インクジェット記録装置及びインクジェット記録装置のノズル回復方法
【課題】簡単な構成で、インクの強制排出の必要のないノズルからの無駄なインク排出を抑制できるインクジェット記録装置及びインクジェット記録装置の提供。
【解決手段】それぞれ複数のノズルを有する複数の記録ヘッド1A〜1Fと、複数の記録ヘッド1A〜1Fに共通にインクを供給する共通流路部材2と、複数の記録ヘッド1A〜1F毎に設けられ、ノズル内のインクを粘度調整のために加熱する複数の加熱手段10A〜10Fと、複数の加熱手段10A〜10Fをそれぞれ独立して制御する加熱制御手段と、ノズル内のインクを加圧又は減圧によりノズルから強制的排出させるノズル回復手段とを有し、ノズル回復手段は、インク強制排出動作時、複数の記録ヘッドのうちのインク強制排出を必要としない記録ヘッドに設けられた加熱手段の加熱温度が、インク強制排出を必要とする記録ヘッドに設けられた加熱手段の加熱温度よりも低くなるように加熱制御手段を制御する。
【解決手段】それぞれ複数のノズルを有する複数の記録ヘッド1A〜1Fと、複数の記録ヘッド1A〜1Fに共通にインクを供給する共通流路部材2と、複数の記録ヘッド1A〜1F毎に設けられ、ノズル内のインクを粘度調整のために加熱する複数の加熱手段10A〜10Fと、複数の加熱手段10A〜10Fをそれぞれ独立して制御する加熱制御手段と、ノズル内のインクを加圧又は減圧によりノズルから強制的排出させるノズル回復手段とを有し、ノズル回復手段は、インク強制排出動作時、複数の記録ヘッドのうちのインク強制排出を必要としない記録ヘッドに設けられた加熱手段の加熱温度が、インク強制排出を必要とする記録ヘッドに設けられた加熱手段の加熱温度よりも低くなるように加熱制御手段を制御する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクジェット記録装置及びインクジェット記録装置のノズル回復方法に関し、詳しくは、簡単な構成で、インクの強制排出の必要のないノズルからの無駄なインク排出を抑制することのできるインクジェット記録装置及びインクジェット記録装置のノズル回復方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、インクジェット記録装置には、例えば、紫外線が照射されることで硬化するUVインクのように、常温時において一般的なインクと比べて粘度が高い特性を備えたインクを吐出するものがある。このようなインクは、常温では,粘度が高いためにノズルから安定して吐出することは困難であるが、温度が高くなるに伴って粘度が低下する性質を有していることから、記録ヘッドに加熱手段を設け、吐出前にインクの加熱を行うことで、ノズルからの安定吐出が可能となるようにインクの粘度を低下させた上で吐出を行うようにしたものが知られている(特許文献1)。
【0003】
また、インクジェット記録装置には、記録ヘッドの各チャネルに対して、あるいは、複数の記録ヘッドに対して、共通にインクを供給するための共通流路部材を備え、インクの供給経路の簡素化を図るようにしたものがある(特許文献2)。一つの記録ヘッドの各チャネル間、あるいは、複数の記録ヘッド間は、共通流路部材を介して相互に連通した構造となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−136756号公報
【特許文献2】特開昭63−254048号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、近年、インクジェット記録装置は、より高精細な画像を記録する要請から、ノズル径は小さくなり、インク滴は小液滴化してきている。これに伴い、僅かな記録の中断でも、ノズル内でインクが乾燥してノズル詰まりを発生させる問題が生じている。
【0006】
これに対処するため、インクジェット記録装置は、定期的に又はノズル詰まり(欠ノズル)が検出された時点で、ノズルから強制的にインクを排出させることで、ノズルの維持、回復を図るようにしている。このノズルからのインクの強制的な排出は、加圧ポンプ等によって記録ヘッドに強制的にインクを供給してチャネル内を加圧することで、ノズルからインクを排出させる加圧タイプの他、ノズル面に吸引用のキャップを密着させ、吸引ポンプ等によってキャップ内の空気を吸引して負圧とすることにより、ノズルを介してチャネル内を減圧させ、チャネル内のインクをノズルから吸引して排出する吸引タイプがある。
【0007】
ここで、記録ヘッドの各チャネルに対して、あるいは、複数の記録ヘッドに対して、共通にインクを供給するための共通流路部材を備えるインクジェット記録装置の場合、ノズルの維持、回復のためにインクの加圧又は減圧によってノズルから強制的にインクを排出する際、一つの記録ヘッドのうちの複数のノズルのうちの一部のみに欠ノズルが発生していても、あるいは、複数の記録ヘッドのうちの一つの記録ヘッドのみに欠ノズルが発生していても、共通流路部材を介して連通しているため、欠ノズルのない正常なメニスカスを有しているチャネルあるいは記録ヘッドからもインクが強制的に排出されることになり、不必要にインクが排出されてしまい、インク消費の無駄を発生させていた。
【0008】
この場合、各チャネルあるいは各記録ヘッドに対して、個々に開閉弁を設け、欠ノズルが発生しているチャネルのみ、あるいは、欠ノズルが発生している記録ヘッドのみ選択的に開弁することで、強制的なインク排出を行う構成とすればよいが、新たに開閉弁を設けなくてはならず、共通流路部材を設けてインク供給経路を簡素化したメリットを大きく損なうばかりか、コスト的にも不利となる問題があった。
【0009】
そこで、本発明は、複数の記録ヘッド毎にチャネル内のインクの粘度調整のための加熱手段を備えると共に、複数の記録ヘッドに対して共通にインクを供給する共通流路部材を備えたインクジェット記録装置において、簡単な構成で、インクの強制排出の必要のないノズルからの無駄なインク排出を抑制することのできるインクジェット記録装置及びインクジェット記録装置のノズル回復方法を提供することを課題とする。
【0010】
また、本発明は、記録ヘッドの複数のチャネルの各々に、又は、複数のチャネルを複数のグループに分けた該グループ毎にそれぞれチャネル内のインクの粘度調整のための加熱手段を備えると共に、記録ヘッドの各チャネルに対して共通にインクを供給する共通流路部材を備えたインクジェット記録装置において、簡単な構成で、インクの強制排出の必要のないノズルからの無駄なインク排出を抑制することのできるインクジェット記録装置及びインクジェット記録装置のノズル回復方法を提供することを課題とする。
【0011】
本発明の他の課題は、以下の記載により明らかとなる。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題は、以下の各発明によって解決される。
【0013】
請求項1記載の発明は、それぞれ複数のチャネルを有し、該チャネル内のインクをノズルから吐出する複数の記録ヘッドと、複数の前記記録ヘッドに対して共通にインクを供給する共通流路部材と、複数の前記記録ヘッド毎に設けられ、前記チャネル内のインクを粘度調整のために加熱する複数の加熱手段と、複数の前記加熱手段をそれぞれ独立して制御する加熱制御手段と、前記チャネル内のインクを加圧又は減圧により前記ノズルから強制的に排出させ、前記記録ヘッドの吐出状態を回復させるノズル回復手段とを有するインクジェット記録装置であって、
前記ノズル回復手段は、インク強制排出動作時、複数の前記記録ヘッドのうちのインク強制排出を必要としない前記記録ヘッドに設けられた前記加熱手段の加熱温度が、インク強制排出を必要とする前記記録ヘッドに設けられた前記加熱手段の加熱温度よりも低くなるように前記加熱制御手段を制御することを特徴とするインクジェット記録装置である。
【0014】
請求項2記載の発明は、複数のチャネルを有し、該チャネル内のインクをノズルから吐出する記録ヘッドと、前記記録ヘッドの複数の前記チャネルに対して共通にインクを供給する共通流路部材と、複数の前記チャネルを複数のグループに分けた該グループ毎にそれぞれ設けられ、各グループの前記チャネル内のインクを粘度調整のために加熱する複数の加熱手段と、複数の前記加熱手段をそれぞれ独立して制御する加熱制御手段と、前記チャネル内のインクを加圧又は減圧により前記ノズルから強制的に排出させ、前記記録ヘッドの吐出状態を回復させるノズル回復手段とを有するインクジェット記録装置であって、
前記ノズル回復手段は、インク強制排出動作時、複数の前記チャネルのうちのインク強制排出を必要とする前記チャネルを含まないグループに設けられた前記加熱手段の加熱温度が、インク強制排出を必要とする前記チャネルを含むグループに設けられた前記加熱手段の加熱温度よりも低くなるように前記加熱制御手段を制御することを特徴とするインクジェット記録装置である。
【0015】
請求項3記載の発明は、前記記録ヘッドは複数設けられていることを特徴とする請求項2記載のインクジェット記録装置である。
【0016】
請求項4記載の発明は、複数のチャネルを有し、該チャネル内のインクをノズルから吐出する記録ヘッドと、複数の前記チャネルに対して共通にインクを供給する共通流路部材と、複数の前記チャネル毎に設けられ、該チャネル内のインクを粘度調整のために加熱する複数の加熱手段と、複数の前記加熱手段をそれぞれ独立して制御する加熱制御手段と、前記チャネル内のインクを加圧又は減圧により前記ノズルから強制的に排出させ、前記記録ヘッドの吐出状態を回復させるノズル回復手段とを有するインクジェット記録装置であって、
前記ノズル回復手段は、インク強制排出動作時、複数の前記チャネルのうちのインク強制排出を必要としない前記チャネルに対応する前記加熱手段の加熱温度が、インク強制排出を必要とする前記チャネルに対応する前記加熱手段の加熱温度よりも低くなるように前記加熱制御手段を制御することを特徴とするインクジェット記録装置である。
【0017】
請求項5記載の発明は、前記記録ヘッドは複数設けられていることを特徴とする請求項4記載のインクジェット記録装置である。
【0018】
請求項6記載の発明は、それぞれ複数のチャネルを有し、該チャネル内のインクをノズルから吐出する複数の記録ヘッドと、複数の前記記録ヘッドに対して共通にインクを供給する共通流路部材と、複数の前記記録ヘッド毎に設けられ、前記チャネル内のインクを粘度調整のために加熱する複数の加熱手段と、複数の前記加熱手段をそれぞれ独立して制御する加熱制御手段とを有し、前記チャネル内のインクを加圧又は減圧により前記ノズルから強制的に排出させ、前記記録ヘッドの吐出状態を回復させるインクジェット記録装置のノズル回復方法であって、
ノズル回復動作時に、複数の前記記録ヘッドのうちのインク強制排出を必要としない前記記録ヘッドに設けられた前記加熱手段の加熱温度が、インク強制排出を必要とする前記記録ヘッドに設けられた前記加熱手段の加熱温度よりも低くなるように前記加熱制御手段を制御した状態で、インク強制排出動作を行うことを特徴とするインクジェット記録装置のノズル回復方法である。
【0019】
請求項7記載の発明は、複数のチャネルを有し、該チャネル内のインクをノズルから吐出する記録ヘッドと、前記記録ヘッドの複数の前記チャネルに対して共通にインクを供給する共通流路部材と、複数の前記チャネルを複数のグループに分けた該グループ毎にそれぞれ設けられ、前記チャネル内のインクを粘度調整のために加熱する複数の加熱手段と、複数の前記加熱手段をそれぞれ独立して制御する加熱制御手段とを有し、前記チャネル内のインクを加圧又は減圧により前記ノズルから強制的に排出させ、前記記録ヘッドの吐出状態を回復させるインクジェット記録装置のノズル回復方法であって、
ノズル回復動作時に、複数の前記チャネルのうちのインク強制排出を必要とする前記チャネルを含まないグループに設けられた前記加熱手段の加熱温度が、インク強制排出を必要とする前記チャネルを含むグループに設けられた前記加熱手段の加熱温度よりも低くなるように前記加熱制御手段を制御した状態で、インク強制排出動作を行うことを特徴とするインクジェット記録装置のノズル回復方法である。
【0020】
請求項8記載の発明は、前記記録ヘッドは複数設けられていることを特徴とする請求項7記載のインクジェット記録装置のノズル回復方法である。
【0021】
請求項9記載の発明は、複数のチャネルを有し、該チャネル内のインクをノズルから吐出する記録ヘッドと、複数の前記チャネルに対して共通にインクを供給する共通流路部材と、複数の前記チャネル毎に設けられ、該チャネル内のインクを粘度調整のために加熱する複数の加熱手段と、複数の前記加熱手段をそれぞれ独立して制御する加熱制御手段とを有し、前記チャネル内のインクを加圧又は減圧により前記ノズルから強制的に排出させ、前記記録ヘッドの吐出状態を回復させるインクジェット記録装置のノズル回復方法であって、
ノズル回復動作時に、複数の前記チャネルのうちのインク強制排出を必要としない前記チャネルに対応する前記加熱手段の加熱温度が、インク強制排出を必要とする前記チャネルに対応する前記加熱手段の加熱温度よりも低くなるように前記加熱制御手段を制御した状態で、インク強制排出動作を行うことを特徴とするインクジェット記録装置のノズル回復方法である。
【0022】
請求項10記載の発明は、前記記録ヘッドは複数設けられていることを特徴とする請求項9記載のインクジェット記録装置のノズル回復方法である。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、簡単な構成で、インクの強制排出の必要のないノズルからの無駄なインク排出を抑制することのできるインクジェット記録装置及びインクジェット記録装置のノズル回復方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】第1の実施形態に係るインクジェット記録装置の一例を示す概略構成図
【図2】インクジェット記録装置の制御構成を示すブロック図
【図3】一つのプリントヘッドの構成図
【図4】第1の実施形態に係るインクジェット記録装置におけるノズル回復動作の一例を示すフロー図
【図5】第1の実施形態に係るインクジェット記録装置におけるノズル回復動作の一例を示すフロー図
【図6】第1の実施形態に係るインクジェット記録装置におけるノズル回復動作の一例を示すフロー図
【図7】第1の実施形態に係るインクジェット記録装置におけるノズル回復動作の一例を示すフロー図
