出流路内にインク導入管が進入したことを検出する。
【解決手段】インクカートリッジは、インク袋と、インク袋に連通するインク流路43aを有するインク導出管43と、フォトセンサ66とを含んでいる。インク導出管43内には、第2バルブ60が設けられている。第2バルブ60は、弁座61と、弁座61と接触することによってインク流路43aを遮断する弁部材62と、弁部材62を弁座61に向けて付勢するコイルバネ63とを有している。フォトセンサ66は、中空針153の挿入に伴って弁部材62が弁座61と接触する位置から離隔する位置に移動したことを検出する。
【解決手段】インクカートリッジは、インク袋と、インク袋に連通するインク流路43aを有するインク導出管43と、フォトセンサ66とを含んでいる。インク導出管43内には、第2バルブ60が設けられている。第2バルブ60は、弁座61と、弁座61と接触することによってインク流路43aを遮断する弁部材62と、弁部材62を弁座61に向けて付勢するコイルバネ63とを有している。フォトセンサ66は、中空針153の挿入に伴って弁部材62が弁座61と接触する位置から離隔する位置に移動したことを検出する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクカートリッジに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、インクカートリッジの記録装置への装着完了を検出するセンサが設けられた記録装置が記載されている。具体的には、本体(カートリッジ装着部)にインクカートリッジが装着されると、カートリッジ装着部側に設けられた一対の電極にインクカートリッジの裏面に貼付された一対の抵抗ラベルがそれぞれ接触し、電気的導通がなされることによりカートリッジ有りの検出が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8−80618号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に記載の記録装置においては、インクカートリッジがカートリッジ装着部に装着されたことは検出できるが、インクカートリッジのインク導出流路(インク取出し部の内部に形成された流路)内に、本体のインク導入管(中空針)が確実に進入したことまでは分からない。したがって、インクカートリッジから本体へ至るインクの流路が形成されたか否かについては検出できない。
【0005】
そこで、本発明の目的は、インクカートリッジのインク導出流路内に、記録装置本体側に設けられたインク導入管が進入したことを検出可能な、インクカートリッジを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のインクカートリッジは、インクを収容するインク収容部と、前記インク収容部と連通するインク導出流路と、前記インク導出流路の内部において移動可能に設けられ、前記インク導出流路の導出口から前記インク導出流路内に進入したインクを外部に取り出すための中空管に押されることによって移動する移動体と、前記移動体が所定位置にあることを検出する検出部とを備えている。
【0007】
これによると、移動体が所定位置にあるかどうかを検出部によって検出することによって、中空管がインク導出流路内に正しく進入させたかどうかを検出することが可能となる。したがって、インクカートリッジから記録装置本体に至るインクの流路が正しく形成されたことを確認できるので、インクカートリッジから記録装置本体に供給されるインクが漏れ出す状況を回避することが可能となる。
【発明の効果】
【0008】
本発明のインクカートリッジによると、移動体が所定位置にあるかどうかを検出部によって検出することによって、中空管がインク導出流路内に正しく進入させたかどうかを検出することが可能となる。したがって、インクカートリッジから記録装置本体に至るインクの流路が正しく形成されたことを確認できるので、インクカートリッジから記録装置本体に供給されるインクが漏れ出す状況を回避することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の第1実施形態によるインクジェットプリンタの外観を示す斜視図である。
【図2】図1に示すインクジェットプリンタの内部構造を示す概略側面図である。
【図3】メンテナンスユニットを示す斜視図である。
【図4】キャッピング動作を示すインクジェットプリンタの部分側面図である。
【図5】本発明の第1実施形態によるインクカートリッジの斜視図である。
【図6】図5に示すインクカートリッジの内部構造を示す構成図である。
【図7】インクカートリッジの部分断面図であり、(a)は2つのバルブが閉状態のときを示し、(b)は2つのバルブが開状態のときを示す図である。
【図8】インクジェットプリンタとインクカートリッジの電気的な構成を示すブロック図である。
【図9】インクカートリッジを装着部に装着するときの状況を示す部分断面図である。
【図10】本発明の第1実施形態によるインクカートリッジを装着部に装着する際の制御フロー図である。
【図11】本発明の第2実施形態によるインクカートリッジとインクジェットプリンタの電気的な構成を示すブロック図である。
【図12】本発明の第2実施形態によるインクカートリッジを装着部に装着する際の制御フロー図である。
【図13】本発明の第3実施形態によるインクカートリッジの部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の好適な実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0011】
本発明の第1実施形態によるインクジェットプリンタ1は、図1に示すように、直方体形状の筐体1aを有し、その正面(図1の紙面手前側の面)には、上から順に、3つの開口10d,10b,10cが形成されている。開口10d,10cには、下端の水平軸を支点として開閉可能な扉1d,1cが嵌め込まれている。開口10bには給紙ユニット1bが挿入されている。そして、筐体1aの上部には、排紙部11が設けられている。扉1dは、筐体1aの主走査方向(図1中奥行き方向)に関して、搬送ユニット21と対向配置されている。
【0012】
次に、図2を参照しつつ、インクジェットプリンタ1の内部構成について説明する。図2に示すように、インクジェットプリンタ1の筐体1a内は、上から順に3つの空間G1〜G3に区分されている。空間G1には、マゼンタ、シアン、イエロー、ブラックのインクをそれぞれ吐出する4つのインクジェットヘッド2、メンテナンスユニット30、及び、搬送ユニット21が配置されている。空間G2には、給紙ユニット1bが配置されている。空間G3には、4つのインクカートリッジ40が配置されている。
【0013】
給紙ユニット1b及び4つのインクカートリッジ40の筐体1aに対する着脱は、主走査方向(図2中紙面垂直方向)に沿って行われる。なお、本実施形態において、副走査方向とは搬送ユニット21で用紙Pを搬送するときの搬送方向と平行な方向であり、主走査方向とは副走査方向に直交する方向であって水平面に沿った方向である。また、プリンタ1には、給紙ユニット1b、メンテナンスユニット30、搬送ユニット21及びインクジェットヘッド2を制御する制御部100が設けられている。
【0014】
4つのインクジェットヘッド2は、それぞれ主走査方向に沿って延在し、副走査方向に並設されており、フレーム3を介して筐体1aに支持されている。すなわち、このインクジェットプリンタ1は、ライン式のカラーインクジェットプリンタである。また、フレーム3は、筐体1a内において、昇降機構(不図示)によって上下方向に移動可能に配置されている。昇降機構は、制御部100の制御によって、インクジェットヘッド2を印刷位置(図2に示す位置)及び印刷位置よりも上方の退避位置(図4(a)参照)の間を移動させる。
【0015】
インクジェットヘッド2は、圧力室を含むインク流路が形成された流路ユニットと、圧力室のインクに圧力を与えるアクチュエータとが貼り合わされた積層体(ともに図示せず)を有している。そして、インクジェットヘッド2の底面は、インクを吐出する複数の吐出口(不図示)が形成された吐出面2aとなっている。各インクジェットヘッド2は、内部のインク流路と連通する可撓性のチューブ(不図示)と接続されている。このチューブは、後述のインク供給路154(図9参照)とそれぞれ接続されている。
【0016】
インクジェットプリンタ1の内部には、給紙ユニット1bから排紙部11に向けて、図2に示す太矢印に沿って、用紙Pが搬送される用紙搬送経路が形成されている。給紙ユニット1bは、複数枚の用紙Pを収納することが可能な給紙トレイ23と、給紙トレイ23に取り付けられた給紙ローラ25とを有している。給紙ローラ25は、制御部100により制御された給紙モータ(図示せず)によって駆動力が与えられることによって、給紙トレイ23の最も上方にある用紙Pを送り出す。給紙ローラ25によって送り出された用紙Pは、ガイド27a,27bによりガイドされ且つ送りローラ対26によって挟持されつつ搬送ユニット21へと送られる。
【0017】
搬送ユニット21は、図2に示すように、2つのベルトローラ6,7と、両ローラ6,7間に架け渡されるように巻回されたエンドレスの搬送ベルト8とを有している。ベルトローラ7は、駆動ローラであって、その軸に制御部100により制御された搬送モータ(図示せず)から駆動力が与えられることで、図2中時計回りに回転する。ベルトローラ6は、従動ローラであって、ベルトローラ7の回転により搬送ベルト8が走行するのに伴って、図2中時計回りに回転する。
【0018】
搬送ベルト8の外周面8aにはシリコーン処理が施されており、粘着性を有している。用紙搬送経路上において搬送ベルト8を挟んでベルトローラ6と対向する位置には、ニップローラ4が配置されている。ニップローラ4は、給紙ユニット1bから送り出された用紙Pを搬送ベルト8の外周面8aに押さえ付ける。外周面8aに押さえ付けられた用紙Pは、その粘着力によって外周面8a上に保持されつつ、図2中右方(用紙Pの搬送方向)へと搬送される。
【0019】
用紙搬送経路上において搬送ベルト8を挟んでベルトローラ7と対向する位置には、剥離プレート5が設けられている。剥離プレート5は、搬送ベルト8の外周面8aに保持された用紙Pを外周面8aから剥離する。剥離された用紙Pは、ガイド29a,29bによりガイドされ且つ二組の送りローラ対28によって挟持されつつ搬送され、筐体1a上部に形成された開口12から排紙部11へと排出される。なお、各送りローラ対28の一方のローラは、制御部100に制御された送りモータ(図示せず)によって駆動力が与えられる。
【0020】
搬送ベルト8のループ内には、4つのインクジェットヘッド2と対向するように、ほぼ直方体形状のプラテン19が配置されている。プラテン19の上面は、搬送ベルト8の上側ループの内周面と接触しており、搬送ベルト8の内周側からこれを支持している。これにより、搬送ベルト8の上側ループの外周面8aと吐出面2aとが対向しつつ平行になり、且つ、吐出面2aと外周面8aとの間に僅かな隙間が形成されている。当該隙間は、用紙搬送経路の一部を構成している。搬送ベルト8の外周面8a上に保持されつつ搬送されてきた用紙Pが4つのヘッド2のすぐ下方を順に通過する際に、制御部100の制御により各ヘッド2から用紙Pの上面に向けて各色のインクが吐出され、用紙P上に所望のカラー画像が形成される。
【0021】
4つのインクカートリッジ40のうち、図2中最も左方にあるインクカートリッジ40は、ブラックのインクが貯留されており、残りの3つのインクカートリッジ40よりも副走査方向のサイズが大きくなっている。すなわち、左方にあるインクカートリッジ40は、他の3つのインクカートリッジ40よりもインク容量が大きくなっている。残りの3つのインクカートリッジ40はともにインク容量が同じであり、マゼンタ、シアン、イエローのインクが貯留されている。
【0022】
これら4つのインクカートリッジ40は、プリンタ本体(筐体1a)に装着されると、対応するインクジェットヘッド2に繋がったインク供給路154とそれぞれ接続され、内部のインクがインクジェットヘッド2に供給可能となる。また、インクジェットヘッド2とインク供給路154とを接続するチューブの途中部位には、制御部100により制御されることで、インクカートリッジ40のインクをインクジェットヘッド2に強制的に送液するポンプ(不図示)が設けられている。このポンプは、後述のメンテナンスユニットに含まれる。
【0023】
なお、インクカートリッジ40を交換する際は、扉1cを開けてプリンタ本体からインクカートリッジ40を取り外し、新しいインクカートリッジ40を装着すればよい。本実施形態においては、インクカートリッジ40をプリンタ本体に個別に装着可能となっているが、1つのカートリッジトレイに4つのインクカートリッジ40を載置してユニット化したインクユニットをプリンタ本体に装着する構成であってもよい。
【0024】
また、図2に示すように、4つのインクジェットヘッド2と搬送ユニット21との間には、インクジェットヘッド2の吐出不良を解消するメンテナンスユニット(メンテナンス機構)30が設けられている。メンテナンスユニット30は、副走査方向に沿って等間隔で配置された4つの板状部材32と、各板状部材32上に固定され、各インクジェットヘッド2の吐出面2aを覆うことが可能な4つのキャップ31とを有している。
【0025】
キャップ31は、図3(a)に示すように、主走査方向に沿って長尺に形成されており、その長手方向がインクジェットヘッド2の長手方向と平行となっている。また、キャップ31はゴムなどの弾性材料から構成されており、上方に向かって開口した凹部を有している。4つのキャップ31は、初期状態において、搬送方向に関して対応するインクジェットヘッド2の上流に配置されている。具体的には、最も上流にあるキャップ31は最も上流にあるインクジェットヘッド2の上流に配置され、残りの3つのキャップ31は、インクジェットヘッド間にそれぞれ配置されている。そして、4つのキャップ31は、メンテナンスユニット30の動きに伴って、対応するインクジェットヘッド2に対して、図2中上下及び左右方向に移動される。
【0026】
また、メンテナンスユニット30は、図3(a)に示すように、各板状部材32を挟持し、上方に突出した角部33aを両端に有する一対の内側フレーム33を有している。各内側フレーム33の一方の角部33aには、制御部100により制御される駆動モータ(不図示)の軸に固定されたピニオンギア34が、水平方向に設けられたラックギア35に噛合するように設けられている。なお、図3(a)においては、手前側の内側フレーム33においてのみ、ピニオンギア34を図示している。
【0027】
また、メンテナンスユニット30は、図3(b)に示すように、一対の内側フレーム33の外周に設けられた外側フレーム36を有している。この外側フレーム36の内側には、図3(a)に示したラックギア35が固定されている。また、外側フレーム36には、制御部100により制御される駆動モータ(不図示)の軸に固定されたピニオンギア37が、垂直方向に設けられたラックギア38に噛合するように設けられている。なお、ラックギア38は、筐体1aの内部に立設されている。
【0028】
この構成において、制御部100の制御により、2つのピニオンギア34を同期させて回転させることにより、一対の内側フレーム33が副走査方向に沿って移動する。また、制御部100の制御により、ピニオンギア37を回転させることにより、外側フレーム36が垂直方向に沿って移動する。
【0029】
具体的には、図2に示す初期位置においては、板状部材32同士の間の3つの開口39a、及び、最も下流の板状部材32と角部33aとの間の開口39bが、吐出面2aにそれぞれ対向している。この初期状態から、キャップ31で吐出面2aを覆うキャッピング動作が開始されると、図4(a)に示すように、昇降機構によってインクジェットヘッド2が印刷位置から退避位置に移動される。
【0030】
次に、一対の内側フレーム33が搬送方向に沿って下流側に移動し、図4(b)に示すように、キャップ31が吐出面2aと対向する位置に配置される。次に、外側フレーム36が垂直方向に上昇されることで、図4(c)に示すように、キャップ31が吐出面2aに押し付けられて吐出面2aを覆うキャップ位置に配置される。以上の手順により、各キャップ31によって対応する吐出面2aが覆われる。なお、逆の手順により、キャップ31が初期位置に復帰されるとともに、インクジェットヘッド2も印刷位置に配置される。
【0031】
続いて、インクカートリッジ40について、図5〜図8を参照しつつ説明する。なお、図8においては、電力供給線を太線で示し、信号線を細線で示している。図5及び図6に示すように、インクカートリッジ40は、略直方体形状の筐体41と、筐体41内に配置され内部にインクが充填されたインク袋(インク収容部)42と、一端においてインク袋42と連通するインク導出管43と、第1バルブ50(図7参照)と、第2バルブ60(図7参照)とを有している。
【0032】
筐体41は、図6に示すように、内部に2つの部屋41a,41bが形成されるように区画されており、右方の部屋41aにインク袋42が配置されている。一方、他方の部屋41bには、インク導出管43が配置されている。なお、ブラックインクを貯留するインクカートリッジ40は、他の3つのインクカートリッジ40よりもサイズ及びインク容量が大きくなっているが、単に部屋41a及びインク袋42が副走査方向に大きくなっているだけである。つまり、4つのインクカートリッジ40は、どれもほぼ同様な構成を有しているので、1つのインクカートリッジ40についてのみ説明する。
【0033】
インク導出管43は、図6及び図7に示すように、インク袋42に設けられた接続部42aに接続された管44と、管44の一端側(左方側)に嵌合された管45とを有しており、主走査方向に沿って延在しインク袋42と連通するインク流路(インク導出流路)43aが形成されている。本実施形態における管44,45は、いずれも透明な樹脂から構成されている。また、管45が透明な樹脂から構成されていることで、後述のフォトセンサ(検出部)66が弁部材62を検出可能となっている。
【0034】
管44の一端には、図7に示すように、環状のフランジ47が形成されている。フランジ47には、図6及び図7に示すように、Oリング48aが設けられた環状突起48が形成されている。これにより、図6に示すように、筐体41と環状突起48との間がOリング48aによってシールされる。なお、フランジ47は、部屋41bの壁の一部となっており、筐体41の一部を構成している。
【0035】
フランジ47の外面には、図5及び図8に示すように、接点91が形成されている。接点91は、副走査方向に沿って後述のインク排出口46aと並んで配置されている。接点91は、後述のフォトセンサ66と電気的に接続されている。なお、変形例として、接点91は、インク排出口46aと鉛直方向下方に重ならない位置に配置されておれば、どの位置に配置されていてもよい。このように信号伝達系の接点91が、インク排出口46aと鉛直方向下方に重ならない位置に配置されていることで、インク排出口46aから垂れ落ちたインクが接点91に付着するのを抑制することが可能となる。
【0036】
また、筐体41のインク排出口46a側の側面には、電力入力部92が設けられている。筐体41のインク排出口46aと電力入力部92との間には、主走査方向であってフランジ47からインク袋42に向かって凹んだ段差面41cが設けられている。そして、電力入力部92が、段差面41cに配置されている。また、電力入力部92は、副走査方向に関してインク排出口46aとの間に接点91を挟んで配置されている。すなわち、電力入力部92は、副走査方向に沿ってインク排出口46aから接点91よりも離れている。また、図8に示すように、電力入力部92は、フォトセンサ66と電気的に接続されている。電力入力部92は、後述の電力出力部162と電気的に接続されることによってフォトセンサ66に電力を供給する。なお、変形例として、電力入力部92は、インク排出口46aと鉛直方向下方に重ならない位置に配置されておれば、どの位置に配置されていてもよい。
【0037】
