説明

インクジェット記録装置

【課題】記録ヘッドの検査精度を向上させると共に、より効率的に検査を行うこと。
【解決手段】記録ヘッド61と、記録ヘッドに駆動電圧を印加する電圧印加部100と、吐出の有無に関する吐出データを記録ヘッドに送信する制御部12と、を備えるインクジェット記録装置1において、記録ヘッドに流れる電流値を検出する電流値検出部82と、全ノズルからインクが正常に吐出されるときに記録ヘッドに流れる電流値を記憶する電流値記憶部83と、一回のインク吐出毎に、用いるノズルの数を積算するノズル積算部84と、全ノズル数に対する使用するノズルの数の割合と電流値記憶部に記憶された電流値とから、記録ヘッドに流れる電流値を算出する電流値算出部85と、電流値検出部により検出された電流値と、電流値算出部により算出された電流値とを比較する電流値比較部86と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクジェット記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェット記録技術は、プリンタ装置、液晶カラーフィルタの塗布、回路基板パターン作成などの様々な分野で使用されている。
記録ヘッドの記録方式としては、圧電素子の圧電効果を利用するもの、ヒータの熱による膜沸騰を利用するものが知られている。
インクジェット記録装置に搭載される記録ヘッドの破壊には、経時的劣化、ノズル間のチャネル断線、駆動回路の破壊など様々な要因があり、その破壊状態を知るためには、印字後に印字されたメディアを検査する必要がある。
メディアの検査の手間を省くため、記録ヘッドの駆動回路に駆動電圧を印加する電源に抵抗を接続し、この抵抗の電圧値を検出することで記録ヘッドの駆動状態を検出する発明が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。
また、実際にテスト記録を行って記録ヘッドに流れる駆動電流と予め記憶されている記録ヘッドの正常な駆動状態における駆動電流とを比較し、ノズルの吐出不良を判別する発明が開示されている(例えば、特許文献2参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−260164号公報
【特許文献2】特開2003−118093号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に記載の発明においては、記録ヘッドに印加される直流電圧しか検出できないので、記録ヘッドの検査精度が低い。すなわち、記録ヘッドの駆動電圧は通常電流バッファを介して印加されるので、記録ヘッドがある程度破壊されていても、完全にショートしていない限り駆動電圧は影響を受けることがない。そのため、駆動回路がショートしている場合のように、駆動電圧に影響される程度に記録ヘッドが破壊されなければ、記録ヘッドの異常を検出することができない。
また、特許文献2に記載の発明においては、インクの吐出不良を判別するためには、テストパターンの記録時やメンテナンス時に不良検出用の駆動電圧パルスで記録ヘッドを駆動させる必要がある。そのため、記録ヘッドの駆動状態の検査に時間がかかり、通常の記録と並行して検査を行えるものではない。
【0005】
そこで、本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、記録ヘッドの検査精度を向上させると共に、より効率的に記録ヘッドの検査を行うことができるインクジェット記録装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、
インクを吐出する複数のノズルを有する記録ヘッドと、
前記ノズルからインクを吐出させるために、前記記録ヘッドに駆動電圧を印加する電圧印加部と、
前記記録ヘッドによる一回のインク吐出毎の各ノズルのインク吐出の有無についての吐出データを前記記録ヘッドに送信する制御部と、を備えるインクジェット記録装置において、
前記電圧印加部により前記記録ヘッドに駆動電圧を印加した際に、前記記録ヘッドに流れる電流値を検出する電流値検出部と、
前記記録ヘッドの全ノズルからインクが正常に吐出されるときに前記記録ヘッドに流れる電流値を記憶する電流値記憶部と、
前記記録ヘッドによる一回のインク吐出毎に、インクの吐出を行うノズルの数を前記吐出データから積算するノズル積算部と、
全ノズル数に対する前記ノズル積算部により積算されたノズルの数の割合と前記電流値記憶部に記憶された電流値とから、一回のインク吐出毎に前記記録ヘッドに流れる電流値を算出する電流値算出部と、
前記電流値検出部により検出された電流値と、前記電流値算出部により算出された電流値とを比較する電流値比較部と、
を備えることを特徴とする。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のインクジェット記録装置において、
前記電流値比較部による比較結果を記憶する記憶部を備えることを特徴とする。
【0008】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載のインクジェット記録装置において、
