説明

インクジェット用水性インク、インクカートリッジ、及びインクジェット記録方法

【課題】 高品位な画像が得られ、画像の耐擦過性及び記録媒体への密着性が高く、またインクの保存安定性及び吐出安定性に優れたインクジェット用水性インクを提供すること。
【解決手段】 予め加熱された記録媒体に画像を形成するために用いられるインクジェット用水性インクであって、水溶性有機溶剤及び樹脂微粒子を含有してなり、前記水性インク中の前記樹脂微粒子の含有量(質量%)が、インク全質量を基準として、2.0質量%以上5.0質量%以下であり、前記水溶性有機溶剤が、非プロトン性極性溶剤A、20℃における蒸気圧が0.10kPa以上2.34kPa以下のプロトン性極性溶剤B、及び、凝固点が30℃以下のポリエチレングリコールである溶剤Cを含み、下記式の関係を満たすことを特徴とするインクジェット用水性インク。
1.15≦V/(P/D)≦1.50

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクジェット用水性インク、かかるインクを用いたインクカートリッジ、及びインクジェット記録方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、インクジェット記録方式は、紙などの浸透性の記録媒体への印刷だけではなく、ポリ塩化ビニルやポリエチレンテレフタラートなどのプラスチックを用いた非浸透性の記録媒体への印刷といった応用展開がなされている。従来、非浸透性の記録媒体に用いるインクとしては、非水性の溶剤インクが主流であったが、最近では、環境への安全性がより高い水性インクについても検討がなされている。
【0003】
有機溶剤が主溶媒である非水性の溶剤インクを用いて、非浸透性の記録媒体に記録する場合は、溶剤によって、記録媒体の表面が溶解した部分に色材が入り込み、更に溶剤の蒸発に伴い、記録媒体の表面が再び固化することで、色材が定着する。一方、水が主溶媒である水性インクを用いる場合は、少量の有機溶剤しか含まれないため、記録媒体の表面を溶解させる作用が弱い。そのため、水性インクを用いる場合は、非浸透性の記録媒体と色材を密着させるバインダーとして、樹脂微粒子を使用する方法が提案されている(特許文献1〜3)。これは、樹脂微粒子を含有するインクが記録媒体に付与された後、水などの蒸発に伴い、色材の周囲に樹脂の膜が形成されることで、色材を記録媒体に密着させるものである。特許文献1は、非浸透性の記録媒体を膨潤させる有機溶剤とアクリル樹脂微粒子を含有する水性インクに関する発明であり、定着性が改善されることが開示されている。特許文献2及び3は、熱可塑性樹脂微粒子と揮発性の低い有機溶剤(環状アミド化合物や環状エステル化合物)と揮発性の高い環状エーテル化合物を含有する水性顔料インクに関する発明である。そして、これらの揮発性の異なる2種類の有機溶剤により、非浸透性の記録媒体の表面が過剰に溶解されることを抑制し、更に、樹脂微粒子の作用により記録媒体と顔料の密着性を改善している。
【0004】
また、樹脂微粒子を含有するインクを記録媒体に付与した後に、加熱工程を設ける方法が提案されている(特許文献4)。これは、加熱により水などの溶媒の蒸発を促進させることで、色材の記録媒体への密着性を高め、更に、加熱により樹脂微粒子を融着させて一体化した膜を形成させることで、耐擦過性を向上することが目的である。特許文献4には、樹脂微粒子、沸点が285℃以下の有機溶剤、及びポリマー結合型顔料を含有する水性インクを記録媒体に付与し、画像を形成した後に加熱をすることで、非浸透性の記録媒体へのインクの付着性、耐摩耗性が改善されることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開第2007/044109号パンフレット
【特許文献2】特開2006−282822号公報
【特許文献3】特開2006−282823号公報
【特許文献4】特開2005−220352号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1〜3のような水溶性有機溶剤と樹脂微粒子を含有する従来の水性インクは、水性インク中に含有される水溶性有機溶剤が、非浸透性の記録媒体の表面を溶解することで、記録媒体への色材の密着を補助している。しかし、本発明者らの検討の結果、有機溶剤が記録媒体の表面を溶解させるのには、時間が長くかかることが分かった。そのため、特許文献1〜3のような従来の水性インクを通常のインクジェット記録方法で使用した場合、付与されたインク中の有機溶剤によって記録媒体が溶解され、色材が定着する前に、次のインク液滴が記録媒体に付与されてしまう。そして、隣接するインクの液滴同士が相溶することによって色材が流動してしまい、色材が所望の位置に定着しない。そのため、非浸透性の記録媒体への密着性は改善されてはいるものの、画像の均一性がインクジェット記録方式において要求されるレベルには至っていないことが分かった。また、得られる画像中に有機溶剤が残留しやすく、画像の耐擦過性や記録媒体への密着性が不十分であった。更に、インクの保存安定性及び吐出安定性も要求されるレベルには至っていなかった。
【0007】
一方、特許文献4のように、記録媒体にインクを付与した後に、加熱工程を設ける従来の方法では、加熱により溶剤の蒸発が促進されるため、画像中に残留する有機溶剤の量が少なくなり、画像の耐擦過性や密着性は改善される。しかしながら、上記と同様の理由により、画像の均一性が要求されるレベルには至っていなかった。
【0008】
したがって、本発明の目的は、高品位な画像が得られ、画像の耐擦過性及び記録媒体への密着性が高く、またインクの保存安定性及び吐出安定性に優れたインクジェット用水性インクを提供することにある。また、本発明の別の目的は、上記本発明のインクジェット用水性インクを用いたインクカートリッジ及びインクジェット記録方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的は以下の本発明によって達成される。即ち、本発明にかかるインクジェット用水性インクは、予め加熱された記録媒体に画像を形成するために用いられるインクジェット用水性インクであって、水溶性有機溶剤及び樹脂微粒子を含有してなり、前記水性インク中の前記樹脂微粒子の含有量(質量%)が、インク全質量を基準として、2.0質量%以上5.0質量%以下であり、前記水溶性有機溶剤が、非プロトン性極性溶剤A、20℃における蒸気圧が0.10kPa以上2.34kPa以下のプロトン性極性溶剤B、及び、凝固点が30℃以下のポリエチレングリコールである溶剤Cを含み、
1.15≦V/(P/D)≦1.50
(上記式において、V:インク全質量を基準とした前記水溶性有機溶剤の合計含有量(質量%)、P:インク全質量を基準とした前記樹脂微粒子の含有量(質量%)、D:前記樹脂微粒子の平均粒径(μm)である。)
の関係を満たすことを特徴とする。
【0010】