【図8】第1の実施形態に係るインクジェット記録装置におけるノズル回復動作の一例を示すフロー図
【図9】第2の実施形態に係るインクジェット記録装置における記録ヘッドの構成図
【図10】(a)(b)は第2の実施形態に係る記録ヘッドを複数設けた場合の構成図
【図11】第3の実施形態に係るインクジェット記録装置における記録ヘッドの構成図
【図12】(a)(b)は第3の実施形態に係る記録ヘッドを複数設けた場合の構成図
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明に係るインクジェット記録装置及びノズル回復方法の1つの態様では、それぞれ複数のチャネルを有し、該チャネル内のインクをノズルから吐出する複数の記録ヘッドと、複数の記録ヘッドに対して共通にインクを供給する共通流路部材と、複数の記録ヘッド毎に設けられ、チャネル内のインクを粘度調整のために加熱する複数の加熱手段と、複数の加熱手段をそれぞれ独立して制御する加熱制御手段と、チャネル内のインクを加圧又は減圧により前記ノズルから強制的に排出させ、記録ヘッドの吐出状態を回復させるノズル回復手段とを有する。
【0026】
そして、この態様におけるノズル回復手段は、インク強制排出動作時、複数の記録ヘッドのうちのインク強制排出を必要としない記録ヘッドに設けられた加熱手段の加熱温度が、インク強制排出を必要とする記録ヘッドに設けられた加熱手段の加熱温度よりも低くなるように加熱制御手段を制御する。ノズル回復方法では、このように加熱制御手段を制御した状態で、インク強制排出動作を行う。
【0027】
このため、インク強制排出のために記録ヘッドのチャネル内を加圧又はノズルからインクを吸引するために記録ヘッドのチャネル内を減圧した際に、インク強制排出を必要としない記録ヘッドに設けられた加熱手段の加熱温度が低くなるようにすることで、その記録ヘッドのチャネル内のインク粘度は、インク強制排出を必要とする記録ヘッドのチャネル内のインク粘度よりも上昇して高粘度となる。従って、インク強制排出動作時、例えば共通流路部材を介して各記録ヘッドのチャネル内を加圧すると、インク強制排出の必要のある記録ヘッドのチャネル内のインクに比べて、インク強制排出の必要のない記録ヘッドのチャネル内の高粘度となったインクはノズルから排出しにくくなる。これにより、ノズル強制排出時の加圧力を、欠ノズルが発生している比較的インク粘度の小さな記録ヘッドのみに効果的に作用させることができ、欠ノズルのない記録ヘッドのノズルから無駄にインクが排出されることを避けることができる。
【0028】
また、インクをノズルから選択的に強制排出するために、開閉弁等を設ける必要はなく、加熱手段の個別的な制御だけで済むため、従来の加熱手段を備えたインクジェット記録装置に対して新たな構成部材を付加する必要もなく、構造簡単で低コストに構成することができる。
【0029】
本発明に係るインクジェット記録装置の他の1つの態様では、複数のチャネルを有し、該チャネル内のインクをノズルから吐出する記録ヘッドと、記録ヘッドの複数のチャネルに対して共通にインクを供給する共通流路部材と、複数のチャネルを複数のグループに分けた該グループ毎にそれぞれ設けられ、各グループのチャネル内のインクを粘度調整のために加熱する複数の加熱手段と、複数の加熱手段をそれぞれ独立して制御する加熱制御手段と、チャネル内のインクを加圧又は減圧によりノズルから強制的に排出させ、記録ヘッドの吐出状態を回復させるノズル回復手段とを有する。
【0030】
各グループは、記録ヘッドにおける少なくとも一つのチャネルを含み、各加熱手段は、それに対応するグループ内のチャネル内のインクに対して加熱を行うように設けられる。
【0031】
そして、この態様におけるノズル回復手段は、インク強制排出動作時、複数のチャネルのうちのインク強制排出を必要とするチャネルを含まないグループに設けられた加熱手段の加熱温度が、インク強制排出を必要とするチャネルを含むグループに設けられた加熱手段の加熱温度よりも低くなるように加熱制御手段を制御する。ノズル回復方法では、このように加熱制御手段を制御した状態で、インク強制排出動作を行う。
【0032】
この場合は、同一の記録ヘッド内において複数にグループ分けされた各チャネルに対して、欠ノズルを含まないグループに対応する加熱手段による加熱温度が、欠ノズルを含むグループに対応する加熱手段による加熱温度よりも低くなるようにするだけで、インク強制排出時に、欠ノズルのないグループのチャネルからの無駄なインク消費が抑えられる。
【0033】
このように複数の加熱手段を設けた単一の記録ヘッドとしては、例えば記録媒体の幅方向に亘って長尺となるように形成されるラインヘッドがあるが、記録ヘッドは、単独で設けられるものに限らず、複数設けられていても良い。
【0034】
複数の記録ヘッドは、記録ヘッド毎に共通流路部材が設けられていても良いし、複数の記録ヘッドの各チャネルに対して共通にインクを供給する1つの共通流路部材が設けられていても良い。
【0035】
本発明に係るインクジェット記録装置の更に他の1つの態様では、複数のチャネルを有し、該チャネル内のインクをノズルから吐出する記録ヘッドと、複数のチャネルに対して共通にインクを供給する共通流路部材と、複数のチャネル毎に設けられ、該チャネル内のインクを粘度調整のために加熱する複数の加熱手段と、複数の加熱手段をそれぞれ独立して制御する加熱制御手段と、チャネル内のインクを加圧又は減圧によりノズルから強制的に排出させ、記録ヘッドの吐出状態を回復させるノズル回復手段とを有する。
【0036】
そして、この態様におけるノズル回復手段は、インク強制排出動作時、複数のチャネルのうちのインク強制排出を必要としないチャネルに対応する加熱手段の加熱温度が、インク強制排出を必要とするチャネルに対応する加熱手段の加熱温度よりも低くなるように加熱制御手段を制御する。ノズル回復方法では、このように加熱制御手段を制御した状態で、インク強制排出動作を行う。
【0037】
これによれば、欠ノズルのない加熱手段による加熱温度が、欠ノズルに対応する加熱手段による加熱温度よりも低くなるようにするだけで、インク強制排出時に、正常なノズルからの無駄なインク消費が抑えられる。加熱手段はノズル毎に制御できるため、欠ノズルのみから集中的にインクの強制排出を効率良く行うことができる。
【0038】
このような記録ヘッドも、単独で設けられるものに限らず、複数設けられていても良い。
【0039】
複数の記録ヘッドは、記録ヘッド毎に共通流路部材が設けられていても良いし、複数の記録ヘッドの各チャネルに対して共通にインクを供給する1つの共通流路部材が設けられていても良い。
【0040】
加熱制御手段によって制御されるインク強制排出を必要とする記録ヘッド又はチャネルに対応しない加熱手段の加熱温度と、インク強制排出を必要とする記録ヘッド又はチャネルに対応する加熱手段の加熱温度とは相対的であればよい。従って、インク強制排出を必要とする記録ヘッド又はチャネルに対応する加熱手段の加熱温度を不変とし、インク強制排出を必要とする記録ヘッド又はチャネルに対応しない加熱手段の加熱温度を低下させてもよいし、反対に、インク強制排出を必要とする記録ヘッド又はチャネルに対応する加熱手段の加熱温度を上昇させ、インク強制排出を必要とする記録ヘッド又はチャネルに対応しない加熱手段の加熱温度を不変としてもよい。また、インク強制排出を必要とする記録ヘッド又はチャネルに対応する加熱手段の加熱温度を上昇させ、インク強制排出を必要とする記録ヘッド又はチャネルに対応しない加熱手段の加熱温度を低下させてもよい。
【0041】
加熱手段による加熱温度の制御は、最も簡便には通電のオン(加熱)、オフ(非加熱)を制御することによって行うことができるが、加熱手段の加熱温度を上昇又は低下させる場合には、加熱手段による発熱量(加熱温度)を直接制御することによって、加熱温度を上昇又は低下させるようにすることもできる。発熱量を直接制御する場合は、通電をオフに制御する場合に比べて、ノズル回復動作終了後にインク温度が所定温度に到達するまでの時間を短くすることができ、記録再開までの立ち上げ時間の短縮化を図ることができる。
【0042】
欠ノズルの有無の確認及び特定作業は、記録ヘッドを用いて記録媒体に所定パターンからなるチャートを記録し、そのチャートを目視確認し、あるいは、そのチャートを画像認識し、適正にインク吐出が行なわれていないノズル位置を確認及び特定することによって行うことができる。また、記録ヘッドの各ノズルから検出光に向けてインク滴を吐出し、インク滴が検出光を通過したか否かを電気的に検出することによって、欠ノズルの有無及びその位置を特定することもできる。
【0043】
本発明におけるノズル回復動作は、適宜公知の方法を採用することができ、チャネル内のインクに加圧力を作用させてノズルから強制的にインクの排出を行うもの、チャネル内のインクに負圧を作用させてノズルから強制的にインクの排出を行うもののいずれでもよい。加圧力は、例えばインクを供給する供給ポンプの正回転(インク供給方向)の駆動によって生成することができる。負圧力は、例えばノズル面をキャップによって密封し、このキャップ内の空気を真空ポンプ等を用いて吸引して減圧することによって生成することができる。
【0044】
本発明における加熱手段は、通電によって又は通電量に応じて発熱し、チャネル内のインクを直接又は間接に加熱することができるものであればよく、例えばフィルムヒータ等の面状ヒータを好ましく用いることができる。面状ヒータは、ヘッド表面に貼着して設けることもでき、また、ヘッド壁内に埋設して設けることもできる。また、各チャネル毎に加熱手段を設ける場合は、各チャネル内にヒータを設けることによって構成することができる。
【0045】
本発明における記録ヘッドは、共通流路部材から各チャネル内にインクを受け入れることができ、各チャネル内のインクを該チャネルに対応して設けられたノズルからインク滴として吐出させることができるものであればその構造は特に問わない。例えば、多数並設されるチャネル間の隔壁を圧電素子によって形成し、該隔壁の両面に形成した電極に所定の駆動電圧を印加して隔壁をくの字状にせん断変形させることで、チャネル内のインクに吐出のための圧力変化を与えるもの、チャネルの一壁面を構成する振動板にピエゾ素子を設け、このピエゾ素子に所定の駆動電圧を印加した際に生じる機械的な伸縮作用によって振動板を振動させ、チャネル内のインクに吐出のための圧力変化を与えるもの、各チャネル内にヒータを配設し、チャネル内のインクを加熱することで発生した気泡の破裂作用によってノズルからインクを吐出させるもの等があり、いずれでもよい。
【0046】
以下、本発明の具体的な実施形態について図面を用いて説明する。
【0047】
(第1の実施形態)
図1は第1の実施形態に係るインクジェット記録装置の一例を示す概略構成図、図2は制御構成を示すブロック図、図3は一つのプリントヘッドの構成図である。
【0048】
このインクジェット記録装置は、複数のプリントヘッド(記録ヘッド)1A〜1Fからなるヘッドユニット1と、このヘッドユニット1の各プリントヘッド1A〜1Fが備える複数のチャネル内にそれぞれ共通にインクを供給する1つの共通流路部材2とを有しており、加圧によって各プリントヘッド1A〜1Fのノズル回復動作を行うものを示している。
【0049】
各プリントヘッド1A〜1Fには、それぞれ加熱手段であるヒータ10A〜10Fが1つずつ内蔵されており、図2に示す加熱制御部101によって各々の通電が独立に制御されるようになっている。各ヒータ10A〜10Fは、通電によって、共通流路部材2から各チャネル内に供給される例えば紫外線硬化インク等の高粘度のインクを所定温度に加熱し、ノズルから安定して吐出可能となる粘度まで下げる。この加熱制御部101は、インクジェット記録装置の全体を制御する全体制御部100によって制御される。
【0050】
ここで、各プリントヘッド1A〜1Fは同一構成であるため、一つのプリントヘッド1Aを例示してその概要について示すと、図3に示すように、プリントヘッド1A内には、多数のチャネル1aが並設されており、共通流路部材2と連通する連通管11を介して全てのチャネル1aで共通にインクの供給を受け入れるようになっている。プリントヘッド1Aのノズル面には各チャネル1aに対応する位置にノズル1bが開設されており、各チャネル1a内のインクをノズル1bからインク滴として吐出させるようになっている。
【0051】
ヒータ10Aは、プリントヘッド1Aの表面から全てのチャネル1a内のインクを共通に加熱するように設けられている。従って、ヒータ10Aを通電すると、プリントヘッド1A内の全てのチャネル1a内のインクは、所定温度まで加熱されて安定吐出に最適な粘度まで下げられ、通電を断つと、インクは常温まで冷やされて粘度が上昇する。
【0052】
共通流路部材2のインク流入口21には、インク流入管23が接続されている。インク流入管23は、電磁弁からなる開閉弁V1を介して中間タンク3と接続されており、中間タンク3内のインクを共通流路部材2に供給可能としている。
【0053】
中間タンク3は、インク流入管23によって共通流路部材2と接続されており、内部に貯留されたインクの液面によって各プリントヘッド1A〜1Fに対して所定の背圧をかけている。SH1は液面基準位置センサ、SH2は液面上限センサである。中間タンク3の内部は、電磁弁からなる開閉弁V3によって開閉される大気開放管31と繋がっている。また、中間タンク3内の背圧は、電磁弁からなる開閉弁V4を開放することにより、背圧空圧センサSP1によって検出されるようになっている。インクジェット記録装置の稼動時は、大気開放管31に繋がる開閉弁V3が開放状態とされることで、中間タンク3内のインクの液面によって、各プリントヘッド1A〜1Fに対する所定の背圧がかけられる。
【0054】
中間タンク3には、インク供給管40を介してインクカートリッジ4が接続され、供給ポンプ5によってインクカートリッジ4内のインクを所定量ずつ中間タンク3内に供給可能とされている。ここにはインクカートリッジ4A、4Bの2つが示されており、それぞれ分岐供給管41、42によってインク供給管40と連絡している。各分岐供給管41、42には、それぞれ電磁弁からなる開閉弁V5、V6が設けられており、各インクカートリッジ4A、4Bからのインクの供給路を選択的に開閉できるようになっている。インク供給管40にはフィルタ43が設けられており、インク中のゴミ等を取り除くようになっている。SP2は、インクカートリッジ4からのインク無を検知するためのインク無検知センサである。