前記電流値比較部による比較結果を記憶する外付記憶部を接続自在としたことを特徴とする。
【0009】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか一項に記載のインクジェット記録装置において、
前記制御部は、前記電流値比較部により比較される二つの電流値の差が所定の閾値を超えた場合に、前記記録ヘッドの駆動を停止させることを特徴とする。
【0010】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか一項に記載のインクジェット記録装置において、
前記記録ヘッドの駆動状態に関する情報をユーザに報知する報知部を備え、
前記制御部は、前記電流値比較部により比較される二つの電流値の差が所定の閾値を超えた場合に、前記報知部に前記記録ヘッドの駆動状態が異常であることを報知させることを特徴とする。
【0011】
請求項6に記載の発明は、請求項3〜5のいずれか一項に記載のインクジェット記録装置において、
前記制御部は、前記記憶部又は前記外付記憶部に記憶された複数回のインク吐出の比較結果により前記記録ヘッドの駆動状態を判定することを特徴とする。
【0012】
請求項7に記載の発明は、請求項3〜6のいずれか一項に記載のインクジェット記録装置において、
前記記録ヘッドにかかる駆動電圧を検出する電圧値検出部と、
前記電圧値検出部により駆動電圧が検出されなくなった場合に、前記電流値比較部による比較結果を前記記憶部又は前記外付記憶部に記憶させる保護回路部と、
を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に記載の発明によれば、電流値検出部は、電圧印加部により記録ヘッドに駆動電圧を印加した際に、記録ヘッドに流れる電流値を検出する。また、電流値算出部は、全ノズル数に対するノズル積算部により積算されたノズルの数の割合と電流値記憶部に記憶された電流値とから、一回のインク吐出毎に記録ヘッドに流れる電流値を算出する。
そして、電流値比較部は、電流値検出部により検出された電流値と、電流値算出部により算出された電流値とを比較する。
これにより、比較される二つの電流値に大きな差がある場合には、記録ヘッドに本来流れるべき電流が流れていないと判定することができ、インクの付着によるノズル欠、記録ヘッドの破壊、接触不良によるショート等の電気的な異常を検査することができる。
この場合において、電流値を用いて記録ヘッドの検査を行っているので、一部のノズルの吐出不良でも検出することができるようになり、記録ヘッドの検査精度を向上させることができる。また、記録ヘッドの電流値を検査に用いているので、記録作業と並行して記録ヘッドの検査を行うことができるので、より効率的に記録ヘッドの検査を行うことができる。
【0014】
請求項2に記載の発明によれば、記憶部を備えることにより、記録ヘッドの駆動時だけではなく、記録が終了した後でも比較結果に基づいて、記録ヘッドの駆動状態がどのように変化したのかを解析することができる。
また、異なるノズルを用いた複数の吐出に関する比較結果を記憶しておくことで、問題があるノズルの位置を大まかに特定することができる。
【0015】
請求項3に記載の発明によれば、外付記憶部が接続自在であるため、比較結果を記憶させて取り外し、別のコンピュータで記録ヘッドの駆動状態を解析することができる。
【0016】
請求項4に記載の発明によれば、制御部は、電流値比較部により比較される二つの電流値の差が所定の閾値を超えた場合に、記録ヘッドの駆動を停止させるので、駆動を続けることによる品質の低い画像の記録の継続を早期に中止することができる。また、記録ヘッドの駆動を停止することで、記録ヘッドの駆動状態のさらなる悪化、記録ヘッドの破壊等を早めに防ぐことができる。
【0017】
請求項5に記載の発明によれば、制御部は、電流値比較部により比較される二つの電流値の差が所定の閾値を超えた場合に、報知部に記録ヘッドの駆動状態が異常であることを報知させるので、ユーザは報知部から記録ヘッドに異常があることを知ることができる。
【0018】
請求項6に記載の発明によれば、複数回のインク吐出での比較結果を用いて記録ヘッドの駆動状態を判定することができるので、記録ヘッドの駆動状態の判定精度を向上させることができる。
【0019】
請求項7に記載の発明によれば、保護回路部は、電圧値検出部により駆動電圧が検出されなくなった場合に、電流値比較部による比較結果を記憶部又は外付記憶部に記憶させる。
これにより、記録ヘッドが破壊して駆動電圧が印加されなくなった、電圧印加部と記録ヘッドとの間でショートした場合、比較結果が消えてしまう前に保護回路部がいずれかの記憶部に記憶させることができるので、突発的なトラブルにも対応することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】インクジェット記録装置の斜視図。
【図2】記録ヘッドの正面図。
【図3】走査駆動機構の構成を示す模式図。
【図4】(a)は記録ヘッドの一部を断面で示した斜視図、(b)はインク供給部を備えた記録ヘッドの断面図。
【図5】記録ヘッドからのインクの吐出動作を説明する図。
【図6】検査装置の構成を示すブロック図。