このように電力伝達系の電力入力部92が、インク排出口46aと鉛直方向下方に重ならない位置に配置されていることで、インク排出口46aから垂れ落ちたインクが電力入力部92に付着するのを抑制することが可能となる。さらに、電力入力部92が接点91よりもインク排出口46aから離れているので、よりインクが付着しにくくなる。このため、電力入力部92がショートしてフォトセンサ66が損傷するのを抑制することができる。また、電力入力部92とインク排出口46aとの間に段差面41cが設けられていることで、電力入力部92とインク排出口46aとが副走査方向のみならず主走査方向にも大きく離れることになる。したがって、電力入力部92にインクが付着するのをより一層抑制することが可能となる。
【0038】
また、インク導出管43の管45内には、図7に示すように、第1バルブ50が配置されている。第1バルブ50は、管45の一端(左端)に形成された開口(インクの導出口)を封止する封止体(弾性体)51と、球体(第1弁体)52と、コイルバネ(第1付勢部材)53とを有している。管45の一端には、蓋46が設けられており、封止体51が管45から外れないようになっている。なお、蓋46には、インク排出口46aが形成されている。
【0039】
コイルバネ53は、一端が球体52と接触し他端が管45の他端に形成された段差部45aと接触しており、常に球体52を封止体51に向かって付勢している。本実施形態においては、付勢部材としてコイルバネ53を採用しているが、球体52を封止体51に付勢することが可能であれば、コイルバネ以外の付勢部材であってもよい。
【0040】
封止体51は、ゴムなどの弾性材料から構成されている。また、封止体51には、その中央に主走査方向に貫通したスリット(貫通孔)51aと、管45の一端に嵌合可能な環状突起51bと、球体52と対向する面であって環状突起51bに囲まれた部分に球体52の外周面に沿う湾曲部51cとが形成されている。スリット51aの直径は、後述の中空針153よりも小さくなっている。このため、封止体51は、スリット51aに中空針153が挿入されているときはスリット51aの内周面が中空針153の外周面に密着するように弾性変形し、スリット51aと中空針153との間からインクが漏れない。
【0041】
環状突起51bの内径は、球体52の直径より若干小さくなっており、球体52との接触によってスリット51aが封止されている。なお、スリット51aは、湾曲部51cと球体52との接触によっても封止される。また、封止体51にスリット51aが形成されていることで、中空針153が挿入しやすくなる。加えて、封止体51に中空針153を挿抜したときに、封止体51が中空針153によって削れ、その削り滓が中空針153内に侵入するのを抑制することが可能となる。そのため、インクジェットヘッド2のインク流路に封止体51の削り滓が侵入するのを抑制することができる。
【0042】
この構成において、図7(b)に示すように、インク排出口46aを通して中空針153をスリット51aに挿入すると、中空針153の先端が球体52と当接し球体52が移動することで湾曲部51c及び環状突起51bから離れる。このときに第1バルブ50が閉状態から開状態となる。また、第1バルブ50が開状態のときには、中空針153の孔153bがスリット51aを通過しているので、中空針153とインク流路43aとが連通する。一方、中空針153がスリット51aから抜かれる方向に移動するに連れて、球体52がコイルバネ53の付勢によって環状突起51bに近づく方向に移動する。そして、球体52と環状突起51bとが接触するときに、第1バルブ50が開状態から閉状態となる。さらに、中空針153が抜かれる方向に移動するに連れて、球体52が湾曲部51cと密着する。このように第1バルブ50は、中空針153の挿抜に応じて、インク導出管43を連通させる開状態、及び、インク導出管43の連通を遮断する閉状態のいずれか一方を取る。また、第1バルブ50が、球体52を封止体51に向かってコイルバネ53で付勢させる構成を有しているので、第1バルブ50を簡易にするとともに第1バルブ50からのインク漏れをより抑制することができる。
【0043】
第2バルブ60は、図7に示すように、弁座61と、弁部材(第2弁体)62と、コイルバネ(第2付勢部材)63とを有している。弁座61は、ゴムなどの弾性材料から形成されており、そのフランジ61aが管44の中央近傍の内周面から突出した環状突起44a及び段差部45aとの間に挟まれて配置されている。また、弁座61の中央には、主走査方向に貫通する孔(開口)61bが形成されており、管44と管45とが連通可能となっている。
【0044】
コイルバネ63は、一端が弁部材62と接触し他端が接続部42aと接触しており、常に弁部材62を弁座61に向かって付勢している。つまり、コイルバネ63は弁部材62を封止体51に向う方向に付勢しており、弁部材62が弁座61の右端部(孔61bの開口縁)と接触することで、インク流路43aの連通を遮断している。すなわち、管44と管45との連通が遮断され第2バルブ60が閉状態となる。このとき、弁座61の右端部はコイルバネ63の付勢力によって弾性変形している。また、コイルバネ63が弁部材62を封止体51に向けて付勢し、第1及び第2バルブ50,60を構成する要素が主走査方向に沿って一直線上に並んでいるため、後述の中空針153の封止体51に対する抜き差しによって第1及び第2バルブ50,60を開閉することができる。加えて、第2バルブ60を簡易な構成にすることができ、第2バルブ60の故障を少なくすることができる。なお、コイルバネ63においても、コイルバネ以外の付勢部材から構成されていてもよい。
【0045】
弁部材62は、円柱形状を有しており、管44の内周面と摺動可能となっている。また、弁部材62の接続部42a側の端面は、その中央が主走査方向に突出した凸形状を有している。そして、この弁部材62の突出した部分にコイルバネ63が嵌め込まれることで、コイルバネ63が弁部材62に固定されている。
【0046】
インク導出管43内には、中空管153が挿入されることによって弁部材62をコイルバネ63による付勢方向とは反対方向に押して移動させる押し部材70が配置されている。押し部材70は、主走査方向に沿って延在する円柱の棒状部材であり、弁部材62の弁座61側の端部に一体的に形成されている。つまり、弁部材62と押し部材70とで移動体が構成されている。押し部材70は、孔61bの直径よりも小さい直径を有しており、孔61bを通されて配置されている。押し部材70は、弁部材62と弁座61とが接触した状態(第2バルブ60が閉状態)において、第1バルブ50が開状態から閉状態になるとき(球体52が封止体51と離隔した状態から環状突起51bと接触したとき)に位置する球体52と押し部材70の先端との間に間隙が形成される長さとなっている。
【0047】
この構成において、図7(b)に示すように、中空針153が挿入されて第1バルブ50が開状態となった後に、球体52と押し部材70の先端とが当接する。そして、中空針153のさらなる挿入によって、押し部材70及び弁部材62が移動し、弁部材62が弁座61から離れる。これにより、第2バルブ60が閉状態から開状態となる。このとき、インク流路43aの管44,45間が連通するので、インク袋42内のインクが中空針153に流れ込む。一方、中空針153が抜かれると、第1バルブ50と同様に、コイルバネ63の付勢によって弁部材62及び押し部材70が移動し、弁部材62が弁座61に密着する。これにより、第2バルブ60が開状態から閉状態となる。このように第2バルブ60も、中空針153の挿抜に応じて、インク導出管43のインク流路43aを連通させる開状態、及び、連通を遮断する閉状態のいずれか一方を取る。
【0048】
また、筐体41の部屋41bには、接点91に接続されたフォトセンサ66が設けられている。フォトセンサ66は、物体の有無を非接触状態で検出することができる反射型の光センサであり、図7(a)に示すように、第2バルブ60によってインク流路43aの連通が遮断されているときに弁部材62の下流端と対向し、図7(b)に示すように第2バルブ60によってインク流路43aの連通が遮断されていないときに弁部材62と対向しない位置に配置されている。このフォトセンサ66は、例えば、光出射部と光受光部を有する反射型の光センサを用いることができ、その場合は、弁部材62の少なくとも一部分に光が反射可能である鏡面を形成する。そして、フォトセンサ66は、弁部材62と対向するときに、光出射部から出射された光が弁部材62の鏡面にて反射されこの反射光を光受光部で受光する。これをうけて、フォトセンサ66は、光受光部が光を受光したことを示す信号(以下、信号Aと称する)を出力する。図8に示すように、この信号Aは、接点91,161を介してプリンタ1の制御部100に送信される。一方、フォトセンサ66は、弁部材62と対向しないときには、出射部から出射された光が弁部材62の鏡面にて反射されないため、光受光部での受光はなされない。これをうけて、フォトセンサ66は、光受光部が光を受光していないことを示す信号(以下、信号Bと称する)を出力する。この信号Bは、接点91,161を介してプリンタ1の制御部100に送信される。これらの信号を受けることで、制御部100は、第2バルブ60の開状態と閉状態を区別して検出することができる。本実施形態において、制御部100は、光受光部が光を受光したことを示す信号Aを受けたときに、第2バルブ60が閉状態であると検出し、光受光部が光を受光していないことを示す信号Bを受けたときに、第2バルブ60が開状態であると検出する。なお、フォトセンサ66は反射型のセンサに限られることはなく、例えば、透過型の光センサを用いることも可能である。
【0049】
次に、プリンタ本体に形成された装着部150について、図8、図9を参照しつつ説明する。プリンタ本体には、インクカートリッジ40がそれぞれ装着される装着部150が副走査方向に沿って4つ並設されている。なお、装着部150は、どれもほぼ同じ構成を有しているため、1つの装着部150について説明する。
【0050】
装着部150は、図9に示すように、インクカートリッジ40の外形に沿った凹部151を有している。凹部151の底部151aには、中空針(インク導入管:中空管)153と、インク供給路154と、制御部100と電気的に接続された接点161と、プリンタ本体に設けられた電源部110(図8参照)からの電力を出力する電力出力部162とが設けられている。
【0051】
中空針153は、主走査方向に沿って延在し、且つスリット51aと対向する位置に配置されている。中空針153には、インク供給路154と連通する中空部153aと、先端近傍に外部と中空部153aとを連通させる孔153bとが形成されている(図7参照)。この構成において、インクカートリッジ40がプリンタ本体に装着されたときであって孔153bがスリット51aを通過したときに、中空針153とインク流路43aの管45部分とが連通状態となる。一方、インクカートリッジ40がプリンタ本体から取り外されたときであって孔153bがスリット51aに入り込んだときに、中空針153とインク流路43aとの連通が遮断される。なお、中空針153は、孔153bがスリット51aを通過することでインク流路43aと連通するが、第2バルブ60が開状態となるまでは中空部153aにインク袋42内のインクが流入する状態にならない。また、中空針153の孔153bからインクジェットヘッド2の吐出口までの流路は、大気に開放されていない密閉流路となっている。このため、インクが空気に触れることがなくなり、インクの粘度上昇を抑制することができる。
【0052】
接点161は、接点91と対向する位置であって副走査方向に沿って中空針153と並んで配置されている。接点161は、主走査方向に延在した棒状部材であってスライド可能に支持されている。また、接点161は、底部151aから外側に向かってバネによって付勢されており、インクカートリッジ40がプリンタ本体に装着されたときであって中空針153が封止体51に挿入される直前に接点91と電気的に接続される。すなわち、接点161は、第1バルブ50が開状態となる前から接点91と接続される。換言すると、接点161は、インクカートリッジ40がプリンタ本体から取り外されるときであって、中空針153が封止体51から抜かれるまで、接点91と電気的に接続されている。
【0053】
電力出力部162は、底部151aに形成された段差面151bに設けられている。また、電力出力部162は、電力入力部92と対向する位置に配置されており、主走査方向に突出した接点163を有している。接点163は、インクカートリッジ40がプリンタ本体に装着されたときに電力入力部92に入り込むことで、電力入力部92と電気的に接続される。接点163も接点161と同様に、中空針153が封止体51に挿入される直前に電力入力部92と電気的に接続される。
【0054】
各装着部150の凹部151には、制御部100に接続され、筐体41を検出するセンサ170が設けられている。このセンサ170は、物体に接触するか否かで物体の有無を検出するメカスイッチ型のセンサであり、凹部151内に向かって付勢された検知部171を有している。そして、この検知部171と筐体41とが接触し検知部171がセンサ170内に入り込む状態になると、センサ170は、その入り込む状態に対応する信号(以下、信号Cと称する)を制御部100に出力する。また、インクカートリッジ40が装着部150から取り外され、検知部171と筐体41とが接触しなくなり検知部171がセンサ170から抜け出した状態になると、センサ170は、その抜け出した状態に対応する信号(以下、信号Dと称する)を制御部100に出力する。これらの信号を受けることで、制御部100は、装着部150に筐体41が装着されているか否かを区別して検出することができる。本実施形態において、制御部100は、検知部171がセンサ170内に入り込む状態に対応する信号Cを受けたとき、インクカートリッジ40が装着部150に装着されているか、もしくは、インクカートリッジ40が装着部150内の装着位置の近傍に位置しているかのいずれかであると検出し、検知部171がセンサ170内から抜け出した状態に対応する信号Dを受けたとき、インクカートリッジ40が装着部150に装着されていないことを検出する。なお、センサ170は、メカスイッチ型のセンサに限られることはなく、例えば、光センサを用いることも可能である。
【0055】
また、筐体1a内には、図2に示すように、ブザー13が設けられている。ブザー13は、制御部100により制御され、例えば、「インクカートリッジ40の装着が正常に行われていないこと」、及び、「印刷が可能であること」などをユーザに知らせることが可能な複数種の音を発する。
【0056】
続いて、インクカートリッジ40をプリンタ本体に装着したときの動作について、図10を参照しつつ以下に説明する。プリンタ本体にインクカートリッジ40を装着する際は、図10に示すように、プリンタ本体の扉1cを開けてから4つのインクカートリッジ40を装着部150にそれぞれ装着する。このとき、ステップ1(S1)において、制御部100が、装着部150に対するインクカートリッジ40の装着が開始されたか否かを判定する。この判定は、センサ170の検知部171と筐体41とが接触し、センサ170から出力される信号が信号Dから信号Cに変化し、制御部100が当該信号Cを受信するか否かで判定される。そして、制御部100が、センサ170からの信号Cを受信せず信号Dを受信し続けている場合は、装着が開始されていないと判定してこのまま待機し、センサ170からの信号Cを受信し装着が開始されたと判定した場合、ステップ2(S2)に進む。
【0057】
次に、ステップ2において、制御部100は、信号Cを受信してからフォトセンサ66からの信号Bを受信するまでに装着限度時間を超えているか否かを判定する。この判定は、制御部100が信号Cを受信してからの経過時間がプリンタ本体の記憶部120(図8参照)に記憶された装着限度時間を超えたか否かで判定される。このとき、当該経過時間が装着限度時間を超えた場合は、ステップ3(S3)に進む。そして、制御部100は、ブザー13を制御して、ユーザに「インクカートリッジ40が装着部150に正常に装着されていないこと」を知らせる音をブザー13から発生させる。一方、経過時間が装着限度時間を超えていない場合は、ステップ4(S4)に進む。なお、「インクカートリッジ40が装着部150に正常に装着されていないこと」の例としては、中空針153の先端が欠落する等の破損を生じて、弁部材62が移動しなかった場合、押し部材70が破断して弁部材62が移動しなかった場合、などが考えられる。
【0058】
次に、ステップ4において、制御部100は、第2バルブ60が開状態であるか否かを判定する。この判定は、弁部材62が移動してフォトセンサ66と弁部材62とが対向しなくなり、フォトセンサ66から出力されていた信号Aが信号Bに変化し、信号Aを受信していた制御部100が当該信号Bを受信するか否かで判定される。そして、制御部100が、信号Aを受信して第2バルブ60が閉状態であると判定した場合はステップ2に戻り、信号Bを受信して第2バルブ60が開状態であると判定した場合はステップ5(S5)に進む。
【0059】
なお、センサ170から信号Cが出力されてから第2バルブ60が開状態となるまでの動作としては、まず、信号Cがセンサ170から制御部100に出力されてから中空針153がスリット51aに挿入されるまでに、接点91と接点161とが、電力出力部162の接点163と電力入力部92とが電気的に接続される。これにより、フォトセンサ66と制御部100とが電気的に接続され、フォトセンサ66から出力された信号を制御部100が受信可能になるとともに、フォトセンサ66に電力が供給される。そして、中空針153がスリット51aに挿入されるに連れて、中空針153の先端と球体52とが当接し球体52が図7中右方に移動して、球体52と湾曲部51c及び環状突起51bとが離隔し、第1バルブ50が閉状態から開状態となる。この後、球体52と押し部材70の先端とが当接し、球体52、押し部材70及び弁部材62が図7中右方に移動する。そして、弁部材62と弁座61とが離隔し、第2バルブ60が閉状態から開状態となる。このように、第2バルブ60が開状態となるときには、接点91と接点161とが電気的に接続されているので、フォトセンサ66から出力された信号Bを制御部100が受信することが可能となる。このように、ステップ4における第2バルブ60が開状態であるか否かの判定は、中空針153がインクカートリッジ40に正しく挿入されたか否かの判定も兼ねている。つまり、弁部材62が所定位置(弁部材62が弁座61から離れた位置)にあるかどうかをフォトセンサ66によって検出することによって、中空針153がインク流路43a内に正しく進入しているかどうかを検出することが可能となり、インクカートリッジ40からプリンタ本体に至るインクの流路が正しく形成されたことを確認できる。
【0060】
次に、ステップ5(S5)において、制御部100がブザー13を制御して、ユーザに「印刷が可能であること」を知らせる音をブザー13から発生させる。こうして、インクカートリッジ40の装着が完了する。
【0061】
続いて、インクカートリッジ40をプリンタ本体から取り外すときの動作について、以下に説明する。例えば、インクがなくなったときに、プリンタ本体の扉1cを開けてからインクカートリッジ40をプリンタ本体から取り外す。このインクカートリッジ40の取り外しの移動に伴って、球体52、弁部材62及び押し部材70がコイルバネ53,63によって互いに当接した状態で図7中左方に移動する。すなわち、球体52、押し部材70及び弁部材62は、中空針153が挿入されるときとは逆の動作をする。そして、弁部材62が弁座61と接触し、第2バルブ60が開状態から閉状態となり、中空針153に対するインクカートリッジ40内のインクの流れ込みが止まる。このとき、フォトセンサ66から制御部100に出力される信号は信号Bから信号Aに変わり、制御部100は第2バルブ60が閉状態になったことを検出する。
【0062】
その後、球体52と押し部材70の先端が離隔するように球体52だけが中空針153とともに移動する。そして、球体52が環状突起51b及び湾曲部51cと接触し、第1バルブ50が開状態から閉状態となる。このように、第1及び第2バルブ50,60は、中空針153が抜かれる方向に移動するに伴って自動的に開状態から閉状態となるとともに、これら第1及び第2バルブ50,60の閉状態となるタイミングは第2バルブ60が閉状態となってから、バルブ50が閉状態となる。
【0063】
