説明

インクジェット記録装置

【課題】十分に光沢感のある記録を行なう。
【解決手段】インクジェット記録装置1は、主走査方向Sに移動可能なキャリッジ4と、キャリッジ4に搭載されてインク滴を吐出するインクジェットヘッド5と、キャリッジに搭載されて紫外線を照射する紫外線照射装置6とを備え、紫外線照射装置6は、下面に形成された凹部62に複数のUVLED63が副走査方向Fに配列され、隣接するUVLED63の間に主走査方向に延びる平板状の仕切板64が設けられる。そして、クリアインクを記録する際は、クリアインクを吐出するインクジェットヘッド5の第二吐出領域A2が位置するバンドに紫外線を照射するUVLED63e〜63hを消灯させる。これにより、第二吐出領域A2から吐出されたクリアインクがメディアMに着弾した直後に硬化せずに平滑化されるため、光沢感のある記録を行うことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紫外線硬化型インクを吐出するインクジェット記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、紫外線硬化型インクを用いたインクジェット記録装置が記載されている。このインクジェット記録装置に搭載されるキャリッジには、カラーインク用記録ヘッド、クリアインク用記録ヘッド及び紫外線照射装置が搭載されており、カラーインク用記録ヘッドより記録媒体搬送方向の下流側に紫外線照射装置が配置されるとともに、クリアインク用記録ヘッドより記録媒体搬送方向の下流側に紫外線照射装置が配置される。そして、カラーインク用記録ヘッドとクリアインク用記録ヘッドのうち先にインクを吐出する記録ヘッドと後にインクを吐出する記録ヘッドとの間に位置する紫外線照射装置による光の照射量を画質に応じて制御する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−199563号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載されたインクジェット記録装置では、キャリッジの1回の移動(走査)でクリアインクの吐出と紫外線の照射とを行うため、クリアインクのインク滴が記録媒体に着弾した直後に紫外線が照射される。これにより、クリアインクが平滑化(レベリング)される前に硬化するため、硬化により生じる硬化物の表面に凹凸ができてしまい、十分な光沢感が得られないという問題がある。
【0005】
ここで、本発明者らは、紫外線硬化型インクを用いたインクジェット記録装置において、印刷物の画質について誠意研究を行ったところ、紫外線硬化型インクの硬化条件により印刷物の画質に差が生じ、特にクリアインクを用いた記録において画像の画質をグロスにしたい場合は、インク滴がメディアに着弾した後、直ちにクリアインクを硬化させずに、所定時間経過した後にクリアインクを硬化させる必要があるとの知見を見出した。
【0006】
ただし、インク滴がメディアに着弾した後、クリアインクを硬化させるまでに所定時間経過させる場合には、その間にインク滴の表面に塵埃が付着して、グロス調印刷の画質を低下させてしまう問題も生じ得る。
【0007】
そこで、本発明は、このような知見に基づき、十分に光沢感のある記録が可能なインクジェット記録装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係るインクジェット記録装置は、主走査方向において往復移動可能なキャリッジと、キャリッジに搭載されて、記録媒体に紫外線硬化型インクを吐出するインクノズルが副走査方向に複数形成されたインク吐出手段と、キャリッジに搭載されて、記録媒体に紫外線を照射する紫外線照射手段と、インク吐出手段及び紫外線照射手段を制御する制御部と、を備え、キャリッジ又は記録媒体が主走査方向に直交する副走査方向に移動するインクジェット記録装置であって、インクノズルは、複数のバンドを記録可能なパスエリアが複数設けられ、紫外線照射手段は、複数のバンドにそれぞれ対応して紫外線を照射する複数の光源を有し、制御部は、紫外線硬化型インクを吐出するパスエリア毎に光源の点灯及び消灯を制御することを特徴とする。
【0009】
本発明に係るインクジェット記録装置によれば、紫外線照射手段の光源が複数のバンドにそれぞれ対応して設けられるため、バンド毎に紫外線の照射有無を制御することができる。このため、インク滴を吐出させるパスエリアが位置するバンドに紫外線を照射する光源を消灯させることで、当該パスエリアから吐出されたインク滴は、記録媒体に着弾した直後に硬化すること無く平滑化される。これにより、十分に光沢感のある記録が可能となる。一方、インク滴を吐出させるパスエリアが位置するバンドに紫外線を照射する光源を点灯させることで、当該パスエリアから吐出されたインク滴は、記録媒体に着弾した直後に硬化するため、マットな画質の画像を形成することができる。
【0010】
そして、複数のパスエリアのうち副走査方向の下流側に位置するパスエリアから紫外線硬化型インクを吐出させてバンドを記録する際に、当該バンドに紫外線を照射する光源を消灯させるとともに、複数のパスエリアのうち副走査方向の上流側に位置するパスエリアから紫外線硬化型インクを吐出させずに当該パスエリアにより記録されるバンドに紫外線を照射する光源を点灯させ、キャリッジを主走査方向に移動させることが好ましい。これにより、紫外線硬化型インクの記録直後は光源を消灯させることにより紫外線硬化型インクのレベリングが可能であり、しかも、紫外線硬化型インクによって全ての印刷領域を印刷した後に硬化させるのではなく、記録と硬化とが一回の走査程度のタイムラグで行われるため、紫外線硬化型インクを記録してから別工程で紫外線硬化型インクを硬化させるよりも、適度の濡れ広がりとなるため滲みや印刷範囲からのはみ出しが起こり難く、また、時間をかけずに硬化できるため埃の影響を最小限にとどめることができる。
【0011】
更に、有色の紫外線硬化型インクを下層とし透光性の紫外線硬化型インクを上層として、記録媒体に有色の紫外線硬化型インク及び透光性を有する紫外線硬化型インクを記録する場合に、制御部は、有色の紫外線硬化型インクを吐出するパスエリアが位置するバンドに紫外線を照射する光源を点灯させ、透光性を有する紫外線硬化型インクを吐出するパスエリアが位置するバンドに紫外線を照射する光源を消灯させることが好ましい。これにより、有色の紫外線硬化型インクは、パスエリアから吐出されたインク滴が記録媒体に着弾した直後に硬化するため、インクが滲むことなく鮮明なカラー画像を形成することができる。一方、透光性を有する紫外線硬化型インクは、パスエリアから吐出されたインク滴が記録媒体に着弾した直後に硬化すること無く平滑化されるため、下層に形成された画像などに十分な光沢感を与えることができる。
【0012】
そして、制御部は、キャリッジ又は記録媒体の副走査方向の下流側に配置されたパスエリアから透光性を有する紫外線硬化型インクを吐出させ、透光性を有する紫外線硬化型インクを吐出させるパスエリアが位置するバンドに紫外線を照射する光源を消灯させ、透光性を有する紫外線硬化型インクを吐出させるパスエリアの副走査方向の上流側に配置されたバンドに紫外線を照射する光源を点灯させることが好ましい。これにより、キャリッジ又は記録媒体を一方向に移動させながら走査を行うと、パスエリアから吐出された紫外線硬化型インクのインク滴は、記録媒体に着弾した直後に硬化することなく平滑化し、次回以降の走査において紫外線が照射されて硬化する。これにより、キャリッジ又は記録媒体の移動方向を変えることなく、紫外線硬化型インクを十分に平滑化した状態で硬化させることができるため、効率的に光沢感のある記録を行うことができる。このため、例えば、1層目に、有色の紫外線硬化型インクで画像を形成し、2層目に、透光性を有する紫外線硬化型インクでこの画像をコーティングして光沢性を与えることもでき、また、既に画像が形成された記録媒体に、1層目として透光性を有する紫外線硬化型インクでこの画像をコーティングして光沢性を与えることもできる。
【0013】
この場合、紫外線照射手段は、各パスエリアが位置する複数バンドに複数の光源が対応しており、制御部は、透光性を有する紫外線硬化型インクを吐出させるパスエリアの副走査方向の上流側に配置されたバンドに紫外線を照射する光源を点灯させるとともに、点灯させる光源のうち副走査方向の下流側の光源の光量を副走査方向の上流側の光源の光量よりも小さくすることが好ましい。これにより、透光性を有する紫外線硬化型インクに照射される紫外線の初期光量を小さくしつつ、透光性を有する紫外線硬化型インクに照射される紫外線の光量を走査毎に段階的に強くすることができるため、透光性を有する紫外線硬化型インクを急激に硬化させることによるバンディングの発生を防止しつつ、透光性を有する紫外線硬化型インクを確実に硬化させることができる。しかも、透光性を有する紫外線硬化型インクの硬化速度が遅くなるため、透光性を有する紫外線硬化型インクの下層に他の紫外線硬化型インクが記録されている場合は、この下層の紫外線硬化型インクとの接着性を向上させることができる。
【0014】
そして、制御部は、キャリッジ又は記録媒体の副走査方向の下流側に配置されたパスエリアから有色の紫外線硬化型インクを吐出させるとともに、有色の紫外線硬化型インクを吐出させる当該パスエリアが位置するバンドに紫外線を照射する光源を点灯させて、記録媒体に有色の紫外線硬化型インクを記録し、キャリッジ又は記録媒体の副走査方向の下流側に配置されたパスエリアから透光性を有する紫外線硬化型インクを吐出させるとともに、透光性を有する紫外線硬化型インクを吐出させる当該パスエリアの副走査方向の上流側に位置するバンドに紫外線を照射する光源を点灯させ、且つ、透光性を有する紫外線硬化型インクを吐出させる当該パスエリアが位置するバンドに紫外線を照射する光源を消灯させ、記録媒体に記録された有色の紫外線硬化型インクの上層に透光性を有する紫外線硬化型インクを記録することとしてもよい。
【0015】
これによれば、まず、有色の紫外線硬化型インクが記録媒体に記録されるが、この有色の紫外線硬化型インクは、記録媒体に着弾した直後に紫外線が照射されるため、インク滴の粒状感が残った状態で硬化する。そして、硬化した有色の紫外線硬化型インクの上層に透光性を有する紫外線硬化型インクが記録されるが、この透光性を有する紫外線硬化型インクは、記録媒体に着弾しても直ぐには紫外線が照射されないため、硬化することなく徐々に濡れ広がって厚みが小さくなり、表面の凹凸が平滑化される。これにより、記録された画像の視認性を確保しつつ、十分な光沢感を与えることができる。
【0016】
この場合、制御部は、キャリッジ又は記録媒体を副走査方向に移動させて、副走査方向前側に配置されたパスエリアから有色の紫外線硬化型インクを吐出させるとともに、有色の紫外線硬化型インクを吐出させる当該パスエリアが位置するバンドに紫外線を照射する光源を点灯させて、記録媒体に有色の紫外線硬化型インクを記録し、キャリッジ又は記録媒体を副走査方向の反対方向に移動させて、副走査方向後側に配置されたパスエリアから透光性を有する紫外線硬化型インクを吐出させるとともに、透光性を有する紫外線硬化型インクを吐出させる当該パスエリアの副走査方向の上流側に位置するバンドに紫外線を照射する光源を点灯させ、且つ、透光性を有する紫外線硬化型インクを吐出させる当該パスエリアが位置するバンドに紫外線を照射する光源を消灯させ、記録媒体に記録された有色の紫外線硬化型インクの上層に透光性を有する紫外線硬化型インクを記録することが好ましい。
【0017】
このように、副走査方向前側に配置されたパスエリアから有色の紫外線硬化型インクを吐出し、副走査方向後側に配置されたパスエリアから透光性を有する紫外線硬化型インクを吐出することで、キャリッジ又は記録媒体が副走査方向に移動する際に、有色の紫外線硬化型インクが記録媒体に記録され、キャリッジ又は記録媒体が副走査方向の反対方向に移動する際に、記録媒体に記録された有色の紫外線硬化型インクの上層に透光性を有する紫外線硬化型インクが記録される。このように、キャリッジ又は記録媒体の一度の往復で、画像の形成と光沢感の付与とを行うことができるため、光沢感のある画像の記録を効率的に行うことができる。
【0018】
また、制御部は、キャリッジ又は記録媒体の副走査方向の下流側に配置されたパスエリアから有色の紫外線硬化型インクを吐出させ、キャリッジ又は記録媒体の副走査方向の上流側に配置されたパスエリアから透光性を有する紫外線硬化型インクを吐出させ、有色の紫外線硬化型インク及び透光性を有する紫外線硬化型インクを吐出させる当該パスエリアが位置するバンドに紫外線を照射する光源を点灯させて、記録媒体に有色の紫外線硬化型インクを記録するとともに、当該有色の紫外線硬化型インクの上層に透光性を有する紫外線硬化型インクを記録し、キャリッジ又は記録媒体の副走査方向の下流側に配置されたパスエリアから透光性を有する紫外線硬化型インクを吐出させるとともに、透光性を有する紫外線硬化型インクを吐出させる当該パスエリアの副走査方向の上流側に位置するバンドに紫外線を照射する光源を点灯させ、且つ、透光性を有する紫外線硬化型インクを吐出させる当該パスエリアが位置するバンドに紫外線を照射する光源を消灯させ、記録媒体に記録された透光性を有する紫外線硬化型インクの上層に透光性を有する紫外線硬化型インクを記録することとしてもよい。
【0019】
これによれば、記録媒体には、まず、有色の紫外線硬化型インクが記録媒体に記録されることで画像が形成され、この画像の上層に、透光性を有する紫外線硬化型インクが重ねられる。次に、この透光性を有する紫外線硬化型インクの上層に更に透光性を有する紫外線硬化型インクが記録されるが、この紫外線硬化型インクは、透光性を有するとともにインク滴が着弾した直後に硬化するため、記録媒体に記録された画像の視認性を保持しながら紫外線硬化型インクの厚さが増す。そして、この透光性を有する紫外線硬化型インクの上層に、更に透光性を有する紫外線硬化型インクが記録されるが、この透光性を有する紫外線硬化型インクは、記録媒体に着弾しても直ぐには紫外線が照射されないため、硬化することなく徐々に濡れ広がって厚みが小さくなり、表面の凹凸が平滑化される。これにより、記録された画像の視認性を確保しつつ紫外線硬化型インクの厚みを高くできるとともに、十分な光沢感を与えることができる。
【0020】
また、制御部は、下層に記録される紫外線硬化型インクを吐出するパスエリアが位置するバンドに紫外線を照射する光源を点灯させ、上層に記憶される紫外線硬化型インクを吐出するパスエリアが位置するバンドに紫外線を照射する光源を消灯させることが好ましい。これによれば、下層に記録される紫外線硬化型インクは粒状に硬化するため、上層に記録される紫外線硬化型インクは、下層の粒状に硬化した紫外線硬化型インクの間に滲み込みながら隣接するインク滴と結合しあうため、平準化が促進される。これにより、更に十光沢感のある記録が行える。
【0021】
また、前記キャリッジは、前記記録媒体側の空気を吸引する空気吸引手段をさらに有している構成としてもよい。
これによれば、記録媒体に吐出され紫外線照射手段によって硬化される前の紫外線硬化型インクの上面に塵埃が付着することを抑制することができる。
【0022】
この場合、前記空気吸引手段は、前記キャリッジの走査方向前端若しくは後端に配設されていることが好ましい。
これによれば、キャリッジを走査方向に走査して、塵埃を除去することが可能となる。
【0023】
また、前記キャリッジは、前記記録媒体側に気体を吹き出す送風手段をさらに有している構成としてもよい。
これによれば、記録媒体に吐出され紫外線照射手段によって硬化される前の紫外線硬化型インクの上面に塵埃が付着することを抑制することができる。
【0024】
この場合、前記送風手段は、前記キャリッジの走査方向前端若しくは後端に配設され、走査方向に対して直交方向に気体を吹き出すことが好ましい。
これによれば、気体を走査方向と直交方向に吹き出すことで、吐出され着弾する前のインク滴へ噴出した気体が直接当らないため、インク滴の所謂飛行曲がりを抑制することができる。
【0025】
あるいは、前記送風手段は、前記キャリッジの走査方向前端に配設され、走査方向前方に気体を吹き出すこととしてもよい。
これによれば、走査方向前方に気体を吹き出して、塵埃を除去することが可能となる。
【0026】
また、本発明に係るインクジェット記録装置は、前記記録媒体側の上面側に当該記録媒体と平行に気体を吹き出す送風手段を備えている構成としてもよい。
これによれば、記録媒体に吐出され紫外線照射手段によって硬化される前の紫外線硬化型インクの上面に塵埃が付着することを抑制することができる。
【0027】
また、本発明に係るインクジェット記録装置は、前記記録媒体側の上面側に当該記録媒体上の空気を吸引する吸引手段を備えている構成としてもよい。
これによれば、記録媒体に吐出され紫外線照射手段によって硬化される前の紫外線硬化型インクの上面に塵埃が付着することを抑制することができる。
【0028】
本発明に係る印刷方法は、上記の何れかのインクジェット記録装置を用いた印刷方法であって、透光性を有する紫外線硬化型インクを吐出するパスエリアが位置するバンドに紫外線を照射する光源を消灯させて、記録媒体に透光性を有する紫外線硬化型インクを記録し、透光性を有する紫外線硬化型インクを吐出するパスエリアよりもキャリッジ又は記録媒体の副走査方向の上流側に配置されたパスエリアが位置するバンドに紫外線を照射する光源を点灯させて、次回以降の走査時に、記録媒体に記録された紫外線硬化型インクを硬化させることを特徴とする。
【0029】
本発明に係る印刷方法によれば、パスエリアから吐出された紫外線硬化型インクのインク滴は、記録媒体に着弾した直後に硬化することなく平滑化し、次回以降の走査において紫外線が照射されて硬化する。これにより、十分に光沢感のある記録を行える。しかも、キャリッジ又は記録媒体の移動方向を変える必要が無いため、効率的に光沢感のある記録を行える。
