説明

インクジェットヘッド

【課題】印刷品質の低下を抑制する。
【解決手段】インクジェットヘッド221は、インクの液滴を吐出するノズル穴226を有するノズルプレート224と、ノズル穴226に対応する位置に形成されノズル穴226を外部に露出させる開口部228を有し、ノズルプレート224に積層された保護プレート225とを備え、開口部228は、少なくとも一部がノズル穴226から遠ざかる先端側ほど幅が小さくなる切込部230a,230bを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクを吐出するインクジェットヘッドに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、印刷装置に備えられ、インクを液滴として印刷媒体に吐出するインクジェットヘッドが知られている。
【0003】
特許文献1には、ノズルプレートにノズル穴を中心として放射状に延びる溝が形成されたインクジェット装置が開示されている。特許文献1のインクジェット装置では、ノズル穴の周囲に付着したインクが毛管現象により溝に進入することで、ノズル穴の周囲にインク滴が残ることを防止する。これにより、ノズル穴からのインク滴の飛翔方向のばらつきを抑え、印刷品質の低下を抑えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平8−230185号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の技術では、ノズル穴の周囲が大きく露出し、開口面積が比較的大きく形成されているため、搬送面から浮き上がった用紙がノズルプレートに接触すると、ノズル穴の周囲が破損することがあった。このため、インク滴の吐出不良が生じ、印刷品質が低下するおそれがあった。
【0006】
本発明は上記に鑑みてなされたもので、印刷品質の低下を抑制できるインクジェットヘッドを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明に係るインクジェットヘッドの第1の特徴は、インクの液滴を吐出するノズル穴を有するノズルプレートと、前記ノズル穴に対応する位置に形成され前記ノズル穴を外部に露出させる開口部を有し、前記ノズルプレートに積層された保護プレートとを備え、前記開口部は、少なくとも一部が前記ノズル穴から遠ざかる先端側ほど幅が小さくなる切込部を有することにある。
【0008】
本発明に係るインクジェットヘッドの第2の特徴は、平面視における前記ノズル穴の外縁から前記開口部の内縁までの距離が、前記保護プレートの厚さより大きいことにある。
【0009】
本発明に係るインクジェットヘッドの第3の特徴は、前記開口部の少なくとも一部の側壁と前記ノズルプレートの表面とのなす角が鋭角であることにある。
【0010】
本発明に係るインクジェットヘッドの第4の特徴は、前記開口部の少なくとも一部の側壁がノズルプレート側に凸の断面R形状に形成されていることにある。
【0011】
本発明に係るインクジェットヘッドの第5の特徴は、前記切込部は、先端側に形成され、インクを貯留するインク貯留部を有することにある。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係るインクジェットヘッドの第1の特徴によれば、ノズルプレートに積層された保護プレートによりノズル穴が保護される。また、インクミストに由来する余分なインクが、保護プレートに形成された開口部の切込部に引き込まれる。切込部は、先端側ほど幅が小さくなっているので、インクは先端側に進入し、ノズル穴から遠ざけられる。したがって、印刷媒体の接触によるノズル穴の周囲の破損、ノズル穴の周囲における余分なインクの残留が抑えられ、ノズル穴からのインクの吐出不良を防止できる。この結果、インクジェットヘッドは、印刷品質の低下を抑制できる。
【0013】
本発明に係るインクジェットヘッドの第2の特徴によれば、平面視におけるノズル穴の外縁から開口部の内縁までの距離が、保護プレートの厚さより大きいので、ノズルプレートの表面と開口部の側壁と間の角部に集まったインクがノズル穴の周囲に残留することを防止できる。
【0014】
本発明に係るインクジェットヘッドの第3の特徴によれば、開口部の少なくとも一部の側壁とノズルプレートの表面とのなす角が鋭角なので、毛管現象の作用が強くなり、より確実に、インクをノズル穴から遠ざけることができる。
【0015】
本発明に係るインクジェットヘッドの第4の特徴によれば、開口部の少なくとも一部の側壁がノズルプレート側に凸の断面R形状に形成されているので、毛管現象の作用が強くなり、より確実に、インクをノズル穴から遠ざけることができる。
【0016】
本発明に係るインクジェットヘッドの第5の特徴によれば、切込部が先端側に形成されたインク貯留部を有するので、インクを多く保持でき、メンテナンスの頻度を減少させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】実施の形態に係るインクジェットヘッドを備える印刷装置の概略構成図である。
【図2】図1に示す印刷装置の制御系の構成を示すブロック図である。
【図3】インクジェットヘッドを下側から見た図である。
【図4】図3におけるA−A線に沿った部分断面図である。