【0055】
一方、共通流路部材2のインク排出口22には、インク排出管24が接続されている。インク排出管24は、電磁弁からなる開閉弁V2によって排出路が開閉可能とされており、その排出端は大気開放されている。
【0056】
各プリントヘッド1A〜1Fのノズル面に対向する位置には、インク受け皿6が配設されており、ノズル回復動作(メンテナンス動作)によってプリントヘッド1A〜1Fのノズルから強制的に排出されたインク滴を受け入れ、排出流路61を介して廃液タンク7に流入させるようになっている。この廃液タンク7内には、インク排出管24を介して共通流路部材2から流出するインクも送られる。
【0057】
なお、以上の各開閉弁V1〜V6は、図2に示す全体制御部100によって個別に開閉制御されるようになっている。
【0058】
かかるインクジェット記録装置において、各プリントヘッド1A〜1Fにインクを充填する場合、供給ポンプ5の駆動によってインクカートリッジ4内のインクを、インク供給管40を介して一旦中間タンク3に流入させ、更に中間タンク3からインク流入管23を介して共通流路部材2に一旦貯留させる。そして、この共通流路部材2から各プリントヘッド1A〜1Fの各チャネル1a内にそれぞれインクを供給する。このとき、インク流入管23の開閉弁V1の開放と共に、インク排出管24の開閉弁V2も開放されている。
【0059】
中間タンク3から供給されるインクは、共通流路部材2から各プリントヘッド1A〜1F内に貯留される以外に、余剰のインクがインク排出管24を通って廃液タンク7に流出する。このとき、共通流路部材2内に侵入した空気が排出され、各プリントヘッド1A〜1Fへの気泡侵入が防止される。このようにして各プリントヘッド1A〜1Fの各チャネル1a内にインクが充満したら、インク排出管24の開閉弁V2は閉止される。
【0060】
次いで、各プリントヘッド1A〜1Fの各ヒータ10A〜10Fは、加熱制御部101によって通電制御されてチャネル1a内のインクを所定温度まで加熱する。インクジェット記録装置は、画像記録時、この所定温度まで加熱されたインクによって印刷を実行する。印刷実行中は、中間タンク3に供給ポンプ5によって所定量のインクが供給されて貯留されることで、各プリントヘッド1A〜1Fに対して所定の背圧がかけられるように制御される。
【0061】
次に、かかるインクジェット記録装置におけるノズル回復動作の一例について、図4〜図8に示すフロー図を用いて説明する。以下の動作は、所定の回復動作プログラムに従って全体制御部100の制御によって実行される。なお、ここでは、欠ノズルを含まないプリントヘッドに対応するヒータの通電をオフ(非加熱)にする場合について説明する。
【0062】
まず、各プリントヘッド1A〜1Fの個々のヘッドについて欠ノズルの有無を確認し、その結果、欠ノズルを有することによりノズル回復処理が必要となるプリントヘッドを指定する(S1)。プリントヘッドの指定は、オペレータが入力操作盤等を用いてプリントヘッド番号等を入力操作することによって行ってもよいし、欠ノズルの検出を自動的に行う場合は、その結果に関する情報を、全体制御部100において読み出し可能となるように不図示の記憶部に記憶しておき、全体制御部100が読み出すことによって行ってもよい。
【0063】
ここでは、予め各プリントヘッド1A〜1Fについて欠ノズルの検知作業を実行した結果、プリントヘッド1A、1B、1Cのみに欠ノズルが含まれ、残りのプリントヘッド1D、1E、1Fには欠ノズルが存在していなかったものとする。従って、上記ステップS1では、プリントヘッド1A〜1Cが、ノズル回復処理が必要なプリントヘッドと指定される。これにより指定されたプリントヘッド1A〜1Cに対応するヒータ10A〜10Cは通電が維持され、インク温度は安定吐出に最適な低粘度となるように保持される。
【0064】
このとき、ノズル回復処理が必要なプリントヘッドと指定されなかった残りのプリントヘッド1D〜1Fについては、全体制御部100が加熱制御部101を制御することにより、当該プリントヘッド1D〜1Fに対応する各ヒータ10D〜10Fのみについて通電をオフとし、これらプリントヘッド1D〜1F内のインク温度を常温まで低下させる(S3)。これにより、プリントヘッド1D〜1F内のインク粘度は温度の低下に伴って増加する。
【0065】
次いで、ノズル回復動作時の加圧のための準備として、中間タンク3へインクを導入する(S4)。
【0066】
この中間タンク3へのインク導入のためのフローを図5を参照して説明する。
【0067】
まず、インク供給管23の開閉弁V1を「閉」、大気開放管31の開閉弁V3を「開」、背圧空圧センサSP1につながる開閉弁V4を「閉」とする(S401)。
【0068】
次いで、中間タンク3の液面基準位置センサSH1がオフとなっているかどうか、すなわち、中間タンク3内のインク液面が基準位置(初期状態)にあるかどうかを確認する(S402)。
【0069】
ここで、液面基準位置センサSH1がオフである場合(YES)、中間タンク3のインク液面が基準位置を下回っていると判断され、全体制御部100は供給ポンプ5を例えば500回転だけ正回転させ、インクカートリッジ4から中間タンク3内に所定量のインクを供給する(S403)。
【0070】
全体制御部100において、この液面基準位置センサSH1の検知信号の監視は100ms周期で行い(S404)、上記ステップS403において供給ポンプ5を駆動させた後、当該供給ポンプ5の所定量の正回転駆動が完了するまで継続して検知信号を監視しており(S405においてNO)、この中間タンク3へのインク供給の後、液面基準位置センサSH1がオンになったら(S404においてYES)、供給ポンプ5の駆動を停止する(S406)。
【0071】
一方、供給ポンプ5が所定の500回転の正回転駆動を完了しても依然として液面基準位置センサSH1がオンにならない場合(S405においてYES)は、エラー処理に移行してオペレータ等に異常を報知して処理を終了する(S407)。
【0072】
また、上記ステップS402において、液面基準位置センサSH1がオンである場合(NO)、中間タンク3内には基準位置以上のある程度のインクがすでに貯留されていると判断され、中間タンク3内のインク液面を一旦初期状態にするべく、全体制御部100は供給ポンプ5を例えば800回転だけ逆回転させ、中間タンク3内のインクをインクカートリッジ4に向けて返送する(S408)。
【0073】
全体制御部100において、この液面基準位置センサSH1の検知信号の監視は100ms周期で行い(S409)、上記ステップS408において供給ポンプ5を駆動させた後、当該供給ポンプ5の所定量の逆回転駆動が完了するまで継続して検知信号を監視しており(S410においてNO)、この中間タンク3からのインク返送の後、液面基準位置センサSH1がオフになったら(S409においてYES)、供給ポンプ5の駆動を停止し(S411)、以後、上記ステップS403の処理に移行する。
【0074】
一方、供給ポンプ5が所定の800回転の逆回転駆動を完了しても依然として液面基準位置センサSH1がオフにならない場合(S410においてYES)は、エラー処理に移行してオペレータ等に異常を報知して処理を終了する(S407)。
【0075】
上記ステップS406において供給ポンプ5を駆動停止させた後、基準位置にある中間タンク3内のインク液面を、液面基準位置センサSH1よりも所定高さだけ上面となるようにするべく、供給ポンプ5を例えば60回転だけ正回転させ、中間タンク3内に所定量だけインクを供給する(S412)。
【0076】
次いで、インク供給管23の開閉弁V1を「閉」、大気開放管31の開閉弁V3を「閉」、背圧空圧センサSP1につながる開閉弁V4を「開」とし(S413)、中間タンク3へのインク導入処理を終了する。
【0077】
図4に戻り、中間タンク3へのインク導入が終了したら、次いで、中間タンク3を与圧する(S5)。
【0078】
この中間タンク3の与圧のためのフローを図6を参照して説明する。
【0079】
まず、インク供給管23の開閉弁V1を「閉」、大気開放管31の開閉弁V3を「閉」、背圧空圧センサSP1につながる開閉弁V4を「開」とする(S501)。その後、供給ポンプ5を例えば150回転だけ正回転させ、中間タンク3内に所定量のインクを供給する(S502)。これにより中間タンク3は、インク供給分だけ内圧が増加して与圧される。
【0080】
図4に戻り、中間タンク3の与圧が終了したら、次いで、ノズルから強制的にインクの排出を行うべくヘッド加圧を行う(S6)。
【0081】
このヘッド加圧のためのフローを図7を参照して説明する。
【0082】
まず、インク供給管23の開閉弁V1を「開」、大気開放管31の開閉弁V3を「閉」、背圧空圧センサSP1につながる開閉弁V4を「閉」とし(S601)、その状態を所定時間、例えば8sec継続する(S602)。
【0083】
このとき、中間タンク3内のインクは、与圧処理によって高められた内圧により、インク供給管23を介して共通流路部材2に流出し、更に連通管11を通って各プリントヘッド1A〜1Fの各チャネル1a内に所定の加圧力を共通に作用させる。しかし、プリントヘッド1D〜1Fについては、欠ノズルが存在しないことによりヒータ10D〜10Fの通電をオフにしたことで、それらプリントヘッド1D〜1Fのチャネル1a内のインク粘度は、欠ノズルを含むプリントヘッド1A〜1Cのチャネル1a内のインク粘度よりも高くなっているため、プリントヘッド1D〜1Fのチャネル1a内のインクはノズル1bから排出されにくい。従って、インク粘度が低いプリントヘッド1A〜1Cのチャネル1a内のインクの方が多くノズル1bから排出されるようになり、これにプリントヘッド1A〜1Cのノズルの回復(欠ノズルの解消)がなされると共に、欠ノズルが存在しないプリントヘッド1D〜1Fからの無駄なインク排出が抑えられる。
【0084】
このようにして排出されたインクは、インク受け皿6に受け入れられ、排出流路61を介して廃液タンク7に貯留される。
【0085】
この加圧によるノズル回復動作の後、インク供給管23の開閉弁V1を「開」、大気開放管31の開閉弁V3を「開」、背圧空圧センサSP1につながる開閉弁V4を「閉」とする(S603)。これにより中間タンク3内は大気圧に戻され、その後、所定時間、例えば1secの待機し(S604)、その後、ヘッド加圧処理を終了する。
【0086】
図4に戻り、ヘッド加圧処理が終了したら、中間タンク3内を初期状態に復帰させるべく、再びインク導入処理を行う(S7)。このインク導入処理は、上記ステップS4と同一のフローであり、詳細は図5において説明した通りであるため省略する。
【0087】
次いで、印字水頭圧値を設定する(S8)。印字水頭圧値の設定とは、待機時や印刷時等の動的背圧の設定を行うものである。
【0088】
この印字水頭圧値の設定のためフローを図8を参照して説明する。
【0089】
まず、インク供給管23の開閉弁V1を「閉」、大気開放管31の開閉弁V3を「閉」、背圧空圧センサSP1につながる開閉弁V4を「開」とする(S801)。
【0090】
次いで、中間タンク3内の圧力について背圧空圧センサSP1の検出値(背圧)を確認し、その検出値が所定の上限値(ここでは−12cmAqとする。)を越えているか否かを判断する(S802)。
【0091】
その結果、背圧空圧センサSP1の検出値が上限値を越えている場合(S802においてYES)、中間タンク3内の圧力を減少させるべく、供給ポンプ5を例えば1回転だけ逆回転させる(S803)。その後、背圧空圧センサSP1の検出値が上限値以下となるまで、供給ポンプ5の1回転ずつの逆回転を繰り返す(S804)。全体制御部100は、この供給ポンプ5の逆回転の繰り返し回数をカウントし、そのカウント値が所定値(ここでは20回とする。)を越えたか否かを監視しており(S805)、所定値(20回)を越えて供給ポンプ5の1回転ずつの逆回転を繰り返しても、背圧空圧センサSP1の検出値が上限値以下とならない場合(S805においてYES)は、エラー処理に移行してオペレータ等に異常を報知して処理を終了する(S806)。
【0092】
一方、背圧空圧センサSP1の検出値が上限値を越えていない場合(S802においてNO)、その検出値が所定の下限値(ここでは−16cmAqとする。)を下回っているか否かを判断する(S807)。
【0093】
その結果、背圧空圧センサSP1の検出値が下限値を下回っている場合(S807においてYES)、中間タンク3内の圧力を増加させるべく、供給ポンプ5を例えば1回転だけ正回転させる(S808)。その後、背圧空圧センサSP1の検出値が下限値以上となるまで、供給ポンプ5の1回転ずつの正回転を繰り返す(S804)。全体制御部100は、この供給ポンプ5の正回転の繰り返し回数をカウントし、そのカウント値が所定値(ここでは20回とする。)を越えたか否かを監視しており(S805)、所定値(20回)を越えて供給ポンプ5の1回転ずつの正回転を繰り返しても、背圧空圧センサSP1の検出値が下限値以上とならない場合(S805においてYES)は、エラー処理に移行してオペレータ等に異常を報知して処理を終了する(S806)。
【0094】
上記ステップS807において背圧空圧センサSP1の検出値が下限値以上であると判断された場合(S807においてNO)、中間タンク3内は適正な圧力に設定されたと判断され、インク供給管23の開閉弁V1を「開」、大気開放管31の開閉弁V3を「閉」、背圧空圧センサSP1につながる開閉弁V4を「開」とし(S809)、水頭圧値の設定処理を終了する。
【0095】
図4に戻り、上記ステップS8において水頭圧値が設定されたら、背圧制御用のタイマー(例えば20ms)をスタートし(S9)、以後、インクジェット記録装置は印字動作の開始のために待機する。
【0096】
(第2の実施形態)
以上説明した第1の実施形態では、ヘッドユニット1が、1つの共通流路部材2からインク供給を受ける6つのプリントヘッド1A〜1Fによって構成され、そのプリントヘッド1A〜1Fの各々に1つずつのヒータ10A〜10Fを設けたが、図9に示す第2の実施形態では、1つの記録ヘッドH1に複数のヒータ10A〜10Fを設けた例を示している。図9において、図1と同一符号の部位は同一構成の部位を示している。
【0097】