インクカートリッジ40のさらなる取り外しの移動に伴って、中空針153が封止体51から抜かれた後、接点91と接点161及び電力入力部92と接点163の接続が解除される。そして、筐体41と検知部171とが離隔して検知部171がセンサ170内から抜け出すと、センサ170から信号Dが制御部100に出力される。これにより、制御部100がプリンタ本体からインクカートリッジ40が取り外されていることを認識する。こうして、プリンタ本体から取り外されたインクカートリッジ40を新しいインクカートリッジ40に交換して、上述したようにインクカートリッジ40をプリンタ本体に装着する。
【0064】
続いて、インクカートリッジを製造、及び、再生するときの工程について、以下に説明する。インクカートリッジを製造するときは、まず、2分割された筐体41を製作し、筐体41の半部に図6に示すように、インク袋42やインク導出管43などのインクカートリッジ40を構成する部品を組み込む。そして、もう一方の筐体41の半部を取り付けてインクが分注されていないインクカートリッジ前躯体を製作する。次に、インクを分注する分注器を用いて、インクカートリッジ前躯体のインク袋42内に所定量のインクを分注する。こうして、インクカートリッジ40の製造が完了する。
【0065】
変形例として、筐体41の半部にインクカートリッジ40を構成する部品を組み込む際に、予め分注器によってインクが分注されたインク袋42を組み込んでもよい。そして、もう一方の筐体41の半部を取り付けて、インクカートリッジ40を製造してもよい。
【0066】
一方、使用済みのインクカートリッジ40を回収して、再度、インクカートリッジ40を再生する場合は、まず、インク袋42及びインク導出管43内などを洗浄する。次に、インクを分注する分注器を用いて、インク袋42内に所定量のインクを分注する。こうして、インクカートリッジ40の再生が完了する。
【0067】
以上のように、本実施形態のインクカートリッジ40によると、装着部150にインクカートリッジ40を装着する際に、中空針153の挿入によって球体52及び移動体(押し部材70及び弁部材62)が移動し、フォトセンサ66によって弁部材62が開状態であるか否かの判定と共に、中空針153がインクカートリッジ40に正しく挿入されたか否かの判定もできる。つまり、移動体が所定位置にあるかどうかをフォトセンサ66によって検出することによって、中空針153がインク流路43a内に正しく進入させたかどうかを検出することが可能となる。したがって、インクカートリッジ40からプリンタ本体に至るインクの流路が正しく形成されたことを確認できるので、インクカートリッジ40からプリンタ本体に供給されるインクが漏れ出す状況を回避することが可能となる。
【0068】
弁部材62を封止体51に向かう方向に付勢するコイルバネ63を設けたことで、中空針153に押されることによって移動する弁部材62の位置出しを正確に行なうことができフォトセンサ66による検出精度を向上させることができる。
【0069】
また、第2バルブ60が移動体によって構成された弁部材62と、コイルバネ63と、弁座61とを含んでいる。これによると、移動体を弁部材62に利用できるので、コストを抑えながら、インクカートリッジ40内のインクの封止を確実に行なうことができる。また、インクカートリッジ40からプリンタ本体に至るインクの流路が正しく形成されたことの確認とともに、第2バルブ60の開放の確認を行なうことも可能となるため、検出にかかるコストを低減することができる。
【0070】
また、第1バルブ50が設けられていることで、インクカートリッジ40内のインクの封止をより確実に行なうことができる。
【0071】
第1変形例として、押し部材70が球体52に一体的に形成されていてもよい。また、第2変形例として、押し部材70が球体52及び弁部材62のいずれとも一体的に形成されておらす、両者間に配置されていてもよい。これら変形例においても、第1実施形態と同様な効果を得ることができる。さらに、第1実施形態、第1及び第2変形例においては、弁部材62に代えて球体52をフォトセンサ66で検出してもよい。これにおいても中空針153の挿入が正しく行われているか判定することが可能となる。
【0072】
また、第3変形例として、第1バルブ50が管45の一端(左端)の開口(導出口)を封止する封止体から構成されていてもよい。これにより、第1実施形態及び第1,2変形例に比して、バルブの部品点数が少なくなる。
【0073】
また、第4変形例として、第2バルブ60の代わりにインク流路43a内に中空針153の挿入に応じて移動する移動体を設けていてもよい。この場合、ステップ4(S4)において、制御部100は、第2バルブ60が開状態であるか否かの判定は行なわず、中空針153がインクカートリッジ40に正しく挿入されたか否かの判定のみを行なうこととなる。また、移動体は、所定範囲内で移動が規制され且つ中空針153の挿入方向とは反対方向に付勢部材で付勢されていることが好ましい。そして、この移動体の位置をフォトセンサ66で検知すればよい。これにおいても、第1実施形態と同様な効果を得ることができる。なお、インクが外部に漏れ出さないように第1バルブ50のより高い信頼性が要求される。
【0074】
続いて、本発明の第2実施形態によるインクカートリッジ240について、図11,12を参照しつつ以下に説明する。インクカートリッジ240は、第1実施形態のインクカートリッジ40に、制御部90と、制御部90に接続された記憶部125とがさらに設けられて構成されている。なお、第1実施形態と同様なものに関しては、同符号で示し説明を省略する。
【0075】
インクカートリッジ240に設けられた制御部90は、図11に示すように、接点91と電気的に接続されている。また、制御部90は、電力入力部92とも電気的に接続されており、電力入力部92が電力出力部162と電気的に接続されることによって制御部90及びフォトセンサ66に電力が供給される。本実施形態におけるフォトセンサ66は、直接、接点91と接続されておらず、制御部90と接続されている。このため、フォトセンサ66が出力する信号A及び信号Bは、図11に示すように、制御部90に出力される。そして、制御部90が接点91,161を介してプリンタ1の制御部100にフォトセンサ66から受信した信号A及び信号Bを送信する。
【0076】
記憶部125は、下記の表1に示すデータを記憶している。表1は、インクカートリッジ240を装着部150に装着したときのインクジェットヘッド2に対するメンテナンス動作の要否、及び、インクジェットヘッド2の吐出口からのインク漏れ量を示している。具体的には、3つの時間範囲T1〜T3及び4つのインク量範囲V1〜V4に応じたメンテナンス動作の要否及びインク漏れ量が示されている。これら時間範囲T1〜T3は、例えば、時間範囲T1が0秒〜0.5秒未満の範囲であり、時間範囲T2が0.5秒以上1.5秒未満の範囲であり、時間範囲T3が1.5秒以上2.5秒未満の範囲であり、互いに隣接している。また、インク量範囲V1〜V4は、例えば、インク量範囲V1が0ml〜500ml未満の範囲であり、インク量範囲V2が500ml以上700ml未満の範囲であり、インク量範囲V3が700ml以上800ml未満の範囲であり、インク量範囲V4が800ml以上1000ml未満の範囲であり、互いに隣接している。
【0077】
【表1】
【0078】
そして、記憶部125は、装着時のインクカートリッジ240のインク量がインク量範囲V1に該当する際は、インクカートリッジ240が装着部150に装着され始めた時刻と当該インクカートリッジ240の第2バルブ60が閉状態から開状態となる時刻との間の装着時間がどの時間範囲T1〜T3においても、メンテナンスが不要であること及びインク漏れがないことを示すデータを記憶している。
【0079】
また、記憶部125は、装着時のインクカートリッジ240のインク量がインク量範囲V2に該当する際は、装着時間が時間範囲T1に該当する場合だけ、メンテナンスが必要であること及びインク漏れがほぼ0mlであることを示すデータを記憶している。つまり、装着時間がメンテナンスを行う必要があるか否かを示す境界となる0.5秒(所定時間)未満のときには、インク漏れがわずかに起こる可能性があり、メンテナンスが必要であることを示すデータを記憶している。
【0080】
また、記憶部125は、装着時のインクカートリッジ240のインク量がインク量範囲V3に該当し、装着時間が時間範囲T1に該当する場合は、メンテナンスが必要であること及びインク漏れ量が微少量(例えば、1ml程度)あることを示すデータを記憶している。さらに、記憶部125は、装着時のインクカートリッジ240のインク量がインク量範囲V3に該当し、装着時間が時間範囲T2に該当する場合は、メンテナンスが必要であること及びインク漏れがほぼ0mlであることを示すデータを記憶している。つまり、装着時のインクカートリッジ240のインク量がインク量範囲V3に該当する場合、装着時間が1.5秒(所定時間)未満のときには、メンテナンスが必要となり、それ以上のときにはメンテナンスが不要となる。
【0081】
また、記憶部125は、装着時のインクカートリッジ240のインク量がインク量範囲V4に該当する場合は、いずれの時間範囲T1〜T3においてもメンテナンスが必要であることを示すデータを記憶している。また、記憶部125は、装着時間が時間範囲T1に該当する場合は、インク漏れ量が少量(例えば、3ml程度)あること、装着時間が時間範囲T2に該当する場合は、インク漏れ量が微少量であること、装着時間が時間範囲T1に該当する場合は、インク漏れがほぼ0mlであることを示すデータを記憶している。なお、記憶部125は、インク量が1000ml未満の場合において、装着時間が2.5秒(所定時間)以上のときは、インク漏れがなくメンテナンスが不要であることを示すデータを記憶している。
【0082】
このように記憶部125は、メンテナンスを行う必要がある否かを示す境界となる所定時間(0秒、0.5秒、1.5秒、2.5秒)を示すデータをインク量範囲V1〜V4のそれぞれについて記憶している。つまり、インク量範囲V1においては0秒の所定時間、インク量範囲V2においては0.5秒の所定時間、インク量範囲V3においては1.5秒の所定時間及びインク量範囲V4においては2.5秒の所定時間を記憶している。さらに、これら所定時間は、インク量範囲V1〜V4が示すインク量が多いほど長くなっている。
【0083】
また、記憶部125は、制御部90や外部機器(プリンタ本体など)から書き換え可能なフラッシュメモリから構成されており、自身のインク量を示すデータも記憶している。このため、印刷時において消費したインク量やパージ動作で消費したインク量を書き換え直前のインクカートリッジ240のインク量から差し引いたインク残量に制御部100によって書き換え可能となる。さらに、記憶部125がインク漏れ量についても記憶しているので、インク量の書き換え時において、インク残量を補正することが可能となる。つまり、インクカートリッジ240の装着時のインク漏れ量も差し引いたインク残量に制御部90によって書き換え可能となる。したがって、記憶部125が、現状のインク残量を正確に記憶することが可能となる。
【0084】
また、インクを使い切ったインクカートリッジ240に再度インクを分注してインクカートリッジ240を再生する場合において、工場などで分注するインク量を再生前の所定量よりも多く又は少なくし、インクカートリッジ240自体を仕様替えしたときにおいても、当該インク量を示すデータを容易に書き換えることができる。また、記憶部125が、インクカートリッジ240に設けられているため、プリンタ本体の記憶容量を小さくすることができる。
【0085】
続いて、インクカートリッジ40をプリンタ本体に装着したときの動作について、図12を参照しつつ以下に説明する。プリンタ本体にインクカートリッジ240を装着する際は、図12に示すように、ステップ1(H1)〜ステップ3(H3)まで、上述の第1実施形態と同様に行われる。そして、ステップ4(H4)において、制御部100は、第2バルブ60が開状態であるか否かを判定する。この判定は、弁部材62が移動してフォトセンサ66と弁部材62とが対向しなくなり、フォトセンサ66から出力されていた信号Aが信号Bに変化し、制御部90を介して信号Aを受信していた制御部100が当該信号Bを受信するか否かで判定される。そして、制御部100が、信号Aを受信して第2バルブ60が閉状態であると判定した場合はステップ2に戻り、信号Bを受信して第2バルブ60が開状態であると判定した場合はステップ5(H5)に進む。なお、ステップ4(H4)は、第1実施形態と同様に、中空針153がインクカートリッジ40に正しく挿入されたか否かの判定を兼ねてもよい。
【0086】
なお、センサ170から信号Cが出力されてから第2バルブ60が開状態となるまでの動作としては、まず、信号Cがセンサ170から制御部100に出力されてから中空針153がスリット51aに挿入されるまでに、接点91と接点161とが、電力出力部162の接点163と電力入力部92とが電気的に接続される。これにより、2つの制御部90,100が電気的に接続され互いに信号の送受信が可能になるとともに、制御部90及びフォトセンサ66に電力が供給される。また、接点91と接点161同士が接続されたときに、センサ170が装着開始を検出した時刻(制御部100がセンサ170からの信号Cを受信した時刻)を示す時刻データ信号が制御部100から制御部90に出力される。そして、中空針153がスリット51aに挿入されるに連れて、中空針153の先端と球体52とが当接し球体52が図7中右方に移動して、球体52と湾曲部51c及び環状突起51bとが離隔し、第1バルブ50が閉状態から開状態となる。この後、球体52と押し部材70の先端とが当接し、球体52、押し部材70及び弁部材62が図7中右方に移動する。そして、弁部材62と弁座61とが離隔し、第2バルブ60が閉状態から開状態となる。このように、第2バルブ60が開状態となるときには、接点91と接点161とが電気的に接続されているので、制御部90から出力された信号Bを制御部100が受信することが可能となる。
【0087】
次に、ステップ5において、制御部90は、フォトセンサ66からの信号Bを受信した時刻と制御部100から送られた時刻データ信号によって認識した装着開始を検出した時刻との間の装着時間を算出する。そして、ステップ6(H6)において、制御部90は、記憶部125に記憶された現状のインク量、及び、表1に示すデータを読み込む。次に、ステップ7(H7)において、制御部90は、ステップ6において記憶部125のデータを読み込めたかを判定する。このとき、記憶部125にデータが記憶されておらず当該データが読み込めない場合は、制御部90から制御部100にエラー信号が出力され、ステップ8(H8)に進む。そして、ステップ8において、エラー信号を受信した制御部100はブザー13を制御して、ユーザに対して記憶部125に異常があることを知らせる。一方、ステップ7において、制御部90が記憶部125のデータを読み込めたと判定した場合、ステップ9(H9)に進む。
【0088】
ステップ9において、制御部90は、ステップ5にて算出した装着時間がどの時間範囲T1〜T3に該当するかを判定するとともに装着時のインクカートリッジ40のインク量がどのインク量範囲V1〜V4に該当するかを判定し、今回のインクカートリッジ40の装着において、メンテナンスを行う必要があるか否かを判定する。つまり、今回の装着時におけるインク量に該当するインク量範囲(V1〜V4のいずれか)において、今回の装着時間(T1〜T3のいずれか)がメンテナンスを行うことが必要であるか否かの境界を示す所定時間未満であるかを判定する。
【0089】
このとき、制御部90がメンテナンスを行う必要がないと判定した場合は、ステップ12(H12)に進み、インクジェットヘッド2からインク漏れが生じていないと判定され、そのまま待機、すなわち、印刷可能状態となる。
【0090】
一方、制御部90がメンテナンスを行う必要があると判定した場合は、ステップ10(H10)に進み、制御部90が制御部100にメンテナンスの開始を要求する信号を出力する。そして、この信号を受信した制御部100は、インクジェットヘッド2からインクをパージするパージ動作を行うために、まず、昇降機構を制御し、インクジェットヘッド2を印刷位置から退避位置に移動させる(図4(a)参照)。次に、制御部100は、駆動モータを制御し、各キャップ31を吐出面2aと対向する位置に移動させる(図4(b)参照)。そして、制御部100は、駆動モータを制御し、各キャップ31を吐出面2aに近づけキャップ位置に配置する。
【0091】
次に、制御部100は、ポンプを所定時間だけ駆動し、インクカートリッジ40のインクをインクジェットヘッド2に強制的に送液する。これによって、インクジェットヘッド2内のインクがキャップ31内に所定量分パージされる。その後、制御部100は、駆動モータ127,126を制御して、各キャップ31をパージ位置から初期位置に戻す。このとき、制御部100は、メンテナンスユニット30に含まれる図示しない払拭機構(例えば、ワイパー及びこれを動作させる駆動モータ:不図示)を制御し、パージ動作によって吐出面2aに付着したインクを払拭してもよい。そして、制御部100は、昇降機構を制御して、インクジェットヘッド2を退避位置から印刷位置に戻す。こうして、メンテナンス動作が終了する。メンテナンス動作が終了すると、制御部100は制御部90にメンテナンスの終了を通知する信号を出力する。
【0092】
次に、ステップ11(H11)において、メンテナンスの終了を通知する信号を受けた制御部90は、記憶部125に記憶されたインク量を書き換える。具体的には、まずインク漏れ量がほぼ0ml、微少量及び少量のいずれであるかを判定し、次に記憶部125に記憶されていたインク残量を、判定されたインク漏れ量とパージ動作によって消費された量とを差し引いた値に書き換える。なお、パージ動作によって消費されるインク量は、一定の所定量にすることには限られず、温度等の環境条件を考慮して適宜調整してもよく、その場合は、制御部100が制御部90に対してパージ動作で消費したインク量を通知する必要がある。そして、ステップ12において、用紙Pに対して印刷可能な状態となる。
【0093】
次に、ステップ13(H13)において、制御部90から制御部100に印刷可能であることを示す信号が出力される。そして、当該信号を受信した制御部100が、ブザー13を制御して、ユーザに「印刷が可能であること」を知らせる音をブザー13から発生させる。こうして、インクカートリッジ40の装着が完了する。なお、ステップ11におけるインク量の書き換えは、ステップ13が行われてから用紙Pに対する印刷が行われるまでの間に行われてもよい。
【0094】
本実施形態におけるインクジェットプリンタ1は、上述のステップ10,11のみならず、インクカートリッジ240が装着された後の印刷動作などにおいて消費されたインク量を当該動作が行われる直前のインク量から差し引いたインク残量に、制御部100又は制御部90が書き換える。これにより、インクがある程度残ったインクカートリッジ240が装着部150から取り外され、再度、装着部150に装着されても、装着時において制御部90に算出された装着時間がそのときのインク残量に応じた所定時間未満のときだけ、インクジェットヘッド2に対してメンテナンスを行うことが可能となる。そのため、不必要なメンテナンスをより抑制することが可能となる。
【0095】
続いて、インクカートリッジ240をプリンタ本体から取り外すときの動作について、以下に説明する。上述の第1実施形態と同様に、例えば、インクがなくなったときに、プリンタ本体の扉1cを開けてからインクカートリッジ40をプリンタ本体から取り外す。このインクカートリッジ40の取り外しの移動に伴って、球体52、弁部材62及び押し部材70がコイルバネ53,63によって互いに当接した状態で図7中左方に移動する。そして、弁部材62が弁座61と接触し、第2バルブ60が開状態から閉状態となり、中空針153に対するインクカートリッジ40内のインクの流れ込みが止まる。このとき、フォトセンサ66から制御部90に出力される信号は信号Bから信号Aに変わり、制御部90は第2バルブ60が閉状態になったことを検出する。
【0096】
その後、球体52と押し部材70の先端が離隔するように球体52だけが中空針153とともに移動する。そして、球体52が環状突起51b及び湾曲部51cと接触し、第1バルブ50が開状態から閉状態となる。このように、第1及び第2バルブ50,60は、中空針153が抜かれる方向に移動するに伴って自動的に開状態から閉状態となるとともに、これら第1及び第2バルブ50,60の閉状態となるタイミングは第2バルブ60が閉状態となってから、第1バルブ50が閉状態となる。
【0097】