【図7】保護回路部の構成を示す回路図。
【図8】保護回路部の処理を示すフローチャート。
【図9】制御部に制御される各部の構成を示したブロック図。
【図10】記録ヘッドの駆動状態の検査について説明する図。
【図11】各ノズルを電流波形により検査する方法を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照して、インクジェット記録装置について説明する。
<インクジェット記録装置の構成>
図1、図2に示すように、インクジェット記録装置1は、搬送部2と、主走査部3と、キャリッジ4と、キャリッジレール5と、記録ヘッドユニット6と、メンテナンス部9と、エンコーダ10と、制御部12(図9参照)と、を備えている。
【0022】
(搬送部)
図1に示すように、搬送部2は、駆動ローラ21及び従動ローラ(図示略)と、駆動モータ22と、搬送ベルト23と、を備えている。
駆動ローラ21及び従動ローラは、回転自在に軸支されており、駆動ローラ21は、主走査方向Xに延在するように配置されている。駆動モータ22は、駆動ローラ21を回転駆動するための駆動源であり、駆動ローラ21の一端側に取り付けられている。
搬送ベルト23は、無端状に形成され、駆動ローラ21と従動ローラとの間に架け渡されている。搬送ベルト23は、駆動ローラ21が回転すると駆動ローラ21と従動ローラとの間を周回してその上面に載置された記録媒体Sを搬送方向Zに搬送し、駆動ローラ21の回転が停止すると、両ローラ間での周回を停止し、記録媒体Sの搬送を停止する。
駆動モータ22は、制御部12の制御に従って、記録ヘッドユニット6が主走査方向Xへの1回の走査が終了すると、駆動ローラ21を所定量だけ回転させて記録媒体Sを搬送方向Zに所定距離だけ搬送させて停止させ、記録ヘッドユニット6が主走査方向Xの反対方向への走査を開始して終了すると、駆動ローラ21を再度所定量だけ回転させて記録媒体Sを搬送方向Zに所定距離だけ搬送させて停止させることを繰り返し、記録媒体Sをいわゆる間欠搬送する。
なお、記録媒体Sの搬送方向Zは、主走査方向Xに直交する副走査方向Yに平行になるように設定される。また、搬送ベルト23で記録媒体Sを搬送するように構成する必要はなく、例えば、記録媒体Sを平板状のプラテン上を搬送方向Z(副走査方向Y)に移動させるように構成することも可能である。また、記録媒体Sとしては、前述したように、紙や布帛のほか、樹脂フィルムや金属類等を用いることが可能である。
【0023】
(主走査部、キャリッジレール、キャリッジ、エンコーダ)
図1に示すように、主走査部3は、搬送部2の搬送ベルト23の上方に設けられている。主走査部3の内部には、棒状のキャリッジレール5が主走査方向Xに延在するように配置されている。キャリッジレール5には、略筐体状のキャリッジ4が主走査方向Xに往復移動自在に設けられている。図3に示すように、キャリッジ4は、走査駆動機構15の駆動によりキャリッジレール5に沿って主走査方向Xに移動する。走査駆動機構15は、主走査方向Xに離間して配置された主動ローラ15a及び従動ローラ15bと、両ローラに架け渡されたベルト15cと、主動ローラ15aに連結され、駆動により主動ローラ15aを回転させるモータ15dと、を備えている。キャリッジ4は、ベルト15cに取り付けられており、モータ15dの駆動によりベルト15cの周回とともにキャリッジ4も主走査方向Xに移動する。
モータ15dには、モータ15dの出力軸が1回転するごとに検知するエンコーダ10が取り付けられている。エンコーダ10は、制御部12に接続されており、検知信号を制御部12に送信する。従って、キャリッジ4の初期位置とモータ15dの出力軸が1回転したときのキャリッジ4の移動量を予め把握しておけば、エンコーダ10はモータ15dが何回転したかを検知することにより、キャリッジ4の位置を知ることができる。
図2に示すように、キャリッジ4には、画像記録時にイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)等の各色のインクを吐出する複数のノズルプレート7が記録媒体Sに対向する面7b(以下、ノズル面7bという。)に配列された記録ヘッドユニット6が複数搭載されている。ノズルプレート7のノズル孔7aから搬送ベルト23上の記録媒体Sに対して各色のインクの液滴が吐出される。
また、キャリッジ4には、インクタンク111から記録ヘッド6にインクを供給する配管(図示略)や、記録ヘッドユニット6等を駆動するための電気信号や電力を伝達する配線(図示略)等が収容されたケーブルベア41が接続されている。
【0024】
(メンテナンス部、ノズル保湿部)
図1に示すように、メンテナンス部9は、記録ヘッドユニット6のうち、記録ヘッド61のメンテナンスを行う。メンテナンス部9は、記録ヘッドユニット6の移動経路上であって、記録ヘッド61により印画される記録媒体Sの搬送経路から外れた位置に設けられている。すなわち、メンテナンス部9は、主走査部3の主走査方向Xの一端に設けられている。