また、本発明の別の実施態様にかかるインクジェット用水性インクは、予め加熱された記録媒体に画像を形成するために用いられるインクジェット用水性インクであって、水溶性有機溶剤及び樹脂微粒子を含有してなり、前記水性インク中の前記樹脂微粒子の含有量(質量%)が、インク全質量を基準として、2.0質量%以上5.0質量%以下であり、前記水溶性有機溶剤が、20℃における蒸気圧が0.10kPa以上2.34kPa以下の非プロトン性極性溶剤B、及び、凝固点が30℃以下のポリエチレングリコールである溶剤Cを含み、
1.15≦V/(P/D)≦1.50
(上記式において、V:インク全質量を基準とした前記水溶性有機溶剤の合計含有量(質量%)、P:インク全質量を基準とした前記樹脂微粒子の含有量(質量%)、D:前記樹脂微粒子の平均粒径(μm)である。)
の関係を満たすことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、高品位な画像が得られ、画像の耐擦過性及び記録媒体への密着性が高く、またインクの保存安定性及び吐出安定性に優れたインクジェット用水性インクを提供することができる。また、本発明の別の実施態様によれば、前記インクジェット用水性インクを用いたインクカートリッジ及びインクジェット記録方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、好適な実施の形態を挙げて本発明を詳細に説明する。
【0013】
本発明者らは、まず加熱工程について検討を行ったところ、インクジェット用水性インク(以下「インク」とする)を加熱工程により加熱された記録媒体にインクジェット方式で記録を行う方法に至った。この方法によれば、インクが記録媒体に付与された瞬間から水溶性有機溶剤(以下、「溶剤」とする)の蒸発が起きるため、色材の流動が抑えられ、画像の均一性が低下しない。しかしながら、インクを記録媒体に付与する工程の前に記録媒体を加熱する工程を設けると、加熱された記録媒体の熱が伝播することで記録ヘッドの吐出口付近に存在するインクの温度が上昇してしまう。そのため、従来のインクを使用した場合では、インクから溶剤や水が蒸発し、吐出口付近に色材が析出してしまい、インクの吐出安定性が低下してしまっていた。つまり、加熱工程により加熱された記録媒体にインクジェット方式で記録を行う方法を用いる場合においては、画像の均一性とインクの吐出安定性はトレードオフの関係となる。
【0014】
そこで、本発明者らは、吐出安定性を向上するために、インク中の水の含有量を増やし、溶剤の含有量を減らした。これにより、インクの吐出口の乾燥が抑制され、吐出安定性が改善された。しかしながら、溶剤の含有量が少ない場合、画像の耐擦過性及び密着性が低下してしまった。本発明者らが検討したところ、以下の現象が生じていることが分かった。
【0015】
インク中の樹脂微粒子は記録媒体に付与された後、粒子が軟化することで、粒子同士が互いに融着し成膜する。このとき、インク中の溶剤は、樹脂微粒子の表面を膨潤させることで、この粒子の軟化を促進する作用がある。したがって、インク中の溶剤の合計含有量が少ない場合、粒子の軟化が促進されず、樹脂の成膜が不十分となるため、画像の耐擦過性及び画像と記録媒体の密着性が低下してしまったものと考えられる。一方、溶剤の合計含有量が多い場合は、インク中の水の含有量が少なくなることで吐出安定性が低下することに加えて、加熱をしても画像中に溶剤が残留してしまうことで画像の耐擦過性及び画像と記録媒体の密着性が低下してしまう。
【0016】
以上の検討から、本発明者らは、画像の耐擦過性及び密着性に加え、更にインクの保存安定性及び吐出安定性を向上するには、インク中に含有する溶剤の種類、及び、溶剤の合計含有量を規定する必要があるとの結論に達し、本発明に至ったものである。詳細を以下に説明する。
【0017】
まず、本発明のインク中には、非プロトン性かつ極性の溶剤、20℃における蒸気圧が0.10kPa以上2.34kPa以下の溶剤、及び、凝固点が30℃以下のポリエチレングリコールを含有する必要があることが分かった。より具体的には、本発明の第1の実施態様のインク中には、非プロトン性極性溶剤A、20℃における蒸気圧が0.10kPa以上2.34kPa以下のプロトン性極性溶剤B、及び凝固点が30℃以下のポリエチレングリコールである溶剤Cの3種類の水溶性有機溶剤を含有する必要があることが分かった。また、本発明の第2の実施態様のインク中には、20℃における蒸気圧が0.10kPa以上2.34kPa以下の非プロトン性極性溶剤B、及び、凝固点が30℃以下のポリエチレングリコールである溶剤Cを含有する必要があることが分かった。それぞれの溶剤について以下に詳細に説明する。
【0018】
本発明のインクは「非プロトン性かつ極性の溶剤」を含有する。尚、本発明において、非プロトン性かつ極性の溶剤とは、「解離性のHを持たず(非プロトン性)、分子の電子分極が進み、大きい双極子モーメントを有する(極性がある)溶剤」を意味する。非プロトン性かつ極性の溶剤は、樹脂微粒子表面との相互作用が強く、粒子の軟化を促進させる作用が高いため、画像の耐擦過性及び画像と記録媒体の密着性を向上することができる。一方、非極性の溶剤は、樹脂微粒子表面との相互作用が弱く、粒子の軟化を効率よく行えないため、画像の耐擦過性及び画像と記録媒体の密着性が向上しない。
【0019】
また、本発明のインクは「20℃における蒸気圧が0.10kPa以上2.34kPa以下の溶剤」を含有する。尚、20℃の蒸気圧(飽和蒸気圧ともいう)とは、20℃で真空に保った容器中に溶剤を入れた際に、蒸発が起こり平衡に達したときの気相の圧力を意味する。本発明者らが種々の溶剤を検討したところ、蒸気圧が0.10kPa以上である溶剤を用いれば、画像中に残留しにくく、画像の耐擦過性及び画像と記録媒体の密着性を向上することができることが分かった。一方で、水性インクの主溶媒である水(20℃の蒸気圧が2.34kPa)より蒸気圧の大きい溶剤を用いると、インクが記録媒体に付与された際に、主溶媒である水より先に溶剤が蒸発するという現象が起きてしまう。これにより、樹脂微粒子の軟化を促進させる作用が弱くなり、画像の耐擦過性及び画像と記録媒体の密着性が向上しない。したがって、20℃における蒸気圧が2.34kPa以下の溶剤を用いる必要がある。更には、20℃における蒸気圧が0.15kPa以上1.33kPa以下の溶剤を用いることがより好ましい。
【0020】
また、上記の「非プロトン性かつ極性」であることと「20℃における蒸気圧が0.10kPa以上2.34kPa以下」であることの両方の物性を満たす溶剤である場合は、そのような溶剤を1種類用いることで、両方の物性に由来する効果を得ることができる。即ち、「20℃における蒸気圧が0.10kPa以上2.34kPa以下である非プロトン性の極性溶剤」は、樹脂微粒子表面との相互作用が強いため粒子を軟化させる作用が高い。更に、画像中に残留しにくいため、画像の耐擦過性及び画像と記録媒体の密着性を向上することができることが分かった。
【0021】
更に、本発明のインクは「凝固点が30℃以下のポリエチレングリコール」を含有する。これは、常温において液体として存在することができる、即ち、溶剤として使用可能なポリエチレングリコールであることを意味する。尚、本発明における凝固点はJIS K0065の方法により測定される値である。ポリエチレングリコールは、保湿性が高い溶剤であるため、インクの吐出口の昇温による色材の析出を抑制することができる。