インクカートリッジ240のさらなる取り外しの移動に伴って、中空針153が封止体51から抜かれた後、接点91と接点161及び電力入力部92と接点163の接続が解除される。そして、筐体41と検知部171とが離隔して検知部171がセンサ170内から抜け出すと、センサ170から信号Dが制御部100に出力される。これにより、制御部100がプリンタ本体からインクカートリッジ240が取り外されていることを認識する。こうして、プリンタ本体から取り外されたインクカートリッジ240を新しいインクカートリッジ240に交換して、上述したようにインクカートリッジ240をプリンタ本体に装着する。
【0098】
続いて、インクカートリッジを製造、及び、再生するときの工程について、以下に説明する。インクカートリッジを製造するときは、まず、2分割された筐体41を製作し、筐体41の半部にインク袋42やインク導出管43などのインクカートリッジ240を構成する部品を組み込む。そして、もう一方の筐体41の半部を取り付けてインクが分注されていないインクカートリッジ前躯体を製作する。次に、インクを分注する分注器を用いて、インクカートリッジ前躯体のインク袋42内に所定量のインクを分注する。そして、記憶装置を用いて、インクカートリッジ240の記憶部125に表1に示すデータ、及び、分注されたインク量を示すデータを記憶させる。こうして、インクカートリッジ240の製造が完了する。
【0099】
変形例として、筐体41の半部にインクカートリッジ240を構成する部品を組み込む際に、予め分注器によってインクが分注されたインク袋42を組み込んでもよい。そして、もう一方の筐体41の半部を取り付けた後、記憶装置を用いて、記憶部125に所定のデータを記憶させて、インクカートリッジ240を製造してもよい。
【0100】
一方、使用済みのインクカートリッジ240を回収して、再度、インクカートリッジ240を再生する場合は、まず、インク袋42及びインク導出管43内などを洗浄する。次に、インクを分注する分注器を用いて、インク袋42内に所定量のインクを分注する。そして、記憶装置を用いて、インクカートリッジ240の記憶部125に記憶されたインク量を、分注されたインク量を示すデータに書き換える。こうして、インクカートリッジ240の再生が完了する。
【0101】
以上のように、本実施形態のインクカートリッジ240においても、装着部150にインクカートリッジ240を装着する際に、中空針153の挿入によって球体52及び移動体(押し部材70及び弁部材62)が移動し、フォトセンサ66によって弁部材62が開状態であるか否かの判定と共に、中空針153がインクカートリッジ240に正しく挿入されたか否かの判定もできる。このため、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。また、第1実施形態と同様な構成においては、同じ効果を得ることができる。
【0102】
また、本実施形態のインクジェットプリンタ1によると、インクカートリッジ240が装着部150に装着されたときに、制御部90が装着時間を算出する。すなわち、センサ170がインクカートリッジ240を検出した時(センサ170の検知部171と筐体41とが接触し、センサ170から出力される信号が信号Dから信号Cに変化した時)の装着方向におけるインクカートリッジ240の位置を第1位置とし、第2バルブ60が開状態となった時(フォトセンサ66が、弁部材62と対向しない状態から対向する状態に変わることで、フォトセンサ66から出力される信号が信号Aから信号Bに変化した時)の装着方向におけるインクカートリッジ240の位置を第2位置とすると、装着方向における第1位置と第2位置の距離はほぼ一定であるため、インクカートリッジ240がこれら2つの位置の間の移動に要した時間を装着時間として算出することで、インクカートリッジ240が装着部150にどの程度の速さで装着されたかが分かる。つまり、低速で装着された場合は装着時間が長くなり、その装着時における圧力変動も小さくなる。一方、高速で装着された場合は装着時間が短くなり、その装着時における圧力変動が大きくなる。そして、上記表1に示すデータに基づいて、算出した装着時間が所定時間未満であるか否か、すなわち、制御部90がメンテナンスを行う必要があるか否かを判定する。したがって、インクカートリッジ240が装着部150に高速で装着されたときに、インクジェットヘッド2に対してメンテナンスを行うことが可能となる。そのため、インクジェットヘッド2に吐出不良が生じるのを未然に抑制することが可能となる。
【0103】
また、記憶部125が、インク量範囲V1〜V4ごとにメンテナンスの要否の境界となる所定時間を記憶しているので、制御部90が算出した装着時間が、該当するインク量範囲V1〜V4に応じた所定時間未満のときだけ、インクジェットヘッド2に対してメンテナンスを行うことが可能となる。そのため、不必要なメンテナンスを抑制することが可能となる。また、これら境界となる所定時間は、インク量範囲V1〜V4が示すインク量が多いほど長くなっている。これにより、インクジェットヘッド2に対するメンテナンスの要否を精度よく判定することが可能となり、インクジェットヘッド2に吐出不良が生じるのをより抑制することが可能となる。
【0104】
また、本実施形態のインクカートリッジ240によると、プリンタ本体にメンテナンスユニット30およびこれを制御する制御部100が設けられていることで、装着時間が記憶部125に記憶された所定時間未満のときに、インクジェットヘッド2に対してメンテナンスを行うことが可能となる。そのため、インクジェットヘッド2に吐出不良が生じるのを抑制することが可能となる。また、本実施形態のインクカートリッジ240の再生方法によると、上述の効果を有するインクカートリッジ40を再生することが可能となる。
【0105】
また、第2実施形態の変形例として、第1バルブ50が閉状態から開状態となるときにセンサ170が筐体41を検出することが可能な位置に、センサ170を設けてもよい。この場合、センサ170から制御部100に出力された装着開始信号が第1バルブ50の開状態も示し、取り外し信号が第1バルブ50の閉状態も示す信号となる。また、この変形例においては、例えば、環状突起51bを主走査方向に長くして、装着部150にインクカートリッジを装着したときに、第2バルブ60が開いてから第1バルブ50が開くようにしてもよい。この形態においては、第1バルブ50が開状態となったときの時刻と、第2バルブ60が開状態となったときの時刻との間の時間を装着時間とすればよい。こうすることで、第2実施形態と同様な効果を得ることができる。
【0106】
続いて、本発明の第3実施形態によるインクカートリッジ340について、図13を参照しつつ以下に説明する。本実施形態におけるインクカートリッジ340は、管244の管45が嵌め込まれる部分が第1実施形態よりも長く形成されており、インク排出口46aがフランジ47側に近づくように管45が管244に嵌め込まれている。そして、筐体41内には、第1バルブ50の開及び閉状態を検出するフォトセンサ266が配置されている。このフォトセンサ266は、例えば、光出射部と光受光部を有する反射型の光センサを用いることができ、その場合は、球体52の少なくとも一部分に光が反射可能である鏡面を形成する。それ以外の構成は第1及び第2実施形態と同様であるので、同じ符号で示し具体的な説明を省略する。
【0107】
フォトセンサ266は、制御部90及び電力入力部92と接続されている。フォトセンサ266は、図13に示すように、環状突起51bと球体52とが接触しているときに球体52と対向せず、球体52が図中二点鎖線で示すように環状突起51bと離隔したときに、当該球体52と対向する位置に配置されている。そして、フォトセンサ266は、球体52と対向するときには、光受光部が光を受光したことを示す信号(以下、信号Eと称する)を出力する。一方、フォトセンサ266は、球体52と対向しないときには、光受光部が光を受光していないことを示す信号(以下、信号Fと称する)を出力する。これらの信号は、制御部90を介してプリンタ1の制御部100に送信され、制御部100は、これらの信号を受けることで、第1バルブ50の開状態と閉状態を区別して検出することができる。本実施形態において、制御部100は、光受光部が光を受光したことを示す信号Eを受けたときに、第1バルブ50が開状態であると検出し、光受光部が光を受光していないことを示す信号Fを受けたときに、第1バルブ50が閉状態であると検出する。
【0108】
続いて、インクカートリッジ340をプリンタ本体に装着したときの動作について、以下に説明する。本実施形態においても、第2実施形態と同様に、インクカートリッジ340を装着部150にそれぞれ装着する。このとき、まず、第2実施形態のステップ1〜ステップ4と同様のステップ1〜ステップ4の処理が行われる。なお、第1バルブ50が開状態となるまでに、接点91と接点161とが、電力出力部162の接点163と電力入力部92とが電気的に接続され、2つの制御部90,100が電気的に接続され互いに信号の送受信が可能になるとともに、制御部90及びフォトセンサ66,266に電力が供給される。このため、ステップ2においては、制御部100は、フォトセンサ266の信号Eを受信してから、フォトセンサ66の信号Bを受信するまでに装着限度時間を超えているか否かを判定してもよい。この変形例の場合、当該装着限度時間もこれに合わせて適宜変更しておく。さらに、この変形例の場合、装着限度時間を記憶部125に記憶させ、ステップ2の処理を制御部90に行わせてもよい。また、ステップ4において、制御部90が、第2バルブ60が開状態であるか否かを判定してもよい。この場合、制御部90から制御部100に第2バルブ60の開状態を示す信号を出力しなくてもよい。
【0109】
次に、ステップ5において、制御部90は、フォトセンサ266から信号Eを受信した時刻と、フォトセンサ66から信号Bを受信した時刻との間の装着時間を算出する。この後、第2実施形態のステップ6〜ステップ13と同様のステップ6〜ステップ13の処理が行われる。なお、装着時間を算出するための一つの時刻が、第2実施形態においてセンサ170からの信号Cを受信した時刻から、フォトセンサ266からの信号Eを受信した時刻(第1バルブ50が閉状態から開状態に変化した時刻)に変わっているので、その変更に応じて、表1に示すデータも適宜変更すればよい。
【0110】
続いて、インクカートリッジ340をプリンタ本体から取り外すときの動作について、以下に説明する。本実施形態においても、インクカートリッジ340の取り外しの移動に伴って、球体52、弁部材62及び押し部材70がコイルバネ53,63によって互いに当接した状態で図13中左方に移動する。すなわち、球体52、押し部材70及び弁部材62は、中空針153が挿入されるときとは逆の動作をする。そして、弁部材62が弁座61と接触し、第2バルブ60が開状態から閉状態となるとき、フォトセンサ66から制御部90に出力される信号は信号Bから信号Aに変わり、制御部90は第2バルブ60が閉状態になったことを検出する。その後、球体52が環状突起51bと接触したとき、すなわち、第1バルブ50が開状態から閉状態となるときに、フォトセンサ266から制御部90に出力される信号は信号Eから信号Fに変わり、制御部90は第1バルブ50が閉状態になったことを検出する。
【0111】
インクカートリッジ340のさらなる取り外しの移動に伴って、中空針153が封止体51から抜かれた後、接点91と接点161及び電力入力部92と接点163の接続が解除される。そして、筐体41と検知部171とが離隔して検知部171がセンサ170内から抜け出すと、センサ170から信号Dが制御部100に出力される。これにより、制御部100がプリンタ本体からインクカートリッジ340が取り外されていることを認識する。この後、第2実施形態と同様に、取り外されたインクカートリッジ340を新しいインクカートリッジ340に交換して、上述したようにインクカートリッジ340をプリンタ本体に装着する。
【0112】
以上のように、本実施形態のインクカートリッジ340においても、第1及び第2実施形態と同様に、装着部150にインクカートリッジ340を装着する際に、中空針153がインクカートリッジ340に正しく挿入されたか否かの判定ができる。このため、第1及び第2実施形態と同様の効果を得ることができる。また、第1及び第2実施形態と同様な構成においては、同じ効果を得ることができる。
【0113】
また、本実施形態のインクジェットプリンタによると、インクカートリッジ340が装着部150に装着されたときに、制御部90が装着時間を算出し、メンテナンスを行う必要があるか否かを判定する。このため、第2実施形態と同様な効果を得ることができる。また、第1バルブ50の開及び閉状態を検出するフォトセンサ266が設けられており、制御部90が両フォトセンサ66,266からの第1及び第2バルブ50,60の開状態を示す信号の時刻間の時間を装着時間として算出しているので、装着時間を第2実施形態と比して正確に算出することが可能となる。これは、装着時間を算出するためのインクカートリッジ340の移動距離が短くなるからである。つまり、この移動距離が短くなる分だけ、インクカートリッジを装着する際のユーザによる人為誤差の影響を受けにくくなる。そのため、装着時間が正確に算出される。なお、本実施形態においては、第1及び第2バルブ50,60が開状態となるときの時刻から装着時間を算出しているため、センサ170が設けられていなくてもよい。
【0114】
また、第3実施形態の変形例として、例えば、環状突起51bを主走査方向に長くして、装着部150にインクカートリッジを装着したときに、第2バルブ60が開いてから第1バルブ50が開くようにしてもよい。この場合においても、第1バルブ50が開状態となったときの時刻と、バルブが開状態となったときの時刻との間の時間を装着時間とすればよい。こうすることで、第3実施形態と同様な効果を得ることができる。
【0115】
また、第2及び第3実施形態の別の変形例として、制御部100が制御部90に代わって、制御部90と同様な制御を行ってもよい。つまり、制御部100が、制御部90に代わってステップ5〜7、ステップ9及びステップ11の制御を行ってもよい。この場合、制御部90をインクカートリッジ240,340に設けなくてもよい。これにおいても、第2及び第3実施形態と同様な効果を得ることができる。
【0116】
また、別の変形例として、記憶部125をインクカートリッジ240,340に設けずに、プリンタ本体に設けてもよい。また、記憶部125には、インクカートリッジ240,340が装着可能な各プリンタ本体に応じた別の所定時間(メンテナンスの要否の境界となる時間)、又は既に記憶している所定時間に乗じる係数を記憶させていてもよい。具体的には、中空針153からインクジェットヘッド2の吐出口までの流路長が基準距離よりも長い場合は、基準となる所定時間よりも短い別の所定時間又は乗じることで基準となる所定時間よりも短くなるような係数を記憶し、流路長が基準距離よりも短い場合は、上述とは逆となる別の所定時間又は係数を記憶しておればよい。また、別の所定時間又は係数は、流路長に代えてメニスカス耐圧に対応したものであってもよい。具体的には、インクジェットヘッド2の吐出口が基準径よりも大きい場合(メニスカス耐圧が基準耐圧よりも小さい場合)は、基準となる所定時間よりも短い別の所定時間又は乗じることで基準となる所定時間よりも短くなるような係数を記憶し、基準径よりも小さい場合は、上述とは逆となる別の所定時間又は係数を記憶しておればよい。なお、基準となる所定時間及び別の所定時間の選択、又は基準となる所定時間及び係数を乗じて所定時間を算出して採用するのは、適宜、制御部がどのようなプリンタ本体であるかを認識し、そのプリンタ本体に応じて行えばよい。加えて、インク漏れ量においても、上述の別の所定時間と同様にプリンタ本体に応じた別のインク漏れ量、又は既に記憶しているインク漏れ量に乗じる係数を記憶させていてもよい。
【0117】
以上、本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明は上述の実施の形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々な変更が可能なものである。例えば、第1バルブは、インク導出管に設けられ、インク導出管を連通させる開状態、及び、インク導出管の連通を遮断する閉状態のいずれか一方を選択的に取ることが可能であれば、上述の実施形態以外の構成を有していてもよい。また、第2バルブも、インク袋と第1バルブとの間においてインク導出管に設けられ、中空針153が差し込まれることによってインク導出管のインク袋から第1バルブまでの流路を連通させる開状態、及び、当該流路を遮断する閉状態のいずれか一方を選択的に取ることが可能であれば、上述の実施形態以外の構成を有していてもよい。また、ブザー13に代えて、筐体1aにディスプレイを設け、そのディスプレイに音に代わる画像を表示させて、ユーザに知らせてもよい。また、これらの報知手段(ブザー、ディスプレイ)を併用してもよい。
【0118】
また、上述の第1〜第3実施形態においては、インクカートリッジ内に設けられた構成要素(フォトセンサ66,266、制御部90など)に対する電力供給は、プリンタ本体に装着することで行われているが、電力入力部92に代えて、インクカートリッジ内に電池を設け、さらに電池から当該構成要素への電力の供給及び停止を規制するメカスイッチをインクカートリッジに設けてもよい。この場合、メカスイッチは、装着部150にインクカートリッジが装着されるときに、装着部150の凹部151の壁面と接触することで電池から構成要素への電力供給を可能にし、壁面と離隔することで構成要素への電力供給を停止させる。また、メカスイッチは、電力入力部92と電力出力部162とが電気的に接続されるタイミングと同じタイミングにおいて、当該電池から構成要素に電力を供給することが可能になるように、構成されることが好ましい。これにより、第1〜第3実施形態と同様な効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0119】
1 インクジェットプリンタ
2 インクジェットヘッド
13 ブザー
30 メンテナンスユニット
40,240,340 インクカートリッジ
42 インク袋(インク収容部)
43a インク流路(インク導出流路)
50 第1バルブ
51 封止体(弾性体)
52 球体(第1弁体)
53 コイルバネ(第1付勢部材)
60 第2バルブ
61 弁座
62 弁部材(移動体の一部:第2弁体)
63 コイルバネ(第2付勢部材)
66 フォトセンサ(検出部)
70 押し部材(移動体の一部)
153 中空針(中空管:インク導入管)
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクカートリッジに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、インクカートリッジの記録装置への装着完了を検出するセンサが設けられた記録装置が記載されている。具体的には、本体(カートリッジ装着部)にインクカートリッジが装着されると、カートリッジ装着部側に設けられた一対の電極にインクカートリッジの裏面に貼付された一対の抵抗ラベルがそれぞれ接触し、電気的導通がなされることによりカートリッジ有りの検出が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8−80618号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に記載の記録装置においては、インクカートリッジがカートリッジ装着部に装着されたことは検出できるが、インクカートリッジのインク導出流路(インク取出し部の内部に形成された流路)内に、本体のインク導入管(中空針)が確実に進入したことまでは分からない。したがって、インクカートリッジから本体へ至るインクの流路が形成されたか否かについては検出できない。
【0005】
そこで、本発明の目的は、インクカートリッジのインク導出流路内に、記録装置本体側に設けられたインク導入管が進入したことを検出可能な、インクカートリッジを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のインクカートリッジは、インクを収容するインク収容部と、前記インク収容部と連通するインク導出流路と、前記インク導出流路の内部において移動可能に設けられ、前記インク導出流路の導出口から前記インク導出流路内に進入したインクを外部に取り出すための中空管に押されることによって移動する移動体と、前記移動体が所定位置にあることを検出する検出部とを備えている。