【図5】インクジェットヘッドにおける開口部を示す図である。
【図6】メンテナンス部の平面図である。
【図7】メンテナンス部の部分拡大斜視図である。
【図8】図6におけるB−B線に沿った要部断面図である。
【図9】メンテナンス動作を説明するためのフローチャートである。
【図10】メンテナンス動作を説明するための動作図である。
【図11】メンテナンス動作を説明するための動作図である。
【図12】メンテナンス動作を説明するための動作図である。
【図13】メンテナンス動作を説明するための動作図である。
【図14】メンテナンス動作を説明するための動作図である。
【図15】開口部の側壁とノズルプレートの表面とがなす角を説明する断面図である。
【図16】開口部の側壁の断面形状を説明する図である。
【図17】変形例1に係るインクジェットヘッドの開口部を示す図である。
【図18】変形例1に係るインクジェットヘッドを下側から見た図である。
【図19】変形例2に係るインクジェットヘッドを下側から見た図である。
【図20】変形例2に係るインクジェットヘッドの共通開口部を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。各図面を通じて同一もしくは同等の部位や構成要素には、同一もしくは同等の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、現実のものとは異なることに留意すべきである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることはもちろんである。
【0019】
また、以下に示す実施の形態は、この発明の技術的思想を具体化するための装置等を例示するものであって、この発明の技術的思想は、各構成部品の配置等を下記のものに特定するものでない。この発明の技術的思想は、特許請求の範囲において、種々の変更を加えることができる。
【0020】
図1は、本発明の実施の形態に係るインクジェットヘッドを備える印刷装置の概略構成図、図2は、図1に示す印刷装置の制御系の構成を示すブロック図、図3は、図1に示す印刷装置におけるインクジェットヘッドを下側から見た図、図4は、図3におけるA−A線に沿った部分断面図、図5は、インクジェットヘッドにおける開口部を示す図、図6は、図1に示す印刷装置におけるメンテナンス部の平面図、図7は、メンテナンス部の部分拡大斜視図、図8は、図6におけるB−B線に沿った要部断面図である。
【0021】
以下の説明において、ユーザが位置する図1の紙面表方向を前方とする。また、図1に示すように、ユーザから見て、上下左右を上下左右方向とする。図1において破線矢印で示す経路が、印刷媒体が搬送される搬送経路Rであり、左から右に向かう方向が印刷媒体の搬送方向である。以下の説明における上流、下流は、搬送方向における上流、下流を意味する。
【0022】
図1、図2に示すように、本実施の形態に係る印刷装置1は、搬送印刷部2と、メンテナンス部3と、制御部4とを備える。
【0023】
搬送印刷部2は、印刷媒体である用紙を搬送しつつ、用紙に印刷を行うものである。搬送印刷部2は、ベルト搬送部21と、印刷部22とを備える。
【0024】
ベルト搬送部21は、上流側に設けられた図示しない給紙部から給紙される用紙を保持して搬送経路R上を搬送するものである。ベルト搬送部21は、搬送ベルト211と、ベルト駆動ローラ212と、従動ローラ213,214,215と、ベルトモータ216と、ファン217とを備える。
【0025】
搬送ベルト211は、ベルト駆動ローラ212および従動ローラ213,214,215に掛け渡される環状のベルトである。搬送ベルト211には、用紙を吸着保持するための貫通穴であるベルト穴が全面にわたって多数形成されている。搬送ベルト211は、ファン217の駆動によりベルト穴に発生する吸着力により、用紙を吸着保持する。搬送ベルト211は、ベルト駆動ローラ212の駆動力により図1における時計回り方向に回転する。これにより、搬送ベルト211は、吸着保持した用紙を右方向に搬送する。
【0026】
ベルト駆動ローラ212および従動ローラ213,214,215は、搬送ベルト211が掛け渡されるものである。ベルト駆動ローラ212は、ベルトモータ216により回転駆動され、搬送ベルト211を周回駆動させる。従動ローラ213,214,215は、搬送ベルト211を介してベルト駆動ローラ212に従動する。従動ローラ213は、ベルト駆動ローラ212と略同じ高さで、ベルト駆動ローラ212から左右方向に所定間隔だけ離間して配置されている。従動ローラ214,215は、ベルト駆動ローラ212および従動ローラ213の下方において、互いに左右方向に所定間隔だけ離間して、略同じ高さに配置されている。
【0027】
ベルトモータ216は、ベルト駆動ローラ212に接続され、ベルト駆動ローラ212を回転駆動させる。
【0028】
ファン217は、下方向への気流を生じさせる。これにより、ファン217は、搬送ベルト211のベルト穴を介して空気を吸引してベルト穴に負圧を発生させ、用紙を搬送ベルト211上に吸着させる。
【0029】
印刷部22は、ベルト搬送部21により搬送経路R上を搬送される用紙に印刷を行うものである。印刷部22は、ベルト搬送部21の上方に設けられ、印刷装置1の筐体(図示せず)内に固定されている。印刷部22は、24個のインクジェットヘッド221と、8本のガイドローラ222とを備える。
