説明

インクジェット記録用インクセット、記録装置および記録物

【課題】被記録媒体に対して、インクジェット法によって良好な白色度、隠蔽性および耐擦過性を有する画像を形成できるインクジェット記録用インクセットを提供する。
【解決手段】本発明に係るインクジェット記録用インクセットは、第1樹脂粒子を含有し、色材を実質的に含有しない第1インクと、酸化チタン粒子を含有し、前記第1樹脂粒子の含有量が6質量%未満であり、前記第1インクと実質的に同一時に吐出される第2インクと、を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクジェット記録用インクセット、記録装置および記録物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、白色系インクを用いて、白色以外の記録媒体(光透過性の記録媒体を含む)に画像を形成して白色の層を形成することが検討されている(例えば、特許文献1)。また、ラベル印刷などと称され、各種の商品の容器や包装に対して印刷を施すことが盛んに行われている。ラベル印刷は、光透過性のフィルムに施されることも多く、このような場合には、印刷面にあらかじめ下地層などと称して白色系インクの層を形成することが多い。下地層を形成することで、フィルムの裏側の遮蔽性が高まり、下地層の上に形成される画像の質を高めることができる。
【0003】
最近では、上述のような画像をインクジェット法によって形成することができるようになってきた。インクジェット法は、従来の印刷方法に比較して小規模に装置を構成でき、また、版を作成する必要がないため、多種類で少量の印刷を行う場合に特に効率がよいため期待されている。各種の商品の容器や包装に対して情報を記録する場合には、インクジェット法においても下地層を形成することが一般的であり、これを形成するための白色系インクが検討されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−020362号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
光透過性の媒体に対して情報を記録する場合、白色系インクを用いて形成される下地層には、少なくとも、背景の遮蔽性、白色の良好さ、および耐擦過性が求められる。下地層に、このような性質を満足させる手法としては、例えば、媒体に白インクをより多く付着させることや、白インクにおける顔料の最適化および定着用の樹脂の最適化などが考えられる。
【0006】
通常は、下地層の遮蔽性や白色度は、下地層により多くの白色顔料を含有させれば改善することができ、下地層の耐擦過性は、下地層に定着用の樹脂をより多く含有させれば改善することができる。これらことは、白色系インクの使用量(duty)によってある程度調節することができるが、記録の速度などの要請から、白色系インク自体に白色顔料や定着用の樹脂をより多く含有させることがより望ましいと考えられる。
【0007】
しかしながら、白色系インクに白色顔料を多く配合しようとすると、白色顔料の沈降を生じ易くなり、また、白色系インクに定着用の樹脂を多く配合しようとすると、粘度が増大するとともに、白色顔料とともに固形化(ハードケーキという場合がある)してしまうことがあった。このようなことが生じると、白色系インクの保存安定性が低下し、また、インクジェットによって白色系インクを吐出させる場合には、目詰まりなどの不具合を生じるおそれがあった。そのため、このような不具合の生じにくい白色系インクが求められるが、白色系インクの組成などを変更するだけでは、上記の性能を十分に満足させることが難しい。
【0008】
本発明は上述の課題に鑑みてなされたものであり、その幾つかの態様にかかる目的の一つは、被記録媒体に対して、インクジェット法によって良好な白色度、隠蔽性および耐擦過性を有する画像を形成できるインクジェット記録用インクセットおよび記録装置、並びにこれらを用いて記録された記録物を提供することにある。また、本発明の幾つかの態様にかかる目的の一つは、保存安定性の良好なインクジェット記録用インクセットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は前述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の態様または適用例として実現することができる。
【0010】
[適用例1]本発明に係るインクジェット記録用インクセットの一態様は、第1樹脂粒子を含有し、色材を実質的に含有しない第1インクと、酸化チタン粒子を含有し、前記第1樹脂粒子の含有量が6質量%未満であり、前記第1インクと実質的に同一時に吐出される第2インクと、を含む。
【0011】
本適用例のインクジェット記録用インクセットによれば、良好な白色度、隠蔽性および耐擦過性を有する画像を形成することができる。すなわち、第2インクに配合された酸化チタン粒子によって、画像に良好な白色度および隠蔽性を付与することができ、第1樹脂粒子によって、画像に良好な耐擦過性を付与することができる。そして、本適用例のインクジェット記録用インクセットは、酸化チタン粒子を含有する第2インクにおいて、第1樹脂粒子の配合量が小さいため、酸化チタン粒子と第1樹脂粒子とが固形化しにくく、保存安定性が良好である。
【0012】
なお、本明細書において、「インクが特定成分を実質的に含有しない」との文言は、当該特定成分を含有する意義を十分に発揮する量を意図的に含有させない場合を指し、例えばインク中の当該特定成分の含有量が0.05質量%未満であること、一層好ましくは0.01質量%未満、さらに好ましくは0.005質量%未満、最も好ましくは0.001質量%未満であることをいう。
【0013】
また、本明細書において「樹脂粒子」と記載するものは、第1樹脂粒子、第2樹脂粒子等の各種の樹脂の総称を指す。
【0014】
[適用例2]適用例1において、前記第2インクは、前記第1樹脂粒子を実質的に含有しなくてもよい。
【0015】
本適用例のインクジェット記録用インクセットは、酸化チタン粒子を含有する第2インクにおいて、第1樹脂粒子が実質的に配合されないため、第2インクにおいて酸化チタン粒子が固形化しにくく、第2インクおよびインクジェット記録用インクセットの保存安定性が特に良好である。
【0016】
[適用例3]適用例1または適用例2において、前記第2インクは、前記第1樹脂粒子とは異なる第2樹脂粒子を含有してもよい。
【0017】
本適用例のインクジェット記録用インクセットによれば、第2インクに配合された酸化チタン粒子によって、画像に良好な白色度および隠蔽性を付与することができ、第1樹脂粒子および第2樹脂粒子によって、画像に良好な耐擦過性を付与することができる。
【0018】
[適用例4]適用例1ないし適用例3のいずれか1例において、前記第1インクは、前記第1樹脂粒子を、3質量%以上5質量%以下含有してもよい。
【0019】
本適用例のインクジェット記録用インクセットは、色材を実質的に含有しない第1インクにおいて、第1樹脂粒子が配合されるため、第2インクにおける樹脂粒子の配合を低減または無くすことができる。これにより、第2インクの保存安定性がより良好となるとともに、第1インクの粘度を大きく上昇させないため、第1インクの吐出安定性を高めることができる。
【0020】
[適用例5]適用例1ないし適用例4のいずれか1例において、前記第1樹脂粒子の材質は、アクリル系高分子であってもよい。
【0021】
本適用例のインクジェット記録用インクセットは、さらに良好な白色度、隠蔽性および耐擦過性を有する画像を形成することができる。
