説明

インクジェット印刷装置及びそのノズルクリーニング方法

【課題】インク滴の大きさを変えて実施する吐出テストの結果に応じて洗浄を行うことにより、装置の起動時間に占めるメンテナンスの割合を低減させて、装置の稼働率を向上させることができる。
【解決手段】制御部は、各ノズルから小中大の三種類からなる大きさのインク滴を吐出させるフラッシング動作を行わせ、インク滴検出部により吐出状態を検出させる吐出テストを実施させ、その吐出テストの結果に応じた洗浄をインク供給部に実行させる。不吐出となったインク滴の大きさの組合せは、ノズルの不具合の状態を表すので、不吐出となったインク滴の大きさに応じて洗浄度合いを異なるものとすることにより、短時間で洗浄を終えることができる場合がある。その結果、ノズルの洗浄に要する時間を抑制することができ、装置の起動時間に占めるメンテナンスの割合を低減させて、装置の稼働率を向上させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクジェットヘッドと印刷用紙とを相対的に移動させつつインクジェットヘッドからインク滴を吐出して印刷用紙に印刷を行うインクジェット印刷装置及びそのノズルクリーニング方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の装置として、インクジェットヘッドに対して印刷用紙を移動させつつ、インクジェットヘッドの各ノズルからインク滴を吐出させることにより、印刷用紙に対して印刷を行うものがある。インクジェット印刷装置は、一般的に、微小な複数個のノズルをインクジェットヘッドに備え、各ノズルからインク滴を吐出する。そのため、インクジェット印刷装置では、塵埃や、インク滴の粘度が高くなる増粘によるノズル詰まりが生じることがある。そのような状態で印刷を行うと、インク滴の不吐出が生じて、印刷用紙に白筋等が発生することがある。このような白筋等が発生した場合には、その印刷物は不良となって破棄されることになる。
【0003】
そこで、従来のインクジェット印刷装置では、ノズルの不吐出を検出する吐出テストを実施するようになっている。そして、不吐出のノズルがあると、ノズルからインク滴を吸引または加圧によって排出させるパージを行い、ノズルの洗浄が行われる。これにより、インク滴の不吐出が回復され、正常にインク滴を吐出するノズルによって印刷が正常に行われるようになる。
【0004】
上述した吐出テストは、例えば、次のように行われている。
【0005】
複数個のノズルが配置されている方向に受光部と発光部とを対向配置させておき、各ノズルから順にインク滴を吐出させ、そのときの受光部における検出状態により吐出または不吐出を検出する。そして、不吐出のノズルがある場合には、ノズルの洗浄を行う(例えば、特許文献1〜3参照)。
【0006】
また、ノズルに配置されたヒータによりインクを加熱して吐出する方式のインクジェットヘッドを備えている場合には、インク滴から赤外線が放射されるので、赤外線センサによりノズルの不吐出を検出するものがある(例えば、特許文献4参照)。
【0007】
また、複数のインクジェットヘッドを備えている場合には、投光部と、受光部と、反射部とを配置して、吐出テストを行うものがある(例えば、特許文献5参照)。また、投光部と受光部とをインクジェットヘッドのノズル配列方向に対して交差するように配置しておき、印字中にも吐出テストを実施できるようにしたものがある(例えば、特許文献6参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平10−119307号公報
【特許文献2】特開2001−113725号公報
【特許文献3】特開2003−127430号公報
【特許文献4】特開2004−42281号公報
【特許文献5】特開2005−186381号公報
【特許文献6】特開2006−240119号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、このような構成を有する従来例の場合には、次のような問題がある。
すなわち、従来の装置は、吐出テストの結果、不吐出のノズルの個数にかかわらず、不吐出のノズルがあれば洗浄を行う。したがって、インクジェット印刷装置の起動時間に占めるメンテナンスの割合が多くなることがある。その結果、インクジェット印刷装置の稼働率が低下することがあるという問題がある。
【0010】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、インク滴の大きさを変えて実施する吐出テストの結果に応じて洗浄を行うことにより、装置の起動時間に占めるメンテナンスの割合を低減させて、装置の稼働率を向上させることができるインクジェット印刷装置及びそのノズルクリーニング方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、このような目的を達成するために、次のような構成をとる。
すなわち、請求項1に記載の発明は、インクジェットヘッドと印刷用紙とを相対的に移動させることにより印刷を行うインクジェット印刷装置において、印刷用紙の相対的な移動方向と直交する印刷用紙の幅方向に配列され、少なくとも二種類の大きさのインク滴を吐出可能な複数個のノズルを備えたインクジェットヘッドと、前記各ノズルからのインク滴の吐出状態を検出するインク滴検出手段と、前記各ノズルにおけるインク滴の不吐出を回復させる不吐出回復手段と、前記各ノズルから少なくとも二種類の大きさのインク滴を吐出させるフラッシング動作を行わせ、前記インク滴検出手段により吐出状態を検出させる吐出テストを実施させ、その吐出テストの結果に応じた洗浄を前記不吐出回復手段に実行させる制御手段と、を備えていることを特徴とするものである。
