説明

インクジェットヘッド

【課題】 ワイプ後にノズル面上に残存してしまうインクを抑制する。
【解決手段】 インクジェットヘッドは、インクを吐出するノズルが複数配列されたノズル面をなす第一層と、第一層におけるノズル面とは反対側の面に積層された第二層とを備えている。第二層は、第一層から突出した張り出し部を有し、第一層における張り出し部に対向する端部には、張り出し部側が開口となる切欠が形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクジェットヘッドに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、インクジェット記録装置においては、インクジェットヘッドのノズル面にインクが付着したままであると、そのインクが固化して吐出不良を誘発する要因となっていた。このため、インクを吐出した後に、ブレードによってノズル面をワイプし、ノズル面からインクを除去するインクジェット記録装置が知られている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−149524号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、ノズル面をワイプしたとしても、その端部ではノズル面とブレードとの接触角が大きくなってしまい、インクの一部が分裂してノズル面上に残存してしまうおそれがあった。
本発明の課題は、ワイプ後にノズル面上に残存してしまうインクを抑制することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に記載の発明に係るインクジェットヘッドは、
インクを吐出するノズルが複数配列されたノズル面をなす第一層と、
前記第一層における前記ノズル面とは反対側の面に積層された第二層とを備え、
前記第二層は、前記第一層から突出した張り出し部を有し、
前記第一層における前記張り出し部に対向する端部には、前記張り出し部側が開口となる切欠が形成されていることを特徴としている。
【0006】
請求項2記載の発明は、請求項1記載のインクジェットヘッドにおいて、
前記第二層における前記第一層に重ねあわされる面は、前記ノズル面よりも親液性が高いことを特徴としている。
【0007】
請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載のインクジェットヘッドにおいて、
前記切欠は、前記張り出し部側に向けて徐々に広がる形状に形成されていることを特徴としている。
【0008】
請求項4記載の発明は、請求項1〜3のいずれか一項に記載のインクジェットヘッドにおいて、
前記張り出し部における前記切欠に対向する部分に形成された凹部と、
前記凹部を覆って前記インクが進入可能な隙間を形成する隙間形成部材とを備えることを特徴としている。
【0009】
請求項5記載の発明は、請求項1〜4のいずれか一項に記載のインクジェットヘッドにおいて、
前記切欠の開口付近には、インクを吸収するインク吸収部材が配置されていることを特徴としている。
【0010】
請求項6記載の発明は、請求項1〜5のいずれか一項に記載のインクジェットヘッドにおいて、
前記第二層はガラスから形成されていることを特徴としている。
【0011】
請求項7記載の発明は、請求項1〜6のいずれか一項に記載のインクジェットヘッドにおいて、
前記第一層は矩形状であって、
前記ノズル面をワイプするブレードの進行方向は、前記第一層の対向する一対の辺に沿った方向であり、
前記ブレードは、前記ノズル面との接触箇所が前記進行方向に対して傾くように設けられていて、
前記第一層の四辺のうち、前記進行方向の先方側の一辺と、当該一辺に隣接し、前記進行方向側の前記接触箇所との傾きが鋭角となる一辺とのそれぞれに前記切欠が形成されていることを特徴としている。
【0012】
請求項8記載の発明は、請求項1〜7のいずれか一項に記載のインクジェットヘッドにおいて、
前記第一層はSiから形成されていて、当該Siの結晶方位とは異なる方向に沿って前記切欠が形成されていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、ワイプ後にノズル面上に残存してしまうインクを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本実施形態のインクジェット記録装置の全体構成を示す説明図である。
【図2】図1のインクジェット記録装置に備わるインクジェットヘッドユニットの概略構成を示す断面図である。
【図3】図2のインクジェットヘッドユニットを示す下面図である。
【図4】図2のインクジェットヘッドユニットに備わるインクジェットヘッドの概略構成を示す断面図である。
【図5】図4のインクジェットヘッドに備わる第一層に形成された切欠の概略構成を示す下面図である。
【図6】図1のインクジェット記録装置の主制御構成を示すブロック図である。
【図7】図1のインクジェット記録装置のワイプ時におけるブレードの動作を示す断面図である。
