インサイチュ還元によるポーラスシリコン領域の金属化及び燃料電池への応用
【課題】末端水酸基を備えるポーラスシリコン領域を少なくとも金属化する新しい方法を提供する。
【解決手段】ポーラスシリコン領域は、1つのステップで、水溶液に溶解した金属イオンのインサイチュ還元の実施と、前記領域に得られた金属粒子の固定と、が行われて、金属化される。このステップは、特に金属化される領域を、金属イオンを含む溶液に接触することを有し、前記領域の表面は、金属イオンがインサイチュ還元され、且つ金属粒子が固定することができるように予め官能基付与される。ポーラスシリコン領域の官能基付与は、2つの特有のタイプの化学基によるグラフトにより達成される。用いられる第1の化学基は、金属イオン及び/又はその金属イオンに対応する金属をキレートする化学基であり、一方、第2の化学基は金属イオンを還元する化学基である。
【解決手段】ポーラスシリコン領域は、1つのステップで、水溶液に溶解した金属イオンのインサイチュ還元の実施と、前記領域に得られた金属粒子の固定と、が行われて、金属化される。このステップは、特に金属化される領域を、金属イオンを含む溶液に接触することを有し、前記領域の表面は、金属イオンがインサイチュ還元され、且つ金属粒子が固定することができるように予め官能基付与される。ポーラスシリコン領域の官能基付与は、2つの特有のタイプの化学基によるグラフトにより達成される。用いられる第1の化学基は、金属イオン及び/又はその金属イオンに対応する金属をキレートする化学基であり、一方、第2の化学基は金属イオンを還元する化学基である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、末端水酸基(terminal hydroxide groups)を備えるポーラスシリコン領域を少なくとも金属化する(metallization)方法に関する。
【0002】
本発明は、燃料電池のカレントコレクタとして、このような方法により得られた金属化領域(metallized zone)を用いることにも関する。
【背景技術】
【0003】
ポーラスシリコンは、一般に、照射(illumination)(光電気化学と呼ばれる方法)を伴うもしくは伴わない電気化学的方法によって得られ、さらに正確には、フッ酸(hydrofluoric acid)の存在下での陽極溶解(anodic dissolution)により、単結晶シリコン層から得ることができる。
【0004】
用いられるパラメータ(電解液、電流、電圧、照射等)と、シリコン自身の性質(ドーピング、ドーピング状態、基板の抵抗率等)とによれば、この方法は、所望の多孔率(porosity)を得ることができる。従って、シリコンは、2nm未満の平均孔直径のマイクロポーラス、2nmから50nmの間の平均孔直径のメソポーラス、又は、50nm超の平均孔直径のマクロポーラスとなることができる。
【0005】
一般には、p+タイプの基板は、約数ミリオームセンチメートルの抵抗率を伴う、高い電荷キャリヤ密度(約1019atoms/cm3)を示す。従って、照射することなくフッ酸溶液中で簡単に多孔質(porous)を形成することができ、有利にはメソポーラスタイプの孔が存在する。一方、n又はn+タイプのシリコン基板は照射することを必要とする。最終的には、pドープされたシリコン基板は、照射することなく多孔質を形成することができる。しかし、それらが高い抵抗率(約数オームセンチメートルであり、さらに、約1015atoms/cm3ボロンドープされたものに対応する)を示す場合には、これらのpドープ基板には通常孔の発現を促進するために裏面注入が施される。
【0006】
従って、これらのパラメータ(裏面ドーピング、基板抵抗率)により、マイクロポーラス、メソポーラス、及びマクロポーラスタイプのポーラスシリコンは、数マイクロメートル以上の厚さのものとして得ることができる。例えば、p+シリコン基板は、15%のフッ酸溶媒中で約5mA/cm2の電流密度を印加することによって、メソポーラスを形成することができる。さらに、これらのパラメータの制御することにより、多孔率(porosity ratio)を10%から90%に変化させて形成することができる。
【0007】
さらに、フッ酸中での陽極溶解によるシリコンポーラスの形成は、数倍のオーダで基板の電気抵抗率を増加させる。従って、基板の電気抵抗率は数ミリオームセンチメートル(mΩ・cm)から数オームセンチメートル(Ω・cm)まで増加する。約105オームセンチメートル及びそれ以上の値は、例えば、高い多孔率を示すシリコン層で計測され、S.P.Ziminらの“Classification of Electrical Properties of Porous Silicon”(Semiconductors、Vol.34、N○3、2000、pp353-357)で述べられている。この文献においては、S.P.Ziminらは、さらに詳細には、異なったモフォロジ(孔のサイズ、多孔率、基板中の孔の分散等)を示すポーラスシリコン中の消耗領域(depleted regions)の区分(distribution)に応じて、ポーラスシリコンの電気的特性を4つのグループに分類することを確立した。
【0008】
従って、ポーラスシリコン基板の抵抗率は、多数のアプリケーションにおいて使われる前に低くする必要がある。
【0009】
しかし、多くの科学的研究でさえも、ポーラスシリコンの電気伝導メカニズムを扱い、さらに詳細には、バルクのシリコンにより形成された多孔質で観察される抵抗率変化を扱い、多くの開発をこのパラメータを改善することに対して向けていなかった。
【0010】
ポーラスシリコンにおいて低い抵抗率を得ることを可能にするアプローチの1つは、ポーラスシリコンを金属化することで構成される。例えば、基板の電気伝導性を増加させるために金属堆積を追加する。
【0011】
以下は、可能な金属化方法としてあげることができる。イオン注入、化学気相成長(CVD)、物理気相成長(PVD)、スパッタによる堆積、電気化学析出(electrochemical deposition)、又は、無電解堆積(electrolysis-free deposition)。
【0012】
しかしながら、これらの方法は、得られる材料のタイプ又は関与する基板の構造に常に適合するものではない。さらに、これらを実施することは複雑である。
【0013】
従って、イオン又はプラズマ注入の場合、ボロン又はヒ素等のタイプのドーピングは、数ナノメートル以上の厚さの層の表面でのみ起きていた。従って、この技術は、シリコン基板をその厚さ全体(例えば、約数マイクロメートル)に対して金属化することを可能にするものではない。さらに、表面的に(superficially)得られた電気抵抗率は、このような方法に応じて変化する。
【0014】
例えば、CVD、PVD、又はスパッタといったタイプの堆積による金属化は、金属層を基板の表面に形成することを可能にする。しかしながら、金属がポーラス基板の深さに分散することは難しい。同様の拡散についての問題は、電気化学的手段による金属化においても起きている。実際に、孔はポーラスシリコン基板の表面で遮断され(obstructed)、シリコン孔を通じて基板の厚さへ化学溶液が一様に拡散することを妨げる。
【0015】
実際には、良好な金属化の条件がデリケートであるほど、孔のディメンジョンは小さくなる。従って、良好な金属化を得るための問題が起き、さらに詳細には、メソポーラスシリコン及びマイクロポーラスシリコンの場合において起きる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明の目的は、末端水酸基を備えるポーラスシリコン領域を少なくとも金属化する新しい方法を提供することであって、この方法は、従来技術による技術と比較して、改善され且つ簡単に形成することができ、さらに詳細には、一様な金属化を、金属化される領域の厚さ全体とアクセスすることが難しい孔の中とに、得ることを可能にする。
【0017】
本発明によれば、この目的は、以下のことにより達成される。金属化は、前記領域を水溶液に溶解した金属イオンと接触させるステップの間行われ、この水溶液は、前記接触を促進する有機溶媒を少なくとも1つ含み、前記領域は、接触ステップに先立ち、2つの特有のタイプの化学基がグラフト(graft)し、化学基はそれぞれ、金属イオンを還元し、且つ、金属イオン及び/又は前記金属イオンに対応する金属をキレートするものである。
【0018】
好ましい実施形態によれば、この領域は、チオール化学基により、且つエチレンジアミン化学基によりグラフトされる。
【0019】
ポーラスシリコン領域は、さらに有利にはメソポーラスである。
【0020】
本発明の更なる目的は、このような方法により得られた金属領域を、燃料電池の電気伝導性拡散層(electrically conducting diffusion layer)として用いることである。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】図1は、チオール化学基及びエチレンジアミン化学基によりグラフトされたポーラスシリコン基板の表面における銀粒子の形成メカニズムを図示するものである。
【図2】図2は、チオール化学基及びエチレンジアミン化学基によりグラフトされたポーラスシリコン基板の表面における銀粒子の形成メカニズムを図示するものである。
【図3】図3は、チオール化学基及びエチレンジアミン化学基によりグラフトされたポーラスシリコン基板の表面における銀粒子の形成メカニズムを図示するものである。
【図4】図4は、チオール化学基及びエチレンジアミン化学基によりグラフトされたポーラスシリコン基板の表面における銀粒子の形成メカニズムを図示するものである。
【技術分野】
【0001】
本発明は、末端水酸基(terminal hydroxide groups)を備えるポーラスシリコン領域を少なくとも金属化する(metallization)方法に関する。
【0002】
本発明は、燃料電池のカレントコレクタとして、このような方法により得られた金属化領域(metallized zone)を用いることにも関する。
【背景技術】
【0003】
ポーラスシリコンは、一般に、照射(illumination)(光電気化学と呼ばれる方法)を伴うもしくは伴わない電気化学的方法によって得られ、さらに正確には、フッ酸(hydrofluoric acid)の存在下での陽極溶解(anodic dissolution)により、単結晶シリコン層から得ることができる。