この記録ヘッドH1は、ノズル1bの並び方向に沿って長尺な1つのラインヘッドによって構成されている。記録ヘッドH1のノズル面には多数のノズル1bが配列され、このノズル1bに対応する多数のチャネル1aが、記録ヘッドH1の内部に設けられている。全てのチャネル1aには、1つの共通流路部材2内のインクが連通管11を介して共通に供給されるようになっている。
【0098】
ここで、各ヒータ10A〜10Fのそれぞれは、記録ヘッド1が有する複数のチャネル1aのうちの少なくとも1つに対応している。すなわち、記録ヘッドH1が有する多数のチャネル1aは複数のグループG1〜G6に分けられている。各グループG1〜G6には、少なくとも1つのチャネル1aが含まれている。そして、そのグループG1〜G6毎にそれぞれ1つずつのヒータ10A〜10Fが対応するように設けられている。
【0099】
図9中、8は減圧によってノズル回復を行うための吸引キャップであり、吸引動作時に、記録ヘッドH1のノズル面を覆って、その全てのノズル1bを内部に収容するように密閉することができる大きさに形成されている。吸引キャップ8の内部は吸引管81によって吸引ポンプ82と接続されており、吸引によってノズル1bから吸引したインクを、吸引管81の他端に配置された廃液タンク7に排出する。
【0100】
ここで、ノズル回復動作は、吸引キャップ8を記録ヘッドH1のノズル面に密着させ、吸引ポンプ82を駆動させることで、吸引キャップ8内の空気を吸引することによって行っている。吸引キャップ8内の空気が吸引されて負圧になると、ノズル1bからチャネル1a内のインクが吸引キャップ8側に吸引されて強制的に排出される。
【0101】
このとき、予め検出された欠ノズルが、例えばグループG1に含まれるチャネル1aに対応するいずれかのノズル1bであった場合、そのグループG1以外のグループG2〜G6に対応するヒータ10B〜10Fの通電をオフにし、それらに対応するチャネル1a内のインク粘度を増加させる。これにより、吸引ポンプ92を駆動して吸引キャップ9内を負圧にした際に、ヒータ10Aの加熱によってインク粘度が低いグループG1の各ノズル1bからの吸引インク量に比べて、ヒータ10B〜10Fの通電がオフとされてインク粘度が増加した正常なノズル1bからのインクの吸引は大きな抵抗を生じて吸引インク量が少なくなり、無駄なインク消費が抑えられる。
【0102】
この第2の実施形態に示す記録ヘッドH1の場合も、第1の実施形態と同様に加圧によってインクの強制排出を行ってもよいことはもちろんである。
【0103】
次に、図9に示した記録ヘッドH1を、インクジェット記録装置に複数設けた態様を図10に示す。
【0104】
図10(a)は、複数の記録ヘッドH1を1つの共通流路部材2にそれぞれ連通管11によってインク供給可能に設けている。この場合のインク回復動作時も、上述した場合と同様に、各ヒータ10A〜10Fの通電の独立制御を複数の記録ヘッドH1毎に実行することにより、無駄なインク消費を抑えることができる。
【0105】
図10(b)は、複数の記録ヘッドH1を個別の共通流路部材2にそれぞれ連通管11によってインク供給可能に設けている。この態様では、記録ヘッドH1毎にインク種類(色等)を異ならせることができる。この場合のインク回復動作も、上述した場合と同様に、各ヒータ10A〜10Fの独立制御を複数の記録ヘッドH1毎に実行することにより、無駄なインク消費を抑えることができる。
【0106】
(第3の実施形態)
図11に示す第3の実施形態では、1つの記録ヘッドH2が有する複数のチャネル1aの各々にヒータ10A〜10Fを設けた例を示している。図11において、図1と同一符号の部位は同一構成の部位を示している。
【0107】
この記録ヘッドH2は、説明の便宜上、6つのチャネル1aを有しており、そのチャネル1a毎に内部にヒータ10A〜10Fが配設されている。
【0108】
この場合も、予め検出された欠ノズルが、例えばヒータ10Aが配設されたチャネル1aに対応するノズル1bであった場合、そのヒータ10A以外のヒータ10B〜10Fの通電をオフにし、それらに対応するチャネル1a内のインク粘度を増加させる。これにより、第1の実施形態と同様に加圧によって、または、第2の実施形態と同様に減圧によってインクの強制排出を行うと、ヒータ10Aの加熱によってインク粘度が低いノズル1bからの吸引インク量に比べて、ヒータ10B〜10Fの通電がオフとされてインク粘度が増加した正常なノズル1bからのインクの吸引は大きな抵抗を生じて強制排出されるインク量が少なくなり、無駄なインク消費が抑えられる。
【0109】
次に、図11に示した記録ヘッドH2を、インクジェット記録装置に複数設けた態様を図12に示す。
【0110】
図12(a)は、複数の記録ヘッドH2を1つの共通流路部材2にそれぞれ連通管11によってインク供給可能に設けている。この場合のインク回復動作時も、上述した場合と同様に、各チャネル1a内のヒータ10A〜10Fの通電の独立制御を複数の記録ヘッドH2毎に実行することにより、無駄なインク消費を抑えることができる。
【0111】
図12(b)は、複数の記録ヘッドH2を個別の共通流路部材2にそれぞれ連通管11によってインク供給可能に設けている。この態様では、記録ヘッドH2毎にインク種類(色等)を異ならせることができる。この場合のインク回復動作も、上述した場合と同様に、各ヒータ10A〜10Fの独立制御を複数の記録ヘッドH2毎に実行することにより、無駄なインク消費を抑えることができる。
【実施例】
【0112】
図1と同様に、それぞれ1つずつのヒータが設けられた6つのプリントヘッドを1つの共通流路部材に接続したインクジェット記録装置において、ヒータによるインクの加熱制御を選択的にオフにした場合の、ノズル回復動作時に強制排出されるインク消費量の低減効果について検証した。
【0113】
各プリントヘッドは256ノズル×2列の合計512ノズルで、印刷時のインク滴が1ノズル当たり42plのものであり、インクには、印刷時にヒータによって45℃に加熱することで10cpの粘度としたUVカチオンインク(常温時粘度:30cp)を使用し、以下の方法で効果の確認を行った。
【0114】
まず、6つのプリントヘッド全てについて、ヒータの通電をオンに維持し、インク温度を45℃に保持した状態で、通常の加圧によるノズル回復処理を実施し、そのときに各ノズルから排出された総インク重量(g)を測定した。これを2回行い、その結果をそれぞれ表1において「Default」として示す。
【0115】
次に、6つのプリントヘッドのうちの任意の2つのプリントヘッドのみ、ヒータの通電をオフにし、このヒータに対応するチャネル内のインク温度を常温まで低下させ、残りのヒータは通電をオンに維持した状態で、上記と全く同様に通常の加圧によるノズル回復処理を実施し、そのときに各ノズルから排出された総インク重量(g)を測定した。これを2回行い、その結果をそれぞれ表1において「2ヘッドOFF」として示す。
【0116】
更に、6つのプリントヘッドのうちの任意の3つのプリントヘッドのみ、ヒータの通電をオフにし、このヒータに対応するチャネル内のインク温度を常温まで低下させ、残りのヒータは通電をオンにした状態で、上記と全く同様に通常の加圧によるノズル回復処理を実施し、そのときに各ノズルから排出された総インク重量(g)を測定した。これを2回行い、その結果をそれぞれ表1において「3ヘッドOFF」として示す。
【表1】
【0117】
その結果、6つのプリントヘッドうちの2つ又は3つのプリントヘッドについてヒータの通電をオフにしてインク粘度を増加させた場合、ノズル回復処理によってノズルから強制排出される総インク量は、2ヘッドオフにした場合で9%、3ヘッドオフにした場合で13%低減され、それだけインク消費の無駄が抑えられた。
【符号の説明】
【0118】
1:ヘッドユニット
1A〜1F:プリントヘッド(記録ヘッド)
1a:チャネル
1b:ノズル
10A〜10F:ヒータ(加熱手段)
11:連通管
H1、H2:記録ヘッド
2:共通流路部材
21:インク流入口
22:インク排出口
23:インク流入管
24:インク排出管
3:中間タンク
31:大気開放管
4、4A、4B:インクカートリッジ
40:インク供給管
41、42:分岐供給管
43:フィルタ
5:供給ポンプ
6:インク受け皿
61:排出流路
7:廃液タンク
8:吸引キャップ
81吸引管
82:吸引ポンプ
100:全体制御部
101:加熱制御部
SH1:液面基準位置センサ
SH2:液面上限センサ
SP1:背圧空圧センサ
SP2:インク無検知センサ
V1〜V6:開閉弁
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクジェット記録装置及びインクジェット記録装置のノズル回復方法に関し、詳しくは、簡単な構成で、インクの強制排出の必要のないノズルからの無駄なインク排出を抑制することのできるインクジェット記録装置及びインクジェット記録装置のノズル回復方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、インクジェット記録装置には、例えば、紫外線が照射されることで硬化するUVインクのように、常温時において一般的なインクと比べて粘度が高い特性を備えたインクを吐出するものがある。このようなインクは、常温では,粘度が高いためにノズルから安定して吐出することは困難であるが、温度が高くなるに伴って粘度が低下する性質を有していることから、記録ヘッドに加熱手段を設け、吐出前にインクの加熱を行うことで、ノズルからの安定吐出が可能となるようにインクの粘度を低下させた上で吐出を行うようにしたものが知られている(特許文献1)。
【0003】
また、インクジェット記録装置には、記録ヘッドの各チャネルに対して、あるいは、複数の記録ヘッドに対して、共通にインクを供給するための共通流路部材を備え、インクの供給経路の簡素化を図るようにしたものがある(特許文献2)。一つの記録ヘッドの各チャネル間、あるいは、複数の記録ヘッド間は、共通流路部材を介して相互に連通した構造となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−136756号公報
【特許文献2】特開昭63−254048号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、近年、インクジェット記録装置は、より高精細な画像を記録する要請から、ノズル径は小さくなり、インク滴は小液滴化してきている。これに伴い、僅かな記録の中断でも、ノズル内でインクが乾燥してノズル詰まりを発生させる問題が生じている。
【0006】
これに対処するため、インクジェット記録装置は、定期的に又はノズル詰まり(欠ノズル)が検出された時点で、ノズルから強制的にインクを排出させることで、ノズルの維持、回復を図るようにしている。このノズルからのインクの強制的な排出は、加圧ポンプ等によって記録ヘッドに強制的にインクを供給してチャネル内を加圧することで、ノズルからインクを排出させる加圧タイプの他、ノズル面に吸引用のキャップを密着させ、吸引ポンプ等によってキャップ内の空気を吸引して負圧とすることにより、ノズルを介してチャネル内を減圧させ、チャネル内のインクをノズルから吸引して排出する吸引タイプがある。
【0007】
ここで、記録ヘッドの各チャネルに対して、あるいは、複数の記録ヘッドに対して、共通にインクを供給するための共通流路部材を備えるインクジェット記録装置の場合、ノズルの維持、回復のためにインクの加圧又は減圧によってノズルから強制的にインクを排出する際、一つの記録ヘッドのうちの複数のノズルのうちの一部のみに欠ノズルが発生していても、あるいは、複数の記録ヘッドのうちの一つの記録ヘッドのみに欠ノズルが発生していても、共通流路部材を介して連通しているため、欠ノズルのない正常なメニスカスを有しているチャネルあるいは記録ヘッドからもインクが強制的に排出されることになり、不必要にインクが排出されてしまい、インク消費の無駄を発生させていた。
【0008】
この場合、各チャネルあるいは各記録ヘッドに対して、個々に開閉弁を設け、欠ノズルが発生しているチャネルのみ、あるいは、欠ノズルが発生している記録ヘッドのみ選択的に開弁することで、強制的なインク排出を行う構成とすればよいが、新たに開閉弁を設けなくてはならず、共通流路部材を設けてインク供給経路を簡素化したメリットを大きく損なうばかりか、コスト的にも不利となる問題があった。
【0009】
そこで、本発明は、複数の記録ヘッド毎にチャネル内のインクの粘度調整のための加熱手段を備えると共に、複数の記録ヘッドに対して共通にインクを供給する共通流路部材を備えたインクジェット記録装置において、簡単な構成で、インクの強制排出の必要のないノズルからの無駄なインク排出を抑制することのできるインクジェット記録装置及びインクジェット記録装置のノズル回復方法を提供することを課題とする。
【0010】
また、本発明は、記録ヘッドの複数のチャネルの各々に、又は、複数のチャネルを複数のグループに分けた該グループ毎にそれぞれチャネル内のインクの粘度調整のための加熱手段を備えると共に、記録ヘッドの各チャネルに対して共通にインクを供給する共通流路部材を備えたインクジェット記録装置において、簡単な構成で、インクの強制排出の必要のないノズルからの無駄なインク排出を抑制することのできるインクジェット記録装置及びインクジェット記録装置のノズル回復方法を提供することを課題とする。
【0011】
本発明の他の課題は、以下の記載により明らかとなる。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題は、以下の各発明によって解決される。
【0013】
請求項1記載の発明は、それぞれ複数のチャネルを有し、該チャネル内のインクをノズルから吐出する複数の記録ヘッドと、複数の前記記録ヘッドに対して共通にインクを供給する共通流路部材と、複数の前記記録ヘッド毎に設けられ、前記チャネル内のインクを粘度調整のために加熱する複数の加熱手段と、複数の前記加熱手段をそれぞれ独立して制御する加熱制御手段と、前記チャネル内のインクを加圧又は減圧により前記ノズルから強制的に排出させ、前記記録ヘッドの吐出状態を回復させるノズル回復手段とを有するインクジェット記録装置であって、