【図8】図1のインクジェット記録装置のワイプ時におけるブレードの動作を示す斜視図である。
【図9】図5の切欠の変形例を示す説明図である。
【図10】図8のインクジェットヘッドの変形例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、本発明を実施するための最良の形態について図面を用いて説明する。ただし、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい種々の限定が付されているが、発明の範囲を以下の実施形態及び図示例に限定するものではない。
【0016】
図1は本発明一実施形態のインクジェット記録装置の全体構成図である。図1に示すように本実施形態のインクジェット記録装置1は、インクジェットヘッドユニット2と、キャリッジ3と、キャリッジレール4と、保湿ユニット5と、メンテナンスユニット7と、インクタンク25と、インク流路26と、制御部80(図6参照)とを備えて構成される。
【0017】
インクジェット記録装置1により画像が形成される記録媒体13は、図1における記録領域Cを通過するようにして、図1における主走査方向Aと直交した副走査方向E(図3参照)に搬送される。記録媒体13の搬送は図示しない搬送手段によって行われる。
【0018】
キャリッジ3はインクジェットヘッドユニット2を搭載し、キャリッジレール4に沿ってホームポジション領域Bからメンテナンス領域Dにかけて矢印A方向に移動する。記録領域Cにおいては、キャリッジ3の動作により、記録媒体13上の主走査が行われる。
【0019】
この主走査中にインクジェットヘッドユニット2が、記録媒体13に向けてインクを吐出することで記録媒体13に画像を形成する。ノズル吐出方向が垂直下向きとなるようにインクジェットヘッドユニット2を垂直置きする場合や、ノズル吐出方向が水平方向となるようにインクジェットヘッドユニット2を水平置きする場合があるが、その他の方向でも実施可能である。いずれの場合でも、インクジェットヘッドユニット2は、インクを吐出するためのノズル231が配列されたノズル面15bが記録媒体13と対向するように設置される。
本実施形態に係るインクジェット記録装置1では、ブラック(K)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の4色のインクを吐出できるよう、合計で4個のインクジェットヘッドユニット2がキャリッジ3に設置される。なお、中央に図示されるインクジェットヘッド20の奥側にもう1つのインクジェットヘッド20が配置されている。
【0020】
インクタンク25はインクジェットヘッドユニット2に供給されるインクを収納するインク収納部である。インクタンク25は1個のインクジェットヘッドユニット2に対して1個が設置されている。インク流路26はインクジェットヘッドユニット2とインクタンク25とを連通する形態で設置され、インクタンク25からインクジェットヘッドユニット2にインクを導く。
【0021】
メンテナンスユニット7はメンテナンス領域Dに配置され、吸引キャップ8と、ブレード11と、インク受器12と、吸引ポンプ9と、廃インクタンク10等を有して構成される。メンテナンスユニット7は一連のメンテナンス動作により、インクジェットヘッドユニット2内の異物を除去してインクジェットヘッドユニット2のインク吐出状態を良好な状態に回復させる。
【0022】
吸引キャップ8は吸引ポンプ9を介して廃インクタンク10と連通しており、メンテナンス動作時には上昇してインクジェットヘッドユニット2のノズル面15bを覆う。吸引キャップ8は4個備えられている。吸引キャップ8は、上述の様に上昇した時に全てのインクジェットヘッド20のノズル面15bを覆うことができるよう、インクジェットヘッド20のキャリッジ3での配列に対応して配列される。
吸引ポンプ9はシリンダーポンプやチューブポンプを有して構成される。吸引ポンプ9は吸引キャップ8がノズル面15bを覆った状態で作動することにより、ノズル231からインクジェットヘッドユニット2内部のインクを異物とともに吸引するための吸引力を発生する。
【0023】
ブレード11はインクジェットヘッドユニット2のインク吸引後、ノズル面15bに当接した状態で副走査方向Eにスライドすることで、ノズル面15bに付着しているインクを除去する。その後、インク受器12はインクジェットヘッドユニット2が予備吐出したインクを受ける。廃インクタンク10は吸引ポンプ9の動作によりインクジェットヘッドユニット2から吸引されたインクや、インクジェットヘッドユニット2から予備吐出されたインクを貯留する。
【0024】
保湿ユニット5はホームポジション領域Bに配置され、保湿キャップ6を有して構成される。保湿キャップ6は、インクジェットヘッドユニット2が待機状態にある時、ノズル面15bを覆うことでインクジェットヘッドユニット2のインクを保湿する。保湿キャップ6は4個備えられている。これら4個の保湿キャップ6は、4個のインクジェットヘッド20のノズル面15bを同時に覆うことができるよう、インクジェットヘッド20の配列に対応して配列される。