【0030】
インクジェットヘッド221は、搬送ベルト211により搬送される用紙にインクを吐出して画像を印刷するものである。図6に示すように、24個のインクジェットヘッド221は、前後方向に一定間隔で3個ずつ配列された8列に配置されている。24個のインクジェットヘッド221は、6個ずつ異なる色(例えば、黒、シアン、マゼンタ、イエロー)のインクを吐出する。1色あたり前後方向に一定間隔で3個ずつのインクジェットヘッド221が左右方向に2列配置されているため、半ピッチズレを実現することができる。つまり、インクジェットヘッド221は千鳥配置になっている。インクジェットヘッド221は、ヘッドホルダ(図示せず)に保持されている。
【0031】
図3、図4に示すように、インクジェットヘッド221は、インク室223の下端に設けられたノズルプレート224と、ノズルプレート224の下側に積層された保護プレート225とを有する。
【0032】
ノズルプレート224は、ベルト搬送部21により搬送される用紙に向けて、インクの液滴を下方に吐出する複数のノズル穴226を有する。ノズル穴226は、ノズルプレート224を上下方向に貫通するように形成され、インクジェットヘッド221内のインク室223に連通している。ノズル穴226は、上側から下側に向かうにつれて直径が小さくなる部分円錐形状に形成されている。ノズル穴226の下側の開口の直径は、例えば、25μm程度に設定される。本実施の形態では、図3に示すように、ノズル穴226は、前後方向には等間隔で配置され、左右方向には、2つおきに同じ位置になるように、斜めに配置された3個単位で形成されている。ノズルプレート224は、基板261と、撥インク膜262とからなる。基板261は、ポリイミド等の樹脂からなる。撥インク膜262は基板261の下面に形成されている。撥インク膜262は、インクをはじく性質を有する材料からなり、例えば、アモルファスフッ素樹脂からなる。なお、ノズル穴226内には撥インク膜は形成されていない。
【0033】
保護プレート225は、ノズルプレート224を保護する。保護プレート225は、ステンレス合金等の金属からなる。保護プレート225は、ノズル穴226に対応する位置に形成され、ノズル穴226よりも大きく、ノズル穴226を外部に露出させる開口部228を有する。開口部228は、保護プレート225を上下方向に貫通するように形成されている。
【0034】
開口部228は、図5に示すように、中央部229と、2つの切込部230a,230bとを有する。
【0035】
中央部229は、ノズル穴226と同心で、ノズル穴226より大径の平面視円形状の貫通穴からなる。
【0036】
切込部230a,230bは、インクミストがノズルプレート224に付着して堆積したインクを毛管現象により引き込んで保持するものである。切込部230a,230bは、中央部229に連通し、ノズル穴226から遠ざかる先端側ほど幅Wが小さくなるように形成されている。これにより、切込部230a,230bにおいて、毛管現象によりインクがノズル穴226から遠くに集まるようになっている。本実施の形態では、切込部230a,230bは、それぞれ、中央部229の一部から用紙の搬送方向(左右方向)の上流側(左側)、下流側(右側)に延びるように形成されている。このように、切込部230a,230bが用紙の搬送方向に延びるようにした場合、用紙が搬送ベルト211から浮き上がって保護プレート225に接触しても、用紙が開口部228に引っ掛かることを抑えられる。ただし、切込部230a,230bが形成される方向はこれに限定されない。切込部230a,230bの入口の角部231は、平面視R形状に形成されている。これにより、インクが切込部230a,230bに進入しやすくなる。
【0037】
開口部228は、平面視におけるノズル穴226の外縁から開口部228の内縁までの距離が、保護プレート225の厚さより大きくなるように形成されている。図4、図5の例では、平面視におけるノズル穴226の半径をR1、中央部229の半径をR2とすると、ノズル穴226の外縁から開口部228の内縁までの距離の最小値は、R2−R1である。したがって、保護プレート225の厚さをTとすると、R2−R1>Tとなっている。例えば、ノズル穴226の直径を25μm(R1=12.5μm)、開口部228の直径を125μm(R2=62.5μm)、保護プレート225の厚さTを40μmに設定できる。また、例えば、切込部230a,230bの入口における幅Wは50μm、切込部230a,230bの長さは250μm程度に設定できる。
【0038】
インクミストがノズルプレート224に付着し堆積すると、ノズルプレート224の表面と開口部228の側壁228aとがなす角部にインクが集まる。このとき、図4に示すようなインク溜り10が形成される。インク溜り10は、開口部228の側壁228aに沿う長さL1と、ノズルプレート224の表面に沿う長さL2とが略等しくなるように形成される。ここで、インク溜り10が最大となるときのL1の値は、保護プレート225の厚さTである。したがって、上述のR2−R1>Tを満たすようにすることで、インク溜り10がノズル穴226に到達することを防止できる。このため、インク溜り10のインクがノズル穴226の周囲に残留してインクの吐出不良が生じることを防止できる。
【0039】