【0030】
この場合、透光性を有する紫外線硬化型インクを吐出するパスエリアと隣接して副走査方向の上流側に配置されるパスエリアが位置するバンドに紫外線を照射する光源を点灯させて紫外線硬化型インクに紫外線を照射させるとともに、副走査方向の下流側に配置される光源から照射される紫外線の光量を副走査方向の上流側に配置される光源から照射される紫外線の光量よりも小さくすることが好ましい。これにより、透光性を有する紫外線硬化型インクに照射される紫外線の初期光量を小さくしつつ、透光性を有する紫外線硬化型インクに照射される紫外線の光量を走査毎に段階的に強くすることができるため、透光性を有する紫外線硬化型インクを急激に硬化させることによるバンディングの発生を防止しつつ、透光性を有する紫外線硬化型インクを確実に硬化させることができる。しかも、透光性を有する紫外線硬化型インクの硬化速度が遅くなるため、透光性を有する紫外線硬化型インクの下層に他の紫外線硬化型インクが記録されている場合は、この下層の紫外線硬化型インクとの接着性を向上させることができる。
【発明の効果】
【0031】
本発明によれば、十分に光沢感のある記録が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】実施形態に係るインクジェット記録装置を示す概略図である。
【図2】図1に示すキャリッジの拡大図である。
【図3】紫外線照射装置の下面斜視図である。
【図4】仕切板を取り外した紫外線照射装置の下面斜視図である。
【図5】図2に示すV−V線断面図である。
【図6】図2に示すVI−VI線断面図である。
【図7】全てのUVLED間に仕切板を取り付けたときの紫外線の照射方向を示した図である。
【図8】3枚の仕切板を等間隔に取り付けた紫外線照射装置の副走査方向における断面図である。
【図9】紫外線照射装置のインクジェットヘッドとの関係を示した図である。
【図10】マット画質モードにおける印刷処理方法を示すフローチャートである。
【図11】マット画質モードにおけるキャリッジの動作態様例を示す概念図である。
【図12】グロス画質モードにおける印刷処理方法を示すフローチャートである。
【図13】グロス画質モードにおけるキャリッジの動作態様例を示す概念図である。
【図14】UVLEDの点灯制御例を示す図である。
【図15】メディアに着弾したインク滴の状態を示した図である。
【図16】1層グロス画質モードにおける印刷処理方法を示すフローチャートである。
【図17】1層グロス画質モードにおけるキャリッジの動作態様例を示す概念図である。
【図18】厚盛り画質モードにおける印刷処理方法を示すフローチャートである。
【図19】厚盛り画質モードにおけるキャリッジの動作態様例を示す概念図である。
【図20】7枚の仕切板を取り付けた紫外線照射装置を示す図である。
【図21】仕切板が本体から凹部に出し入れ可能な紫外線照射装置の副走査方向における断面図である。
【図22】グロス画質モードの画像記録工程におけるUVLEDの点灯制御例を示す図である。
【図23】紫外線照射装置の他の構成例を示す図である。
【図24】実施形態に係るインクジェット記録装置の塵埃除去手段の例を示す概略図である。
【図25】実施形態に係るインクジェット記録装置の塵埃除去手段の他の例を示す概略図である。
【図26】実施形態に係るインクジェット記録装置の塵埃除去手段の他の例を示す概略図である。
【図27】実施形態に係るインクジェット記録装置の塵埃除去手段の他の例を示す概略図である。
【図28】実施形態に係るインクジェット記録装置の塵埃除去手段の他の例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、図面を参照して、本発明に係るインクジェット記録装置の好適な実施形態について詳細に説明する。実施形態に係るインクジェット記録装置は、紫外線硬化型インクを用いて印刷を行うインクジェットプリンタであり、1バンドの画像を複数のパスで完成させるマルチパス印刷により画像を記録するものである。なお、全図中、同一又は相当部分には同一符号を付すこととする。
【0034】
図1は、実施形態に係るインクジェット記録装置を示す概略図であり、図2は、図1に示すキャリッジの拡大図である。図1及び図2に示すように、本実施形態に係るインクジェット記録装置1は、記録媒体であるメディアMが載置されるフラットベッド2と、フラットベッド2の上方に配置されて副走査方向Fに移動可能なYバー3と、Yバー3に搭載されて副走査方向Fに直交する主走査方向Sに移動可能なキャリッジ4と、キャリッジ4に搭載されてインク滴を吐出する複数のインクジェットヘッド5(5a〜5f)と、キャリッジ4に搭載されてインクジェットヘッド5の主走査方向S前方(図1において左側)及び後方(図1において右側)に配置された一対の紫外線照射装置6(6a及び6b)と、インクジェット記録装置1を統括制御する制御部7と、を備える。さらに、塵埃除去手段(詳細は後述)を備える構成としてもよい。なお、主走査方向Sとは、キャリッジ4を往復させてメディアMに画像のバンドを記録する方向であり、副走査方向Fとは、メディアMに対してYバー3を相対的に移動させてメディアMに記録するバンドの位置をずらしていく方向である。そして、このインクジェット記録装置1は、制御部7による制御の下、Yバー3を副走査方向Fに所定のパス幅分ずつ搬送しつつ、キャリッジ4を主走査方向Sに往復動させる際に、インクジェットヘッド5から紫外線硬化型インクを吐出するとともに、紫外線照射装置6から紫外線を照射させることで、メディアに画像が記録される。なお、主走査方向Sにおいて前方とは、キャリッジ4が主走査方向Sに向けて移動する方向(図1において左側)であり、主走査方向Sにおいて後方とは、キャリッジ4が主走査方向Sの反対方向に向けて移動する方向(図1において右側)である。また、副走査方向Fにおいて前方とは、Yバー3が副走査方向Fに向けて移動する方向(図1において上側)であり、副走査方向Fにおいて後方とは、Yバー3が副走査方向Fの反対方向に向けて移動する方向(図1において下側)である。
【0035】
Yバー3は、キャリッジ4をフラットベッド2に対して副走査方向Fに搬送するものである。Yバー3は、例えば、副走査方向Fに延びるガイドレール(不図示)に移動可能に載置されて、駆動モータなどの駆動機構(不図示)により駆動されることで、ガイドレールに沿った副走査方向Fへの往復移動が可能となる。なお、Yバー3が副走査方向Fに移動する往動時は、副走査方向F後側がYバー3の副走査方向Fの上流側となり、副走査方向F前側がYバー3の副走査方向Fの下流側となる。また、Yバー3が副走査方向Fの反対方向に移動する復動時は、副走査方向F前側がYバー3の副走査方向Fの上流側となり、副走査方向F後側がYバー3の副走査方向Fの下流側となる。
【0036】
キャリッジ4は、インクジェットヘッド5及び紫外線照射装置6等をフラットベッド2に対して主走査方向Sに搬送するものである。キャリッジ4は、例えば、主走査方向Sに延びるガイドレール9に移動可能に保持されて、駆動モータなどの駆動機構(不図示)により駆動されることで、ガイドレール9に沿った主走査方向Sへの往復移動が可能となる。なお、キャリッジ4が主走査方向Sに移動する往動時は、主走査方向S後側がキャリッジ4の主走査方向Sの上流側となり、主走査方向S前側がキャリッジ4の主走査方向Sの下流側となる。また、キャリッジ4が主走査方向Sの反対方向に移動する復動時は、主走査方向S前側がキャリッジ4の主走査方向Sの上流側となり、主走査方向S後側がキャリッジ4の主走査方向Sの下流側となる。
【0037】
インクジェットヘッド5a〜5fは、主走査方向Sに沿って併設されており、主走査方向S前側から、インクジェットヘッド5a、インクジェットヘッド5b、インクジェットヘッド5c、インクジェットヘッド5d、インクジェットヘッド5e及びインクジェットヘッド5fの順に配列されている。なお、各インクジェットヘッド5は、キャリッジ4に搭載されているため、キャリッジ4の走査に伴い、主走査方向S移動しながら紫外線硬化型インクを吐出することが可能となっている。
【0038】
各インクジェットヘッド5には、紫外線硬化型インクをインク滴として吐出する複数のインクノズル8が形成されている。この複数のインクノズル8は、副走査方向Fに延びるように配列されてノズル列を構成している。主走査方向S前側に配置されたインクジェットヘッド5a〜5dの各インクノズル8からは、有色の紫外線硬化型インク(以下「カラーインク」ともいう)が吐出され、主走査方向S後側に配置されたインクジェットヘッド5e及び5fの各インクノズル8からは、透光性を有する紫外線硬化型インク(以下「クリアインク」ともいう)が吐出される。具体的に説明すると、インクジェットヘッド5aの各インクノズル8からはブラック(K)のカラーインクが吐出され、インクジェットヘッド5bの各インクノズル8からはシアン(C)のカラーインクが吐出され、インクジェットヘッド5cの各インクノズル8からはマゼンタ(M)のカラーインクが吐出され、インクジェットヘッド5dの各インクノズル8からはイエロー(Y)のカラーインクが吐出される。また、インクジェットヘッド5e及び5fの各インクノズル8からは、クリアインク(CL)が吐出される。
【0039】
そして、インクジェットヘッド5a〜5dに形成されるインクノズル8のうち、副走査方向Fにおいて前半分に配置される第一吐出領域A1のインクノズル8からのみカラーインクが吐出され、副走査方向Fにおいて後半分に配置されるインクノズル8からはカラーインクが吐出されない。一方、インクジェットヘッド5e及び6fに形成されるインクノズル8のうち、副走査方向Fにおいて後半分に配置される第二吐出領域A2のインクノズル8からのみクリアインクが吐出され、副走査方向Fにおいて前半分に配置されるインクノズル8からはクリアインクが吐出されない。このため、Yバー3を副走査方向Fに移動されると、フラットベッド2に載置されたメディアMには、まず、インクジェットヘッド5a〜5dの第一吐出領域A1から吐出されたカラーインクのインク滴が記録され、その後、インクジェットヘッド5e及び5fの第二吐出領域A2から吐出されたクリアインクのインク滴がカラーインクの表面(上層)に記録される。
【0040】
紫外線照射装置6aは、インクジェットヘッド5の主走査方向S前方に配置され、紫外線照射装置6bは、インクジェットヘッド5の主走査方向S後方に配置される。紫外線照射装置6a及び紫外線照射装置6bは、同一に構成されており、メディアに記録された紫外線硬化型インクに紫外線を照射して、この紫外線硬化型インクを硬化させるものである。このため、以下では、紫外線照射装置6a及び紫外線照射装置6bを纏めて、紫外線照射装置6として説明する。なお、紫外線照射装置6は、キャリッジ4に搭載されているため、キャリッジ4の走査に伴い、主走査方向S移動しながら紫外線を出射することが可能となっている。
【0041】
図3は、紫外線照射装置の下面斜視図であり、図4は、仕切板を取り外した紫外線照射装置の下面斜視図である。図5は、図2に示すV−V線断面図であり、図6は、図2に示すVI−VI線断面図である。
【0042】
図2〜図6に示すように、紫外線照射装置6は、本体61と、フラットベッド2に対向する本体61のメディアMに対向する側である下面に形成された凹部62と、凹部62内に配置された複数のUVLED63(紫外線発光ダイオード)と、凹部62内に配置された複数の仕切板64と、を備える。
【0043】
図5に示すように、凹部62は、UVLED63から出射されて主走査方向Sに広がる紫外線をフラットベッド2に向けて鉛直方向下方に反射するものであり、鏡面処理が施されている。凹部62は、副走査方向Fに細長いすり鉢状に形成されている。具体的に説明すると、凹部62は、底部が小さく開口側が大きい四角錐台であって、各内側面が鉛直方向下方に対して約60°の角度で広がる傘状に形成されている。このため、凹部62は、主走査方向Sの断面が幅の狭い台形となり(図5参照)、副走査方向Fの断面が幅の広い台形となる(図6参照)。
【0044】
そして、凹部62の下端面に形成される長方形の開口には、鉛直方向下方から紫外線透光性を有する透明のカバー65(例えば石英ガラス)がはめ込まれている。これにより、凹部62の開口を塞ぎつつ、UVLED63から出射された紫外線を透過させることが可能となっている。
【0045】
各UVLED63は、凹部62の中央底部の最も凹んだ位置に配置されており、副走査方向Fに沿って等間隔に一列に配列されている。そして、主走査方向Sにおいて、インクジェットヘッド5a〜5dの第一吐出領域A1及びインクジェットヘッド5e及び5fの第二吐出領域A2と対応する位置に、それぞれ複数のUVLED63が配置されている。
【0046】
ところで、インクジェット記録装置1によりマルチパス印刷を行う場合、複数のパスで、第一吐出領域A1及び第二吐出領域A2から吐出されたインク滴によりそれぞれ複数のバンドを記録することが可能となる。このため、第一吐出領域A1及び第二吐出領域A2は、パスエリアとなる。
【0047】
そこで、本実施形態では、紫外線照射装置6に8個のUVLED63を搭載し、主走査方向Sにおいて、第一吐出領域A1及び第二吐出領域A2と対応する位置に、それぞれ4個のUVLED63を配置する。ここで、第一吐出領域A1と対応する位置に、それぞれ4個のUVLED63を配置するとは、第一吐出領域A1から吐出され、メディアMに着弾したインク滴を4個のUVLED63、すなわち、UVLED63a,63b,63c,63dによって硬化可能な配置関係のことであり、キャリッジ4を主走査方向Sに移動させながら第一吐出領域A1からインク滴を吐出してバンドを記録する場合に、第一吐出領域A1によって記録されたバンドを、紫外線を照射し硬化可能な位置に、UVLED63a,63b,63c,63dを配置することである。また、第二吐出領域A2と対応する位置に、それぞれ4個のUVLED63を配置するとは、第二吐出領域A2から吐出され、メディアMに着弾したインク滴を4個のUVLED63、すなわち、UVLED63e,63f,63g,63hによって硬化可能な配置関係のことであり、キャリッジ4を主走査方向Sに移動させながら第二吐出領域A2からインク滴を吐出してバンドを記録する場合に、第二吐出領域A2によって記録されたバンドを、紫外線を照射し硬化可能な位置に、UVLED63e,63f,63g,63hを配置することである。第一吐出領域A1に対応する位置に配置されるUVLED63は、副走査方向F前側から、UVLED63a、UVLED63b、UVLED63c、UVLED63dの順に配列され、第二吐出領域A2に対応する位置に配置されるUVLED63は、副走査方向F前側から、UVLED63e、UVLED63f、UVLED63g、UVLED63hの順に配列される。このため、8パスのマルチパス印刷を行う場合は、1バンドに1個のUVLED63が対応付けられ、4パスのマルチパス印刷を行う場合は、1バンドに2個のUVLED63が対応付けられ、2パスのマルチパス印刷を行う場合は、1バンドに4個のUVLED63が対応付けられる。
【0048】
なお、各UVLED63からは指向性の高い紫外線が照射されるため、鉛直方向に対して60°傾斜した方向の照度は、鉛直方向の照度に対して50%程度となる。
【0049】
仕切板64は、紫外線の副走査方向Fへの照射を制御するものであり、鉛直方向に立設されて主走査方向Sに延びる平板状に形成されている。仕切板64は、凹部62の主走査方向Sにおける断面と略同寸法の台形に形成されており、凹部62の内側面に密着して凹部62の底部から開口の近傍に至る形状となっている。このため、凹部62に仕切板64を取り付けることで、凹部62と仕切板64との間が隙間無く閉ざされ、凹部62と仕切板64との間から紫外線が漏れ出さない構造となり、遮蔽部として機能する。なお、仕切板64は、凹部62の開口にカバー65を嵌め込むのに支障をきたさない範囲で、凹部62の開口側に最大限延ばすことが好ましく、例えば、凹部62の開口にカバー65を嵌め込んだときに丁度仕切板64がカバー65に当接する寸法としてもよい。
【0050】
この仕切板64は、隣接するUVLED63の間に配置されて、紫外線照射装置6に対して個別に挿抜可能に取り付けられている。このため、8個のUVLED63が搭載された紫外線照射装置6には、最大7枚の仕切板64が取り付けられ(図3参照)、全ての仕切板64を取り外すことも可能となっている(図4参照)。
【0051】
図7は、全てのUVLED間に仕切板を取り付けたときの紫外線の照射方向を示した図である。図7に示すように、全てのUVLED63間に仕切板64を取り付けると、各UVLED63から出射された紫外線は、鉛直方向下方にのみ進行し、副走査方向Fの前後に隣接するUVLED63の鉛直方向下方へ侵入するのが阻止される。このため、メディアMには、鉛直方向上方に配置されたUVLED63からのみ紫外線が照射され、副走査方向F前後に隣接配置されたUVLED63からは紫外線が照射されない。
【0052】
制御部7は、Yバー3、キャリッジ4、インクジェットヘッド5、紫外線照射装置6などを制御して、フラットベッド2に載置されたメディアMに画像等を記録する印刷制御を行うものである。そして、制御部7は、これらの制御により、マット、グロス、厚塗りの画質の記録を行う。なお、マットの画像を形成するモードをマット画質モード、グロスの画像を形成するモードをグロス画質モード、画像を形成することなくグロスの画質の記録のみを行う1層グロス画質モード、厚盛りの画像を形成するモードを厚盛り画質モードという。この制御部7は、例えば、CPU、ROM、RAMを含むコンピュータを主体として構成されており、上述した制御部7の各制御は、CPUやRAM上に所定のコンピュータソフトウェアを読み込ませ、CPUの制御のもとで動作させることで実現される。
【0053】