【0022】
[適用例6]適用例1ないし適用例5のいずれか1例において、前記第1樹脂粒子の平均粒子径は、40nm以上140nm以下であってもよい。
【0023】
本適用例のインクジェット記録用インクセットは、さらに良好な白色度、隠蔽性および耐擦過性を有する画像を形成することができる。
【0024】
[適用例7]適用例1ないし適用例6のいずれか1例において、前記第1樹脂粒子とは異なる第3樹脂粒子を含有し、色材を実質的に含有しない第3インクをさらに含んでもよい。
【0025】
本適用例のインクジェット記録用インクセットによれば、第1インクおよび第2インクで形成される画像と、第3インクおよび第2インクで形成される画像とにおいて、互いに色相の異なる白色の画像を形成することができる。
【0026】
[適用例8]本発明に係る記録装置の一態様は、適用例1ないし適用例7のいずれか1例に記載のインクジェット記録用インクセットを備え、インクジェット方式によって被記録媒体上の所定位置に画像を形成するものである。
【0027】
本適用例の記録装置によれば、良好な白色度、隠蔽性および耐擦過性を有する画像を形成することができる。すなわち、第2インクに配合された酸化チタン粒子によって、画像に良好な白色度および隠蔽性を付与することができ、少なくとも第1樹脂粒子によって、画像に良好な耐擦過性を付与することができる。
【0028】
[適用例9]本発明に係る記録装置の一態様は、適用例1ないし適用例7のいずれか1項に記載のインクジェット記録用インクセットを備え、前記第1インクと前記第2インクとを実質的に同一時に吐出して被記録媒体上の所定位置に付着させる第1記録モードと、前記第1インクと前記第2インクとを実質的に同一時に吐出せずに被記録媒体上の所定位置に付着させる第2記録モードと、を有する。
【0029】
本適用例の記録装置は、第1記録モードおよび第2記録モードを有するため、被記録媒体および画像の隠蔽度に応じてこれらのモードを使い分けることができる。これにより、本適用例の記録装置によれば、画像の形成に要する時間と、第1インクおよび第2インクの使用量の削減とのバランスをとることができる。そのため、本適用例の記録装置によれば、例えば、白色の下地層をより効率よく形成することができる。
【0030】
[適用例10]本発明に係る記録装置の一態様は、適用例7に記載のインクジェット記録用インクセットを備え、前記第1インクと前記第2インクとを実質的に同一時に吐出して被記録媒体上の所定位置に付着させる第1記録モードと、前記第1インクと前記第2インクとを実質的に同一時に吐出せずに被記録媒体上の所定位置に付着させる第2記録モードと、前記第2インクと前記第3インクとを実質的に同一時に吐出して被記録媒体上の所定位置に付着させる第3記録モードと、を有する。
【0031】
本適用例の記録装置は、第1記録モード、第2記録モードおよび第3記録モードを有するため、形成する画像の色相に応じてこれらのモードを使い分けることができる。
【0032】
[適用例11]適用例9または適用例10に記載の記録装置であって、前記被記録媒体の光透過性を判断する判断手段を備え、前記判断手段の判断結果に基づき、前記モードの少なくとも一種を選択して記録を行ってもよい。
【0033】
本適用例の記録装置によれば、判断手段により、必要とする白色度、色相および隠蔽性に応じてモードを選択することができる。そのため、本適用例の記録装置によれば、例えば、下地層をより効率よく形成することができる。
【0034】
[適用例12]本発明に係る記録物の一態様は、適用例8ないし適用例11のいずれか1例に記載の記録装置によって記録される。
【0035】
本適用例に係る記録物は、良好な白色度、隠蔽性および耐擦過性を有する画像が形成されている。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】実験例に係る画像についてdutyに対してL*値をプロットしたグラフ。
【図2】実験例に係る画像についてdutyに対して隠蔽度をプロットしたグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下に本発明のいくつかの実施形態について説明する。以下に説明する実施形態は、本発明の例を説明するものである。本発明は、以下の実施形態になんら限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において実施される各種の変形例も含む。なお以下の実施形態で説明される構成の全てが本発明の必須構成要件であるとは限らない。
【0038】
1.インクジェット記録用インクセット
本実施形態に係るインクジェット記録用インクセットは、第1インクと、第2インクと、を含む。本実施形態に係るインクジェット記録用インクセットは、インクジェット方式によって被記録媒体上の所定位置に画像を形成する記録方法に用いられる。
【0039】
1.1.第1インク
第1インクは、第1樹脂粒子を含有する。そして、第1インクは、色材を実質的に含有しない。したがって、本実施形態のインクセットにおいて、第1インクは、いわゆる樹脂インクと同様の性質を有する。なお「インクが色材を実質的に含有しない」とは、色材を含有する意義を十分に発揮する量を意図的に含有させない場合を指し、例えばインク中の色材の含有量が0.05質量%未満であること、一層好ましくは0.01質量%未満、さらに好ましくは0.005質量%未満、最も好ましくは0.001質量%未満であることをいう。また、本明細書において「樹脂粒子」と記載するものは、第1樹脂粒子、第2樹脂粒子等の各種の樹脂の総称を指す。
【0040】
第1インクに含有される第1樹脂粒子の材質としては、第2インクに含有される酸化チタン粒子を記録媒体上に定着させる作用を有する限り限定されないが、例えば、スチレン/アクリル酸共重合体、塩化ビニルの重合体、ウレタンの重合体、およびアクリル酸の重合体、並びに、これらの共重合体の粒子を挙げることができる。これらのうち、第1樹脂粒子の材質としては、形成される画像の隠蔽度および白色度をより高くすることができる点で、アクリル系樹脂が好ましく、スチレン/アクリル酸共重合体およびアクリル酸の重合体、並びにこれらの共重合体であることがさらに好ましい。
【0041】
第1樹脂粒子の材質が前記例示した材質である場合、重合体の重合度についても特に制限はなく、これらの重合体のオリゴマーであってもポリマーであってもよい。したがって第1樹脂粒子を構成する重合体の重量平均分子量Mwとしては、例えば、100以上100000以下であり、第1樹脂粒子の分散性の観点から、好ましくは100以上10000以下であることができる。
【0042】
第1樹脂粒子は、第1インク中で分散されて含有される。第1樹脂粒子は、第1インク中で、粒子の一部(例えば表面付近)が第1インクに含まれる液体に溶解して、粒子の内部が溶解していない状態で分散されていてもよい。また、第1樹脂粒子は、第1インク中で、界面活性剤等によって分散されたエマルション、ないしはサスペンジョンとなっていてもよい。
【0043】
第1樹脂粒子は、第1インク中で分散構造を採るため、分散状態における平均粒子径を規定することができる。ここで、本明細書において、平均粒子径は、体積基準の平均粒子径を指す。体積基準の平均粒子径は、例えば、分散された状態の第1樹脂粒子を、動的光散乱法を原理としたレーザー回折式粒度分布測定装置を用いて測定して求めることができる。
【0044】