開口部228を有する保護プレート225を製造する方法は、特に限定されないが、エッチング、レーザ加工、電気鋳造等の技術を用いて保護プレート225を製造できる。
【0040】
ガイドローラ222は、搬送ベルト211上に保持されて搬送される用紙の上面を押さえるものである。これにより、用紙のインクジェットヘッド221への接触の低減が図られている。8本のガイドローラ222は、8列のインクジェットヘッド221の各列の上流側に配置されている。ガイドローラ222は、インクジェットヘッド221を保持するヘッドホルダ(図示せず)に保持されている。
【0041】
メンテナンス部3は、インクジェットヘッド221のメンテナンスを行うものである。メンテナンス部3は、印刷時には、図1に示す待機位置に配置される。メンテナンス部3の待機位置は、ベルト搬送部21の右側の下方にある。メンテナンス部3は、メンテナンス動作を行う際には、後述するメンテナンス位置に移動される。メンテナンス位置は、ベルト搬送部21と印刷部22との間にある。
【0042】
図2、図6〜図8に示すように、メンテナンス部3は、インク受け部材31と、駆動部32と、吸引部33と、移動モータ34と、上下モータ35とを備える。なお、図6〜図8は、メンテナンス部3がメンテナンス位置に配置された状態における図である。
【0043】
インク受け部材31は、メンテナンスによって除去されたインクを受けるものである。インク受け部材31は、メンテナンス部3の各部材を保持する。インク受け部材31は、直方体形状に形成されている。インク受け部材31の中央部には、インク等を受けるための凹部31aが形成されている。凹部31aは、平面視にて、インクジェットヘッド221が配置されている領域よりも大きくなるように形成されている。インク受け部材31の上側は、開口されている。
【0044】
駆動部32は、メンテナンス時に後述する吸引部33の吸引チャンバ331を前後方向に移動させるものである。駆動部32は、駆動モータ321と、駆動ベルト322と、1対の駆動プーリ323a,323bと、1対のネジ歯車324a,324bとを備える。
【0045】
駆動モータ321は、回転駆動力を発生する。駆動モータ321は、インク受け部材31の後壁の外側に配置されている。駆動モータ321は、出力ギヤ321aを有する。出力ギヤ321aは、駆動ベルト322に駆動モータ321の回転駆動力を伝達する。出力ギヤ321aは、駆動ベルト322の中央部に配置されている。駆動ベルト322は、駆動モータ321から伝達された回転駆動力を駆動プーリ323a,323bへと伝達する。駆動ベルト322は、駆動プーリ323aと駆動プーリ323bとに掛け渡されている。
【0046】
1対の駆動プーリ323a,323bは、駆動ベルト322から伝達された回転駆動力をネジ歯車324a,324bへと伝達する。駆動プーリ323aと駆動プーリ323bとは、左右方向に所定の間隔を開けて、略同じ高さに配置されている。駆動プーリ323a,323bは、インク受け部材31の後壁に回転可能に支持されている。
【0047】
ネジ歯車324a,324bは、駆動モータ321から伝達された回転駆動力によって後述する吸引部33の吸引チャンバ331を前後方向に移動させる。ネジ歯車324a,324bは、凹部31aの前後方向の略全長にわたって設けられている。ネジ歯車324a,324bの後端は、それぞれ駆動プーリ323a,323bの前端に固定されている。ネジ歯車324a,324bの前端は、インク受け部材31の前壁に回転可能に支持されている。これにより、ネジ歯車324a,324bは、それぞれ駆動プーリ323a,323bとともに回転される。
【0048】
吸引部33は、インクジェットヘッド221の下面である保護プレート225の表面225aをワイピングするとともに、開口部228からインクを吸引して除去する。吸引部33は、吸引チャンバ331と、16本の吸引パイプ332と、チューブ333と、ポンプ334と、蓋開閉部材335と、8枚のワイパ336とを備える。
【0049】
吸引チャンバ331は、吸引パイプ332に吸引力を発生させるための負圧室を形成するものである。吸引チャンバ331は、左右方向に細長い直方体形状に構成されている。吸引チャンバ331の上壁には、吸引パイプ332が貫通して固定されている。吸引チャンバ331の左壁には、チューブ333の一端が接続されている。吸引チャンバ331の前壁の右端部には、吸引パイプ332により吸引されたインクを排出するための廃液穴(図示せず)が形成され、この廃液穴を開閉するための廃液蓋337が設置されている。廃液蓋337は、バネ等の弾性力により閉じられるように構成されている。吸引チャンバ331がホームポジションにあるとき、図6に示すように、蓋開閉部材335の先端が廃液蓋337の右端部に突き当てられることで、廃液蓋337が開く。吸引チャンバ331の下壁の外側には、1対の接続部材338a,338bが配置されている。接続部材338a,338bには、それぞれネジ歯車324a,324bが貫通され、かつ、螺合されるネジ穴が形成されている。これにより、ネジ歯車324a,324bが回転されると、吸引チャンバ331は前後方向に移動する。
【0050】