次に、インクジェット記録装置1が塵埃除去手段を備える場合の実施例について説明する。当該塵埃除去手段は記録媒体(ここでは、メディアM)上から塵埃を除去することによって、もしくは、メディアM上への塵埃の進入を防止することによって、メディアM上における塵埃除去作用を生じさせ、インク滴への塵埃の付着を防ぐ機構である。以下、代表的な実施例について説明する。
【0054】
図24は、インクジェット記録装置1が塵埃除去手段の第1実施例としての空気吸引手段12を備える場合の例を示す概略図である。同図24に示すように、空気吸引手段12は、キャリッジ4に設けられている。例えば、当該空気吸引手段12は、キャリッジ4の走査方向(ここでは主走査方向S)の前端若しくは後端に配設される構成が好適である。前端に設ける場合の例が空気吸引手段12(12a)であり、後端に設ける場合の例が空気吸引手段12(12b)であるが、説明の便宜上、共に一図の中(図24中)に図示をしている。
【0055】
空気吸引手段12として、ファン、ポンプ等、公知の吸引機構、減圧機構を採用することができる。その作用として、キャリッジ4からクリアインクのインク滴が吐出される前、吐出されている状態、若しくは吐出された後において、当該空気吸引手段12を動作させることによって、メディアM上の空気を吸引して当該空気中に存在する塵埃を吸引することができる。したがって、メディアM上に吐出されたクリアインクのインク滴が紫外線照射装置6によって硬化される前に塵埃が付着することを抑制することができる。
【0056】
図25(図25(a):上面図、図25(b):左側面図)は、インクジェット記録装置1が塵埃除去手段の第2実施例としての送風手段14を備える場合の例を示す概略図である。同図25に示すように、送風手段14(14a及び14b)は、キャリッジ4に設けられている。例えば、当該送風手段14は、キャリッジ4の走査方向(ここでは主走査方向S)の前端若しくは後端に配設される構成が好適である。前端に設ける場合の例が送風手段14(14a)であり、後端に設ける場合の例が送風手段14(14b)であるが、説明の便宜上、共に一図の中(図25(a)中)に図示をしている。
【0057】
送風手段14として、ファン等、公知の送風機構を採用することができる。その作用として、キャリッジ4からクリアインクのインク滴が吐出される前、吐出されている状態、若しくは吐出された後において、当該送風手段14を動作させることによって、メディアM上に基体を吹き出して当該メディアM上の空気中に存在する塵埃を除去することができる。したがって、メディアM上に吐出されたクリアインクのインク滴が紫外線照射装置6によって硬化される前に塵埃が付着することを抑制することができる。
【0058】
特に、送風手段14は、図25(a)、図25(b)に示すように、走査方向(ここでは主走査方向S)に対して直交方向に気体を吹き出す構成とすることが好適である。これによれば、気体を主走査方向Sと直交方向に吹き出すことで、吐出され着弾する前のインク滴へ噴出した気体が直接当らないため、インク滴の飛行曲がりを抑制することができる。
【0059】
なお、変形例として、図26に示すように、送風手段14(14c)は、キャリッジ4の走査方向(ここでは副走査方向F)の前端に配設される構成としてもよい。これによれば、副走査方向F前方に気体を吹き出して、メディアM上の空気中に存在する塵埃を除去することが可能となる。
【0060】
図27は、インクジェット記録装置1が塵埃除去手段の第3実施例としての送風手段16を備える場合の例を示す概略図である。同図27に示すように、送風手段16は、Yバー3に設けられている。
【0061】
なお、送風手段16は、前記送風手段14と同様に、ファン等、公知の送風機構を採用することができる。その作用として、キャリッジ4からクリアインクのインク滴が吐出される前、吐出されている状態、若しくは吐出された後において、当該送風手段16を動作させることによって、メディアM上に気体を吹き出して当該メディアM上の空気中に存在する塵埃を除去することができる。したがって、メディアM上に吐出されたクリアインクのインク滴が紫外線照射装置6によって硬化される前に塵埃が付着することを抑制することができる。
【0062】
なお、変形例として、送風手段16は、インクジェット記録装置1におけるYバー3、キャリッジ4以外の部位(例えば、フラットベッド2等)に配設される構成としてもよい(不図示)。
【0063】
図28は、インクジェット記録装置1が塵埃除去手段の第3実施例としての空気吸引手段18を備える場合の例を示す概略図である。同図28に示すように、空気吸引手段18は、Yバー3に設けられている。
【0064】
なお、空気吸引手段18は、前記空気吸引手段12と同様に、ファン、ポンプ等、公知の吸引機構、減圧機構を採用することができる。その作用として、キャリッジ4からクリアインクのインク滴が吐出される前、吐出されている状態、若しくは吐出された後において、当該空気吸引手段12を動作させることによって、メディアM上の空気を吸引して当該空気中に存在する塵埃を吸引することができる。したがって、メディアM上に吐出されたクリアインクのインク滴が紫外線照射装置6によって硬化される前に塵埃が付着することを抑制することができる。
【0065】
なお、変形例として、空気吸引手段18は、インクジェット記録装置1におけるYバー3、キャリッジ4以外の部位(例えば、フラットベッド2等)に配設される構成としてもよい(不図示)。
【0066】
例えば上記に例示される塵埃除去手段を備える構成によれば、以下の効果が奏される。すなわち、クリアインクのインク滴がメディアMに着弾した後、当該クリアインクを硬化させるまでに所定時間経過させる場合であっても、当該所定時間の間にインク滴の表面に塵埃が付着してグロス調印刷の画質が低下してしまうことの防止が可能となる。その結果、グロス調印刷の画質を高品質に保ち、十分に光沢感のある記録が実現可能となる。
【0067】
次に、インクジェット記録装置1を用いた印刷方法について説明する。この説明では、図8に示すように、紫外線照射装置6には、3枚の仕切板64を等間隔に取り付けるものとし、2パスでカラーインクによる画像の記録を行うとともに2パスでクリアインクによる画像のコーティングを行う4パスのマルチパス印刷を行うものとする。このため、図2における第一吐出領域A1及び第二吐出領域A2は、それぞれ2バンド分の記録を行う。そこで、図9に示すように、以下の説明では、便宜上、第一吐出領域A1における副走査方向F前半分を“第一吐出領域A1−a”、第一吐出領域A1における副走査方向F後半分を“第一吐出領域A1−b”、第二吐出領域A2における副走査方向F前半分を“第二吐出領域A2−a”、第二吐出領域A2における副走査方向F後半分を“第二吐出領域A2−b”とする。
【0068】
また、凹部62は、各仕切板64により、UVLED63aとUVLED63bとが配置されるエリアB1と、UVLED63cとUVLED63dとが配置されるエリアB2と、UVLED63eとUVLED63fとが配置されるエリアB3と、UVLED63gとUVLED63hとが配置されるエリアB4と、の4つのエリアに分割される。このため、図9に示すように、エリアB1は、第一吐出領域A1−aの1バンド分に対応し、エリアB2は、第一吐出領域A1−bの1バンド分に対応し、エリアB3は、第二吐出領域A2−aの1バンド分に対応し、エリアB4は、第二吐出領域A2−bの1バンド分に対応する。ここで、エリアB1が第一吐出領域A1−aの1バンド分に対応するとは、第一吐出領域A1−aから吐出されてメディアMに着弾したインク滴を2個のUVLED、すなわち、UVLED63a及び63bによって硬化可能な配置関係のことであり、エリアB2が第一吐出領域A1−bの1バンド分に対応するとは、第一吐出領域A1−bから吐出されてメディアMに着弾したインク滴を2個のUVLED、すなわち、UVLED63c及び63dによって硬化可能な配置関係のことであり、エリアB3が第二吐出領域A2−aの1バンド分に対応するとは、第二吐出領域A2−aから吐出されてメディアMに着弾したインク滴を2個のUVLED、すなわち、UVLED63e及び63fによって硬化可能な配置関係のことであり、エリアB4が第二吐出領域A2−bの1バンド分に対応するとは、第二吐出領域A2−bから吐出されてメディアMに着弾したインク滴を2個のUVLED、すなわち、UVLED63g及び63hによって硬化可能な配置関係のことである。このため、キャリッジ4を主走査方向Sに移動させながら第一吐出領域A1からインク滴を吐出してバンドを記録する場合に、第一吐出領域A1−aによって記録されたバンドを、紫外線を照射し硬化可能な位置に、エリアB1のUVLED63a及び63bが配置され、第一吐出領域A1−bによって記録されたバンドを、紫外線を照射し硬化可能な位置に、エリアB2のUVLED63c及び63dが配置され、第二吐出領域A2−aによって記録されたバンドを、紫外線を照射し硬化可能な位置に、エリアB3のUVLED63e及び63fが配置され、第二吐出領域A2−bによって記録されたバンドを、紫外線を照射し硬化可能な位置に、エリアB4のUVLED63g及び63hが配置される。
【0069】
なお、以下に説明するインクジェット記録装置1の印刷動作は、図2に示すように制御部7の制御により行われる。すなわち、制御部7において、CPUなどで構成される処理部(不図示)が、ROMなどの記憶装置に記録されたプログラムに従い、Yバー3、キャリッジ4、インクジェットヘッド5、紫外線照射装置6などを統括制御することで、以下の処理が行われる。
【0070】
[マット画質モード]
図10及び図11を参照して、マット画質モードにおける印刷処理方法を説明する。図10は、マット画質モードにおける印刷処理方法を示すフローチャートである。図11は、マット画質モードにおけるキャリッジの動作態様例を示す概念図である。図11において、太い矢印は、Yバー3の副走査方向Fにおける移動方向を示している。すなわち、図11では、Yバー3が副走査方向Fに移動することを示している。なお、マット画質モードでは、キャリッジ4を主走査方向Sに往動させるときにのみ紫外線硬化型インクを吐出させ、キャリッジ4を主走査方向Sの反対方向に復動させるときは紫外線硬化型インクを吐出させないものとする。
【0071】
マット画質モードでは、まず、メディアMをフラットベッド2に載置し、Yバー3を、メディアMの記録領域における副走査方向F後端部(印刷開始位置)にセットする。
【0072】
図11に示すように、1走査目では、キャリッジ4を主走査方向Sに往動させる際に、第一吐出領域A1−aからカラーインクのインク滴を吐出させるとともに、紫外線照射装置6bのエリアB1に配置されるUVLED63a及び63bを点灯させる(ステップS1)。また、キャリッジ4を主走査方向Sの反対方向に復動させる際に、ステップS1で記録したバンドに紫外線を照射するUVLED63を点灯させる(ステップS2)。なお、キャリッジ4を主走査方向Sの反対方向に復動させる際は、紫外線照射装置6a及び紫外線照射装置6bの双方のUVLED63を点灯させてもよく、何れか一方のUVLED63を点灯させてもよい。すると、第一吐出領域A1−aから吐出されたカラーインクにより1パス目の記録が行われ、このカラーインクは、メディアMに着弾した直後に紫外線が照射されて粒状に硬化する。
【0073】
キャリッジ4の主走査方向Sへの往復動が終了すると、次に、Yバー3を副走査方向Fに所定回数搬送したか否かを判定する(ステップS3)。ここで、マット画質モードでは、Yバー3を副走査方向Fに順次搬送しながら、印刷データを複数のバンドに分割して記録する。そして、各バンドには、始めの2走査でカラーインクによる2パスの記録を行い、その後の2走査でクリアインクによる2パスの記録を行うため、4走査で各バンドへの記録が完了する。このため、ステップS3においてYバー3を副走査方向Fに所定回数搬送したと判定するのは4走査目以降となり、マット画質モードにおいてYバー3を副走査方向Fに搬送する所定回数は、印刷データの分割数+3回となる。
【0074】
そして、今回の走査は1走査目であるため、Yバー3を副走査方向Fに所定回数搬送していないと判定し(ステップS3:NO)、Yバー3を副走査方向Fに1バンド分(パス幅)だけ搬送して(ステップS4)、ステップS1に戻る。すると、Yバー3に搭載されるキャリッジ4も副走査方向Fに1バンド分だけ移動するため、インクジェットヘッド5及び紫外線照射装置6が次のパスラインに対応付けられ、メディアへの記録位置が副走査方向F前方に進められる。
【0075】
2走査目では、キャリッジ4を主走査方向Sに往動させる際に、第一吐出領域A1−aからカラーインクのインク滴を吐出させるとともに、紫外線照射装置6bのエリアB1に配置されるUVLED63a及び63bを点灯させ、更に、第一吐出領域A1−bからカラーインクのインク滴を吐出させるとともに、紫外線照射装置6bのエリアB2に配置されるUVLED63c及び63dを点灯させる(ステップS1)。また、キャリッジ4を主走査方向Sの反対方向に復動させる際に、ステップS1で記録したバンドに紫外線を照射するUVLED63を点灯させる(ステップS2)。なお、キャリッジ4を主走査方向Sの反対方向に復動させる際は、紫外線照射装置6a及び紫外線照射装置6bの双方のUVLED63を点灯させてもよく、何れか一方のUVLED63を点灯させてもよい。すると、1走査目において第一吐出領域A1−aから吐出されたカラーインクにより1パス目の記録が行われたバンドに、第一吐出領域A1−bから吐出されたカラーインクにより2パス目の記録が行われ、このカラーインクは、メディアMに着弾した直後に紫外線が照射されて粒状に硬化する。これにより、当該バンドにおけるカラーインクによる画像の記録が完了する。また、この2走査目では、1走査目と同様に、第一吐出領域A1−aから吐出されたカラーインクにより1パス目の記録が行われる。
【0076】
キャリッジ4の主走査方向Sへの往復動が終了すると、今回の走査は2走査目であるため(ステップS3:NO)、Yバー3を副走査方向Fに1バンド分(パス幅)だけ搬送して(ステップS4)、ステップS1に戻る。すると、Yバー3に搭載されるキャリッジ4も副走査方向Fに1バンド分だけ移動するため、インクジェットヘッド5及び紫外線照射装置6が次のパスラインに対応付けられ、メディアへの記録位置が副走査方向F前方に進められる。
【0077】
3走査目では、キャリッジ4を主走査方向Sに往動させる際に、第一吐出領域A1−a及びA1−bからカラーインクのインク滴を吐出させるとともに、紫外線照射装置6bのエリアB1及びB2に配置されるUVLED63a〜63dを点灯させ、更に、第二吐出領域A2−aからクリアインクのインク滴を吐出させるとともに、紫外線照射装置6bのエリアB3に配置されるUVLED63e及び63fを点灯させる(ステップS1)。また、キャリッジ4を主走査方向Sの反対方向に復動させる際に、ステップS1で記録したバンドに紫外線を照射するUVLED63を点灯させる(ステップS2)。なお、キャリッジ4を主走査方向Sの反対方向に復動させる際は、紫外線照射装置6a及び紫外線照射装置6bの双方のUVLED63を点灯させてもよく、何れか一方のUVLED63を点灯させてもよい。すると、2走査目において第一吐出領域A1−bから吐出されたカラーインクにより2パス目の記録が行われたバンドに、第二吐出領域A2−aから吐出されたクリアインクにより3パス目の記録が行われ、このクリアインクは、メディアMに着弾した直後に紫外線が照射されて粒状に硬化する。これにより、画像にクリアインクによる1層目のコーティングが施される。また、この3走査目では、1走査目と同様に、第一吐出領域A1−aから吐出されたカラーインクにより1パス目の記録が行われ、2走査目と同様に、第一吐出領域A1−bから吐出されたカラーインクにより2パス目の記録が行われる。
【0078】
キャリッジ4の主走査方向Sへの往復動が終了すると、今回の走査は3走査目であるため(ステップS3:NO)、Yバー3を副走査方向Fに1バンド分(パス幅)だけ搬送して(ステップS4)、ステップS1に戻る。すると、Yバー3に搭載されるキャリッジ4も副走査方向Fに1バンド分だけ移動するため、インクジェットヘッド5及び紫外線照射装置6が次のパスラインに対応付けられ、メディアへの記録位置が副走査方向F前方に進められる。
【0079】
4走査目では、キャリッジ4を主走査方向Sに往動させる際に、第一吐出領域A1−a及びA1−bからカラーインクのインク滴を吐出させるとともに、紫外線照射装置6bのエリアB1及びB2に配置されるUVLED63a〜63dを点灯させ、第二吐出領域A2−aからクリアインクのインク滴を吐出させるとともに、紫外線照射装置6bのエリアB3に配置されるUVLED63e及び63fを点灯させ、更に、第二吐出領域A2−bからクリアインクのインク滴を吐出させるとともに、紫外線照射装置6bのエリアB4に配置されるUVLED63g及び63hを点灯させる(ステップS1)。また、キャリッジ4を主走査方向Sの反対方向に復動させる際に、ステップS1で記録したバンドに紫外線を照射するUVLED63を点灯させる(ステップS2)。なお、キャリッジ4を主走査方向Sの反対方向に復動させる際は、紫外線照射装置6a及び紫外線照射装置6bの双方のUVLED63を点灯させてもよく、何れか一方のUVLED63を点灯させてもよい。すると、前回の走査において第二吐出領域A2−aから吐出されたクリアインクにより3パス目の記録が行われたバンドに、第二吐出領域A2−bから吐出されたクリアインクにより4パス目の記録が行われ、このクリアインクは、メディアMに着弾した直後に紫外線が照射されて粒状に硬化する。これにより、画像にクリアインクによる2層目のコーティングが施され、当該バンドにおける全ての記録(紫外線硬化型インクの吐出と、紫外線の照射による紫外線硬化型インクの硬化)が終了する。また、この4走査目では、1走査目と同様に、第一吐出領域A1−aから吐出されたカラーインクにより1パス目の記録が行われ、2走査目と同様に、第一吐出領域A1−bから吐出されたカラーインクにより2パス目の記録が行われ、3走査目と同様に、第二吐出領域A2−aから吐出されたクリアインクにより3パス目の記録が行われる。