第1樹脂粒子を微粒子状態で用いる場合、第1インクの保存安定性、吐出安定性、第2インクと併用した際のL*値、隠蔽度を確保する点から、その平均粒子径は5nm以上400nm以下の範囲が好ましく、一層好ましくは20nm以上200nm以下、より好ましくは30nm以上150nm以下、特に好ましくは40nm以上140nm以下、なお一層好ましくは80nm以上140nm以下、最も好ましくは100nm以上140nm以下の範囲である。
【0045】
第1インクに含有される第1樹脂粒子の含有量は、インクジェット法によって第1インクを吐出できる範囲で任意であるが、例えば、第1インク全量に対して、1質量%以上10質量%以下とすることができる。また、第1インクに含有される第1樹脂粒子の含有量は、第1インクの粘度をインクジェット法に適した範囲にしやすい点から、2質量%以上7質量%以下とすることが好ましく、より好ましくは3質量%以上5質量%以下である。第1樹脂粒子の含有量がこの範囲内であることにより、本実施形態の記録方法によって被記録媒体上に形成される画像を固化・定着させることができる。
【0046】
第1樹脂粒子の機能の一つとしては、第1インクおよび第2インクが記録媒体に付着された場合に、第2インクに配合された酸化チタン粒子を記録媒体へ定着させることが挙げられる。すなわち、第1樹脂粒子の機能の一つとしては、本実施形態のインクジェット記録用インクセットを用いて形成される画像に、被記録媒体への定着性を付与することが挙げられる。したがって、第1インクの存在により、第2インクにおける定着樹脂の配合量を低減させることができ、これにより、第2インクの保存安定性を向上させることができる。
【0047】
第1インクに配合される第1樹脂粒子は、例えば、所望の樹脂を構成する単量体中に重合触媒(重合開始剤)と分散剤とを混合して重合(すなわち乳化重合)する方法、親水性部分を持つ樹脂を水溶性有機溶剤に溶解させその溶液を水中に混合した後に水溶性有機溶剤を留去することで得る方法、樹脂を非水溶性有機溶剤に溶解させその溶液を分散剤と共に水溶液中に混合して得る方法などによって製造することができる。これらの方法は、用いる樹脂の種類・特性に応じて適宜選択することができる。また、第1樹脂粒子を分散する際に分散剤を用いてもよく、例えば、アニオン性界面活性剤(例えば、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム塩、ラウリルリン酸ナトリウム塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルサルフェートアンモニウム塩等)、ノニオン性界面活性剤(例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル等)を用いることができ、これらを単独あるいは二種以上を混合して用いることができる。
【0048】
また、第1樹脂粒子としては、市販品を用いることもでき、例えば、マイクロジェルE−1002、マイクロジェルE−5002(以上商品名、日本ペイント株式会社製)、ボンコート4001、ボンコート5454(以上商品名、大日本インキ化学工業株式会社製)、ビニブラン700、ビニブラン701(商品名、日信化学工業株式会社製)、レザミンD−1060、レザミンD−4200(商品名、大日精化工業株式会社製)、モビニール742A、モビニール972(商品名、日本合成化学工業株式会社製)、SAE1014(商品名、日本ゼオン株式会社製)、サイビノールSK−200(商品名、サイデン化学株式会社製)、ジョンクリル7100、ジョンクリル390、ジョンクリル711、ジョンクリル511、ジョンクリル7001、ジョンクリル632、ジョンクリル741、ジョンクリル450、ジョンクリル840、ジョンクリル74J、ジョンクリルHRC−1645J、ジョンクリル734、ジョンクリル852、ジョンクリル7600、ジョンクリル775、ジョンクリル537J、ジョンクリル1535、ジョンクリルPDX−7630A、ジョンクリル352J、ジョンクリル352D、ジョンクリルPDX−7145、ジョンクリル538J、ジョンクリル7640、ジョンクリル7641、ジョンクリル631、ジョンクリル790、ジョンクリル780、ジョンクリル7610、ジョンクリル61J(以上商品名、BASFジャパン株式会社製)等が挙げられる。
【0049】
第1インクには、浸透剤、糖類、分散剤、水およびその他の添加剤を配合してもよい。
【0050】
<浸透剤>
浸透剤としては、アルカンジオールおよびグリコールエーテルから選択される少なくとも1種が好ましい。アルカンジオールやグリコールエーテルは、被記録媒体などの被記録面への濡れ性を高めてインクの浸透性を高めることができる。
【0051】
アルカンジオールとしては、1,2−アルキルジオールの他、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール等の両末端のジオール、3−メチル−1,3−ブタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、2,4−ジメチル−1,5−ペンタンジオール、3−(2−メトキシフェノキシ)−1−2−プロパンジオール等の分鎖構造のジオールを用いることが出来る。本実施形態では、1,2−ブタンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,2−ヘプタンジオール、1,2−オクタンジオールなどの炭素数が4以上8以下の1,2−アルカンジオールであることが好ましい。この中でも炭素数が6以上8以下の1,2−ヘキサンジオール、1,2−ヘプタンジオール、1,2−オクタンジオールは、記録媒体への浸透性が特に高いため、より好ましい。
【0052】
グリコールエーテルとしては、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテルなどの多価アルコールの低級アルキルエーテルを挙げることができる。この中でも、トリエチレングリコールモノブチルエーテルを用いるとさらに良好な記録品質を得ることができる。
【0053】
第1インクにこれらのアルカンジオールおよびグリコールエーテルから選択される少なくとも1種を含有させる場合の含有量は、第1インクの全質量に対して、好ましくは1質量%以上20質量%以下であり、より好ましくは1質量%以上10質量%以下である。
【0054】
<糖類>
第1インクに糖類を配合する場合には、第1インクの湿潤性を高め、インクの乾燥を防いでインクジェットプリンターの記録ヘッドでの目詰まりの抑制効果をさらに高めることができる場合がある。糖は、単糖と二糖以上の糖により構成されていてもよいし、単糖のみであってもよいし、二糖以上の糖のみによって構成されていてもよい。糖の種類は、求める効果の範囲で適宜選択される。つまり、固化するのを抑制する効果に重点を置きたい場合には、二糖以上の糖のみ(単糖を含有しない)により構成されていてもよい。また二糖以上の糖のみによって構成されている場合、その糖は、二糖と三糖以上の糖のみであってよい。第1インクには、単糖、二糖以上の糖(オリゴ糖(三糖および四糖を含む)および多糖)を配合しても良い。単糖、二糖以上の糖の例としては、グルコース、リボース、マンニトール、マンノース、フルクトース、リボース、キシロース、アラビノース、ガラクトース、アルドン酸、グルシトール、(ソルビット)、マルトース、セロビオース、ラクトース、スクロース、トレハロース、マルトトリオース、などが挙げられる。ここで、多糖とは広義の糖を意味し、アルギン酸、α−シクロデキストリン、セルロースなど自然界に広く存在する物質を含む意味である。また、これらの糖の誘導体としては、前記した糖の還元糖[(例えば、糖アルコール(一般式HOCH(CHOH)CHOH(ここで、n=2〜5の整数を表す)で表される]、酸化糖(例えば、アルドン酸、ウロン酸など)、アミノ酸、チオ糖などがあげられる。糖の種類は特に限定されないが、特に還元糖が好ましく、具体例としてはグルコース、フルクトースなどが挙げられる。