吸引パイプ332は、インクジェットヘッド221の開口部228の切込部230a,230bからインクを吸引して除去するものであり、円筒形状に形成されている。吸引パイプ332を構成する材料は、ゴム等の弾性変形可能な材料であることが好ましい。吸引パイプ332は、吸引チャンバ331の上壁を貫通して設置されている。吸引パイプ332は、その上端が、メンテナンス位置において、保護プレート225の表面225aに当接するように設置されている。吸引パイプ332は、図6に示すように、平面視にて、前後方向に配列されたインクジェットヘッド221の各列に対して、2本ずつ設けられ、各インクジェットヘッド221の開口部228の切込部230a,230bからインクを吸引するように配置されている。
【0051】
チューブ333は、吸引チャンバ331とポンプ334とを接続し、ポンプ334により吸引チャンバ331から吸引される空気の流路となるものである。チューブ333は、ゴム等の弾性変形可能な材料からなり、吸引チャンバ331が凹部31aの前後方向の略全長にわたって移動可能な長さを有する。
【0052】
ポンプ334は、チューブ333を介して吸引チャンバ331から空気を吸引し、吸引パイプ332に吸引力を発生させるものである。ポンプ334は、インク受け部材31の後壁の外側に配置されている。
【0053】
蓋開閉部材335は、廃液蓋337を開閉するためのものである。蓋開閉部材335は、前後方向に延びる棒状部材からなり、一端がインク受け部材31の後壁に固定されている。図6に示すように、吸引チャンバ331がホームポジションにあるとき、蓋開閉部材335の先端が廃液蓋337の右端部に突き当たり、廃液蓋337が開くようになっている。メンテナンス動作中は、図7に示すように、吸引チャンバ331がホームポジションから前方に移動し、廃液蓋337が蓋開閉部材335から離れることで閉じられる。
【0054】
ワイパ336は、インクジェットヘッド221の保護プレート225の表面225aを摺動することによってインク等を除去する。ワイパ336は、弾性変形可能なゴム等の材料からなり、矩形の板状に形成されている。ワイパ336の下端部は、図示しない固定具によって吸引チャンバ331の前壁の外側に固定されている。図6に示すように、8枚のワイパ336は、平面視にて、前後方向に配列されたインクジェットヘッド221の各列の延長線上に配置されている。ワイパ336は、その上端が、メンテナンス位置において、インクジェットヘッド221の保護プレート225の表面225aよりも高くなるように配置されている。これにより、ワイパ336は、前後方向に移動されてインクジェットヘッド221と接すると、弾性変形されて保護プレート225の表面225aを摺動する。
【0055】
移動モータ34は、メンテナンス部3を図1に示した待機位置と後述する退避位置との間で移動させるものである。
【0056】
上下モータ35は、ベルト搬送部21およびメンテナンス部3を上下に移動させるものである。これにより、上下モータ35は、ベルト搬送部21を印刷位置、退避位置、およびメンテナンス位置の間で移動させる。また、上下モータ35は、メンテナンス部3を退避位置とメンテナンス位置との間で移動させる。
【0057】
制御部4は、印刷装置1全体の動作を制御するものである。制御部4は、CPU、RAM、ROM等を備えて構成される。具体的には、制御部4は、ベルトモータ216およびファン217を駆動させてベルト搬送部21により用紙を搬送させながら、インクジェットヘッド221からインクを吐出させて用紙に印刷させる。また、制御部4は、駆動モータ321およびポンプ334を駆動させて、吸引部33によりインクジェットヘッド221のメンテナンスを行わせる。また、制御部4は、移動モータ34、上下モータ35を駆動させて、メンテナンス部3およびベルト搬送部21を移動させる。
【0058】
次に、印刷装置1の印刷動作について説明する。
【0059】
印刷動作時においては、メンテナンス部3は、図1に示す待機位置にある。また、ベルト搬送部21は、図1に示す印刷位置にある。
【0060】
印刷開始が指示されると、制御部4は、ベルトモータ216によりベルト駆動ローラ212を回転駆動させる。これにより、搬送ベルト211が周回駆動される。また、制御部4は、ファン217を駆動させる。図示しない給紙部から用紙が給紙されると、ベルト搬送部21は、用紙を搬送ベルト211上に保持して搬送する。
【0061】
制御部4は、印刷データに基づくタイミングで、各インクジェットヘッド221のノズル穴226から搬送ベルト211上を搬送される用紙にインクを吐出させる。これにより、用紙に画像が印刷される。印刷された用紙は、ベルト搬送部21の下流側に設けられた図示しない排紙台に排紙されてストックされる。
【0062】
印刷動作中においては、インクジェットヘッド221からのインク吐出時に不要な微小インク滴であるインクミストが発生する。インクミストは、印刷装置1内を浮遊し、一部がインクジェットヘッド221に付着する。
【0063】
インクミストが開口部228により露出したノズルプレート224に付着して堆積したインクは、ノズルプレート224の表面と開口部228の側壁228aとがなす角部に集まり、さらに、毛管現象により切込部230a,230bに吸い込まれる。切込部230a,230bは、先端側ほど幅Wが小さくなっているので、インクは先端側に進入する。これにより、インクはノズル穴226から遠ざけられる。
【0064】
次に、印刷装置1のメンテナンス動作について説明する。
【0065】
