インクジェットヘッドおよびその製造方法
【課題】濃度ムラを目立ち難くできるインクジェットヘッドを提供する。
【解決手段】一つの実施形態に係るインクジェットヘッドによれば、基板と、前記基板に対向したノズルプレートと、複数の圧電部材と、インク吐出駆動用の多数の溝部とを具備する。前記ノズルプレートに、ノズル列が複数設けられる。一つの前記ノズル列に含まれる複数のノズルと、他の前記ノズル列に含まれる複数のノズルと、によって、前記各ノズル列が延びる方向と平行になった一つの仮想ノズル列が形成される。前記圧電部材は、前記複数のノズル列にそれぞれ対向する。前記溝部は、前記複数の圧電部材にそれぞれ設けられ、且つ複数の刃物で加工される。前記仮想ノズル列中の一つの前記ノズルに対応した一つの前記溝部と、前記仮想ノズル列中の前記一つのノズルと隣接した他の一つの前記ノズルに対応した他の一つの前記溝部と、は、互いに独立した前記刃物で加工される。
【解決手段】一つの実施形態に係るインクジェットヘッドによれば、基板と、前記基板に対向したノズルプレートと、複数の圧電部材と、インク吐出駆動用の多数の溝部とを具備する。前記ノズルプレートに、ノズル列が複数設けられる。一つの前記ノズル列に含まれる複数のノズルと、他の前記ノズル列に含まれる複数のノズルと、によって、前記各ノズル列が延びる方向と平行になった一つの仮想ノズル列が形成される。前記圧電部材は、前記複数のノズル列にそれぞれ対向する。前記溝部は、前記複数の圧電部材にそれぞれ設けられ、且つ複数の刃物で加工される。前記仮想ノズル列中の一つの前記ノズルに対応した一つの前記溝部と、前記仮想ノズル列中の前記一つのノズルと隣接した他の一つの前記ノズルに対応した他の一つの前記溝部と、は、互いに独立した前記刃物で加工される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、インクジェットヘッドおよびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェットプリンタに、ヘッド内の流路でインクが循環するインクジェットヘッドが用いられることがある。この種のインクジェットヘッドには、インクを供給するための供給口と、インクを排出するための排出口とが設けられる。インクジェットヘッドは、供給口と排出口との間に配置された複数の圧電素子を有している。
【0003】
供給口から供給されたインクは、圧電素子によってインクジェットヘッドのノズルから吐出される。ノズルは、圧電素子と対向する位置に設けられる。余ったインクは、排出口からインクタンクに回収される。
【0004】
圧電素子は、例えば、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)によって形成されている。圧電素子は、切削形成された複数の溝部と複数の支柱とを有している。支柱に電圧が印加されることによって、溝部内の圧力が変化する。これにより、溝部内のインクがノズルから吐出される。
【0005】
複数の圧力素子は、例えば棒状に形成され、互いに平行に並んで配置される。圧力素子の圧力室は、例えばダイシングソーによって形成される。ダイシングソーのダイヤモンドホイールは、複数の圧力素子を横切るように移動する。これにより、一度に複数の圧力素子に溝部が形成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−160822号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記のダイヤモンドホイールは、加工中に磨耗等の劣化が生じる。磨耗したダイヤモンドホイールで切削を行なうと、溝部が狭くなるとともに、支柱が厚く形成される。支柱が厚く形成されると、電圧を印加した際の支柱の変形量が減少し、吐出されるインクの量も減少する。このように、加工中に切削工具の劣化が生じることにより、例えば印字時の濃度ムラが生じるおそれがある。
【0008】
本発明の目的は、濃度ムラを目立ち難くできるインクジェットヘッドおよびその製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
一つの実施形態に係るインクジェットヘッドによれば、
基板と、前記基板に対向したノズルプレートと、複数の圧電部材と、インク吐出駆動用の多数の溝部とを具備している。前記ノズルプレートに、複数のノズルをそれぞれ含んだノズル列が複数設けられる。一つの前記ノズル列に含まれる前記複数のノズルと、他の前記ノズル列に含まれる前記複数のノズルと、によって、前記各ノズル列が延びる方向と平行になった一つの仮想ノズル列を形成するように、前記一つのノズル列に含まれる前記複数のノズルと、前記他のノズル列に含まれる前記複数のノズルと、が互い違いになる。前記圧電部材は、前記複数のノズル列にそれぞれ対向するように設けられる。前記溝部は、前記複数の圧電部材にそれぞれ設けられ、前記複数のノズルにそれぞれ対応し、且つ前記複数のノズルからインクを吐出できるように複数の刃物で加工される。前記仮想ノズル列中の一つの前記ノズルに対応した一つの前記溝部と、前記仮想ノズル列中の前記一つのノズルと隣接した他の一つの前記ノズルに対応した他の一つの前記溝部と、は、互いに独立した前記刃物で加工される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】第1の実施形態に係るインクジェットヘッドを一部切り欠いて示す斜視図。
【図2】第1の実施形態のインクジェットヘッドを図1のF2−F2線に沿って示す断面図。
【図3】第1の実施形態のインクジェットヘッドを一部切り欠いて示す平面図。
【図4】第1の実施形態の基板と第1および第2の圧電部材とを示す斜視図。
【図5】第1の実施形態の第1のノズルおよび第2のノズルの配置を説明するための平面図。
【図6】第1の実施形態の第1および第2の圧電部材の加工の初期段階を示す平面図。
【図7】第1の実施形態の第1および第2の圧電部材の加工の終期段階を示す平面図。
【図8】第2の実施形態に係る加工途中のインクジェットヘッドを示す平面図。
【図9】第2の実施形態のインクジェットヘッドによる印刷結果の一例を示すグラフ。
【図10】一般的なインクジェットヘッドによる印刷結果の一例を示すグラフ。
【図11】第2の実施形態のインクジェットヘッドによる印刷特性の変化の一例を示すグラフ。
【図12】一般的なインクジェットヘッドによる印刷特性の変化の一例を示すグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、第1の実施の形態について、図1ないし図7を参照して説明する。図1は、第1の実施形態のインクジェットヘッド10を一部切り欠いて示す斜視図である。図2は、図1のF2−F2線に沿って示すインクジェットヘッド10の断面図である。
【0012】
図1に示すように、インクジェットヘッド10は、基板13と、第1の圧電部材14と、第2の圧電部材15と、枠部材16と、ノズルプレート17とを備えている。さらに、図2に示すように、インクジェットヘッド10は、第1の圧電部材14および第2の圧電部材15をそれぞれ駆動するためのIC18を備えている。
【0013】
基板13は、例えばアルミナなどのセラミックスによって、矩形状に形成されている。基板13は、平坦な取付面21と、図2に示す固定面22とを有している。固定面22は、取付面21の反対方向に位置する。固定面22は、例えばインクジェットプリンタに設けられたマニホールドに取り付けられる。基板13に、複数の供給口23と、複数の第1の排出口24と、複数の第2の排出口25とが設けられている。
【0014】
複数の供給口23は、基板13の幅方向における中央部に設けられている。複数の供給口23は、基板13の長手方向に並んで配置されている。
【0015】
供給口23は、インクジェットヘッド10がマニホールドに取り付けられると、インクタンクに連結される。インクタンクのインクは、供給口23からインクジェットヘッド10に供給される。
【0016】
複数の第1の排出口24は、基板13の一方の側縁13aに沿って設けられている。複数の第1の排出口24は、基板13の長手方向に並んで配置されている。複数の第2の排出口25は、基板13の他方の側縁13bに沿って設けられている。複数の第2の排出口25は、基板13の長手方向に並んで配置されている。第1の排出口24と第2の排出口25とは、供給口23を間に挟んでいる。
【0017】
第1の排出口24および第2の排出口25は、インクジェットヘッド10がマニホールドに取り付けられると、インクタンクに連結される。インクジェットヘッド10内のインクは、第1の排出口24および第2の排出口25からインクタンクに戻される。
【0018】
枠部材16は、例えば接着によって、取付面21に隙間無く取り付けられている。枠部材16は、第1の圧電部材14、第2の圧電部材15、供給口23、第1の排出口24、および第2の排出口25を囲んでいる。
【0019】
ノズルプレート17は、ポリイミド製の矩形のフィルムによって形成されている。ノズルプレート17は、例えば接着によって、枠部材16に隙間無く取り付けられている。ノズルプレート17は、基板13の取付面21に対向している。
【0020】
ノズルプレート17に、第1のノズル列31と、第2のノズル列32とが設けられている。第1のノズル列31は、複数の第1のノズル34を含んでいる。複数の第1のノズル34は、一列に並んで配置されて第1のノズル列31を形成する。隣り合う第1のノズル34の間の距離は、例えば0.169mmである。これ以後、隣り合う第1のノズル34の間の距離を1ピッチと称する。
【0021】