【0004】
用いられるパラメータ(電解液、電流、電圧、照射等)と、シリコン自身の性質(ドーピング、ドーピング状態、基板の抵抗率等)とによれば、この方法は、所望の多孔率(porosity)を得ることができる。従って、シリコンは、2nm未満の平均孔直径のマイクロポーラス、2nmから50nmの間の平均孔直径のメソポーラス、又は、50nm超の平均孔直径のマクロポーラスとなることができる。
【0005】
一般には、p+タイプの基板は、約数ミリオームセンチメートルの抵抗率を伴う、高い電荷キャリヤ密度(約1019atoms/cm3)を示す。従って、照射することなくフッ酸溶液中で簡単に多孔質(porous)を形成することができ、有利にはメソポーラスタイプの孔が存在する。一方、n又はn+タイプのシリコン基板は照射することを必要とする。最終的には、pドープされたシリコン基板は、照射することなく多孔質を形成することができる。しかし、それらが高い抵抗率(約数オームセンチメートルであり、さらに、約1015atoms/cm3ボロンドープされたものに対応する)を示す場合には、これらのpドープ基板には通常孔の発現を促進するために裏面注入が施される。
【0006】
従って、これらのパラメータ(裏面ドーピング、基板抵抗率)により、マイクロポーラス、メソポーラス、及びマクロポーラスタイプのポーラスシリコンは、数マイクロメートル以上の厚さのものとして得ることができる。例えば、p+シリコン基板は、15%のフッ酸溶媒中で約5mA/cm2の電流密度を印加することによって、メソポーラスを形成することができる。さらに、これらのパラメータの制御することにより、多孔率(porosity ratio)を10%から90%に変化させて形成することができる。
【0007】
さらに、フッ酸中での陽極溶解によるシリコンポーラスの形成は、数倍のオーダで基板の電気抵抗率を増加させる。従って、基板の電気抵抗率は数ミリオームセンチメートル(mΩ・cm)から数オームセンチメートル(Ω・cm)まで増加する。約105オームセンチメートル及びそれ以上の値は、例えば、高い多孔率を示すシリコン層で計測され、S.P.Ziminらの“Classification of Electrical Properties of Porous Silicon”(Semiconductors、Vol.34、N○3、2000、pp353-357)で述べられている。この文献においては、S.P.Ziminらは、さらに詳細には、異なったモフォロジ(孔のサイズ、多孔率、基板中の孔の分散等)を示すポーラスシリコン中の消耗領域(depleted regions)の区分(distribution)に応じて、ポーラスシリコンの電気的特性を4つのグループに分類することを確立した。
【0008】
従って、ポーラスシリコン基板の抵抗率は、多数のアプリケーションにおいて使われる前に低くする必要がある。
【0009】
しかし、多くの科学的研究でさえも、ポーラスシリコンの電気伝導メカニズムを扱い、さらに詳細には、バルクのシリコンにより形成された多孔質で観察される抵抗率変化を扱い、多くの開発をこのパラメータを改善することに対して向けていなかった。
【0010】
ポーラスシリコンにおいて低い抵抗率を得ることを可能にするアプローチの1つは、ポーラスシリコンを金属化することで構成される。例えば、基板の電気伝導性を増加させるために金属堆積を追加する。
【0011】
以下は、可能な金属化方法としてあげることができる。イオン注入、化学気相成長(CVD)、物理気相成長(PVD)、スパッタによる堆積、電気化学析出(electrochemical deposition)、又は、無電解堆積(electrolysis-free deposition)。
【0012】
しかしながら、これらの方法は、得られる材料のタイプ又は関与する基板の構造に常に適合するものではない。さらに、これらを実施することは複雑である。
【0013】
従って、イオン又はプラズマ注入の場合、ボロン又はヒ素等のタイプのドーピングは、数ナノメートル以上の厚さの層の表面でのみ起きていた。従って、この技術は、シリコン基板をその厚さ全体(例えば、約数マイクロメートル)に対して金属化することを可能にするものではない。さらに、表面的に(superficially)得られた電気抵抗率は、このような方法に応じて変化する。
【0014】
例えば、CVD、PVD、又はスパッタといったタイプの堆積による金属化は、金属層を基板の表面に形成することを可能にする。しかしながら、金属がポーラス基板の深さに分散することは難しい。同様の拡散についての問題は、電気化学的手段による金属化においても起きている。実際に、孔はポーラスシリコン基板の表面で遮断され(obstructed)、シリコン孔を通じて基板の厚さへ化学溶液が一様に拡散することを妨げる。
【0015】
実際には、良好な金属化の条件がデリケートであるほど、孔のディメンジョンは小さくなる。従って、良好な金属化を得るための問題が起き、さらに詳細には、メソポーラスシリコン及びマイクロポーラスシリコンの場合において起きる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明の目的は、末端水酸基を備えるポーラスシリコン領域を少なくとも金属化する新しい方法を提供することであって、この方法は、従来技術による技術と比較して、改善され且つ簡単に形成することができ、さらに詳細には、一様な金属化を、金属化される領域の厚さ全体とアクセスすることが難しい孔の中とに、得ることを可能にする。
【0017】
本発明によれば、この目的は、以下のことにより達成される。金属化は、前記領域を水溶液に溶解した金属イオンと接触させるステップの間行われ、この水溶液は、前記接触を促進する有機溶媒を少なくとも1つ含み、前記領域は、接触ステップに先立ち、2つの特有のタイプの化学基がグラフト(graft)し、化学基はそれぞれ、金属イオンを還元し、且つ、金属イオン及び/又は前記金属イオンに対応する金属をキレートするものである。
【0018】
好ましい実施形態によれば、この領域は、チオール化学基により、且つエチレンジアミン化学基によりグラフトされる。
【0019】
ポーラスシリコン領域は、さらに有利にはメソポーラスである。
【0020】
本発明の更なる目的は、このような方法により得られた金属領域を、燃料電池の電気伝導性拡散層(electrically conducting diffusion layer)として用いることである。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】図1は、チオール化学基及びエチレンジアミン化学基によりグラフトされたポーラスシリコン基板の表面における銀粒子の形成メカニズムを図示するものである。
【図2】図2は、チオール化学基及びエチレンジアミン化学基によりグラフトされたポーラスシリコン基板の表面における銀粒子の形成メカニズムを図示するものである。
【図3】図3は、チオール化学基及びエチレンジアミン化学基によりグラフトされたポーラスシリコン基板の表面における銀粒子の形成メカニズムを図示するものである。
【図4】図4は、チオール化学基及びエチレンジアミン化学基によりグラフトされたポーラスシリコン基板の表面における銀粒子の形成メカニズムを図示するものである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
末端水酸基を備える少なくともポーラスシリコン領域(1)を金属化する方法であって、
金属化は、前記ポーラスシリコン領域(1)を水溶液(3)に溶解した金属イオン(4)と接触させるステップの間に行われ、前記水溶液は前記接触ステップを促進させる有機溶剤を少なくとも含み、
前記ポーラスシリコン領域(1)は、前記接触ステップに先立ち、2つの特有の化学基によってグラフトされ、前記化学基はそれぞれ、前記金属イオンを還元し、且つ、前記金属イオン及び/又は前記金属イオンに対応する金属をキレートするものである、
ことを特徴とする金属化する方法。
【請求項2】
前記ポーラスシリコン領域(1)のグラフトは、それぞれ同じタイプの複数の化学基を集める隣り合う第1の領域と第2の領域とを形成するように、制御されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記キレートタイプの化学基は、チオール、ジチアン、EDTA、チオグリコール酸、カルボン酸、ホスホン酸、スルホン酸、及びこれらの誘導体から選択されることを特徴とする請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記還元タイプの化学基は、アミン、エチレンジアミン、糖、アスコルビン酸、アスコルビン酸塩、ハイドロキノン、及びこれらの誘導体から選択されることを特徴とする請求項1から3のいずれか1つに記載の方法。
【請求項5】
2つのタイプの化学基のグラフトは、1つのステップで行われ、このステップは、エタノールと、キレートタイプの化学基を備える前躯体と、還元タイプの化学基を備える前躯体と、を備える溶液に前記ポーラスシリコン領域(1)を浸漬することを備え、且つ、前記ステップに続いて、未反応の前記複数の前躯体を除去するステップが少なくとも実施されることを特徴とする請求項1から4のいずれか1つに記載の方法。
【請求項6】
複数の前記前躯体はそれぞれキレートタイプの化学基と還元タイプの化学基とを備え、前記複数の前躯体はそれぞれ化学式X−R−SiZ1Z2Z3及びX´−R´−SiZ1´Z2´Z3´に適合しており、ここにおいて、
− R及びR´は、不飽和又は飽和のC1からC5のアルキル鎖から選択される基であり、且つフェニル基から選択される基であり、
− Z3及びZ3´は、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、アセトキシ基、塩素、及び水素から選択される化学基であり、
− Z1及びZ2は、互いに一致しており、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、及びZ3の化学基から選択される化学基であり、
− Z1´及びZ2´は、互いに一致しており、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、及びZ3´の化学基から選択される化学基であり、
− Xは前記キレートタイプの化学基であり、X´は前記還元タイプの化学基である、