【0022】
また、本発明者らが検討を行ったところ、上記のインク中の溶剤の合計含有量に関しては、
式(1):1.15≦V/(P/D)≦1.50
(上記式(1)において、V:インク全質量を基準とした水溶性有機溶剤の合計含有量(質量%)、P:インク全質量を基準とした樹脂微粒子の含有量(質量%)、D:樹脂微粒子の平均粒径(μm)である。)を満たす必要があるとの結果を得た。上記式において、P/Dは樹脂微粒子の総表面積を意味する。したがって、上記の式(1)は、1.15≦(溶剤の合計含有量)/(樹脂微粒子の総表面積)≦1.50と換算できる。つまり、インク中の溶剤の合計含有量とインク中の樹脂微粒子の総表面積の比が、1.15以上1.50以下である必要がある。これは、以下の理由による。
【0023】
上述の通り、樹脂微粒子の軟化は、樹脂微粒子の表面が溶剤によって膨潤することによって促進される。つまり、樹脂微粒子の表面を十分に覆うことができるように溶剤を含有することによって、効率的に軟化を促進することができる。したがって、画像の耐擦過性及び画像と記録媒体の密着性を向上させるには、樹脂微粒子の総表面積を十分に覆うことができるような量以上の溶剤がインク中に含有されている必要がある。本発明者らが検討を行ったところ、V/(P/D)が1.15未満では、樹脂微粒子の総表面積に対して、溶剤の合計含有量が少ない。そのため、樹脂微粒子が十分に軟化せず、画像の耐擦過性及び密着性が不十分であった。一方、V/(P/D)が1.50より大きい場合は、樹脂微粒子の総表面積に対する溶剤の合計含有量は十分であるが、画像中に残留する溶剤が多くなることにより、画像の耐擦過性及び密着性が不十分であった。更に、溶剤の含有量が多く、相対的にインク中の水の含有量が少なくなることで、吐出安定性が不十分となった。
【0024】
以上のメカニズムのように、本発明のインクの各構成が有効に働くことによって、従来公知の方法では両立ができなかったような本発明の効果を得ることが可能となるものである。
【0025】
[インク]
以下、本発明のインクを構成する各成分について、それぞれ説明する。
【0026】
<水溶性有機溶剤>
本発明のインクは、以下の水溶性有機溶剤を含有する。
【0027】
(非プロトン性極性溶剤A)
非プロトン性極性溶剤Aとしては、2−ピロリドン、N−メチルピロリドン、ε−カプロラクタム、γ−ブチロラクトン、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、ヘキサメチルリン酸トリアミドなどが挙げられる。これらの中でも、2−ピロリドン、γ−ブチロラクトン、ジメチルホルムアミドが好ましい。
【0028】
インク中の溶剤Aの含有量(質量%)は、インク全質量を基準として1.0質量%以上25.0質量%以下が好ましい。また、インク全質量を基準とした、溶剤Aの含有量(質量%)が樹脂微粒子(固形分)の含有量(質量%)に対して、2.0倍以上5.0倍以下であることが好ましい。2.0倍未満の場合、樹脂微粒子に対する溶剤Aの含有量が相対的に少なくなるため、粒子の軟化を促進させる作用が弱くなり、画像の耐擦過性及び密着性の向上効果が十分に得られない場合がある。5.0倍より大きいと、樹脂微粒子に対する溶剤Aの量が多いため、溶剤Aが樹脂微粒子を軟化させる作用が強く、画像が軟らかくなることで、画像の密着性及び耐擦過性の向上効果が十分に得られない場合がある。尚、本発明において、溶剤Aに該当する溶剤を1種のみを用いてもよく、また2種以上を併用してもよい。2種以上を併用する場合は、上記の溶剤Aの含有量(質量%)は、併用する溶剤の含有量の総和である。
【0029】
(20℃における蒸気圧が0.10kPa以上2.34kPa以下のプロトン性極性溶剤B
20℃における蒸気圧が0.10kPa以上2.34kPa以下のプロトン性極性溶剤Bとしては、プロピレングリコールn−ブチルエーテル、エチレングリコールメチルエーテル、エチレングリコールエチルエーテル、2−メチル−1,3−プロパンジオール、ジメチルホルムアミドが挙げられる。これらの中でも、2−メチル−1,3−プロパンジオール、プロピレングリコールn−ブチルエーテルが好ましい。以下の表1に、インクに用いられる代表的な溶剤の20℃の蒸気圧を示した。尚、参考のために水の20℃の蒸気圧も表中に示した。
【0030】
【表1】

【0031】
インク中の溶剤Bの含有量(質量%)は、インク全質量を基準として1.0質量%以上10.0質量%以下が好ましい。尚、本発明において、溶剤Bに該当する溶剤を1種のみを用いてもよく、また2種以上を併用してもよい。2種以上を併用する場合は、上記の溶剤Bの含有量(質量%)は、併用する溶剤の含有量の総和である。
【0032】
また、インク全質量を基準とした、溶剤Aの含有量(質量%)が溶剤Bの含有量(質量%)に対して質量比率で2.0倍以上3.0倍以下であることが好ましい。2.0倍未満であると、溶剤Aの含有量が相対的に少なくなるため、粒子の軟化を促進させる作用が弱くなり、画像の耐擦過性及び密着性の向上効果が十分に得られない場合がある。3.0倍より大きいと、溶剤Bの含有量が相対的に少なくなるため、画像中に残留する溶剤の量が多くなり、画像の耐擦過性及び密着性の向上効果が十分に得られない場合がある。
【0033】
(20℃における蒸気圧が0.10kPa以上2.34kPa以下の非プロトン性極性溶剤B
20℃の蒸気圧が0.10kPa以上2.34kPa以下の非プロトン性極性溶剤Bとしては、2−ピロリドン、γ−ブチロラクトン、ジメチルホルムアミドなどが挙げられる。これらの中でも、2−ピロリドンを用いることが好ましい。インク中の溶剤Bの含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、2.0質量%以上35.0質量%以下が好ましい。
【0034】
(溶剤C)
溶剤Cは凝固点が30℃以下のポリエチレングリコールである。このようなポリエチレングリコールとしては、数平均分子量が200以上600以下のもの(ポリエチレングリコール200〜600)が挙げられる。
【0035】
インク中の溶剤Cの含有量(質量%)は、インク全質量を基準として2.0質量%以上4.0質量%以下が好ましい。2.0質量%未満では、記録ヘッドの吐出口からの水分などの蒸発の抑制作用が弱くなるため、吐出安定性の向上効果が十分に得られない場合がある。4.0質量%より大きいと、画像中の溶剤Cの残存量が多くなり、画像の耐擦過性及び密着性の向上効果が十分に得られない場合がある。尚、本発明において、溶剤Cに該当する溶剤を1種のみを用いてもよく、また2種以上を併用してもよい。2種以上を併用する場合は、上記の溶剤Cの含有量(質量%)は、併用する溶剤の含有量の総和である。
【0036】
(その他の水溶性有機溶剤)
