説明

インクジェット用インク

【課題】常温保存における保存安定性が良好であり、1回のジェッティングで比較的厚い膜(1μm以上)を形成できる、ポリアミド酸を25重量%以上の高濃度で含有するインクジェット用インクが求められている。
【解決手段】少なくとも、酸無水物基を2つ以上有する化合物(a1)と、ジアミン(a2)と、式(1)で表される末端架橋剤(a3)または式(2)で表される末端架橋剤(a4)とを反応させて得られる、分子末端に架橋性基を有し、重量平均分子量が500〜7,500であるポリアミド酸(A)を含むインクジェット用インクによる。





(式中、RおよびRは独立して不飽和炭化水素構造を有する炭素数2〜100の有機基である。)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はインクジェット用インクに関し、例えば電子部品製作において絶縁膜層を形成するためのポリアミド酸組成物、該組成物を用いて形成されるポリイミド膜、および該ポリイミド膜を形成したフィルム基板、該フィルム基板を有する電子部品に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリイミドは耐熱性、電気絶縁性に優れるため電子通信分野で広く用いられている材料である(例えば、特許文献1〜3参照。)。
ポリイミドを所望のパターン膜として使用する場合、従来はエッチングや感光性ポリイミドを用いてパターンを形成することが一般的であったが、フォトレジスト、現像液、エッチング液、剥離液などの多種大量の薬液が必要であり、さらに煩雑な工程を要するものであった。そこで、近年、インクジェットにより所望のパターン膜を形成する方法が検討されている。
インクジェット用インクは各種提案されているが(例えば、特許文献4〜5参照。)、インクジェットインクとして吐出・印刷するためには、粘度、表面張力、溶剤の沸点等の様々なパラメータを最適化して行かなくてはならない。例えば、粘度に関しては、一般的には1〜20mPa・s程度の低粘度であることが求められ、特にピエゾ方式のインクジェット印刷の場合は圧電素子の吐出圧力が小さいため、粘度が大きくなると場合によっては吐出不能となったりする。表面張力については、20〜70mN/mの範囲、好ましくは
20〜40mN/mの範囲に調整しなければならない。表面張力が小さいと、インクはプリンターヘッドのノズルから出た直後に広がってしまい良好な液滴が形成できなくなる。反対に大きすぎるとメニスカスを形成できなくなるため吐出不能になったりする。さらに、溶剤の沸点は100〜300℃、好ましくは150〜250℃の範囲に入る必要がある。沸点が低すぎると、プリンターヘッドのノズル部のインク中の溶剤が蒸発してしまう。そのためインクの粘度が変わり吐出できなくなったり、あるいはインクの成分が固化してしまうことがある。逆に沸点が高すぎると、印刷後の乾燥が遅すぎて印刷パターンが悪化することがある。
【0003】
ポリイミド系のインクジェット用インクは、ポリアミド酸が比較的高分子であるため、インクジェット用インクとして最適な粘度のインクを調製するためには、溶媒の割合を増やしてインク中のポリアミド酸含有量を少なくする必要がある。しかし、これによって、1回のインクジェッティングで得られる膜の厚さが薄くなってしまうという問題がある。
例えば、ポリアミド酸の重量平均分子量を10,000〜50,000に制御することによりインクの低粘度化を図り、ポリアミド酸の含有量を大きくすることが提案されている(例えば、特許文献6参照)。しかしながら、重量平均分子量が10,000より小さくなると十分な機械的強度が得られないため、ポリマー濃度が15〜20重量%程度と小さいものであった。また、粘度も15〜25mPa・sと比較的高いためインクジェット吐出不良が生じ易いという問題がある。
【0004】
また、熱架橋剤と、該熱架橋剤と反応可能な基を有する重量平均分子量300〜9,000のポリイミドまたはポリベンゾオキサゾールを含有するインクジェット用熱硬化性樹脂組成物が提案されている(例えば、特許文献7参照)。熱架橋剤と反応可能なフェノール性水酸基、カルボキシル、スルホンアミドなどの基を有するポリイミドまたはポリベンゾオキサゾールを含有する組成物に関するものであり、該組成物はエポキシ化合物、メチロール化合物、アルコキシメチロール化合物、ビスマレイミド、不飽和結合を有するビスイミド化合物、アセチレン化合物などの熱架橋剤を必須とするため、保存安定性や熱硬化時の残存未反応物等が問題である。
【0005】
その他、ポリマーの重量平均分子量を制御したインクジェット用組成物が各種提案されているが、重量平均分子量が非常に幅広い範囲で規定されていたり、溶解性に問題のある可溶性ポリイミドやその他のポリマーであった(例えば、特許文献8〜12参照)。しかしながら、重量平均分子量を10,000以下に制御したポリアミド酸を用いたインクジェット用インクは提案されていない。
【0006】
一方、テトラカルボン酸二無水物とジアミンと末端架橋剤とを反応させて得られ、分子末端に架橋性基を有するポリアミック酸またはポリイミドのオリゴマーが提案されている(例えば、特許文献13〜15参照)。しかしながらこれらのオリゴマーは、耐熱性の良好なポリイミド樹脂を生成するプレプリグを提供するものであり、特にガラス繊維、アラミド繊維、カーボン繊維、アルミナ繊維、シリコンカーバイト繊維等を補強材とした繊維強化複合材のマトリックス樹脂として用いるものである。プレプリグは通常20重量%以上の溶液に補強用の繊維を含浸して使用されるものであり、インクジェット用インクとはその設計思想、使用法が全く異なるものである。あるいは、末端に熱硬化可能な官能基を有するイミド化合物が開示されているが(例えば、特許文献16参照)、これについても、インクジェット用インクとしての使用を想定されているものでなく、インクジェット用インクとして必要な粘度や表面張力の最適化については何ら考慮されたものではない。
【0007】
特定構造の繰り返し単位と分子末端の5〜99モル%に架橋性を有することを特徴とする架橋性基含有ポリイミド前駆体が提案されている(例えば、特許文献17参照。)。そして、末端架橋剤として炭素−炭素二重結合等の不飽和基を用いること、分子末端にアミノ基を残存させることによりポリアミド酸の保存安定性が良好になることが開示されている。
しかしながら、該技術はポリイミド系の耐熱性の接着剤に関するものであり、流延・キャスト、混錬押し出し等の方法で高粘度のポリイミド前駆体溶液を基板上に塗布した後、加熱して接着剤として使用するため、インクジェットインクとして使用可能な粘度範囲からは明らかに外れるものである。
ポリイミド等の縮合系高分子は、2種のモノマー成分のモル数を合わせることにより高分子量体を得ることが出来る。該技術は、モノマー成分のジアミンとテトラカルボン酸二無水物のモル数を、それぞれM1とM2としたときに、M1:M2=1.00:0.90〜0.999に調整することにより、高分子量体のポリアミド酸を合成するものである。必然的に、インクジェット用途で最適な、高濃度で且つ低粘度の溶液を調製することは困難となっている。
【0008】
さらに、両末端に反応性基を有する結晶性樹脂を必須成分とするインクジェットインク組成物が提案されている(例えば特許文献18参照。)。該技術は、芳香族ポリエステル、脂肪族ポリアミド、芳香族ポリアミド、ポリオレフィン等の結晶性樹脂の末端に反応性基を導入して、ダレ、ブリードを抑制するものであり、一般的には非結晶性樹脂として知られているポリイミド樹脂の分子末端に架橋性基を有し、重量平均分子量を制御する技術とは異なるものである。
【0009】
上記の諸問題を解決するために、ポリアミド酸の末端に分子架橋基を反応させて分子量の制御を行った、低粘度・高濃度の熱硬化性インクジェット用インクが提案(特許文献19、20参照)されている。しかしながら、分子架橋性基としてトリエトキシシリル基などのシリコン含有官能基を有するポリアミック酸を含有するインクジェット用インクが開示されているのみであり、分子架橋基として不飽和炭化水素構造を有するものついては何ら記載されていない。
【0010】
【特許文献1】特開2000−039714号公報
【特許文献2】特開2003−238683号公報
【特許文献3】特開2004−094118号公報
【特許文献4】特開2003−213165号公報
【特許文献5】特開2006−131730号公報
【特許文献6】特開2005−187596号公報
【特許文献7】特開2007−314647号公報
【特許文献8】特開2000−101206号公報
【特許文献9】特開2000−101240号公報
【特許文献10】特開2000−129181号公報
【特許文献11】特開2007−297480号公報
【特許文献12】特開2006−124650号公報
【特許文献13】特開昭59−167569号公報
【特許文献14】特開昭64−542029号公報
【特許文献15】特開2004−331801号公報
【特許文献16】特開昭62−29584号公報
【特許文献17】特開2001−323065号公報
【特許文献18】特開2005−206820号公報
【特許文献19】特開2009−035700号公報
【特許文献20】特開2009−035702号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
常温保存における保存安定性が良好であり、1回のジェッティングで比較的厚い膜(1μm以上)を形成できる、ポリアミド酸を25重量%以上の高濃度で含有するインクジェット用インクが求められている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者等は、上記課題を解決するために、鋭意検討を行った。その結果、熱硬化性組成物に含まれる下記構成のポリアミド酸(A)のうち、重量平均分子量が500〜7,500のポリアミド酸(A)をインクジェット用インクに用いることで、前記課題を解決できることを見出し、本発明を完成させた。
本発明は以下の構成を有する。
【0013】
[1] 少なくとも、酸無水物基を2つ以上有する化合物(a1)と、ジアミン(a2)と、式(1)で表される末端架橋剤(a3)または式(2)で表される末端架橋剤(a4)とを反応させて得られる、分子末端に架橋性基を有し、重量平均分子量が500〜7,500であるポリアミド酸(A)を含むインクジェット用インク。




(式中、RおよびRは独立して不飽和炭化水素構造を有する炭素数2〜100の有機基である。)
[2] 酸無水物基を2つ以上有する化合物(a1)が、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、2,2−[ビス(3,4ージカルボキシフェニル)]ヘキサフルオロプロパン二無水物、エチレングリコールビス(アンヒドロトリメリテート)、シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、メチルシクロブタンテトラカルボン酸二無水物、シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物、エタンテトラカルボン酸二無水物およびブタンテトラカルボン酸二無水物、p−フェニレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)、4,4’−[(イソプロピリデン)ビス(p−フェニレンオキシ)]ジフタル酸二無水物、エチレンジアミン四酢酸二無水物、3,3’,4,4’−ビシクロヘキシルテトラカルボン酸二無水物、3,3,4−ジカルボキシ−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン琥珀酸二無水物、1,3−ジヒドロ−1,3−ジオキソ−5−イソベンゾフランカルボン酸−5,5−[(1−メチルエチリデン)ジ−4,1−フェニレン]エステル、1,3-ジヒドロ-1,3-ジオキソ-5-イソベンゾフランカルボン酸、p-フェニレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)からなる群から選ばれる1以上である、前記[1]項記載のインクジェット用インク。
[3] ジアミン(a2)が、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、m−キシリレンジアミン、p−キシリレンジアミン、2,2’−ジアミノジフェニルプロパン、ベンジジン、1,1−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]シクロヘキサン、1,1−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]−4−メチルシクロヘキサン、ビス[4−(4−アミノベンジル)フェニル]メタン、1,1−ビス[4−(4−アミノベンジル)フェニル]シクロヘキサン、1,1−ビス[4−(4−アミノベンジル)フェニル]4−メチルシクロヘキサン、1,1−ビス[4−(4−アミノベンジル)フェニル]シクロヘキサン、1,1−ビス[4−(4−アミノベンジル)フェニル]−4−メチルシクロヘキサン、1,1−ビス[4−(4−アミノベンジル)フェニル]メタン、ジエチレングリコールビス(3-アミノプロピル)エーテル、1,2−ビス(2-アミノエトキシ)エタン、1,4-ブタンジオールビス(3-アミノプロピル)エーテル、3,9-ビス(3-アミノプロピル)-2,4,8,10-テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン、4,4‘−ビス(4-アミノフェノキシ)ビフェニル、1.6−ビス(4−((4−アミノフェニル)メチル)フェニル)ヘキサン、1,3-ビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン、α,α’-ビス(4-アミノフェニル)-1,4-ジイソプロピルベンゼン、1,4−ビス(3−アミノプロピル)ピペラジン,N,N‘−ビス(3−アミノプロピル)エチレンジアミン、1,4-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,3-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、ネオペンチルグリコールビス(4−アミノフェニル)エーテル、式(4)


(式中、RおよびRは独立して炭素数1〜3のアルキルまたはフェニルであり、Rはメチレンまたはアルキルで置き換えられていてもよいフェニレンであり、2つのxは独立して1〜6の整数であり、yは1〜70の整数であり、複数存在するR、RおよびRは、それぞれ互いに同じであっても異なっていてもよい。)