ことを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記ポーラスシリコン領域(1)は、前記チオール化学基及び前記エチレンジアミン化学基によりグラフトされることを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記チオール化学基を備える前躯体は3−メルカプトプロピルトリエトキシシランであり、前記エチレンジアミン化学基を備える前躯体は2−(アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン又はそのオリゴマーの1つであることを特徴とする請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記還元タイプの化学基は、ヒドラゾニウムイオンであることを特徴とする請求項1から3のいずれか1つに記載の方法。
【請求項10】
前記金属は、金、銀、銅、白金、ルテニウム、ニッケル、鉛、カドミウム、セレン、及びテルルから選択されることを特徴とする請求項1から9のいずれか1つに記載の方法。
【請求項11】
前記ポーラスシリコン領域(1)は、メソポーラスであることを特徴とする請求項1から10のいずれか1つに記載の方法。
【請求項12】
前記水溶液(3)は、エタノール及びヘキサンを含むことを特徴とする請求項1から11のいずれか1つに記載の方法。
【請求項13】
請求項1から12のいずれか1つに記載された方法により得られた金属化された領域の、燃料電池の電気伝導性ポーラス拡散層(11a、11b)としての使用。
【請求項14】
前記金属化された領域は、シリコン基板(6)中に形成されたトレンチ(8)の側壁(9a、9b)の少なくとも1つの表面部分により形成されることを特徴とする請求項13に記載の金属化された領域の使用。
【請求項1】
末端水酸基を備える少なくともポーラスシリコン領域(1)を金属化する方法であって、
金属化は、前記ポーラスシリコン領域(1)を水溶液(3)に溶解した金属イオン(4)と接触させるステップの間に行われ、前記水溶液は前記接触ステップを促進させる有機溶剤を少なくとも含み、
前記ポーラスシリコン領域(1)は、前記接触ステップに先立ち、2つの特有の化学基によってグラフトされ、前記化学基はそれぞれ、前記金属イオンを還元し、且つ、前記金属イオン及び/又は前記金属イオンに対応する金属をキレートするものである、
ことを特徴とする金属化する方法。
【請求項2】
前記ポーラスシリコン領域(1)のグラフトは、それぞれ同じタイプの複数の化学基を集める隣り合う第1の領域と第2の領域とを形成するように、制御されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記キレートタイプの化学基は、チオール、ジチアン、EDTA、チオグリコール酸、カルボン酸、ホスホン酸、スルホン酸、及びこれらの誘導体から選択されることを特徴とする請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記還元タイプの化学基は、アミン、エチレンジアミン、糖、アスコルビン酸、アスコルビン酸塩、ハイドロキノン、及びこれらの誘導体から選択されることを特徴とする請求項1から3のいずれか1つに記載の方法。
【請求項5】
2つのタイプの化学基のグラフトは、1つのステップで行われ、このステップは、エタノールと、キレートタイプの化学基を備える前躯体と、還元タイプの化学基を備える前躯体と、を備える溶液に前記ポーラスシリコン領域(1)を浸漬することを備え、且つ、前記ステップに続いて、未反応の前記複数の前躯体を除去するステップが少なくとも実施されることを特徴とする請求項1から4のいずれか1つに記載の方法。
【請求項6】
複数の前記前躯体はそれぞれキレートタイプの化学基と還元タイプの化学基とを備え、前記複数の前躯体はそれぞれ化学式X−R−SiZ1Z2Z3及びX´−R´−SiZ1´Z2´Z3´に適合しており、ここにおいて、
− R及びR´は、不飽和又は飽和のC1からC5のアルキル鎖から選択される基であり、且つフェニル基から選択される基であり、
− Z3及びZ3´は、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、アセトキシ基、塩素、及び水素から選択される化学基であり、
− Z1及びZ2は、互いに一致しており、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、及びZ3の化学基から選択される化学基であり、
− Z1´及びZ2´は、互いに一致しており、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、及びZ3´の化学基から選択される化学基であり、
− Xは前記キレートタイプの化学基であり、X´は前記還元タイプの化学基である、
ことを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記ポーラスシリコン領域(1)は、前記チオール化学基及び前記エチレンジアミン化学基によりグラフトされることを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記チオール化学基を備える前躯体は3−メルカプトプロピルトリエトキシシランであり、前記エチレンジアミン化学基を備える前躯体は2−(アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン又はそのオリゴマーの1つであることを特徴とする請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記還元タイプの化学基は、ヒドラゾニウムイオンであることを特徴とする請求項1から3のいずれか1つに記載の方法。
【請求項10】
前記金属は、金、銀、銅、白金、ルテニウム、ニッケル、鉛、カドミウム、セレン、及びテルルから選択されることを特徴とする請求項1から9のいずれか1つに記載の方法。
【請求項11】
前記ポーラスシリコン領域(1)は、メソポーラスであることを特徴とする請求項1から10のいずれか1つに記載の方法。
【請求項12】
前記水溶液(3)は、エタノール及びヘキサンを含むことを特徴とする請求項1から11のいずれか1つに記載の方法。
【請求項13】
請求項1から12のいずれか1つに記載された方法により得られた金属化された領域の、燃料電池の電気伝導性ポーラス拡散層(11a、11b)としての使用。
【請求項14】
前記金属化された領域は、シリコン基板(6)中に形成されたトレンチ(8)の側壁(9a、9b)の少なくとも1つの表面部分により形成されることを特徴とする請求項13に記載の金属化された領域の使用。
【図4】図5は、電子走査顕微鏡により得られた、孔内部にインサイチュ(in situ)で生成された銀粒子を備えるポーラスシリコン基板の断面図の写真を示す。
【図6】図5に示される基板の断面図の異なる領域を拡大した写真を示す。
【図7】図5に示される基板の断面図の異なる領域を拡大した写真を示す。
【図8】図8は、燃料電池の電気伝導性拡散層を形成するために、特定の部分が金属化された、ポーラスシリコン基板を備える燃料電池の製造の異なる工程を模式的に示す。
【図9】図9は、燃料電池の電気伝導性拡散層を形成するために、特定の部分が金属化されたポーラスシリコン基板を備える燃料電池の製造過程の異なる工程を模式的に示す。
【図10】図10は、燃料電池の電気伝導性拡散層を形成するために、特定の部分が金属化されたポーラスシリコン基板を備える燃料電池の製造過程の異なる工程を模式的に示す。
【図11】図11は、燃料電池の電気伝導性拡散層を形成するために、特定の部分が金属化されたポーラスシリコン基板を備える燃料電池の製造過程の異なる工程を模式的に示す。
【図12】図12は、図11の燃料電池の別の実施形態の模式的断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0022】
他の利点及び特徴は、本発明の特定の実施形態についての下記の説明により、さらに明らかにされる。本発明の特定の実施形態は、単なる例示であって、本発明を限定するものではない。本発明の特定の実施形態は、添付の図面により示される。
【0023】
1つのステップにより、すなわち、水溶液に溶解した金属イオンのインサイチュ還元(in situ reduction)を実施し、且つ、前記領域に金属粒子を固定することにより、少なくともポーラスシリコン領域を金属化することを提案する。ポーラスシリコン領域は、有利には、メソポーラスである。前記領域の孔の平均直径は、この場合、さらに詳細には2nmから50nmの間である。
【0024】
このステップは、さらに詳細には、金属イオンを含む溶液を金属化される領域に接触させることにより構成され、領域の表面は、金属イオンのインサイチュ還元と、金属粒子の固定とができるように、予め官能基付与される(functionalize)。
【0025】
このようにするために、金属化される領域の表面は、すなわち、金属化される領域の孔の表面全体は、独自の官能基付与(functionalization)を達成することができるような、さらに詳細には、独自のグラフトが行われるような末端水酸基を備える。特に、金属化される領域の表面は、末端水酸基(Si−O−H)を備える酸化シリコンの薄膜を備えることができる。酸化シリコン薄膜は、例えば、ポーラスのある又はない任意のシリコン材料の表面において、自然酸化による酸化シリコンであることができる。酸化シリコン薄膜は、熱的方法により意図的に得た酸化シリコンであることもできる。別のものによれば、金属化される領域の表面は、当初酸化されていない表面とすることができる。この場合、グラフトオペレーション前もしくはその間に、金属化される領域の表面に、末端水酸基を形成することができるようにデザインされた処理を施すことができる。
【0026】
さらに、金属化される領域の全ての孔の表面は、共有結合によって、すなわち、2つの特有のタイプの化学基によるグラフトによって、官能基付与される。グラフトは、孔表面において末端水酸基が存在することにより可能であり、有利には酸化シリコン薄膜を備える。利用される第1の基(function)は、金属イオン及び/又は金属イオンに対応する金属にキレートする化学基であり、一方、第2の基は金属イオンを還元する化学基である。
【0027】