【0080】
キャリッジ4の主走査方向Sへの往復動が終了すると、今回の走査は4走査目であるため、次に、Yバー3を副走査方向Fに所定回数搬送したか否かを判定する(ステップS3)。
【0081】
そして、Yバー3を副走査方向Fに所定回数搬送していないと判定した場合は(ステップS3:NO)、Yバー3を副走査方向Fに1バンド分(パス幅)分だけ搬送して(ステップS4)、ステップS1に戻る。すると、キャリッジ4が副走査方向Fに1バンド分だけ移動するため、インクジェットヘッド5及び紫外線照射装置6が次のパスラインに対応付けられ、メディアへの記録位置が副走査方向F前方に進められる。そして、ステップS3においてYバー3が副走査方向Fに所定回数搬送したと判定されるまで、上述したステップS1〜ステップS3を繰り返す。
【0082】
一方、Yバー3を副走査方向Fに所定回数搬送したと判定した場合は(ステップS3:YES)、マット画質モードにおける印刷処理を終了する。
【0083】
これにより、メディアMに記録される画像の上層に表面が凹凸なクリアインクが記録されるため、画像の視認性を確保しつつ、この画像をマットに仕上げることができる。
【0084】
[グロス画質モード]
図12及び図13を参照して、グロス画質モードにおける印刷処理方法を説明する。図12は、グロス画質モードにおける印刷処理方法を示すフローチャートである。図13は、グロス画質モードにおけるキャリッジの動作態様例を示す概念図である。図13において、太い矢印は、Yバー3の副走査方向Fにおける移動方向を示している。すなわち、図13(a)では、Yバー3が副走査方向Fに移動することを示しており、図13(b)では、Yバー3が副走査方向Fの反対方向に移動することを示している。なお、グロス画質モードでは、キャリッジ4を主走査方向Sに往動させるときにのみ紫外線硬化型インクを吐出させ、キャリッジ4を主走査方向Sの反対方向に復動させるときは紫外線硬化型インクを吐出させないものとする。
【0085】
図12及び図13に示すように、グロス画質モードでは、まず、ステップS11〜ステップS14で、Yバー3を副走査方向Fに順次搬送させてカラーインクによる画像の記録を行い、次に、ステップS15〜ステップS18で、Yバー3を副走査方向Fの反対方向に順次搬送させてクリアインクによる画像のコーティングを行う。すなわち、グロス画質モードでは、副走査方向Fに搬送されるYバー3の往路においてカラーインクによる画像の記録を行い、副走査方向Fの反対方向に搬送されるYバー3の復路においてクリアインクによる画像のコーティングを行う。このため、ステップS11〜ステップS14を画像記録工程α1と称し、この画像記録工程α1におけるキャリッジの動作態様例を図13(a)に示す。また、ステップS15〜ステップS18をコーティング工程α2と称し、このコーティング工程α2におけるキャリッジの動作態様例を図13(b)に示す。
【0086】
以下、グロス画質モードにおける印刷処理方法について具体的に説明する。
【0087】
まず、メディアMをフラットベッド2に載置し、Yバー3を、メディアMの記録領域における副走査方向F後端部(印刷開始位置)にセットし、Yバー3を副走査方向Fに順次搬送しながら画像記録工程α1を行う。
【0088】
図13(a)に示すように、画像記録工程α1の1走査目では、キャリッジ4を主走査方向Sに往動させる際に、第一吐出領域A1−aからカラーインクのインク滴を吐出させるとともに、紫外線照射装置6bのエリアB1に配置されるUVLED63a及び63bを点灯させる(ステップS11)。また、キャリッジ4を主走査方向Sの反対方向に復動させる際に、ステップS11で記録したバンドに紫外線を照射するUVLED63を点灯させる(ステップS12)。なお、キャリッジ4を主走査方向Sの反対方向に復動させる際は、紫外線照射装置6a及び紫外線照射装置6bの双方のUVLED63を点灯させてもよく、何れか一方のUVLED63を点灯させてもよい。すると、第一吐出領域A1−aから吐出されたカラーインクにより1パス目の記録が行われ、このカラーインクは、メディアMに着弾した直後に紫外線が照射されて粒状に硬化する。
【0089】
キャリッジ4の主走査方向Sへの往復動が終了すると、次に、Yバー3を副走査方向Fに所定回数搬送したか否かを判定する(ステップS13)。ここで、画像記録工程α1では、Yバー3を副走査方向Fに順次搬送しながら、印刷データを複数のバンドに分割して記録する。そして、各バンドには、始めの2走査でカラーインクによる2パスの記録と紫外線の照射とを行い、更にその後の2走査でも紫外線の照射を行うため、4走査(4パス)で各バンドへの記録が完了する。このため、ステップS13においてYバー3を副走査方向Fに所定回数搬送したと判定するのは4走査目以降となり、画像記録工程α1においてYバー3を副走査方向Fに搬送する所定回数は、印刷データの分割数+3回となる。
【0090】
そして、今回の走査は画像記録工程α1の1走査目であるため、Yバー3を副走査方向Fに所定回数搬送していないと判定し(ステップS13:NO)、Yバー3を副走査方向Fに1バンド分(パス幅)だけ搬送して(ステップS14)、ステップS11に戻る。すると、Yバー3に搭載されるキャリッジ4も副走査方向Fに1バンド分だけ移動するため、インクジェットヘッド5及び紫外線照射装置6が次のパスラインに対応付けられ、メディアへの記録位置が副走査方向F前方に進められる。
【0091】
画像記録工程α1の2走査目では、キャリッジ4を主走査方向Sに往動させる際に、第一吐出領域A1−aからカラーインクのインク滴を吐出させるとともに、紫外線照射装置6bのエリアB1に配置されるUVLED63a及び63bを点灯させ、更に、第一吐出領域A1−bからカラーインクのインク滴を吐出させるとともに、紫外線照射装置6bのエリアB2に配置されるUVLED63c及び63dを点灯させる(ステップS11)。また、キャリッジ4を主走査方向Sの反対方向に復動させる際に、ステップS11で記録したバンドに紫外線を照射するUVLED63を点灯させる(ステップS12)。なお、キャリッジ4を主走査方向Sの反対方向に復動させる際は、紫外線照射装置6a及び紫外線照射装置6bの双方のUVLED63を点灯させてもよく、何れか一方のUVLED63を点灯させてもよい。すると、前回の走査において第一吐出領域A1−aから吐出されたカラーインクにより1パス目の記録が行われたバンドに、第一吐出領域A1−bから吐出されたカラーインクにより2パス目の記録が行われ、このカラーインクは、メディアMに着弾した直後に紫外線が照射されて粒状に硬化する。これにより、当該バンドにおけるカラーインクによる全ての記録(カラーインクの吐出と、紫外線の照射によるカラーインクの硬化)が終了する。また、この2走査目では、1走査目と同様に、第一吐出領域A1−aから吐出されたカラーインクにより1パス目の記録が行われる。
【0092】
そして、今回の走査は画像記録工程α1の2走査目であるため、Yバー3を副走査方向Fに所定回数搬送していないと判定し(ステップS13:NO)、Yバー3を副走査方向Fに1バンド分(パス幅)だけ搬送して(ステップS14)、ステップS11に戻る。すると、Yバー3に搭載されるキャリッジ4も副走査方向Fに1バンド分だけ移動するため、インクジェットヘッド5及び紫外線照射装置6が次のパスラインに対応付けられ、メディアへの記録位置が副走査方向F前方に進められる。
【0093】
画像記録工程α1の3走査目では、キャリッジ4を主走査方向Sに往動させる際に、第一吐出領域A1−a及びA1−bからカラーインクのインク滴を吐出させるとともに、紫外線照射装置6bのエリアB1及びB2に配置されるUVLED63a〜63dを点灯させ、更に、エリアB3に配置されるUVLED63e及び63fを点灯させる(ステップS11)。また、キャリッジ4を主走査方向Sの反対方向に復動させる際に、ステップS11で記録したバンドに紫外線を照射するUVLED63とエリアB3に配置されるUVLED63e及び63fとを点灯させる(ステップS12)。すると、前回の走査において第一吐出領域A1−bから吐出されたカラーインクにより2パス目の記録が行われたバンドに、3パス目として、エリアB3に配置されるUVLED63e及び63fから紫外線が照射され、当該バンドに記録されたカラーインクが更に硬化する。また、この3走査目では、1走査目と同様に、第一吐出領域A1−aから吐出されたカラーインクにより1パス目の記録が行われ、2走査目と同様に、第一吐出領域A1−bから吐出されたカラーインクにより2パス目の記録が行われる。
【0094】
そして、今回の走査は、画像記録工程α1の3走査目であるため、Yバー3を副走査方向Fに所定回数m搬送していないと判定し(ステップS13:NO)、Yバー3を副走査方向Fに1バンド分(パス幅)だけ搬送して(ステップS14)、ステップS11に戻る。すると、Yバー3に搭載されるキャリッジ4も副走査方向Fに1バンド分だけ移動するため、インクジェットヘッド5及び紫外線照射装置6が次のパスラインに対応付けられ、メディアへの記録位置が副走査方向F前方に進められる。
【0095】
画像記録工程α1の4走査目では、キャリッジ4を主走査方向Sに往動させる際に、第一吐出領域A1−a及びA1−bからカラーインクのインク滴を吐出させるとともに、紫外線照射装置6bのエリアB1及びB2に配置されるUVLED63a〜63dを点灯させ、エリアB3に配置されるUVLED63e及び63fを点灯させ、更に、エリアB4に配置されるUVLED63g及び63hを点灯させる(ステップS11)。また、キャリッジ4を主走査方向Sの反対方向に復動させる際に、ステップS11で記録したバンドに紫外線を照射するUVLED63とエリアB3及びB4に配置されるUVLED63e〜63hを点灯させる(ステップS12)。すると、前回の走査においてエリアB3に配置されるUVLED63e及び63fから紫外線が照射されたバンドに、4パス目として、エリアB4に配置されるUVLED63g及び63hから紫外線が照射され、当該バンドに記録されたカラーインクが更に硬化する。また、この4走査目では、1走査目と同様に、第一吐出領域A1−aから吐出されたカラーインクにより1パス目の記録が行われ、2走査目と同様に、第一吐出領域A1−bから吐出されたカラーインクにより2パス目の記録が行われ、3走査目と同様に、2パス目の記録が行われたバンドにエリアB4に配置されるUVLED63e及び63fから紫外線が照射される。
【0096】
キャリッジ4の主走査方向Sへの往復動が終了すると、今回の走査は画像記録工程α1の4走査目であるため、次に、Yバー3を副走査方向Fに所定回数搬送したか否かを判定する(ステップS13)。
【0097】
そして、Yバー3を副走査方向Fに所定回数搬送していないと判定した場合は(ステップS13:NO)、Yバー3を副走査方向Fに1バンド分(パス幅)分だけ搬送して(ステップS14)、ステップS11に戻る。すると、キャリッジ4が副走査方向Fに1バンド分だけ移動するため、インクジェットヘッド5及び紫外線照射装置6が次のパスラインに対応付けられ、メディアへの記録位置が副走査方向F前方に進められる。そして、ステップS13においてYバー3が副走査方向Fに所定回数搬送したと判定されるまで、上述したステップS11〜ステップS13を繰り返す。
【0098】
ここで、最終走査をm走査目とした場合に、画像記録工程α1により最終バンドを記録する方法について説明する。
【0099】
最終走査から2走査前の(m−2)走査目では、キャリッジ4を主走査方向Sに往動させる際に、第一吐出領域A1−aからのカラーインクの吐出を停止し、第一吐出領域A1−bからカラーインクのインク滴を吐出させるとともに、紫外線照射装置6bのエリアB2に配置されるUVLED63c及び63dを点灯させ、エリアB3及びB4に配置されるUVLED63e〜63hを点灯させる(ステップS11)。また、キャリッジ4を主走査方向Sの反対方向に復動させる際に、ステップS11で記録したバンドに紫外線を照射するUVLED63とエリアB3及びB4に配置されるUVLED63e〜63hとを点灯させる(ステップS12)。すると、前回の走査において第一吐出領域A1−aから吐出されたカラーインクにより1パス目の記録が行われた最終バンドに、第一吐出領域A1−aから吐出されたカラーインクにより2パス目の記録が行われる。また、前回の走査において第一吐出領域A1−bから吐出されたカラーインクにより2パス目の記録が行われたバンドに、エリアB3に配置されるUVLED63e及び63fから紫外線が照射され、エリアB3に配置されるUVLED63e及び63fから紫外線が照射されたバンドに、エリアB4に配置されるUVLED63g及び63hから紫外線が照射される。
【0100】
最終走査から1走査前の(m−1)走査目では、キャリッジ4を主走査方向Sに往動させる際に、第一吐出領域A1−a及びA1−bからのカラーインクの吐出を停止し、エリアB3及びB4に配置されるUVLED63e〜63hを点灯させる(ステップS11)。また、キャリッジ4を主走査方向Sの反対方向に復動させる際に、エリアB3及びB4に配置されるUVLED63e〜63hを点灯させる(ステップS12)。すると、前回の走査において第一吐出領域A1−bから吐出されたカラーインクにより2パス目の記録が行われた最終バンドに、エリアB3に配置されるUVLED63e及び63fから紫外線が照射される。また、前回の走査においてエリアB3に配置されるUVLED63e及び63fから紫外線が照射されたバンドに、エリアB4に配置されるUVLED63g及び63hから紫外線が照射される。
【0101】
最終走査であるm走査目では、キャリッジ4を主走査方向Sに往動させる際に、第一吐出領域A1−a及びA1−bからのカラーインクの吐出を停止し、エリアB3に配置されるUVLED63e及び63fを消灯させ、エリアB4に配置されるUVLED63g及び63hのみを点灯させる(ステップS11)。また、キャリッジ4を主走査方向Sの反対方向に復動させる際に、エリアB4に配置されるUVLED63g及び63hのみを点灯させる(ステップS12)。すると、前回の走査においてエリアB3に配置されるUVLED63e及び63fから紫外線が照射された最終バンドに、エリアB4に配置されるUVLED63g及び63hから紫外線が照射される。
【0102】
これにより、第二吐出領域A2−bが最終バンドのパスラインに配置された状態で、画像記録工程α1が終了する。
【0103】
一方、Yバー3を副走査方向Fに所定回数搬送したと判定した場合は(ステップS13:YES)、次に、Yバー3を副走査方向Fの反対方向に順次搬送しながらコーティング工程α2を行う。
【0104】
図13(b)に示すように、コーティング工程α2の1走査目では、キャリッジ4を主走査方向Sに往動させる際に、第二吐出領域A2−bからクリアインクのインク滴を吐出させるとともに、紫外線照射装置6a及び紫外線照射装置6bのエリアB4に配置されるUVLED63g及び63hを消灯させる(ステップS15)。また、キャリッジ4を主走査方向Sの反対方向に復動させる際に、ステップS15でクリアインクを記録したバンドに配置されるUVLED63g及び63hを消灯させる(ステップS16)。このとき、第二吐出領域A2−bは、画像記録工程α1における最終バンドのパスラインに配置されている。このため、画像記録工程α1の最終バンドであって最も副走査方向F前方に配置されるバンドに、第二吐出領域A2−bから吐出されたクリアインクにより5パス目の記録が行われる。このとき、第二吐出領域A2−bから吐出されたクリアインクが記録されるバンドに紫外線を照射するエリアB4に配置されるUVLED63g及び63hは消灯しているため、メディアMに着弾した5パス目のクリアインクは、硬化することなく徐々に濡れ広がって厚みが小さくなり、表面の凹凸が平滑化される。なお、1走査目では、エリアB1及びB2に配置されるUVLED63a〜dを点灯させてもよく、消灯させてもよい。
【0105】
キャリッジ4の主走査方向Sへの往復動が終了すると、次に、Yバー3を副走査方向Fの反対方向に所定回数搬送したか否かを判定する(ステップS17)。ここで、コーティング工程α2では、Yバー3を副走査方向Fの反対方向に順次搬送しながら、印刷データを複数のバンドに分割して記録する。そして、各バンドには、始めの2走査でクリアインクによる2パスの記録を行い、その後の2走査で各バンドに記録されたクリアインクに紫外線を照射するため、4走査(4パス)で各バンドへの記録が完了する。このため、ステップS17においてYバー3を副走査方向Fの反対方向に所定回数搬送したと判定するのは4走査目以降となり、コーティング工程α2においてYバー3を副走査方向Fの反対方向に搬送する所定回数は、印刷データの分割数+3回となる。
【0106】
そして、今回の走査はコーティング工程α2の1走査目であるため、Yバー3を副走査方向Fの反対方向に所定回数搬送していないと判定し(ステップS17:NO)、Yバー3を副走査方向Fの反対方向に1バンド分(パス幅)だけ搬送して(ステップS18)、
ステップS15に戻る。すると、Yバー3に搭載されるキャリッジ4も副走査方向Fの反対方向に1バンド分だけ移動するため、インクジェットヘッド5及び紫外線照射装置6が次のパスラインに対応付けられ、メディアへの記録位置が副走査方向Fの反対方向に進められる。
【0107】