前記ノズル回復手段は、インク強制排出動作時、複数の前記記録ヘッドのうちのインク強制排出を必要としない前記記録ヘッドに設けられた前記加熱手段の加熱温度が、インク強制排出を必要とする前記記録ヘッドに設けられた前記加熱手段の加熱温度よりも低くなるように前記加熱制御手段を制御することを特徴とするインクジェット記録装置である。
【0014】
請求項2記載の発明は、複数のチャネルを有し、該チャネル内のインクをノズルから吐出する記録ヘッドと、前記記録ヘッドの複数の前記チャネルに対して共通にインクを供給する共通流路部材と、複数の前記チャネルを複数のグループに分けた該グループ毎にそれぞれ設けられ、各グループの前記チャネル内のインクを粘度調整のために加熱する複数の加熱手段と、複数の前記加熱手段をそれぞれ独立して制御する加熱制御手段と、前記チャネル内のインクを加圧又は減圧により前記ノズルから強制的に排出させ、前記記録ヘッドの吐出状態を回復させるノズル回復手段とを有するインクジェット記録装置であって、
前記ノズル回復手段は、インク強制排出動作時、複数の前記チャネルのうちのインク強制排出を必要とする前記チャネルを含まないグループに設けられた前記加熱手段の加熱温度が、インク強制排出を必要とする前記チャネルを含むグループに設けられた前記加熱手段の加熱温度よりも低くなるように前記加熱制御手段を制御することを特徴とするインクジェット記録装置である。
【0015】
請求項3記載の発明は、前記記録ヘッドは複数設けられていることを特徴とする請求項2記載のインクジェット記録装置である。
【0016】
請求項4記載の発明は、複数のチャネルを有し、該チャネル内のインクをノズルから吐出する記録ヘッドと、複数の前記チャネルに対して共通にインクを供給する共通流路部材と、複数の前記チャネル毎に設けられ、該チャネル内のインクを粘度調整のために加熱する複数の加熱手段と、複数の前記加熱手段をそれぞれ独立して制御する加熱制御手段と、前記チャネル内のインクを加圧又は減圧により前記ノズルから強制的に排出させ、前記記録ヘッドの吐出状態を回復させるノズル回復手段とを有するインクジェット記録装置であって、
前記ノズル回復手段は、インク強制排出動作時、複数の前記チャネルのうちのインク強制排出を必要としない前記チャネルに対応する前記加熱手段の加熱温度が、インク強制排出を必要とする前記チャネルに対応する前記加熱手段の加熱温度よりも低くなるように前記加熱制御手段を制御することを特徴とするインクジェット記録装置である。
【0017】
請求項5記載の発明は、前記記録ヘッドは複数設けられていることを特徴とする請求項4記載のインクジェット記録装置である。
【0018】
請求項6記載の発明は、それぞれ複数のチャネルを有し、該チャネル内のインクをノズルから吐出する複数の記録ヘッドと、複数の前記記録ヘッドに対して共通にインクを供給する共通流路部材と、複数の前記記録ヘッド毎に設けられ、前記チャネル内のインクを粘度調整のために加熱する複数の加熱手段と、複数の前記加熱手段をそれぞれ独立して制御する加熱制御手段とを有し、前記チャネル内のインクを加圧又は減圧により前記ノズルから強制的に排出させ、前記記録ヘッドの吐出状態を回復させるインクジェット記録装置のノズル回復方法であって、
ノズル回復動作時に、複数の前記記録ヘッドのうちのインク強制排出を必要としない前記記録ヘッドに設けられた前記加熱手段の加熱温度が、インク強制排出を必要とする前記記録ヘッドに設けられた前記加熱手段の加熱温度よりも低くなるように前記加熱制御手段を制御した状態で、インク強制排出動作を行うことを特徴とするインクジェット記録装置のノズル回復方法である。
【0019】
請求項7記載の発明は、複数のチャネルを有し、該チャネル内のインクをノズルから吐出する記録ヘッドと、前記記録ヘッドの複数の前記チャネルに対して共通にインクを供給する共通流路部材と、複数の前記チャネルを複数のグループに分けた該グループ毎にそれぞれ設けられ、前記チャネル内のインクを粘度調整のために加熱する複数の加熱手段と、複数の前記加熱手段をそれぞれ独立して制御する加熱制御手段とを有し、前記チャネル内のインクを加圧又は減圧により前記ノズルから強制的に排出させ、前記記録ヘッドの吐出状態を回復させるインクジェット記録装置のノズル回復方法であって、
ノズル回復動作時に、複数の前記チャネルのうちのインク強制排出を必要とする前記チャネルを含まないグループに設けられた前記加熱手段の加熱温度が、インク強制排出を必要とする前記チャネルを含むグループに設けられた前記加熱手段の加熱温度よりも低くなるように前記加熱制御手段を制御した状態で、インク強制排出動作を行うことを特徴とするインクジェット記録装置のノズル回復方法である。
【0020】
請求項8記載の発明は、前記記録ヘッドは複数設けられていることを特徴とする請求項7記載のインクジェット記録装置のノズル回復方法である。
【0021】
請求項9記載の発明は、複数のチャネルを有し、該チャネル内のインクをノズルから吐出する記録ヘッドと、複数の前記チャネルに対して共通にインクを供給する共通流路部材と、複数の前記チャネル毎に設けられ、該チャネル内のインクを粘度調整のために加熱する複数の加熱手段と、複数の前記加熱手段をそれぞれ独立して制御する加熱制御手段とを有し、前記チャネル内のインクを加圧又は減圧により前記ノズルから強制的に排出させ、前記記録ヘッドの吐出状態を回復させるインクジェット記録装置のノズル回復方法であって、
ノズル回復動作時に、複数の前記チャネルのうちのインク強制排出を必要としない前記チャネルに対応する前記加熱手段の加熱温度が、インク強制排出を必要とする前記チャネルに対応する前記加熱手段の加熱温度よりも低くなるように前記加熱制御手段を制御した状態で、インク強制排出動作を行うことを特徴とするインクジェット記録装置のノズル回復方法である。
【0022】
請求項10記載の発明は、前記記録ヘッドは複数設けられていることを特徴とする請求項9記載のインクジェット記録装置のノズル回復方法である。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、簡単な構成で、インクの強制排出の必要のないノズルからの無駄なインク排出を抑制することのできるインクジェット記録装置及びインクジェット記録装置のノズル回復方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】第1の実施形態に係るインクジェット記録装置の一例を示す概略構成図
【図2】インクジェット記録装置の制御構成を示すブロック図
【図3】一つのプリントヘッドの構成図
【図4】第1の実施形態に係るインクジェット記録装置におけるノズル回復動作の一例を示すフロー図
【図5】第1の実施形態に係るインクジェット記録装置におけるノズル回復動作の一例を示すフロー図
【図6】第1の実施形態に係るインクジェット記録装置におけるノズル回復動作の一例を示すフロー図
【図7】第1の実施形態に係るインクジェット記録装置におけるノズル回復動作の一例を示すフロー図
【図8】第1の実施形態に係るインクジェット記録装置におけるノズル回復動作の一例を示すフロー図
【図9】第2の実施形態に係るインクジェット記録装置における記録ヘッドの構成図
【図10】(a)(b)は第2の実施形態に係る記録ヘッドを複数設けた場合の構成図
【図11】第3の実施形態に係るインクジェット記録装置における記録ヘッドの構成図
【図12】(a)(b)は第3の実施形態に係る記録ヘッドを複数設けた場合の構成図
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明に係るインクジェット記録装置及びノズル回復方法の1つの態様では、それぞれ複数のチャネルを有し、該チャネル内のインクをノズルから吐出する複数の記録ヘッドと、複数の記録ヘッドに対して共通にインクを供給する共通流路部材と、複数の記録ヘッド毎に設けられ、チャネル内のインクを粘度調整のために加熱する複数の加熱手段と、複数の加熱手段をそれぞれ独立して制御する加熱制御手段と、チャネル内のインクを加圧又は減圧により前記ノズルから強制的に排出させ、記録ヘッドの吐出状態を回復させるノズル回復手段とを有する。
【0026】
そして、この態様におけるノズル回復手段は、インク強制排出動作時、複数の記録ヘッドのうちのインク強制排出を必要としない記録ヘッドに設けられた加熱手段の加熱温度が、インク強制排出を必要とする記録ヘッドに設けられた加熱手段の加熱温度よりも低くなるように加熱制御手段を制御する。ノズル回復方法では、このように加熱制御手段を制御した状態で、インク強制排出動作を行う。
【0027】
このため、インク強制排出のために記録ヘッドのチャネル内を加圧又はノズルからインクを吸引するために記録ヘッドのチャネル内を減圧した際に、インク強制排出を必要としない記録ヘッドに設けられた加熱手段の加熱温度が低くなるようにすることで、その記録ヘッドのチャネル内のインク粘度は、インク強制排出を必要とする記録ヘッドのチャネル内のインク粘度よりも上昇して高粘度となる。従って、インク強制排出動作時、例えば共通流路部材を介して各記録ヘッドのチャネル内を加圧すると、インク強制排出の必要のある記録ヘッドのチャネル内のインクに比べて、インク強制排出の必要のない記録ヘッドのチャネル内の高粘度となったインクはノズルから排出しにくくなる。これにより、ノズル強制排出時の加圧力を、欠ノズルが発生している比較的インク粘度の小さな記録ヘッドのみに効果的に作用させることができ、欠ノズルのない記録ヘッドのノズルから無駄にインクが排出されることを避けることができる。
【0028】
また、インクをノズルから選択的に強制排出するために、開閉弁等を設ける必要はなく、加熱手段の個別的な制御だけで済むため、従来の加熱手段を備えたインクジェット記録装置に対して新たな構成部材を付加する必要もなく、構造簡単で低コストに構成することができる。
【0029】
本発明に係るインクジェット記録装置の他の1つの態様では、複数のチャネルを有し、該チャネル内のインクをノズルから吐出する記録ヘッドと、記録ヘッドの複数のチャネルに対して共通にインクを供給する共通流路部材と、複数のチャネルを複数のグループに分けた該グループ毎にそれぞれ設けられ、各グループのチャネル内のインクを粘度調整のために加熱する複数の加熱手段と、複数の加熱手段をそれぞれ独立して制御する加熱制御手段と、チャネル内のインクを加圧又は減圧によりノズルから強制的に排出させ、記録ヘッドの吐出状態を回復させるノズル回復手段とを有する。
【0030】
各グループは、記録ヘッドにおける少なくとも一つのチャネルを含み、各加熱手段は、それに対応するグループ内のチャネル内のインクに対して加熱を行うように設けられる。
【0031】
そして、この態様におけるノズル回復手段は、インク強制排出動作時、複数のチャネルのうちのインク強制排出を必要とするチャネルを含まないグループに設けられた加熱手段の加熱温度が、インク強制排出を必要とするチャネルを含むグループに設けられた加熱手段の加熱温度よりも低くなるように加熱制御手段を制御する。ノズル回復方法では、このように加熱制御手段を制御した状態で、インク強制排出動作を行う。
【0032】
この場合は、同一の記録ヘッド内において複数にグループ分けされた各チャネルに対して、欠ノズルを含まないグループに対応する加熱手段による加熱温度が、欠ノズルを含むグループに対応する加熱手段による加熱温度よりも低くなるようにするだけで、インク強制排出時に、欠ノズルのないグループのチャネルからの無駄なインク消費が抑えられる。
【0033】
このように複数の加熱手段を設けた単一の記録ヘッドとしては、例えば記録媒体の幅方向に亘って長尺となるように形成されるラインヘッドがあるが、記録ヘッドは、単独で設けられるものに限らず、複数設けられていても良い。
【0034】
複数の記録ヘッドは、記録ヘッド毎に共通流路部材が設けられていても良いし、複数の記録ヘッドの各チャネルに対して共通にインクを供給する1つの共通流路部材が設けられていても良い。
【0035】
本発明に係るインクジェット記録装置の更に他の1つの態様では、複数のチャネルを有し、該チャネル内のインクをノズルから吐出する記録ヘッドと、複数のチャネルに対して共通にインクを供給する共通流路部材と、複数のチャネル毎に設けられ、該チャネル内のインクを粘度調整のために加熱する複数の加熱手段と、複数の加熱手段をそれぞれ独立して制御する加熱制御手段と、チャネル内のインクを加圧又は減圧によりノズルから強制的に排出させ、記録ヘッドの吐出状態を回復させるノズル回復手段とを有する。
【0036】
そして、この態様におけるノズル回復手段は、インク強制排出動作時、複数のチャネルのうちのインク強制排出を必要としないチャネルに対応する加熱手段の加熱温度が、インク強制排出を必要とするチャネルに対応する加熱手段の加熱温度よりも低くなるように加熱制御手段を制御する。ノズル回復方法では、このように加熱制御手段を制御した状態で、インク強制排出動作を行う。
【0037】
これによれば、欠ノズルのない加熱手段による加熱温度が、欠ノズルに対応する加熱手段による加熱温度よりも低くなるようにするだけで、インク強制排出時に、正常なノズルからの無駄なインク消費が抑えられる。加熱手段はノズル毎に制御できるため、欠ノズルのみから集中的にインクの強制排出を効率良く行うことができる。
【0038】
このような記録ヘッドも、単独で設けられるものに限らず、複数設けられていても良い。
【0039】
複数の記録ヘッドは、記録ヘッド毎に共通流路部材が設けられていても良いし、複数の記録ヘッドの各チャネルに対して共通にインクを供給する1つの共通流路部材が設けられていても良い。
【0040】
加熱制御手段によって制御されるインク強制排出を必要とする記録ヘッド又はチャネルに対応しない加熱手段の加熱温度と、インク強制排出を必要とする記録ヘッド又はチャネルに対応する加熱手段の加熱温度とは相対的であればよい。従って、インク強制排出を必要とする記録ヘッド又はチャネルに対応する加熱手段の加熱温度を不変とし、インク強制排出を必要とする記録ヘッド又はチャネルに対応しない加熱手段の加熱温度を低下させてもよいし、反対に、インク強制排出を必要とする記録ヘッド又はチャネルに対応する加熱手段の加熱温度を上昇させ、インク強制排出を必要とする記録ヘッド又はチャネルに対応しない加熱手段の加熱温度を不変としてもよい。また、インク強制排出を必要とする記録ヘッド又はチャネルに対応する加熱手段の加熱温度を上昇させ、インク強制排出を必要とする記録ヘッド又はチャネルに対応しない加熱手段の加熱温度を低下させてもよい。
【0041】