【0055】
また、第1インクに、単糖と二糖以上の糖を添加する場合には、インク中に含有された糖全体に対して、単糖の割合が5質量%以上50質量%以下であることが好ましく、より好ましくは、20質量%以上45質量%以下である。これにより、糖が保湿剤として作用し、記録ヘッドのノズル目詰まりを防ぐことができる。また、糖は三糖を含むと一層好ましい。三糖を含有させる場合には、その含有量は特に限定されないが、3質量%以上90質量%以下が好ましく、より好ましくは25質量%以上85質量%以下である。なお、単糖と二糖以上の糖をインクに添加する場合、単糖と二糖以上の糖を別個に添加してもよいし、二つを含む混合糖(例えばシラップ)を添加してもよい。
【0056】
還元糖の市販品としては、例えば「HS−500」(株式会社林原商事製)、「HS−300」(株式会社林原商事製)、「HS−60」(株式会社林原商事製)、「HS−30」(株式会社林原商事製)、「HS−20」(株式会社林原商事製)等が挙げられる。
【0057】
第1インクに糖類を添加する場合の添加量は、第1インク全量に対して、例えば、2質量%以上10質量%以下程度が好ましく、より好ましくは5質量%以上8質量%以下程度である。
【0058】
<分散剤>
第1インクに配合しうる分散剤としては、一般的な顔料インクに使用可能であるものを特に制限なく用いることができる。このような分散剤としては、例えば、カチオン性分散剤、アニオン性分散剤、ノニオン性分散剤や界面活性剤等が挙げられる。第1インクには、色材が実質的に含有されないが、ここで述べる分散剤によれば、例えば、第1樹脂粒子の分散性を高めることができる。
【0059】
アニオン性分散剤の例としては、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、アクリル酸−アクリロニトリル共重合体、酢酸ビニル−アクリル酸エステル共重合体、アクリル酸−アクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−アクリル酸−アクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン−メタクリル酸−アクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン−α−メチルスチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−α−メチルスチレン−アクリル酸−アクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、ビニルナフタレン−マレイン酸共重合体、酢酸ビニル−エチレン共重合体、酢酸ビニル−脂肪酸ビニルエチレン共重合体、酢酸ビニル−マレイン酸エステル共重合体、酢酸ビニル−クロトン酸共重合体、酢酸ビニル−アクリル酸共重合体等が挙げられる。ノニオン性分散剤としては、ポリビニルピロリドン、ポリプロピレングリコール、ビニルピロリドン−酢酸ビニル共重合体等が挙げられる。分散剤としての界面活性剤としては、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ラクリル酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテルサルフェートのアンモニウム塩等のアニオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミド等のノニオン性界面活性剤、が挙げられる。第1樹脂粒子の分散安定性を特に高める観点からは、スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体を用いることが好ましい。
【0060】
また、第1インクには、アセチレングリコール系界面活性剤またはポリシロキサン系界面活性剤を含有させてもよい。アセチレングリコール系界面活性剤またはポリシロキサン系界面活性剤は、被記録媒体などの被記録面への濡れ性を高めてインクの浸透性を高めることができる。なお、第1インクに配合可能な分散剤としては、上記の界面活性剤に限定されず、フッ素系界面活性剤等他の公知の界面活性剤を用いても良い。
【0061】
アセチレングリコール系界面活性剤としては、例えば2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオール、3,6−ジメチル−4−オクチン−3,6−ジオール、3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3オール、2,4−ジメチル−5−ヘキシン−3−オール等が挙げられる。また、アセチレングリコール系界面活性剤は、市販品を利用することもでき、例えば、オルフィンE1010、STG、Y(以上、日信化学株式会社製)、サーフィノール104、82、465、485、TG(以上、Air Products and Chemicals Inc.製)が挙げられる。
【0062】
また、ポリシロキサン系界面活性剤としては、市販品を利用することができ、例えばBYK−347、BYK−348(以上、ビックケミー・ジャパン株式会社製)等が挙げられる。
【0063】
第1インクに分散剤を配合する場合の配合量としては、第1インクの全質量に対して、好ましくは0.01質量%以上5質量%以下であり、より好ましくは0.1質量%以上0.5質量%以下である。
【0064】
<水>
第1インクは、水を50%以上含有するいわゆる水系インクであってもよい。水は、イオン交換水、限外ろ過水、逆浸透水、蒸留水などの純水または超純水を用いることが好ましい。特に、これらの水を紫外線照射または過酸化水素添加などにより滅菌処理した水は、長期間カビやバクテリアの発生を抑制することができるので好ましい。
【0065】
<その他の添加剤>
また、第1インクは、必要に応じて、水溶性ロジンなどの定着剤、安息香酸ナトリウムなどの防黴剤・防腐剤、アロハネート類などの酸化防止剤・紫外線吸収剤、キレート剤、酸素吸収剤などの添加剤を含有させることができる。これらの添加剤は、1種単独で用いることもできるし、2種以上組み合わせて用いることもできる。さらに、pH調整剤、防腐剤・防かび剤、防錆剤、キレート化剤等を含有することができる。第1インクに、これらの物質を含有させると、その特性がさらに向上する場合がある。
【0066】
pH調整剤としては、例えば、リン酸二水素カリウム、リン酸水素二ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化カリウム、アンモニア、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム等が挙げられる。
【0067】
防腐剤・防かび剤としては、例えば、安息香酸ナトリウム、ペンタクロロフェノールナトリウム、2−ピリジンチオール−1−オキサイドナトリウム、ソルビン酸ナトリウム、デヒドロ酢酸ナトリウム、1,2−ジベンジソチアゾリン−3−オン等が挙げられる。市販品では、プロキセルXL2、プロキセルGXL(以上商品名、アビシア社製)や、デニサイドCSA、NS−500W(以上商品名、ナガセケムテックス株式会社製)等が挙げられる。
【0068】
防錆剤としては、例えば、ベンゾトリアゾール等が挙げられる。