本発明のインクは、本発明の効果が得られる範囲で、上記の溶剤A、B、B、C以外の溶剤を含有してもよい。具体的には、炭素数1乃至4のアルキルアルコール類、アミド類、ポリアルキレングリコール類、グリコール類、アルキレン基の炭素原子数が2乃至6のアルキレングリコール類、多価アルコール類、多価アルコールのアルキルエーテル類、含窒素化合物類などのうち、上記の溶剤A、B、Cの物性を何れも満たさないものが挙げられる。このとき、インク中におけるその他の溶剤の含有量は、溶剤Aの含有量よりも少ないことが好ましい。より具体的には、インク中のその他の溶剤の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、0質量%以上15.0質量%以下、更には0質量%以上5.0質量%以下であることが好ましい。
【0037】
<水>
本発明のインクは、水を含有する。水としては、種々のイオンを含有する一般の水ではなく、イオン交換水(脱イオン水)を使用するのが好ましい。インク中の水の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、50.0質量%以上90.0質量%以下、更には50.0質量%以上80.0質量%以下であることが好ましい。
【0038】
<樹脂微粒子>
本発明のインクは、樹脂微粒子を含有する。インク中の樹脂微粒子の含有量(固形分の質量%)は、インク全質量を基準として、2.0質量%以上5.0質量%以下である必要がある。2.0質量%未満であると、画像の耐擦過性及び画像の密着性が不十分である。また、5.0質量%より大きいと、インクの粘度が上昇し、インクの保存安定性が不十分である。また、加熱によって乾燥しやすく、吐出口に樹脂が固着するため、インクの吐出安定性が不十分である。
【0039】
樹脂微粒子としては、具体的には、(メタ)アクリル酸アルキルエステルや(メタ)アクリル酸アルキルアミドなどのモノマーを乳化重合するなどして作製したアクリル樹脂微粒子;(メタ)アクリル酸アルキルエステルや(メタ)アクリル酸アルキルアミドなどとスチレンのモノマーを乳化重合するなどして作製したスチレン−アクリル樹脂微粒子;ポリエチレン樹脂微粒子、ポリプロピレン樹脂微粒子、ポリウレタン樹脂微粒子、スチレン−ブタジエン樹脂微粒子、フルオロオレフィン系樹脂微粒子などが挙げられる。また、樹脂微粒子を構成するコア部とシェル部でポリマーの組成が異なるコアシェル型樹脂微粒子や、粒径制御するために予め作製したアクリル樹脂微粒子をシード粒子とし、その周辺で乳化重合することにより得られる樹脂微粒子などでもよい。更には、アクリル樹脂微粒子とウレタン樹脂微粒子など異なる樹脂微粒子を化学的に結合させたハイブリッド型樹脂微粒子などでもよい。
【0040】
本発明のインクに使用する樹脂微粒子の分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により得られるポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)が、100,000以上3,000,000以下、更には300,000以上2,000,000以下であることが好ましい。
【0041】
本発明のインクに使用する樹脂微粒子の平均粒径は、0.18μm以上0.25μm以下であることがより好ましい。尚、本発明における樹脂微粒子の平均粒径は、体積平均粒径の50%累計値により求められる平均粒径D50である。後述する実施例では、マイクロトラックUPA−EX150(日機装製)を用いて測定し、算出した。平均粒径が0.18μm未満であると、樹脂微粒子の単位体積当たりの表面積が大きくなるため、加熱によって乾燥しやすく、吐出口に樹脂が固着することがあり、吐出安定性の向上効果が十分に得られない場合がある。また、平均粒径が0.25μmより大きいと、樹脂微粒子のインク中での沈降速度が速くなるため、インクの吐出安定性や保存安定性の向上効果が十分に得られない場合がある。
【0042】
本発明のインクに使用する樹脂微粒子のガラス転移温度(Tg)は、40℃以上90℃以下であることが好ましい。更には、50℃以上80℃以下であることがより好ましい。尚、Tgは、示差走査熱量計(DSC)を用いて測定した値である。Tgが40℃未満であると、樹脂が軟らかく、得られた画像の耐擦過性の向上効果が十分得られない場合がある。また、Tgが90℃より高いと樹脂微粒子の最低造膜温度も高くなるため、画像の定着性が十分でない場合がある。これらの観点から、(メタ)アクリル酸アルキルエステルを用いたアクリル樹脂微粒子を用いることが好ましい。
【0043】
<色材>
本発明のインクは、更に色材を含有してもよい。用いられる色材としては、顔料及び染料が挙げられる。顔料及び染料は従来公知のものを何れも使用することができる。インク中の色材の含有量(質量%)としては、インク全質量を基準として、0.3質量%以上20.0質量%以下が好ましく、更には0.5質量%以上12.0質量%以下とするのがより好ましい。特に、耐候性の観点から、色材として顔料を用いることが好ましい。尚、色材として顔料を用いる場合、顔料の分散方法としては、分散剤として樹脂を用いる樹脂分散タイプの顔料(樹脂分散剤を使用した樹脂分散顔料、顔料粒子の表面を樹脂で被覆したマイクロカプセル顔料、顔料粒子の表面にポリマーを含む有機基が化学的に結合したポリマー結合型自己分散顔料)や顔料粒子の表面に親水性基を導入した自己分散タイプの顔料(自己分散顔料)が挙げられる。無論、分散方法の異なる顔料を併用することも可能である。具体的な顔料としては、カーボンブラックや有機顔料を用いることが好ましい。顔料は1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0044】
本発明のインクが更に色材を含有するときは、色材のインク全質量を基準とした含有量(質量%)が、樹脂微粒子のインク全質量を基準とした含有量(質量%)に対して、質量比率で0.1倍以上1.0倍以下であることが好ましい。0.1倍未満であると、インク中の樹脂微粒子の含有量が多くなりインクの粘度が上昇するため、インクの吐出安定性及び保存安定性の向上効果が十分に得られない場合がある。また、1.0倍よりも大きいと、色材に対する樹脂微粒子の相対量が少なく、耐擦過性の向上効果が十分に得られない場合がある。
【0045】
<その他の成分>
本発明のインクは、上記の成分以外にも必要に応じて、界面活性剤、pH調整剤、防錆剤、防腐剤、防黴剤、酸化防止剤、還元防止剤、蒸発促進剤、キレート化剤、及び上記樹脂微粒子以外のポリマーなどの種々の添加剤を含有してもよい。このような添加剤のインク中における含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、0.05質量%以上10.0質量%以下、更には0.2質量%以上5.0質量%以下であることが好ましい。
【0046】