キレートタイプの化学基は、例えば、チオール、ジチアン、EDTA、チオグリコール酸、カルボン酸、ホスホン酸、スルホン酸、及びそれらの誘導体(derivative)とすることができる。誘導体の意味するところは、加水分解(hydrolysis)によりキレートタイプの前記化学基を形成することができる化合物のことである。
【0028】
還元タイプの化学基は、例えば、アミン、エチレンジアミン、糖、アスコルビン酸、アスコルビン酸塩、ハイドロキノン、及びそれらの誘導体から選択することができる。誘導体の意味するところは、加水分解により還元タイプの前記化学基を形成することができる化合物のことである。このような還元タイプの化学基は、有利には、室温において以下の金属のイオンを還元することができる:銀、金、銅、白金、ルテニウム、ニッケル、鉛、及びカドミウム。
【0029】
前もって2つのタイプの化学基により官能基付与された金属化される領域と接触するようにデザインされた水溶液は、さらに、金属イオンと金属化される領域との間の前記接触まで促進する有機溶媒を少なくとも1つ含む。水溶液は、特にアクセスが難しい全ての孔に届くように、金属化される領域中に溶液の良好な拡散が可能なようにデザインされた溶媒を1つ又はそれ以上含む。
【0030】
例えば、ポーラスシリコン基板は、基板をAg+イオンを含む水溶液に接触させるステップに先立ってグラフトステップを行うために、チオール(−SH)及びエチレンジアミン(−NH−CH2−CH2−NH2)により構成されたキレート/還元ペアを用いることにより、銀粒子で金属化された。
【0031】
図1から図4は、特に、この特有の例にかかる銀粒子を形成することが可能な異なるステップを示す。
【0032】
この例で用いられリシリコン基板は、フッ酸中の電気エッチング処理により少なくとも表面的に多孔質を形成するバルクの単結晶シリコン基板である。電気エッチング処理は、これによって、ポーラス基板の少なくとも一部(結晶内部の自由表面から)の上に指向性を持った孔を開口することを可能にする。有利にはシリコン基板はメソポーラスを形成する。例えば、シリコン基板は、数100ナノメートルから数マイクロメートルの間の深さの多孔質を形成する。さらに、シリコン基板のこの多孔質部分は、有利には自然酸化による酸化シリコンの薄膜を備える。
【0033】
図1は、ポーラスが形成され、酸化シリコンの薄膜2を備える、シリコン基板の部分1を示す。明瞭にするために、薄膜2は、シリコン基板1の表面に形成された表面的な薄膜として、図1に示される。酸化シリコン薄膜は、当然、シリコン基板の見える部分のみだけでなく、シリコン基板の内部の孔の表面全体をも覆う。図1は、チオール及びエチレンジアミンにより基板をグラフトすることができるようにデザインされたSi−O−Hタイプの末端基を備えるシリコン基板をシンプルに示すことができる。
【0034】
グラフトステップは、特に、水と、エタノールと、還元基の前躯体(precursor)と、キレート基の前躯体とを備える溶液に基板1を浸漬させることにより実施される。チオール基の前躯体は、有利には、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン(HS−(CH2)3−Si−(OCH2CH3)3)とすることができ、一方、エチレンジアミン基のために用いられる前駆体は、2−(アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン(NH2CH2CH2NH−(CH2)3−Si−(OCH3)3)又はそのオリゴマーの1つである。2つの前躯体は、さらに有利には混合物において等しい量で存在する。
【0035】
例えば、基板1のグラフトを実施するために用いられる溶液は、9mlの超純水と、1mlのエタノールと、150μlのビス(3−トリメトキシシリル)プロピルエチレンジアミンと、150μlの3−メルカプトプロピルトリエトキシシランとを混合して形成する。混合物は、15分のマグネティック攪拌の下で形成することができる。(アミノエチル)アミノプロピルシロキサンのオリゴマーを形成するための溶液中の(3−トリメトキシシリル)プロピルエチレンジアミン加水分解((3-trimethoxysilyl)propylethylenediamine hydrolyze)のアルコキシ基は、基板1の表面で反応する。
【0036】
次いで、グラフトステップは、室温で約3時間、前躯体を含む溶液に基板1を浸漬することにより行われる。有利には官能基付与ステップの間に一様に凝集する(concentration)ことを補償するために、浸漬の間、溶液を攪拌することができる。
【0037】
次いで、前躯体を含む溶液中への基板1の浸漬後には、未反応の前躯体を除去するステップを行うことができる。この除去ステップは、例えば、基板を連続するバスの中ですすぐことによって達成され、連続するバスは、それぞれ、エタノール、ヘキサン、エタノール及びヘキサンの混合物、及び最後にエタノール、により形成されている。
【0038】
基板1をすすぐためにヘキサンを用いることは、特に、ポーラスシリコン基板の場合有利であり、ヘキサンは未反応の過剰な前躯体を可溶化することができるからである。さらに、エタノール、又は、エタノール及びヘキサンの混合物を含むすすぎ用バスを用いることは、エタノールの低い表面張力により基板1に浸透することを可能にし、従って基板1の全ての孔にアクセスすることを可能にする。このことは完全にすすぎを行うことを補償する。チオール及びエチレンジアミンの前躯体を含む溶液中の有機溶媒としてエタノールを使用する理由は、エタノールが、チオール及びエチレンジアミンの前躯体を含む溶液がポーラスシリコン基板を完全に濡らすことを可能にし、これによって、基板のすべての内部孔に届くことを可能にし、ポーラスシリコン基板1の完全なグラフトを補償するからである。
【0039】
次いで、多くの液体相を除去するために、例えばブロワー手段を用いて基板を乾燥し、110℃のオーブンの中に3時間置く。次いで、このようにして官能基付与された基板は、熱平衡が得られるまで室温に保存される。
【0040】
図2は、これらのオペレーションが完了した基板1の官能基付与を示す。従って、Si−O−H末端基(terminal group)の水素は、酸化シリコンの薄膜2の酸素との共有結合によりエチレンジアミンと結合した−R´´−NH2基により置換され、及びチオールの−R−SHにより置換される。さらに、図2に示されるように、グラフトは特にナノドメインにより行われる。これらのナノドメインは、2つのタイプの前躯体の自己組織化(self-organization)に起因し、さらに詳細には、それぞれが基板1と反応する間に、前躯体として用いられる2つのシリコンアルコキシドの自己組織化に起因するものである。この自己組織化は、特に、2つの前躯体の加水分解濃縮率(hydrolysis-condensation rate)に依存する。従って、シリカのナノ粒子の表面は、有利には隣り合うナノメートルのディメンジョンの領域を備え、それぞれの領域は、同じタイプの複数の化学基を集めたものである。
【0041】
グラフトされた基板1の銀粒子による金属化は、図3及び図4に図示されるように、Ag+イオン4と、金属イオンと基板1の孔との間の接触まで促進する有機溶媒の少なくとも1つと、を含む水溶液3に基板を浸漬させることにより達成される。このオペレーションの間、基板1をグラフトするチオール基は、溶液3のAg+イオンの錯体(complex)を形成し、一方、エチレンジアミン基は、Ag+イオンを還元することを可能にする。しかしながら、エチレンジアミン基はAg+イオンと錯体を形成し、この錯体は、通常チオールにより形成された錯体よりもわずかながら安定でないことに留意すべきである。さらに、チオール基は銀に対してキレートの役割をはたし、インサイチュ還元が実施されることとなる。
【0042】
Ag+イオンを基板1と接触するオペレーションは、例えば、基板1を、硝酸銀、エタノール、及びヘキサンを含む水溶液3に24時間浸漬することにより行われる。この例で用いられる水溶液3は、さらに詳細には、0.45gの硝酸銀と、10mlの水と、40mlのエタノールと、10mlのヘキサンとを含む。実際には、先に述べたように、それらの低い表面張力により、エタノールとヘキサンとの両者は、Ag+イオンを含む水溶液をポーラスシリコン基板1に浸透させることを可能にし、基板1の各孔を金属化することができる。
【0043】
従って、浸漬ステップは、Ag+イオンのインサイチュ還元と一様な固定とによる、銀のナノ粒子の生成を可能にし、銀のナノ粒子をシリコンの孔の表面に形成する。銀のナノ粒子の意味するところは、ナノメートルのディメンジョンの平均サイズを持つ銀粒子であり、すなわち、有利には1から100nmの間である。
【0044】
次いで、すすぎは、いくつかのエタノールバスに連続して浸漬することにより行われ、その後、ブロワーを用いて乾燥が行われる。この場合、すすぎを行うためにヘキサンを用いることを必要としない。一方、基板1の全ての孔にアクセスするために、エタノールを使用することは必要である。グラフトステップもしくは金属ナノ粒子のインサイチュ成長ステップ(in situ growth step)のいずれかのために、金属化されるポーラスシリコンの領域の多孔率に応じて、用いられる有機溶媒又は複数の有機溶媒の割合は、前記ポーラスシリコン領域の完全な濡れを補償するように調節されるべきであることに留意すべきである。
【0045】
従って、上記の例において行われた試験は、金属塩としての硝酸銀(AgNO3)に起因する銀の場合には、銀ナノ粒子が、数ナノメートルの幅と数100ナノメートルの深さとを持つ孔の底にまでその場で下がって(in situ down)生成することができることを示す。
【0046】
電子走査顕微鏡で得られた図5から図7に示される写真は、これらの試験を示す。
【0047】
図5は、基板1の孔の底に固定された銀粒子5を有するポーラスシリコン基板1の断面図を示す。
【0048】
図6は、ポーラスシリコン基板の中央に対応する写真である。この写真は、孔の壁は銀粒子5で覆われていることを示す。
【0049】
図7は、基板の孔の底に対応する写真である。この写真は、粒子5が孔の底にまで固定されており、このサンプルにおいて、大きなサイズであることを示す。
【0050】