【0025】
次に、インクジェットヘッドユニット2について説明する。図2は、インクジェットヘッドユニット2の概略構成を示す断面図であり、図3は下面図である。この図2及び図3に示すようにインクジェットヘッドユニット2には、複数のインクジェットヘッド20が副走査方向Eに沿って隣接するように配列されている。
【0026】
図4はインクジェットヘッド20の概略構成を示す断面図である。図4に示すように、インクジェットヘッド20は、ヘッド本体21と、インク吐出部22と、第一層23と、第二層24とを備えている。
【0027】
ヘッド本体21の上部には、インク流路26が接続されるインク供給口27と、インクが排出されるインク排出口28とが設けられている。これらインク供給口27及びインク排出口28は、ヘッド本体21内部のインク貯留部29と連通している。
【0028】
インク吐出部22は、インク貯留部29内のインクを吐出するインク吐出部221と、インク吐出部221を保持する保持部222とを有している。インク吐出部221は、インクジェットヘッドチップ等を備えている。そして、インク吐出部22は、全体として板状の外形となっており、インク貯留部29を閉塞するようにヘッド本体21の下部に設けられている。
第二層24は、例えばガラスにより形成されていて、インク吐出部22の下面に積層されている。第一層23は、例えばSiにより略矩形状に形成されていて、第二層24の下面に積層されている。具体的には、第一層23の長手方向が副走査方向Eに沿うように、第一層23が第二層24の下面に配置されている。
この第一層23及び第二層24には、インク吐出部221のインク吐出口223に連通し、吐出時にインクが通過するノズル231が形成されている。このため、第一層23の下面がノズル面15bとなり、第二層24が第一層23におけるノズル面15bとは反対側の面に積層されることになる。また、第二層24における第一層23に重ねあわされる面はノズル面15bよりも親液性(親水性、濡れ性)が高くなるように、種々の表面処理が施されている。
また、主走査方向Aから見ると、第一層23が第二層24の両端部から突出している。一方、副走査方向Eから見ると、第一層23が第二層24に対して副走査方向Eに沿って一方向にずれて配置されている。このため、第一層23の一側部が第二層24の一側部から突出し、第二層24の他側部が第一層23の他側部から突出する。この第一層23の一側部を第一張り出し部233とし、第二層24の他側部を第二張り出し部243とする。第二層24の第二張り出し部243の下面には、主走査方向Aに沿う溝244が形成されていて、この溝244がインクを案内する流路となる。この溝244には、溝244上のインクを吸引するインク吸引部70(図6参照)が配置されている。
【0029】
ここで、ワイプ時におけるブレード11の進行方向Fは、副走査方向Eに沿った方向、つまり第一層23の一対の長辺に沿う方向である。また、ブレード11は、ノズル面15bに接触した際は、その接触箇所が進行方向Fに対して傾いている(図3中点線部)。そして、第一層23の四辺のうち、進行方向Fの先方側の一辺23aと、当該一辺23aに隣接し、進行方向F側の接触箇所との傾きが鋭角となる一辺23bとには、それぞれ切欠40が形成されている。この切欠40と、溝244とは対向することになる。つまり、溝244は、第二張り出し部243における切欠40に対向する部分に形成された凹部である。
【0030】
図5は、第一層23の一辺23aに形成された切欠40の概略構成を示す下面図である。図5に示すように切欠40は縁部側、つまり第一張り出し部233側が開口41となっていて、終端部が円弧状となっている。この切欠40は、その延在方向Gが、第一層23をなすSiの結晶方位とは異なる方向に沿うように形成されている。また、切欠40の開口41付近には溝244が配置されている。そして、切欠40は、第一張り出し部233側に向けて徐々に広がるような形状となっている。なお、切欠40の形状は、第一張り出し部233側に向けて徐々に広がる形状であれば、台形状や、三角形状等であってもよい。
【0031】
そして、図3及び図4に示すように、互いに隣接する一対のインクジェットヘッド20は、一方のインクジェットヘッド20の第二張り出し部243が、他方のインクジェットヘッド20の第一張り出し部233に重なって対向するように配置されている。また、一つのインクジェットヘッドユニット2を形成する複数のインクジェットヘッド20のうち、両端に配置された一対のインクジェットヘッド20には、それぞれ隣接するインクジェットヘッド20が存在しない張り出し部233,243がある。この張り出し部233,243においては、それぞれインクジェットヘッド20をキャリッジ3に固定するヘッド固定部材60が取り付けられている。なお、第二張り出し部243に重なる第一張り出し部233及びヘッド固定部材60は、溝244の切欠40側の一辺部244aを露出するように取り付けられている。また、第二張り出し部243に重なる第一張り出し部233及びヘッド固定部材60は溝244の一部を覆って、インクが進入可能な隙間Sを形成する隙間形成部材である。