【0007】
これによると、移動体が所定位置にあるかどうかを検出部によって検出することによって、中空管がインク導出流路内に正しく進入させたかどうかを検出することが可能となる。したがって、インクカートリッジから記録装置本体に至るインクの流路が正しく形成されたことを確認できるので、インクカートリッジから記録装置本体に供給されるインクが漏れ出す状況を回避することが可能となる。
【発明の効果】
【0008】
本発明のインクカートリッジによると、移動体が所定位置にあるかどうかを検出部によって検出することによって、中空管がインク導出流路内に正しく進入させたかどうかを検出することが可能となる。したがって、インクカートリッジから記録装置本体に至るインクの流路が正しく形成されたことを確認できるので、インクカートリッジから記録装置本体に供給されるインクが漏れ出す状況を回避することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の第1実施形態によるインクジェットプリンタの外観を示す斜視図である。
【図2】図1に示すインクジェットプリンタの内部構造を示す概略側面図である。
【図3】メンテナンスユニットを示す斜視図である。
【図4】キャッピング動作を示すインクジェットプリンタの部分側面図である。
【図5】本発明の第1実施形態によるインクカートリッジの斜視図である。
【図6】図5に示すインクカートリッジの内部構造を示す構成図である。
【図7】インクカートリッジの部分断面図であり、(a)は2つのバルブが閉状態のときを示し、(b)は2つのバルブが開状態のときを示す図である。
【図8】インクジェットプリンタとインクカートリッジの電気的な構成を示すブロック図である。
【図9】インクカートリッジを装着部に装着するときの状況を示す部分断面図である。
【図10】本発明の第1実施形態によるインクカートリッジを装着部に装着する際の制御フロー図である。
【図11】本発明の第2実施形態によるインクカートリッジとインクジェットプリンタの電気的な構成を示すブロック図である。
【図12】本発明の第2実施形態によるインクカートリッジを装着部に装着する際の制御フロー図である。
【図13】本発明の第3実施形態によるインクカートリッジの部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の好適な実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0011】
本発明の第1実施形態によるインクジェットプリンタ1は、図1に示すように、直方体形状の筐体1aを有し、その正面(図1の紙面手前側の面)には、上から順に、3つの開口10d,10b,10cが形成されている。開口10d,10cには、下端の水平軸を支点として開閉可能な扉1d,1cが嵌め込まれている。開口10bには給紙ユニット1bが挿入されている。そして、筐体1aの上部には、排紙部11が設けられている。扉1dは、筐体1aの主走査方向(図1中奥行き方向)に関して、搬送ユニット21と対向配置されている。
【0012】
次に、図2を参照しつつ、インクジェットプリンタ1の内部構成について説明する。図2に示すように、インクジェットプリンタ1の筐体1a内は、上から順に3つの空間G1〜G3に区分されている。空間G1には、マゼンタ、シアン、イエロー、ブラックのインクをそれぞれ吐出する4つのインクジェットヘッド2、メンテナンスユニット30、及び、搬送ユニット21が配置されている。空間G2には、給紙ユニット1bが配置されている。空間G3には、4つのインクカートリッジ40が配置されている。
【0013】
給紙ユニット1b及び4つのインクカートリッジ40の筐体1aに対する着脱は、主走査方向(図2中紙面垂直方向)に沿って行われる。なお、本実施形態において、副走査方向とは搬送ユニット21で用紙Pを搬送するときの搬送方向と平行な方向であり、主走査方向とは副走査方向に直交する方向であって水平面に沿った方向である。また、プリンタ1には、給紙ユニット1b、メンテナンスユニット30、搬送ユニット21及びインクジェットヘッド2を制御する制御部100が設けられている。
【0014】
4つのインクジェットヘッド2は、それぞれ主走査方向に沿って延在し、副走査方向に並設されており、フレーム3を介して筐体1aに支持されている。すなわち、このインクジェットプリンタ1は、ライン式のカラーインクジェットプリンタである。また、フレーム3は、筐体1a内において、昇降機構(不図示)によって上下方向に移動可能に配置されている。昇降機構は、制御部100の制御によって、インクジェットヘッド2を印刷位置(図2に示す位置)及び印刷位置よりも上方の退避位置(図4(a)参照)の間を移動させる。
【0015】
インクジェットヘッド2は、圧力室を含むインク流路が形成された流路ユニットと、圧力室のインクに圧力を与えるアクチュエータとが貼り合わされた積層体(ともに図示せず)を有している。そして、インクジェットヘッド2の底面は、インクを吐出する複数の吐出口(不図示)が形成された吐出面2aとなっている。各インクジェットヘッド2は、内部のインク流路と連通する可撓性のチューブ(不図示)と接続されている。このチューブは、後述のインク供給路154(図9参照)とそれぞれ接続されている。
【0016】
インクジェットプリンタ1の内部には、給紙ユニット1bから排紙部11に向けて、図2に示す太矢印に沿って、用紙Pが搬送される用紙搬送経路が形成されている。給紙ユニット1bは、複数枚の用紙Pを収納することが可能な給紙トレイ23と、給紙トレイ23に取り付けられた給紙ローラ25とを有している。給紙ローラ25は、制御部100により制御された給紙モータ(図示せず)によって駆動力が与えられることによって、給紙トレイ23の最も上方にある用紙Pを送り出す。給紙ローラ25によって送り出された用紙Pは、ガイド27a,27bによりガイドされ且つ送りローラ対26によって挟持されつつ搬送ユニット21へと送られる。
【0017】
搬送ユニット21は、図2に示すように、2つのベルトローラ6,7と、両ローラ6,7間に架け渡されるように巻回されたエンドレスの搬送ベルト8とを有している。ベルトローラ7は、駆動ローラであって、その軸に制御部100により制御された搬送モータ(図示せず)から駆動力が与えられることで、図2中時計回りに回転する。ベルトローラ6は、従動ローラであって、ベルトローラ7の回転により搬送ベルト8が走行するのに伴って、図2中時計回りに回転する。
【0018】
搬送ベルト8の外周面8aにはシリコーン処理が施されており、粘着性を有している。用紙搬送経路上において搬送ベルト8を挟んでベルトローラ6と対向する位置には、ニップローラ4が配置されている。ニップローラ4は、給紙ユニット1bから送り出された用紙Pを搬送ベルト8の外周面8aに押さえ付ける。外周面8aに押さえ付けられた用紙Pは、その粘着力によって外周面8a上に保持されつつ、図2中右方(用紙Pの搬送方向)へと搬送される。
【0019】
用紙搬送経路上において搬送ベルト8を挟んでベルトローラ7と対向する位置には、剥離プレート5が設けられている。剥離プレート5は、搬送ベルト8の外周面8aに保持された用紙Pを外周面8aから剥離する。剥離された用紙Pは、ガイド29a,29bによりガイドされ且つ二組の送りローラ対28によって挟持されつつ搬送され、筐体1a上部に形成された開口12から排紙部11へと排出される。なお、各送りローラ対28の一方のローラは、制御部100に制御された送りモータ(図示せず)によって駆動力が与えられる。
【0020】
搬送ベルト8のループ内には、4つのインクジェットヘッド2と対向するように、ほぼ直方体形状のプラテン19が配置されている。プラテン19の上面は、搬送ベルト8の上側ループの内周面と接触しており、搬送ベルト8の内周側からこれを支持している。これにより、搬送ベルト8の上側ループの外周面8aと吐出面2aとが対向しつつ平行になり、且つ、吐出面2aと外周面8aとの間に僅かな隙間が形成されている。当該隙間は、用紙搬送経路の一部を構成している。搬送ベルト8の外周面8a上に保持されつつ搬送されてきた用紙Pが4つのヘッド2のすぐ下方を順に通過する際に、制御部100の制御により各ヘッド2から用紙Pの上面に向けて各色のインクが吐出され、用紙P上に所望のカラー画像が形成される。
【0021】
4つのインクカートリッジ40のうち、図2中最も左方にあるインクカートリッジ40は、ブラックのインクが貯留されており、残りの3つのインクカートリッジ40よりも副走査方向のサイズが大きくなっている。すなわち、左方にあるインクカートリッジ40は、他の3つのインクカートリッジ40よりもインク容量が大きくなっている。残りの3つのインクカートリッジ40はともにインク容量が同じであり、マゼンタ、シアン、イエローのインクが貯留されている。
【0022】
これら4つのインクカートリッジ40は、プリンタ本体(筐体1a)に装着されると、対応するインクジェットヘッド2に繋がったインク供給路154とそれぞれ接続され、内部のインクがインクジェットヘッド2に供給可能となる。また、インクジェットヘッド2とインク供給路154とを接続するチューブの途中部位には、制御部100により制御されることで、インクカートリッジ40のインクをインクジェットヘッド2に強制的に送液するポンプ(不図示)が設けられている。このポンプは、後述のメンテナンスユニットに含まれる。
【0023】
なお、インクカートリッジ40を交換する際は、扉1cを開けてプリンタ本体からインクカートリッジ40を取り外し、新しいインクカートリッジ40を装着すればよい。本実施形態においては、インクカートリッジ40をプリンタ本体に個別に装着可能となっているが、1つのカートリッジトレイに4つのインクカートリッジ40を載置してユニット化したインクユニットをプリンタ本体に装着する構成であってもよい。
【0024】
また、図2に示すように、4つのインクジェットヘッド2と搬送ユニット21との間には、インクジェットヘッド2の吐出不良を解消するメンテナンスユニット(メンテナンス機構)30が設けられている。メンテナンスユニット30は、副走査方向に沿って等間隔で配置された4つの板状部材32と、各板状部材32上に固定され、各インクジェットヘッド2の吐出面2aを覆うことが可能な4つのキャップ31とを有している。
【0025】
キャップ31は、図3(a)に示すように、主走査方向に沿って長尺に形成されており、その長手方向がインクジェットヘッド2の長手方向と平行となっている。また、キャップ31はゴムなどの弾性材料から構成されており、上方に向かって開口した凹部を有している。4つのキャップ31は、初期状態において、搬送方向に関して対応するインクジェットヘッド2の上流に配置されている。具体的には、最も上流にあるキャップ31は最も上流にあるインクジェットヘッド2の上流に配置され、残りの3つのキャップ31は、インクジェットヘッド間にそれぞれ配置されている。そして、4つのキャップ31は、メンテナンスユニット30の動きに伴って、対応するインクジェットヘッド2に対して、図2中上下及び左右方向に移動される。
【0026】
また、メンテナンスユニット30は、図3(a)に示すように、各板状部材32を挟持し、上方に突出した角部33aを両端に有する一対の内側フレーム33を有している。各内側フレーム33の一方の角部33aには、制御部100により制御される駆動モータ(不図示)の軸に固定されたピニオンギア34が、水平方向に設けられたラックギア35に噛合するように設けられている。なお、図3(a)においては、手前側の内側フレーム33においてのみ、ピニオンギア34を図示している。
【0027】
また、メンテナンスユニット30は、図3(b)に示すように、一対の内側フレーム33の外周に設けられた外側フレーム36を有している。この外側フレーム36の内側には、図3(a)に示したラックギア35が固定されている。また、外側フレーム36には、制御部100により制御される駆動モータ(不図示)の軸に固定されたピニオンギア37が、垂直方向に設けられたラックギア38に噛合するように設けられている。なお、ラックギア38は、筐体1aの内部に立設されている。
【0028】
この構成において、制御部100の制御により、2つのピニオンギア34を同期させて回転させることにより、一対の内側フレーム33が副走査方向に沿って移動する。また、制御部100の制御により、ピニオンギア37を回転させることにより、外側フレーム36が垂直方向に沿って移動する。
【0029】
具体的には、図2に示す初期位置においては、板状部材32同士の間の3つの開口39a、及び、最も下流の板状部材32と角部33aとの間の開口39bが、吐出面2aにそれぞれ対向している。この初期状態から、キャップ31で吐出面2aを覆うキャッピング動作が開始されると、図4(a)に示すように、昇降機構によってインクジェットヘッド2が印刷位置から退避位置に移動される。
【0030】
次に、一対の内側フレーム33が搬送方向に沿って下流側に移動し、図4(b)に示すように、キャップ31が吐出面2aと対向する位置に配置される。次に、外側フレーム36が垂直方向に上昇されることで、図4(c)に示すように、キャップ31が吐出面2aに押し付けられて吐出面2aを覆うキャップ位置に配置される。以上の手順により、各キャップ31によって対応する吐出面2aが覆われる。なお、逆の手順により、キャップ31が初期位置に復帰されるとともに、インクジェットヘッド2も印刷位置に配置される。
【0031】
続いて、インクカートリッジ40について、図5〜図8を参照しつつ説明する。なお、図8においては、電力供給線を太線で示し、信号線を細線で示している。図5及び図6に示すように、インクカートリッジ40は、略直方体形状の筐体41と、筐体41内に配置され内部にインクが充填されたインク袋(インク収容部)42と、一端においてインク袋42と連通するインク導出管43と、第1バルブ50(図7参照)と、第2バルブ60(図7参照)とを有している。
【0032】
筐体41は、図6に示すように、内部に2つの部屋41a,41bが形成されるように区画されており、右方の部屋41aにインク袋42が配置されている。一方、他方の部屋41bには、インク導出管43が配置されている。なお、ブラックインクを貯留するインクカートリッジ40は、他の3つのインクカートリッジ40よりもサイズ及びインク容量が大きくなっているが、単に部屋41a及びインク袋42が副走査方向に大きくなっているだけである。つまり、4つのインクカートリッジ40は、どれもほぼ同様な構成を有しているので、1つのインクカートリッジ40についてのみ説明する。
【0033】
インク導出管43は、図6及び図7に示すように、インク袋42に設けられた接続部42aに接続された管44と、管44の一端側(左方側)に嵌合された管45とを有しており、主走査方向に沿って延在しインク袋42と連通するインク流路(インク導出流路)43aが形成されている。本実施形態における管44,45は、いずれも透明な樹脂から構成されている。また、管45が透明な樹脂から構成されていることで、後述のフォトセンサ(検出部)66が弁部材62を検出可能となっている。
【0034】
管44の一端には、図7に示すように、環状のフランジ47が形成されている。フランジ47には、図6及び図7に示すように、Oリング48aが設けられた環状突起48が形成されている。これにより、図6に示すように、筐体41と環状突起48との間がOリング48aによってシールされる。なお、フランジ47は、部屋41bの壁の一部となっており、筐体41の一部を構成している。
【0035】
フランジ47の外面には、図5及び図8に示すように、接点91が形成されている。接点91は、副走査方向に沿って後述のインク排出口46aと並んで配置されている。接点91は、後述のフォトセンサ66と電気的に接続されている。なお、変形例として、接点91は、インク排出口46aと鉛直方向下方に重ならない位置に配置されておれば、どの位置に配置されていてもよい。このように信号伝達系の接点91が、インク排出口46aと鉛直方向下方に重ならない位置に配置されていることで、インク排出口46aから垂れ落ちたインクが接点91に付着するのを抑制することが可能となる。
【0036】
また、筐体41のインク排出口46a側の側面には、電力入力部92が設けられている。筐体41のインク排出口46aと電力入力部92との間には、主走査方向であってフランジ47からインク袋42に向かって凹んだ段差面41cが設けられている。そして、電力入力部92が、段差面41cに配置されている。また、電力入力部92は、副走査方向に関してインク排出口46aとの間に接点91を挟んで配置されている。すなわち、電力入力部92は、副走査方向に沿ってインク排出口46aから接点91よりも離れている。また、図8に示すように、電力入力部92は、フォトセンサ66と電気的に接続されている。電力入力部92は、後述の電力出力部162と電気的に接続されることによってフォトセンサ66に電力を供給する。なお、変形例として、電力入力部92は、インク排出口46aと鉛直方向下方に重ならない位置に配置されておれば、どの位置に配置されていてもよい。
【0037】
このように電力伝達系の電力入力部92が、インク排出口46aと鉛直方向下方に重ならない位置に配置されていることで、インク排出口46aから垂れ落ちたインクが電力入力部92に付着するのを抑制することが可能となる。さらに、電力入力部92が接点91よりもインク排出口46aから離れているので、よりインクが付着しにくくなる。このため、電力入力部92がショートしてフォトセンサ66が損傷するのを抑制することができる。また、電力入力部92とインク排出口46aとの間に段差面41cが設けられていることで、電力入力部92とインク排出口46aとが副走査方向のみならず主走査方向にも大きく離れることになる。したがって、電力入力部92にインクが付着するのをより一層抑制することが可能となる。
【0038】
また、インク導出管43の管45内には、図7に示すように、第1バルブ50が配置されている。第1バルブ50は、管45の一端(左端)に形成された開口(インクの導出口)を封止する封止体(弾性体)51と、球体(第1弁体)52と、コイルバネ(第1付勢部材)53とを有している。管45の一端には、蓋46が設けられており、封止体51が管45から外れないようになっている。なお、蓋46には、インク排出口46aが形成されている。
【0039】
コイルバネ53は、一端が球体52と接触し他端が管45の他端に形成された段差部45aと接触しており、常に球体52を封止体51に向かって付勢している。本実施形態においては、付勢部材としてコイルバネ53を採用しているが、球体52を封止体51に付勢することが可能であれば、コイルバネ以外の付勢部材であってもよい。
【0040】
封止体51は、ゴムなどの弾性材料から構成されている。また、封止体51には、その中央に主走査方向に貫通したスリット(貫通孔)51aと、管45の一端に嵌合可能な環状突起51bと、球体52と対向する面であって環状突起51bに囲まれた部分に球体52の外周面に沿う湾曲部51cとが形成されている。スリット51aの直径は、後述の中空針153よりも小さくなっている。このため、封止体51は、スリット51aに中空針153が挿入されているときはスリット51aの内周面が中空針153の外周面に密着するように弾性変形し、スリット51aと中空針153との間からインクが漏れない。
【0041】
環状突起51bの内径は、球体52の直径より若干小さくなっており、球体52との接触によってスリット51aが封止されている。なお、スリット51aは、湾曲部51cと球体52との接触によっても封止される。また、封止体51にスリット51aが形成されていることで、中空針153が挿入しやすくなる。加えて、封止体51に中空針153を挿抜したときに、封止体51が中空針153によって削れ、その削り滓が中空針153内に侵入するのを抑制することが可能となる。そのため、インクジェットヘッド2のインク流路に封止体51の削り滓が侵入するのを抑制することができる。
【0042】