行われた試験においては、銀粒子は分離している(discrete)。しかしながら、高い表面密度で金属ナノ粒子を形成することが可能であり、さらに、十分な密度で堆積された場合、このような方法により形成されたナノ粒子の浸出(percolation)により連続する金属層を得ることも可能である。このような金属化の方法は、金属イオンの還元をインサイチュで実施し、同時に金属粒子を固定する限りにおいて、実施が非常にシンプルであるという利点を示す。形成された金属粒子のサイズと表面区分(surface distribution)とを、シリカ支持体(silica support)上に存在する2つのタイプの化学基の間の割合の制御により、制御することができるという利点をさらに示す。
【0051】
試験は以下の他の金属塩でも行うことができる:塩化金、塩化ニッケル、及び硝酸銅水和物。
【0052】
さらに、上記のようにセットされた試験は、エチレンジアミン及びチオールにより形成されたキレート/還元ペアを用いて行われるにもかかわらず、このような方法は、基板の表面の上に形成されるために要求された金属イオン及び金属により形成された酸化−還元ペアに適合した他のキレート/還元ペアを生成することができる。特に、上記の他のキレート/還元ペアに対しては、つまり、キレート及び還元基をそれぞれ備えるシリコンアルコキシドの誘導体である、チオール/エチレンジアミンのペアに関しては、グラフトステップを実施するために用いることができる前躯体は有利である。通常、それぞれ、X−R−SiZ1Z2Z3及びX´−R´−SiZ1´Z2´Z3´のタイプの式により、これらは表わすことができる:
ここにおいて、
− R及びR´は、不飽和又は飽和のC1からC5のアルキル鎖から選択される基であり、且つフェニル基から選択される基であり、
− Z3及びZ3´は、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、アセトキシ基(acethoxy-group)、塩素、及び水素から選択される化学基である。
− Z1及びZ2は、互いに一致しており、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、及びZ3の化学基から選択される化学基であり、
− Z1´及びZ2´は、互いに一致しており、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、及びZ3´の化学基から選択される化学基であり、
− Xはキレートタイプの化学基であり、X´は還元タイプの化学基である。
【0053】
従って、チオール及びエチレンジアミンに関しては、X=SH及びX´=−NH−CH2CH2−NH2である。明瞭にするために、図2及び図3においては、−R´−NH−CH2CH2NH2基は、−R´´−NH2により置き換えられ、ここにおいては、R´´=−R´−NHCH2CH2である。
【0054】
金属化方法において用いることができる還元化学基は、ヒドラゾニウムイオン(N2H5+)とすることができる。ヒドラジン(hydrazine)のようなヒドラゾニウムイオンは、実際には、強い還元力を示す。ヒドラゾニウムイオンは、X´´基として示されるシランタイプのカップリング剤を用いて、シリカ支持体の上をグラフトすることができる。X´´基は、ヒドラジンを加えることにより加水分解を行った際、ヒドラゾニウムイオン(N2H5+)により置換することができる化学基である。
【0055】
従って、シランカップリング剤は、有利には以下から選択される:
− ビス(トリクロロシリルエチル)フェニルスルホニルクロライド(Cl3SiCH2CH2)2C6H4SO2Cl)。この場合、塩化物の加水分解は、化合物をシリカ支持体上にグラフトすることを可能にする。次いで、スルホニルクロライドの加水分解は、ヒドラゾニウムイオンを形成するためにヒドラジンと反応することができる酸を放出する。
− 10−(カルボメトキシ)デシルジメチルクロロシラン(CH3OCO(CH2)10SiMe2Cl)。この場合、塩化物の加水分解は、化合物をシリカ支持体上にグラフトすることを可能にする。次いで、エステルの加水分解は、ヒドラゾニウムイオンを形成するためにヒドラジンと反応することができる酸を放出する。
− 10−(カルボメトキシ)デシルジメチルメトキシシラン(CH3OCO(CH2)10SiMe2OMe)。この場合、アルコキシド(alcoxide)基の加水分解は、化合物をシリカ支持体上にグラフトすることを可能にする。次いで、エステルの加水分解は、ヒドラゾニウムイオンを形成するためにヒドラジンと反応することができる酸を放出する。
− 10−(カルボメトキシ)デシルメチルジクロロシラン(CH3OCO(CH2)10SiMeCl2)。この場合、塩化物の加水分解は、化合物をシリカ支持体上にグラフトすることを可能にする。次いで、エステルの加水分解は、ヒドラゾニウムイオンを形成するためにヒドラジンと反応することができる酸を放出する。
− 10−(カルボメトキシ)デシルトリクロロシラン(CH3OCO(CH2)10SiCl3)。この場合、塩化物の加水分解は、化合物をシリカ支持体上にグラフトすることを可能にする。次いで、エステルの加水分解は、ヒドラゾニウムイオンを形成するためにヒドラジンと反応することができる酸を放出する。
− 10−(カルボメトキシ)デシルトリメトキシシラン(CH3OCO(CH2)10Si(OCH3)3)。この場合、アルコキシド基の加水分解は、化合物をシリカ支持体上にグラフトすることを可能にする。次いで、エステルの加水分解は、ヒドラゾニウムイオンを形成するためにヒドラジンと反応することができる酸を放出する。
− 2−(4−クロロスルホニルフェニル)エチルトリメトキシシラン(ClSO2C6H4CH2CH2Si(OMe)3)。この場合、アルコキシド基の加水分解は、化合物をシリカ支持体上にグラフトすることを可能にする。次いで、スルフォニル塩化物の加水分解は、ヒドラゾニウムイオンを形成するためにヒドラジンと反応することができる酸を放出する。
− 4(トリエトキシシリル)安息香酸エチル(CH3CH2OCOC6H4Si(OEt)3)。この場合、アルコキシド基の加水分解は、化合物をシリカ支持体上にグラフトすることを可能にする。次いで、エステルの加水分解は、ヒドラゾニウムイオンを形成するためにヒドラジンと反応することができる酸を放出する。
− トリエトキシシリルプロピルマレイン酸(triethoxysilylpropylmaleamic acid)((CH3CH2O)3Si(CH2)2NHCOCHCHCOOH)。この場合、アルコキシド基の加水分解は、化合物をシリカ支持体上にグラフトすることを可能にする。次いで、放出された酸は、ヒドラゾニウムイオンを形成するためにヒドラジンと反応することができる。
− 3−(トリヒドロキシシリル)プロパンスルホン酸(HOSO2(CH2)3Si(OH)3)。この場合、シラノール基は、シリカ支持体上にグラフトすることを可能し、次いで、スルホン酸基は、ヒドラゾニウムイオンを形成するためにヒドラジンと反応する。
【0056】
本方法において還元剤としてヒドラゾニウムイオンを用いることは、ポーラスシリコン領域を金属化する前記方法を非常に多くの金属及び半金属(metalloids)にまで拡大することを可能にする。有利には、金属は上記のもの(銀、金、銅、白金、ルテニウム、ニッケル、鉛及びカドミウム)とすることができ、さらにセレン及びテルルとすることができる。
【0057】
本発明の異なる実施例によるポーラスシリコン領域の金属化の方法は、その場で(in situ)金属イオンの還元を行い、同時に、金属化される領域をシンプルに浸漬することにより金属粒子を固定化する、すなわち、最適な方法により官能基付与する限りにおいて、実施がシンプルであるという利点を示す。さらに、金属化される領域の厚さ全体に亘って、一様な金属化を得ることを可能にし、さらにアクセスが難しい孔の中についても一様な金属化を得ることを可能にする。最終的には、領域の孔の表面に形成された金属粒子のサイズ及び区分を、金属化される領域の表面に存在する2つのタイプの化学基の間の割合を制御することにより制御することができるという利点を示す。
【0058】
従って、このような方法は、多くのアプリケーションにおいて用いることができる。特に、燃料電池の分野において用いることができる。
【0059】
例えば、ポーラスシリコン領域の金属化の方法は、水素交換型燃料電池(PEM)のポーラスの電気伝導性反応ガス拡散層を形成するために用いることができる。拡散層は、対応する触媒層とともに、通常燃料電池の電極の1つを形成する。これは、高いパワー密度を示し、且つ、電力場をマイクロコンピュータ又は緊急発電機セットに供給するような低い及び中間のパワーアプリケーションのために用いられるように設計された電池において、特に興味深いことである。
【0060】
特有の例によれば、このような金属化の方法は、2009年5月7日に出願された国際特許出願PCT/FR2009/000540の図8から図11に示されているような燃料電池の製造プロセスと一体とすることができる。
【0061】
従って、図8においては、埋め込まれた電気絶縁層7を備えるシリコン支持体基板6は、絶縁層7でエッチングストップしているようなトレンチ(又は深い開口)8を少なくとも1つ形成するように局所的にエッチングされる。エッチングストップは、深い反応性イオンエッチング(RIE)より、又は化学エッチング(KOH)により行われる。
【0062】
このように形成されたトレンチ8は、図8において、2つの対向する側壁9a及び9bとエッチングオペレーションにより開放された絶縁層7の表面により形成された底面10とにより、輪郭が形成されている。トレンチ8はさらに深さPを示し、シリコン基板が数マイクロメートルから750マイクロメートルのレンジの厚さを示す場合(直径200mmのシリコンウエーハの場合)においては、有利には深さPは10マイクロメートル以上であり、さらに有利には400マイクロメートル以上である。
【0063】
2つの側壁9a及び9bの少なくとも表面部分は、図9中においては、領域11a及び11bにより示される多孔質で形成される。特に、領域11a及び11bは、フッ酸の存在下の陽極溶解により得ることができる。これらは、有利には数マイクロメートルの厚さを持つ。例えば、厚さeは、0.5から5マイクロメートルの間である。領域11a及び11bは、有利には、5%のフッ酸を含む溶液を用いて、約10mA/cm2の電流密度及び約600sの陽極処理時間(anidizing time)により、多孔質を形成する。
【0064】
次いで、前記領域11a及び11bは、電気伝導するように金属化される。従って、金属化ステップは、2つの異なるタイプの、キレート及び還元化学基により領域11a及び11bをグラフトすることにより行われる。例えば、化学基はチオール及びエチレンジアミンである。