第2のノズル列32は、複数の第2のノズル35を含んでいる。複数の第2のノズル35は、一列に並んで配置されて第2のノズル列32を形成する。隣り合う第2のノズル35の間の距離は、1ピッチである。第1のノズル列31および第2のノズル列32は、互いに平行に配置され、ノズルプレート17の長手方向に向かって延びている。
【0022】
第1の圧電部材14は、基板13の取付面21に取り付けられ、基板13の長手方向に向かって延びている。第1の圧電部材14は、供給口23と第1の排出口24との間に配置されている。第1の圧電部材14は、第1のノズル列31に対向している。
【0023】
第2の圧電部材15は、第1の圧電部材14と平行に取付面21に取り付けられている。第2の圧電部材15は、供給口23と第2の排出口25との間に配置されている。第2の圧電部材15は、第2のノズル列32に対向している。第1の圧電部材14と第2の圧電部材15との間の距離は、例えば5mmである。
【0024】
第1の圧電部材14および第2の圧電部材15は、例えば、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)製の2枚の圧電板を互いの分極方向を対向させるように張り合わせてそれぞれ形成されている。図2に示すように、第1の圧電部材14および第2の圧電部材15は、台形状の断面を有する棒状にそれぞれ形成されている。
【0025】
図3は、インクジェットヘッド10を一部切り欠いて示す平面図である。図4は、基板13、第1の圧電部材14、および第2の圧電部材15を示す斜視図である。図4に示すように、第1の圧電部材14に第1の溝列41が設けられている。第1の溝列41は、インク吐出用の多数の第1の溝部42を含んでいる。図2に示すように、第1の溝部42は、第1のノズル34にそれぞれ対応した位置に形成されている。
【0026】
図3に示すように、第1の溝部42は、第1の圧電部材14が延びる方向に並んで設けられている。第1の溝部42は、それぞれ第1の圧電部材14が延びる方向に対して斜めに延びている。隣り合う第1の溝部42の間の距離は、1ピッチである。第1の圧電部材14が延びる方向と、第1の溝部42が延びる方向との間の傾きθ1は、例えば81°である。
【0027】
第2の圧電部材15に第2の溝列44が設けられている。第2の溝列44は、インク吐出用の多数の第2の溝部45を含んでいる。図2に示すように、第2の溝部45は、第2のノズル35にそれぞれ対応した位置に形成されている。
【0028】
図3に示すように、第2の溝部45は、第2の圧電部材15が延びる方向に並んで設けられている。第2の溝部45は、それぞれ第1の溝部42と同じ方向に向かって延びている。一つの第2の溝部45は、対応する一つの第1の溝部42と同一直線上に設けられている。
【0029】
図2に示すように、第1の圧電部材14および第2の圧電部材15は、複数の支柱47と、複数の電極48とをそれぞれ有している。図4に示すように、支柱47は、第1の溝部42および第2の溝部45のそれぞれの両側部に設けられ、駆動素子として機能する。電極48は、支柱47の側面および第1の溝部42および第2の溝部45の底部に形成される。
【0030】
図2に示すように、電極48は、取付面21に設けられた電気配線49によって、IC18と電気的に接続されている。IC18は、ユーザの操作によって入力された印字信号に基づき、電気配線49を介して電極48に駆動パルス電圧を印加する。電極48に電圧が印加されると、支柱47は、シェアモード変形を行って湾曲するように離反する。そして、支柱47が初期位置に復帰すると第1の溝部42および第2の溝部45内の圧力が高まり、第1のノズル34および第2のノズル35からインク滴が勢い良く吐出される。
【0031】
図5は、第1のノズル34および第2のノズル35の配置を説明するための平面図である。図5において、第1のノズル34は、対応する第1の溝部42の上に二点鎖線で示される。第2のノズル35は、対応する第2の溝部45の上に二点鎖線で示される。さらに、第1のノズル34および第2のノズル35は、仮想的に図5の下部にも並んで示される。第1の溝部42の上に示される第1のノズル34と、図5の下部に示される第1のノズル34との対応関係は、一点鎖線で示される。同様に、第2の溝部45の上に示される第2のノズル35と、図5の下部に示される第2のノズル35との対応関係は、一点鎖線で示される。
【0032】
なお、図5ないし図7および以下の記載において、便宜上、複数の第1のノズル34は、端から順に一つずつ設けられた第1のノズル34a,34b,34c,34d,34e,34f,34g,34h,34i,34j,34kおよび複数の第1のノズル34Xに分けて記載し、符号を付す。さらに、第2のノズル35は、端から順に一つずつ設けられた第2のノズル35e,35f,35g,35h,35i,35j,35k,35lおよび複数の第2のノズル35Xに分けて記載し、符号を付す。第1の溝部42は、端から順に一つずつ設けられた第1の溝部42a,42b,42c,42d,42e,42f,42g,42h,42i,42j,42k,42lおよび複数の第1の溝部42Xに分けて記載し、符号を付す。第2の溝部45は、端から順に一つずつ設けられた第2の溝部45e,45f,45g,45h,45i,45j,45k,45lおよび複数の第2の溝部45Xに分けて記載し、符号を付す。なお、必要に応じて第1のノズル34、第2のノズル35、第1の溝部42、および第2の溝部45のように、上述の通りまとめて記載する。
【0033】
図5に示すように、第1のノズル列31に含まれる複数の第1のノズル34と、第2のノズル列32に含まれる複数の第2のノズル35とは、一つの仮想ノズル列50を形成する。仮想ノズル列50は、図5の矢印Aで示す第1のノズル列31が延びる方向において、仮想的に一列に並んだ第1のノズル34と第2のノズル35とによって形成される。なお、図5は便宜上、仮想ノズル列50を蛇行させて表わしている。
【0034】
仮想ノズル列50は、第1のノズル列31および第2のノズル列32が延びる方向と平行に延びる。仮想ノズル列50において、第1のノズル34と第2のノズル35とは、互い違いに配置される。仮想ノズル列50において、第1のノズル34と第2のノズル35との間の距離は、0.5ピッチである。
【0035】
さらに、仮想ノズル列50において、一つの第1のノズル34は、当該第1のノズル34と隣接する第2のノズル35が対応した第2の溝部45と同一直線上に位置する第1の溝部42から、5ピッチ分ずれた第1の溝部42に対応している。具体的に説明すると、第1のノズル34aは、第1の溝部42aに対応している。第1のノズル34aは、第2のノズル35fと隣接している。第2のノズル35fは、第2の溝部45fと対応している。第2の溝部45fは、第1の溝部42fと同一直線上に位置している。第1の溝部42fは、第1の溝部42aから5ピッチ分ずれている。
【0036】
言い換えると、仮想ノズル列50において、一つの第1の溝部42に対応した第1のノズル34と、当該第1の溝部42と同一直線上に設けられた第2の溝部45に対応した第2のノズル35とは、少なくとも一つの他の第1のノズル34と少なくとも一つの他の第2のノズル35とを間に挟んで配置される。具体的に説明すると、図5に示すように、第1の溝部42eは、第1のノズル34eに対応している。第2の溝部45eは、第2のノズル35eに対応している。第1のノズル34eと、第2のノズル35eとの間に、複数の第1のノズル34a,34b,34c,34dおよび複数の第2のノズル35f,35g,35h,35iが存している。第2の溝部45eは、第1の溝部42eと同一直線上に設けられている。
【0037】
別の見方をすると、仮想ノズル列50において、一つの第1のノズル34に対応する第1の溝部42は、当該第1のノズル34と隣り合う第2のノズル35に対応する第2の溝部45と同一直線上に位置する第1の溝部42とは異なっている。具体的に説明すると、第1のノズル34eは、第1の溝部42eに対応している。第1のノズル34eと隣り合う第2のノズル35i,35jは、第2の溝部45i,45jにそれぞれ対応している。この第2の溝部45i,45jと同一直線上に位置する第1の溝部42i,42jは、上記の第1の溝部42eとは異なっている。
【0038】
以上説明した第1のノズル34、第2のノズル35、第1の溝部42、および第2の溝部45の位置関係は、具体的に説明した以外の第1のノズル34、第2のノズル35、第1の溝部42、および第2の溝部45についても当てはまる。
【0039】
以下に、前記構成のインクジェットヘッド10の製造方法について説明する。まず、焼成前のセラミックスシート(セラミックスグリーンシート)で構成される基板13に、プレス成形によって供給口23と第1および第2の排出口24,25を形成する。続いて、基板13を焼成する。
【0040】
次に、基板13に対して第1の圧電部材14と第2の圧電部材15とを接着する。このとき、第1の圧電部材14および第2の圧電部材15は、治具によって互いの距離が一定に維持される。これら第1の圧電部材14および第2の圧電部材15は、当該治具を介して基板13に位置決めされ、基板13に接着される。続いて、基板13に接着された第1の圧電部材14および第2の圧電部材15のそれぞれの角部に、いわゆるテーパ加工を行う。これによって、第1の圧電部材14および第2の圧電部材15のそれぞれの断面は、図2に示すような台形状になる。
【0041】
次に、第1の圧電部材14および第2の圧電部材15に、第1の溝列41および第2の溝列44を形成する。図6は、加工の初期段階における第1の圧電部材14および第2の圧電部材15を示す平面図である。図7は、加工の終期段階における第1の圧電部材14および第2の圧電部材15を示す平面図である。以下に、第1の溝列41および第2の溝列44を形成する工程について具体的に説明する。