(式中、Aは、単結合、−O−、−COO−、−OCO−、−CO−、−CONH−または−(CH−(pは1〜6の整数である)であり、Rは、ステロイド骨格を有する基、または、シクロヘキサン環およびベンゼン環からなる群より選ばれる少なくとも1種の環構造を有する基であり、ベンゼン環に結合している2つのアミノ基の位置関係がパラ位のときは、Rは炭素数1〜30のアルキルであってもよく、前記位置関係がメタ位のときは、Rは炭素数1〜10のアルキル、または−F、−CH、−OCH、−OCHF、−OCHFもしくは−OCFで置き換えられていてもよいフェニルであってもよく、前記炭素数1〜30のアルキルおよび炭素数1〜10のアルキルにおいては、任意の−CH−が−CF−、−CHF−、−O−、−CH=CH−または−C≡C−で置き換えられていてもよく、任意の−CHが−CHF、−CHFまたは−CFで置き換えられていてもよい。)で表される化合物からなる群から選ばれる1以上である、前記[1]項記載のインクジェット用インク。
[4] 末端架橋剤(a3)が、マレイン酸無水物、シトラコン酸無水物、イタコン酸無水物、アリルナジック酸無水物、5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物、4−エチニルフタル酸無水物、フェニルエチニルフタル酸無水物、シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物、exo−3,6−エポキシ−1,2,3,6−テトラヒドロフタル酸無水物、アリルこはく酸無水物からなる群から選ばれる1以上である、前記[1]項記載のインクジェット用インク。
[5] 末端架橋剤(a4)が、4−エチニルアニリン、3−エチニルアニリン、プロパギルアミン、3−アミノブチン、4−アミノブチン、5−アミノペンチン、4−アミノペンチン、アリルアミン、7−アミノヘプチン、m−アミノスチレン、p−アミノスチレン、m−アミノ−α−メチルスチレン、3−アミノフェニルアセチレン、4−アミノフェニルアセチレンからなる群から選ばれる1以上である、前記[1]項記載のインクジェット用インク。
[6] さらに溶媒(B)を含む前記[1]〜[5]のいずれか1項記載のインクジェット用インク。
[7] 溶媒(B)が、乳酸エチル、エタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、シクロヘキサノン、1,3−ジオキソラン、エチレングリコールジメチルエーテル、1,4−ジオキサン、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、アニソール、エチルラクテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールイソプロピルメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールブチルメチルエーテル、トリプロピレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル(1−ブトキシ−2−プロパノール)、プロピレングリコールモノエチルエーテル(1−エトキシ−2−プロパノール)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(1−メトキシ−2−プロパノール)、トリエチレングリコールジビニルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、テトラメチレングリコールモノビニルエーテル、安息香酸メチル、安息香酸エチル、1−ビニル−2−ピロリドン、1−ブチル−2−ピロリドン、1−エチル−2−ピロリドン、1−(2−ヒドロキシエチル)−2−ピロリドン、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、1−アセチル−2−ピロリドン、N,N−ジエチルアセトアミド、N,N−ジメチルプロピオンアミド、N−メチル−ε−カプロラクタム、1,3-ジメチル−2−イミダゾリジノンおよびγ−ブチロラクトンからなる群から選ばれる1以上である、前記[6]項記載のインクジェット用インク。
[8] 溶媒(B)が、溶媒全重量に対してアミド系溶媒を20重量%以上含まない、前記[6]項または前記[7]項記載のインクジェット用インク。
[9] 溶媒(B)が、アミド系溶媒を含まない、前記[6]項または前記[7]項記載のインクジェット用インク。
[10] 反応に用いる、酸無水物基を2つ以上有する化合物(a1)のモル数をn1、ジアミン(a2)のモル数をn2、および末端架橋剤(a3)のモル数をn3としたとき、それぞれのモル数が、n2≧n1+0.5×n3、および0.02≦n1/n2≦0.5の関係になるように反応させることによって得られる、分子末端に架橋性基を有するポリアミド酸(A)を含む前記[1]項記載のインクジェット用インク。
[11] 反応に用いる、酸無水物基を2つ以上有する化合物(a1)のモル数をn1、ジアミン(a2)のモル数をn2、および末端架橋剤(a4)のモル数をn4としたとき、それぞれのモル数が、n2≧n1−0.5×n4、および0.2≦n2/n1≦0.5の関係になるように反応させることによって得られる、分子末端に架橋性基を有するポリアミド酸(A)を含む前記[1]項記載のインクジェット用インク。
[12] ポリアミド酸(A)の重量平均分子量が500〜3,500である、前記[1]〜[11]のいずれか1項記載のインクジェット用インク。
[13] ポリアミド酸(A)の重量平均分子量が900〜2,500である、前記[12]項記載のインクジェット用インク。
[14] インクジェット用インク100重量部に対して、ポリアミド酸(A)25〜60重量部を含む前記[1]〜[13]のいずれか1項記載のインクジェット用インク。
[15] 前記[1]〜[14]のいずれか1項記載のインクジェット用インクをインクジェット塗布方法によって塗布してポリアミド酸膜を形成する工程、および、ポリアミド酸膜を加熱処理してポリイミド膜を形成する工程、を経て得られたポリイミド膜またはパターン状ポリイミド膜。
[16] 前記[1]〜[14]のいずれか1項記載のインクジェット用インクをインクジェット塗布方法によって塗布してから乾燥させてポリアミド酸膜を形成する工程、および、ポリアミド酸膜を加熱処理してポリイミド膜を形成する工程を含むインク塗布方法。
[17] 前記[16]項に記載のインク塗布方法を用いてポリイミド膜を形成する、ポリイミド膜形成方法。
[18] 前記[17]項に記載のポリイミド膜形成方法で基板上にポリイミド膜が形成されたフィルム基板。
[19] 前記[18]項に記載のフィルム基板を有する電子部品。
[20] 少なくとも、酸無水物基を2つ以上有する化合物(a1)と、ジアミン(a2)と、式(1)で表される末端架橋剤(a3)とを反応させて得られる、分子末端に架橋性基を有するポリアミド酸(A)を含む熱硬化性組成物であり、
反応に用いる、酸無水物基を2つ以上有する化合物(a1)のモル数をn1、ジアミン(a2)のモル数をn2、および末端架橋剤(a3)のモル数をn3としたとき、それぞれのモル数が、n2≧n1+0.5×n3、および0.02≦n1/n2≦0.5の関係になるように反応させることによって得られる、分子末端に架橋性基を有するポリアミド酸(A)を含む熱硬化性組成物。



(式中、Rは不飽和炭化水素構造を有する炭素数2〜100の有機基である。)
[21] 少なくとも、酸無水物基を2つ以上有する化合物(a1)と、ジアミン(a2)と、式(2)で表される末端架橋剤(a4)とを反応させて得られる、分子末端に架橋性基を有するポリアミド酸(A)を含む熱硬化性組成物であり、
反応に用いる、酸無水物基を2つ以上有する化合物(a1)のモル数をn1、ジアミン(a2)のモル数をn2、および末端架橋剤(a4)のモル数をn4としたとき、それぞれのモル数が、n2≧n1−0.5×n4、および0.2≦n2/n1≦0.5の関係になるように反応させることによって得られる、分子末端に架橋性基を有するポリアミド酸(A)を含む熱硬化性組成物。


式中、Rは不飽和炭化水素構造を有する炭素数2〜100の有機基である。
【0014】
本明細書中、「有機基」とは特に限定されるものではないが、例えば、炭素数1〜100の炭化水素基が挙げられる。
【0015】
また、一価の有機基としては、具体的には、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルコキシ、置換基を有していてもよい炭素数6〜20のアリールオキシ、置換基を有していてもよいアミノ、置換基を有していてもよいシリル、置換基を有していてもよいアルキルチオ(−SY、式中、Yは置換基を有していてもよい炭素数2〜20のアルキルを示す。)、置換基を有していてもよいアリールチオ(−SY、式中、Yは置換基を有していてもよい炭素数6〜18のアリールを示す。)、置換基を有していてもよいアルキルスルホニル(−SO、式中、Yは置換基を有していてもよい炭素数2〜20のアルキルを示す。)、置換基を有していてもよいアリールスルホニル(−SO、式中、Yは置換基を有していてもよい炭素数6〜18のアリールを示す。)が挙げられる。
【0016】
本明細書において、「炭素数1〜20の炭化水素基」の炭化水素は、飽和若しくは不飽和の非環式であってもよいし、飽和若しくは不飽和の環式であってもよい。炭素数1〜20の炭化水素が非環式の場合には、直鎖状でもよいし、枝分かれでもよい。「炭素数1〜20の炭化水素基」には、炭素数1〜20のアルキル、炭素数2〜20のアルケニル、炭素数2〜20のアルキニル、炭素数4〜20のアルキルジエニル、炭素数6〜18のアリール、炭素数7〜20のアルキルアリール、炭素数7〜20のアリールアルキル、炭素数4〜20のシクロアルキル、炭素数4〜20のシクロアルケニルなどが含まれる。
【0017】
本明細書において、「炭素数1〜20のアルキル」は、炭素数1〜10のアルキルであることが好ましく、炭素数2〜6のアルキルであることが更に好ましい。アルキルの例としては、制限するわけではないが、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、s−ブチル、t−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ドデカニル等を挙げることができる。
【0018】
本明細書において、「炭素数2〜20のアルケニル」は、炭素数2〜10のアルケニルであることが好ましく、炭素数2〜6のアルケニルであることが更に好ましい。アルケニルの例としては、制限するわけではないが、ビニル、アリル、プロペニル、イソプロペニル、2−メチル−1−プロペニル、2−メチルアリル、2−ブテニル等を挙げることができる。
【0019】
本明細書において、「炭素数2〜20のアルキニル」は、炭素数2〜10のアルキニルであることが好ましく、炭素数2〜6のアルキニルであることが更に好ましい。アルキニルの例としては、制限するわけではないが、エチニル、プロピニル、ブチニル等を挙げることができる。
【0020】
本明細書において、「炭素数4〜20のアルキルジエニル」は、炭素数4〜10のアルキルジエニルであることが好ましく、炭素数4〜6のアルキルジエニルであることが更に好ましい。アルキルジエニルの例としては、制限するわけではないが、1,3−ブタジエニル等を挙げることができる。
【0021】
本明細書において、「炭素数6〜18のアリール」は、炭素数6〜10のアリールであることが好ましい。アリールの例としては、制限するわけではないが、フェニル、1−ナフチル、2−ナフチル、インデニル、ビフェニリル、アントリル、フェナントリル等を挙げることができる。
【0022】
本明細書において、「炭素数7〜20のアルキルアリール」は、炭素数7〜12のアルキルアリールであることが好ましい。アルキルアリールの例としては、制限するわけではないが、o−トリル、m−トリル、p−トリル、2,3−キシリル、2,4−キシリル、2,5−キシリル、o−クメニル、m−クメニル、p−クメニル、メシチル等を挙げることができる。
【0023】
本明細書において、「炭素数7〜20のアリールアルキル」は、炭素数7〜12のアリールアルキルであることが好ましい。アリールアルキルの例としては、制限するわけではないが、ベンジル、フェネチル、ジフェニルメチル、トリフェニルメチル、1−ナフチルメチル、2−ナフチルメチル、2,2−ジフェニルエチル、3−フェニルプロピル、4−フェニルブチル、5−フェニルペンチル等を挙げることができる。
【0024】
本明細書において、「炭素数4〜20のシクロアルキル」は、炭素数4〜10のシクロアルキルであることが好ましい。シクロアルキルの例としては、制限するわけではないが、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル等を挙げることができる。
【0025】
本明細書において、「炭素数4〜20のシクロアルケニル」は、炭素数4〜10のシクロアルケニルであることが好ましい。シクロアルケニルの例としては、制限するわけではないが、シクロプロペニル、シクロブテニル、シクロペンテニル、シクロヘキセニル等を挙げることができる。
【0026】
本明細書において、「炭素数1〜20のアルコキシ」は、炭素数1〜10のアルコキシであることが好ましく、炭素数2〜6のアルコキシであることが更に好ましい。アルコキシの例としては、制限するわけではないが、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ペンチルオキシ等がある。
【0027】
本明細書において、「炭素数6〜20のアリールオキシ」は、炭素数6〜10のアリールオキシであることが好ましい。アリールオキシの例としては、制限するわけではないが、フェニルオキシ、ナフチルオキシ、ビフェニルオキシ等を挙げることができる。
【0028】
本明細書において、「アルキルチオ(−SY、式中、Yは置換を有してもよい炭素数2〜20のアルキルを示す。)」および「アルキルスルホニル(−SO、式中、Yは置換を有してもよい炭素数1〜20のアルキルを示す。)」において、YおよびYは、炭素数2〜10のアルキルであることが好ましく、炭素数2〜6のアルキルであることが更に好ましい。アルキルの例としては、制限するわけではないが、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、s−ブチル、t−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ドデカニル等を挙げることができる。
【0029】
本明細書において、「アリールチオ(−SY、式中、Yは置換を有してもよい炭素数6〜18のアリールを示す。)」および「アリールスルホニル(−SO、式中、Yは置換を有してもよい炭素数6〜18のアリールを示す。)」において、YおよびYは、炭素数6〜10のアリールであることが好ましい。アリールの例としては、制限するわけではないが、フェニル、1−ナフチル、2−ナフチル、インデニル、ビフェニリル、アントリル、フェナントリル等を挙げることができる。
【0030】
「炭素数1〜20の炭化水素基」、「炭素数1〜20のアルコキシ」、「炭素数6〜20のアリールオキシ」、「アミノ」、「シリル」、「アルキルチオ」、「アリールチオ」、「アルキルスルホニル」、「アリールスルホニル」には、置換基が導入されていてもよい。この置換基としては、例えば、エステル、カルボキシル、アミド、アルキン、トリメチルシリル、アミノ、ホスホニル、チオ、カルボニル、ニトロ、スルホ、イミノ、ハロゲノ、またはアルコキシなどを挙げることができる。この場合、置換基は、置換可能な位置に1個以上、置換可能な最大数まで導入されていてもよく、好ましくは1個〜4個導入されていてもよい。置換基数が2個以上である場合、各置換基は同一であっても異なっていてもよい。
【0031】
本明細書において、「置換基を有してもよいアミノ」の例としては、制限するわけではないが、アミノ、ジメチルアミノ、メチルアミノ、メチルフェニルアミノ、フェニルアミノ等がある。
【0032】
本明細書において、「置換基を有していてもよいシリル」の例としては、制限するわけではないが、ジメチルシリル、ジエチルシリル、トリメチルシリル、トリエチルシリル、トリメトキシシリル、トリエトキシシリル、ジフェニルメチルシリル、トリフェニルシリル、トリフェノキシシリル、ジメチルメトキシシリル、ジメチルフェノキシシリル、メチルメトキシフェニル等がある。
【0033】
以上、1価の有機基の具体例を挙げたが、本明細書中、2価の有機基の具体例としては、本明細書中に記載された1価の有機基においてさらに価数を1つ増やした基が挙げられる。同様に、本明細書中、4価の有機基の具体例としては、本明細書中に記載された1価の有機基においてさらに価数を3つ増やした基が挙げられる。
【発明の効果】
【0034】
本発明の好ましい態様に係るインクジェット用インクは、例えば、インクの常温保存における保存安定性が良好である。また、本発明の好ましい態様に係るポリアミド酸を25重量%以上の高濃度で含有するインクジェット用のインクを用いると、1回のジェッティングで比較的厚い膜厚(1μm以上)を有するポリイミド膜を形成できる。
本発明のポリアミド酸は、重量平均分子量が900〜7,500の範囲でありながら、製膜時に十分な機械的強度が得られるものである。重量平均分子量が小さいことから、インクジェット印刷に適した低粘度化と25重量%以上の高濃度化の両立が可能である。
また、パターン状ポリイミド膜の形成のために、本発明の好ましい態様に係るインクジェット用インクを用いる場合、インクジェット印刷により必要な部分のみに描画するため材料使用量は圧倒的に少なく、フォトマスクを使用する必要がないので、多品種大量生産が可能であり、また、製造に要する工程数が少ない。
本発明のインクジェット用インクから形成されたポリイミド膜は、例えば、耐熱性、電気絶縁性が高く、電子部品の信頼性、歩留まりを向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】インクジェット用インク(1)の保存安定性を示すグラフ
【図2】インクジェット用インク(2)の保存安定性を示すグラフ
【図3】インクジェット用インク(C1)の保存安定性を示すグラフ
【図4】インクジェット用インク(C2)の保存安定性を示すグラフ
【発明を実施するための形態】
【0036】
本発明は、ポリアミド酸(A)を含む熱硬化性組成物を提供する。また、ポリアミド酸(A)を含むインクジェット用インク、またはポリアミド酸(A)と溶媒(B)とを含むインクジェット用インクを提供する。さらに、これらのインクを用いたインク塗布方法、塗布方法を用いたポリイミド膜形成方法等を提供する。
本発明でいうインクとは、有色、無色のどちらであっても構わない。
【0037】
1 ポリアミド酸(A)
【0038】
本発明のインクジェット用インクに含まれるポリアミド酸(A)は、少なくとも、酸無水物基を2つ以上有する化合物(a1)と、ジアミン(a2)と、式(1)で表される末端架橋剤(a3)または式(2)で表される末端架橋剤(a4)とを反応させて得ることができる。式中、RおよびRは独立して不飽和炭化水素構造を有する炭素数2〜100の有機基である。このポリアミド酸(A)は、分子末端に架橋性基を有する。本発明における架橋性基とは、例えば、不飽和結合(例えば二重結合、三重結合)を含む官能基のことである。
【0039】