【0065】
領域11a及び11bの金属化が行われるとすぐに、前記領域は、金属イオンのインサイチュ還元と孔の表面に得られた金属粒子の固定とを行うために、例えばAg+イオンといった金属イオンを含む水溶液に接触される。
【0066】
このように金属化された領域11a及び11bは、燃料電池のための電気伝導性反応ガス拡散薄層をトレンチ8の中に形成することができる。
【0067】
この場合、領域11a及び11bは、燃料電池の各電極13a及び13bを形成するために、トレンチ8の側壁9a及び9bの上に堆積された触媒層12a及び12bとそれぞれ一体となる(図11参照)。例えば、触媒層12a及び12bは、プラチナのPECVDにより、又は電気めっきにより堆積される。
【0068】
次いで、電解質層14は、2つの触媒層の間にトレンチ8を充填するように形成される。例えば、電解質層は、ナフィオン(登録商標)ベースの溶液を用いたインクジェットによりトレンチ8を充填することにより得られる。最後に、燃料電池を仕上げるために、トレンチ8は、領域11a及び11bに向かって 孔の開いた高分子フィルムを堆積することにより密閉されることができる。
【0069】
特にこのような燃料電池は、電気伝導機能と密閉機能とを分離し、同時に電池のアセンブリを製造する利点を示す。このことは、パワー密度を最適化し、オーミックロスを低減することを可能にする。
【0070】
他の実施形態においては、通路14は、ポーラス拡散層11a及び11bの下の支持体基板6の中に配置され、流体が支持体基板6の平面Pに垂直に流れる(矢印G1及びG2)ことを可能にし、一方、電流の流れは支持体基板6の平面Pに平行である(矢印I)。
【0071】
さらに、金属化された領域11a及び11bは、電気的パフォーマンス特に装置の接触抵抗を改善するために、全体的に(シリコン全ての消費とともに)又は局所的に、次のケイ素化(silicidation)を受けることが可能である。ケイ素化は、電気伝導性金属間化合物を形成するために、金属とシリコンとの間の反応性拡散を可能にする急速アニールの実施で構成される。アニールは、有利には200℃から800℃の間の温度において行われ、用いられる金属と要求される物理化学層とに依存する。例えば、以下のシリサイドを得ることができる:NiSi、NiSi2、PtSi、TiSi、CoSi2等。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図5】
【図6】
【図7】
【図6】図5に示される基板の断面図の異なる領域を拡大した写真を示す。
【図7】図5に示される基板の断面図の異なる領域を拡大した写真を示す。
【図8】図8は、燃料電池の電気伝導性拡散層を形成するために、特定の部分が金属化された、ポーラスシリコン基板を備える燃料電池の製造の異なる工程を模式的に示す。
【図9】図9は、燃料電池の電気伝導性拡散層を形成するために、特定の部分が金属化されたポーラスシリコン基板を備える燃料電池の製造過程の異なる工程を模式的に示す。
【図10】図10は、燃料電池の電気伝導性拡散層を形成するために、特定の部分が金属化されたポーラスシリコン基板を備える燃料電池の製造過程の異なる工程を模式的に示す。
【図11】図11は、燃料電池の電気伝導性拡散層を形成するために、特定の部分が金属化されたポーラスシリコン基板を備える燃料電池の製造過程の異なる工程を模式的に示す。
【図12】図12は、図11の燃料電池の別の実施形態の模式的断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0022】
他の利点及び特徴は、本発明の特定の実施形態についての下記の説明により、さらに明らかにされる。本発明の特定の実施形態は、単なる例示であって、本発明を限定するものではない。本発明の特定の実施形態は、添付の図面により示される。
【0023】
1つのステップにより、すなわち、水溶液に溶解した金属イオンのインサイチュ還元(in situ reduction)を実施し、且つ、前記領域に金属粒子を固定することにより、少なくともポーラスシリコン領域を金属化することを提案する。ポーラスシリコン領域は、有利には、メソポーラスである。前記領域の孔の平均直径は、この場合、さらに詳細には2nmから50nmの間である。
【0024】
このステップは、さらに詳細には、金属イオンを含む溶液を金属化される領域に接触させることにより構成され、領域の表面は、金属イオンのインサイチュ還元と、金属粒子の固定とができるように、予め官能基付与される(functionalize)。
【0025】
このようにするために、金属化される領域の表面は、すなわち、金属化される領域の孔の表面全体は、独自の官能基付与(functionalization)を達成することができるような、さらに詳細には、独自のグラフトが行われるような末端水酸基を備える。特に、金属化される領域の表面は、末端水酸基(Si−O−H)を備える酸化シリコンの薄膜を備えることができる。酸化シリコン薄膜は、例えば、ポーラスのある又はない任意のシリコン材料の表面において、自然酸化による酸化シリコンであることができる。酸化シリコン薄膜は、熱的方法により意図的に得た酸化シリコンであることもできる。別のものによれば、金属化される領域の表面は、当初酸化されていない表面とすることができる。この場合、グラフトオペレーション前もしくはその間に、金属化される領域の表面に、末端水酸基を形成することができるようにデザインされた処理を施すことができる。
【0026】
さらに、金属化される領域の全ての孔の表面は、共有結合によって、すなわち、2つの特有のタイプの化学基によるグラフトによって、官能基付与される。グラフトは、孔表面において末端水酸基が存在することにより可能であり、有利には酸化シリコン薄膜を備える。利用される第1の基(function)は、金属イオン及び/又は金属イオンに対応する金属にキレートする化学基であり、一方、第2の基は金属イオンを還元する化学基である。
【0027】
キレートタイプの化学基は、例えば、チオール、ジチアン、EDTA、チオグリコール酸、カルボン酸、ホスホン酸、スルホン酸、及びそれらの誘導体(derivative)とすることができる。誘導体の意味するところは、加水分解(hydrolysis)によりキレートタイプの前記化学基を形成することができる化合物のことである。
【0028】
還元タイプの化学基は、例えば、アミン、エチレンジアミン、糖、アスコルビン酸、アスコルビン酸塩、ハイドロキノン、及びそれらの誘導体から選択することができる。誘導体の意味するところは、加水分解により還元タイプの前記化学基を形成することができる化合物のことである。このような還元タイプの化学基は、有利には、室温において以下の金属のイオンを還元することができる:銀、金、銅、白金、ルテニウム、ニッケル、鉛、及びカドミウム。
【0029】
前もって2つのタイプの化学基により官能基付与された金属化される領域と接触するようにデザインされた水溶液は、さらに、金属イオンと金属化される領域との間の前記接触まで促進する有機溶媒を少なくとも1つ含む。水溶液は、特にアクセスが難しい全ての孔に届くように、金属化される領域中に溶液の良好な拡散が可能なようにデザインされた溶媒を1つ又はそれ以上含む。
【0030】
例えば、ポーラスシリコン基板は、基板をAg+イオンを含む水溶液に接触させるステップに先立ってグラフトステップを行うために、チオール(−SH)及びエチレンジアミン(−NH−CH2−CH2−NH2)により構成されたキレート/還元ペアを用いることにより、銀粒子で金属化された。
【0031】
図1から図4は、特に、この特有の例にかかる銀粒子を形成することが可能な異なるステップを示す。
【0032】
この例で用いられリシリコン基板は、フッ酸中の電気エッチング処理により少なくとも表面的に多孔質を形成するバルクの単結晶シリコン基板である。電気エッチング処理は、これによって、ポーラス基板の少なくとも一部(結晶内部の自由表面から)の上に指向性を持った孔を開口することを可能にする。有利にはシリコン基板はメソポーラスを形成する。例えば、シリコン基板は、数100ナノメートルから数マイクロメートルの間の深さの多孔質を形成する。さらに、シリコン基板のこの多孔質部分は、有利には自然酸化による酸化シリコンの薄膜を備える。
【0033】
図1は、ポーラスが形成され、酸化シリコンの薄膜2を備える、シリコン基板の部分1を示す。明瞭にするために、薄膜2は、シリコン基板1の表面に形成された表面的な薄膜として、図1に示される。酸化シリコン薄膜は、当然、シリコン基板の見える部分のみだけでなく、シリコン基板の内部の孔の表面全体をも覆う。図1は、チオール及びエチレンジアミンにより基板をグラフトすることができるようにデザインされたSi−O−Hタイプの末端基を備えるシリコン基板をシンプルに示すことができる。
【0034】
グラフトステップは、特に、水と、エタノールと、還元基の前躯体(precursor)と、キレート基の前躯体とを備える溶液に基板1を浸漬させることにより実施される。チオール基の前躯体は、有利には、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン(HS−(CH2)3−Si−(OCH2CH3)3)とすることができ、一方、エチレンジアミン基のために用いられる前駆体は、2−(アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン(NH2CH2CH2NH−(CH2)3−Si−(OCH3)3)又はそのオリゴマーの1つである。2つの前躯体は、さらに有利には混合物において等しい量で存在する。
【0035】
例えば、基板1のグラフトを実施するために用いられる溶液は、9mlの超純水と、1mlのエタノールと、150μlのビス(3−トリメトキシシリル)プロピルエチレンジアミンと、150μlの3−メルカプトプロピルトリエトキシシランとを混合して形成する。混合物は、15分のマグネティック攪拌の下で形成することができる。(アミノエチル)アミノプロピルシロキサンのオリゴマーを形成するための溶液中の(3−トリメトキシシリル)プロピルエチレンジアミン加水分解((3-trimethoxysilyl)propylethylenediamine hydrolyze)のアルコキシ基は、基板1の表面で反応する。
【0036】