【0069】
キレート化剤としては、例えば、エチレンジアミン四酢酸およびそれらの塩類(エチレンジアミン四酢酸二水素二ナトリウム塩等)等が挙げられる。
【0070】
第1インクは、溶媒として水以外に、有機溶媒を併用してもよい。このような有機溶媒としては、例えばエタノール、メタノール、ブタノール、プロパノール、イソプロパノール等の炭素数1以上4以下のアルキルアルコール類、2−ピロリドン、ホルムアミド、アセトアミド、ジメチルスルホキシド、ソルビット、ソルビタン、アセチン、ジアセチン、トリアセチン、スルホラン、グリセリン、エチレングリコール、プロピレングリコール等が挙げられる。このような有機溶媒を用いることで、被記録媒体への浸透性を向上させると共に、ノズル目詰まりを防止することができる。これらは、1種単独または2種以上併用してもよく、インクジェットインクの全質量に対して、0.1質量%以上10質量%以下程度含有することが好ましい。
【0071】
第1インクは、従来公知の装置、例えば、ボールミル、サンドミル、アトライター、バスケットミル、ロールミルなどを使用して、従来の顔料インクと同様に調製することができる。調製に際しては、メンブランフィルターやメッシュフィルター等を用いて粗大粒子を除去することが好ましい。
【0072】
1.2.第2インク
第2インクは、酸化チタン粒子を含有する。そして、第2インクは、樹脂粒子を実質的に含有しないか、または、樹脂粒子を6質量%未満で含有する(つまり、樹脂粒子の含有量は6質量%未満である)。樹脂粒子を含有する場合には、樹脂粒子の含有量(インク中の樹脂の総量)は、白色度、耐擦性等の観点から、2質量%以上6質量%未満が好ましく、2質量%以上5質量%以下が一層好ましく、2質量%以上4.5質量%以下がさらに好ましい。
【0073】
第2インクに含有される酸化チタン粒子としては、二酸化チタンを粉末状にした二酸化チタン粒子が挙げられる。酸化チタン粒子の粒子径および粒子径分布は、インクジェット方式によって第2インクを吐出できる範囲内で任意である。しかし、形成される画像の白色度および隠蔽性をより高めることができる点で、酸化チタン粒子の平均粒子径は、150nm以上500nm以下であることが好ましく、250nm以上400nm以下がさらに好ましく、最も好ましくは285nm以上380nm以下である。
【0074】
酸化チタン粒子の含有量(固形分)は、第2インクの全質量に対して、好ましくは1質量%以上20質量%以下であり、より好ましくは5質量%以上15質量%以下である。
【0075】
第2インクに樹脂粒子が含有される場合には、樹脂粒子の機能の一つとしては、第2インクに含有される酸化チタン粒子を記録媒体上に定着させることが挙げられる。また、樹脂粒子が含有される場合には、本実施形態のインクジェット記録用インクセットによって形成される画像の白色度、隠蔽度を向上させる効果が得られる場合がある。また、彩度を変化させる効果が得られる場合もある。
【0076】
第2インクは、上述の第1樹脂粒子とは異なる種類の第2樹脂粒子を含有してもよい。第2樹脂粒子は、実質的に「1.1.第1インク」の項で述べた第1樹脂粒子と同様であるが、第1樹脂粒子の材質とは異なる材質の粒子が選択される。
【0077】
第1樹脂粒子および第2樹脂粒子は、白色系インクの彩度を変化させることができる場合があり、第1インクと第2インクの樹脂粒子の種類を異ならせる事で、第2インク単独で記録する場合と。第1インクと第2インクを併用し、実質的に同一時に吐出させ被記録媒体上で混合させる場合とで種々の彩度を表現出来る場合がある。
【0078】
第2インクには、第1インクと同様に、浸透剤、糖類、分散剤、水、並びにその他の添加剤を配合してもよい。これらの成分は、「1.1.第1インク」の項で述べたと同様であるので説明を省略する。
【0079】
なお第2インクに糖類が含有される場合には、糖類の機能の一つとして、糖が酸化チタン粒子に吸着し、粒子の凝集を抑制することが挙げられる。
【0080】
1.3.その他の構成
本実施形態のインクセットは、その他のインクを含めて構成されてもよい。例えば、本実施形態のインクセットは、上述の第1樹脂粒子とは材質の異なる第3樹脂粒子を含有し、色材を実質的に含有しない第3インクを含んでもよい。第3インクは、第3樹脂粒子を含む以外は、実質的に第1インクと同様である。
【0081】
第1樹脂粒子および第3樹脂粒子の材質に選択された重合体の種類によっては、酸化チタン粒子とともに被記録媒体上に付着された場合に、形成された画像に対して、第1樹脂粒子および第3樹脂粒子の間で色相の差を生じさせることができる場合がある。そのため、インクセットが、第1インクに含有される第1樹脂粒子とは異なる種類の第3樹脂粒子を含む第3インクを備えると、被記録媒体上で第1インクに対して、第2インクおよび第3インクを混合する割合を調節することによって、形成される画像の色相を変化させることができる。
【0082】
2.記録方法および記録装置
本実施形態の記録方法は、上述のインクジェット記録用インクセットを用い、インクジェット方式によって被記録媒体上の所定位置に画像を形成する記録方法である。
【0083】
被記録媒体としては、特に制限はないが、インク非吸収性または低吸収性の媒体を挙げることができる。インク非吸収性の被記録媒体として、例えば、インクジェット印刷用に表面処理をしていない(すなわち、インク吸収層を形成していない)プラスチックフィルム、紙等の基材上にプラスチックがコーティングされているものやプラスチックフィルムが接着されているもの、ガラス、金属等が挙げられる。ここでいうプラスチックとしては、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリプロピレン等が挙げられる。インク低吸収性の被記録媒体としては、アート紙、コート紙、マット紙等の印刷本紙が挙げられる。上記の被記録媒体以外にも、金属、ガラスなどのインク非吸収性または低吸収性の媒体を用いてもよい。
【0084】
ここで、本明細書において「インク非吸収性または低吸収性の記録媒体」とは、「ブリストー(Bristow)法において接触開始から30msec1/2までの水吸収量が10mL/m以下である記録媒体」を示す。このブリストー法は、短時間での液体吸収量の測定方法として最も普及している方法であり、日本紙パルプ技術協会(JAPAN TAPPI)で採用されている。試験方法の詳細は「JAPAN TAPPI紙パルプ試験方法2000年版」の規格No.51「紙及び板紙−液体吸収性試験方法−ブリストー法」に述べられている。なお、本明細書中において、「インク非吸収性または低吸収性の記録媒体」を、単に「プラスチックメディア」という場合がある。
【0085】
インクジェット方式とは、一般的なインクジェットプリンターで採用されている方式であって、ノズルからインクを吐出して、当該インクを被記録媒体に付着させて画像を形成する方式のことをいう。インクジェット方式の具体例としては、サーマルジェット式インクジェット、ピエゾ式インクジェット、連続インクジェット、ローラーアプリケーション、スプレーアプリケーションなど従来から公知のインクジェット方式を挙げることができる。
【0086】
本実施形態の記録方法は、少なくとも上述の第1インクの液滴を被記録媒体上の所定位置に付着させる第1工程と、上述の第2インクの液滴を被記録媒体上の所定位置に付着させる第2工程と、を有する。そして、第1工程および第2工程は、一方の工程が終了した後、当該一方の工程で所定位置に付着された液滴が流動性を有する状態で、他方の工程によって当該他方の工程の液滴が所定位置に付着される。