【0042】
第1の溝部42および第2の溝部45は、例えば、ICウェハーの切断等に用いられているダイシングソーのマルチカッター55によって形成される。図6に示すように、マルチカッター55は、2つのダイヤモンドホイール56a,56bと、複数の他のダイヤモンドホイールとを含んでいる。ダイヤモンドホイール56a,56bは、複数の刃物の一例であり、互いに独立している。
【0043】
ダイヤモンドホイール56a,56bは、それぞれ平行に配置されている。ダイヤモンドホイール56a,56bは、互いに離れて配置されている。2つのダイヤモンドホイール56a,56bは、一度の直線移動で、例えば6ピッチ分離れた2つの第1の溝部42および2つの第2の溝部45を一括して形成できる。マルチカッター55に含まれる他のダイヤモンドホイールも、同じ距離だけ互いに離れている。
【0044】
まず、マルチカッター55を第1の圧電部材14と交差する方向に直線移動させ、ダイヤモンドホイールによって第1の溝部42a,42b,42c,42dを形成する。これにより、第1の圧電部材14は、図6に示す状態になる。
【0045】
続いて、隣接する第1の圧電部材14および第2の圧電部材15を斜めに横断するようにマルチカッター55を直線移動させ、ダイヤモンドホイール56aによって第1の溝部42eおよび第2の溝部45eを形成するとともに、ダイヤモンドホイール56bによって第1の溝部42kおよび第2の溝部45kを形成する。一方の第1の溝部42eと、他方の第1の溝部42kとの間は、6ピッチ分離れている。一方の第2の溝部45eと、他方の第2の溝部45kとの間も、6ピッチ分離れている。なお、それぞれ6ピッチ間隔で設けられる複数の第1の溝部42Xおよび複数の第2の溝部45Xも、マルチカッター55の他のダイヤモンドホイールによって形成される。すなわち、複数の第1の溝部42e,42k,42Xと、複数の第2の溝部45e,45k,45Xとが、一括して形成される。
【0046】
続いて、マルチカッター55を5回直線移動させ、ダイヤモンドホイール56aによって、第1の溝部42f,42g,42h,42iおよび第2の溝部45f,45g,45h,45iを順に形成する。同時に、ダイヤモンドホイール56bによって、第1の溝部42l,42Xおよび第2の溝部45l,45Xを順に形成する。なお、複数の第1の溝部42Xおよび複数の第2の溝部45Xも、マルチカッター55の他のダイヤモンドホイールによって、6ピッチ間隔で順に形成される。これにより、第1の圧電部材14および第2の圧電部材15は、図7に示す状態になる。
【0047】
続いて、マルチカッター55を直線移動させ、ダイヤモンドホイール56aによって第1の溝部42jおよび第2の溝部45jを形成するとともに、ダイヤモンドホイール56bによって一つの第1の溝部42Xおよび一つの第2の溝部45Xを形成する。なお、残りの第1の溝部42Xおよび第2の溝部45Xも、マルチカッター55の他のダイヤモンドホイールによってそれぞれ形成される。これにより、第1の圧電部材14および第2の圧電部材15が図4に示す状態になり、第1の溝列41および第2の溝列44が形成される。
【0048】
次に、第1の溝部42および第2の溝部45のそれぞれの内面に、電極48を形成する。さらに、基板13の取付面21に電気配線49を形成する。電極48および電気配線49は、無電解メッキによって形成された例えばニッケル薄膜で構成されている。
【0049】
次に、レーザ照射によりパターニングを行い、電極48および電気配線49以外の部位からニッケル薄膜を除去する。次に、基板13に枠部材16を接着する。次に、枠部材16にノズルプレート17を接着する。次に、このノズルプレート17にレーザを照射して複数の第1のノズル34および複数の第2のノズル35を形成する。次に、電気配線49に接続するように、IC18を基板13の取付面21に固定して、インクジェットヘッド10の製造工程が終了する。
【0050】
以上のように第1の溝列41および第2の溝列44が形成されると、複数の第1の溝部42と複数の第2の溝部45との配置は、下記のようになる。図5および図6に示すように、仮想ノズル列50中において、第1のノズル34fは、第2のノズル35kと隣接している。第1のノズル34fは、第1の溝部42fに対応している。第2のノズル35kは、第2の溝部45kと対応している。第1の溝部42fは、一つのダイヤモンドホイール56aによって加工されている。第2の溝部45kは、他のダイヤモンドホイール56bによって加工されている。言い換えると、本実施形態では、仮想ノズル列50中において、一つの第1のノズル34fに対応した一つの第1の溝部42fと、当該第1のノズル34fと隣接した他の一つの第2のノズル35kに対応した他の一つの第2の溝部45kとは、互いに独立したダイヤモンドホイール56a,56bによってそれぞれ加工されている。このため、仮想ノズル列で隣接するノズルに対応する溝部を全て同一のダイヤモンドホイールで加工した場合に比して、ダイヤモンドホイールの劣化による影響を最小限にすることができる。
【0051】
さらに、第1の溝列41は、第1の溝群61と、第2の溝群62とを含んでいる。第1の溝群61は、一つの溝群の一例である。第2の溝群62は、他の溝群の一例である。第1の溝群61は、ダイヤモンドホイール56aによって加工された複数の第1の溝部42e,42f,42g,42h,42i,42jを含んでいる。第2の溝群62は、ダイヤモンドホイール56bおよびマルチカッター55の他のダイヤモンドホイールによって加工された複数の第1の溝部42a,42b,42c,42d,42k,42l,42Xを含んでいる。
【0052】
第2の溝列44は、第3の溝群63と、第4の溝群64とを含んでいる。第3の溝群63は、一つの溝群の一例である。第4の溝群64は、他の溝群の一例である。第3の溝群63は、ダイヤモンドホイール56aによって加工された複数の第2の溝部45e,45f,45g,45h,45i,45jを含んでいる。第4の溝群64は、ダイヤモンドホイール56bおよびマルチカッター55の他のダイヤモンドホイールによって加工された複数の第2の溝部45k,45l,45Xを含んでいる。
【0053】
仮想ノズル列50は、第1のノズル群66と、第2のノズル群67と、第3のノズル群68を含んでいる。第1のノズル群66は、一つのノズル群の一例である。第2のノズル群67は、他のノズル群の一例である。第3のノズル群68も、他のノズル群の一例である。
【0054】
第1のノズル群66は、第1の溝群61および第3の溝群63に対応している。第1のノズル群66は、複数の第1のノズル34e,34f,34g,34h,34i,34jおよび複数の第2のノズル35e,35f,35g,35h,35i,35jを含んでいる。
【0055】
第2のノズル群67は、第2の溝群62に対応している。第2のノズル群67は、複数の第1のノズル34a,34b,34c,34dを含んでいる。第3のノズル群68は、第2の溝群62および第4の溝群64に対応している。第3のノズル群68は、複数の第1のノズル34k,34l,34Xおよび複数の第2のノズル35k,35l,35Xを含んでいる。
【0056】
図5に示すように、第1のノズル群66の一方の端部にある5つの第2のノズル35e,35f,35g,35h,35iは、第2のノズル群67の4つの第1のノズル34a,34b,34c,34dと交互に配置されている。第1のノズル群66の他方の端部にある5つの第1のノズル34f,34g,34h,34i,34jは、第3のノズル群68の端部にある5つの第2のノズル35k,35l,35Xと交互に配置されている。
【0057】
前記構成のインクジェットヘッド10によれば、ダイヤモンドホイール56a,56bおよびマルチカッター55の他のダイヤモンドホイールの切削加工における特性がそれぞれ異なっていたとしても、印刷時の濃度ムラを目立ち難くすることができる。
【0058】
仮に、ダイヤモンドホイール56aが設計上の寸法よりも太く溝部を形成し、ダイヤモンドホイール56bが設計上の寸法よりも細く溝部を形成したとする。ダイヤモンドホイール56aが形成した第1の溝群61および第2の溝群62は、対応する第1のノズル群66から所定の量よりも多いインクを吐出する。このため、第1のノズル群66によって印刷される部分は、印刷が濃くなる。
【0059】
ダイヤモンドホイール56bが形成した第2の溝群62および第4の溝群64は、対応する第3のノズル群68から所定の量よりも少ないインクを吐出する。このため、第3のノズル群68によって印刷される部分は、印刷が薄くなる。
【0060】
第1のノズル群66と第3のノズル群68との境界部分において、第1のノズル群66の端部にある5つの第1のノズル34f,34g,34h,34i,34jと、第3のノズル群68の端部にある5つの第2のノズル35k,35l,35Xとが、交互に配置されている。このため、第1のノズル群66と第3のノズル群68との境界部分によって印刷される部分は、印刷が濃くなる部分と印刷が薄くなる部分とが交互に存し、中間の濃さに見える。
【0061】
以上のように、第1のノズル群66によって濃く印刷される部分と、第3のノズル群68によって薄く印刷される部分との間に、第1のノズル群66と第3のノズル群68との境界部分によって中間の濃さに印刷される部分が介在する。これにより、個々のダイヤモンドホイールの特性差による印刷時の濃度ムラを目立ち難くすることができる。
【0062】
さらに、マルチカッター55の各ダイヤモンドホイールは、切削時の磨耗によってそれぞれ劣化する。これにより、切削加工を行なうに従って、個々のダイヤモンドホイールの間に特性差が生じる。前記構成のインクジェットヘッド10によれば、このような劣化による個々のダイヤモンドホイールの特性差が生じたとしても、印刷時の濃度ムラを目立ち難くすることができる。