【0040】
上記反応に末端架橋剤(a3)を用いる場合には、酸無水物基を2つ以上有する化合物(a1)のモル数をn1、ジアミン(a2)のモル数をn2、および末端架橋剤(a3)のモル数をn3としたとき、それぞれのモル数が、n2≧n1+0.5×n3、および0.02≦n1/n2≦0.5の関係になるように反応させることによって、本発明に用いられるポリアミド酸(A)が得られる。
n1、n2、n3のモル数が、上記の関係になることで、得られるポリアミド酸(A)の重量平均分子量は、500〜7,500となり、インクジェット用インクに好適に利用できる。
また、上記反応に末端架橋剤(a4)を用いる場合には、酸無水物基を2つ以上有する化合物(a1)のモル数をn1、ジアミン(a2)のモル数をn2、および末端架橋剤(a4)のモル数をn4としたとき、それぞれのモル数が、n2≧n1−0.5×n4、および0.2≦n2/n1≦0.5の関係になるように反応させることによって、本発明に用いられるアミド酸(A)が得られる。
n1、n2、n3のモル数が、上記の関係になることで、得られるポリアミド酸(A)の重量平均分子量は、500〜7,500となり、インクジェット用インクに好適に利用できる。
【0041】
酸無水物基を2つ以上有する化合物(a1)、ジアミン(a2)との反応により、式(3)で表される構成単位が形成される。この式中、RとRはそれぞれ独立して炭素数2〜100の有機基である。


さらに、末端架橋剤(a4)と酸無水物基との反応により下記式(5)で表される分子末端基が形成され、末端架橋剤(a3)とアミノ基との反応により下記式(6)で表される分子末端基が形成される。ここで、RおよびRは独立して不飽和炭化水素構造を有する炭素数2〜100の有機基である。

【0042】
本発明のインクジェット用インクに含まれるポリアミド酸(A)は、上記式(5)および式(6)で表される分子末端基がポリアミド酸の末端封止剤として作用することにより、重量平均分子量を500〜7,500に制御することができる。
さらに、上記式(5)および式(6)で表される分子末端基が、加熱することによって、架橋構造となるため、重量平均分子量が500〜7,500であると小さなポリアミド酸(A)から強固な膜が得られる。
【0043】
以下に、ポリアミド酸(A)を得るために用いることができる、酸無水物基を2つ以上有する化合物(a1)、とジアミン(a2)、末端架橋剤(a3)、および末端架橋剤(a4)について説明する。
【0044】
1.1 酸無水物基を2つ以上有する化合物(a1)
本発明でポリアミド酸(A)の合成に用いられる酸無水物基を2つ以上有する化合物(a1)の具体例としては、スチレン−無水マレイン酸共重合体、メタクリル酸メチル−無水マレイン酸共重合体等の無水物基を有するラジカル重合性モノマーと他のラジカル重合性モノマーとの共重合体やテトラカルボン酸二無水物等が挙げられる。テトラカルボン酸二無水物としては、例えばピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、2,2−[ビス(3,4ージカルボキシフェニル)]ヘキサフルオロプロパン二無水物、エチレングリコールビス(アンヒドロトリメリテート)、シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、メチルシクロブタンテトラカルボン酸二無水物、シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物、エタンテトラカルボン酸二無水物およびブタンテトラカルボン酸二無水物、p−フェニレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)、4,4’−[(イソプロピリデン)ビス(p−フェニレンオキシ)]ジフタル酸二無水物、エチレンジアミン四酢酸二無水物、3,3’,4,4’−ビシクロヘキシルテトラカルボン酸二無水物、3,3,4−ジカルボキシ−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン琥珀酸二無水物、下記式a1−1〜a1−73で表される化合物等のテトラカルボン酸二無水物が挙げられる。
【0045】

【0046】

【0047】

【0048】

【0049】

【0050】

【0051】

【0052】

【0053】

【0054】

【0055】

【0056】

【0057】

【0058】
酸無水物を2つ以上有する化合物の上記具体例の中でも、式a1−1、a1−5、a1−6、a1−7、a1−8、a1−9、a1−14、a1−18、a1−20で表される化合物が溶媒への溶解性が高く高濃度のインクを調製できるので好ましい。また、インクジェット用インクの用途によっては高い透明性が必要とされるが、このような場合には、スチレン−無水マレイン酸共重合体、a1−6、a1−7、a1−8、a1−9、a1−14、a1−18等で表される化合物を用いるが特に好ましい。
【0059】
また、上記記載の酸無水物基を有する化合物は、1種のみを用いてもよく、また、2種以上を混合して用いてもよい。
【0060】
1.2 ジアミン(a2)
本発明において、ポリアミド酸(A)の合成に用いられるジアミン(a2)はアミノ基を2つ有していれば特に限定されるものではないが、例えば、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、m−キシリレンジアミン、p−キシリレンジアミン、2,2’−ジアミノジフェニルプロパン、ベンジジン、1,1−ビス[4−(4−アミノベンジル)フェニル]メタン、下記式(II)〜(VIII)で表される化合物が挙げられる。
【0061】

【0062】
式(II)中、Aは、−(CH2m−であり、ここでmは1〜6の整数である。
式(IV)、(VI)および(VIII)中、Aは、単結合、−O−、−S−、−S−S−、−SO−、−CO−、−CONH−、−NHCO−、−C(CH−、−C(CF−、−(CH2m−、−O−(CH2m−O−、−S−(CH2m−S−であり、ここでmは1〜6の整数である。
式(VII)および(VIII)中、Aは、単結合、−O−、−S−、−CO−、−C(CH−、−C(CF−または炭素数1〜3のアルキレンであり、シクロヘキサン環またはベンゼン環に結合している水素は、−F、−CH3と置き換えられていてもよい。
【0063】
式(II)で表されるジアミンとしては、例えば式(II−1)〜(II−3)で表されるジアミンが挙げられる。
【0064】

【0065】
式(III)で表されるジアミンとしては、例えば式(III−1)、(III−2)で表されるジアミンが挙げられる。
【0066】

【0067】
式(IV)で表されるジアミンとしては、例えば式(IV−1)〜(IV−3)で表されるジアミンが挙げられる。
【0068】

【0069】
式(V)で表されるジアミンとしては、例えば式(V−1)〜(V−5)で表されるジアミンが挙げられる。
【0070】

【0071】
式(VI)で表されるジアミンとしては、例えば式(VI−1)〜(VI−30)で表されるジアミンが挙げられる。
【0072】

【0073】

【0074】

【0075】

【0076】

【0077】

【0078】

【0079】

【0080】

【0081】
式(VII)で表されるジアミンとしては、例えば式(VII−1)〜(VII−6)で表されるジアミンが挙げられる。
【0082】

【0083】

【0084】

【0085】
式(VIII)で表されるジアミンとしては、例えば式(VIII−1)〜(VIII−11)で表されるジアミンが挙げられる。
【0086】

【0087】

【0088】

【0089】

【0090】

【0091】

【0092】
式(II)〜(VIII)で表されるジアミン(a2)の上記具体例の中でも、より好ましくは、式(V−1)〜(V−5)、式(VI−1)〜(VI−12)、式(VI−26)、式(VI−27)、式(VII−1)、式(VII−2)、式(VII−6)、式(VIII−1)〜(VIII−5)で表されるジアミンが挙げられ、さらに好ましくは、式(VI−1)〜(VI−12)で表されるジアミンが挙げられる。
これらの中でも、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、m−キシリレンジアミン、p−キシリレンジアミン、2,2’−ジアミノジフェニルプロパン、ベンジジン、1,1−ビス[4−(4−アミノベンジル)フェニル]メタン等が好ましく利用できる。
【0093】
本発明において、ポリアミド酸(A)の合成に用いられるジアミン(a2)としては、さらに式(IX)で表されるジアミンが挙げられる。
【0094】