【0087】
換言すると本実施形態の記録方法においては、第1インクの液滴と第2インクの液滴とが、実質的に同一時に付着される。そのため、第1インクの液滴および第2インクの液滴は、完全に乾燥して固化する前に、少なくとも一部が混ざり合うことになる。第1工程および第2工程の順序は限定されないが、第2工程が第1工程よりも先に行われると、酸化チタン粒子が被記録媒体の近傍に付着されるため、例えば、画像の耐擦過性の点でより好ましい。
【0088】
ここで、「実質的に同一時」とは、一方のインクおよび他方のインクの両インクの液滴が、互いに混ざり合うことができるタイミングで吐出されることをいう。また、一方のインクが、被記録媒体に着弾後に流動している状態で、他方のインクを吐出する場合を含む。さらに、例えば、ノズルを被記録媒体に対して走査させてインクの吐出を行う種類の一般的なインクジェットプリンターを用いる場合、1回の走査(以下、「1回のパス」ともいう。)内で第2インクおよび第1インクの両者により、一の特定画像を形成する場合をいう。したがって、両方のインクを全く同時に吐出する場合の他、1回のパス内において一方のインクを吐出した後に他方のインクを吐出する場合についても、「実質的に同一時」に含まれる。
【0089】
また、1回の走査中において吐出された2種のインクの液滴は、被記録媒体上で接触される。なお、液滴の接触は、先に被記録媒体に付着して被記録媒体上に存在している液滴に、後から被記録媒体に付着する液滴が接触してもよいし、2種の液滴が同時に被記録媒体に付着して接触してもよい。また、複数回の走査を行うことにより一の被記録媒体への記録を完了させても良いし、1回のみの被記録媒体の走査を高速で行うことにより一の被記録媒体への記録を完了させてもよい。後者の場合の例としては、被記録媒体の幅分の長さのヘッドを使用するいわゆるラインプリンターを用いる場合を挙げることができ、このようなプリンターによっても第1インクの液滴と第2インクの液滴とが、実質的に同一時に、かつ被記録媒体上で少なくとも一部が接触するように付着させることができる。
【0090】
本実施形態で用いる記録方法で使用する記録装置は、第1インクと第2インクとを実質的に同一時に吐出して被記録媒体に付着させる第1記録モードと、第2インクを、第1インクと実質的に同一時に吐出せずに前記被記録媒体上の所定位置に付着させる第2記録モードと、を有していると好ましい。第1記録モードを利用した場合は、第2記録モードより高いL*値、隠蔽度、第2記録モードとは異なる彩度、を有する白色画像が得られる。また、第2記録モードは、第1インクの消費量を抑制できる点で第1記録モードより好ましい。このような第1記録モード、第2記録モードは、入力された画像、ユーザーの指示等に基づいて選択されるよう構成されていてもよい。
【0091】
本実施形態に係る記録方法において、第1インクの液滴重量は、第2インクの液滴重量に対して、20%以上50%以下であることが好ましい。これにより、プラスチックメディア上に形成された画像の乾燥性を向上させることができる。
【0092】
本明細書において「白色系インク」とは、社会通念上「白」と呼称される色を記録出来るインク(インキ)であり、微量着色されているものも含む。また、その顔料を含有するインク(インキ)が「白色インク(インキ)、ホワイトインク(インキ)」などといった名称で呼称、販売されるインク(インキ)を含む。さらに、例えば、インク(インキ)が、エプソン純正写真用紙<光沢>(セイコーエプソン社製)に100%duty以上又は写真用紙の表面が十分に被覆される量で記録された場合に、インクの明度(L*)および色度(a*、b*)が、分光測光器Spectrolino(商品名、GretagMacbeth社製)を用いて、測定条件をD50光源、観測視野を2°、濃度をDIN NB、白色基準をAbs、フィルターをNo、測定モードをReflectance、として設定して計測した場合に、70≦L*≦100、−4.5≦a*≦2、−6≦b*≦2.5、の範囲を示す、インク(インキ)を含む。
【0093】
また、このような記録装置における上述のモードの選択は、例えば被記録媒体の光透過性に応じて行われてもよい。具体的には、記録装置が被記録媒体の光透過性度合いを判断する判断手段を有していれば良い。判断手段の例としては、ホスト装置からユーザーに被記録媒体の「型番、性質(光透過性)」等を入力させ、それを受信して判断する態様がある。別の態様としては、ホスト装置の画面に、被記録媒体が光透過性と判断させるためのチェックボックスを表示させ、チェックボックスにチェックが入れられた場合は、それを受信して判断する態様でも良い。さらに、記録装置に直接、光透過性度合いを検出するセンサを設け、その検出結果のデータを受信して判断する態様であっても良い。判断手段の例としては、特に限定されないが、CPU、ASIC等が挙げられる。このようにすれば、必要な隠蔽度に応じてモードを選択し、例えば、白色の下地層をより効率よく形成することができる。
【0094】
また、本実施形態の記録方法は、上述の第1インク、第2インクおよび第3インクを含むインクセットを備える構成としてもよい。この場合に使用される記録装置は、第1インクと第2インクとを実質的に同一時に吐出して被記録媒体に付着させる第1記録モードと、第2インクを、第1インクと実質的に同一時に吐出せずに前記被記録媒体上の所定位置に付着させる第2記録モードと、第2インクと第3インクとを実質的に同一時に吐出して被記録媒体上の所定の位置に付着させる第3記録モードとを有すると好ましい。なお、この3つのモードは、上述のように被記録媒体の光透過性に応じて選択されてもよい。
【0095】
このような記録方法は、形成する画像の所望の色相に応じてこれらのモードを使い分けることができる。そのため、本実施形態の記録装置によれば、例えば、白色の下地層の色調を容易に変化させることができる。
【0096】
また、このような記録装置におけるモードの選択は、例えば被記録媒体の色調に応じて行われてもよい。このようにすれば、必要な色調にあわせてモードを選択し、例えば、白色の下地層の色調を容易に変化させることができる。モードの選択は、ユーザーによって行われてもよいし、例えば、記録装置に被記録媒体の色調を計測する機構を備えてモードの選択を自動的に行わせてもよい。
【0097】
3.実験例
以下、実験例によって本発明をより具体的に説明するが、これらは本発明の範囲を限定するものではない。
【0098】
3.1.インクの調製
白色系インクA1〜A10(上記実施形態における第4インクに相当する。)、白色系インクB(上記実施形態における第2インクのうち樹脂粒子を実質的に含有しないものに相当する。)および樹脂インクC1〜C10(上記実施形態における第1インクに相当する。)を、表1に示す配合で調製した。
【0099】
【表1】

【0100】
表1中、樹脂粒子としては、ジョンクリル61J(BASFジャパン株式会社製:スチレン/アクリル共重合体系)、ビニブラン700(日信化学工業株式会社製:ポリ塩化ビニル系)、レザミンD−1060(大日精化工業株式会社製:ウレタン樹脂系)、モビニール742A(アクリル樹脂系)、およびモビニール972(スチレン/アクリル樹脂系)(日本合成化学工業株式会社製)を購入して使用した。表1中、二酸化チタン粒子は、「NanoTek(R) Slurry」(シーアイ化成株式会社製):NanoTek(R) Slurryは、平均粒子径300nmの二酸化チタン粒子を固形分濃度15%の割合で含むスラリーを用いて配合した。表1中、二酸化チタン粒子、および樹脂粒子の濃度は、固形分濃度として質量%で示されている。表1中、HS−500は、株式会社林原商事製の糖である。表中、BYK−348は、ビックケミー・ジャパン株式会社製、ポリシロキサン系界面活性剤である。水はイオン交換水を用いた。