【0063】
次に、第2の実施の形態について、図8ないし図12を参照して説明する。なお、第1の実施形態のインクジェットヘッド10と同一の機能を有する構成部分には同一の参照符号を付してその説明を省略する。
【0064】
図8は、加工途中における第2の実施形態のインクジェットヘッド10Aの第1の圧電部材14および第2の圧電部材15を示す平面図である。第2の実施形態のインクジェットヘッド10Aにおいて、第1の圧電部材14が延びる方向と、第1の溝部42が延びる方向との間の傾きθ2は、例えば77°である。
【0065】
第1の溝部42の個数は、例えば約150個である。第2の溝部45の個数も、例えば約150個である。第1の溝部42に対応する第1のノズル34の個数は、例えば約150個である。第2の溝部45に対応する第2のノズル35の個数も、例えば約150個である。このため、仮想ノズル列50は、約300個のノズルによって形成される。
【0066】
第1の溝部42および第2の溝部45は、例えば、マルチカッター55によって形成される。マルチカッター55は、11個のダイヤモンドホイールを含んでいる。マルチカッター55に含まれる2つのダイヤモンドホイール56a,56bは、一度の直線移動で、例えば15ピッチ分離れた2つの第1の溝部42および2つの第2の溝部45を一括して形成できる。マルチカッター55に含まれる他のダイヤモンドホイールも、同じ距離だけ互いに離れている。
【0067】
第1のノズル群66と第3のノズル群68との境界部分において、第1のノズル群66の端部にある複数の第1のノズル34と、第3のノズル群68の端部にある複数の第2のノズル35とが、交互に配置されている。このため、第1のノズル群66と第3のノズル群68との境界部分によって印刷される部分は、印刷の濃さが異なる部分が交互に存し、中間の濃さに見える。
【0068】
このため、第1のノズル群66によって印刷される部分と、第3のノズル群68によって印刷される部分との間に、第1のノズル群66と第3のノズル群68との境界部分によって中間の濃さに印刷される部分が介在する。これにより、個々のダイヤモンドホイールの特性差による印刷時の濃度ムラが目立ち難くなる。
【0069】
以下に、一般例を参照しつつ、前記構成のインクジェットヘッド10Aの印刷特性について具体的に例示する。
【表1】
【0070】
表1は、マルチカッター55に含まれる個々のダイヤモンドホイールの特性の一例を示している。表1中の「ダイヤモンドホイールNo.」は、平行に配置された個々のダイヤモンドホイールの番号を示している。「切削する溝部個数」は、個々のダイヤモンドホイールがそれぞれ切削加工する第1の溝部42と第2の溝部45との合計を示している。「設計寸法との差」は、個々のダイヤモンドホイールが形成した第1の溝部42および第2の溝部45の幅寸法と、設計上の第1の溝部42および第2の溝部45の幅寸法との差を示している。「溝下部」は、第1の溝部42および第2の溝部45の底部近辺における設計寸法との差を示している。「溝上部」は、支柱47の先端近辺における第1の溝部42および第2の溝部45の設計寸法との差を示している。
【0071】
図9は、前記構成のインクジェットヘッド10Aによる印刷結果の一例を示すグラフである。図9において、横軸は、仮想ノズル列50において並んで配置された第1のノズル34および第2のノズル35の番号を示している。縦軸は、上記のように加工されたインクジェットヘッド10Aの各ノズルによる印刷の濃さと、設計上の各ノズルによる印刷の濃さとの差を示している。なお、印刷の濃さは、各ノズルによって印刷されるドットの大きさに応じて変化する。
【0072】
一方、図10は、一般的なインクジェットヘッドによる印刷結果の一例を示すグラフである。この一般的なインクジェットヘッドは、一つのノズル群と他のノズル群とが明確に区切られている点で、前記構成のインクジェットヘッド10Aと異なる。このため、一つのノズル群によって印刷される部分と、他のノズル群によって印刷される部分との間に、一つのノズル群と他のノズル群との境界部分によって中間の濃さに印刷される部分が存しない。
【0073】
図9に示すように、前記構成のインクジェットヘッド10Aの各ノズルによる印刷の濃さの変化は、図10に示す一般的なインクジェットヘッドの各ノズルによる印刷の濃さの変化よりも緩やかである。言い換えれば、前記構成のインクジェットヘッド10Aは、仮想ノズル列50における一つのノズルと、この一つのノズルと隣接する他のノズルと、の間の印刷の濃さの急峻な変化を抑制する。これにより、個々のダイヤモンドホイールの特性差による印刷時の濃度ムラを目立ち難くすることができる。
【0074】
一方で、マルチカッター55の各ダイヤモンドホイールは、切削時の磨耗によってそれぞれ劣化する。これにより、切削加工を行なうに従って、個々のダイヤモンドホイールの間に特性差が生じる。
【0075】
図11は、前記構成のインクジェットヘッド10Aによる印刷特性の変化の一例を概略的に示すグラフである。図11において、横軸は、仮想ノズル列50において並んで配置された第1のノズル34および第2のノズル35の番号を示している。縦軸は、上記のように加工されたインクジェットヘッド10Aの各ノズルによる印刷の濃さを示している。
【0076】
一方、図12は、上記の一般的なインクジェットヘッドによる印刷特性の変化の一例を概略的に示すグラフである。なお、図12の横軸において、一つのノズル群ごとに補助目盛線を示す。図12に示すように、一般的なインクジェットヘッドによれば、各ノズル群において、ノズルの番号が増加するにしたがって印刷の濃さがそれぞれ薄くなる。このため、一つのノズル群によって印刷した部分と、他のノズル群によって印刷した部分との間の濃度の変化が急峻になる。
【0077】
これに対し、前記構成のインクジェットヘッド10Aによれば、図11のように濃度の変化が小さく抑えられる。このように、劣化による個々のダイヤモンドホイールの特性差が生じたとしても、印刷時の濃度ムラを目立ち難くすることができる。
【0078】
上記第1および第2の実施形態において、マルチカッター55を用いて製造されたインクジェットヘッド10,10Aについて説明した。しかし、マルチカッターの代わりに単一の刃を用いて製造されたインクジェットヘッドにおいても、刃の劣化によって生じる印刷時の濃度ムラを目立ち難くすることができる。
【0079】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0080】
10,10A…インクジェットヘッド,13…基板,14…第1の圧電部材,15…第2の圧電部材,17…ノズルプレート,31…第1のノズル列,32…第2のノズル列,34…第1のノズル,35…第2のノズル,42…第1の溝部,45…第2の溝部,50…仮想ノズル列,61…第1の溝群,62…第2の溝群,63…第3の溝群,64…第4の溝群,66…第1のノズル群,67…第2のノズル群,68…第3のノズル群。
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、インクジェットヘッドおよびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェットプリンタに、ヘッド内の流路でインクが循環するインクジェットヘッドが用いられることがある。この種のインクジェットヘッドには、インクを供給するための供給口と、インクを排出するための排出口とが設けられる。インクジェットヘッドは、供給口と排出口との間に配置された複数の圧電素子を有している。
【0003】
供給口から供給されたインクは、圧電素子によってインクジェットヘッドのノズルから吐出される。ノズルは、圧電素子と対向する位置に設けられる。余ったインクは、排出口からインクタンクに回収される。
【0004】
圧電素子は、例えば、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)によって形成されている。圧電素子は、切削形成された複数の溝部と複数の支柱とを有している。支柱に電圧が印加されることによって、溝部内の圧力が変化する。これにより、溝部内のインクがノズルから吐出される。
【0005】
複数の圧力素子は、例えば棒状に形成され、互いに平行に並んで配置される。圧力素子の圧力室は、例えばダイシングソーによって形成される。ダイシングソーのダイヤモンドホイールは、複数の圧力素子を横切るように移動する。これにより、一度に複数の圧力素子に溝部が形成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−160822号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記のダイヤモンドホイールは、加工中に磨耗等の劣化が生じる。磨耗したダイヤモンドホイールで切削を行なうと、溝部が狭くなるとともに、支柱が厚く形成される。支柱が厚く形成されると、電圧を印加した際の支柱の変形量が減少し、吐出されるインクの量も減少する。このように、加工中に切削工具の劣化が生じることにより、例えば印字時の濃度ムラが生じるおそれがある。
【0008】
本発明の目的は、濃度ムラを目立ち難くできるインクジェットヘッドおよびその製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
一つの実施形態に係るインクジェットヘッドによれば、