【0095】
式(IX)中、Aは、単結合、−O−、−COO−、−OCO−、−CO−、−CONH−または−(CH2−であり、ここで、pは1〜6の整数である。
式(IX)中、R6は、ステロイド骨格を有する基、シクロヘキサン環およびベンゼン環からなる群より選ばれる少なくとも1種の環構造を有する基であり、ベンゼン環に結合している2つのアミノ基の位置関係がパラ位のときは、Rは炭素数1〜30のアルキル、もしくは該位置関係がメタのときは炭素数1〜10のアルキルまたは−F、−CH、−OCH、−OCHF、−OCHFもしくは−OCFで置き換えられていてもよいフェニルであってもよく、前記炭素数1〜30のアルキルおよび炭素数1〜10のアルキルにおいては、任意の−CH2−が−CF2−、−CHF−、−O−、−CH=CH−または−C≡C−で置き換えられていてもよく、任意の−CHが−CH2F、−CHF2または−CFで置き換えられていてもよい。
【0096】
式(IX)において、2つのアミノ基はフェニル環炭素に結合しているが、好ましくは、2つのアミノ基の結合位置関係は、メタ位またはパラ位であることが好ましい。さらに2つのアミノ基はそれぞれ、「R−A−」の結合位置を1位としたときに3位と5位、または2位と5位に結合していることが好ましい。
式(IX)で表されるジアミンとしては、例えば式(IX−1)〜(IX−11)で表されるジアミンが挙げられる。
【0097】

【0098】

【0099】
式(IX−1)、(IX−2)、(IX−7)および(IX−8)中、R18は炭素数1〜30の有機基であるが、これらの中でも炭素数3〜12のアルキルまたは炭素数3〜12のアルコキシが好ましく、炭素数5〜12のアルキルまたは炭素数5〜12のアルコキシがさらに好ましい。また、上記式(IX−3)〜(IX−6)および(IX−9)〜(IX−11)中、R19は炭素数1〜30の有機基であるが、これらの中でも炭素数1〜10のアルキルまたは炭素数1〜10のアルコキシが好ましく、炭素数3〜10のアルキルまたは炭素数3〜10のアルコキシがさらに好ましい。
【0100】
式(IX)で表されるジアミンとしては、さらに、例えば下記式(IX−12)〜(IX−17)で表されるジアミンが挙げられる。
【0101】

【0102】
式(IX-12)〜(IX-15)において、R20は炭素数1〜30の有機基であり、炭素数4〜16のアルキルが好ましく、炭素数6〜16のアルキルがさらに好ましい。式(IX-16)と式(IX-17)において、R21は炭素数1〜30の有機基であり、炭素数6〜20のアルキルが好ましく、炭素数8〜20のアルキルがさらに好ましい。
【0103】
式(IX)で表されるジアミンとしては、さらに、例えば下記式(IX−18)〜(IX−38)で表されるジアミンが挙げられる。
【0104】

【0105】

【0106】

【0107】
上記式(IX-18)、(IX-19)、(IX-22)、(IX-24)、(IX-25)、(IX-28)、(IX-30)、(IX-31)、(IX-36)および(IX-37)において、R22は炭素数1〜30の有機基であり、炭素数1〜12のアルキル、炭素数1〜12のアルコキシが好ましく、炭素数3〜12のアルキルまたは炭素数3〜12のアルコキシがさらに好ましい。また、上記式(IX-20)、(IX-21)、(IX-23)、(IX-26)、(IX-27)、(IX-29)、(IX-32)〜(IX-35)および(IX-38)において、R23は水素、−F、炭素数1〜12のアルキル、炭素数1〜12のアルコキシ、−CN、−OCH2F、−OCHF2または−OCF3であり、炭素数3〜12のアルキルまたは炭素数3〜12のアルコキシがさらに好ましい。上記式(IX-33)と(IX-34)において、Aは炭素数1〜12のアルキレンである。
【0108】
式(IX)で表されるジアミンとしては、さらに、例えば下記式(IX−39)〜(IX−48)で表されるジアミンが挙げられる。
【0109】

【0110】

【0111】
式(IX)で表されるジアミン(a2)のうち、式(IX−1)〜式(IX−11)で表されるジアミンが好ましく、式(IX−2)、式(IX−4)、式(IX−5)、式(IX−6)で表されるジアミンがさらに好ましい。
【0112】
本発明において、ポリアミド酸(A)の合成に用いられるジアミン(a2)は、さらに下記式(XI)〜(XII)で表される化合物が挙げられる。
【0113】

【0114】

式(XI)と(XII)中、R10は水素または−CH3であり、R11はそれぞれ独立して、水素または炭素数1〜20のアルキルもしくは炭素数2〜20アルケニルであり、Aはそれぞれ独立して、単結合、−C(=O)−または−CH2−である。
式(XII)中、R13およびR14はそれぞれ独立して、水素、炭素数1〜20のアルキルまたはフェニルである。
【0115】
前記式(XI)において、2つの「NH−Ph−A−O−」(−Ph−は、フェニレンを示す)の一方はステロイド核の3位に結合し、もう一方は6位に結合していることが好ましい。また、2つのアミノ基はそれぞれ、フェニル環炭素に結合しており、Aの結合位置に対して、メタ位またはパラ位に結合していることが好ましい。
式(XI)で表されるジアミンとしては、例えば式(XI−1)〜(XI−4)で表されるジアミンが挙げられる。
【0116】

【0117】
式(XII)において、2つの「NH−(R14−)Ph−A−O−」(−Ph−は、フェニレンを示す)は、それぞれフェニル環炭素に結合しているが、好ましくはステロイド核が結合している炭素に対してメタ位またはパラ位の炭素に結合している。また、2つのアミノ基はそれぞれフェニル環炭素に結合しているが、Aに対してメタ位またはパラ位に結合していることが好ましい。
式(XII)で表されるジアミンとしては、例えば式(XII−1)〜(XII−8)で表されるジアミンが挙げられる。
【0118】

【0119】

【0120】
本発明において、ポリアミド酸(A)の合成に用いられるジアミン(a2)は、さらに式(XIII)、(XIV)で表される化合物が挙げられる。
【0121】

【0122】
式(XIII)中、R15は水素または炭素数1〜20のアルキルであり、該アルキルのうち炭素数2〜20のアルキルの任意の−CH2−は、−O−、−CH=CH−または−C≡C−で置き換えられてもよく、Aはそれぞれ独立して−O−または炭素数1〜6のアルキレンであり、Aは単結合または炭素数1〜3のアルキレンであり、環Tは1,4−フェニレンまたは1,4−シクロヘキシレンであり、hは0または1である。
【0123】

【0124】
式(XIV)中、R16は炭素数2〜30のアルキルであり、これらの中でも炭素6〜20のアルキルが好ましい。R17は水素または炭素数1〜30のアルキルであり、これらの中でも炭素1〜10のアルキルが好ましい。Aはそれぞれ独立して−O−または炭素数1〜6のアルキレンである。
【0125】
前記式(XIII)において、2つのアミノ基はそれぞれフェニル環炭素に結合しているが、Aに対してメタ位またはパラに結合していることが好ましい。
式(XIII)で表されるジアミンとしては、例えば、1,1−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]シクロヘキサン、1,1−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]−4−メチルシクロヘキサン、1,1−ビス[4−(4−アミノベンジル)フェニル]シクロヘキサン、1,1−ビス[4−(4−アミノベンジル)フェニル]4−メチルシクロヘキサン、式(XIII−1)〜(XIII−9)で表されるジアミンが挙げられる。
【0126】

【0127】

【0128】
これらの中でも、1,1−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]シクロヘキサン、1,1−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]−4−メチルシクロヘキサン、1,1−ビス[4−(4−アミノベンジル)フェニル]シクロヘキサン、および1,1−ビス[4−(4−アミノベンジル)フェニル]4−メチルシクロヘキサンが好ましい。また、上記式(XIII-1)〜(XIII-3)において、R24は水素または炭素数1〜20のアルキルが好ましく、上記式(XIII-4)〜(XIII-9)において、R25は水素または炭素数1〜10のアルキルが好ましい。
【0129】
前記式(XIV)において、2つのアミノ基はそれぞれフェニル環炭素に結合しているが、Aに対してメタ位またはパラ位に結合していることが好ましい。
式(XIV)で表されるジアミンとしては、例えば(XIV−1)〜(XIV−3)で表されるジアミンが挙げられる。
【0130】

【0131】
(XIV−1)〜(XIV−3)式中、R26は炭素数2〜30のアルキルであり、これらの中でも炭素数6〜20のアルキルが好ましく、R27は水素または炭素数1〜30のアルキルであり、これらの中でも水素または炭素数1〜10のアルキルが好ましい。
【0132】
上述のとおり、本発明において、ポリアミド酸(A)の合成に用いられるジアミン(a2)は、例えば、式(I)〜(XIV)で表されるジアミンを用いることができるが、これらのジアミン以外のジアミンも用いることができる。例えば、ナフタレン構造を有するナフタレン系ジアミン、フルオレン構造を有するフルオレン系ジアミン、またはシロキサン結合を有するシロキサン系ジアミンなどを単独または他のジアミンと混合して用いることができる。
【0133】
シロキサン系ジアミンは特に限定されるものではないが、下記式(4)で表されるものが本発明において、好ましく使用され得る。
【0134】

【0135】
式中、RおよびRは独立して炭素数1〜3のアルキルまたはフェニルであり、Rは独立してはメチレン、フェニレンまたは少なくとも1つの水素がアルキルで置き換えられたフェニレンであり、xは独立して1〜6の整数であり、yは1〜70の整数である。
【0136】
さらに、好ましくは、本発明において、ポリアミド酸(A)の合成に用いられるジアミン(a2)として、下記式(11)〜(18)で表されるジアミンが挙げられる。式中、R30およびR31は独立して炭素数3〜20のアルキルである。
【0137】

【0138】

【0139】

【0140】
なお、本発明のインクジェット用インクに含まれるポリアミド酸(A)を合成するために用いることができるジアミン(a2)は、本明細書のジアミンに限定されることなく、本発明の目的が達成される範囲内で他にも種々の形態のジアミンを用いることができる。
また、本発明のインクジェット用インクに含まれるポリアミド酸(A)を合成するために用いることができるジアミン(a2)は、1種のみを用いてもよく、また、2種以上を混合して用いてもよい。すなわち、2種以上の組み合わせとしては、上記ジアミン同士、上記ジアミンとそれ以外のジアミン、または、上記ジアミン以外のジアミン同士を用いることができる。
【0141】
また、インクジェット用インクの用途によっては高い透明性が必要とされるが、そのような場合には、3,3'−ジアミノジフェニルスルホンおよび式(4)においてy=1〜15の整数であるジアミンを用いることが特に好ましい。
【0142】
1.3 末端架橋剤(a3)
本発明のインクジェット用インクに含まれるポリアミド酸(A)の合成に任意に用いることができる末端架橋剤(a3)は、下記式(1)で表されるものであれば特に限定されない。式中、Rは独立して不飽和炭化水素構造を有する炭素数2〜100の有機基である。


【0143】
末端架橋剤(a3)の具体例としては、マレイン酸無水物、シトラコン酸無水物、イタコン酸無水物、アリルナジック酸無水物、5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物、4−エチニルフタル酸無水物、4−フェニルエチニルフタル酸無水物、シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物、exo−3,6−エポキシ−1,2,3,6−テトラヒドロフタル酸無水物、アリルこはく酸無水物を挙げることができる。これらの中でも、得られる膜の耐久性が優れるという点から、マレイン酸無水物、シトラコン酸無水物、アリルナジック酸無水物が好ましい。これらの末端架橋剤(a3)は、1種のみを用いてもよく、また、2種以上を混合して用いてもよいが、架橋密度を均一に制御するという観点からすると、1種のみを使用するのが好ましい。
【0144】
1.4 末端架橋剤(a4)
本発明のインクジェット用インクに含まれるポリアミド酸(A)の合成に任意に用いることができる末端架橋剤(a4)は、式(2)で表されるものであれば特に限定されない。式中、Rは独立して不飽和炭化水素構造を有する炭素数2〜100の有機基である。
【0145】