【0012】
[作用・効果]請求項1に記載の発明によれば、制御手段は、各ノズルから少なくとも二種類の大きさのインク滴を吐出させるフラッシング動作を行わせ、インク滴検出手段により吐出状態を検出させる吐出テストを実施させ、その吐出テストの結果に応じた洗浄を不吐出回復手段に実行させる。不吐出となったインク滴の大きさの組合せは、ノズルの不具合の状態を表す。したがって、不吐出となったインク滴の大きさに応じて洗浄度合いを異なるものとすることにより、短時間で洗浄を終えることができる場合がある。その結果、ノズルの洗浄に要する時間を抑制することができ、装置の起動時間に占めるメンテナンスの割合を低減させて、装置の稼働率を向上させることができる。
【0013】
また、本発明において、前記不吐出回復手段は、前記各ノズルに対して、インク滴を排出させるパージにより洗浄を行う機能を備え、かつ、弱い洗浄である弱パージと、弱パージより強い強パージとを実行可能であり、前記制御手段は、印刷前において、前記各ノズルに対して、小インク滴と、大インク滴とを吐出させる吐出テストを実施させ、小インク滴だけが不吐出である場合には弱パージを行わせ、小インク滴及び大インク滴が不吐出である場合には、強パージを行わせることが好ましい(請求項2)。印刷前において、制御手段は、小インク滴だけが不吐出である場合には弱パージを行わせ、小インク滴及び大インク滴が不吐出である場合には、強パージを行わせる。これにより、小インク滴だけが不吐出である場合には、弱パージを行うので、小インク滴及び大インク滴が不吐出である場合に比較して、パージに要する時間を短縮することができる。したがって、ノズルの不吐出状態に応じて、ノズルの洗浄に要する時間を抑制することができる。
【0014】
また、本発明において、前記不吐出回復手段は、前記各ノズルに対して、インク滴を排出させるパージにより洗浄を行う機能を備え、かつ、弱い洗浄である弱パージと、弱パージより強い中パージと、中パージより強い強パージとを実行可能であり、前記制御手段は、印刷前において、前記各ノズルに対して、小インク滴と、中インク滴と、大インク滴とを吐出させる吐出テストを実施させ、小インク滴だけが不吐出である場合には弱パージを行わせ、小インク滴及び中インク滴が不吐出であって、かつ大インク滴が吐出である場合には中パージを行わせ、小インク滴及び中インク滴及び大インク滴が不吐出である場合には、強パージを行わせることが好ましい(請求項3)。印刷前において、制御手段は、小インク滴だけが不吐出である場合には弱パージを行わせ、小インク滴及び中インク滴が不吐出であって、かつ大インク滴が吐出である場合には中パージを行わせ、小インク滴及び中インク滴及び大インク滴が不吐出である場合には、強パージを行わせる。これにより、小インク滴だけが不吐出である場合には、弱パージを行うので、小インク滴及び中インク滴が不吐出であって、かつ大インク滴が吐出である場合や、小インク滴及び中インク滴及び大インク滴が不吐出である場合に比較して、パージに要する時間を短縮することができる。また、小インク滴及び中インク滴が不吐出であって、かつ大インク滴が吐出である場合には、中パージを行うので、小インク滴及び中インク滴及び大インク滴が不吐出である場合に比較して、パージに要する時間を短縮することができる。したがって、ノズルの不吐出状態に応じて、ノズルの洗浄に要する時間を抑制することができる。
【0015】
また、本発明において、前記制御手段は、吐出テスト後に、いずれかのパージを行わせた後、再び吐出テストを実施させ、全インク滴が吐出である場合にのみ、印刷を開始させることが好ましい(請求項4)。印刷前において実施した吐出テストでは、全種類のインク滴のいずれもが吐出された場合にのみ印刷を開始させるので、品質高く印刷を行うことができる。
【0016】
また、本発明において、前記制御手段は、前記吐出テストの結果、小インク滴だけの不吐出であっても、その不吐出のノズルが所定の領域内に集中している場合には、強パージを行わせることが好ましい(請求項5)。小インク滴のみが不吐出である場合であっても、それらの不吐出ノズルが所定の領域内に集中している場合には、不吐出ノズルが分散している場合に比較して不吐出の原因が重大である恐れがある。したがって、小パージでは不吐出を回復できないことが考えられるので、強パージを行わせる。その結果、不吐出が回復する確度を高めることができる。
【0017】
また、本発明において、前記制御手段は、前記吐出テストの結果、小インク滴だけの不吐出、または小インク滴及び中インク滴だけの不吐出であっても、その不吐出のノズルが所定の領域内に集中している場合には、強パージを行わせることが好ましい(請求項6)。小インク滴のみが不吐出である場合や、小インク滴及び中インク滴のみが不吐出である場合であっても、それらの不吐出ノズルが所定の領域内に集中している場合には、不吐出ノズルが分散している場合に比較して不吐出の原因が重大である恐れがある。したがって、小パージや中パージでは不吐出を回復できないことが考えられるので、強パージを行わせる。その結果、不吐出が回復する確度を高めることができる。
【0018】