図9は、メンテナンス動作を説明するためのフローチャートである。メンテナンス動作は、予め定められたタイミングや、ユーザに指示されたタイミング等で行われる。
【0066】
まず、ステップS10において、制御部4は、上下モータ35を駆動させて、図10に示すように、ベルト搬送部21を図1に示す印刷位置から下方の退避位置へと移動させる。
【0067】
次いで、ステップS20において、制御部4は、移動モータ34を駆動させて、図11に示すように、メンテナンス部3を図1、図10に示す待機位置から左上方の退避位置へと移動させる。
【0068】
次いで、ステップS30において、制御部4は、上下モータ35を駆動させて、図12に示すように、ベルト搬送部21を退避位置から上方のメンテナンス位置へと移動させる。これにより、メンテナンス部3が、退避位置から上方のメンテナンス位置へと移動する。
【0069】
ここで、メンテナンス部3がメンテナンス位置に移動されると、図8に示したように、ワイパ336の上端は、インクジェットヘッド221の保護プレート225の表面225aよりも上方に位置する。吸引パイプ332の上端は、保護プレート225の表面225aと略同じ高さに位置する。初期状態では、図6のように、吸引チャンバ331は、ワイパ336が最も後方のインクジェットヘッド221の後方になるホームポジションに位置している。
【0070】
次いで、ステップS40において、制御部4は、ポンプ334の駆動を開始させる。これにより、吸引チャンバ331から空気が吸引され、吸引パイプ332に吸引力が発生する。
【0071】
また、ステップS50において、制御部4は、吸引チャンバ331の前方への移動を開始させる。具体的には、制御部4は、駆動モータ321の駆動を開始させる。駆動モータ321の回転駆動力は、出力ギヤ321a、駆動ベルト322、駆動プーリ323a,323bにより伝達され、ネジ歯車324a,324bを回転させる。これにより、吸引チャンバ331が前方へと移動する。ワイパ336の上部がインクジェットヘッド221と接触する位置まで移動すると、図13に示すように、ワイパ336はインクジェットヘッド221に押圧されて弾性変形する。この状態でワイパ336が前方へ移動すると、ワイパ336の前面が、インクジェットヘッド221の保護プレート225の表面225aを摺動する。これにより、保護プレート225の表面225aに付着したインクがワイパ336の前面によって除去される。
【0072】
また、ワイパ336に続いて、吸引パイプ332が保護プレート225の表面225aを通過する。インクジェットヘッド221の1列あたりに2本が設けられた吸引パイプ332は、図14に示すように、開口部228の切込部230a,230b上を通過する。これにより、切込部230a,230bから吸引パイプ332にインクが吸引される。開口部228の切込部230a,230b外の中央部229にあるインクは、切込部230a,230bからインクが吸引された際に、吸引力や毛管力により、切込部230a,230bに導かれ、吸引パイプ332に吸引される。したがって、吸引パイプ332に先行するワイパ336により開口部228に流入したインクも、吸引パイプ332に吸引される。これにより、開口部228からインクが取り除かれる。吸引パイプ332に吸引されたインクは、廃液として吸引チャンバ331内に導かれる。
【0073】
吸引チャンバ331が最も前方のインクジェットヘッド221よりも前方まで移動し、吸引パイプ332がインクジェットヘッド221を通過すると、ステップS60において、制御部4は、駆動モータ321を停止させる。これにより、吸引チャンバ331が停止する。なお、制御部4は、吸引チャンバ331の位置を位置検出センサやロータリーエンコーダ等により検出する。
【0074】
また、ステップS70において、制御部4は、ポンプ334を停止させる。
【0075】
次いで、ステップS80において、制御部4は、上下モータ35を駆動させて、ベルト搬送部21とともにメンテナンス部3を、メンテナンス位置から下方の退避位置へと移動させる。この退避位置では、ワイパ336の上端は、インクジェットヘッド221の保護プレート225の表面225aよりも下方に位置する。
【0076】
次いで、ステップS90において、制御部4は、駆動モータ321を駆動させて、吸引チャンバ331の後方への移動を開始させる。ここで、メンテナンス部3は退避位置に配置されているので、ワイパ336がインクジェットヘッド221と接触することなく、吸引チャンバ331は後方へと移動する。
【0077】
次いで、ステップS100において、吸引チャンバ331が図6に示したホームポジションまで移動すると、制御部4は、駆動モータ321を停止させる。これにより、吸引チャンバ331が停止する。このとき、蓋開閉部材335の先端が廃液蓋337の右端部に突き当たり、廃液蓋337が開く。
【0078】
次いで、ステップS110において、制御部4は、移動モータ34を駆動させて、メンテナンス部3を図1、図10に示す待機位置まで移動させる。ここで、廃液蓋337が開状態でメンテナンス部3が右下がりに傾くので、吸引チャンバ331の廃液穴(図示せず)から廃液のインクがインク受け部材31の凹部31aに流れ出る。
【0079】
そして、ステップS120において、制御部4は、上下モータ35を駆動させて、ベルト搬送部21を図1に示す印刷位置へと移動させる。以上により、メンテナンス動作が終了する。