【0146】
末端架橋剤(a4)の具体例としては、4−エチニルアニリン、3−エチニルアニリン、プロパルギルアミン、3−アミノブチン、4−アミノブチン、5−アミノペンチン、4−アミノペンチン、アリルアミン、7−アミノヘプチン、m−アミノスチレン、p−アミノスチレン、m−アミノ−α−メチルスチレン、3−アミノフェニルアセチレン、4−アミノフェニルアセチレンを挙げることができる。これらの中でも、得られる膜の耐久性が優れるという点から、4−エチニルアニリン、3−エチニルアニリン、m−アミノスチレン、p−アミノスチレンが好ましい。これらの末端架橋剤(a4)は、1種のみを用いてもよく、また、2種以上を混合して用いてもよいが、架橋密度を均一に制御するという観点からすると、1種のみを使用するのが好ましい。
【0147】
1.5 ポリアミド酸(A)を合成するための反応条件
ポリアミド酸(A)は、例えば、末端架橋剤(a3)または末端架橋剤(a4)と、酸無水物基を2つ以上有する化合物(a1)と、ジアミン(a2)とを反応させて合成できる。
本発明のポリアミド酸(A)は、反応に用いる、酸無水物基を2つ以上有する化合物(a1)のモル数をn1、ジアミン(a2)のモル数をn2、および末端架橋剤(a3)のモル数をn3としたとき、それぞれのモル数が、n2≧n1+0.5×n3、および0.02≦n1/n2≦0.5の関係になるように反応させることによって得られる。
また、反応に用いる、酸無水物基を2つ以上有する化合物(a1)のモル数をn1、ジアミン(a2)のモル数をn2、および末端架橋剤(a4)のモル数をn4としたとき、それぞれのモル数が、n2≧n1−0.5×n4、および0.2≦n2/n1≦0.5の関係になるように反応させることによって得られる。
上記の関係を満たすことにより、常温保存における保存安定性が良好であり、1回のジェッティングで比較的厚い膜(1μm以上)を形成できる、ポリアミド酸を得ることができる。
【0148】
1.5.1 反応溶媒
例えば、末端架橋剤(a3)または末端架橋剤(a4)と、酸無水物基を2つ以上有する化合物(a1)と、ジアミン(a2)とを反応させてポリアミド酸(A)を合成するために用いられる反応溶媒は、ポリアミド酸(A)が合成できれば特に限定されるものではない。反応溶媒としては、例えば、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、シクロヘキサノン、1,3−ジオキソラン、エチレングリコールジメチルエーテル、1,4−ジオキサン、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、アニソール、エチルラクテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールイソプロピルメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールブチルメチルエーテル、トリプロピレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル(1−ブトキシ−2−プロパノール)、プロピレングリコールモノエチルエーテル(1−エトキシ−2−プロパノール)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(1−メトキシ−2−プロパノール)、トリエチレングリコールジビニルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、テトラメチレングリコールモノビニルエーテル、安息香酸メチル、安息香酸エチル、1−ビニル−2−ピロリドン、1−ブチル−2−ピロリドン、1−エチル−2−ピロリドン、1−(2−ヒドロキシエチル)−2−ピロリドン、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、1−アセチル−2−ピロリドン、N,N−ジエチルアセトアミド、N,N−ジメチルプロピオンアミド、N−メチル−ε−カプロラクタム、1,3-ジメチル−2−イミダゾリジノンおよびγ−ブチロラクトンを挙げることができる。
これらの中でも、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3−メトキシプロピオン酸メチル、シクロヘキサノン、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテルおよびγ−ブチロラクトンを用いると、インクジェットヘッドへのダメージが少ないインクとすることができるので好ましい。
これらの反応溶媒は、1種のみを用いてもよく、また、2種以上を混合して用いてもよい。また、上記反応溶媒以外に他の溶媒を混合して用いることもできる。
【0149】
反応溶媒は、酸無水物基を2つ以上有する化合物(a1)とジアミン(a2)と、末端架橋剤(a3)または末端架橋剤(a4)との合計100重量部に対し100重量部以上使用すると、反応がスムーズに進行するので好ましい。反応は0℃〜100℃で、0.2〜20時間反応させるのが好ましい。
【0150】
1.5.2 反応系への添加順序
また、反応原料の反応系への添加順序に特に限定されない。すなわち、酸無水物基を2つ以上有する化合物(a1)とジアミン(a2)と、末端架橋剤(a3)または末端架橋剤(a4)とを同時に反応溶媒に加える方法、ジアミン(a2)と末端架橋剤(a3)を反応溶媒中に溶解させた後に酸無水物基を2つ以上有する化合物(a1)と、末端架橋剤(a4)を添加する方法、酸無水物基を2つ以上有する化合物(a1)と末端架橋剤(a4)を反応溶媒中に溶解させ、さらに末端架橋剤(a3)をあらかじめ反応させた後にジアミン(a2)を添加する方法、酸無水物基を2つ以上有する化合物(a1)とジアミン(a2)とをあらかじめ反応させて共重合体を合成した後に、その共重合体に末端架橋剤(a3)を添加する方法、などいずれの方法も用いることができる。
【0151】
1.6 ポリアミド酸(A)の構成
本発明のインクジェット用インクに含まれるポリアミド酸(A)は、例えば、式(3)で表される構成単位を有し、式(5)および式(6)で表される分子末端基の群から選ばれる1以上の分子末端基を有する。
このポリアミド酸(A)は、例えば、上述した、末端架橋剤(a3)または末端架橋剤(a4)と、酸無水物基を2つ以上有する化合物(a1)と、ジアミン(a2)とを反応させることによって合成できる。すなわち、ポリアミド酸(A)の構造単位となる上記式(3)は、重合基を2つ以上有する酸無水物基を2つ以上有する化合物(a1)と重合基を2つ有するジアミン(a2)との反応によって得ることができる。他方、末端架橋剤(a3)と末端架橋剤(a4)は、重合基を1つしか有さないので、これらの化合物はポリアミド酸(A)において分子末端基を構成する。すなわち、式(5)のRは末端架橋剤(a4)の残基であり、式(6)のRは末端架橋剤(a3)の残基である。なお、当該のポリアミド酸(A)の構成とモノマーとの関係は一例に過ぎない。また、ポリアミド酸(A)の製造方法も当該方法に限定されない。
【0152】
1.7 ポリアミド酸(A)の重量平均分子量
本発明において、重量平均分子量が500〜7,500であるポリアミド酸(A)が、インクジェット用インクとして利用できる。重量平均分子量が500以上のポリアミド酸(A)は、加熱処理によってポリイミド膜を形成する工程において、蒸発することがなく、化学的・機械的に安定であり、重量平均分子量が7,500以下のポリアミド酸(A)は、溶媒に対する溶解性を向上させ、低粘度化することができるので、得られる塗膜の膜厚を大きくすることが可能である。また、本発明において、ポリアミド酸(A)の溶媒に対する「溶解性」をさらに向上させ、低粘度化するためには、その重量平均分子量は500〜3,500であることが好ましく、500〜2,500であることがさらに好ましい。
【0153】
ポリアミド酸(A)の重量平均分子量はゲル浸透クロマトグラフィ(GPC)法により測定することができる。具体的には、得られたポリアミド酸(A)をテトラヒドロフラン(THF)でポリアミド酸の濃度が約1重量%になるように希釈し、東ソー株式会社製カラムG4000HXL、G3000HXL、G2500HXLおよびG2000HXLを用いて、THFを展開剤としてゲル浸透クロマトグラフィ(GPC)法により測定し、ポリスチレン換算することにより求めることができる。
【0154】
2 溶媒(B)
本発明のインクジェット用インクは、例えば、ポリアミド酸(A)を溶媒(B)に溶解して得ることができる。したがって、本発明のインクジェット用インクに含まれる溶媒は、ポリアミド酸(A)を溶解することができる溶媒であれば特に制限されない。また、単独ではポリアミド酸(A)を溶解しない溶媒であっても、他の溶媒と混合することによって、インクジェット用インクに含まれる溶媒(B)として用いることが可能である。
【0155】
インクジェット用インクに含まれる溶媒(B)の具体例としては、乳酸エチル、エタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、シクロヘキサノン、1,3−ジオキソラン、エチレングリコールジメチルエーテル、1,4−ジオキサン、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、アニソール、エチルラクテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールイソプロピルメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールブチルメチルエーテル、トリプロピレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル(1−ブトキシ−2−プロパノール)、プロピレングリコールモノエチルエーテル(1−エトキシ−2−プロパノール)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(1−メトキシ−2−プロパノール)、トリエチレングリコールジビニルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、テトラメチレングリコールモノビニルエーテル、安息香酸メチル、安息香酸エチル、1−ビニル−2−ピロリドン、1−ブチル−2−ピロリドン、1−エチル−2−ピロリドン、1−(2−ヒドロキシエチル)−2−ピロリドン、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、1−アセチル−2−ピロリドン、N,N−ジエチルアセトアミド、N,N−ジメチルプロピオンアミド、N−メチル−ε−カプロラクタム、1,3-ジメチル−2−イミダゾリジノンおよびγ−ブチロラクトンを挙げることができる。
【0156】
これらの溶媒の中でも、例えばインクジェットヘッドの耐久性向上の点で、乳酸エチル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3−メトキシプロピオン酸メチル、γ−ブチロラクトンを溶媒(B)として含むことが好ましい。
しかしながら、これらの溶媒の中で、インクジェットヘッドの耐久性の点から、1−ビニル−2−ピロリドン、1−ブチル−2−ピロリドン、1−エチル−2−ピロリドン、1−(2−ヒドロキシエチル)−2−ピロリドン、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、1−アセチル−2−ピロリドン、N,N−ジエチルアセトアミド、N,N−ジメチルプロピオンアミド、N−メチル−ε−カプロラクタム、1,3-ジメチル−2−イミダゾリジノンなどのアミド系溶媒は、溶媒(B)全重量に対して、80重量%以上含まないことが好ましく、60重量%以上含まないことがより好ましく、40重量%以上含まないことが更に好ましく、20重量%以上含まないことが更により好ましく、全く含まないことが特に好ましい。
【0157】
これらの溶媒は、1種のみを用いてもよく、また、2種以上を混合して用いてもよい。また、溶媒は、インクジェット用インクにおける固形分濃度が25〜80重量%となるように添加されて用いられることが好ましい。
【0158】
3 本発明のインクジェット用インクにおけるポリアミド酸(A)の濃度
本発明においてインクジェット用インク中のポリアミド酸(A)の濃度は特に限定されないが、インクジェット用インク100重量部に対して、ポリアミド酸(A)を25〜60重量部含むことが好ましく、25〜55重量部含むことがさらに好ましく、30〜50重量部含むことが特に好ましい。これらの濃度範囲であると、1回のインクジェッティングで得られる膜の厚さが最適となり、ジェッティング精度が高いので好ましい。
【0159】
4 インクジェット用インクに添加される添加剤
目的とする特性によっては、インクジェット用インクは、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、界面活性剤、帯電防止剤、カップリング剤、エポキシ硬化剤、pH調整剤、防錆剤、防腐剤、防黴剤、酸化防止剤、還元防止剤、蒸発促進剤、キレート化剤、水溶性ポリマー、顔料、染料などの添加剤を必要により選択して添加し、それらを均一に混合溶解することにより得ることができる。
【0160】
4.1 エポキシ樹脂
インクジェット用インクに添加されてもよいエポキシ樹脂としては、オキシランやオキセタンを有すれば特に限定されないが、オキシランを2つ以上有する化合物が好ましい。
【0161】
インクジェット用インク中のエポキシ樹脂の濃度は特に限定されないが、0.1〜20重量%が好ましく、1〜10重量%がさらに好ましい。この濃度範囲であると、インクジェット用インクから形成された塗膜の耐熱性、耐薬品性、平坦性が良好である。
【0162】
エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、オキシランを有するモノマーの重合体、及び、オキシランを有するモノマーと他のモノマーとの共重合体が挙げられる。
【0163】
オキシランを有するモノマーの具体例としては、グリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシル(メタ)アクリレート、及びメチルグリシジル(メタ)アクリレートを挙げることができる。
また、オキシランを有するモノマーと共重合を行う他のモノマーとの具体例としては、(メタ)アクリル酸、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、iso−ブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、スチレン、メチルスチレン、クロルメチルスチレン、(3−エチル−3−オキセタニル)メチル(メタ)アクリレート、N−シクロヘキシルマレイミド及びN−フェニルマレイミドを挙げることができる。
【0164】
オキシランを有するモノマーの重合体及びオキシランを有するモノマーと他のモノマーとの共重合体の好ましい具体例としては、ポリグリシジルメタクリレート、メチルメタクリレート−グリシジルメタクリレート共重合体、ベンジルメタクリレート−グリシジルメタクリレート共重合体、n−ブチルメタクリレート−グリシジルメタクリレート共重合体、2−ヒドロキシエチルメタクリレート−グリシジルメタクリレート共重合体、(3−エチル−3−オキセタニル)メチルメタクリレート−グリシジルメタクリレート共重合体、またはスチレン−グリシジルメタクリレート共重合体を挙げることができる。インクジェット用インクがこれらのエポキシ樹脂を含有すると、インクジェット用インクから形成された塗膜の耐熱性が良好となるため好ましい。
【0165】
エポキシ樹脂の具体例としては、商品名「エピコート807」、「エピコート815」、「エピコート825」、「エピコート827」、「エピコート828」、「エピコート190P」、「エピコート191P」(以上、油化シェルエポキシ(株)製)、商品名「エピコート1004」、「エピコート1256」(以上、ジャパンエポキシレジン(株)製)、商品名「アラルダイトCY177」、商品名「アラルダイトCY184」(日本チバガイギー(株)製)、商品名「セロキサイド2021P」、「セロキサイド3000」、「EHPE−3150」(ダイセル化学工業(株)製)、商品名「テクモアVG3101L」(三井化学(株)製)、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−m−キシレンジアミン、1,3−ビス(N,N−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−4,4’−ジアミノジフェニルメタンを挙げることができる。これらの中でも、商品名「アラルダイトCY184」、商品名「セロキサイド2021P」、商品名「テクモアVG3101L」、商品名「エピコート828」は、得られるポリイミド膜の平坦性が特に良好であるため好ましい。
【0166】
エポキシ樹脂は、1種のみを用いてもよく、また、2種以上を混合して用いてもよい。
【0167】
4.2 アクリル樹脂
インクジェット用インクに添加されてもよいアクリル樹脂としては、アクリル基やメタクリル基を有していれば特に限定されない。
【0168】
インクジェット用インク中のアクリル樹脂の濃度は特に限定されないが、0.1〜20重量%が好ましく、1〜10重量%がさらに好ましい。この濃度範囲であると、インクジェット用インクから形成された塗膜の耐熱性、耐薬品性、平坦性が良好である。
【0169】
アクリル樹脂としては、例えば、ヒドロキシルを有する単官能重合性モノマー、ヒドロキシルを有しない単官能重合性モノマー、二官能(メタ)アクリレート、または三官能以上の多官能(メタ)アクリレートの単独重合体、またはこれらのモノマーの共重合体が挙げられる。
【0170】
前記ヒドロキシルを有する単官能重合性モノマーの具体例としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、または1,4−シクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリレートを挙げることができる。中でも、形成される膜を柔軟にできる点から、4−ヒドロキシブチルアクリレート、1,4−シクロヘキサンジメタノールモノアクリレートが好ましい。
【0171】
ヒドロキシルを有しない単官能重合性モノマーの具体例としては、グリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシル(メタ)アクリレート、メチルグリシジル(メタ)アクリレート、3−メチル−3−(メタ)アクリロキシメチルオキセタン、3−エチル−3−(メタ)アクリロキシメチルオキセタン、3−メチル−3−(メタ)アクリロキシエチルオキセタン、3−エチル−3−(メタ)アクリロキシエチルオキセタン、p−ビニルフェニル−3−エチルオキセタ−3−イルメチルエーテル、2−フェニル−3−(メタ)アクリロキシメチルオキセタン、2−トリフロロメチル−3−(メタ)アクリロキシメチルオキセタン、4−トリフロロメチル−2−(メタ)アクリロキシメチルオキセタン、(メタ)アクリル酸、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、iso−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、スチレン、メチルスチレン、クロルメチルスチレン、(3−エチル−3−オキセタニル)メチル(メタ)アクリレート、N−シクロヘキシルマレイミド、N−フェニルマレイミド、ビニルトルエン、(メタ)アクリルアミド、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、グリセロールモノ(メタ)アクリレート、ポリスチレンマクロモノマー、ポリメチルメタクリレートマクロモノマー、N−アクリロイルモルホリン、5−テトラヒドロフルフリルオキシカルボニルペンチル(メタ)アクリレート、ラウリルアルコールのエチレンオキシド付加物の(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、α−クロルアクリル酸、ケイ皮酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、メサコン酸、ω−カルボキシポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレート、コハク酸モノ[2−(メタ)アクリロイロキシエチル]、マレイン酸モノ[2−(メタ)アクリロイロキシエチル]、またはシクロヘキセン−3,4−ジカルボン酸モノ[2−(メタ)アクリロイロキシエチル]を挙げることができる。