また、本発明において、前記制御手段は、印刷中において、前記吐出テストを前記印刷用紙の印刷領域の間で実施させ、前記吐出テストの結果、小インク滴だけが不吐出である場合には、不吐出の吐出ノズルに代えて、隣接するノズルで印刷を継続させ、大インク滴が不吐出である場合には、強パージを行った後に印刷を中止させることが好ましい(請求項7)。小インク滴だけが不吐出である場合には、不吐出の吐出ノズルに代えて、隣接するノズルで印刷を継続させたとしても、印刷の品質低下を最小限に抑えることができる。但し、大インク滴が不吐出である場合には、隣接するノズルで代替すると印刷品質が低下するので、強パージを行った後に印刷を中止させる。したがって、不吐出が軽微である場合には、隣接ノズルによる代替により印刷を継続させて稼働率を向上させることができる。一方、不吐出が重大である場合には、印刷を中止させ、印刷品質が低下した状態で印刷が継続されることを防止することができる。
【0019】
また、本発明において、前記制御手段は、印刷中において、前記吐出テストを前記印刷用紙の印刷領域の間で実施させ、前記吐出テストの結果、小インク滴だけが不吐出である場合には、不吐出の吐出ノズルに代えて、隣接するノズルで印刷を継続させ、小インク滴及び中インク滴が不吐出である場合には、隣接するノズルで印刷を継続させ、大インク滴が不吐出である場合には、強パージを行った後に印刷を中止させることが好ましい(請求項8)。小インク滴だけが不吐出である場合には、不吐出の吐出ノズルに代えて、隣接するノズルで印刷を継続させたとしても、印刷の品質低下を最小限に抑えることができる。また、小インク滴及び中インク滴が不吐出である場合には、隣接するノズルで印刷を継続させたとしても、印刷の品質低下を抑制することができる。但し、大インク滴が不吐出である場合には、隣接するノズルで代替すると印刷品質が低下するので、強パージを行った後に印刷を中止させる。したがって、不吐出が軽微である場合には、隣接ノズルによる代替により印刷を継続させて稼働率を向上させることができる。一方、不吐出が重大である場合には、印刷を中止させ、印刷品質が低下した状態で印刷が継続されることを防止することができる。
【0020】
また、請求項9に記載の発明は、インクジェットヘッドと印刷用紙とを相対的に移動させることにより印刷を行うインクジェット印刷装置におけるノズルクリーニング方法において、印刷用紙の相対的な移動方向と直交する印刷用紙の幅方向に配列され、少なくとも二種類の大きさのインク滴を吐出可能な複数個のノズルを備えたインクジェットヘッドについて、各ノズルから少なくとも二種類の大きさのインク滴を吐出させるフラッシング動作過程と、各ノズルの吐出状態を検出させる吐出テスト過程と、前記吐出テストの結果に応じて、インク滴の吐出を回復させる洗浄を行わせる不吐出回復過程と、を備えていることを特徴とするものである。
【0021】
[作用・効果]請求項9に記載の発明によれば、フラッシング動作過程において各ノズルから少なくとも二種類の大きさのインク滴を吐出させ、吐出テスト過程において各ノズルの吐出状態を検出させる。そして、不吐出回復過程において、吐出テストの結果に応じて、インク滴の吐出を回復させる。不吐出となったインク滴の大きさの組合せは、ノズルの不具合の状態を表す。したがって、不吐出となったインク滴の大きさに応じて洗浄度合いを異なるものとすることにより、短時間で洗浄を終えることができる場合がある。その結果、ノズルの洗浄に要する時間を抑制することができ、装置の起動時間に占めるメンテナンスの割合を低減させて、インクジェット印刷装置の稼働率を向上させることができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明に係るインクジェット印刷装置によれば、制御手段は、各ノズルから少なくとも二種類の大きさのインク滴を吐出させるフラッシング動作を行わせ、インク滴検出手段により吐出状態を検出させる吐出テストを実施させ、その吐出テストの結果に応じた洗浄を不吐出回復手段に実行させる。不吐出となったインク滴の大きさの組合せは、ノズルの不具合の状態を表す。したがって、不吐出となったインク滴の大きさに応じて洗浄度合いを異なるものとすることにより、短時間で洗浄を終えることができる場合がある。その結果、ノズルの洗浄に要する時間を抑制することができ、装置の起動時間に占めるメンテナンスの割合を低減させて、装置の稼働率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】実施例に係るインクジェット印刷システムの全体を示す概略構成図である。
【図2】印刷ユニットの概略構成を示す図であり、(a)及び(b)は印刷時を示し、(c)、(d)はメンテナンス時を示す。
【図3】要部のブロック図である。
【図4】印刷前のフラッシングを示すフローチャートである。
【図5】印刷中のフラッシングを示すフローチャートである。
【図6】群抜けを説明するための模式図であり、(a)は設定領域を示し、(b)は群抜けとされる場合を示し、(c)は群抜けではない場合を示す。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面を参照して本発明の一実施例について説明する。
図1は、実施例に係るインクジェット印刷システムの全体を示す概略構成図である。
【0025】
実施例に係るインクジェット印刷システムは、ロール状の連続紙WPを供給する給紙部1と、連続紙WPに印刷を行うインクジェット印刷装置3と、印刷を終えた連続紙WPをロール状に巻き取る排紙部5とを備えている。
【0026】