加熱手段による加熱温度の制御は、最も簡便には通電のオン(加熱)、オフ(非加熱)を制御することによって行うことができるが、加熱手段の加熱温度を上昇又は低下させる場合には、加熱手段による発熱量(加熱温度)を直接制御することによって、加熱温度を上昇又は低下させるようにすることもできる。発熱量を直接制御する場合は、通電をオフに制御する場合に比べて、ノズル回復動作終了後にインク温度が所定温度に到達するまでの時間を短くすることができ、記録再開までの立ち上げ時間の短縮化を図ることができる。
【0042】
欠ノズルの有無の確認及び特定作業は、記録ヘッドを用いて記録媒体に所定パターンからなるチャートを記録し、そのチャートを目視確認し、あるいは、そのチャートを画像認識し、適正にインク吐出が行なわれていないノズル位置を確認及び特定することによって行うことができる。また、記録ヘッドの各ノズルから検出光に向けてインク滴を吐出し、インク滴が検出光を通過したか否かを電気的に検出することによって、欠ノズルの有無及びその位置を特定することもできる。
【0043】
本発明におけるノズル回復動作は、適宜公知の方法を採用することができ、チャネル内のインクに加圧力を作用させてノズルから強制的にインクの排出を行うもの、チャネル内のインクに負圧を作用させてノズルから強制的にインクの排出を行うもののいずれでもよい。加圧力は、例えばインクを供給する供給ポンプの正回転(インク供給方向)の駆動によって生成することができる。負圧力は、例えばノズル面をキャップによって密封し、このキャップ内の空気を真空ポンプ等を用いて吸引して減圧することによって生成することができる。
【0044】
本発明における加熱手段は、通電によって又は通電量に応じて発熱し、チャネル内のインクを直接又は間接に加熱することができるものであればよく、例えばフィルムヒータ等の面状ヒータを好ましく用いることができる。面状ヒータは、ヘッド表面に貼着して設けることもでき、また、ヘッド壁内に埋設して設けることもできる。また、各チャネル毎に加熱手段を設ける場合は、各チャネル内にヒータを設けることによって構成することができる。
【0045】
本発明における記録ヘッドは、共通流路部材から各チャネル内にインクを受け入れることができ、各チャネル内のインクを該チャネルに対応して設けられたノズルからインク滴として吐出させることができるものであればその構造は特に問わない。例えば、多数並設されるチャネル間の隔壁を圧電素子によって形成し、該隔壁の両面に形成した電極に所定の駆動電圧を印加して隔壁をくの字状にせん断変形させることで、チャネル内のインクに吐出のための圧力変化を与えるもの、チャネルの一壁面を構成する振動板にピエゾ素子を設け、このピエゾ素子に所定の駆動電圧を印加した際に生じる機械的な伸縮作用によって振動板を振動させ、チャネル内のインクに吐出のための圧力変化を与えるもの、各チャネル内にヒータを配設し、チャネル内のインクを加熱することで発生した気泡の破裂作用によってノズルからインクを吐出させるもの等があり、いずれでもよい。
【0046】
以下、本発明の具体的な実施形態について図面を用いて説明する。
【0047】
(第1の実施形態)
図1は第1の実施形態に係るインクジェット記録装置の一例を示す概略構成図、図2は制御構成を示すブロック図、図3は一つのプリントヘッドの構成図である。
【0048】
このインクジェット記録装置は、複数のプリントヘッド(記録ヘッド)1A〜1Fからなるヘッドユニット1と、このヘッドユニット1の各プリントヘッド1A〜1Fが備える複数のチャネル内にそれぞれ共通にインクを供給する1つの共通流路部材2とを有しており、加圧によって各プリントヘッド1A〜1Fのノズル回復動作を行うものを示している。
【0049】
各プリントヘッド1A〜1Fには、それぞれ加熱手段であるヒータ10A〜10Fが1つずつ内蔵されており、図2に示す加熱制御部101によって各々の通電が独立に制御されるようになっている。各ヒータ10A〜10Fは、通電によって、共通流路部材2から各チャネル内に供給される例えば紫外線硬化インク等の高粘度のインクを所定温度に加熱し、ノズルから安定して吐出可能となる粘度まで下げる。この加熱制御部101は、インクジェット記録装置の全体を制御する全体制御部100によって制御される。
【0050】
ここで、各プリントヘッド1A〜1Fは同一構成であるため、一つのプリントヘッド1Aを例示してその概要について示すと、図3に示すように、プリントヘッド1A内には、多数のチャネル1aが並設されており、共通流路部材2と連通する連通管11を介して全てのチャネル1aで共通にインクの供給を受け入れるようになっている。プリントヘッド1Aのノズル面には各チャネル1aに対応する位置にノズル1bが開設されており、各チャネル1a内のインクをノズル1bからインク滴として吐出させるようになっている。
【0051】
ヒータ10Aは、プリントヘッド1Aの表面から全てのチャネル1a内のインクを共通に加熱するように設けられている。従って、ヒータ10Aを通電すると、プリントヘッド1A内の全てのチャネル1a内のインクは、所定温度まで加熱されて安定吐出に最適な粘度まで下げられ、通電を断つと、インクは常温まで冷やされて粘度が上昇する。
【0052】
共通流路部材2のインク流入口21には、インク流入管23が接続されている。インク流入管23は、電磁弁からなる開閉弁V1を介して中間タンク3と接続されており、中間タンク3内のインクを共通流路部材2に供給可能としている。
【0053】
中間タンク3は、インク流入管23によって共通流路部材2と接続されており、内部に貯留されたインクの液面によって各プリントヘッド1A〜1Fに対して所定の背圧をかけている。SH1は液面基準位置センサ、SH2は液面上限センサである。中間タンク3の内部は、電磁弁からなる開閉弁V3によって開閉される大気開放管31と繋がっている。また、中間タンク3内の背圧は、電磁弁からなる開閉弁V4を開放することにより、背圧空圧センサSP1によって検出されるようになっている。インクジェット記録装置の稼動時は、大気開放管31に繋がる開閉弁V3が開放状態とされることで、中間タンク3内のインクの液面によって、各プリントヘッド1A〜1Fに対する所定の背圧がかけられる。
【0054】
中間タンク3には、インク供給管40を介してインクカートリッジ4が接続され、供給ポンプ5によってインクカートリッジ4内のインクを所定量ずつ中間タンク3内に供給可能とされている。ここにはインクカートリッジ4A、4Bの2つが示されており、それぞれ分岐供給管41、42によってインク供給管40と連絡している。各分岐供給管41、42には、それぞれ電磁弁からなる開閉弁V5、V6が設けられており、各インクカートリッジ4A、4Bからのインクの供給路を選択的に開閉できるようになっている。インク供給管40にはフィルタ43が設けられており、インク中のゴミ等を取り除くようになっている。SP2は、インクカートリッジ4からのインク無を検知するためのインク無検知センサである。
【0055】
一方、共通流路部材2のインク排出口22には、インク排出管24が接続されている。インク排出管24は、電磁弁からなる開閉弁V2によって排出路が開閉可能とされており、その排出端は大気開放されている。
【0056】
各プリントヘッド1A〜1Fのノズル面に対向する位置には、インク受け皿6が配設されており、ノズル回復動作(メンテナンス動作)によってプリントヘッド1A〜1Fのノズルから強制的に排出されたインク滴を受け入れ、排出流路61を介して廃液タンク7に流入させるようになっている。この廃液タンク7内には、インク排出管24を介して共通流路部材2から流出するインクも送られる。
【0057】
なお、以上の各開閉弁V1〜V6は、図2に示す全体制御部100によって個別に開閉制御されるようになっている。
【0058】
かかるインクジェット記録装置において、各プリントヘッド1A〜1Fにインクを充填する場合、供給ポンプ5の駆動によってインクカートリッジ4内のインクを、インク供給管40を介して一旦中間タンク3に流入させ、更に中間タンク3からインク流入管23を介して共通流路部材2に一旦貯留させる。そして、この共通流路部材2から各プリントヘッド1A〜1Fの各チャネル1a内にそれぞれインクを供給する。このとき、インク流入管23の開閉弁V1の開放と共に、インク排出管24の開閉弁V2も開放されている。
【0059】
中間タンク3から供給されるインクは、共通流路部材2から各プリントヘッド1A〜1F内に貯留される以外に、余剰のインクがインク排出管24を通って廃液タンク7に流出する。このとき、共通流路部材2内に侵入した空気が排出され、各プリントヘッド1A〜1Fへの気泡侵入が防止される。このようにして各プリントヘッド1A〜1Fの各チャネル1a内にインクが充満したら、インク排出管24の開閉弁V2は閉止される。
【0060】
次いで、各プリントヘッド1A〜1Fの各ヒータ10A〜10Fは、加熱制御部101によって通電制御されてチャネル1a内のインクを所定温度まで加熱する。インクジェット記録装置は、画像記録時、この所定温度まで加熱されたインクによって印刷を実行する。印刷実行中は、中間タンク3に供給ポンプ5によって所定量のインクが供給されて貯留されることで、各プリントヘッド1A〜1Fに対して所定の背圧がかけられるように制御される。
【0061】
次に、かかるインクジェット記録装置におけるノズル回復動作の一例について、図4〜図8に示すフロー図を用いて説明する。以下の動作は、所定の回復動作プログラムに従って全体制御部100の制御によって実行される。なお、ここでは、欠ノズルを含まないプリントヘッドに対応するヒータの通電をオフ(非加熱)にする場合について説明する。
【0062】
まず、各プリントヘッド1A〜1Fの個々のヘッドについて欠ノズルの有無を確認し、その結果、欠ノズルを有することによりノズル回復処理が必要となるプリントヘッドを指定する(S1)。プリントヘッドの指定は、オペレータが入力操作盤等を用いてプリントヘッド番号等を入力操作することによって行ってもよいし、欠ノズルの検出を自動的に行う場合は、その結果に関する情報を、全体制御部100において読み出し可能となるように不図示の記憶部に記憶しておき、全体制御部100が読み出すことによって行ってもよい。
【0063】
ここでは、予め各プリントヘッド1A〜1Fについて欠ノズルの検知作業を実行した結果、プリントヘッド1A、1B、1Cのみに欠ノズルが含まれ、残りのプリントヘッド1D、1E、1Fには欠ノズルが存在していなかったものとする。従って、上記ステップS1では、プリントヘッド1A〜1Cが、ノズル回復処理が必要なプリントヘッドと指定される。これにより指定されたプリントヘッド1A〜1Cに対応するヒータ10A〜10Cは通電が維持され、インク温度は安定吐出に最適な低粘度となるように保持される。
【0064】
このとき、ノズル回復処理が必要なプリントヘッドと指定されなかった残りのプリントヘッド1D〜1Fについては、全体制御部100が加熱制御部101を制御することにより、当該プリントヘッド1D〜1Fに対応する各ヒータ10D〜10Fのみについて通電をオフとし、これらプリントヘッド1D〜1F内のインク温度を常温まで低下させる(S3)。これにより、プリントヘッド1D〜1F内のインク粘度は温度の低下に伴って増加する。
【0065】
次いで、ノズル回復動作時の加圧のための準備として、中間タンク3へインクを導入する(S4)。
【0066】
この中間タンク3へのインク導入のためのフローを図5を参照して説明する。
【0067】
まず、インク供給管23の開閉弁V1を「閉」、大気開放管31の開閉弁V3を「開」、背圧空圧センサSP1につながる開閉弁V4を「閉」とする(S401)。
【0068】
次いで、中間タンク3の液面基準位置センサSH1がオフとなっているかどうか、すなわち、中間タンク3内のインク液面が基準位置(初期状態)にあるかどうかを確認する(S402)。
【0069】
ここで、液面基準位置センサSH1がオフである場合(YES)、中間タンク3のインク液面が基準位置を下回っていると判断され、全体制御部100は供給ポンプ5を例えば500回転だけ正回転させ、インクカートリッジ4から中間タンク3内に所定量のインクを供給する(S403)。
【0070】
全体制御部100において、この液面基準位置センサSH1の検知信号の監視は100ms周期で行い(S404)、上記ステップS403において供給ポンプ5を駆動させた後、当該供給ポンプ5の所定量の正回転駆動が完了するまで継続して検知信号を監視しており(S405においてNO)、この中間タンク3へのインク供給の後、液面基準位置センサSH1がオンになったら(S404においてYES)、供給ポンプ5の駆動を停止する(S406)。
【0071】
一方、供給ポンプ5が所定の500回転の正回転駆動を完了しても依然として液面基準位置センサSH1がオンにならない場合(S405においてYES)は、エラー処理に移行してオペレータ等に異常を報知して処理を終了する(S407)。
【0072】
また、上記ステップS402において、液面基準位置センサSH1がオンである場合(NO)、中間タンク3内には基準位置以上のある程度のインクがすでに貯留されていると判断され、中間タンク3内のインク液面を一旦初期状態にするべく、全体制御部100は供給ポンプ5を例えば800回転だけ逆回転させ、中間タンク3内のインクをインクカートリッジ4に向けて返送する(S408)。
【0073】
全体制御部100において、この液面基準位置センサSH1の検知信号の監視は100ms周期で行い(S409)、上記ステップS408において供給ポンプ5を駆動させた後、当該供給ポンプ5の所定量の逆回転駆動が完了するまで継続して検知信号を監視しており(S410においてNO)、この中間タンク3からのインク返送の後、液面基準位置センサSH1がオフになったら(S409においてYES)、供給ポンプ5の駆動を停止し(S411)、以後、上記ステップS403の処理に移行する。
【0074】
一方、供給ポンプ5が所定の800回転の逆回転駆動を完了しても依然として液面基準位置センサSH1がオフにならない場合(S410においてYES)は、エラー処理に移行してオペレータ等に異常を報知して処理を終了する(S407)。
【0075】
上記ステップS406において供給ポンプ5を駆動停止させた後、基準位置にある中間タンク3内のインク液面を、液面基準位置センサSH1よりも所定高さだけ上面となるようにするべく、供給ポンプ5を例えば60回転だけ正回転させ、中間タンク3内に所定量だけインクを供給する(S412)。