基板と、前記基板に対向したノズルプレートと、複数の圧電部材と、インク吐出駆動用の多数の溝部とを具備している。前記ノズルプレートに、複数のノズルをそれぞれ含んだノズル列が複数設けられる。一つの前記ノズル列に含まれる前記複数のノズルと、他の前記ノズル列に含まれる前記複数のノズルと、によって、前記各ノズル列が延びる方向と平行になった一つの仮想ノズル列を形成するように、前記一つのノズル列に含まれる前記複数のノズルと、前記他のノズル列に含まれる前記複数のノズルと、が互い違いになる。前記圧電部材は、前記複数のノズル列にそれぞれ対向するように設けられる。前記溝部は、前記複数の圧電部材にそれぞれ設けられ、前記複数のノズルにそれぞれ対応し、且つ前記複数のノズルからインクを吐出できるように複数の刃物で加工される。前記仮想ノズル列中の一つの前記ノズルに対応した一つの前記溝部と、前記仮想ノズル列中の前記一つのノズルと隣接した他の一つの前記ノズルに対応した他の一つの前記溝部と、は、互いに独立した前記刃物で加工される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】第1の実施形態に係るインクジェットヘッドを一部切り欠いて示す斜視図。
【図2】第1の実施形態のインクジェットヘッドを図1のF2−F2線に沿って示す断面図。
【図3】第1の実施形態のインクジェットヘッドを一部切り欠いて示す平面図。
【図4】第1の実施形態の基板と第1および第2の圧電部材とを示す斜視図。
【図5】第1の実施形態の第1のノズルおよび第2のノズルの配置を説明するための平面図。
【図6】第1の実施形態の第1および第2の圧電部材の加工の初期段階を示す平面図。
【図7】第1の実施形態の第1および第2の圧電部材の加工の終期段階を示す平面図。
【図8】第2の実施形態に係る加工途中のインクジェットヘッドを示す平面図。
【図9】第2の実施形態のインクジェットヘッドによる印刷結果の一例を示すグラフ。
【図10】一般的なインクジェットヘッドによる印刷結果の一例を示すグラフ。
【図11】第2の実施形態のインクジェットヘッドによる印刷特性の変化の一例を示すグラフ。
【図12】一般的なインクジェットヘッドによる印刷特性の変化の一例を示すグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、第1の実施の形態について、図1ないし図7を参照して説明する。図1は、第1の実施形態のインクジェットヘッド10を一部切り欠いて示す斜視図である。図2は、図1のF2−F2線に沿って示すインクジェットヘッド10の断面図である。
【0012】
図1に示すように、インクジェットヘッド10は、基板13と、第1の圧電部材14と、第2の圧電部材15と、枠部材16と、ノズルプレート17とを備えている。さらに、図2に示すように、インクジェットヘッド10は、第1の圧電部材14および第2の圧電部材15をそれぞれ駆動するためのIC18を備えている。
【0013】
基板13は、例えばアルミナなどのセラミックスによって、矩形状に形成されている。基板13は、平坦な取付面21と、図2に示す固定面22とを有している。固定面22は、取付面21の反対方向に位置する。固定面22は、例えばインクジェットプリンタに設けられたマニホールドに取り付けられる。基板13に、複数の供給口23と、複数の第1の排出口24と、複数の第2の排出口25とが設けられている。
【0014】
複数の供給口23は、基板13の幅方向における中央部に設けられている。複数の供給口23は、基板13の長手方向に並んで配置されている。
【0015】
供給口23は、インクジェットヘッド10がマニホールドに取り付けられると、インクタンクに連結される。インクタンクのインクは、供給口23からインクジェットヘッド10に供給される。
【0016】
複数の第1の排出口24は、基板13の一方の側縁13aに沿って設けられている。複数の第1の排出口24は、基板13の長手方向に並んで配置されている。複数の第2の排出口25は、基板13の他方の側縁13bに沿って設けられている。複数の第2の排出口25は、基板13の長手方向に並んで配置されている。第1の排出口24と第2の排出口25とは、供給口23を間に挟んでいる。
【0017】
第1の排出口24および第2の排出口25は、インクジェットヘッド10がマニホールドに取り付けられると、インクタンクに連結される。インクジェットヘッド10内のインクは、第1の排出口24および第2の排出口25からインクタンクに戻される。
【0018】
枠部材16は、例えば接着によって、取付面21に隙間無く取り付けられている。枠部材16は、第1の圧電部材14、第2の圧電部材15、供給口23、第1の排出口24、および第2の排出口25を囲んでいる。
【0019】
ノズルプレート17は、ポリイミド製の矩形のフィルムによって形成されている。ノズルプレート17は、例えば接着によって、枠部材16に隙間無く取り付けられている。ノズルプレート17は、基板13の取付面21に対向している。
【0020】
ノズルプレート17に、第1のノズル列31と、第2のノズル列32とが設けられている。第1のノズル列31は、複数の第1のノズル34を含んでいる。複数の第1のノズル34は、一列に並んで配置されて第1のノズル列31を形成する。隣り合う第1のノズル34の間の距離は、例えば0.169mmである。これ以後、隣り合う第1のノズル34の間の距離を1ピッチと称する。
【0021】
第2のノズル列32は、複数の第2のノズル35を含んでいる。複数の第2のノズル35は、一列に並んで配置されて第2のノズル列32を形成する。隣り合う第2のノズル35の間の距離は、1ピッチである。第1のノズル列31および第2のノズル列32は、互いに平行に配置され、ノズルプレート17の長手方向に向かって延びている。
【0022】
第1の圧電部材14は、基板13の取付面21に取り付けられ、基板13の長手方向に向かって延びている。第1の圧電部材14は、供給口23と第1の排出口24との間に配置されている。第1の圧電部材14は、第1のノズル列31に対向している。
【0023】
第2の圧電部材15は、第1の圧電部材14と平行に取付面21に取り付けられている。第2の圧電部材15は、供給口23と第2の排出口25との間に配置されている。第2の圧電部材15は、第2のノズル列32に対向している。第1の圧電部材14と第2の圧電部材15との間の距離は、例えば5mmである。
【0024】
第1の圧電部材14および第2の圧電部材15は、例えば、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)製の2枚の圧電板を互いの分極方向を対向させるように張り合わせてそれぞれ形成されている。図2に示すように、第1の圧電部材14および第2の圧電部材15は、台形状の断面を有する棒状にそれぞれ形成されている。
【0025】
図3は、インクジェットヘッド10を一部切り欠いて示す平面図である。図4は、基板13、第1の圧電部材14、および第2の圧電部材15を示す斜視図である。図4に示すように、第1の圧電部材14に第1の溝列41が設けられている。第1の溝列41は、インク吐出用の多数の第1の溝部42を含んでいる。図2に示すように、第1の溝部42は、第1のノズル34にそれぞれ対応した位置に形成されている。
【0026】
図3に示すように、第1の溝部42は、第1の圧電部材14が延びる方向に並んで設けられている。第1の溝部42は、それぞれ第1の圧電部材14が延びる方向に対して斜めに延びている。隣り合う第1の溝部42の間の距離は、1ピッチである。第1の圧電部材14が延びる方向と、第1の溝部42が延びる方向との間の傾きθ1は、例えば81°である。
【0027】
第2の圧電部材15に第2の溝列44が設けられている。第2の溝列44は、インク吐出用の多数の第2の溝部45を含んでいる。図2に示すように、第2の溝部45は、第2のノズル35にそれぞれ対応した位置に形成されている。
【0028】
図3に示すように、第2の溝部45は、第2の圧電部材15が延びる方向に並んで設けられている。第2の溝部45は、それぞれ第1の溝部42と同じ方向に向かって延びている。一つの第2の溝部45は、対応する一つの第1の溝部42と同一直線上に設けられている。
【0029】
図2に示すように、第1の圧電部材14および第2の圧電部材15は、複数の支柱47と、複数の電極48とをそれぞれ有している。図4に示すように、支柱47は、第1の溝部42および第2の溝部45のそれぞれの両側部に設けられ、駆動素子として機能する。電極48は、支柱47の側面および第1の溝部42および第2の溝部45の底部に形成される。
【0030】
図2に示すように、電極48は、取付面21に設けられた電気配線49によって、IC18と電気的に接続されている。IC18は、ユーザの操作によって入力された印字信号に基づき、電気配線49を介して電極48に駆動パルス電圧を印加する。電極48に電圧が印加されると、支柱47は、シェアモード変形を行って湾曲するように離反する。そして、支柱47が初期位置に復帰すると第1の溝部42および第2の溝部45内の圧力が高まり、第1のノズル34および第2のノズル35からインク滴が勢い良く吐出される。
【0031】
図5は、第1のノズル34および第2のノズル35の配置を説明するための平面図である。図5において、第1のノズル34は、対応する第1の溝部42の上に二点鎖線で示される。第2のノズル35は、対応する第2の溝部45の上に二点鎖線で示される。さらに、第1のノズル34および第2のノズル35は、仮想的に図5の下部にも並んで示される。第1の溝部42の上に示される第1のノズル34と、図5の下部に示される第1のノズル34との対応関係は、一点鎖線で示される。同様に、第2の溝部45の上に示される第2のノズル35と、図5の下部に示される第2のノズル35との対応関係は、一点鎖線で示される。
【0032】