給紙部1は、ロール状の連続紙WPを水平軸周りに回転可能に保持し、インクジェット印刷装置3に対して連続紙WPを巻き出して供給する。また、排紙部5は、インクジェット印刷装置3で印刷された連続紙WPを水平軸周りに巻き取る。連続紙WPの供給側を上流とし、連続紙の排紙側を下流とすると、給紙部1はインクジェット印刷装置3の上流側に配置されており、排紙部5はインクジェット印刷装置3の下流側に配置されている。
【0027】
インクジェット印刷装置3は、給紙部1からの連続紙WPを取り込むための駆動ローラ7を上流側に備えている。駆動ローラ7によって給紙部1から巻き出された連続紙WPは、複数個の搬送ローラ9に沿って下流側の排紙部5に向かって搬送される。最下流の搬送ローラ9と排紙部5との間には、駆動ローラ11が配置されている。この駆動ローラ11は、搬送ローラ9上を搬送されている連続紙WPを排紙部5に向かって送り出す。
【0028】
インクジェット印刷装置3は、駆動ローラ7と駆動ローラ11との間に、印刷ユニット13と、乾燥部15と、検査部17とを上流側からその順で備えている。乾燥部15は、印刷ユニット13によって印刷された部分の乾燥を行う。検査部17は、印刷された部分に汚れや抜け等がないかを検査する。
【0029】
印刷ユニット13は、インク滴を吐出するインクジェットヘッド19を備えている。印刷ユニット13は、連続紙WPの搬送方向に沿って複数個配置されているのが一般的である。例えば、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)について個別に4個の印刷ユニット13を備えている。しかし、以下においては、発明の理解を容易にするために、1個の印刷ユニット13だけを備えるものとして説明する。また、印刷ユニット13は、連続紙WPの搬送方向と直交する方向にも複数個のインクジェットヘッド19を備えている。印刷ユニット13は、連続紙WPの幅方向における印刷領域を移動することなく印刷できるだけのインクジェットヘッド19を複数個備えている。つまり、本実施例におけるインクジェット印刷装置3は、インクジェットヘッド19が連続紙WPの搬送方向に直交する方向に主走査のために移動することがなく、位置固定のままで連続紙WPを送りながら連続紙WPに対して印刷を行う。
【0030】
ここで、印刷ユニット13について図2を参照して詳細に説明する。図2は、印刷ユニットの概略構成を示す図であり、(a)及び(b)は印刷時を示し、(c)、(d)はメンテナンス時を示す。なお、図2では、(a)及び(c)が図1における上流側から印刷ユニット13を見たものであり、(b)及び(d)が図1の紙面に垂直な方向から見た図であるとして説明する。
【0031】
印刷ユニット13は、複数個のインクジェットヘッド19を備えている。各インクジェットヘッド19は、連続紙WPの搬送方向と直交する連続紙WPの幅方向に配列された複数個のノズル21を備えている。各ノズル21は、いわゆる多値ノズルと呼ばれ、少なくとも二種類の大きさのインク滴を吐出可能に構成されている。各インクジェットヘッド19は、ノズルフレーム23に取り付けられている。各インクジェットヘッド19には、インク供給部20からインク滴が供給される。また、インク供給部20は、インク滴を供給するだけでなく、後述する「パージ」を行う機能も備えている。
【0032】
なお、上述したインク滴供給部20が本発明における「不吐出回復手段」に相当する。
【0033】
ヘッドフレーム23は、昇降駆動部25により昇降移動される。具体的には、印刷位置とメンテナンス位置との間で昇降される。印刷位置は、図2(a)、(b)に示すように、インクジェットヘッド19の下面が連続紙WPに近接した高さであり、メンテナンス位置は、図2(c)、(d)に示すように、インクジェットヘッド19の下面が印刷位置よりも上方に位置する高さである。
【0034】
ヘッドフレーム23に隣接した位置には、メンテナンスフレーム27が設けられている。このメンテナンスフレーム27は、姿勢駆動部29によって移動される。具体的には、ヘッドフレーム23の昇降に連動して、印刷位置とメンテナンス位置とで前後に移動されつつ昇降される。より具体的には、インクジェットヘッド19が印刷位置にある際には、図2(b)に示すように、インクジェットヘッド19の背後に回り込み、かつ、インクジェットヘッド19の下面よりもメンテナンスフレーム27が高い位置となるように移動される。その際には、メンテナンスフレーム27の液受け部31が水平を維持したままである。また、インクジェットヘッド19がメンテナンス位置にある際には、図2(d)に示すように、インクジェットヘッド19の下面と連続紙WPとの間にメンテナンスフレーム27が位置するように移動される。この際も、液受け部31が水平を維持したままである。液受け部31は、後述するフラッシングの際にインクジェットヘッド19から吐出されるインク滴を回収する。
【0035】
メンテナンスフレーム27のうち、各インクジェットヘッド19を挟む紙面方向の両端部には、インク滴検出部33が設けられている。このインク滴検出部33は、後述するフラッシングの際に、インクジェットヘッド19から吐出される各種大きさのインク滴を検出するためのものである。インク滴検出部33は、一方に投光部35を備え、投光部35から各インクジェットヘッド19を挟んで離間した他方に受光部37を備えている。
【0036】