【0076】
次いで、インク供給管23の開閉弁V1を「閉」、大気開放管31の開閉弁V3を「閉」、背圧空圧センサSP1につながる開閉弁V4を「開」とし(S413)、中間タンク3へのインク導入処理を終了する。
【0077】
図4に戻り、中間タンク3へのインク導入が終了したら、次いで、中間タンク3を与圧する(S5)。
【0078】
この中間タンク3の与圧のためのフローを図6を参照して説明する。
【0079】
まず、インク供給管23の開閉弁V1を「閉」、大気開放管31の開閉弁V3を「閉」、背圧空圧センサSP1につながる開閉弁V4を「開」とする(S501)。その後、供給ポンプ5を例えば150回転だけ正回転させ、中間タンク3内に所定量のインクを供給する(S502)。これにより中間タンク3は、インク供給分だけ内圧が増加して与圧される。
【0080】
図4に戻り、中間タンク3の与圧が終了したら、次いで、ノズルから強制的にインクの排出を行うべくヘッド加圧を行う(S6)。
【0081】
このヘッド加圧のためのフローを図7を参照して説明する。
【0082】
まず、インク供給管23の開閉弁V1を「開」、大気開放管31の開閉弁V3を「閉」、背圧空圧センサSP1につながる開閉弁V4を「閉」とし(S601)、その状態を所定時間、例えば8sec継続する(S602)。
【0083】
このとき、中間タンク3内のインクは、与圧処理によって高められた内圧により、インク供給管23を介して共通流路部材2に流出し、更に連通管11を通って各プリントヘッド1A〜1Fの各チャネル1a内に所定の加圧力を共通に作用させる。しかし、プリントヘッド1D〜1Fについては、欠ノズルが存在しないことによりヒータ10D〜10Fの通電をオフにしたことで、それらプリントヘッド1D〜1Fのチャネル1a内のインク粘度は、欠ノズルを含むプリントヘッド1A〜1Cのチャネル1a内のインク粘度よりも高くなっているため、プリントヘッド1D〜1Fのチャネル1a内のインクはノズル1bから排出されにくい。従って、インク粘度が低いプリントヘッド1A〜1Cのチャネル1a内のインクの方が多くノズル1bから排出されるようになり、これにプリントヘッド1A〜1Cのノズルの回復(欠ノズルの解消)がなされると共に、欠ノズルが存在しないプリントヘッド1D〜1Fからの無駄なインク排出が抑えられる。
【0084】
このようにして排出されたインクは、インク受け皿6に受け入れられ、排出流路61を介して廃液タンク7に貯留される。
【0085】
この加圧によるノズル回復動作の後、インク供給管23の開閉弁V1を「開」、大気開放管31の開閉弁V3を「開」、背圧空圧センサSP1につながる開閉弁V4を「閉」とする(S603)。これにより中間タンク3内は大気圧に戻され、その後、所定時間、例えば1secの待機し(S604)、その後、ヘッド加圧処理を終了する。
【0086】
図4に戻り、ヘッド加圧処理が終了したら、中間タンク3内を初期状態に復帰させるべく、再びインク導入処理を行う(S7)。このインク導入処理は、上記ステップS4と同一のフローであり、詳細は図5において説明した通りであるため省略する。
【0087】
次いで、印字水頭圧値を設定する(S8)。印字水頭圧値の設定とは、待機時や印刷時等の動的背圧の設定を行うものである。
【0088】
この印字水頭圧値の設定のためフローを図8を参照して説明する。
【0089】
まず、インク供給管23の開閉弁V1を「閉」、大気開放管31の開閉弁V3を「閉」、背圧空圧センサSP1につながる開閉弁V4を「開」とする(S801)。
【0090】
次いで、中間タンク3内の圧力について背圧空圧センサSP1の検出値(背圧)を確認し、その検出値が所定の上限値(ここでは−12cmAqとする。)を越えているか否かを判断する(S802)。
【0091】
その結果、背圧空圧センサSP1の検出値が上限値を越えている場合(S802においてYES)、中間タンク3内の圧力を減少させるべく、供給ポンプ5を例えば1回転だけ逆回転させる(S803)。その後、背圧空圧センサSP1の検出値が上限値以下となるまで、供給ポンプ5の1回転ずつの逆回転を繰り返す(S804)。全体制御部100は、この供給ポンプ5の逆回転の繰り返し回数をカウントし、そのカウント値が所定値(ここでは20回とする。)を越えたか否かを監視しており(S805)、所定値(20回)を越えて供給ポンプ5の1回転ずつの逆回転を繰り返しても、背圧空圧センサSP1の検出値が上限値以下とならない場合(S805においてYES)は、エラー処理に移行してオペレータ等に異常を報知して処理を終了する(S806)。
【0092】
一方、背圧空圧センサSP1の検出値が上限値を越えていない場合(S802においてNO)、その検出値が所定の下限値(ここでは−16cmAqとする。)を下回っているか否かを判断する(S807)。
【0093】
その結果、背圧空圧センサSP1の検出値が下限値を下回っている場合(S807においてYES)、中間タンク3内の圧力を増加させるべく、供給ポンプ5を例えば1回転だけ正回転させる(S808)。その後、背圧空圧センサSP1の検出値が下限値以上となるまで、供給ポンプ5の1回転ずつの正回転を繰り返す(S804)。全体制御部100は、この供給ポンプ5の正回転の繰り返し回数をカウントし、そのカウント値が所定値(ここでは20回とする。)を越えたか否かを監視しており(S805)、所定値(20回)を越えて供給ポンプ5の1回転ずつの正回転を繰り返しても、背圧空圧センサSP1の検出値が下限値以上とならない場合(S805においてYES)は、エラー処理に移行してオペレータ等に異常を報知して処理を終了する(S806)。
【0094】
上記ステップS807において背圧空圧センサSP1の検出値が下限値以上であると判断された場合(S807においてNO)、中間タンク3内は適正な圧力に設定されたと判断され、インク供給管23の開閉弁V1を「開」、大気開放管31の開閉弁V3を「閉」、背圧空圧センサSP1につながる開閉弁V4を「開」とし(S809)、水頭圧値の設定処理を終了する。
【0095】
図4に戻り、上記ステップS8において水頭圧値が設定されたら、背圧制御用のタイマー(例えば20ms)をスタートし(S9)、以後、インクジェット記録装置は印字動作の開始のために待機する。
【0096】
(第2の実施形態)
以上説明した第1の実施形態では、ヘッドユニット1が、1つの共通流路部材2からインク供給を受ける6つのプリントヘッド1A〜1Fによって構成され、そのプリントヘッド1A〜1Fの各々に1つずつのヒータ10A〜10Fを設けたが、図9に示す第2の実施形態では、1つの記録ヘッドH1に複数のヒータ10A〜10Fを設けた例を示している。図9において、図1と同一符号の部位は同一構成の部位を示している。
【0097】
この記録ヘッドH1は、ノズル1bの並び方向に沿って長尺な1つのラインヘッドによって構成されている。記録ヘッドH1のノズル面には多数のノズル1bが配列され、このノズル1bに対応する多数のチャネル1aが、記録ヘッドH1の内部に設けられている。全てのチャネル1aには、1つの共通流路部材2内のインクが連通管11を介して共通に供給されるようになっている。
【0098】
ここで、各ヒータ10A〜10Fのそれぞれは、記録ヘッド1が有する複数のチャネル1aのうちの少なくとも1つに対応している。すなわち、記録ヘッドH1が有する多数のチャネル1aは複数のグループG1〜G6に分けられている。各グループG1〜G6には、少なくとも1つのチャネル1aが含まれている。そして、そのグループG1〜G6毎にそれぞれ1つずつのヒータ10A〜10Fが対応するように設けられている。
【0099】
図9中、8は減圧によってノズル回復を行うための吸引キャップであり、吸引動作時に、記録ヘッドH1のノズル面を覆って、その全てのノズル1bを内部に収容するように密閉することができる大きさに形成されている。吸引キャップ8の内部は吸引管81によって吸引ポンプ82と接続されており、吸引によってノズル1bから吸引したインクを、吸引管81の他端に配置された廃液タンク7に排出する。
【0100】
ここで、ノズル回復動作は、吸引キャップ8を記録ヘッドH1のノズル面に密着させ、吸引ポンプ82を駆動させることで、吸引キャップ8内の空気を吸引することによって行っている。吸引キャップ8内の空気が吸引されて負圧になると、ノズル1bからチャネル1a内のインクが吸引キャップ8側に吸引されて強制的に排出される。
【0101】
このとき、予め検出された欠ノズルが、例えばグループG1に含まれるチャネル1aに対応するいずれかのノズル1bであった場合、そのグループG1以外のグループG2〜G6に対応するヒータ10B〜10Fの通電をオフにし、それらに対応するチャネル1a内のインク粘度を増加させる。これにより、吸引ポンプ92を駆動して吸引キャップ9内を負圧にした際に、ヒータ10Aの加熱によってインク粘度が低いグループG1の各ノズル1bからの吸引インク量に比べて、ヒータ10B〜10Fの通電がオフとされてインク粘度が増加した正常なノズル1bからのインクの吸引は大きな抵抗を生じて吸引インク量が少なくなり、無駄なインク消費が抑えられる。
【0102】
この第2の実施形態に示す記録ヘッドH1の場合も、第1の実施形態と同様に加圧によってインクの強制排出を行ってもよいことはもちろんである。
【0103】
次に、図9に示した記録ヘッドH1を、インクジェット記録装置に複数設けた態様を図10に示す。
【0104】
図10(a)は、複数の記録ヘッドH1を1つの共通流路部材2にそれぞれ連通管11によってインク供給可能に設けている。この場合のインク回復動作時も、上述した場合と同様に、各ヒータ10A〜10Fの通電の独立制御を複数の記録ヘッドH1毎に実行することにより、無駄なインク消費を抑えることができる。
【0105】
図10(b)は、複数の記録ヘッドH1を個別の共通流路部材2にそれぞれ連通管11によってインク供給可能に設けている。この態様では、記録ヘッドH1毎にインク種類(色等)を異ならせることができる。この場合のインク回復動作も、上述した場合と同様に、各ヒータ10A〜10Fの独立制御を複数の記録ヘッドH1毎に実行することにより、無駄なインク消費を抑えることができる。
【0106】
(第3の実施形態)
図11に示す第3の実施形態では、1つの記録ヘッドH2が有する複数のチャネル1aの各々にヒータ10A〜10Fを設けた例を示している。図11において、図1と同一符号の部位は同一構成の部位を示している。
【0107】
この記録ヘッドH2は、説明の便宜上、6つのチャネル1aを有しており、そのチャネル1a毎に内部にヒータ10A〜10Fが配設されている。
【0108】
この場合も、予め検出された欠ノズルが、例えばヒータ10Aが配設されたチャネル1aに対応するノズル1bであった場合、そのヒータ10A以外のヒータ10B〜10Fの通電をオフにし、それらに対応するチャネル1a内のインク粘度を増加させる。これにより、第1の実施形態と同様に加圧によって、または、第2の実施形態と同様に減圧によってインクの強制排出を行うと、ヒータ10Aの加熱によってインク粘度が低いノズル1bからの吸引インク量に比べて、ヒータ10B〜10Fの通電がオフとされてインク粘度が増加した正常なノズル1bからのインクの吸引は大きな抵抗を生じて強制排出されるインク量が少なくなり、無駄なインク消費が抑えられる。
【0109】
次に、図11に示した記録ヘッドH2を、インクジェット記録装置に複数設けた態様を図12に示す。
【0110】
図12(a)は、複数の記録ヘッドH2を1つの共通流路部材2にそれぞれ連通管11によってインク供給可能に設けている。この場合のインク回復動作時も、上述した場合と同様に、各チャネル1a内のヒータ10A〜10Fの通電の独立制御を複数の記録ヘッドH2毎に実行することにより、無駄なインク消費を抑えることができる。
【0111】
図12(b)は、複数の記録ヘッドH2を個別の共通流路部材2にそれぞれ連通管11によってインク供給可能に設けている。この態様では、記録ヘッドH2毎にインク種類(色等)を異ならせることができる。この場合のインク回復動作も、上述した場合と同様に、各ヒータ10A〜10Fの独立制御を複数の記録ヘッドH2毎に実行することにより、無駄なインク消費を抑えることができる。
【実施例】
【0112】
図1と同様に、それぞれ1つずつのヒータが設けられた6つのプリントヘッドを1つの共通流路部材に接続したインクジェット記録装置において、ヒータによるインクの加熱制御を選択的にオフにした場合の、ノズル回復動作時に強制排出されるインク消費量の低減効果について検証した。
【0113】
各プリントヘッドは256ノズル×2列の合計512ノズルで、印刷時のインク滴が1ノズル当たり42plのものであり、インクには、印刷時にヒータによって45℃に加熱することで10cpの粘度としたUVカチオンインク(常温時粘度:30cp)を使用し、以下の方法で効果の確認を行った。
【0114】
まず、6つのプリントヘッド全てについて、ヒータの通電をオンに維持し、インク温度を45℃に保持した状態で、通常の加圧によるノズル回復処理を実施し、そのときに各ノズルから排出された総インク重量(g)を測定した。これを2回行い、その結果をそれぞれ表1において「Default」として示す。
【0115】
次に、6つのプリントヘッドのうちの任意の2つのプリントヘッドのみ、ヒータの通電をオフにし、このヒータに対応するチャネル内のインク温度を常温まで低下させ、残りのヒータは通電をオンに維持した状態で、上記と全く同様に通常の加圧によるノズル回復処理を実施し、そのときに各ノズルから排出された総インク重量(g)を測定した。これを2回行い、その結果をそれぞれ表1において「2ヘッドOFF」として示す。
【0116】
更に、6つのプリントヘッドのうちの任意の3つのプリントヘッドのみ、ヒータの通電をオフにし、このヒータに対応するチャネル内のインク温度を常温まで低下させ、残りのヒータは通電をオンにした状態で、上記と全く同様に通常の加圧によるノズル回復処理を実施し、そのときに各ノズルから排出された総インク重量(g)を測定した。これを2回行い、その結果をそれぞれ表1において「3ヘッドOFF」として示す。
【表1】
【0117】
その結果、6つのプリントヘッドうちの2つ又は3つのプリントヘッドについてヒータの通電をオフにしてインク粘度を増加させた場合、ノズル回復処理によってノズルから強制排出される総インク量は、2ヘッドオフにした場合で9%、3ヘッドオフにした場合で13%低減され、それだけインク消費の無駄が抑えられた。