【0172】
二官能(メタ)アクリレートの具体例としては、ビスフェノールFエチレンオキシド変性ジアクリレート、ビスフェノールAエチレンオキシド変性ジアクリレート、イソシアヌル酸エチレンオキシド変性ジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレートモノステアレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,9−ノナンジオールジアクリレート、1,4−シクロヘキサンジメタノールジアクリレート、2−n−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオールジアクリレート、トリメチロールプロパンジアクリレート、またはジペンタエリスリトールジアクリレートを挙げることができる。
【0173】
三官能以上の多官能(メタ)アクリレートの具体例としては、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エピクロルヒドリン変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、グリセロールトリ(メタ)アクリレート、エピクロルヒドリン変性グリセロールトリ(メタ)アクリレート、ジグリセリンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性リン酸トリ(メタ)アクリレート、トリス[(メタ)アクリロキシエチル]イソシアヌレート、カプロラクトン変性トリス[(メタ)アクリロキシエチル]イソシアヌレート、またはウレタン(メタ)アクリレートを挙げることができる。これらのアクリル樹脂は、1種のみを用いてもよく、また、2種以上を混合して用いてもよい。
【0174】
4.3 界面活性剤
インクジェット用インクに添加されてもよい界面活性剤を添加としては、塗布性を向上できる点から、例えば、商品名「Byk−300」、「Byk−306」、「Byk−335」、「Byk−310」、「Byk−341」、「Byk−344」、「Byk−370」(ビック・ケミー(株)製)等のシリコン系界面活性剤;商品名「Byk−354」、「ByK−358」、「Byk−361」(ビック・ケミー(株)製)等のアクリル系界面活性剤、商品名「DFX−18」、「フタージェント250」、「フタージェント251」(ネオス(株)製)等のフッ素系界面活性剤を挙げることができる。これらの界面活性剤は、1種のみを用いてもよく、また、2種以上を混合して用いてもよい。
界面活性剤は、下地基板への濡れ性、レベリング性、又は塗布性を向上させるために使用するものであり、インクジェット用インク100重量部に対し0.01〜1重量部添加して用いられることが好ましい。
【0175】
4.4 帯電防止剤
インクジェット用インクに添加されてもよい帯電防止剤としては、特に限定されるものではなく、公知の帯電防止剤を用いることができる。具体的には、酸化錫、酸化錫・酸化アンチモン複合酸化物、酸化錫・酸化インジウム複合酸化物等の金属酸化物や四級アンモニウム塩が挙げられる。これらの帯電防止剤は、1種のみを用いてもよく、また、2種以上を混合して用いてもよい。
帯電防止剤は、帯電を防止するために使用するものであり、インクジェット用インク100重量部に対し0.01〜1重量部添加して用いられることが好ましい。
【0176】
4.5 カップリング剤
インクジェット用インクに添加されてもよいカップリング剤としては、特に限定されるものではなく、公知のカップリング剤を用いることができる。添加されるカップリング剤はシランカップリング剤が好ましく、具体的には、トリアルコキシシラン化合物又はジアルコキシシラン化合物などを挙げることができる。好ましくは、例えば、γ−ビニルプロピルトリメトキシシラン、γ−ビニルプロピルトリエトキシシラン、γ−アクリロイルプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アクリロイルプロピルトリメトキシシラン、γ−アクリロイルプロピルメチルジエトキシシラン、γ−アクリロイルプロピルトリエトキシシラン、γ−メタクリロイルプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロイルプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロイルプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メタクリロイルプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−アミノエチル−γ−イミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−アミノエチル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−アミノエチル−γ−アミノプロピルトジエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、γ−イソシアナートプロピルメチルジエトキシシラン、γ−イソシアナートプロピルトリエトキシシランである。これらの中でも、γ−ビニルプロピルトリメトキシシラン、γ−アクリロイルプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロイルプロピルトリメトキシシラン、γ−イソシアナートプロピルトリエトキシシランが特に好ましい。
これらのカップリング剤は、1種のみを用いてもよく、また、2種以上を混合して用いてもよい。カップリング剤は、インクジェット用インク100重量部に対し0.01〜3重量部添加して用いられることが好ましい。
【0177】
4.6 エポキシ硬化剤
インクジェット用インクに添加されてもよいエポキシ硬化剤としては、特に限定されるものではなく、公知のエポキシ硬化剤を用いることができる。具体的には、有機酸ジヒドラジド化合物、イミダゾール及びその誘導体、ジシアンジアミド、芳香族アミン、多価カルボン酸、多価カルボン酸無水物などが挙げられる。さらに具体的には、ジシアンジアミド等のジシアンジアミド類、アジピン酸ジヒドラジド、1,3−ビス(ヒドラジノカルボエチル)−5−イソプロピルヒダントイン等の有機酸ジヒドラジド、2,4−ジアミノ−6−[2’−エチルイミダゾリル−(1’)]−エチルトリアジン、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール等のイミダゾール誘導体、無水フタル酸、無水トリメリット酸、1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸−1,2−無水物などの酸無水物、またはトリメリット酸が挙げられる。
中でも透明性が良好なトリメリット酸、1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸−1,2−無水物が好ましい。
【0178】
これらのエポキシ硬化剤は、1種のみを用いてもよく、また、2種以上を混合して用いてもよい。エポキシ硬化剤は、インクジェット用インク100重量部に対し0.2〜5重量部添加して用いられることが好ましい。
【0179】
5 インクジェット用インク
5.1 インクジェット用インクの粘度
本発明においてインクジェット用インクの粘度は特に限定されないが、常温(25℃)でジェッティングを行う場合は、その粘度が1〜50mPa・sであると、インクジェット塗布方法によるジェッティング精度が向上する点で好ましい。また、25℃におけるインクジェット用インクの粘度は、より好ましくは5〜30mPa・s、さらに好ましくは8〜15mPa・s(25℃)である。粘度が15mPa・s(25℃)より小さいと、インクジェット吐出不良が生じることがない。
インクヘッドを加熱してジェッティングを行う場合は、加熱温度(好ましくは40〜120℃)におけるインクジェット用インクの粘度は1〜50mPa・sが好ましく、5〜30mPa・sであればさらに好ましく、8〜15mPa・sが特に好ましい。加熱温度における粘度が15mPa・sより小さいと、インクジェット吐出不良が生じることがない。
【0180】
5.2 インクジェット用インクの表面張力
本発明のインクジェット用インクの表面張力は、通常20〜70mN/mであり、好ましくは20〜40mN/mである。
表面張力がこのような範囲にあると、ジェッティングにより良好な液滴が形成でき、かつメニスカスを形成することができる。
【0181】
6 ポリイミド膜
本発明のインクジェット用インクを、基板表面にインクジェットにより塗布し、ホットプレート、またはオーブンなどで加熱処理して全面または所定のパターン状(例えばライン状)のポリイミド膜が形成される。また、本発明のポリイミド膜の形成は、加熱処理に限定されず、UV処理、イオンビーム、電子線、またはガンマ線などの処理でもよい。
【0182】
6.1 インクジェット塗布方法によるインクジェット用インクの塗布
インクジェット塗布方法としては、インクの吐出方法により各種のタイプがある。吐出方法としては、例えば、圧電素子型、バブルジェット(登録商標)型、連続噴射型、または静電誘導型が挙げられる。本発明にかかるインクは、インクに含まれる各成分を適正に選択することにより、様々な方法で吐出が可能であり、インクジェット用インクを予め定められたパターン状に塗布することができる。
【0183】
本発明にかかるインクを用いて塗布を行うのに好ましい吐出方法は、圧電素子型である。この圧電素子型のヘッドは、複数のノズルを有するノズル形成基板と、ノズルに対向して配置される圧電材料と導電材料からなる圧力発生素子と、この圧力発生素子の周囲を満たすインクとを備えた、オンデマンドインクジェット塗布ヘッドであり、印加電圧により圧力発生素子を変位させ、インクの小液滴をノズルから吐出させる。
【0184】
インクジェット塗布装置は、塗布ヘッドとインク収容部とが別体となった構成に限らず、それらが分離不能に一体になった構成を用いてもよい。また、インク収容部は、塗布ヘッドに対して、分離可能または分離不能に一体化されてキャリッジに搭載されるもののほか、装置の固定部位に設けられて、インク供給部材、例えばチューブを介して塗布ヘッドにインクを供給する形態のものでもよい。
【0185】
また、塗布ヘッドに対して、好ましい負圧を作用させるための構成をインクタンクに設ける場合には、インクタンクのインク収納部に吸収体を配置した形態、あるいは可撓性のインク収容袋とこれに対しその内容積を拡張する方向の付勢力を作用するバネ部とを有した形態などを採用することができる。塗布装置は、上述のようにシリアル塗布方式を採るもののほか、塗布媒体の全幅に対応した範囲にわたって塗布素子を整列させてなるラインプリンタの形態をとるものであってもよい。
【0186】
6.2 ポリアミド酸の膜の形成
インクジェット塗布方法によって、本発明のインクジェット用インクを基板上に塗布した後、ホットプレート、またはオーブンなどで加熱することにより乾燥(溶媒を除去)し、ポリアミド酸の膜を形成することができる。
加熱条件は各成分の種類および配合割合によって異なるが、通常70〜120℃で、オーブンを用いた場合には、5〜15分間、ホットプレートを用いた場合には、1〜5分間でポリアミド酸の膜が形成される。
【0187】
6.3 ポリイミドの膜の形成
ポリアミド酸の膜を形成後、ポリアミド酸をイミド化させるために180〜350℃、好ましくは200〜300℃で加熱処理する。このとき、オーブンを用いた場合では、30〜90分間、ホットプレートを用いた場合では、5〜30分間加熱処理することによってポリイミド膜を得ることができる。ポリアミド酸の膜がパターン状に形成されている場合には、パターン状のポリイミド膜が形成される。本明細書では、特に言及のない限り、ポリイミド膜は、パターン状のポリイミド膜を含む。
【0188】
このようにして得られたポリイミド膜は、耐熱性、電気絶縁性に優れた絶縁膜である。
【0189】
7 フィルム基板
本発明のフィルム基板は、例えば、インクジェット等の方法により配線が形成されたポリイミドフィルム等の基板上に、本発明のインクジェット用インクをインクジェット塗布方法によって全面または所定のパターン状(ライン状等)に塗布し、その後、基板を乾燥し、さらに加熱してポリイミド膜が形成されて得られる。
【0190】
本発明で用いることができるポリイミド膜は、好ましくは上述したポリイミドフィルム等の基板上に形成されるが、特にこれに限定されるものではなく公知の基板上に形成することができる。
本発明に適用可能な基板としては、例えば、FR−1、FR−3、FR−4、CEM−3、又はE668等の各種規格に適合する、ガラスエポキシ基板、ガラスコンポジット基板、紙フェノール基板、紙エポキシ基板、グリーンエポキシ基板、又はBTレジン基板が挙げられる。
また、本発明に適用可能な他の基板としては、例えば、銅、黄銅、リン青銅、ベリリウム銅、アルミニウム、金、銀、ニッケル、スズ、クロム、又はステンレス等の金属からなる基板(それらの金属の表面を有する基板であってもよい)や;酸化アルミニウム(アルミナ)、窒化アルミニウム、酸化ジルコニウム(ジルコニア)、ジルコニウムのケイ酸塩(ジルコン)、酸化マグネシウム(マグネシア)、チタン酸アルミニウム、チタン酸バリウム、チタン酸鉛(PT)、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)、チタン酸ジルコン酸ランタン鉛(PLZT)、ニオブ酸リチウム、タンタル酸リチウム、硫化カドニウム、硫化モリブデン、酸化ベリリウム(ベリリア)、酸化ケイ素(シリカ)、炭化ケイ素(シリコンカーバイト)、窒化ケイ素(シリコンナイトライド)、窒化ホウ素(ボロンナイトライド)、酸化亜鉛、ムライト、フェライト、ステアタイト、ホルステライト、スピネル、又はスポジュメン等のセラミックスからなる基板(それらのセラミックスの表面を有する基板であってもよい)や;PET(ポリエチレンテレフタレート)樹脂、PBT(ポリブチレンテレフタレート)樹脂、PCT(ポリシクロへキシレンジメチレンテレフタレート)樹脂、PPS(ポリフェニレンサルファイド)樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、テフロン(登録商標)、熱可塑性エラストマー、又は液晶ポリマー等の樹脂からなる基板(それらの樹脂の表面を有する基板であってもよい)や;シリコン、ゲルマニウム、又はガリウム砒素等の半導体基板や;ガラス基板や;あるいは酸化スズ、酸化亜鉛、ITO、又はATO等の電極材料が表面に形成された基板や;αGEL(アルファゲル)、βGEL(ベータゲル)、θGEL(シータゲル)、又はγGEL(ガンマゲル)(以上、株式会社タイカの登録商標)等のゲルシートが挙げられる。
【0191】
8 電子部品
例えば、予め配線が形成されたポリイミドフィルム等のフィルム基板上に、本発明のインクジェット用インクをインクジェット塗布方法によって塗布し、その後、当該フィルム基板を乾燥し、さらに加熱することによって、絶縁性を有するポリイミド膜で被覆されたフレキシブルな電子部品が得られる。
【実施例】
【0192】
以下、本発明を実施例および比較例により説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0193】
実施例および比較例で用いる、酸無水物基を2つ以上有する化合物(a1)、ジアミン(a2)、末端架橋剤(a3)、末端架橋剤(a4)および溶媒(B)の名称を略号で示す。以下の記述にはこの略号を使用する。
【0194】
酸無水物基を2つ以上有する化合物(a1)
ODPA:3,3’,4,4’−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物
BPDA:3,3’−4,4’-ジフェニルテトラカルボン酸二無水物
TDA :3,3,4-ジカルボキシ-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン琥珀酸二無水物
CBDA:1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物
TMHQ:p-フェニレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)
BSAA:4,4’-[(イソプロピリデン)ビス(p-フェニレンオキシ)]ジフタル酸二無水物
BPDA−H:3,3’,4,4’−ビシクロヘキシルテトラカルボン酸ニ無水物
ジアミン(a2)
DDS :3,3’−ジアミノジフェニルスルホン
DDE :4,4’−ジアミノジフェニルエーテル
DDM :4,4’−ジアミノジフェニルメタン
mDDM:3,4’−ジアミノジフェニルメタン
BAPP:2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン
BAPS−M:ビス[3−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン
3o2o2o3DA: ジエチレングリコールビス(3−アミノプロピル)エーテル
ATU:3,9−ビス(3−アミノプロピル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン
【0195】
末端架橋剤(a3)
MA:マレイン酸無水物
CA:シトラコン酸無水物
ANA:アリルナジック酸無水物
末端架橋剤(a4)
3−EA:3−エチニルアニリン
4−EA:4−エチニルアニリン
【0196】
溶媒(B)
EDM:ジエチレングリコールメチルエチルエーテル
GBL:γ−ブチロラクトン
NMP:N−メチル−2−ピロリドン
【0197】
[合成例1]ポリアミド酸(1)の合成
温度計、攪拌機、原料投入仕込み口および窒素ガス導入口を備えた300mlの四つ口フラスコに、表1に示すとおりに原料を仕込み、乾燥窒素気流下40℃で5hr攪拌したところ、淡黄色透明なポリアミド酸の25重量%溶液を得た。この溶液の粘度は18.6mPa・s(25℃)であり、重量平均分子量は1550であった。
【0198】
溶液の粘度は、E型粘度計(TOKYO KEIKI製 VISCONIC ELD)で測定した。
ポリアミド酸の重量平均分子量は、得られたポリアミド酸をテトラヒドロフラン(THF)でポリアミド酸濃度が約1重量%になるように希釈し、GPC装置:日本分光株式会社製、JASCO GULLIVER 1500(インテリジェント示差屈折率計RI−1530)を用いて、上記希釈液を展開剤としてGPC法により測定し、ポリスチレン換算することにより求めた。カラムは、東ソー株式会社製カラムG4000HXL、G3000HXL、G2500HXLおよびG2000HXLの4本をこの順序に接続して使用し、カラム温度40℃、流速1.0ml/minの条件で測定した。
【0199】
[合成例2〜15]
ポリアミド酸(2)〜(25)の合成
表1に示すとおりに原料を仕込むこと以外は合成例1と同じ条件でポリアミド酸溶液を調製し、それぞれをポリアミド酸(2)〜(25)として使用した。
得られたポリアミド酸(1)〜(25)の重量平均分子量および25℃における粘度を合成例1と同じ条件で測定した。これらの測定結果は表1に示すとおりであった。
【0200】
【表1】