この構成において、図7(b)に示すように、インク排出口46aを通して中空針153をスリット51aに挿入すると、中空針153の先端が球体52と当接し球体52が移動することで湾曲部51c及び環状突起51bから離れる。このときに第1バルブ50が閉状態から開状態となる。また、第1バルブ50が開状態のときには、中空針153の孔153bがスリット51aを通過しているので、中空針153とインク流路43aとが連通する。一方、中空針153がスリット51aから抜かれる方向に移動するに連れて、球体52がコイルバネ53の付勢によって環状突起51bに近づく方向に移動する。そして、球体52と環状突起51bとが接触するときに、第1バルブ50が開状態から閉状態となる。さらに、中空針153が抜かれる方向に移動するに連れて、球体52が湾曲部51cと密着する。このように第1バルブ50は、中空針153の挿抜に応じて、インク導出管43を連通させる開状態、及び、インク導出管43の連通を遮断する閉状態のいずれか一方を取る。また、第1バルブ50が、球体52を封止体51に向かってコイルバネ53で付勢させる構成を有しているので、第1バルブ50を簡易にするとともに第1バルブ50からのインク漏れをより抑制することができる。
【0043】
第2バルブ60は、図7に示すように、弁座61と、弁部材(第2弁体)62と、コイルバネ(第2付勢部材)63とを有している。弁座61は、ゴムなどの弾性材料から形成されており、そのフランジ61aが管44の中央近傍の内周面から突出した環状突起44a及び段差部45aとの間に挟まれて配置されている。また、弁座61の中央には、主走査方向に貫通する孔(開口)61bが形成されており、管44と管45とが連通可能となっている。
【0044】
コイルバネ63は、一端が弁部材62と接触し他端が接続部42aと接触しており、常に弁部材62を弁座61に向かって付勢している。つまり、コイルバネ63は弁部材62を封止体51に向う方向に付勢しており、弁部材62が弁座61の右端部(孔61bの開口縁)と接触することで、インク流路43aの連通を遮断している。すなわち、管44と管45との連通が遮断され第2バルブ60が閉状態となる。このとき、弁座61の右端部はコイルバネ63の付勢力によって弾性変形している。また、コイルバネ63が弁部材62を封止体51に向けて付勢し、第1及び第2バルブ50,60を構成する要素が主走査方向に沿って一直線上に並んでいるため、後述の中空針153の封止体51に対する抜き差しによって第1及び第2バルブ50,60を開閉することができる。加えて、第2バルブ60を簡易な構成にすることができ、第2バルブ60の故障を少なくすることができる。なお、コイルバネ63においても、コイルバネ以外の付勢部材から構成されていてもよい。
【0045】
弁部材62は、円柱形状を有しており、管44の内周面と摺動可能となっている。また、弁部材62の接続部42a側の端面は、その中央が主走査方向に突出した凸形状を有している。そして、この弁部材62の突出した部分にコイルバネ63が嵌め込まれることで、コイルバネ63が弁部材62に固定されている。
【0046】
インク導出管43内には、中空管153が挿入されることによって弁部材62をコイルバネ63による付勢方向とは反対方向に押して移動させる押し部材70が配置されている。押し部材70は、主走査方向に沿って延在する円柱の棒状部材であり、弁部材62の弁座61側の端部に一体的に形成されている。つまり、弁部材62と押し部材70とで移動体が構成されている。押し部材70は、孔61bの直径よりも小さい直径を有しており、孔61bを通されて配置されている。押し部材70は、弁部材62と弁座61とが接触した状態(第2バルブ60が閉状態)において、第1バルブ50が開状態から閉状態になるとき(球体52が封止体51と離隔した状態から環状突起51bと接触したとき)に位置する球体52と押し部材70の先端との間に間隙が形成される長さとなっている。
【0047】
この構成において、図7(b)に示すように、中空針153が挿入されて第1バルブ50が開状態となった後に、球体52と押し部材70の先端とが当接する。そして、中空針153のさらなる挿入によって、押し部材70及び弁部材62が移動し、弁部材62が弁座61から離れる。これにより、第2バルブ60が閉状態から開状態となる。このとき、インク流路43aの管44,45間が連通するので、インク袋42内のインクが中空針153に流れ込む。一方、中空針153が抜かれると、第1バルブ50と同様に、コイルバネ63の付勢によって弁部材62及び押し部材70が移動し、弁部材62が弁座61に密着する。これにより、第2バルブ60が開状態から閉状態となる。このように第2バルブ60も、中空針153の挿抜に応じて、インク導出管43のインク流路43aを連通させる開状態、及び、連通を遮断する閉状態のいずれか一方を取る。
【0048】
また、筐体41の部屋41bには、接点91に接続されたフォトセンサ66が設けられている。フォトセンサ66は、物体の有無を非接触状態で検出することができる反射型の光センサであり、図7(a)に示すように、第2バルブ60によってインク流路43aの連通が遮断されているときに弁部材62の下流端と対向し、図7(b)に示すように第2バルブ60によってインク流路43aの連通が遮断されていないときに弁部材62と対向しない位置に配置されている。このフォトセンサ66は、例えば、光出射部と光受光部を有する反射型の光センサを用いることができ、その場合は、弁部材62の少なくとも一部分に光が反射可能である鏡面を形成する。そして、フォトセンサ66は、弁部材62と対向するときに、光出射部から出射された光が弁部材62の鏡面にて反射されこの反射光を光受光部で受光する。これをうけて、フォトセンサ66は、光受光部が光を受光したことを示す信号(以下、信号Aと称する)を出力する。図8に示すように、この信号Aは、接点91,161を介してプリンタ1の制御部100に送信される。一方、フォトセンサ66は、弁部材62と対向しないときには、出射部から出射された光が弁部材62の鏡面にて反射されないため、光受光部での受光はなされない。これをうけて、フォトセンサ66は、光受光部が光を受光していないことを示す信号(以下、信号Bと称する)を出力する。この信号Bは、接点91,161を介してプリンタ1の制御部100に送信される。これらの信号を受けることで、制御部100は、第2バルブ60の開状態と閉状態を区別して検出することができる。本実施形態において、制御部100は、光受光部が光を受光したことを示す信号Aを受けたときに、第2バルブ60が閉状態であると検出し、光受光部が光を受光していないことを示す信号Bを受けたときに、第2バルブ60が開状態であると検出する。なお、フォトセンサ66は反射型のセンサに限られることはなく、例えば、透過型の光センサを用いることも可能である。
【0049】
次に、プリンタ本体に形成された装着部150について、図8、図9を参照しつつ説明する。プリンタ本体には、インクカートリッジ40がそれぞれ装着される装着部150が副走査方向に沿って4つ並設されている。なお、装着部150は、どれもほぼ同じ構成を有しているため、1つの装着部150について説明する。
【0050】
装着部150は、図9に示すように、インクカートリッジ40の外形に沿った凹部151を有している。凹部151の底部151aには、中空針(インク導入管:中空管)153と、インク供給路154と、制御部100と電気的に接続された接点161と、プリンタ本体に設けられた電源部110(図8参照)からの電力を出力する電力出力部162とが設けられている。
【0051】
中空針153は、主走査方向に沿って延在し、且つスリット51aと対向する位置に配置されている。中空針153には、インク供給路154と連通する中空部153aと、先端近傍に外部と中空部153aとを連通させる孔153bとが形成されている(図7参照)。この構成において、インクカートリッジ40がプリンタ本体に装着されたときであって孔153bがスリット51aを通過したときに、中空針153とインク流路43aの管45部分とが連通状態となる。一方、インクカートリッジ40がプリンタ本体から取り外されたときであって孔153bがスリット51aに入り込んだときに、中空針153とインク流路43aとの連通が遮断される。なお、中空針153は、孔153bがスリット51aを通過することでインク流路43aと連通するが、第2バルブ60が開状態となるまでは中空部153aにインク袋42内のインクが流入する状態にならない。また、中空針153の孔153bからインクジェットヘッド2の吐出口までの流路は、大気に開放されていない密閉流路となっている。このため、インクが空気に触れることがなくなり、インクの粘度上昇を抑制することができる。
【0052】
接点161は、接点91と対向する位置であって副走査方向に沿って中空針153と並んで配置されている。接点161は、主走査方向に延在した棒状部材であってスライド可能に支持されている。また、接点161は、底部151aから外側に向かってバネによって付勢されており、インクカートリッジ40がプリンタ本体に装着されたときであって中空針153が封止体51に挿入される直前に接点91と電気的に接続される。すなわち、接点161は、第1バルブ50が開状態となる前から接点91と接続される。換言すると、接点161は、インクカートリッジ40がプリンタ本体から取り外されるときであって、中空針153が封止体51から抜かれるまで、接点91と電気的に接続されている。
【0053】
電力出力部162は、底部151aに形成された段差面151bに設けられている。また、電力出力部162は、電力入力部92と対向する位置に配置されており、主走査方向に突出した接点163を有している。接点163は、インクカートリッジ40がプリンタ本体に装着されたときに電力入力部92に入り込むことで、電力入力部92と電気的に接続される。接点163も接点161と同様に、中空針153が封止体51に挿入される直前に電力入力部92と電気的に接続される。
【0054】
各装着部150の凹部151には、制御部100に接続され、筐体41を検出するセンサ170が設けられている。このセンサ170は、物体に接触するか否かで物体の有無を検出するメカスイッチ型のセンサであり、凹部151内に向かって付勢された検知部171を有している。そして、この検知部171と筐体41とが接触し検知部171がセンサ170内に入り込む状態になると、センサ170は、その入り込む状態に対応する信号(以下、信号Cと称する)を制御部100に出力する。また、インクカートリッジ40が装着部150から取り外され、検知部171と筐体41とが接触しなくなり検知部171がセンサ170から抜け出した状態になると、センサ170は、その抜け出した状態に対応する信号(以下、信号Dと称する)を制御部100に出力する。これらの信号を受けることで、制御部100は、装着部150に筐体41が装着されているか否かを区別して検出することができる。本実施形態において、制御部100は、検知部171がセンサ170内に入り込む状態に対応する信号Cを受けたとき、インクカートリッジ40が装着部150に装着されているか、もしくは、インクカートリッジ40が装着部150内の装着位置の近傍に位置しているかのいずれかであると検出し、検知部171がセンサ170内から抜け出した状態に対応する信号Dを受けたとき、インクカートリッジ40が装着部150に装着されていないことを検出する。なお、センサ170は、メカスイッチ型のセンサに限られることはなく、例えば、光センサを用いることも可能である。
【0055】
また、筐体1a内には、図2に示すように、ブザー13が設けられている。ブザー13は、制御部100により制御され、例えば、「インクカートリッジ40の装着が正常に行われていないこと」、及び、「印刷が可能であること」などをユーザに知らせることが可能な複数種の音を発する。
【0056】
続いて、インクカートリッジ40をプリンタ本体に装着したときの動作について、図10を参照しつつ以下に説明する。プリンタ本体にインクカートリッジ40を装着する際は、図10に示すように、プリンタ本体の扉1cを開けてから4つのインクカートリッジ40を装着部150にそれぞれ装着する。このとき、ステップ1(S1)において、制御部100が、装着部150に対するインクカートリッジ40の装着が開始されたか否かを判定する。この判定は、センサ170の検知部171と筐体41とが接触し、センサ170から出力される信号が信号Dから信号Cに変化し、制御部100が当該信号Cを受信するか否かで判定される。そして、制御部100が、センサ170からの信号Cを受信せず信号Dを受信し続けている場合は、装着が開始されていないと判定してこのまま待機し、センサ170からの信号Cを受信し装着が開始されたと判定した場合、ステップ2(S2)に進む。
【0057】
次に、ステップ2において、制御部100は、信号Cを受信してからフォトセンサ66からの信号Bを受信するまでに装着限度時間を超えているか否かを判定する。この判定は、制御部100が信号Cを受信してからの経過時間がプリンタ本体の記憶部120(図8参照)に記憶された装着限度時間を超えたか否かで判定される。このとき、当該経過時間が装着限度時間を超えた場合は、ステップ3(S3)に進む。そして、制御部100は、ブザー13を制御して、ユーザに「インクカートリッジ40が装着部150に正常に装着されていないこと」を知らせる音をブザー13から発生させる。一方、経過時間が装着限度時間を超えていない場合は、ステップ4(S4)に進む。なお、「インクカートリッジ40が装着部150に正常に装着されていないこと」の例としては、中空針153の先端が欠落する等の破損を生じて、弁部材62が移動しなかった場合、押し部材70が破断して弁部材62が移動しなかった場合、などが考えられる。
【0058】
次に、ステップ4において、制御部100は、第2バルブ60が開状態であるか否かを判定する。この判定は、弁部材62が移動してフォトセンサ66と弁部材62とが対向しなくなり、フォトセンサ66から出力されていた信号Aが信号Bに変化し、信号Aを受信していた制御部100が当該信号Bを受信するか否かで判定される。そして、制御部100が、信号Aを受信して第2バルブ60が閉状態であると判定した場合はステップ2に戻り、信号Bを受信して第2バルブ60が開状態であると判定した場合はステップ5(S5)に進む。
【0059】
なお、センサ170から信号Cが出力されてから第2バルブ60が開状態となるまでの動作としては、まず、信号Cがセンサ170から制御部100に出力されてから中空針153がスリット51aに挿入されるまでに、接点91と接点161とが、電力出力部162の接点163と電力入力部92とが電気的に接続される。これにより、フォトセンサ66と制御部100とが電気的に接続され、フォトセンサ66から出力された信号を制御部100が受信可能になるとともに、フォトセンサ66に電力が供給される。そして、中空針153がスリット51aに挿入されるに連れて、中空針153の先端と球体52とが当接し球体52が図7中右方に移動して、球体52と湾曲部51c及び環状突起51bとが離隔し、第1バルブ50が閉状態から開状態となる。この後、球体52と押し部材70の先端とが当接し、球体52、押し部材70及び弁部材62が図7中右方に移動する。そして、弁部材62と弁座61とが離隔し、第2バルブ60が閉状態から開状態となる。このように、第2バルブ60が開状態となるときには、接点91と接点161とが電気的に接続されているので、フォトセンサ66から出力された信号Bを制御部100が受信することが可能となる。このように、ステップ4における第2バルブ60が開状態であるか否かの判定は、中空針153がインクカートリッジ40に正しく挿入されたか否かの判定も兼ねている。つまり、弁部材62が所定位置(弁部材62が弁座61から離れた位置)にあるかどうかをフォトセンサ66によって検出することによって、中空針153がインク流路43a内に正しく進入しているかどうかを検出することが可能となり、インクカートリッジ40からプリンタ本体に至るインクの流路が正しく形成されたことを確認できる。
【0060】
次に、ステップ5(S5)において、制御部100がブザー13を制御して、ユーザに「印刷が可能であること」を知らせる音をブザー13から発生させる。こうして、インクカートリッジ40の装着が完了する。
【0061】
続いて、インクカートリッジ40をプリンタ本体から取り外すときの動作について、以下に説明する。例えば、インクがなくなったときに、プリンタ本体の扉1cを開けてからインクカートリッジ40をプリンタ本体から取り外す。このインクカートリッジ40の取り外しの移動に伴って、球体52、弁部材62及び押し部材70がコイルバネ53,63によって互いに当接した状態で図7中左方に移動する。すなわち、球体52、押し部材70及び弁部材62は、中空針153が挿入されるときとは逆の動作をする。そして、弁部材62が弁座61と接触し、第2バルブ60が開状態から閉状態となり、中空針153に対するインクカートリッジ40内のインクの流れ込みが止まる。このとき、フォトセンサ66から制御部100に出力される信号は信号Bから信号Aに変わり、制御部100は第2バルブ60が閉状態になったことを検出する。
【0062】
その後、球体52と押し部材70の先端が離隔するように球体52だけが中空針153とともに移動する。そして、球体52が環状突起51b及び湾曲部51cと接触し、第1バルブ50が開状態から閉状態となる。このように、第1及び第2バルブ50,60は、中空針153が抜かれる方向に移動するに伴って自動的に開状態から閉状態となるとともに、これら第1及び第2バルブ50,60の閉状態となるタイミングは第2バルブ60が閉状態となってから、バルブ50が閉状態となる。
【0063】
インクカートリッジ40のさらなる取り外しの移動に伴って、中空針153が封止体51から抜かれた後、接点91と接点161及び電力入力部92と接点163の接続が解除される。そして、筐体41と検知部171とが離隔して検知部171がセンサ170内から抜け出すと、センサ170から信号Dが制御部100に出力される。これにより、制御部100がプリンタ本体からインクカートリッジ40が取り外されていることを認識する。こうして、プリンタ本体から取り外されたインクカートリッジ40を新しいインクカートリッジ40に交換して、上述したようにインクカートリッジ40をプリンタ本体に装着する。
【0064】
続いて、インクカートリッジを製造、及び、再生するときの工程について、以下に説明する。インクカートリッジを製造するときは、まず、2分割された筐体41を製作し、筐体41の半部に図6に示すように、インク袋42やインク導出管43などのインクカートリッジ40を構成する部品を組み込む。そして、もう一方の筐体41の半部を取り付けてインクが分注されていないインクカートリッジ前躯体を製作する。次に、インクを分注する分注器を用いて、インクカートリッジ前躯体のインク袋42内に所定量のインクを分注する。こうして、インクカートリッジ40の製造が完了する。
【0065】
変形例として、筐体41の半部にインクカートリッジ40を構成する部品を組み込む際に、予め分注器によってインクが分注されたインク袋42を組み込んでもよい。そして、もう一方の筐体41の半部を取り付けて、インクカートリッジ40を製造してもよい。
【0066】
一方、使用済みのインクカートリッジ40を回収して、再度、インクカートリッジ40を再生する場合は、まず、インク袋42及びインク導出管43内などを洗浄する。次に、インクを分注する分注器を用いて、インク袋42内に所定量のインクを分注する。こうして、インクカートリッジ40の再生が完了する。
【0067】
以上のように、本実施形態のインクカートリッジ40によると、装着部150にインクカートリッジ40を装着する際に、中空針153の挿入によって球体52及び移動体(押し部材70及び弁部材62)が移動し、フォトセンサ66によって弁部材62が開状態であるか否かの判定と共に、中空針153がインクカートリッジ40に正しく挿入されたか否かの判定もできる。つまり、移動体が所定位置にあるかどうかをフォトセンサ66によって検出することによって、中空針153がインク流路43a内に正しく進入させたかどうかを検出することが可能となる。したがって、インクカートリッジ40からプリンタ本体に至るインクの流路が正しく形成されたことを確認できるので、インクカートリッジ40からプリンタ本体に供給されるインクが漏れ出す状況を回避することが可能となる。
【0068】
弁部材62を封止体51に向かう方向に付勢するコイルバネ63を設けたことで、中空針153に押されることによって移動する弁部材62の位置出しを正確に行なうことができフォトセンサ66による検出精度を向上させることができる。
【0069】