【符号の説明】
【0118】
1:ヘッドユニット
1A〜1F:プリントヘッド(記録ヘッド)
1a:チャネル
1b:ノズル
10A〜10F:ヒータ(加熱手段)
11:連通管
H1、H2:記録ヘッド
2:共通流路部材
21:インク流入口
22:インク排出口
23:インク流入管
24:インク排出管
3:中間タンク
31:大気開放管
4、4A、4B:インクカートリッジ
40:インク供給管
41、42:分岐供給管
43:フィルタ
5:供給ポンプ
6:インク受け皿
61:排出流路
7:廃液タンク
8:吸引キャップ
81吸引管
82:吸引ポンプ
100:全体制御部
101:加熱制御部
SH1:液面基準位置センサ
SH2:液面上限センサ
SP1:背圧空圧センサ
SP2:インク無検知センサ
V1〜V6:開閉弁
【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれ複数のチャネルを有し、該チャネル内のインクをノズルから吐出する複数の記録ヘッドと、複数の前記記録ヘッドに対して共通にインクを供給する共通流路部材と、複数の前記記録ヘッド毎に設けられ、前記チャネル内のインクを粘度調整のために加熱する複数の加熱手段と、複数の前記加熱手段をそれぞれ独立して制御する加熱制御手段と、前記チャネル内のインクを加圧又は減圧により前記ノズルから強制的に排出させ、前記記録ヘッドの吐出状態を回復させるノズル回復手段とを有するインクジェット記録装置であって、
前記ノズル回復手段は、インク強制排出動作時、複数の前記記録ヘッドのうちのインク強制排出を必要としない前記記録ヘッドに設けられた前記加熱手段の加熱温度が、インク強制排出を必要とする前記記録ヘッドに設けられた前記加熱手段の加熱温度よりも低くなるように前記加熱制御手段を制御することを特徴とするインクジェット記録装置。
【請求項2】
複数のチャネルを有し、該チャネル内のインクをノズルから吐出する記録ヘッドと、前記記録ヘッドの複数の前記チャネルに対して共通にインクを供給する共通流路部材と、複数の前記チャネルを複数のグループに分けた該グループ毎にそれぞれ設けられ、各グループの前記チャネル内のインクを粘度調整のために加熱する複数の加熱手段と、複数の前記加熱手段をそれぞれ独立して制御する加熱制御手段と、前記チャネル内のインクを加圧又は減圧により前記ノズルから強制的に排出させ、前記記録ヘッドの吐出状態を回復させるノズル回復手段とを有するインクジェット記録装置であって、
前記ノズル回復手段は、インク強制排出動作時、複数の前記チャネルのうちのインク強制排出を必要とする前記チャネルを含まないグループに設けられた前記加熱手段の加熱温度が、インク強制排出を必要とする前記チャネルを含むグループに設けられた前記加熱手段の加熱温度よりも低くなるように前記加熱制御手段を制御することを特徴とするインクジェット記録装置。
【請求項3】
前記記録ヘッドは複数設けられていることを特徴とする請求項2記載のインクジェット記録装置。
【請求項4】
複数のチャネルを有し、該チャネル内のインクをノズルから吐出する記録ヘッドと、複数の前記チャネルに対して共通にインクを供給する共通流路部材と、複数の前記チャネル毎に設けられ、該チャネル内のインクを粘度調整のために加熱する複数の加熱手段と、複数の前記加熱手段をそれぞれ独立して制御する加熱制御手段と、前記チャネル内のインクを加圧又は減圧により前記ノズルから強制的に排出させ、前記記録ヘッドの吐出状態を回復させるノズル回復手段とを有するインクジェット記録装置であって、
前記ノズル回復手段は、インク強制排出動作時、複数の前記チャネルのうちのインク強制排出を必要としない前記チャネルに対応する前記加熱手段の加熱温度が、インク強制排出を必要とする前記チャネルに対応する前記加熱手段の加熱温度よりも低くなるように前記加熱制御手段を制御することを特徴とするインクジェット記録装置。
【請求項5】
前記記録ヘッドは複数設けられていることを特徴とする請求項4記載のインクジェット記録装置。
【請求項6】
それぞれ複数のチャネルを有し、該チャネル内のインクをノズルから吐出する複数の記録ヘッドと、複数の前記記録ヘッドに対して共通にインクを供給する共通流路部材と、複数の前記記録ヘッド毎に設けられ、前記チャネル内のインクを粘度調整のために加熱する複数の加熱手段と、複数の前記加熱手段をそれぞれ独立して制御する加熱制御手段とを有し、前記チャネル内のインクを加圧又は減圧により前記ノズルから強制的に排出させ、前記記録ヘッドの吐出状態を回復させるインクジェット記録装置のノズル回復方法であって、
ノズル回復動作時に、複数の前記記録ヘッドのうちのインク強制排出を必要としない前記記録ヘッドに設けられた前記加熱手段の加熱温度が、インク強制排出を必要とする前記記録ヘッドに設けられた前記加熱手段の加熱温度よりも低くなるように前記加熱制御手段を制御した状態で、インク強制排出動作を行うことを特徴とするインクジェット記録装置のノズル回復方法。
【請求項7】
複数のチャネルを有し、該チャネル内のインクをノズルから吐出する記録ヘッドと、前記記録ヘッドの複数の前記チャネルに対して共通にインクを供給する共通流路部材と、複数の前記チャネルを複数のグループに分けた該グループ毎にそれぞれ設けられ、前記チャネル内のインクを粘度調整のために加熱する複数の加熱手段と、複数の前記加熱手段をそれぞれ独立して制御する加熱制御手段とを有し、前記チャネル内のインクを加圧又は減圧により前記ノズルから強制的に排出させ、前記記録ヘッドの吐出状態を回復させるインクジェット記録装置のノズル回復方法であって、
ノズル回復動作時に、複数の前記チャネルのうちのインク強制排出を必要とする前記チャネルを含まないグループに設けられた前記加熱手段の加熱温度が、インク強制排出を必要とする前記チャネルを含むグループに設けられた前記加熱手段の加熱温度よりも低くなるように前記加熱制御手段を制御した状態で、インク強制排出動作を行うことを特徴とするインクジェット記録装置のノズル回復方法。
【請求項8】
前記記録ヘッドは複数設けられていることを特徴とする請求項7記載のインクジェット記録装置のノズル回復方法。
【請求項9】
複数のチャネルを有し、該チャネル内のインクをノズルから吐出する記録ヘッドと、複数の前記チャネルに対して共通にインクを供給する共通流路部材と、複数の前記チャネル毎に設けられ、該チャネル内のインクを粘度調整のために加熱する複数の加熱手段と、複数の前記加熱手段をそれぞれ独立して制御する加熱制御手段とを有し、前記チャネル内のインクを加圧又は減圧により前記ノズルから強制的に排出させ、前記記録ヘッドの吐出状態を回復させるインクジェット記録装置のノズル回復方法であって、
ノズル回復動作時に、複数の前記チャネルのうちのインク強制排出を必要としない前記チャネルに対応する前記加熱手段の加熱温度が、インク強制排出を必要とする前記チャネルに対応する前記加熱手段の加熱温度よりも低くなるように前記加熱制御手段を制御した状態で、インク強制排出動作を行うことを特徴とするインクジェット記録装置のノズル回復方法。
【請求項10】
前記記録ヘッドは複数設けられていることを特徴とする請求項9記載のインクジェット記録装置のノズル回復方法。
【請求項1】
それぞれ複数のチャネルを有し、該チャネル内のインクをノズルから吐出する複数の記録ヘッドと、複数の前記記録ヘッドに対して共通にインクを供給する共通流路部材と、複数の前記記録ヘッド毎に設けられ、前記チャネル内のインクを粘度調整のために加熱する複数の加熱手段と、複数の前記加熱手段をそれぞれ独立して制御する加熱制御手段と、前記チャネル内のインクを加圧又は減圧により前記ノズルから強制的に排出させ、前記記録ヘッドの吐出状態を回復させるノズル回復手段とを有するインクジェット記録装置であって、
前記ノズル回復手段は、インク強制排出動作時、複数の前記記録ヘッドのうちのインク強制排出を必要としない前記記録ヘッドに設けられた前記加熱手段の加熱温度が、インク強制排出を必要とする前記記録ヘッドに設けられた前記加熱手段の加熱温度よりも低くなるように前記加熱制御手段を制御することを特徴とするインクジェット記録装置。
【請求項2】
複数のチャネルを有し、該チャネル内のインクをノズルから吐出する記録ヘッドと、前記記録ヘッドの複数の前記チャネルに対して共通にインクを供給する共通流路部材と、複数の前記チャネルを複数のグループに分けた該グループ毎にそれぞれ設けられ、各グループの前記チャネル内のインクを粘度調整のために加熱する複数の加熱手段と、複数の前記加熱手段をそれぞれ独立して制御する加熱制御手段と、前記チャネル内のインクを加圧又は減圧により前記ノズルから強制的に排出させ、前記記録ヘッドの吐出状態を回復させるノズル回復手段とを有するインクジェット記録装置であって、
前記ノズル回復手段は、インク強制排出動作時、複数の前記チャネルのうちのインク強制排出を必要とする前記チャネルを含まないグループに設けられた前記加熱手段の加熱温度が、インク強制排出を必要とする前記チャネルを含むグループに設けられた前記加熱手段の加熱温度よりも低くなるように前記加熱制御手段を制御することを特徴とするインクジェット記録装置。
【請求項3】
前記記録ヘッドは複数設けられていることを特徴とする請求項2記載のインクジェット記録装置。
【請求項4】
複数のチャネルを有し、該チャネル内のインクをノズルから吐出する記録ヘッドと、複数の前記チャネルに対して共通にインクを供給する共通流路部材と、複数の前記チャネル毎に設けられ、該チャネル内のインクを粘度調整のために加熱する複数の加熱手段と、複数の前記加熱手段をそれぞれ独立して制御する加熱制御手段と、前記チャネル内のインクを加圧又は減圧により前記ノズルから強制的に排出させ、前記記録ヘッドの吐出状態を回復させるノズル回復手段とを有するインクジェット記録装置であって、
前記ノズル回復手段は、インク強制排出動作時、複数の前記チャネルのうちのインク強制排出を必要としない前記チャネルに対応する前記加熱手段の加熱温度が、インク強制排出を必要とする前記チャネルに対応する前記加熱手段の加熱温度よりも低くなるように前記加熱制御手段を制御することを特徴とするインクジェット記録装置。
【請求項5】
前記記録ヘッドは複数設けられていることを特徴とする請求項4記載のインクジェット記録装置。
【請求項6】
それぞれ複数のチャネルを有し、該チャネル内のインクをノズルから吐出する複数の記録ヘッドと、複数の前記記録ヘッドに対して共通にインクを供給する共通流路部材と、複数の前記記録ヘッド毎に設けられ、前記チャネル内のインクを粘度調整のために加熱する複数の加熱手段と、複数の前記加熱手段をそれぞれ独立して制御する加熱制御手段とを有し、前記チャネル内のインクを加圧又は減圧により前記ノズルから強制的に排出させ、前記記録ヘッドの吐出状態を回復させるインクジェット記録装置のノズル回復方法であって、
ノズル回復動作時に、複数の前記記録ヘッドのうちのインク強制排出を必要としない前記記録ヘッドに設けられた前記加熱手段の加熱温度が、インク強制排出を必要とする前記記録ヘッドに設けられた前記加熱手段の加熱温度よりも低くなるように前記加熱制御手段を制御した状態で、インク強制排出動作を行うことを特徴とするインクジェット記録装置のノズル回復方法。
【請求項7】
複数のチャネルを有し、該チャネル内のインクをノズルから吐出する記録ヘッドと、前記記録ヘッドの複数の前記チャネルに対して共通にインクを供給する共通流路部材と、複数の前記チャネルを複数のグループに分けた該グループ毎にそれぞれ設けられ、前記チャネル内のインクを粘度調整のために加熱する複数の加熱手段と、複数の前記加熱手段をそれぞれ独立して制御する加熱制御手段とを有し、前記チャネル内のインクを加圧又は減圧により前記ノズルから強制的に排出させ、前記記録ヘッドの吐出状態を回復させるインクジェット記録装置のノズル回復方法であって、
ノズル回復動作時に、複数の前記チャネルのうちのインク強制排出を必要とする前記チャネルを含まないグループに設けられた前記加熱手段の加熱温度が、インク強制排出を必要とする前記チャネルを含むグループに設けられた前記加熱手段の加熱温度よりも低くなるように前記加熱制御手段を制御した状態で、インク強制排出動作を行うことを特徴とするインクジェット記録装置のノズル回復方法。
【請求項8】
前記記録ヘッドは複数設けられていることを特徴とする請求項7記載のインクジェット記録装置のノズル回復方法。
【請求項9】
複数のチャネルを有し、該チャネル内のインクをノズルから吐出する記録ヘッドと、複数の前記チャネルに対して共通にインクを供給する共通流路部材と、複数の前記チャネル毎に設けられ、該チャネル内のインクを粘度調整のために加熱する複数の加熱手段と、複数の前記加熱手段をそれぞれ独立して制御する加熱制御手段とを有し、前記チャネル内のインクを加圧又は減圧により前記ノズルから強制的に排出させ、前記記録ヘッドの吐出状態を回復させるインクジェット記録装置のノズル回復方法であって、
ノズル回復動作時に、複数の前記チャネルのうちのインク強制排出を必要としない前記チャネルに対応する前記加熱手段の加熱温度が、インク強制排出を必要とする前記チャネルに対応する前記加熱手段の加熱温度よりも低くなるように前記加熱制御手段を制御した状態で、インク強制排出動作を行うことを特徴とするインクジェット記録装置のノズル回復方法。
【請求項10】
前記記録ヘッドは複数設けられていることを特徴とする請求項9記載のインクジェット記録装置のノズル回復方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−847(P2012−847A)
【公開日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−137740(P2010−137740)
【出願日】平成22年6月16日(2010.6.16)
【出願人】(000001270)コニカミノルタホールディングス株式会社 (4,463)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年6月16日(2010.6.16)
【出願人】(000001270)コニカミノルタホールディングス株式会社 (4,463)
【Fターム(参考)】
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