【0101】
3.2.目詰まりおよび固形化の評価
目詰まりの評価は、次のように行った。上記の各インクをそれぞれインクジェットプリンター(セイコーエプソン株式会社製、商品名「PX−G930」)の専用カートリッジのインク室にそれぞれ充填した。そして、インクカートリッジをプリンターに装着し、室温25℃、湿度50%RHの環境に半年間放置し、クリーニング操作を1回行う毎に、目詰まりしたノズル数を計数した。
【0102】
得られた結果を以下の基準を用いて評価し、表2に記載した。
【0103】
○:クリーニング5回目以内で目詰まりノズルがなくなった
△:クリーニング10回目以内で目詰まりノズルがなくなった
×:クリーニング11回目以上で目詰まりノズルがなくなった
固形化の評価は、次のように行った。上記の各インクをそれぞれ100mLスクリュー管瓶(AS ONE製)に100mLずつ入れ、室温25℃、湿度50%RHの環境に半年間放置し、上下に30cmの幅で10往復振った後、スクリュー管瓶内のインク上澄みを3mL採取した。
【0104】
そして採取した上澄み1gに、蒸留水を加えて1000倍に希釈した。次いで、分光光度計(製品名「Spectrophotometer U−3300」、株式会社日立製作所製)を用いて、希釈した白色系インク組成物の波長500nmにおける吸光度(Abs値)を、撹拌回数毎に測定した。このようにして得られた各サンプルの吸光度と、上記の調整直後の白色系インク組成物の吸光度と、を比較して、下記式(1)を用いて吸光度の回復率を求めた。
【0105】
吸光度の回復率(%)=100×試料の吸光度/調整直後の吸光度 ・・・(1)
得られた結果を以下の基準を用いて評価し、表2に記載した。
【0106】
○:回復率が90%以上
△:回復率が70%以上90%未満
×:回復率が70%未満
【0107】
【表2】

【0108】
3.3.白色度、隠蔽度および耐擦過性の評価
表3および表4には、白色度、隠蔽度および耐擦過性の評価結果を示す。
【0109】
【表3】

【0110】
【表4】

【0111】
白色度、隠蔽度および耐擦過性を評価するための試料は、以下のように調製した。
【0112】
表3および表4に示す種類の白色系インクと樹脂インクをインクジェットプリンター(セイコーエプソン株式会社製、商品名「PX−G930」)の専用カートリッジのインク室にそれぞれ充填した。そして、被記録媒体(CPF(セイコーエプソン株式会社製、クリアプルーフフィルムWXCPFT27R))に対してベタパターン画像の記録を行った。当該記録は、解像度1440×1440dpiで、表3および表4に示すdutyで行なった。
【0113】
なお、ここで、「duty」とは、下式で算出される値である。
【0114】
duty(%)=実印字ドット数/(縦解像度×横解像度)×100
(式中、「実印字ドット数」は単位面積当たりの実印字ドット数であり、「縦解像度」および「横解像度」はそれぞれ単位長さ当たりの解像度である。100%dutyとは、画素に対する単色の最大インク質量を意味する。)
当該記録は、白色系インクの液滴を被記録媒体上に付着させた後、樹脂インクの液滴を被記録媒体上の白色系インクの位置に付着させるように設定して行った。そして、白色系インクの液滴が流動性を有する状態で、樹脂インクの液滴が付着されるようにした。すなわち、インクジェットプリンターの1回のヘッドの走査で、白色系インクを吐出した後に樹脂インクを吐出するように設定した。白色系インクが被記録媒体に付着してから樹脂インクが当該白色系インクに到達するまでの時間は、約0.1msであった。なお、各白色系インクについて、被記録媒体に付着した後、1.5ms以内では乾燥せず、流動性を有することを別途実験により確認した。
【0115】
白色度の評価は、各試料を、測色機:Gretag Macbeth SpetroscanおよびSpectrolino(X−Rite社製)によって測色して、L*値、a*値、b*値を求め、L*値を白色度の指標として行った。測定されたL*値、a*値、b*値は、表3および表4に記載した。
【0116】
隠蔽度は、各試料の可視光領域の透過率を測定し、隠蔽度として表3および表4に記載した。隠蔽度は以下のようにして求めた。各試料につき、日本分光株式会社製、偏角測色計(V550 UV/VIS)を用いて、測定プログラムとして、日本分光株式会社製、Spectra Manager for windows95/NT(ver.1.53.01)を用い、測定モード:透過モード(%T)、偏光データ:N偏光、繰り返し回数:1、レスポンス:Fast、バンド幅:10.0nm、走査速度:2000nm/min、データ取り込み間隔:1.0nmとし、可視光領域の透過率を測定した。
【0117】
そして、透過率の積分値を、380nm〜700nmの1nm間隔の各波長における透過率を積分して求めた。積分値は、0〜32000の間の数値で、完全な遮蔽(隠蔽)では0、完全な透過では32000である。
【0118】
耐擦過性は、各試料を60℃、湿度20%RHの状態で2時間乾燥させた後、学振形染色摩擦堅ろう度試験機(安田精機製作所製)を用いて、JIS染色堅ろう度試験用白布(日本規格協会製)で試料の印刷領域を100回擦り評価した。
【0119】
評価は以下の基準を用い、評価結果を表3および表4に記載した。
【0120】
○:剥がれがない
△:印刷領域の10%未満の領域が剥がれた
×:印刷領域の10%以上の領域が剥がれた
【0121】
3.4.実験例の結果
表2をみると、白色系インクA1〜A10は、白色系インクBに比較して、目詰まりおよび固形化の性能が劣っていた。このことは、白色系インク中に酸化チタン粒子と樹脂粒子が混在する結果、酸化チタン粒子の凝集や、固形化(ハードケーキの形成)が生じているためと考えられる。また、白色系インクA1〜A5は、白色系インクA6〜A10に比較して、目詰まりおよび固形化の性能が良好であった。これは、白色系インク中の第1樹脂粒子の濃度が3%程度であれば、酸化チタン粒子の凝集や、固形化が抑制されることを表している。そして、これらに対して、白色系インクBは、樹脂粒子が配合されていない結果、半年間の保存後でも目詰まりおよび固形化を生じず、保存安定性が極めて良好であった。したがって、白色系インクに対して樹脂粒子を添加する場合よりも、白色系インクに少量(3質量%以下程度)の樹脂粒子を添加するか、または、白色系インクに樹脂粒子を添加せず、樹脂インクに樹脂粒子を添加することにより、白色系インクを含むインクセットの保存安定性を向上させることができることが判明した。
【0122】
表3をみると、樹脂インクのdutyが増大するにつれて、L*値が増大していることが分かる。また、表3において、白色系インクBと樹脂インクC1〜C4とによって記録された画像、および、白色系インクA1〜A5によって記録された画像において、固形分量が等しくなるduty(樹脂インクのdutyが42%)で両者の白色度を比較すると、同等か前者のほうが大きかった。特に、樹脂インクC1、C4、C5を用いて形成された画像は、白色系インクA1、A4、A5によって記録された画像よりも白色度に優れていた。すなわち、アクリル樹脂系の樹脂粒子、または、スチレン/アクリル共重合体系の樹脂粒子を使用する場合には、白色系インクに樹脂粒子が添加される場合よりも、樹脂インクによって樹脂粒子が供給されたほうが白色度が高くなることが判明した。また、樹脂インクC1、C4、C5に使用された樹脂粒子の平均粒子径は、40nm以上140nm以下の範囲であり、このことが白色度を向上させる一因となっていることが判明した。