コーティング工程α2の2走査目では、キャリッジ4を主走査方向Sに往動させる際に、第二吐出領域A2−bからクリアインクのインク滴を吐出させるとともに、紫外線照射装置6a及び紫外線照射装置6bのエリアB4に配置されるUVLED63g及び63hを消灯させ、更に、第二吐出領域A2−aからクリアインクのインク滴を吐出させるとともに、紫外線照射装置6a及び紫外線照射装置6bのエリアB3に配置されるUVLED63e及び63fを消灯させる(ステップS15)。また、キャリッジ4を主走査方向Sの反対方向に復動させる際に、ステップS15でクリアインクを記録したバンドに配置されるUVLED63e〜63hを消灯させる(ステップS16)。すると、1走査目において第二吐出領域A2−bから吐出されたクリアインクにより5パス目の記録が行われたバンドに、第二吐出領域A2−aから吐出されたクリアインクにより6パス目の記録が行われる。このとき、第二吐出領域A2−aから吐出されたクリアインクが記録されるバンドに紫外線を照射するエリアB3に配置されるUVLED63e及び63fは消灯しているため、メディアMに着弾した6パス目のクリアインクは、硬化することなく5パス目のクリアインクとともに徐々に濡れ広がって厚みが小さくなり、表面の凹凸が平滑化される。また、この2走査目では、1走査目と同様に、第二吐出領域A2−bから吐出されたクリアインクにより5パス目の記録が行われる。なお、2走査目では、エリアB1及びB2に配置されるUVLED63a〜63dを点灯させてもよく、消灯させてもよい。
【0108】
キャリッジ4の主走査方向Sへの往復動が終了すると、今回の走査はコーティング工程α2の2走査目であるため(ステップS17:NO)、Yバー3を副走査方向Fの反対方向に1バンド分(パス幅)だけ搬送して(ステップS18)、ステップS15に戻る。すると、Yバー3に搭載されるキャリッジ4も副走査方向Fの反対方向に1バンド分だけ移動するため、インクジェットヘッド5及び紫外線照射装置6が次のパスラインに対応付けられ、メディアへの記録位置が副走査方向Fの反対方向に進められる。
【0109】
コーティング工程α2の3走査目では、キャリッジ4を主走査方向Sに往動させる際に、第二吐出領域A2−a及びA2−bからクリアインクのインク滴を吐出させるとともに、紫外線照射装置6a及び紫外線照射装置6bのエリアB3及びB4に配置されるUVLED63e〜63hを消灯させ、更に、エリアB2に配置されるUVLED63c及び63dを点灯させる(ステップS15)。また、キャリッジ4を主走査方向Sの反対方向に復動させる際に、エリアB2に配置されるUVLED63c及び63dを点灯させる(ステップS16)。なお、点灯させるUVLED63c及び63dは、紫外線照射装置6a及び紫外線照射装置6bの双方であってもよく、何れか一方であってもよい。すると、1走査前である2走査目において第二吐出領域A2−aから吐出されたクリアインクにより6パス目の記録が行われたバンドに、7パス目として、エリアB2に配置されるUVLED63c及び63dから紫外線が照射され、5パス目及び6パス目のクリアインクが十分に平滑化された状態で硬化し始める。また、この3走査目では、1走査目と同様に、第二吐出領域A2−bから吐出されたクリアインクにより5パス目の記録が行われ、2走査目と同様に、第二吐出領域A2−aから吐出されたクリアインクにより6パス目の記録が行われる。
【0110】
キャリッジ4の主走査方向Sへの往復動が終了すると、今回の走査はコーティング工程α2の3走査目であるため(ステップS17:NO)、Yバー3を副走査方向Fの反対方向に1バンド分(パス幅)だけ搬送して(ステップS18)、ステップS15に戻る。すると、Yバー3に搭載されるキャリッジ4も副走査方向Fの反対方向に1バンド分だけ移動するため、インクジェットヘッド5及び紫外線照射装置6が次のパスラインに対応付けられ、メディアへの記録位置が副走査方向Fの反対方向に進められる。
【0111】
コーティング工程α2の4走査目では、キャリッジ4を主走査方向Sに往動させる際に、第二吐出領域A2−a及びA2−bからクリアインクのインク滴を吐出させるとともに、紫外線照射装置6a及び紫外線照射装置6bのエリアB3及びB4に配置されるUVLED63e〜63hを消灯させ、エリアB2に配置されるUVLED63c及び63dを点灯させ、更に、エリアB1に配置されるUVLED63a及び63bを点灯させる(ステップS15)。また、キャリッジ4を主走査方向Sの反対方向に復動させる際に、エリアB1及びB2に配置されるUVLED63a〜63dを点灯させる(ステップS16)。なお、点灯させるUVLED63a〜63dは、紫外線照射装置6a及び紫外線照射装置6bの双方であってもよく、何れか一方であってもよい。すると、1走査前である3走査目においてエリアB2に配置されるUVLED63c及び63dから紫外線が照射されたバンドに、8パス目として、エリアB1に配置されるUVLED63a及び63bから紫外線が照射され、クリアインクの硬化が十分に促進される。また、この4走査目では、1走査目と同様に、第二吐出領域A2−bから吐出されたクリアインクにより5パス目の記録が行われ、2走査目と同様に、第二吐出領域A2−aから吐出されたクリアインクにより6パス目の記録が行われ、3走査目と同様に、1走査前に6パス目の記録が行われたバンドに紫外線が照射される。
【0112】
このようにしてキャリッジ4の主走査方向Sへの往復動が終了すると、今回の走査はコーティング工程α2の4走査目であるため、次に、Yバー3を副走査方向Fの反対方向に所定回数搬送したか否かを判定する(ステップS17)。
【0113】
そして、Yバー3を副走査方向Fの反対方向に所定回数搬送していないと判定した場合は(ステップS17:NO)、Yバー3を副走査方向Fの反対方向に1バンド分(パス幅)分だけ搬送して(ステップS18)、ステップS15に戻る。すると、キャリッジ4が副走査方向Fの反対方向に1バンド分だけ移動するため、インクジェットヘッド5及び紫外線照射装置6が次のパスラインに対応付けられ、メディアへの記録位置が副走査方向Fの反対方向に進められる。そして、ステップS17においてYバー3が副走査方向Fの反対方向に所定回数搬送したと判定されるまで、上述したステップS15〜ステップS17を繰り返す。
【0114】
一方、Yバー3を副走査方向Fの反対方向に所定回数搬送したと判定した場合は(ステップS17:YES)、グロス画質モードにおける印刷処理を終了する。
【0115】
これにより、メディアMに記録される画像の上層に平滑化されたクリアインクが記録されるため、画像の視認性を確保しつつ、この画像に光沢感を与えることができる。
【0116】
ところで、ステップS15及びS16では、エリアB2に配置されるUVLED63(UVLED63c及び63d)から出射される光量を、エリアB1に配置されるUVLED(UVLED63a及び63b)から出射される光量よりも小さくすることが好ましい。このような紫外線の光量制御は、各UVLED63を個別に点灯制御することにより実現することができる。例えば、図14(a)に示すように、UVLED63c及び63dに通電する電流を下げるなどしてUVLED63c及び63dの光量自体を下げることで実現することができ、また、図14(b)に示すように、UVLED63cは、UVLED63a及び63bと同様に点灯させ、UVLED63dを消灯させることにでも実現することができる。なお、硬化性が非常に良好なインクの場合、UVLED63a及び63bのみの点灯でも構わない。
【0117】
このようにUVLED63の点灯制御を行うことで、クリアインクに照射される紫外線の初期光量を小さくしつつ、クリアインクに照射される紫外線の光量を段階的に強くすることができるため、クリアインクを急激に硬化させることによるバンディングの発生を防止しつつ、クリアインクを確実に硬化させることができる。また、カラーインクに直接重ねられるクリアインクの硬化速度が遅くなるため、カラーインクとクリアインクとの接着性を向上させることができる。
【0118】
ここで、図15を参照して、クリアインクの硬化状態について説明する。図15は、メディアに着弾したインク滴の状態を示した図である。上述したように、画像記録工程α1では、カラーインクのインク滴がメディアMに着弾した直後に硬化するため、図15(a)に示すように、カラーインクInk1は粒状に硬化する。その後、コーティング工程α2では、クリアインクのインク滴がメディアMに着弾しても直ぐには硬化しないため、図15(b)及び図15(c)に示すように、クリアインクInk2は、粒状に硬化したカラーインクInk1の間に滲み込みながら隣接するインク滴と結合し合い、濡れ広がるように厚みが小さくなって表面の凹凸が平滑化される。なお、下層のカラーインクが平面状であると、上層のクリアインクの動きが活性化されないため、クリアインクが平滑化される速度が遅くなるが、このように、下層のカラーインクを粒状に硬化させることで、上層のクリアインクの動きが活性化されるため、クリアインクが平滑化される速度を早くすることができる。そして、クリアインクInk2は十分に平滑化された後に硬化されるため、グロス画質の画像が得られる。
【0119】
さらに、ステップS15及びS16では、前記塵埃除去手段を用いて塵埃除去工程を実施することが好ましい(塵埃除去手段及び塵埃除去作用については前述)。これによれば、クリアインクをメディアMに吐出後、当該クリアインクに紫外線を照射して硬化させるまでの間に、クリアインクのインク滴の表面に塵埃が付着してしまうことが防止できる。すなわち、グロス調印刷の画質が低下してしまうことが防止できるため、十分に光沢感のある高品質なグロス画質が実現できる。
【0120】
[1層グロス画質モード]
図16及び図17を参照して、1層グロス画質モードにおける印刷処理方法を説明する。図16は、1層グロス画質モードにおける印刷処理方法を示すフローチャートである。図17は、1層グロス画質モードにおけるキャリッジの動作態様例を示す概念図である。図17において、太い矢印は、Yバー3の副走査方向Fにおける移動方向を示している。すなわち、図17では、Yバー3が副走査方向Fの反対方向に移動することを示している。なお、1層グロス画質モードでは、キャリッジ4を主走査方向Sに往動させるときにのみ紫外線硬化型インクを吐出させ、キャリッジ4を主走査方向Sの反対方向に復動させるときは紫外線硬化型インクを吐出させないものとする。
【0121】
図16及び図17に示すように、1層グロス画質モードでは、Yバー3を副走査方向Fの反対方向に搬送させてグロスの画質の記録のみを行うために、まず、画像が形成されたメディアMをフラットベッド2に載置し、Yバー3を、メディアMの記録領域における副走査方向F前端部(印刷開始位置)にセットする。
【0122】
図17に示すように、1層グロス画質モードの1走査目では、キャリッジ4を主走査方向Sに往動させる際に、第二吐出領域A2−bからクリアインクのインク滴を吐出させるとともに、紫外線照射装置6a及び紫外線照射装置6bのエリアB4に配置されるUVLED63g及び63hを消灯させる(ステップS21)。また、キャリッジ4を主走査方向Sの反対方向に復動させる際に、ステップS21でクリアインクを記録したバンドに配置されるUVLED63g及び63hを消灯させる(ステップS22)。すると、最も副走査方向F前方に配置されるバンドに、第二吐出領域A2−bから吐出されたクリアインクにより1パス目の記録が行われる。このとき、第二吐出領域A2−bから吐出されたクリアインクが記録されるバンドに紫外線を照射するエリアB4に配置されるUVLED63g及び63hは消灯しているため、メディアMに着弾した1パス目のクリアインクは、硬化することなく徐々に濡れ広がって厚みが小さくなり、表面の凹凸が平滑化される。なお、1走査目では、エリアB1及びB2に配置されるUVLED63a〜dを点灯させてもよく、消灯させてもよい。
【0123】
キャリッジ4の主走査方向Sへの往復動が終了すると、次に、Yバー3を副走査方向Fの反対方向に所定回数搬送したか否かを判定する(ステップS23)。ここで、1層グロス画質モードでは、Yバー3を副走査方向Fの反対方向に順次搬送しながら、印刷データを複数のバンドに分割して記録する。そして、各バンドには、始めの2走査でクリアインクによる2パスの記録を行い、その後の2走査で各バンドに記録されたクリアインクに紫外線を照射するため、4走査(4パス)で各バンドへの記録が完了する。このため、ステップS23においてYバー3を副走査方向Fの反対方向に所定回数搬送したと判定するのは4走査目以降となり、1層グロス画質モードにおいてYバー3を副走査方向Fの反対方向に搬送する所定回数は、印刷データの分割数+3回となる。
【0124】
そして、今回の走査は1層グロス画質モードの1走査目であるため、Yバー3を副走査方向Fの反対方向に所定回数搬送していないと判定し(ステップS23:NO)、Yバー3を副走査方向Fの反対方向に1バンド分(パス幅)だけ搬送して(ステップS24)、ステップS21に戻る。すると、Yバー3に搭載されるキャリッジ4も副走査方向Fの反対方向に1バンド分だけ移動するため、インクジェットヘッド5及び紫外線照射装置6が次のパスラインに対応付けられ、メディアへの記録位置が副走査方向Fの反対方向に進められる。
【0125】
1層グロス画質モードの2走査目では、キャリッジ4を主走査方向Sに往動させる際に、第二吐出領域A2−bからクリアインクのインク滴を吐出させるとともに、紫外線照射装置6a及び紫外線照射装置6bのエリアB4に配置されるUVLED63g及び63hを消灯させ、更に、第二吐出領域A2−aからクリアインクのインク滴を吐出させるとともに、紫外線照射装置6a及び紫外線照射装置6bのエリアB3に配置されるUVLED63e及び63fを消灯させる(ステップS21)。また、キャリッジ4を主走査方向Sの反対方向に復動させる際に、ステップS21でクリアインクを記録したバンドに配置されるUVLED63e〜63hを消灯させる(ステップS22)。すると、1走査目において第二吐出領域A2−bから吐出されたクリアインクにより1パス目の記録が行われたバンドに、第二吐出領域A2−aから吐出されたクリアインクにより2パス目の記録が行われる。このとき、第二吐出領域A2−aから吐出されたクリアインクが記録されるバンドに紫外線を照射するエリアB3に配置されるUVLED63e及び63fは消灯しているため、メディアMに着弾した2パス目のクリアインクは、硬化することなく1パス目のクリアインクとともに徐々に濡れ広がって厚みが小さくなり、表面の凹凸が平滑化される。また、この2走査目では、1走査目と同様に、第二吐出領域A2−bから吐出されたクリアインクにより1パス目の記録が行われる。なお、2走査目では、エリアB1及びB2に配置されるUVLED63を点灯させてもよく消灯させてもよい。
【0126】
キャリッジ4の主走査方向Sへの往復動が終了すると、今回の走査は1層グロス画質モードの2走査目であるため(ステップS23:NO)、Yバー3を副走査方向Fの反対方向に1バンド分(パス幅)だけ搬送して(ステップS24)、ステップS21に戻る。すると、Yバー3に搭載されるキャリッジ4も副走査方向Fの反対方向に1バンド分だけ移動するため、インクジェットヘッド5及び紫外線照射装置6が次のパスラインに対応付けられ、メディアへの記録位置が副走査方向Fの反対方向に進められる。
【0127】
1層グロス画質モードの3走査目では、キャリッジ4を主走査方向Sに往動させる際に、第二吐出領域A2−a及びA2−bからクリアインクのインク滴を吐出させるとともに、紫外線照射装置6a及び紫外線照射装置6bのエリアB3及びB4に配置されるUVLED63e〜63hを消灯させ、更に、エリアB2に配置されるUVLED63c及び63dを点灯させる(ステップS21)。また、キャリッジ4を主走査方向Sの反対方向に復動させる際に、エリアB2に配置されるUVLED63c及び63dを点灯させる(ステップS16)。なお、点灯させるUVLED63c及び63dは、紫外線照射装置6a及び紫外線照射装置6bの双方であってもよく、何れか一方であってもよい。すると、1走査前である2走査目において第二吐出領域A2−aから吐出されたクリアインクにより2パス目の記録が行われたバンドに、3パス目として、エリアB2に配置されるUVLED63c及び63dから紫外線が照射され、1パス目及び2パス目のクリアインクが十分に平滑化された状態で硬化し始める。また、この3走査目では、1走査目と同様に、第二吐出領域A2−bから吐出されたクリアインクにより1パス目の記録が行われ、2走査目と同様に、第二吐出領域A2−aから吐出されたクリアインクにより2パス目の記録が行われる。
【0128】
キャリッジ4の主走査方向Sへの往復動が終了すると、今回の走査は1層グロス画質モードの3走査目であるため(ステップS23:NO)、Yバー3を副走査方向Fの反対方向に1バンド分(パス幅)だけ搬送して(ステップS24)、ステップS21に戻る。すると、Yバー3に搭載されるキャリッジ4も副走査方向Fの反対方向に1バンド分だけ移動するため、インクジェットヘッド5及び紫外線照射装置6が次のパスラインに対応付けられ、メディアへの記録位置が副走査方向Fの反対方向に進められる。
【0129】
1層グロス画質モードの4走査目では、キャリッジ4を主走査方向Sに往動させる際に、第二吐出領域A2−a及びA2−bからクリアインクのインク滴を吐出させるとともに、紫外線照射装置6a及び紫外線照射装置6bのエリアB3及びB4に配置されるUVLED63e〜63hを消灯させ、エリアB2に配置されるUVLED63c及び63dを点灯させ、更に、エリアB1に配置されるUVLED63a及び63bを点灯させる(ステップS21)。また、キャリッジ4を主走査方向Sの反対方向に復動させる際に、エリアB1及びB2に配置されるUVLED63a〜63dを点灯させる(ステップS22)。なお、点灯させるUVLED63a〜63dは、紫外線照射装置6a及び紫外線照射装置6bの双方であってもよく、何れか一方であってもよい。すると、1走査前である3走査目においてエリアB2に配置されるUVLED63c及び63dから紫外線が照射されたバンドに、4パス目として、エリアB1に配置されるUVLED63a及び63bから紫外線が照射され、クリアインクの硬化が十分に促進される。また、この4走査目では、1走査目と同様に、第二吐出領域A2−bから吐出されたクリアインクにより1パス目の記録が行われ、2走査目と同様に、第二吐出領域A2−aから吐出されたクリアインクにより2パス目の記録が行われ、3走査目と同様に、1走査前に2パス目の記録が行われたバンドに紫外線が照射される。