投光部35は、レーザダイオード37と、光学系39と、反射ミラー41とを備えている。レーザダイオード37は、レーザ光を下方へ放射する。光学系39は、レーザダイオード37からのレーザ光を反射ミラー41へと導く。反射ミラー41は、インクジェットヘッド19の下面に沿って、上方から放射されてきたレーザ光を反射させる。受光部37は、反射ミラー43と、光学系45と、フォトダイオード47とを備えている。反射ミラー43は、インクジェットヘッド19の下面に沿って放射されたレーザ光を上方へと反射させる。光学系45は、反射ミラー43で上方へ向けられたレーザ光をフォトダイオード47に収束させる。フォトダイオード47は、レーザ光の強度を検出する。
【0037】
なお、上述したインク滴検出部33が本発明における「インク滴検出手段」に相当する。
【0038】
上述した昇降駆動部25と、姿勢駆動部29と、インク滴検出部33(投光部35、受光部37)とは、図3に示す要部のブロック図のように、制御部49によって統括的に制御される。制御部49は、CPUなどを備えている。制御部49には、記憶部51が接続されている。記憶部51は、後述する洗浄処理等のプログラムを予め記憶されているとともに、後述する吐出テストの結果を吐出マップとして記憶する。また、後述する群抜けを判断する領域の大きさを設定領域として予め格納されている。図3では省略しているが、制御部49は上述した駆動ローラ7や乾燥部15,検査部17等も制御する。
【0039】
なお、上述した制御部49が本発明における「制御手段」に相当する。
【0040】
ここで、図4〜6を参照して、上述したインクジェット印刷装置3におけるノズル21の洗浄処理について説明する。なお、図4は、印刷前のフラッシングを示すフローチャートであり、図5は、印刷中のフラッシングを示すフローチャートである。また、図6は、群抜けを説明するための模式図であり、(a)は設定領域を示し、(b)は群抜けとされる場合を示し、(c)は群抜けではない場合を示す。
【0041】
最初に、図4を参照して連続紙WPに対する印刷が開始される前におけるノズル21の洗浄処理について説明する。なお、印刷前は、上述したメンテナンス位置にインクジェットヘッド19とメンテナンスフレーム27とが位置しているものとする。
【0042】
ステップS1,S2
制御部49は、インク供給部20を操作してフラッシングを行わせる。フラッシングとは、印刷と同様にインク滴を各ノズル21から吐出させる動作である。但し、連続紙WPに対して実際に印刷を行うのではなく、メンテナンス位置における空打ちである。具体的には、各ノズル21から順に小インク滴を吐出させる。各ノズル21から吐出された小インク滴は、液受け部31で回収される。
【0043】
ここでいう小インク滴とは、例えば、インクジェットヘッド19から吐出可能な最小のインク滴である。その際、各ノズル21から吐出する小インク滴が時間的に重複しないように順次に吐出される。そして、インク滴検出部33からの検出信号に基づいて、各ノズル21から小インク滴が吐出されたか否かを判断し、その結果を各ノズル21と対応付けて記憶部51に格納する。
【0044】
このときの吐出/不吐出の判断は、受光部37の信号強度に基づいて制御部49が判断することができる。つまり、受光部37の信号強度が所定の閾値より低い(信号強度が0や極めて低い)場合には、レーザ光がインク滴によって遮られているので、小インク滴がノズル21から吐出されていることを示す。一方、受光部37の信号強度が所定の閾値よりも高い場合には、レーザ光がインク滴で遮られていないので、小インク滴がノズル21から吐出されていないことを示す。この時点で全ノズル21から小インク滴が吐出されている場合には、インクジェットヘッド19の全ノズル21が正常であると判断して、図7の印刷開始(ステップS11)に分岐する。なお、ここでは、一つでも小インク滴の不吐出となったノズル21があったものとして説明する。
【0045】
ステップS3,S4
次に、制御部49は、インク供給部20を操作して中インク滴によるフラッシングを行わせる。中インク滴は、上述した小インク滴より大きく、後述する大インク滴よりも小さなインク滴である。制御部49は、このときの各ノズル21からの中インク滴の吐出/不吐出を検出して、各ノズル21と対応付けて記憶部51に格納する。
【0046】
ここで全ノズル21から中インク滴が吐出されている場合には、インクジェットヘッド19の全ノズル21が中インク滴では正常であるが、小インク滴の吐出に不具合があるので、小インク滴の吐出を回復させるための「弱パージ」に分岐する(ステップS7)。なお、ここでは、一つでも中インク滴の不吐出となったノズル21があったものとして説明する。
【0047】
ステップS5,S6
制御部49は、インク供給部20を操作して大インク滴によるフラッシングを行わせる。大インク滴は、上述した中インク滴より大なるインク滴である。例えば、インクジェットヘッド19から吐出可能な最大のインク滴である。制御部49は、このときの各ノズル21からの大インク滴の吐出/不吐出を検出して、各ノズル21と対応付けて記憶部51に格納する。
【0048】
ここで全ノズル21から大インク滴が吐出されている場合には、インクジェットヘッド19の全ノズル21が大インク滴では正常であるが、小インク滴及び中インク滴の吐出に不具合があるので、小インク滴及び中インク滴の吐出を回復させるための「中パージ」に分岐する(ステップS8)。なお、ここでは、一つでも大インク滴の不吐出となったノズル21があったものとして説明する。
【0049】
ステップS9
制御部49は、インク供給部20を操作して、小中大インク滴の吐出を回復させるための「強パージ」を行わせる。パージは、例えば、インク供給部20を操作して、各ノズル21に充填されているインクを吸引して排出させる。これにより各ノズル21を覆っていたインク滴の固まりや塵埃を吸引して除去することができ、インク滴の吐出を回復させることができる場合がある。