なお、図5ないし図7および以下の記載において、便宜上、複数の第1のノズル34は、端から順に一つずつ設けられた第1のノズル34a,34b,34c,34d,34e,34f,34g,34h,34i,34j,34kおよび複数の第1のノズル34Xに分けて記載し、符号を付す。さらに、第2のノズル35は、端から順に一つずつ設けられた第2のノズル35e,35f,35g,35h,35i,35j,35k,35lおよび複数の第2のノズル35Xに分けて記載し、符号を付す。第1の溝部42は、端から順に一つずつ設けられた第1の溝部42a,42b,42c,42d,42e,42f,42g,42h,42i,42j,42k,42lおよび複数の第1の溝部42Xに分けて記載し、符号を付す。第2の溝部45は、端から順に一つずつ設けられた第2の溝部45e,45f,45g,45h,45i,45j,45k,45lおよび複数の第2の溝部45Xに分けて記載し、符号を付す。なお、必要に応じて第1のノズル34、第2のノズル35、第1の溝部42、および第2の溝部45のように、上述の通りまとめて記載する。
【0033】
図5に示すように、第1のノズル列31に含まれる複数の第1のノズル34と、第2のノズル列32に含まれる複数の第2のノズル35とは、一つの仮想ノズル列50を形成する。仮想ノズル列50は、図5の矢印Aで示す第1のノズル列31が延びる方向において、仮想的に一列に並んだ第1のノズル34と第2のノズル35とによって形成される。なお、図5は便宜上、仮想ノズル列50を蛇行させて表わしている。
【0034】
仮想ノズル列50は、第1のノズル列31および第2のノズル列32が延びる方向と平行に延びる。仮想ノズル列50において、第1のノズル34と第2のノズル35とは、互い違いに配置される。仮想ノズル列50において、第1のノズル34と第2のノズル35との間の距離は、0.5ピッチである。
【0035】
さらに、仮想ノズル列50において、一つの第1のノズル34は、当該第1のノズル34と隣接する第2のノズル35が対応した第2の溝部45と同一直線上に位置する第1の溝部42から、5ピッチ分ずれた第1の溝部42に対応している。具体的に説明すると、第1のノズル34aは、第1の溝部42aに対応している。第1のノズル34aは、第2のノズル35fと隣接している。第2のノズル35fは、第2の溝部45fと対応している。第2の溝部45fは、第1の溝部42fと同一直線上に位置している。第1の溝部42fは、第1の溝部42aから5ピッチ分ずれている。
【0036】
言い換えると、仮想ノズル列50において、一つの第1の溝部42に対応した第1のノズル34と、当該第1の溝部42と同一直線上に設けられた第2の溝部45に対応した第2のノズル35とは、少なくとも一つの他の第1のノズル34と少なくとも一つの他の第2のノズル35とを間に挟んで配置される。具体的に説明すると、図5に示すように、第1の溝部42eは、第1のノズル34eに対応している。第2の溝部45eは、第2のノズル35eに対応している。第1のノズル34eと、第2のノズル35eとの間に、複数の第1のノズル34a,34b,34c,34dおよび複数の第2のノズル35f,35g,35h,35iが存している。第2の溝部45eは、第1の溝部42eと同一直線上に設けられている。
【0037】
別の見方をすると、仮想ノズル列50において、一つの第1のノズル34に対応する第1の溝部42は、当該第1のノズル34と隣り合う第2のノズル35に対応する第2の溝部45と同一直線上に位置する第1の溝部42とは異なっている。具体的に説明すると、第1のノズル34eは、第1の溝部42eに対応している。第1のノズル34eと隣り合う第2のノズル35i,35jは、第2の溝部45i,45jにそれぞれ対応している。この第2の溝部45i,45jと同一直線上に位置する第1の溝部42i,42jは、上記の第1の溝部42eとは異なっている。
【0038】
以上説明した第1のノズル34、第2のノズル35、第1の溝部42、および第2の溝部45の位置関係は、具体的に説明した以外の第1のノズル34、第2のノズル35、第1の溝部42、および第2の溝部45についても当てはまる。
【0039】
以下に、前記構成のインクジェットヘッド10の製造方法について説明する。まず、焼成前のセラミックスシート(セラミックスグリーンシート)で構成される基板13に、プレス成形によって供給口23と第1および第2の排出口24,25を形成する。続いて、基板13を焼成する。
【0040】
次に、基板13に対して第1の圧電部材14と第2の圧電部材15とを接着する。このとき、第1の圧電部材14および第2の圧電部材15は、治具によって互いの距離が一定に維持される。これら第1の圧電部材14および第2の圧電部材15は、当該治具を介して基板13に位置決めされ、基板13に接着される。続いて、基板13に接着された第1の圧電部材14および第2の圧電部材15のそれぞれの角部に、いわゆるテーパ加工を行う。これによって、第1の圧電部材14および第2の圧電部材15のそれぞれの断面は、図2に示すような台形状になる。
【0041】
次に、第1の圧電部材14および第2の圧電部材15に、第1の溝列41および第2の溝列44を形成する。図6は、加工の初期段階における第1の圧電部材14および第2の圧電部材15を示す平面図である。図7は、加工の終期段階における第1の圧電部材14および第2の圧電部材15を示す平面図である。以下に、第1の溝列41および第2の溝列44を形成する工程について具体的に説明する。
【0042】
第1の溝部42および第2の溝部45は、例えば、ICウェハーの切断等に用いられているダイシングソーのマルチカッター55によって形成される。図6に示すように、マルチカッター55は、2つのダイヤモンドホイール56a,56bと、複数の他のダイヤモンドホイールとを含んでいる。ダイヤモンドホイール56a,56bは、複数の刃物の一例であり、互いに独立している。
【0043】
ダイヤモンドホイール56a,56bは、それぞれ平行に配置されている。ダイヤモンドホイール56a,56bは、互いに離れて配置されている。2つのダイヤモンドホイール56a,56bは、一度の直線移動で、例えば6ピッチ分離れた2つの第1の溝部42および2つの第2の溝部45を一括して形成できる。マルチカッター55に含まれる他のダイヤモンドホイールも、同じ距離だけ互いに離れている。
【0044】
まず、マルチカッター55を第1の圧電部材14と交差する方向に直線移動させ、ダイヤモンドホイールによって第1の溝部42a,42b,42c,42dを形成する。これにより、第1の圧電部材14は、図6に示す状態になる。
【0045】
続いて、隣接する第1の圧電部材14および第2の圧電部材15を斜めに横断するようにマルチカッター55を直線移動させ、ダイヤモンドホイール56aによって第1の溝部42eおよび第2の溝部45eを形成するとともに、ダイヤモンドホイール56bによって第1の溝部42kおよび第2の溝部45kを形成する。一方の第1の溝部42eと、他方の第1の溝部42kとの間は、6ピッチ分離れている。一方の第2の溝部45eと、他方の第2の溝部45kとの間も、6ピッチ分離れている。なお、それぞれ6ピッチ間隔で設けられる複数の第1の溝部42Xおよび複数の第2の溝部45Xも、マルチカッター55の他のダイヤモンドホイールによって形成される。すなわち、複数の第1の溝部42e,42k,42Xと、複数の第2の溝部45e,45k,45Xとが、一括して形成される。
【0046】
続いて、マルチカッター55を5回直線移動させ、ダイヤモンドホイール56aによって、第1の溝部42f,42g,42h,42iおよび第2の溝部45f,45g,45h,45iを順に形成する。同時に、ダイヤモンドホイール56bによって、第1の溝部42l,42Xおよび第2の溝部45l,45Xを順に形成する。なお、複数の第1の溝部42Xおよび複数の第2の溝部45Xも、マルチカッター55の他のダイヤモンドホイールによって、6ピッチ間隔で順に形成される。これにより、第1の圧電部材14および第2の圧電部材15は、図7に示す状態になる。
【0047】
続いて、マルチカッター55を直線移動させ、ダイヤモンドホイール56aによって第1の溝部42jおよび第2の溝部45jを形成するとともに、ダイヤモンドホイール56bによって一つの第1の溝部42Xおよび一つの第2の溝部45Xを形成する。なお、残りの第1の溝部42Xおよび第2の溝部45Xも、マルチカッター55の他のダイヤモンドホイールによってそれぞれ形成される。これにより、第1の圧電部材14および第2の圧電部材15が図4に示す状態になり、第1の溝列41および第2の溝列44が形成される。
【0048】
次に、第1の溝部42および第2の溝部45のそれぞれの内面に、電極48を形成する。さらに、基板13の取付面21に電気配線49を形成する。電極48および電気配線49は、無電解メッキによって形成された例えばニッケル薄膜で構成されている。
【0049】
次に、レーザ照射によりパターニングを行い、電極48および電気配線49以外の部位からニッケル薄膜を除去する。次に、基板13に枠部材16を接着する。次に、枠部材16にノズルプレート17を接着する。次に、このノズルプレート17にレーザを照射して複数の第1のノズル34および複数の第2のノズル35を形成する。次に、電気配線49に接続するように、IC18を基板13の取付面21に固定して、インクジェットヘッド10の製造工程が終了する。
【0050】