【0130】
このようにしてキャリッジ4の主走査方向Sへの往復動が終了すると、今回の走査は1層グロス画質モードの4走査目であるため、次に、Yバー3を副走査方向Fの反対方向に所定回数搬送したか否かを判定する(ステップS23)。
【0131】
そして、Yバー3を副走査方向Fの反対方向に所定回数搬送していないと判定した場合は(ステップS23:NO)、Yバー3を副走査方向Fの反対方向に1バンド分(パス幅)分だけ搬送して(ステップS24)、ステップS21に戻る。すると、キャリッジ4が副走査方向Fの反対方向に1バンド分だけ移動するため、インクジェットヘッド5及び紫外線照射装置6が次のパスラインに対応付けられ、メディアへの記録位置が副走査方向Fの反対方向に進められる。そして、ステップS23においてYバー3が副走査方向Fの反対方向に所定回数搬送したと判定されるまで、上述したステップS21〜ステップS23を繰り返す。
【0132】
一方、Yバー3を副走査方向Fの反対方向に所定回数搬送したと判定した場合は(ステップS23:YES)、1層グロス画質モードにおける印刷処理を終了する。
【0133】
これにより、画像が形成されたメディアMに、平滑化されたクリアインクが記録されるため、メディアMに形成されている画像の視認性を確保しつつ、この画像に光沢感を与えることができる。
【0134】
ところで、ステップS21及びS22では、前記塵埃除去手段を用いて塵埃除去工程を実施することが好ましい(塵埃除去手段及び塵埃除去作用については前述)。これによれば、クリアインクをメディアMに吐出後、当該クリアインクに紫外線を照射して硬化させるまでの間に、クリアインクのインク滴の表面に塵埃が付着してしまうことが防止できる。すなわち、グロス調印刷の画質が低下してしまうことが防止できるため、十分に光沢感のある高品質なグロス画質が実現できる。
【0135】
[厚盛り画質モード]
図18及び図19を参照して、厚盛り画質モードにおける印刷処理方法を説明する。図18は、厚盛り画質モードにおける印刷処理方法を示すフローチャートである。図19は、厚盛り画質モードにおけるキャリッジの動作態様例を示す概念図である。図19において、太い矢印は、Yバー3の副走査方向Fにおける移動方向を示している。すなわち、図19(a)では、Yバー3が副走査方向Fに移動することを示しており、図19(b)では、Yバー3が副走査方向Fに移動することを示しており、図19(c)では、Yバー3が副走査方向Fの反対方向に移動することを示している。なお、厚盛り画質モードでは、キャリッジ4を主走査方向Sに往動させるときにのみ紫外線硬化型インクを吐出させ、キャリッジ4を主走査方向Sの反対方向に復動させるときは紫外線硬化型インクを吐出させないものとする。
【0136】
図18及び図19に示すように、厚盛り画質モードでは、まず、ステップS31〜ステップS34で、Yバー3を副走査方向Fに順次搬送させてカラーインクによる画像の記録とクリアインクによる画像のコーティングを行い、次に、ステップS35〜ステップS40で、Yバー3を副走査方向Fに順次搬送させてクリアインクによる厚盛りを行い、次に、ステップS41〜ステップS44で、Yバー3を副走査方向Fの反対方向に順次搬送させてクリアインクによるグロス処理を行う。このため、ステップS31〜ステップS34を画像記録コーティング工程β1と称し、この画像記録コーティング工程β1におけるキャリッジの動作態様例を図19(a)に示す。また、ステップS35〜ステップS40を厚盛り工程β2と称し、この厚盛り工程β2におけるキャリッジの動作態様例を図19(b)に示す。また、ステップS41〜ステップS44をグロス処理工程と称し、このグロス処理工程β3におけるキャリッジの動作態様例を図19(c)に示す。
【0137】
以下、厚盛り画質モードにおける印刷処理方法について具体的に説明する。
【0138】
まず、メディアMをフラットベッド2に載置し、Yバー3を、メディアMの記録領域における副走査方向F後端部(印刷開始位置)にセットし、Yバー3を副走査方向Fに順次搬送しながら画像記録コーティング工程β1を行う。
【0139】
図19(a)に示すように、画像記録コーティング工程β1の1走査目では、キャリッジ4を主走査方向Sに往動させる際に、第一吐出領域A1−aからカラーインクのインク滴を吐出させるとともに、紫外線照射装置6bのエリアB1に配置されるUVLED63a及び63bを点灯させる(ステップS31)。また、キャリッジ4を主走査方向Sの反対方向に復動させる際に、ステップS31で記録したバンドに紫外線を照射するUVLED63を点灯させる(ステップS32)。なお、キャリッジ4を主走査方向Sの反対方向に復動させる際は、紫外線照射装置6a及び紫外線照射装置6bの双方のUVLED63を点灯させてもよく、何れか一方のUVLED63を点灯させてもよい。すると、第一吐出領域A1−aから吐出されたカラーインクにより1パス目の記録が行われ、このカラーインクは、メディアMに着弾した直後に紫外線が照射されて粒状に硬化する。
【0140】
キャリッジ4の主走査方向Sへの往復動が終了すると、次に、Yバー3を副走査方向Fに所定回数搬送したか否かを判定する(ステップS33)。ここで、画像記録コーティング工程β1では、Yバー3を副走査方向Fに順次搬送しながら、印刷データを複数のバンドに分割して記録する。そして、各バンドには、始めの2走査でカラーインクによる2パスの記録を行い、その後の2走査でクリアインクによる2パスの記録を行うため、合計4走査で各バンドへの記録が完了する。このため、ステップS33においてYバー3を副走査方向Fに所定回数搬送したと判定するのは4走査目以降となり、画像記録コーティング工程β1においてYバー3を副走査方向Fに搬送する所定回数は、印刷データの分割数+3回となる。
【0141】
そして、今回の走査は画像記録コーティング工程β1の1走査目であるため、Yバー3を副走査方向Fに所定回数搬送していないと判定し(ステップS33:NO)、Yバー3を副走査方向Fに1バンド分(パス幅)だけ搬送して(ステップS34)、ステップS31に戻る。すると、Yバー3に搭載されるキャリッジ4も副走査方向Fに1バンド分だけ移動するため、インクジェットヘッド5及び紫外線照射装置6が次のパスラインに対応付けられ、メディアへの記録位置が副走査方向F前方に進められる。
【0142】
画像記録コーティング工程β1の2走査目では、キャリッジ4を主走査方向Sに往動させる際に、第一吐出領域A1−aからカラーインクのインク滴を吐出させるとともに、紫外線照射装置6bのエリアB1に配置されるUVLED63a及び63bを点灯させ、更に、第一吐出領域A1−bからカラーインクのインク滴を吐出させるとともに、紫外線照射装置6bのエリアB2に配置されるUVLED63c及び63dを点灯させる(ステップS31)。また、キャリッジ4を主走査方向Sの反対方向に復動させる際に、ステップS31で記録したバンドに紫外線を照射するUVLED63を点灯させる(ステップS32)。なお、キャリッジ4を主走査方向Sの反対方向に復動させる際は、紫外線照射装置6a及び紫外線照射装置6bの双方のUVLED63を点灯させてもよく、何れか一方のUVLED63を点灯させてもよい。すると、1走査目において第一吐出領域A1−aから吐出されたカラーインクにより1パス目の記録が行われたバンドに、第一吐出領域A1−bから吐出されたカラーインクにより2パス目の記録が行われ、このカラーインクは、メディアMに着弾した直後に紫外線が照射されて粒状に硬化する。これにより、当該バンドにおけるカラーインクによる全ての記録(カラーインクの吐出と、紫外線の照射によるカラーインクの硬化)が終了する。また、この2走査目では、1走査目と同様に、第一吐出領域A1−aから吐出されたカラーインクにより1パス目の記録が行われる。
【0143】
キャリッジ4の主走査方向Sへの往復動が終了すると、今回の走査は画像記録コーティング工程β1の2走査目であるため(ステップS33:NO)、Yバー3を副走査方向Fに1バンド分(パス幅)だけ搬送して(ステップS34)、ステップS31に戻る。すると、Yバー3に搭載されるキャリッジ4も副走査方向Fに1バンド分だけ移動するため、インクジェットヘッド5及び紫外線照射装置6が次のパスラインに対応付けられ、メディアへの記録位置が副走査方向F前方に進められる。
【0144】
画像記録コーティング工程β1の3走査目では、キャリッジ4を主走査方向Sに往動させる際に、第一吐出領域A1−a及びA1−bからカラーインクのインク滴を吐出させるとともに、紫外線照射装置6bのエリアB1及びB2に配置されるUVLED63a〜63dを点灯させ、更に、第二吐出領域A2−aからクリアインクのインク滴を吐出させるとともに、紫外線照射装置6bのエリアB3に配置されるUVLED63e及び63fを点灯させる(ステップS31)。また、キャリッジ4を主走査方向Sの反対方向に復動させる際に、ステップS31で記録したバンドに紫外線を照射するUVLED63を点灯させる(ステップS32)。なお、キャリッジ4を主走査方向Sの反対方向に復動させる際は、紫外線照射装置6a及び紫外線照射装置6bの双方のUVLED63を点灯させてもよく、何れか一方のUVLED63を点灯させてもよい。すると、2走査目において第一吐出領域A1−bから吐出されたカラーインクにより2パス目の記録が行われたバンドに、第二吐出領域A2−aから吐出されたクリアインクにより3パス目の記録が行われ、このクリアインクは、メディアMに着弾した直後に紫外線が照射されて粒状に硬化する。これにより、画像にクリアインクによる1層目のコーティングが施される。また、この3走査目では、1走査目と同様に、第一吐出領域A1−aから吐出されたカラーインクにより1パス目の記録が行われ、2走査目と同様に、第一吐出領域A1−bから吐出されたカラーインクにより2パス目の記録が行われる。
【0145】
キャリッジ4の主走査方向Sへの往復動が終了すると、今回の走査は画像記録コーティング工程β1の3走査目であるため(ステップS33:NO)、Yバー3を副走査方向Fに1バンド分(パス幅)だけ搬送して(ステップS34)、ステップS31に戻る。すると、Yバー3に搭載されるキャリッジ4も副走査方向Fに1バンド分だけ移動するため、インクジェットヘッド5及び紫外線照射装置6が次のパスラインに対応付けられ、メディアへの記録位置が副走査方向F前方に進められる。
【0146】
画像記録コーティング工程β1の4走査目では、キャリッジ4を主走査方向Sに往動させる際に、第一吐出領域A1−a及びA1−bからカラーインクのインク滴を吐出させるとともに、紫外線照射装置6bのエリアB1及びB2に配置されるUVLED63a〜63dを点灯させ、第二吐出領域A2−aからクリアインクのインク滴を吐出させるとともに、紫外線照射装置6bのエリアB3に配置されるUVLED63e及び63fを点灯させ、更に、第二吐出領域A2−bからクリアインクのインク滴を吐出させるとともに、紫外線照射装置6bのエリアB4に配置されるUVLED63g及び63hを点灯させる(ステップS31)。また、キャリッジ4を主走査方向Sの反対方向に復動させる際に、ステップS31で記録したバンドに紫外線を照射するUVLED63を点灯させる(ステップS32)。なお、キャリッジ4を主走査方向Sの反対方向に復動させる際は、紫外線照射装置6a及び紫外線照射装置6bの双方のUVLED63を点灯させてもよく、何れか一方のUVLED63を点灯させてもよい。すると、前回の走査において第二吐出領域A2−aから吐出されたクリアインクにより3パス目の記録が行われたバンドに、第二吐出領域A2−bから吐出されたクリアインクにより4パス目の記録が行われ、このクリアインクは、メディアMに着弾した直後に紫外線が照射されて粒状に硬化する。これにより、画像にクリアインクによる2層目のコーティングが施される。また、この4走査目では、1走査目と同様に、第一吐出領域A1−aから吐出されたカラーインクにより1パス目の記録が行われ、2走査目と同様に、第一吐出領域A1−bから吐出されたカラーインクにより2パス目の記録が行われ、3走査目と同様に、第二吐出領域A2−aから吐出されたクリアインクにより3パス目の記録が行われる。
【0147】
キャリッジ4の主走査方向Sへの往復動が終了すると、今回の走査は画像記録コーティング工程β1の4走査目であるため、次に、Yバー3を副走査方向Fに所定回数搬送したか否かを判定する(ステップS33)。
【0148】
そして、Yバー3を副走査方向Fに所定回数搬送していないと判定した場合は(ステップS33:NO)、Yバー3を副走査方向Fに1バンド分(パス幅)分だけ搬送して(ステップS34)、ステップS31に戻る。すると、キャリッジ4が副走査方向Fに1バンド分だけ移動するため、インクジェットヘッド5及び紫外線照射装置6が次のパスラインに対応付けられ、メディアへの記録位置が副走査方向F前方に進められる。そして、ステップS33においてYバー3が副走査方向Fに所定回数搬送したと判定されるまで、上述したステップS31〜ステップS33を繰り返す。
【0149】
一方、Yバー3を副走査方向Fに所定回数搬送したと判定した場合は(ステップS33:YES)、Yバー3を副走査方向Fの反対方向に搬送して元の位置(印刷開始位置となるステップS31の位置)に戻した後(ステップS35)、Yバー3を副走査方向Fに順次搬送しながら厚盛り工程β2を行う。
【0150】
図19(b)に示すように、厚盛り工程β2の1走査目では、インクの吐出及び紫外線の照射を行わずに、キャリッジ4を主走査方向S及び主走査方向Sの反対方向に往復動させる(ステップS36、ステップS37)。すると、最も副走査方向F後方に配置されるバンドには、5パス目として、空打ちが行われる。ここで、空打ちとは、インクの吐出及び紫外線の照射を行わずにキャリッジ4を往復動させるこという。
【0151】
キャリッジ4の主走査方向Sへの往復動が終了すると、次に、Yバー3を副走査方向Fに所定回数搬送したか否かを判定する(ステップS38)。ここで、厚盛り工程β2では、Yバー3を副走査方向Fに順次搬送しながら、印刷データを複数のバンドに分割して記録する。そして、始めの2走査で2パスの空打ちを行い、その後の2走査でクリアインクによる2パスの記録を行うため、4走査(4パス)で各バンドへの記録が完了する。このため、ステップS38においてYバー3を副走査方向Fに所定回数搬送したと判定するのは4走査目以降となり、厚盛り工程β2においてYバー3を副走査方向Fに搬送する所定回数は、印刷データの分割数+3回となる。
【0152】
そして、今回の走査は厚盛り工程β2の1走査目であるため、Yバー3を副走査方向Fに所定回数搬送していないと判定し(ステップS38:NO)、Yバー3を副走査方向Fに1バンド分(パス幅)だけ搬送して(ステップS39)、ステップS36に戻る。すると、Yバー3に搭載されるキャリッジ4も副走査方向Fに1バンド分だけ移動するため、インクジェットヘッド5及び紫外線照射装置6が次のパスラインに対応付けられ、メディアへの記録位置が副走査方向F前方に進められる。
【0153】
厚盛り工程β2の2走査目では、インクの吐出及び紫外線の照射を行わずに、キャリッジ4を主走査方向S及び主走査方向Sの反対方向に往復動させる(ステップS36、ステップS37)。これにより、最も副走査方向F後方に配置されるバンドには、6パス目として、空打ちが行われ、このバンドの副走査方向F前方に隣接するバンドには、5パス目として、空打ちが行われる。
【0154】
キャリッジ4の主走査方向Sへの往復動が終了すると、今回の走査は厚盛り工程β2の2走査目であるため、Yバー3を副走査方向Fに所定回数搬送していないと判定し(ステップS38:NO)、Yバー3を副走査方向Fに1バンド分(パス幅)だけ搬送して(ステップS39)、ステップS36に戻る。すると、Yバー3に搭載されるキャリッジ4も副走査方向Fに1バンド分だけ移動するため、インクジェットヘッド5及び紫外線照射装置6が次のパスラインに対応付けられ、メディアへの記録位置が副走査方向F前方に進められる。
【0155】
厚盛り工程β2の3走査目では、キャリッジ4を主走査方向Sに往動させる際に、第二吐出領域A2−aからクリアインクのインク滴を吐出させるとともに、紫外線照射装置6bのエリアB3に配置されるUVLED63e及び63fを点灯させる(ステップS35)。また、キャリッジ4を主走査方向Sの反対方向に復動させる際に、ステップS35で記録したバンドに紫外線を照射するUVLED63を点灯させる(ステップS36)。なお、キャリッジ4を主走査方向Sの反対方向に復動させる際は、紫外線照射装置6a及び紫外線照射装置6bの双方のUVLED63を点灯させてもよく、何れか一方のUVLED63を点灯させてもよい。すると、最も副走査方向F後方に配置されるバンドに、第二吐出領域A2−aから吐出されたクリアインクにより7パス目の記録が行われ、このクリアインクは、メディアMに着弾した直後に紫外線が照射されて粒状に硬化する。これにより、画像記録コーティング工程β1で形成された画像に1層分の厚みが盛られる。
【0156】
キャリッジ4の主走査方向Sへの往復動が終了すると、今回の走査は厚盛り工程β2の3走査目であるため、Yバー3を副走査方向Fに所定回数搬送していないと判定し(ステップS38:NO)、Yバー3を副走査方向Fに1バンド分(パス幅)だけ搬送して(ステップS39)、ステップS36に戻る。すると、Yバー3に搭載されるキャリッジ4も副走査方向Fに1バンド分だけ移動するため、インクジェットヘッド5及び紫外線照射装置6が次のパスラインに対応付けられ、メディアへの記録位置が副走査方向F前方に進められる。
【0157】