図1に示すように、ノズル保湿部13は、ノズルプレート7が非記録動作時に乾燥してノズル孔7aからのインクの吐出に不具合が生じないように、非記録動作時にノズルプレート7のノズル面7bをキャップして保湿する。ノズル保湿部13は、記録ヘッドユニット6の移動経路上であって、記録ヘッド61により印画される記録媒体Sの搬送経路から外れた位置に設けられている。すなわち、ノズル保湿部13は、主走査部3の主走査方向Xの他端に設けられている。
【0025】
(記録ヘッドユニット)
図2に示すように、記録ヘッドユニット6は、キャリッジ4に搭載されている。記録ヘッドユニット6は、例えば、一つのキャリッジ4に四つ設けられており、それぞれがほぼ等間隔となるように記録ヘッド6の主走査方向Xに沿って並んで設けられている。
図4〜図6に示すように、記録ヘッドユニット6は、直方体状に形成され、内部にインクが送り込まれる記録ヘッド61と、記録ヘッド61に設けられ、複数のノズル孔7aからインクを吐出するノズルプレート7と、記録ヘッド61の駆動状態を検査する検査装置8と、記録ヘッド61を駆動させる駆動電圧パルスを生成する駆動パルス生成部100と、を備えている。
【0026】
(記録ヘッドユニット:記録ヘッド)
図4に示すように、記録ヘッド61は、インクチューブ62と、カバープレート65と、インク供給口66と、基板67と、隔壁68と、圧力室69とを備えている。
圧力室69は、カバープレート65と基板67と隔壁68とによって形成されている。
図5に示すように、記録ヘッド61は、カバープレート65と基板67との間に圧電材料からなる複数の隔壁68A,68B,68C,68Dで隔てられた圧力室69が複数並設されたせん断モードタイプのヘッドである。図5においては、複数の圧力室69のうち、三つ(69A,69B,69C)が図示されている。圧力室69の一端はノズルプレート7に形成されたノズル孔7aに連通され、他端はインク供給口66を経て、インクチューブ62によってインクタンク111に連通されている。
【0027】
各圧力室69内の隔壁68の表面には両隔壁68の上方から基板67の底面に亘って繋がる電極70A、70B、70Cが密着形成され、各電極70A、70B、70Cは駆動パルス生成部100に接続されている。駆動パルス生成部100は、ノズル孔7aからインクを吐出させるために、一回のインク吐出毎に電極70A、70B、70Cに駆動電圧を印加する。従って、駆動パルス生成部100は、電圧印加部として機能する。
各圧力室69内には、その両側面から底面にかけて電極70A〜70Cが形成されている。各電極70A〜70Cには、記録ヘッド61の後部側表面において異方導電性フィルム71を介してフレキシブルケーブル72が接着されており、駆動パルス生成部100から各電極70A〜70Cに駆動電圧(パルス)を印加することにより隔壁68をせん断変形させ、その変形時の圧力により圧力室69内のインクをノズルプレート7に形成されたノズル孔7aから吐出するようになっている。
【0028】
具体的には、図5(a)に示す状態において、電極70A及び電極70Cをアースに接続すると共に電極70Bに、矩形波からなる膨張パルス(正電圧)を印加すると、まず、パルスの最初の立ち上がりによって、隔壁68B、68Cを構成する圧電材料の分極方向に直角な方向の電界が生じ、隔壁68B、68Cの接合面にズリ変形を生じ、図5(b)に示すように隔壁68B及び隔壁68Cは互いに外側に向けて変形し、圧力室69Bの容積が膨張する。これにより圧力室69B内のインクに負の圧力が生じてインクが流れ込む。続いて、矩形波からなる収縮パルス(負電圧)を印加する。収縮パルスの立ち下がりによって、図5(c)に示すように、隔壁68B及び隔壁68Cは互いに逆方向に変形し、圧力室69Bの容積が収縮する。この収縮により圧力室69B内のインクに更に高い圧力をかけ、ノズル孔7aからインクを吐出させる。
【0029】
(記録ヘッドユニット:検査装置)
図6に示すように、検査装置8は、電流波形取得部81と、電流値検出部82と、電流値記憶部83と、ノズル積算部84と、電流値算出部85と、電流値比較部86と、比較結果記憶部87と、遅延回路部88と、電圧値検出部89と、保護回路部90と、を備えている。
【0030】
電流波形取得部81は、駆動パルス生成部100により生成され、電極70A〜70Cに印加される駆動電圧のパルス波形を駆動電流の波形に変換するものであり、駆動パルス生成部100に接続されている。従って、駆動パルス生成部100は、上記の電極70A〜70Cと電流波形取得部81に駆動パルスを送る。
【0031】
電流値検出部82は、電流波形取得部81により電圧波形を変換した電流波形から一回のインク吐出毎に記録ヘッド61に流れる電流値を検出する。本実施形態では、電流値検出部82は、一回のインク吐出毎に駆動電流の波形から平均電流値を検出する。
【0032】
電流値記憶部83は、記録ヘッド61の全ノズルからインクが正常に吐出されるとき、すなわち、インクの詰まりや吐出不良がない状態で吐出されるときの電極70A〜70Cに流れる電流値を記憶する。この電流値は、理想の吐出状態における理論値であり、予めテスト記録等により電流値を計測し、電流値記憶部83に記憶しておく。本実施形態では、電流値記憶部83には、一回のインク吐出毎に電極70A〜70Cに流れる電流の平均値が記憶される。
【0033】