以上のように第1の溝列41および第2の溝列44が形成されると、複数の第1の溝部42と複数の第2の溝部45との配置は、下記のようになる。図5および図6に示すように、仮想ノズル列50中において、第1のノズル34fは、第2のノズル35kと隣接している。第1のノズル34fは、第1の溝部42fに対応している。第2のノズル35kは、第2の溝部45kと対応している。第1の溝部42fは、一つのダイヤモンドホイール56aによって加工されている。第2の溝部45kは、他のダイヤモンドホイール56bによって加工されている。言い換えると、本実施形態では、仮想ノズル列50中において、一つの第1のノズル34fに対応した一つの第1の溝部42fと、当該第1のノズル34fと隣接した他の一つの第2のノズル35kに対応した他の一つの第2の溝部45kとは、互いに独立したダイヤモンドホイール56a,56bによってそれぞれ加工されている。このため、仮想ノズル列で隣接するノズルに対応する溝部を全て同一のダイヤモンドホイールで加工した場合に比して、ダイヤモンドホイールの劣化による影響を最小限にすることができる。
【0051】
さらに、第1の溝列41は、第1の溝群61と、第2の溝群62とを含んでいる。第1の溝群61は、一つの溝群の一例である。第2の溝群62は、他の溝群の一例である。第1の溝群61は、ダイヤモンドホイール56aによって加工された複数の第1の溝部42e,42f,42g,42h,42i,42jを含んでいる。第2の溝群62は、ダイヤモンドホイール56bおよびマルチカッター55の他のダイヤモンドホイールによって加工された複数の第1の溝部42a,42b,42c,42d,42k,42l,42Xを含んでいる。
【0052】
第2の溝列44は、第3の溝群63と、第4の溝群64とを含んでいる。第3の溝群63は、一つの溝群の一例である。第4の溝群64は、他の溝群の一例である。第3の溝群63は、ダイヤモンドホイール56aによって加工された複数の第2の溝部45e,45f,45g,45h,45i,45jを含んでいる。第4の溝群64は、ダイヤモンドホイール56bおよびマルチカッター55の他のダイヤモンドホイールによって加工された複数の第2の溝部45k,45l,45Xを含んでいる。
【0053】
仮想ノズル列50は、第1のノズル群66と、第2のノズル群67と、第3のノズル群68を含んでいる。第1のノズル群66は、一つのノズル群の一例である。第2のノズル群67は、他のノズル群の一例である。第3のノズル群68も、他のノズル群の一例である。
【0054】
第1のノズル群66は、第1の溝群61および第3の溝群63に対応している。第1のノズル群66は、複数の第1のノズル34e,34f,34g,34h,34i,34jおよび複数の第2のノズル35e,35f,35g,35h,35i,35jを含んでいる。
【0055】
第2のノズル群67は、第2の溝群62に対応している。第2のノズル群67は、複数の第1のノズル34a,34b,34c,34dを含んでいる。第3のノズル群68は、第2の溝群62および第4の溝群64に対応している。第3のノズル群68は、複数の第1のノズル34k,34l,34Xおよび複数の第2のノズル35k,35l,35Xを含んでいる。
【0056】
図5に示すように、第1のノズル群66の一方の端部にある5つの第2のノズル35e,35f,35g,35h,35iは、第2のノズル群67の4つの第1のノズル34a,34b,34c,34dと交互に配置されている。第1のノズル群66の他方の端部にある5つの第1のノズル34f,34g,34h,34i,34jは、第3のノズル群68の端部にある5つの第2のノズル35k,35l,35Xと交互に配置されている。
【0057】
前記構成のインクジェットヘッド10によれば、ダイヤモンドホイール56a,56bおよびマルチカッター55の他のダイヤモンドホイールの切削加工における特性がそれぞれ異なっていたとしても、印刷時の濃度ムラを目立ち難くすることができる。
【0058】
仮に、ダイヤモンドホイール56aが設計上の寸法よりも太く溝部を形成し、ダイヤモンドホイール56bが設計上の寸法よりも細く溝部を形成したとする。ダイヤモンドホイール56aが形成した第1の溝群61および第2の溝群62は、対応する第1のノズル群66から所定の量よりも多いインクを吐出する。このため、第1のノズル群66によって印刷される部分は、印刷が濃くなる。
【0059】
ダイヤモンドホイール56bが形成した第2の溝群62および第4の溝群64は、対応する第3のノズル群68から所定の量よりも少ないインクを吐出する。このため、第3のノズル群68によって印刷される部分は、印刷が薄くなる。
【0060】
第1のノズル群66と第3のノズル群68との境界部分において、第1のノズル群66の端部にある5つの第1のノズル34f,34g,34h,34i,34jと、第3のノズル群68の端部にある5つの第2のノズル35k,35l,35Xとが、交互に配置されている。このため、第1のノズル群66と第3のノズル群68との境界部分によって印刷される部分は、印刷が濃くなる部分と印刷が薄くなる部分とが交互に存し、中間の濃さに見える。
【0061】
以上のように、第1のノズル群66によって濃く印刷される部分と、第3のノズル群68によって薄く印刷される部分との間に、第1のノズル群66と第3のノズル群68との境界部分によって中間の濃さに印刷される部分が介在する。これにより、個々のダイヤモンドホイールの特性差による印刷時の濃度ムラを目立ち難くすることができる。
【0062】
さらに、マルチカッター55の各ダイヤモンドホイールは、切削時の磨耗によってそれぞれ劣化する。これにより、切削加工を行なうに従って、個々のダイヤモンドホイールの間に特性差が生じる。前記構成のインクジェットヘッド10によれば、このような劣化による個々のダイヤモンドホイールの特性差が生じたとしても、印刷時の濃度ムラを目立ち難くすることができる。
【0063】
次に、第2の実施の形態について、図8ないし図12を参照して説明する。なお、第1の実施形態のインクジェットヘッド10と同一の機能を有する構成部分には同一の参照符号を付してその説明を省略する。
【0064】
図8は、加工途中における第2の実施形態のインクジェットヘッド10Aの第1の圧電部材14および第2の圧電部材15を示す平面図である。第2の実施形態のインクジェットヘッド10Aにおいて、第1の圧電部材14が延びる方向と、第1の溝部42が延びる方向との間の傾きθ2は、例えば77°である。
【0065】
第1の溝部42の個数は、例えば約150個である。第2の溝部45の個数も、例えば約150個である。第1の溝部42に対応する第1のノズル34の個数は、例えば約150個である。第2の溝部45に対応する第2のノズル35の個数も、例えば約150個である。このため、仮想ノズル列50は、約300個のノズルによって形成される。
【0066】
第1の溝部42および第2の溝部45は、例えば、マルチカッター55によって形成される。マルチカッター55は、11個のダイヤモンドホイールを含んでいる。マルチカッター55に含まれる2つのダイヤモンドホイール56a,56bは、一度の直線移動で、例えば15ピッチ分離れた2つの第1の溝部42および2つの第2の溝部45を一括して形成できる。マルチカッター55に含まれる他のダイヤモンドホイールも、同じ距離だけ互いに離れている。
【0067】
第1のノズル群66と第3のノズル群68との境界部分において、第1のノズル群66の端部にある複数の第1のノズル34と、第3のノズル群68の端部にある複数の第2のノズル35とが、交互に配置されている。このため、第1のノズル群66と第3のノズル群68との境界部分によって印刷される部分は、印刷の濃さが異なる部分が交互に存し、中間の濃さに見える。
【0068】
このため、第1のノズル群66によって印刷される部分と、第3のノズル群68によって印刷される部分との間に、第1のノズル群66と第3のノズル群68との境界部分によって中間の濃さに印刷される部分が介在する。これにより、個々のダイヤモンドホイールの特性差による印刷時の濃度ムラが目立ち難くなる。
【0069】
以下に、一般例を参照しつつ、前記構成のインクジェットヘッド10Aの印刷特性について具体的に例示する。
【表1】
【0070】
表1は、マルチカッター55に含まれる個々のダイヤモンドホイールの特性の一例を示している。表1中の「ダイヤモンドホイールNo.」は、平行に配置された個々のダイヤモンドホイールの番号を示している。「切削する溝部個数」は、個々のダイヤモンドホイールがそれぞれ切削加工する第1の溝部42と第2の溝部45との合計を示している。「設計寸法との差」は、個々のダイヤモンドホイールが形成した第1の溝部42および第2の溝部45の幅寸法と、設計上の第1の溝部42および第2の溝部45の幅寸法との差を示している。「溝下部」は、第1の溝部42および第2の溝部45の底部近辺における設計寸法との差を示している。「溝上部」は、支柱47の先端近辺における第1の溝部42および第2の溝部45の設計寸法との差を示している。
【0071】
図9は、前記構成のインクジェットヘッド10Aによる印刷結果の一例を示すグラフである。図9において、横軸は、仮想ノズル列50において並んで配置された第1のノズル34および第2のノズル35の番号を示している。縦軸は、上記のように加工されたインクジェットヘッド10Aの各ノズルによる印刷の濃さと、設計上の各ノズルによる印刷の濃さとの差を示している。なお、印刷の濃さは、各ノズルによって印刷されるドットの大きさに応じて変化する。
【0072】
一方、図10は、一般的なインクジェットヘッドによる印刷結果の一例を示すグラフである。この一般的なインクジェットヘッドは、一つのノズル群と他のノズル群とが明確に区切られている点で、前記構成のインクジェットヘッド10Aと異なる。このため、一つのノズル群によって印刷される部分と、他のノズル群によって印刷される部分との間に、一つのノズル群と他のノズル群との境界部分によって中間の濃さに印刷される部分が存しない。
【0073】