【0050】
ここで「強パージ」は、インク供給部20で行うことができる吸引力を最大としたり、あるいは吸引時間を長くしたりする。ステップS7の「中パージ」は、「強パージ」よりも吸引力を弱めたり、あるいは吸引力が同じであっても吸引時間を短くしたりする。また、ステップS6の「弱パージ」は、「中パージ」よりも吸引力を弱めたり、あるいは吸引力が同じであっても吸引時間を短くしたりする。
【0051】
なお、上述したステップS1〜S6が本発明における「吐出テスト」に相当する。また、ステップS1,S3,S5が本発明における「フラッシング動作過程」に相当し、ステップS2,S4,S6が本発明における「不吐出テスト過程」に相当し、ステップS7〜S9が本発明における「不吐出回復過程」に相当する。
【0052】
上述したステップS7,S8を終えた後は、ステップS10において「群抜け」の判断を行う。ここで、図6を参照する。図6中においては、インクジェットヘッド19における各ノズル21を「○」で表し、かつ不吐出のノズル21については「●」で表している。これらは、上述したステップS4,S6を実施した時点における記憶部51の吐出マップを示す。また、図6中において二点鎖線で示した領域arは、群抜けを判断する設定領域を示す。
【0053】
制御部49は、各ノズル21を基準として設定領域arの範囲における不吐出の個数をカウントする。設定領域arは、例えば、図6(a)のように、あるノズル21を基準として、連続する3個のノズル21と、隣接する列における連続する3個のノズル21を含む領域である。その結果、例えば、図6(b)のように設定領域ar内に4個のノズル21に不吐出がある場合には、群抜けであると判断する。一方、例えば、図6(a)や図6(c)の場合は、群抜けではないと判断する。制御部49は、群抜けがあると判断した場合には、ステップS9の強パージを行わせる。これは、「群抜け」は、不吐出のノズル21が分散している場合に比較して不吐出の原因が重大である恐れがあるからである。したがって、小パージや中パージでは不吐出を回復できないことが考えられるので、強パージを行わせる。その結果、不吐出が回復する確度を高めることができる。
【0054】
ステップS9,S10の後、ステップS1に戻って全ノズル21における小インク滴の不吐出がなくなるまで上述した処理を繰り返し実行する。このように、印刷前において実施した吐出テストでは、全種類のインク滴のいずれもが吐出された場合にのみ印刷を開始させるので、品質高く印刷を行うことができる。
【0055】
次に、上述した処理により全ノズル21から小インク滴が吐出される状態となった場合について、図5を参照して説明する。
【0056】
ステップS11〜S13
制御部49は、駆動ローラ7等を操作して、連続紙WPを送り出す。さらに、制御部49は、昇降駆動部25及び姿勢駆動部29を操作して、インクジェットヘッド19を印刷位置に移動させ、メンテナンスフレーム27をインクジェットヘッド19の背後に移動させる(図2(a)、(b))。そして、送られてきた印刷用データに基づいてインク供給部20からインク滴を吐出させ、印刷終了となるまで繰り返し実行する(ステップS11〜S13)。このとき印刷を進める中で、印刷領域と印刷領域の間になった場合には、フラッシングの要否を判断する(ステップS12)。これは、例えば、所定のインク量を消費した場合や、所定の長さの連続紙WPが送られた場合や、所定の面積を印刷した場合などの基準で判断すればよい。
【0057】
ステップS14,S15
フラッシングが必要となった場合、制御部49は、昇降駆動部25及び姿勢駆動部29を操作して、インクジェットヘッド19とメンテナンスフレーム27をメンテナンス位置に移動させる(図2(b))。そして、各ノズル21について小インク滴によるフラッシングを行わせ、全てのノズル21が小インク滴を吐出した場合には、ステップS13へ移行し、インクジェットヘッド19を印載位置に移動させて印刷を継続する。
【0058】
ステップS16,S17
制御部49は、小インク滴のフラッシングにおいて不吐出があった場合には、次に中インク滴によるフラッシングを行わせる。ここで、小インク滴では不吐出があったが、中インク滴では不吐出がなかった場合には、ステップS23へ処理を分岐して、後述する「代替印刷」へ移行する。
【0059】
ステップS18,S19
制御部49は、小インク滴及び中インク滴によるフラッシングで不吐出があった場合には、次に大インク滴によるフラッシングを行わせる。ここで、小中インク滴では不吐出であったが、大インク滴では不吐出がなかった場合には、ステップS24へ処理を分岐して、後述する「リカバー印刷」へ移行する。
【0060】
ステップS21,S22
小中大の全インク滴において不吐出があった場合、不吐出の原因が重大であると考えられるので、制御部49は、印刷を停止した後、図示しないワイパー等も用いてヘッドクリーニングを行わせる。
【0061】
上述した「代替印刷」は、次のようなものである。
小インク滴が不吐出であり、中インク滴が吐出できる場合は、小インク滴が不吐出となったノズル21に代えて、不吐出のノズル21に隣接する他の正常なノズル21によって、不吐出のノズル21が吐出すべき小インク滴を代わりに吐出させる。これにより、吐出すべき小インク滴の位置がずれるが、ノズル21が微小間隔で配置されていることや、吐出するインク滴が小さいので、隣接するノズル21により代替させても見た目にわかりにくい。したがって、印刷品質をある程度維持させつつ、印刷を継続させて稼働率を向上させることができる。