本発明のインクは、更にフッ素系やシリコーン系の界面活性剤を含有することが好ましい。フッ素系やシリコーン系の界面活性剤は、少量の含有量でもインクの表面張力を低下させることができるため、インクの記録媒体への濡れ性を高めることができる。これにより、非浸透性の記録媒体に記録を行う際も、インクが媒体上で弾かれる現象が抑制され、画像品質をより向上することができる。フッ素系やシリコーン系の界面活性剤としては、例えば、Zonyl FSO、Zonyl FSO100、Zonyl FSN、Zonyl FSN100(以上、Dupont製)、メガファックF−410、メガファックF−493、メガファックF−443、メガファックF−444、メガファックF−445(以上、DIC製)、Novec FC−4430、Novec FC−4432(以上、3M製)、フタージェント100、フタージェント150、フタージェント150CH、フタージェント250、フタージェント400SW、フタージェント501(以上、ネオス製)、KS508、KP360A、KP360A(以上、信越シリコーン製)、FZ−2191、FZ−2123、8211ADDITIVE(以上、東レダウコーニング製)などが挙げられる。
【0047】
また、本発明のインクは、更にノニオン性界面活性剤を含有することが好ましい。ノニオン性の界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、アセチレングリコールのエチレンオキサイド付加物などが挙げられる。より具体的には、NIKKOL BC−20(日光ケミカルズ製)、サーフィノール465(日信化学工業製)などが挙げられる。
【0048】
本発明のインクのpHは、7以上10以下とすることが好ましく、このためにはpH調整剤を用いて調整することができる。尚、インクのpHは、25℃における値であり、一般的なpHメータを用いて測定することができる。また、25℃におけるインクの粘度は6cps以下であることが好ましく、例えば水性媒体の構成や含有量によって調整することができる。25℃におけるインクの粘度が6cpsより大きいと、インクの吐出安定性の向上効果が十分に得られない場合がある。
【0049】
[インクカートリッジ]
本発明のインクカートリッジは、インクを収容するインク収容部を備えてなり、前記インク収容部に、上記で説明した本発明のインクが収容されてなるものである。インクカートリッジの構造としては、インク収容部が、液体のインクを収容するインク収容室、及び負圧によりその内部にインクを保持する負圧発生部材を収容する負圧発生部材収容室で構成されるものが挙げられる。又は、液体のインクを収容するインク収容室を持たず、収容量の全量を負圧発生部材により保持する構成のインク収容部であるインクカートリッジであってもよい。更には、インク収容部と記録ヘッドとを有するように構成された形態のインクカートリッジとしてもよい。
【0050】
[インクジェット記録方法]
本発明のインクジェット記録方法は、記録媒体を加熱する加熱工程、及び、前記加熱工程により加熱された記録媒体にインクジェット方式で記録を行う記録工程を有するインクジェット記録方法であり、前記記録工程に本発明のインクを使用するものである。本発明においては特に、インクに熱エネルギーを作用させて記録ヘッドの吐出口からインクを吐出させる方式のインクジェット記録方法が好ましい。その場合は、吐出口の直径が14μm以上30μm以下であることが好ましい。吐出口の直径が14μm未満では、吐出口からの水分蒸発によって樹脂が固着した際に、印字ヨレやかすれなどの影響を受ける場合があり、吐出安定性が十分に得られない場合がある。吐出口の直径が30μmより大きいと、吐出されるインク液滴が大きく、体積当たりの記録媒体との接地面積が小さくなるため、得られる画像の機械的強度が十分でなく、画像の耐擦過性が十分に得られない場合がある。尚、本発明における「記録」とは、インク受容層を有する記録媒体や普通紙などの記録媒体に対して本発明のインクを用いて記録する態様、ガラス、プラスチック、フィルムなどの非浸透性の記録媒体に対して本発明のインクを用いてプリントを行う態様を含む。特に、本発明のインクを非浸透性の記録媒体に対して用いた場合に本発明の効果が顕著に得られるため、より好ましい。
【0051】
また、本発明において「加熱工程により加熱された記録媒体に記録を行う」とは、あるインク滴が付与される領域が予め加熱されていればよい。これは上述の通り、インクが記録媒体に付与された瞬間から溶剤の蒸発が起きさえすれば色材の流動が抑えられるため、本発明の効果の1つである高品位な画像を達成することができるからである。また、インク滴が付与される領域が加熱されていればよく、記録媒体全体を加熱しておくことを要するものでもない。このような条件を満たすのであれば、記録媒体を加熱しながら記録を行う場合も含まれる。具体的には、プラテンを熱で変形しにくいダイカスト製法で作製したアルミニウム合金とし、プラテン下部にニッケル合金製ヒーターを配置し、プラテンを加熱することで記録媒体を加熱しながら記録を行う方法などが挙げられる。また、インクを記録媒体に付与する前に記録媒体を加熱する工程に加えて、更に、インクを記録媒体に付与した後に加熱工程を設けることもできる。インクを記録媒体に付与した後にも加熱工程を更に設けることで、記録媒体に付与されたインク液滴の乾燥や樹脂微粒子の造膜をさらに促進させ、インクの記録媒体への定着性をより向上させることができる。尚、非浸透性の記録媒体を用いる場合は、何れの加熱工程においても、記録媒体の軟化温度より低い温度で加熱することが好ましい。例えば、非浸透性の記録媒体として、ポリ塩化ビニルフィルムなどを用いる場合は、記録媒体の軟化温度である80℃より低い温度で加熱することが好ましい。更には、30℃以上で加熱することが好ましい。
【実施例】
【0052】
以下、実施例及び比較例を用いて本発明を更に詳細に説明する。本発明は、その要旨を超えない限り、下記の実施例によって何ら限定されるものではない。尚、以下の実施例の記載において、「部」とあるのは特に断りのない限り質量基準である。尚、明細書及び表中の略称は以下の通りである。
Py:2−ピロリドン
MPD:2−メチル−1,3−プロパンジオール
PEG600:ポリエチレングリコール(数平均分子量:600)
PEG300:ポリエチレングリコール(数平均分子量:300)
PEG1000:ポリエチレングリコール(数平均分子量:1000)
PPGB:プロピレングリコールブチルエーテル
ε−Cap:ε−カプロラクタム
DMF:N,N−ジメチルホルムアミド
BD:1,3−ブタンジオール
Dioxane:1,4−ジオキサン
DEG:ジエチレングリコール(PEG100に相当)
DEGmB:ジエチレングリコールモノブチルエーテル
Gly:グリセリン
TEG:トリエチレングリコール
【0053】
<樹脂微粒子分散液の調製>
以下に示す手順により、樹脂微粒子分散液Em.1〜Em.4を調製した。
【0054】
(樹脂微粒子分散液Em.1の調製)
三口フラスコに撹拌棒と冷却管及び滴下用シリンジと窒素ガス導入管を接続し、三口フラスコを50℃に保持した恒温槽中に入れた。三口フラスコには、下記の(三口フラスコに入れる原料)を予めホモジナイザー(攪拌回転数:10,000rpm)で15分間攪拌することで乳化状態としたものを入れた。
【0055】
(三口フラスコに入れる原料)
・重合開始剤:過硫酸カリウム 0.5部