ノズル積算部84は、記録ヘッド61による一回のインク吐出毎にインクの吐出を行うノズルの数を吐出データから積算する。ここで、吐出データとは、一回のインク吐出毎に各ノズルのインクの吐出の有無をノズル毎に1ビットで表現したデータである。例えば、一回のインク吐出において、インクを吐出するノズルを「1」、インクを吐出しないノズルを「0」で表現する。制御部12は、これらを吐出データとして記録ヘッド61とノズル積算部84に送信する。
ノズル積算部84は、一回のインク吐出毎に、送られてくる吐出データからインクを吐出するノズルがいくつあるかを積算する。すなわち、各インク吐出において使用するノズルの総数を算出する。
【0034】
電流値算出部85は、記録ヘッド61の全ノズル数に対するノズル積算部84により積算されたノズルの数の割合を算出し、この割合を電流値記憶部83に記憶された平均電流値に乗じて一回のインク吐出毎に記録ヘッド61に流れる平均電流値を算出する。すなわち、電流値算出部85は、吐出ノズル数が異なる一回のインク吐出毎に駆動電流の平均電流値を算出する。電流値算出部85により算出される電流値も、使用するノズルからインクが正常に吐出されるとき、すなわち、インクの詰まりや吐出不良がない状態(理想の吐出状態)で吐出されるときの電極70A〜70Cに流れる電流値である。
【0035】
電流値比較部86は、電流値検出部82と電流値算出部85に接続されている。電流値比較部86は、電流値検出部82により検出された電流値と、電流値算出部85により算出された電流値とを比較する。具体的には、電流値比較部86は、電流値検出部82により検出された平均電流値と、電流値算出部85により算出された平均電流値との差分を算出する。すなわち、電流値比較部86は、インクの詰まりや吐出不良がない状態(理想の吐出状態)で吐出されるときに電極70A〜70Cに流れるはずの電流値と実際に電極70A〜70Cに流れている電流値とを比較している。これにより、両電流値の差が大きくなれば、ノズルにインクの詰まりや吐出不良、電気的な破壊が発生していることを知ることができる。
【0036】
比較結果記憶部87は、電流値比較部86により行われた二つの平均電流値の比較結果を記憶する記憶部であり、制御部12と電流値比較部86に接続されている。比較結果記憶部87は、書き換えが可能なEEPROM等のメモリで構成されている。比較結果記憶部87には、具体的に平均電流値の差が記憶される。制御部12は、比較結果記憶部87に記憶された電流値の差に応じて、記録ヘッド61のノズルの状態がどの程度問題があるのか、破壊されているのかを判定することができる。
なお、比較結果記憶部87は、検査装置8に内蔵されているものに限らず、インクジェット記録装置1とは独立し、インクジェット記録装置1に着脱自在とされた外付けの記憶部であってもよい。比較結果記憶部87が外付記憶部である場合には、必要なときのみインクジェット記録装置1に装着して比較結果のデータを記憶させた後、インクジェット記録装置1から取り外すことで、別の場所でデータ解析を行うことができる。
【0037】
遅延回路部88は、各インク吐出における平均電流値が当該インク吐出終了後でなければ算出することができないため、電流値算出部85による電流値の算出時にノズル数を一つ前のインク吐出時における電流値の算出に用いないようにノズル数のデータの送信タイミングを遅らせる回路である。遅延回路部88は、ノズル積算部84と電流値算出部85との間に接続されている。
【0038】
電圧値検出部89は、電極70A〜70Cに印加された駆動電圧の電圧値を検出する。駆動パルス生成部100から電極70A〜70Cに至るまでの配線のどこかに問題があるような場合には、電極70A〜70Cに印加される駆動電圧が低下したり、電極70A〜70Cに駆動電圧が印加されなくなる。
【0039】
保護回路部90は、電圧値検出部89により検出される駆動電圧が減少した場合に、電流値比較部86による比較結果を比較結果記憶部87に記憶させる。これは、記録ヘッド61の配線の一部がショートしたり、記録ヘッド61そのものが破壊された場合に、電極70A〜70Cには駆動電圧が印加されなかったり、駆動電圧が減少するが、このような場合に二つの電流値の比較結果も停電により消去されてしまうため、かかる比較結果を保護するために設けられている。
図7に示すように、保護回路部90は、電圧値検出部89により検出された電圧値が予め設定された参照電圧値Vref以下となった場合に、電圧が低下した旨を検知した電圧低下検知信号を発生させ、制御部12に送信することができる。
図8に示すように、保護回路部90は、電圧値検出部89により検出された電圧値が予め設定された参照電圧値Vref以下となったか否かを判定する(ステップS1)。ステップS1において、保護回路部90は、電圧値検出部89により検出された電圧値が参照電圧値Vref以下となったと判定した場合(ステップS1:YES)、電源がOFFになる前に、保護回路部90は、電流値比較部86による比較結果を比較結果記憶部87に記憶させる(ステップS2)。
【0040】
(制御部)
図1に示すように、制御部12は、主走査部3の下方に設けられている。制御部12は、外部装置P(例えば、パソコン等)から入力された記録媒体Sに記録すべき画像の画像データを記録ヘッド6の各ノズル孔7aに対応するデータに変換する。このデータには、上述したように、各インク吐出毎のノズルの使用の有無についての吐出データが含まれる。