【0123】
また、表3をみると、使用した樹脂粒子の種類によって、a*、b*の値が変化することが分かる。このことから、形成される白色の画像の色相(色味)を、使用する樹脂粒子の種類によって変化させうることが判明した。
【0124】
また、表3および表4をみると、樹脂インクのdutyが増大するにつれて、隠蔽度が小さくなり、遮蔽性の高い画像が得られることが分かる。また、白色系インクBと樹脂インクC1〜C4とによって記録された画像、および、白色系インクA1〜A5によって記録された画像において、固形分量が等しくなるduty(樹脂インクのdutyが42%)で両者の隠蔽度を比較すると、前者のほうが隠蔽度が良好であった。特に、樹脂インクC1、C3を用いて形成された画像は、白色系インクA1、A3によって記録された画像よりも大幅に隠蔽性が向上していた。すなわち、スチレン/アクリル共重合体系、またはウレタン樹脂系の樹脂粒子を使用する場合には、白色系インクに樹脂粒子が添加される場合よりも、樹脂インクによって樹脂粒子が供給されたほうが隠蔽度が良好となることが判明した。
【0125】
以上のような結果が得られるメカニズムにとしては、現状では定かではないが、白色系インクおよび樹脂インクを用いる場合のほうが、白色系インクのみの場合に比べ、画像内に酸化チタン粒子の偏在がより多く生じることが一因となっているであろうと考えられる。
【0126】
なお、耐擦過性に関しては、いずれの種類の樹脂粒子であっても、画像中に存在すれば良好な結果が得られることが分かる。ただし、樹脂インクC1を用いた場合には、dutyが30%以下の場合は、耐擦過性が若干劣っていた。
【0127】
図1は、表3の試料につき、樹脂インクのdutyに対してL*値をプロットしたグラフである。図2は、表3の試料につき、樹脂インクのdutyに対して隠蔽度をプロットしたグラフである。
【0128】
また、表4をみると、表3の場合と同様に、樹脂インクのdutyが増大するにつれて、L*値が増大していることが分かる。特に、樹脂インクC1、C4、C5を用いて形成された画像は白色度に優れていた。すなわち、アクリル樹脂系の樹脂粒子、または、スチレン/アクリル共重合体系の樹脂粒子を使用する場合には、白色度が高くなることが判明した。また、樹脂インクC1、C4、C5に使用された樹脂粒子の平均粒子径は、40nm以上140nm以下の範囲であり、このことが白色度を向上させる一因となっていることが判明した。
【0129】
また、表4をみると、樹脂インクのdutyが増大するにつれて、隠蔽度が小さくなり、遮蔽性の高い画像が得られることが分かる。特に、樹脂インクC4、C5を用いて形成された画像は、大幅に隠蔽性が向上していた。すなわち、アクリル樹脂系、またはスチレン/アクリル共重合体系の樹脂粒子を使用する場合には、隠蔽度が良好となることが判明した。
【0130】
以上のような結果が得られるメカニズムにとしては、現状では定かではないが、白色系インクおよび樹脂インクを用いる場合のほうが、白色系インクのみの場合に比べ、画像内に酸化チタン粒子の偏在がより多く生じることが一因となっているであろうと考えられる。
【0131】
なお、耐擦過性に関しては、いずれの種類の樹脂粒子であっても、画像中に存在すれば良好な結果が得られることが分かる。ただし、樹脂インクC1を用いた場合には、dutyが30%以下の場合は、耐擦過性が若干劣っていた。
【0132】
本発明は、以上説明した実施形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。例えば、本発明は、実施形態で説明した構成と実質的に同一の構成(例えば、機能、方法および結果が同一の構成、あるいは目的および効果が同一の構成)を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成または同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1樹脂粒子を含有し、色材を実質的に含有しない第1インクと、
酸化チタン粒子を含有し、前記第1樹脂粒子の含有量が6質量%未満であり、前記第1インクと実質的に同一時に吐出される第2インクと、
を含む、インクジェット記録用インクセット。
【請求項2】
請求項1において、
前記第2インクは、前記第1樹脂粒子を実質的に含有しない、インクジェット記録用インクセット。
【請求項3】
請求項1または請求項2において、
前記第2インクは、前記第1樹脂粒子とは異なる第2樹脂粒子を含有する、インクジェット記録用インクセット。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のいずれか1項において、
前記第1インクは、前記第1樹脂粒子を、3質量%以上5質量%以下含有する、インクジェット記録用インクセット。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4のいずれか1項において、
前記第1樹脂粒子の材質は、アクリル系高分子である、インクジェット記録用インクセット。
【請求項6】
請求項1ないし請求項5のいずれか1項において、
前記第1樹脂粒子の平均粒子径は、40nm以上140nm以下である、インクジェット記録用インクセット。
【請求項7】
請求項1ないし請求項6のいずれか1項において、
前記第1樹脂粒子とは異なる第3樹脂粒子を含有し、色材を実質的に含有しない第3インクをさらに含む、インクジェット記録用インクセット。
【請求項8】
請求項1ないし請求項7のいずれか1項に記載のインクジェット記録用インクセットを備え、インクジェット方式によって被記録媒体上の所定位置に画像を形成する、記録装置。
【請求項9】
請求項1ないし請求項7のいずれか1項に記載のインクジェット記録用インクセットを備え、
前記第1インクと前記第2インクとを実質的に同一時に吐出して被記録媒体上の所定位置に付着させる第1記録モードと、
前記第1インクと前記第2インクとを実質的に同一時に吐出せずに被記録媒体上の所定位置に付着させる第2記録モードと、
を有する、記録装置。
【請求項10】
請求項7に記載のインクジェット記録用インクセットを備え、
前記第1インクと前記第2インクとを実質的に同一時に吐出して被記録媒体上の所定位置に付着させる第1記録モードと、
前記第1インクと前記第2インクとを実質的に同一時に吐出せずに被記録媒体上の所定位置に付着させる第2記録モードと、
前記第2インクと前記第3インクとを実質的に同一時に吐出して被記録媒体上の所定位置に付着させる第3記録モードと、
を有する、記録装置。
【請求項11】
請求項9または請求項10に記載の記録装置であって、
前記被記録媒体の光透過性を判断する判断手段を備え、
前記判断手段の判断結果に基づき、前記モードの少なくとも一種を選択して記録を行う、記録装置。
【請求項12】
請求項8ないし請求項11のいずれか1項に記載の記録装置によって記録された記録物。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−241054(P2012−241054A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−110292(P2011−110292)
【出願日】平成23年5月17日(2011.5.17)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】