【0032】
図6はインクジェット記録装置1の主制御構成を示すブロック図である。図6に示すように、インクジェット記録装置1の制御部80には、インクジェットヘッド20、キャリッジ3、吸引ポンプ9、吸引キャップ昇降部82、インク吸引部70及びブレード駆動源81等が電気的に接続されている。ブレード駆動源81は、ブレード11を駆動させるものである。また、吸引キャップ昇降部82は、メンテナンス時に吸引キャップ8を昇降させるものである。
制御部80は、CPU(中央演算装置)と、メモリとを有して構成され、インクジェット記録装置1の各構成要素を制御する。メモリは、記録媒体13に形成する画像のデータや、インクジェット記録装置1の各構成要素を制御するためのプログラムを記憶している。CPUは、メモリに格納された画像のデータやプログラムに基づいて演算を行ない、この演算結果に基づいて各構成要素に制御信号を送信する。
【0033】
次に、本実施形態の作用について説明する。
制御部80は、インクジェットヘッド20のメンテナンス時になると、キャリッジ3をメンテナンス領域Dまで移動させる。その後、制御部80は、吸引キャップ昇降部82を駆動させて、各吸引キャップ8により各インクジェットヘッド20のノズル面15bを覆う。ノズル面15bに吸引キャップ8が密着すると、制御部80は吸引キャップ昇降部82を停止してから、吸引ポンプ9を駆動する。これにより、ノズル231からインクが吸引されることになる。
【0034】
インクが吸引されて、ノズル面15bのワイプ時になると、制御部80は、キャリッジ3を移動させて、インクジェットヘッドユニット2とブレード11とを対向させる。その後、制御部80は、ブレード駆動源81を制御して、ブレード11をノズル面15bに当接させた状態で進行方向Fに移動させ、ワイプを実行する。このとき、制御部80はインク吸引部70も駆動させている。
【0035】
図7はワイプ時におけるブレード11の動作を示す断面図であり、図8は斜視図である。なお、図7及び図8においては、便宜上、上下方向を逆転させて表記している。
図7(a)に示すように、ワイプによってブレード11がノズル面15bに付着していたインクLを掻き集め、切欠40内に押し込み始める。切欠40内に進入すると、図7(b)及び図8(a)に示すように、インクLはブレード11から付与された力と、自らの表面張力とによって、その全てが切欠40内に進入する。さらにインクLには進行方向Fに向かう慣性力が作用しているので、溝244内にも進入する。図8(b)に示すように、溝244内に進入したインクLの一部が、第一張り出し部233若しくはヘッド固定部材60で覆われた領域に進入すると、毛細管現象によりその隙間S内に吸い込まれる。このため、図7(c)に示すように、インクLが溝244内に向かって移動することになる。溝244内に進入したインクLは、当該溝244を流路としてインク吸引部70に吸引される。吸引後、溝244内にインクLが残存していたとしても、隙間Sの毛細管現象によりインクLが液だれしてしまうことを防止している。
【0036】
以上のように、本実施形態によれば、第一層23における第二張り出し部243に対向する端部には、第二張り出し部243側が開口41となる切欠40が形成されているので、ノズル面15bに存在するインクLをワイプ時に切欠40内に進入させることができる。これによって、ワイプ後にノズル面15b上に残存してしまうインクLを抑制することができる。
【0037】
また、第二層24における第一層23に重ねあわされる面は、切欠40によって露出しており、さらにその面がノズル面15bよりも親液性が高いので、切欠40内にインクLが進入するとその親液性によりインクLを切欠40内に引き寄せることができる。したがって、ノズル面15bに残存するインクLをより少なくすることができる。
【0038】
また、切欠40が第二張り出し部243側に向けて徐々に広がる形状に形成されているので、切欠40内にインクLが進入し、さらに第二張り出し部243側に向かう動作を妨げる要因を少なくすることができる。
さらに、第二張り出し部243に重なる第一張り出し部233及びヘッド固定部材60が溝244の一部を覆って、インクが進入可能な隙間Sを形成しているので、溝244内に進入したインクLを毛細管現象により隙間S内に吸い込むことができる。
【0039】
また、第一層23の四辺のうち、進行方向Fの先方側の一辺23aと、当該一辺23aに隣接し、進行方向F側の接触箇所との傾きが鋭角となる一辺23bとのそれぞれに切欠40が形成されているので、ブレード11により掻き集められたインクLを確実に切欠40内に進入させることができる。
【0040】
なお、本発明は上記実施形態に限らず適宜変更可能である。以下の説明において、上記実施形態と同一部分は、同一符号を付してその説明を省略する。