【0080】
以上説明したように、インクジェットヘッド221では、ノズル穴226の周辺まで、ノズルプレート224が保護プレート225により保護されている。印刷動作中、ベルト搬送部21により搬送される用紙は、ガイドローラ222により搬送ベルト211から浮き上がらないように押さえられる。しかし、例えば、反り等の変形が生じている用紙を印刷媒体として用いた場合、ガイドローラ222があっても用紙の浮き上がりが生じ、インクジェットヘッド221に用紙が接触するおそれがある。インクジェットヘッド221では、用紙が保護プレート225に接触しても、ノズルプレート224に接触することは避けられる。この結果、インクジェットヘッド221では、用紙の接触によりノズル穴226の周囲が破損することを抑えられる。
【0081】
また、開口部228は、切込部230a,230bを有し、インクミストに由来する余分なインクを毛管現象により切込部230a,230bに引き込む。切込部230a,230bは、先端側ほど幅Wが小さくなっているので、インクは先端側に進入し、ノズル穴226から遠ざけられる。これにより、ノズル穴226の周囲に余分なインクが残留することを防止できる。
【0082】
このように、インクジェットヘッド221によれば、用紙の接触によるノズル穴226の周囲の破損、ノズル穴226の周囲における余分なインクの残留を抑えることができ、ノズル穴226からのインクの吐出不良を防止できる。この結果、インクジェットヘッド221によれば、印刷品質の低下を抑制できる。
【0083】
また、余分なインクがノズル穴226から遠ざけられて切込部230a,230bに保持されるので、メンテナンスの頻度を少なくできる。
【0084】
また、切込部230a,230bを、用紙の搬送方向に延びるように形成することで、用紙が搬送ベルト211から浮き上がって保護プレート225に接触しても、用紙が開口部228に引っ掛かって用紙の搬送を乱すことを抑えられる。
【0085】
また、インクジェットヘッド221では、平面視におけるノズル穴226の外縁から開口部228の内縁までの距離が、保護プレート225の厚さより大きくなるように構成されている。これにより、ノズルプレート224の表面と開口部228の側壁228aとがなす角部に集まったインクがノズル穴226の周囲に残留することを防止でき、インクの吐出不良を防止できる。
【0086】
また、切込部230a,230bの入口の角部231が、平面視R形状に形成されているので、開口部228においてインクが切込部230a,230bに進入しやすくすることができる。
【0087】
また、印刷装置1では、メンテナンス部3により切込部230a,230bからインクを吸引するメンテナンスを行う。ノズル穴226上を吸引すると、ノズル穴226からインクが染み出し、このインクがノズル穴226の周囲に残留するおそれがある。印刷装置1では、切込部230a,230bからインクを吸引することで、ノズル穴226からインクが染み出させることなく、余分なインクをインクジェットヘッド221から取り除くことができる。
【0088】
なお、開口部228の少なくとも一部の側壁228aとノズルプレート224の表面とがなす角θが、図15に示すように、垂直ではなく鋭角であってもよい。例えば、切込部230a,230bにおける角θを鋭角とする。角θを鋭角とすることにより、毛管現象の作用が強くなり、より確実に、インクをノズル穴226から遠ざけることができる。
【0089】
また、開口部228の少なくとも一部の側壁228aを、図16に示すように、ノズルプレート224側に凸の断面R形状に形成してもよい。この場合も、上記の角θを鋭角にした場合と同様の作用効果が得られる。
【0090】
また、本実施の形態では、切込部230a,230bは、連続的に先端側ほど幅Wが小さくなる、つまり、対向する側壁228a間の距離が先端側に進むにつれて連続的に小さくなる形状とした。しかし、この形状に限らず、例えば、切込部230a,230bの一部において対向する側壁228aが平行になる部分があってもよい。
【0091】
また、開口部228における2つの切込部230a,230bのうちの一方を省略してもよい。
【0092】
(変形例1)
図17は、実施の形態の変形例1に係るインクジェットヘッドの開口部を示す図である。図17に示すように、変形例1における開口部228Aは、図5に示した開口部228の切込部230a,230bを、切込部240a,240bに置き換えた構成である。
【0093】
切込部240a,240bは、図5に示した切込部230a,230bの先端側に、インクを貯留するためのインク貯留部241a,241bが形成されたものである。インク貯留部241a,241bは、切込部240a,240bの先端部において幅が広がった形状に形成される。変形例1では、図17に示すように、インク貯留部241a,241bは、平面視円形状の貫通穴からなる。
【0094】
開口部228Aが形成された保護プレート225Aを有するインクジェットヘッド221Aにおいては、図18に示すように、各開口部228Aのインク貯留部241a,241bの左右方向の位置が揃うようにすることが好ましい。そして、メンテナンス部3においては、吸引パイプ332がインク貯留部241a,241bからインクを吸引するように配置する。