図9に示すように、前記構成のインクジェットヘッド10Aの各ノズルによる印刷の濃さの変化は、図10に示す一般的なインクジェットヘッドの各ノズルによる印刷の濃さの変化よりも緩やかである。言い換えれば、前記構成のインクジェットヘッド10Aは、仮想ノズル列50における一つのノズルと、この一つのノズルと隣接する他のノズルと、の間の印刷の濃さの急峻な変化を抑制する。これにより、個々のダイヤモンドホイールの特性差による印刷時の濃度ムラを目立ち難くすることができる。
【0074】
一方で、マルチカッター55の各ダイヤモンドホイールは、切削時の磨耗によってそれぞれ劣化する。これにより、切削加工を行なうに従って、個々のダイヤモンドホイールの間に特性差が生じる。
【0075】
図11は、前記構成のインクジェットヘッド10Aによる印刷特性の変化の一例を概略的に示すグラフである。図11において、横軸は、仮想ノズル列50において並んで配置された第1のノズル34および第2のノズル35の番号を示している。縦軸は、上記のように加工されたインクジェットヘッド10Aの各ノズルによる印刷の濃さを示している。
【0076】
一方、図12は、上記の一般的なインクジェットヘッドによる印刷特性の変化の一例を概略的に示すグラフである。なお、図12の横軸において、一つのノズル群ごとに補助目盛線を示す。図12に示すように、一般的なインクジェットヘッドによれば、各ノズル群において、ノズルの番号が増加するにしたがって印刷の濃さがそれぞれ薄くなる。このため、一つのノズル群によって印刷した部分と、他のノズル群によって印刷した部分との間の濃度の変化が急峻になる。
【0077】
これに対し、前記構成のインクジェットヘッド10Aによれば、図11のように濃度の変化が小さく抑えられる。このように、劣化による個々のダイヤモンドホイールの特性差が生じたとしても、印刷時の濃度ムラを目立ち難くすることができる。
【0078】
上記第1および第2の実施形態において、マルチカッター55を用いて製造されたインクジェットヘッド10,10Aについて説明した。しかし、マルチカッターの代わりに単一の刃を用いて製造されたインクジェットヘッドにおいても、刃の劣化によって生じる印刷時の濃度ムラを目立ち難くすることができる。
【0079】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0080】
10,10A…インクジェットヘッド,13…基板,14…第1の圧電部材,15…第2の圧電部材,17…ノズルプレート,31…第1のノズル列,32…第2のノズル列,34…第1のノズル,35…第2のノズル,42…第1の溝部,45…第2の溝部,50…仮想ノズル列,61…第1の溝群,62…第2の溝群,63…第3の溝群,64…第4の溝群,66…第1のノズル群,67…第2のノズル群,68…第3のノズル群。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
複数のノズルをそれぞれ含んだノズル列が複数設けられ、一つの前記ノズル列に含まれる前記複数のノズルと、他の前記ノズル列に含まれる前記複数のノズルと、によって、前記各ノズル列が延びる方向と平行になった一つの仮想ノズル列を形成するように、前記一つのノズル列に含まれる前記複数のノズルと、前記他のノズル列に含まれる前記複数のノズルと、が互い違いになるとともに、前記基板に対向したノズルプレートと、
前記複数のノズル列にそれぞれ対向するように設けられた複数の圧電部材と、
前記複数の圧電部材にそれぞれ設けられ、前記複数のノズルにそれぞれ対応し、且つ前記複数のノズルからインクを吐出できるように複数の刃物で加工されたインク吐出駆動用の多数の溝部と、
を具備し、
前記仮想ノズル列中の一つの前記ノズルに対応した一つの前記溝部と、前記仮想ノズル列中の前記一つのノズルと隣接した他の一つの前記ノズルに対応した他の一つの前記溝部と、は、互いに独立した前記刃物で加工されたことを特徴とするインクジェットヘッド。
【請求項2】
前記多数の溝部は、一つの前記刃物で加工された複数の溝部を含んだ一つの溝群と、他の前記刃物で加工された複数の溝部を含んだ他の溝群と、を含み、
前記仮想ノズル列は、前記一つの溝群に対応した一つのノズル群と、前記他の溝群に対応した他のノズル群と、を含み、
前記一つのノズル群の端部にある数個の前記ノズルは、前記他のノズル群の端部にある数個の前記ノズルと交互に配置されたことを特徴とする請求項1に記載のインクジェットヘッド。
【請求項3】
基板と、
複数のノズルをそれぞれ含んだノズル列が複数設けられ、一つの前記ノズル列に含まれる前記複数のノズルと、他の前記ノズル列に含まれる前記複数のノズルと、によって、前記各ノズル列が延びる方向と平行になった一つの仮想ノズル列を形成するように、前記一つのノズル列に含まれる前記複数のノズルと、前記他のノズル列に含まれる前記複数のノズルと、が互い違いになるとともに、前記基板に対向したノズルプレートと、
前記複数のノズル列にそれぞれ対向するように設けられた複数の圧電部材と、
前記複数の圧電部材にそれぞれ設けられ、前記複数のノズルにそれぞれ対応し、且つ前記複数のノズルからインクを吐出できるように複数の刃物で加工されたインク吐出駆動用の多数の溝部と、
を具備するインクジェットヘッドを製造する製造方法であって、
前記仮想ノズル列中の一つの前記ノズルに対応した一つの前記溝部と、前記仮想ノズル列中の前記一つのノズルと隣接した他の一つの前記ノズルに対応した他の一つの前記溝部と、を互いに独立した前記刃物で加工することを特徴とするインクジェットヘッドの製造方法。
【請求項4】
前記多数の溝部は、一つの前記刃物で加工された複数の溝部を含んだ一つの溝群と、他の前記刃物で加工された複数の溝部を含んだ他の溝群と、を含み、
前記仮想ノズル列は、前記一つの溝群に対応した一つのノズル群と、前記他の溝群に対応した他のノズル群と、を含み、
前記一つのノズル群の端部にある数個の前記ノズルが、前記他のノズル群の端部にある数個の前記ノズルと交互に配置するように、隣接する前記圧電部材同士を斜めに横断するように前記刃物を移動させて前記多数の溝部を一括して形成することを特徴とする請求項3に記載のインクジェットヘッドの製造方法。
【請求項1】
基板と、
複数のノズルをそれぞれ含んだノズル列が複数設けられ、一つの前記ノズル列に含まれる前記複数のノズルと、他の前記ノズル列に含まれる前記複数のノズルと、によって、前記各ノズル列が延びる方向と平行になった一つの仮想ノズル列を形成するように、前記一つのノズル列に含まれる前記複数のノズルと、前記他のノズル列に含まれる前記複数のノズルと、が互い違いになるとともに、前記基板に対向したノズルプレートと、
前記複数のノズル列にそれぞれ対向するように設けられた複数の圧電部材と、
前記複数の圧電部材にそれぞれ設けられ、前記複数のノズルにそれぞれ対応し、且つ前記複数のノズルからインクを吐出できるように複数の刃物で加工されたインク吐出駆動用の多数の溝部と、
を具備し、
前記仮想ノズル列中の一つの前記ノズルに対応した一つの前記溝部と、前記仮想ノズル列中の前記一つのノズルと隣接した他の一つの前記ノズルに対応した他の一つの前記溝部と、は、互いに独立した前記刃物で加工されたことを特徴とするインクジェットヘッド。
【請求項2】
前記多数の溝部は、一つの前記刃物で加工された複数の溝部を含んだ一つの溝群と、他の前記刃物で加工された複数の溝部を含んだ他の溝群と、を含み、
前記仮想ノズル列は、前記一つの溝群に対応した一つのノズル群と、前記他の溝群に対応した他のノズル群と、を含み、
前記一つのノズル群の端部にある数個の前記ノズルは、前記他のノズル群の端部にある数個の前記ノズルと交互に配置されたことを特徴とする請求項1に記載のインクジェットヘッド。
【請求項3】
基板と、
複数のノズルをそれぞれ含んだノズル列が複数設けられ、一つの前記ノズル列に含まれる前記複数のノズルと、他の前記ノズル列に含まれる前記複数のノズルと、によって、前記各ノズル列が延びる方向と平行になった一つの仮想ノズル列を形成するように、前記一つのノズル列に含まれる前記複数のノズルと、前記他のノズル列に含まれる前記複数のノズルと、が互い違いになるとともに、前記基板に対向したノズルプレートと、
前記複数のノズル列にそれぞれ対向するように設けられた複数の圧電部材と、
前記複数の圧電部材にそれぞれ設けられ、前記複数のノズルにそれぞれ対応し、且つ前記複数のノズルからインクを吐出できるように複数の刃物で加工されたインク吐出駆動用の多数の溝部と、
を具備するインクジェットヘッドを製造する製造方法であって、
前記仮想ノズル列中の一つの前記ノズルに対応した一つの前記溝部と、前記仮想ノズル列中の前記一つのノズルと隣接した他の一つの前記ノズルに対応した他の一つの前記溝部と、を互いに独立した前記刃物で加工することを特徴とするインクジェットヘッドの製造方法。
【請求項4】
前記多数の溝部は、一つの前記刃物で加工された複数の溝部を含んだ一つの溝群と、他の前記刃物で加工された複数の溝部を含んだ他の溝群と、を含み、
前記仮想ノズル列は、前記一つの溝群に対応した一つのノズル群と、前記他の溝群に対応した他のノズル群と、を含み、
前記一つのノズル群の端部にある数個の前記ノズルが、前記他のノズル群の端部にある数個の前記ノズルと交互に配置するように、隣接する前記圧電部材同士を斜めに横断するように前記刃物を移動させて前記多数の溝部を一括して形成することを特徴とする請求項3に記載のインクジェットヘッドの製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−35474(P2012−35474A)
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−176576(P2010−176576)
【出願日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]