・乳化剤:ラテムル PD−104(花王製) 3.0部
・メチルメタクリレート(MMA) 4.25部
・2−エチルヘキシルアクリレート(2EHA) 0.6部
・メタクリル酸(MAA) 0.15部
・イオン交換水 130.0部
更に、下記の(滴下用シリンジに入れる原料)を予めホモジナイザーで(攪拌回転数:10,000rpm)で15分間攪拌することで乳化状態としたものを滴下用シリンジに入れた。
【0056】
(滴下用シリンジに入れる原料)
・重合開始剤:過硫酸カリウム 0.5部
・乳化剤:ラテムル PD−104(花王製) 3.0部
・メチルメタクリレート(MMA) 85.0部
・2−エチルヘキシルアクリレート(2EHA) 12.0部
・メタクリル酸(MAA) 3.0部
・イオン交換水 130.0部
【0057】
そして、滴下用シリンジに入れた原料を、1時間かけて上記の三口フラスコ内に滴下し、その後、恒温層の温度を80℃として30分間保温し、樹脂微粒子を合成した。得られた樹脂微粒子の安定性を高めるために、10%水酸化カリウム水溶液とイオン交換水を更に滴下し、pHが8.3、樹脂微粒子(固形分)の含有量が45.0質量%となるように調製したものを樹脂微粒子分散液Em.1とした。更に、得られた樹脂微粒子の平均粒径及び数平均分子量を測定した。樹脂微粒子の平均粒径は、マイクロトラックUPA−EX150(日機装製)を用いて、体積平均粒径の50%累計値により求められる平均粒径を測定した。また、樹脂微粒子の数平均分子量はGPCを用いて測定した。本発明におけるGPCの測定条件は以下の通りである。
・装置:Alliance GPC 2695(Waters製)
・カラム:Shodex KF−806Mの4連カラム(昭和電工製)
・移動相:THF(特級)
・流速:1.0mL/min
・オーブン温度:40.0℃
・試料溶液の注入量:0.1mL
・検出器:RI(屈折率)
・ポリスチレン標準試料:PS−1及びPS−2(Polymer Laboratories製)
(分子量:7,500,000、2,560,000、841,700、377,400、320,000、210,500、148,000、96,000、59,500、50,400、28,500、20,650、10,850、5,460、2,930、1,300、580の17種)。結果を表2に示す。
【0058】
(樹脂微粒子分散液Em.2〜13の調製)
(三口フラスコに入れる原料)及び(滴下用シリンジに入れる原料)にそれぞれ添加する乳化剤:ラテムル PD−104(花王製)の添加量と、それぞれの原料を攪拌する際のホモジナイザーの攪拌回転数を表2に示す値にした以外は樹脂微粒子分散液Em.1と同様にして、pHが8.3、樹脂微粒子(固形分)の含有量が45.0質量%の樹脂微粒子分散液Em.2〜13を得た。結果を表2に示す。
【0059】
【表2】

【0060】
(樹脂微粒子分散液Em.14)
スチレン−アクリル系樹脂微粒子 JONCRYL 790(BASF製)(樹脂(固形分)の含有量が48.0質量%、平均粒径Dが0.20μm)を用いて樹脂微粒子分散液Em.14とした。
【0061】
(樹脂微粒子分散液Em.15)
水系ポリウレタン樹脂微粒子 WOE−305(日本ポリウレタン工業製)(樹脂(固形分)の含有量が40.0質量%、平均粒径Dが0.17μm)を用いて樹脂微粒子分散液Em.15とした。
【0062】
(樹脂微粒子分散液Em.16)
スチレン−ブタジエン系ラテックス Nipol−2518GL(日本ゼオン製)(樹脂(固形分)の含有量が40.5質量%、平均粒径Dが0.20μm)を用いて樹脂微粒子分散液Em.16とした。
【0063】
(樹脂微粒子分散液Em.17)
フルオロオレフィン系樹脂微粒子 ルミフロンFE−4400(旭硝子製)(樹脂(固形分)の含有量が50.0質量%、平均粒径Dが0.20μm)を用いて樹脂微粒子分散液Em.17とした。
【0064】
<顔料分散液の調製>
(ブラック顔料分散液K1の調製)
自己分散顔料分散液Cab−O−Jet300(Cabot製)を水で希釈し、十分撹拌してブラック顔料分散液K1(顔料の含有量は15.0質量%)を得た。
【0065】
(ブラック顔料分散液K2の調製)
自己分散顔料分散液Cab−O−Jet200(Cabot製)を水で希釈し、十分撹拌してブラック顔料分散液K2(顔料の含有量は20.0質量%)を得た。
【0066】
(シアン顔料分散液C1の調製)
自己分散顔料分散液Cab−O−Jet250C(Cabot製)を水で希釈し、十分撹拌してシアン顔料分散液C1(顔料の含有量は10.0質量%)を得た。
【0067】
(マゼンタ顔料分散液M1の調製)
自己分散顔料分散液Cab−O−Jet265M(Cabot製)を水で希釈し、十分撹拌してマゼンタ顔料分散液M1(顔料の含有量は10.0質量%)を得た。
【0068】
(イエロー顔料分散液Y1の調製)
自己分散顔料分散液Cab−O−Jet740Y(Cabot製)を水で希釈し、十分撹拌してイエロー顔料分散液Y1(顔料の含有量は10.0質量%)を得た。
【0069】
(ブラック顔料分散液K3の調製)
下記成分を混合し、ウォーターバスで70℃に加温し、撹拌下で樹脂分散剤を完全に溶解させた。尚、樹脂分散剤:JONCRYL683は樹脂微粒子ではない。
・樹脂分散剤:JONCRYL683(BASF製) 10.0部
・2−ピロリドン 10.0部
・水酸化カリウム 1.35部
・イオン交換水 63.65部
この溶液にブラック顔料カーボンブラック(NIPex 160 IQ;Degussa製)15.0部を加え、30分間プレミキシングを行った後、ビーズミル UAM−015(寿工業製)を用い分散処理(使用ビーズ:0.05mm径ジルコニアビーズ、ビーズ充填率:70%(嵩比重換算)、ローター回転数:42.1Hz、分散時間:2時間)を行ってブラック顔料分散液K3(顔料の含有量は15.0質量%、樹脂の含有量は10.0質量%)を得た。
【0070】
<インクの調製>
(インク1〜68の調製)
上記で得られた顔料分散液及び樹脂微粒子分散液を表3〜9に示す組み合わせで、下記各成分と混合し、十分撹拌して分散し、各インクを調製した。
・顔料分散液 m質量%(表3参照)
・樹脂微粒子分散液 n質量%(表3参照)
・溶剤X x質量%(表3参照)
・溶剤Y y質量%(表3参照)
・溶剤Z z質量%(表3参照)
・溶剤W w質量%(表3参照)
・Zonyl FSO−100(デュポン製) 1.0質量%
・NIKKOL BC−20(日光ケミカルズ製) 0.5質量%
・イオン交換水 残部
尚、表3に記載の含有量は、すべてインク全質量を基準とした値である。尚、イオン交換水の残部は、インクを構成する全成分の合計が100.0質量%となる量のことである。また、インク54については、顔料分散液K3の2−ピロリドンと溶剤Xとして添加する2−ピロリドンの合計が15.0となるように調製した。
【0071】
【表3】

【0072】
【表4】

【0073】
【表5】

【0074】
【表6】

【0075】
【表7】

【0076】
【表8】

【0077】
【表9】

【0078】
(インク69の調製)