【0062】
また、上述した「リカバー印刷」は、次のようなものである。
小中インク滴が不吐出であり、大インク滴が吐出である場合は、小中インク滴が不吐出となったノズル21に代えて、不吐出のノズル21に隣接する他の正常なノズル21によって、不吐出のノズル21が吐出すべき小中インク滴を代わりに吐出させる。これにより、吐出すべき小中インク滴の位置がずれるが、ノズル21が微小間隔で配置されていることや、吐出するインク滴が小中で小さいので、隣接するノズル21で印刷を行って見た目に極端な差異が生じにくい。したがって、印刷品質をある程度維持させつつ、印刷を継続させて稼働率を向上させることができる。
【0063】
本実施例装置によると、制御部49は、各ノズル21から小中大の三種類からなる大きさのインク滴を吐出させるフラッシング動作を行わせ、インク滴検出部33により吐出状態を検出させる吐出テストを実施させ、その吐出テストの結果に応じた洗浄をインク供給部20に実行させる。不吐出となったインク滴の大きさの組合せは、ノズル21の不具合の状態を表すので、不吐出となったインク滴の大きさに応じて洗浄度合いを異なるものとすることにより、短時間で洗浄を終えることができる場合がある。その結果、ノズル21の洗浄に要する時間を抑制することができ、装置の起動時間に占めるメンテナンスの割合を低減させて、装置の稼働率を向上させることができる。
【0064】
また、印刷前においては、制御部49は、小インク滴だけが不吐出である場合には弱パージを行わせ、小インク滴及び中インク滴が不吐出であって、かつ大インク滴が吐出である場合には中パージを行わせ、小インク滴及び中インク滴及び大インク滴が不吐出である場合には、強パージを行わせる。これにより、小インク滴だけが不吐出である場合には、弱パージを行うので、小インク滴及び中インク滴が不吐出であって、かつ大インク滴が吐出である場合や、小インク滴及び中インク滴及び大インク滴が不吐出である場合に比較して、パージに要する時間を短縮することができる。また、小インク滴及び中インク滴が不吐出であって、かつ大インク滴が吐出である場合には、中パージを行うので、小インク滴及び中インク滴及び大インク滴が不吐出である場合に比較して、パージに要する時間を短縮することができる。したがって、ノズル21の不吐出状態に応じて、ノズル21の洗浄に要する時間を抑制することができる。
【0065】
本発明は、上記実施形態に限られることはなく、下記のように変形実施することができる。
【0066】
(1)上述した実施例では、小中大の三種類からなるインク滴を吐出させて吐出テストを行わせた。しかしながら、本発明は、上述した小中大に加えて特大などのように四種類以上の大きさのインク滴を吐出させる吐出テストを行わせてもよい。
【0067】
(2)上述した実施例では、小中大の三種類からなる大きさのインク滴を吐出させて吐出テストを行わせた。しかしながら、本発明は、小大のように二種類の大きさのインク滴を吐出させる吐出テストを行わせるようにしてもよい。その場合には、吐出テストの結果、小インク滴だけの不吐出であっても、その不吐出のノズルが所定の領域内に集中している群抜けがある場合には、強パージを行わせることが好ましい。
【0068】
また、印刷中において、連続紙WPの印刷領域の間で吐出テストを実施させ、吐出テストの結果、小インク滴だけが不吐出である場合には、不吐出の吐出ノズルに代えて、隣接するノズルで印刷を継続させ、大インク滴が不吐出である場合には、強パージを行った後に印刷を中止させることが好ましい。
【0069】
(2)上述した実施例では、パージとして吸引によるパージを例にとって説明したが、本発明は加圧によるパージであっても同様の効果を奏する。
【0070】
(3)上述した実施例では、群抜けを判断して不吐出の状況によっては強パージを行うようにした。しかし、本発明は群抜けを判断することが必須ではなく、群抜けが生じても弱パージや中パージで十分に不吐出を回復させることができる場合には不要である。
【0071】
(4)また、上述した実施例では、設定領域arを、あるノズル21を基準として連続する3個のノズル21と、隣接する列における連続する3個のノズル21を含む領域とした。しかし、本発明における群抜けはこれに限定されるものではない。また、群抜けと判断するのに設定領域ar内において4個のノズル21が不吐出である場合としたが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0072】
(5)上述した実施例では、ロール状の連続紙WPに印刷するインクジェット印刷装置を例にとって説明した。しかし、本発明はこのような連続紙WPに限定されるものではなく、各種の印刷用紙に印刷するインクジェット印刷装置に適用できる。
【0073】
(6)上述した実施例では、メンテナンス位置が連続紙WPの上方に位置するインクジェット印刷装置を例にとった。しかしながら、本発明はこのような装置に限定されない。具体的には、メンテナンス位置が連続紙WPの側方に外れた位置に設けられているものであっても本発明を適用することができる。
【符号の説明】
【0074】
WP … 連続紙
1 … 給紙部
3 … インクジェット印刷装置
5 … 排紙部
7 … 駆動ローラ
9 … 搬送ローラ
11 … 駆動ローラ
13 … 印刷ユニット
15 … 乾燥部
17 … 検査部
19 … インクジェットヘッド
20 … インク供給部
21 … ノズル
23 … ヘッドフレーム
25 … 昇降駆動部