次いで、グラフトステップは、室温で約3時間、前躯体を含む溶液に基板1を浸漬することにより行われる。有利には官能基付与ステップの間に一様に凝集する(concentration)ことを補償するために、浸漬の間、溶液を攪拌することができる。
【0037】
次いで、前躯体を含む溶液中への基板1の浸漬後には、未反応の前躯体を除去するステップを行うことができる。この除去ステップは、例えば、基板を連続するバスの中ですすぐことによって達成され、連続するバスは、それぞれ、エタノール、ヘキサン、エタノール及びヘキサンの混合物、及び最後にエタノール、により形成されている。
【0038】
基板1をすすぐためにヘキサンを用いることは、特に、ポーラスシリコン基板の場合有利であり、ヘキサンは未反応の過剰な前躯体を可溶化することができるからである。さらに、エタノール、又は、エタノール及びヘキサンの混合物を含むすすぎ用バスを用いることは、エタノールの低い表面張力により基板1に浸透することを可能にし、従って基板1の全ての孔にアクセスすることを可能にする。このことは完全にすすぎを行うことを補償する。チオール及びエチレンジアミンの前躯体を含む溶液中の有機溶媒としてエタノールを使用する理由は、エタノールが、チオール及びエチレンジアミンの前躯体を含む溶液がポーラスシリコン基板を完全に濡らすことを可能にし、これによって、基板のすべての内部孔に届くことを可能にし、ポーラスシリコン基板1の完全なグラフトを補償するからである。
【0039】
次いで、多くの液体相を除去するために、例えばブロワー手段を用いて基板を乾燥し、110℃のオーブンの中に3時間置く。次いで、このようにして官能基付与された基板は、熱平衡が得られるまで室温に保存される。
【0040】
図2は、これらのオペレーションが完了した基板1の官能基付与を示す。従って、Si−O−H末端基(terminal group)の水素は、酸化シリコンの薄膜2の酸素との共有結合によりエチレンジアミンと結合した−R´´−NH2基により置換され、及びチオールの−R−SHにより置換される。さらに、図2に示されるように、グラフトは特にナノドメインにより行われる。これらのナノドメインは、2つのタイプの前躯体の自己組織化(self-organization)に起因し、さらに詳細には、それぞれが基板1と反応する間に、前躯体として用いられる2つのシリコンアルコキシドの自己組織化に起因するものである。この自己組織化は、特に、2つの前躯体の加水分解濃縮率(hydrolysis-condensation rate)に依存する。従って、シリカのナノ粒子の表面は、有利には隣り合うナノメートルのディメンジョンの領域を備え、それぞれの領域は、同じタイプの複数の化学基を集めたものである。
【0041】
グラフトされた基板1の銀粒子による金属化は、図3及び図4に図示されるように、Ag+イオン4と、金属イオンと基板1の孔との間の接触まで促進する有機溶媒の少なくとも1つと、を含む水溶液3に基板を浸漬させることにより達成される。このオペレーションの間、基板1をグラフトするチオール基は、溶液3のAg+イオンの錯体(complex)を形成し、一方、エチレンジアミン基は、Ag+イオンを還元することを可能にする。しかしながら、エチレンジアミン基はAg+イオンと錯体を形成し、この錯体は、通常チオールにより形成された錯体よりもわずかながら安定でないことに留意すべきである。さらに、チオール基は銀に対してキレートの役割をはたし、インサイチュ還元が実施されることとなる。
【0042】
Ag+イオンを基板1と接触するオペレーションは、例えば、基板1を、硝酸銀、エタノール、及びヘキサンを含む水溶液3に24時間浸漬することにより行われる。この例で用いられる水溶液3は、さらに詳細には、0.45gの硝酸銀と、10mlの水と、40mlのエタノールと、10mlのヘキサンとを含む。実際には、先に述べたように、それらの低い表面張力により、エタノールとヘキサンとの両者は、Ag+イオンを含む水溶液をポーラスシリコン基板1に浸透させることを可能にし、基板1の各孔を金属化することができる。
【0043】
従って、浸漬ステップは、Ag+イオンのインサイチュ還元と一様な固定とによる、銀のナノ粒子の生成を可能にし、銀のナノ粒子をシリコンの孔の表面に形成する。銀のナノ粒子の意味するところは、ナノメートルのディメンジョンの平均サイズを持つ銀粒子であり、すなわち、有利には1から100nmの間である。
【0044】
次いで、すすぎは、いくつかのエタノールバスに連続して浸漬することにより行われ、その後、ブロワーを用いて乾燥が行われる。この場合、すすぎを行うためにヘキサンを用いることを必要としない。一方、基板1の全ての孔にアクセスするために、エタノールを使用することは必要である。グラフトステップもしくは金属ナノ粒子のインサイチュ成長ステップ(in situ growth step)のいずれかのために、金属化されるポーラスシリコンの領域の多孔率に応じて、用いられる有機溶媒又は複数の有機溶媒の割合は、前記ポーラスシリコン領域の完全な濡れを補償するように調節されるべきであることに留意すべきである。
【0045】
従って、上記の例において行われた試験は、金属塩としての硝酸銀(AgNO3)に起因する銀の場合には、銀ナノ粒子が、数ナノメートルの幅と数100ナノメートルの深さとを持つ孔の底にまでその場で下がって(in situ down)生成することができることを示す。
【0046】
電子走査顕微鏡で得られた図5から図7に示される写真は、これらの試験を示す。
【0047】
図5は、基板1の孔の底に固定された銀粒子5を有するポーラスシリコン基板1の断面図を示す。
【0048】
図6は、ポーラスシリコン基板の中央に対応する写真である。この写真は、孔の壁は銀粒子5で覆われていることを示す。
【0049】
図7は、基板の孔の底に対応する写真である。この写真は、粒子5が孔の底にまで固定されており、このサンプルにおいて、大きなサイズであることを示す。
【0050】
行われた試験においては、銀粒子は分離している(discrete)。しかしながら、高い表面密度で金属ナノ粒子を形成することが可能であり、さらに、十分な密度で堆積された場合、このような方法により形成されたナノ粒子の浸出(percolation)により連続する金属層を得ることも可能である。このような金属化の方法は、金属イオンの還元をインサイチュで実施し、同時に金属粒子を固定する限りにおいて、実施が非常にシンプルであるという利点を示す。形成された金属粒子のサイズと表面区分(surface distribution)とを、シリカ支持体(silica support)上に存在する2つのタイプの化学基の間の割合の制御により、制御することができるという利点をさらに示す。
【0051】
試験は以下の他の金属塩でも行うことができる:塩化金、塩化ニッケル、及び硝酸銅水和物。
【0052】
さらに、上記のようにセットされた試験は、エチレンジアミン及びチオールにより形成されたキレート/還元ペアを用いて行われるにもかかわらず、このような方法は、基板の表面の上に形成されるために要求された金属イオン及び金属により形成された酸化−還元ペアに適合した他のキレート/還元ペアを生成することができる。特に、上記の他のキレート/還元ペアに対しては、つまり、キレート及び還元基をそれぞれ備えるシリコンアルコキシドの誘導体である、チオール/エチレンジアミンのペアに関しては、グラフトステップを実施するために用いることができる前躯体は有利である。通常、それぞれ、X−R−SiZ1Z2Z3及びX´−R´−SiZ1´Z2´Z3´のタイプの式により、これらは表わすことができる:
ここにおいて、
− R及びR´は、不飽和又は飽和のC1からC5のアルキル鎖から選択される基であり、且つフェニル基から選択される基であり、
− Z3及びZ3´は、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、アセトキシ基(acethoxy-group)、塩素、及び水素から選択される化学基である。
− Z1及びZ2は、互いに一致しており、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、及びZ3の化学基から選択される化学基であり、
− Z1´及びZ2´は、互いに一致しており、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、及びZ3´の化学基から選択される化学基であり、
− Xはキレートタイプの化学基であり、X´は還元タイプの化学基である。
【0053】
従って、チオール及びエチレンジアミンに関しては、X=SH及びX´=−NH−CH2CH2−NH2である。明瞭にするために、図2及び図3においては、−R´−NH−CH2CH2NH2基は、−R´´−NH2により置き換えられ、ここにおいては、R´´=−R´−NHCH2CH2である。
【0054】
金属化方法において用いることができる還元化学基は、ヒドラゾニウムイオン(N2H5+)とすることができる。ヒドラジン(hydrazine)のようなヒドラゾニウムイオンは、実際には、強い還元力を示す。ヒドラゾニウムイオンは、X´´基として示されるシランタイプのカップリング剤を用いて、シリカ支持体の上をグラフトすることができる。X´´基は、ヒドラジンを加えることにより加水分解を行った際、ヒドラゾニウムイオン(N2H5+)により置換することができる化学基である。
【0055】
従って、シランカップリング剤は、有利には以下から選択される:
− ビス(トリクロロシリルエチル)フェニルスルホニルクロライド(Cl3SiCH2CH2)2C6H4SO2Cl)。この場合、塩化物の加水分解は、化合物をシリカ支持体上にグラフトすることを可能にする。次いで、スルホニルクロライドの加水分解は、ヒドラゾニウムイオンを形成するためにヒドラジンと反応することができる酸を放出する。
− 10−(カルボメトキシ)デシルジメチルクロロシラン(CH3OCO(CH2)10SiMe2Cl)。この場合、塩化物の加水分解は、化合物をシリカ支持体上にグラフトすることを可能にする。次いで、エステルの加水分解は、ヒドラゾニウムイオンを形成するためにヒドラジンと反応することができる酸を放出する。
− 10−(カルボメトキシ)デシルジメチルメトキシシラン(CH3OCO(CH2)10SiMe2OMe)。この場合、アルコキシド(alcoxide)基の加水分解は、化合物をシリカ支持体上にグラフトすることを可能にする。次いで、エステルの加水分解は、ヒドラゾニウムイオンを形成するためにヒドラジンと反応することができる酸を放出する。