特許文献1(国際公開第2007/044109号パンフレット)の実施例を参考に、上記で得られた顔料分散液K1及び樹脂微粒子分散液Em.1を下記の組成で混合した。
・顔料分散液K1 2.0質量%(固形分の含有量)
・樹脂微粒子分散液Em.1 4.0質量%(固形分の含有量)
・2−ピロリドン 15.0質量%
・PEG600 2.0質量%
・1,2−ヘキサンジオール 3.0質量%
・Zonyl FSO−100(デュポン製) 0.5質量%
・イオン交換水 73.5質量%
これを十分攪拌して、インク69を調製した。
【0079】
(インク70の調製)
特許文献2(特開2006−282822号公報)のインク組成物1を参考に、以下の各成分を混合した。
・C.I.ピグメントイエロー74 2.0質量%
・スチレン−アクリル酸共重合体(熱可塑性樹脂) 1.0質量%(固形分の含有量)
・2−ピロリドン 5.0質量%
・ε−カプロラクタム 5.0質量%
・テトラヒドロフラン 3.0質量%
・ジエチレングリコール 4.0質量%
・ジエチレングリコールモノブチルエーテル 3.0質量%
・サーフィノール465(日信化学工業製) 1.0質量%
・イオン交換水 残部
これを十分攪拌して、インク70を調製した。
【0080】
(インク71の調製)
特許文献3(特開2006−282823号公報)のインク組成物2を参考に、以下の各成分を混合した。
・C.I.ピグメントイエロー74 2.0質量%
・スチレン−アクリル酸共重合体(熱可塑性樹脂) 1.0質量%(固形分の含有量)
・γ−ブチロラクトン 2.0質量%
・1,4−ジオキサン 3.0質量%
・ジエチレングリコール 4.0質量%
・ジエチレングリコールモノブチルエーテル 3.0質量%
・サーフィノール465(日信化学工業製) 1.0質量%
・イオン交換水 残部
これを十分攪拌して、インク71を調製した。
【0081】
(インク72の調製)
特許文献4(特開2005−220352号公報)の実施例2を参考に、以下の各成分を混合した。
・マイクロカプセル型カーボンブラック顔料 2.0質量%
(樹脂:スチレン−アクリル酸共重合体)
・ラテックス粒子 4.0質量%(固形分の含有量)
・1,2−ヘキサンジオール 6.0質量%
・2−ピロリドン 6.0質量%
・ジプロピレングリコール 5.0質量%
・ジエチレングリコール 4.0質量%
・Zonyl FSO−100(デュポン社製) 0.5質量%
・イオン交換水 残部
【0082】
これを十分攪拌させて、インク72を調製した。尚、上記ラテックス粒子は以下の方法で調製した。まず、水(1160mL)を、反応器内で90℃に加熱した。また、水(160mL)に過硫酸カリウム開始剤(1.39g)を含んで成る溶液も調製した。まず、この開始剤の溶液のうち、32mLを反応器槽に加え攪拌した。これとは別個に、水(159.4mL)に、スチレン(80g)、ヘキシルメタクリレート(292g)、エチレングリコールジメタクリレート(4g)、メタクリル酸(24g)、イソオクチルチオグリコレート連鎖移動剤(1.6g)、及び30%Rhodafac RS 710(9.98g)を含んで成るモノマーエマルジョンを調製した。このモノマーエマルジョンを、30分間にわたって、反応槽に滴下添加して攪拌した。同時に、開始剤の溶液(129.4g)を、同じ時間にわたって、反応槽に滴下添加した。この反応物を攪拌し、3時間、90℃にて維持した。次いで、反応物を50℃にまで冷却した。その後、50%の水酸化カリウム水溶液を添加して、得られたラテックス分散液のpHを8.5にした。そして、周囲温度にまで冷却し、次いでラテックス分散液を、200メッシュフィルタを用いて濾過し、光散乱法による測定時に約230nmの平均粒径を有するラテックス粒子を含む、固形分20.9質量%のラテックス分散液を得た。
【0083】
[評価]
<画像の評価>
上記で得られたインクをそれぞれインクカートリッジに充填し、インクジェット記録装置 imagePROGRAF iPF6000S(キヤノン製)に搭載した。そして、非浸透性の記録媒体であるLLJET 光沢塩ビグレー糊EX LLSPEX113(桜井製)に対して、記録モードを「フォト光沢紙 きれいモード」として、6cm×13cmのベタ画像(記録デューティが100%の画像)を印刷した。尚、上記インクジェットプリント装置では、解像度600dpi×600dpiで1/600インチ×1/600インチの単位領域に1滴あたり4pLの体積のインクを4滴付与する条件が、記録デューティが100%であると定義される。このとき、インク1〜71を用いた実施例1〜57及び比較例1〜14は、プラテンを熱で変形しにくいダイカスト製法で作製したアルミニウム合金とし、プラテン下部にニッケル合金製ヒーターを配置し、プラテンを加熱することで記録媒体を加熱しながら記録を行った(この方法により、加熱された記録媒体に記録を行うことができる。尚、この方法を「記録前加熱方法」とする)。このとき、加熱温度は記録媒体表面温度で60℃になるように設定した。また、インク70を用いた比較例14、及びインク1を用いた比較例15は、特許文献4(特開2005−220352号公報)の実施例2を参考に、ヒート・セットを8に設定したVaritemp VT−750C ヒートガン(マスターアプライアンス製)を用いて、得られた画像を約20秒間加熱乾燥させた(この方法を「記録後加熱方法」とする)。このとき得られた各画像について以下の評価を行った。
【0084】
(画像の均一性)
上記の方法で得られた各画像を、スキャナー(Canoscan5600F;キヤノン製)で読み取った。そして、画像の記録領域(6cm×13cm)のうち、インクで着色されている領域の面積をS、インクがはじかれて記録媒体の白地が表出した面積をSとした時の2つの値の比SR=S/Sを算出し、画像の均一性を評価した。画像の均一性の評価基準は以下の通りである。尚、画像の均一性の評価基準において、Aが好ましいレベルとし、Zは許容できないレベルとした。評価結果を表10に示す。
A:0.8≦SRであった
Z:SR<0.8であった。
【0085】
(密着性)
上記の方法で得られた各画像の記録領域に、粘着テープ(セロテープ(登録商標)No.252;積水化学工業製)を貼り、指で2〜3回擦った後に粘着テープを引き剥がした。その部分をスキャナー(Canoscan5600F;キヤノン製)で読み取った。そして、剥離されて記録媒体の白地が表出した面積をS、セロテープ(登録商標)を貼った部分の面積をSとしたときの2つの値の比SR=(S−S)/Sを算出し、画像の密着性を評価した。画像の密着性の評価基準は以下の通りである。尚、画像の密着性の評価基準において、AA〜Bが好ましいレベルとし、C及びDは許容できないレベルとした。評価結果を表10に示す。
AA:SR=1.0であった
A:0.9≦SR<1.0であった
B:0.7≦SR<0.9であった
C:0.3≦SR<0.7であった
D:SR<0.3であった。
【0086】
(耐擦過性)