27 … メンテナンスフレーム
29 … 姿勢駆動部
31 … 液受け部
33 … インク滴検出部
49 … 制御部
51 … 記憶部
ar … 設定領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
インクジェットヘッドと印刷用紙とを相対的に移動させることにより印刷を行うインクジェット印刷装置において、
印刷用紙の相対的な移動方向と直交する印刷用紙の幅方向に配列され、少なくとも二種類の大きさのインク滴を吐出可能な複数個のノズルを備えたインクジェットヘッドと、
前記各ノズルからのインク滴の吐出状態を検出するインク滴検出手段と、
前記各ノズルにおけるインク滴の不吐出を回復させる不吐出回復手段と、
前記各ノズルから少なくとも二種類の大きさのインク滴を吐出させるフラッシング動作を行わせ、前記インク滴検出手段により吐出状態を検出させる吐出テストを実施させ、その吐出テストの結果に応じた洗浄を前記不吐出回復手段に実行させる制御手段と、
を備えていることを特徴とするインクジェット印刷装置。
【請求項2】
請求項1に記載のインクジェット印刷装置において、
前記不吐出回復手段は、前記各ノズルに対して、インク滴を排出させるパージにより洗浄を行う機能を備え、かつ、弱い洗浄である弱パージと、弱パージより強い強パージとを実行可能であり、
前記制御手段は、印刷前において、前記各ノズルに対して、小インク滴と、大インク滴とを吐出させる吐出テストを実施させ、小インク滴だけが不吐出である場合には弱パージを行わせ、小インク滴及び大インク滴が不吐出である場合には、強パージを行わせることを特徴とするインクジェット印刷装置。
【請求項3】
請求項1に記載のインクジェット印刷装置において、
前記不吐出回復手段は、前記各ノズルに対して、インク滴を排出させるパージにより洗浄を行う機能を備え、かつ、弱い洗浄である弱パージと、弱パージより強い中パージと、中パージより強い強パージとを実行可能であり、
前記制御手段は、印刷前において、前記各ノズルに対して、小インク滴と、中インク滴と、大インク滴とを吐出させる吐出テストを実施させ、小インク滴だけが不吐出である場合には弱パージを行わせ、小インク滴及び中インク滴が不吐出であって、かつ大インク滴が吐出である場合には中パージを行わせ、小インク滴及び中インク滴及び大インク滴が不吐出である場合には、強パージを行わせることを特徴とするインクジェット印刷装置。
【請求項4】
請求項2または3に記載のインクジェット印刷装置において、
前記制御手段は、吐出テスト後に、いずれかのパージを行わせた後、再び吐出テストを実施させ、全インク滴が吐出である場合にのみ、印刷を開始させることを特徴とするインクジェット印刷装置。
【請求項5】
請求項2または4に記載のインクジェット印刷装置において、
前記制御手段は、前記吐出テストの結果、小インク滴だけの不吐出であっても、その不吐出のノズルが所定の領域内に集中している場合には、強パージを行わせることを特徴とするインクジェット印刷装置。
【請求項6】
請求項3または4に記載のインクジェット印刷装置において、
前記制御手段は、前記吐出テストの結果、小インク滴だけの不吐出、または小インク滴及び中インク滴だけの不吐出であっても、その不吐出のノズルが所定の領域内に集中している場合には、強パージを行わせることを特徴とするインクジェット印刷装置。
【請求項7】
請求項2,4,5のいずれかに記載のインクジェット印刷装置において、
前記制御手段は、印刷中において、前記吐出テストを前記印刷用紙の印刷領域の間で実施させ、前記吐出テストの結果、小インク滴だけが不吐出である場合には、不吐出の吐出ノズルに代えて、隣接するノズルで印刷を継続させ、大インク滴が不吐出である場合には、強パージを行った後に印刷を中止させることを特徴とするインクジェット印刷装置。
【請求項8】
請求項3,4,6のいずれかに記載のインクジェット印刷装置において、
前記制御手段は、印刷中において、前記吐出テストを前記印刷用紙の印刷領域の間で実施させ、前記吐出テストの結果、小インク滴だけが不吐出である場合には、不吐出の吐出ノズルに代えて、隣接するノズルで印刷を継続させ、小インク滴及び中インク滴が不吐出である場合には、隣接するノズルで印刷を継続させ、大インク滴が不吐出である場合には、強パージを行った後に印刷を中止させることを特徴とするインクジェット印刷装置。
【請求項9】
インクジェットヘッドと印刷用紙とを相対的に移動させることにより印刷を行うインクジェット印刷装置におけるノズルクリーニング方法において、
印刷用紙の相対的な移動方向と直交する印刷用紙の幅方向に配列され、少なくとも二種類の大きさのインク滴を吐出可能な複数個のノズルを備えたインクジェットヘッドについて、各ノズルから少なくとも二種類の大きさのインク滴を吐出させるフラッシング動作過程と、
各ノズルの吐出状態を検出させる吐出テスト過程と、
前記吐出テストの結果に応じて、インク滴の吐出を回復させる洗浄を行わせる不吐出回復過程と、
を備えていることを特徴とするノズルクリーニング方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2012−201076(P2012−201076A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−69881(P2011−69881)
【出願日】平成23年3月28日(2011.3.28)
【出願人】(000207551)大日本スクリーン製造株式会社 (2,640)
【Fターム(参考)】