【0201】
また、反応に用いる酸無水物基を2つ以上有する化合物(a1)のモル数をn1、ジアミン(a2)のモル数をn2、および末端架橋剤(a3)のモル数をn3としたとき、それぞれのモル数が、n2≧n1+0.5×n3、および0.02≦n1/n2≦0.5となる関係式の結果を表2に示す。
【0202】
【表2】

【0203】
また、末端架橋剤(a4)を用いる場合、酸無水物基を2つ以上有する化合物(a1)のモル数をn1、ジアミン(a2)のモル数をn2、および末端架橋剤(a4)のモル数をn4としたとき、それぞれのモル数が、n2≧n1−0.5×n4、および0.2≦n2/n1≦0.5となる関係式の結果を表3に示す。
【0204】
【表3】

【0205】
[実施例1]ポリイミド膜(1)の形成
合成例1で合成されたポリアミド酸(1)をそのままインクジェット用インク(1)とした。
FUJIFILM Dimatix社製インクジェット塗布装置DMP−2831で1.5mm厚のガラスエポキシ樹脂両面銅張り板上に1ドット幅でドットピッチ40ミクロンに設定し、長さ5cmのライン塗布を加温(40℃)で行った。ピエゾ電圧は16V、駆動周波数は5kHzとした。基板を80℃のホットプレートで5分間乾燥した後、230℃のオーブンで30分間加熱し、ライン状に形成された絶縁性のポリイミド膜(1)を得た。
得られたポリイミド膜のライン幅、エッジの直線性を光学顕微鏡で観察し、膜厚を測定した。膜厚は、触針式膜厚計(αステップ200、KLA−Tencor Japan株式会社製)を使用し、3箇所の測定値の平均値を膜厚とした。その結果を表2に示す。ライン幅はほぼ塗布したときの幅を維持しており、ラインのエッジの直線性も良好であり、ラインは十分な厚みを有している。
【0206】
[実施例2〜25]ポリイミド膜(2)〜(25)の形成
実施例1と同じ条件でインクジェット用インクを調製し、それぞれをインクジェット用インク(2)〜(25)とした。
インクジェット用インク(2)〜(25)を使用して、ヘッド加温温度のみ条件を変え、その他の条件は実施例1と同じ条件でポリイミド膜(2)〜(25)を得た。
得られたポリイミド膜について、実施例1と同じ条件で評価を行った。その結果を表2に示す。すべてのインクジェット用インクにおいてライン幅はほぼ塗布したときの幅を維持しており、ラインのエッジの直線性も良好であり、ラインは十分な厚みを有している。
【0207】
[比較例1]ポリアミド酸(C1)
合成例1で用いた300mlの四つ口フラスコに、以下に示すとおりに原料を仕込み、乾燥窒素気流下40℃で5時間攪拌して、淡黄色透明なポリアミド酸(C1)の25重量%溶液を得た。この溶液の粘度は9.6mPa・s(25℃)であり、重量平均分子量は3,400であった。
ODPA 11.4g
DDS 2.1g
S330 11.5g
EDM 75.0g
【0208】
[比較例2]ポリアミド酸(C2)
合成例1で用いた300mlの四つ口フラスコに、以下に示すとおりに原料を仕込み、乾燥窒素気流下40℃で5時間攪拌して、淡黄色透明なポリアミド酸(C2)の25重量%溶液を得た。この溶液の粘度は10.2mPa・s(25℃)であり、重量平均分子量は3,900であった。
ODPA 10.8g
BAPP 3.4g
S330 10.9g
EDM 75.0g
【0209】
[比較例3]ポリイミド膜(C1)の形成
ポリアミド酸(C1)の溶液をそのままインクジェット用インク(C1)とした。
インクジェット用インク(C1)をインクジェット用インクとして使用した以外は、実施例1と同じ条件でポリイミドの絶縁膜(C1)を得た。
得られたポリイミド膜(C1)について、実施例1と同じ条件で評価を行った。その結果、ポリイミド膜(C1)のライン幅は60μmとなった。また、ポリイミド膜(C1)のラインの膜厚は1.20μmであった。
【0210】
[比較例4]ポリイミド膜(C2)の形成
ポリアミド酸(C2)の溶液をそのままインクジェット用インク(C2)とした。
インクジェット用インク(C2)をインクジェット用インクとして使用した以外は、実施例1と同じ条件でポリイミドの絶縁膜(C2)を得た。
得られたポリイミド膜(C2)について、実施例1と同じ条件で評価を行った。その結果、ポリイミド膜(C2)のライン幅は70μmとなった。また、ポリイミド膜(C2)のラインの膜厚は1.10μmであった。
【0211】
表4に実施例1〜15と比較例3、4の結果をまとめる。
【0212】
【表4】