また、第2バルブ60が移動体によって構成された弁部材62と、コイルバネ63と、弁座61とを含んでいる。これによると、移動体を弁部材62に利用できるので、コストを抑えながら、インクカートリッジ40内のインクの封止を確実に行なうことができる。また、インクカートリッジ40からプリンタ本体に至るインクの流路が正しく形成されたことの確認とともに、第2バルブ60の開放の確認を行なうことも可能となるため、検出にかかるコストを低減することができる。
【0070】
また、第1バルブ50が設けられていることで、インクカートリッジ40内のインクの封止をより確実に行なうことができる。
【0071】
第1変形例として、押し部材70が球体52に一体的に形成されていてもよい。また、第2変形例として、押し部材70が球体52及び弁部材62のいずれとも一体的に形成されておらす、両者間に配置されていてもよい。これら変形例においても、第1実施形態と同様な効果を得ることができる。さらに、第1実施形態、第1及び第2変形例においては、弁部材62に代えて球体52をフォトセンサ66で検出してもよい。これにおいても中空針153の挿入が正しく行われているか判定することが可能となる。
【0072】
また、第3変形例として、第1バルブ50が管45の一端(左端)の開口(導出口)を封止する封止体から構成されていてもよい。これにより、第1実施形態及び第1,2変形例に比して、バルブの部品点数が少なくなる。
【0073】
また、第4変形例として、第2バルブ60の代わりにインク流路43a内に中空針153の挿入に応じて移動する移動体を設けていてもよい。この場合、ステップ4(S4)において、制御部100は、第2バルブ60が開状態であるか否かの判定は行なわず、中空針153がインクカートリッジ40に正しく挿入されたか否かの判定のみを行なうこととなる。また、移動体は、所定範囲内で移動が規制され且つ中空針153の挿入方向とは反対方向に付勢部材で付勢されていることが好ましい。そして、この移動体の位置をフォトセンサ66で検知すればよい。これにおいても、第1実施形態と同様な効果を得ることができる。なお、インクが外部に漏れ出さないように第1バルブ50のより高い信頼性が要求される。
【0074】
続いて、本発明の第2実施形態によるインクカートリッジ240について、図11,12を参照しつつ以下に説明する。インクカートリッジ240は、第1実施形態のインクカートリッジ40に、制御部90と、制御部90に接続された記憶部125とがさらに設けられて構成されている。なお、第1実施形態と同様なものに関しては、同符号で示し説明を省略する。
【0075】
インクカートリッジ240に設けられた制御部90は、図11に示すように、接点91と電気的に接続されている。また、制御部90は、電力入力部92とも電気的に接続されており、電力入力部92が電力出力部162と電気的に接続されることによって制御部90及びフォトセンサ66に電力が供給される。本実施形態におけるフォトセンサ66は、直接、接点91と接続されておらず、制御部90と接続されている。このため、フォトセンサ66が出力する信号A及び信号Bは、図11に示すように、制御部90に出力される。そして、制御部90が接点91,161を介してプリンタ1の制御部100にフォトセンサ66から受信した信号A及び信号Bを送信する。
【0076】
記憶部125は、下記の表1に示すデータを記憶している。表1は、インクカートリッジ240を装着部150に装着したときのインクジェットヘッド2に対するメンテナンス動作の要否、及び、インクジェットヘッド2の吐出口からのインク漏れ量を示している。具体的には、3つの時間範囲T1〜T3及び4つのインク量範囲V1〜V4に応じたメンテナンス動作の要否及びインク漏れ量が示されている。これら時間範囲T1〜T3は、例えば、時間範囲T1が0秒〜0.5秒未満の範囲であり、時間範囲T2が0.5秒以上1.5秒未満の範囲であり、時間範囲T3が1.5秒以上2.5秒未満の範囲であり、互いに隣接している。また、インク量範囲V1〜V4は、例えば、インク量範囲V1が0ml〜500ml未満の範囲であり、インク量範囲V2が500ml以上700ml未満の範囲であり、インク量範囲V3が700ml以上800ml未満の範囲であり、インク量範囲V4が800ml以上1000ml未満の範囲であり、互いに隣接している。
【0077】
【表1】
【0078】
そして、記憶部125は、装着時のインクカートリッジ240のインク量がインク量範囲V1に該当する際は、インクカートリッジ240が装着部150に装着され始めた時刻と当該インクカートリッジ240の第2バルブ60が閉状態から開状態となる時刻との間の装着時間がどの時間範囲T1〜T3においても、メンテナンスが不要であること及びインク漏れがないことを示すデータを記憶している。
【0079】
また、記憶部125は、装着時のインクカートリッジ240のインク量がインク量範囲V2に該当する際は、装着時間が時間範囲T1に該当する場合だけ、メンテナンスが必要であること及びインク漏れがほぼ0mlであることを示すデータを記憶している。つまり、装着時間がメンテナンスを行う必要があるか否かを示す境界となる0.5秒(所定時間)未満のときには、インク漏れがわずかに起こる可能性があり、メンテナンスが必要であることを示すデータを記憶している。
【0080】
また、記憶部125は、装着時のインクカートリッジ240のインク量がインク量範囲V3に該当し、装着時間が時間範囲T1に該当する場合は、メンテナンスが必要であること及びインク漏れ量が微少量(例えば、1ml程度)あることを示すデータを記憶している。さらに、記憶部125は、装着時のインクカートリッジ240のインク量がインク量範囲V3に該当し、装着時間が時間範囲T2に該当する場合は、メンテナンスが必要であること及びインク漏れがほぼ0mlであることを示すデータを記憶している。つまり、装着時のインクカートリッジ240のインク量がインク量範囲V3に該当する場合、装着時間が1.5秒(所定時間)未満のときには、メンテナンスが必要となり、それ以上のときにはメンテナンスが不要となる。
【0081】
また、記憶部125は、装着時のインクカートリッジ240のインク量がインク量範囲V4に該当する場合は、いずれの時間範囲T1〜T3においてもメンテナンスが必要であることを示すデータを記憶している。また、記憶部125は、装着時間が時間範囲T1に該当する場合は、インク漏れ量が少量(例えば、3ml程度)あること、装着時間が時間範囲T2に該当する場合は、インク漏れ量が微少量であること、装着時間が時間範囲T1に該当する場合は、インク漏れがほぼ0mlであることを示すデータを記憶している。なお、記憶部125は、インク量が1000ml未満の場合において、装着時間が2.5秒(所定時間)以上のときは、インク漏れがなくメンテナンスが不要であることを示すデータを記憶している。
【0082】
このように記憶部125は、メンテナンスを行う必要がある否かを示す境界となる所定時間(0秒、0.5秒、1.5秒、2.5秒)を示すデータをインク量範囲V1〜V4のそれぞれについて記憶している。つまり、インク量範囲V1においては0秒の所定時間、インク量範囲V2においては0.5秒の所定時間、インク量範囲V3においては1.5秒の所定時間及びインク量範囲V4においては2.5秒の所定時間を記憶している。さらに、これら所定時間は、インク量範囲V1〜V4が示すインク量が多いほど長くなっている。
【0083】
また、記憶部125は、制御部90や外部機器(プリンタ本体など)から書き換え可能なフラッシュメモリから構成されており、自身のインク量を示すデータも記憶している。このため、印刷時において消費したインク量やパージ動作で消費したインク量を書き換え直前のインクカートリッジ240のインク量から差し引いたインク残量に制御部100によって書き換え可能となる。さらに、記憶部125がインク漏れ量についても記憶しているので、インク量の書き換え時において、インク残量を補正することが可能となる。つまり、インクカートリッジ240の装着時のインク漏れ量も差し引いたインク残量に制御部90によって書き換え可能となる。したがって、記憶部125が、現状のインク残量を正確に記憶することが可能となる。
【0084】
また、インクを使い切ったインクカートリッジ240に再度インクを分注してインクカートリッジ240を再生する場合において、工場などで分注するインク量を再生前の所定量よりも多く又は少なくし、インクカートリッジ240自体を仕様替えしたときにおいても、当該インク量を示すデータを容易に書き換えることができる。また、記憶部125が、インクカートリッジ240に設けられているため、プリンタ本体の記憶容量を小さくすることができる。
【0085】
続いて、インクカートリッジ40をプリンタ本体に装着したときの動作について、図12を参照しつつ以下に説明する。プリンタ本体にインクカートリッジ240を装着する際は、図12に示すように、ステップ1(H1)〜ステップ3(H3)まで、上述の第1実施形態と同様に行われる。そして、ステップ4(H4)において、制御部100は、第2バルブ60が開状態であるか否かを判定する。この判定は、弁部材62が移動してフォトセンサ66と弁部材62とが対向しなくなり、フォトセンサ66から出力されていた信号Aが信号Bに変化し、制御部90を介して信号Aを受信していた制御部100が当該信号Bを受信するか否かで判定される。そして、制御部100が、信号Aを受信して第2バルブ60が閉状態であると判定した場合はステップ2に戻り、信号Bを受信して第2バルブ60が開状態であると判定した場合はステップ5(H5)に進む。なお、ステップ4(H4)は、第1実施形態と同様に、中空針153がインクカートリッジ40に正しく挿入されたか否かの判定を兼ねてもよい。
【0086】
なお、センサ170から信号Cが出力されてから第2バルブ60が開状態となるまでの動作としては、まず、信号Cがセンサ170から制御部100に出力されてから中空針153がスリット51aに挿入されるまでに、接点91と接点161とが、電力出力部162の接点163と電力入力部92とが電気的に接続される。これにより、2つの制御部90,100が電気的に接続され互いに信号の送受信が可能になるとともに、制御部90及びフォトセンサ66に電力が供給される。また、接点91と接点161同士が接続されたときに、センサ170が装着開始を検出した時刻(制御部100がセンサ170からの信号Cを受信した時刻)を示す時刻データ信号が制御部100から制御部90に出力される。そして、中空針153がスリット51aに挿入されるに連れて、中空針153の先端と球体52とが当接し球体52が図7中右方に移動して、球体52と湾曲部51c及び環状突起51bとが離隔し、第1バルブ50が閉状態から開状態となる。この後、球体52と押し部材70の先端とが当接し、球体52、押し部材70及び弁部材62が図7中右方に移動する。そして、弁部材62と弁座61とが離隔し、第2バルブ60が閉状態から開状態となる。このように、第2バルブ60が開状態となるときには、接点91と接点161とが電気的に接続されているので、制御部90から出力された信号Bを制御部100が受信することが可能となる。
【0087】
次に、ステップ5において、制御部90は、フォトセンサ66からの信号Bを受信した時刻と制御部100から送られた時刻データ信号によって認識した装着開始を検出した時刻との間の装着時間を算出する。そして、ステップ6(H6)において、制御部90は、記憶部125に記憶された現状のインク量、及び、表1に示すデータを読み込む。次に、ステップ7(H7)において、制御部90は、ステップ6において記憶部125のデータを読み込めたかを判定する。このとき、記憶部125にデータが記憶されておらず当該データが読み込めない場合は、制御部90から制御部100にエラー信号が出力され、ステップ8(H8)に進む。そして、ステップ8において、エラー信号を受信した制御部100はブザー13を制御して、ユーザに対して記憶部125に異常があることを知らせる。一方、ステップ7において、制御部90が記憶部125のデータを読み込めたと判定した場合、ステップ9(H9)に進む。
【0088】
ステップ9において、制御部90は、ステップ5にて算出した装着時間がどの時間範囲T1〜T3に該当するかを判定するとともに装着時のインクカートリッジ40のインク量がどのインク量範囲V1〜V4に該当するかを判定し、今回のインクカートリッジ40の装着において、メンテナンスを行う必要があるか否かを判定する。つまり、今回の装着時におけるインク量に該当するインク量範囲(V1〜V4のいずれか)において、今回の装着時間(T1〜T3のいずれか)がメンテナンスを行うことが必要であるか否かの境界を示す所定時間未満であるかを判定する。
【0089】
このとき、制御部90がメンテナンスを行う必要がないと判定した場合は、ステップ12(H12)に進み、インクジェットヘッド2からインク漏れが生じていないと判定され、そのまま待機、すなわち、印刷可能状態となる。
【0090】
一方、制御部90がメンテナンスを行う必要があると判定した場合は、ステップ10(H10)に進み、制御部90が制御部100にメンテナンスの開始を要求する信号を出力する。そして、この信号を受信した制御部100は、インクジェットヘッド2からインクをパージするパージ動作を行うために、まず、昇降機構を制御し、インクジェットヘッド2を印刷位置から退避位置に移動させる(図4(a)参照)。次に、制御部100は、駆動モータを制御し、各キャップ31を吐出面2aと対向する位置に移動させる(図4(b)参照)。そして、制御部100は、駆動モータを制御し、各キャップ31を吐出面2aに近づけキャップ位置に配置する。
【0091】
次に、制御部100は、ポンプを所定時間だけ駆動し、インクカートリッジ40のインクをインクジェットヘッド2に強制的に送液する。これによって、インクジェットヘッド2内のインクがキャップ31内に所定量分パージされる。その後、制御部100は、駆動モータ127,126を制御して、各キャップ31をパージ位置から初期位置に戻す。このとき、制御部100は、メンテナンスユニット30に含まれる図示しない払拭機構(例えば、ワイパー及びこれを動作させる駆動モータ:不図示)を制御し、パージ動作によって吐出面2aに付着したインクを払拭してもよい。そして、制御部100は、昇降機構を制御して、インクジェットヘッド2を退避位置から印刷位置に戻す。こうして、メンテナンス動作が終了する。メンテナンス動作が終了すると、制御部100は制御部90にメンテナンスの終了を通知する信号を出力する。
【0092】
次に、ステップ11(H11)において、メンテナンスの終了を通知する信号を受けた制御部90は、記憶部125に記憶されたインク量を書き換える。具体的には、まずインク漏れ量がほぼ0ml、微少量及び少量のいずれであるかを判定し、次に記憶部125に記憶されていたインク残量を、判定されたインク漏れ量とパージ動作によって消費された量とを差し引いた値に書き換える。なお、パージ動作によって消費されるインク量は、一定の所定量にすることには限られず、温度等の環境条件を考慮して適宜調整してもよく、その場合は、制御部100が制御部90に対してパージ動作で消費したインク量を通知する必要がある。そして、ステップ12において、用紙Pに対して印刷可能な状態となる。
【0093】
次に、ステップ13(H13)において、制御部90から制御部100に印刷可能であることを示す信号が出力される。そして、当該信号を受信した制御部100が、ブザー13を制御して、ユーザに「印刷が可能であること」を知らせる音をブザー13から発生させる。こうして、インクカートリッジ40の装着が完了する。なお、ステップ11におけるインク量の書き換えは、ステップ13が行われてから用紙Pに対する印刷が行われるまでの間に行われてもよい。
【0094】
本実施形態におけるインクジェットプリンタ1は、上述のステップ10,11のみならず、インクカートリッジ240が装着された後の印刷動作などにおいて消費されたインク量を当該動作が行われる直前のインク量から差し引いたインク残量に、制御部100又は制御部90が書き換える。これにより、インクがある程度残ったインクカートリッジ240が装着部150から取り外され、再度、装着部150に装着されても、装着時において制御部90に算出された装着時間がそのときのインク残量に応じた所定時間未満のときだけ、インクジェットヘッド2に対してメンテナンスを行うことが可能となる。そのため、不必要なメンテナンスをより抑制することが可能となる。
【0095】
続いて、インクカートリッジ240をプリンタ本体から取り外すときの動作について、以下に説明する。上述の第1実施形態と同様に、例えば、インクがなくなったときに、プリンタ本体の扉1cを開けてからインクカートリッジ40をプリンタ本体から取り外す。このインクカートリッジ40の取り外しの移動に伴って、球体52、弁部材62及び押し部材70がコイルバネ53,63によって互いに当接した状態で図7中左方に移動する。そして、弁部材62が弁座61と接触し、第2バルブ60が開状態から閉状態となり、中空針153に対するインクカートリッジ40内のインクの流れ込みが止まる。このとき、フォトセンサ66から制御部90に出力される信号は信号Bから信号Aに変わり、制御部90は第2バルブ60が閉状態になったことを検出する。
【0096】
その後、球体52と押し部材70の先端が離隔するように球体52だけが中空針153とともに移動する。そして、球体52が環状突起51b及び湾曲部51cと接触し、第1バルブ50が開状態から閉状態となる。このように、第1及び第2バルブ50,60は、中空針153が抜かれる方向に移動するに伴って自動的に開状態から閉状態となるとともに、これら第1及び第2バルブ50,60の閉状態となるタイミングは第2バルブ60が閉状態となってから、第1バルブ50が閉状態となる。
【0097】
インクカートリッジ240のさらなる取り外しの移動に伴って、中空針153が封止体51から抜かれた後、接点91と接点161及び電力入力部92と接点163の接続が解除される。そして、筐体41と検知部171とが離隔して検知部171がセンサ170内から抜け出すと、センサ170から信号Dが制御部100に出力される。これにより、制御部100がプリンタ本体からインクカートリッジ240が取り外されていることを認識する。こうして、プリンタ本体から取り外されたインクカートリッジ240を新しいインクカートリッジ240に交換して、上述したようにインクカートリッジ240をプリンタ本体に装着する。
【0098】
続いて、インクカートリッジを製造、及び、再生するときの工程について、以下に説明する。インクカートリッジを製造するときは、まず、2分割された筐体41を製作し、筐体41の半部にインク袋42やインク導出管43などのインクカートリッジ240を構成する部品を組み込む。そして、もう一方の筐体41の半部を取り付けてインクが分注されていないインクカートリッジ前躯体を製作する。次に、インクを分注する分注器を用いて、インクカートリッジ前躯体のインク袋42内に所定量のインクを分注する。そして、記憶装置を用いて、インクカートリッジ240の記憶部125に表1に示すデータ、及び、分注されたインク量を示すデータを記憶させる。こうして、インクカートリッジ240の製造が完了する。
【0099】
変形例として、筐体41の半部にインクカートリッジ240を構成する部品を組み込む際に、予め分注器によってインクが分注されたインク袋42を組み込んでもよい。そして、もう一方の筐体41の半部を取り付けた後、記憶装置を用いて、記憶部125に所定のデータを記憶させて、インクカートリッジ240を製造してもよい。
【0100】
一方、使用済みのインクカートリッジ240を回収して、再度、インクカートリッジ240を再生する場合は、まず、インク袋42及びインク導出管43内などを洗浄する。次に、インクを分注する分注器を用いて、インク袋42内に所定量のインクを分注する。そして、記憶装置を用いて、インクカートリッジ240の記憶部125に記憶されたインク量を、分注されたインク量を示すデータに書き換える。こうして、インクカートリッジ240の再生が完了する。
【0101】
以上のように、本実施形態のインクカートリッジ240においても、装着部150にインクカートリッジ240を装着する際に、中空針153の挿入によって球体52及び移動体(押し部材70及び弁部材62)が移動し、フォトセンサ66によって弁部材62が開状態であるか否かの判定と共に、中空針153がインクカートリッジ240に正しく挿入されたか否かの判定もできる。このため、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。また、第1実施形態と同様な構成においては、同じ効果を得ることができる。
【0102】