− 10−(カルボメトキシ)デシルメチルジクロロシラン(CH3OCO(CH2)10SiMeCl2)。この場合、塩化物の加水分解は、化合物をシリカ支持体上にグラフトすることを可能にする。次いで、エステルの加水分解は、ヒドラゾニウムイオンを形成するためにヒドラジンと反応することができる酸を放出する。
− 10−(カルボメトキシ)デシルトリクロロシラン(CH3OCO(CH2)10SiCl3)。この場合、塩化物の加水分解は、化合物をシリカ支持体上にグラフトすることを可能にする。次いで、エステルの加水分解は、ヒドラゾニウムイオンを形成するためにヒドラジンと反応することができる酸を放出する。
− 10−(カルボメトキシ)デシルトリメトキシシラン(CH3OCO(CH2)10Si(OCH3)3)。この場合、アルコキシド基の加水分解は、化合物をシリカ支持体上にグラフトすることを可能にする。次いで、エステルの加水分解は、ヒドラゾニウムイオンを形成するためにヒドラジンと反応することができる酸を放出する。
− 2−(4−クロロスルホニルフェニル)エチルトリメトキシシラン(ClSO2C6H4CH2CH2Si(OMe)3)。この場合、アルコキシド基の加水分解は、化合物をシリカ支持体上にグラフトすることを可能にする。次いで、スルフォニル塩化物の加水分解は、ヒドラゾニウムイオンを形成するためにヒドラジンと反応することができる酸を放出する。
− 4(トリエトキシシリル)安息香酸エチル(CH3CH2OCOC6H4Si(OEt)3)。この場合、アルコキシド基の加水分解は、化合物をシリカ支持体上にグラフトすることを可能にする。次いで、エステルの加水分解は、ヒドラゾニウムイオンを形成するためにヒドラジンと反応することができる酸を放出する。
− トリエトキシシリルプロピルマレイン酸(triethoxysilylpropylmaleamic acid)((CH3CH2O)3Si(CH2)2NHCOCHCHCOOH)。この場合、アルコキシド基の加水分解は、化合物をシリカ支持体上にグラフトすることを可能にする。次いで、放出された酸は、ヒドラゾニウムイオンを形成するためにヒドラジンと反応することができる。
− 3−(トリヒドロキシシリル)プロパンスルホン酸(HOSO2(CH2)3Si(OH)3)。この場合、シラノール基は、シリカ支持体上にグラフトすることを可能し、次いで、スルホン酸基は、ヒドラゾニウムイオンを形成するためにヒドラジンと反応する。
【0056】
本方法において還元剤としてヒドラゾニウムイオンを用いることは、ポーラスシリコン領域を金属化する前記方法を非常に多くの金属及び半金属(metalloids)にまで拡大することを可能にする。有利には、金属は上記のもの(銀、金、銅、白金、ルテニウム、ニッケル、鉛及びカドミウム)とすることができ、さらにセレン及びテルルとすることができる。
【0057】
本発明の異なる実施例によるポーラスシリコン領域の金属化の方法は、その場で(in situ)金属イオンの還元を行い、同時に、金属化される領域をシンプルに浸漬することにより金属粒子を固定化する、すなわち、最適な方法により官能基付与する限りにおいて、実施がシンプルであるという利点を示す。さらに、金属化される領域の厚さ全体に亘って、一様な金属化を得ることを可能にし、さらにアクセスが難しい孔の中についても一様な金属化を得ることを可能にする。最終的には、領域の孔の表面に形成された金属粒子のサイズ及び区分を、金属化される領域の表面に存在する2つのタイプの化学基の間の割合を制御することにより制御することができるという利点を示す。
【0058】
従って、このような方法は、多くのアプリケーションにおいて用いることができる。特に、燃料電池の分野において用いることができる。
【0059】
例えば、ポーラスシリコン領域の金属化の方法は、水素交換型燃料電池(PEM)のポーラスの電気伝導性反応ガス拡散層を形成するために用いることができる。拡散層は、対応する触媒層とともに、通常燃料電池の電極の1つを形成する。これは、高いパワー密度を示し、且つ、電力場をマイクロコンピュータ又は緊急発電機セットに供給するような低い及び中間のパワーアプリケーションのために用いられるように設計された電池において、特に興味深いことである。
【0060】
特有の例によれば、このような金属化の方法は、2009年5月7日に出願された国際特許出願PCT/FR2009/000540の図8から図11に示されているような燃料電池の製造プロセスと一体とすることができる。
【0061】
従って、図8においては、埋め込まれた電気絶縁層7を備えるシリコン支持体基板6は、絶縁層7でエッチングストップしているようなトレンチ(又は深い開口)8を少なくとも1つ形成するように局所的にエッチングされる。エッチングストップは、深い反応性イオンエッチング(RIE)より、又は化学エッチング(KOH)により行われる。
【0062】
このように形成されたトレンチ8は、図8において、2つの対向する側壁9a及び9bとエッチングオペレーションにより開放された絶縁層7の表面により形成された底面10とにより、輪郭が形成されている。トレンチ8はさらに深さPを示し、シリコン基板が数マイクロメートルから750マイクロメートルのレンジの厚さを示す場合(直径200mmのシリコンウエーハの場合)においては、有利には深さPは10マイクロメートル以上であり、さらに有利には400マイクロメートル以上である。
【0063】
2つの側壁9a及び9bの少なくとも表面部分は、図9中においては、領域11a及び11bにより示される多孔質で形成される。特に、領域11a及び11bは、フッ酸の存在下の陽極溶解により得ることができる。これらは、有利には数マイクロメートルの厚さを持つ。例えば、厚さeは、0.5から5マイクロメートルの間である。領域11a及び11bは、有利には、5%のフッ酸を含む溶液を用いて、約10mA/cm2の電流密度及び約600sの陽極処理時間(anidizing time)により、多孔質を形成する。
【0064】
次いで、前記領域11a及び11bは、電気伝導するように金属化される。従って、金属化ステップは、2つの異なるタイプの、キレート及び還元化学基により領域11a及び11bをグラフトすることにより行われる。例えば、化学基はチオール及びエチレンジアミンである。
【0065】
領域11a及び11bの金属化が行われるとすぐに、前記領域は、金属イオンのインサイチュ還元と孔の表面に得られた金属粒子の固定とを行うために、例えばAg+イオンといった金属イオンを含む水溶液に接触される。
【0066】
このように金属化された領域11a及び11bは、燃料電池のための電気伝導性反応ガス拡散薄層をトレンチ8の中に形成することができる。
【0067】
この場合、領域11a及び11bは、燃料電池の各電極13a及び13bを形成するために、トレンチ8の側壁9a及び9bの上に堆積された触媒層12a及び12bとそれぞれ一体となる(図11参照)。例えば、触媒層12a及び12bは、プラチナのPECVDにより、又は電気めっきにより堆積される。
【0068】
次いで、電解質層14は、2つの触媒層の間にトレンチ8を充填するように形成される。例えば、電解質層は、ナフィオン(登録商標)ベースの溶液を用いたインクジェットによりトレンチ8を充填することにより得られる。最後に、燃料電池を仕上げるために、トレンチ8は、領域11a及び11bに向かって 孔の開いた高分子フィルムを堆積することにより密閉されることができる。
【0069】
特にこのような燃料電池は、電気伝導機能と密閉機能とを分離し、同時に電池のアセンブリを製造する利点を示す。このことは、パワー密度を最適化し、オーミックロスを低減することを可能にする。
【0070】
他の実施形態においては、通路14は、ポーラス拡散層11a及び11bの下の支持体基板6の中に配置され、流体が支持体基板6の平面Pに垂直に流れる(矢印G1及びG2)ことを可能にし、一方、電流の流れは支持体基板6の平面Pに平行である(矢印I)。
【0071】
さらに、金属化された領域11a及び11bは、電気的パフォーマンス特に装置の接触抵抗を改善するために、全体的に(シリコン全ての消費とともに)又は局所的に、次のケイ素化(silicidation)を受けることが可能である。ケイ素化は、電気伝導性金属間化合物を形成するために、金属とシリコンとの間の反応性拡散を可能にする急速アニールの実施で構成される。アニールは、有利には200℃から800℃の間の温度において行われ、用いられる金属と要求される物理化学層とに依存する。例えば、以下のシリサイドを得ることができる:NiSi、NiSi2、PtSi、TiSi、CoSi2等。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図5】
【図6】
【図7】
【公開番号】特開2011−102431(P2011−102431A)
【公開日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−227284(P2010−227284)
【出願日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【出願人】(510225292)コミサリア ア レネルジー アトミック エ オ ゼネルジー アルテルナティブ (97)
【氏名又は名称原語表記】COMMISSARIAT A L’ENERGIE ATOMIQUE ET AUX ENERGIES ALTERNATIVES
【住所又は居所原語表記】Batiment Le Ponant D,25 rue Leblanc,F−75015 Paris, FRANCE
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−227284(P2010−227284)
【出願日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【出願人】(510225292)コミサリア ア レネルジー アトミック エ オ ゼネルジー アルテルナティブ (97)
【氏名又は名称原語表記】COMMISSARIAT A L’ENERGIE ATOMIQUE ET AUX ENERGIES ALTERNATIVES
【住所又は居所原語表記】Batiment Le Ponant D,25 rue Leblanc,F−75015 Paris, FRANCE
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]