例えば、上記実施形態では、一辺23a,23bに対して直交する方向に切欠40が延在している場合を例示して説明したが、例えば図9に示すようにブレード11におけるノズル面15bへの接触箇所(図9中点線部)に対して直交する方向に、切欠40Aを延在させてもよい。この場合、よりスムーズにインクLを切欠40A内に進入させることが可能となる。
【0041】
また、図10に示すように、インクを吸収するインク吸収部材90を、切欠40の開口41付近に配置することが好ましい。これにより、ブレード11のワイプによって切欠40内に進入したインクL(図10(a)参照)は、インク吸収部材90に吸収されることになる(図10(b)参照)。これにより、インクLをより強固に保持することができ、液だれを防止することができる。
【符号の説明】
【0042】
1 インクジェット記録装置
2 インクジェットヘッドユニット
3 キャリッジ
4 キャリッジレール
5 保湿ユニット
6 保湿キャップ
7 メンテナンスユニット
8 吸引キャップ
9 吸引ポンプ
10 廃インクタンク
11 ブレード
12 インク受器
13 記録媒体
15b ノズル面
20 インクジェットヘッド
21 ヘッド本体
22 インク吐出部
23 第一層
23a 一辺
23b 一辺
24 第二層
25 インクタンク
26 インク流路
27 インク供給口
28 インク排出口
29 インク貯留部
40 切欠
41 開口
60 ヘッド固定部材(隙間形成部材)
70 インク吸引部
80 制御部
81 ブレード駆動源
82 吸引キャップ昇降部
90 インク吸収部材
221 インク吐出部
222 保持部
223 インク吐出口
231 ノズル
233 第一張り出し部(隙間形成部材)
243 第二張り出し部
244 溝(凹部)
244a 一辺部
L インク
S 隙間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
インクを吐出するノズルが複数配列されたノズル面をなす第一層と、
前記第一層における前記ノズル面とは反対側の面に積層された第二層とを備え、
前記第二層は、前記第一層から突出した張り出し部を有し、
前記第一層における前記張り出し部に対向する端部には、前記張り出し部側が開口となる切欠が形成されていることを特徴とするインクジェットヘッド。
【請求項2】
請求項1記載のインクジェットヘッドにおいて、
前記第二層における前記第一層に重ねあわされる面は、前記ノズル面よりも親液性が高いことを特徴とするインクジェットヘッド。
【請求項3】
請求項1又は2記載のインクジェットヘッドにおいて、
前記切欠は、前記張り出し部側に向けて徐々に広がる形状に形成されていることを特徴とするインクジェットヘッド。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載のインクジェットヘッドにおいて、
前記張り出し部における前記切欠に対向する部分に形成された凹部と、
前記凹部を覆って前記インクが進入可能な隙間を形成する隙間形成部材とを備えることを特徴とするインクジェットヘッド。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載のインクジェットヘッドにおいて、
前記切欠の開口付近には、インクを吸収するインク吸収部材が配置されていることを特徴とするインクジェットヘッド。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項に記載のインクジェットヘッドにおいて、
前記第二層はガラスから形成されていることを特徴とするインクジェットヘッド。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一項に記載のインクジェットヘッドにおいて、
前記第一層は略矩形状であって、
前記ノズル面をワイプするブレードの進行方向は、前記第一層の対向する一対の辺に沿った方向であり、
前記ブレードは、前記ノズル面との接触箇所が前記進行方向に対して傾くように設けられていて、
前記第一層の四辺のうち、前記進行方向の先方側の一辺と、当該一辺に隣接し、前記進行方向側の前記接触箇所との傾きが鋭角となる一辺とのそれぞれに前記切欠が形成されていることを特徴とするインクジェットヘッド。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか一項に記載のインクジェットヘッドにおいて、
前記第一層はSiから形成されていて、当該Siの結晶方位とは異なる方向に沿って前記切欠が形成されていることを特徴とするインクジェットヘッド。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−251441(P2011−251441A)
【公開日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−125800(P2010−125800)
【出願日】平成22年6月1日(2010.6.1)
【出願人】(000001270)コニカミノルタホールディングス株式会社 (4,463)
【Fターム(参考)】