上記の方法で得られた各画像の記録領域を、JIS L0805に規定する摩擦用白布を用い、JIS L0849に準拠した方法(接触面積100mmあたり2Nの荷重)で50回擦った。擦る前後での画像の光学濃度を反射濃度計(RD−19I;Gretag Macbeth製)を用いて測定した。そして、擦る前の画像の光学濃度をOD、50回擦った後の画像の光学濃度をOD50としたときの2つの値の比DR=OD50/ODを算出し、画像の耐擦過性を評価した。画像の耐擦過性の評価基準は以下の通りである。尚、画像の耐擦過性の評価基準において、AA〜Bが好ましいレベルとし、C及びDは許容できないレベルとした。評価結果を表10に示す。
AA:0.9≦DRであった
A:0.7≦DR<0.9であった
B:0.5≦DR<0.7であった
C:0.3≦DR<0.5であった
D:DR<0.3であった。
【0087】
<インクの評価>
(吐出安定性)
上記で得られた各インクをそれぞれインクカートリッジに充填し、インクジェット記録装置 PIXUS Pro9500(キヤノン製)に装着した。そして、キヤノン写真用紙・光沢ゴールドGL−101(キヤノン製)に対して、記録モードを「キヤノン写真用紙・光沢ゴールド 標準モード」として、17cm×25cmのベタ画像(記録デューティが100%の画像)を印刷した。このとき、上記<画像の評価>と同様に、実施例1〜57及び比較例1〜14は上記の記録前加熱方法により記録を行い、比較例15及び16は上記の記録後加熱方法により記録を行った。尚、上記インクジェット記録装置では、解像度600dpi×600dpiで1/600インチ×1/600インチの単位領域に1滴あたり4pLの体積のインクを4滴付与する条件が、記録デューティが100%であると定義される。このとき得られた各画像の光学濃度を反射濃度計(RD−19I;Gretag Macbeth製)を用いて測定した。そして、1枚目の画像の光学濃度をOD、100枚目の画像の光学濃度をOD100としたときの2つの値の比DR=OD100/ODを算出し、インクの吐出安定性を評価した。インクの吐出安定性の評価基準は以下の通りである。尚、インクの吐出安定性の評価基準において、AA〜Bが好ましいレベルとし、C及びDは許容できないレベルとした。評価結果を表10に示した。
AA:0.9≦DRであった
A:0.7≦DR<0.9であった
B:0.5≦DR<0.7であった
C:DR<0.5であった
D:100枚目まで印刷することができなかった。
【0088】
(保存安定性)
上記で得られた各インクをテフロン(登録商標)製の容器に入れ、温度60℃で1週間保存した。保存試験前後のインク中の顔料の平均粒子径(体積平均粒子径)を、ナノトラック粒度分布測定装置(UPA−EX150;日機装製)を用いて測定した。そして、保存試験前のインク中の顔料の平均粒子径をD、保存試験後のインク中の顔料の平均粒子径をDとしたときの2つの値の比P=D/Dを算出し、インクの保存安定性を評価した。インクの保存安定性の評価基準は以下の通りである。尚、インクの保存安定性の評価基準において、AA〜Bが好ましいレベルとし、C及びDは許容できないレベルとした。評価結果を表10に示す。
AA:0.9≦P<1.2であった
A:0.7≦P<0.9、又は1.2≦P<1.5であった
B:0.5≦P<0.7、又は1.5≦P<1.8であった
C:P<0.5、又は1.8≦P<2.0であった
D:保存試験後、顔料が明らかに凝集していた。
【0089】
【表10】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
予め加熱された記録媒体に画像を形成するために用いられるインクジェット用水性インクであって、
水溶性有機溶剤及び樹脂微粒子を含有してなり、
前記水性インク中の前記樹脂微粒子の含有量(質量%)が、インク全質量を基準として、2.0質量%以上5.0質量%以下であり、
前記水溶性有機溶剤が、非プロトン性極性溶剤A、20℃における蒸気圧が0.10kPa以上2.34kPa以下のプロトン性極性溶剤B、及び、凝固点が30℃以下のポリエチレングリコールである溶剤Cを含み、
下記式の関係を満たすことを特徴とするインクジェット用水性インク。
1.15≦V/(P/D)≦1.50
(上記式において、V:インク全質量を基準とした前記水溶性有機溶剤の合計含有量(質量%)、P:インク全質量を基準とした前記樹脂微粒子の含有量(質量%)、D:前記樹脂微粒子の平均粒径(μm)である。)
【請求項2】
インク全質量を基準とした、前記溶剤Aの含有量(質量%)が前記樹脂微粒子の含有量(質量%)に対して、質量比率で2.0倍以上5.0倍以下である請求項1に記載のインクジェット用水性インク。
【請求項3】
インク全質量を基準とした、前記溶剤Aの含有量(質量%)が前記溶剤Bの含有量(質量%)に対して、質量比率で2.0倍以上3.0倍以下である請求項1又は2に記載のインクジェット用水性インク。
【請求項4】
前記水性インク中の前記溶剤Cの含有量(質量%)が、インク全質量を基準として、2.0質量%以上4.0質量%以下である請求項1乃至3の何れか1項に記載のインクジェット用水性インク。
【請求項5】
前記樹脂微粒子の平均粒径が、0.18μm以上0.25μm以下である請求項1乃至4の何れか1項に記載のインクジェット用水性インク。
【請求項6】
更に顔料を含有する請求項1乃至5の何れか1項に記載のインクジェット用水性インク。
【請求項7】
予め加熱された記録媒体に画像を形成するために用いられるインクジェット用水性インクであって、
水溶性有機溶剤及び樹脂微粒子を含有してなり、
前記水性インク中の前記樹脂微粒子の含有量(質量%)が、インク全質量を基準として、2.0質量%以上5.0質量%以下であり、
前記水溶性有機溶剤が、20℃における蒸気圧が0.10kPa以上2.34kPa以下の非プロトン性極性溶剤B、及び、凝固点が30℃以下のポリエチレングリコールである溶剤Cを含み、
下記式の関係を満たすことを特徴とするインクジェット用水性インク。
1.15≦V/(P/D)≦1.50
(上記式において、V:インク全質量を基準とした前記水溶性有機溶剤の合計含有量(質量%)、P:インク全質量を基準とした前記樹脂微粒子の含有量(質量%)、D:前記樹脂微粒子の平均粒径(μm)である。)
【請求項8】
インクを収容するインク収容部を備えたインクカートリッジであって、前記インク収容部に収容されたインクが請求項1乃至7の何れか1項に記載のインクジェット用水性インクであることを特徴とするインクカートリッジ。
【請求項9】
記録媒体を加熱する加熱工程、及び、前記加熱工程により加熱された記録媒体にインクジェット方式で記録を行う記録工程を有するインクジェット記録方法であって、
前記記録工程に用いるインクが、請求項1乃至6の何れか1項に記載のインクジェット用水性インクであることを特徴とするインクジェット記録方法。

【公開番号】特開2012−72355(P2012−72355A)
【公開日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−164995(P2011−164995)
【出願日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】