厚盛り工程β2の4走査目では、キャリッジ4を主走査方向Sに往動させる際に、第二吐出領域A2−aからクリアインクのインク滴を吐出させるとともに、紫外線照射装置6bのエリアB3に配置されるUVLED63e及び63fを点灯させ、更に、第二吐出領域A2−bからクリアインクのインク滴を吐出させるとともに、紫外線照射装置6bのエリアB4に配置されるUVLED63g及び63hを点灯させる(ステップS35)。また、キャリッジ4を主走査方向Sの反対方向に復動させる際に、ステップS35で記録したバンドに紫外線を照射するUVLED63を点灯させる(ステップS36)。なお、キャリッジ4を主走査方向Sの反対方向に復動させる際は、紫外線照射装置6a及び紫外線照射装置6bの双方のUVLED63を点灯させてもよく、何れか一方のUVLED63を点灯させてもよい。すると、1走査前において第二吐出領域A2−aから吐出されたクリアインクにより7パス目の記録が行われたバンドに、第二吐出領域A2−bから吐出されたクリアインクにより8パス目の記録が行われ、このクリアインクは、メディアMに着弾した直後に紫外線が照射されて粒状に硬化する。これにより、画像記録コーティング工程β1で形成された画像に2層分の厚みが盛られる。また、この4走査目では、3走査目と同様に、第二吐出領域A2−aから吐出されたクリアインクにより、7パス目の記録が行われる。
【0158】
キャリッジ4の主走査方向Sへの往復動が終了すると、今回の走査は厚盛り工程β2の4走査目であるため、次に、Yバー3を副走査方向Fに所定回数搬送したか否かを判定する(ステップS38)。
【0159】
そして、Yバー3を副走査方向Fに所定回数搬送していないと判定した場合は(ステップS38:NO)、Yバー3を副走査方向Fに1バンド分(パス幅)分だけ搬送して(ス
テップS39)、ステップS36に戻る。すると、Yバー3に搭載されるキャリッジ4も副走査方向Fに1バンド分だけ移動するため、インクジェットヘッド5及び紫外線照射装置6が次のパスラインに対応付けられ、メディアへの記録位置が副走査方向F前方に進められる。そして、ステップS38においてYバー3が副走査方向Fに所定回数搬送したと判定されるまで、上述したステップS36〜ステップS38を繰り返す。
【0160】
ここで、最終走査をm走査目とした場合に、画像記録工程α1により最終バンドを記録する方法について説明する。
【0161】
最終走査であるm走査目では、キャリッジ4を主走査方向Sに往動させる際に、第二吐出領域A2−aからのクリアインクの吐出を停止するとともに、エリアB3に配置されるUVLED63e及び63fを消灯させ、第二吐出領域A2−bからのみクリアインクを吐出させるとともに、紫外線照射装置6bのエリアB4に配置されるUVLED63g及び63hのみを点灯させる(ステップS36)。また、キャリッジ4を主走査方向Sの反対方向に復動させる際に、エリアB4に配置されるUVLED63g及び63hのみを点灯させる(ステップS37)。すると、前回の走査において第二吐出領域A2−aから吐出されたクリアインクにより記録された最終バンドに、第二吐出領域A2−bから吐出されたクリアインクにより8パス目の記録が行われるとともに、エリアB4に配置されるUVLED63g及び63hから紫外線が照射される。
【0162】
これにより、第二吐出領域A2−bが最終バンドのパスラインに配置された状態で、厚盛り工程β2における1回の画像記録工程α1が終了する。
【0163】
一方、Yバー3を副走査方向Fに所定回数搬送したと判定した場合は(ステップS38:YES)、次に、厚盛り工程β2を所定回数行ったか否かを判定する(ステップS40)。ここで、クリアインクを所定厚さに盛り上げるため、厚盛り工程β2を必要な回数だけ繰返し行う。そして、厚盛り工程β2を繰り返す所定回数は、所定の設定値や印刷データにおいて指定された値などにより特定される。このため、ステップS40では、今回の厚盛り工程β2の回数が所定回数に達していない場合は、所定回数行っていないと判定し、今回の厚盛り工程β2の回数が所定回数に達している場合は、所定回数行ったと判定する。
【0164】
そして、厚盛り工程β2を所定回数行っていないと判定した場合は(ステップS40:NO)、ステップS35に戻り、再度上述したステップS35〜ステップS40を繰り返す。
【0165】
一方、厚盛り工程β2を所定回数行ったと判定した場合は(ステップS40:YES)、次に、Yバー3を副走査方向Fの反対方向に順次搬送しながらグロス処理工程β3を行う。
【0166】
図19(c)に示すように、グロス処理工程β3の1走査目では、キャリッジ4を主走査方向Sに往動させる際に、第二吐出領域A2−bからクリアインクのインク滴を吐出させるとともに、紫外線照射装置6a及び紫外線照射装置6bのエリアB4に配置されるUVLED63g及び63hを消灯させる(ステップS41)。また、キャリッジ4を主走査方向Sの反対方向に復動させる際に、ステップS41でクリアインクを記録したバンドに配置されるUVLED63g及び63hを消灯させる(ステップS42)。このとき、第二吐出領域A2−bは、厚盛り工程β2における最終バンドのパスラインに配置されている。このため、厚盛り画質モードにおける全パス数をnとすると、厚盛り工程β2の最終バンドであって最も副走査方向F前方に配置されるバンドに、第二吐出領域A2−bから吐出されたクリアインクにより(n−3)パス目の記録が行われる。このとき、第二吐出領域A2−bから吐出されたクリアインクが記録されるバンドに紫外線を照射するエリアB4に配置されるUVLED63g及び63hは消灯しているため、メディアMに着弾した(n−3)パス目のクリアインクは、硬化することなく徐々に濡れ広がって厚みが小さくなり、表面の凹凸が平滑化される。なお、1走査目では、エリアB1及びB2に配置されるUVLED63a〜63dを点灯させてもよく、消灯させてもよい。
【0167】
キャリッジ4の主走査方向Sへの往復動が終了すると、次に、Yバー3を副走査方向Fの反対方向に所定回数搬送したか否かを判定する(ステップS43)。ここで、グロス処理工程β3では、Yバー3を副走査方向Fの反対方向に順次搬送しながら、印刷データを複数のバンドに分割して記録する。そして、各バンドには、始めの2走査でクリアインクによる2パスの記録を行い、その後の2走査で各バンドに記録されたクリアインクに紫外線を照射するため、4走査(4パス)で各バンドへの記録が完了する。このため、ステップS43においてYバー3を副走査方向Fの反対方向に所定回数搬送したと判定するのは4走査目以降となり、グロス処理工程β3においてYバー3を副走査方向Fの反対方向に搬送する所定回数は、印刷データの分割数+3回となる。
【0168】
そして、今回の走査はグロス処理工程β3の1走査目であるため、Yバー3を副走査方向Fの反対方向に所定回数搬送していないと判定し(ステップS43:NO)、Yバー3を副走査方向Fの反対方向に1バンド分(パス幅)だけ搬送して(ステップS44)、ステップS41に戻る。すると、Yバー3に搭載されるキャリッジ4も副走査方向Fの反対方向に1バンド分だけ移動するため、インクジェットヘッド5及び紫外線照射装置6が次のパスラインに対応付けられ、メディアへの記録位置が副走査方向Fの反対方向に進められる。
【0169】
グロス処理工程β3の2走査目では、キャリッジ4を主走査方向Sに往動させる際に、第二吐出領域A2−bからクリアインクのインク滴を吐出させるとともに、紫外線照射装置6a及び紫外線照射装置6bのエリアB4に配置されるUVLED63g及び63hを消灯させ、更に、第二吐出領域A2−aからクリアインクのインク滴を吐出させるとともに、紫外線照射装置6a及び紫外線照射装置6bのエリアB3に配置されるUVLED63e及び63fを消灯させる(ステップS41)。また、キャリッジ4を主走査方向Sの反対方向に復動させる際に、ステップS41でクリアインクを記録したバンドに配置されるUVLED63e〜63hを消灯させる(ステップS42)。すると、1走査目において第二吐出領域A2−bから吐出されたクリアインクにより(n−3)パス目の記録が行われたバンドに、第二吐出領域A2−aから吐出されたクリアインクにより(n−2)パス目の記録が行われる。このとき、第二吐出領域A2−aから吐出されたクリアインクが記録されるバンドに紫外線を照射するエリアB3に配置されるUVLED63e及び63fは消灯しているため、メディアMに着弾した(n−2)パス目のクリアインクは、硬化することなく(n−3)パス目のクリアインクとともに徐々に濡れ広がって厚みが小さくなり、表面の凹凸が平滑化される。また、この2走査目では、1走査目と同様に、第二吐出領域A2−bから吐出されたクリアインクにより(n−3)パス目の記録が行われる。なお、2走査目では、エリアB1及びB2に配置されるUVLED63a〜63dを点灯させてもよく、消灯させてもよい。
【0170】
キャリッジ4の主走査方向Sへの往復動が終了すると、今回の走査はグロス処理工程β3の2走査目であるため(ステップS43:NO)、Yバー3を副走査方向Fの反対方向に1バンド分(パス幅)だけ搬送して(ステップS44)、ステップS41に戻る。すると、Yバー3に搭載されるキャリッジ4も副走査方向Fの反対方向に1バンド分だけ移動するため、インクジェットヘッド5及び紫外線照射装置6が次のパスラインに対応付けられ、メディアへの記録位置が副走査方向Fの反対方向に進められる。
【0171】
グロス処理工程β3の3走査目では、キャリッジ4を主走査方向Sに往動させる際に、第二吐出領域A2−a及びA2−bからクリアインクのインク滴を吐出させるとともに、紫外線照射装置6a及び紫外線照射装置6bのエリアB3及びB4に配置されるUVLED63e〜63hを消灯させ、更に、エリアB2に配置されるUVLED63c及び63dを点灯させる(ステップS41)。また、キャリッジ4を主走査方向Sの反対方向に復動させる際に、エリアB2に配置されるUVLED63c及び63dを点灯させる(ステップS42)。なお、点灯させるUVLED63c及び63dは、紫外線照射装置6a及び紫外線照射装置6bの双方であってもよく、何れか一方であってもよい。すると、1走査前である2走査目において第二吐出領域A2−aから吐出されたクリアインクにより(n−2)パス目の記録が行われたバンドに、(n−1)パス目として、エリアB2に配置されるUVLED63c及び63dから紫外線が照射され、(n−3)パス目及び(n−2)パス目のクリアインクが十分に平滑化された状態で硬化し始める。また、この3走査目では、1走査目と同様に、第二吐出領域A2−bから吐出されたクリアインクにより(n−3)パス目の記録が行われ、2走査目と同様に、第二吐出領域A2−aから吐出されたクリアインクにより(n−2)パス目の記録が行われる。
【0172】
キャリッジ4の主走査方向Sへの往復動が終了すると、今回の走査はグロス処理工程β3の3走査目であるため(ステップS43:NO)、Yバー3を副走査方向Fの反対方向に1バンド分(パス幅)だけ搬送して(ステップS44)、ステップS41に戻る。すると、Yバー3に搭載されるキャリッジ4も副走査方向Fの反対方向に1バンド分だけ移動するため、インクジェットヘッド5及び紫外線照射装置6が次のパスラインに対応付けられ、メディアへの記録位置が副走査方向Fの反対方向に進められる。
【0173】
グロス処理工程β3の4走査目では、キャリッジ4を主走査方向Sに往動させる際に、第二吐出領域A2−a及びA2−bからクリアインクのインク滴を吐出させるとともに、紫外線照射装置6a及び紫外線照射装置6bのエリアB3及びB4に配置されるUVLED63e〜63hを消灯させ、エリアB2に配置されるUVLED63c及び63dを点灯させ、更に、エリアB1に配置されるUVLED63a及び63bを点灯させる(ステップS41)。また、キャリッジ4を主走査方向Sの反対方向に復動させる際に、エリアB1及びB2に配置されるUVLED63a〜63dを点灯させる(ステップS42)。
なお、点灯させるUVLED63a〜63dは、紫外線照射装置6a及び紫外線照射装置6bの双方であってもよく、何れか一方であってもよい。すると、1走査前である3走査目においてエリアB2に配置されるUVLED63c及び63dから紫外線が照射されたバンドに、最終パスであるnパス目として、エリアB1に配置されるUVLED63a及び63bから紫外線が照射され、クリアインクの硬化が十分に促進される。また、この4走査目では、1走査目と同様に、第二吐出領域A2−bから吐出されたクリアインクにより(n−3)パス目の記録が行われ、2走査目と同様に、第二吐出領域A2−aから吐出されたクリアインクにより(n−2)パス目の記録が行われ、3走査目と同様に、1走査前に(n−2)パス目の記録が行われたバンドに紫外線が照射される。
【0174】
キャリッジ4の主走査方向Sへの往復動が終了すると、今回の走査はグロス処理工程β3の4走査目であるため、次に、Yバー3を副走査方向Fの反対方向に所定回数搬送したか否かを判定する(ステップS43)。
【0175】
そして、Yバー3を副走査方向Fの反対方向に所定回数搬送していないと判定した場合は(ステップS43:NO)、Yバー3を副走査方向Fの反対方向に1バンド分(パス幅)分だけ搬送して(ステップS44)、ステップS41に戻る。すると、キャリッジ4が副走査方向Fの反対方向に1バンド分だけ移動するため、インクジェットヘッド5及び紫外線照射装置6が次のパスラインに対応付けられ、メディアへの記録位置が副走査方向Fの反対方向に進められる。そして、ステップS43においてYバー3が副走査方向Fの反対方向に所定回数搬送したと判定されるまで、上述したステップS41〜ステップS43を繰り返す。
【0176】
一方、Yバー3を副走査方向Fの反対方向に所定回数搬送したと判定した場合は(ステップS43:YES)、グロス画質モードにおける印刷処理を終了する。
【0177】
これにより、メディアMに記録される画像の上層に厚みのあるクリアインクの厚盛り層が積層され、更にその上層に平滑化されたクリアインクが記録されるため、画像の視認性を確保しつつ、クリアインクに厚みを持たせることができ、しかも、この画像に光沢感を与えることができる。
【0178】
なお、ステップS41及びS42では、グロス画質モードのステップS15及びS16と同様に、エリアB2に配置されるUVLED63(UVLED63c及び63d)から出射される光量を、エリアB1に配置されるUVLED(UVLED63a及び63b)から出射される光量よりも小さくすることが好ましい。また、グロス画質モードと同様に、グロス処理工程β3に先立つ厚盛り工程β2において、下層のクリアインクを粒状に硬化させることで、上層のクリアインクの動きが活性化され、クリアインクが平滑化される速度を早くすることができる。
【0179】
さらに、ステップS41及びS42では、グロス画質モードのステップS15及びS16と同様に、前記塵埃除去手段を用いて塵埃除去工程を実施することが好ましい(塵埃除去手段及び塵埃除去作用については前述)。これによれば、クリアインクをメディアMに吐出後、当該クリアインクに紫外線を照射して硬化させるまでの間に、クリアインクのインク滴の表面に塵埃が付着してしまうことが防止できる。すなわち、グロス調印刷の画質が低下してしまうことが防止できるため、十分に光沢感のある高品質なグロス画質が実現できる。
【0180】
このように、本実施形態に係るインクジェット記録装置1によれば、UVLED63が各バンドに対応して設けられるため、バンド毎に紫外線の照射有無を制御することができる。このため、インク滴を吐出させるパスエリアが位置するバンドに紫外線を照射するUVLED63を消灯させることで、当該パスエリアから吐出されたインク滴は、メディアMに着弾した直後に硬化すること無く平滑化される。これにより、十分に光沢感のある記録が可能となる。一方、インク滴を吐出させるパスエリアが位置するバンドに紫外線を照射するUVLED63を点灯させることで、当該パスエリアから吐出されたインク滴は、メディアMに着弾した直後に硬化するため、マットな画質の画像を形成することができる。
【0181】
そして、エリアB1及びB2のUVLED63を点灯させることで、第一吐出領域A1から吐出されたカラーインクはメディアMに着弾した直後に硬化するため、インクが滲むことなく鮮明なカラー画像を形成することができる。一方、エリアB2及びB3のUVLED63を消灯させることで、第二吐出領域A2から吐出されたクリアインクはメディアMに着弾した直後に硬化すること無く平滑化されるため、下層に形成された画像などに十分な光沢感を与えることができる。
【0182】
このとき、第二吐出領域A2からクリアインクを吐出して、Yバー3を副走査方向Fの反対方向に移動させることで、メディアMに着弾したクリアインクは、次回以降の走査において紫外線が照射されて硬化する。これにより、Yバー3の移動方向を変えることなく、クリアインクの吐出と、平滑化したクリアインクの硬化とを行うことができるため、効率的に光沢感のある記録を行うことができる。
【0183】
そして、グロス画質モードでは、上述したように、メディアMに記録される画像の上層に平滑化されたクリアインクが記録されるため、画像の視認性を確保しつつ、この画像に光沢感を与えることができる。
【0184】
このとき、第一吐出領域A1からカラーインクを吐出し、第二吐出領域A2からクリアインクを吐出することで、Yバー3が副走査方向Fに移動する際に、メディアMにカラーインクが記録され、その後、Yバー3が副走査方向Fの反対方向に移動する際に、このカラーインクの上層にクリアインクが記録される。このように、Yバー3の一度の往復で、画像の形成と光沢感の付与とを行うことができるため、光沢感のある画像の記録を効率的に行うことができる。
【0185】
さらに、クリアインクに紫外線を照射して硬化させるまでの間に、クリアインクのインク滴の表面に塵埃が付着してしまうことが防止でき、十分に光沢感のある高品質なグロス画質が実現できる。
【0186】
また、厚盛り画質モードでは、上述したように、メディアMに記録される画像の上層に厚みのあるクリアインクの厚盛り層が積層され、更にその上層に平滑化されたクリアインクが記録されるため、画像の視認性を確保しつつ、クリアインクに厚みを持たせることができ、しかも、この画像に光沢感を与えることができる。