また、本実施形態のインクジェットプリンタ1によると、インクカートリッジ240が装着部150に装着されたときに、制御部90が装着時間を算出する。すなわち、センサ170がインクカートリッジ240を検出した時(センサ170の検知部171と筐体41とが接触し、センサ170から出力される信号が信号Dから信号Cに変化した時)の装着方向におけるインクカートリッジ240の位置を第1位置とし、第2バルブ60が開状態となった時(フォトセンサ66が、弁部材62と対向しない状態から対向する状態に変わることで、フォトセンサ66から出力される信号が信号Aから信号Bに変化した時)の装着方向におけるインクカートリッジ240の位置を第2位置とすると、装着方向における第1位置と第2位置の距離はほぼ一定であるため、インクカートリッジ240がこれら2つの位置の間の移動に要した時間を装着時間として算出することで、インクカートリッジ240が装着部150にどの程度の速さで装着されたかが分かる。つまり、低速で装着された場合は装着時間が長くなり、その装着時における圧力変動も小さくなる。一方、高速で装着された場合は装着時間が短くなり、その装着時における圧力変動が大きくなる。そして、上記表1に示すデータに基づいて、算出した装着時間が所定時間未満であるか否か、すなわち、制御部90がメンテナンスを行う必要があるか否かを判定する。したがって、インクカートリッジ240が装着部150に高速で装着されたときに、インクジェットヘッド2に対してメンテナンスを行うことが可能となる。そのため、インクジェットヘッド2に吐出不良が生じるのを未然に抑制することが可能となる。
【0103】
また、記憶部125が、インク量範囲V1〜V4ごとにメンテナンスの要否の境界となる所定時間を記憶しているので、制御部90が算出した装着時間が、該当するインク量範囲V1〜V4に応じた所定時間未満のときだけ、インクジェットヘッド2に対してメンテナンスを行うことが可能となる。そのため、不必要なメンテナンスを抑制することが可能となる。また、これら境界となる所定時間は、インク量範囲V1〜V4が示すインク量が多いほど長くなっている。これにより、インクジェットヘッド2に対するメンテナンスの要否を精度よく判定することが可能となり、インクジェットヘッド2に吐出不良が生じるのをより抑制することが可能となる。
【0104】
また、本実施形態のインクカートリッジ240によると、プリンタ本体にメンテナンスユニット30およびこれを制御する制御部100が設けられていることで、装着時間が記憶部125に記憶された所定時間未満のときに、インクジェットヘッド2に対してメンテナンスを行うことが可能となる。そのため、インクジェットヘッド2に吐出不良が生じるのを抑制することが可能となる。また、本実施形態のインクカートリッジ240の再生方法によると、上述の効果を有するインクカートリッジ40を再生することが可能となる。
【0105】
また、第2実施形態の変形例として、第1バルブ50が閉状態から開状態となるときにセンサ170が筐体41を検出することが可能な位置に、センサ170を設けてもよい。この場合、センサ170から制御部100に出力された装着開始信号が第1バルブ50の開状態も示し、取り外し信号が第1バルブ50の閉状態も示す信号となる。また、この変形例においては、例えば、環状突起51bを主走査方向に長くして、装着部150にインクカートリッジを装着したときに、第2バルブ60が開いてから第1バルブ50が開くようにしてもよい。この形態においては、第1バルブ50が開状態となったときの時刻と、第2バルブ60が開状態となったときの時刻との間の時間を装着時間とすればよい。こうすることで、第2実施形態と同様な効果を得ることができる。
【0106】
続いて、本発明の第3実施形態によるインクカートリッジ340について、図13を参照しつつ以下に説明する。本実施形態におけるインクカートリッジ340は、管244の管45が嵌め込まれる部分が第1実施形態よりも長く形成されており、インク排出口46aがフランジ47側に近づくように管45が管244に嵌め込まれている。そして、筐体41内には、第1バルブ50の開及び閉状態を検出するフォトセンサ266が配置されている。このフォトセンサ266は、例えば、光出射部と光受光部を有する反射型の光センサを用いることができ、その場合は、球体52の少なくとも一部分に光が反射可能である鏡面を形成する。それ以外の構成は第1及び第2実施形態と同様であるので、同じ符号で示し具体的な説明を省略する。
【0107】
フォトセンサ266は、制御部90及び電力入力部92と接続されている。フォトセンサ266は、図13に示すように、環状突起51bと球体52とが接触しているときに球体52と対向せず、球体52が図中二点鎖線で示すように環状突起51bと離隔したときに、当該球体52と対向する位置に配置されている。そして、フォトセンサ266は、球体52と対向するときには、光受光部が光を受光したことを示す信号(以下、信号Eと称する)を出力する。一方、フォトセンサ266は、球体52と対向しないときには、光受光部が光を受光していないことを示す信号(以下、信号Fと称する)を出力する。これらの信号は、制御部90を介してプリンタ1の制御部100に送信され、制御部100は、これらの信号を受けることで、第1バルブ50の開状態と閉状態を区別して検出することができる。本実施形態において、制御部100は、光受光部が光を受光したことを示す信号Eを受けたときに、第1バルブ50が開状態であると検出し、光受光部が光を受光していないことを示す信号Fを受けたときに、第1バルブ50が閉状態であると検出する。
【0108】
続いて、インクカートリッジ340をプリンタ本体に装着したときの動作について、以下に説明する。本実施形態においても、第2実施形態と同様に、インクカートリッジ340を装着部150にそれぞれ装着する。このとき、まず、第2実施形態のステップ1〜ステップ4と同様のステップ1〜ステップ4の処理が行われる。なお、第1バルブ50が開状態となるまでに、接点91と接点161とが、電力出力部162の接点163と電力入力部92とが電気的に接続され、2つの制御部90,100が電気的に接続され互いに信号の送受信が可能になるとともに、制御部90及びフォトセンサ66,266に電力が供給される。このため、ステップ2においては、制御部100は、フォトセンサ266の信号Eを受信してから、フォトセンサ66の信号Bを受信するまでに装着限度時間を超えているか否かを判定してもよい。この変形例の場合、当該装着限度時間もこれに合わせて適宜変更しておく。さらに、この変形例の場合、装着限度時間を記憶部125に記憶させ、ステップ2の処理を制御部90に行わせてもよい。また、ステップ4において、制御部90が、第2バルブ60が開状態であるか否かを判定してもよい。この場合、制御部90から制御部100に第2バルブ60の開状態を示す信号を出力しなくてもよい。
【0109】
次に、ステップ5において、制御部90は、フォトセンサ266から信号Eを受信した時刻と、フォトセンサ66から信号Bを受信した時刻との間の装着時間を算出する。この後、第2実施形態のステップ6〜ステップ13と同様のステップ6〜ステップ13の処理が行われる。なお、装着時間を算出するための一つの時刻が、第2実施形態においてセンサ170からの信号Cを受信した時刻から、フォトセンサ266からの信号Eを受信した時刻(第1バルブ50が閉状態から開状態に変化した時刻)に変わっているので、その変更に応じて、表1に示すデータも適宜変更すればよい。
【0110】
続いて、インクカートリッジ340をプリンタ本体から取り外すときの動作について、以下に説明する。本実施形態においても、インクカートリッジ340の取り外しの移動に伴って、球体52、弁部材62及び押し部材70がコイルバネ53,63によって互いに当接した状態で図13中左方に移動する。すなわち、球体52、押し部材70及び弁部材62は、中空針153が挿入されるときとは逆の動作をする。そして、弁部材62が弁座61と接触し、第2バルブ60が開状態から閉状態となるとき、フォトセンサ66から制御部90に出力される信号は信号Bから信号Aに変わり、制御部90は第2バルブ60が閉状態になったことを検出する。その後、球体52が環状突起51bと接触したとき、すなわち、第1バルブ50が開状態から閉状態となるときに、フォトセンサ266から制御部90に出力される信号は信号Eから信号Fに変わり、制御部90は第1バルブ50が閉状態になったことを検出する。
【0111】
インクカートリッジ340のさらなる取り外しの移動に伴って、中空針153が封止体51から抜かれた後、接点91と接点161及び電力入力部92と接点163の接続が解除される。そして、筐体41と検知部171とが離隔して検知部171がセンサ170内から抜け出すと、センサ170から信号Dが制御部100に出力される。これにより、制御部100がプリンタ本体からインクカートリッジ340が取り外されていることを認識する。この後、第2実施形態と同様に、取り外されたインクカートリッジ340を新しいインクカートリッジ340に交換して、上述したようにインクカートリッジ340をプリンタ本体に装着する。
【0112】
以上のように、本実施形態のインクカートリッジ340においても、第1及び第2実施形態と同様に、装着部150にインクカートリッジ340を装着する際に、中空針153がインクカートリッジ340に正しく挿入されたか否かの判定ができる。このため、第1及び第2実施形態と同様の効果を得ることができる。また、第1及び第2実施形態と同様な構成においては、同じ効果を得ることができる。
【0113】
また、本実施形態のインクジェットプリンタによると、インクカートリッジ340が装着部150に装着されたときに、制御部90が装着時間を算出し、メンテナンスを行う必要があるか否かを判定する。このため、第2実施形態と同様な効果を得ることができる。また、第1バルブ50の開及び閉状態を検出するフォトセンサ266が設けられており、制御部90が両フォトセンサ66,266からの第1及び第2バルブ50,60の開状態を示す信号の時刻間の時間を装着時間として算出しているので、装着時間を第2実施形態と比して正確に算出することが可能となる。これは、装着時間を算出するためのインクカートリッジ340の移動距離が短くなるからである。つまり、この移動距離が短くなる分だけ、インクカートリッジを装着する際のユーザによる人為誤差の影響を受けにくくなる。そのため、装着時間が正確に算出される。なお、本実施形態においては、第1及び第2バルブ50,60が開状態となるときの時刻から装着時間を算出しているため、センサ170が設けられていなくてもよい。
【0114】
また、第3実施形態の変形例として、例えば、環状突起51bを主走査方向に長くして、装着部150にインクカートリッジを装着したときに、第2バルブ60が開いてから第1バルブ50が開くようにしてもよい。この場合においても、第1バルブ50が開状態となったときの時刻と、バルブが開状態となったときの時刻との間の時間を装着時間とすればよい。こうすることで、第3実施形態と同様な効果を得ることができる。
【0115】
また、第2及び第3実施形態の別の変形例として、制御部100が制御部90に代わって、制御部90と同様な制御を行ってもよい。つまり、制御部100が、制御部90に代わってステップ5〜7、ステップ9及びステップ11の制御を行ってもよい。この場合、制御部90をインクカートリッジ240,340に設けなくてもよい。これにおいても、第2及び第3実施形態と同様な効果を得ることができる。
【0116】
また、別の変形例として、記憶部125をインクカートリッジ240,340に設けずに、プリンタ本体に設けてもよい。また、記憶部125には、インクカートリッジ240,340が装着可能な各プリンタ本体に応じた別の所定時間(メンテナンスの要否の境界となる時間)、又は既に記憶している所定時間に乗じる係数を記憶させていてもよい。具体的には、中空針153からインクジェットヘッド2の吐出口までの流路長が基準距離よりも長い場合は、基準となる所定時間よりも短い別の所定時間又は乗じることで基準となる所定時間よりも短くなるような係数を記憶し、流路長が基準距離よりも短い場合は、上述とは逆となる別の所定時間又は係数を記憶しておればよい。また、別の所定時間又は係数は、流路長に代えてメニスカス耐圧に対応したものであってもよい。具体的には、インクジェットヘッド2の吐出口が基準径よりも大きい場合(メニスカス耐圧が基準耐圧よりも小さい場合)は、基準となる所定時間よりも短い別の所定時間又は乗じることで基準となる所定時間よりも短くなるような係数を記憶し、基準径よりも小さい場合は、上述とは逆となる別の所定時間又は係数を記憶しておればよい。なお、基準となる所定時間及び別の所定時間の選択、又は基準となる所定時間及び係数を乗じて所定時間を算出して採用するのは、適宜、制御部がどのようなプリンタ本体であるかを認識し、そのプリンタ本体に応じて行えばよい。加えて、インク漏れ量においても、上述の別の所定時間と同様にプリンタ本体に応じた別のインク漏れ量、又は既に記憶しているインク漏れ量に乗じる係数を記憶させていてもよい。
【0117】
以上、本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明は上述の実施の形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々な変更が可能なものである。例えば、第1バルブは、インク導出管に設けられ、インク導出管を連通させる開状態、及び、インク導出管の連通を遮断する閉状態のいずれか一方を選択的に取ることが可能であれば、上述の実施形態以外の構成を有していてもよい。また、第2バルブも、インク袋と第1バルブとの間においてインク導出管に設けられ、中空針153が差し込まれることによってインク導出管のインク袋から第1バルブまでの流路を連通させる開状態、及び、当該流路を遮断する閉状態のいずれか一方を選択的に取ることが可能であれば、上述の実施形態以外の構成を有していてもよい。また、ブザー13に代えて、筐体1aにディスプレイを設け、そのディスプレイに音に代わる画像を表示させて、ユーザに知らせてもよい。また、これらの報知手段(ブザー、ディスプレイ)を併用してもよい。
【0118】
また、上述の第1〜第3実施形態においては、インクカートリッジ内に設けられた構成要素(フォトセンサ66,266、制御部90など)に対する電力供給は、プリンタ本体に装着することで行われているが、電力入力部92に代えて、インクカートリッジ内に電池を設け、さらに電池から当該構成要素への電力の供給及び停止を規制するメカスイッチをインクカートリッジに設けてもよい。この場合、メカスイッチは、装着部150にインクカートリッジが装着されるときに、装着部150の凹部151の壁面と接触することで電池から構成要素への電力供給を可能にし、壁面と離隔することで構成要素への電力供給を停止させる。また、メカスイッチは、電力入力部92と電力出力部162とが電気的に接続されるタイミングと同じタイミングにおいて、当該電池から構成要素に電力を供給することが可能になるように、構成されることが好ましい。これにより、第1〜第3実施形態と同様な効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0119】
1 インクジェットプリンタ
2 インクジェットヘッド
13 ブザー
30 メンテナンスユニット
40,240,340 インクカートリッジ
42 インク袋(インク収容部)
43a インク流路(インク導出流路)
50 第1バルブ
51 封止体(弾性体)
52 球体(第1弁体)
53 コイルバネ(第1付勢部材)
60 第2バルブ
61 弁座
62 弁部材(移動体の一部:第2弁体)
63 コイルバネ(第2付勢部材)
66 フォトセンサ(検出部)
70 押し部材(移動体の一部)
153 中空針(中空管:インク導入管)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
インクを収容するインク収容部と、
前記インク収容部と連通するインク導出流路と、
前記インク導出流路の内部において移動可能に設けられ、前記インク導出流路の導出口から前記インク導出流路内に進入したインクを外部に取り出すための中空管に押されることによって移動する移動体と、
前記移動体が所定位置にあることを検出する検出部とを備えていることを特徴とするインクカートリッジ。
【請求項2】
前記インク導出流路の前記導出口には、弾性変形可能であって前記中空管が貫通可能な弾性体がさらに設けられていることを特徴とする請求項1に記載のインクカートリッジ。
【請求項3】
前記インク導出流路の前記導出口には、前記インク導出流路を開閉する第1バルブが設けられており、
前記第1バルブは、
前記中空管が貫通可能な貫通孔が形成された弾性体と、
前記インク導出流路の内部において、前記弾性体と接離可能に設けられた第1弁体と、
前記第1弁体を前記弾性体に向けて付勢する第1付勢部材と、を有しており、
前記第1弁体は、前記貫通孔を貫通した前記中空管に押されることによって移動し、
前記移動体は、前記第1弁体の移動に連動して移動することを特徴とする請求項1に記載のインクカートリッジ。
【請求項4】
前記移動体は、前記インク導出流路の前記導出口に向けて付勢されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のインクカートリッジ。
【請求項5】
前記インク導出流路の内部には、第2バルブが設けられており、
前記第2バルブは、
前記移動体によって構成される第2弁体と、
前記第2弁体を前記導出口に向けて付勢する第2付勢部材と、
前記第2弁体が接触したときに遮断され前記第2弁体が離間したときに開放される開口を備えた弁座と、によって構成されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のインクカートリッジ。
【請求項1】
インクを収容するインク収容部と、
前記インク収容部と連通するインク導出流路と、
前記インク導出流路の内部において移動可能に設けられ、前記インク導出流路の導出口から前記インク導出流路内に進入したインクを外部に取り出すための中空管に押されることによって移動する移動体と、
前記移動体が所定位置にあることを検出する検出部とを備えていることを特徴とするインクカートリッジ。
【請求項2】
前記インク導出流路の前記導出口には、弾性変形可能であって前記中空管が貫通可能な弾性体がさらに設けられていることを特徴とする請求項1に記載のインクカートリッジ。
【請求項3】
前記インク導出流路の前記導出口には、前記インク導出流路を開閉する第1バルブが設けられており、
前記第1バルブは、
前記中空管が貫通可能な貫通孔が形成された弾性体と、
前記インク導出流路の内部において、前記弾性体と接離可能に設けられた第1弁体と、
前記第1弁体を前記弾性体に向けて付勢する第1付勢部材と、を有しており、
前記第1弁体は、前記貫通孔を貫通した前記中空管に押されることによって移動し、
前記移動体は、前記第1弁体の移動に連動して移動することを特徴とする請求項1に記載のインクカートリッジ。
【請求項4】
前記移動体は、前記インク導出流路の前記導出口に向けて付勢されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のインクカートリッジ。
【請求項5】
前記インク導出流路の内部には、第2バルブが設けられており、
前記第2バルブは、
前記移動体によって構成される第2弁体と、
前記第2弁体を前記導出口に向けて付勢する第2付勢部材と、
前記第2弁体が接触したときに遮断され前記第2弁体が離間したときに開放される開口を備えた弁座と、によって構成されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のインクカートリッジ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2011−156726(P2011−156726A)
【公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−19333(P2010−19333)
【出願日】平成22年1月29日(2010.1.29)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年1月29日(2010.1.29)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】
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