【0095】
開口部228Aは、切込部240a,240bの先端側に進入したインクをインク貯留部241a,241bに貯留する。これにより、開口部228Aは、より多くのインクを切込部240a,240bに保持できる。この結果、変形例1によれば、メンテナンスの頻度を減少させることができる。また、インク貯留部241a,241bからインクを吸引するメンテナンスを行うことで、インクジェットヘッド221Aから効率的に余分なインクを取り除くことができる。
【0096】
(変形例2)
図19は、実施の形態の変形例2におけるインクジェットヘッドを下側から見た図である。図3、図18のような前後方向にノズル穴226が配列されたノズル列を2列有するインクジェットヘッドが存在する。図19に示すように、変形例2のインクジェットヘッド221Bは、ノズル列を左右に2列有するものである。
【0097】
図19に示すように、インクジェットヘッド221Bの保護プレート225Bには、2列のノズル列に共通の共通開口部228Bが形成されている。
【0098】
共通開口部228Bは、図20に示すように、第1開口部250aと、第2開口部250bとからなる。第1開口部250aおよび第2開口部250bは、図17に示した変形例1の開口部228Aと同様の構成である。第1開口部250aはインク貯留部251a,251bを有し、第2開口部250bはインク貯留部251b,251cを有する。中央のインク貯留部251bは、第1開口部250a、第2開口部250bの共有である。すなわち、共通開口部228Bは、図15に示した開口部228Aを2つ連結し、1つのインク貯留部を共通化した構成である。
【0099】
インクジェットヘッド221Bにおいては、図19に示すように、各共通開口部228Bのインク貯留部251a,251b,251cの左右方向の位置が揃うようにすることが好ましい。そして、インクジェットヘッド221Bをメンテナンスするメンテナンス部は、図6、図7に示したメンテナンス部3に、吸引パイプ332を8本追加した構成とする。すなわち、インクジェットヘッド221Bに対応するメンテナンス部は、図6と同様に配列されるインクジェットヘッド221Bの各列に対して、インク貯留部251a,251b,251cに対応する3つの吸引パイプ332を有する構成とする。
【0100】
変形例2によれば、2列のノズル列を有するインクジェットヘッドにおいても、変形例1と同様の作用効果を得ることができる。
【0101】
本発明は上記実施の形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施の形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施の形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。
【符号の説明】
【0102】
1 印刷装置
2 搬送印刷部
3 メンテナンス部
4 制御部
21 ベルト搬送部
22 印刷部
31 インク受け部材
32 駆動部
33 吸引部
221 インクジェットヘッド
224 ノズルプレート
225,225A,225B 保護プレート
226 ノズル穴
228,228A 開口部
228B 共通開口部
228a 側壁
229 中央部
230a,230b,240a,240b 切込部
241a,241b,251a,251b,251c インク貯留部
331 吸引チャンバ
332 吸引パイプ
334 ポンプ
336 ワイパ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
インクの液滴を吐出するノズル穴を有するノズルプレートと、
前記ノズル穴に対応する位置に形成され前記ノズル穴を外部に露出させる開口部を有し、前記ノズルプレートに積層された保護プレートとを備え、
前記開口部は、少なくとも一部が前記ノズル穴から遠ざかる先端側ほど幅が小さくなる切込部を有することを特徴とするインクジェットヘッド。
【請求項2】
平面視における前記ノズル穴の外縁から前記開口部の内縁までの距離が、前記保護プレートの厚さより大きいことを特徴とする請求項1に記載のインクジェットヘッド。
【請求項3】
前記開口部の少なくとも一部の側壁と前記ノズルプレートの表面とのなす角が鋭角であることを特徴とする請求項1または2に記載のインクジェットヘッド。
【請求項4】
前記開口部の少なくとも一部の側壁がノズルプレート側に凸の断面R形状に形成されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のインクジェットヘッド。
【請求項5】
前記切込部は、先端側に形成され、インクを貯留するインク貯留部を有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のインクジェットヘッド。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2012−232552(P2012−232552A)
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−104258(P2011−104258)
【出願日】平成23年5月9日(2011.5.9)
【出願人】(000250502)理想科学工業株式会社 (1,191)
【Fターム(参考)】