図9に示すように、制御部12は、CPU、ROM、RAM、入出力インターフェース等がバスに接続された汎用のコンピュータで構成されている。
制御部12には、外部装置Pと、エンコーダ10と、走査駆動機構15のモータ15dと、記録ヘッド61にインクの吐出動作を行わせるためのヘッド駆動回路6aと、メンテナンス部9と、ノズル保湿部13と、検査装置8と、駆動パルス生成部100と、記録ヘッド61の駆動状態に関する情報をユーザに報知する報知部105とが電気的に接続されている。
【0041】
制御部12は、記録ヘッド61による一回のインク吐出毎の各ノズルのインク吐出の有無についての吐出データを記録ヘッド61に送信する。
制御部12は、電流値比較部86により比較される二つの電流値の差が所定の閾値を超えた場合に、記録ヘッド61の駆動を停止させる。すなわち、制御部12は、二つの電流値の差が所定の閾値を超えるか否かによって、記録ヘッド61の駆動状態が異常であるか正常な駆動の範囲内であるかを判定している。
制御部12は、電流値比較部86により比較される二つの電流値の差が所定の閾値を超えた場合に、報知部105に記録ヘッド61の駆動状態が異常であることを報知させる。ここで、制御部12による報知部105の報知制御は、上記の記録ヘッド61の駆動停止と共に行ってもよいし、この報知制御のみを行ってもよい。従って、制御部12は、電流値比較部86により比較される二つの電流値の差が所定の閾値を超えた場合に、少なくとも記録ヘッド61の駆動を停止させるか、報知部により異常をユーザに報知するかのいずれか一方を行えばよい。なお、記録ヘッド61の破壊の進行、記録品質の低下という点に鑑みれば、電流値の差が閾値を超えた時点で記録ヘッド61の駆動を即座に停止させることが好ましい。
【0042】
制御部12は、理想的な状態での電流値と検出された実際の電流値とを一回のインク吐出毎に比較し、その比較結果(電流値の差分)に基づいて記録ヘッド61の駆動停止等の制御を行っているが、比較結果記憶部87に記憶された複数回のインク吐出の比較結果により記録ヘッド61の駆動状態を判定するようにしてもよい。具体的には、制御部12は、複数回の比較結果の平均値を算出してその平均値が閾値を超えるか否かで記録ヘッド61の駆動状態を判定してもよいし、一つだけ電流値の差分がかけ離れている場合には、それは検出ノイズであると判定し、かかる比較結果を判定に採用しないようにしてもよい。
【0043】
(インクラック)
図1に示すように、主走査部3の背後には、各記録ヘッド61にそれぞれ供給する各色のインクを貯蔵するインクタンク111を備えるインクラック110が配置されている。各インクタンク111からは、前述した配管や図示しないインク供給管等を介して各記録ヘッド61にインクがそれぞれ供給されるようになっている。
【0044】
<記録ヘッドの駆動状態の検査>
次に、検査装置8による記録ヘッド61の駆動状態の検査について説明する。
図10(a)に示すように、制御部12が吐出信号を3回送信したとする。図10(b)に示すように、制御部12から吐出信号を受信した駆動パルス生成部100は、駆動パルスを生成する。ここで生成される駆動パルスは駆動電圧として電極70A〜70Cに印加される。
駆動パルス生成部100は、生成した駆動パルスを記録ヘッド61と電流波形取得部81に向けて送信する。図10(c)に示すように、電流波形取得部81では、受信した駆動パルス波形(電圧波形)を駆動電流の波形に変換し、電流波形を取得する。電流波形は、使用するノズル数によって異なる。図10(c)においては、一つ目の吐出における駆動波形Aよりも二つ目の吐出における駆動波形Bの方が大きいため、二つ目の吐出の方がノズルを多く使用する、言い換えると、電極70A〜70Cに流れる駆動電流が大きいことになる。
【0045】
次いで、図10(d)に示すように、電流値検出部82は、電流波形取得部81により取得した電流波形のデータを受信し、かかる電流波形のデータから、当該電流波形に基づいて行われる一回のインク吐出における平均電流値を検出する。
ここで、電流値検出部82による平均電流値の検出は、インクの吐出が終わってからでなければ検出することができないため、平均電流値が検出されるのは、次のインクの吐出時となる。そのため、図10(d)に示すように、電流値検出部82による平均電流値の検出は、電流波形取得のタイミングと一吐出分ずれる。従って、一つ目の吐出における平均電流値は二つ目の吐出時に検出され、二つ目の吐出における平均電流値は三つ目の吐出時に検出される。
【0046】
図10(e)に示すように、電流値検出部82による平均電流値の検出に並行して、ノズル積算部84により、吐出に用いるノズル数の積算が行われる。ノズル積算部84によるノズル数の積算は、制御部12から受信する吐出信号及び吐出データからすぐに行うことができるため、次の吐出までずれ込むことがない。しかし、電流値算出部85による平均電流値の算出のため、平均電流値が検出されるまでは、遅延回路部88により積算されたノズル数は電流値算出部85に送信されない。
【0047】