【0213】
[実施例26]ポリイミドインクの常温保存安定性
実施例1で得られたインクジェット用インク(1)の常温時における保存安定性の評価を行った。溶液の粘度は、E型粘度計(TOKYO KEIKI製 VISCONIC ELD)で測定した。常温保存時の、1日、3日、1週間、2週間、30日、60日、90日、120日と経時的に粘度を測定した。図1に示されるように、大きな粘度変化はなかった。
【0214】
[実施例27]
インクジェット用インク(2)を使用した以外は、実施例16と同じ条件で経時的に粘度変化を測定した。図2に示されるように、大きな粘度変化はなかった。
【0215】
[比較例5]
インクジェット用インク(C1)をインクジェット用インクとして使用した以外は、実施例15と同じ条件で経時的に粘度変化を測定した。
図3に示されるように、常温保存2週間後から増粘が起こり、30日で粘度が急上昇し、2ヵ月後にはインクが固化した。
【0216】
[比較例6]
インクジェット用インク(C2)を使用した以外は、実施例16と同じ条件で経時的に粘度変化を測定した。
図4に示されるように、14日で粘度が急上昇してしまい、30日でインクが固化した。
【産業上の利用可能性】
【0217】
本発明の活用法として、例えば、フレキシブル配線基板用絶縁膜、それを用いた電子部品を挙げることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも、酸無水物基を2つ以上有する化合物(a1)と、ジアミン(a2)と、式(1)で表される末端架橋剤(a3)または式(2)で表される末端架橋剤(a4)とを反応させて得られる、分子末端に架橋性基を有し、重量平均分子量が500〜7,500であるポリアミド酸(A)を含むインクジェット用インク。




(式中、RおよびRは独立して不飽和炭化水素構造を有する炭素数2〜100の有機基である。)
【請求項2】
酸無水物基を2つ以上有する化合物(a1)が、ピロメリット酸二無水物、3,3',4,4'−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,2',3,3'−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,3,3',4'−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3',4,4'−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、2,2',3,3'−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、2,3,3',4'−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、3,3',4,4'−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、2,2',3,3'−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3',4'−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、2,2−[ビス(3,4ージカルボキシフェニル)]ヘキサフルオロプロパン二無水物、エチレングリコールビス(アンヒドロトリメリテート)、シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、メチルシクロブタンテトラカルボン酸二無水物、シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物、エタンテトラカルボン酸二無水物およびブタンテトラカルボン酸二無水物、p−フェニレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)、4,4’−[(イソプロピリデン)ビス(p−フェニレンオキシ)]ジフタル酸二無水物、エチレンジアミン四酢酸二無水物、3,3’,4,4’−ビシクロヘキシルテトラカルボン酸二無水物、3,3,4−ジカルボキシ−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン琥珀酸二無水物、1,3−ジヒドロ−1,3−ジオキソ−5−イソベンゾフランカルボン酸−5,5−[(1−メチルエチリデン)ジ−4,1−フェニレン]エステル、1,3-ジヒドロ-1,3-ジオキソ-5-イソベンゾフランカルボン酸、p-フェニレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)からなる群から選ばれる1以上である、請求項1記載のインクジェット用インク。
【請求項3】
ジアミン(a2)が、3,3'−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、m−キシリレンジアミン、p−キシリレンジアミン、2,2’−ジアミノジフェニルプロパン、ベンジジン、1,1−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]シクロヘキサン、1,1−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]−4−メチルシクロヘキサン、ビス[4−(4−アミノベンジル)フェニル]メタン、1,1−ビス[4−(4−アミノベンジル)フェニル]シクロヘキサン、1,1−ビス[4−(4−アミノベンジル)フェニル]4−メチルシクロヘキサン、1,1−ビス[4−(4−アミノベンジル)フェニル]シクロヘキサン、1,1−ビス[4−(4−アミノベンジル)フェニル]−4−メチルシクロヘキサン、1,1−ビス[4−(4−アミノベンジル)フェニル]メタン、ジエチレングリコールビス(3-アミノプロピル)エーテル、1,2−ビス(2-アミノエトキシ)エタン、1,4-ブタンジオールビス(3-アミノプロピル)エーテル、3,9-ビス(3-アミノプロピル)-2,4,8,10-テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン、4,4‘−ビス(4-アミノフェノキシ)ビフェニル、1.6−ビス(4−((4−アミノフェニル)メチル)フェニル)ヘキサン、1,3-ビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン、α,α’-ビス(4-アミノフェニル)-1,4-ジイソプロピルベンゼン、1,4−ビス(3−アミノプロピル)ピペラジン,N,N‘−ビス(3−アミノプロピル)エチレンジアミン、1,4-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,3-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、ネオペンチルグリコールビス(4−アミノフェニル)エーテル、式(4)





(式中、RおよびRは独立して炭素数1〜3のアルキルまたはフェニルであり、Rはメチレンまたはアルキルで置き換えられていてもよいフェニレンであり、2つのxは独立して1〜6の整数であり、yは1〜70の整数であり、複数存在するR、RおよびRは、それぞれ互いに同じであっても異なっていてもよい。)
および下記式(IX)



(式中、Aは、単結合、−O−、−COO−、−OCO−、−CO−、−CONH−または−(CH2p−(pは1〜6の整数である)であり、R6は、ステロイド骨格を有する基、または、シクロヘキサン環およびベンゼン環からなる群より選ばれる少なくとも1種の環構造を有する基であり、ベンゼン環に結合している2つのアミノ基の位置関係がパラ位のときは、R6は炭素数1〜30のアルキルであってもよく、前記位置関係がメタ位のときは、R6は炭素数1〜10のアルキル、または−F、−CH3、−OCH3、−OCH2F、−OCHF2もしくは−OCF3で置き換えられていてもよいフェニルであってもよく、前記炭素数1〜30のアルキルおよび炭素数1〜10のアルキルにおいては、任意の−CH2−が−CF2−、−CHF−、−O−、−CH=CH−または−C≡C−で置き換えられていてもよく、任意の−CH3が−CH2F、−CHF2または−CF3で置き換えられていてもよい。);
で表される化合物からなる群から選ばれる1以上である、請求項1記載のインクジェット用インク。
【請求項4】
末端架橋剤(a3)が、マレイン酸無水物、シトラコン酸無水物、イタコン酸無水物、アリルナジック酸無水物、5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物、4−エチニルフタル酸無水物、4−フェニルエチニルフタル酸無水物、シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物、exo−3,6−エポキシ−1,2,3,6−テトラヒドロフタル酸無水物、アリルこはく酸無水物からなる群から選ばれる1以上である、請求項1記載のインクジェット用インク。
【請求項5】
末端架橋剤(a4)が、4−エチニルアニリン、3−エチニルアニリン、プロパギルアミン、3−アミノブチン、4−アミノブチン、5−アミノペンチン、4−アミノペンチン、アリルアミン、7−アミノヘプチン、m−アミノスチレン、p−アミノスチレン、m−アミノ−α−メチルスチレン、3−アミノフェニルアセチレン、4−アミノフェニルアセチレンからなる群から選ばれる1以上である、請求項1記載のインクジェット用インク。
【請求項6】
さらに溶媒(B)を含む請求項1〜5のいずれか1項記載のインクジェット用インク。
【請求項7】
溶媒(B)が、乳酸エチル、エタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、シクロヘキサノン、1,3−ジオキソラン、エチレングリコールジメチルエーテル、1,4−ジオキサン、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、アニソール、エチルラクテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールイソプロピルメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールブチルメチルエーテル、トリプロピレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル(1−ブトキシ−2−プロパノール)、プロピレングリコールモノエチルエーテル(1−エトキシ−2−プロパノール)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(1−メトキシ−2−プロパノール)、トリエチレングリコールジビニルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、テトラメチレングリコールモノビニルエーテル、安息香酸メチル、安息香酸エチル、1−ビニル−2−ピロリドン、1−ブチル−2−ピロリドン、1−エチル−2−ピロリドン、1−(2−ヒドロキシエチル)−2−ピロリドン、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、1−アセチル−2−ピロリドン、N,N−ジエチルアセトアミド、N,N−ジメチルプロピオンアミド、N−メチル−ε−カプロラクタム、1,3-ジメチル−2−イミダゾリジノンおよびγ−ブチロラクトンからなる群から選ばれる1以上である、請求項6記載のインクジェット用インク。
【請求項8】
溶媒(B)が、溶媒全重量に対してアミド系溶媒を20重量%以上含まない、請求項6または請求項7記載のインクジェット用インク。
【請求項9】
溶媒(B)が、アミド系溶媒を含まない、請求項6または請求項7記載のインクジェット用インク。
【請求項10】
反応に用いる、酸無水物基を2つ以上有する化合物(a1)のモル数をn1、ジアミン(a2)のモル数をn2、および末端架橋剤(a3)のモル数をn3としたとき、それぞれのモル数が、n2≧n1+0.5×n3、および0.02≦n1/n2≦0.5の関係になるように反応させることによって得られる、分子末端に架橋性基を有するポリアミド酸(A)を含む請求項1記載のインクジェット用インク。
【請求項11】
反応に用いる、酸無水物基を2つ以上有する化合物(a1)のモル数をn1、ジアミン(a2)のモル数をn2、および末端架橋剤(a4)のモル数をn4としたとき、それぞれのモル数が、n2≧n1−0.5×n4、および0.2≦n2/n1≦0.5の関係になるように反応させることによって得られる、分子末端に架橋性基を有するポリアミド酸(A)を含む請求項1記載のインクジェット用インク。
【請求項12】
ポリアミド酸(A)の重量平均分子量が500〜3,500である、請求項1〜11のいずれか1項記載のインクジェット用インク。
【請求項13】
ポリアミド酸(A)の重量平均分子量が500〜2,500である、請求項12記載のインクジェット用インク。
【請求項14】
インクジェット用インク100重量部に対して、ポリアミド酸(A)25〜60重量部を含む請求項1〜13のいずれか1項記載のインクジェット用インク。
【請求項15】
請求項1〜14のいずれか1項記載のインクジェット用インクをインクジェット塗布方法によって塗布してポリアミド酸膜を形成する工程、および、ポリアミド酸膜を加熱処理してポリイミド膜を形成する工程、を経て得られたポリイミド膜またはパターン状ポリイミド膜。
【請求項16】
請求項1〜14のいずれか1項記載のインクジェット用インクをインクジェット塗布方法によって塗布してから乾燥させてポリアミド酸膜を形成する工程、および、ポリアミド酸膜を加熱処理してポリイミド膜を形成する工程を含むインク塗布方法。
【請求項17】
請求項16に記載のインク塗布方法を用いてポリイミド膜を形成する、ポリイミド膜形成方法。
【請求項18】
請求項17に記載のポリイミド膜形成方法で基板上にポリイミド膜が形成されたフィルム基板。
【請求項19】
請求項18に記載のフィルム基板を有する電子部品。
【請求項20】
少なくとも、酸無水物基を2つ以上有する化合物(a1)と、ジアミン(a2)と、式(1)で表される末端架橋剤(a3)とを反応させて得られる、分子末端に架橋性基を有するポリアミド酸(A)を含む熱硬化性組成物であり、
反応に用いる、酸無水物基を2つ以上有する化合物(a1)のモル数をn1、ジアミン(a2)のモル数をn2、および末端架橋剤(a3)のモル数をn3としたとき、それぞれのモル数が、n2≧n1+0.5×n3、および0.02≦n1/n2≦0.5の関係になるように反応させることによって得られる、分子末端に架橋性基を有するポリアミド酸(A)を含む熱硬化性組成物。



(式中、Rは不飽和炭化水素構造を有する炭素数2〜100の有機基である。)
【請求項21】
少なくとも、酸無水物基を2つ以上有する化合物(a1)と、ジアミン(a2)と、式(2)で表される末端架橋剤(a4)とを反応させて得られる、分子末端に架橋性基を有するポリアミド酸(A)を含む熱硬化性組成物であり、
反応に用いる、酸無水物基を2つ以上有する化合物(a1)のモル数をn1、ジアミン(a2)のモル数をn2、および末端架橋剤(a4)のモル数をn4としたとき、それぞれのモル数が、n2≧n1−0.5×n4、および0.2≦n2/n1≦0.5の関係になるように反応させることによって得られる、分子末端に架橋性基を有するポリアミド酸(A)を含む熱硬化性組成物。


式中、Rは不飽和炭化水素構造を有する炭素数2〜100の有機基である。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−159402(P2010−159402A)
【公開日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−276063(P2009−276063)
【出願日】平成21年12月4日(2009.12.4)
【出願人】(000002071)チッソ株式会社 (658)
【Fターム(参考)】