【0187】
また、紫外線照射装置6を、主走査方向Sにおいて第一吐出領域A1及び第二吐出領域A2の前方及び後方に配置することで、キャリッジを主走査方向に往復動させる1回の走査で、インクノズルから吐出された全てのインク滴を硬化させることができる。
【0188】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。例えば、紫外線照射装置6に取り付けるUVLED63の個数や配置、紫外線照射装置6に取り付ける仕切板64の個数や配置、各UVLED63の点灯制御などは、得たい照度分布や得たい画像の画質などに応じて適宜設定される。
【0189】
また、上記実施形態では、印刷処理方法の説明として、紫外線照射装置6に3枚の仕切板64を取り付けるものとして説明したが、何枚の仕切板64を取り付けてもよく、図20に示すように、7枚の仕切板64を取り付けてもよい。この場合、グロス画質モードのコーティング工程α2において、UVLED63a〜63cを点灯させ、UVLED63d〜63hを消灯させることで、エリアB2に配置されるUVLED63から出射される光量を小さくするのと同等の効果を得ることができる。
【0190】
また、上記実施形態では、印刷制御方法の説明の際、主走査方向Sに移動するキャリッジ4の往路においてのみインク滴を吐出するものとして説明したが、主走査方向Sに移動するキャリッジ4の往路及び復路の双方においてインク滴を吐出するものとしてもよい。
【0191】
また、上記実施形態では、グロス画質モードの画像記録工程α1において、全てのUVLED63を点灯させるものとして説明したが、例えば、図22に示すように、カラーインクが過硬化するのを抑制するため、エリアB3及びエリアB4に配置されるUVLED63を消灯させてもよい。これにより、2パス目の記録時に紫外線が照射された後は、コーティング工程α2までカラーインクに紫外線が照射されないため、カラーインクが過硬化するのが抑制され、カラーインクとクリアインクとの接着性を向上させることができる。
【0192】
また、上記実施形態では、厚盛り画質モードとして、画像記録コーティング工程β1、厚盛り工程β2及びグロス処理工程β3の3工程を行うものとして説明したが、厚盛り工程β2は必ずしも必要ではなく、例えば、厚盛り画質モードとして、画像記録コーティング工程β1及びグロス処理工程β3の2工程のみを行うものとしてもよい。
【0193】
また、上記実施形態では、紫外線照射装置6に対する仕切板64の挿抜動作について詳しく説明しなかったが、例えば、カバー65を外して凹部62の開口から仕切板64を挿抜してもよく、図21に示すように、仕切板64が本体61の内側に引っ込められるように構成し、仕切板64を本体61から凹部62に出し入れするようにしてもよい。この場合、各仕切板64の出し入れは、アクチュエータやリードスクリューなどを用いた制御により行ってもよく、物理的に各仕切板64に固定された摘みを本体61から突出させ、この摘みを操作することにより行ってもよい。
【0194】
また、上記実施形態では、仕切板64を台形の平板状に形成されるものとして説明したが、副走査方向Fへ向かう紫外線を遮蔽することができれば、如何なる形状であってもよい。
【0195】
また、上記実施形態では、紫外線照射装置6に仕切板64を設け、UVLED63から出射された紫外線の副走査方向Fへの進行を制御するものとして説明したが、仕切板64は必須の構成要素ではなく、各UVLED63を個別に点灯制御することにより紫外線硬化型インクに照射される紫外線の照射照度を副走査方向Fにおいて変えることができればよい。例えば、図23(a)に示す紫外線照射装置6Aに示すように、各UVLED63a〜63hの鉛直方向下方に遮蔽手段66a〜66hを設け、消灯したUVLED63の鉛直方向下方に隣接するUVLED63から出射された紫外線が照射されるのを抑制することで、副走査方向Fにおける紫外線の照射照度を変えるようにしてもよい。また、図23(b)に示す紫外線照射装置6Bに示すように、凹部を形成することなく各UVLED63a〜63hを紫外線照射装置63の最下面に配置することで、消灯したUVLED63の鉛直方向下方に、隣接するUVLED63から出射された紫外線が照射されるのを抑制することで、副走査方向Fにおける紫外線の照射照度を変えるようにしてもよい。
【0196】
また、上記実施形態では、紫外線照射装置6をインクジェットヘッド5の主走査方向S前方及び後方の双方に配置するものとして説明したが、インクジェットヘッド5の主走査方向S前方又は後方の何れか一方にのみ配置するものとしてもよい。
【0197】
また、上記実施形態では、紫外線照射装置6aと紫外線照射装置6bとは同一構成であるものとして説明したが、必ずしも同一構成である必要はなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、適宜異なる構成としてもよい。
【0198】
また、上記実施形態では、各インクジェットヘッド5に形成されたインクノズル8のうちインク滴を吐出する領域を特定することで、カラーインクが記録されるバンドとクリアインクが記録されるバンドとを副走査方向Fにずらすものとして説明したが、カラーインクを吐出するインクジェットヘッドとクリアインクを吐出するインクジェットヘッドとを物理的に副走査方向Fにずらすことで、カラーインクが記録されるバンドとクリアインクが記録されるバンドとを副走査方向Fにずらしてもよい。
【0199】
また、上記実施形態では、各バンドを形成するインクノズル8のノズル列が副走査方向Fに一列に並んだものとして説明したが、インクジェットヘッド5を主走査方向Sに複数配列するなどして、1または複数のバンド毎にインクノズル8のノズル列を主走査方向Sにずらしてもよい。また、上記実施形態では、カラーインクが吐出されるインクノズル8とクリアインクが吐出されるインクノズル8とを主走査方向Sにずらして並べるものとして説明したが、これらのインクノズルを副走査方向Fに一列に並べてもよい。この場合、カラーインクが吐出されるインクノズルとクリアインクが吐出されるインクノズルとを、別のインクジェットヘッドに形成してもよく、同一のインクジェットヘッドに形成してもよい。
【0200】
また、上記実施形態では、紫外線照射装置6の光源としてUVLED63を用いたが、紫外線を出射することができれば、UVランプなど如何なる手段を用いてもよい。
【0201】
また、上記実施形態では、Yバー3の搬送によりインクジェットヘッド5を移動させることで、インクジェットヘッド5とメディアMとを副走査方向Fに相対的に移動させるものとして説明したが、実際に移動させるのは、インクジェットヘッド5とメディアMの何れであってもよく、双方移動させてもよい。例えば、メディアMを搬送することで、インクジェットヘッド5とメディアMとが副走査方向Fに相対的に移動するグリッドローリングタイプものとしてもよい。
【符号の説明】
【0202】
1…インクジェット記録装置、2…フラットベッド、3…Yバー、4…キャリッジ、5(5a〜5f)…インクジェットヘッド(インク吐出手段)、6(6a、6b、6A、6B)…紫外線照射装置(紫外線照射手段)、61…本体、62…凹部、63…UVLED、64…仕切板、65…カバー、7…制御部(点灯制御部)、8…インクノズル、12(12a、12b)…空気吸引手段、14(14a、14b)…送風手段、16…送風手段、18…空気吸引手段、66(66a〜66h)…遮蔽手段、M…メディア、F…副走査方向、S…主走査方向、A1(A1−a、A1−b)…第一吐出領域、A2(A2−a、A2−b)…第二吐出領域、B1〜B4…エリア、Ink1…カラーインク、Ink2…クリアインク、α1…画像記録工程、α2…コーティング工程、β1…画像記録コーティング工程、β2…工程、β3…グロス処理工程。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
主走査方向において往復移動可能なキャリッジと、
前記キャリッジに搭載されて、記録媒体に紫外線硬化型インクを吐出するインクノズルが副走査方向に複数形成されたインク吐出手段と、
前記キャリッジに搭載されて、前記記録媒体に紫外線を照射する紫外線照射手段と、
前記インク吐出手段及び前記紫外線照射手段を制御する制御部と、
を備え、
前記キャリッジ又は前記記録媒体が主走査方向に直交する副走査方向に移動するインクジェット記録装置であって、
前記インクノズルは、複数のバンドを記録可能なパスエリアが複数設けられ、
前記紫外線照射手段は、前記複数のバンドにそれぞれ対応して紫外線を照射する複数の光源を有し、
前記制御部は、紫外線硬化型インクを吐出するパスエリア毎に前記光源の点灯及び消灯を制御することを特徴とするインクジェット記録装置。
【請求項2】
前記複数のパスエリアのうち副走査方向の下流側に位置するパスエリアから前記紫外線硬化型インクを吐出させて前記バンドを記録する際に、当該バンドに紫外線を照射する前記光源を消灯させるとともに、前記複数のパスエリアのうち副走査方向の上流側に位置するパスエリアから前記紫外線硬化型インクを吐出させずに当該パスエリアにより記録される前記バンドに紫外線を照射する前記光源を点灯させ、前記キャリッジを主走査方向に移動させることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録装置。
【請求項3】
有色の紫外線硬化型インクを下層とし透光性の紫外線硬化型インクを上層として、前記記録媒体に有色の紫外線硬化型インク及び透光性を有する紫外線硬化型インクを記録する場合に、
前記制御部は、
有色の紫外線硬化型インクを吐出するパスエリアが位置する前記バンドに紫外線を照射する前記光源を点灯させ、
透光性を有する紫外線硬化型インクを吐出するパスエリアが位置する前記バンドに紫外線を照射する前記光源を消灯させることを特徴とする請求項1又は2に記載のインクジェット記録装置。
【請求項4】
前記制御部は、
前記キャリッジ又は前記記録媒体の副走査方向の下流側に配置されたパスエリアから透光性を有する紫外線硬化型インクを吐出させ、
透光性を有する紫外線硬化型インクを吐出させるパスエリアが位置する前記バンドに紫外線を照射する前記光源を消灯させ、
透光性を有する紫外線硬化型インクを吐出させるパスエリアの副走査方向の上流側に配置された前記バンドに紫外線を照射する前記光源を点灯させることを特徴とする請求項3に記載のインクジェット記録装置。
【請求項5】
前記紫外線照射手段は、各パスエリアが位置する前記複数バンドに複数の前記光源が対応しており、
前記制御部は、
透光性を有する紫外線硬化型インクを吐出させるパスエリアの副走査方向の上流側に配置された前記バンドに紫外線を照射する前記光源を点灯させるとともに、点灯させる前記光源のうち副走査方向の下流側の前記光源の光量を副走査方向の上流側の前記光源の光量よりも小さくすることを特徴とする請求項4に記載のインクジェット記録装置。
【請求項6】
前記制御部は、
前記キャリッジ又は前記記録媒体の副走査方向の下流側に配置されたパスエリアから有色の紫外線硬化型インクを吐出させるとともに、有色の紫外線硬化型インクを吐出させる当該パスエリアが位置する前記バンドに紫外線を照射する前記光源を点灯させて、前記記録媒体に有色の紫外線硬化型インクを記録し、
前記キャリッジ又は前記記録媒体の副走査方向の下流側に配置されたパスエリアから透光性を有する紫外線硬化型インクを吐出させるとともに、透光性を有する紫外線硬化型インクを吐出させる当該パスエリアの副走査方向の上流側に位置する前記バンドに紫外線を照射する前記光源を点灯させ、且つ、透光性を有する紫外線硬化型インクを吐出させる当該パスエリアが位置する前記バンドに紫外線を照射する前記光源を消灯させ、前記記録媒体に記録された有色の紫外線硬化型インクの上層に透光性を有する紫外線硬化型インクを記録することを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載のインクジェット記録装置。
【請求項7】
前記制御部は、
前記キャリッジ又は前記記録媒体を副走査方向に移動させて、副走査方向前側に配置されたパスエリアから有色の紫外線硬化型インクを吐出させるとともに、有色の紫外線硬化型インクを吐出させる当該パスエリアが位置する前記バンドに紫外線を照射する前記光源を点灯させて、前記記録媒体に有色の紫外線硬化型インクを記録し、
前記キャリッジ又は前記記録媒体を副走査方向の反対方向に移動させて、副走査方向後側に配置されたパスエリアから透光性を有する紫外線硬化型インクを吐出させるとともに、透光性を有する紫外線硬化型インクを吐出させる当該パスエリアの副走査方向の上流側に位置する前記バンドに紫外線を照射する前記光源を点灯させ、且つ、透光性を有する紫外線硬化型インクを吐出させる当該パスエリアが位置する前記バンドに紫外線を照射する前記光源を消灯させ、前記記録媒体に記録された有色の紫外線硬化型インクの上層に透光性を有する紫外線硬化型インクを記録することを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載のインクジェット記録装置。
【請求項8】
前記制御部は、
前記キャリッジ又は前記記録媒体の副走査方向の下流側に配置されたパスエリアから有色の紫外線硬化型インクを吐出させ、前記キャリッジ又は前記記録媒体の副走査方向の上流側に配置されたパスエリアから透光性を有する紫外線硬化型インクを吐出させ、有色の紫外線硬化型インク及び透光性を有する紫外線硬化型インクを吐出させる当該パスエリアが位置する前記バンドに紫外線を照射する前記光源を点灯させて、前記記録媒体に有色の紫外線硬化型インクを記録するとともに、当該有色の紫外線硬化型インクの上層に透光性を有する紫外線硬化型インクを記録し、
前記キャリッジ又は前記記録媒体の副走査方向の下流側に配置されたパスエリアから透光性を有する紫外線硬化型インクを吐出させるとともに、透光性を有する紫外線硬化型インクを吐出させる当該パスエリアの副走査方向の上流側に位置する前記バンドに紫外線を照射する前記光源を点灯させ、且つ、透光性を有する紫外線硬化型インクを吐出させる当該パスエリアが位置する前記バンドに紫外線を照射する前記光源を消灯させ、前記記録媒体に記録された透光性を有する紫外線硬化型インクの上層に透光性を有する紫外線硬化型インクを記録することを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載のインクジェット記録装置。
【請求項9】
前記制御部は、
下層に記録される紫外線硬化型インクを吐出するパスエリアが位置する前記バンドに紫外線を照射する前記光源を点灯させ、
上層に記憶される紫外線硬化型インクを吐出するパスエリアが位置する前記バンドに紫外線を照射する前記光源を消灯させることを特徴とする請求項1〜8の何れか1項に記載のインクジェット記録装置。
【請求項10】
さらに前記キャリッジは、前記記録媒体側の空気を吸引する空気吸引手段を有していることを特徴とする請求項1〜9の何れか1項に記載のインクジェット記録装置。
【請求項11】
前記空気吸引手段は、前記キャリッジの走査方向前端若しくは後端に配設されていることを特徴とする請求項10に記載のインクジェット記録装置。
【請求項12】
さらに前記キャリッジは、前記記録媒体側に気体を吹き出す送風手段を有していることを特徴とする請求項1〜9の何れか1項に記載のインクジェット記録装置。
【請求項13】
前記送風手段は、前記キャリッジの走査方向前端若しくは後端に配設され、走査方向に対して直交方向に気体を吹き出すことを特徴とする請求項12に記載のインクジェット記録装置。
【請求項14】
前記送風手段は、前記キャリッジの走査方向前端に配設され、走査方向前方に気体を吹き出すことを特徴とする請求項12に記載のインクジェット記録装置。
【請求項15】
前記記録媒体側の上面側に当該記録媒体と平行に気体を吹き出す送風手段を備えていることを特徴とする請求項1〜9の何れか1項に記載のインクジェット記録装置。
【請求項16】
前記記録媒体側の上面側に当該記録媒体上の空気を吸引する吸引手段を備えていることを特徴とする請求項1〜9の何れか1項に記載のインクジェット記録装置。
【請求項17】
請求項1〜16の何れか1項に記載のインクジェット記録装置を用いた印刷方法であって、
透光性を有する紫外線硬化型インクを吐出する前記パスエリアが位置する前記バンドに紫外線を照射する前記光源を消灯させて、記録媒体に透光性を有する紫外線硬化型インクを記録し、
透光性を有する紫外線硬化型インクを吐出する前記パスエリアよりも前記キャリッジ又は前記記録媒体の副走査方向の上流側に配置されたパスエリアが位置する前記バンドに紫外線を照射する前記光源を点灯させて、次回以降の走査時に、前記記録媒体に記録された紫外線硬化型インクを硬化させることを特徴とする印刷方法。
【請求項18】
透光性を有する紫外線硬化型インクを吐出するパスエリアと隣接して副走査方向の上流側に配置されるパスエリアが位置する前記バンドに紫外線を照射する前記光源を点灯させて紫外線硬化型インクに紫外線を照射させるとともに、副走査方向の下流側に配置される前記光源から照射される紫外線の光量を副走査方向の上流側に配置される前記光源から照射される紫外線の光量よりも小さくすることを特徴とする請求項17に記載の印刷方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【公開番号】特開2012−106473(P2012−106473A)
【公開日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−47355(P2011−47355)
【出願日】平成23年3月4日(2011.3.4)
【出願人】(000137823)株式会社ミマキエンジニアリング (437)
【Fターム(参考)】