図10(f)に示すように、電流値記憶部83には、全ノズルからノズル欠等のない理想の状態でインクが吐出されたときの平均電流値が記憶されているため、電流値算出部85は、ノズル積算部84により算出されたノズル数と、電流値記憶部83に記憶された理想の平均電流値とを受信し、これらの値から各吐出時における理想の平均電流値を算出する。平均電流値は吐出に用いるノズル数に比例するので、図10(g)に示すような平均電流値の波形を求めることができる。
【0048】
次いで、図10(h)に示すように、電流値比較部86は、電流値検出部82により検出された実際の平均電流値を受信すると共に電流値算出部85により算出された理想的なノズルの状態での平均電流値を受信し、両平均電流値を比較する。図10においては、図10(c)の波形と図10(g)の波形を比較する。そして、図10(h)に示すように、二つ目の吐出において所定の閾値以上の電流値の差があった場合、記録ヘッド61の異常信号の波形が現れる。
制御部12は、この異常信号を電流値比較部86から受信すると、記録ヘッド61への吐出信号、吐出データの送信を中止し、記録ヘッド61の駆動を停止させる。
【0049】
<作用効果>
以上のように、インクジェット記録装置1によれば、電流値検出部82は、駆動パルス生成部100により記録ヘッド61の電極70A〜70Cに駆動電圧を印加した際に、記録ヘッド61に流れる電流値を検出する。また、電流値算出部85は、全ノズル数に対するノズル積算部84により積算されたノズルの数の割合と電流値記憶部83に記憶された電流値とから、一回のインク吐出毎に記録ヘッド61に流れる電流値を算出する。
そして、電流値比較部86は、電流値検出部82により検出された電流値と、電流値算出部85により算出された電流値とを比較する。
これにより、比較される二つの電流値に大きな差がある場合には、記録ヘッド61に本来流れるべき電流が流れていないと判定することができ、インクの付着によるノズル欠、記録ヘッド61の破壊、接触不良によるショート等の電気的な異常を検査することができる。
この場合において、電流値を用いて記録ヘッド61の検査を行っているので、一部のノズルの吐出不良でも検出することができるようになり、記録ヘッド61の検査精度を向上させることができる。また、記録ヘッド61の電流値を検査に用いているので、記録作業と並行して記録ヘッド61の検査を行うことができるので、より効率的に記録ヘッド61の検査を行うことができる。
【0050】
また、検査装置8は記憶部87を備えることにより、記録ヘッド61の駆動時だけではなく、記録が終了した後でも記憶部87に記憶された比較結果に基づいて、記録ヘッド61の駆動状態がどのように変化したのかを解析することができる。
また、異なるノズルを用いた複数の吐出に関する比較結果を記憶部87に記憶しておくことで、問題があるノズルの位置を大まかに特定することができる。
また、記憶部87をインクジェット記録装置1に接続自在な外付けの記憶部とすることで、比較結果を記憶させて取り外し、別のコンピュータで記録ヘッド61の駆動状態を解析することができる。
【0051】
また、制御部12は、電流値比較部86により比較される二つの電流値の差が所定の閾値を超えた場合に、記録ヘッド61の駆動を停止させることで、駆動を続けることによる品質の低い画像の記録の継続を早期に中止することができる。また、記録ヘッド61の駆動を停止することで、記録ヘッド61の駆動状態のさらなる悪化、記録ヘッド61の破壊等を早めに防ぐことができる。
また、制御部12は、電流値比較部86により比較される二つの電流値の差が所定の閾値を超えた場合に、報知部105に記録ヘッド61の駆動状態が異常であることを報知させることで、ユーザは報知部105から記録ヘッド61に異常があることを知ることができる。
【0052】
また、制御部12は、複数回のインク吐出での比較結果を用いて記録ヘッド61の駆動状態を判定することもできるので、このような手法をとることで記録ヘッド61の駆動状態の判定精度を向上させることができる。
【0053】
また、保護回路部90を備えることにより、電圧値検出部89により駆動電圧が検出されなくなった場合に、保護回路部90は、電流値比較部86による比較結果を記憶部87に記憶させることができる。
これにより、記録ヘッド61が破壊されて駆動電圧が印加されなくなった、駆動パルス生成部100と記録ヘッド61との間でショートした場合において、比較結果が消えてしまう前に保護回路部90が記憶部87に記憶させることができるので、突発的なトラブルにも対応することができる。
【0054】
<その他>
なお、本発明は、上記実施形態に限られるものではなく、発明の本質的部分を変更しない範囲内で自由に設計変更が可能である。
例えば、検査装置においては、各インク吐出毎の平均電流値を用いて記録ヘッドの検査を行っていたが、インク吐出時の最大電流値や、電流波形の傾きを用いてもよい。
具体的には、最大電流値を用いる場合には、電流値検出部は電流波形のピークの電流値を検出し、電流値記憶部には、全ノズルからインクが正常に吐出されるときに流れる最大電流値が記憶される。
【0055】
また、記録ヘッドの検査方法としては、上記の方法の他にも、記録ヘッドのメンテナンス時に図11に示すような検査を行うこともできる。
具体的には、図11に示すように、一つのノズル毎にインクを吐出させ、吐出時に取得した電流波形を観察する。図11(a)(b)に示すように、電流が流れていれば電流波形も通常のピークを有する波形となるので、そのノズルは正常なインク吐出が行われていると判定することができる。一方、図11(c)に示すように、電流が流れていなければ電流波形も正常な吐出時とは異なる形状(ピークがほとんどない形状)となるため、そのノズルはノズル欠やショート等の異常であり、インク吐出が行われていないと判定することができる。
このような方法により記録ヘッドのノズルを一つずつ個別に検査することで、吐出不良や破壊されたノズルを容易に特定することができる。この結果を制御部にフィードバックすることにより、異常のあるノズルを用いることなく記録を行うことができる。また、どのノズルに異常があるかに応じて記録時に補正をすることもできる。
また、上記実施形態においては、インクジェット記録装置としてプリンタ装置を例に挙げて説明したが、液晶カラーフィルタの塗布、回路基板パターン作成を行う他のインクジェット記録装置に適用することができる。
【符号の説明】
【0056】
1 インクジェット記録装置
8 検査装置
12 制御部
61 記録ヘッド
82 電流値検出部
83 電流値記憶部
84 ノズル積算部
85 電流値算出部
86 電流値比較部
87 比較結果記憶部(記憶部、外付記憶部)
89 電圧値検出部
90 保護回路部
100 駆動パルス生成部(電圧印加部)
105 報知部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
インクを吐出する複数のノズルを有する記録ヘッドと、
前記ノズルからインクを吐出させるために、前記記録ヘッドに駆動電圧を印加する電圧印加部と、
前記記録ヘッドによる一回のインク吐出毎の各ノズルのインク吐出の有無についての吐出データを前記記録ヘッドに送信する制御部と、を備えるインクジェット記録装置において、
前記電圧印加部により前記記録ヘッドに駆動電圧を印加した際に、前記記録ヘッドに流れる電流値を検出する電流値検出部と、
前記記録ヘッドの全ノズルからインクが正常に吐出されるときに前記記録ヘッドに流れる電流値を記憶する電流値記憶部と、
前記記録ヘッドによる一回のインク吐出毎に、インクの吐出を行うノズルの数を前記吐出データから積算するノズル積算部と、
全ノズル数に対する前記ノズル積算部により積算されたノズルの数の割合と前記電流値記憶部に記憶された電流値とから、一回のインク吐出毎に前記記録ヘッドに流れる電流値を算出する電流値算出部と、
前記電流値検出部により検出された電流値と、前記電流値算出部により算出された電流値とを比較する電流値比較部と、
を備えることを特徴とするインクジェット記録装置。
【請求項2】
前記電流値比較部による比較結果を記憶する記憶部を備えることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録装置。
【請求項3】
前記電流値比較部による比較結果を記憶する外付記憶部を接続自在としたことを特徴とする請求項1又は2に記載のインクジェット記録装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記電流値比較部により比較される二つの電流値の差が所定の閾値を超えた場合に、前記記録ヘッドの駆動を停止させることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のインクジェット記録装置。
【請求項5】
前記記録ヘッドの駆動状態に関する情報をユーザに報知する報知部を備え、
前記制御部は、前記電流値比較部により比較される二つの電流値の差が所定の閾値を超えた場合に、前記報知部に前記記録ヘッドの駆動状態が異常であることを報知させることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のインクジェット記録装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記記憶部又は前記外付記憶部に記憶された複数回のインク吐出の比較結果により前記記録ヘッドの駆動状態を判定することを特徴とする請求項3〜5のいずれか一項に記載のインクジェット記録装置。
【請求項7】
前記記録ヘッドにかかる駆動電圧を検出する電圧値検出部と、
前記電圧値検出部により駆動電圧が検出されなくなった場合に、前記電流値比較部による比較結果を前記記憶部又は前記外付記憶部に記憶させる保護回路部と、
を備えることを特徴とする請求項3〜6のいずれか一項に記載のインクジェット記録装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−93168(P2011−93168A)
【公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−248373(P2009−248373)
【出願日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ケーブルベア
【出願人】(000001270)コニカミノルタホールディングス株式会社 (4,463)
【Fターム(参考)】